説明

化学組成物分析器

本発明は、通常、共有結合を有する化学的性質に基づいた製品の成分濃度を測定するアプリケーションに対する近赤外(NIR)分光計の使用に関する。このような成分の製品は、液状またはコロイド溶液の脂肪、水分、タンパク質などでもよい。より具体的には、本発明は、可動部品のない複数検出器を有するNIR分析器に関する。本発明は、正規化アルゴリズムとともに熱制御を使用し、基準と、少なくとも1のサンプルとの測定同時処理を可能にし、より正確な結果を得ることができる。さらに、本発明は、3次オーバートーン中にNIRを使用する能力を有し、ゴミの流れのない原位置処理を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月26日に出願された米国仮特許出願第60/914,165号「有機組成物分析器」の一部継続出願であり、参照することによって本明細書に組み込み、その優先日の利益を享受する。
【0002】
本発明は、複合性の検出器とともに1つの広域スペクトル光源を使用して、化学および有機生成物の組成物濃度を測定するアプリケーションに対する近赤外(NIR)分光法の使用に関するものであり、これによって、サンプルおよび基準の測定は、実質的に同時になされる。
【背景技術】
【0003】
分光法または相対分光法として周知な分光光度法は、サンプル中の各種組成物のサンプル量を測定するために長い間使用されてきた。分光法の背景にある原理は、例えば、水素、窒素および炭素結合など、各種波長の光がサンプルを通過するときに、成分化学組成中の所定の特徴的な結合が、各種波長の光を吸収および/または散乱することである。反射、透過および吸収など、分光法で一般的に使用される方法論がいくつかある。
【0004】
当分野において通常、反射分光法が使用されるのは、食品加工産業でみられるサンプルの不透明性に起因している。ほとんどのプロセッサは、透過率が低い1400nm以上の2次オーバートーン(overtone)スペクトルを使用する。透過分光法は、3次オーバートーンとしても周知なように、650〜1400nm間の範囲のより短い波長透過率で、より正確な結果を提供することができる。3次オーバートーンは、広域スペクトル光源を用いることによって、透過に関して使用可能である。測定されるべき各種成分の濃度検出を検出できるように、上記短波長を用いて広域スペクトルに亘って必要な精度を得るための挑戦が行われた。従って、3次オーバートーンについての有用な透過分光法を可能にする方法論および装置を提供する必要性がある。
【0005】
この目的を達成するための1つ挑戦は、広域スペクトルに亘る光子−電子変換を極めて精密なプロセスで行うことであり、このプロセスは、閾値電圧または電流に変化を生じさせる電子部品中の迷走電流または温度勾配など、最小のエラー源によって狂う可能性がある。本発明が所望の精度で機能するために、全ての素子(pixel)波長に一般的に反応性があるように、複合式光学ベンチの温度の厳密な制御が維持されるべきである。
【0006】
この点に関して、先行技術の解決法は、信号光源を送る物理的に開閉する光学スイッチを介して光源を送り、基準(reference)を介して信号光源を光学ベンチに送り、次いで、スイッチングして、サンプルを通り元の光学ベンチに戻るように光をリダイレクトするシャッターを作動させることである。シリアルプロセシングを用いる上記先行技術の解決法は、扱いにくく高価であり、摩耗し破損する可能性のある可動部品を必要とする。シリアルプロセシングの例は、Ozanichによる米国特許第6,512,577号にみられ、Ozanichは、光コレクタまたは彼が“光ドクター”と呼ぶものを使用して、基準とサンプルとの間に光源スプリットを有する複数の分光計の使用を開示している。Ozanichによって記載されるようにシリアルプロセッサは、「光源強度および波長出力を直接モニタリングし、温度変化およびランプエージングによって概して生じる周囲光およびランプ、検出器および電子機器のドリフトを補正する光源基準信号を提供する」ための専用の分光計を必要とする。このような専用の分光計なしでは、複数の光学ベンチ間の相対的ドリフトをモニタリングすることが極めて難しいであろう。
【0007】
相対分光学の分野における当業者であれば、相対的ドリフトが減少するときに整合性(integrity)を読みつつ、サンプルを迅速に測定するための並列処理を理解できるであろう。並列読み取りによって、リアルタイムでよりばらつきのない結果になる。別の鍵となる利点は、光サンプリング経路から可動部品を除去することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の分析器は、複数の光学ベンチを使用して、読み取り精度を制御する方法を提供し、温度勾配を除去し、スペクトル分析用の並列プロセシングを可能にするように電子機器をより的確に補正する。この装置および方法論は、用途によって必要とされるときに、2またはそれ以上の光学ベンチに適用可能である。各々の光学ベンチに亘ってばらつきのない温度は、よりばらつきのない結果を提供し、光学ベンチまたはベンチの環境を厳密に制御するとともに、許容可能温度範囲内で、ケーシング内の温度を制御することによって達成される。これは、例えば、ケーシング内よりも約10〜20°F高くてもよい光学ベンチまたはベンチなど、高感度電子機器において、十分に制御されているがより高い温度を維持することによってなされる。一般的な例では、光学ベンチの温度を制御および維持することができる熱管理システムを介して、ケーシング内の温度95°Fと、光学ベンチ上の温度115°Fとを維持する。
【0009】
光学スイッチを必要とするシリアルプロセシングとは逆に、光学スイッチを除去することによって、サンプルと基準の両方が、並列で仮想的に読み取り可能になる。このような改善は、全体のプロセス時間が先行技術の方法を使用した場合の30秒から約5秒またはそれ以上に低減されることにみられる。
【0010】
サンプルへのより深い挿入によって、3次オーバートーンの透過読み取り値を読み取ることができるようになったことで達成され、サンプルを引きよせ、または、プロセスフローを測定するためにゴミの流れを迂回させる代わりに、原位置(in situ)で読み取りを行う能力が向上する。
【0011】
従って、本発明は、複数の光学ベンチを有することによって、シークエンシャルプロセシングのかわりに、並行プロセシングを可能にし、よりばらつきのない結果を得ることである。
【0012】
本発明の別の目的は、リアルタイムで測定して、ばらつきのない測定値を計算することである。
【0013】
本発明の別の目的は、他の波長も使用できる一方で、3次オーバートーンで透過方法を補助することである。
【0014】
本発明の別の目的は複数のレセプター間で同時に1つの光源を使用することである。
【0015】
本発明の別の目的は、原位置での測定を可能にし、ゴミの流れを排除することである。
【0016】
本発明の別の目的は、生成物の複数組成物を測定する手段を1のモジュールに提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、複数の組成物の値を同時に測定する能力を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、持ち運び可能な装置を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、測定用の大きなパス長を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、NIR測定システムから可動部品を除去することである。
【0021】
本発明の別の目的は、製造および保守が困難なカスタマイズ電子機器を除去することである。
【0022】
本発明の別の目的は、分光計の光学ベンチを熱制御するための方法を使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の完全な理解は、以下の詳細な説明と合わせて検討されるとき、添付の図面を参照することによって得られる。
【図1】図1は、本発明の有機体組成物分析器の概略図である。
【図2】図2aおよび図2bは、スプリッタの実施例の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の光ケーブルの概略図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例の光学ベンチの熱管理システムについての電子機器の概略図である。
【図5】図5aは、本発明の一実施例の熱管理システムの正面図である。図5bは、加熱器要素およびスペーサーブロックの上面図である。
【図6】図6は、本発明の装置を用いた水分含有量読み取り値のスペクトル例を示すグラフである。
【図7】図7は、複数のスペクトル例を示すグラフであり、これらのスペクトルは、サンプルパスを通るベースライン読み取り値と、本発明の装置を使用したクリームチーズに対する読み取り値を示している。
【図8】図8aおよび図8bは、加熱器制御回路の概略図を示すものである。
【図9】図9aおよび図9bは、スプリッタの側面図および上面図を示すものである。
【図10】図10aおよび図10bは、サンプルホルダアッセンブリの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ケーシング11内の化学組成物濃度を測定する複数分光計装置の概略的ブロック図を示す。好適な実施例においては、電力供給装置82は、通常、500〜1200nmの範囲の光源10を出力する。他の実施例では、異なる波長の光を含んでもよく、これらの異なる波長は、広域スペクトルを形成するLEDまたは複数のLED構成など、他の光源から得られる広域スペクトルを用いた精密な透過を可能にする。光源10からの光を、スプリッタ13に通し、スプリッタ13は、未フィルタリングの光をディレクタジャンクション16に送り、残りの光を、要求に応じ、フィルタ12を通す。フィルタを使用した光のチューニングは、省略可能であり、あるいは、当分野の当業者が決定するように使用されてもよい。スプリッタ13は、光ファイバまたは他の適宜なケーブル内に導入される接続カップリング部14内に未フィルタリングの光を調節し、接続カップリング部を介し、光はディレクタージャンクション16に送られる。ディレクタージャンクション16は、読み取りのためにサンプルを保持するプロダクトサンプルホルダアッセンブリ30を介し、サンプルへのパス18に沿って光をルーティングする機能を果たし、さらに、リターンパス22に沿ってディレクタージャンクション16へと光をルーティングする。ディレクタジャンクション16からの光信号は、スプリッタジャンクション24を通り、光学ベンチ入力ノード26に送られ、そこで、サンプル光学ベンチ34と接続される。同時に、フィルタリングされた光は、基準光学ベンチ32に信号をルーティングする基準ケーブル15に沿って進み、対応するリアルタイムベースライン信号を得て、そこからサンプル信号が処理される。
【0025】
基準ベンチ光システム32およびサンプルベンチ光システム34の双方は、熱管理システム40と結合しており、光子−電子変換を行い、さらなる処理のための電気信号にスペクトル光信号をチューニングする。熱管理システム40の目的は、複数の光学ベンチに沿って実質的に同一な温度を維持することである。熱管理システムは、ストレイ熱損失を調節し、さらに、周囲環境から熱管理システムを分ける絶縁ハウジングから構成されてもよい。
【0026】
光学ベンチシステム32および34は、光信号から電気信号に信号を変換した後、電気信号は、プロセシングのために基準分光計60および64にそれぞれルーティングされる。一般的に、このステップは、アナログ/デジタル(A/D)変換器62および66に、各々のアナログ信号を送り、上記変換器で、アナログ信号を各々のデジタル信号に変換するステップを用いることを含んでもよい。通信インターフェース70または71は、基準出力72またはサンプル出力74にそれぞれ信号を変換する。次いで、出力信号を、ネットワーキングハブまたはUSBハブまたは同様のデバイスでもよいデータハブにマージさせてもよく、ここで、それらは、計量化学用プロセッサ80と接続する準備ができている;計量化学用プロセッサは、データの意味ある分析を行い、それをユーザインターフェースに中継するために、意志を決定するのに十分な能力を有するマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ASIC、ホストコンピュータなどでもよい。
【0027】
他の実施例においては、概略図に記載されているオリエンテーションおよびコンポーネントは、複数のサンプリングに対応するように設計可能であり、これによって、いくつかのサンプルは、互いに同時、および、基準または複数の基準とともに並行して測定可能である。
【0028】
筐体冷却ユニット86は、ケーシング11内の電子機器を冷却するように作用する。好適な一実施例においては、ケーシング11内の温度は、約80°〜95°Fで維持される。熱管理システム40用の加熱器要素50は、実質的に一定の温度115°F±0.5°Fで維持される。これは、筐体冷却ユニット86によって保持されるケーシング11内の比較的低温に部分的に起因して実現可能である。他の実施例は、熱管理システム40内の熱散逸を阻止する目的と一致する代替温度範囲を含んでもよく、各種回路が異なる負荷サイクルで実行されている場合でも、複数の光学ベンチに亘って温度差が最小となるよう回路ジャンクションに余剰熱を供給する。回路ジャンクション温度の厳密な制御は、逆バイアスp−nジャンクション漏れ、ゲート漏れなどに関連している場合が多い漏れおよび漂遊電流を制御する。
【0029】
図2aは、スプリッタ13の実施例の内部の斜視図である。光源10は、スプリッタ13の内側面に向けられている。好適な実施例においては、光はフィルタ経路19でフィルタ12を通りフィルタリングされ、ここで、所定の波長は、光が基準ケーブル15に沿って基準光学ベンチ32まで進む前に、フィルタリングされる。光源10からの光は、ケーブル接続経路23に入り、光ファイバまたは他の適宜なケーブルに入る接続カップリング部14内へと進み、光は、本明細書で記載するように、ディレクタージャンクション16を介してサンプルに向かって進む。好適な実施例においては、光源10とスプリッタ13の内側面との間のギャップを調節して、光源10の焦点をケーブル接続経路23の開口部内に調整(align)し、サンプルに対して送られる光の強度を上げる。測定精度を上げるための他の実施例は、光源10と開口部との間のスプリッタのギャップを調節するステップと、経路23に沿って使用されるケーブルを調節するステップと、光源10の焦点を調節するステップとを具える。
【0030】
図2bは、スプリッタ13の好適な実施例の内部の斜視図であり、光源は、2つのフィルタ経路19とケーブル接続経路23との間でスプリットされている。他の実施例は、少なくとも1の光源が、複数のフィルター経路またはケーブル接続経路23間でスプリットされる。
【0031】
図9aは、本明細書に記載されるように、光源10がフィルタ経路19およびケーブル接続経路23に向いているスプリッタ13の好適な実施例の側面図である。図9bは、本明細書に記載されるように、光源10がフィルタ経路19およびケーブル接続経路23に向いているスプリッタ13の上面図である。光は、フィルタ経路19に沿って進む前にフィルタ12を通る。
【0032】
図3は、好適な実施例に使用される光ケーブル要素を示す斜視図である。通常、接続カップリング部14は光ファイバケーブルであり、この光ファイバケーブルは、好適には最大5%の破断繊維を有するホウ素ケイ酸塩ファイバから構成され、作動中にみられるケーブルの動きおよび振動による光偏向に影響されないほど十分に大きな直径を有し、ディレクタージャンクション16を通りルーティングされ、このディレクタージャンクション16は、ケーブル束17内にケーブルを送り、サンプルへのパス18に沿って測定ロッド20に入るように機能し、測定ロッド20は、プロダクトサンプルホルダーアッセンブリ30内に挿入可能であり、プロダクトサンプルホルダアッセンブリ30は、一般的に、レシーブ用カラー、サンプルホルダ、または、アッセンブリ内に収容され、ここにサンプルをみることができる。選択された測定ギャップ21は、選択されたサンプルの不透明度の関数であってもよい。当分野の当業者であれば、対象となるサンプルの特性についてギャップを調整可能である。
【0033】
光は、サンプルホルダアッセンブリ30中にみることができる測定ギャップ21を通り、1つの測定ロッド20から対向する測定ロッド20まで送られると、光は、リターンパス22に沿って進み、最終的に、スプリッタジャンクション24を介してスプリットされ、光学ベンチ入力ノード26まで進む。予想される光ケーブルの代替の実施例では、複数のサンプルが測定され、代替ケーブルパスは、本明細書に記載に従ってルーティングがなされるように使用される。
【0034】
図10aおよび10bは、どのようにプロダクトサンプルホルダアッセンブリ30がサンプルの原位置での測定に使用されるかについての例として、プロダクトサンプルホルダアッセンブリ30の側面図を示す。一般的に、プロダクトサンプルホルダアッセンブリ30の周辺部は、パイプセクションによって形成されており、このパイプに沿って、サンプルがとられるプロダクトが形成される。この方法および関連する装置におけるサンプルは、多種多様な化学物質、多くの場合、有機物、そして頻繁に、乳製品、飲料または副産物などの食品、から得ることができる。アッセンブリ30の好適な実施例は、304ステンレススチールまたは食品への直接接触に適した同様の材料から構成される。測定ロッド20は、分析器に接続された光ケーブルに取り付けられ、図10bに示されるように管状のアライメント構造25に挿入されることによって、アッセンブリ30内に配置される。取付用カラー27は、アライメントをとる補助をして、アッセンブリ30内へのロッド20の挿入を誘導管理する。O−リングまたは同様のデバイスでもよい取付用ロッドシール28が、さらにサンプルチャンバにはまって密閉するように設けられ、光がアッセンブリ30内に漏れるのを回避する。管状アライメント構造25の露出した端部は、テフロン(登録商標)、または通常、優れた耐久性と光伝達能力を有する硬化プラスチックなど、適宜な物質から形成された密閉(sealed)レンズに合わされ、これは、外部環境にみられる汚染から、食物などのスペクトルサンプルを保護するように気密(hermetic)シールとして作用する気密レンズ29を形成し、これにより、サンプル読み取りをアッセンブリ30の内部で行うことができる。ロッド20は、ラッチ、タイ(tie)、ストラップ、圧縮継手または同様の取付手段など、各種機構によってアッセンブリ30内に取り外し可能に固定される一方で、気密レンズ29は、アッセンブリ30に事実上永久に固定される。これによって、プロダクトストリームからプロダクトの流れを崩さずに、その場(in situ)で読み取りが可能となる。
【0035】
他の実施例は、その場で測定できるようにサンプルを固定するように、プロダクトホルダー、トラップまたは同様のデバイスでギャップ21を置換可能である。
【0036】
図4は、どのようにケーシング11の温度および熱管理システム40が調節されるかについて、電気配線図の一実施例を示す。電源82は、光源10、熱管理システム40の温度制御部48、筐体冷却ユニット86および関連のサーモスタット87ならびに熱電気冷却器88に電圧を供給する。このような回路は、熱管理システム40の温度に対して筐体冷却ユニット86のサーモスタットを調節することによってケーシング11内の温度を独立に制御することができる。
【0037】
図8aは、温度制御部48に関連した加熱器制御回路の記号図である。図8bは、温度制御部48に関連した加熱器制御回路に使用されるデバイスの電気図である。
【0038】
図5aにおいて、熱管理システム40の実施例は、加熱器要素50と結合した温度制御部48を含む。加熱器要素50の目的は、十分に局所的な熱を提供することであり、基準32およびサンプル34によって生成される熱が加えられるとき、約115°Fの一定温度に保ち、冷却を十分に打ち消すことができる。好ましくは、アルミニウム、銅または他の熱伝導材料から構成されるスペーサーブロック54は、光学ベンチ32および34用の背面を提供し、スペーサーブロック54および幅広取付用ブラケット42を通り光学ベンチ32および34を加熱する加熱器要素50に結合される。バブルラップで被覆されたホイルなど、断熱材44は、加熱器幅広サブアッセンブリの周りにラップされるか、またはパックされる。次いで、アッセンブリ全体は、アッセンブリを互いに保持するために、収縮包装でもよいケース46に封入される。幅広取付用ブラケット42は、ケース46内に大まかに閉じ込められた温度制御部48によって調節されるように、基準光学ベンチ32とサンプルオプティカルベンチ34との間の熱の分散を促進する適宜な材料から構成される。当分野における当業者であれば、上記要素などから構成される加熱器57、抵抗温度デバイス56、および、温度の均等分布を保つための加熱器要素50とスペーサーブロック54とを有する温度制御部48を用いることによって、光学ベンチ32および34に沿って共通の基準温度を形成する手段がいくつかあり、これらは、本発明の範囲から逸脱するものではないことを理解されたい。限定するものではないが、より少数のサンプルおよび基準ベンチを互換性のあるグループに分けるか、あるいは結合させてもよい。
【0039】
好適な実施例において、熱管理システム40の温度は、ケース11の相対周囲温度よりも高く維持することができ、ケーシング11内の熱管理システム40に熱が残り、ここで、熱は、筐体冷却ユニット86によってケース11から取り除くことができる。制御部の断熱材44によって、実質的に一定に内部の温度が保たれる。検出器の感度は、光学ベンチ32および34に亘って温度変化を最小限にすることによって制御され、よりばらつきのない精密な結果を得ることができる。システム40から外側に熱を押しやることで、ベンチ32および34の温度を制御およびバランスする能力を促進する。
【0040】
スペーサーブロック54の導電特性は、ベンチ32および34に亘って温度安定性および均一性を実質的に促進する熱エネルギの優れた伝達を可能とするように、サーマルペーストまたはゲルの使用によって改良可能である。このことによって、1つの光学ベンチ上の回路のジャンクション温度が、同一光学ベンチ内の別の回路のジャンクション温度と実質的に同一であり、均一なディテクタ要素感度となることが保証される。
【0041】
図5bは、通常の加熱器57の相対的レイアウトを示しており、この加熱器57は、スペーサーブロック54中のキャビティに挿入された抵抗温度デバイス56を具える加熱手段から構成される。図5cに示されるように加熱器要素50は、熱拡散を促進するために、抵抗熱デバイス56およびスペーサーブロック54と結合される。抵抗温度デバイス56および加熱器要素は、加熱器ワイヤ51または抵抗熱デバイスワイヤ53を介し、温度制御部48と接続される。当分野の当業者であれば、本発明の意図から逸脱することなく、この熱管理システム40を実施する多くの方法があることを理解されたい。
【0042】
図6および図7は、当業者によって理解可能な本発明の各種中間出力を示す。図6は、水分吸収スペクトルを示し、図7は、サンプル読み取り90および基準読み取り92を比較するための波長あたりのカウント結果を示す。このような読み取りを化学計量プロセッサ80についての入力値としてもよい。
【0043】
図8aおよび図8bは、加熱器制御回路の概略図を示す。抵抗温度デバイス56および加熱器57は、電力供給装置82が電力供給する温度制御部48によって制御される。
【0044】
[結論、分岐および範囲]
本発明は詳細に記載されているが、当分野の当業者であれば、最も広い形態において、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、種々の変形、置換および変更がなされることを理解されるであろう。本発明は、開示の目的で選択された実施例に限定されるものではなく、本発明の真の意図および範囲から逸脱しない全ての変形および修飾を包含する。
【0045】
例えば、測定における波長領域は、測定するべき成分ならびに原位置で1つ1つサンプル処理する用途に基づいて、用途ごとに変更してもよい。
【0046】
本発明に記載されるように、Letters Patentによって保護されようとするものは、添付の特許請求の範囲に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学組成の特徴を測定する分析器において、
vi)制御されたビームを射出する手段と、
vii)前記制御されたビームから同時に得られる複数のスプリットビームを形成し、且つ少なくとも1の前記化学組成のサンプルと、少なくとも1の基準とを通る前記スプリットビームを送る手段と、
viii)前記サンプルまたは前記基準の少なくとも一方からスプリットビームを測定する複数の光学ベンチと、を具え、
ix)各々の前記光学ベンチが、前記スプリットビームの所定の波長で、前記ビームの強度を測定する個々の前記スプリットビームと調整され、これにより各々の測定値が、電気信号に変換され、
x)各々の前記電気信号を得て、当該電気信号から判定を行う処理手段とを具え、
これにより、前記判定が実質的に同時に前記処理手段よってなされることを特徴とする分析器。
【請求項2】
前記サンプルが炭素および水素化学結合の少なくとも一方を更に具えることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記サンプルが食品であることを特徴とする請求項2に記載の分析器。
【請求項4】
前記分析器がケーシング内に封入された高感度電子機器を更に具え、当該高感度電子機器の温度は、前記ケーシング内の温度よりも高く制御された温度であることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項5】
前記高感度電子機器の制御された温度が、前記ケーシング内の温度よりも少なくとも10°F高いことを特徴とする請求項4に記載の分析器。
【請求項6】
前記高感度電子機器の制御された温度が、±0.5°Fの実質的に一定の温度範囲で維持されることを特徴とする請求項5に記載の分析器。
【請求項7】
前記分析器が透過分光計を使用することを特徴とする請求項5に記載の分析器。
【請求項8】
前記透過分光計が3次オーバートーンを使用することを特徴とする請求項7に記載の分析器。
【請求項9】
少なくとも1の前記スプリットビームのパスが、当該パスにおいて、前記制御されたビームを調節するフィルタを更に具えることを特徴とする請求項4に記載の分析器。
【請求項10】
サンプルまたは基準の少なくとも一方からの照度を測定する前記光学ベンチは、基準光学ベンチおよびサンプル光学ベンチの少なくとも一方を更に具えることを特徴とする請求項9に記載の分析器。
【請求項11】
前記フィルタが、前記制御されたビームから所定の波長を分離することを特徴とする請求項10に記載の分析器。
【請求項12】
各スプリットビームを測定する前記光学ベンチが、光子・電子変換を提供することを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項13】
前記複数の光学ベンチが熱管理システムと結合されることを特徴とする請求項12に記載の分析器。
【請求項14】
前記熱管理システムが、前記光学ベンチに亘って実質的に同一かつ制御された温度を維持するための温度制御部を更に具えることを特徴とする請求項13に記載の分析器。
【請求項15】
前記熱管理システムの温度が、前記ケーシング内の温度よりも高い温度で維持されることを特徴とする請求項14に記載の分析器。
【請求項16】
前記電気信号を処理信号に変換する前記処理手段が、基準分光計、基準アナログ/デジタル変換器および基準通信インターフェースを使用して、基準光学ベンチからの前記電気信号をデジタル基準出力に変換することを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の分析器。
【請求項17】
電気信号を処理信号に変換する前記処理手段が、サンプル分光計、サンプルアナログ/デジタル変換器およびサンプル通信インターフェースを使用して、サンプル光学ベンチからの電気信号をデジタル信号出力に変換することを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の分析器。
【請求項18】
前記データが、計量化学用プロセッサによって処理されることを特徴とする請求項17に記載の分析器。
【請求項19】
前記計量化学用プロセッサは、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ASIC、ホストコンピュータなどによって実行されるコンピュータプログラムを具えることを特徴とする請求項18に記載の分析器。
【請求項20】
前記デジタル基準出力および前記デジタルサンプル出力は、正規化アルゴリズムを用いて実質的に同時に処理されることを特徴とする請求項18に記載の分析器。
【請求項21】
前記サンプルは、プロダクトストリームの流れを崩さずに分析されることを特徴とする請求項20に記載の分析器。
【請求項22】
分光計の使用方法において、
iv)広域電磁スペクトルを有する光源を提供するステップと、
v)前記光源を複数の光信号にスプリットし、同時に、少なくとも1のサンプルと基準とを介して測定を行う複数の光学ベンチに前記光信号を送るステップと、
vi)光信号からの前記測定の各々をプロセッサと互換性のある形式に光学ベンチ変換するステップと、を具え、
前記光学ベンチからの分析が、実質的に同時になされることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記光源が、範囲650〜1150nmの波長を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複数の光学ベンチを有し、前記熱管理システムが、断熱ハウジングと熱源を提供し、前記光学ベンチの間の実質的に同一な温度を維持することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
プロダクトストリームからのプロダクトの流れを崩さずに、プロダクトストリーム中を流れるプロダクトのサンプルの読み取り値を測定するための測定ロッドホルダアッセンブリであって、
i)プロダクトが沿って流れるパイプセクションによって形成される周辺部と、
ii)一対の管状アライメント構造であって、各々がパイプセクションに固定される挿入端部と、シールされるインターフェース部とを有し、さらに、測定ロッドまたは同様の測定デバイスを収容するのに十分に大きいキャビティを有し、これにより、前記測定ロッドが光ケーブルを収容する管状アライメント構造と、を具え、
iii)各々の前記シールされるインターフェース部が、当該シールされるインターフェース部と各々の前記キャビティとの間に気密性シールを提供し、
iv)各々の前記挿入端部が前記測定ロッドのアライメントを誘導管理する取付用カラーを提供し、
v)各々の前記キャビティは、前記測定ロッドと、前記サンプルが前記キャビティに入るのを阻止するためのシーリング手段とを収容する所定の寸法からなり、
各々の前記管状アライメント構造は、前記シールされるインターフェース部が所定の幅で互いに向き合い、測定ギャップを形成するように結合され、各々の前記管状アライメント構造が、実質的に同一の軸に沿って存在することを特徴とする測定ロッドホルダアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−525368(P2010−525368A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506360(P2010−506360)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/057415
【国際公開番号】WO2008/134134
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509291286)イーエスイー インク. (1)
【Fターム(参考)】