説明

化粧料

【課題】皮膚一次刺激および皮膚感作のない低刺激性で、紫外線等で傷んだ皮膚組織を癒し、抗炎症作用および抗アレルギー作用を発揮すると共に、アレルギー体質やアトピーなどに起因する敏感肌に対しても安心して使用できる化粧料およびそれに配合する化粧料用配合物を提供する。
【解決手段】本発明の化粧料は、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を配合したことを特徴とする化粧料である。また、本発明の化粧料用配合物は、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を含有したことを特徴とする化粧料用配合物である。本発明の化粧料には、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体が配合されているため、抗炎症活性と抗ヒスタミン活性により、紫外線などによるほてりを抑え、アレルギー体質やアトピーによる皮膚過敏症(敏感肌)を緩和させることができると共に、皮膚一次刺激および皮膚感作がなく安心して使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症作用および抗アレルギー作用を有する化粧料およびその化粧料に配合される化粧料用配合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野では、皮膚刺激の少ない抗炎症剤、またはアトピーやアレルギー体質に有効な抗アレルギー剤が不可欠であるが、化粧品の性質上、化学合成品は好まれず、天然物の範疇において研究がなされている。例えば、天然の抗炎症剤としては、グリチルリチン酸を主成分とした甘草エキスやウシの胎盤エキスなとがある。また、天然の抗アレルギー剤としては、紫蘇エキス、ビワの葉エキス、桃の葉エキスなどがある。
【0003】
しかし、甘草エキスや胎盤エキスは接触性皮膚炎を誘発したり、抗炎症効果が弱いなどの欠点があった。また、紫蘇エキス、ビワの葉エキス、或いは桃の葉エキスも、期待した程の抗アレルギー効果が得られないのが現状である。
【特許文献1】特開2000−239176号公報
【特許文献2】特開2001−2552号公報
【特許文献3】特開2001−335496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、すなわち、本発明の課題は、皮膚一次刺激および皮膚感作のない低刺激性で、紫外線等で傷んだ皮膚組織を癒し、抗炎症作用および抗アレルギー作用を発揮すると共に、アレルギー体質やアトピーなどに起因する敏感肌に対しても安心して使用できる化粧料およびそれに配合される化粧料用配合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の化粧料は、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を配合したことを主要な特徴とする。また、本発明の化粧料用配合物は、本発明の化粧料に配合されるものであり、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を含有したことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の化粧料は、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体(ミネラル)を含有しているので、抗炎症活性と抗ヒスタミン活性により、紫外線などによるほてりを抑え、アレルギー体質やアトピーによる皮膚過敏症(敏感肌)を緩和させることができると共に、皮膚一次刺激および皮膚感作のない低刺激性であり安心して使用できる。
請求項2に記載の化粧料用配合物は、既存の化粧原料に添加することにより上記請求項1の効果を奏する化粧料を作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の化粧料は、岩石から抽出して得られた微量元素の集合体(以下、「岩石抽出物」という。)を配合した化粧料であり、例えば表1に示した配合比に調整されたローションである。なお、本願でいう化粧料とは、例えば頭髪用化粧品、清浄用化粧品および基礎化粧品を含む全化粧品を意味する。
【実施例1】
【0008】
【表1】

【0009】
この実施例の化粧料には、上記表1に示すように、本発明の特徴成分である岩石抽出物が83.6重量%含有されている。この岩石抽出物が上記請求項1の効果を発揮する原因物質であり、本発明の化粧料用配合物である。そして、このローションは、紫外線によるほてり、炎症を抑え、アレルギーに起因する湿疹やかゆみを緩和する効果を有し、敏感肌用ローションとなる。
【0010】
岩石抽出物は、岩石を粉砕し、この岩石の粉砕物を無機酸で溶かし、100〜150℃で8〜12時間熱処理した後、クエン酸緩衝液などによりpHを調整し、ろ過により沈殿物を除去することにより得ることができる。このように、本発明の化粧料用配合物は、岩石から抽出されるため、微量元素の抽出元としては一次的であり、海洋深層水または動植物などの生物由来の抽出元に比して、極めて容易かつ多種多量な微量元素をより確実に抽出できる。また、クエン酸緩衝液により調整されることにより、元来、水に溶けにくい微量元素の集合体が水溶性になり、化粧料用配合物として使用しやすくなると共に、化粧料に配合されると、保湿性や保水性をより向上させることができる。さらに、無機酸の分量を増加させることにより熱処理の温度を高くすることができ、これにより、岩石に含まれる微量元素をより含有バランス通りにより確実かつ効率的に抽出することができる。
【0011】
岩石としては、緑泥石を主要構成物とするナキジン変成岩(ナキジンクロライト)などの緑色岩が好適である。
この緑色岩からは、イオウ、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、マンガン、ケイ素、ナトリウム、チタン、カリウム、リン、ニッケル、クロム、亜鉛、銅、フッ素、バナジウム、コバルト、リチウムなどの微量元素が抽出されることが確認されているが、抽出方法や抽出条件等によっては他の微量元素も抽出されることが推測される。
【0012】
無機酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸又はこれらの混合物が好適に使用できる。そして、無機酸により溶解されて得られた岩石抽出物(化粧料用配合物)は、透明無色で無臭な水溶液であり化粧料に配合するには理想的な天然原料となる。
【0013】
(抗炎症作用実験)
ナキジン変成岩(1kg)を粉砕し、1%硫酸水溶液(800g)で溶かし、120℃で10時間加熱処理した後、1%水酸化ナトリウム水溶液及びクエン酸緩衝液によりpHを4.5〜5.5に調整し、ろ過によって沈殿物を除去することにより岩石抽出物の原液(1300g)を得た。そして、この岩石抽出物の原液に含有されている微量元素の各成分濃度を、ICP質量分析法により測定したところ、以下の表2に示す通りであった。
【0014】
【表2】

【0015】
他方、ウィスター系雄性ラット(体重:115〜132g、1群7匹)を恒温恒室(温度23±1℃、湿度55±5%)下で、1週間、固型飼料(CE−2,日本クリア社製)と水道水を自由摂取させ飼育した。
【0016】
これらのウィスター系雄性ラットに、上記岩石抽出物の原液を水道水で6000倍(体積比)に希釈した本発明の化粧料用配合物を300mg/kg、或いは対照薬物としてアスピリンを100mg/kg皮下注射した。皮下注射後30分に、1%カラゲニン生理食塩水溶液0.1mlをウィスター系雄性ラットの右後肢足蹠へ注射してカラゲニン浮腫を誘発させた。
【0017】
右後肢足の容積を注射後1時間〜24時間に渡り足容積測定装置(MK-500,室町機械社製)を用いて水置換法にて測定した。得られた浮腫率より浮腫抑制率を算出すると以下の表3の通りであった。
【0018】
【表3】

【0019】
上記表3によれば、岩石抽出物(本発明の化粧料用配合物)は、カラゲニン浮腫ピーク時(3〜5時間)に有意な抑制を示すことが確認された。その効果は、市販されている非ステロイド系鎮痛剤の代表であるアスピリンには及ばないが、緩和な抗炎症作用を呈することが認められ、紫外線による炎症や日焼けによるほてり、化粧品によるかぶれなどには十分に効果があると考えられる。
【0020】
(抗ヒスタミン作用実験)
ハートレイ系雄性モルモット(体重:325〜375g、1群6匹)を恒温恒室(温度23±1℃、湿度55±5%)下で、1週間、固型飼料(CE−2,日本クリア社製)と水道水を自由摂取させ飼育した。
【0021】
ハートレイ系雄性モルモットを後頭部打撲後、頚動・静脈を切断し、放血到死後、腹部切開し盲腸より3〜7cmの間で回腸を摘出し、長さ約20mmの管状標本とした。
【0022】
標本の両端に糸を通し、通気した栄養液(Ca2+LOCKE−RINGER液:32℃,30ml)を満たしたマグナス管内に懸垂し、0.5gの荷重を加えて1時間放置し安定化させた。
【0023】
抗炎症作用実験で作製したものと同様の岩石抽出物(上記岩石抽出物の原液を水道水で6000倍(体積比)に希釈した本発明の化粧料用配合物)を、3×10-1Mに再溜水で調整し、ヒスタミン投与一分前に0.1ml(バス内濃度1mM)を投与した。
【0024】
収縮薬としてのヒスタミン(10-9〜10-4M)を累積的に投与し、標本の収縮を等張性トランスデューサーを介しポリグラフ上に記録した。収縮薬単独の最大収縮率を100%として、岩石抽出物のヒスタミンに対する収縮抑制率を算出したところ、以下の表4に示す通りであった。
【0025】
【表4】

【0026】
岩石抽出物を投与しない非処置対照群では、ヒスタミンの投与により、10-8M以上の濃度から収縮が発現し、10-4M以上でほぼ100%の収縮を示した。一方、岩石抽出物が投与されたものは、上記表4に示すように、10-7〜10-4Mに至る低濃度から高濃度にかけてヒスタミン用量作用曲線を右へ平行移動させ、ヒスタミンに対して競合的拮抗作用を示した。これらのことから、岩石抽出物(本発明の化粧料用配合物)には、その効果は緩和なものではあるが、ヒスタミン由来によるかぶれ、アレルギー肌などには効果的であると考えられる。
【0027】
なお、上記のような抗炎症作用や抗アレルギー作用は、本発明の化粧料に配合する化粧料用配合物の何に起因するものかは明らかではないが、おそらく岩石に含まれる微量元素の集合体、またはそれらの成分バランスが関与しているものと推測される。
【0028】
つぎに、以下の表5に示した本発明の化粧料の他の実施例について説明する。
この実施例はシャンプーであり、岩石抽出物を5.0重量%含有している。
このシャンプーは、精製水を70℃に加熱し、他の成分を加え均一に溶解した後、冷却して作製されており、岩石抽出物の抗炎症作用により、頭皮の炎症を抑えフケの発生を防止する効果があり、特に毛髪や頭皮にダメージがある場合に最適である。
【0029】
【表5】

【0030】
さらに、以下の表6に示した本発明の化粧料の他の実施例について説明する。
この実施例は美白ジェルであり、岩石抽出物を5.0重量%含有している。
この美白ジェルは、精製水にカルボマーを加え、12時間放置後に、10%水酸化ナトリウム液以外の成分を加え均一に攪拌した後、最後に10%水酸化ナトリウム液を加えホモミキサーで均一に攪拌して作製されており、紫外線による炎症や活性酸素により遊離されるヒスタミンを岩石抽出物が抑制することにより、正常なターンオーバー(新陳代謝)が維持され、メラミン色素の沈着(シミ、ソバカス)を予防する美白ジェルとなる。
【0031】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項2】
岩石から抽出して得られた微量元素の集合体を含有したことを特徴とする化粧料用配合物。

【公開番号】特開2006−257051(P2006−257051A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80069(P2005−80069)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(504148907)株式会社 クオリカバイオアーチ (1)
【Fターム(参考)】