説明

化粧料容器

【課題】多大なコスト上昇を招くことなく、中皿収容凹部に収容された中皿に加わる衝撃荷重を効率的に吸収・緩和することのできる化粧料容器を提供する。
【解決手段】中皿収容凹部1aが形成された容器本体1と、蓋体3とを備え、化粧料が充填される中皿2と上記中皿収容凹部1aとの間に、樹脂製発泡シートからなる衝撃吸収部材(5)が介在配置されてなる化粧料容器において、上記衝撃吸収部材(5)の少なくとも中皿2に接する表面に、裏面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって、互いに独立する、水平方向の最大幅が10mm以下の所定パターン形状からなる図柄を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトケース等の化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンデーションやアイシャドー等の固形化粧料を充填した中皿(レフィル容器)を収容して携帯する化粧料容器として、コンパクトケース等が用いられている。このコンパクトケースは、化粧料が充填された中皿と、上面に上記中皿を収容するための凹部(中皿収容凹部)が形成された容器本体と、この容器本体の上面を蓋する蓋体とから構成されている。
【0003】
また、コンパクトケースのなかには、上記中皿を中皿収容凹部に交換可能に収容したものがある。例えば、図4のように、容器本体(図示せず)の上面開口に嵌合固定される中枠11に形成された中皿収容凹部11aの内部(凹部の壁面11b)に、左右一対の突条11c,11c’(係合部:ただし図4では右側の突条11c’は見えない)を設けるとともに、化粧料10が充填された中皿12の周側壁12aの外周面に、同じく左右一対の凹溝12b,12b’(被係合部:ただし図4では左側の凹溝12b’は見えない)を設け、この中皿12を上記中枠11の中皿収容凹部11aに押し込んで、各凹溝12b,12b’をそれぞれ対峙する各突条11c’,11cに係合させることにより、上記中皿12を着脱自在に保持する化粧料容器が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
なお、コンパクトケース等の中皿には、金属製の中皿(金皿)や樹脂製の中皿(樹脂皿)等が用いられるが、なかでも、軽量でかつ成形の自由度が大きいことから、中皿を交換可能に収納したコンパクトケースには、図5に示すような、周側壁22aの外周面に係合用の凹溝22b(被係合部)を有する樹脂製の中皿22が多用されるようになってきている。
【0005】
ところで、上記コンパクトケース等、固形化粧料を充填した中皿を収容した化粧料容器では、これを床上等に落下させてしまうと、この落下時の衝撃によって、中皿内の固形化粧料がひび割れたり、損傷したりするため、化粧料容器の容器本体と固形化粧料を収容する中皿との間に、シート状や球状等、種々の形状の弾性部材を介在配置し、この弾性部材(緩衝材)で落下時の衝撃を和らげるようにした構成が多数提案されている(例えば、特許文献2,3を参照)。
【0006】
例えば、図6に示すような、衝撃吸収機能付きコンパクトケースは、中皿収納部31aおよび化粧用具収納部31bが形成された容器本体31と、蓋体33と、化粧料10が充填された中皿32とを備え、上記中皿収納部31a内に設けられたシート状の衝撃吸収部材35を介して、上記中皿32が保持されるようになっている。
【0007】
上記シート状の衝撃吸収部材としては、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE)等をはじめとするポリオレフィン樹脂系やPET,PVC等を用いた発泡成形シート、ゴム,シリコン等の弾性体からなるシート、エアクッションシート等が用いられ、衝撃吸収の分野では、高発泡および低発泡のポリエチレンシートが多用される。また、特に高性能な衝撃吸収シートとして、シリコンゲルを用いたシートや、ゴムやエラストマーをエアクッション状に成形加工したもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−270194号公報
【特許文献2】特開2007−75542号公報
【特許文献3】特開2007−29234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のようなシリコンゲルシートや、ゴムやエラストマーをエアクッション状に成形加工したシート等は、その単位面積(体積)あたりの価格が高く、化粧料容器のコストを押し上げてしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、多大なコスト上昇を招くことなく、中皿収容凹部に収容された中皿に加わる衝撃荷重を効率的に吸収・緩和することのできる化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、底板と周側壁からなる凹部に化粧料が充填される中皿と、上記中皿を収容するための中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体を蓋する蓋体とを備え、上記中皿と中皿収容凹部との間に、樹脂製発泡シートからなる衝撃吸収部材が介在配置されてなる化粧料容器であって、上記衝撃吸収部材の少なくとも上記中皿に接する表面に、裏面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって区切られた、互いに独立する所定パターン形状の図柄が、規則的に形成されており、各図柄のパターン形状が、水平方向の最大幅が10mm以下に設定されている化粧料容器を第1の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、そのなかでも、上記衝撃吸収部材の裏面側に、上記表面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって、この表面と同じパターン形状の図柄が、上記表面の図柄と水平方向の位置が一致しないように形成されている化粧料容器を第2の要旨とする。
【0013】
本発明は、コンパクトケース等の化粧料容器に用いられるシート状の衝撃吸収部材に、高性能ではあるが高価なシリコンゲルシート等を使用するのに代えて、安価な汎用発泡シートを採用し、その表面に、レーザー加工等によって、厚み方向の衝撃吸収力を高める溝を形成することによって、所期の目的を達成しようとするものである。
【0014】
通常、衝撃の吸収能力は、例えば自動車等の車軸を支持するばね(スプリング)とショックアブソーバーの関係のように、初期のすばやい変形(吸収)動作と、その変形動作を抑える緩衝動作のバランスにより向上することが知られている。また、衝撃吸収材(緩衝材)の場合には、「柔らかいが、ゆっくり変形する」物性が理想とされている。
【0015】
本発明者は、安価で衝撃吸収性に劣る発泡シートでも、その表面形状を工夫することにより、上記衝撃吸収性を向上できるのではないかと着想し、鋭意研究を重ねた結果、衝撃吸収部材の表面に、水平方向に連続する長い直線や曲線がなく、どの方向にも連通しない閉じた模様を、一定の線幅の溝で表面上に万遍なく形成し、上記溝を構成する両側壁が衝突荷重等による圧縮変形により互いに接触するまでの時間(すなわち、シート表面の構造が衝撃吸収動作から緩衝動作に移行するまでのタイムラグ)を最適に制御することによって、この発泡シートを構成する素材の性質以上の衝撃吸収力を付与できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のような知見にもとづきなされたものであり、本発明の化粧料容器は、中皿と中皿収容凹部との間に介在配置される衝撃吸収部材の少なくとも上記中皿に接する表面に、その裏面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって区切られた、所定パターン形状の図柄(模様)が形成されていることから、このシート状衝撃吸収部材の表面構造の自由度(変形し易さ)が向上し、溝を有しない衝撃吸収部材に比べ、上記中皿に外部から加わる衝撃荷重が、すばやく吸収される。
【0017】
また、上記線幅50μm〜1mmの溝によって区切られた所定パターンの図柄は、隣接する溝に連通せずに互いに独立し、規則的に繰り返す(すなわち「リピートする」)パターンに形成されており、かつ、その図柄の水平方向の最大幅が10mm以下に設定されていることから、上記中皿に加わる衝撃荷重を均等に、水平方向に分散して支持・緩和することができる。
【0018】
したがって、本発明の化粧料容器は、シリコンゲルシートや高発泡シート等の高価なシートを用いることなく、安価で汎用的なシートを衝撃吸収部材に使用して、上記中皿に充填された固形化粧料の割れ等を、効果的に防止することができる。
【0019】
なお、上記溝の線幅を50μm〜1mmとしたのは、この溝の両側壁を構成する対向面間の距離を鑑み、先に述べたように、これら壁面が圧縮変形により互いに接触した後の緩衝効果を意図したものである。したがって、この衝撃吸収部材に形成される溝幅が50μm未満で、この溝を構成する両側壁の距離が50μmより接近した場合は、上記衝撃荷重による圧縮変形によってこれら壁面がすぐに接触してしまい、充分な衝撃吸収作用を得ることができないおそれがある。逆に、上記溝幅が1mmを超え、この溝を構成する両側壁の距離が1mmより離れた場合は、上記衝撃荷重による圧縮変形(衝撃吸収)が完了した後もこれら壁面が接触せず、充分な緩衝作用を得ることができない可能性がある。
【0020】
また、上記パターン形状の溝は、単位面積あたり、ある程度の個数を分散して均等に配置する必要があることから、この溝による上記図柄の水平方向の幅およびそのリピート(「柄のリピートピッチ」)は、あまり大きいとその効果が損なわれる。そのため、上記パターン形状の図柄の水平方向の好ましい最大幅は10mm以下であり、そのリピートピッチの最大長も、各図柄の最大幅と同様、10mm以下とすることが望ましい。
【0021】
そして、上記パターンを構成する代表的な図柄としては、円形,楕円形,三角形,四角形,台形やその他の多角形等の線画を基本模様としてリピートさせる、いわゆる小紋柄や、丸状,長穴状,三角状,四角状や多角形状等の小孔(非貫通)を基本形状としてリピートさせる、いわゆるドット柄等をあげることができる。なお、図柄の基本形状が、丸状,三角状,四角状や多角形状等の穴状(幅の広い溝状)である場合は、各図柄の開口の「最大径」を、図柄の水平方向の「最大幅」とする。
【0022】
また、本発明の化粧料容器のなかでも、特に、上記衝撃吸収部材の裏面側に、上記表面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって、この表面と同じパターン形状の図柄が、上記表面の図柄と水平方向の位置が一致しない位置にオフセットして形成されているものは、この衝撃吸収部材の裏面側(中皿と接触せず、中皿収容凹部に接触する側)の衝撃吸収性も向上し、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における衝撃吸収構造を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の化粧料容器に用いられる衝撃吸収シートの斜視図である。
【図3】(a)〜(h)は、いずれも本発明の化粧料容器に用いられる衝撃吸収シートの表面に形成される溝のパターン例である。
【図4】化粧料容器における中皿の取付け方法を説明する図である。
【図5】化粧料容器に用いられている中皿の構造を示す斜視図である。
【図6】化粧料容器における従来の衝撃吸収構造の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態における化粧料容器の構成を示す斜視図であり、図2は、この化粧料容器に用いられている衝撃吸収シート5の斜視図である。なお、図1は、中皿2と中皿収容凹部1aとの間の衝撃吸収シート5を見え易くするために、上記中皿2を取り出した状態(二点鎖線で表示)を示している。また、図中において、4はミラー、1bは化粧用具収納凹部であり、1c,1c’は中皿収容凹部1aの壁面に設けられた中皿係合用の突条である。
【0026】
本実施形態における化粧料容器は、ファンデーションやアイシャドー等の固形化粧料(10)が充填された中皿2(レフィル)を収容して携帯するためのコンパクトケースであり、上記中皿を収容するための中皿収容凹部1aを有する容器本体1と、この容器本体1を蓋する蓋体3とを備え、上記中皿収容凹部1aの底面(中皿2と中皿収容凹部1aとの間に相当)には、図1のように、衝撃吸収部材として、衝撃吸収シート5が配設されている。
【0027】
この衝撃吸収シート5は、ウレタン,ポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS),ポリエチレン(PE)等の樹脂を発泡させて形成した樹脂製発泡シートから構成されており、本実施形態では、発泡倍率が約30〜70倍程度(独立気泡)で、単位体積あたりの重量(見かけ密度)が約10〜30kg/m3程度の比較的軽量な発泡ポリエチレンシートが好適に用いられる。なお、本実施形態の化粧料容器に用いられる衝撃吸収シート5の好ましい厚さは0.5〜3.0mm、さらに好ましくは1.0〜1.5mmである。
【0028】
そして、上記衝撃吸収シート5の表面(中皿2との接触面)には、シート厚み方向の衝撃吸収力を高める構造として、図2のように、互いに独立する小さなパターン模様(本例においては円状)が規則的に並んだ図柄が形成されている。
【0029】
この衝撃吸収シート5表面の図柄(パターン)は、レーザー加工等の非接触加工により形成されており、裏面側に貫通しない一定線幅(約0.25〜1.0mm)の溝によって、水平方向に閉じた模様に区切られている。そして、その図柄が水平方向に繰り返し形成されて、リピート模様となっている。なお、上記図柄を区切る溝の深さは、上記衝撃吸収シート5の厚さの1/3〜2/3の範囲に設定されている。
【0030】
図3は、上記衝撃吸収シート5の表面に形成される図柄の種々の例である。これら、図3(a)〜(h)はいずれも、衝撃吸収シート5表面の一部(10mm角)を上から見た図であり、その表面に彫り込まれた溝パターンの形状例を示している。
【0031】
図3(a)は、上記図1,図2の衝撃吸収シート5に用いられたものと同じ図柄であり、線幅(図中Wで示す)0.25mmの溝によって形成された円形のパターンが、互いに等間隔で配置されている。すなわち、これら個々の円状溝は、この表面に万遍なく分散するように、仮想六角形の中心と各頂点に対応するように配置されている。
【0032】
図3(b)〜(d)も、上記図3(a)と同様、線幅Wが0.25mmの溝によって形成された多角形のパターンであり、これら個々のパターンである四角形,三角形,六角形も、この衝撃吸収シート5の表面に均等分散するように、仮想六角形の各頂点に対応するように配置されている。
【0033】
また、上記図3(a)〜(d)は、多数の線画からなる紋様(いわゆる「小紋柄」)に形成されているのに対し、図3(e),(f)は、集中的に配した溝により、穴(非貫通孔)状のパターン(いわゆる「ドット柄」)に形成されている例である。
【0034】
より詳しく説明すると、図3(e)は、線幅0.25mmの溝をある1点で周回させることにより、直径Rが0.5mmの丸穴状(凹状)パターンとして形成されている。また、図3(f)は、同様にして、短径RSが0.5mm,長径RLが1.0mmの長穴状(凹状)パターンに形成されている。なお、これら個々の穴状溝も、この衝撃吸収シート5の表面で均等分散するように、仮想六角形の各頂点に対応するように配置されている。
【0035】
さらに、図3(g),(h)は、表面側に形成されたパターンと同じ溝パターンを、上記衝撃吸収シート5の裏面側からも形成した例である(裏面側の溝パターンは、図中点線で表示)。これら裏面側から形成される溝のパターン(図柄)は、表面側の図柄と水平方向の位置が一致しない位置に、オフセットして形成されている。なお、表面側および裏面側に形成される図柄は、必ずしも同じである必要はない。また、これらのように、表面側および裏面側の両側から溝を形成する場合は、これらの溝が貫通しないように、その溝深さは、衝撃吸収シート5の厚さの1/2未満になるように形成される。
【0036】
なお、これらの図柄の水平方向の最大幅(図中Hで示す)はいずれも、10mm以下に設定されており、その好適な範囲は2〜6mmである。また、上記図柄のリピートピッチ(図中Pで示す)はいずれも、10mm以下に設定されており、その好適な範囲は3〜8mmである。
【0037】
上記構成により、この化粧料容器は、溝を有しない従来の衝撃吸収シートに比べ、上記中皿2に外部から加わる衝撃荷重がすばやく吸収される。また、上記中皿2に加わる荷重が、水平方向に分散して均等に支持されるとともに、上記溝による緩衝作用によって、中皿2に伝達される衝撃が緩和される。
【0038】
したがって、本実施形態における化粧料容器は、シリコンゲルシート等の高価な緩衝材を用いることなく、安価で汎用的な発泡ポリエチレンシートを使用して、上記中皿2に充填された固形化粧料の割れ等を、効果的に防止することができる。
【0039】
つぎに、本実施形態の化粧料容器を用いて行った落下試験の結果について述べる。
【0040】
[試験方法]
この落下試験は、図1のような化粧料容器(コンパクトケース)の中皿収容凹部1aの底面に、シート状の衝撃吸収部材を配置し、この衝撃吸収部材と、固形化粧料が充填された中皿との間に、加速度計のセンサ(プローブ)を取り付けて蓋体3を閉めた状態で、40cmの高さから、上記コンパクトケースの底面を下にした姿勢で垂直に落下させ、その落下時の最大重力加速度(衝撃荷重)を測定したものである。
[試験機器]
デジタル加速度計 MODEL−1340A(昭和測器社製)
【0041】
[コンパクトケース]
・規格容器 CM−MKS−51−2(一重構造:紀伊産業社製) 重量:59g
[中皿]
・金属製中皿 (カツシカ社製) 重量(化粧料含む):17.5g
【0042】
[衝撃吸収部材]
・発泡ポリエチレンシート
ソフトロン(登録商標)Z LD24 (積水化学工業社製)
発泡倍率:47倍 見かけ密度:21.4kg/m3 厚さ:1.0mm
上記発泡ポリエチレンシートの無加工品(市販品)を「比較例1」とし、上記発泡ポリエチレンシートの片面(表面側のみ)に、レーザー加工により上記図3(a)の円形パターンの溝(溝深さ:0.5mm)を形成した衝撃吸収シートを「実施例1」として、落下試験を行った。
【0043】
「試験結果」
上記落下試験の結果は、
実施例1:201G
比較例1:214G
ブランク(衝撃吸収部材なし):420G
であった。上記のように、衝撃吸収シートの表面に円形パターンの溝を形成することによって、市販品そのままの発泡シートより、落下時の衝撃を約6%程度軽減できることがわかった。
【0044】
なお、以上の実施形態では、化粧料容器の中皿収容凹部1aの底面と、中皿2の底面との間に衝撃吸収シート5(衝撃吸収部材)を配置した例を示したが、この衝撃吸収部材は、中皿収容凹部1aの壁面と中皿2の周側壁との間にも配設することができる。このように、衝撃吸収部材で中皿2の底面と側面を覆うようにすれば、側面からの衝撃にも対応することができ、好ましい。
【0045】
また、上記衝撃吸収部材の表面に、所定深さの溝を形成する方法も、レーザー加工に限られるものではなく、例えば、スリットカットやトムソン等の機械加工によって形成してもよく、あるいは、熱を利用したエンボスや型押し等でもよい。しかしながら、樹脂製発泡シートは、熱や圧力が加わると素材そのものの弾性が損なわれるため、レーザー等を用いた非接触加工が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の化粧料容器は、ファンデーションやアイシャドー用のコンパクトケース等、落下等の衝撃により、中皿に充填した固形化粧料の割れが懸念される化粧料容器に適する。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
1a 中皿収容凹部
2 中皿
3 蓋体
5 衝撃吸収シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と周側壁からなる凹部に化粧料が充填される中皿と、上記中皿を収容するための中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体を蓋する蓋体とを備え、上記中皿と中皿収容凹部との間に、樹脂製発泡シートからなる衝撃吸収部材が介在配置されてなる化粧料容器であって、上記衝撃吸収部材の少なくとも上記中皿に接する表面に、裏面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって区切られた、互いに独立する所定パターン形状の図柄が、規則的に形成されており、各図柄のパターン形状が、水平方向の最大幅が10mm以下に設定されていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記衝撃吸収部材の裏面側に、上記表面に貫通しない線幅50μm〜1mmの溝によって、この表面と同じパターン形状の図柄が、上記表面の図柄と水平方向の位置が一致しないように形成されている請求項1記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−30646(P2011−30646A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177915(P2009−177915)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】