化学増幅レジストパターンの形成方法および装置
【課題】 SOGの下地基板上に化学増幅レジストパターンを形成する場合に、レジストパターンの裾広がりを防止し、パターニング精度の向上を図った化学増幅レジストパターンの形成方法および装置を提供する。
【解決手段】 基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行う。
【解決手段】 基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造工程における化学増幅レジストパターンの形成方法および装置に関する。より詳しくは、基板面平坦化のためのSOG酸化膜上に化学増幅レジストを用いてパターニングを行うパターン形成方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工程において、アルミニウム等の電極あるいは配線パターンを形成後このアルミニウムパターンは絶縁膜で覆われる。この絶縁膜は例えばP−TEOS(Plasma−Tetra Ethoxy Silane)により形成される。このP−TEOS膜は、下地のパターン形状に従って表面に凹凸が形成されるため、その表面平坦化のためにTEOS膜を形成後SOG(Spin OnGlass)が塗布される。
【0003】図12は、このような表面平坦化プロセスのフローチャートである。まず基板(ウエハ)上に形成したアルミニムムパターン上に、プラズマCVD等によりTEOS膜を形成する(ステップS11)。次にこのTEOS膜上にスピンコータによりSOGを塗布する(ステップS12)。続いて、酸素または窒素ガス雰囲気中で或いは真空中で炉内加熱処理が行われキュアして硬化させる(ステップS13)。次に、ステップS14において、RIE等により表面全体にエッチバック処理を施す。これにより表面が平坦化し下地のTEOSに応じて表面に有機SOGが残る。続いて、酸素プラズマ等を用いたアッシングプロセスにより表面の改質処理を施す(ステップS15)。これにより基板上にSOG酸化膜が形成される(ステップS16)。なお、プロセス条件や平坦化の程度によっては、ステップS13の炉内処理によりSOG酸化膜を形成してもよい。このようなSOG酸化膜をエッチバックすることにより基板表面が平坦化し、パターンに基づく段差がなくなりリソグラフィのマージンを向上させて高精度のパターニング制御が可能になる。
【0004】このようなSOG酸化膜を含む絶縁膜には、アルミニウムパターンとの配線接続等のためにコンタクトホールが形成される。このようなコンタクトホールは、レジストを用いたパターニングプロセスによるフォトリソグラフィ処理により形成される。この場合、KrFエキシマレーザを用いたリソグラフィプロセスにおいては、低露光量でも感度よく微細パターンを形成できる化学増幅系のレジストが、従来のノボラック系のレジスト(g,i線)に代り、主として用いられている。この化学増幅系のレジストは、露光部分に酸が発生し、この酸が連鎖反応をおこすことにより、小さい露光エネルギーでパターンを形成できるという長所をもっている。このため、この化学増幅系レジストは、連続光を発するランプや、パルスのエネルギーが小さいKrF(248nm)やArF(193nm)のエキシマリソグラフィにおいては必須のレジストとなっている。
【0005】このような化学増幅系レジストとして、ポジ型化学増幅レジストには、t−ブトキシカルボニル基を用いて脱保護反応を利用したものや、ポリフタルアルデヒドを用いて解重合したものがある。また、ネガ型化学増幅レジストには、アルコキシメチルメラミンを用いて縮合反応を利用したものがある。
【0006】以下の化学式(1)および(2)はこのような化学増幅レジスト反応の一例を示す。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】上記化学式(1)で示すように、オニウム塩からなる酸発生剤に光を照射することにより光分解して酸を生ずる。この酸が、化学式(2)で示すように、アルカリに不溶で非極性有機溶媒に可溶なPBOCSTの図中点線部分に作用し、これを分解してアルカリに可溶なPHSを生成する。このように、光照射により、アルカリ現像液に対し可溶部分と不溶部分とを作ることによりレジストによるパターンマスクを構成することができる。この場合、パターニングの下地基板は、SOGやTiNあるいはSi3 N4 等であり、これらの下地基板上に化学増幅レジストのパターンが形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の化学増幅レジストは、低エネルギーの光でも高感度で露光できるという利点がある反面、下地基板に対する依存性が大きく、ポジ型レジストを用いた場合には、パターンの基板境界部が広がっていわゆる裾引き状態となり、またネガ型レジストを用いた場合には、逆にパターンの基板境界部にくびれを生ずる。
【0011】図9は、このような化学増幅レジストパターンの断面形状を示す。(A)はポジ型レジストを示し、(B)はネガ型レジストを示す。基板1上にレジストパターン2を形成した場合、ポジ型レジストではA部に裾広がり(裾引き)が形成され、ネガ型レジストではB部にくびれが形成される。
【0012】この理由は、TiNあるいはSi3 N4 の下地基板上にパターンを形成した場合、図10に示すように、基板1中のNの孤立電子対によって、化学増幅レジスト2中のH+イオンが基板中に取込まれ、基板界面付近のレジスト内H+イオンが失活するためと考えられている。
【0013】また、SOGの下地基板についてみると、SOG膜は、Si系の無機物や有機物を塗布後、これをベーキングしてSOGをもとにした酸化物を形成したものである。このようにして成膜したSOG酸化膜は、図1111に示すように、基板(SOG酸化膜)1が密度的に疎な膜であって、基板内に空隙3が形成される。この空隙3内にレジスト2のH+ イオンが取込まれ、基板界面付近のレジスト内H+イオンが失活して裾引きを起こすものと考えられている。
【0014】このような化学増幅レジストに特有な基板依存性の問題に対処するために、従来、下地基板上に、反射防止膜のような有機膜を形成する方法や酸化膜を形成する方法、あるいは基板をアッシング処理や溶液処理により改質する方法等が提案されているが、現在まで有効な方法は開発されてなく、化学増幅レジストを用いたパターンの精度を充分向上させることができなかった。
【0015】本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、特にSOGの下地基板上に化学増幅レジストパターンを形成する場合に、レジストパターンの裾広がりを防止し、パターニング精度の向上を図った化学増幅レジストパターンの形成方法および装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明においては、基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行うことを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成方法を提供する。
【0017】SOGの緻密化により、SOG基板内の空隙がなくなりレジスト中のH+ イオンが基板中の空隙に取込まれることがなく、レジストパターンの裾広がりが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの雰囲気中で行うことを特徴としている。
【0019】さらに好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、加熱および/または加圧下で行うことを特徴としている。
【0020】別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴としている。
【0021】さらに別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理の前に、赤外光を照射することを特徴としている。
【0022】さらに別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、基板上に塗布したSOGに赤外光を照射し、その後基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴としている。
【0023】本発明ではさらに、基板上に形成されたSOG酸化膜上に化学増幅レジストパターンを形成する化学増幅レジストパターンの形成装置において、基板上に塗布したSOGを緻密化するための緻密化手段を有することを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成装置を提供する。
【0024】好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化手段は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの供給手段と、加熱手段および/または加圧手段とからなることを特徴としている。
【0025】別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化手段は、基板面を押圧するプレスを含むことを特徴としている。
【0026】
【実施例】図1は本発明に係る化学増幅レジストパターン形成方法の第1の実施例の説明図であり、図2はそのフローチャートである。
【0027】パターニングすべき複数枚の半導体基板(ウエハ)1がキャリア2に収容され搬送される。ウエハ1は、キャリア2から1枚づつ取り出され、スピンコータ室3内でSOG4がスピンコートにより基板上面に塗布される(図2のステップS1)。次にステップS2に移り、このSOGを塗布したウエハ1を予備加熱室5内のヒータ6上に載置して、例えば、500℃±300℃程度で予備加熱して、SOGが固化される前に脱水処理を施す。これにより、SOGにある程度の粘性がある状態で、SOG膜が疎になる原因となる水分を除去することができる。
【0028】続いて、ステップS3において、石英キャリア2に収容した複数枚のウエハ1を、加熱チャンバ7内に搬入し、緻密化処理を行う。このチャンバ7は、例えばカーボンその他の耐熱材料製であって内部にヒータが埋設あるいは設置されている。この緻密化処理は、窒素(N2 )、酸素(O2 )、空気またはHe,Ar等の不活性ガスの雰囲気で行う。この場合、チャンバ内圧力は、0.1〜100MPaの間で加圧する。また、温度は1000℃程度(またはそれ以下)に加熱することが好ましい。このような加熱および/または加圧によるチャンバ内処理により、予め予備加熱により脱水処理されたウエハのSOG膜は、脱水による効果とあいまって、密な膜が形成され、前述の図11に示したような空隙は形成されない。
【0029】このように緻密化されたSOG膜をアッシングしてSOG酸化膜を形成する(ステップS4)。その後、このSOG酸化膜上に化学増幅レジストを用いて、パターンを形成する(ステップS5)。
【0030】図3は本発明の第2の実施例の説明図であり、図4はそのフローチャートである。この実施例では、予備加熱後のウエハの緻密化処理のステップS3を、チャンバ7内でウエハを1枚づつ台9上に搭載しプレス8により上から押圧して行う。このように、ウエハ1を上下から挟みこんでプレスする2軸性のプレス装置により、ウエハ1に対し0.1〜100MPaの圧力を付与する。これにより、ウエハ1のSOG膜が緻密化し空隙発生が防止される。その他のステップの構成および作用効果は、前述の第1の実施例と同様である。
【0031】図5は本発明の第3の実施例の説明図であり、図6はそのフローチャートである。この実施例では、前述の第1の実施例におけるヒータによる予備加熱ステップS2を、赤外線照射ステップS2’としたものである。このステップS2’における赤外光は700nm以上の波長である。この赤外光の波長は、SOGの種類に応じて最適なものを選定する。照射時間は1〜15分程度とし、SOGの液性が残っている状態で赤外光の照射を停止する。このような赤外光照射により、前述のヒータによる予備加熱と同様に、SOG固化後の空隙発生の原因となる水分がSOG基板中から除去される。この後第1実施例と同様に緻密化処理が施される(ステップS3)。その他のステップの構成および作用効果は前述の第1の実施例と同様である。
【0032】図7は本発明の第4の実施例の説明図であり、図8はそのフローチャートである。この実施例は、上記第3の実施例における赤外線照射ステップS2’の後の緻密化ステップS3を、前記第2実施例と同様に、2軸性のプレスを用いてウエハを押圧することにより行うものである。その他のステップの構成および作用効果は上記第3の実施例と同様である。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては、ウエハ上にSOGを塗布した後に、これを酸化する前に、予備加熱により脱水処理を施すとともに加熱/加圧またはプレスにより緻密化処理を施しているため、空隙のない密なSOG酸化膜が得られ、化学増幅レジストパターンを形成した際、レジスト中のH+ イオンがSOG酸化膜側に取込まれることがなく、従ってパターンの裾広がりが防止され精度の高いレジストパターンを形成することができる。これにより、レジストパターニングの際の露光フォーカスのマージンを大きくすることができ露光制御がしやすくなるとともに、エッチングのマージンが広がって高密度のパターンが形成可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の方法説明図である。
【図2】 第1実施例のフローチャートである。
【図3】 本発明の第2実施例の方法説明図である。
【図4】 第2実施例のフローチャートである。
【図5】 本発明の第3実施例の方法説明図である。
【図6】 第3実施例のフローチャートである。
【図7】 本発明の第4実施例の方法説明図である。
【図8】 第4実施例のフローチャートである。
【図9】 従来の化学増幅レジストパターンの断面図である。
【図10】 従来のTiNあるいはSi3 N4 基板上に形成したレジストパターンの裾広がりの説明図である。
【図11】 従来のSOG基板上に形成したレジストの断面図である。
【図12】 SOGによる平坦化処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1:ウエハ、2:キャリア、3:スピンコート室、4:SOG、5:予備加熱室、6:ヒータ、7:チャンバ。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造工程における化学増幅レジストパターンの形成方法および装置に関する。より詳しくは、基板面平坦化のためのSOG酸化膜上に化学増幅レジストを用いてパターニングを行うパターン形成方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工程において、アルミニウム等の電極あるいは配線パターンを形成後このアルミニウムパターンは絶縁膜で覆われる。この絶縁膜は例えばP−TEOS(Plasma−Tetra Ethoxy Silane)により形成される。このP−TEOS膜は、下地のパターン形状に従って表面に凹凸が形成されるため、その表面平坦化のためにTEOS膜を形成後SOG(Spin OnGlass)が塗布される。
【0003】図12は、このような表面平坦化プロセスのフローチャートである。まず基板(ウエハ)上に形成したアルミニムムパターン上に、プラズマCVD等によりTEOS膜を形成する(ステップS11)。次にこのTEOS膜上にスピンコータによりSOGを塗布する(ステップS12)。続いて、酸素または窒素ガス雰囲気中で或いは真空中で炉内加熱処理が行われキュアして硬化させる(ステップS13)。次に、ステップS14において、RIE等により表面全体にエッチバック処理を施す。これにより表面が平坦化し下地のTEOSに応じて表面に有機SOGが残る。続いて、酸素プラズマ等を用いたアッシングプロセスにより表面の改質処理を施す(ステップS15)。これにより基板上にSOG酸化膜が形成される(ステップS16)。なお、プロセス条件や平坦化の程度によっては、ステップS13の炉内処理によりSOG酸化膜を形成してもよい。このようなSOG酸化膜をエッチバックすることにより基板表面が平坦化し、パターンに基づく段差がなくなりリソグラフィのマージンを向上させて高精度のパターニング制御が可能になる。
【0004】このようなSOG酸化膜を含む絶縁膜には、アルミニウムパターンとの配線接続等のためにコンタクトホールが形成される。このようなコンタクトホールは、レジストを用いたパターニングプロセスによるフォトリソグラフィ処理により形成される。この場合、KrFエキシマレーザを用いたリソグラフィプロセスにおいては、低露光量でも感度よく微細パターンを形成できる化学増幅系のレジストが、従来のノボラック系のレジスト(g,i線)に代り、主として用いられている。この化学増幅系のレジストは、露光部分に酸が発生し、この酸が連鎖反応をおこすことにより、小さい露光エネルギーでパターンを形成できるという長所をもっている。このため、この化学増幅系レジストは、連続光を発するランプや、パルスのエネルギーが小さいKrF(248nm)やArF(193nm)のエキシマリソグラフィにおいては必須のレジストとなっている。
【0005】このような化学増幅系レジストとして、ポジ型化学増幅レジストには、t−ブトキシカルボニル基を用いて脱保護反応を利用したものや、ポリフタルアルデヒドを用いて解重合したものがある。また、ネガ型化学増幅レジストには、アルコキシメチルメラミンを用いて縮合反応を利用したものがある。
【0006】以下の化学式(1)および(2)はこのような化学増幅レジスト反応の一例を示す。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】上記化学式(1)で示すように、オニウム塩からなる酸発生剤に光を照射することにより光分解して酸を生ずる。この酸が、化学式(2)で示すように、アルカリに不溶で非極性有機溶媒に可溶なPBOCSTの図中点線部分に作用し、これを分解してアルカリに可溶なPHSを生成する。このように、光照射により、アルカリ現像液に対し可溶部分と不溶部分とを作ることによりレジストによるパターンマスクを構成することができる。この場合、パターニングの下地基板は、SOGやTiNあるいはSi3 N4 等であり、これらの下地基板上に化学増幅レジストのパターンが形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の化学増幅レジストは、低エネルギーの光でも高感度で露光できるという利点がある反面、下地基板に対する依存性が大きく、ポジ型レジストを用いた場合には、パターンの基板境界部が広がっていわゆる裾引き状態となり、またネガ型レジストを用いた場合には、逆にパターンの基板境界部にくびれを生ずる。
【0011】図9は、このような化学増幅レジストパターンの断面形状を示す。(A)はポジ型レジストを示し、(B)はネガ型レジストを示す。基板1上にレジストパターン2を形成した場合、ポジ型レジストではA部に裾広がり(裾引き)が形成され、ネガ型レジストではB部にくびれが形成される。
【0012】この理由は、TiNあるいはSi3 N4 の下地基板上にパターンを形成した場合、図10に示すように、基板1中のNの孤立電子対によって、化学増幅レジスト2中のH+イオンが基板中に取込まれ、基板界面付近のレジスト内H+イオンが失活するためと考えられている。
【0013】また、SOGの下地基板についてみると、SOG膜は、Si系の無機物や有機物を塗布後、これをベーキングしてSOGをもとにした酸化物を形成したものである。このようにして成膜したSOG酸化膜は、図1111に示すように、基板(SOG酸化膜)1が密度的に疎な膜であって、基板内に空隙3が形成される。この空隙3内にレジスト2のH+ イオンが取込まれ、基板界面付近のレジスト内H+イオンが失活して裾引きを起こすものと考えられている。
【0014】このような化学増幅レジストに特有な基板依存性の問題に対処するために、従来、下地基板上に、反射防止膜のような有機膜を形成する方法や酸化膜を形成する方法、あるいは基板をアッシング処理や溶液処理により改質する方法等が提案されているが、現在まで有効な方法は開発されてなく、化学増幅レジストを用いたパターンの精度を充分向上させることができなかった。
【0015】本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、特にSOGの下地基板上に化学増幅レジストパターンを形成する場合に、レジストパターンの裾広がりを防止し、パターニング精度の向上を図った化学増幅レジストパターンの形成方法および装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明においては、基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行うことを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成方法を提供する。
【0017】SOGの緻密化により、SOG基板内の空隙がなくなりレジスト中のH+ イオンが基板中の空隙に取込まれることがなく、レジストパターンの裾広がりが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの雰囲気中で行うことを特徴としている。
【0019】さらに好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、加熱および/または加圧下で行うことを特徴としている。
【0020】別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴としている。
【0021】さらに別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理の前に、赤外光を照射することを特徴としている。
【0022】さらに別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化処理は、基板上に塗布したSOGに赤外光を照射し、その後基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴としている。
【0023】本発明ではさらに、基板上に形成されたSOG酸化膜上に化学増幅レジストパターンを形成する化学増幅レジストパターンの形成装置において、基板上に塗布したSOGを緻密化するための緻密化手段を有することを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成装置を提供する。
【0024】好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化手段は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの供給手段と、加熱手段および/または加圧手段とからなることを特徴としている。
【0025】別の好ましい実施の形態においては、前記SOGの緻密化手段は、基板面を押圧するプレスを含むことを特徴としている。
【0026】
【実施例】図1は本発明に係る化学増幅レジストパターン形成方法の第1の実施例の説明図であり、図2はそのフローチャートである。
【0027】パターニングすべき複数枚の半導体基板(ウエハ)1がキャリア2に収容され搬送される。ウエハ1は、キャリア2から1枚づつ取り出され、スピンコータ室3内でSOG4がスピンコートにより基板上面に塗布される(図2のステップS1)。次にステップS2に移り、このSOGを塗布したウエハ1を予備加熱室5内のヒータ6上に載置して、例えば、500℃±300℃程度で予備加熱して、SOGが固化される前に脱水処理を施す。これにより、SOGにある程度の粘性がある状態で、SOG膜が疎になる原因となる水分を除去することができる。
【0028】続いて、ステップS3において、石英キャリア2に収容した複数枚のウエハ1を、加熱チャンバ7内に搬入し、緻密化処理を行う。このチャンバ7は、例えばカーボンその他の耐熱材料製であって内部にヒータが埋設あるいは設置されている。この緻密化処理は、窒素(N2 )、酸素(O2 )、空気またはHe,Ar等の不活性ガスの雰囲気で行う。この場合、チャンバ内圧力は、0.1〜100MPaの間で加圧する。また、温度は1000℃程度(またはそれ以下)に加熱することが好ましい。このような加熱および/または加圧によるチャンバ内処理により、予め予備加熱により脱水処理されたウエハのSOG膜は、脱水による効果とあいまって、密な膜が形成され、前述の図11に示したような空隙は形成されない。
【0029】このように緻密化されたSOG膜をアッシングしてSOG酸化膜を形成する(ステップS4)。その後、このSOG酸化膜上に化学増幅レジストを用いて、パターンを形成する(ステップS5)。
【0030】図3は本発明の第2の実施例の説明図であり、図4はそのフローチャートである。この実施例では、予備加熱後のウエハの緻密化処理のステップS3を、チャンバ7内でウエハを1枚づつ台9上に搭載しプレス8により上から押圧して行う。このように、ウエハ1を上下から挟みこんでプレスする2軸性のプレス装置により、ウエハ1に対し0.1〜100MPaの圧力を付与する。これにより、ウエハ1のSOG膜が緻密化し空隙発生が防止される。その他のステップの構成および作用効果は、前述の第1の実施例と同様である。
【0031】図5は本発明の第3の実施例の説明図であり、図6はそのフローチャートである。この実施例では、前述の第1の実施例におけるヒータによる予備加熱ステップS2を、赤外線照射ステップS2’としたものである。このステップS2’における赤外光は700nm以上の波長である。この赤外光の波長は、SOGの種類に応じて最適なものを選定する。照射時間は1〜15分程度とし、SOGの液性が残っている状態で赤外光の照射を停止する。このような赤外光照射により、前述のヒータによる予備加熱と同様に、SOG固化後の空隙発生の原因となる水分がSOG基板中から除去される。この後第1実施例と同様に緻密化処理が施される(ステップS3)。その他のステップの構成および作用効果は前述の第1の実施例と同様である。
【0032】図7は本発明の第4の実施例の説明図であり、図8はそのフローチャートである。この実施例は、上記第3の実施例における赤外線照射ステップS2’の後の緻密化ステップS3を、前記第2実施例と同様に、2軸性のプレスを用いてウエハを押圧することにより行うものである。その他のステップの構成および作用効果は上記第3の実施例と同様である。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては、ウエハ上にSOGを塗布した後に、これを酸化する前に、予備加熱により脱水処理を施すとともに加熱/加圧またはプレスにより緻密化処理を施しているため、空隙のない密なSOG酸化膜が得られ、化学増幅レジストパターンを形成した際、レジスト中のH+ イオンがSOG酸化膜側に取込まれることがなく、従ってパターンの裾広がりが防止され精度の高いレジストパターンを形成することができる。これにより、レジストパターニングの際の露光フォーカスのマージンを大きくすることができ露光制御がしやすくなるとともに、エッチングのマージンが広がって高密度のパターンが形成可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の方法説明図である。
【図2】 第1実施例のフローチャートである。
【図3】 本発明の第2実施例の方法説明図である。
【図4】 第2実施例のフローチャートである。
【図5】 本発明の第3実施例の方法説明図である。
【図6】 第3実施例のフローチャートである。
【図7】 本発明の第4実施例の方法説明図である。
【図8】 第4実施例のフローチャートである。
【図9】 従来の化学増幅レジストパターンの断面図である。
【図10】 従来のTiNあるいはSi3 N4 基板上に形成したレジストパターンの裾広がりの説明図である。
【図11】 従来のSOG基板上に形成したレジストの断面図である。
【図12】 SOGによる平坦化処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1:ウエハ、2:キャリア、3:スピンコート室、4:SOG、5:予備加熱室、6:ヒータ、7:チャンバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行うことを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項2】 前記SOGの緻密化処理は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項3】 前記SOGの緻密化処理は、加熱および/または加圧下で行うことを特徴とする請求項2に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項4】 前記SOGの緻密化処理は、基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項5】 前記SOGの緻密化処理の前に、赤外光を照射することを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項6】 前記SOGの緻密化処理は、基板上に塗布したSOGに赤外光を照射し、その後基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項7】 基板上に形成されたSOG酸化膜上に化学増幅レジストパターンを形成する化学増幅レジストパターンの形成装置において、基板上に塗布したSOGを緻密化するための緻密化手段を有することを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成装置。
【請求項8】 前記SOGの緻密化手段は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの供給手段と、加熱手段および/または加圧手段とからなることを特徴とする請求項7に記載の化学増幅レジストパターンの形成装置。
【請求項9】 前記SOGの緻密化手段は、基板面を押圧するプレスを含むことを特徴とする請求項7に記載の化学増幅レジストパターンの形成装置。
【請求項1】 基板上にSOG酸化膜を形成し、このSOG酸化膜を化学増幅レジストを用いてパターニングする化学増幅レジストパターンの形成方法において、基板上にSOGを塗布した後、その酸化前にSOGの緻密化処理を行うことを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項2】 前記SOGの緻密化処理は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項3】 前記SOGの緻密化処理は、加熱および/または加圧下で行うことを特徴とする請求項2に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項4】 前記SOGの緻密化処理は、基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項5】 前記SOGの緻密化処理の前に、赤外光を照射することを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項6】 前記SOGの緻密化処理は、基板上に塗布したSOGに赤外光を照射し、その後基板面を押圧するプレスを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅レジストパターンの形成方法。
【請求項7】 基板上に形成されたSOG酸化膜上に化学増幅レジストパターンを形成する化学増幅レジストパターンの形成装置において、基板上に塗布したSOGを緻密化するための緻密化手段を有することを特徴とする化学増幅レジストパターンの形成装置。
【請求項8】 前記SOGの緻密化手段は、窒素、酸素、空気または不活性ガスの供給手段と、加熱手段および/または加圧手段とからなることを特徴とする請求項7に記載の化学増幅レジストパターンの形成装置。
【請求項9】 前記SOGの緻密化手段は、基板面を押圧するプレスを含むことを特徴とする請求項7に記載の化学増幅レジストパターンの形成装置。
【図1】
【図3】
【図10】
【図2】
【図4】
【図9】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図3】
【図10】
【図2】
【図4】
【図9】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【公開番号】特開平9−211870
【公開日】平成9年(1997)8月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−38852
【出願日】平成8年(1996)2月1日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【公開日】平成9年(1997)8月15日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)2月1日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
[ Back to top ]