説明

化学組成物および方法

本発明は、熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含む熱的に膨張可能な微小球体を含む水性スラリであって、該スラリは、ゴム類、セルロース類、キチン類、キトサン類、グリカン類、ガラクタン類、ペクチン類、マンナン類、デキストリン類、ポリアクリル酸、そのエステルおよびアミドおよび共重合体、ポリメタクリル酸、そのエステルおよびアミドおよび共重合体、ゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(ビニルエステル)および共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイド、ポリウレタン、および、アミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物、および、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂から成る群から選択された少なくとも部分的に水溶性のポリマを更に含む、水性スラリに関する。本発明は更に、該水性スラリを調製する方法、紙材もしくは不織布を製造するための該水性スラリの使用、および、紙材もしくは不織布を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱的に膨張可能な微小球体を含む水性スラリ、その調製方法、紙材もしくは不織布を製造するための該水性スラリの使用、および、紙材もしくは不織布を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマ・シェルと、その内部に捕捉された推進剤とを含む膨張可能な熱可塑性微小球体は、商標EXPANCEL(登録商標)の名称で市販されると共に、多くの異なる用途において発泡剤として使用される。
【0003】
斯かる微小球体において、前記推進剤は通常は、前記熱可塑性ポリマ・シェルの軟化温度以下の沸点を有する液体である。加熱時に上記推進剤は蒸発することで、シェルが軟化するのと同時に内部圧力を増大し、微小球体のかなりの膨張に帰着する。この膨張が開始する温度はTstartと称される一方、最大膨張に到達する温度はTmaxと称される。膨張可能微小球体は、たとえば、乾燥した自由流動粒子として、水性スラリとして、または、部分的に脱水された湿潤ケーキとして、種々の形態で販売されている。
【0004】
膨張可能微小球体は、推進剤の存在下でエチレン性不飽和モノマを重合させることにより製造され得る。種々の膨張可能微小球体およびその製造方法は、たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に見られる。
【0005】
膨張可能微小球体に対するひとつの重要な用途は、たとえば特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11および非特許文献1に記述された如く、製紙である。
【特許文献1】米国特許第3,615,972号
【特許文献2】米国特許第3,945,956号
【特許文献3】米国特許第5,536,756号
【特許文献4】米国特許第6,235,800号
【特許文献5】米国特許第6,235,394号
【特許文献6】米国特許第6,509,384号
【特許文献7】欧州特許第486080号
【特許文献8】米国特許第3,556,934号
【特許文献9】米国特許第4,133,688号
【特許文献10】日本特許第2,689,787号
【特許文献11】国際特許出願PCT/2004/000835号
【非特許文献1】パルプおよび紙材産業に対する国際評論誌、第143〜145頁におけるエー・ゼーデルベルクの“世界におけるパルプおよび紙材技術1995/96”(Oe. Soederberg, “World Pulp & Paper Technology 1995/96, The international Review for the Pulp & Paper Industry”, p. 143−145)
【発明の開示】
【0006】
製紙または不織布製造などのいくつかの用途においては、微小球体を水性スラリとして加えることが好適である。しかし、特に保存または輸送の一定時間後において容認できない程度まで微小球体が沈降することはないという安定的なスラリを提供することは困難であることが見出されている。
【0007】
また、膨張可能微小球体が製紙において使用された場合、製造された紙材の強度は微小球体なしの対応紙材に対するよりも低くなり得ることも見出されている。
【0008】
故に、本発明の目的は、膨張可能微小球体を含む高安定性の水性スラリを提供するに在る。
【0009】
本発明の別の目的は、低い嵩密度および容認可能な強度を有する紙材または不織布を製造する方法を提供するに在る。
【0010】
本発明のひとつの側面は、熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含む熱的に膨張可能な微小球体を含む水性スラリであって、該スラリは、ゴム類、セルロース類、キチン類、キトサン類、グリカン類、ガラクタン類、ペクチン類、マンナン類、デキストリン類、アクリル酸もしくはその塩を含むモノマから作成された共重合体(好適には、約50モル%まで、最も好適には約20モル%までのアクリル酸もしくはその塩)、アクリル酸のエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、メタクリル酸、そのエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、ゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(ビニルエステル)および(たとえばエチレンとの)共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイド、ポリウレタン、および、尿素/ホルムアルデヒド、尿素/メラミン/ホルムアルデヒドもしくはフェノール/ホルムアルデヒドの如きアミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物、および、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂から成る群から選択された少なくとも部分的に水溶性のポリマを更に含む水性スラリに関する。適切なゴムの例としては、グアルゴム、タマリンドゴム、イナゴマメゴム、カラスノエンドウゴム、カラヤ、オクラ、アカシア、キサンタンゴムなど、および、それらの混合物が挙げられ、その内ではグアルゴムが特に好適である。適切なセルロースの例としては、選択的に化学修飾されたCMC(カルボキシメチル・セルロース)、および、EHEC(エチル・ヒドロキシエチル・セルロース)およびHEC(ヒドロキシエチル・セルロース)などのセルロース・エーテル、および、それらの混合物の如き誘導体が挙げられる。化学修飾されたセルロース誘導体としては、たとえば、四級アミン、他のアミン、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの如き種々の官能基により修飾された誘導体が挙げられる。
【0011】
上記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、直鎖状、分岐状または架橋状とされ得る。この平均分子量は、ポリマの種類に依存して広い範囲内で変化し得る。殆どの場合、好適な平均分子量は、少なくとも約500、更に好適には少なくとも約2,000、最も好適には少なくとも約5,000である。上限値は重要でなく、殆どの場合において平均分子量は好適には約50,000,000まで、更に好適には約10,000,000まで、最も好適には約1,000,000までである。
【0012】
特に好適なポリマとしては、CMC、EHEC、グアルゴム、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂、アクリル酸と(たとえばアクリルアミドなどの)他のモノマとの共重合体、および、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリ(ビニル・アルコール)およびポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイドの単独および共重合体が挙げられる。
【0013】
上記に定義された如きポリマは微小球体の沈降に対してスラリを安定化するために有効であるだけでなく、当該紙材の強度をそれほど喪失せずに紙材の製造も可能とすることが見出された。
【0014】
上記スラリのpHは好適には少なくとも約2.5、最も好適には少なくとも約3である。このpHは、たとえば約2.5〜約10または約3〜約6の如く、最も好適には約10までであり、特に最も好適には約6までである。
【0015】
1つの実施態様において上記スラリは、実際のpHの約±1pH単位以内、好適には少なくとも約±0.5pH単位以内のpKを有する緩衝液を含む。緩衝液を含めることにより、微小球体からの残存モノマまたはその分解生成物の如き物質の放出により引き起こされるpHの変化に起因して、増粘剤としての上記ポリマの効率が低下もしくは喪失される虞が減少され得る。上記スラリは、別の緩衝液、上記に特定された如き適切なpKを有する緩衝液としても作用する増粘剤、または、各々の一種類以上同士の組み合わせを含み得る。必要であれば上記スラリのpHは、塩酸、酢酸、アルカリ金属水素化物、アンモニアなどの如きいずれの適切な酸またはアルカリ物質の添加により所望値へと調整され得る。
【0016】
含まれるなら上記緩衝液は好適には、上記スラリを少なくとも約±1pH単位、更に好適には少なくとも約±0.5pH単位、最も好適には少なくとも約±0.2pH単位以内のpHにて安定化させるに十分な量で存在する。緩衝液の厳密な量は使用される物質に依存すると共に、たとえば、約0.5〜約5重量%、最も好適には約1%〜約3重量%とされ得る。
【0017】
適切なpKを有するいずれの無機または有機緩衝液が使用され得る。全ての緩衝液は、酸、塩基、または、アルカリ金属もしくは他のいずれの金属の塩の如き塩の形態とされ得る。
【0018】
有用な緩衝液の例としては、炭酸水素塩、二水素リン酸塩、炭酸水素塩およびリン酸水素の無機誘導体およびそれらの混合物が挙げられ、その内では炭酸水素塩および二水素リン酸塩が特に好適である。
【0019】
緩衝液の他の例としては、酢酸塩および誘導体、他のカルボン酸塩、電子放出基を含むアミン、カルボン酸塩、リン酸塩およびホスホン酸塩の如き官能基を有すると共に好適には増粘剤としても作用するポリマ、および、それらの混合物などの有機物質が挙げられる。酢酸塩誘導体の例としては、酢酸フェニル、2−ニトロベンゼンアセテート、アセトアセテート、ニトリロトリアセテートおよびそれらの混合物が挙げられる。他のカルボン酸塩の例としては、ギ酸塩、プロピオン酸塩およびその誘導体、ブタン酸およびその誘導体の共役イオン、ペンタン酸およびその誘導体の共役イオン、アジピン酸の共役イオン、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、琥珀酸塩、グリシルグリシン、安息香酸塩、フタル酸塩、bis−tris、2−ナフタレンカルボン酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。殆どの場合、たとえばアルカリ金属塩などの金属塩が好適である。特に好適な有機緩衝液は、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、琥珀酸塩または酢酸フェニルを含む。
【0020】
1つの実施態様において上記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、適切なpKを有する緩衝液としても作用するポリマから選択される。斯かるポリマの例としては、カルボン酸塩、アミン、リン酸塩およびホスホン酸塩の如き一種類以上の官能基により好適に置換されたポリマが挙げられる。上記ポリマは好適には、反復単位毎に例えば約0.1〜約2個、最も好適には約0.3〜約1.5個の様に多数個の官能基を含む。その種の有用なポリマの例としては、CMCの如き化学修飾セルロース、ポリアミンの単独および共重合体などの合成ポリマ、または、ポリアクリル酸の共重合体が挙げられる。
【0021】
1つの実施態様において上記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、当該ポリマの電荷が、これにより増粘剤としてのその効率が、約2.5〜約10、好適には約3〜約6のpH範囲によりそれほど影響されないというポリマから選択される。斯かるポリマの例としては、CMC、EHECなどの化学修飾セルロース、または、好適には、硫酸塩、スルホン酸塩、四級アンモニウム基の如き一種類以上の官能基により置換された(たとえば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル・トリメチルアンモニウムクロライド、または、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチル塩化アンモニウムと共重合したアクリレートもしくはメタクリレートにより修飾されたCMCまたはEHECなど)、もしくは、約2.5〜約10のpH範囲内ではそれほどプロトン付加されない他の帯電官能基により置換された他のポリマが挙げられる。
【0022】
増粘剤として有効である一種類以上の少なくとも部分的に水溶性のポリマは好適には、微小球体が再分散され得ないほどの実質的な沈降に抗してスラリを安定化させる量にて添加される。多くの場合においてこれは、25℃にて約150〜約1000mPas、最も好適には25℃にて約200〜約600mPasのスラリの好適な粘度を実現する十分なポリマを添加することにより達成され得る(各実施例に関して記述されるスピンドルL3を備えたアントンパールDV−1P粘度計による測定を指している)。このスラリを安定化するために必要な量は、ポリマ、および、pHの如き他の状況に依存する。多くの場合において、このスラリにおける少なくとも部分的に水溶性のポリマの好適な含有量は、約0.1〜約15重量%、最も好適には約0.1〜約10重量%、特に最も好適には約0.5〜約10重量%である。上記スラリが取り扱い困難となるレベルに粘度が到達しない限りにおいて、通常は大量のポリマを含めることが好適である。上記スラリは、少なくとも約5週間、最も好適には少なくとも約10週間だけ保存され乍らも依然として上記に特定された範囲内に粘度を維持することが好適である。
【0023】
上記スラリはまた、陰イオン性もしくは陽イオン性の澱粉、またはその誘導体の如く増粘剤として作用する他のポリマも付加的に含み得る。たとえば、上述された如く選択的に化学修飾され得るCMCなどの上述の一種類以上のポリマとの陰イオン性もしくは陽イオン性の澱粉の組み合わせによれば、紙材強度に関して好適な結果が実現され得る。
【0024】
上記スラリはまた、増粘剤として作用する無機粒子も付加的に含み得る。その例としては、コロイド状シリカ、チョーク、ベントナイト、ラポナイト、他のコロイド状粘土、および/または、たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シュウ酸カルシウム、および、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケルまたはマンガンの水酸化物の内の一種類以上などの、Al、Ca、Mg、Ba、Fe、Zn、NiおよびMnなどの金属の一種類以上の塩、酸化物または水酸化物が挙げられる。
【0025】
熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含むいずれの熱的に膨張可能な微小球体も、好適には約5〜約55重量%、最も好適には約20〜約55重量%、特に最も好適には約40〜約55重量%の量で上記スラリ内に含まれ得る。有用な膨張可能微小球体の例は以下に記述される。
【0026】
上記膨張可能微小球体の熱可塑性ポリマ・シェルは好適には、エチレン性不飽和モノマを重合することにより得られる単独または共重合体から作成される。これらのモノマはたとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはクロトニトリルの如きモノマを含有するニトリル類;アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルの如きアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートまたはエチルメタクリレートの如きメタクリル酸エステル類;塩化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;ビニルピリジンの如き他のビニルモノマとの、酢酸ビニルの如きビニルエステル類;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン類;スチレン、ハロゲン化スチレンまたはα−メチルスチレンの如きスチレン類;または、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンの如きジエン類とされ得る。上述のモノマのいずれの混合物も使用され得る。
【0027】
好適には上記モノマは、少なくとも一種類のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルのモノマ、最も好適にはメタクリル酸メチルの如きメタクリル酸エステル・モノマを含む。前記ポリマ・シェルにおけるそれの量は好適には、モノマの総量の約0.1〜約80重量%、最も好適には約1〜約25重量%である。
【0028】
好適には上記モノマは、少なくとも一種類のハロゲン化ビニリデン・モノマ、最も好適には塩化ビニリデンを含む。前記ポリマ・シェル内におけるそれの量は好適には、モノマの総量の約1〜約90重量%、最も好適には約20〜約80重量%である。
【0029】
好適には上記モノマは、少なくとも一種類のニトリル含有モノマ、最も好適には、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルの少なくとも一方、特に最も好適には少なくともアクリロニトリルを含む。前記ポリマ・シェル内におけるそれの量は好適には、モノマの総量の約1〜約80重量%、最も好適には約20重量%〜約70重量%である。
【0030】
1つの実施態様において上記モノマは、少なくとも一種類のアクリル酸エステル・モノマ、少なくとも一種類のハロゲン化ビニリデン、および、少なくとも一種類のニトリル含有モノマを含む。その場合に前記ポリマ・シェルはたとえば、モノマの総量の約0.1〜約80重量%、最も好適には約1〜約25重量%の好適量のメチルメタクリレートと、モノマの総量の約1〜約90重量%、最も好適には約20〜約80重量%の好適量の塩化ビニリデンと、モノマの総量の約1〜約80重量%、最も好適には約20〜約70重量%の好適量のアクリロニトリルとを含むモノマから得られた共重合体とされ得る。
【0031】
一定の場合には、前記ポリマ・シェルのための上記モノマは、ジビニルベンゼン、エチレングリコール・ジ(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール・ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール・ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール・ジ(メタ)アクリレート、グリセロール・ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール・ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール・ジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール・ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール・トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール・テトラ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマル・トリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロール・プロパン・トリ(メタ)アクリレート、トリブタンジオール・ジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルグリコール・モノアクリレート、トリアクリルホルマルもしくはトリアリルイソシアネート、トリアリルイソシアヌレートなどの内の少なくともひとつのモノマの如き架橋性多官能モノマも含むことが好適であり得る。前記ポリマ・シェルにおけるそれの量は、好適にはモノマの総量の約0.1〜10重量%、最も好適には約0.1〜約1重量%、特に最も好適には約0.2〜約0.5重量%である。
【0032】
上記推進剤は、通常は前記熱可塑性ポリマ・シェルの軟化温度以下の沸点を有する液体であり、且つ、プロパン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタンもしくはイソオクタン、または、それらの混合物の如き炭化水素を含み得る。それらに加え、石油エーテル、或いは、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリクロロフルオロメタン、過フッ化炭化水素の如き塩化もしくはフッ化炭化水素の如き他の炭化水素種も使用され得る。好適な推進剤は、イソブタンのみを、または、一種類以上の他の炭化水素との混合物を含む。大気圧における沸点は好適には、約−50〜約100℃、最も好適には約−20〜約50℃、特に最も好適には約−20〜約30℃の範囲内である。
【0033】
上記ポリマ・シェルおよび推進剤に加え、上記微小球体は、その製造の間に添加された更なる物質を、通常は約1〜約20重量%、好適には約2〜約10重量%の量で含んでも良い。斯かる物質の例は、シリカ、チョーク、ベントナイト、澱粉、架橋ポリマ、メチルセルロース、ゴム寒天、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、カルボキシメチル・セルロース、コロイド状粘土の内の一種類以上、および/または、たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シュウ酸カルシウム、および、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケルまたはマンガンの水酸化物などの、Al、Ca、Mg、Ba、Fe、Zn、NiおよびMnなどの金属の一種類以上の塩、酸化物または水酸化物の如き、固体懸濁化剤である。もし存在するならこれらの固体懸濁化剤は通常は主として、前記ポリマ・シェルの外側面に対して配置される。但し、微小球体の製造の間において懸濁化剤が添加されたとしても、これは後時の段階にて洗浄除去されていることから、最終製品には実質的に存在しない。
【0034】
上記膨張可能微小球体は好適には、約1〜約500μm、更に好適には約5〜約50μm、最も好適には約15〜約35μmの体積平均直径を有する。前記膨張可能微小球体における推進剤の量は好適には、約5〜約40重量%、更に好適には約10〜約40重量%、最も好適には約15〜約40重量%、特に最も好適には約20〜約35重量%である。
【0035】
本明細書中で使用される膨張可能微小球体という語句は、それまでは膨張されていない膨張可能微小球体、すなわち、未膨張の膨張可能微小球体を指している。
【0036】
本明細書で体積平均直径に対して与えられる全ての数値はISO13320、“粒子サイズ分析−レーザ回折方法−パート1:一般原理”に従い測定することで得られた値を指している。この測定方法の詳細な説明は、たとえばストックホルムのスウェーデン規格研究所から入手され得る。
【0037】
上記スラリはまた、紙材または不織布の製造に適合する更なる成分も含み得る。たとえば塩化ナトリウムの如き無機塩は、スラリの安定性を高めるべく含まれ得るが、実質的に除外することが好適なこともある、と言うのも、それは紙材または不織布の製造において使用されるときに不都合な汚染物とも見做され得るからである。
【0038】
前記スラリ内の固体総含有量は好適には、約5〜約55重量%、最も好適には約20〜約55重量%、特に最も好適には約40〜約55重量%である。たとえば塩化ナトリウムまたは他の塩は、前記スラリ内に約0.1〜約20重量%、好適には約1〜約15重量%の量で存在し得る。
【0039】
本発明の別の側面は、熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含む熱的に膨張可能な微小球体の水性スラリに対して少なくとも部分的に水溶性のポリマを添加する段階を含み、上記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、ゴム類、セルロース類、キチン類、キトサン類、グリカン類、ガラクタン類、ペクチン類、マンナン類、デキストリン類、アクリル酸もしくはその塩を含むモノマから作成された共重合体、アクリル酸のエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、メタクリル酸、そのエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、ゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(ビニルエステル)および共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイド、ポリウレタン、および、アミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物、および、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂から成る群から選択される、上述された如きスラリを調製する方法に関する。
【0040】
故に、たとえばpH、粘度、各成分、または、各成分の組み合わせに関する種々の実施態様に対しては、上記スラリの上記説明が参照される。
【0041】
本発明の別の側面は、紙材または不織布のバルクを増大するための、紙材または不織布の製造における上述のスラリの使用に関する。故に、スラリに関する種々の実施態様に対しては、上記スラリの上記説明が参照される。
【0042】
本発明の更に別の側面は、上述の熱的に膨張可能な微小球体を含むスラリを、繊維を含む原料に対し、または、繊維のウェブに対して添加する段階と、上記原料または上記ウェブから紙材または不織布を形成する段階と、熱を付与することにより、上記微小球体が膨張することで上記紙材または不織布のバルクを増大するに十分な様に上記微小球体の温度を上昇させる段階とを含む、繊維から紙材または不織布を製造する方法に関する。
【0043】
本発明の1つの実施態様は、上述の熱的に膨張可能な微小球体を含むスラリを、セルロース系繊維を含有する原料に対して添加する段階と、上記原料を網体上で脱水して紙材を得る段階と、熱を付与することにより、上記紙材を乾燥すると共に、上記微小球体が膨張することで上記紙材のバルクを増大するに十分な様に上記微小球体の温度も上昇させる段階とを含む、紙材を製造する方法に関する。
【0044】
上記スラリと共に原料に対して添加される膨張可能微小球体の量は、上記原料における乾燥含有量で、好適には約0.1〜約20重量%、最も好適には約0.2〜約10重量%の乾燥微小球体である。当該技術分野で公知のいずれの種類の製紙機械も使用され得る。
【0045】
本明細書中で用いられる“紙材”という語句は、たとえば板材、厚紙および板紙などのシートもしくはウェブ形態の全ての種類のセルロース系製品を包含することが意味される。本発明は、特に約50〜約1000g/m、好適には約150〜約800g/mの坪量を有する板材、厚紙および板紙の製造に対して特に好適であることが見出されている。
【0046】
上記紙材は、単一層もしくは多層の紙材として製造され得る。もし該紙材が3層以上の層を含むなら、2つの外側層の夫々を形成する原料部分に対し、上記膨張可能微小球体は添加しないのが好適である。
【0047】
上記原料は好適には、乾燥材料に基づき、約50〜約100重量%、最も好適には約70〜約100重量%のセルロース系繊維を含有する。脱水の前に、上記原料は膨張可能微小球体に加え、たとえばカオリン、陶土、二酸化チタン、石膏、タルク、チョーク、粉砕大理石または沈降炭酸カルシウムなどの無機充填剤などの一種類以上の充填剤、および、選択的に、保持剤、糊付け剤、アルミニウム化合物、染料、湿潤強力樹脂、光学的光沢剤の如き一般的に使用される添加剤を含有し得る。アルミニウム化合物の例としては、明礬、アルミン酸塩、および、たとえば塩化ポリアルミニウムもしくは硫酸ポリアルミニウムなどのポリアルミニウム化合物が挙げられる。保持剤の例としては、陽イオン性ポリマ、たとえば、陽イオン性ポリマと組み合わされたベントナイト、もしくは、陽イオン性ポリマと組み合わされたシリカ系ゾルなどの、有機ポリマと組み合わされた陰イオン性無機材料、または、陽イオン性および陰イオン性ポリマが挙げられる。糊付け剤の例としては、アルキルケテン二量体およびアルケニル琥珀酸無水物の如きセルロース反応性糊付け剤、ロジン、澱粉の如きセルロース非反応性糊付け剤、および、マレイン酸無水物、アクリル酸およびそのエステル、アクリルアミドの如きビニルモノマとスチレンとの共重合体などの他のポリマ性糊付け剤が挙げられる。
【0048】
乾燥時において、前記紙材は、故に微小球体もまた好適には約50〜約150℃、最も好適には約60〜約110℃の温度まで加熱される。この結果、微小球体は膨張することから、紙材のバルクも増大する。このバルク増大の程度は原料におけるセルロース系繊維および他の成分の由来の如き種々の要因に依存するが、殆どの場合、膨張可能微小球体または他の一切の膨張剤の添加なしで製造された同一種類の紙材と比較して、乾燥紙材において保持された約5〜約50重量%の割合の微小球体である。(たとえば加熱シリンダによる)接触乾燥、(たとえば高温空気による)強制対流乾燥、赤外線技術、または、それらの組み合わせの如く、紙材に対して熱を伝達する段階を包含するいずれの従来の乾燥手段も適用され得る。接触乾燥の場合、たとえばシリンダなどの接触表面の温度は、好適には約20〜約150℃、最も好適には約30〜約130℃である。前記紙材は、20個以上までの一連の数個のシリンダであって温度が次第に上昇するという数個のシリンダを通過し得る。
【0049】
前記原料におけるセルロース系繊維はたとえば、いずれの種類の植物、好適には硬木および軟木の如き木材から作成されたパルプに由来し得る。前記セルロース系繊維はまた部分的にまたは完全に再利用紙材から由来し得るものであり、その場合に本発明は望外に良好な結果を与えることが見出されている。
【0050】
本発明の別の実施態様は、繊維のウェブを形成する段階と、結合剤と、上述された如き膨張可能微小球体を含むスラリとを上記ウェブに対して添加する段階と、不織布を形成する段階と、熱を付与することにより、上記微小球体が膨張することで上記不織布のバルクを増大するに十分な様に上記微小球体の温度を上昇させる段階とを含む、不織布を製造する方法に関する。膨張可能微小球体と結合剤とを含む上記スラリは、別個にまたは混合物として添加され得る。添加される膨張可能微小球体の量は、好適には乾燥生成物の約0.1〜約30重量%、最も好適には乾燥生成物の約0.5〜約15重量%である。添加される結合剤の量は、好適には乾燥生成物の約10〜約90重量%、最も好適には乾燥生成物の約20〜約80重量%である。
【0051】
本明細書中で用いられる如き“不織布”という語句は、結合剤により一緒に結合された繊維から作成された織物を包含することが意味される。
【0052】
前記繊維のウェブは、機械的もしくは空気力学的な乾燥方法、流体力学的(湿潤)方法、または、スパンボンドプロセスなどのいずれの従来の手法でも形成され得る。次に、好適には膨張可能微小球体を含むスラリと事前混合された上記結合剤は、結合剤の容器内にウェブを浸漬し又はキスロール塗付によりウェブに塗付し又はドクターブレードもしくは浮遊ナイフによるナイフ塗付を行う如きいずれの種類の含浸方法によるなどのいずれの従来の手法によってもウェブに対して添加され得る。
【0053】
次に、結合剤と膨張可能微小球体とを含む上記ウェブは、上記微小球体を膨張させるに十分である好適には約70〜約200℃、最も好適には約120〜約160℃の温度まで加熱され得る。好適には、上記結合剤の硬化も同時に行われる。上記加熱は、(たとえば加熱シリンダによる)接触乾燥、(たとえば高温空気による)強制対流、赤外線技術、または、それらの組み合わせの如きいずれの適切な手段により行われ得る。
【0054】
上記繊維は、いずれの種類の市販の繊維、天然繊維、無機繊維、ならびに、合成された無機および有機の繊維とされ得る。有用な繊維の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ビスコースおよびポリアミドの各繊維、ならびに、上記ポリマの内の2種類以上から作成された繊維が挙げられる。
【0055】
上記結合剤は、ポリアクリレートおよびその共重合体、ポリメタクリレートおよびその共重合体の樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体の如きゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(酢酸ビニル)の如きポリ(ビニルエステル)および例えばエチレンとの共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリウレタン、および、尿素/ホルムアルデヒド、尿素/メラミン/ホルムアルデヒドまたはフェノール/ホルムアルデヒドの如きアミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物の如き、いずれの種類の天然もしくは合成の接着樹脂とされ得る。
【0056】
故に、スラリに関する種々の実施態様に対しては、スラリの上記説明が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明は以下の実施例に関して更に記述されるが、該実施例が本発明の有効範囲を制限することは意図されない。特に明記しない限り、全ての部および百分率は重量部および重量百分率を指している。
【0058】
全ての実施例において、使用された膨張可能微小球体は塩化ビニリデンおよびアクリロニトリルのポリマ・シェルと、推進剤としての約14重量%のイソブタンとを有していた。その体積平均直径は約13μmであった。
【0059】
これらの粘度測定は、スピンドルL3(測定範囲=180〜1200mPas)を備えたアントンパール社(Anton Paar)のDV−1P粘度計により行われた。均一なサンプルを得るためにスラリは十分に震盪されてから、200mlのスラリが250mlガラス・ビーカ内に注入された。上記サンプルは、水浴内で25℃まで調節され、プロペラ(水平に45°傾斜された4枚のブレード)により3分間攪拌されてから、調節された上記水浴内で10分に亙り静置された。次に、厳密に10分後に100rpmにて粘度が測定された。
【0060】
これらのpH測定は、pH電極が組み合わされたMeterLab PHM210標準pHメータにより行われ、飽和KCl溶液により充填され、且つ、使用前にてはpH4.00および7.00にて(ジェー・ティー・ベーカー社(JT Baker)からの)緩衝溶液により較正された。
【0061】
実施例1:39.6重量%の微小球体(Expancel(登録商標)820 SLU 40)および0.5重量%の酢酸を含有するスラリに対し、ポリアクリルアミド/ポリアクリル酸の共重合体(エカケミカルズ社[Eka Chemicals AB]からの22重量%水溶液Eka DS84(登録商標))が増粘剤として添加され、4.4重量%のポリマ含有量が提供された。上記増粘剤は攪拌の間に溶解された。このpHは、酢酸および上記増粘剤の両方のpKに近い4.70に調節された。4日間の保存の後、22℃にてpHは4.68であり且つ粘度は420mPasであった。更なる3日間(合計で7日間)の後、22℃にてpHは4.68であり且つ粘度は430mPasであった。このスラリは次に35℃にて保存されると共に、3週間後にpHは4.58であり且つ粘度は380mPasであった。斯かる粘度は容認可能である、と言うのも、これらの微小球体が或る程度まで沈殿したとしても、それらは容易に再分散され得るからである。
【0062】
実施例2:40.7重量%の微小球体(Expancel(登録商標)820 SLU 40)および0.5重量%の酢酸を含有するスラリに対し、スルホン酸により修飾された1.5重量%のCMC(平均分子量800,000;カルボキシメチル基に関しては約0.8およびスルホン酸エチルに関しては約0.4の置換度)が増粘剤として添加され、攪拌の間に溶解された。このpHは、(酢酸の緩衝範囲外である)3.55へと調節された。4日間の保存の後、22℃にてpHは3.55であり且つ粘度は340mPasであった。このスラリは次に35℃にて保存されると共に、5週間後にpHは3.26であり且つ粘度は400mPasであった。更なる4週間(合計で9週間)の後、35℃にてpHは2.96であり且つ粘度は400mPasであった。斯かる粘度は容認可能である、と言うのも、これらの微小球体が或る程度まで沈殿したとしても、それらは容易に再分散され得るからである。
【0063】
実施例3:スクリーンとして使用されたUltra−Turaxと、3個の有孔ロール(開放)から成るヘッドボックスと、2個のニップから成る加圧区画とを有する試験用製紙機械において紙材が製造された。全てのシリンダ、すなわち、事前乾燥区画における120℃までの8個のシリンダ、150℃までのYankee、および、第2乾燥区画における4個のシリンダ、および、糊付けプレス後の6個のシリンダは電気的に加熱可能(t−制御)であった。1個の冷却シリンダと、2個のニップを備えたカレンダとが利用可能であった。0.5重量%の酢酸および水溶性ポリマを備えた膨張可能微小球体(Expancel(登録商標)820 SLU 40)の種々の水性スラリが添加剤として試験された。40重量%のドイツ雑誌、40重量%のドイツ新聞および20重量%のCTMPに由来する廃紙パルプから、一層の板紙が製造された。原料濃度は1.7重量%であり、且つ、パルプの灰分は(500℃にて)13.9〜14.1%であった。マシンチェストにおいてpHは7.6〜7.7であると共に混合チェストにおいては硫酸により7.0まで調節され、其処で高粘度パルプが白水により希釈され且つ0.05重量%の消泡剤が添加された。使用された保持系は、(混合チェストの前に高粘度原料に対して添加された)0.5重量%のHiCat 1164A(陽イオン性澱粉)、(スクリーンの前に添加された)0.03重量%のEka PL 1510(c−PAM)、および、(スクリーンの前に添加された)0.5重量%のEka NP 780(ナノ粒子)を含んでいた。膨張可能微小球体と水溶性ポリマとの水性スラリは、混合チェストの後で希薄な原料に対して添加された。プレス機は4および1バールに設定され、事前乾燥は60℃にて実施され、且つ、最終乾燥のためにYankeeは110℃および0.8バールに設定された。更なる乾燥シリンダは何ら適用されなかった。この紙材は標準条件下(DIN EN 20187)で少なくとも24時間保存されてから、バルクおよび紙材強度に対して評価された。これらの試行は、各日において新たに調製されたパルプを以て、別個の2日において実施された。これらの結果は、以下の表に見られる。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含む熱的に膨張可能な微小球体を含む水性スラリであって、
該スラリは、ゴム類、セルロース類、キチン類、キトサン類、グリカン類、ガラクタン類、ペクチン類、マンナン類、デキストリン類、アクリル酸もしくはその塩を含むモノマから作成された共重合体、アクリル酸のエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、メタクリル酸、そのエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、ゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(ビニルエステル)および共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイド、ポリウレタン、および、アミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物、および、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂から成る群から選択された少なくとも部分的に水溶性のポリマを更に含む、水性スラリ。
【請求項2】
前記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、硫酸塩、スルホン酸塩および四級アンモニウム基の内の一個以上の官能基により置換されたポリマから成る群から選択される、請求項1記載の水性スラリ。
【請求項3】
前記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、CMC、EHEC、グアルゴム、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂、アクリル酸と他のモノマとの共重合体、および、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリ(ビニル・アルコール)およびポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイドの単独および共重合体から成る群から選択される、請求項1または2に記載の水性スラリ。
【請求項4】
前記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、少なくとも約500の平均分子量を有するポリマから成る群から選択される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項5】
当該スラリのpHは少なくとも約2.5である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項6】
前記微小球体の熱可塑性ポリマ・シェルは、ハロゲン化ビニリデン・モノマを含むエチレン性不飽和モノマからの共重合体から作成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項7】
約20〜約55重量%の膨張可能微小球体を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項8】
約0.1〜約15重量%の少なくとも部分的に水溶性のポリマを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項9】
前記粘度は25℃にて約150〜約1000mPasである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水性スラリ。
【請求項10】
熱可塑性ポリマ・シェルと該シェル内に捕捉された推進剤とを含む熱的に膨張可能な微小球体の水性スラリに対して少なくとも部分的に水溶性のポリマを添加する段階を含み、
上記少なくとも部分的に水溶性のポリマは、ゴム類、セルロース類、キチン類、キトサン類、グリカン類、ガラクタン類、ペクチン類、マンナン類、デキストリン類、アクリル酸もしくはその塩を含むモノマから作成された共重合体、アクリル酸のエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、メタクリル酸、そのエステルもしくはアミドを含むモノマから作成された単独および共重合体、ゴムラテックス、ポリ(塩化ビニル)および共重合体、ポリ(ビニルエステル)および共重合体、ポリ(ビニル・アルコール)、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレン/ポリプロピレン・オキサイド、ポリウレタン、および、アミノ樹脂およびフェノール樹脂の事前縮合物、および、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂から成る群から選択される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスラリを調製する方法。
【請求項11】
紙材または不織布の製造においてそのバルクを増大するための、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスラリの使用。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱的に膨張可能な微小球体を含むスラリを、繊維を含む原料に対し、または、繊維のウェブに対して添加する段階と、
上記原料または上記ウェブから紙材または不織布を形成する段階と、
熱を付与することにより、上記微小球体が膨張することで上記紙材または不織布のバルクを増大するに十分な様に上記微小球体の温度を上昇させる段階とを含む、繊維から紙材または不織布を製造する方法。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱的に膨張可能な微小球体を含むスラリを、セルロース繊維を含有する原料に対して添加する段階と、
上記原料を網体上で脱水して紙材を得る段階と、
熱を付与することにより、上記紙材を乾燥すると共に、上記微小球体が膨張することで上記紙材のバルクを増大するに十分な様に上記微小球体の温度も上昇させる段階とを含む、紙材を製造する方法。

【公表番号】特表2008−525570(P2008−525570A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548137(P2007−548137)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001822
【国際公開番号】WO2006/068574
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(595024087)アクゾ ノーベル エヌ.ブイ. (38)
【Fターム(参考)】