説明

化粧料組成物

【課題】化粧料に含まれる多価アルコールに起因するベタツキが抑制された化粧料組成物を提供する。
【解決手段】ゼラチン分子の官能基に有機化合物が共有結合したゼラチン誘導体を1種以上含有する高分子ミセル、および1種以上の多価アルコールを含有する、化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多価アルコールを含有する、べたつき感の少ない化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から化粧料には保湿の目的で、種々の多価アルコール、例えばグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、糖アルコール類および糖類などが使用されている。しかしながら、かかる多価アルコールを化粧料に配合した場合これらに起因する強いベタツキが生じ、保湿性能と良好な使用感を兼ね備えた化粧料を得ることが困難であった。
【0003】
有機化合物をグラフト鎖として有するゼラチン誘導体、および該ゼラチン誘導体を含む高分子ミセルについては特許文献1に開示されている。このゼラチン誘導体から高分子ミセルを得、ここへ薬剤等を担持させることにより徐放性の制御やターゲッティング性に優れた医薬組成物となることが記載されている。また、特許文献1はこの高分子ミセルに種々の化粧品添加物質を第二成分として担持させることが可能であると開示されている。
【特許文献1】国際公開第03/91283号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、十分な保湿性を有し、かつ使用時のベタツキが押さえられた化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、1種以上のゼラチン誘導体を含む高分子ミセル、および1種以上の多価アルコールを含有する化粧料組成物は、多価アルコールに起因するベタツキが抑制されており、使用時の感触が良好であることを見出し本発明を完成した。即ち本発明は、ゼラチン分子の官能基に有機化合物が共有結合したゼラチン誘導体を1種以上含有する高分子ミセル、および1種以上の多価アルコールを含有する、化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料組成物は、多価アルコールの効果である塗布後のしっとり感を維持したまま、ベタツキが押さえられた良好な感触のものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の化粧料において用いられる多価アルコールとしては、従来から化粧料の保湿成分として配合することが知られているものであれば、糖アルコール類及び糖類を含め、特に限定無く用いられる。例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール、ショ糖、乳糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、トレハロース等が挙げられる。
【0008】
本発明の化粧料において用いられるゼラチン誘導体とは、ゼラチン分子の官能基に有機化合物が共有結合した物質をいう。本発明に用いうるゼラチン誘導体は、特許文献1に開示されたものであれば、特に限定無く用いることができる。
【0009】
ゼラチン分子と結合させる有機化合物としては、ゼラチン分子の水酸基、アミノ基及びカルボキシル基のいずれかと共有結合し得る化合物であればよく、たとえば炭素数が1〜24で水酸基、アミノ基、カルボキシル基、硫酸基、リン酸基、チオール基、酸アミド基、芳香族基、及び複素環を有していてもよいアルカン、アルキン等の低分子化合物が挙げられる。低分子化合物としては例えば、塩化エチル、臭化エチル、塩化イソブチル等のハロゲン化物、エタノール、プロピルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール等の多価アルコール類及びその誘導体、ショ糖、乳糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、トレハロ―ス等の糖類及びその誘導体、酢酸、酪酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等のカルボニル化合物及びその誘導体、グリシン、セリン、メチオニン、ロイシン、チロシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、エチルアミン、プロピルアミン、イソブチルアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、スペルミン等のアルキルアミン、アルキルジアミン及びその誘導体、トリエチルリン酸等のアルキルリン酸及びその誘導体を例示することができる。
【0010】
また、ゼラチン分子の官能基に高分子化合物を結合させたゼラチン誘導体も好適に用いられる。高分子化合物を結合させる場合その分子量は特に限定されるものではないが、好ましくは分子量が500〜100万、より好ましくは1000〜10万のものを結合させる。
【0011】
高分子有機化合物としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれの化合物であっても構わない。例えばクインスシード、カラギーナン、マンナン、カードラン、ガラクタン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ブルラン、アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、アイルランド苔、カラヤゴム、キャロブゴム、グアーガム、デキストラン、トラガントガム、キチン、キトサン、プルラン、ペクチン、カゼイン、アルギン酸及びその塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等のムコ多糖類及びその塩、サクシニルキトサン、カルボキシメチルキチンまたはキトサン、等の天然高分子物質、及びこれら天然高分子物質の誘導体、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロ―ス、可溶性デンプン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ヒドロキシエチルグァーガム、カルボキシメチルグァーガム等の半合成高分子物質、及びこれら半合成高分子物質の誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプチレングリコール等のアルキレングリコール、ポリ乳酸、ポリε−カプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸等のポリカルボン酸及びその誘導体、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ボリセリン等のポリアミノ酸及びその誘導体、ポリエチレンサクシネート、ポリプチレンサクシネート等のサクシネート共重合体、ポリヒドロキシプロピオナート、ポリヒドロキシブチラート等のポリヒドロキシアルカノエート、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメタクリル酸等のビニル系高分子及びその架橋重合物、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリグリセリンなどのポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ビニルアルコール−酢酸ビニル、アクリル酸−メタクリル酸アルキル、乳酸−グリコール酸、乳酸−ε-カプロラクトン等の共重合体、ポリビニルピロリドン、マレイン酸、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸の誘導体等のモノマーの2種以上からなる任意の重合体組成からなる共重合体等の合成高分子が挙げられる。
【0012】
本発明に用いられるゼラチン誘導体としては、有機化合物の導入率がゼラチンの全官能基の5〜100%、より好ましくは50〜80%であるものが好適に用いられる。
【0013】
導入する有機化合物1種類のみではなく、2種類以上を適宜組み合わせて導入してもよい。高分子ミセルに第二成分を担持させる場合には、第二成分に応じて適宜決定すればよい。特に好ましい有機化合物としては、低分子化合物としてはコハク酸又はエチレンジアミン、高分子化合物としてはポリ乳酸又はポリエチレングリコールが例示される。また、これらの低分子化合物と高分子化合物とを組み合わせてゼラチンに導入したゼラチン誘導体が特に好適に用いられる。
【0014】
ゼラチン誘導体は、適当な溶媒に溶解させたゼラチンに、適当な溶媒に溶解させたこれらの化合物若しくは化合物の誘導体又はそれらの活性化誘導体を化学反応させることによって調製することができる。例えば、ポリエチレングリコールをゼラチンのアミノ酸に化学結合させる場合には、例えばポリエチレングチコールのスクシンイミジルスクシネート誘導体等のアミノ基に対する反応性を有する活性化誘導体を用いる方法又は縮合剤を使用するカップリング反応で行うことが好ましい。ポリ乳酸をゼラチンに導入する場合には、公知の方法でポリ乳酸を合成し、ポリ乳酸の末端のカルボキシル基、又は水酸基を公知の試薬を用い、公知の活性化反応により、活性化させ、ゼラチンのアミノ基、カルボキシル基、水酸基に化学反応させ調製することが好ましい。より好ましくはポリ乳酸の末端のカルボキシル基をスクシンイミジル基を有する化合物で活性化させ、ゼラチンのアミノ基に化学結合させる方法である。
【0015】
ゼラチン誘導体を製造する際、反応させる有機化合物の量、反応条件等を調節することによって、ゼラチン誘導体に結合させる有機化合物の量を調節すればよい。
【0016】
ゼラチン誘導体を得るために用いられるゼラチンとしては、その出発原料である由来動物及び部位に関係なく使用することができる、例えば、等電点約5のアルカリ処理ゼラチン、等電点約9の酸処理ゼラチン等が挙げられる。
【0017】
本発明の化粧料組成物は、高分子ミセルを形成したゼラチン誘導体を含有する。ゼラチン誘導体からミセルを形成させる方法としては、例えばゼラチン誘導体を水に分散させ、必要に応じて超音波処理を行う方法、有機溶媒に溶解させ、水に対して透析する方法等が挙げられる。本発明の化粧料組成物に配合される際の高分子ミセルは溶液状態であっても、凍結乾燥等の乾燥工程を行った固体、粉末状態等の状態で配合し、組成物中で高分子ミセルを形成するいずれの状態であっても構わない。
【0018】
本発明の化粧料組成物に配合する高分子ミセルは、化粧料に配合される物質を第二成分として担持させ、高分子ミセル複合体としたものとして配合してもよい。第二成分を担持させてもべたつきを減少させるという本発明の効果には変わりない。なお、本明細書および特許請求の範囲において単に「高分子ミセル」という場合には、第二成分の担持の有無に関わらずゼラチン誘導体を含む高分子ミセルをいい、第二成分を担持させた高分子ミセルのみを意図する場合には「高分子ミセル複合体」という。
【0019】
本発明の化粧料に配合される高分子ミセルに担持させても良い第二成分としては、化粧品に一般に添加される物質であれば、親水性、疎水性、電荷の有無に関係なく使用できる。具体例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体などのビタミン類、セラミド及びその誘導体、コレステロール及びその誘導体、フィトステロール及びその誘導体、リン脂質、タンパク質、糖タンパク質、ムコ多糖類等の生体関連物質、アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、マカデミアナッツ油、グレープシード油、タートル油、ミンク油、卵黄油、カカオ脂、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂などの油脂類またはこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバ油、キャンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウなどのロウ類、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどの炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、イソノナン酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、リノレン酸イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、トール油脂肪酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸類。セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、セラキルアルコール、コッセリルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコールラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、フィトステロール、ジヒドロコレステロール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ポリグリセリド、リンゴ酸ジイソステアリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、オキシステアリン酸グリセリル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレエート、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン及び環状ジメチルシリコーンオイル等のシリコーン類、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分、アラントイン又はその誘導体、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、パントテン酸並びにその誘導体等の抗炎症剤、ハイドロキノン及びその配糖体、コウジ酸及びその誘導体、カンゾウエキス、プラセンタエキス、グルタチオン、桑白皮エキス、ウワウルシエキス、コケモモエキス、イオウ、ジュウヤクエキス等の美白成分、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、3−(4'−メチルベンジリデン)−d−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルメトキシシンナメート等の紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、ヒドロキシアパタイト、ナイロン等の無機及び有機顔料、クチナシ色素、カロチン、タール系色素等の天然および合成色素が例示される。これらの第二成分は、一種類のみではなく、二種類以上の第二成分を一種の高分子ミセルに担持させた高分子ミセル複合体であっても構わない。また、二種類以上の第二成分をそれぞれ異なる高分子ミセルに担持させ、二種類以上の高分子ミセル複合体を使用しても構わない。
【0020】
高分子ミセルヘの第二成分の担持量は、第二成分の種類、配合目的に応じて適宜定めればよい。典型的には0.01〜5.0%担持させればよい。
【0021】
本発明の化粧料は、多価アルコールを0.1〜80重量%、より好ましくは11.0〜10.0重量%含有し、高分子ミセルもしくは高分子ミセル複合体としては、ゼラチン誘導体量として0.001〜80重量%、より好ましくは0.01〜10.0重量%含有する。
【0022】
本発明の化粧料組成物は、種々の剤形、たとえば以下に限定されないが、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の基礎化粧料、サンスクリーンクリーム、サンタンローション等の日焼け止め化粧料、アンダーメークアップ、リキッドファンデーション、プレス状ファンデーション、チークカラー、アイシャドウ、マスカラ、口紅等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、クレンジングクリーム、洗顔フォーム、液状洗顔料等の洗浄用化粧料、ヘアトニック、スタイリングローション等の毛髪用化粧料、浴用剤等の浴用化粧料などとして調製することができる。
【0023】
本発明の化粧料組成物には、必要に応じて通常化粧料や医薬部外品に添加される他の成分、例えば油分、界面活性剤、洗浄剤、増泡剤、消泡剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、無機顔料、有機顔料、美白剤、抗炎症剤、動植物エキス、香料、pH調節剤、金属封鎖剤、防腐剤等の化粧料組成物に一般的に配合される添加剤を含有していてもよい。
【0024】
本発明の化粧料組成物は、従来から知られている処方に加えて上記高分子ミセルを配合することによって得ることができる。従来から知られている化粧料組成物の成分の一部を高分子ミセルに担持させた高分子ミセル複合体として配合してもよい。
【実施例1】
【0025】
ポリエチレングリコールグラフト化ゼラチンの調製
牛骨由来、分子量100000、等電点5のゼラチンを濃度10%となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)へ溶解した。ゼラチンに存在するアミノ基の2倍モル量のメトキシポリエチレングリコールスクシンイミジルスクシネート(分子量5330)をDMSOへ溶解させ、これをゼラチンのDMSO溶液へ攪拌しながら添加して反応を行った。反応後、セルロースチューブ(分画分子量12000〜14000)を用いて純水に対して透析し、DMSOを除去し、凍結乾燥した。得られたゼラチン誘導体はゼラチンの全てのアミノ基にポリエチレングリコールが結合し、アミノ基に対するグラフト率は実質的に100%であった。
【実施例2】
【0026】
ポリ乳酸グラフト化ゼラチンの調製
牛骨由来、分子量100000、等電点5のゼラチンを濃度が0.02mg/mlとなるようにDMSOへ溶解した。別にゼラチンに存在するアミノ基の1/2モル量のポリ乳酸(分子量5000)をDMSOへ溶解させ、ポリ乳酸のモル数に対して3倍量の炭酸N,N−ジスクシンイミジルおよび4−メチルアミノピリジンを加え、40℃で6時間反応させた。この反応液にゼラチンのDMSO溶液を添加し、40℃で12時間反応させた。反応後、セルロースチューブ(分画分子量12000〜14000)を用いて純水に対して透析し、DMSOを除去し、さらに遠心分離により未反応のポリ乳酸を除去して凍結乾燥した。得られたゼラチン誘導体の全アミノ基に対するグラフト率は約50%であった。
【実施例3】
【0027】
コハク酸−ポリエチレングリコールグラフト化ゼラチンの調製
牛骨由来、分子量100000、等電点5のゼラチンを濃度が12.5%となるようにDMSOへ溶解した。別にゼラチンに存在するアミノ基と等モル量の無水コハク酸をDMSOに溶解し、ここへ添加した。37℃にて1時間、攪拌して反応させた。反応後、過剰のアセトンを加えて反応物を沈殿させ、さらにアセトンで洗浄した後、真空乾燥を行った。その後、セルロースチューブ(分画分子量12000〜14000)を用いて純水に対して透析し、副生成物、無反応物を除去した。得られた反応物を、実施例1と同様にして再度DMSOに溶解し、実施例1と同様にしてポリエチレングリコーノレグラフト化を行った。得られたゼラチンは全てのアミノ基が置換されており、全アミノ基に対するコハク酸グラフト率は7%、ポリエチレングリコールグラフト率は93%であった。
【実施例4】
【0028】
高分子ミセル複合体の調製
実施例2で得られたポリ乳酸グラフト化ゼラチン0.05gを50mlのDMSOに溶解した。別にトコフェロール0.001gを50mlのDMSOに溶解させ、添加し混合した。混合物をセルロースチューブ(分画分子量12000〜14000)を用いて純水に対して透析し、DMSOを除去した。得られた水溶液を全体が5gになるように濃縮して、実施例4の高分子ミセル複合体を得た。濃縮物は透明で、トコフェロールが完全にポリ乳酸グラフト化ゼラチンに担持されていた。これに対して、ポリ乳酸グラフト化ゼラチンがない状態では、水溶液中でトコフェロールが分離していた。
【0029】
実施例1〜4で得られたゼラチン誘導体および高分子ミセル複合体を用いて、化粧水を調製し、使用感について官能試験を行った。使用感の評価方法は以下の通りである。
(使用感) 女性パネラー(10〜15名)が、調製した化粧水を通常の使用方法にて肌に塗布し、塗布時ののび、塗布中、塗布直後のべたつき、および塗布後のしっとり感について、5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:やや悪い、1:悪いの5段階で評価した。評価した総得点をパネラーの数で割り、評価点として下記の判定符号を付した。
評価点:
5〜4.5=非常に良い:◎
4.5〜3.5=良い:○
3.5〜2.5=普通:△
2.5以下=悪い:×
【0030】
実施例1〜4で得たゼラチン誘導体もしくは高分子ミセル複合体を用い、表1に示した処方にて実施例5〜10の化粧水を調製した。比較例として、高分子ミセルもしくは高分子ミセル複合体を含まない処方(比較例1〜3)、多価アルコールを含まない処方(比較例4)および高分子ミセルに代えて出発物質であるゼラチンを配合した処方(比較例5)のそれぞれの化粧水についても、同様に評価した。実施例及び比較例の化粧水はいずれも、表1に示す成分を混合して得た。いずれの実施例および比較例においても、無色透明な化粧水が得られた。使用感の測定結果を、表1に併せて記載した。
【0031】
【表1−1】

【0032】
【表1−2】

【0033】
実施例から明らかなように、本発明の高分子ミセル及び高分子ミセル複合体を配合した化粧水は塗布時ののびが良く、塗布時、塗布直後の多価アルコールが起因するベタツキを抑制し、一方で塗布後のしっとり感は損なわれなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチン分子の官能基に有機化合物が共有結合したゼラチン誘導体を1種以上含有する高分子ミセル、および1種以上の多価アルコールを含有する、化粧料組成物。
【請求項2】
有機化合物が、コハク酸、エチレンジアミン、ポリ乳酸およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
高分子ミセルが、第二成分物質を担持した高分子ミセル複合体である、請求項1または2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
多価アルコールがポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリクリセリン、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、糖アルコールおよび糖からなる群から選択される、請求項1〜3いずれかに記載の化粧料組成物。
【請求項5】
多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレグリコール、ソルビトールおよびマルチトールからなる群から選択される、請求項4記載の化粧料組成物。
【請求項6】
ゼラチン誘導体0.001〜80重量%、多価アルコール0.1〜80重量%を含有する、請求項1〜5いずれかに記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2006−8640(P2006−8640A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191683(P2004−191683)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(591119750)岩瀬コスファ株式会社 (16)
【Fターム(参考)】