説明

化粧壁の形成方法およびレール部材

【課題】外観性に優れ、部屋の壁面に対して化粧壁を広く形成することが可能な化粧壁の形成方法およびレール部材を提供することを目的とする。
【解決手段】部屋1の壁面2に、レール部材12(13)を上下に所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、複数の下地板材14を左右に隣接配置して化粧壁下地11を形成し、この化粧壁下地11の表面全面に、この化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を貼り付け、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断してから剥がす化粧壁10の形成方法。また、化粧壁10を形成する際に使用されるレール部材12(13)。これにより、化粧シートによって左右に隣接する下地板材どうしの継ぎ目を容易かつ確実に隠すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の壁面に化粧壁を形成する化粧壁の形成方法および化粧壁を形成する際に使用されるレール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁に横方向にパネル連結用のレール部材を複数本取り付けて該レール部材間にパネルを取り付けた壁構造についての技術が知られており、このような壁構造においては、前記レール部材に形成された係止溝部に棚板の係止手段を係止することによって、前記レール部材の前方に棚板を設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−139830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載の壁構造で使用されるパネルは、例えば、幅666mm、高さ333mmといった具合に定められた所定の大きさに形成されたものが使用されている。また、パネルの具体的なものとしては、タイル、木彫化粧パネル、コルクボード、ガラス、アクリル、セラミック板等のように、例えば予め化粧が施されたものや、元々外観に優れているために化粧を施す必要がないもの等が使用されている。
ところが、このようなパネルを、部屋の壁一面に広く取り付けたいという要望があった場合に、必ず複数のパネルどうしを左右に隣接させなければならないので、隣接するパネルどうしの継ぎ目が目立ってしまうという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、外観性に優れ、部屋の壁面に対して化粧壁を広く形成することが可能な化粧壁の形成方法およびレール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、化粧壁10の形成方法であり、例えば図1〜図4に示すように、部屋1の壁面2に、この壁面2の幅方向に沿って長尺に形成され、棚板18を受けるためのレール部材12(13)を、上下に所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、複数の下地板材14を左右に隣接して配置することによって、前記壁面2を覆う化粧壁下地11を形成し、
この化粧壁下地11の表面全面に、この化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を貼り付け、その後、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断するとともに、これら複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17のみを剥がすことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、前記部屋1の壁面2に形成した化粧壁下地11の表面全面に、この化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を貼り付け、その後、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断するとともに、これら複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17のみを剥がすことから、この化粧シート17によって前記左右に隣接する下地板材14どうしの継ぎ目を容易かつ確実に隠すことができるので、外観性に優れる。そして、前記上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、複数の下地板材14を左右に隣接して配置することによって形成された化粧壁下地11の表面全面に、前記化粧シート17を貼り付けるので、前記左右に隣接配置した複数の下地板材14に沿って長尺な化粧壁10を形成することができる。したがって、部屋1の壁面2に対して化粧壁10を広く形成することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載の化粧壁10の形成方法において、
予め前記部屋1の壁面2の下部に幅木3を取り付けておき、この幅木3の上端部に前記化粧壁下地11の下端部が位置するようにして、前記化粧壁下地11を形成していくことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、予め前記部屋1の壁面2の下部に幅木3を取り付けておき、この幅木3の上端部に前記化粧壁下地11の下端部が位置するようにして、前記化粧壁下地11を形成していくので、前記幅木3の上端部を、前記化粧壁下地11を壁面2に形成する際の基準位置として利用できる。これによって、前記化粧壁下地11の壁面2に対する取付位置の特定が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1または2に記載の化粧壁10の形成方法において、
天井6の施工前に前記化粧壁下地11を形成しておき、この化粧壁下地11の上端部よりも下方に位置するようにして天井材6aを設置することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、天井6の施工前に前記化粧壁下地11を形成しておき、この化粧壁下地11の上端部よりも下方に位置するようにして天井材6aを設置するので、例えば前記化粧壁下地11の最上段に位置する下地板材14の上端部を、天井6の高さに合うように切断したり等の手間を省略することができ、より施工性の向上を図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、例えば図3および図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧壁10の形成方法において、
前記複数の下地板材14を、止着材21によって前記壁面2に固定し、その後、前記化粧シート17を前記化粧壁下地11の表面全面に貼り付けることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、前記複数の下地板材14を、止着材21によって前記壁面2に固定し、その後、前記化粧シート17を前記化粧壁下地11の表面全面に貼り付けるので、前記止着材21によって前記複数の下地板材14を、前記壁面2に強固に固定することができ、さらに前記化粧シート17によって、前記下地板材14の表面に露出する止着材21の頭部を容易かつ確実に隠すことができ、より外観性に優れる。
しかも、このように前記複数の下地板材14を、止着材21によって前記壁面2に固定するので、止着材21で前記複数の下地板材14を固定しなかった場合とは異なり、例えば地震等で左右に隣接する下地板材14間に隙間が生じてしまい、これに応じて前記化粧壁下地11の表面に貼り付けられた化粧シート17に亀裂が入ってしまうような事態を確実に防ぐことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、例えば図3〜図5に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧壁10の形成方法で使用されるレール部材12(13)は、このレール部材12(13)の厚さ寸法が、前記壁面2に形成される開口部4に取り付けられ、その奥行き方向両端5aが前記壁面2よりも突出する開口枠5の突出寸法よりも薄くなるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、前記レール部材12(13)の厚さ寸法が、前記開口枠5の壁面2からの突出寸法よりも薄いので、前記壁面2からの突出寸法をより小さくした化粧壁10を形成することができ、さらに外観性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部屋の壁面に形成した化粧壁下地の表面全面に、この化粧壁下地の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シートを貼り付け、その後、複数のレール部材に沿って化粧シートを切断するとともに、これら複数のレール部材の表面に貼り付けられた化粧シートのみを剥がすことから、この化粧シートによって左右に隣接する下地板材どうしの継ぎ目を容易かつ確実に隠すことができるので、外観性に優れる。
そして、上下に隣り合うレール部材のそれぞれの間に、複数の下地板材を左右に隣接して配置することによって形成された化粧壁下地の表面全面に化粧シートを貼り付けるので、左右に隣接配置した複数の下地板材に沿って長尺な化粧壁を形成することができる。したがって、部屋の壁面に対して化粧壁を広く形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本実施の形態における化粧壁10は、図1〜図4に示すように、部屋1の壁面2に、この壁面2の幅方向に沿って長尺に形成され、棚板18を受けるためのレール部材12(13)を、上下に所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、複数の下地板材14を左右に隣接して配置することによって、前記壁面2を覆う化粧壁下地11を形成し、この化粧壁下地11の表面全面に、この化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を貼り付け、その後、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断するとともに、これら複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17のみを剥がすことによって形成されている。
【0018】
ここで、本実施の形態においては、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で建物が構築されており、前記化粧壁下地11が設けられる部屋1の壁もパネルによって形成されている。なお、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0019】
なお、前記パネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、図5に示すように、内部中空な構造となっている。
【0020】
前記化粧壁下地11は、図4に示すように、前記複数のレール部材12(13)および複数の下地板材14の他にも、前記化粧壁下地11の左右側端を見切るための見切材16と、前記複数の下地板材14の裏面と壁面2との間に設けられる補助下地材15とを備えている。
【0021】
前記レール部材12(13)は、前記部屋1の壁面2の幅方向に沿って長尺に形成され、棚板18を受けるためのものであり、上下に所定の間隔をあけて複数配置されている。また、これら複数のレール部材12(13)のうち、前記化粧壁下地11の最下段に設けられるレール部材13は、他のレール部材12とは異なる形状になっている。
【0022】
すなわち、最下段以外のレール部材12は、図2に示すように、前記部屋1の幅方向に沿って長尺に形成されたレール本体12aと、このレール本体12aの表面に形成され、前記棚板18に設けられる係合部20d(後述する)と係合する被係合部12bと、前記レール本体12aの表面に設けられ、前記被係合部12bを介して上下方向にそれぞれ突出する突片12cと、前記レール本体12aの側面視中央付近において上下に突出して形成され、前記下地板材14の上下端部に形成される溝部14a(後述する)に差し込まれる差込部12dと、前記レール本体12aの裏面に設けられ、上下方向にそれぞれ延出して前記壁面2に当接する当接部12eと、この当接部12eの延出方向端部から前記下地板材14の裏面まで突出して、前記下地板材14を前記壁面2から所定間隔離間させるように支持する支持部12fとを備えている。
【0023】
なお、前記被係合部12bは、前記レール本体12aの表面に開口する溝であり、側断面視において前記レール本体12aの表面から、このレール本体12aの中央にかけて、上向きに湾曲するようにして形成されている。
【0024】
一方、上述した異なる形状のレール部材13は、図3および図4に示すように、最下段に設けられるものなので、棚板18を設ける必要が無いため、前記レール部材12のような被係合部12bを備えていない。
また、このレール部材13は、レール本体13aの下面に、幅木3の上端部に当接する幅木当接部13bを備えている。その他にも、このレール部材13は、前記レール部材12と同様に、突片13c、差込部13d、当接部13eおよび支持部13fを備えているが、最下段に設けられるものであるため、上側のみ設けられた状態となっている。
【0025】
さらに、前記レール部材12(13)は、図3〜図5に示すように、このレール部材12(13)の厚さ寸法が、前記壁面2に形成される開口部4に取り付けられ、その奥行き方向両端5aが前記壁面2よりも突出する開口枠5の突出寸法よりも薄くなるように形成されている。つまり、このように、前記レール部材12(13)の厚さ寸法を薄く形成することによって、前記壁面2からの突出寸法をより小さくした化粧壁10を形成することができ、外観性に優れる。
【0026】
そして、前記下地板材14は、前記上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、左右に隣接して配置されている。なお、これら下地板材14を何枚左右に隣接させて配置するかは、部屋1の壁面2の幅寸法によって適宜変更可能であり、所定の長さに切断加工して使用することも可能である。
【0027】
また、これら複数の下地板材14の上端部および下端部には、前記レール部材12(13)の差込部12d(13d)が差し込まれる溝部14aが形成されている。なお、この溝部14aは、前記化粧壁下地11の最上段に位置する下地板材14の上端部が、後述する天井材6aよりも上方に配置されることとなるので、該下地板材14の上端部には形成せずともよい。
【0028】
本実施の形態の下地板材14としては、合板が用いられているが、これに限るものではなく、例えば樹種を変更したり、木片等を合成樹脂で固めたパーティクルボード等を使用してもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、このように本実施の形態の下地板材14として合板等の木材を用いると、木材であるがゆえに長ければ長いほど反りが生じてしまうが、本実施の形態では反りが生じない程度に短めに形成しておくことができるので好ましい。
【0029】
さらに、前記複数の下地板材14の裏面と壁面2との間には、図3および図4に示すように、下地板材14の裏面の上端部近傍および下端部近傍に、前記補助下地材15が設けられている。また、この補助下地材15は、前記下地板材14の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、前記レール部材12(13)の支持部12f(13f)の突出寸法と同様の厚さ寸法を有している。
【0030】
そして、このように前記補助下地材15が前記下地板材14の裏面において長さ方向に沿うように設けられているので、前記複数の下地板材14を安定的に壁面2に固定できるようになっている。しかも、前記レール部材12(13)の支持部12f(13f)の突出寸法と同様の厚さ寸法を有しているので、前記複数の下地板材14の出幅を抑え、前記壁面2からの突出寸法をより小さくした化粧壁10を形成することができ、外観性に優れる。
【0031】
一方、本実施の形態の化粧シート17は、上述したように前記化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさを有している。つまり、前記複数のレール部材12(13)と、これらレール部材12(13)間に配置される複数の下地部材との表面に一気に貼り付けられる大きさを有している。
【0032】
この化粧シート17としては、例えば壁紙クロスであり、ロール状に巻かれたものが使用されている。なお、本実施の形態の化粧シート17の素材としては、例えばビニールでもよく、珪藻土等の天然素材を使用してもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0033】
なお、本実施の形態の化粧シート17は、無地でもよく模様が描かれたものでもよい。例えば、図示はしないが、前記化粧壁下地11の大きさに近い大きさで、かつ連続性を有するイラスト・絵画等をプリントした化粧シート17を用いると、棚板18を設けて物品を収納できる化粧壁10を形成すると同時に、壁面2にイラスト・絵画等を表出させることができるので、利便性とデザイン性とを両立できて好ましい。
【0034】
そして、前記棚板18は、図4に示すように、物品等を載置するための棚板本体19と、この棚板本体19を支持し、前記レール部材12の被係合部12bに係合する係合部20dを備えた棚板支持部材20とからなる。
【0035】
この棚板支持部材20は、前記化粧壁下地11に化粧シート17が貼り付けられて形成された前記化粧壁10の表面に当接する当接部20aと、この当接部20aの下部から、斜め上方に延出して前記棚板本体19を下方から支持する支持部20bと、前記当接部20aの上端部から前方に延出して前記棚板本体19の端部を上方から押さえ込む押さえ部20cと、この押さえ部20cとは反対方向に延出し、斜め上方に湾曲するようにして突出する前記係合部20dとを備えている。
【0036】
次に、前記化粧壁10を形成する方法について詳細に説明する。
【0037】
まずは、部屋1の壁面2の幅寸法を測定し、測定した幅寸法に応じて前記複数の下地板材14の使用枚数や寸法調整を行う。また、前記複数のレール部材12(13)の長さ寸法も、前記壁面2の幅寸法に応じて寸法調整を行っておく。
【0038】
さらに、予め前記複数の下地板材14の裏面の上端部近傍および下端部近傍には、この下地板材14の長さ方向に沿って前記補助下地材15を取り付けておくようにする。
また、前記部屋1の壁面2は、本実施の形態ではパネルで構成されているので、内部が中空の部分がある。そのような箇所には、釘、ビス等の止着材21を中空部分に取り付けても強固な固定状態を確保できる機能を有するアンカー部材21aを、予め前記壁面2の所定の位置に設けておくようにする。
【0039】
また、図3に示すように、前記部屋1の壁面2の下部に、予め幅木3を取り付けておく。そして、この幅木3の上端部に前記化粧壁下地11の下端部が位置するようにして、前記化粧壁下地11を形成していく。すなわち、図4に示すように、前記複数のレール部材12(13)のうちの異なる形状のレール部材13を、このレール部材13の幅木当接部13bを前記幅木3の上端部に当接させるようにして設ける。
なお、図示はしないが、必ず前記幅木3の上端部に前記化粧壁下地11の下端部が位置するので、壁内に止着材21を取り付けるための芯材を予め内蔵させてもよい。
【0040】
すなわち、前記幅木3の上端部を、前記化粧壁下地11を壁面2に形成する際の基準位置として利用することができる。これによって、前記化粧壁下地11の壁面2に対する取付位置の特定が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
また、このように前記幅木3によって取付位置の特定ができるので、例えば部屋1のリフォーム時に化粧壁10を設ける際にも好適である。つまり、既存の幅木を取り外さずにそのまま使用することができるので、既存の幅木の取り外しに係る手間を省略することができる。
【0041】
続いて、前記レール部材13の差込部12dを、前記下地板材14の下端部の溝部14aに差し込むようにして、最下段の下地板材14を前記レール部材13の上方に設ける。また、前記下地板材14は、前記壁面2の幅方向に沿って左右に複数隣接して配置していく。
さらに、最下段の下地板材14の上端部の溝部14aに、前記レール部材12の下側の差込部12dを差し込むようにして、最下段の下地板材14の上方にレール部材12を設け、さらにその上に、次の下地板材14を左右に複数隣接させながら設けていく。
【0042】
なお、前記複数の下地板材14は、図3および図4に示すように、止着材21によって前記壁面2に固定している。これにより、前記止着材21によって前記複数の下地板材14を、前記壁面2に強固に固定することができる。
さらに、このように前記複数の下地板材14を、前記化粧シート17を貼り付ける前の段階で、前記止着材21によって固定するので、前記化粧シート17によって、前記下地板材14の表面に露出する止着材21の頭部を容易かつ確実に隠すことができ、外観性に優れる。
【0043】
しかも、このように前記複数の下地板材14を、止着材21によって前記壁面2に固定するので、止着材21で前記複数の下地板材14を固定しなかった場合とは異なり、例えば地震等で左右に隣接する下地板材14間に隙間が生じてしまい、これに応じて前記化粧壁下地11の表面に貼り付けられた化粧シート17に亀裂が入ってしまうような事態を確実に防ぐことができる。
【0044】
以上のような手順で作業を進めていき、前記化粧壁下地11の最上段に位置する下地板材14までを、前記止着材21によって壁面2に固定することによって、前記化粧壁下地11を壁面2に形成することができる。その後、前記化粧壁下地11の左右側面には、前記見切材16をそれぞれ取り付けておくようにする。
【0045】
そして、この化粧壁下地11は、部屋1の天井6の施工前に形成しておくようにし、天井6を施工する際は、この化粧壁下地11の上端部よりも下方に位置するようにして前記天井材6aを設置する。
これにより、例えば前記化粧壁下地11の最上段に位置する下地板材14の上端部を、天井6の高さに合うように切断したり等の手間を省略することができるので、施工性の向上を図ることができる。
【0046】
なお、図1に示すように、前記化粧壁下地11の最上段に位置する下地板材14と、前記天井材6aとの交点に、前記天井6の周囲を廻るようにして回り縁6bを設けるようにしてもよい。
【0047】
続いて、以上のように形成された化粧壁下地11の表面前面に前記化粧シート17を貼り付けていく。その後、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断するとともに、これら複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17のみを剥がす。
【0048】
なお、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断する際は、例えば図2に示すように、前記化粧シート17の表面と、前記レール部材12の表面が連続性を有するように、前記複数のレール部材12の突片12cに沿ってカッター等によって切断していく。前記レール部材13も同様に、前記突片13cに沿ってカッター等によって切断していく。
【0049】
さらに、前記複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17を剥がす際は、化粧シート17を貼り付けるための接着剤等が乾く前に剥がしてしまい、複数のレール部材12(13)の表面に付着した接着剤は確実に拭き取る。または、予め複数のレール部材12(13)の表面に接着剤の付着を防ぐ防護シール等を設けておいてもよい。
【0050】
その後、前記複数のレール部材12の被係合部12bに、前記係合部20dを係合させるようにして棚板18を複数設ける。これら複数の棚板18の取付位置は、図1に示すように任意であり、棚板18だけに限られず、前記被係合部12bに係合可能な部材を用いて、種々のものを化粧壁10に設けるようにしてもよい。
【0051】
本実施の形態によれば、前記部屋1の壁面2に形成した化粧壁下地11の表面全面に、この化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を貼り付け、その後、前記複数のレール部材12(13)に沿って化粧シート17を切断するとともに、これら複数のレール部材12(13)の表面に貼り付けられた化粧シート17のみを剥がすことから、この化粧シート17によって前記左右に隣接する下地板材14どうしの継ぎ目を容易かつ確実に隠すことができるので、外観性に優れる。
そして、前記上下に隣り合うレール部材12(13)のそれぞれの間に、複数の下地板材14を左右に隣接して配置することによって形成された化粧壁下地11の表面全面に、前記化粧シート17を貼り付けるので、前記左右に隣接配置した複数の下地板材14に沿って長尺な化粧壁10を形成することができる。したがって、部屋1の壁面2に対して化粧壁10を広く形成することが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態の化粧壁10は、前記複数の下地板材14の枚数調整や長さ寸法の切断調整を行うことができるだけでなく、前記化粧壁下地11の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シート17を用いているので、どのような幅寸法の部屋1の壁面2であっても対応することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る化粧壁を備える部屋を示す斜視図である。
【図2】レール部材の近傍を示す拡大側断面図である。
【図3】化粧壁を示す側断面図である。
【図4】化粧壁下地の分解斜視図である。
【図5】開口部近傍における化粧壁と開口枠の納まりを示す平断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 部屋
2 壁面
10 化粧壁
11 化粧壁下地
12 レール部材
13 レール部材
14 下地板材
17 化粧シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁面に、この壁面の幅方向に沿って長尺に形成され、棚板を受けるためのレール部材を、上下に所定の間隔をあけて複数配置するとともに、これら上下に隣り合うレール部材のそれぞれの間に、複数の下地板材を左右に隣接して配置することによって、前記壁面を覆う化粧壁下地を形成し、
この化粧壁下地の表面全面に、この化粧壁下地の表面全面を被覆可能な大きさに形成された化粧シートを貼り付け、その後、前記複数のレール部材に沿って化粧シートを切断するとともに、これら複数のレール部材の表面に貼り付けられた化粧シートのみを剥がすことを特徴とする化粧壁の形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧壁の形成方法において、
予め前記部屋の壁面の下部に幅木を取り付けておき、この幅木の上端部に前記化粧壁下地の下端部が位置するようにして、前記化粧壁下地を形成していくことを特徴とする化粧壁の形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化粧壁の形成方法において、
天井の施工前に前記化粧壁下地を形成しておき、この化粧壁下地の上端部よりも下方に位置するようにして天井材を設置することを特徴とする化粧壁の形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧壁の形成方法において、
前記複数の下地板材を、止着材によって前記壁面に固定し、その後、前記化粧シートを前記化粧壁下地の表面全面に貼り付けることを特徴とする化粧壁の形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧壁の形成方法で使用されるレール部材は、このレール部材の厚さ寸法が、前記壁面に形成される開口部に取り付けられ、その奥行き方向両端が前記壁面よりも突出する開口枠の突出寸法よりも薄くなるように形成されていることを特徴とするレール部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−291469(P2008−291469A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136679(P2007−136679)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】