説明

化合物除去装置及び画像形成装置

【課題】排気ガスに含まれる化合物を物理吸着のみにより除去する場合と比較して、効率よく化合物を除去することができる、化合物除去装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】混合室70で定着部17から排出される排気ガスと描画部15により発生したオゾンとを混合し、排気ガスに含まれる被酸化性物質をオゾンにより酸化させて、被酸化性物質を酸化させることにより、酸化物質に変化させたり、物質の性質を変化させたりして、物理吸着部76及び化学捕集部78で捕集し、排気ガス中から除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物除去装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体と、当該像担持体の近傍に設けられ前記像担持体上に帯電を行う帯電手段と、前記像担持体に像露光を行い前記像担持体上に潜像を形成する露光手段と、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段と、当該現像手段により前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段と、前記転写手段により前記転写材上に転写されたトナー像を加熱定着する定着手段と、機内の空気を機外に排出する排出手段とを有する画像形成装置において、前記排出手段は空気流を形成して機内の空気を機外に排出する化合物除去装置を有し、前記化合物除去装置には、前記空気流中に含まれ、前記帯電手段および前記転写手段により生じるオゾンと、前記定着手段の加熱定着時に生じる揮発性有機物とを反応させて無公害とする反応処理工程を設けることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、画像形成のための放電を行う放電手段と、該放電手段による放電により発生するオゾンと装置本体内から発生する揮発性有機物の双方を外気に向かって案内する空気経路部と、を有し、記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記揮発性有機物を分解して除去するための第1除去部材と、オゾンを除去する第2除去部材と、を前記空気経路部に順に配置し、前記第1除去部材を排気方向に対して前記第2除去部材よりも上流側に配置したことを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、画像形成装置本体内の空気を外部に排出する排気排出路と、前記排気排出路に設けられ、排出する空気中の化合物を吸着によって除去を行える吸着フィルタと、前記排気排出路に設けられ、排出する空気中の化合物を触媒により分解して除去する触媒フィルタと、を備え、排気方向に沿っての上流側に前記吸着フィルタを配置し、下流側に前記触媒フィルタを配置した、ことを特徴とする化合物除去装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−294460号公報
【特許文献2】特開2006−18240号公報
【特許文献3】特開2006−119313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、気体に含まれる化合物を物理吸着のみにより除去する場合と比較して、効率よく化合物を除去することができる、化合物除去装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の化合物除去装置は、化合物を含む気体に、オゾン発生手段により発生したオゾンを混合させて、前記オゾンにより前記化合物を酸化させた酸化化合物を生成する混合手段と、前記混合手段で前記オゾンが混合された前記気体が導入され、前記気体に含まれる前記オゾンを除去する除去手段と、前記除去手段により前記オゾンが除去された前記気体が導入され、導入された前記気体に含まれる前記化合物及び前記酸化化合物を物理吸着する物理吸着手段と、前記吸着手段により前記化合物及び前記酸化化合物が除去された前記気体が導入され、導入された前記気体に残存する前記化合物及び前記酸化化合物を化学吸着により捕集する捕集手段と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の化合物除去装置は、請求項1に記載の化合物除去装置において、前記気体は、画像を形成する際に発生した化合物を含む画像形成装置内の気体であり、前記オゾン発生手段は、前記画像形成装置内に設けられている。
【0009】
請求項3に記載の化合物除去装置は、請求項2に記載の化合物除去装置において、前記画像形成装置は、記録媒体上に光を照射することにより画像を定着するフラッシュランプを含む定着手段を備えており、前記気体は、前記定着手段が画像を定着させることにより発生した化合物を含む気体である。
【0010】
請求項4に記載の化合物除去装置は、請求項2または請求項3に記載の化合物除去装置において、前記冷却手段は、前記空気を前記画像形成装置内の画像が形成された記録媒体を収納する収納部を介して導入する。
【0011】
請求項5に記載の化合物除去装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物除去装置において、前記混合手段から前記除去手段までの前記気体の流路上に空気を導入して前記気体を冷却する冷却手段を備える。
【0012】
請求項6に記載の化合物除去装置は、請求項5に記載の化合物除去装置において、前記除去手段に導入される前記気体の温度を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された前記気体の温度が、予め定めた温度となるように、前記冷却手段から導入される空気の流量を調整する流量調整手段と、を備える。
【0013】
請求項7に記載の化合物除去装置は、請求項6に記載の化合物除去装置において、前記流量調整手段の調整量に応じて、前記捕集手段を通過した気体の排気量を調整する排気量調整手段を備える。
【0014】
請求項8に記載の化合物除去装置は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物除去装置において、前記オゾン発生手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度が、0.2PPM以上、4.0PPM以下の範囲内となるように、前記オゾン発生手段を制御する制御手段を備える。
【0015】
請求項9に記載の化合物除去装置は、請求項8に記載の化合物除去装置において、前記生成手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度、前記オゾン発生手段が設けられた装置内の温度、及び前記オゾン発生手段が設けられた装置内の湿度の少なくとも一つを計測する計測手段を備え、前記制御手段は、前記計測手段により計測された、前記生成手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度、前記オゾン発生手段が設けられた装置内の温度、及び前記オゾン発生手段が設けられた装置内の湿度の少なくとも一つに対応する、前記範囲内のオゾン濃度の前記オゾンを発生させるための発生条件で前記オゾン発生手段が動作するように制御する。
【0016】
請求項10に記載の化合物除去装置は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物除去装置において、前記混合手段は、前記気体と前記オゾンとを混合させる混合室を含み、前記気体の前記混合室への導入口と、前記オゾンの前記混合室への導入口が対向配置される。
【0017】
請求項11に記載の画像形成装置は、記録媒体上に画像を形成するための画像形成手段と、前記画像形成手段により画像を形成する際に発生した化合物を除去する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の化合物除去装置と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び請求項11に記載の本発明によれば、気体に含まれる化合物を物理吸着のみにより除去する場合と比較して、効率よく化合物を除去することができる、という効果が得られる。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、画像形成装置内の画像を形成する際に発生した化合物を含む気体を、他の化合物除去装置により除去する場合と比較して、効率よく化合物を除去することができる、という効果が得られる。
【0020】
請求項3に記載の本発明によれば、フラッシュランプから照射された光により記録媒体上に画像を定着させることにより発生した化合物を他の化合物除去装置により除去する場合と比較して、効率よく化合物を除去することができる、という効果が得られる。
【0021】
請求項4に記載の本発明によれば、収納部を介さずに空気を導入する場合と比較して、画像形成済用紙から放出される気体に含まれる化合物を除去する、という効果が得られる。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、混合手段から除去手段までの気体の流路上に空気を導入しない場合と比較して、物理吸着手段の吸着効率を高める、という効果が得られる。
【0023】
請求項6に記載の本発明によれば、冷却手段から導入される空気の流量を調整しない場合と比較して、物理吸着手段の吸着効率を高める、という効果が得られる。
【0024】
請求項7に記載の本発明によれば、捕集手段を通過した気体の排気量を調整しない場合と比較して、除去手段に導入される気体の流量を調整する、という効果が得られる。
【0025】
請求項8に記載の本発明によれば、導入されるオゾンの濃度を0.2PPM以上、4.0PPM以下の範囲内となるように制御しない場合と比較して、オゾンの濃度が当該範囲よりも低い場合よりも導入された気体に含まれる化合物を酸化させ、かつ当該範囲よりも高い場合よりも除去手段後の残存オゾンを抑制する、という効果が得られる。
【0026】
請求項9に記載の本発明によれば、混合手段に導入されるオゾンのオゾン濃度、画像形成装置内の温度、及び画像形成装置内の湿度の少なくとも一つを計測手段で計測しない場合と比較して、より精度よく、オゾンの濃度を0.2PPM以上、4.0PPM以下の範囲内となるように制御する、という効果が得られる。
【0027】
請求項10に記載の本発明によれば、混合室に導入される気体の導入口とオゾンの導入口とが対向配置されていない場合と比較して、混合室に導入される気体に含まれる化合物の酸化反応効率を高める、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置における化合物除去装置の一例の概略構成を示す構成図である。
【図3】本実施の形態に係る化合物除去装置の一例の機能ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る化合物除去装置の制御系の一例の機能ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係る混合室及び第1チャンバの一例の概略構成を示す構成図である。
【図6】本実施の形態に係る第2チャンバの一例の概略構成を示す構成図である。
【図7】本実施の形態に係る第3チャンバの一例の概略構成を示す構成図である。
【図8】本実施例のオゾン導入による被酸化性物質の除去効率の評価の結果の具体的一例を説明するための説明図である。
【図9】本実施例の空気導入による排気ガスの冷却の効能の評価の結果の具体的一例を説明するための説明図である。
【図10】本実施例の総合評価の結果の具体的一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお本実施の形態では一例として、画像形成装置が、電子写真方式により画像を形成する画像形成装置である場合について詳細に説明する。
【0030】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置全体の概略構成について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例として、4連タンデム方式の4色の画像を連続紙に形成する画像形成装置の概略構成を示すが、これに限定されるわけではない。なお、画像形成装置に備えられた本実施の形態の化合物除去装置に関する説明は、詳細を後述するため、ここでは省略する。また、図1に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0031】
本実施の形態の画像形成装置10は、色分解された画像データに応じたブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の各色のトナー画像をそれぞれ連続Pに順次転写し、各色トナー画像を重ね合せる電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット15K、15C、15M、15Yを備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)15K、15C、15M、15Yは、搬送方向上流側から順に配置されている。ユニット15K〜Yの搬送方向上流側には、連続紙Pをユニット15K〜Yに搬送する用紙搬送部14及び連続紙Pを供給する用紙供給部12が設けられている。また、ユニット15K〜Yの搬送方向下流側には、ユニット15K〜Yで転写された未定着トナー画像を連続紙Pに定着させる定着部17、定着部17を通過した連続紙Pを排紙する排紙部16、及び印刷済みの連続紙Pを収納する印刷済用紙収納部18が設けられている。なお、本実施の形態では、収納部の具体的一例として印刷済用紙収納部18を用いている。
【0032】
なお、KCMYを区別する必要がある場合は、符号の後にK、C、M、Yの何れかを付して説明し、KCMYを区別する必要が無い場合は、K、C、M、Yを省略する。
【0033】
用紙供給部12は、収納容器13を備えており、収納容器13に収納されている連続紙Pをユニット15により画像を形成するために供給する。用紙搬送部14は、複数個備えられたロールに連続紙Pが巻掛けられており、用紙供給部12より供給された連続紙Pをユニット15Kに搬送する。
【0034】
ユニット15は、感光体20、前帯電器21、LED露光ユニット22、現像器24、転写器26、及びクリーニング装置28を備えている。また、前帯電器21及び転写器26により発生したオゾンを捕集する捕集口29が備えられている(詳細後述)。
【0035】
感光体20は、一定の速度で図1に示す矢印Aの方向に回転しており、当該回転中に、感光体20の周面に対向して設けられた前帯電器21によるスコロトロン方式のコロナ放電によって、プラス電位に一様に帯電されるようになっている。
【0036】
一様に帯電された感光体20には、LED露光ユニット22から出力されるレーザ光が照射される。LED露光ユニット22には画像情報信号に基づいて、LED発光がオン/オフ制御されるようになっている。当該LED光が感光体20の表面に照射されると、LED光が当たる部分と当たらない部分とで、帯電電位が変化し、静電潜像が形成される。静電潜像が形成された領域は、感光体20の回転によって、現像器24が配置されている位置へと至り、現像器24によってトナーが供給され、供給されたトナーが静電潜像に付着することにより、可視像化(現像)される。
【0037】
現像器24により現像されたトナー像を有する感光体20は、転写器26と対向する位置において、連続紙Pへトナー像が転写されるようになっている。すなわち、感光体20と転写器26との間は、連続紙Pの搬送経路の一部となっており、当該連続紙Pは、転写器26と対向する位置で、感光体20の周面に一時的に密着されるようになっている。この際、転写器26のマイナス極性のコロナ放電により、感光体20上のトナーが引き付けられ、トナー像が連続紙Pに転写される。一方、連続紙Pに転写されずに感光体20の表面に残留した未転写残留トナーは、クリーニング装置28で除去されて回収される。
【0038】
このようにして、第1ユニット15Kにてブラックのトナー像が転写された連続紙Pは、第2乃至第4ユニット15C、15M、15Yを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0039】
さらに、トナー像が転写された連続紙Pは定着部17へと送り込まれる。定着部17は、フラッシュランプ31を含んで構成されている定着ユニット30を備えている。図1には具体的一例として、8本のフラッシュランプ31を備えた定着ユニット30を示した。定着ユニット30は、画像形成面を上向きいして搬送される連続紙Pの画像形成面側に配設されており、連続紙Pの画像形成面にフラッシュランプ31からフラッシュ光を照射させる。これにより、色重ねされたトナー像が加熱されて溶融し、その後、凝固して、連続紙P上に定着される。なお、本実施の形態では、定着手段の具体的一例として定着部17を用いている。
【0040】
カラー画像の定着が完了した連続紙Pは、一端、排紙部16へ排出され、排紙部16を通過した後に、定着部17に戻り、さらに印刷済用紙収納部18へ向けて搬出される。印刷済用紙収納部18は、カラー画像の定着が完了した連続紙P、すなわち印刷済の用紙を収納する収納部であり、連続紙Pは、収納容器19に、積層されて、収納される。なお本実施の形態では、印刷済用紙収納部18の収納容器19付近に、画像形成装置10の外の空気を取り込み、詳細を後述する化合物除去装置の混合室に導入させるための空気の取り込み口(吸気口)及び流路が設けられている。
【0041】
次に、本実施の形態の化合物除去装置の概略構成について説明する。図2に、本実施の形態の化合物除去装置の一例の概略構成図を示し、図3に、本実施の形態の化合物除去装置の一例の機能ブロック図を示し、図4に本実施の形態の化合物除去装置の制御系の一例の機能ブロック図を示す。
【0042】
本実施の形態の化合物除去装置40は、定着部17より排出される排気ガスに含まれる被酸化性物質(詳細後述)を描画部15で発生したオゾンにより除去する装置であり、被酸化性物質及びオゾンが除去されたガスを画像形成装置10の外部に排出する。
【0043】
本実施の形態の化合物除去装置40は、定着部17から排気ガスが排出される順に従って、第1チャンバ42、混合室43、第2チャンバ44、第3チャンバ46、及び排気部48を備えている。また、定着部17から排出された排気ガスを第1チャンバ42に導入するための流路52、第1チャンバ42から混合室43へガスを導入するための流路53、混合室43から第2チャンバ44へガスを導入するための流路54、第2チャンバ44から第3チャンバ46へガスを導入するための流路55、第3チャンバ46から排気部48へガスを導入するための流路56、及び排気部48から画像形成装置10の外部へガスを排出するための流路57を備えている。さらに、描画部15の温度を計測する温度計90、湿度を計測する湿度計92、混合室70に導入されるオゾンの濃度を計測するオゾン濃度計94、及び物理吸着部76に導入される空気の温度を計測する温度計96を備えている。なお、描画部15とは、第1乃至第4ユニット15K、15Y、15M、15Yを総称したものである。なお、本実施の形態では、オゾン発生手段の具体的一例として描画部15を用いている。また、混合手段の具体的一例として混合室70を用いており、物理吸着手段の具体的一例として物理吸着部76を用いており、計測手段の具体的一例として温度計90、湿度計92、及びオゾン濃度計94を用いており、測定手段の具体的一例として温度計96を用いている。
【0044】
第1チャンバ42は、混合室70及び塵埃除去部72を含んで構成されている。本実施の形態の化合物除去装置40では、描画部15で発生し、現像器24付近で回収し、サイクロン64及びバグフィルタ66を介したオゾンを含むガスが流路58により第1チャンバ42の混合室70に導入される。混合室70では、流路52により導入された排気ガスと、流路58により導入されたオゾンを含むガスと、が混合され、オゾンにより排気ガス中の被酸化性物質が酸化され変質された物質を含むガスとなり、塵埃除去部72により塵埃を除去され、流路52を介して混合室43へ排出される。なお、現像器24とは、現像器24K、24C、24M、24Yを総称したものである。
【0045】
混合室43には、流量調整部68により流量を調整された、印刷済用紙収納部18を経由して導入された空気(一般に、画像形成装置10の内部に比して冷たい冷気)が流路60により導入される。導入された空気と第1チャンバ42から導入されたガスとは混合され、空気により冷却されて、第1チャンバ42から導入されたガスの温度よりも低温となったガスが流路54を介して第2チャンバ44へ排出される。流量調整部68は、流路60により混合室43に導入される空気の流量を調整するためのものであり、具体的例としては、オリフィス等が挙げられる。なお、本実施の形態では、冷却手段の具体的一例として流路60を用いており、流量調整手段の具体的一例として流量調整部68を用いている。
【0046】
第2チャンバ44は、オゾン分解部74及び物理吸着部76を含んで構成されている。流路54により導入された低温ガスに含まれるオゾンがオゾン分解部74で除去され、さらに被酸化性物質及び当該被酸化性物質の酸化物が物理吸着部76で物理吸着され、流路55を介して第3チャンバ46に排出される。なお、本実施の形態では、除去手段の具体的一例としてオゾン分解部74を用いている。
【0047】
第3チャンバ46は、化学捕集部78及び塵埃除去部80を含んで構成されている。流路55により導入されたガスに残存する被酸化性物質及び当該被酸化性物質の酸化物が化学捕集部78で捕集され、さらに、塵埃が塵埃除去部80で除去され、流路56、排気部48、及び流路57を介して画像形成装置10の外部に排出される。なお、排気部48は、定着部17から排出されたガスをこのように画像形成装置10の外部に排出させるために排気ガスを吸引して排気するためのものであり、送風機等が挙げられる。具体的例としてはブロアやファン等が挙げられる。なお、本実施の形態では、捕集手段の具体的一例として化学捕集部78を用いている。
【0048】
また、本実施の形態の化合物除去装置40は、排気部49及び流路69を備えており、定着部17の空冷に用いたガスであって、被酸化性物質及びオゾン等の除去を行わずに画像形成装置10の外部に排出されるガスを定着部17から排気部49により流路69を介して吸引し、画像形成装置10の外部に排出する。なお、当該構成は必須ではなく、例えば定着部17を空冷しない場合等は設けなくてよい。
【0049】
次に、本実施の形態の化合物除去装置40の制御系について図4を参照して説明する。本実施の形態の化合物除去装置40は、制御部100により、第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度、及び混合室43に導入される空気の温度を制御する。制御部100の具体的例としては、CPU、ROM、及びRAM等により構成されるマイクロコンピュータ等が挙げられる。なお、本実施の形態では、排気量調整手段及び制御手段の具体的一例として制御部100を用いている。
【0050】
制御部100は、オゾン濃度計94により流路58から第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度の計測値、温度計90により描画部15の温度の計測値、湿度計92により描画部15の湿度の計測値を読み取り、これらの計測値に応じて、第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度が予め定めた範囲内(詳細後述)になるように描画部15のオゾンの発生に関する動作を制御する。
【0051】
また、制御部100には、温度計96により物理吸着部76に導入される空気の温度の計測値を読み取り、当該温度に応じて、物理吸着部76に導入される空気の温度が予め定めた温度(詳細後述)になるように流量調整部68の調整量を制御する。さらに、制御部100は、流量調整部68の調整量に応じて、第2チャンバ44に導入される気体の流量が予め定めた範囲(詳細後述)になるように排気部48の排気量を制御する。
【0052】
なお、本実施の形態の化合物除去装置40では、例えばメモリ等の記憶部98に、予め、オゾンの濃度、描画部15の温度、及び描画部15の湿度と、前帯電器21及び転写器26の動作条件と、の対応関係、温度計96で計測される排気ガスの温度と、当該排気ガスが予め定めた温度となるために必要な流量の空気を導入させるための流量調整部68の調整量との対応関係等が記憶されており、制御部100は、記憶部98に記憶されている各対応関係に基づいて、各部の制御を行う。
【0053】
次に、化合物除去装置40により被酸化性物質及びオゾンを除去する処理の流れにそって、化合物除去装置40の動作について詳細に説明する。
【0054】
まず、定着部17により排出される排気ガスについて説明する。当該排気ガスには、塵埃成分や被酸化性物質等の排出成分が含まれている。塵埃成分の具体的例としては、連続紙Pから発生する紙の粉塵や画像形成材料が加熱することにより生じる固体炭素微粒子等が挙げられる。また、本実施の形態で被酸化性物質とは、酸化反応によって分解除去される有機または無機の化合物をいい、定着部17により画像を定着する際に例えばトナーが加熱されることにより発生する化合物や連続紙Pを乾燥させる際に発生する化合物等が挙げられる。被酸化性物質の具体的例としては、炭化水素化合物類、硫黄化合物類、窒素化合物類などの有害物質、及び臭気要因化合物等が挙げられる。より具体的には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトン等のアルデヒド類、ケトン類、ベンゼン、スチレン、キシレン等のベンゼン及びアルキルベンゼン類、メチルメルカプタン、ベンゼンチオール等の含イオウ化合物類、アンモニア、ヒドラジン等の窒素化合物が挙げられる。また、画像形成材料を構成する高分子のバインダやワックス類に含まれる不純物や、当該バインダやワックス類の分解生成物等により生じるオリゴマー類、特に分子量500〜1500程度のオリゴマー類等、より具体的には、スチレン−アクリレート共重合体の2〜3量体、カルボン酸とアルコール類からなるエステル類の2〜3量体が挙げられる。
【0055】
これらの被酸化性物質のうち、排気ガスに含まれる頻度が高い成分としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒドに代表される低分子量アルデヒド類及び分子量500〜1500程度のオリゴマー類が挙げられる。なお、一般的にこれらの化合物は処理が困難とされている。
【0056】
低分子量アルデヒド類は、比較的高い有毒性を示すと共に、臭気閾値も低いことから、微量であっても排気ガスに含まれることは好ましくない。また、活性炭に代表される物理吸着剤では、捕集効率が低く、物理吸着剤のみで除去する場合は排気ガス中に残存する場合がある。
【0057】
また、オリゴマー類は、通常、排気ガス中では、固体粒子またはミストの状態で存在し、分子量が高いことから粘度が高い。そのため、塵埃除去に用いるセミヘパフィルタやヘパフィルタ及びオゾン分解部74のオゾン除去フィルタ等のフィルタ類の表面を粘着性固体粒子の集合体や水飴状の粘稠性の被膜で覆うような特性を示す場合がある。このような場合、これらフィルタ類が目詰まりを起こす等により分解能が低下すると共に、フィルタ類の寿命が短命化することがある。
【0058】
本実施の形態の化合物除去装置40では、定着部17により排出されたこのような化合物等を含む排気ガスが、排気部48により強制的に吸引されることにより、流路52により第1チャンバ42の混合室70に導入される。
【0059】
次に、第1チャンバ42に導入されるオゾンについて説明する。本実施の形態では、描画部15で発生したオゾンを第1チャンバ42に導入する。本実施の形態の画像形成装置10は、描画部15の前帯電器21や転写器26等によりオゾンが発生し、現像器24の下部位置に設けられた捕集口29等に滞留するため、発生したオゾンを捕集して、第1チャンバ42に導入する。具体的に本実施の形態では、捕集口29から周囲の空気を吸気することにより捕集する。なお、捕集口29は、感光体20の回転により生じるエアの流れにそって現像器24に滞留するオゾンを感光体20の近傍(画像形成を阻害せず、かつ発生したオゾンを化合物の除去に要する濃度含む空気が捕集される範囲)に設けられている。より具体的に好ましくは、現像器24に設けられた余分なトナーを回収する吸気口に設けられている。なお、捕集口29から吸気された空気は、オゾンと共に、浮遊や飛散しているトナーや塵埃も含んでいる。そのため、これらのトナーや塵埃を除去するため、本実施の形態では、トナーや塵埃の除去材の具体的一例としてサイクロン64及びバグフィルタ66を用いて、空気中にオゾンと共に含まれるトナーや塵埃を除去する。なお、サイクロン64及びバグフィルタ66は当該除去材の具体的一例であり、これに限定されるものではなく、空気中のオゾンを除去せず、トナーや塵埃を除去するものであればよい。
【0060】
なお、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置10であり、前帯電器21及び転写器26から発生したオゾンを第1チャンバ42に導入するようにしているが、例えば、画像形成装置がイオノグラフィ方式の場合は画像形成の際に放電を行う放電ユニットにより発生するオゾンを導入するようにする等、画像形成装置の方式にあわせて、内部で発生したオゾンを捕集し、導入するようにすればよい。また、画像形成装置内部でオゾンが発生しない方式の場合は、具体的例として例えば、エア中で特定波長の紫外線照射を行ってオゾンを発生させたり、空間ギャップを有する電極間に高周波高電圧を印加して当該電極間に無声放電を発生させたりする、オゾン発生ユニットを別途、設ければよい。
【0061】
第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度は、予め定めた範囲内の濃度であることが好ましいため、本実施の形態の化合物除去装置40では、当該範囲内の濃度となるように制御部100が制御する。予め定めた範囲よりもオゾンの濃度が低い場合、第1チャンバ42にオゾンを導入する(排気ガスにオゾンを混合する)ことによる効果を恒常的に維持できない場合がある。また、予め定めた範囲よりもオゾンの濃度が高い場合、物理吸着剤として用いられる活性炭等が発熱や発火等することや、オゾン分解部74を経た排気ガス中にオゾンが残存することがある。
【0062】
オゾンは反応性が高い物質であるため、現像器24の吸気口で捕集されてから流路58を介して第1チャンバ42に導入されるまでの過程で、吸気された空気に含まれる水分等と反応して、濃度が変化(減少)する場合がある。また、描画部15(前帯電器21、転写器26)の環境温度、湿度の影響等により、発生するオゾンの量が変化する。そのため、本実施の形態の化合物除去装置40では、オゾンの濃度、描画部15の温度、及び描画部15の湿度を計測し、記憶部98に記憶されている、オゾンの濃度、描画部15の温度、及び描画部15の湿度と、上記予め定めた範囲内の濃度となるようにオゾンを発生させるための前帯電器21及び転写器26の動作条件(例えば、印加電圧や印加電流)と、の対応関係に基づいて、計測値に応じた前帯電器21及び転写器26の動作条件で動作するように制御部100が描画部15を制御する。なお、オゾンの濃度、描画部15の温度、及び描画部15の湿度のうちいずれか一つ以上に応じて制御するようにしてもよいが、本実施の形態のように、オゾンの濃度、描画部15の温度、及び描画部15の湿度に応じて前帯電器21及び転写器26の動作を制御することが好ましい。
【0063】
なお、温度計90及び湿度計92は、描画部15の前帯電器21及び転写器26の周囲の温度及び湿度を計測するように前帯電器21及び転写器26により近い位置に配置されていることが好ましいがこれに限らず、例えば、捕集口29でオゾンと共に捕集された空気の温度及び湿度を計測してもよいし、画像形成装置10の置かれている環境の温度及び湿度を計測してもよい。また、オゾン濃度計94は、上述したようにオゾンの反応性が高いので、より正確に第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度を測定するために、流路58から第1チャンバ42に導入される導入口により近い位置に配置されることが好ましい。
【0064】
なお、制御部100による前帯電器21及び転写器26の動作の制御は、画像形成に著しい影響を与えない範囲内、具体的例としては、形成された画像に濃度むらが生じる等の影響を与えない範囲内で行う。
【0065】
なお、上述した制御部100による制御を行っても第1チャンバ42に導入されるオゾンの濃度が予め定めた範囲内にならない場合は、さらに別の方法により、当該予め定めた範囲内になるように導入されるオゾンの濃度を調整してもよい。例えば、オゾンの濃度が低い場合は、別途、オゾンを発生するオゾン発生ユニットを設け、当該オゾン発生ユニットにより発生したオゾンを混合するようにしてもよい。また、オゾンの濃度が高い場合は、画像形成装置10の外気等の空気を取り込み、流路58の途中で混合するようにしてもよいし、描画部15でオゾンを捕集する捕集位置を調整するようにしてもよい。
【0066】
上述した排気ガス及びオゾンが第1チャンバ42に導入される。
【0067】
次に、第1チャンバ42について説明する。第1チャンバ42の一例の概略構成を図5に示す。本実施の形態の第1チャンバ42は、混合室70と塵埃除去部72とを含んで構成されている。混合室70の周囲、主に気体が流れる方向の下流側には、酸化を促進する機能を有する触媒71が配置されている。触媒71は、排気ガスに含まれる被酸化性物質のオゾンによる酸化を促進する触媒であり、具体的例としては、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銀及び金から選ばれた少なくとも1種の元素を含有した触媒が挙げられる。
【0068】
また、導入された排気ガスと導入されたオゾンの混合効率を高めることにより、オゾンによる排気ガスに含まれる被酸化性物質の酸化が促進される。そのため本実施の形態では、混合室70には、排気ガスが導入される流路52及びオゾンが導入される流路58が引き込まれており、流路52から排気ガスが導入される導入口と、流路58からオゾンが導入される導入口と、は対向するように配置されている。このように各々の導入口から導入された排気ガス及びオゾンの気流がぶつかり合うことにより、排気ガスとオゾンとが混合される。
【0069】
排気ガスに含まれる被酸化性物質は、混合されたオゾン及び触媒71により、部分的または、全体的に酸化される。具体的例としては、低分子量アルデヒド化合物の大部分は、カルボン酸等に酸化される。低分子量アルデヒド化合物に比べ、当該低分子量アルデヒド化合物が酸化された低分子量カルボン酸は、物理吸着部76での物理吸着における物理捕集の捕集効率が高くなるとともに、化学捕集部78での化学的な捕集剤を用いた化学吸着における化学捕集の捕集効率が高くなる。また、オゾンにより完全に酸化分解された場合は、二酸化炭素と水になるため、より好ましい。また、オリゴマー類は、酸化分解されたり、酸化されることにより低分子量の重合体やモノマーに変化したりする。これによりオリゴマー類は、物理化学的特性を変質させるため、粘着性や粘稠性が喪失される。
【0070】
また、混合室70の気体が流れる方向の下流側には、塵埃除去部72が配置されている。塵埃除去部72は排気ガス中に含まれる塵埃やオリゴマー類に由来するミスト等を除去するためのものであり、具体的例としては、セミヘパから成るフィルタが挙げられる。排気ガスに含まれるオリゴマー類は、オゾンにより酸化され、性質が変質しているため、セミヘパフィルタの表面を粘着性や粘稠性により覆うことがなくなる。これにより、セミヘパフィルタの目詰まりが抑制され、塵埃除去率が向上する。
【0071】
このように塵埃除去部(セミヘパフィルタ)72により、排気ガス中の塵埃が除去される過程において、気流が乱れて、排気ガスとオゾンとが撹拌され、さらに混合される。本実施の形態では、塵埃除去部72に具体的一例としてプリーツタイプのセミヘパフィルタを用いているため、より気流が乱される。
【0072】
なお、さらに排気ガスとオゾンとの混合効率を高めるために、第1チャンバ42、特に混合室70内に、気流を乱すような障壁、例えば、流路上に屈曲部や突起部等を設けるようにしてもよい。
【0073】
なお、オゾンによる被酸化性物質の酸化は、一般的に、高温の環境化において促進される。そのため、混合室70は、定着部17に近い位置、少なくとも、導入される排気ガスの温度が酸化を促進するのに好ましい温度で流路52を介して導入される位置に設けられていることが好ましい。
【0074】
第1チャンバ42から排出された排気ガスは、流路53を介して混合室43に導入される。
【0075】
次に、混合室43について説明する。混合室43及び第2チャンバ44の一例の概略構成を図6に示す。
混合室43は、流路53により導入された排気ガスと、印刷済用紙収納部18に設けられた吸気口により取り込まれた画像形成装置10の外部の空気とを混合するためのものである。
【0076】
排気ガスに含まれる被酸化性物質や当該被酸化性物質が酸化された物質を物理吸着部76で効率よく捕集するためには、物理吸着部76として一般に用いられる活性炭等により物理吸着機能は、高温環境下では不活発となることが知られているため、物理吸着部76に導入される排気ガスの温度が低温であることが好ましい。例えば、活性炭等で物理吸着され易い化学物質として知られているトルエンの場合について具体的に説明すると、1PPMの濃度のトルエンを含有する空気中の単位重量あたりの活性炭の平均吸着量は、環境温度が25℃の場合は、0.175g/gであるのに対して、環境温度が75℃の場合は、0.03g/gにまで低下するとされている。
【0077】
本実施の形態では、第1チャンバ42から排出された排気ガスの温度が高いため、上述したように物理吸着部76の捕集効率を向上させるために、捕集効率に基づいて好ましいとして予め定めた温度になるように排気ガスを冷却する。本実施の形態では、混合室43において、排気ガスと印刷済用紙収納部18に設けられた吸気口により取り込まれた画像形成装置10の外部の、一般に排気ガスよりも低温である空気とを混合することにより排気ガスを予め定めた温度になるように冷却する。
【0078】
さらに、本実施の形態では、制御部100が、混合室43に導入される排気ガスの流量を流量調整部68により調整することにより、物理吸着部76に導入される排気ガスの温度を制御する。温度を制御するために、本実施の形態では、物理吸着部76の近辺、より好ましくは表面に接するように配置された温度計96により物理吸着部76に導入される排気ガスの温度を計測する。記憶部98には、温度計96で計測される排気ガスの温度と、当該排気ガスが予め定めた温度となるために必要な流量の空気を導入させるための流量調整部68の調整量との対応関係が予め記憶されている。制御部100は、温度計96の計測値に応じて、記憶部98に記憶されている対応関係に基づいて、流量調整部68の調整量を制御する。具体的には、流量調整部68がオリフィスの場合は、開閉度を制御する。
【0079】
このように、流量調整部68により混合室43に導入される空気の流量を調整することにより、第2チャンバ44に導入されるガスの流量、さらには化合物除去装置で処理する全体のガス量が変化する。そのため、本実施の形態では、流量調整部68の調整量に応じて、制御部100が排気部48の排気量を制御することにより、第2チャンバ44に導入されるガスの流量を、被酸化性物質及びオゾンの除去効率や、化合物除去装置40の動作全体に影響を与えない範囲として予め定めた範囲内の流量にする、記憶部98には流量調整部68の調整量と、排気部48の排気量との対応関係が予め記憶されており、制御部100は、当該対応関係に基づいて、排気部48の排気量を制御する。
【0080】
なお、混合室43で排気ガスに混合する空気は、温度が低いことが好ましいため、例えば印刷済用紙収納部18内部のみではなく、画像形成装置10外部の空気を取り込むようにするとよい。
【0081】
また、物理吸着部76に導入される排気ガスの温度を冷却する方法は、本実施の形態に限らず、流路54等、途中の流路に冷却フィンやヒートパイプを接地して放熱する等の方法としてもよい。なお、冷却効率や化合物除去装置40の大きさ等の観点からは、本実施の形態のように外気により冷却する方法が好ましい。
【0082】
混合室43で空気が混合され、温度が低下した排気ガスは流路54により第2チャンバ44に導入される。
【0083】
次に、第2チャンバ44について説明する。本実施の形態の第2チャンバ44は、オゾン分解部74及び物理吸着部76を含んで構成されている。
【0084】
オゾン分解部74は、被酸化性物質の酸化に用いられずに排気ガス中に残存するオゾンを分解除去するためのものである。なおオゾン分解部74の具体的例としては、活性炭吸着形式のものや、触媒型オゾン分解形態のフィルタが挙げられる。触媒型オゾン分解形態のフィルタの具体的例としては、二酸化マンガン化合物等を表面に塗布した形式のフィルタが挙げられる。なお、活性炭に高濃度のオゾンが導入されると、オゾンが活性炭を酸化分解することにより、発熱や発火を引き起こす場合がある。本実施の形態では、活性炭が発火しやすい濃度のオゾンがオゾン分解部74に導入される場合がある。例えば、本実施の形態の化合物除去装置40では、混合室70に導入されるオゾンの濃度が活性炭が発火しやすい濃度と比して、高い濃度であり、また、描画部15で形成する画像、すなわち印字率等により排気ガスに含まれる被酸化性物質の量が変化することにより、当該被酸化性物質の酸化により消費されるオゾンの濃度が変化する。低印字率で画像が形成れた場合、排気ガスに含まれる被酸化性物質の量が少ないため、オゾンが消費されず、高濃度のオゾンがオゾン分解部74に導入される。そのため、活性炭吸着形式よりも、触媒型オゾン分解形態のフィルタを用いることが好ましい。
【0085】
なお、排気ガス中に高濃度のオゾンが残存している場合、物理吸着部76及び化学捕集部78の捕集効率を低下させる場合があり、また、画像形成装置10の外部にオゾンを排出することは好ましくないため、オゾン分解部74は、一連のオゾンによる被酸化性物質の酸化の終了から、物理吸着部76までの間に設けられていることが好ましい。
【0086】
オゾン分解部74によりオゾンが除去された排気ガスは、同じ第2チャンバ44内の物理吸着部76に導入される。
【0087】
次に、物理吸着部76について説明する。物理吸着部76は、排気ガス中に含まれる被酸化性物質の酸化物及びオゾンにより酸化されずに残存する被酸化性物質をファンデルワールス力による物理吸着により除去するためのものであり、比較的高分子量の成分を除去する。物理吸着部76の具体的例としては、活性炭等が挙げられる。
【0088】
物理吸着部76により被酸化性物質の酸化物及びオゾンにより酸化されずに残存する被酸化性物質が除去された排気ガスは、流路55により第3チャンバ46に導入される。
【0089】
次に、第3チャンバ46について説明する。第3チャンバ46の一例の概略構成を図7に示す。本実施の形態の第3チャンバ46は、化学捕集部78と、塵埃除去部80と、を含んで構成されている。
【0090】
化学捕集部78は、排気ガスに残存する、被酸化性物質の酸化物及びオゾンにより酸化されずに残存する被酸化性物質、特に物理吸着部76では捕集効率が低い化学成分を、共有結合による化学吸着により除去するためのものである。本実施の形態では、オゾンによる酸化により、酸性形態の化学物質に変質していることが多いため、具体的には、化学捕集部78としては酸性成分を中和捕集する機能を有する化学吸着フィルタを用いることが好ましい。また、酸性ガスの除去剤の具体的例としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物または塩基性塩、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及び酸化カルシウム等が好ましい。
【0091】
化学捕集部78により化学成分等が除去された排気ガスは、同じく第3チャンバ46内の塵埃除去部80に導入される。
【0092】
塵埃除去部80は、排気ガス中に残存する微細な塵埃を捕集するためのものであり、具体的にはヘパフィルタが挙げられる。なお、本実施の形態では、塵埃の捕集効率を高めるために、プリーツタイプのヘパフィルタを用いている。
【0093】
塵埃除去部80により塵埃が除去された排気ガス、すなわち、被酸化性物質、被酸化性物質の酸化物質、オゾン、及び塵埃を含まない状態になった排気ガスが排気部48により、画像形成装置10の外部に排気される。
【0094】
なお、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置について詳細に説明したがこれに限らず、その他の方式の画像形成装置、例えば、イオン発生手段により発生させたイオンにより静電潜像を形成するイオノグラフィ方式等であってもよい。特に、大量(多くの枚数)の印刷を、高速で行う場合、発生する排気ガスに含まれる被酸化性物質の量が多いため、このような画像形成装置に適用することがより好ましい。
【0095】
また、本実施の形態では、フラッシュランプ31によりトナーを定着させる、所謂フラッシュ定着方式を行う定着部17から発生する排気ガスに含まれる化合物除去装置40について詳細に説明したが、これに限らない。なお、一般に、所謂フラッシュ定着方式では、他の方法によりトナーを定着させる方式や連続紙P等の記録媒体上に画像を形成及び定着する方式よりも、発生する被酸化性物質の量が多い。所謂フラッシュ定着では、定着の際に照射される光と当該光に伴う熱により、トナーの構成成分が分解されて、被酸化性物質を含む分解生成ガスが生じるためである。また、例えば画像形成速度の高速化に対応するため等、定着エネルギーが高いフラッシュ定着を行う場合があるが、この場合、定着エネルギーが低い場合に比べて、フラッシュ定着により排気される排気ガスの温度が高くなり、このように温度が高い気体では、活性炭物理吸着の能力が低下することが一般に知られている。このように所謂フラッシュ定着方式では、本実施の形態の化合物除去装置40を適用し、排気ガスに含まれる被酸化性物質を除去すること好ましい。
【0096】
以上説明したように本実施の形態の化合物除去装置40では、混合室70で定着部17から排出される排気ガスと描画部15により発生したオゾンとを混合し、排気ガスに含まれる被酸化性物質をオゾンにより酸化させて、被酸化性物質を酸化させることにより、酸化物質に変化させたり、物質の性質を変化させたりしているため、物理吸着部76及び化学捕集部78で捕集し、排気ガス中から除去される。特に化学捕集部78により、排気ガス中に残存する化学成分が捕集される。また、特にオリゴマーが酸化により変質し、粘着性を喪失するため、塵埃除去部72及び塵埃除去部80への付着が抑制される。なお、本実施の形態の化合物除去装置40では、画像形成装置10内で発生したオゾンを利用し、また、オゾンが画像形成装置10の外部に排気されないため、より好ましい構成となっている。
【0097】
なお、本実施の形態では、このように具体的一例として、化合物除去装置40が画像形成装置10内部で発生した排気ガスを処理する場合について詳細に説明したがこれに限らない。化合物除去装置は、気体に含まれる被酸化性物質をオゾンを混合させることにより酸化させて、被酸化性物質を酸化させることにより、酸化物質に変化させたり、物質の性質を変化させたりした後、物理吸着及び化学捕集により除去すると共に、当該気体に混合させられたオゾンを除去するものであればよい。例えば、その他の装置等により発生した排気ガス等の気体に含まれる被酸化性物質等の化合物を除去する化合物除去装置であってもよい。
【実施例】
【0098】
次に、より具体的に本実施の形態の化合物除去装置40の実施例を示すが、本実施例は画像形成装置10及び化合物除去装置40の具体的一例であり、これに限定されるものではない。
【0099】
本実施例の画像形成装置10は、具体的には、フラッシュ定着方式を採用している超高速に連続帳票を行える画像形成装置である。
【0100】
本実施例の化合物除去装置40は、湿度計92の測定結果に基づいて、描画部15の動作条件である前帯電器21の帯電コロトロン印加電流及び転写器26の転写コロトロン印加電流を制御することによりオゾンの発生条件を制御する。具体的には、湿度計92の計測湿度が30RH未満の場合においては、該コロトロン印加電流を通常設定値(画像を形成する際に通常設定される設定値)の0.9倍、計測湿度が30%RH以上、60%RH未満の範囲内の場合は、該コロトロン印加電流を通常設定値、計測湿度が60%RH以上の場合は、該コロトロン印加電流を通常設定値の1.9倍とする対応関係が記憶部98に記憶されており、制御部100が当該対応関係に基づいて制御する。
【0101】
また、流路58中に乾燥剤を設置し、捕集したオゾンが空気中の湿度によって分解する頻度を抑制するようにした。
【0102】
また、混合室70の触媒71には、メッシュ状保持体に対して白金−ロジウム−パラジウム系触媒を保持させたものを用いた。塵埃除去部72には、0.3ミクロンの粒子に対しての粒子捕集率が90〜95%のプリーツタイプのセミヘパフィルタを用いた。
【0103】
また、混合室43に導入される空気の最大流量は、流路52を流れる排気ガスの流量と同量になるように設定した。具体的には、流量調整部68として用いる電動オリフィスの開閉度は、温度計96の測温結果が40℃未満の場合は、流量調整部68経て流れる空気の流量が排気ガスの流量に対して5%、測温結果が40℃以上、45℃未満の範囲内の場合は、20%、測温結果が45℃以上の場合は、測温結果が45℃となるように空気の流量が20%〜100%の範囲内とし、空気の流量を100%とした場合でも、温度計96の測温結果が45℃以上の値を継続する状態においては、空気の流量を100%とする対応関係が記憶部98に記憶されており、制御部100が当該対応関係に基づいて制御する。
【0104】
また、オゾン分解部74としては、1000セル/in2のコルゲード状アルミハニカム材上に酸化マンガン系オゾン分解触媒を保持させた触媒型オゾンフィルタを用いた。また、物理吸着部76としては、粒状活性炭を500g内包した活性炭物理吸着フィルタを用いた。
【0105】
化学捕集部78としては、ゼオライト及び表面に炭酸カルシウムを保持したゼオライトの混合物を充填したフィルタを化学吸着フィルタとして用いた。また、塵埃除去部80としては、プリーツタイプヘパフィルタを用いた。
【0106】
排気部48としては、排出空気流量が5〜35立方m/分の範囲内で制御されるブロアを用い、流量調整部68である電動オリフィスの開閉度と排出空気量との対応関係が記憶部98に記憶されており、制御部100が当該対応関係に基づいて制御する。
【0107】
本実施例では、描画部15の印字率を連続50%印字率印字と設定し、単位時間内に多量のトナーが溶融するように設定すると共に、フラッシュ定着照射の際にキセノンフラッシュランプに印加される電圧を通常設定(画像を形成する際に通常設定される設定値)の1.2倍の値とすることにより、トナーに対する照射エネルギーを高め、定着工程での塵埃やガス成分の発生量が一般的に画像形成を行う場合よりも増加するようにして、化合物除去装置40にかかる負荷を大きくした。
【0108】
このような状態により、化合物除去装置40による被酸化性物質の除去の評価を行った。当該評価は、以下の3段階により行った。
【0109】
1.オゾン導入による被酸化性物質の除去効率の評価
予備的な計測において計測された、流路58中の空気のオゾン濃度は0.5PPM〜3.0PPMの範囲内であった。なお、当該範囲内の濃度における、排気ガスに対するオゾン導入による効能をより正確に確認するために、別途設けたオゾン発生ユニットによりオゾンを発生させ、当該範囲内である、0.1PPM、0.2PPM、3.0PPM、及び6.0PPMの4濃度水準のオゾンを混合室70に導入させるようにした。なお、比較のため、確認用リファレンスとして、オゾンを導入させない場合(オゾン濃度0%)の、全部で5水準により評価を行った。
【0110】
画像形成装置10を60分間連続稼働させ、稼働後、45分から60分までの15分間の排気ガスを捕集し、成分分析を行った。なお、排気ガスの捕集は、2回実施を行った。
【0111】
なお、排気ガスの捕集及び成分分析は以下のようにして行った。VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)成分については、排気口に吸引ポンプに結合したテナックスGCカラムを設け、排気ガスをポンプで吸引することで、排気中に含まれるVOC成分をテナックスGCカラムに導入し、吸着し、捕集した。捕集したVOC成分は、加熱脱着し、ガスクロマトグラフ、及びGC−MS分析により成分の定性−定量分析を行った。なお、定量に関しては、検出されたVOC成分についてトルエンを標準物質とした検量線を用いて相対滝に評価する方法で定量した。全VOC成分の定量値は、GC/MS分析においてリテンションタイムが、n−ヘキサンからn−ヘキサデカンの間に検出されたピークにつきトルエン換算により求められた簡易定量値とした。
【0112】
低分子量アルデヒド成分については、排気ガスの排気口に吸引ポンプに結合した捕集用カートリッジに低分子量アルデヒドを導入し、DNPH(2、4−ジニトロフェニルヒドラジン)誘導体にすることにより捕集し、その後、高速液体クロマトグラフにより定性・定量分析を行った。
【0113】
オゾンについては、紫外線吸収式オゾン系を用いて計測した。
【0114】
2.空気導入による排気ガスの冷却の効能の評価
混合室70に導入するオゾンの濃度を3.0PPMとし、混合室43に空気を導入する場合と、導入しない場合とについて排気部48から排出される排気ガスを捕集し、成分分析を行った。なお、排気ガスの捕集は、2回実施を行った。
【0115】
さらに、本評価においては、物理吸着部76の物理吸着フィルタである活性炭に捕集されている化学成分を確認するため、評価終了後に使用した物理吸着フィルタを分化し、吸着剤を回収した。当該吸着剤を加熱脱着して吸着剤に捕集されている化学成分の定性・定量確認をガスクロマトグラフ及びGC/MS分析により行った。
【0116】
3.総合評価
画像形成装置10において100万シートの長期稼働を行い、評価を実施した。比較評価を行った条件は、以下の通りである。なお、VOC成分の評価に関しては、VOC総量分析とし、各成分の同定・定量分析は一部の化学種に行った。
【0117】
リファレンス(基準値)については、オゾン導入、及び空気の導入を行わず、かつ、化学捕集部78も未装着で、塵埃除去部72、オゾン分解部74、物理吸着部76、及び塵埃除去部80のみ装着した状態とした。
【0118】
フル稼働条件については、オゾン導入、及び空気の導入を行い、かつ、化学捕集部78も装着した。すなわち、図3に示した化合物除去装置40の状態とした。
【0119】
オゾン導入を行わない(オゾン導入OFF)については、フル稼働条件の状態からオゾンの導入のみを行わない状態とした。また、空気の導入を行わない(冷却外気OFF)については、フル稼働条件の状態から空気の導入のみを行わない状態とした。またさらに、化学捕集部78の未装着(化学捕集フィルタOFF)については、フル稼働条件の状態から化学捕集部78を未装着とする状態とした。
【0120】
なお、当該評価においては、塵埃除去部72及び塵埃除去部80の塵埃フィルタが目詰まりによる圧損障害を起こしているか否かの状況も確認する評価項目も加えた。
【0121】
なお、排気部48から排出される排気ガスの捕集は、評価(画像形成)開始後、10万シート印刷時、50万シート印刷時、及び90万シート印刷時に実施した。
【0122】
以下、各評価結果を示す。
【0123】
まず、1.オゾン導入による被酸化性物質の除去効率の評価の結果を図8に示す。なお、図8には、オゾンを導入していない場合での各成分の計測結果に対する相対値で示した。オゾンを導入していない場合に対して、排出成分量が20%以上、増加した場合を「××」、排出成分量の変化量が±20%未満を「×」、排出成分量の変化量が−20%〜−50%の範囲内を「▲」、排出成分量の変化量が−50%〜−90%未満を「△」、排出成分量の変化量が−90%以上、すなわち、排出成分量が1/10以下となったものを「○」さらに、排出成分量が1/20以下となったものを「◎」として示した。
【0124】
なお、目標とする目標レベルは、一般的な画像形成装置10における排気ガス中の化合物除去レベル、及び、WHOや厚生労働省の「室内空気汚染に係わるガイドライン」、「化学物質の実内濃度指針値」、「ACGHI(米国産業衛生会議)ガイドライン」、及び「ドイツ・ブルーエンジェル(エコマーク)授与基準」に代表される各種環境ラベル授与基準等で明示されている各基準値を勘案して定めた。
【0125】
図8に示すように、トータルVOCに関しては、オゾンの導入量が増えるに従い減少傾向が見られ、オゾン導入量が0.2PPM以上で有為な効果が明確となる。一方、高濃度である6.0PPMのオゾンを導入してもトータルVOC量の減少量は1/10程度に留まる。
【0126】
ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなとの低分子量アルデヒドに関しては、オゾン導入量0.1PPMの段階で有為な効果が顕れ、導入量が0.2PPMの段階で顕著な効果が確認される。オゾンに関しては、オゾン導入量が3.0PPMまで結果表記が「×」であるが、これは、オゾンレスの状態との相対評価表記であるため結果が「×」と記されているものであり、混合室70に導入されたオゾンは各VOC成分の反応やエア処理系に設置されたオゾン分解フィルタの効用により実質的にはほぼ分解されているものと判断される。なお、オゾン導入量が6.0PPMの場合、一部のオゾンが未分解のままエア系から排出されたものと考えられる。これらの評価結果により、導入されるオゾンの濃度は、0.2PPM以上、4.0PPM以下の範囲内であることが好ましい。
【0127】
次に、2.空気導入による排気ガスの冷却の効能の評価の結果を図9に示す。
【0128】
なお、空気導入による冷却の効能に関しては、空気の導入を行わない系での各成分の計測結果に対する相対値で表記した。空気の導入を行わないリファレンスエア系に対して、排出成分量が20%以上増した場合を「××」、排出成分量の変化量が±20%未満を「×」、排出成分量の変化量が−20%〜−50%の範囲内を「▲」、−50%〜−90%の範囲内を「△」、−90%以上、即ちリファレンスに比して排出成分量が1/10以下となったものを「○」、更に排出成分量が1/20以下となったものを「◎」で示す。
【0129】
図9に示すように、トータルVOC量、低分子量アルデヒドの両成分とも、外気導入により若干の排出成分量の減少が見られた。排出された各VOC成分の成分比較、および吸着材に捕集されている化学成分の定性・定量確認によると、外気導入を行うか否かに関わらず、芳香族系炭化水素化合物は、ほぼ完全に物理吸着フィルタで捕集されている。一方、比較的低分子量のVOC成分は、空気導入により冷却を実施しない場合においては、相対的に排気に含まれる量が多く、かつ、使用済吸着材から加熱脱着からの排出量が少なく、吸着材での捕集効率が低くなっており、一方、空気導入により冷却を実施した系においては、相対的に排気に含まれる量が少なく、使用済吸着材から加熱脱着からの排出量が多くなり、吸着材での捕集効率が高くなっている。
【0130】
次に、総合評価の評価結果を図10に示す。
【0131】
なお、各処理系での改善性能に関しては、リファレンスエア処理系での各成分の計測結果に対する相対値で表記した。リファレンスエア系に対して、排出成分量が20%以上増した場合を「××」、排出成分量の変化量が±20%未満を「×」、排出成分量の変化量が−20%〜−50%の範囲内を「▲」−50%〜−90%の範囲内を「△」、−90%以上、即ちリファレンスに比して排出成分量が1/10以下となったものを「○」、更に排出成分量が1/20以下となったものを「◎」で示した。また、塵埃フィルタの目詰まりについては、以下の(1)式に基づくフィルタ前後での静圧差の変化率を計算し、この値を指標とした。
【0132】
[静圧差変化率]=([使用中塵埃フィルタの静圧差値]−[未使用の塵埃フィルタ静圧差値])/[未使用の塵埃フィルタの静圧差値]×100 ・・・(1)
図10に示すように、まずトータルVOCに関しては、リファレンスでの排出量に対して、フル稼働条件では、約1/10程度、オゾン導入OFF条件では、0.8〜0.5倍程度、外気導入OFF条件と化学トラップフィルタ未装着の条件では、いずれも0.2〜0.3倍程度まで排出量の減少が見られた。また、何れの条件下でもフィルタ使用時間による排出量の差異はさほど大きくはなかった。なお、排出された化学成分についての定性・定量結果からは、化学トラップフィルタ未装着の条件で低分子量カルボン酸排出量が若干、多く観測された。これらのことから、オゾン導入がトータルVOCの低減に大きな効果を示していることが確認される。
【0133】
次に低分子量アルデヒド成分に関しては、リファレンスでの排出量に対して、フル稼働条件および外気導入OFF条件と化学トラップフィルタ未装着の条件では、約1/10以下へ、オゾン導入OFF条件では、0.8〜0.9倍程度の排出量の減少が見られた。また、何れの条件下でもフィルタ使用時間による排出量の差異はさほど大きくはなかった。これらの事から、オゾン導入が低分子量アルデヒドの低減に大きな効果を示していることが確認される。
【0134】
また、オゾンの排出量に関しては、何れの条件、フィルタ使用時間においてもリファレンスとほぼ同等であった。
【0135】
さらに、脱塵フィルタ類の静圧変化率に関しては、90万シート印刷後の静圧変化率において、オゾンを導入している系(3条件)がオゾンを導入していない系(リファレンス、オゾンOFF条件)に明確な差が見られ、オゾンが導入されている系において長期にフィルタを使用しても静圧の変化率が小さくなっている。これは、オゾンを導入することよりフィルタの目詰まりが進行し難くなっていることを示している。
【符号の説明】
【0136】
10 画像形成装置
15 描画部(ユニット)
17 定着部
18 印刷済用紙収納部
21 前帯電器
26 転写器
29 捕集口
30 定着ユニット
40 化合物除去装置
42 第1チャンバ
43 混合室
44 第2チャンバ
46 第3チャンバ
48 排気部
68 流量調整部
70 混合室
74 オゾン分解部
76 物理吸着部
78 化学捕集部
90 温度計
92 湿度計
94 オゾン濃度計
96 温度計
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物を含む気体に、オゾン発生手段により発生したオゾンを混合させて、前記オゾンにより前記化合物を酸化させた酸化化合物を生成する混合手段と、
前記混合手段で前記オゾンが混合された前記気体が導入され、前記気体に含まれる前記オゾンを除去する除去手段と、
前記除去手段により前記オゾンが除去された前記気体が導入され、導入された前記気体に含まれる前記化合物及び前記酸化化合物を物理吸着する物理吸着手段と、
前記吸着手段により前記化合物及び前記酸化化合物が除去された前記気体が導入され、導入された前記気体に残存する前記化合物及び前記酸化化合物を化学吸着により捕集する捕集手段と、
を備えた化合物除去装置。
【請求項2】
前記気体は、画像を形成する際に発生した化合物を含む画像形成装置内の気体であり、前記オゾン発生手段は、前記画像形成装置内に設けられている、請求項1に記載の化合物除去装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、記録媒体上に光を照射することにより画像を定着するフラッシュランプを含む定着手段を備えており、前記気体は、前記定着手段が画像を定着させることにより発生した化合物を含む気体である、請求項2に記載の化合物除去装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、前記空気を前記画像形成装置内の画像が形成された記録媒体を収納する収納部を介して導入する、
請求項2または請求項3に記載の化合物除去装置。
【請求項5】
前記混合手段から前記除去手段までの前記気体の流路上に空気を導入して前記気体を冷却する冷却手段を備えた、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物除去装置。
【請求項6】
前記除去手段に導入される前記気体の温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記気体の温度が、予め定めた温度となるように、前記冷却手段から導入される空気の流量を調整する流量調整手段と、
を備えた請求項5に記載の化合物除去装置。
【請求項7】
前記流量調整手段の調整量に応じて、前記捕集手段を通過した気体の排気量を調整する排気量調整手段を備えた、
請求項6に記載の化合物除去装置。
【請求項8】
前記オゾン発生手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度が、0.2PPM以上、4.0PPM以下の範囲内となるように、前記オゾン発生手段を制御する制御手段を備えた、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物除去装置。
【請求項9】
前記生成手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度、前記オゾン発生手段が設けられた装置内の温度、及び前記オゾン発生手段が設けられた装置内の湿度の少なくとも一つを計測する計測手段を備え、
前記制御手段は、前記計測手段により計測された、前記生成手段から前記混合手段に導入される前記オゾンのオゾン濃度、前記オゾン発生手段が設けられた装置内の温度、及び前記オゾン発生手段が設けられた装置内の湿度の少なくとも一つに対応する、前記範囲内のオゾン濃度の前記オゾンを発生させるための発生条件で前記オゾン発生手段が動作するように制御する、
請求項8に記載の化合物除去装置。
【請求項10】
前記混合手段は、前記気体と前記オゾンとを混合させる混合室を含み、前記気体の前記混合室への導入口と、前記オゾンの前記混合室への導入口が対向配置された、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物除去装置
【請求項11】
記録媒体上に画像を形成するための画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像を形成する際に発生した化合物を除去する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の化合物除去装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−81312(P2011−81312A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235454(P2009−235454)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】