説明

医用レポート作成システム及び医用レポート作成装置並びに医用レポート作成方法

【課題】読影医に余計な手間を掛けることなく、緊急な対応を要する場合の処置の遅れを確実に防止する。
【解決手段】読影医は、読影レポート作成端末12を介して医用画像の読影結果を示す読影レポートを作成する。この際、読影医は、読影結果の重要性の度合いを示す重要度を読影レポートに設定する。読影レポート作成端末12のCPUは、読影レポートが作成された際、重要度の設定を基に、患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定する。CPUは、緊急な対応が必要であると判定すると、読影レポートに記入された内容を基にメッセージ94を作成し、そのメッセージ94を依頼医のPHS端末28に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成する医用レポート作成システム、及び医用レポート作成装置、並びにこれらに用いられる医用レポート作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療施設において、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴映像)装置、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影)装置、超音波診断装置などといった様々な医療検査装置(モダリティ)が普及している。モダリティによって撮影された医用画像は、医師が患者を診断する際などに用いられ、患者の症状を確定する上で大きな役割を担っている。
【0003】
一般に、各診療科に在籍する医師は、医用画像を基に診断を行う際、その医用画像の読影を放射線科などの検査部門に依頼する。検査部門に在籍する医師(以下、読影医と称す)は、依頼された医用画像の読影を行い、その結果をレポート(以下、読影レポートと称す)にまとめて依頼元の医師(以下、依頼医と称す)に報告する。依頼医は、この読影レポートを基に患者に対する最終的な診断を行い、診断を確定する。
【0004】
近年、医療分野では、業務の効率化を図るため、医用画像やカルテなどの電子化が進められている。こうした情勢の下、上述のような読影業務をオンラインで行えるようにしたシステムも、例えば、特許文献1などによって提案されている。
【特許文献1】特開2007−041684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
読影レポートの表示は、例えば、複数の検査依頼が並べて表示されたリストから所望の検査依頼を選択することによって行われる。この際、各検査依頼が同じ状態で表示されていると、例えば、緊急に対応が必要な検査の診断が後回しになってしまったり、重要な内容が記載された読影レポートが読み忘れられてしまったりなど、処置の遅れやミスにつながってしまうことが懸念される。
【0006】
このため、特許文献1記載のレポート作成システムでは、読影レポートに重要度を割り付け、重要度の高い読影レポートをリスト上で強調表示するようにしている。このように、強調表示を行えば、重要度の高い読影レポートと重要度の低い読影レポートとを容易に区別することが可能になるので、処置の遅れやミスなどを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、外来患者や入院患者の診察を行っていたり、カンファレンスに出席していたりなど、依頼医は、検査依頼のリストを常に参照している訳ではない。このように、依頼医がリストを参照していない場合、検査部門から緊急な対応を要する読影レポートが報告されたとしても、依頼医は、それに気が付かない。すなわち、上述のように、レポート上で強調表示を行うだけでは、緊急な対応を要する場合の処置の遅れを確実に防止することができないという問題があった。
【0008】
また、処置の遅れを防止する方法として、読影医が電話などで依頼医に連絡することも考えられる。しかしながら、読影医は、1時間に100枚以上の読影を行わなければならない場合もあり、読影医自身に連絡を行わせていたのでは、読影医の業務効率の低下を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、読影医に余計な手間を掛けることなく、緊急な対応を要する場合の処置の遅れを確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の医用レポート作成システムは、依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するレポート作成手段と、前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定する重要度設定手段と、前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定する判定手段と、緊急な対応が必要であると前記判定手段が判定した際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するメッセージ送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
なお、前記メッセージ送信手段は、緊急な対応が必要であると判定された医学的検査の依頼者が前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定し、確認できる状態にあると判定した場合には、その依頼者を宛先に設定し、確認できる状態にないと判定した場合には、その依頼者と関係があり、かつ前記メッセージを確認できる状態にある医療従事者を特定して、その医療従事者を宛先に設定することが好ましい。
【0012】
また、医療施設に在籍する複数の医療従事者のそれぞれのスケジュールを示すスケジュールデータを管理するスケジュール管理手段を設け、前記メッセージ送信手段は、前記スケジュールデータを基に、依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者のスケジュールを確認することによって、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定することが好ましい。
【0013】
さらに、医療施設で行われる医療業務の予約状況を示す予約情報を管理する予約情報管理手段を設け、前記メッセージ送信手段は、前記予約情報を基に、依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者が行っている前記医療業務を確認することによって、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定するものとしてもよい。
【0014】
なお、医療施設に在籍する複数の医療従事者の居所を検知する居所検知手段を設け、前記メッセージ送信手段は、前記居所検知手段が検知した依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者の居所を基に、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定するものとしてもよい。
【0015】
また、前記メッセージ送信手段は、緊急な対応が必要であると判定された医学的検査の依頼者と、この医学的検査を行った患者の治療に関係している医療従事者とを宛先に設定するものであってもよい。
【0016】
また、前記メッセージ送信手段は、依頼者を含む各医療従事者が携帯可能な端末装置に前記メッセージを送信することが好ましい。
【0017】
さらに、医療施設が有する複数のナースステーションのそれぞれに設置されるナースステーション用端末と、依頼者を含む各医療従事者が常駐する病棟を示す病棟情報を管理する病棟情報管理手段とを設け、前記メッセージ送信手段は、前記病棟情報を基に依頼者が常駐する病棟を確認し、その病棟のナースステーションに設置された前記ナースステーション用端末を宛先に設定するものであってもよい。
【0018】
なお、複数の前記検査依頼を表形式にまとめた検査依頼リストを生成するリスト生成手段と、前記重要度が設定された前記医用レポートの前記検査依頼を強調して前記検査依頼リストを表示するリスト表示手段とを設けると、さらに好適である。
【0019】
また、前記リスト表示手段は、前記重要度が設定された前記検査依頼のみをリストアップするフィルタ機能を有することが好ましい。
【0020】
また、前記メッセージ送信手段は、送信した前記メッセージに対する開封通知を受信するか、あるいは前記医用レポートの参照が確認されるまで、定期的に前記メッセージの送信を行うことが好ましい。
【0021】
さらに、前記メッセージ送信手段は、前記医用レポートに記入された内容を基に、前記メッセージを作成することが好ましい。
【0022】
なお、本発明の医用レポート作成装置は、依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するレポート作成手段と、前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定する重要度設定手段と、前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定する判定手段と、緊急な対応が必要であると前記判定手段が判定した際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するメッセージ送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の医用レポート作成方法は、依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するステップと、前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定するステップと、前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定するステップと、緊急な対応が必要であると判定された際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、医用レポートに重要度を設定し、この重要度を基に患者に対して緊急な対応が必要であるか否かを判定し、必要であると判定された際に、その旨を示すメッセージを送信するようにした。このように、メッセージを送信し、緊急な対応を要することを連絡することで、医用レポートに気付くまでのタイムラグを削減し、処置の遅れを確実に防止することができる。また、メッセージを自動的に送信するので、読影医などのユーザに余計な手間を掛けることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、病院などの医療施設に構築される医用ネットワークシステム(医用レポート作成システム)2の構成を概略的に示す説明図である。医用ネットワークシステム2は、診療科端末10、読影レポート作成端末(医用レポート作成装置)12、モダリティ14、画像データベース(DB)16、レポートDB18、検査依頼管理DB(リスト生成手段)20、スケジュール管理DB(スケジュール管理手段)22、基地局24、及びこれらを相互に接続するLAN(Local Area Network)26、医療施設に在籍する各医師のそれぞれが携帯する複数台のPHS端末28によって構成されている。診療科端末10は、外科や内科などといった各診療科4のそれぞれに設置されている。読影レポート作成端末12は、放射線科などの検査部門6に設置されている。なお、各DB16、18、20、22は、同一のサーバに構築してもよいし、それぞれ個別のサーバに構築してもよい。
【0026】
モダリティ14は、例えば、CR装置、CT装置、MRI装置などといった周知の医用検査装置である。モダリティ14は、検査部門6に設置され、各診療科4からの検査依頼に応じて医用画像30を取得する。画像DB16は、モダリティ14が取得した医用画像30を保管し、要求に応じて保管した医用画像30を各診療科端末10や読影レポート作成端末12に転送する。
【0027】
各診療科4に在籍する医師は、患者の診断を行う際、必要に応じて検査部門6に検査を依頼する。検査部門6では、各診療科4からの検査依頼に応じて患者の医用画像30を取得するとともに、その医用画像30の読影を行う。検査部門6に在籍する医師(以下、読影医と称す)は、医用画像30の読影を行うと、その結果を読影レポート32にまとめて依頼元の医師(以下、依頼医と称す)に報告する。そして、依頼医は、検査部門6からの読影レポート32を基に最終的な診断を行い、診断を確定する。医用ネットワークシステム2は、各診療科端末10と読影レポート作成端末12とをLAN26を介して接続し、検査依頼と読影結果の報告とをオンラインで行えるようにすることで、当該医療施設における業務の効率化を図る。
【0028】
レポートDB18は、読影レポート作成端末12によって電子データとして作成された読影レポート32を保管するとともに、各診療科端末10からの要求に応じて保管した読影レポート32を要求元の診療科端末10に転送する。
【0029】
検査依頼管理DB20は、検査部門6に対する検査依頼の情報をまとめて管理する。各診療科4の依頼医は、検査依頼管理DB20にアクセスし、新たな検査依頼を登録することによって、検査部門6に検査を依頼する。検査部門6の検査技師や読影医は、検査依頼管理DB20にアクセスし、検査の依頼状況を確認することによって検査業務、読影業務を実施する。
【0030】
スケジュール管理DB22は、医療施設に在籍する各医師のスケジュールを示すスケジュールデータをまとめて管理する。スケジュールデータは、例えば、何日の何時から何時までかを表す日時情報と、その日時に行う業務内容などを表す内容情報とで構成され、各医師の1日の行動を表すタイムスケジュールとして作成される。各医師は、各日時のスケジュールが確定する毎にスケジュール管理DB22にアクセスし、新たなスケジュールを入力して自身のスケジュールデータを更新する。なお、内容情報とは、例えば、外来診察、病棟診察、カンファレンス、手術、出張、休暇などである。また、スケジュールデータは、医師が直接更新することに限らず、例えば、看護師などが更新してもよい。
【0031】
基地局24は、PHS端末28と無線通信し、LAN26や公衆交換電話網などとPHS端末28との通信回線を確立する。PHS端末28は、いわゆる院内PHSであり、医療施設内外の電話端末との通話機能、及び電子メールの送受信機能を有している。なお、図1では、1つの基地局24のみを示しているが、基地局24は、例えば、医療施設の部屋毎やフロア毎など各PHS端末28との無線通信の状況に応じて医用ネットワークシステム2に複数設けられる。
【0032】
図2は、診療科端末10の構成を概略的に示すブロック図である。診療科端末10は、周知のパーソナルコンピュータやワークステーションなどであり、診療科端末10の各部を統括的に制御するCPU40と、医用ネットワークシステム2に係る各種のプログラムなどを記憶するHDD41と、医用画像30や読影レポート32などを表示するためのモニタ42と、周知の入力デバイスであるマウス43及びキーボード44と、診療科端末10をLAN26に接続するための通信インタフェース(I/F)45とを備えている。また、これらの各部は、バス46によって互いに接続される。CPU40は、HDD41に記憶された各種のプログラムを読み出し、読み出したプログラムを逐次処理することによって、診療科端末10を制御する。
【0033】
図3は、読影レポート作成端末12の構成を概略的に示すブロック図である。読影レポート作成端末12は、周知のパーソナルコンピュータやワークステーションなどであり、読影レポート作成端末12の各部を統括的に制御するCPU50と、医用ネットワークシステム2に係る各種のプログラムなどを記憶するHDD51と、種々の操作画面などを表示するためのメインモニタ52と、医用画像30を表示するための画像表示用モニタ53と、周知の入力デバイスであるマウス54及びキーボード55と、読影レポート作成端末12をLAN26に接続するための通信I/F56とを備えている。また、これらの各部は、バス57を介して互いに接続されている。CPU50は、HDD51に記憶された各種のプログラムを読み出し、読み出したプログラムを逐次処理することによって、読影レポート作成端末12を制御する。
【0034】
読影レポート作成端末12は、2台のモニタ52、53を有する、いわゆるデュアルモニタ構成になっている。画像表示用モニタ53には、医用画像30を鮮明に表示できるように高精細なモニタが用いられる。読影医は、画像表示用モニタ53に医用画像30を表示して読影を行うとともに、メインモニタ52に表示された画面を介して読影レポート32の作成を行う。このように、2台のモニタ52、53を設け、読影と読影レポート32の作成とを、それぞれ別々の画面で行えるようにすることにより、検査部門6における読影業務の効率化を図ることができる。なお、読影レポート作成端末12に設けられるモニタの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0035】
各診療科4から検査部門6への検査依頼は、診療科端末10で検査依頼情報を作成し、検査依頼管理DB20に登録することによって行われる。検査依頼管理DB20は、各診療科端末10から送信された検査依頼情報を受信すると、その検査依頼情報を、例えば、受信日時順に並べて保管する。これにより、検査部門6に検査が依頼される。
【0036】
検査依頼情報は、例えば、患者情報、検査情報、医師情報などによって構成される。患者情報は、検査を依頼する患者の個人情報を表す情報であり、例えば、患者名、患者ID、性別、年齢、生年月日、及び既往歴などが含まれる。検査情報は、依頼したい検査の内容を表す情報であり、例えば、検査項目、検査方法などが含まれる。ここで、検査項目とは、モダリティ14の種類や撮影部位などである。また、検査方法とは、正面及び側面などの撮影に対する患者の向きや造影剤の有無などである。医師情報は、依頼医を表す情報であり、例えば、依頼医名、医師ID、在籍する診療科などが含まれる。なお、検査依頼情報に含まれる情報は、これらに限定されるものではない。
【0037】
図4は、診療科端末10のモニタ42、及び読影レポート作成端末12のメインモニタ52に表示される検査依頼リスト60の一例を示す説明図である。検査依頼リスト60には、検査部門6に依頼された各検査依頼が表形式で表示される。また、検査依頼リスト60には、ポインタ62が表示される。ポインタ62は、マウス43、54の操作に連動して画面上を移動する。
【0038】
検査依頼リスト60の各表示欄には、例えば、検査依頼の受信日時、患者名、依頼科名、依頼医名、検査項目、及びその検査依頼のステータスなどが表示される。ステータスには、例えば、検査も読影も行われていない場合に「検査待ち」が表示される。また、検査が行われ、読影が行われていない場合に「読影待ち」が表示される。そして、検査も読影も行われている場合に「終了」が表示される。
【0039】
診療科端末10及び読影レポート作成端末12の各CPU40、50は、マウス43、54などを介して検査依頼リスト60の表示が指示されると、検査依頼管理DB20にアクセスし、検査依頼リスト60の転送を要求する。検査依頼管理DB20は、検査依頼リスト60の転送要求を受信すると、保管した各検査依頼情報から検査依頼リスト60を構成し、要求元の診療科端末10又は読影レポート作成端末12に転送する。CPU40、50は、検査依頼管理DB20から検査依頼リスト60を受信すると、その検査依頼リスト60をモニタ42、52に表示する。
【0040】
各診療科4に在籍する各依頼医は、検査依頼リスト60を介して、依頼した検査のステータスの確認や新たな検査依頼の登録などを行う。検査部門6に在籍する各読影医は、検査依頼リスト60を介して各診療科4からの検査依頼を確認し、医用画像30の取得、読影、及び読影レポート32の作成などといった各種の業務を行う。
【0041】
図5は、読影レポート作成端末12のメインモニタ52に表示されるレポート作成画面70の一例を示す説明図である。レポート作成画面70は、例えば、検査依頼リスト60から所定の検査依頼を選択することによって、メインモニタ52に表示される。レポート作成画面70には、各種の情報を表示するための情報表示領域71と、所見を入力するための所見入力領域72と、診断結果を入力するための診断結果入力領域73と、キー画像90を貼り付けるためのキー画像貼付領域74と、読影レポート32の重要度を設定するための重要度設定領域75とが設けられている。また、レポート作成画面70には、ポインタ76が表示される。ポインタ76は、マウス54の操作に連動して画面上を移動する。
【0042】
情報表示領域71には、患者情報表示ボックス77と検査情報表示ボックス78とが設けられている。各ボックス77、78には、選択した検査依頼の検査に関する患者情報、検査情報などが、それぞれ表示される。所見入力領域72には、テキスト入力ボックス80が設けられている。読影医は、画像表示用モニタ53に表示される医用画像30の読影を行い、キーボード55を介してテキスト入力ボックス80に、その所見を記入する。
【0043】
診断結果入力領域73には、テキスト入力ボックス82と完了ボタン83とが設けられている。読影医は、所見と同様に、医用画像30の読影を行い、キーボード55を介してテキスト入力ボックス82にその診断結果を記入する。完了ボタン83は、読影レポート32の作成完了を指示するためのものである。読影医は、所見や診断結果の記入などを行って読影レポート32を作成すると、マウス54を操作して完了ボタン83をクリックすることにより、読影レポート32の作成を終了する。読影レポート作成端末12のCPU50は、完了ボタン83がクリックされたことに応じて、作成された読影レポート32をレポートDB18に保管する。
【0044】
キー画像貼付領域74には、読影診断で注目された医用画像30がキー画像90として貼り付けられる。キー画像90は、医用画像30に縮小/拡大、階調処理などの画像処理を施すことによって作成される。また、キー画像90は、例えば、画像表示用モニタ53に表示された医用画像30をキー画像貼付領域74にドラッグアンドドロップすることによって作成され、キー画像貼付領域74に貼り付けられる。
【0045】
読影結果の重要性の度合いを示す読影レポート32の重要度は、例えば、緊急性はないが何らかの特別な対応が必要であることを示すレベル1と、患者に対して緊急な対応を要することを示すレベル2との2段階に設定される。重要度設定領域75には、重要度をレベル2に設定するためのチェックボックス84と、レベル1に設定するためのチェックボックス85と、重要度なしに設定するためのチェックボックス86とが設けられている。重要度の設定は、各チェックボックス84、85、86のいずれかをクリックすることによって行われる。また、各チェックボックス84、85、86をクリックすると、設定されたことを示すマーク87がボックス内に表示される。
【0046】
読影医は、例えば、直ちに手術や入院が必要であるなど患者の生命に係わる症状が診断された場合や外来患者が病院にいる間に対応が必要である場合などに重要度をレベル2に設定する。また、読影医は、例えば、医用画像30の読影だけでは診断が確定できず、他の検査によって確認を行う必要がある場合などに重要度をレベル2に設定する。さらに、読影医は、例えば、医用画像30から特に異常が認められなかった場合などに重要度なしに設定する。なお、重要度の設定は、2段階に限ることなく、1段階でもよいし、3段階以上でもよい。
【0047】
図6は、レポート作成画面70を介して作成される読影レポート32の構成を概略的に示す説明図である。読影レポート32には、例えば、患者情報表示ボックス77に表示される患者情報、検査情報表示ボックス78に表示される検査情報、テキスト入力ボックス80に記入された所見の文字列を表す所見情報、テキスト入力ボックス82に記入された診断結果の文字列を表す診断結果情報、キー画像貼付領域74に貼り付けられたキー画像90を表すキー画像情報、及び重要度設定領域75で設定された重要度を表す重要度設定情報などが記録されている。なお、キー画像情報は、キー画像90の画像データそのものを表すものでもよいし、キー画像90の格納先のアドレスなどを表すものでもよい。また、読影レポート32に記録される情報は、上記に限るものではない。
【0048】
図7は、検査依頼管理DB20に保管される各検査依頼情報の構成を概略的に示す説明図である。検査依頼情報には、前述のように、患者情報、検査情報、医師情報が含まれるとともに、その検査依頼のステータスを表すステータス情報、及びその検査依頼の読影レポート32に設定された重要度を表す重要度設定情報が含まれる。
【0049】
ステータス情報は、その検査依頼が検査も読影も行われていないことを示す状態と、読影のみが行われていないことを示す状態と、検査も読影も行われていることを示す状態との3つの状態を有している。検査依頼リスト60のステータスの項目は、このステータス情報を基に表示される。但し、ステータス情報の状態、及び検査依頼リスト60に表示されるステータスは、上記の3つに限るものではない。
【0050】
ステータス情報は、依頼医が新たな検査依頼を登録する際、検査も読影も行われていないことを示す状態で作成される。また、重要度設定情報は、依頼医が新たな検査依頼を登録する際、重要度なしに設定された状態で作成される。モダリティ14は、検査依頼に応じて医用画像30を取得すると、その医用画像30を画像DB16に保管するとともに、検査依頼管理DB20に検査が終了したことを示す情報を送信する。検査依頼管理DB20は、モダリティ14から検査終了の情報を受信すると、その情報を基に、検査も読影も行われていないことを示す状態から読影のみが行われていないことを示す状態に、その検査依頼のステータス情報を更新する。
【0051】
読影レポート作成端末12のCPU50は、読影レポート32が作成されると、その読影レポート32をレポートDB18に保管するとともに、検査依頼管理DB20に読影レポート32の作成が終了したことを示す情報を送信する。検査依頼管理DB20は、CPU50からレポート作成終了の情報を受信すると、その情報を基に、読影のみが行われていないことを示す状態から検査も読影も行われていることを示す状態に、その検査依頼のステータス情報を更新する。また、CPU50は、レポート作成終了の情報とともに、その読影レポート32の重要度設定情報を検査依頼管理DB20に送信する。検査依頼管理DB20は、CPU50から重要度設定情報を受信すると、その検査依頼の検査依頼情報に含まれる重要度設定情報を、受信した重要度設定情報に書き換える。このように、検査依頼管理DB20の各検査依頼情報には、その検査依頼のステータス、及び重要度の設定が反映される。
【0052】
検査依頼情報に含まれるステータス情報は、前述のように、検査依頼リスト60のステータスの項目を表示するために用いられる。一方、検査依頼情報に含まれる重要度設定情報は、検査依頼リスト60に表示される各検査依頼を強調表示するために用いられる。診療科端末10及び読影レポート作成端末12の各CPU40、50は、検査依頼リスト60をモニタ42、52に表示する際、各検査依頼情報に含まれる重要度設定情報を確認する。そして、CPU40、50は、レベル1、又はレベル2のいずれかの重要度が設定されている場合、図4の2行目の表示欄に示す検査依頼のように、その検査依頼を強調表示する。このように、強調表示を行えば、重要度が設定されている検査依頼を依頼医になどに即座に認識させることができる。なお、強調表示は、背景色を変えるものでもよいし、文字と背景とを反転させるものでもよい。さらには、重要度のレベルを示すマークなどを各表示欄に表示するようにしてもよい。
【0053】
読影レポート作成端末12のCPU50は、重要度がレベル2に設定された読影レポート32が作成された場合、図8に示すように、メッセージの送信処理を行う。CPU50は、重要度がレベル2に設定された読影レポート32が作成されると、スケジュール管理DB22にアクセスし、現時点における依頼医のスケジュールデータの転送を要求する。スケジュール管理DB22は、転送要求を受信すると、例えば、その転送要求に含まれる医師IDなどを基に依頼医のスケジュールデータを確認する。スケジュール管理DB22は、依頼医のスケジュールデータを確認すると、そのスケジュールデータから現時点に対応する部分のみを抽出し、抽出したスケジュールデータを読影レポート作成端末12に転送する。
【0054】
CPU50は、スケジュール管理DBからスケジュールデータを受信すると、そのスケジュールデータを基に依頼医のスケジュールを確認し、現時点において依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定する。CPU50は、現時点における依頼医のスケジュールが、例えば、外来診察、病棟診察、カンファレンスなどである場合に、メッセージを確認できる状態にあると判定する。また、CPU50は、現時点における依頼医のスケジュールが、例えば、手術、出張、休暇などである場合に、メッセージを確認できる状態にないと判定する。
【0055】
CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にあると判定すると、電子メールの形式でメッセージ94を作成する。CPU50は、例えば、予め件名などが記録されたテンプレートに患者氏名、患者ID、検査実施日、検査項目、診断結果などの項目を記録することにより、メッセージ94を作成する。つまり、CPU50は、どの患者のいつのどういう目的での検査において、なぜ緊急の対応が必要なのかが分かるように、メッセージ94を作成する。なお、テンプレートに対する各項目の記録は、読影レポート32に含まれる患者情報、検査情報、診断結果情報を基に行われる。また、メッセージ94に記録される項目、及びメッセージ94の形式は、上記に限るものではない。
【0056】
読影レポート作成端末12には、メールアドレス管理テーブル96が設けられている。メールアドレス管理テーブル96は、いわゆるアドレス帳であり、図9に示すように、医療施設に在籍する各医師の名称、医師ID、所属する診療科4、及びPHS端末28のメールアドレスなどが関連付けられて記録されている。また、このメールアドレス管理テーブル96は、例えば、HDD51に記憶されている。
【0057】
CPU50は、メッセージ94を作成すると、メールアドレス管理テーブル96を参照して依頼医のメールアドレスを確認する。そして、CPU50は、メールアドレスを確認すると、そのメールアドレスを宛先に設定し、依頼医のPHS端末28に作成したメッセージ94を送信する。また、PHS端末28は、受信したメッセージ94が参照されたことを確認すると、読影レポート作成端末12にメッセージ94の開封通知を送信する。
【0058】
一方、CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にないと判定すると、依頼医に関係する医師(以下、関係医と称す)の特定を行う。CPU50は、例えば、メールアドレス管理テーブル96を参照し、依頼医と同じ診療科4に所属する医師を、関係医として特定する。CPU50は、関係医を特定すると、その関係医のスケジュールデータの転送をスケジュール管理DB22に送信し、メッセージを確認できる状態にあるか否かの判定を行う。そして、CPU50は、メッセージを確認できる状態にある関係医が見付かるまで、上記の処理を繰り返す。CPU50は、メッセージを確認できる状態にある関係医が見付かると、依頼医の場合と同様に、メッセージ94の作成、及びメールアドレスの確認を行い、その関係医のPHS端末28に作成したメッセージ94を送信する。
【0059】
次に、図10に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による医用ネットワークシステム2の作用について説明する。検査部門6に在籍する読影医は、読影を行う際、検査依頼リスト60(図4参照)を読影レポート作成端末12のメインモニタ52に表示させる。読影レポート作成端末12のCPU50は、検査依頼リスト60を表示する際、各検査依頼情報に含まれる重要度設定情報を基に、重要度が設定された検査依頼を強調表示する。これにより、重要度が設定されている検査依頼と設定されていない検査依頼とを容易に区別することができる。
【0060】
読影医は、ステータスの欄に「読影待ち」が表示された検査依頼を検査依頼リスト60から選択することにより、医用画像30の読影、及び読影レポート32の作成を開始する。検査依頼リスト60から所定の検査依頼を選択すると、その検査依頼に応じた医用画像30が画像DB16から読み出され、画像表示用モニタ53に表示される。また、これと同時に、レポート作成画面70がメインモニタ52に表示される。
【0061】
読影医は、画像表示用モニタ53を介して医用画像30の読影を行う。そして、その所見、診断結果の記入、キー画像90の貼り付け、及び重要度の設定を行って読影レポート32を作成する。読影医は、読影レポート32の作成が完了すると、完了ボタン83をクリックし、読影レポート32を確定させる。
【0062】
CPU50は、読影レポート32が確定されると、重要度がレベル2に設定されているか否かの判定を行う。CPU50は、重要度がレベル1、又は重要度なしに設定されていると判定した場合、作成した読影レポート32をレポートDB18に保管し、読影レポート32の作成が終了したことを示す情報を検査依頼管理DB20に送信して処理を終了する。
【0063】
一方、CPU50は、重要度がレベル2に設定されていると判定した場合、前述のようにメッセージの送信処理を行う。CPU50は、重要度がレベル2に設定されていると判定すると、スケジュール管理DB22に依頼医のスケジュールデータの転送を要求し、現時点における依頼医のスケジュールを確認する。そして、CPU50は、依頼医のスケジュールを確認すると、現時点において依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定する。
【0064】
CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にあると判定すると、メッセージ94を作成し、メールアドレス管理テーブル96を参照して依頼医のメールアドレスを確認する。そして、CPU50は、そのメールアドレスを宛先に設定し、依頼医のPHS端末28に作成したメッセージ94を送信する。このように、依頼医にメッセージ94を送信し、緊急な対応を要することを依頼医に連絡することで、依頼医が読影レポート32に気付くまでのタイムラグを削減し、処置の遅れを確実に防止することができる。また、この際、読影レポート32に含まれる患者情報、検査情報、診断結果情報を基に、CPU50が自動的にメッセージ94を作成するようにしたので、読影医に余計な手間を掛けることもない。
【0065】
一方、CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にないと判定すると、メッセージを確認できる状態にある関係医の特定を行う。CPU50は、関係医を特定すると、メッセージ94を作成し、メールアドレス管理テーブル96を参照して関係医のメールアドレスを確認する。そして、CPU50は、そのメールアドレスを宛先に設定し、関係医のPHS端末28に作成したメッセージ94を送信する。このように、医療施設に在籍する各医師のスケジュールを確認し、依頼医がメッセージを確認できる状態にない場合には、その関係医にメッセージ94を送信することで、依頼医が対応できないような場合にも、処置の遅れを確実に防止することができる。
【0066】
CPU50は、依頼医、又は関係医に対するメッセージ94の送信とともに、作成した読影レポート32のレポートDB18への保管、及び読影レポート32の作成が終了したことを示す情報の検査依頼管理DB20への送信を行う。
【0067】
また、CPU50は、依頼医、又は関係医に対してメッセージ94を送信した後、PHS端末28からの開封通知を受信したか否かの判定を行う。CPU50は、開封通知を受信していないと判定すると、レポートDB18にアクセスし、対応する読影レポート32が依頼医、又は関係医に参照されているか否かの判定を行う。CPU50は、読影レポート32が参照されていないと判定すると、依頼医、又は関係医に対してメッセージ94を再送する。そして、CPU50は、開封通知を受信するか、あるいは読影レポート32の参照が確認されるまで、メッセージ94の再送処理を定期的に繰り返す。このように、メッセージ94、又は対応する読影レポート32の参照が確認されるまでメッセージ94の再送を行うことで、処置の遅れをより確実に防止することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、各チェックボックス84、85、86によって、読影医に手動で重要度を設定させるようにしたが、これに限ることなく、例えば、テキスト入力ボックス80に記入された所見やテキスト入力ボックス82に記入された診断結果の文字列を判別することなどによって、自動的に重要度を設定するようにしてもよい。また、自動的に重要度を設定する場合には、例えば、重要度の設定を読影レポート作成端末12で行わずに読影レポート32をレポートDB18に保管し、保管した読影レポート32に対してレポートDB18で重要度を設定するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、メッセージ94をCPU50が自動的に作成するようにしたが、これに限らず、読影医にメッセージ94を作成させるようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、読影レポート32に含まれる患者情報、検査情報、診断結果情報を基に、どの患者のいつのどういう目的での検査において、なぜ緊急の対応が必要なのかが分かるメッセージ94を作成するようにしたが、これに限ることなく、例えば、読影レポート32そのものをメッセージとしてもよいし、PHS端末28で参照可能な読影レポート32のアドレスをメッセージとしてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態では、メールアドレス管理テーブル96を読影レポート作成端末12のHDD51に記憶させるようにしているが、これに限ることなく、例えば、LAN26に接続されるサーバにデータベースとして設けてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、PHS端末28でメッセージ94を受信するようにしたが、メッセージ94を受信する端末は、これに限ることなく、例えば、携帯電話端末、PDA、ポケベルなどといった周知の端末でよい。また、診療科端末10などを受信端末としてもよいが、緊急性を要することを考慮すれば、上記のように、依頼医などの各医療従事者が携帯可能な端末であることが好ましい。さらに、上記実施形態では、電子メールの形式でメッセージ94を作成したが、メッセージの形式は、これに限ることなく、例えば、ショートメッセージサービスやインスタントメッセージなど受信端末に応じて適宜選択すればよい。さらには、メッセージを機械音声で生成し、この機械音声を電話で流すようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、検査依頼リスト60をモニタ42、52に表示する際に、重要度が設定されている検査依頼を強調表示するようにしているが、さらに検査依頼リスト60にフィルタ機能を設け、重要度が設定された検査依頼のみをリストアップできるようにしてもよい。なお、検査依頼のリストアップの方法は、図11(a)に示すように、重要度が設定された検査依頼のみを表示させるものでもよいし、図11(b)に示すように、重要度が設定された検査依頼をリストの先頭に表示するものでもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態では、依頼医と関係医とのどちらか一方のみにメッセージ94を送信するようにしているが、これに限ることなく、依頼医と各関係医とに同時にメッセージ94を送信するようにしてもよい。例えば、緊急性を要する症状が診断された場合に、依頼医(主治医)と、検査を行った患者の治療に関係している各関係医(例えば、主治医が内科医である場合には、脳外科や外科など他の診療科に在籍している医師が考えられる)とを集めて、緊急報告会のようなミーティングを開くケースがある。このような場合には、依頼医と各関係医などのように複数の宛先を設定してメッセージ94を送信することにより、ミーティングの開催などを円滑に進めることができる。また、このような場合には、読影レポート作成端末12から直接各医師にメッセージ94を送信することに限らず、例えば、依頼医が在籍する診療科4の診療科端末10にメッセージ94を送信し、診療科端末10から各医師にメッセージ94を送信するようにしてもよい。
【0074】
次に、図12、及び図13を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上同一のものには、同符号を付し、詳細な説明を省略する。図12に示すように、本実施形態の医用ネットワークシステム100には、上記第1の実施形態のスケジュール管理DB22に代えて、手術予約情報管理DB(予約情報管理手段)102が設けられている。手術予約情報管理DB102は、医療施設で行われる手術の予約状況を示す手術予約情報をまとめて管理する。手術予約情報は、例えば、実施日時、手術室、術式、対象患者、及び執刀医、助手、麻酔科医など、当該手術を実施する各医師の情報などによって構成される。
【0075】
上記第1の実施形態では、スケジュール管理DB22に保管された各医師のスケジュールデータを基に依頼医のスケジュールを確認することにより、現時点において依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定するようにしていたが、図13に示すように、本実施形態では、手術予約情報を基に上記判定を行う。
【0076】
読影レポート作成端末12のCPU50は、読影レポート32が確定されると、重要度がレベル2に設定されているか否かの判定を行う。CPU50は、重要度がレベル2に設定されていると判定すると、手術予約情報管理DB102にアクセスし、手術予約情報を参照する。そして、CPU50は、手術予約情報を基に、現時点において依頼医が手術中であるか否かを判定する。
【0077】
CPU50は、依頼医が手術を行っていないと判定すると、メッセージを確認できる状態にあると判断し、依頼医にメッセージ94を送信する。一方、CPU50は、依頼医が手術中であると判定すると、メッセージを確認できる状態にないと判断する。そして、CPU50は、手術予約情報を基に、手術を行っていない関係医を特定し、その関係医にメッセージ94を送信する。
【0078】
このように、手術予約情報を基に、依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定するようにしても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、手術の予約情報に限ることなく、例えば、診療の予約情報など、他の予約情報を基に、依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定してもよい。
【0079】
次に、図14、及び図15を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。図14に示すように、本実施形態の医用ネットワークシステム110には、リーダ(居所検知手段)112が設けられている。リーダ112は、医療施設に在籍する各医師が着用するネームプレート114に取り付けられたRFIDタグ116と無線通信し、RFIDタグ116に記憶された情報を読み取る。RFIDタグ116には、例えば、医師名や医師IDなど、医師を特定するための情報が記録されている。図14では、図示を省略しているが、リーダ112は、RFIDタグ116との通信状況に応じて医用ネットワークシステム110に複数設けられる。この医用ネットワークシステム110では、RFIDタグ116に記憶された医師IDなどを各リーダ112で読み取ることにより、医療施設内における各医師の居所を検知することができる。
【0080】
図15に示すように、読影レポート作成端末12のCPU50は、読影レポート32が確定されると、重要度がレベル2に設定されているか否かの判定を行う。CPU50は、重要度がレベル2に設定されていると判定すると、各リーダ112にアクセスし、医師IDなどに基づいて依頼医の居所を確認する。そして、CPU50は、確認した居所を基に、現時点において依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かの判定を行う。
【0081】
CPU50は、例えば、依頼医の居所が診察室やカンファレンスルームなどである場合に、メッセージを確認できる状態にあると判定する。また、CPU50は、例えば、依頼医の居所が手術室などである場合に、メッセージを確認できる状態にないと判定する。
【0082】
CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にあると判定すると、依頼医にメッセージ94を送信する。一方、CPU50は、依頼医がメッセージを確認できる状態にないと判定すると、各リーダ112にアクセスして関係医の居所を検知し、メッセージを確認できる状態にある関係を特定する。そして、CPU50は、その関係医にメッセージ94を送信する。このように、各医師の居所を検知し、居所を基に依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かを判定するようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、ネームプレート114にRFIDタグ116を取り付けたが、RFIDタグ116の取り付け場所は、これに限ることなく、医師が携帯可能なものであれば、如何なるものでもよい。また、本実施形態では、リーダ112とRFIDタグ116とによって依頼医の居所を検知するようにしたが、これに限ることなく、例えば、GPSによって居所を検知してもよいし、PHS端末28や携帯電話端末などを利用して居所を検知してもよい。
【0084】
次に、図16、17、18を参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。図16に示すように、本実施形態の医用ネットワークシステム120には、複数台のナースステーション用端末122と、病棟情報管理DB(病棟情報管理手段)124とが設けられている。ナースステーション用端末122は、例えば、医療施設が有する病棟のフロア毎に設けられる各ナースステーションのそれぞれに設置される。ナースステーション用端末122は、診療科端末10と同様の構成を有している。
【0085】
病棟情報管理DB124は、医療施設に在籍する各医師が常駐する病棟を示す病棟情報をまとめて管理する。病棟情報は、例えば、図17に示すように、各医師の医師名、医師ID、常駐する病棟、及びフロア、さらには、そのフロアのナースステーションに設置されたナースステーション用端末122のメールアドレスなどの情報を関連付けることにより、構成される。なお、病棟情報に含まれる情報は、上記に限定されるものではない。
【0086】
図18に示すように、読影レポート作成端末12のCPU50は、読影レポート32が確定されると、重要度がレベル2に設定されているか否かの判定を行う。CPU50は、重要度がレベル2に設定されていると判定すると、病棟情報管理DB124にアクセスし、依頼医の病棟情報を参照する。そして、CPU50は、依頼医が常駐する病棟、及びフロアのナースステーションに設置されたナースステーション用端末122のメールアドレスを病棟情報から確認し、そのナースステーション用端末122にメッセージ94を送信する。また、ナースステーション用端末122は、メッセージ94が看護師などに参照されたことを確認すると、開封通知を読影レポート作成端末12に送信する。CPU50は、上記各実施形態と同様に、ナースステーション用端末122からの開封通知を受信するか、あるいは読影レポート32の参照が確認されるまで、メッセージ94の再送処理を定期的に繰り返す。
【0087】
上記各実施形態では、依頼医、又は関係医に直接メッセージ94を送信するようにしていたが、これに限ることなく、本実施形態で示すように、ナースステーション用端末122にメッセージ94を送信し、看護師を介して緊急な対応を要することを依頼医や関係医に連絡するようにしてもよい。
【0088】
なお、本実施形態では、依頼医が常駐する病棟、及びフロアのナースステーションに設置されたナースステーション用端末122にメッセージ94を送信するようにしているが、例えば、依頼医と関係医とが異なる病棟やフロアに常駐している場合などには、上記各実施形態で示すように、依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かの判定を行い、その判定結果に従ってメッセージ94を送信するナースステーション用端末122を選択するようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、看護師を介して依頼医や関係医に連絡を行うようにしたが、これに限ることなく、例えば、医療事務員など他の医療従事者を介して連絡を行うようにしてもよい。さらには、PHS端末28とナースステーション用端末122など、複数の宛先に同時にメッセージ94を送信するようにしてもよい。このように、複数の宛先に同時にメッセージ94を送信すれば、処置の遅れをより確実に防止することができる。
【0090】
なお、上記各実施形態では、1つの医療施設内で用いられるシステムに本発明を適用した例を示したが、本発明は、これに限ることなく、例えば、複数の医療施設をネットワークを介して接続することにより構築されるシステムに本発明を適用してもよい。また、上記各実施形態では、医用画像30の撮影を医学的検査とし、読影レポート32を医用レポートとして示したが、本発明は、これに限ることなく、例えば、血液や尿などの生化学検査を医学的検査とし、これらの検査結果を示すレポートを作成する際に適用してもよい。さらに、本発明は、プログラムの態様で構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】医用ネットワークシステムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】診療科端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】読影レポート作成端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】検査依頼リストの一例を示す説明図である。
【図5】レポート作成画面の一例を示す説明図である。
【図6】読影レポートの構成を概略的に示す説明図である。
【図7】検査依頼管理DBの構成を概略的に示す説明図である。
【図8】メッセージの送信処理の概念を概略的に示す説明図である。
【図9】メールアドレス管理テーブルの構成を概略的に示す説明図である。
【図10】読影業務の手順を示すフローチャートである。
【図11】重要度が設定された検査依頼をリストアップした状態の検査依頼リストを示す説明図である。
【図12】手術予約情報管理DBを設けた医用ネットワークシステムを示す説明図である。
【図13】依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かの判定を手術予約情報を基に行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図14】RFIDタグのリーダを設けた医用ネットワークシステムを示す説明図である。
【図15】依頼医がメッセージを確認できる状態にあるか否かの判定を依頼医の居所を基に行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図16】ナースステーションにメッセージを送信する医用ネットワークシステムを示す説明図である。
【図17】病棟情報管理DBの構成を概略的に示す説明図である。
【図18】ナースステーションにメッセージを送信する場合の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
2 医用ネットワークシステム(医用レポート作成システム)
10 診療科端末
12 読影レポート作成端末(医用レポート作成装置)
20 検査依頼管理DB(リスト生成手段)
22 スケジュール管理DB(スケジュール管理手段)
28 PHS端末
30 医用画像
32 読影レポート
50 CPU(レポート作成手段、重要度設定手段、判定手段、メッセージ送信手段、リスト表示手段)
60 検査依頼リスト
94 メッセージ
102 手術予約情報管理DB(予約情報管理手段)
112 リーダ(居所検知手段)
116 RFIDタグ
122 ナースステーション用端末
124 病棟情報管理DB(病棟情報管理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するレポート作成手段と、
前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定する重要度設定手段と、
前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定する判定手段と、
緊急な対応が必要であると前記判定手段が判定した際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するメッセージ送信手段とを備えたことを特徴とする医用レポート作成システム。
【請求項2】
前記メッセージ送信手段は、緊急な対応が必要であると判定された医学的検査の依頼者が前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定し、確認できる状態にあると判定した場合には、その依頼者を宛先に設定し、確認できる状態にないと判定した場合には、その依頼者と関係があり、かつ前記メッセージを確認できる状態にある医療従事者を特定して、その医療従事者を宛先に設定することを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成システム。
【請求項3】
医療施設に在籍する複数の医療従事者のそれぞれのスケジュールを示すスケジュールデータを管理するスケジュール管理手段を有し、
前記メッセージ送信手段は、前記スケジュールデータを基に、依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者のスケジュールを確認することによって、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載の医用レポート作成システム。
【請求項4】
医療施設で行われる医療業務の予約状況を示す予約情報を管理する予約情報管理手段を有し、
前記メッセージ送信手段は、前記予約情報を基に、依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者が行っている前記医療業務を確認することによって、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載の医用レポート作成システム。
【請求項5】
医療施設に在籍する複数の医療従事者の居所を検知する居所検知手段を有し、
前記メッセージ送信手段は、前記居所検知手段が検知した依頼者、及び依頼者に関係のある医療従事者の居所を基に、前記メッセージを確認できる状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載の医用レポート作成システム。
【請求項6】
前記メッセージ送信手段は、緊急な対応が必要であると判定された医学的検査の依頼者と、この医学的検査を行った患者の治療に関係している医療従事者とを宛先に設定することを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成システム。
【請求項7】
前記メッセージ送信手段は、依頼者を含む各医療従事者が携帯可能な端末装置に前記メッセージを送信することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の医用レポート作成システム。
【請求項8】
医療施設が有する複数のナースステーションのそれぞれに設置されるナースステーション用端末と、依頼者を含む各医療従事者が常駐する病棟を示す病棟情報を管理する病棟情報管理手段とを有し、
前記メッセージ送信手段は、前記病棟情報を基に依頼者が常駐する病棟を確認し、その病棟のナースステーションに設置された前記ナースステーション用端末を宛先に設定することを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成システム。
【請求項9】
複数の前記検査依頼を表形式にまとめた検査依頼リストを生成するリスト生成手段と、
前記重要度が設定された前記医用レポートの前記検査依頼を強調して前記検査依頼リストを表示するリスト表示手段とを設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の医用レポート作成システム。
【請求項10】
前記リスト表示手段は、前記重要度が設定された前記検査依頼のみをリストアップするフィルタ機能を有することを特徴とする請求項9記載の医用レポート作成システム。
【請求項11】
前記メッセージ送信手段は、送信した前記メッセージに対する開封通知を受信するか、あるいは前記医用レポートの参照が確認されるまで、定期的に前記メッセージの送信を行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の医用レポート作成システム。
【請求項12】
前記メッセージ送信手段は、前記医用レポートに記入された内容を基に、前記メッセージを作成することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の医用レポート作成システム。
【請求項13】
依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するレポート作成手段と、
前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定する重要度設定手段と、
前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定する判定手段と、
緊急な対応が必要であると前記判定手段が判定した際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するメッセージ送信手段とを備えたことを特徴とする医用レポート作成装置。
【請求項14】
依頼者からの検査依頼に応じて患者に対して行われた医学的検査の検査結果を示す医用レポートを作成するステップと、
前記検査結果の重要性の度合いを示す重要度を前記医用レポートに設定するステップと、
前記医用レポートに設定された前記重要度を基に、前記患者に対して緊急な対応が必要か否かを判定するステップと、
緊急な対応が必要であると判定された際に、その旨を示すメッセージを所定の宛先に送信するステップとを有することを特徴とする医用レポート作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−75927(P2009−75927A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245289(P2007−245289)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】