説明

医用寝台装置およびそれを備えた放射線撮影装置

【課題】移動操作が容易で、術者の疲労させない医用寝台装置を提供する。
【解決手段】本発明の医用寝台装置は、天板移動の指示を入力させる移動指示入力部21を備え、移動指示入力部21は、天板2の被検体を載置させる載置面に設けられている。この様にすることで、術者は、天板2を移動させる時点においても常に被検体Mの方を向いた状態とすることができるので、術者の負担が軽減された医用寝台装置が提供できる。また、移動指示入力部21が載置面に設けられていることから、術者は、屈んで操作を行う必要もない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を載置する医用寝台装置に関し、特に、術者の指示に従って移動する機構を備えている医用寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、放射線を被検体に照射し、放射線透視画像を取得する放射線撮影装置が備えられている。この様な放射線撮影装置には、被検体を載置する寝台が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の寝台の構成について説明する。従来の寝台52は、図7に示すように、寝台52とは別体に設けられた操作卓59の操作スティック59aの入力にしたがって寝台52の長手方向、および横幅方向に進退移動する天板52aを備えている。すなわち、術者がある方向に操作スティック59aを傾けると、その方向に向けて天板52aが移動できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−109990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成によれば、次のような問題点がある。
すなわち、従来構成によれば、操作スティック59aが天板52aと別体となっているので、術者が行う寝台52の操作が煩雑になる問題点がある。すなわち、放射線透視撮影を行う際、術者は操作卓59の手前に位置する必要がある。この状態で被検体を観察し続けようとすると、術者の姿勢に無理がかかり、術者を疲労させてしまう。
【0006】
また、操作スティック59aをある方向に傾けても、天板52aは、その方向に必ずしも移動しないという問題も発生する。操作スティック59aは、天板52aとは別体となっているので、操作卓59を床面に設置する方向に気を配らなければ、操作スティック59aの傾く方向と、天板52aの移動する方向とが一致しなくなるのである。なお、検査室が狭い場合、操作卓59が設置できる方向が限られてしまい、同様な問題が生じるのである。
【0007】
また、操作スティック59aは、寝台52を僅かに移動させる操作には不向きである。すなわち、天板52aを傾けようとすると、操作スティック59aの傾ける角度を小さな角度とする必要がある。しかしながら、術者が操作スティック59aを僅かに傾ける力の加減を習得することは難しく、このことが術者が意思どおりに天板52aを移動させことを困難としている。
【0008】
この様な課題を解決するには、操作スティック59aを天板52aに設置すればよいのではないかと一見思われるが、実は、そうではない。天板52aは、被検体が載置されるものである。天板52aに操作スティック59aが設けられれば、被検体が天板52aから乗降するときに、操作スティック59aの存在が邪魔となる。この様な問題を回避する目的で、操作スティック59aと天板52aとは別体となっているのである。
【0009】
従来構成では、操作スティック59aを天板52aの側辺に付設したものもある。この様な場合、被検体に操作スティック59aが当たらぬよう、その先端が寝台52よりも上に突出することがないようになっている。すなわち、操作スティック59aは、天板52aの下側に設けられている。この様な構成では、術者が屈んで操作しなければならない場面が多くなり、術者が疲労しやすくなる。
【0010】
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動操作が容易で、術者の疲労させない医用寝台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の目的を達成するために次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に係る医用寝台装置は、被検体を載置する天板と、天板を移動させる天板移動手段と、天板移動手段を制御する天板移動制御手段と、天板移動制御手段に天板移動の指示を入力させる移動指示入力手段とを備え、移動指示入力手段は、天板の被検体を載置させる載置面に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]本発明の医用寝台装置は、天板移動の指示を入力させる移動指示入力手段を備え、移動指示入力手段は、天板の被検体を載置させる載置面に設けられている。この様にすることで、術者は、天板を移動させる時点においても常に被検体の方を向いた状態とすることができるので、術者の負担が軽減された医用寝台装置が提供できる。また、移動指示入力手段が載置面に設けられていることから、術者は、屈んで操作を行う必要もない。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の医用寝台装置において、移動指示入力手段は、術者が接触する接触部を有しており、移動指示入力手段は、接触部を押圧した位置に対応して天板移動の方向を認識することを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]上述の構成は移動指示入力手段の具体的な態様を示したものである。すなわち、接触部の押圧によって移動指示が入力されるのである。従来のように操作スティックを採用しない構成とすることで、移動指示入力手段が天板上で突出しない構成とすることができる。これにより、被検体が天板から乗降する際に、移動指示入力手段が邪魔となることはない。天板と移動指示入力手段が一体となっているので、天板の移動方向と、接触部の押圧が示す方向とが確実に一致することになる。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の医用寝台装置において、接触部は、術者が押圧したときの圧力を認識し、圧力の強さに応じて天板移動の距離を認識することを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]上述の構成によれば、術者は、より意のままに天板を移動させることができる。すなわち、接触部は、術者が押圧したときの圧力を認識する。そして、この圧力の強さに応じて天板の移動距離が決定される。したがって、術者は、天板を僅かに移動させようとする場合、接触部を弱く触るという操作を行うだけでよいことになる。このように、医用寝台装置の操作性は、従来の操作スティックを傾ける方式よりも改善されているのである。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の医用寝台装置において、接触部は、天板の形状を模した形状となっており、天板は、接触部の中心から接触部が押圧された押圧部に向かう方向に移動されることを特徴とするものである。
【0018】
[作用・効果]上述の構成によれば、より術者に操作し易い医用寝台装置を提供することができる。すなわち、接触部は、天板の形状を模した形状となっている。天板の移動方向と接触部が接触する方向を一致させることで、術者は、接触部を小型の天板に見立ててこれに接触するだけで、実際の天板が移動するのである。この様に、上述の構成によれば、より操作が容易な医用寝台装置が提供できるのである。
【0019】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の医用寝台装置において、天板移動手段が天板を移動させることを許可を示す許可入力を入力させる移動許可入力手段を更に備えることを特徴とするものである。
【0020】
[作用・効果]上述の構成は、移動許可入力手段を備えている。つまり、移動の許可がなされていない状態で天板の移動指示がなされても、天板は移動しないのである。これにより、天板が誤動作することがなく安全な医用寝台装置が提供できる。
【0021】
また、請求項6に係る発明は、請求項1または請求項5に記載の医用寝台装置において、天板を起伏させる起伏手段と、起伏手段を制御する起伏制御手段と、起伏制御手段に天板起伏の指示を入力させる起伏指示入力手段とを備え、起伏指示入力手段は、天板が横臥した状態において被検体を載置される載置面に設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
[作用・効果]上述の構成は、天板の移動に加えて、天板の起伏が可能となっている。この天板の起伏の指示の入力は、載置面に設けられた起伏指示入力手段を通じて行うのである。これにより、術者は、天板の一部に接触するだけで天板を起伏させることができるので、より操作性に優れた医用寝台装置が提供できる。
【0023】
また、請求項7に係る発明は、請求項1または請求項6に記載の医用寝台装置を搭載した放射線撮影装置であって、天板に対し放射線を照射する放射線源と、天板を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、放射線検出手段が出力する検出データから放射線透視画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とするものである。
【0024】
[作用・効果]上述の放射線撮影装置は、操作性の優れた医用寝台装置を搭載する。したがって、上述の放射線撮影装置は、術者にとって取り扱いが簡単なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係るX線撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る天板の構成を説明する平面図である。
【図3】実施例1に係る天板の構成を説明する斜視図である。
【図4】実施例1に係る天板の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】実施例1に係る天板の構成を説明する分解斜視図である。
【図6】本発明の1変形例に係る天板の構成を説明する斜視図である。
【図7】従来構成に係る寝台を説明する斜視図である。
【実施例1】
【0026】
以下、図面を参照して、実施例1に係る放射線撮影装置について説明する。なお、実施例1に係るX線は、本発明の放射線の一例である。
【0027】
<X線撮影装置の構成>
実施例1に係るX線撮影装置1は、図1に示すように、被検体Mを載置する天板2と、天板2の上側に設けられた天板2に向けてX線を照射するX線管3と、天板2の下に設けられたX線を検出するフラット・パネル・ディテクタ(FPD)4と、FPD4のX線検出面を覆うとともに、散乱放射線を除去するX線グリッド5と、X線管3を制御するX線管制御部6と、天板2を移動させる天板移動機構11と、これを制御する天板移動制御部12と、天板2を起伏させる起伏機構13と、これを制御する起伏制御部14と、天板2の移動の指示を入力させる移動指示入力部21と、天板2の起伏の指示を入力させる起伏指示入力部22と、X線管制御部6にX線曝射の指示を行う操作卓23と、天板2の移動の許可を入力させるフットスイッチ24と、FPD4から出力された検出信号を基にX線透視画像を生成する画像生成部25と、X線透視画像を表示する表示部27とを備えている。X線撮影装置は、本発明の放射線撮影装置に相当する。
【0028】
X線管は、本発明の放射線源に相当し、FPDは、本発明の放射線検出手段に相当する。また、天板移動制御部は、本発明の天板移動制御手段に相当し、天板移動機構は、本発明の天板移動手段に相当する。また、起伏制御部は、本発明の起伏制御手段に相当し、起伏機構は、本発明の起伏手段に相当する。また、起伏指示入力部は、本発明の起伏指示入力手段に相当し、画像生成部は、本発明の画像生成手段に相当する。また、移動指示入力部は、本発明の移動指示入力手段に相当し、フットスイッチは、本発明の移動許可入力手段に相当する。
【0029】
また、X線撮影装置1は、天板移動制御部12,起伏制御部14,および画像生成部25を統括的に制御する主制御部26を備えている。主制御部26は、CPUによって構成され、種々のプログラムを実行することにより、各部を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。
【0030】
なお、本発明の医用寝台装置は、上述の構成のうち、天板2,天板移動機構11,天板移動制御部12,起伏機構13,起伏制御部14,移動指示入力部21,起伏指示入力部22,およびフットスイッチ24を備えている。すなわち、実施例1に係るX線撮影装置1は、本発明の医用寝台装置を取り込んだ構成となっている。
【0031】
<天板の構成>
次に、天板2の構成について具体的に説明する。図2は、天板2における被検体を載置する載置面側から見たときの平面図である。天板2は、載置される被検体Mの体軸方向を長手方向Aとし、体側方向を短手方向Sとする矩形である。天板2は、天板移動制御部12の制御にしたがって、長手方向Aに沿って進退自在に移動するとともに、短手方向Sに沿って進退自在に移動する。
【0032】
また、図3に示すように、天板2は、起伏制御部14の制御にしたがって、短手方向Sに沿った中心軸Cを中心として、天板2の長手方向Aが検査室の床面と水平な横臥状態から、長手方向Aが検査室の床面と直交する起立状態となる。天板2は、起伏制御部14の制御にしたがって、起伏自在となっている。
【0033】
なお、天板2の被検体を載置する載置面には、図2に示すように、移動指示入力部21,起伏指示入力部22が備えられている。天板2において、両部21,22が設けられる位置は、天板2の周縁部であればよく、その位置は、特に限定されない。
【0034】
移動指示入力部21の構成について説明する。移動指示入力部21は、図4に示すように、接点カバー21pと、接点カバー21pに覆われて隠蔽される4つの接点21a,21b,21c,21dとを備えている。そして、天板2には、接点カバー21pの形状と同一の凹部が設けられており、接点カバー21pは、そこにはめ込まれている。天板2の凹部に接点21bが設けられており。接点カバー21pは、4つの接点21a,21b,21c,21dにより支持される。接点カバーは、本発明の接触部に相当する。
【0035】
接点カバー21pは、天板2に模した長手方向Aに縦長の矩形となっており、体軸方向A,および体側方向Sの接点カバー21pの中心を示す目印21kが刻印されている。接点カバー21pが術者に押圧されると、接点21bがそれを感知する。すなわち、接点21bは、圧力感知タイプの接点となっており、これにより、術者が接点カバー21pをどの程度強く押下したのかが分かるようになっている。
【0036】
なお、術者は、中央の目印21kを基に接点カバー21pを押下する。すなわち、天板2を紙面右側に移動させたければ、術者は、接点カバー21pのうち、中央の目印から右側に離れた領域Aを押下する。すると、接点21aが押下の圧力を認識して、移動指示入力部21は、移動指示データを天板移動制御部12(図1参照)に送出する。天板移動制御部12は、接点21aが押下の圧力に応じた距離だけ天板2を紙面右側に移動させる。同様に、術者が領域Bを押下すると、接点21bがその圧力を認識し、天板2は、押下の圧力に応じた距離だけ天板2を紙面左側に移動され、術者が領域Cを押下すると、接点21cがその圧力を認識し、天板2は、押下の圧力に応じた距離だけ天板2を紙面奥側に移動される。そして、術者が領域Dを押下すると、接点21dがその圧力を認識し、天板2は、押下の圧力に応じた距離だけ天板2を紙面手前側に移動される。この様に、実施例1の構成によれば、目印21k(接点カバー21pの中心)から接点カバー21pが押圧された部分に向かう方向と、実際に天板2が移動する方向とが一致している。
【0037】
起伏指示入力部22も、移動指示入力部21と同様の構成となっている。相違点は、図5に示すように、複数の接点カバー22p,22qを有することと、接点カバー22p,22qのそれぞれにつき、ON,OFF式の接点22r,22sが設けられていることである。術者が接点カバー22pを押下すると、天板2の起伏状態が変化する。接点カバー22qを押下すると、天板2が起伏の途中で停止する。
【0038】
また、いずれの接点カバー21p,22p,22qも天板2の載置面から突出していない。したがって、移動指示入力部21,起伏指示入力部22は、被検体を載置する際に邪魔とならない。
【0039】
次に、フットスイッチ24について説明する。フットスイッチ24は、X線撮影装置1の近傍の床面に設置されており、術者は、これを踏むことができる。フットスイッチ24がオフ状態のとき、移動指示入力部21,および起伏指示入力部22の接点が指示入力を感知したとしても、天板2は移動、起伏を開始しない。フットスイッチ24がオンされた状態で移動指示入力部21,および起伏指示入力部22が操作されて始めて天板2は移動を開始するのである。この様な構成とすることで、被検体Mが移動指示入力部21,および起伏指示入力部22を誤って触れたとしても、天板2は移動、起伏することがない。
【0040】
操作卓23には、フットスイッチ24の有効・無効を切り替える切替ボタンを備えている。この切替スイッチでフットスイッチ24の無効化を行うと、天板2は、フットスイッチ24の入力によらず移動、起伏することができるようになる。このような天板2の制御様式をフットスイッチ無効モードと呼ぶ。切替ボタンでフットスイッチ24の有効化を行うと、フットスイッチ24をオンしないと天板2は、移動、起伏することができない。このような天板2の制御様式をフットスイッチ有効モードと呼ぶ。なお、操作卓23の切替ボタンは、接点式のスイッチでもよいし、操作卓23のタッチパネルに現れるボタン状の画像(アイコン)でもよい。
【0041】
<動作の説明>
次に、実施例1に係るX線撮影装置1の動作について説明する。まず、天板2に被検体Mが載置される。術者は、フットスイッチ24を踏みながら移動指示入力部21,および起伏指示入力部22を操作し、X線管3に対する被検体Mの位置合わせを行うとともに、天板2を検査に好適な傾きとする。術者がフットスイッチ24を離し、操作卓23を操作して、X線照射の指示を行うと、X線管制御部6の制御にしたがって、X線管3からX線ビームが照射される。被検体Mを透過したX線ビームは、FPD4に投影され、FPD4に被検体Mの透視像が写りこむ。画像生成部25は、FPD4から出力された検出信号を基に放射線透視画像を生成する。放射線透視画像は、表示部27に表示されて検査は終了となる。
【0042】
以上のように、実施例1の医用寝台装置は、天板移動の指示を入力させる移動指示入力部21を備え、移動指示入力部21は、天板2の被検体Mを載置させる載置面に設けられている。この様にすることで、術者は、天板2を移動させる時点においても常に被検体Mの方を向いた状態とすることができるので、術者の負担が軽減された医用寝台装置が提供できる。また、移動指示入力部21が載置面に設けられていることから、術者は、屈んで操作を行う必要もない。
【0043】
また、移動指示入力部21は、接点カバー21pの押圧によって移動指示が入力されるのである。このように従来のように操作スティックを採用しない構成とすることで、移動指示入力部21が天板上で突出しない構成とすることができる。これにより、被検体Mが天板2から乗降する際に、移動指示入力部21が邪魔となることはない。
【0044】
また、実施例1の構成によれば、術者は、より意のままに天板2を移動させることができる。すなわち、接点カバー21pは、術者が押圧したときの圧力を認識する。そして、この圧力の強さに応じて天板2の移動距離が決定される。したがって、術者は、天板2を僅かに移動させようとする場合、接点カバー21pを弱く触るという操作を行うだけでよいことになる。このように、従来のように操作スティックを傾ける方式よりも操作性が改善されているのである。
【0045】
また、実施例1の構成によれば、より術者に操作し易い医用寝台装置を提供することができる。すなわち、接点カバー21pは、天板2の形状を模した形状となっている。天板2の移動方向と接点カバー21pが接触する方向を一致させることで、術者は、接点カバー21pを小型の天板2に見立ててこれに接触するだけで、実際の天板2が移動することになる。この様に、実施例1の構成によれば、より操作が容易な医用寝台装置が提供できるのである。
【0046】
また、実施例1の構成は、フットスイッチ24を備えている。つまり、フットスイッチ24がオフのとき(移動の許可がなされていない状態で)天板2の移動指示がなされても、天板2は移動しないのである。これにより、天板2が誤動作することがなく安全な医用寝台装置が提供できる。
【0047】
また、実施例1の構成は、天板2の移動に加えて、天板2の起伏が可能となっている。この天板2の起伏の指示の入力は、載置面に設けられた起伏指示入力部22を通じて行うのである。これにより、術者は、天板2の一部に接触するだけで天板2を起伏させることができるので、より操作性に優れた医用寝台装置が提供できる。
【0048】
また、実施例1のX線撮影装置1は、操作性の優れた医用寝台装置を搭載する。したがって、上述のX線撮影装置1は、術者にとって取り扱いが簡単なものとなっている。
【0049】
本発明は、上述の実施例の構成に限られず、下記のような変形実施が可能である。
【0050】
(1)上述の移動指示入力部21は、接点カバー21pと、接点21a,21b,21c,21dを有していたが本発明の構成はこれに限らない。すなわち、図6に示すように、移動指示入力部21をタッチパッド21mを備える構成とすることもできる。タッチパッド21mは、天板2に模した長手方向Aに縦長の矩形となっており、その中心を示す目印21kが実施例1と同様に刻印されている。タッチパッド21mが術者に押圧されると、タッチパッド21mは、術者が押した位置を感知する。そして、本変形例に係る移動指示入力部21は、目印21kを起点とし、押した位置を終点とするベクトルデータを主制御部26に出力する。天板移動制御部12は、ベクトルデータと一致する方向にベクトルの大きさに対応した距離だけ移動する。これにより、実施例1に係る移動指示入力部21と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(2)上述の実施例においては、医用寝台装置は、X線撮影装置に配備されていたが、本発明はこの構成に限られない。例えば、ガントリを有するX線断層撮影装置に本発明に係る医用寝台装置を配備することもできる。
【0052】
(3)上述の実施例においては、X線を検出するのはFPDであったが、本発明は、これに限られない。すなわち、FPDに代えて、イメージインテンシファイア(I・I)、X線感光フィルム、イメージングプレート(IP)を用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 X線撮影装置(放射線撮影装置)
2 天板
3 X線管(放射線源)
4 FPD(放射線検出手段)
11 天板移動機構(天板移動手段)
12 天板移動制御部(天板移動制御手段)
13 起伏機構(起伏手段)
14 起伏制御部(起伏制御手段)
21 移動指示入力部(移動指示入力手段)
21p 接点カバー(接触部)
22 起伏指示入力部(起伏指示入力手段)
24 フットスイッチ(移動許可入力手段)
25 画像生成部(画像生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板と、
前記天板を移動させる天板移動手段と、
前記天板移動手段を制御する天板移動制御手段と、
前記天板移動制御手段に天板移動の指示を入力させる移動指示入力手段とを備え、
前記移動指示入力手段は、前記天板の被検体を載置させる載置面に設けられていることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用寝台装置において、
前記移動指示入力手段は、術者が接触する接触部を有しており、
前記移動指示入力手段は、前記接触部を押圧した位置に対応して天板移動の方向を認識することを特徴とする医用寝台装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用寝台装置において、
前記接触部は、術者が押圧したときの圧力を認識し、圧力の強さに応じて天板移動の距離を認識することを特徴とする医用寝台装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の医用寝台装置において、
前記接触部は、前記天板の形状を模した形状となっており、前記天板は、前記接触部の中心から前記接触部が押圧された押圧部に向かう方向に移動されることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項5】
請求項4に記載の医用寝台装置において、
前記天板移動手段が前記天板を移動させることを許可を示す許可入力を入力させる移動許可入力手段を更に備えることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項6】
請求項1または請求項5に記載の医用寝台装置において、
前記天板を起伏させる起伏手段と、
前記起伏手段を制御する起伏制御手段と、
前記起伏制御手段に天板起伏の指示を入力させる起伏指示入力手段とを備え、
前記起伏指示入力手段は、前記天板が横臥した状態において被検体を載置される載置面に設けられていることを特徴とする医用寝台装置。
【請求項7】
請求項1または請求項6に記載の医用寝台装置を搭載した放射線撮影装置であって、
前記天板に対し放射線を照射する放射線源と、
前記天板を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線検出手段が出力する検出データから放射線透視画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−220837(P2010−220837A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71857(P2009−71857)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】