説明

医用画像データをセグメント化するための方法及び装置

【課題】対象物、特に心臓弁の非平坦表面の医用画像を自動的にセグメント化するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】対象物1の非平坦表面4の境界を定める表面境界2を検出する段階と、表面境界2内で広がるモデル表面5aを作成する段階と、モデル表面5aと対象物1の非平坦表面4との間の距離に関する情報を含む距離情報8によって、補正モデル表面5bが生成されるまでモデル表面5aを補正する段階と、補正モデル表面5bを描写する段階とを含む方法及び装置に関する。モデル表面5aの補正が、好ましくは、三次元又は四次元画像データセットを用い、対象物1の三次元ボリュームレンダリングをモデル表面5aに対して実質的に垂直に向けることによって実行され、これにより、モデル表面5aと対象物1の非平坦表面4との間の距離に関する情報を、補正モデル表面5bが生成されるまで評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項1及び11によれば、本発明は、対象物、特に心臓弁の非平坦表面の医用画像をセグメント化するための方法及び装置に関する。この方法に適したコンピュータプログラム製品が、請求項14で特徴付けられる。これらの方法及び装置は、特に、心臓の左心房を左心室から分離する心房の弁、詳細には僧帽弁を可視化するのに適している。医用画像には、異常を三次元(3D)で描写し又は心臓運動中には四次元(4D)で描写するために、僧帽弁の弁尖をセグメント化することは重要である。
【背景技術】
【0002】
最新技術では、そのような非平坦表面のセグメント化は手作業でしかできない。例えば、System Philips QLab(登録商標)では、ソフトウェアのユーザは、9〜12枚の平行な断面画像において僧帽弁の弁尖の輪郭を描かなければならないが、これらの弁尖の輪郭は、3D/4D超音波ボリュームデータで入手可能か又はそのようなデータから生成することができる。これらの手作業で描写された弁尖輪郭は、それぞれの心臓弁の三次元ビューにおいて三次元輪郭を描写するのに役立つ。
【0003】
ユーザによるそのような非平坦表面の手作業によるセグメント化は、厄介で且つ時間がかかる。更に、三次元画像データセット(例えば、超音波、CT(コンピュータ断層撮影)又はMR(磁気共鳴))から生成される可能性のある二次元断面像上の不正確な輪郭をユーザが検出する可能性を排除できず、従って手作業で検出された表面は、誤りを含む可能性がある。更に、四次元画像データセット(即ち、時系列に沿って取得された三次元画像データセット)には弁尖が2回現われる可能性がある。これは、取得する際の時間分解能が、速い弁尖の動きを捕らえるのに十分でない場合に起こる。そのようなデータセットが、スライスごとに処理され、即ち二次元画像に基づいて処理されるときは、空間コンテキストが失われ、弁尖の輪郭形成は一貫性のないものとなる。
【0004】
最後に、手作業のセグメント化は、それぞれのユーザに強く依存し、従って、データセットを処理したユーザにより、同じ三次元又は四次元画像データセットから異なる結果が得られる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、非平坦表面の医用画像のセグメント化を単純化し且つ自動化することであり、これにより、三次元又は四次元データセットについて、一貫性がある標準化されたセグメント化を達成することができ、セグメント化は、現実をできるかぎり厳密に近似する。本発明は、対象物が既に取得済みで三次元又は四次元画像データセットによって記録され、また画像を既知の三次元ボリュームレンダリングによって十分に可視化できるものと仮定する。
【0006】
本発明は、この目的を独立クレーム1及び11に含まれる特徴によって達成する。本発明の好ましい実施形態は、従属クレームで特徴付けられ請求される。本発明を実行するのに適したコンピュータプログラム製品は、請求項14で特徴付けられる。
【0007】
本発明は、対象物の非平坦表面が、三次元又は四次元医用画像技術によって取得され、従って三次元又は四次元画像データセットが利用可能であると仮定する。これは、CT画像データセット、MR画像データセット、又は超音波画像データセットでよい。例えば、本出願人によって開発されたソフトウェア「4D MV Assessment」は、三次元又は四次元画像データからボリュームレンダリングを実行するために利用でき、従って、心臓の僧帽弁の弁尖等の非平坦表面をその閉じた状態で良好に描写することができる。
【0008】
このための有用な方法は、例えばドイツ国特許出願DE 103 39 979号に記載されている。この方法では、三次元又は四次元データセットの特定部分を表示させることができるように多次元データセット内のポインタを操作することができる。例えば、ポインタを僧帽弁のオリフィスに対して垂直に位置合わせすることができ、これにより弁を疑似的に「上から」観察することができる。この方法によって、対象物の任意の部分、即ち検査する非平坦表面を本発明の方法で切り出し更に処理することができる。
【0009】
最初に、対象物の非平坦表面の境界を定める表面境界が検出される。その後で、この表面境界内で広がるようにモデル表面が形成され、このモデル表面は、表面境界の境界線を直線、即ち最短経路に沿って形成されることが好ましい。次に、このモデル表面は、距離情報によって補正され、距離情報は、モデル表面と対象物の非平坦表面との間の距離に関する情報を含み、それによりモデル表面から、対象物の非平坦表面をできるだけ正確に近似する補正モデル表面が生成される。次に、補正モデル表面を、既知のモデルで三次元又は四次元的に描写することができる。
【0010】
心臓弁の描写/可視化において、非平坦表面は、通常、少なくとも1個の第1の部分表面(第1の僧帽弁弁尖)と第2の部分表面(第2の僧帽弁弁尖)から成り、これらの部分表面は、それぞれ湾曲し、区分線(弁尖の閉鎖線)によって互いに分離されている。描写/可視化の前に、補正モデル表面をこの区分線に沿って少なくとも2個の部分表面に分割することができ、これにより各弁尖を個別に描写することができる。
【0011】
表面境界は、詳細には閉じた線であり、従ってモデル表面は非平坦表面の全体に亘って広がる。本発明の好ましい実施形態によれば、表面境界の検出は、三次元又は四次元画像データセットを用い、このデータセット内のランドマークを自動的に検出することによって行われる。そのようなランドマークは、非平坦表面を画定し、本発明により、連続した線に補間される。
【0012】
心臓の僧帽弁をセグメント化する際、僧帽弁の閉じた表面境界を構成する環状部を自動的に検出してもよい。これは、様々な方法で実現することができ、例えば、ある可能性のある方法によれば、環状部は、三次元ボリュームデータセットの表面レンダリングによって、例えば心臓の左心室上の表面の最大湾曲点を検出し、そのような点を連続した線によって繋ぐことによって検出され、これにより実質的に僧帽弁の環状部に対応する閉じた表面境界が生成される。別の可能性は、例えばWO2005/031655に記載されたポインタによって適切な切断面を検出し、切断面と直角な平面を選択して、この平面上の環状部をその環状部の境界線でのグレースケール値の差を検出することによって検出することにある。更に、環状部のまわりに僧帽弁と垂直に位置決めされた回転断面画像を選択してもよく、切断平面と環状部の交点を、回転断面画像(いわゆる、ランドマーク)上で選択することができる。最後に、環状部は、長手方向ビュー上で検出することができ、又は前述の方法の組み合わせによって検出することができる。
【0013】
次に、モデル表面は、この表面境界内に形成され、モデル表面は、必ずしも平坦でなくてもよい。しかしながら、モデル表面は、表面境界線上の点を、好ましくは最短経路に沿って繋ぐことによって形成される。従って、表面境界内で広げられるか又は引き伸ばされた「引き伸ばし表皮」又は「膜」が形成される。当然ながら、モデル表面は、数学的関数、詳細には二次、三次又は多次関数によって形成されるか定義されてもよい。
【0014】
モデル表面は、次に、距離情報(好ましくは距離情報の幾つかの項目)を使用して補正される。これを行うため、三次元又は四次元画像データセットは、対象物の三次元ボリュームレンダリングを実質的にモデル表面と垂直に位置合わせすることにより使用され、これにより、モデル表面と対象物の非平坦表面との間の距離(又は、幾つかの点における距離)に関する情報を、補正モデル表面が生成されるまで評価することができる。本発明の一実施形態によれば、距離情報の項目はベクトルに沿っており、このベクトルは、実質的にモデル表面に対して垂直に向けられ、これは、非平坦表面の三次元画像データセットのボリュームレンダリングを評価/解釈することにより行われる。
【0015】
例えば、DE103 39 979 A1に記載されたポインタが実質的にモデル表面と垂直に向けられた場合、ボリュームレンダラの深度マップは、モデル表面と非平坦表面(即ち、例えば心臓の弁尖)間の距離情報を示す。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、距離情報によるモデル表面の補正は、補正モデル表面が得られるまで繰り返し実行される。また、モデル表面に対して傾斜した鋭角のベクトルに沿って少なくとも部分的に距離情報を得ることができ、対象物の三次元ボリュームレンダリングが、傾斜ベクトルと実質的に平行に向けられて、モデル表面に対して逆テーパ又はアンダーカットとなる表面と、その表面と実質的に垂直に位置合わせされたベクトルとが検出される。その理由は、そのような表面は、上記のような垂直なベクトルによって繰り返し近似されないからである。傾斜ベクトルによってそのような逆テーパ表面を繰り返し近似することができる。即ち、垂直ベクトルによって得られる近似から始めて、そのような傾斜されたボリュームレンダリングの深度マップが評価されるまで、補正されたモデル表面を傾斜ベクトルによって更に近似することによって行うことができる。
【0017】
更に他の好ましい実施形態によれば、補正モデル表面は、描写/可視化前に、少なくとも2個の部分表面に分割され、この分割は、湾曲が最大となる領域、モデル表面に対する距離が最大となる領域、及び/又は類似又は本質的に直角な表面法線に沿って行われる。従って、非平坦表面の個別の部分表面間の区分線は、自動的に検出され、これにより次にこれらの個別の部分表面を個々に可視化/描写することができる。例えば、分離され補正されたモデル表面の描写は、例えばワイヤフレームモデルによって実行することができ、これらの表面の時間の変化を連続的に描写することができる。これにより、心拍動中の例えば心臓の僧帽弁の動きを示す、近似された部分モデル表面の描写を得ることができる。
【0018】
本発明のモデル表面の表面境界は、2本以上の境界線の間に広がっていてもよい。これは、例えば外側の閉じた表面境界の中に別の閉じた表面境界があり、これにより内側に「穴」ができる場合である。変形された又は補正されたモデル表面もこの「穴」を含むが、これにより対象物の実際の輪郭に適応される。
【0019】
本発明は、また、対象物(例えば、心臓弁)の非平坦表面の医用画像をセグメント化するための装置であって、対象物の非平坦表面の境界を決める表面境界を検出し決定する検出手段と、表面境界内で広がるモデル表面を生成するためのモデリング手段であって、モデル表面と対象物の非平坦表面との間の距離に関する情報を含む距離情報によって、補正モデル表面が生成されるまでモデル表面を補正するモデリング手段と、補正されたモデル表面を可視化するための可視化手段とを有する装置に関する。
【0020】
本発明による装置は、また、モデル表面に対して実質的に垂直な対象物の三次元ボリュームレンダリングの向きを決めるための方向決め又は位置合わせ手段を含んでもよく、これにより、モデル表面と対象物の非平坦表面との間の距離に関する情報を、補正モデル表面が生成されるまで評価することができる。そのような方向決め手段は、またモデル表面に対して鋭角を成している対象物の三次元ボリュームレンダリングを位置合わせすることにより、非平坦表面の逆テーパ又はアンダーカットを近似することができる。本発明に適切なそのような方向決め手段は、DE103 39 979 A1に記載された手段であることが好ましく、この手段は、三次元ボリュームレンダリングの関心のある断面(section of interest)を特定の観察者方向から描写し、更に、対応する距離情報(即ち、レンダラの深度マップ)をその断面と対応させるために、関心のある断面をモデル表面に対して位置合わせする。
【0021】
本発明は、更に、コンピュータ可読媒体に記録されたプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品に関し、このプログラムコードは、プログラムコードがコンピュータ上で実行されたときに、請求項1〜10のいずれか1項による方法の実行を実現する。
【0022】
特に、心臓内の弁尖をセグメント化するための本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して更に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】検査される対象物1の概略三次元図であり、非平坦表面が概略的に示されている。
【図2】図1の概略図の断面Sを示す図である。
【図3a】モデル表面の概略平面図である。
【図3b】補正モデル表面の概略平面図である。
【図4】僧帽弁逸脱の概略三次元図である。
【図5】アンダーカットされた非平坦表面を有する図4の僧帽弁逸脱の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例えば左心室の三次元概略側面図を示し、僧帽弁が概略的に示れており、大動脈弁及び更なる詳細は示されていない。僧帽弁は、心臓内の2個の心房心室弁の内の1個であり、実質的に2個の弁尖からなり、これらの弁尖は、乳頭筋6に接続され、それにより腱フィラメント7によって心室に接続されている。僧帽弁尖が左心室内に下方に膨らんでいるため、左心室が収縮するとき、左心房内への血液の逆流が防止される。
【0025】
医用画像診断法では、この僧帽弁の機能を検査できることは極めて重要である。僧帽弁の最も重要な二疾病(即ち、僧帽弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全)は、初期に認識されれば治療することができる。この目的のために、心臓のこの領域は、通常、経食道超音波心臓診断法によって画像化され、僧帽弁の三次元又は四次元画像データセットが取得される。四次元超音波画像の取得においては、僧帽弁の複数の断面像が、例えば僧帽弁閉鎖不全を示す場合があり、即ち、そのような四次元超音波画像、即ち、動いている三次元超音波画像によって左心房への血液漏洩流を示すことができる。
【0026】
しかしながら、これまでは、三次元的に互いに分割された僧帽弁尖を自動的に分離し、それらの動きを個別に、且つそれらが拡張している全期間にわたって調べることができなかったが、この様な検査は、漏洩流又は奇形の場所を正確に特定するのに特に重要になる。
【0027】
本発明は、例えば経食道超音波心臓診断法によって対象物1(例えば、左心室)を画像化することによって、僧帽弁の2個の弁尖のそのような自動セグメント化を可能にする。そのような三次元又は四次元画像データセットから、図1に示されたように僧帽弁の環状部を表わす表面境界2を抽出することができる。それにより、僧帽弁は、区分線3によって分けられた第1の湾曲部分表面4aと第2の湾曲部分表面4bから成る。区分線3は、閉鎖線、即ち左心房に対して左心室を密閉する領域を表わす。
【0028】
図2は、対象物1の上側部分における図1の概略的三次元図の断面の断面図Sを示し、断面は、表面境界2と区分線3の間に2個の湾曲部分表面4a及び4bを有する。三次元ボリュームレンダリングに基づいて、図1に示された表面境界2は、例えば対象物1の上側部分の特に高い曲率を有するランドマーク又は点を検出し、これらの点を補間によって繋げて連続境界線を形成することによって自動的に検出される。その後で、モデル表面5aが、この表面境界2内に形成される。次に、モデル表面5aは、距離情報8によって補正され、この距離情報8は、対象物1のモデル表面5aと非平坦表面4との距離に関する情報を含む。例えば、モデル表面5aに対して実質的に垂直な深度ベクトルVに沿ったモデル表面5aの繰り返し近似によって、モデル表面5aを非平坦部分表面4a及び4bに対して調整することができる。
【0029】
モデル表面5aは、実際には、最終的に非平坦部分表面4a及び4bの幾何学形状に対応するように変形される。これを行うために、ボリュームレンダリングは、深度ベクトルVがモデル表面5aに対して実質的に垂直に向けられるように位置合わせされる。この場合、ボリュームレンダラの深度マップを使用して、モデル表面5aに対する非平坦表面、即ち湾曲表面4a、4bの位置を自動的に提供する距離情報8を提供することができ、これにより、モデル表面5aは、補正モデル表面5bに向かって近似される。
【0030】
図3aは、部分表面4a及び4bの上の表面境界2と区分線3との間に形成されたモデル表面5aを示す。図3bは、本発明による方法の最後で近似される補正モデル表面5bを示し、ここで、補正モデル表面5は、湾曲部分表面4a及び4bに沿って変形されている。
【0031】
図4は、僧帽弁疾患(即ち、僧帽弁逸脱)を示し、この疾患では、第1の部分表面4aの一部分(即ち、弁尖の内の1個)が左心房内に膨らんだときに実質的に3個の部分表面が形成され、第3の湾曲部分表面4cが生じる。この第3の湾曲部分表面4cは、第2の区分線9によって第1の湾曲部分表面4aから区分されている。
【0032】
図5は、図4の僧帽弁逸脱の側面図を概略的に示す。この図において、モデル表面5aは、やはり深度ベクトルVの上側端に概略的に示されているだけである。実際には、モデル表面5aは、表面境界2の間に位置決めされる。そのようなモデル表面5aが、実質的に垂直な深度ベクトルVに沿ってのみ補正された場合は、図5に概略的に示されたように湾曲部分表面にアンダーカット又は逆テーパがある場合に誤りが生じる。このため、本発明は、モデル表面5aに対して鋭角の傾斜ベクトルWに沿ってモデル表面5aを補正することを提案し、対象物1の三次元ボリュームレンダリングは、これらの傾斜ベクトルWと実質的に平行に向けられる。従って、モデル表面5aは、更なる繰り返し適応段階で鋭角傾斜ベクトルWに基づいてアンダーカットがあるかどうかを分析するためにまず実質的に垂直な深度ベクトルVによって近似されなければならず、そのアンダーカット内にモデル表面5aは更に補正される。
【0033】
補正モデル表面5bが生成されたらすぐに、例えば標準的な分離方法(例えば、シルエット検出)を使用して個々の部分表面4a,4b,4cを分離することができる。このために、深度勾配及び/又は表面法線の類似性が分析される。或いは、補正モデル表面5b上の最大湾曲部分が検出され適切にマークされる。その様な点を繋ぐことによって、区分線3及び場合によっては区分線9が生成され、そうして得られた部分表面を別々に描写することができる。例えば、表面境界2の一部と区分線3との間に広がる第2の湾曲部分表面4bは、心臓のワイヤフレームモデルで描写され、四次元的に、即ち動いている状態で示すことができる。二次元又は三次元トラッキングによって、そのようにセグメント化された構造(例えば、ワイヤフレームの点)を全心臓拍動サイクルに亘ってトレースすることができ、それにより個別の湾曲部分表面、即ち、例えば、心臓僧帽弁の弁尖の動的描写が得られる。
【0034】
一般に、画像ベースのトラッキングでは、トラッキングされる個々の点の適正な割り当てを常に確実に行えるとは限らないので、ワイヤフレーム点のトラッキングが有効である。
【0035】
更に、例えば図2に示された乳頭筋6の頂点又は腱フィラメント7の端のような追加のランドマークLを検出することができ、これにより、そうして得られたランドマークLは、ワイヤフレームモデルの部分表面と一緒に動的に描写されてもよい。それにより、ダイナミックに動いている弁装置全体を三次元で描写することができる。
【0036】
本発明によって、これまで必要とされた厄介なユーザの介入が不要になり、またユーザの介入と関連した誤りの原因もなくなる。データの品質が不十分なために完全に自動化されたセグメント化が不可能な場合でも、本発明に従ってデータを処理することによって少なくともユーザの介入が減少する。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(1)、特に心臓弁の非平坦表面(4)の医用画像をセグメント化する方法であって、
1.対象物(1)の非平坦表面(4)の境界を定める表面境界(2)を検出する段階と、
2.表面境界(2)内で広がるモデル表面(5a)を作成する段階と、
3.モデル表面(5a)と対象物(1)の非平坦表面(4)との間の距離に関する情報を含む距離情報(8)によって、補正モデル表面(5b)が生成されるまでモデル表面(5a)を補正する段階と、
4.補正モデル表面(5b)を描写する段階とを含む方法。
【請求項2】
非平坦表面(4)は、それぞれ湾曲し且つ区分線(3)によって互いに分離された少なくとも1個の第1の部分表面(4a)と1個の第2の部分表面(4b)とから成り、補正モデル表面(5b)は、描写前に区分線(3)に沿って少なくとも2個の部分表面(4a,4b)に分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面境界(2)が閉じた線であり、これによりモデル表面(5a)が、非平坦表面(4)全体にわたって広がる、請求項1又は2の方法。
【請求項4】
表面境界(2)の検出は、三次元又は四次元画像データセットを用い、非平坦表面(4)の境界を定めるランドマークを検出し、これらのランドマークを補間して連続した線を形成することによって行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
距離情報(8)によるモデル表面(5a)の補正が、三次元又は四次元画像データセットを用いて、対象物(1)の三次元ボリュームレンダリングをモデル表面(5a)に対して実質的に垂直に向けることによって実行され、これにより、モデル表面(5a)と対象物(1)の非平坦表面(4)との間の距離に関する情報を、補正モデル表面(5b)が生成されるまで評価することができる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
距離情報(8)は、モデル表面(5a)に実質的に垂直であるベクトル(V)に沿って得られるものであり、非平坦表面(4)の三次元画像データセットのボリュームレンダリングを評価することによって得られる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
距離情報(8)によってモデル表面(5a)を補正する段階が、補正モデル表面(5b)が生成されるまで繰り返し実行される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
距離情報V(8)は、モデル表面(5a)に対して鋭角にされた傾斜ベクトル(W)に沿って少なくとも部分的に得られ、対象物(1)の三次元ボリュームレンダリングが、傾斜ベクトルに対して実質的に平行に向けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
補正モデル表面(5b)が、描写前に少なくとも2個の部分表面(4a,4b)に分割され、この分割は、湾曲が最大となる領域、モデル表面(5a)までの距離が最大となる領域及び/又は類似の又は本質的に直角な表面法線に沿って実行される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
分離された補正モデル表面(5b)の描写が、ワイヤフレームモデルによって実行され、またこれらの表面の時間の変化が連続的に描写される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
対象物(1)、特に心臓弁の非平坦表面(4)の医用画像をセグメント化するための装置であって、
対象物(1)の非平坦表面(4)の境界を定める表面境界(2)を検出し決定するための検出手段と、
表面境界(2)内で広がるモデル表面(5a)を生成するためのモデリング手段であって、補正モデル表面(5b)が生成されるまで、モデル表面(5a)と対象物(1)の非平坦表面(4)との間の距離に関する情報を含む距離情報(8)によってモデル表面(5a)を補正するモデリング手段と、
補正モデル表面を描写するための描写手段(5b)とを有する装置。
【請求項12】
対象物(1)の三次元ボリュームレンダリングを前記モデル表面(5a)に対して実質的に垂直に向けるための方向決め手段を含み、これにより、モデル表面(5a)と対象物(1)の非平坦表面(4)との間の距離に関する情報を、補正モデル表面(5b)が生成されるまで評価することができる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
方向決め手段が、また、対象物(1)の三次元ボリュームレンダリングをモデル表面(5a)に対して鋭角に向ける、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
コンピュータ可読媒体上に記憶されたプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムコードがコンピュータ上で実行されたときにプログラムコードが請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法を実行するコンピュータプログラム製品。























【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−217780(P2012−217780A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−89860(P2011−89860)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(506065091)トムテック イマジング システムズ ゲゼルシャフト ミットべシュレンクテル ハフツンク (8)
【Fターム(参考)】