説明

化合物をスクリーニングしそして同定する方法

本発明は、相分配系を利用して酵素活性を評価する方法に関する。さらに、本発明はまた、この相分配系を用いて、例えば、糖尿病、糖尿病関連障害、肥満症、心臓血管疾患、癌および他の疾患もしくは障害の処置に使用することができる化合物をスクリーニングしそして同定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年8月4日に出願された米国仮出願第60/492,763号の利益を請求し、その内容はそれら全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、相分配系を利用して酵素活性を評価する方法に関する。さらに、本発明はまた、この相分配系を用いて、例えば、糖尿病、糖尿病関連障害、肥満症、心臓血管疾患、癌および他の疾患もしくは障害の処置に使用することができる化合物をスクリーニングしそして同定する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
製薬産業は、生物学的経路における特定の段階を調節する(例えば、阻止する、減少する、もしくは高める)小分子化合物の同定に焦点を合わせている。治療薬の開発のための出発点としてリード化学物質を同定する目的で、同定し、クローニングし、発現させ、そしてハイスループットスクリーニング(HTS)を行うプロセス、リードディスカバリーは、創薬において重要な役割を果たす。歴史的に、これは、HTSに容易に適していると考えられる標的への焦点を意味した。HTSの試験もしくはアッセイは、標的の関連活性を測定し、その活性について強いシグナルを生成し、市販のおよび/もしくは組織内で調製される試薬から容易に組み立てられ、そして試験試薬/混合物の添加もしくはサンプリングに関する物理的段階の最小限の起こり得る手順を伴わなければならない。このようにして、大量のサンプルを短期間に評価することができ、そして段階の自動化を可能にする。
【0004】
一般に、アッセイ方法の時間および労力の制約のために、脂質代謝タンパク質はHTSによりアッセイされていない。しかしながら、脂質代謝標的の薬理学的可能性を有するHTS化合物ファイル内の化学物質の多様なアレイのために、これらの標的をHTSによって行う明確な必要性が存在する。
【0005】
脂質は、細胞構造、代謝および細胞シグナル伝達において必須の役割を果たす。例えば、脂肪酸およびトリアシルグリセロールは、代謝エネルギーの主要な貯蔵所である。消化し、酸化し、そしてこれらのエネルギー貯蔵形態を合成する酵素は、例えば、癌、肥満症、心臓血管および糖尿病研究の分野において、創薬のための潜在的な治療的介入点である。リン脂質は、それらの代謝的役割に加えて、シグナル伝達経路において重要な役割を果たし、そしてリン脂質代謝を制御する生体高分子もまた潜在的な創薬標的である。薄層クロマトグラフィー(TLC)および高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を包含する、脂質代謝標的の従来のアッセイ方法は、労力および時間を要する。従って、効率がよくそして費用効果的な脂質代謝標的をスクリーニングする方法を開発する必要性が製薬産業にある。
【発明の開示】
【0006】
[本発明の要約]
本発明は、酵素および1種もしくは複数種の基質を組み合わせる段階;反応ミックスをインキュベーションする段階;相分配液(例えば相分配シンチレーション液)を加える段階;および酵素活性を検出する段階を含んでなる酵素活性を測定する方法に関する。適切な場合、反応は、反応ミックスの酸性化により終了させることができる。本発明の一つの態様として、反応は、単一反応溶液(例えば有機耐性(organic resistant)マルチウェルプレート)において行うことができる。別の態様として、本発明の方法は、ハイスループットスクリーニング(high throughput screen)に用いることができる。
【0007】
例として、これらの方法は、以下の酵素:脂肪酸シンターゼ;アセチルCoAカルボキシラーゼ;ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ;ファルネシル二リン酸シンターゼ;グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ;カルニチンO−パルミトイルトランスフェラーゼ1;セリンC−パルミトイルトランスフェラーゼ;およびホスホリパーゼCガンマの活性を評価するために用いることができる。
【0008】
さらなる態様として、本発明の方法は、酵素活性を調節する化合物を同定するために用いることができる。本発明の別の態様として、これらの方法により同定される化合物は、例えば、糖尿病、糖尿病関連障害、肥満症、心臓血管疾患および癌の処置に用いることができる。
[本発明の記述]
本発明は、放射性標識基質および反応の生成物が水相および非混和性シンチレーション液含有有機相に別個に分配される酵素活性の定量的測定の方法を提供する。これらの方法は、放射性核種が有機シンチラント含有相にある場合にのみシンチレーションが検出されることを利用する。酵素活性は、生成物分子への放射性標識含有有機溶解性部分の取り込み(シグナルアッセイの増加)もしくは基質分子からの放射性標識含有有機溶解性部分の喪失(シグナルアッセイの喪失)のいずれかにより評価される。
【0009】
2相系(有機/水性)は、特定の相分配シンチレーション液(PPSF)の添加により構築される。PPSFは、シンチレーション液、相分配因子および有機溶解性放射性標識反応基質もしくは生成物の担体/セパレーターとして働く。実験的に得られる一組の条件を適用することは、典型的に、生成物からの基質の分離を高め、それにより1つの種がPPSFに効果的に可溶化される。例えば、長鎖脂肪酸を含有する反応混合物の酸性化は、脂肪酸のカルボキシル基をプロトン化し、それにより脂肪酸を有機相にいっそう可溶性にする。
【0010】
水相からの放射性核種含有有機/脂質相のin situ分配(相分離)は、多数の有機溶媒抽出および吸引の必要なしに96ウェルもしくは384ウェル(または96ウェルもしくは384ウェルより多い)密度マイクロタイタープレートの個々のウェル内で起こる。これらの方法は、製薬産業内のHTS研究所に一般的な標準試薬および器具類を用いて並行(同時)方法で分析することができる多数の少容量サンプルへの適用性という点で独特である。これらの方法は、従来のロースループット方法(例えばHPLCもしくはTLC)によってこれまでは分析された酵素活性に対して化合物の大きいライブラリーを効率よくスクリーニングすることを可能にする。従って、これらの方法は、潜在的な治療標的酵素活性の調節ができる分子を発見するために適用することができる。すなわち、本発明は、例えば、アゴニストおよびアンタゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アクチベーター、コアクチベーターおよびインヒビターのような酵素活性の調節因子もしくはモジュレーターとして作用することができる化合物を同定するために用いることができる方法を提供する。
【0011】
これらのアッセイ形式を利用することにおいて2つの重要な考慮すべき事柄がある。第一に、適切なPPSFが、適合するマイクロタイタープレートとともに用いられなければならない。シンチレーション液およびマイクロタイタープレートの選択/組み合わせは、壊変毎分(dpm)の検出の能力にとって極めて重要である。多数のシンチレーション液の不都合な点は、プレートの剛性および完全性の妥協をもたらすマイクロタイタープレートの壁に浸透するそれらの傾向である。マイクロタイタープレートは、HTSに一般的である長期間(例えば、24時間より多い)にわたってシンチレーション液による浸透に耐性でなければならない。MicroscintTM−CATカクテル、MicroScintTM−Eカクテル(PerkinElmer,Boston,MA)もしくはLiquid Scintillation Mixture(Aldrich,Milwaukee,WI;Aldrich LSM)はPPFSの必要条件を満たし、そしてマイクロタイタープレート(例えば、PicoPlateTM,PerkinElmer,Boston,MA)の溶媒耐性クラスと適合する。他のシンチレーション液は、PPSFとして働くことができるが、ALDRICH LSMのように標準的なプラスチックマトリックスへのより高い浸透率を有するトルエンもしくは他の有機に基づく揮発性成分を含有する。これらのシンチレーション液の増加した揮発度はまた、研究室測定を行うHTS分析専門家に健康上のリスクも与える。
【0012】
相分配アッセイを確立することにおける第二の考慮すべき事柄は、酵素触媒の基質から生成物への転化によって、CPM(カウント毎分)および関連する基質もしくは生成物が所望の相に分配できることを保証するための放射性標識1種もしくは複数種の基質の適切な選択である。標的活性は、生成物分子への放射性標識含有有機溶解性部分の取り込みもしくは基質分子からの放射性標識含有有機溶解性部分の喪失により評価される。このタイプのアッセイを行うことにおける重要な注意は、放射性標識基質および生成物の選択が以下の必要条件を満たすことを保証することである。第一に、酵素触媒反応の位置化学は、放射性標識が酵素反応の際に媒質中に遊離されないように、基質における放射性標識の位置と適合しなければならない。例えば、14−炭素でC−1で放射性標識したオルニチンは、揮発性生成物[14C]二酸化炭素のためにオルニチンデカルボキシラーゼにより触媒されるオルニチンの脱炭酸反応をモニターするために用いることはできない。同様に、トリチウム水の形態のトリチウムの遊離は、許容できない。第二に、酵素反応は、逆位相への生成物の異なった分配を可能にするように基質の物理化学的性質を改変しなければならない。PPSFおよび有機耐性マイクロタイタープレートの組み合わせならびに放射性標識1種もしくは複数種の基質(および生成物の考慮すべき事柄)の適切な選択は、酵素活性が放射性シグナルの増加もしくは放射性シグナル測定の喪失によって評価されることを可能にする。両方のアッセイタイプは、一次(primary)アッセイプレートにおいて最小の追加段階で行われる。シグナルアッセイの増加には、例えば、脂肪酸シンターゼ(FAS);アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC);ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ(DGAT);ファルネシル二リン酸(FPP)シンターゼ;グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ(GPAT);カルニチンO−パルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1);およびセリンC−パルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)が包含される。シグナルアッセイの喪失には、例えば、ホスホリパーゼCガンマ(PLCδ)が包含される。
脂肪酸シンターゼ
FASは、アセチル−CoA、マロニル−CoAおよびNADPHからの長鎖脂肪酸の形成を触媒する。この多機能タンパク質は、7つの触媒活性およびアシルキャリアータンパク質を有する。それは、デノボ脂肪酸合成およびエネルギーバランスに必要とされる。
正味の反応:
アセチル−CoA+nマロニル−CoA+2nNADPH=
長鎖脂肪酸+(n+1)CoA+nCO+2nNADP
触媒活性(1):
アセチル−CoA+[アシルキャリアータンパク質]=CoA+アセチル−[アシルキャリアータンパク質]
触媒活性(2):
マロニル−CoA+[アシルキャリアータンパク質]=CoA+マロニル−[アシルキャリアータンパク質]
触媒活性(3):
アシル−[アシルキャリアータンパク質]+マロニル−[アシルキャリアータンパク質]=3−オキソアシル−[アシルキャリアータンパク質]+CO+[アシルキャリアータンパク質]
触媒活性(4):
(3R)−3−ヒドロキシアシル−[アシルキャリアータンパク質]+NADP=3−オキソアシル−[アシルキャリアータンパク質]+NADPH
触媒活性(5):
(3R)−3−ヒドロキシパルミトイル−[アシルキャリアータンパク質]=
2−ヘキサデセノイル−[アシルキャリアータンパク質]+H
触媒活性(6):
アシル−[アシルキャリアータンパク質]+NADP
トランス−2,3−デヒドロアシル−[アシルキャリアータンパク質]+NADPH
触媒活性(7):
オレオイル−[アシルキャリアータンパク質]+HO=[アシルキャリアータンパク質]+オレイン酸塩
本発明のこの方法は、放射性標識として[2−14C]マロニルCoA、ならびに酸性化および反応混合物へのPPSFの添加後のPPSF(MicroscintTM−E)への放射性生成物(14Cで標識されたオレイン酸およびパルミチン酸)の分配を用いるシグナルアッセイの増加によってFAS活性の放射分析検出(radiometric detection)を可能にする。
【0013】
典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:酵素、基質、試験化合物およびバッファー成分を含有する酵素アッセイインヒビター試験ミックス(100μL)を室温でインキュベーションして脂肪酸生成物を生成せしめる。20μLの2N HClの添加により酵素反応を止め、続いて150μLのMicroscintTM−Eを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性基質[2−14C]マロニルCoAは、これらの条件下で有機相に分配しない。これは、標準的なアッセイおよび分配条件下で[2−14C]マロニルCoAを用いるが、活性のある(viable)FASの代わりに熱不活性化したFASを用いて確かめられる。酵素活性は、液体シンチレーション計数により決定した場合に有機相における放射活性に比例する。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるFASの量および酵素反応を続行させる時間の量に依存し、すなわち、CPMは反応時間およびFASの濃度に関して用量依存的である。この方法により得られる速度論的パラメーターは、標準方法による文献値と一致する。PPSFに長鎖脂肪酸を分配することにおける酸性化およびPPSFの効果は、既知量の本物の放射性標識[1−14C]パルミチン酸を用いて確かめることができる。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、放射性標識基質および生成物を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
【0014】
本発明のこの方法は、脂肪酸生成物の生成よりはむしろ補基質NADPHの消費(340nmでの吸光度の喪失)をモニターする分光光度アッセイ(例えば、Martin,et al.,J.Biol.Chem.236:663−668,1961を参照)より感度が高い。さらに、本発明のこの方法は、単一容器方法(単一反応容器、例えば、遠心分離管もしくはマルチウェルプレートの単一ウェル)であり、従って、従来の方法(例えば、Arslanian,et al.,Methods Enzymol.35:59−65,1975;Singh,et al.,J.Biol.Chem.259:3605−3611,1984を参照)に特有である混合段階、多数の移動および抽出を回避する。これは、分析に必要な時間を数倍減少する。さらに、本発明の方法は、酵素反応および分析を100μL〜270μL(すなわち、それぞれ、384ウェル密度および96ウェル密度)の容量で96ウェルもしくは384ウェル密度プレートを利用して実施できることを提供する。従来のアッセイは、一般に、大容量(例えば、0.5mLの典型的な一次アッセイ容量)で行われ、その後に塩基触媒の加水分解段階、沸騰段階、酸性化段階およびペンタンへの多数の抽出が続く。
アセチル−CoAカルボキシラーゼ1
ACCは、長鎖脂肪酸の生合成における律速反応を触媒する。このタンパク質は補因子としてビオチンを用い、そして2つの別個の活性:
触媒活性(1):
ATP+アセチル−CoA+HCO=ADP+リン酸塩+マロニル−CoA
触媒活性(2):
ATP+ビオチン−カルボキシルキャリアータンパク質+CO
ADP+リン酸塩+カルボキシビオチン−カルボキシルキャリアータンパク質
とともに、3つの機能:ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質、ビオチンカルボキシラーゼおよびカルボキシトランスフェラーゼを有する。
【0015】
本発明のこの方法は、FASの基質として、ACCにより触媒されるNaHCOと[1−14C]アセチル−CoAとの間の反応の[2−14C]マロニル−CoA生成物を用いてシグナルアッセイの増加によってACC活性の放射分析検出を可能にする。この方法は、反応混合物の酸性化後にACC−FAS共役アッセイの放射性生成物(14Cで放射性標識されたオレイン酸およびパルミチン酸)をPPSF(MicroscintTM−E)に分配することによってACC活性の放射分析検出を可能にする。
【0016】
典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:酵素(ACCおよびFAS)、基質、試験化合物およびバッファー成分を含有する100μLの酵素アッセイインヒビター試験ミックスを室温でインキュベーションして脂肪酸生成物を生成せしめる。20μLの2N HClの添加により酵素反応を止め、続いて150μLのMicroscintTM−Eを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性基質[1−14C]アセチル−CoAもACC反応の生成物[2−14C]マロニル−CoAも、有機相に分配しない。これは、標準的なアッセイ条件および分配条件下で[1−14C]アセチル−CoAおよび[2−14C]マロニルCoAの混合物を用いるが、実行可能なACCおよびFASの代わりに熱不活性化したACCおよびFASを用いて確かめられる。酵素活性は、液体シンチレーション計数により決定した場合に有機相における放射活性に比例する。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるFASの量および酵素反応を続行させる時間の量に依存し、すなわち、CPMは反応時間およびACCの濃度に関して用量依存的である。この方法により得られる速度論的パラメーターは、標準方法による文献値と一致する。PPSFに長鎖脂肪酸を分配することにおける酸性化およびPPSFの効果は、既知量の本物の放射性標識パルミチン酸を用いて評価することができる。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射活性の放射性標識基質および生成物を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定することができる。
【0017】
本発明のこの方法は、ACCの完全な触媒サイクルを測定する手段を提供し、そしてATP依存性ビオチンの部分反応を測定する分光光度アッセイ(Levert,et al.,Biochemistry,39:4122−4128,2000)より感度が高い。ビオチンカルボキシラーゼによるATP加水分解の速度は、ADPの生成をピルビン酸キナーゼおよび乳酸脱水素酵素に共役させることにより340nmで分光光度法で測定された。
【0018】
本発明の方法は、また、ACCにより触媒される生物学的に関連した正反応(マロニル−CoA生成)を測定し、直接的インライン共役反応であり、そしてマロニル−CoAのACCにより触媒される脱炭酸反応をモニターする分光光度アッセイ(Winder,et al.,J.Appl.Physiol.88:2219−2226,2000)より感度が高い。この分光光度アッセイは、リンゴ酸塩およびNADへのリンゴ酸脱水素酵素の作用により生成されるオキサロ酢酸とACC反応において生成されるアセチル−CoAを縮合してクエン酸シンターゼ触媒反応においてクエン酸塩を生成する。NADH生成は、340nmでの吸光度の増加として測定される。
【0019】
さらに、本発明のこの方法は、他の放射性標識アッセイと比較した場合により安全でありそしてあまり労力を要しない。例えば、Herbert等の方法は、NaH14COおよびアセチル−CoAからの[3−14C]マロニル−CoAの生成を測定する(Herbert,et al.,Biochem.J.318:997−1006,1996)。彼らの方法は、別個のバイアルへの生成物の移動、14COとしての残留NaH14COの酸触媒除去、乾燥および液体シンチレーション計数のための生成物の再溶解を必要とする。Wada等の方法は、[1−14C]アセチル−CoAへのミトコンドリア酵素の作用から生成される脂肪酸を測定する(Wada,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1591−1596,1997)。彼らの方法は、内因性ACCおよびFASを使用し、それによりオレイン酸およびパルミチン酸を生成する。しかしながら、この方法はまた、イソプロピル脂肪酸エステルの酸触媒形成、ヘキサンへの抽出および薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析も伴う。
【0020】
さらに、本発明の方法は、酵素反応および分析を100μL〜270μL(すなわち、それぞれ、384ウェル密度および96ウェル密度)の容量で96ウェルもしくは384ウェル密度プレートのウェルにおいて実施できることを提供する。従来の放射性アッセイは、大容量(例えば、0.5mLの典型的な一次アッセイ容量)でチューブにおいて行われ、その後に多数の操作段階が続く。
ファルネシル−二リン酸シンターゼ
触媒活性
ゲラニル二リン酸+イソペンテニル二リン酸=
二リン酸塩+トランス,トランス−ファルネシル二リン酸
本発明のこの方法は、反応混合物の酸性化の後に[1−14C]イソペンテニルピロリン酸とゲラニル二リン酸との間の反応の放射性生成物、[1−14C]トランス,トランス−ファルネシル二リン酸(FPP)をPPSFに分配することによってFPPシンターゼ活性の放射分析検出を可能にする。FPPの酸処理は、[1−14C]ファルネソール(脱ピロリン酸化アルコール生成物)および[1−14C]ネロリドール(3,7,11−トリメチル−1,6,10−ドデカトリエン−3−オール;脱ピロリン酸化、続いてカルボカチオン転位からのアルコール生成物;Holloway,et al.,Biochem.J.104:57−70,1967)の混合物をもたらす。ネロリドールおよびファルネソールは両方とも有機溶解性である。放射性基質[1−14C]イソペンチルピロリン酸は酸安定性であり、そして有機相に分配しない。生成物(基質からDPMを取り込む)からの消費されていない基質(および関連するDPM)の分離は、有機非混和性(水混和性)生成物を有機混和性アリル型アルコール生成物に転化するように働くFPP合成酵素反応混合物の酸性化の組み合わせ、続いてPPSFの添加によって成し遂げられる。
【0021】
典型的な384ウェル密度反応は、以下の割合の試薬で分配される:FPP合成酵素、基質、試験化合物およびバッファー成分を含有する40μLの酵素アッセイインヒビター試験ミックスを室温でインキュベーションしてファルネシル二リン酸を生成せしめる。10μLの5%リン酸の添加により酵素反応を止め、続いて50μLのMicroscintTM−Eを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。[1−14C]イソペンテニルピロリン酸はこれらの条件下で安定であり、そして有機相に分配しない。この種の酸安定性は文献に示されており、そして実行可能なFPP合成酵素の代わりに熱不活性化したFPP合成酵素を用いるコントロール反応は、基質が標準的なアッセイ条件下で有機相に分配しないことを立証する。酵素活性は、液体シンチレーション計数(LSC)により決定した場合に有機相における放射活性に比例する。この放射活性は、本物の[1,2−14C]トランス,トランスファルネソールのLSCにより決定した場合に、酵素反応の酸処理の生成物、ファルネソールおよびネロリドールに対応する。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるFPPSの量および酵素反応を続行させる時間の量に依存し、すなわち、CPMは時間およびFPPSの濃度に関して用量依存的である。この方法により得られる速度論的パラメーターは、標準方法により得られる文献方法と一致する。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射活性の放射性標識基質および生成物を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。相分離は、酵素インキュベーションが行われるマイクロタイタープレートの同じウェル内で成し遂げられるので、サンプルの定量的分析および処理をハイスループット方法で実施することができる。
【0022】
本発明の方法は、HollowayおよびPopjakの元の大規模反応(1mL)および多段階分析(酸性化;中和;石油エーテルへの反復抽出)を単一容器反応に軽減し、そして混合もしくは相の除去/分離を必要としない(Holloway,et al.,Biochem.J.104:57−70,1967)。これは分析の時間を数倍減少する。
【0023】
本発明の方法は、酵素反応および分析を100μL〜270μL(すなわち、それぞれ、384ウェル密度および96ウェル密度)の容量で96ウェルもしくは384ウェル密度プレートのウェルにおいて実施できることを提供する。従来のアッセイは、チューブもしくは分液漏斗において行われる。
ジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ1
DGATは、基質としてジアシルグリセロールおよび脂肪酸アシルCoAを用いることによりトリアシルグリセロール合成における最終的なそして関与段階のみを触媒する。
触媒活性:
アシル−CoA+1,2−ジアシルグリセロール=CoA+トリアシルグリセロール
本発明のこの方法は、[1−14C]デカノイル−CoAとジ−デカノイルグリセロールとのDGAT触媒縮合から形成される放射性生成物トリ−デカノイルグリセロールをPPSF(MicroscintTM−E)に分配することによるシグナルアッセイの増加によってDGAT活性の放射分析検出を可能にする。
【0024】
典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:DGAT、基質、試験化合物およびバッファー成分を含有する100μLの酵素アッセイインヒビター試験ミックスを室温でインキュベーションしてトリアシルグリセロール生成物を生成せしめる。20μLの1%リン酸の添加により酵素反応を止め、続いて150μLのMicroscintTM−Eを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性基質[1−14C]デカノイル−CoAは、有機相に分配しない。これは、標準的なアッセイ条件および分配条件下で[1−14C]デカノイル−CoAを用いるが、実行可能なDGATの代わりに熱不活性化したDGATを用いて確かめられる。酵素活性は、液体シンチレーション計数により決定した場合に有機相における放射活性に比例する。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるDGATの量および酵素反応を続行させる時間の量に依存し、すなわち、CPMは反応時間およびDGATの濃度に関して用量依存的である。この方法により得られる速度論的パラメーターは、標準方法による文献値と一致する。トリ−デカノイルグリセロールをPPSFに分配することにおける酸性化およびPPSFの効果は、既知量の[ヘキサデカノイル1−14C]トリ−ヘキサデカノイルグリセロールを用いて確かめられる。これは、市販されていないトリ−デカノイルグリセロールの代用品として用いられ、そしてそれは同様の分配特性を有するはずである。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射性標識基質および生成物(トリ−デカノイルグリセロールの[ヘキサデカノイル1−14C]トリ−ヘキサデカノイルグリセロールでの代用)を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
【0025】
相分離は、酵素インキュベーションが行われるマイクロタイタープレートの同じウェル内で成し遂げられるので、サンプルの定量的分析および処理をハイスループット方法で実施することができる。この方法の適用は、ジ−デカノイルグリセロールおよびデカノイル−CoAに限定されず;様々な脂肪酸ジアシルグリセロールおよび脂肪酸−CoAを用いることができる。
【0026】
本発明の方法は、多数の移動および抽出の従来の分析を単一容器反応に軽減し、そして混合もしくは相の除去/分離を必要としない。従来の方法は、個々のチューブにおいてアッセイを行うこと、混合した水相:有機相系への生成物の抽出、ボルテックス、水性洗浄および薄層クロマトグラフィーを伴う。本発明の方法は、分析の時間を数倍減少する。
【0027】
本発明の方法は、酵素反応および分析を100μL〜270μL(それぞれ、384ウェル密度および96ウェル密度)の容量で96ウェルもしくは384ウェル密度プレートのウェルにおいて実施できることを提供する。従来のアッセイは、大容量(例えば、0.2mLの典型的な一次アッセイ容量)でチューブにおいて行われ、その後に有機相クエンチ段階、ヘプタンへの多数の抽出、次に得られる有機相の洗浄段階が続く(例えば、Coleman,et al.,J.Biol.Chem.251:4537−4543,1976;Andersson,et al.,J.Lipid Res.35:535−545,1994)。酵素活性は、薄層クロマトグラフィーにより定量される。
1−ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸ホスホジエステラーゼガンマ−1
PLCδ−1は、ヘパリン結合性増殖因子1(酸性線維芽細胞増殖因子)活性化チロシンキナーゼの主要な基質である。
触媒活性:
1−ホスファチジル−1D−ミオ−イノシトール4,5−ビスリン酸+HO=
D−ミオ−イノシトール1,4,5−トリスリン酸+ジアシルグリセロール
本発明のこの方法は、放射性生成物[イノシトール−2−H]1−リン酸を水相にそして加水分解されていない基質L−3−ホスファチジル[2−H]イノシトール([H]PI)をPPSF(ALDRICH LSM)に分配することによるシグナルアッセイの喪失によってPLCδ−1活性の放射分析検出を可能にする。天然基質イノシトール4,5−ビスリン酸およびPLCδ触媒反応の生成物イノシトール1,4,5−3リン酸は両方とも水相に可溶性であり、そしてシグナルアッセイの喪失は不可能である。PLCδの基質としてホスファチジルイノシトール4,5−リン酸のホスファチジルイノシトールでのこの代用は、報告されている(Rhee,et al.,Methods Enzymol.197:502−511,1991)。
【0028】
典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:PLCδ、基質、試験化合物およびバッファー成分を含有する100μLの酵素アッセイインヒビター試験ミックスを室温でインキュベーションしてイノシトールリン酸生成物を生成せしめる。10μLの5N HClの添加により酵素反応を止め、続いて160μLのALDRICH LSMを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に8時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性基質は、有機相に容易に分配する。これは、標準的なアッセイ条件および分配条件下でL−3−ホスファチジル[2−H]イノシトール([H]PI)を用いるが、実行可能なPLCδの代わりに熱不活性化したPLCδを用いて確かめられる。酵素活性は、液体シンチレーション計数により決定した場合に有機相における放射活性に反比例する。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるPLCδの量および酵素反応を続行させる時間の量に逆に(inversely)依存し、すなわち、CPMは反応時間およびPLCδの濃度に関して反比例的に用量依存的である。この方法により得られる速度論的パラメーターは、標準方法により得られる文献値と一致する。ホスファチジル[2−H]イノシトールをPPSFに分配することにおける酸性化およびPPSFの効果は、既知量のホスファチジル[2−H]イノシトールを用いて評価される。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射性標識基質ホスファチジル[2−H]イノシトールおよび生成物イノシトールリン酸を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
【0029】
相分離は、酵素インキュベーションが行われるマイクロタイタープレートの同じウェル内で成し遂げられるので、サンプルの定量的分析および処理をハイスループット方法で実施することができる。
【0030】
酵素活性は、液体シンチレーション計数により決定した場合に有機相における放射活性に比例する。この目的のために、ALDRICH LSMは、MicroscintTM−E、Instafluor(Packard BioScience,Groningen,The Netherlands)もしくはOpto−fluor−O(Packard BioScience,Groningen,The Netherlands)より優れている。この方法により得られる速度論的パラメーターおよびインヒビター効果は、標準方法による文献値と一致する。
【0031】
本発明の方法は、多数の移動および抽出段階の従来の分析を単一容器反応に軽減し、そして混合もしくは相の除去/分離を必要としない。これは分析の時間を数倍減少する。例えば、Sekiya等は、一次酵素反応(100μL)をトリクロロ酢酸(200μL)および10%ウシ血清アルブミン(100μL)で終了させ、続いて遠心分離にかける。次に、水相のアリコートを液体シンチレーション計数によるイノシトールリン酸生成物の定量用に取り除く(Sekiya,et al.,J.Biol.Chem.274:13900−13907,1999)。従って、単一容器反応は、分析の時間を数倍減少する。
グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ
グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ(GPAT)は、グリセロール脂質生合成の第一関与段階:脂肪酸アシル−CoAとのsn−1位におけるグリセロール−3−リン酸のエステル化を触媒して1−アシルグリセロール−3−リン酸(リゾホスファチジン酸)を形成する。このタンパク質のミクロソームおよびミトコンドリア(mt)アイソザイムが存在する。大部分の組織において、mtGPATは総GPAT活性の10%に寄与し、しかしながら、肝臓では、mtGPATは総活性の30〜50%に寄与する。ミクロソームGPATは、飽和および不飽和脂肪酸アシル−CoAの両方を同等によくエステル化し、しかしながら、mtGPATはパルミトイル−CoAに対する基質選択性を有する。
触媒活性
アシル−CoA+sn−グリセロール−3−リン酸=CoA+1−アシル−sn−グリセロール−3−リン酸
本発明のこの方法は、[H−9,10]パルミトイル−CoAとsn−グリセロール−3−リン酸との間の反応の1−パルミトイル[H−9,10]グリセロール3リン酸生成物をPPSF(MicroscintTM−E)に分配するシグナルアッセイの増加によってGPAT活性の放射分析検出を可能にする。
【0032】
本物のGPATはアッセイ開発用に利用可能ではなかったので、放射性標識基質および生成物([H−9,10]パルミトイル−CoAおよびリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic)(1−オレオイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸)をそれぞれコントロールとして用いた。典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:基質もしくは生成物およびバッファー成分を含有する100μLのアッセイインヒビター試験ミックスを室温で1時間インキュベーションする。このインキュベーションの後に5μLの5%リン酸および120μLのMicroscintTM−Eの2つの順次添加を続ける。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性[H−9,10]パルミトイル−CoAは、有機相にあまり分配しない。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおける(1−オレオイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸)の量に依存する。1−パルミトイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸は市販されていないので、1−オレオイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸を代用品として用いる。1−オレオイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸は、1−パルミトイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸と同様の分配特性を有するはずである。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射性標識基質および生成物(1−パルミトイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸の1−オレオイル[H−9,10]グリセロール3−リン酸での代用)を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
カルニチンO−パルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)
CPT1は、パルミトイル−CoAおよびL−カルニチンからのL−パルミトイルカルニチンおよび補酵素Aの形成を触媒する。それはミトコンドリア内膜の外部表面上に位置し、そして肝臓ミトコンドリアベータ酸化の速度の制御の多くは、CPT1のレベルに存在するように思われ、ミトコンドリアへのフラックスは、CPT1のエフェクターにより制御される。
触媒活性
パルミトイル−CoA+L−カルニチン=CoA+L−パルミトイルカルニチン
本発明のこの方法は、L−[N−メチル−14C]カルニチンとパルミトイル−CoAとの間の反応のL−[N−メチル−14C]パルミトイルカルニチン生成物をPPSF(MicroscintTM−E)に分配するシグナルアッセイの増加によってCPT1活性の放射分析検出を可能にする。
【0033】
本物のCPT1はアッセイ開発用に利用可能ではなかったので、放射性標識基質および生成物([N−メチル−14C]カルニチンおよび[パルミトイル−1−14C]パルミトイルカルニチン)をそれぞれコントロールとして用いた。典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:基質もしくは生成物およびバッファー成分を含有する100μLのアッセイインヒビター試験ミックスを室温で1時間インキュベーションする。このインキュベーションの後に10μLの1−ブタノールおよび10μLの2%リン酸の添加を続け、次に150μLのMicroscintTM−Eを加える。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性[N−メチル−14C]カルニチンは、有機相にあまり分配しない。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおける[パルミトイル−1−14C]パルミトイルカルニチンの量に依存する。L−[パルミトイル−1−14C]パルミトイルカルニチンは、市販されていないL−[N−メチル−14C]パルミトイルカルニチン)の代用品として使用する。これらの分子は同一の構造を有し、そして放射性標識の位置のみが異なる。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射性標識基質および生成物(L−[N−メチル−14C]パルミトイルカルニチンのL−[パルミトイル−1−14C]パルミトイルカルニチンでの代用)を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
セリンC−パルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)
SPTは、パルミトイル−CoAとセリンとの縮合を触媒して3−ケトジヒドロスフィンゴシン(3−ケトスフィンガニン)を生成せしめる。補酵素Aおよび二酸化炭素は、副産物である。SPTは、真核細胞におけるデノボスフィンゴ脂質合成の最初の段階に関与し、そしてスフィンゴ脂質は細胞増殖に必須である。
触媒活性
パルミトイル−CoA+L−セリン=3−ケトジヒドロスフィンゴシン+CoA+CO
本発明のこの方法は、L−[3−H]セリンとパルミトイル−CoAとの間の反応のD−エリトロ−[3−H]ケトジヒドロスフィンゴシン生成物をPPSF(MicroscintTM−E)に分配するシグナルアッセイの増加によってSPT活性の放射分析検出を可能にする。
【0034】
本物のSPTはアッセイ開発用に利用可能ではなかったので、放射性標識基質および生成物代用品([3−H]セリンおよびD−エリトロ−[3−H]スフィンゴシン)をそれぞれコントロールとして用いた。典型的な96ウェル密度反応は、以下のように分配される:基質もしくは生成物およびバッファー成分を含有する100μLのアッセイインヒビター試験ミックスを室温で1時間インキュベーションする。このインキュベーションの後に150μLのMicroscintTM−Eの添加を続ける。分配は特定の混合段階を必要としないが、定着に数時間を必要とし、そして24時間安定である。放射性[3−H]セリンは、有機相にあまり分配しない。PPSFにおいて検出される放射活性の量は、ウェルにおけるD−エリトロ−[3−H]スフィンゴシンの量に依存する。放射性標識された3−ケトスフィンガニンは市販されていないので、D−エリトロ−[3−H]スフィンゴシンを代用品として使用する。D−エリトロ−[3−H]スフィンゴシンは、3−ケトスフィンガニンと同様の分配特性を有するはずである。アッセイのバックグラウンドに対する理論的シグナルは、等モル量および等量の放射性標識基質および生成物(D−エリトロ−[3−H]ケトジヒドロスフィンゴシンのD−エリトロ−[3−H]スフィンゴシンでの代用)を用いてPPSFにおけるCPMを比較することにより規定される。
処置の方法
本明細書において用いる場合に、様々な用語が以下に定義される。
【0035】
本発明もしくはその好ましい1つもしくは複数の態様の要素を導入する場合に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「該」という冠詞は、該要素の1種もしくはそれ以上があることを意味するものとする。
【0036】
「含んでなる」、「包含する」および「有する」という用語は包括的であるものとし、そして記載する要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0037】
「被験体」という用語には、本明細書において用いる場合、哺乳類(例えば、ヒトおよび動物)が包含される。
【0038】
「処置」という用語には、任意の方法、作用、適用、治療などが包含され、ここで、ヒトを包含する被験体には、直接的もしくは間接的に、被験体の症状を改善するか、または被験体における症状もしくは障害の進行を遅くする目的で医療扶助が提供される。
【0039】
「組み合わせ治療」もしくは「共治療(co−therapy)」という用語は、糖尿病症状および/もしくは障害を処置するための2つもしくはそれ以上の治療薬の投与を意味する。そのような投与には、固定比率の有効成分を有する単一のカプセルにおけるかもしくは各インヒビター薬の複数の別個のカプセルにおけるような、実質的に同時の方法での2つもしくはそれ以上の治療薬の共投与が包含される。さらに、そのような投与には、順次の方法での治療薬の各タイプの使用が包含される。
【0040】
「治療的に有効な」という語句は、既定の治療処置と関連する不都合な副作用を回避するかもしくは最小限に抑えながら、糖尿病症状もしくは障害の重症度の改善の目的を果たす投与される各因子の量を意味する。
【0041】
「製薬学的に許容しうる」という用語は、対象事項が製薬学的製品における使用に適切であることを意味する。
【0042】
本発明の方法により同定される化合物は、1型および2型糖尿病(インシュリン非依存性糖尿病)の両方を包含する糖尿病の処置に用いることができる。本発明の方法により同定される化合物を用いて処置するかもしくは予防することができる他の疾患および症状には:若年発症の成人型糖尿病(MODY)(Herman,et al.,Diabetes 43:40,1994)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(Latent Autoimmune Diabetes Adult)(LADA)(Zimmet,et al.,Diabetes Med.11:299,1994);耐糖能障害(IGT)(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care 22(Supp.1):S5,1999);空腹時血糖障害(IFG)(Charles,et al.,Diabetes 40:796,1991);妊娠糖尿病(Metzger,Diabetes,40:197,1991);および代謝症候群Xが包含される。
【0043】
本発明の方法により同定される化合物はまた、肥満症のような障害において、そしてアテローム硬化性疾患、高脂血症、高コレステロール血症、低いHDLレベル、高血圧症、心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、冠状動脈疾患および高血圧症を包含する)、脳血管疾患および末梢血管疾患の処置において;そして狼瘡、喘息、男性の生殖問題、潰瘍、睡眠障害、脂質および炭水化物代謝障害、日周機能障害、成長異常、エネルギー恒常性障害、自己免疫性疾患(例えば全身性エリテマトーデス)を包含する免疫疾患、ならびに急性および慢性炎症性疾患、および敗血症性ショックの処置のために有効であることもできる。
【0044】
本発明の方法により同定される化合物はまた、例えば、脂質蓄積細胞を生成する細胞分化、例えば膵臓β細胞機能異常、インシュリン分泌腫瘍および/またはインシュリンに対する自己抗体、インシュリン受容体に対する自己抗体もしくは膵臓β細胞に刺激性である自己抗体に起因する自己免疫性低血糖症に関与する、インシュリン感受性および血糖レベルの調節、アテローム硬化斑の形成をもたらすマクロファージ分化、炎症反応、発癌、過形成、脂肪細胞遺伝子発現、脂肪細胞分化、膵臓β細胞量の減少、インシュリン分泌、インシュリンに対する組織感受性、脂肪肉腫細胞増殖、多嚢胞卵巣疾患、慢性無排卵、アンドロゲン過剰症、プロゲステロン生産、ステロイド合成、細胞における酸化還元電位および酸化的ストレス、一酸化窒素シンターゼ(NOS)生産、増加したガンマグルタミルトランスペプチダーゼ、カタラーゼ、血漿トリグリセリド、HDLおよびLDLコレステロールレベルなどに関連する生理的障害を処置するために有用であることもできる。
【0045】
本発明の方法により同定される化合物はまた、糖尿病の副因を処置するために本発明の方法において用いることもできる(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care 22(Supp.1):S5,1999)。そのような副因には、グルココルチコイド過剰、成長ホルモン過剰、褐色細胞腫および薬剤誘発性糖尿病が包含される。糖尿病を誘発し得る薬剤には、ピリミニル、ニコチン酸、グルココルチコイド、フェニトイン、甲状腺ホルモン、β−アドレナリン作動薬、α−インターフェロンおよびHIV感染を処置するために使用される薬剤が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明の方法により同定される化合物は、単独でまたは例えば糖尿病および関連障害、肥満症、心臓血管疾患ならびに癌の処置に当業者に既知である追加の治療および/もしくは化合物と組み合わせて使用することができる。
【0047】
例えば、本発明の方法により同定される化合物は、PPARリガンド(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)、インシュリン分泌促進薬、例えば、スルホニル尿素薬および非スルホニル尿素分泌促進薬、α−グルコシダーゼインヒビター、インシュリン増感剤(sensitizers)、肝臓グルコース生産低下化合物、インシュリンおよびインシュリン誘導体、ならびに抗肥満薬を包含する、糖尿病の処置のための他の既知の治療と組み合わせて投与することができる。そのような治療は、本発明の化合物の投与の前に、それと同時にもしくは後に投与することができる。インシュリンおよびインシュリン誘導体には、インシュリンの長時間および短時間の両方の作用形態および製剤が包含される。PPARリガンドには、PPAR受容体もしくはその組み合わせのいずれかのアゴニストおよび/もしくはアンタゴニストを包含することができる。例えば、PPARリガンドには、PPAR−α、PPAR−γ、PPAR−δまたはPPARの受容体の2つもしくは3つの任意の組み合わせのリガンドを包含することができる。PPARリガンドには、例えば、ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびピオグリタゾンが包含される。スルホニル尿素薬には、例えば、グリブリド、グリメピリド、クロルプロパミド、トルブタミドおよびグリピジドが包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができるα−グルコシダーゼインヒビターには、アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースが包含される。糖尿病を処置することにおいて有用であることができるインシュリン増感剤には、グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾンなど)ならびに他のチアゾリジンジオンおよび非チアゾリジンジオン化合物のようなPPAR−γアゴニスト;メトホルミンおよびフェンホルミンのようなビグアニド;プロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター;ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)インヒビター;ならびに11ベータ−HSDインヒビターが包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができる肝臓グルコース生産低下化合物には、例えば、グルカゴンアンタゴニストならびにグルコファージおよびグルコファージXRのようなメトホルミンが包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができるインシュリン分泌促進薬には、スルホニル尿素および非スルホニル尿素薬:GLP−1、GIP、PACAP、セクレチン、およびその誘導体;ナテグリニド、メグリチニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミドおよびグリピジドが包含される。例えば、GLP−1には、例えば脂肪酸誘導体化GLP−1およびエキセンディンのような、天然のGLP−1より長い半減期を有するGLP−1の誘導体が包含される。
【0048】
本発明の方法により同定される化合物はまた、抗肥満薬と組み合わせて投与することもできる。抗肥満薬には、β−3アゴニスト;CB−1アンタゴニスト;神経ペプチドY5インヒビター;毛様体神経栄養因子および誘導体(例えばアクソカイン);例えばシブトラミン(メリジア)のような食欲抑制剤;ならびに例えばオルリスタット(ゼニカル)のようなリパーゼインヒビターが包含される。
【0049】
さらに、本発明の方法により同定される化合物はまた、脂質障害を処置するために一般に用いられる薬剤と組み合わせて投与することもできる。そのような薬剤には、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、ニコチン酸、脂肪酸低下化合物(例えば、アシピモックス);脂質低下薬(例えば、スタノールエステル、チクエシド(tiqueside)のようなステロールグリコシド、およびエゼチミブのようなアゼチジノン)、ACATインヒビター(アバシミベ(avasimibe)のような)、胆汁酸金属イオン封鎖剤、胆汁酸再摂取インヒビター、ミクロソームトリグリセリド輸送インヒビターおよびフィブリン酸誘導体が包含されるが、これらに限定されるものではない。HMG−CoAレダクターゼインヒビターには、例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、セリバスタチンおよびZD−4522が包含される。フィブリン酸誘導体には、例えば、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート、シプロフィブレート、ベクロフィブレート、エトフィブレートおよびジェムフィブロジルが包含される。金属イオン封鎖剤には、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体が包含される。
【0050】
さらに、本発明の方法により同定される化合物はまた、例えば、β−遮断薬およびACEインヒビターのような抗高血圧薬と組み合わせて投与することもできる。本発明の化合物と組み合わせて使用する追加の抗高血圧薬の例には、カルシウムチャンネル遮断薬(L型およびT型;例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル)、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン(triamtrenene)、アミロリド、スピロノラクトン)、レニンインヒビター、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタキセンタン(sitaxsentan)、アトラセンタン(atrsentan)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)インヒビター、バソペプシダーゼインヒビター(デュアルNEP−ACEインヒビター)(例えばオマパトリラトおよびジェモパトリラート(gemopatrilat))ならびにナイトレート(nitrate)が包含される。
【0051】
そのような共治療は、2種もしくはそれ以上の薬剤の任意の組み合わせで投与することができる(例えば、インシュリン増感剤および抗肥満薬と組み合わせた本発明の方法により同定される化合物)。そのような共治療は、上記のように、製薬学的組成物の形態で投与することができる。
【0052】
本発明の別の態様として、本明細書に記述する方法により同定される化合物は、過剰増殖性疾患を処置するかもしくは予防するために用いることができる。過剰増殖性疾患には、乳房、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌およびそれらの遠隔転移のような充実性腫瘍が包含されるがこれらに限定されるものではない。これらの疾患にはまた、リンパ腫、肉腫および白血病も包含される。
【0053】
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌および上皮内小葉癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0054】
気道の癌の例には、小細胞および非小細胞肺癌ならびに気管支腺癌および胸膜肺芽腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0055】
脳腫瘍の例には、脳幹および視床下部(hypophtalmic)神経膠腫、小脳および大脳星状細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫ならびに神経外胚葉性腫瘍および松果体部腫瘍が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0056】
男性生殖器の腫瘍には、前立腺癌および精巣癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。女性生殖器の腫瘍には、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、膣癌および外陰癌、ならびに子宮の肉腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0057】
消化管の腫瘍には、肛門癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌、小腸癌および唾液腺癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0058】
尿路の腫瘍には、膀胱癌、陰茎癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌および尿道癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0059】
眼癌には、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0060】
肝臓癌の例には、肝細胞癌(線維層板バリアントの有無の肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)および混合型肝細胞胆管癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0061】
皮膚癌には、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0062】
頭頸部癌には、喉頭癌/下咽頭癌/鼻咽頭癌/口腔咽頭癌ならびに口唇癌および口腔癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0063】
リンパ腫には、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0064】
肉腫には、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0065】
白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病およびヘアリーセル白血病が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0066】
上記の疾患はヒトにおいて十分に特性化されているが、他の哺乳類においても同様の病因で存在する。従って、本発明の方法は、血管新生および/もしくは増殖依存性疾患の処置のためにそれを必要とするヒトを包含する哺乳類に投与することができる。
【0067】
本発明の方法により同定される化合物は、他の抗過剰増殖剤もしくは他の適応症薬などと、ならびにその混合物および組み合わせと組み合わせることができる。例えば、組成物に加えることができる任意の抗過剰増殖剤には、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンのような、引用することにより本明細書に組み込まれる、Merck Index,(1996)の第11版において癌化学療法薬処方計画に記載される化合物が包含されるがこれらに限定されるものではない。使用に適当な他の抗過剰増殖剤には、エポチロン、イリノテカン、ラロキシフェンおよびトポテカンのような他の抗癌剤が包含される。
【0068】
使用に適当な他の抗過剰増殖剤には、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジンクラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリトロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン1リン酸、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジンおよびビノレルビンのような、引用することにより本明細書に組み込まれる、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、編集者Molinoff et al.、McGraw−Hillによる出版、1225−1287頁、(1996)において腫瘍性疾患の処置および/もしくは予防に用いることが認められた化合物が包含されるがこれらに限定されるものではない。
化合物の評価
本発明の方法により同定される化合物の有用性の実証は、当該技術分野において周知であるインビトロもしくはインビボアッセイによって成し遂げることができる。例えば、癌の処置について製薬学的因子の効能を示すために、インビトロ腫瘍細胞増殖アッセイを用いることができる。インビトロでの腫瘍細胞増殖アッセイにおける活性と臨床設定における抗腫瘍活性との間の関連は、当該技術分野において確立している。例えば、タキソール(Silvestrini,et al.,Stem Cells 11(6):528−535,1993)、タキソテール(Bissery,et al.,Anti Cancer Drugs 6(3):339,1995)およびトポイソメラーゼインヒビター(Edelman,et al.,Cancer Chemother.Pharmacol.37(5):385−393,1996)の治療有用性は、インビトロ腫瘍増殖アッセイを用いて示された。
【0069】
糖尿病ならびに症候群X、耐糖能異常、空腹時血糖異常および高インシュリン血症のような関連障害もしくはアテローム硬化性疾患ならびに高トリグリセリド血症および高コレステロール血症のような関連障害の処置について製薬学的因子の効能を示すために、以下のアッセイを用いることができる。
化合物で処理した3T3−L1細胞におけるインシュリン受容体結合
3T3−L1細胞をCostar平底TCにおいてウェル当たり9300細胞で接種し、そしてそれらが融合した(例えば、細胞が最大密度に到達した)後2日になるまで1週間インキュベーションする。次に、細胞を0.5μMのヒトインシュリン様増殖因子(IGF−1)および試験化合物を含有する分化培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、100μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、10%の胎仔ウシ血清)で2日間処理する。処理後に、培地を分化培地で置換し、そして細胞を4日間インキュベーションする。次に、細胞をインシュリン受容体活性についてアッセイする。細胞をバッファーで洗浄した後に、それらを0.1nMの125I−インシュリンおよび(+/−)100nMの標識されていないインシュリンとインキュベーションし、そしてrtで1時間インキュベーションする。次に、細胞をバッファーで3x洗浄し、1N NaOHで溶解し、そしてガンマカウンター上で計数する。プラトに達する場合にEC50値を決定し、そして%最大刺激を評価する。
血糖レベルを測定する方法
db/dbマウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,MEから入手する)から血液を抜き取り(眼もしくは尾静脈のいずれかにより)、そして同等の平均血糖レベルに従って分類する。それらに試験化合物を経口で(製薬学的に許容しうる賦形剤において強制飼養により)毎日1回14日間与える。この時点で、動物から眼もしくは尾静脈により再び血液を抜き取り、そして血糖レベルを決定する。いずれの場合にも、グルコースレベルはGlucometer Elite XL(Bayer Corporation,Elkhart,IN)で測定される。
トリグリセリドレベルを測定する方法。
【0070】
hApoA1マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,MEから入手する)から血液を抜き取り(眼もしくは尾静脈のいずれかにより)、そして同等の平均血清トリグリセリドレベルに従って分類する。それらに試験化合物を経口で(製薬学的に許容しうる賦形剤において強制飼養により)毎日1回8日間与える。次に、動物から眼もしくは尾静脈により再び血液を抜き取り、そして血清トリグリセリドレベルを決定する。いずれの場合にも、トリグリセリドレベルは、Technicon Axon Autoanalyzer(Bayer Corporation,Tarrytown,NY)を用いて測定される。
HDL−コレステロールレベルを測定する方法
血漿HDL−コレステロールレベルを決定するために、hApoA1マウスから血液を抜き取り、そして同等の平均血漿HDL−コレステロールレベルで分類した。マウスに賦形剤もしくは試験化合物を経口で毎日1回7日間与え、そして次に8日目に再び血液を抜き取る。血漿は、Synchron Clinical System(CX4)(Beckman Coulter,Fullerton,CA)を用いてHDL−コレステロールについて分析される。
総コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセリドおよびグルコースレベルを測定する方法
別のインビボアッセイにおいて、肥満したサルから血液を抜き取り、次に賦形剤もしくは試験化合物を経口で毎日1回4週間与え、そして次に再び血液を抜き取る。血清は、Synchron Clinical System(CX4)(Beckman Coulter,Fullerton,CA)を用いて総コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセリドおよびグルコースについて分析される。リポタンパク質サブクラス分析は、Oliver et al.,(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5306−5311,2001)により記述されているようにNMR分光法により行われる。
心臓血管パラメーターへの効果を測定する方法
心臓血管パラメーター(例えば、心拍数および血圧)もまた評価される。SHRラットに賦形剤もしくは試験化合物を経口で毎日1回2週間与える。血圧および心拍数は、Grinsell et al.,(Am.J.Hypertens.13:370−375,2000)により記述されているようにテイルカフ法を用いて決定される。サルにおいて、血圧および心拍数は、Shen et al.,(J.Pharmacol.Exp.Therap.278:1435−1443,1996)により記述されているようにモニターされる。
インビトロ腫瘍細胞増殖アッセイ
化合物の活性を試験するために使用する腫瘍細胞増殖アッセイは、細胞増殖の阻害を測定する、Promega(Madison,WI)により開発されたCell Titer−Glow発光細胞生存アッセイ(Luminescent Cell Viability Assay)と呼ばれる読み取りを伴う(Cunningham,The Scientist 15(13):26,2001;Crouch,et al.,J.Immunol.Methods 160:81−88,1993)。発光シグナルの生成は存在するATPの量に対応し、それは代謝的に活性の(増殖する)細胞の数に直接比例する。
【0071】
A431細胞(ヒト類表皮、ATCC,Manassas,VA)を10%のウシ胎仔血清を有する完全培地中で96ウェルブラック−クリアーボトム組織培養プレートにおいて2.5x10細胞/ウェルの密度で平板培養し、そして37℃でインキュベーションする。24時間後に、試験化合物を連続希釈物において加える。試験化合物の添加後に細胞を完全増殖培地において37℃で72時間インキュベーションする。72時間の薬剤暴露後に、プレートを室温に約30分間平衡化させる。次に、Promega Cell Titer Glo Luminescentアッセイキットを用いて、100μlの酵素ルシフェラーゼおよびその基質、ルシフェリン混合物を含有する溶解バッファーを各ウェルに加える。細胞溶解を保証するためにプレートをオービタルシェーカー上で2分間混合し、そして室温で10分間インキュベーションして発光シグナルを安定させる。サンプルを照度計(発光プロトコルを用いるVICTOR2)上で読み取り、そして4パラメーター適合を用いてAnalye5で分析して各ウェルからの細胞溶解物に存在するATPの量を測定し、それはそのウェルにおける生存細胞の数に対応する。IC50の決定には、このアッセイ形式を用いて細胞増殖の50%阻害をもたらす薬剤濃度を決定するために線形回帰分析を用いることができる。
製薬学的組成物
本明細書において用いる場合に、様々な用語が以下に定義される。
【0072】
本発明もしくはその好ましい1つもしくは複数の態様の要素を導入する場合に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「該」という冠詞は、該要素の1種もしくはそれ以上があることを意味するものとする。「含んでなる」、「包含する」および「有する」という用語は包括的であるものとし、そして記載する要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0073】
「被験体」という用語には、本明細書において用いる場合、哺乳類(例えば、ヒトおよび動物)が包含される。
【0074】
「処置」という用語には、任意の方法、作用、適用、治療などが包含され、ここで、ヒトを包含する被験体には、直接的もしくは間接的に、被験体の症状を改善するか、または被験体における症状もしくは障害の進行を遅くする目的で医療扶助が提供される。
【0075】
「組み合わせ治療」もしくは「共治療」という用語は、糖尿病症状および/もしくは障害を処置するための2つもしくはそれ以上の治療薬の投与を意味する。そのような投与には、固定比率の有効成分を有する単一のカプセルにおけるかもしくは各インヒビター薬の複数の別個のカプセルにおけるような、実質的に同時の方法での2つもしくはそれ以上の治療薬の共投与が包含される。さらに、そのような投与には、順次の方法での治療薬の各タイプの使用が包含される。
【0076】
「治療的に有効な」という語句は、既定の治療処置と関連する不都合な副作用を回避するかもしくは最小限に抑えながら、疾患症状もしくは障害の重症度の改善の目的を果たす投与される各因子の量を意味する。
【0077】
「製薬学的に許容しうる」という用語は、対象事項が製薬学的製品における使用に適切であることを意味する。
【0078】
上記の試験、もしくは哺乳類における上記に同定する症状の処置の効能を決定するために用いられる他の周知のアッセイに基づいて、そしてこれらの症状を処置するために用いられる既知の薬剤の結果とこれらの結果との比較により、本発明の方法により同定される化合物の有効投薬量を各所望の適応症の処置について容易に決定することができる。これらの症状の1つの処置において投与する有効成分の量は、用いる特定の化合物および投薬量単位、投与の形態、処置の期間、処置する患者の年齢および性別、ならびに処置する症状の性質および程度のような考慮すべき事柄に従って広く異なることができる。
【0079】
投与する有効成分の総量は、一般に、1日当たり約0.001mg/kg〜約200mg/kg、そして好ましくは約0.01mg/kg〜約200mg/kg体重の間であることができる。単位投薬量は、約0.05mg〜約1500mgの有効成分を含有することができ、そして1日当たり1回もしくはそれ以上投与することができる。静脈内、筋肉内、皮下および非経口注射を包含する注射、ならびに注入技術の使用による投与のための1日投薬量は、約0.01〜約200mg/kgであることができる。1日直腸投薬量処方計画は、0.01〜200mg/kg総体重であることができる。経皮濃度は、0.01〜200mg/kgの1日用量を維持するために必要なものであることができる。
【0080】
もちろん、各患者の特定の初期および継続投薬量処方計画は、主治医である診断医により決定されるような症状の性質および重症度、用いる特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の食事、投与の時間、投与の経路、薬剤の排出の速度、薬剤の組み合わせなどに従って異なる。化合物の所望の処置形態および投与回数は、通常の処置試験を用いて当業者により確かめられることができる。
【0081】
本発明の方法により同定される化合物は、適切に調合された製薬学的組成物におけるそれを必要とする患者への投与により所望の薬理学的効果を得るために利用することができる。患者は、本発明の目的のためには、特定の症状もしくは疾患の処置を必要とする、ヒトを包含する哺乳類である。従って、本発明には、製薬学的に許容しうる担体および製薬学的に有効な量の本明細書に記述する方法により同定される化合物、またはその製薬学的に許容しうる塩もしくはエステルを含んでなる製薬学的組成物が包含される。製薬学的に許容しうる担体は、該担体に起因する任意の副作用が有効成分の有益な効果を損なわないように有効成分の有効活性と一致する濃度で患者に対して比較的無毒でありそして無害である任意の担体である。化合物の製薬学的に有効な量は、処置する特定の症状に結果をもたらすかもしくは影響を及ぼす量である。本明細書に記述する方法により同定される化合物は、例えば、即時および持続放出製剤を包含する任意の有効な通常の投与単位形態物を用いて、経口で、非経口で、局所的になど製薬学的に許容しうる担体とともに投与することができる。
【0082】
経口投与用に、化合物は、例えば、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、メルト(melt)、散剤、液剤、懸濁剤もしくはエマルジョンのような固形もしくは液状製剤に調合することができ、そして製薬学的組成物の製造のための当該技術分野に既知である方法に従って製造することができる。固形単位投与形態物は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、ならびにラクトース、ショ糖、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性増量剤を含有する通常の硬殻もしくは軟殻ゼラチンタイプのものであることができるカプセル剤であることができる。
【0083】
別の態様として、本発明の方法により同定される化合物は、アカシア、コーンスターチもしくはゼラチンのような結合剤;ジャガイモ澱粉、アルギン酸、コーンスターチおよびグアルゴムのような投与後の錠剤の分解および溶解を助けることを目的とする崩壊剤;錠剤造粒の流れをよくすることならびに錠剤金型およびパンチの表面への錠剤材料の接着を防ぐことを目的とする潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸、またはステアリン酸マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛;色素;着色剤;ならびに錠剤の美的品質を高めそして患者にそれらをより受け入れやすくすることを目的とする香味料と組み合わせてラクトース、ショ糖およびコーンスターチのような通常の錠剤ベースで錠剤にすることができる。経口用液状投与形態物における使用に適当な賦形剤には、製薬学的に許容しうる界面活性剤、沈殿防止剤もしくは乳化剤を加えたもしくは加えないいずれかの、水およびアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールのような希釈剤が包含される。様々な他の物質は、コーティングとしてもしくはそうでなければ投与単位の物理的形状を改変するために存在することができる。例えば、錠剤、丸剤もしくはカプセル剤は、シェラック、糖もしくは両方でコーティングすることができる。
【0084】
分散可能な粉末および顆粒は、水性懸濁剤の製造に適している。それらは、分散剤もしくは湿潤剤、沈殿防止剤および1種もしくはそれ以上の防腐剤と混合した有効成分を提供する。適当な分散剤もしくは湿潤剤および沈殿防止剤は、上記にすでに触れたものにより例示される。追加の賦形剤、例えば、上記の甘味料、香味料および着色剤もまた存在することができる。
【0085】
製薬学的組成物はまた、水中油滴型エマルジョンの形態であることもできる。油相は、流動パラフィンのような植物油もしくは植物油の混合物であることができる。適当な乳化剤は、(1)アカシアゴムおよびトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、(2)ダイズおよびレシチンのような天然に存在するリン脂質、(3)脂肪酸と無水ヘキシトールから得られるエステルもしくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ならびに(4)エチレンオキシドと該部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。エマルジョンはまた、甘味料および香味料を含有することもできる。
【0086】
油状懸濁剤は、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油のような植物油に;または流動パラフィンのような鉱油に有効成分を懸濁することにより調合することができる。油状懸濁剤は、例えば、蜜蝋、固形パラフィンもしくはセチルアルコールのような増粘剤を含有することができる。懸濁剤はまた、1種もしくはそれ以上の防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピル;1種もしくはそれ以上の着色剤;1種もしくはそれ以上の香味料;およびショ糖もしくはサッカリンのような1種もしくはそれ以上の甘味料を含有することもできる。
【0087】
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールもしくはショ糖のような甘味料で調合することができる。そのような製剤はまた、粘滑剤、ならびに防腐剤、香味料および着色剤を含有することもできる。
【0088】
本発明の方法により同定される化合物はまた、石鹸もしくは洗剤のような製薬学的に許容しうる界面活性剤、ペクチン、カーボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースのような沈殿防止剤、または乳化剤および他の製薬学的添加剤を加えたもしくは加えない水、食塩水、水性デキストロースおよび関連糖溶液;エタノール、イソプロパノールもしくはヘキサデシルアルコールのようなアルコール;プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのようなグリコール;2,2−ジメチル−1,1−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール、ポリ(エチレングリコール)400のようなエーテル;油;脂肪酸;脂肪酸エステルもしくはグリセリド;またはアセチル化脂肪酸グリセリドのような滅菌した液体もしくは液体の混合物であることができる製薬学的担体と生理的に許容しうる希釈剤において化合物の注入可能な投薬量として非経口的に、すなわち、皮下に、静脈内に、筋肉内にもしくは腹腔内に投与することもできる。
【0089】
本発明の非経口用製剤において使用することができる油の実例となるのは、石油、動物、植物もしくは合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリンおよび鉱油である。適当な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸が包含される。適当な脂肪酸エステルは、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルである。適当な石鹸には、脂肪酸アルカリ金属(fatty alkali metal)、アンモニウムおよびトリエタノールアミン塩が包含され、そして適当な洗剤には、陽イオン洗剤、例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウムおよび酢酸アルキルアミン;陰イオン洗剤、例えば、スルホン酸アルキル、アリールおよびオレフィン、硫酸およびスルホコハク酸アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセリド;非イオン洗剤、例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー;ならびに両性洗剤、例えば、アルキル−ベータ−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩、ならびに混合物が包含される。
【0090】
本発明の非経口用組成物は、典型的に、溶液中に約0.5重量%〜約25重量%の有効成分を含有することができる。防腐剤およびバッファーもまた、都合よく用いることができる。注射の部位での刺激を最小限に抑えるかもしくはなくすために、そのような組成物は約12〜約17の親水性・親油性バランス(HLB)を有する非イオン性界面活性剤を含有することができる。そのような製剤における界面活性剤の量は、約5重量%〜約15重量%の間である。界面活性剤は上記のHLBを有する単一の成分であることができ、または所望のHLBを有する2つもしくはそれ以上の成分の混合物であることができる。
【0091】
非経口製剤において使用する界面活性剤の実例となるのは、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタンモノオレエートおよびプロピレングリコールとプロピレンオキシドとの縮合により形成される、疎水性塩基とエチレンオキシドとの高分子量付加物である。
【0092】
製薬学的組成物は、滅菌した注入可能な水性懸濁剤の形態であることができる。そのような懸濁剤は、適当な分散剤もしくは湿潤剤および例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムのような沈殿防止剤;レシチンのような天然に存在するリン脂質、脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸とヘキシトールから得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、もしくは脂肪酸と無水ヘキシトールから得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる分散剤もしくは湿潤剤を用いて既知の方法に従って調合することができる。
【0093】
滅菌した注入可能な製剤はまた、無毒の非経口的に許容しうる希釈剤もしくは溶媒における滅菌した注入可能な液剤もしくは懸濁剤であることもできる。用いることができる希釈剤および溶媒は、例えば、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油を溶媒もしくは懸濁媒質として都合よく用いる。この目的のために、合成のモノもしくはジグリセリドを包含する任意のやわらかい(bland)不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を注入剤の製造において用いることができる。
【0094】
製薬学的組成物はまた、薬剤の直腸投与用の座薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温度で液体でありそしてそのために直腸において融解して薬剤を放出する適当な非刺激賦形剤と薬剤を混合することにより製造することができる。そのような物質は、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0095】
本発明の方法において用いる別の製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を使用する。そのような経皮パッチは、制御された量の本発明の化合物の連続もしくは不連続注入を与えるために用いることができる。製薬学的因子の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当該技術分野において周知である(例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,023,252号を参照)。そのようなパッチは、製薬学的因子の連続、パルスもしくはオンデマンド送達用に構築することができる。
【0096】
機械的送達装置を介して患者に製薬学的組成物を導入することが望ましいかもしくは必要であり得る。製薬学的因子の送達のための機械的送達装置の構築および使用は、当該技術分野において周知である。例えば、脳に直接薬剤を投与するための直接技法は、通常、血液脳関門を迂回するために患者の脳室系に薬剤送達カテーテルを置くことを含む。体の特定の解剖学的領域への因子の運搬に用いられる1つのそのような埋め込み可能な送達系は、引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,011,472号に記述されている。
【0097】
製薬学的組成物はまた、必要もしくは所望に応じて、担体もしくは希釈剤と一般に呼ばれる、他の通常の製薬学的に許容しうる配合成分を含有することもできる。本発明の組成物のいずれも、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加によりもしくは他の適当な防腐剤により保存することができる。適切な投与形態物のそのような組成物を製造するための通常の方法を利用することができる。
【0098】
その目的とする投与経路のための組成物を調合するために必要に応じて使用することができる一般に用いられる製薬学的成分には:酸性化剤、例えば、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸(しかし、これらに限定されるものではない);およびアンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミンのようなしかしこれらに限定されるものではないアルカリ化剤が包含される。
【0099】
他の製薬学的成分には、例えば、吸着剤(例えば、粉末セルロースおよび活性炭);エアゾール噴射剤(例えば、二酸化炭素、CCl、FClC−CClFおよびCClF);空気置換剤(例えば、窒素およびアルゴン);抗真菌性防腐剤(例えば、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム);抗微生物性防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀およびチメロサール);酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム);結合剤(例えば、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーンならびにスチレン−ブタジエンコポリマー);緩衝剤(例えば、メタリン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム二水和物);運搬剤(carrying agents)(例えば、アカシアシロップ、芳香族シロップ、芳香族エリキシル剤、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、トウモロコシ油、鉱油、ピーナッツ油、ゴマ油、静菌性塩化ナトリウム注射液および注射用静菌水);キレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウムおよびエデト酸);着色剤(例えば、FD&C赤色3号、FD&C赤色20号、FD&C黄色6号、FD&C青色2号、D&C緑色5号、D&C橙色5号、D&C赤色8号、カラメルおよび酸化鉄赤);清澄剤(例えば、ベントナイト);乳化剤(アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレン50ステアレート、しかしこれらに限定されるものではない);封入剤(encapsulating agents)(例えば、ゼラチンおよび酢酸フタル酸セルロース);香味料(例えば、アニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油およびバニリン);湿潤剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよびソルビトール);磨砕剤(levigating agents)(例えば、鉱油およびグリセリン);油(例えば、アラキス油、鉱油、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油および植物油);軟膏ベース(例えば、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ワセリン、親水性ワセリン、白色軟膏、黄色軟膏およびローズ水軟膏);浸透促進剤(経皮送達)(例えば、モノヒドロキシもしくはポリヒドロキシアルコール、飽和もしくは不飽和脂肪アルコール、飽和もしくは不飽和脂肪エステル、飽和もしくは不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、ケファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素);可塑剤(例えば、フタル酸ジエチルおよびグリセリン);溶媒(例えば、アルコール、トウモロコシ油、綿実油、グリセリン、イソプロピルアルコール、鉱油、オレイン酸、ピーナッツ油、精製水、注射用水、注射用滅菌水および洗浄用滅菌水);硬化剤(例えば、セチルアルコール、セチルエステルワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白蝋および黄蝋);座薬ベース(例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコール(混合物));界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オキシトキシノール(oxtoxynol)9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムおよびソルビタンモノパルミテート);沈殿防止剤(例えば、寒天、ベントナイト、カーボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントおよびビーガム);甘味料(例えば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびショ糖);錠剤接着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびタルク);錠剤結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮可能な糖、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、メチルセルロース、ポビドンおよびアルファ化澱粉);錠剤およびカプセル剤希釈剤(例えば、第二リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微晶質セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトールおよび澱粉);錠剤コーティング剤(例えば、液状グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースおよびシェラック);錠剤直接圧縮賦形剤(例えば、第二リン酸カルシウム);錠剤崩壊剤(例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微晶質セルロース、ポラクリリン(polacrillin)カリウム、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉および澱粉);錠剤流動促進剤(例えば、コロイドシリカ、コーンスターチおよびタルク);錠剤潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛);錠剤/カプセル剤不透明化剤(opaquants)(例えば、二酸化チタン);錠剤研磨剤(例えば、カルナバ蝋および白蝋);増粘剤(例えば、蜜蝋、セチルアルコールおよびパラフィン);等張化剤(例えば、デキストロースおよび塩化ナトリウム);粘度増加剤(例えば、アルギン酸、ベントナイト、カーボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウムおよびトラガカント);ならびに湿潤剤(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ポリエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンステアレート)が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0100】
本明細書に記述する方法により同定される化合物は、単独の製薬学的因子としてまたは1種もしくはそれ以上の他の製薬学的因子と組み合わせて投与することができ、ここで、該組み合わせは許容できない不都合な影響を及ぼさない。例えば、化合物は、既知の抗肥満薬と、または既知の抗糖尿病薬もしくは他の適応症薬などと、ならびにその混合物および組み合わせと組み合わせることができる。
【0101】
本明細書に記述する方法により同定される化合物はまた、遊離塩基形態においてもしくは組成物において、研究および診断において、または分析対照基準としてなど利用することもできる。従って、本発明には、不活性担体および有効量の本明細書に記述する方法により同定される化合物、またはその塩もしくはエステルを含んでなる組成物が包含される。不活性担体は、保有される化合物と相互作用せずそして保有される化合物に支持、運搬の手段、かさ、追跡可能な物質などを与える任意の物質である。化合物の有効量は、行われる特定の方法に結果をもたらすかもしくは影響を及ぼす量である。
【0102】
皮下、静脈内、筋肉内などに適当な製剤;適当な製薬学的担体;ならびに製剤および投与の技術は、当該技術分野において周知である方法のいずれかにより準備することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,第20版,2000を参照)。
【0103】
本明細書に記載されるような本発明の精神もしくは範囲からそれることなしに本発明に変更および改変を行うことができることは、当業者に明らかであるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】有機相に分配する脂肪酸シンターゼ(FAS)により生成される生成物の時間経過およびタンパク質依存性。FASを100μLの総容量で50mMのMOPS(pH6.8)、5mMのDTT、1mMのEDTAおよび0.03%のBSAを含有するバッファーにおいて400μMのNADPH、100μMのアセチル−CoAおよび20μMのマロニル−CoA(0.02μCi[マロニル−2−14C]−CoA)と室温で様々な濃度および時間でインキュベーションした。10μLの10N酢酸の添加により反応を終了させ、続いて150μLのMicoscintTM−CATを加えた。ミックスをデータ収集の前に一晩インキュベーションさせた。
【図2】セルレニンによるFASの阻害。FAS(35ng)を図1に記述する条件下でセルレニンと90分間インキュベーションした。
【図3】FAS共役および有機相に分配することにより検出されるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)により生成される生成物の用量依存性。様々な濃度のACCおよびFASを100μLの総容量で50mMのHEPES(pH7.5)、20mMのNaHCO10mMのクエン酸、5mMのDTT、10mMのMgCl、1mMのEDTAおよび0.03%のBSAを含有するバッファーにおいて4mMのATP、400μMのNADPHおよび16μMのアセチル−CoA(0.015μCi;[アセチル−1−14C]−CoA)と室温で75分間インキュベーションした。10μLの10N酢酸の添加により反応を終了させ、続いて150μLのMicoscintTM−CATを加えた。ミックスをデータ収集の前に一晩インキュベーションさせた。
【図4】有機相に分配するファルネシル二リン酸シンターゼ(FPPS)により生成される生成物の時間経過およびタンパク質依存性。FPPSを40μLの総容量で25mMのHEPES(pH7.5)、1mMのDTTおよび1mMのMgClを含有するバッファーにおいて5μMのゲラニルピロリン酸(GPP)および5μMのIPP(0.0125μCi;[1−14C]イソペンテニルピロリン酸)と室温で様々な濃度および時間でインキュベーションした。10μLの5%リン酸の添加により反応を終了させ、続いて50μLのMicoscintTM−CATを加えた。ミックスをデータ収集の前に2時間インキュベーションさせた。
【図5】固定濃度のイソペンテニルピロリン酸(IPP)(10μM[1−14C]イソペンテニルピロリン酸)および様々な濃度のGPPで生成されるFPPS生成物。アッセイは、図4に記述するように行った。
【図6】固定濃度のGPP(10μM)および様々な濃度のIPP(一定比活性[1−14C]イソペンテニルピロリン酸)で生成されるFPPS生成物。アッセイは、図4に記述するように行った。
【図7】アレンドロネートによるFPPSの阻害。FPPS(25ng)を図4に記述する条件下でアレンドロネートと2時間インキュベーションした。
【図8】有機相に分配するジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ(DGAT)により生成される生成物の時間経過およびタンパク質依存性。DGATを100μLの総容量で50mMのHEPES(pH7.5)、1mMのMgClおよび0.05%のBSAを含有するバッファーにおいて10μMのジデカノイルグリセロールおよび10μMのデカノイル−CoA(0.025μCi;[1−14C]デカノイルCoA)と室温で様々な濃度および時間でインキュベーションした。20μLの1%リン酸の添加により反応を止め、続いて150μLのMicoscintTM−CATを加えた。ミックスをデータ収集の前に2時間インキュベーションさせた。
【図9】デカノイルCoAおよびジデカノイルグリセロール濃度[基質]の関数としてのDGAT活性。DGAT(250ng)を図8に記述する条件下で室温で45分間様々な濃度の[1−14C]デカノイルCoAおよびジデカノイルグリセロールとインキュベーションした。
【図10】試験化合物によるDGATの阻害。DGAT(250ng)を試験化合物および基質と1時間インキュベーションし、その後に図8に記述する条件下でのワークアップを続けた。
【図11】有機相に分配するシグナルの喪失により検出されるPLCδに触媒される生成物形成の時間経過およびタンパク質依存性。PLCδを100μLの総容量で75mMのMES(pH6)、150mMのNaCl、0.15mMのDTTおよび0.075%のTriton X−100を含有するバッファーにおいて100μMのL−3−ホスファチジルイノシトール(0.02μCi L−3−ホスファチジル[2−H]イノシトール)と室温で様々な濃度および時間でインキュベーションした。10μLの5N HClの添加により反応を終了させ、続いて160μLのAldrich LSMを加えた。ミックスをデータの前に一晩インキュベーションさせた。
【図12】リゾホスファチジン酸からのパルミトイル−CoAの相分配分離。固定量のトリチウム化(0.1μCi)[H−9,10]パルミトイル−CoAおよびリゾホスファチジン酸(1−オレイル[H−9,10]グリセロール3リン酸)を標準分配条件下で処理した。この図は、GPAT活性を検出する相分配アッセイが実行可能であることを示す。
【図13】パルミトイルカルニチンからのカルニチンの相分配分離。固定量の14Cで標識された(0.1μCi)[N−メチル−14C]カルニチンおよび[パルミトイル−1−14C]パルミトイルカルニチンを標準分配条件下で処理した。この図は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を検出する相分配アッセイが実行可能であることを示す。
【図14】スフィンゴシンからのセリンの相分配分離。固定量のトリチウム化(0.1μCi)[3−H]セリンおよびD−エリトロ−[3−H]スフィンゴシンを標準分配条件下で処理した。この図は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を検出する相分配アッセイが実行可能であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素および1種もしくは複数種の基質を組み合わせる段階;
反応ミックスをインキュベーションする段階;
相分配液を加える段階;および
酵素活性を検出する段階
を含んでなる酵素活性の測定方法。
【請求項2】
酸性化により反応を終了させる段階をさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項3】
相分配液が相分配シンチレーション液である請求項1の方法。
【請求項4】
反応を単一反応容器中で行う請求項1の方法。
【請求項5】
反応を有機耐性(organic resistant)マルチウェルプレート中で行う請求項1の方法。
【請求項6】
マルチウェルプレートが96個までのウェルを含んでなる請求項5の方法。
【請求項7】
マルチウェルプレートが96個より多いウェルを含んでなる請求項5の方法。
【請求項8】
マルチウェルプレートが384個までのウェルを含んでなる請求項5の方法。
【請求項9】
マルチウェルプレートが384個より多いウェルを含んでなる請求項5の方法。
【請求項10】
該方法がハイスループットスクリーニングに用いられる請求項1の方法。
【請求項11】
該酵素が脂肪酸シンターゼ;アセチルCoAカルボキシラーゼ;ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ;ファルネシル二リン酸シンターゼ;グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ;カルニチンO−パルミトイルトランスフェラーゼ1;セリンC−パルミトイルトランスフェラーゼ;およびホスホリパーゼCガンマから選択される請求項1の方法。
【請求項12】
1種もしくは複数種の基質を放射性標識する請求項3の方法。
【請求項13】
酵素活性を放射分析検出(radiometric detection)により測定する請求項12の方法。
【請求項14】
酵素活性をシグナルアッセイの増加もしくは喪失により測定する請求項1の方法。
【請求項15】
酸が酢酸、リン酸および塩酸から選択される請求項2の方法。
【請求項16】
酵素、1種もしくは複数種の基質および1種もしくは複数種の試験化合物を組み合わせる段階;
反応ミックスをインキュベーションする段階;
相分配液を加える段階;および
酵素活性を検出する段階
を含んでなる酵素活性を調節する化合物の同定方法。
【請求項17】
酸性化により反応を終了させる段階をさらに含んでなる請求項16の方法。
【請求項18】
相分配液が相分配シンチレーション液である請求項16の方法。
【請求項19】
反応を単一反応容器中で行う請求項16の方法。
【請求項20】
反応を有機耐性マルチウェルプレート中で行う請求項16の方法。
【請求項21】
マルチウェルプレートが96個までのウェルを含んでなる請求項20の方法。
【請求項22】
マルチウェルプレートが96個より多いウェルを含んでなる請求項20の方法。
【請求項23】
マルチウェルプレートが384個までのウェルを含んでなる請求項20の方法。
【請求項24】
マルチウェルプレートが384個より多いウェルを含んでなる請求項20の方法。
【請求項25】
該方法がハイスループットスクリーニングに用いられる請求項16の方法。
【請求項26】
該酵素が脂肪酸シンターゼ;アセチルCoAカルボキシラーゼ;ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ;ファルネシル二リン酸シンターゼ;グリセロール−3−リン酸O−アシルトランスフェラーゼ;カルニチンO−パルミトイルトランスフェラーゼ1;セリンC−パルミトイルトランスフェラーゼ;およびホスホリパーゼCガンマから選択される請求項16の方法。
【請求項27】
1種もしくは複数種の基質を放射性標識する請求項18の方法。
【請求項28】
酵素活性を放射分析検出により測定する請求項27の方法。
【請求項29】
酵素活性をシグナルアッセイの増加もしくは喪失により測定する請求項16の方法。
【請求項30】
酸が酢酸、リン酸および塩酸から選択される請求項17の方法。
【請求項31】
請求項16の方法により同定される化合物の治療的に有効な量を哺乳類に投与する段階を含んでなる糖尿病、糖尿病関連障害、肥満症、心臓血管疾患および癌の処置方法。
【請求項32】
1種もしくはそれ以上の製薬学的因子と組み合わせて請求項16の方法により同定される化合物の治療的に有効な量を哺乳類に投与する段階を含んでなる糖尿病、糖尿病関連障害、肥満症、心臓血管疾患および癌の処置方法。
【請求項33】
製薬学的に許容しうる担体と組み合わせて請求項16の方法により同定される化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項34】
製薬学的に許容しうる担体および1種もしくはそれ以上の製薬学的因子と組み合わせて請求項16の方法により同定される化合物を含んでなる製薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−501012(P2007−501012A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522675(P2006−522675)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025072
【国際公開番号】WO2005/017187
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503211596)バイエル・フアーマシユーチカルズ・コーポレーシヨン (46)
【Fターム(参考)】