説明

医用レポート作成装置、医用レポート作成方法および医用レポート作成プログラム

【課題】医用レポートを作成する際に、キー画像の理解を支援するための補助画像を容易かつ適切に特定して医用レポートを作成する。
【解決手段】被写体を撮像して得られた3次元医用画像データVから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定するキー画像指定手段12と、キー画像上の指定位置を入力する指定位置入力手段13と、キー画像および指定位置に基づいて、3次元医用画像データから指定位置を含みキー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定する補助画像決定手段14と、キー画像および補助画像を特定する情報を含む医用レポートRを作成する医用レポート作成手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の画像診断に関する医用レポートを作成する医用レポート作成装置、医用レポート作成方法および医用レポート作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野における画像診断においては、医用レポート作成担当者が患者を撮像して得られた医用画像を読影して診断上重要と判断した関心領域を含むキー画像を添付するとともに関心領域の位置情報を記載した医用レポートを作成し、作成された医用レポートを医師らが確認して診断を行っている。
【0003】
しかしながら、医用レポートに添付されたキー画像および医用レポートに記載された関心領域の位置情報だけでは、患部の位置や大きさなど医師らが正確に関心領域を把握して診断するための情報が不足する場合があった。このような場合、医師らはマニュアル操作により患者の撮像された画像から関心領域を把握できる画像を検索し、補助的な画像を取得する必要があり、時間と労力を要するものとなっていた。
【0004】
特許文献1には、病変の位置情報を含むレポートデータと病変が生じる解剖学的部位の構造の模式図を表す模式図データに基づいて、模式図上に病変が生じている位置を表した病変位置画像を生成して表示することにより医師の病変の発生箇所の把握を容易にする装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ユーザがレポートデータを表示して確認する際に、医用レポートに画像診断のキーとなるキー画像およびキー画像を作成するために必要な画像処理パラメータセットを添付したレポートデータに基づいて、キー画像を作成するために必要な画像処理パラメータセットまたはキー画像を作成するために必要な画像処理パラメータセットに変更を加えた画像処理パラメータセットを用いて画像保管通信システム(PACS)から画像を生成し、キー画像とともに上記生成されたキー画像に関連する画像を表示する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−182179号公報
【特許文献2】特開2005−327302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は模式図上に病変の位置を示すものであるため、実際の患者の部位や骨格などの位置と模式図上の解剖学的位置が十分に一致せず、対比しにくい場合があった。また、特許文献2に記載された方法では、ユーザが医用レポートを表示して確認する際、キー画像に関連する画像を生成して表示するためにはいかなる画像をキー画像に関連する画像として生成するかを指定する必要があり、画像処理パラメータセットを適宜変更する操作やキー画像に関連する画像を特定する操作に精通していないユーザにとってはキー画像に関連する画像を特定することが容易に行えないという問題があった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明においては、画像診断上重要と判断されたキー画像が添付された医用レポートを作成する際に、キー画像の理解を支援するための補助画像を容易かつ適切に特定して医用レポートを作成する装置、方法、およびプログラムを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による医用レポート作成装置は、被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定するキー画像指定手段と、前記キー画像上の指定位置を入力する指定位置入力手段と、前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定する補助画像決定手段と、前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成する医用レポート作成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明による医用レポート作成方法は、被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定し、前記キー画像上の指定位置を入力し、前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定し、前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成することを特徴とするものである。
【0011】
本発明による医用レポート作成プログラムは、コンピュータを、被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定するキー画像指定手段と、前記キー画像上の指定位置を入力する指定位置入力手段と、前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定する補助画像決定手段と、前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成する医用レポート作成手段として機能させるものである。
【0012】
上記3次元医用画像データは、任意断面を再構成可能なものであれば任意の撮影装置により撮影されたものであってよい。代表的には、CT装置、MRI装置などにより撮影して得られた3次元的に配列された画素からなるボリュームデータがあげられる。
【0013】
キー画像には、任意の断面の生成法により表された断層画像を適用できる。例えば、被写体の体軸方向をz軸方向とし、被写体の正面に向かう方向をy軸方向とした座標空間において、z軸に直交するスライス像であるアキシャル(Axial)像、y軸に直交するスライス像であるコロナル(Coronal)像、x軸に直交するスライス像であるサジタル(Sagittal)像などを適用できる。また、MPR法(Multi-Planner Reconstruction)またはMPVR(MultiProjection Volume Reconstruction)法により得られる任意の断層画像なども適用できる。
【0014】
また、補助画像は、キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像であればいかなるものでもよい。好ましくは、キー画像と補助画像の両方により参照可能な範囲を十分広くするためにキー画像と補助画像がほぼ同一の平面を表すことのないように、キー画像を含む平面の法線に対して補助画像を含む平面の法線の角度が所定量以上異なるものであることが好ましく、また、読影に精通していない診療医であっても、被写体内での全体的な位置を把握しやすい断面を表すものであることが好ましく、例えば、アキシャル画像、コロナル画像、サジタル画像などの診療上よく用いられる画像であることが好ましい。例えば、前記キー画像がアキシャル画像であり、前記補助画像がコロナル画像であることが好ましい。また、MPR法またはMPVR法により得られる任意の断層画像なども適用できる。
【0015】
また、補助画像を特定する情報を含む医用レポートは、補助画像自体を含むものであってもよく、補助画像を生成可能な情報である補助画像を特定する情報のみを含むものであってもよい。
【0016】
また、本発明における前記補助画像決定手段が、前記指定位置に応じて前記補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するものであることが好ましい。例えば、本発明における医用レポート作成装置は、前記3次元医用画像から前記入力された指定位置を含む部位を抽出する部位抽出手段をさらに備え、前記補助画像決定手段が、前記抽出された部位に応じて前記補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するものであることが好ましい。
【0017】
上記場合に、前記補助画像決定手段が、前記抽出された部位が前記被写体の正面方向に湾曲する部位であり、かつ、前記キー画像がサジタル画像でない場合に、前記補助画像としてサジタル画像を決定することがさらに好ましい。
【0018】
また、本発明における医用レポート作成装置は、前記指定位置から所定の近傍範囲の異常陰影を抽出する異常陰影抽出手段をさらに備え、前記補助画像決定手段が、前記抽出された異常陰影内に前記指定位置を移動させて前記補助画像を決定するものであることが好ましい。
【0019】
また、本発明における補助画像決定手段は、前記補助画像としてMPVR画像(Multi Projection Volume Reconstruction画像)を決定するものであってもよい。
【0020】
また、本発明における医用レポート作成装置は、前記補助画像を特定する情報に基づいて前記補助画像を生成する画像生成手段と、前記生成された補助画像を含む医用レポートを表示する表示手段をさらに備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による医用レポート作成装置、医用レポート作成方法、および医用レポート作成プログラムによれば、被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定し、キー画像上の指定位置を入力し、キー画像および指定位置に基づいて、3次元医用画像データから指定位置を含みキー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定し、キー画像および補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成するものであるため、指定位置を異なる断面で表示した補助画像を容易に作成して医用レポートの作成を効率化でき、また、医用レポートを診断する医師らも容易に補助画像を参考にすることにより医用レポートの理解が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態による医用レポート作成ネットワークの図
【図2】第1の実施形態による医用レポート作成装置の機能ブロック図
【図3】第1の実施形態による医用レポート作成処理の流れを示すフロー図
【図4】第1の実施形態により作成された医用レポートの例を説明する図
【図5】第2の実施形態による医用レポート作成装置の機能ブロック図
【図6】第2の実施形態による医用レポート作成処理の流れを示すフロー図
【図7】第3の実施形態による医用レポート作成装置の機能ブロック図
【図8】第3の実施形態による医用レポート作成処理の流れを示すフロー図
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、同じ構成要素には同じ構成番号を付して説明を省略する。図1は本発明の実施形態における医用レポート作成処理装置が導入された医療情報システムの概略構成を示す図である。このシステムは、公知のオーダリングシステムを用いた診療科の医師からの検査オーダーに基づいて、被検体の検査対象部位の撮影および保管、放射線科の読影医による撮影された画像の読影および医用レポートの作成、依頼元の診療科の医師による医用レポートの閲覧および読影対象だった画像の詳細観察を行うためのシステムである。図1に示すように、医用画像の撮影装置(モダリティ)1、画像品質チェック用ワークステーション(QA−WS)2、放射線科用ワークステーション3、診療科用ワークステーション4、画像情報管理サーバ5、画像情報データベース6、医用レポートサーバ7、および医用レポートデータベース8、情報管理サーバ10が、ネットワーク9を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。各機器は、CD−ROM等の記録媒体からインストールされたプログラムによって制御される。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で接続されたサーバの記憶装置からダウンロードされた後にインストールされたものであってもよい。
【0024】
モダリティ1には、被検体の検査対象部位を撮影することにより、その部位を表す画像の画像データを生成し、その画像データにDICOM規格で規定された付帯情報を付加して、画像情報として出力する装置が含まれる。具体例としては、CT、MR、PET、超音波撮影装置、平面X線検出器(FPD)を用いたX線撮影装置等が挙げられる。なお、以下では、被写体を表す画像データと画像データの付帯情報の組を「画像情報」と称することとする。すなわち「画像情報」の中には画像に係るテキスト情報も含まれる。
【0025】
QA−WS2は、汎用の処理装置(コンピュータ)と1台または2台の高精細ディスプレイとキーボード・マウス等の入力装置により構成される。処理装置には、検査技師の作業を支援するためのソフトウェアが組み込まれている。QA−WS2は、そのソフトウェアプログラムの実行によって実現される機能により、モダリティ1からDICOMに準拠した画像情報を受信し、受信した画像情報に含まれる画像データと付帯情報の内容を画面に表示することで検査技師に確認を促す。そして、検査技師による確認が済んだ画像情報を、ネットワーク9を介して画像情報管理サーバ5に転送し、その画像情報の画像情報データベース6への登録を要求する。
【0026】
放射線科用ワークステーション3は、放射線科の画像診断医が画像の読影や医用レポートの作成に利用するコンピュータであり、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インターフェース、通信インターフェース、入力装置、表示装置、およびデータバス等の周知のハードウェア構成を備え、周知のオペレーションシステム等がインストールされたものであるが、表示装置と1台または2台の高精細ディスプレイを有している。この装置では、画像情報管理サーバ5に対する画像の閲覧要求や、画像情報管理サーバ5から受信した画像の表示、画像中の病変らしき部分の自動検出・強調表示、医用レポートの作成の支援、医用レポートサーバ7に対する医用レポートの登録要求や閲覧要求、医用レポートサーバ7から受信した医用レポートの表示、情報管理サーバ10に対する患者情報等の登録要求や閲覧要求、情報管理サーバ10から受診した患者情報等の表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムの実行により行われる。本発明の医用レポート作成装置は、この診療科用ワークステーション4に実装されており、本明細書の診断支援処理ためのソフトウェアプログラムがインストールされ、かかるソフトウェアプログラムの実行により本明細書の医用レポート作成処理が行われるが、これについては後述する。
【0027】
診療科用ワークステーション4は、診療科の医師が画像の詳細観察や医用レポートの閲覧、電子カルテの閲覧・入力等に利用するコンピュータであり、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インターフェース、通信インターフェース、入力装置、表示装置、およびデータバス等の周知のハードウェア構成を備え、周知のオペレーションシステム等がインストールされたものであるが、表示装置と1台または2台の高精細ディスプレイを有している。この装置では、画像情報管理サーバ5に対する画像の閲覧要求や、画像情報管理サーバ5から受信した画像の表示、画像中の病変らしき部分の自動検出・強調表示、医用レポートサーバ7に対する医用レポートの閲覧要求、医用レポートサーバ7から受信した医用レポートの表示、情報管理サーバ10に対する患者情報等の登録要求や閲覧要求、情報管理サーバ10から受診した患者情報等の表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムの実行により行われる。
【0028】
画像情報管理サーバ5は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムを組み込んだものである。画像情報管理サーバ5はいわゆるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)サーバである。画像情報管理サーバ5は画像情報データベース6が構成される大容量ストレージを備えている。このストレージは、画像情報管理サーバ5とデータバスによって接続された大容量のハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク9に接続されているNAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。
【0029】
画像情報データベース6には、被写体画像を表す画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の画像を識別するための画像ID、被写体を識別するための患者ID、検査を識別するための検査ID、画像情報ごとに割り振られるユニークなID(UID)、その画像情報が生成された検査日、検査時刻、その画像情報を取得するための検査で使用されたモダリティの種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影条件(造影剤の使用有無や、放射線量等)、1回の検査で複数の画像を取得したときのシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれうる。画像情報は、例えばXMLやSGMLデータとして管理されうる。
【0030】
画像情報管理サーバ5は、QA−WS2からの画像情報の登録要求を受け付けると、その画像情報をデータベース用のフォーマットに整えて画像情報データベース6に登録する。
【0031】
また、画像情報管理サーバ5は、放射線科用ワークステーション3および診療科用ワークステーション4からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、上記画像情報データベース6に登録されている画像情報を検索し、抽出された画像情報を要求元の放射線科用ワークステーション3および診療科用ワークステーション4に送信する。
【0032】
放射線科用ワークステーション3および診療科用ワークステーション4は、画像診断医や診療科医等のユーザによって読影・観察対象画像の閲覧を要求する操作が行われると、画像情報管理サーバ5に対して閲覧要求を送信し、必要な画像情報を取得する。そして、その画像情報をモニタ画面に表示し、ユーザからの要求に応じて病変の自動検出処理等を実行する。また、画像診断医や診療科医等のユーザによる患者情報等の閲覧要求等を情報管理サーバ10に送信し、必要な情報を取得し、画面に表示する。
【0033】
放射線科用ワークステーション3は、医用レポートの作成を支援するレポート作成画面をモニタに表示し、放射線科医によって読影に基づいて行った所見等の内容を示すテキストが入力されたときに、入力された情報と読影の対象とされた画像(以下、読影対象画像)を記録した医用レポートを生成する。読影対象画像が複数あるときは、医用レポートには、読影所見を最も顕著に表す代表的な画像(以下、代表画像)を記録する。放射線科用ワークステーション3は、生成した医用レポートを、ネットワーク9を介して医用レポートサーバ7に転送し、その医用レポートの医用レポートデータベース8への登録を要求する。
【0034】
医用レポートサーバ7は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムを組み込んだものであり、放射線科用ワークステーション3からの医用レポートの登録要求を受け付けると、その医用レポートをデータベース用のフォーマットに整えて医用レポートデータベース8に登録する。
【0035】
医用レポートデータベース8には、例えば、読影対象画像もしくは代表画像を識別する画像IDや、読影を行った画像診断医を識別するための読影者ID、関心領域の位置情報、所見、および所見の確信度といった情報が登録される。この他、画像の読影時に画像情報の付帯情報を参照することで取得された検査番号、患者番号、さらには、読影対象画像または代表画像の画像データ自体も等も含まれうる。読影対象画像または代表画像の画像データは、画像情報データベース6に登録されている画像データよりも画素数が少ない(間引きされた)縮小画像データとすることができる。本実施形態においては、この縮小画像データの生成のもとになる、画像情報データベース6に登録されている画像データへのアクセスを可能にするためのリンク情報(画像情報データベース6に登録されている画像データのアドレスやフォルダ名、ファイル名等)も医用レポートデータベース8に登録される。また、画像情報データベース6に登録されている画像データをそのままコピーしたものを医用レポートデータベース8に登録しておいてもよい。また、関心領域の位置情報は、医用レポートデータベース8ではなく、画像データの付帯情報として画像情報データベース6に登録しておいてもよい。なお、医用レポートは、例えばXMLやSGMLデータとして管理されうる。
【0036】
医用レポートサーバ7は、放射線科用ワークステーション3あるいは診療科用ワークステーション4からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、医用レポートデータベース8に登録されている医用レポートを検索し、抽出された医用レポートを要求元の放射線科用ワークステーション3あるいは診療科用ワークステーション4に送信する。
【0037】
ネットワーク9は病院内の各種装置を接続するローカルエリアネットワークである。但し、放射線科用ワークステーション3あるいは診療科用ワークステーション4が他の病院あるいは診療所にも設置されている場合には、ネットワーク9は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットもしくは専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワーク等画像情報の高速転送を実現できるものとすることが好ましい。
【0038】
情報管理サーバ10は、いわゆるRIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)サーバである。情報管理サーバ10は、放射線科内および内科や外科等の依頼料に設置されている端末3または4からネットワーク9を介して、各依頼科からの患者の撮影等を放射線科に依頼する検査や診断のオーダーや、モダリティ1の撮影状況などの情報伝達、患者情報等の登録要求や閲覧要求等を行う情報処理を行う。また、情報管理サーバ10は、患者情報、診療情報、検査情報、会計情報等の種々の情報を患者毎に管理する。患者情報は、各患者を特定する情報であり、例えば、患者氏名、患者ID等があげられる、また現住所、生年月日、年齢、性別、家族構成、及び既往歴やアレルギーの有無などを含む場合もある。
【0039】
診療情報は、患者について診断の情報であり、例えば、診療日付、診療科、病名、診断結果、治療期間、投薬の種類及び量、処方薬局名等を含む。なお、治療期間は、一つの病気を治療するために医療機関に通院した期間である。また、本明細書における実施形態においては、診断結果は確定診断の有無および結果を含み、診療情報に検査情報を含むものとする。検査情報は、診断に際して撮影された医用画像等の情報であり、具体的には、検査日付、検査機器、検査方法、検査部位などが含まれる。なお、検査方法とは、撮影の際のモダリティに対する患者の向きや、造影剤の有無を指す。また、検査部位とは、検査の対象となっている部位であり、例えば、頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部、脚部、及びこれらの複数の部位を含む部位などが含まれる。また、会計情報は、例えば、診察、投薬、検査等の医療に対する費用および医療保険の適用の有無を表す情報等を含む場合もある。
【0040】
図2は、上記医療情報システムに実装された本発明の第1の実施形態による医用画像処理装置を適用した医用画像表示システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0041】
本実施形態においては、放射線科用ワークステーション3(レポート作成装置)は、マウスやキーボード等の入力手段11(入力装置)と、ハードディスクやメモリ等の記憶装置からなる記憶手段18と、被写体を撮像して得られた3次元医用画像データVから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像S1として指定するキー画像指定手段12と、キー画像上の指定位置Pを入力する指定位置入力手段13と、キー画像S1および指定位置Pに基づいて、3次元医用画像データVから指定位置を含みキー画像S1と異なる断面を示す断層画像を補助画像S2として決定する補助画像決定手段14と、キー画像S1および補助画像S2を特定する情報を含む医用レポートRを作成する医用レポート作成手段16と、補助画像S2を特定する情報に基づいて補助画像S2を生成する補助画像生成手段15と、補助画像S2を特定する情報を含む医用レポートRを表示する含む医用レポートを表示するディスプレイ等の表示手段17とを備える。
【0042】
キー画像指定手段12は、入力手段11による診断医等のユーザの入力装置の操作に応じて診断上の特徴を表すキー画像S1を指定する。そして、キー画像S1を特定する情報をメモリに保存する。
【0043】
指定位置入力手段13は、入力手段11から、診断医等のユーザの入力手段11の操作に応じてキー画像S1上の病変部などの診断上の特徴を表す指定位置Pを指定する。かかる指定位置Pは点として指定されてもよく、直線、曲線または閉曲線のような所定の大きさを持った領域として指定されてもよい。
【0044】
補助画像決定手段14は、キー画像指定手段12から指定されたキー画像S1を特定する情報を取得し、指定位置入力手段13から指定位置を特定する情報を取得する。また、キー画像S1を特定する情報に基づいて、キー画像S1を含むボリュームデータVを記憶手段18にロードし、ロードしたボリュームデータVおよびキー画像S1に基づいてキー画像S1の断面の傾きを取得し、指定位置Pを含み取得した断面と異なる傾きの断層画像を補助画像S2として決定する。そして、補助画像S2を生成するために必要な画像処理パラメータを特定する。本実施形態では、線や領域として位置が指定された場合には、例えば重心などの線や領域に含まれる代表的な点を含むように補助画像S2を決定するものとする。
【0045】
本実施形態においては、キー画像S1の断面の傾きに応じて、補助画像の断面の傾きを対応付けた不図示の対応付けテーブルT1が記憶手段18に記憶されているものとする。補助画像決定手段14は、対応付けテーブルT1を参照して補助画像の断面の傾きを決定する。かかる対応付けテーブルT1は、診断目的等に応じてユーザの所望の設定とできるが、本実施形態における対応付けテーブルT1では、キー画像がアキシャル断面である場合に、コロナル断面を補助画像とするように対応付けられている。また、キー画像がコロナル断面またはサジタル断面などアキシャル断面でない場合には、補助画像がアキシャル断面となるように対応付けられている。
【0046】
また、補助画像S2は、キー画像S1と異なる断面を表すものであればいかなる断層画像であってもよい。好ましくは,キー画像S1と補助画像S2の両方により参照可能な範囲を十分広くするためにキー画像と補助画像がほぼ同一の平面を表すことのないことが好ましく、また、読影に精通していない診療医であっても、被写体内での全体的な位置を把握しやすい断面を表すものであることが好ましく、例えば、アキシャル画像、コロナル画像、サジタル画像などの診療上よく用いられる画像であることが好ましい。また、MPR法(Multi-Planner Reconstruction)またはMPVR(MultiProjection Volume Reconstruction)法により得られる任意の断層画像なども適用できる。
【0047】
また、補助画像を特定する情報には、指定位置、補助画像の傾き、キー画像S1を含むボリュームデータVを特定する情報を含み、補助画像の生成方法など各種画像処理パラメータをさらに必要に応じて含むものとする。
【0048】
補助画像生成手段15は、補助画像決定手段14が特定した補助画像を特定する情報を取得して、ボリュームデータVに基づいて周知の方法により補助画像S2を再構成する。
【0049】
医用レポート作成手段16は、入力手段11からの入力およびキー画像指定手段12により指定されたキー画像S1と補助画像決定手段14に決定された補助画像を特定する情報に基づいて、キー画像S1と補助画像を特定する情報を含む医用レポートRを生成する。また、医用レポートRは、一般の医用レポートに備えられる読影コメントと所見データなどの各種情報を含む。図3は、診療科用ワークステーション4に接続された表示手段17に表示された医用レポートRを表すイメージ図である。図3に示すように、医用レポートRは読影医が読影結果を表示するための読影コメント欄R1と診療医による所見を表示するための所見欄R2とキー画像S1と補助画像S2のサムネイルS2aとを表示している。なお、補助画像S2を医用レポートR上に表示することに替えて、補助画像表示ボタンなどのみを表示してユーザの補助画像表示ボタンを押す入力を受け付けて、補助画像S2を医用レポートR上に表示してもよい。補助画像S2を毎回生成する計算負荷を低減するとともに、補助画像を必要なときのみ表示したいというユーザの要望に応えることができる。
【0050】
記憶手段18は、医用レポート作成における各処理において、必要に応じて画像情報管理サーバ5を介して画像情報データベース6から患者のボリュームデータVをロードし、ボリュームデータVを再構成して生成した後述の補助画像S2や医用レポートRなどを適宜記憶する。
【0051】
図3は、第1の実施形態による医用レポート作成処理の流れを示すフロー図である。以下、図3を用いて、第1の実施形態による医用レポート作成処理の流れを説明する。
【0052】
まず、放射線科用ワークステーション3から読影医が被検体をCT装置で撮像して得られたボリュームデータVを読影し、キー画像S1として診断上の特徴を含む画像を入力すると、キー画像指定手段12は、この入力を受け付けてキー画像S1を指定し、キー画像S1を含むボリュームデータVのシリーズIDおよびキー画像S1の画像IDなどのキー画像を特定する情報を特定し、メモリに保存する(S01)。
【0053】
続いて、読影医がキー画像S1上で、マウス11により読影医が読影結果として記載するべきであると判断した特徴部分を指定位置Pとして入力すると、この入力を受け付けて、指定位置入力手段13は入力された位置の座標を指定位置として入力し、指定位置をメモリに保存する(S02)。
【0054】
補助画像決定手段14は、これまでの処理で得られた指定位置の座標とキー画像を含むボリュームデータのシリーズIDおよびキー画像IDを取得する。そして、キー画像の傾きを特定し、指定位置Pの座標を含み、対応付けテーブルT1を参照してキー画像が表す断面に対応付けられた断面の傾きを有する断層画像を補助画像S2として決定するとともに補助画像を特定する情報を特定しメモリに保存する(S03)。ここでは、キー画像S1としてアキシャル画像が指定され、補助画像S2として指定位置Pを含むコロナル画像が補助画像S2として決定される。
【0055】
次いで、補助画像生成手段15は、補助画像を特定する情報に基づいて、キー画像S1を含むボリュームデータVから補助画像S2を生成する(S04)。
【0056】
医用レポート作成手段16は、生成された補助画像S2を特定する情報を含むように医用レポートRを生成し、生成された医用レポートRをメモリに保存する(S06)。また、医用レポート作成手段16は、読影医が読影結果をキーボード等の入力手段11から読影結果を適宜入力すると、入力された読影結果についても医用レポートRの読影コメントとして適宜追加してメモリに保存する。
【0057】
そして、表示手段17は、生成した補助画像S2を含む医用レポートRをディスプレイ17に表示する(S07)。図4に示すように、医用レポートRには、生成した補助画像S2のサムネイルS2aが医用レポートR上に表示される。そして、ユーザが入力手段11によりサムネイルS2aを指定すると、補助画像S2を特定する情報に基づいて補助画像S2が表示される。
【0058】
本第1の実施形態によれば、指定位置Pを異なる断面で表示した補助画像S2を容易に作成して医用レポートRの作成を効率化でき、また、医用レポートRを診断する医師らも補助画像S2を参考にすることにより医用レポートをより容易に理解できる。
【0059】
また、特許文献1に記載された方法は模式図上に病変の位置を示すものであるため、実際の患者の部位や骨格などの位置と模式図上の解剖学的位置が十分に一致せず、対比しにくい場合があったが、第1の実施形態にも示されるように、本発明においては、同じ患者の異なる断層像を補助画像として決定するため、解剖学的な位置を厳密に一致させて補助画像S2により指定位置Pの近傍を観察することができる。また、特許文献2に記載された方法では、画像処理パラメータセットを適宜変更する操作やキー画像に関連する画像を特定する操作に精通していないユーザにとってはキー画像に関連する画像を特定することが容易に行えないという問題があったが、第1の実施形態にも示されるように、本発明においては、作成された医用レポートRによれば、ユーザの補助画像を作成する操作についての知識によらずユーザは容易に補助画像を参考可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、補助画像決定手段14が、キー画像S1がアキシャル画像である場合に、補助画像S2としてコロナル画像を決定するため、医用レポートRの読影結果を参照して最終的な診断を行う際に、診断医らは、診断上よく用いられる断面画像を補助画像として参考にできるため医用レポートをより容易に理解できる。
【0061】
また、上記実施形態においては、補助画像を特定する情報に基づいて補助画像S2を生成する補助画像生成手段15と、生成された補助画像S2を含む医用レポートRを表示する表示手段17を備えたため、診断医らも作成された医用レポートRを参考にする際に、補助画像S2を表示させる手間を要さず好適である。
【0062】
また、上記実施形態において、読影医などが医用レポートRへの読影コメントの入力などの作成作業を行っている途中でも、補助画像S2が決定されると補助画像S2を医用レポートRに参照可能に追加することが好ましい。読影医などが医用レポートRへの読影コメントの入力をしつつ、補助画像S2として適した断層画像が決定されたか確認することができるとともに、補助画像S2は診断上の特徴部分である指定位置Pを含む断面を示している診断上重要な情報を表す画像であるため、補助画像S2自体についても読影コメントをさらに追加することができるためである。また、例えば、読影医らのユーザが、診断上の特徴部分を含む異なる断面の複数の断層画像を医用レポートに含めることを当初から希望している場合もある。かかる要望がある際に、本発明を適用すれば、1つの断層画像上で特徴部分を指定位置として入力することで特徴部分を含む複数の断層画像の生成処理を簡略化でき医用レポートの作成を効率化できる。
【0063】
以下、図5、6を用いて第2の実施形態による医用レポート作成装置について説明する。図5は、第2の実施形態による医用レポート作成装置の機能ブロック図であり、図6は、第2の実施形態における医用レポート作成処理の流れを説明するフローチャートである。第2の実施形態による医用レポート作成装置では、部位抽出手段19をさらに備え、補助画像決定手段14が指定位置Pの属する部位に応じて断層画像の傾きを異ならせて補助画像S2を決定する点のみが第1の実施形態による医用レポート作成装置と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心として説明し、共通する処理については説明を省略する。
【0064】
部位抽出手段19は、被写体のボリュームデータVまたは被写体の断層画像から解剖学的構造物を抽出する。ここでいう解剖学的構造物には、例えば、臓器、骨、血管等の機能や形状で分類される構造物などがあげられる。本実施形態においては、部位抽出手段19は、周知の方法により臓器、骨、血管などの部位を抽出する部位抽出部を部位ごとに備える。
【0065】
部位抽出手段19による部位抽出処理は、撮像された被写体のボリュームデータVに対し予め部位抽出処理を施した結果を任意のデータベースに保存しておき、補助画像決定手段14が補助画像を決定する際に、保存された結果を取得する。なお、部位抽出手段19は、補助画像決定手段14が補助画像を決定する際に部位抽出処理を行ってもよい。また、部位抽出手段19は、被写体のボリュームデータまたはキー画像を含む被写体の断層画像から解剖学的構造物を抽出できるいかなる方法も適用可能である。また、各臓器の抽出方法として、例えば、肺野について、特開2001−137230号、特開2008−253293号、肝臓抽出について特開2001−283191号、特開2002−345807号、骨について、特開2008−43564号、心臓について、特開2004−141612号の技術が利用でき、その他の臓器認識技術も指定された病変の位置が所属する臓器を抽出できるものであれば利用可能である。
【0066】
また、第2の実施形態において、対応付けテーブルT2は部位ごとに補助画像の傾きを異ならせて対応付けている。ここで、指定位置の属する部位が背骨や大動脈などのように被写体の正面方向に湾曲する部位である場合には、例えばコロナル画像などを補助画像とすると指定位置を含む部位を部分的にしか含まない画像となるため、指定位置を含む部位を把握しづらい可能性が高い。このため、指定位置の属する部位が被写体の正面方向に湾曲する背骨や大動脈などの部位である場合には、部位の湾曲する曲線を含む断面を表す断層画像を補助画像として決定することにより、医師らの部位形状の把握を効果的に支援できるため好ましい。
【0067】
本実施形態における対応付けテーブルT2においては、上記観点に基づいて、背骨や大動脈にサジタル画像を補助画像として対応付けており、その他の部位についてはコロナル画像を対応付けている。そして、補助画像決定手段14は、指定位置が属する臓器が背骨または大動脈である場合に、補助画像として指定位置を含むサジタル画像を決定するとともに補助画像を特定する補助画像特定情報を取得する。
【0068】
図6に従って、第2の実施形態による医用レポート作成処理の流れを説明する。なお、S21乃至S22のステップおよびS25乃至S28のステップについては、S01からS02およびS04乃至S06のステップとそれぞれ同様であるため、S23乃至S24のステップについてのみ説明を行う。
【0069】
本実施形態においては、部位抽出手段19は、レポート作成処理に先立ってボリュームデータVに含まれる各部位を抽出し、その結果を画像情報データベース6に記憶している。そして、補助画像決定手段14は、キー画像S1および指定位置Pを取得すると、画像情報管理サーバ5を介して画像情報データベース6から部位認識結果を取得し(S23)、指定位置が属する部位を特定する(S24)。補助画像決定手段14は、対応付けテーブルT2を参照して、特定された部位に対応付けられた傾きを有し、指定位置Pを含む補助画像S2を決定するとともに補助画像を特定する情報を取得する(S25)。特に、補助画像決定手段14は、対応付けテーブルT2に基づいて、抽出された部位が被写体の正面方向に湾曲する部位(大動脈または背骨)であり、かつ、キー画像S1がサジタル画像でない場合は、補助画像S2としてサジタル画像を決定する。
【0070】
以上、第2の実施形態によれば、補助画像決定手段14が、指定位置に応じて補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するため、ユーザの要望等に応じて指定位置ごとに補助画像が示す断面の傾きを異ならせて設定することにより、位置に応じて適切な傾きの補助画像を決定できる。
【0071】
また、ボリュームデータVから入力された指定位置を含む部位を抽出する部位抽出手段19をさらに備え、補助画像決定手段14が、抽出された部位に応じて補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するものであるため、ユーザは部位に応じて適切な傾きの断層画像を補助画像として決定できる。
【0072】
また、補助画像決定手段14が、抽出された部位が被写体の正面方向に湾曲する部位であり、かつ、キー画像S1がサジタル画像でない場合に、補助画像S2としてサジタル画像を決定するため、背骨や大動脈のような正面方向に湾曲する部位を把握しやすい断面を適切に補助画像として決定できる。
【0073】
また、補助画像決定手段14が、指定位置が被写体の正面方向に湾曲する背骨や大動脈などの部位に属する場合に、指定位置を含むサジタル画像を補助画像として決定するため、被写体の正面方向に湾曲する背骨や大動脈などの部位を全体的に観察しやすく、補助画像により医用レポートを確認する医師らが医用レポートを容易に把握することができる。
【0074】
なお、本実施形態に限定されず、部位の走行方向や形状や各診療科における医師らの要望に応じて、部位が視認しやすい断層画像の傾きを対応付けテーブルT2にさらに設定した場合には、上記効果がさらに著しい。
【0075】
以下、第3の実施形態による医用レポート作成装置4について説明する。図7は、第3の実施形態による医用レポート作成装置の機能ブロック図であり、図8は、第3の実施形態における医用レポート作成処理の流れを説明するフローチャートである。第3の実施形態による医用レポート作成装置4では、異常陰影抽出手段20をさらに備え、補助画像決定手段14は指定位置Pが異常陰影に含まれる場合に、指定位置を異常陰影内に移動させて補助画像S2を特定する点が第1の実施形態による医用レポート作成装置4と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心として説明し、共通する処理については説明を省略する。
【0076】
異常陰影抽出手段20は、種類の異なる複数の病変をそれぞれ抽出可能な複数の病変抽出部を備えたものである。なお、本実施形態に限られず、異常陰影抽出手段20は、ネットワークを介して接続された病変抽出部データベース等として種々の形態で設けられてもよい。
【0077】
本明細書の実施形態における全ての異常陰影抽出手段20は、機械学習により構築されたものである。本実施形態による異常陰影抽出手段20は、アダブースティングアルゴリズム(Adaboosting Algorithm)を用いて、異常陰影の領域が既知である異常陰影を含む複数の正のサンプル画像および病変を含まないことが既知である複数の負のサンプル画像における各画素の特徴量を予め機械学習することにより、その各画素が異常陰影を示す画素であるかどうかを評価する評価関数Fを取得したものである。特徴量は、各サンプル画像からランダムに選んだ複数の画素の特徴量を用いるものとする。異常陰影抽出手段20は、取得された評価関数Fによって、任意の医用画像中の各画素が異常陰影を示す画素であるかどうかを評価することにより、病変を抽出することができる。
【0078】
本実施形態に限られず、機械学習の手法としては、種々の方法が適用でき、他にも、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、最近傍識別器等の手法を適用してもよい。
【0079】
また、本実施形態における各異常陰影抽出手段20に、機械学習でない周知の様々な方法による異常陰影抽出方法を適用することも可能である。
【0080】
利用できる技術の例として、特開2003−225231号、特開2003−271924号、および、久保田等、「ヘリカルCT像を用いた肺がん計算機診断支援システムの評価」、電子情報通信学会、信学技報、pp.41-46、MI2001-41(2001-09)に示す肺がんを検出する技術、脇田等、「びまん性肺疾患の知的CAD」、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究"多次元医用画像の知的診断支援"、第4回シンポジウム論文集、pp. 45-54、2007に示すコンソリデーション、Ground-Glass Opacity(GGO)、Crazy-Paving、蜂巣状陰影、肺気腫陰影、粒状影等のびまん性肺疾患の検出技術、脇田等、「多時相腹部X線CT像の時相間濃度特徴計測に基づく肝臓がん検出」、コンピュータ支援画像診断学会論文誌、Vol.10、No.1、Mar 2007に示す肝臓がん検出技術、「正常構造の理解に基づく知的CAD」、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究"多次元医用画像の知的診断支援"、第4回シンポジウム論文集pp.55-60、2007に示す肝細胞がん、肝のう胞、肝血管種、肝臓領域における出血、脳領域における出血を検出する技術を用いることができる。
【0081】
また、特開2004−329929号に示すような血管の異常を検出する技術、本出願人の出願である特開平10−97624号に示す異常陰影候補の検出技術、特開平8−215183号に示すような石灰化領域の検出技術を用いることもできる。
【0082】
図6に従って、第2の実施形態による医用レポート作成処理の流れを説明する。なお、S41乃至S42のステップおよびS47乃至S49のステップについては、S01からS02およびS04乃至S06のステップとそれぞれ同様であるため、S43乃至S46のステップについてのみ説明を行う。
【0083】
本実施形態においては、異常陰影抽出手段20は、入力された指定位置Pを取得し、入力された指定位置Pから所定の範囲内において異常陰影を抽出し、抽出結果を補助画像決定手段14に出力する(S43)。そして、補助画像決定手段14は、入力された抽出結果に基づいて、指定位置Pから所定の範囲内に異常陰影が存在する場合には(S44のY)、異常陰影の重心に指定位置Pを移動させて、移動させた指定位置Pの座標をメモリに記憶する(S45)。一方、補助画像決定手段14は、入力された抽出結果に基づいて、指定位置Pから所定の範囲内に異常陰影が存在しない場合には(S44のN)、指定位置Pの座標をメモリに記憶する。そして、補助画像決定手段14は、対応付けテーブルT3を参照して、キー画像S1の傾きに対応付けられた補助画像の傾きを有し、指定位置Pを含む補助画像を決定するとともに補助画像を特定する情報を取得する(S46)。
【0084】
上記第3の実施形態によれば、指定位置から所定の近傍範囲の異常陰影を抽出する異常陰影抽出手段20をさらに備え、補助画像決定手段14が、抽出された異常陰影内に指定位置Pを移動させて補助画像S2を決定するものであるため、異常陰影が非常に小さく異常陰影内に指定位置Pを入力することが難しい場合などに、指定位置Pを異常陰影の近傍に入力するだけで、自動的に異常陰影内部に指定位置Pを移動して、異常陰影内に移動された指定位置Pを含むように補助画像S2を決定でき、ユーザによる指定位置Pの入力を容易にするとともに補助画像S2の読影精度や補助画像の読影効率を向上させることができる。また、意図せず指定位置が異常陰影からずれてしまった場合などの誤入力を抑制できる。また、上記第3の実施形態において、抽出された異常陰影の種類または大きさにより、MPVR法により得られる断層画像を補助画像として決定してもよい。かかる場合には、抽出された異常陰影の種類または大きさに適した画像診断に適した生成方法により生成した画像を補助画像として参照することができ、医用レポートRを参考にする医師らがより適格に指定位置を含む異常陰影を把握することができる。
【0085】
なお、本実施形態に限定されず、医用レポート作成装置の構成要素の一部または全部は、1台のワークステーションにより構成されたものであってもよく、ネットワークを介して接続された一台以上のワークステーション、サーバ、記憶装置によって構成されたものであってもよい。なお、各機器は、CD−ROM等の記録媒体からインストールされた本明細書の診断支援処理を行うプログラムによって制御される。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で接続されたサーバの記憶装置からダウンロードされた後にインストールされたものであってもよい。
【0086】
以上の実施形態は、その本質を変容させることなく、他の実施形態にも適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 モダリティ
3 放射線科用ワークステーション
4 診療科用ワークステーション
5 画像情報管理サーバ
6 画像情報データベース
7 医用レポートサーバ
8 医用レポートデータベース
9 ネットワーク
10 情報管理サーバ
11 入力手段
12 キー画像指定手段
13 指定位置入力手段
14 補助画像決定手段
15 補助画像生成手段
16 医用レポート作成手段
17 表示手段
18 記憶手段
19 部位抽出手段
20 異常陰影抽出手段
S1 キー画像
S2 補助画像
T1、T2、T3 対応付けテーブル
V 3次元画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定するキー画像指定手段と、
前記キー画像上の指定位置を入力する指定位置入力手段と、
前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定する補助画像決定手段と、
前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成する医用レポート作成手段とを備えたことを特徴とする医用レポート作成装置。
【請求項2】
前記キー画像がアキシャル画像であり、前記補助画像がコロナル画像であることを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成装置。
【請求項3】
前記補助画像決定手段が、前記指定位置に応じて前記補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するものであることを特徴とする請求項1または2記載の医用レポート作成装置。
【請求項4】
前記3次元医用画像から前記入力された指定位置を含む部位を抽出する部位抽出手段をさらに備え、
前記補助画像決定手段が、前記抽出された部位に応じて前記補助画像が示す断面の傾きを異ならせて決定するものであることを特徴とする請求項3記載の医用レポート作成装置。
【請求項5】
前記補助画像決定手段が、前記抽出された部位が前記被写体の正面方向に湾曲する部位であり、かつ、前記キー画像がサジタル画像でない場合に、前記補助画像としてサジタル画像を決定することを特徴とする請求項4記載の医用レポート作成装置。
【請求項6】
前記指定位置から所定の近傍範囲の異常陰影を抽出する異常陰影抽出手段をさらに備え、
前記補助画像決定手段が、前記抽出された異常陰影内に前記指定位置を移動させて前記補助画像を決定するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項の医用レポート作成装置。
【請求項7】
前記補助画像としてMPVR画像を決定するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項の医用レポート作成装置。
【請求項8】
前記補助画像を特定する情報に基づいて前記補助画像を生成する画像生成手段と、
前記生成された補助画像を含む医用レポートを表示する表示手段をさらに備えたものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項の医用レポート作成装置。
【請求項9】
被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定し、
前記キー画像上の指定位置を入力し、
前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定し、
前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成することを特徴とする医用レポート作成方法。
【請求項10】
コンピュータを、
被写体を撮像して得られた3次元医用画像データから生成された1つの断層画像を診断上の特徴を表すキー画像として指定するキー画像指定手段と、
前記キー画像上の指定位置を入力する指定位置入力手段と、
前記キー画像および前記指定位置に基づいて、前記3次元医用画像データから前記指定位置を含み前記キー画像の断面と異なる断面を示す断層画像を補助画像として決定する補助画像決定手段と、
前記キー画像および前記補助画像を特定する情報を含む医用レポートを作成する医用レポート作成手段として機能させることを特徴とする医用レポート作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−208726(P2012−208726A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73808(P2011−73808)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】