説明

化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料

【課題】艶や光沢、皮膚への密着性があり、容易に製造できる油剤を開発し、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、アイカラー等幅広い用途に利用が可能な化粧料用油剤を提供する。
【解決手段】重合度3以下のグリセリン重合物の含有量が10%未満であり、且つ平均重合度が5〜20のポリグリセリンと、20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸を少なくとも1種以上用いてエステル化し、そのエステル化率が20〜70重量%の範囲であるエステル化物からなる化粧料用油剤及びそれを配合した化粧料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料に関するものである。更に詳しくは、艶や光沢、皮膚への密着性に優れた化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、マスカラ、アイカラー等の油性化粧料には艶感や光沢、皮膚への密着性の向上の目的で、ロジンエステルや、ダイマー酸又はダイマージオールを主骨格とするオリゴマーエステル等の油剤の使用が提案されている(特許文献1)。これらの油剤を配合することで、口紅等の艶を付与し、化粧持ちを向上させたり、マスカラ等の付着性を向上させたりすることができる。しかしながら、これらの原料であるロジン酸やダイマー酸等は皮膚刺激性や眼粘膜刺激性が認められたり、感作性が認められたりする問題点があった。これらの問題を解消するために、水蒸気蒸留や加熱処理等を行ったロジン化合物が開発されているが、精製に時間や手間がかかり、またそれに伴う製造コスト面から現実的ではない(特許文献2)。以上の事から、艶や光沢、皮膚への密着性向上といった機能を持つ油剤の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−20933号公報
【特許文献2】特開2006−316003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、艶を付与し、光沢や皮膚への密着性に優れた化粧料用油剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリグリセリンと特定の脂肪酸をエステル化してなるエステル化物が、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、重合度3以下のグリセリン重合物の含有量が10%未満であり、且つ平均重合度が5〜20のポリグリセリンと、20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸を少なくとも1種以上用いてエステル化し、そのエステル化率が20〜70重量%の範囲であるエステル化物からなる化粧料用油剤及びそれを配合した化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、艶を付与し、光沢や皮膚への密着性に優れた化粧料用油剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用するポリグリセリンは、重合度3以下のグリセリン重合度の含有量が10%未満のポリグリセリンである。重合度3以下の含有量は、10%未満がよく、好ましくは5%未満である。重合度3以下の含有量が10%を超えると、本発明の効果である優れた皮膚への密着性を発揮する事は出来ない。
【0009】
本発明で使用するポリグリセリンの平均重合度は、5〜20がよく、好ましくは8〜20、更に好ましくは10〜20である。平均重合度が5未満になると、本発明の効果である優れた皮膚への密着性を発揮する事は出来なくなり、20を超えると、ハンドリング性が悪くなり、化粧料を製造するにおいて使用しづらいものとなる。
【0010】
本発明で使用するポリグリセリンは、特に限定はされないが、グリセリンを出発原料とした脱水縮合反応により得られるポリグリセリンを薄膜蒸留、分子蒸留、イオン交換膜により精製する事などにより、重合度3以下のグリセリン重合物を除去して得られる。
【0011】
ここで言うポリグリセリンの平均重合度は、下記の条件での高速液体クロマトグラフィーにより求めた。
(高速液体クロマトグラフィー分析条件)
装置 島津 LC−6Aシステム
GPCカラム 昭和電工 SB−802.5HQ×2+SB−802HQ×2
カラム温度 40℃
移動相 蒸留水
検出器 示差屈折計(島津 RID−6A)
サンプル 蒸留水に溶解(1%水溶液)
流速 1.0mL/min
【0012】
本発明で使用する20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸としては、カプリル酸等の飽和脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分枝脂肪酸や、オレイン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸、リシノレイン酸等の水酸基を有するヒドロキシ脂肪酸等が挙げられ、これらの一種以上が用いられる。二種以上混合する場合は、全脂肪酸のうち20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸が20重量%以上が好ましい。
【0013】
上記以外の脂肪酸、即ち20℃で固体状を呈する脂肪酸のみを用いた場合には、それを配合した化粧料の低温安定性において、そのエステル化物が結晶化する等の問題が発生し好ましくない。
【0014】
本発明におけるエステル化物のポリグリセリンに対する脂肪酸のエステル化率は、配合する化粧料の種類により適宜調整することができる。本発明のエステル化物のエステル化率は、20〜70重量%がよく、好ましくは30〜60重量%がよく、さらに好ましくは30〜45重量%である。エステル化率とは、ポリグリセリンの重合度をnとすると、有する水酸基数がn+2で表される。付加する脂肪酸のモル数をMとした時、{M/(n+2)}×100=エステル化率(%)で算出する。エステル化率が20重量%未満では、耐水性が不十分となり、また油剤としての機能が発揮できない。逆に70重量%を超えると、優れた皮膚への密着性を発揮することは出来ない。
【0015】
ポリグリセリンは、グリセリンをアルカリ触媒下に常圧又は減圧下で加熱して得られる。しかし、このものには未反応グリセリンや重合度2や重合度3のポリグリセリンを含むものであり、このものをそのまま用いると優れた密着性を発揮できない等の問題が生じる。本発明は、この未反応グリセリンなどを含むポリグリセリンを蒸留、好ましくは薄膜蒸留などを用いることにより、未反応グリセリンや重合度2や重合度3のポリグリセリン等の低沸成分を除去し本発明で使用するポリグリセリンを得ることができる。
【0016】
本発明の化粧料用油剤は、常法に従ってエステル化反応を行う方法で製造することができる。触媒としてパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いて、あるいは無触媒でもよく、溶媒の有無に関わらず、50〜260℃でエステル化を行うことができる。
【0017】
本発明に係る化粧料用油剤の用途としては、毛髪用化粧料、基礎化粧料、メーキャップ化粧料等が挙げられる。本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。
【0018】
本発明に係る化粧料用油剤の用途を更に詳細に説明すると、毛髪用化粧料としては、オイルシャンプー、クリームシャンプー、コンディショニングシャンプー、ふけ用シャンプー、ヘアカラー用シャンプー、リンス一体型シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアカラープレトリートメント、ヘアカラーアフタートリートメント、パーマプレトリートメント、パーマアフタートリートメント等が好ましいものとして挙げられる。
【0019】
基礎化粧料としては、エモリエントクリーム、栄養クリーム、ナリシングクリーム、バニシングクリーム、モイスチャークリーム、ナイトクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メーキャップクリーム、ベースクリーム、プレメーキャップクリーム、サンスクリーンクリーム、サンタンクリーム、除毛クリーム、デオドラントクリーム、シェービングクリーム、角質軟化クリーム等が好ましいものとして挙げられる。
【0020】
メーキャップ化粧料としては、白粉・打粉類、ファンデーション類、口紅類、リップグロス、頬紅類、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、アイブロー、ネイルエナメル、エナメルリムーバー、ネイルトリートメント等が好ましいものとして挙げられる。
【0021】
本発明の化粧料には必要に応じて水及び通常化粧料に配合される添加成分、例えば油性基剤、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、高分子・増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤・酸・アルカリ、紫外線吸収剤、美白剤、溶剤、角質剥離・溶解剤、鎮痒剤、消炎剤、制汗剤、清涼剤、還元剤・酸化剤、高分子粉体、ビタミン類及びその誘導体類、糖類及びその誘導体類、有機酸類、無機粉体類、香料、色素、顔料等を配合することができる。
【0022】
これらの添加成分を例示すると、油性基剤としては、例えば高級アルコール類としてセタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオール等が挙げられる。またラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸等の脂肪酸類及びそのアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、カリウム塩等の金属石けん類、及びアミド等の含窒素誘導体類;流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、固型パラフィン等の炭化水素類;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類;ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティーツリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類;牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類;鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油等の動物性ロウ類;液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、酢酸(セチル・ラノリル)エステル等のラノリン類;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、リゾレシチン等のリン脂質類;水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質等のリン脂質誘導体類;コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール等のステロール類;酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のステロールエステル類;オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジオクチル等の低級アルコール脂肪酸エステル類;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等の高級アルコール脂肪酸エステル類;乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油等のオキシ酸エステル類;トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水素添加ロジングリセリル(水素添加エステルガム)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8等の多価アルコール脂肪酸エステル類;ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類等;低粘度ジメチルポリシロキサン、高粘度ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性ポリシロキサン、カチオン変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン、糖変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12〜31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、短鎖ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩または四級塩、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン性界面活性剤;脂肪酸アミドアミン及びその塩;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントガム、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体等の高分子界面活性剤等を例示することができる。
【0024】
保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、DPG、1,2−アルカンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸塩、尿素、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、ベタイン、コンドロイチン硫酸、グルタチオン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、カルビトール、乳酸ナトリウム、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、アルブミン、トリメチルグリシン;コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;アルギニン、セリン、グリシン、スレオニン、グルタミン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス等の動物・植物抽出成分、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質等のセラミド類を例示することができる。
【0025】
高分子・増粘剤・ゲル化剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタクリル酸アミド共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体、カチオン化グアーガム、ニトロセルロース;12−ヒドロキシステアリン酸及びその塩、デキストリン脂肪酸エステル、無水ケイ酸、金属石鹸、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル等を例示することができる。
【0026】
酸化防止剤としては、BHT、BHA、没食子酸プロピル、ビタミンE(トコフェロール)および/またはその誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)および/またはその誘導体、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を例示することができる。防腐剤としては、フェノール類、フェノキシエタノール、ヒドロキシ安息香酸及びその塩類、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類等を例示することができる。殺菌剤としては、トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヒノキチオール、フェノール、イソプロピルフェノール、感光素類等を例示することができる。キレート剤としては、エデト酸塩、フィチン酸、ホスホン酸類、シュウ酸ナトリウム、ポリアミノ酸類等を例示することができる。pH調整剤・酸・アルカリとしては、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、酢酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン等を例示することができる。
【0027】
紫外線吸収剤としては、オキシベンゾン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体、フェルラ酸及びその誘導体、ウロカニン酸及びウロカニン酸エチル等の誘導体、ブチルメトキシベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体等を例示することができる。美白剤としては、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸分岐脂肪酸エステル、アスコルビン酸アルキルエーテル等のアスコルビン酸誘導体、コウジ酸、グルタチオン,エラグ酸、プラセンタエキス、オリザノール、ブチルレゾルシノール、カモミラエキス等植物エキスを例示することができる。
【0028】
溶剤類としては、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類;アセトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トルエン等を例示することができる。
【0029】
角質剥離・溶解剤としては、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレン、ピリドキシン等を例示することができる。鎮痒剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カンファー等を例示することができる。消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グアイアズレン、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン等を例示することができる。制汗剤としては、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛等を例示することができる。清涼剤としては、メントール、サリチル酸メチル等を例示することができる。抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルレチン酸誘導体等を例示することができる。収れん剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等を例示することができる。刺激剤としては、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、ニコチン酸ベンジル等を例示することができる。育毛用薬剤・血行促進剤としては、センブリエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ等の植物エキス・チンキ類;セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、γ−オリザノール、ニコチン酸及びニコチン酸ベンジルエステル等の誘導体、アラントイン、感光素301、感光素401、ペンタデカン酸モノグリセリド、フラバノノール誘導体、ミノキシジル等を例示することができる。
【0030】
還元剤としては、チオグリコール酸、システイン、システアミン等を例示することができる。酸化剤としては、過酸化水素水、過硫酸アンモニウム、臭素酸ナトリウム等を例示できる。
【0031】
高分子粉体としては、デンプン、ナイロンパウダー、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等、及び、これらの表明処理粉体を例示することができる。
【0032】
α−ヒドロキシ酸類及びその誘導体類としては、乳酸、グリコール酸、フルーツ酸、ヒドロキシカプリン酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等を例示することができる。
【0033】
ビタミン類及びその誘導体類としては、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、フェルラ酸トコフェロール等のビタミン誘導体類を例示することができる。
【0034】
糖類及びその誘導体類としては、シクロデキストリン、β−グルカン、キチン、キトサン、グルコース、トレハロース、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等を例示することができる。有機酸類としては、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、アビエチン酸、酒石酸等を例示することができる。
【0035】
酵素類としては、塩化リゾチーム、パパイン、パンクレアチン、プロテアーゼ等を例示することができる。核酸類としては、アデノシン三リン酸二ナトリウム等を例示することができる。ホルモン類としては、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン等を例示することができる。
【0036】
無機粉体類としては、マイカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、セリサイト、カオリナイト、炭酸カルシウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、雲母チタン、魚鱗箔、窒化ホウ素、ホトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体、金、アルミニウム等の無機粉体及びこれらを表明処理により疎水化した粉体等を例示することができる。
【0037】
香料としては、リモネン、リナノール、シトラール、β−イオノン、ベンジルベンゾエート、インドール、オイゲノール、オーランチオール、ゲラニオール、リラール、ダマスコン、ベンジルアセテート、ジャスミンラクトン、ガラクソリッド、精油等が例示することができる。
【0038】
色素としては、β−カロチン、カルサミン、ルチン、コチニール、クロロフィル等の天然色素;法定色素、塩基染料、レーキ、有機顔料;p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、m−フェニレンジアミン、o−,m−,若しくはp−アミノフェノール、レゾルシン等の酸化染料中間体等等を例示することができる。
【0039】
その他公知の化粧料、医薬品、食品等成分などに使用される成分を本発明の効果を損なわない範囲において、適宜配合することができる。
【0040】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0041】
本発明で使用したポリグリセリンは以下の様な条件で重合度3以下のグリセリン重合物を除去した。
【0042】
<ポリグリセリン合成実施例1>
縮合法により得られたポリグリセリンA(平均重合度10、重合度3以下のグリセリン重合物含有量34.3%のもの)を250℃、0.4torrの真空度の条件にて薄膜蒸留を行い、31.5%の留分を除去し、重合度3以下のグリセリン重合物が2.9%のポリグリセリンを得た。このものをGPC分析した結果、平均重合度が13.2であった。
【0043】
<ポリグリセリン合成実施例2>
縮合法により得られたポリグリセリンAを220℃、0.4torrの真空度の条件にて薄膜蒸留を行い、25.1%の留分を除去し、重合度3以下のグリセリン重合物が9.7%のポリグリセリンを得た。このものをGPC分析した結果、平均重合度が10.6であった。
【0044】
<ポリグリセリン合成実施例3>
縮合法により得られたポリグリセリンB(平均重合度6、重合度3以下のグリセリン重合物含有量25.1%のもの)を250℃、0.4torrの真空度の条件にて薄膜蒸留を行い、22.2%の留分を除去し、重合度3以下のグリセリン重合物が2.9%のポリグリセリンを得た。このものをGPC分析した結果、平均重合度が8.0であった。
【0045】
<実施例1>
エルカ酸46.70gと合成実施例1のポリグリセリン25.79gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、6時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル69.02gを得た。
【0046】
<実施例2>
エルカ酸36.59gと合成実施例1のポリグリセリン35.36gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、4時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル69.66gを得た。
【0047】
<実施例3>
イソステアリン酸55.32gと合成実施例1のポリグリセリン18.18gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、イソステアリン酸ポリグリセリンエステル68.23gを得た。
【0048】
<実施例4>
イソステアリン酸51.24gと合成実施例3のポリグリセリン22.01gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、6時間の条件下で反応を行い、イソステアリン酸ポリグリセリンエステル68.71gを得た。
【0049】
<実施例5>
エルカ酸50.04gと合成実施例2のポリグリセリン22.62gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、6時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル68.94gを得た。
【0050】
<実施例6>
エルカ酸9.18gとミリスチン酸24.62gと合成実施例1のポリグリセリン38.63gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、6時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル69.02gを得た。
【0051】
<比較例1>
エルカ酸46.99gと合成実施例1のポリグリセリン24.31gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル69.60gを得た。
【0052】
<比較例2>
エルカ酸60.28gと合成実施例1のポリグリセリン12.95gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、12時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル68.60gを得た。
【0053】
<比較例3>
エルカ酸57.64gとポリグリセリンA15.39gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、4時間の条件下で反応を行い、エルカ酸ポリグリセリンエステル69.60gを得た。
【0054】
<比較例4>
イソステアリン酸52.11gとポリグリセリンB21.19gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、4時間の条件下で反応を行い、イソステアリン酸ポリグリセリンエステル68.99gを得た。
【0055】
<比較例5>
ミリスチン酸40.23gと合成実施例1のポリグリセリン32.94gを反応容器に入れ、0.035gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、6時間の条件下で反応を行い、ミリスチン酸ポリグリセリンエステル68.99gを得た。
【0056】
実施例及び比較例で得られたエステル化物について以下の評価項目について評価した。
【0057】
(官能評価)
20名の健常女性パネラーにより、「密着感」、「耐水性」の項目について官能評価した。「密着感」は、エステル化物0.1gを手の甲にとったときの指と手の甲の密着感を5点満点として評価した。「耐水性」はエステル化物0.1gを手の甲にとり塗り広げた後、水洗し5点満点として評価した。20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表1に示す。
(密着感)
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上、4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上、4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
(耐水性)
◎:4.5点以上(耐水性がよく、水をはじく)
○:4.0点以上、4.5点未満(ややぬめりがあるが、耐水性はよい)
△:3.0点以上、4.0点未満(ぬめりがある)
×:3.0点未満(洗い流れる)
【0058】
(密着性)
人工皮革に0.05g均一に塗布し、ハンディー圧縮試験機(KES−5G、カトーテック製)にて直径3.5cmの円盤状の圧縮子を用いてスピード1cm/s、ストローク20mmで測定し、以下の評価基準を基に評価した。その結果を表1に示す。
◎:140.0g以上
○:100.0g以上、140.0g未満
△:70.0g以上、100.0g未満
×:70.0g未満
【0059】
【表1】

【0060】
表1に示したとおり、実施例1〜6のエステル化物は密着感及び耐水性に優れており、また密着性が良好であった。これに対し、比較例1〜5のエステル化物は密着感、耐水性、密着性及び光沢のいずれかが不十分な結果であった。
【0061】
実施例1〜4及び比較例1〜3のエステル化物を配合して、表2の組成のリップグロスを調製し、以下に示す方法で評価比較を行った。表中の数値は重量%とする。
【0062】
表2記載の処方の全成分を80℃にて加温して均一溶解し脱泡後、容器に流し込み急冷してリップグロスを得た。そのリップグロスを50℃及び0℃の恒温槽内に1ヶ月間放置し、下記に示す評価基準で評価した。
○:外観変化なし
×:分離、結晶物の発生等、外観変化有り
【0063】
実施例7〜10及び比較例6〜8で得たリップグロスについて、20名の健常女性パネラーにより、「色ムラのなさ」、「塗布時の艶」、「塗布時のなじみの良さ(皮膚への密着感)」「化粧持ちの良さ」の項目について官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表2に示す。
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上、4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上、4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
【0064】
【表2】

【0065】
表2に示したとおり、実施例7〜10の化粧料は、艶や優れた皮膚への密着性を有しており、化粧持ちが良かった。また、安定性においても良好であった。これに対し、比較例6の化粧料は、配合された油との相溶性が悪く、リップグロスの形状が得られなかった。比較例7、8の化粧料は官能面において不十分であった。
【0066】
実施例3〜5及び比較例4、5のエステル化物を配合して、表3の組成のマスカラを調製し、以下に示す方法で評価比較を行った。表中の数値は重量%とする。
【0067】
表3記載の処方のA相、B相を70〜80℃にて加熱溶解する。B相をホモミキサーで攪拌し、その攪拌下にA相を徐々に加えて乳化し、その後30℃まで冷却しマスカラを得た。そのマスカラを50℃及び0℃の恒温槽内に1ヶ月間放置し、下記に示す評価基準で評価した。これらの結果を表3に示す。
○:外観変化なし
×:分離、結晶物の発生等、外観変化有り
【0068】
実施例11〜14及び比較例9、10で得たマスカラについて、20名の健常女性パネラーにより、「睫毛への付着性」、「塗布時の艶」、「化粧持ちの良さ」の項目について官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した、その結果を表3に示す。
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0069】
【表3】

【0070】
表3に示したとおり、実施例11〜14の化粧料は、艶や優れた皮膚への密着性を有しており、化粧持ちが良かった。また、安定性においても良好であった。これに対し、比較例9の化粧料は官能面において不十分であり、比較例10の化粧料は官能面及び安定性において不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の化粧料用油剤は、艶や光沢、皮膚への密着性に優れた化粧料用油剤であり、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、アイカラー等幅広い用途に利用が可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合度3以下のグリセリン重合物の含有量が10%未満であり、且つ平均重合度が5〜20のポリグリセリンと、20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸を少なくとも1種以上用いてエステル化し、そのエステル化率が20〜70重量%の範囲であるエステル化物からなる化粧料用油剤。
【請求項2】
請求項1記載の化粧料用油剤を配合した化粧料。

【公開番号】特開2013−23488(P2013−23488A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161569(P2011−161569)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】