説明

医用情報表示装置および医用情報表示プログラム

【課題】医用画像の比較読影を行う際に比較対象となる医用画像を簡便に選択することを可能にする。
【解決手段】医用画像観察装置50において、画像表示領域表示部55が、読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部52に表示する。そして、読影対象画像表示制御部56が、読影対象となる医用画像を主検査領域にサムネイル表示させた後に、比較対象画像表示制御部57が、主検査領域にサムネイル表示された医用画像を観察画像準備領域へ移動する操作を受け付けた場合に、移動された医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を表示部にサムネイル表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像の読影を行う際に用いられる医用情報表示装置および医用情報表示プログラムに関し、特に、比較読影に用いられる医用画像の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像の読影では、今回の検査で撮像された医用画像と別の検査で撮像された医用画像とを比較して読影を行う場合が多い。かかる医用画像の比較読影を行う場合、読影者は、医用画像観察装置などの医用情報表示装置を用いて、読影の対象となる医用画像(以下、「読影対象画像」と呼ぶ)と比較するための医用画像(以下、「比較対象画像」と呼ぶ)を別の検査で撮像された医用画像の中から選択する。
【0003】
そして、比較対象画像を選択するための方法としては、例えば、医用画像情報装置が、すでに撮像されている複数の医用画像を、検査日付やモダリティ(画像診断装置)、検査部位などの属性情報で分類してサムネイル表示し、サムネイル表示した医用画像の中から読影者に比較対象画像を選択させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−6671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常、上述した医用画像をサムネイル表示する方法では、属性情報ごとに分類された複数の領域に医用画像がサムネイル表示されるが、医用画像情報装置が有する表示領域の都合上、各領域は縮小されて表示される場合が多い。そのため、読影者は、比較対象画像を選択するために、縮小されている領域をそれぞれ展開しながら、展開した領域に所望の比較対象画像があるか否かを確認し、あった場合には表示を要求し、なかった場合にはさらに別の領域を展開して確認する作業を繰り返す必要があった。
【0006】
したがって、この方法では、比較対象画像を選択するまでに多くのステップを踏む必要があり、簡便に比較対象画像を選択したいという利用者の要望を満たすことができなかった。また、分類された領域が縮小されていない場合でも、読影者は、分類された領域に含まれる全ての画像の中から比較対象画像を探すために多くの労力を費やす必要があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、医用画像の比較読影を行う際に比較対象となる医用画像を簡便に選択することが可能な医用情報表示装置および医用情報表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部に表示する表示手段と、読影対象となる医用画像を前記主検査領域にサムネイル表示させる読影対象画像表示制御手段と、前記主検査領域にサムネイル表示された医用画像を前記観察画像準備領域へ表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を前記表示部にサムネイル表示させる比較対象画像表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の本発明は、医用画像の比較読影に用いられる医用情報表示プログラムであって、読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部に表示する画像領域表示手順と、読影対象となる医用画像を前記主検査領域にサムネイル表示させる読影対象画像表示制御手順と、前記主検査領域にサムネイル表示された医用画像を前記観察画像準備領域へ表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を前記表示部にサムネイル表示する比較対象画像表示制御手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1または2記載の本発明によれば、医用画像の比較読影を行う際に比較対象となる医用画像を簡便に選択することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医用情報装置および医用情報表示プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、医用画像診断システムに接続された医用画像観察装置に本発明を適用した場合について説明する。
【実施例】
【0012】
まず、本実施例に係る医用画像診断システムの構成について説明する。図1は、本実施例に係る医用画像診断システムの構成を示すシステム構成図である。同図に示すように、この医用画像診断システムは、医用画像診断装置10、医用画像保管装置20、医用レポート作成支援システム30、汎用パーソナルコンピュータ40および医用画像観察装置50が、LAN60を介してそれぞれ接続されて構成されている。
【0013】
医用画像診断装置10は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置やX線CT(Computed Tomography)装置など、医用画像を撮像する装置であり、医用画像保管装置20は、医用画像診断装置10によって撮像された医用画像を保管する装置である。
【0014】
医用レポート作成支援システム30は、読影医などによる医用レポートの作成を支援し、作成された医用レポートをレポート情報として管理する装置であり、汎用パーソナルコンピュータ40は、Webブラウザなどの各種ソフトウェアがインストールされた汎用的なコンピュータである。
【0015】
医用画像観察装置50は、医用画像保管装置20によって保管されている医用画像や医用レポート作成支援システム30によって管理されているレポート情報などを取得して表示する装置である。この医用画像観察装置50は、読影医などによって医用画像の比較読影が行われる際に利用される。
【0016】
そして、本実施例では、かかる医用画像観察装置50が、読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部に表示し、読影対象となる医用画像を主検査領域にサムネイル表示させた後に、当該医用画像を観察画像準備領域へ表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を表示部にサムネイル表示させるようにしている。これにより、本実施例に係る医用画像観察装置50では、縮小表示されている領域を展開しながら比較対象画像を探すという手順を踏むことなく、医用画像の比較読影を行う際に比較対象となる医用画像を簡便に選択することが可能になる。
【0017】
以下、かかる医用画像観察装置50について具体的に説明してゆく。なお、ここでは、上記した「観察画像準備領域へ医用画像を表示させる操作」の一例として、観察画像準備領域へ医用画像を移動する操作(例えば、マウスを用いたドラッグ&ドロップなど)を操作者が行う場合について説明する。
【0018】
図2は、本実施例に係る医用画像観察装置50の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この医用画像観察装置50は、入力部51と、表示部52と、画像記憶部53と、操作受付部54と、画像表示領域表示部55と、読影対象画像表示制御部56と、比較対象画像表示制御部57と、観察画像表示制御部58と、レポート情報表示制御部59とを有する。
【0019】
入力部51は、各種情報を入力する装置であり、例えば、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイスやキーボードなどによって構成される。表示部52は、各種情報を表示する装置であり、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイなどによって構成される。
【0020】
画像記憶部53は、医用画像診断装置10によって撮像された医用画像を記憶する記憶部である。なお、本実施例では、読影対象の患者に関する医用画像がすでに取得されて、この画像記憶部53に記憶されていることとする。操作受付部54は、入力部51を介して操作者から各種操作や各種要求を受け付ける処理部である。
【0021】
画像表示領域表示部55は、医用画像をサムネイル表示するための画像表示領域を表示部52に表示する処理部である。図3は、画像表示領域表示部55による画像表示領域の表示を説明するための説明図である。同図に示すように、具体的には、この画像表示領域表示部55は、操作受付部54を介して、読影対象検査を選択する操作を受け付けた場合に、読影対象画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像を選択するための観察画像準備領域とをそれぞれ表示部52に表示する。
【0022】
読影対象画像表示制御部56は、操作者による操作に応じて、読影対象画像を表示させる処理部である。図4は、読影対象画像表示制御部56による読影対象画像の表示を説明するための説明図である。同図に示すように、具体的には、この読影対象画像表示制御部56は、操作受付部54を介して、読影対象の検査を選択する操作を受け付けた場合に、選択された検査のシリーズに含まれる医用画像を画像記憶部53によって記憶された医用画像の中から検索し、検索した医用画像を、画像表示領域表示部55によって表示された主検査領域に読影対象画像としてサムネイル表示させる(図4に示すI1を参照)。
【0023】
なお、この時、読影対象画像表示制御部56は、画像記憶部53によって記憶されている医用画像の中から、操作者によって選択された検査の患者に関する全ての医用画像(選択された検査以外の検査の医用画像も含む)を検索し、検索した医用画像のサムネイル画像を生成する。そして、読影対象画像表示制御部56は、生成したサムネイル画像を比較対象画像として内部メモリに保持しておく。なお、ここで、読影対象画像表示制御部56が、必ずしも全ての医用画像のサムネイル画像を生成しなくてもよく、付帯情報(属性情報)のみを内部メモリに保持しておき、必要な医用画像だけに関して、サムネイル画像を内部メモリに保持しておくようにしてもよい。または、読影対象画像表示制御部56が、必要になった医用画像のみを検索し、検索した医用画像に関するサムネイル画像を作成するようにしてもよい。
【0024】
比較対象画像表示制御部57は、操作者による操作に応じて、比較対象画像を表示させる処理部である。図5、6および7は、比較対象画像表示制御部57による比較対象画像の表示を説明するための説明図(1)、(2)および(3)である。
【0025】
具体的には、この比較対象画像表示制御部57は、図5に示すように、操作受付部54を介して、主検査領域にサムネイル表示された読影対象画像を観察画像準備領域へ移動する操作を受け付けた場合には、当該読影対象画像の属性情報に基づいて、内部メモリに保持されている比較対象画像を特定し、特定した比較対象画像を検査ごとに表示部52に表示させる。この時、比較対象画像表示制御部57は、同図に示すように、検査ごとに分けられた複数の比較画像領域を表示したうえで、それぞれの比較画像領域に比較対象画像を表示させる(図5に示すI2およびI3を参照)。なお、読影対象画像が観察画像準備領域へ移動される際に、操作者によって、例えばマウスの右ドラッグなどの特別な操作が行われた場合には、比較対象画像表示制御部57が、移動の対象となった医用画像の属性情報に基づく絞込みを行わないようにしてもよい。
【0026】
ここで、上記した比較対象画像の表示について詳細に説明すると、比較対象画像表示制御部57は、読影対象画像を観察画像準備領域に移動する操作を受け付けると、まず、移動された読影対象画像の属性情報に基づいて、比較対象画像を検索する際の検索キーとする情報を決定する。この時、検索キーとする情報としては、例えば、モダリティや撮像部位、撮像条件など、医用画像ごとに固有の情報や、医用画像をキー画像として使用しているレポートに関する情報などが用いられる。
【0027】
例えば、比較対象画像表示制御部57は、移動された読影対象画像のモダリティが「X線CT装置」であった場合には、検索キーとする情報を「撮像部位またはモダリティ」とする。また、例えば、比較対象画像表示制御部57は、移動された読影対象画像の撮像部位が「頭部」であった場合には、検索キーとする情報を「モダリティまたは撮像条件」とする。なお、ここで、いずれの情報を検索キーとして用いるかは、複数の属性情報ごとにあらかじめ定義されており、定義された内容が、図2には図示していない記憶部に設定情報として記憶されていることとする。
【0028】
続いて、比較対象画像表示制御部57は、観察画像準備領域に移動された読影対象画像の付帯情報を参照して、検索キーとした情報の具体値を取得する。そして、比較対象画像表示制御部57は、内部メモリに保持されている比較対象画像の中から、取得した具体値を付帯情報として有する比較対象画像を検索し、検索した比較対象画像を比較画像領域に表示させる。
【0029】
例えば、移動された読影対象画像のモダリティが「X線CT装置」であった場合に「撮像部位またはモダリティ」を検索キーとする旨の定義が設定情報として記憶されていたとする。その場合、例えば、X線CT装置で撮像された頭部の読影対象画像が観察画像準備領域に移動されると、比較対象画像表示制御部57は、移動された読影対象画像の付帯情報を参照して、撮像部位が「頭部」であることを示す具体値と、モダリティが「X線CT装置」であることを示す具体値とをそれぞれ取得する。
【0030】
そして、比較対象画像表示制御部57は、内部メモリに保持されている比較対象画像の中から、頭部の医用画像およびX線CT装置で撮像された医用画像をそれぞれ検索して、比較画像領域に表示させる。このように、比較対象画像表示制御部57が、所定の情報を検索キーとして用いて内部メモリに保持された比較対象画像を検索することによって、移動された医用画像の属性情報に基づいて、比較画像領域に表示される比較対象画像が絞り込まれる。
【0031】
また、比較対象画像表示制御部57は、観察画像領域に少なくとも一つの医用画像が表示されている状態で、当該観察画像準備領域へ別の医用画像を移動する操作を受け付けた場合には、移動された別の医用画像の属性情報と先に表示されていた医用画像の属性情報との組み合わせに基づいて、内部メモリに保持されている比較対象画像を特定し、特定した比較対象画像を検査ごとに比較画像領域に表示させる。
【0032】
例えば、図6に示すように、比較対象画像表示制御部57は、観察画像準備領域に読影対象画像が表示されている状態で、操作受付部54を介して、比較画像領域から観察画像準備領域へ比較対象画像を移動する操作を受け付けた場合には、移動された比較対象画像の属性情報と先に表示されていた読影対象画像の属性情報との組み合わせに基づいて、内部メモリに保持されている比較対象画像を特定し、特定した比較対象画像を比較画像領域に検査ごとに表示させる(図6に示すI4およびI5を参照)。
【0033】
ここで、上記した比較対象画像の表示について詳細に説明すると、比較対象画像表示制御部57は、医用画像を観察画像準備領域に移動する操作を受け付けると、まず、移動された医用画像の属性情報と先に表示されていた医用画像の属性情報との組み合わせに基づいて、比較対象画像を検索する際の検索キーとする情報を決定する。この時、検索キーとする情報としては、前述したように、例えば、モダリティや撮像部位、撮像条件など、医用画像ごとに固有の情報や、医用画像をキー画像として使用しているレポートに関する情報などが用いられる。
【0034】
例えば、比較対象画像表示制御部57は、移動された医用画像のモダリティが「X線CT装置」であり、先に表示されていた医用画像のモダリティが「CR装置」であった場合には、検索キーとする情報を「撮像部位」とする。また、例えば、比較対象画像表示制御部57は、移動された医用画像の撮像部位が「頭部」であり、先に表示されていた医用画像の撮像部位が「腹部」であった場合には、検索キーとする情報を「モダリティ」とする。なお、ここで、いずれの情報を検索キーとして用いるかは、複数の属性情報の組み合わせごとにあらかじめ定義されており、定義された内容が、図2には図示していない記憶部に設定情報としてさらに記憶されていることとする。なお、かかる設定情報は、過去に比較読影において比較された医用画像の組み合わせなどに基づいて、手動または自動で記憶される。
【0035】
続いて、比較対象画像表示制御部57は、観察画像準備領域に移動された医用画像および先に表示されていた医用画像の付帯情報を参照して、検索キーとした情報の具体値をそれぞれ取得する。そして、比較対象画像表示制御部57は、内部メモリに保持されている比較対象画像の中から、取得した具体値を付帯情報として有する比較対象画像を検索し、検索した比較対象画像を比較画像領域に表示させる。
【0036】
例えば、「X線CT装置」と「CR装置」とが組み合わせられた場合に「撮像部位」を検索キーとする旨の定義が設定情報として記憶されていたとする。その場合、例えば、X線CT装置で撮像された頭部の医用画像が観察画像準備領域に表示されている状態で、CR装置で撮像された腹部の医用画像が観察画像準備領域に移動されると、比較対象画像表示制御部57は、それぞれの医用画像の付帯情報を参照して、撮像部位が「頭部」であることを示す具体値と、撮像部位が「腹部」であることを示す具体値とをそれぞれ取得する。
【0037】
そして、比較対象画像表示制御部57は、内部メモリに保持されている比較対象画像の中から、頭部の医用画像および腹部の医用画像を検索して、それぞれ比較画像領域に表示させる。このように、比較対象画像表示制御部57が、所定の情報を検索キーとして用いて内部メモリに保持された比較対象画像を検索することによって、移動された医用画像の属性情報と先に表示されていた医用画像の属性情報との組み合わせに基づいて、比較画像領域に表示される比較対象画像が絞り込まれる。
【0038】
ところで、ここでは、比較対象画像表示制御部57が、比較画像領域を検査ごとに表示し、絞り込んだ比較対象画像のみを検査ごと表示する場合について説明した。この他にも、例えば、図7に示すように、比較対象画像表示制御部57が、比較画像領域および比較対象画像を表示させるとともに、絞り込みの対象外となった比較対象画像を表示するためのユーザインタフェースを検査ごとに表示させるようにしてもよい。
【0039】
この場合、比較対象画像表示制御部57は、表示したユーザインタフェースに対する操作を操作者から受け付けると、そのユーザインタフェースに対応する検査の比較画像領域を展開表示し、内部メモリに保持されている医用画像の中から当該検査の比較対象画像を検索して、展開した比較画像領域に表示させる。なお、かかるユーザインタフェースとしては、例えば、ボタン(同図に示すB1およびB2を参照)やタブ(同図に示すTを参照)などが用いられる。
【0040】
観察画像表示制御部58は、操作者からの要求に応じて、観察画像準備領域にサムネイル表示されている医用画像を拡大表示させる処理部である。図8は、観察画像表示制御部58による医用画像の拡大表示を説明するための説明図である。同図に示すように、具体的には、この観察画像表示制御部58は、操作受付部54を介して、比較読影用の医用画像が表示される画像観察領域の表示要求を受け付けると、画像観察領域を表示部52に表示する。そして、観察画像表示制御部58は、表示した画像観察領域に、観察画像準備領域にサムネイル表示されている医用画像を、画像記憶部53から取得して拡大表示させる。
【0041】
この時、観察画像表示制御部58は、観察画像準備領域に表示されていた際の画像レイアウトを維持して医用画像を拡大表示させる。なお、同図においては、左右に医用画像を並べる画像レイアウトで医用画像を拡大表示させた場合を示したが、観察画像表示制御部58によって表示される画像レイアウトはこれに限られるわけではなく、例えば、上下に画像を並べる画像レイアウトであってもよいし、上下、左右にそれぞれ複数の画像を表示させる画像レイアウトであってもよい。
【0042】
レポート情報表示制御部59は、操作者による操作に応じて、レポート情報を表示させる処理部である。具体的には、このレポート情報表示制御部59は、操作受付部54を介して、観察画像準備領域へ医用画像を移動する操作を受け付けた場合に、移動された医用画像をキー画像としているレポート情報を医用レポート作成支援システム30から取得し、取得したレポート情報を表示部52に表示させる。なお、ここでいうレポート情報の表示には、レポート自体を表示する場合に限らず、レポートが存在することをレポートのサムネイルやアイコンで表示することなども含まれる。
【0043】
次に、本実施例に係る医用画像観察装置50の処理手順について説明する。図9〜12は、本実施例に係る医用画像観察装置50の処理手順を示すフローチャート(1)〜(4)である。同図に示すように、医用画像観察装置50では、画像表示領域表示部55が、操作受付部54を介して、読影対象検査の選択を受け付けると(ステップS101,Yes)、主検査領域および観察画像準備領域を表示する(ステップS102)。
【0044】
続いて、読影対象画像表示制御部56が、選択された読影対象検査に含まれる医用画像を検索して、主検査領域に読影対象画像として表示させ(ステップS103)、さらに、同一患者の医用画像を検索して内部メモリに保持する(ステップS104)。また、比較対象画像表示制御部57が、比較対象画像の検索キーに関する設定情報を取得する(ステップS105)。
【0045】
そして、比較対象画像表示制御部57が、操作受付部54を介して、主検査領域から観察画像準備領域へ読影対象画像を移動する操作を受け付けると(ステップS106,Yes)、移動された医用画像とすでに観察画像準備領域に表示されていた医用画像との組み合わせから検索キーに使用する情報を決定する(ステップS107)。
【0046】
続いて、比較対象画像表示制御部57は、決定した検索キーに使用する情報の具体値を、観察画像準備領域に表示されている医用画像から取得し(ステップS108)、取得した具体値を検索キーとして比較対象画像を検索する(ステップS109)。そして、比較対象画像表示制御部57は、検索した比較対象画像が含まれる比較画像対象領域を展開して、検査ごとに比較対象画像を表示させる(ステップS110)。
【0047】
その後、比較対象画像表示制御部57は、操作受付部54を介して、比較画像領域から観察画像準備領域へ比較対象画像を移動する操作を受け付けると(ステップS111,Yes)、移動された医用画像とすでに観察画像準備領域に表示されていた医用画像との組み合わせから検索キーに使用する情報を決定する(ステップS112)。
【0048】
続いて、比較対象画像表示制御部57は、決定した検索キーに使用する情報の具体値を、観察画像準備領域に表示されている医用画像から取得し(ステップS113)、取得した具体値を検索キーとして比較対象画像を検索する(ステップS114)。そして、比較対象画像表示制御部57は、検索した比較対象画像が含まれる比較画像対象領域を展開して、検査ごとに比較対象画像を表示させる(ステップS115)。
【0049】
比較対象画像表示制御部57は、比較対象領域から観察画像準備領域へ比較対象画像を移動する操作(ステップS111の操作)が操作者によって行われている間は、上記したステップS111〜S115の処理を繰り返し(ステップS116,No)、ある読影対象画像に対する比較対象画像の比較対象画像の選択が完了した場合に(ステップS116,Yes)、次の読影対象画像を移動する操作を受け付ける(ステップS106へ戻る)。
【0050】
そして、比較対象画像表示制御部57は、主検査領域から観察画像準備領域へ読影対象画像を移動する操作(ステップS106の操作)が操作者によって行われている間は、上記したステップS106〜S116の処理を繰り返し(ステップS117,No)、ある読影対象画像に対する比較対象画像の比較対象画像の選択が完了した場合には(ステップS117,Yes)、読影の準備を確定する(ステップS118)。
【0051】
そして、観察画像表示制御部58が、操作受付部54を介して、比較読影用の医用画像が表示される画像観察領域の表示要求を受け付けると、観察画像準備領域に表示されている医用画像を、画像レイアウトを維持したまま画像観察領域へ表示させる(ステップS119)。
【0052】
なお、図9および10では、読影対象画像ごとに比較対象画像を選択する処理手順について示したが、先に読影対象画像を全て選択した後に、比較読影対象画像を選択するようにしてもよい。その場合、図11および12に示すように、まず、画像表示領域表示部55、読影対象画像表示制御部56が、図9に示したステップS101〜S105と同様の処理を行う(ステップS201〜S205)。
【0053】
その後、比較対象画像表示制御部57が、主検査領域から観察画像準備領域へ読影対象画像を移動する操作(ステップS206の操作)が操作者によって行われている間は、ステップS106〜S110と同様の処理(ステップS206〜S210)を繰り返し(ステップS211,No)、全ての読影対象画像の選択が完了した場合に(ステップS211,Yes)、比較対象画像を移動する操作を受け付ける(ステップS212)。
【0054】
そして、比較対象画像表示制御部57は、比較画像領域から観察画像準備領域へ比較対象画像を移動する操作(ステップS212の操作)が操作者によって行われている間は、図10に示したステップS111〜S115と同様の処理(ステップS212〜S216)を繰り返し(ステップS217,No)、比較対象画像の選択が完了した場合には(ステップS217,Yes)、読影の準備を確定する(ステップS218)。
【0055】
そして、観察画像表示制御部58が、操作受付部54を介して、比較読影用の医用画像が表示される画像観察領域の表示要求を受け付けると、図10に示したステップS119と同様に、観察画像準備領域に表示されている医用画像を、画像レイアウトを維持したまま画像観察領域へ表示させる(ステップS219)。
【0056】
上述してきたように、本実施例では、医用画像観察装置50において、画像表示領域表示部55が、読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部52に表示する。そして、読影対象画像表示制御部56が、読影対象となる医用画像を主検査領域にサムネイル表示させた後に、比較対象画像表示制御部57が、主検査領域にサムネイル表示された医用画像を観察画像準備領域へ移動する操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を表示部にサムネイル表示させる。これにより、縮小表示されている領域を展開しながら比較対象画像を探すという手順を踏むことなく、医用画像の比較読影を行う際に比較対象となる医用画像を簡便に選択することが可能になる。
【0057】
また、本実施例では、比較対象画像表示制御部57が、観察画像準備領域に少なくとも一つの医用画像が表示されている状態で、当該観察画像準備領域へ別の医用画像を移動する操作を受け付けた場合に、移動された医用画像の属性情報と先に表示されていた医用画像の属性情報との組み合わせに基づいて、比較対象画像を特定するので、比較読影に用いられる医用画像の様々な組み合わせに応じて最適な比較対象画像が表示されるので、比較対象となる医用画像をさらに簡便に選択することが可能になる。
【0058】
また、本実施例では、観察画像表示制御部58が、操作者からの要求に応じて、観察画像準備領域にサムネイル表示されている医用画像を拡大表示させるので、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像を見やすい大きさに容易に拡大することが可能になり、効率よく比較読影を行うことができるようになる。
【0059】
また、本実施例では、観察画像表示制御部58が、観察画像準備領域に表示されていた際の画像レイアウトを維持して医用画像を拡大表示させるので、表示位置を考慮しながら観察画像準備領域に医用画像を移動することによって、比較読影を行う際の画像レイアウトを事前に決めることが可能になり、さらに効率よく比較読影を行うことができるようになる。
【0060】
また、本実施例では、レポート情報表示制御部59が、観察画像準備領域へ医用画像を移動する操作を受け付けた場合に、移動された医用画像をキー画像としているレポート情報を取得し、取得したレポート情報を前記表示部に表示させるので、関連するレポート情報を参照しながら、さらに効率よく比較読影を行うことができるようになる。
【0061】
なお、本実施例では、観察画像準備領域へ医用画像を表示させる操作の一例として、観察画像準備領域へ医用画像を移動する操作を操作者が行う場合について説明したが、観察画像準備領域へ医用画像を表示させるための操作はこれに限られるわけではない。例えば、主検査領域にサムネイル表示された医用画像の中からマウスやキーボードなどを用いていずれか一つの医用画像を選択する操作を操作者から受け付け、かかる操作を受け付けた場合に、選択された医用画像と同じ医用画像を観察準備領域へ表示させ、主検査領域において選択された医用画像は、例えば、選択不可の状態にして表示させておくようにしてもよい。
【0062】
なお、本実施例では、医用画像観察装置50に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるわけではなく、医用画像保管装置20や医用レポート作成支援システム30など、他の装置にも同様に適用することができる。また、例えば、同様の機能をWebアプリケーションで実現することによって、Webブラウザを備えた汎用パーソナルコンピュータ40にも同様に適用することができる。
【0063】
なお、本実施例において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る医用情報表示装置および医用情報表示プログラムは、医用画像の比較読影を行う場合に有用であり、特に、比較対象となる医用画像を簡便に選択可能とすることが要求される場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施例に係る医用画像診断システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本実施例に係る医用画像観察装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】画像表示領域表示部による画像表示領域の表示を説明するための説明図である。
【図4】読影対象画像表示制御部による読影対象画像の表示を説明するための説明図である。
【図5】比較対象画像表示制御部による比較対象が像の表示を説明するための説明図(1)である。
【図6】比較対象画像表示制御部による比較対象が像の表示を説明するための説明図(2)である。
【図7】比較対象画像表示制御部による比較対象が像の表示を説明するための説明図(3)である。
【図8】観察画像表示制御部による医用画像の拡大表示を説明するための説明図である。
【図9】本実施例に係る医用画像観察装置の処理手順を示すフローチャート(1)である。
【図10】本実施例に係る医用画像観察装置の処理手順を示すフローチャート(2)である。
【図11】本実施例に係る医用画像観察装置の処理手順を示すフローチャート(3)である。
【図12】本実施例に係る医用画像観察装置の処理手順を示すフローチャート(4)である。
【符号の説明】
【0066】
10 医用画像診断装置
20 医用画像保管装置
30 医用レポート作成支援システム
40 汎用パーソナルコンピュータ
50 医用画像観察装置
51 入力部
52 表示部
53 画像記憶部
54 操作受付部
55 画像表示領域表示部
56 読影対象画像表示制御部
57 比較対象画像表示制御部
58 観察画像表示制御部
59 レポート情報表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部に表示する表示手段と、
読影対象となる医用画像を前記主検査領域にサムネイル表示させる読影対象画像表示制御手段と、
前記主検査領域にサムネイル表示された医用画像を前記観察画像準備領域へ表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を前記表示部にサムネイル表示させる比較対象画像表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項2】
前記比較対象画像表示制御手段は、前記観察画像準備領域に少なくとも一つの医用画像が表示されている状態で、当該観察画像準備領域へ別の医用画像を表示させる操作を受け付けた場合に、前記別の医用画像の属性情報と先に表示されていた医用画像の属性情報との組み合わせに基づいて、前記比較対象画像を特定することを特徴とする請求項1に記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
操作者からの要求に応じて、前記観察画像準備領域にサムネイル表示されている医用画像を拡大表示させる観察画像表示制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記観察画像表示制御手段は、前記観察画像準備領域に表示されていた際の画像レイアウトを維持して前記医用画像を拡大表示させることを特徴とする請求項1、2または3に記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記観察画像準備領域へ医用画像を表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像をキー画像としているレポート情報を取得し、取得したレポート情報を前記表示部に表示させるレポート情報表示制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
医用画像の比較読影に用いられる医用情報表示プログラムであって、
読影対象となる医用画像をサムネイル表示するための主検査領域と、比較読影に用いる医用画像として選択された医用画像をサムネイル表示するための観察画像準備領域とを表示部に表示する画像領域表示手順と、
読影対象となる医用画像を前記主検査領域にサムネイル表示させる読影対象画像表示制御手順と、
前記主検査領域にサムネイル表示された医用画像を前記観察画像準備領域へ表示させる操作を受け付けた場合に、当該医用画像の属性情報に基づいて比較対象となる医用画像を特定し、特定した医用画像を前記表示部にサムネイル表示させる比較対象画像表示制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする医用情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−207682(P2009−207682A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53640(P2008−53640)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】