説明

包装装置

【課題】 被包装物の重量、サイズに応じて該被包装物の底面側に折り込まれたフィルムの周縁部を確実にヒートシールすることができる包装装置を提供する。
【解決手段】 被包装物の上面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁部を該被包装物の底面側に折り込んでヒートシールする包装装置であって、被包装物の重量及び/又はサイズデータを取得する取得手段と、被包装物の底面側に折り込まれたフィルムに対してヒートシールする加熱手段と、被包装物の重量及び/又はサイズに応じて前記加熱手段によりフィルムの加熱時間を制御する加熱時間制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装装置に係り、詳しくは被包装物をフィルムで包装し、そのフィルムの周縁部を被包装物の底面側に折り込み、折り込み部分を加熱して底シールする包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品(肉、魚、惣菜等)を合成樹脂製のトレイに収容し、これをストレッチフィルムで包装するストレッチ包装機が一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、このストレッチ包装機において被包装物の底面側に折り込まれたフィルムの周縁部をヒートシールする際に、被包装物の重量や被包装物(トレイ)の大きさ、更にフィルムのストレッチ量の違いによりヒートシールの状態にばらつきを生じ、安定したヒートシールが行えないといった問題があった。
その為、包装が終わった商品で底シール部分のヒートシールが不完全なものについては、作業者がシール部分に熱を加えてシールをし直したりしており、作業効率が良くないといった問題点を有している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−97544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、被包装物の重量、サイズに応じて該被包装物の底面側に折り込まれたフィルムの周縁部を確実にヒートシールすることができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する為に本発明が講じた技術的手段は、被包装物の上面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁部を該被包装物の底面側に折り込んでヒートシールする包装装置であって、被包装物の重量、サイズ等のデータを取得する取得手段と、被包装物の底面側に折り込まれたフィルムに対してヒートシールする加熱手段と、被包装物の重量及び/又はサイズに応じて前記加熱手段によりフィルムの加熱時間を制御する加熱時間制御手段と、を備えた構成を特徴とする(請求項1)。
前記取得手段としては、例えば、被包装物を包装機のエレベータまで搬送する工程中にセンサなどで計測して取得する方法と、予め記憶設定してあるプリセットデータから商品番号などにより呼び出して取得する方法等が挙げられる。
被包装物を計測して重量、サイズ等を取得する方法の場合は、被包装物の重量及び/又はサイズを計測する計測手段と、前記計測手段が計測した被包装物の重量、サイズデータを記憶する記憶手段とからなる。
前記計測手段は、例えば、被包装物の重量を計量する計量器、被包装物の幅、高さ、奥行き寸法を計測する計測センサで、前記計量器は被包装物をエレベータまで搬送する搬送手段の始端側に配置した被包装物の載置部に設置されている。又、被包装物(トレイ)のサイズを計測する計測センサは被包装物をエレベータまでの搬送中に計測し得るようにする。
【0006】
又、前記加熱時間制御手段は、被包装物の重量に応じて加熱手段の加熱時間を制御する方式、或いは被包装物のサイズデータに応じて加熱手段の加熱時間を制御する方式、更に被包装物の重量とサイズデータに応じて加熱手段の加熱時間を制御する方式等が挙げられ、被包装物のデータに応じて対応する制御方式が選択される。
【0007】
上記手段によれば、被包装物の重量、或いはサイズ、更に重量とサイズの両データに応じて加熱手段による加熱時間を変えることで、被包装物を包装するフィルムの折り返し部のヒートシールを確実に行うことができる。
【0008】
又、前記加熱時間制御手段は、被包装物の部分別に加熱時間を設定できる設定手段を備え、これに基づいて該被包装物の下面に折り込まれたフィルムの加熱時間を制御するようにしてもよい(請求項2)。
被包装物の部分別とは、例えば被包装物の底面側に折り込まれるフィルム周縁部の積層枚数の多い部分、少ない部分を意味し、その部分毎に加熱時間を設定する。
又、前記加熱時間の設定は、被包装物の重量データのみ、或いはサイズデータのみ、更に重量とサイズの両データ等に応じて被包装物毎に設定してもよい。
【0009】
上記手段によれば、被包装物の重量データとサイズデータにより該被包装物における重点加熱部分(フィルム積層枚数の多い部分)と普通の加熱部分が分かり、それに基づいて効率よく且つ適確にヒートシールすることができる。また、被包装物の重量(自重)により折り込み積層されたフィルムに対して押圧が充分得られる場合と、押圧が充分得られない場合とでそれぞれに適したヒートシールを可能となり、安定したヒートシールが可能となる。
【0010】
そして、前記加熱時間制御手段による加熱時間の制御は、被包装物が加熱手段上を通過するのに要する時間を制御してもよいが、被包装物が加熱手段上を通過する速度を制御するようにしてもよい(請求項3)。
【0011】
上記手段によれば、加熱時間の制御を時間により直接行うのではなく、被包装物が加熱手段の上を通過する時の速度を制御することで、被包装物を加熱手段の範囲内に留める必要がなくなり、包装効率を高めることができる。
【0012】
前記加熱手段は、温度を高低可変し得るようにしてもよいが、予め一定の温度に設定してもよい(請求項4)。
その場合は、加熱手段の温度を一定に保つので短時間での温度上昇、温度下降の制御が困難な加熱手段の温度制御を行う必要がなくなり、作業を楽に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装装置は請求項1記載の構成により、被包装物の重量、或いはサイズ、更に重量とサイズの両データに応じて加熱手段による加熱時間を変えることで、被包装物を包装するフィルムの折り返し部のヒートシールを確実に行うことができる。
又、請求項2記載の構成により、被包装物における重点加熱部分(フィルム積層枚数の多い部分)が分かり、それに基づいて効率よく且つ適確にヒートシールすることができるので、フィルムが溶けるのを防止しながら確実にヒートシールが行える。
【0014】
また、請求項3記載の構成により、被包装物を加熱手段の範囲内に留める必要がなくなり、包装効率を高めることができる。
更に、請求項4記載の構成により、短時間での温度上昇、温度下降の制御が困難な加熱手段の温度制御を行う必要がなくなり、作業を楽に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態をラベル貼付装置を組み込んだ計量包装値付装置について図面に基づいて説明する。
図1は計量包装値付装置の全体を示す概略図で、Aはストレッチフィルム包装機、Bはラベル発行部(計量ラベルプリンタ)、Cは前記ラベル発行部Bから発行されたラベルを受け取って包装済みの被包装物に貼付するラベル貼付装置であり、ラベル発行部Bはストレッチフィルム包装機Aにおける被包装物のヒートシール部(排出路)10の側方上部に配置され、ラベル貼付装置Cは前記排出路の上方に配置されている。
【0016】
ストレッチ包装機Aは、機枠14の前方に被包装物Gを載置する商品載置部13が配置され、該商品載置部13に載せた被包装物Gをプッシャコンベア1により機枠内部に設けたエレベータ2まで搬送する。尚、被包装物Gは容器であるトレイに収容された状態で搬送される場合を例示し、また、商品載置部13は計量部15の計量皿として構成されており、該商品載置部13の手前側近傍には商品Gの横幅を検出する幅検出センサ17aが設けられている。
更に、前記プッシャコンベア1による商品搬送路の途上には、該コンベア1の側方に位置させて商品の高さを検出する高さ検出センサ17b、及び前記商品載置部13と高さ検出センサ17bとの間に被包装物Gの奥行き寸法(搬送方向に沿った長さ寸法)を計測する長さ検出センサ17cが設けられている。
上記エレベータ2の上方には包装部3が設けられ、その包装部3の側方(プッシャコンベアと直角に交差した方向)にフィルムロール4をセットし、該フィルムロール4から繰り出されるフィルム4’をフィルムフィード機構5により引き出し、所定長さにカットした後に包装部3まで移送する。
【0017】
上記包装部3には、フィルムフィード機構5の上方に、被包装物Gの上面を覆うフィルム4’の端部を被包装物Gの底部側に折り込む後折り込み部材6と左右折り込み部材7,7’、その左右折り込み部材7,7’の上方に位置して包装済みの被包装物G’を排出する排出プッシャ8、及び排出プッシャ8の移動方向前方位置に前折り込みローラ9が配設されている。
上記フィルムフィード機構5は、フィルムの幅方向の側端部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト5a,5bと、下側の弾性ベルト5bを上側の弾性ベルト5a側へ圧接するクランプ板5cとで構成され、それらが包装部3を挟んで前後に配置されている。
【0018】
また、前折り込みローラ9の前方には、被包装物Gの底面側に折り込まれたフィルムの端部の重なり部を加熱して接着し排出するヒートシール部(排出路)10とその前部に排出手段11が配設され、機枠14上にはコンソール部12が、更に前記ヒートシール部(排出路)10の側方上部にラベル発行部(計量ラベルプリンタ)Bが、ヒートシール部(排出路)10の上方にはラベル貼付装置Cが設置されている。
【0019】
前記ヒートシール部(排出路)10は、プーリ10a,10bに亘ってガラス繊維等からなる無端状ベルト10cが回転可能に巻回され、その無端状ベルト10cの搬送面(往路側ベルト)の下部に熱板10dが配置されて構成されている。熱板10dは電気的に加熱されヒートシール部の熱源となる。又、熱板10dは一定の温度に加熱保持されており、被包装物Gを包装するフィルムの端部をヒートシールするに際してその都度熱板10dの温度を上昇或いは下降させたりしない。尚、無端状ベルト10cはベルト全体がヒートシール可能な温度に加熱されている。
【0020】
上記構成のストレッチ包装機Aは、エレベータ2上に搬送された被包装物Gがエレベータ2の上昇により包装部3に張架されたフィルム4’に対して突き上げられ、被包装物Gの上面を覆ったフィルム4’の端部は、後折り込み部材6と左右折り込み部材7,7’とにより被包装物Gの底面側に折り込まれる。
次に、排出プッシャ8により被包装物Gを前記ヒートシール部(排出路)10へ向けて水平に押動しながら前記フィルム4’の前側端部を前折り込みローラ9で被包装物Gの底面側に折り込み、その底面側に折り込まれたフィルム端部の重なり部はヒートシール部(排出路)10でヒートシールされ、フィルムで包装された被包装物G’が得られる。
【0021】
ラベル発行部Bは、被包装物Gを前記ストレッチ包装機Aの商品載置部13の計量皿15に載置することによって計量されたデータを基に、予め入力設定されている単価から商品の値段を算出し、その値段とそれ以外の商品データをラベル用紙に印字発行するもので、このラベル発行部Bには印字発行されたラベルLを印字面を上にして略水平に保持するラベル発行口16が設けられている。
【0022】
ラベル貼付装置Cは、ラベル発行口16に保持されているラベルを吸着するラベル吸着部C1と、そのラベル吸着部C1を移動させる駆動機構C2と、前記駆動機構C2の動作を制御する制御手段とで構成されている。尚、ラベル発行部B及びラベル貼付装置Cは本件発明に直接関係しないため詳細な説明は省略する。
【0023】
図2は上述した装置の電気的構成を示すブロック図で、ラベル発行部(計量ラベルプリンタ)制御部Dと、包装機構制御部Eとを備えている。
ラベル発行部(計量ラベルプリンタ)制御部Dは、主としてラベル発行部関係の制御を行うもので、CPU18によって制御される。尚、ラベル貼付装置Cに関する制御については省略する。
包装機構制御部Eは、主としてストレッチ包装機Aの機構部の制御を行うもので、CPUによって制御される。
【0024】
ラベル発行部制御部Dについて説明すると、CPU18にはバス18aを介してROM19、RAM20、表示操作部(コンソール部12)21、計量部22、交信用のインターフェース回路(INF)23、印字部24、トレイ検出センサ25が接続されており、ROM19にはCPU18が実行する各種制御プログラムが記憶されている。
RAM20は、CPU18がROM19の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ、フラグ等のエリアと、商品毎に予め各種データが記憶されたプリセットデータエリアとを備えている。
プリセットデータエリアには、被包装物(商品番号)Gに対応して、値段計算及びラベル印字用のデータである「品名」、「単価」、「バーコード」等が記憶された商品ファイル(図3参照)、トレイファイル(図4参照)等が記憶されている。その各ファイルの詳細については後述する。
【0025】
表示操作部(コンソール部12)21は、キーボードとタッチパネルからなる操作部と、液晶表示器で構成された表示部を備えており、各種データ及び指令の入力、或いはCPU18の指令に基づいて入力データの表示、プリセットデータの表示、各種メッセージの表示を行うものである。従って、本発明における被包装物G(トレイ)のサイズに関するデータの入力は、この表示操作部12の操作部を操作することで行うことができる。
計量部22は、商品載置部13に載置された被包装物Gの計量信号をCPU18へ供給するものである。
交信用のインターフェース回路(INF)23は、包装機構制御部Eと各種データ、指令の交信を行なうための回路である。
印字部24はラベル発行部(計量ラベルプリンタ)Bで、サーマルプリンタを備え、CPU18の指令に基づいてラベルに品名、値段、単価、バーコード等の印字を行い、印字したラベルを前記ラベル発行口16に発行するものである。
【0026】
トレイ検出センサ25は、ヒートシール部(排出路)10の側方で且つ被包装物G’の搬入側入口に配置され、該トレイ検出センサ25が該ヒートシール部10に包装された被包装物G’が搬入されたことを検知するとCPU18からCPU26へ信号が送られ、CPU26は排出プッシャ駆動モータ36を制御する。
【0027】
次に、包装機構制御部Eについて説明する。CPU26にはバス26aを介して交信用インターフェース回路(INF)27、ROM28、RAM29、操作部30、及び機構駆動部31が接続されている。
交信用インターフェース回路(INF)27は、前記したラベル発行部制御部Dと各種データ、指令の交信を行なうための回路である。
ROM28は、CPU26が実行する制御プログラムが記憶されている。
RAM29は、CPU26がROM28の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ及びフラグのエリアの他に、商品の形状データ(縦、横、高さ)に基づいて制御データを決定するための各種テーブル等が記憶されている。
操作部30は、装置の起動、停止等のためのスイッチである。
【0028】
機構駆動部31は、包装を実行する場合に包装機の各機構部を駆動するための回路で、具体的にはエレベータ2を駆動するモータ32、被包装物Gを搬入するプッシャコンベア1の搬入モータ33、フィルムフィード機構5のフィルム移送モータ34等がある。尚、包装機の構成は先に簡単に説明したが、本発明と直接関係しないので、前記モータの制御の詳細については説明を省略する。
叉、機構駆動部31には、被包装物(トレイ)Gの横幅を検出する幅検出センサ17aと、被包装物Gの高さを検出する高さ検出センサ17bと、被包装物Gの搬送方向に沿った奥行き寸法を計測する長さ検出センサ17cと、後折り込み部材6及び左右折り込み部材7,7’を駆動する折り込み板駆動モータ35と、左右及び後側のフィルム端部の折り込みが終わった被包装物をヒートシール部10方向に押圧移送する排出プッシャ8を駆動する排出プッシャ駆動モータ36が接続されており、前記検出センサ17a〜17cの検出データをCPU26へ供給するようになっている。
【0029】
図3は前記プリセットデータエリアに記憶されている商品ファイルの概要を示し、商品番号であるPLUNo.をキーに「品名」、「単価」、「バーコード」、「使用するラベルNo.」等が割り振られている。そして、この商品ファイルはトレイファイル(図4参照)とリンクさせてもよい。
【0030】
図4はトレイファイルの概要を示し、商品を入れるトレイの仕様を規定するトレイNo.毎に風袋重量及びトレイの幅、長さ、高さ、及び該トレイを用いた被包装物を包装するのに使用するフィルムのカット長さが設定されている。トレイのサイズに関するデータは表示操作部(コンソール部12)21より入力、或いは被包装物(トレイ)を載置部13に載置した時、及びプッシャコンベア1によって被包装物(トレイ)Gをエレベータ2のヘッド上へ搬送する過程で該被包装物Gの幅、長さ、高さが幅検出センサ17a、長さ検出センサ17c、高さ検出センサ17bで検出される。その検出されたトレイサイズに応じて各種包装条件が決定される。
【0031】
上記ストレッチ包装機による被包装物Gを包装するフィルムの折込動作は、包装部3に張架されたフィルムに対して被包装物がエレベータで突き上げられることで該被包装物の上面がフィルムで覆われ、フィルムの周縁端部は被包装物の底面より下方に垂れ下がった状態となる。
そして、被包装物の底面より下方に垂れたフィルムの周縁端部は、図5(a)のフィルムの折り込み説明図に示すように、(1)先ず左右折り込み部材7,7’で左右のフィルム端部が被包装物の底面側に折り込まれ、(2)次に後折り込み部材6で後側のフィルム端部が先に折り込まれた左右のフィルム端部の上に折り込まれる。(3)最後に前側のフィルム端部が前折り込みローラによって先に折り込まれた後側のフィルム端部の上に折り込まれる。それにより、最後に折り込まれる前側のフィルム端部の折り込み部分Xは、それ以前に折り込まれた左右側端部及び後側端部の上に重なり、最も積層数が多くなる。このようにフィルムの折込みにより形成されるフィルムの積層状態に多少の差が生じるが、このフィルムの積層部分をヒートシール部(排出路)10で効率よくヒートシールする。尚、前側のフィルム端部の折り込み部分Xは、試験等によりトレイサイズ毎に予め決定され、後述するエリア[b、b’、b”]の距離と同じである。
【0032】
そして、前側のフィルム端部の折り込み、及び折り込まれたフィルム積層部のヒートシールは、被包装物が排出プッシャ8で押動されることで行われる。その排出プッシャによるトレイの移動区間は図5(b)に示す通りである。
以下、トレイNoのAを例にとると、搬出プッシャによるトレイの移動区間では、包装が完了した被包装物(トレイ)G’が排出プッシャに押動されてヒートシールを完了されて排出されるまでに[a]、[b]、[c]の3つのエリアに分けられる。そして、3つのエリアの移動速度はトレイ別排出プッシャ速度ファイル(図6参照)に設定されている。
【0033】
トレイ別排出プッシャ速度ファイルは、トレイのサイズ別に設定され、排出プッシャ8の動き(速度)を制御する。この制御においては、図5に示したフィルムの折込状態における折り込み部分Xが、ヒートシール部10を通過する際に[b]のエリアは排出プッシャ8をゆっくり移動(移動速度:V1)させるようにする。尚、[a]と[c]のエリアは[b]のエリアの移動速度V1より速く移動(移動速度:V2、但しV2>V1)させる。
又、エリア平均(mm)bhは、各トレイにおけるエリア(mm)b、b’、b”の平均値であり定数となる。更に、トレイNoとしてA、B、Cの3種類が登録されているが、これに限らずより多くのトレイNoを登録できるものである。
【0034】
以下、ヒートシールの制御方法について説明する。
ヒートシールの制御方法としては、(1)被包装物Gの計量(重量)値によりヒートシールの条件を制御する方法、(2)被包装物の計量(重量)値とサイズデータによりヒートシールの条件を制御する方法、(3)被包装物(トレイ)のサイズデータによりヒートシールの条件を制御する方法がある。
被包装物Gの計量(重量)値によりヒートシールの条件を制御する方法は、被包装物の重量に基づき重量別排出プッシャ速度ファイル(図9)を参照して行う。
重量別排出プッシャ速度ファイルは、被包装物Gの重量が一定値(M)未満と一定値(M)以上とで排出プッシャの速度を変えて制御するようになっている。即ち、一定値(M)未満の場合は速度をV1とし、一定値(M)以上の場合は速度をV2(但しV2>V1)とする。
被包装物の重量が一定値(M)未満である場合は、被包装物が底面側に折り込まれたフィルム端部を押し付けようとする十分な重さが得られないため、フィルムが重なっている部分においてはフィルムの密着度が低くなり、表層から深層までヒートシール部10の熱が伝わるのに余計に時間が掛かる。つまり、ヒートシールに時間が掛かるので被包装物がヒートシール部を通過する速度が遅くなるように制御する。
【0035】
次に、被包装物の重量値のみを参照して排出プッシャ8の移動速度を制御する(1)の場合における包装装置の動作の概要を図7のフローチャートに基づいて簡単に説明する。
(S101)作業者は処理する被包装物の商品番号(PLU No)を表示操作部(コンソール部)12より入力し、プリセットされている商品ファイルを呼び出す。
(S102)作業者が被包装物を載置部13に載せることで載置部と一体の計量部で該被包装物の計量が行われ、計量が安定(終了)すると包装動作(被包装物の搬入)が開始される。計量値は包装機構制御部Eへ送信される。
(S103)ラベル発行部制御部Dでは前記商品ファイルに設定されている単価と、計量値から被包装物Gの値段が計算される。
(S104)被包装物の載置時及びエレベータヘッドへの搬送中、被包装物Gの幅、長さ、及び高さが検出センサ17a〜17cで検出され、検出データはラベル発行部制御部Dへ送信される。
(S105)S101で呼び出した商品ファイルに被包装物のサイズデータがプリセットされているか判断する。
(S106)被包装物のサイズデータがプリセットされている場合には、S104で計測された被包装物のサイズを無効とし、プリセットされたサイズデータを有効とする。
(S107)被包装物のサイズデータがプリセットされていない場合には、S104で計測された被包装物のサイズデータを有効とする。
(S108)被包装物Gの重量、幅、長さ、高さのデータに基づいてトレイファイル(図4)が参照され、包装に必要なフィルムカット長さ等の各種包装条件が決定され、これらのデータに基づいて被包装物Gの包装が行われる。
(S109)被包装物Gの計量(重量)値が一定値(M)未満かを判断する。YESの場合はS110へ進み、NOの場合はS111へ進む。
(S110)重量別排出プッシャ速度ファイル(図9)が参照され、排出プッシャ8の移動速度をV1(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御して被包装物G’がヒートシール部10を通過するよう押動する。
(S111)重量別排出プッシャ速度ファイル(図9)が参照され、排出プッシャ8の移動速度をV2(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御して被包装物G’がヒートシール部10を通過するよう押動する。
(S112)包装完了後の被包装物G’が所定位置に排出されるとラベルが貼付される。
【0036】
次に、被包装物の計量値とサイズデータにより排出プッシャ8の移動速度を制御する(2)の場合における包装装置の動作の概要を図8のフローチャートに基づいて簡単に説明する。この制御は包装機構制御部EのCPU26によって実行される。
(S201)計測或いは表示操作部(コンソール部)から入力されたトレイサイズデータを基にトレイファイル(図4)が参照されトレイNoが決定される。
(S202)計量部により計量された被包装物Gの計量(重量)値が一定値(M)未満かを判断する。YESの場合はS204へ進み、NOの場合はS203へ進む。
(S203)重量別排出プッシャ速度ファイル(図9)が参照され、排出プッシャ8の移動速度をV2(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御して被包装物G’がヒートシール部10を通過するよう押動する。
(S204)トレイ別排出プッシャ速度ファイル(図6)が参照され、トレイNoにより移動速度(mm/s)、区間(mm)が決定される。以下、本実施例ではトレイNo.Aを例にとり説明する。排出プッシャ8の移動速度がV2(mm/s)になるよう排出プッシャ駆動モータ36を制御し、区間[a]をV2(mm/s)の速度で被包装物G’を押動する。前記エリア[a]は図5(b)を参照して説明すると、排出プッシャ8が移動を開始する位置からヒートシール部10までの距離Sは設計時に決まっており、その距離Sから計測或いは入力した被包装物(トレイ)Gの長さ寸法Nを差し引いて残った距離が区間[a]の距離である。排出プッシャ8の移動距離は排出プッシャ駆動モータ36の回転信号を基に算出される
(S205)排出プッシャ8が区間[a]の距離分を移動したところで、トレイ別排出プッシャ速度ファイル(図6)が参照され、区間[b]を排出プッシャ8の移動速度をV1(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御して被包装物G’を押動する。
この区間[b]は被包装物を包装するフィルムの周縁端部が被包装物の底面側に折り込まれて重なっている折り込み部Xであり、フィルム全体に熱が伝わりにくいのでこの区間[b]では被包装物G’の押動速度を遅くし、加熱時間を長くすることによりヒートシールをより確実にするものである。区間[b]については図5参照。
(S206)トレイ別排出プッシャ速度ファイル(図6)が参照され、排出プッシャ8が区間[b](折り込み部X)の距離分を移動したところで排出プッシャ駆動モータ36を制御し、残りのストローク分区間[c]の距離をV2(mm/s)の速度で被包装物G’を押動する。区間[c]については図5(b)参照。
(S207)ヒートシール部10を通過した包装済みの被包装物G’は排出手段11へと押動されヒートシールを完了する。
【0037】
被包装物(トレイ)のサイズデータにより排出プッシャ8の移動速度を制御する(3)の場合における包装装置の動作については、上記(2)の制御方法のフローチャート(図8参照)における(S202)、(S203)のステップを削除した残りのステップと同じフローである為、説明は省略する。
【0038】
次に、被包装物の計量値(重量)のみで排出プッシャ8の移動速度を部分別に制御する場合における包装装置の動作の概要を図10のフローチャートに基づいて説明する。尚、この制御は包装機構制御部EのCPU26によって実行される。
(S301)作業者は処理する被包装物の商品番号(PLU No)を表示操作部(コンソール部)12より入力し、プリセットされている商品ファイル(商品データ)を呼出す。
(S302)計量部により計量された被包装物Gの計量(重量)値が一定値(M)未満かを判断する。YESの場合はS304へ進み、NOの場合はS303へ進む。
(S303)重量別排出プッシャ速度ファイル(図9)が参照され、排出プッシャ8の移動速度をV2(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御して被包装物G’がヒートシール部10を通過するよう押動する。
(S304)排出プッシャ8の移動速度がV2(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御し被包装物G’を押動する。
(S305)トレイ検出センサ25が被包装物G’を検知することにより排出プッシャ8の移動速度がV1(mm/s)となるように排出プッシャ駆動モータ36を制御し、トレイ別排出プッシャ速度ファイル(図6)におけるエリア[b]平均(mm)が参照され、被包装物G’をbhの距離だけ移動する。尚、排出プッシャ8の移動距離は排出プッシャ駆動モータ36の回転信号を基に算出される。
(S306)被包装物G’を移動速度V1(mm/s)にてbhの距離だけ移動したところで、排出プッシャ8の移動速度がV2(mm/s)になるように排出プッシャ駆動モータ36を制御し、被包装物G’をV2(mm/s)の速度で押動する。
(S307)ヒートシール部10を通過した包装済みの被包装物G’は排出手段11へと押動されヒートシールを完了する。
【0039】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)実施例では、ヒートシール部上における被包装物の通過時間を排出プッシャの移動速度にて制御したが、ヒートシール部に装備した無端状ベルト10cをモータによって駆動させ、それにより被包装物を搬送する時間、つまり加熱時間を制御するようにしてもよい。
(2)被包装物の底面側に折り込んだフィルム端部のヒートシールの制御は、被包装物を移動させながら加熱するヒートシールに限らず、ヒートシール部の加熱温度を一定として該ヒートシール部上に被包装物を停止させる時間で制御する、或いはヒートシール部の加熱温度で制御するようにしてもよい。
(3)被包装物(トレイ)のサイズ検出は、センサを用いて行っているが、被包装物がエレベータに供給されるまでの搬送中に該被包装物をカメラで撮影し、その画像を処理してサイズ検出してもよい。
(4)排出プッシャの速度をV1、V2の2種類としたが、高速、中速、低速、超低速といったように速度の種類を多数設定し、ヒートシールしにくいフィルムに対応するようにしてもよい。
(5)加熱制御するエリアは搬送方向に沿った方向に限らず、搬送方向と直交する方向(幅方向)にも広げて二次元的に設定するようにしてもよい。即ち、ヒートシール部を構成する熱板の加熱温度に部分的に温度差をつける。
(6)ヒートシールを開始する際に、被包装物の先端が区間[a]の終点位置(区間[b]の開始位置、或いはヒートシール部)に達したことを検出するセンサを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る包装装置の実施の一例を示す概略図。
【図2】同包装装置の電気構成を示すブロック図。
【図3】商品ファイルの構成を示す説明図。
【図4】トレイファイルの構成を示す説明図。
【図5】(a)はフィルム端部の折込状態を示す説明図、(b)は排出プッシャによる被包装物の移動区間を示す説明図。
【図6】トレイ別排出プッシャ速度ファイルの構成を示す説明図。
【図7】被包装物の計量(重量)値によりヒートシールする制御方法を示すフローチャート。
【図8】被包装物の計量(重量)値とサイズデータによりヒートシールする制御方法を示すフローチャート。
【図9】重量別排出プッシャ速度ファイルの構成を示す説明図。
【図10】被包装物の計量(重量)値のみで部分別に加熱してヒートシールする制御方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
A…ストレッチフィルム包装機 G、G’…被包装物
10…ヒートシール部(加熱手段) 15…計量部(取得手段)
17a…幅検出センサ(取得手段) 17b…高さ検出センサ(取得手段)
17c…長さ検出センサ(取得手段) 29…RAM(取得手段)
E…包装機構制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物の上面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁部を該被包装物の底面側に折り込んでヒートシールする包装装置であって、
被包装物の重量及び/又はサイズを取得する取得手段と、
被包装物の底面側に折り込まれたフィルムに対してヒートシールする加熱手段と、
被包装物の重量及び/又はサイズに応じて前記加熱手段によりフィルムの加熱時間を制御する加熱時間制御手段と、
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記加熱時間制御手段は、該被包装物の部分別に加熱時間を設定できる設定手段を備え、これに基づいて該被包装物の下面に折り込まれたフィルムの加熱時間を制御することを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記加熱時間制御手段による加熱時間の制御は、被包装物が加熱手段上を通過する速度を制御することにより行うことを特徴とする請求項1又は2記載の包装装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、予め設定した一定の温度に保たれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−126550(P2009−126550A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302987(P2007−302987)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】