説明

医用画像中の注目対象を測定するためのシステムおよび方法

【課題】医用画像中の注目対象の属性を測定および表示するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】マンモグラフィ画像上の乳房領域中の病変または病変クラスタなどの注目対象が特定される。次いで、病変の面積、病変クラスタの幅および高さ、クラスタ中の病変の個数、または、1つまたは複数の病変から乳頭、皮膚ライン、もしくは胸壁などの解剖学的特徴部までの距離など、病変の少なくとも1つの属性が自動的に測定される。次いで、これらの測定値が、例えばマンモグラフィ画像上における測定値の表示によって、ユーザに表示される。さらには、乳房領域の標準区域、四分円区域、およびクロック区域などの解剖学的区域が決定され、マンモグラフィ画像またはマンモグラフィ図上に表示されて、これらの区域に対応するように病変の位置を表示し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下において説明されるシステムおよび方法は、医用画像中の注目対象の測定および表示に関し、より詳細には、マンモグラフィ画像中の病変の属性の自動測定および表示に関する。
【背景技術】
【0002】
医用撮像は、疾病もしくは他の生理学的異常の診断または検査などの医療目的のために人体の画像を生成する分野である。磁気共鳴画像法(MRI)、放射線撮像法(X線)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波(US)、その他を含む様々なタイプの画像モダリティにより、医用画像は生成される。医用撮像においては、通常は、頭、心臓、または胸部などの人体の部位に関して注目対象が選択される。
【0003】
医用撮像の1種に、ヒトの乳房の医用画像を検査するマンモグラフィがある。マンモグラフィは、微小石灰化または特異な塊を表す病巣などの異常がないか乳房組織を検査することにより乳がんを検知するために利用される。
【0004】
デジタル・マンモグラフィ画像を読み取るプロセスにおいては、放射線科医などのユーザが、位置、サイズ、個数、および他の解剖学的特徴部からの距離などの、病変の属性を測定することがしばしば必要となる。次いで、これらの測定値は、放射線科医の所見が記される報告書にまとめられる。しかし、これらの属性は、放射線科医により手作業によって測定されるため、ワークフローが遅滞し、放射線科医の作業負荷が増加する原因になっている。
【0005】
さらに、放射線科医は、図1に図示される乳房図10に例示するような乳房領域の標準区域、すなわち乳輪下区域12、前方区域14、中間区域16、および後方区域18ごとに病変の位置を特定することが必要な場合がある。図1は、左乳房および右乳房を図示するが、この図では画像の右側の乳房のみに符号を付している。同様の符号が、左側の乳房にも適用される。図1は、頭尾方向(CC)に見た場合の乳房図を示し、その図では、乳房領域は、さらに、外側区域20、中央区域22、および内側区域24に区分することができる。図2に図示される乳房図26に例示するような内外側方向(ML)または内外斜位方向(MLO)に見た場合の乳房領域の図においては、病変を、さらに、上位区域28または下位区域30に分類することができる。さらに、放射線科医は、CC図画像およびML/MLO図画像の両方が使用可能である場合には、左乳房32aおよび右乳房32bからなる図3の乳房図32に例示するように、病変の四分円およびクロック位置(時計の文字盤に則した位置)を決定することを求めることができる。四分円/クロック位置図において、四分円位置は上外方部34、上内方部36、下外方部38、および下内方部40であり、クロック位置42は、従来のアナログ時計面に対応し、1から12までの位置である。
【0006】
図示したどの病変位置決め方式についても、放射線科医は、マンモグラフィ画像の乳房領域上の区域、四分円位置、およびクロック位置を手作業で決定しなければならず、さらに、いずれの区域、四分円位置、およびクロック位置に病変が含まれるかを手作業で決定しなければならない。病変が触診可能である場合には、病変の位置は、乳房上で直接的に決定することが可能である。そうでない場合には、放射線科医は、乳頭の位置を基準として、CC図画像中において病変の位置を確認することにより病変が乳房中の内方区域または外方区域のいずれに位置するかを決定し、ML/MLO図画像中において病変の位置を確認することにより病変が上方区域または下方区域のいずれに位置するかを決定することが可能である。次いで、上方/下方位置および外方/内方位置を組み合わせることにより四分円を決定することができる。四分円の決定後には、放射線科医は、病変が乳房の最上(最下)部または最内(最外)部のいずれにより近いかを確認することにより、クロック位置をさらに推定することができる。このプロセスは多大な時間を要する。さらに、放射線科医は経験により2つの投影画像から位置情報を読み取るため、その結果は人により大きく異なる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、医用画像中の病変または他の注目対象の属性を効果的かつ効率的に測定し表示するシステムおよび方法を開発する必要がいぜんとして存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の種々の実施形態は、医用画像中の注目対象の属性を測定および表示するためのシステムおよび方法に関する。マンモグラフィ画像上の乳房領域中の病変または病変クラスタなどの注目対象が、特定される。次いで、病変の面積、病変クラスタの幅および高さ、クラスタ中の病変の個数、または、1つまたは複数の病変から乳頭、皮膚ライン、もしくは胸壁などの解剖学的特徴部までの距離など、病変の少なくとも1つの属性が、自動的に測定される。次いで、これらの測定値が、例えばマンモグラフィ画像上への測定値のマッピングによって、ユーザに表示される。さらには、乳房領域の標準区域、四分円区域、およびクロック区域などの解剖学的区域が、決定され、マンモグラフィ画像上にマッピングされて、これらの区域に対応するように病変の位置を表示し得る。測定値および解剖学的区域情報は、後に見るためにプリントアウトすることが可能なマンモグラフィ読取報告書用のワード・プロセッシング・テンプレートなどのドキュメント・ファイル中に記録し、入れておくことも可能である。
【0009】
本発明の一実施形態は、医用画像中の注目対象を測定するための方法に関し、医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定することと、注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定することと、少なくとも1つの属性の測定値を表示することとを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、測定値は報告書上に表示される。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、測定値は医用画像上に表示される。
【0012】
本発明の別の実施形態においては、測定値は解剖図上に表示される。
【0013】
本発明の別の実施形態においては、注目対象はマンモグラフィ画像中の乳房領域中の病変である。
【0014】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は病変から少なくとも1つの解剖学的特徴部までの距離を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態においては、この方法は、乳房領域の標準区域を決定することと、標準区域図上に病変の位置を表示することをさらに含む。
【0016】
本発明の別の実施形態においては、この方法は、乳房領域の四分円区域およびクロック区域を決定することと、四分円区域およびクロック区域図上に病変の位置を表示することをさらに含む。
【0017】
本発明の別の実施形態においては、この方法は、乳房領域の標準区域を決定することと、マンモグラフィ画像上に乳房領域の標準区域を表示して、マンモグラフィ画像上の標準区域に対する病変の位置を表示することをさらに含む。
【0018】
本発明の別の実施形態においては、測定値はドキュメント・ファイル中に記録される。
【0019】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は少なくとも1つの病変の面積を含む。
【0020】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は病変クラスタの幅および高さを含む。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は病変クラスタ中の病変の個数を含む。
【0022】
本発明の別の実施形態においては、標準区域に対する病変の位置はドキュメント・ファイルに記録される。
【0023】
本発明の別の実施形態においては、この方法は、乳房領域の四分円区域およびクロック区域を決定することと、マンモグラフィ画像上に乳房領域の四分円区域およびクロック区域を表示して、マンモグラフィ画像上の四分円区域およびクロック区域に対して病変の位置を表示することをさらに含む。
【0024】
本発明の別の実施形態においては、四分円区域およびクロック区域に対する病変の位置は、ドキュメント・ファイルに記録される。
【0025】
さらに、本発明の実施形態は、医用画像中の注目対象を測定するシステムに関し、医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定する特定ユニットと、注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定する測定ユニットとを備える。
【0026】
本発明の別の実施形態においては、このシステムは、少なくとも1つの属性の測定値を表示する表示ユニットをさらに備える。
【0027】
本発明の別の実施形態においては、このシステムは、少なくとも1つの属性の測定値をドキュメント・ファイルに記録する記録ユニットをさらに備える。
【0028】
本発明の別の実施形態においては、測定値は医用画像上に表示される。
【0029】
本発明の別の実施形態においては、測定値は解剖図上に表示される。
【0030】
本発明の別の実施形態においては、注目対象はマンモグラフィ画像中の乳房領域中の病変である。
【0031】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は少なくとも1つの病変の面積を含む。
【0032】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は病変クラスタの幅および高さを含む。
【0033】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は病変クラスタ中の病変の個数を含む。
【0034】
本発明の別の実施形態においては、少なくとも1つの属性は、病変領域から少なくとも1つの解剖学的特徴部までの距離を含む。
【0035】
本発明の別の実施形態においては、測定ユニットは、さらに、乳房領域の標準区域を決定し、マッピング・ユニットは、マンモグラフィ画像上に乳房領域の標準区域をマッピングして、標準区域に対するマンモグラフィ画像上の病変の位置を表示する。
【0036】
本発明の別の実施形態においては、測定ユニットは標準区域図上に病変の位置を表示する。
【0037】
本発明の別の実施形態においては、標準区域に対する病変の位置はドキュメント・ファイルに記録される。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、測定ユニットは乳房領域の四分円区域およびクロック区域をさらに決定し、マッピング・ユニットは、マンモグラフィ画像上に乳房領域の四分円区域およびクロック区域をマッピングして、四分円区域およびクロック区域に対するマンモグラフィ画像上の病変の位置を表示する。
【0039】
本発明の別の実施形態においては、測定ユニットは四分円区域およびクロック区域図上に病変の位置を表示する。
【0040】
本発明の別の実施形態においては、四分円区域およびクロック区域に対する病変の位置は、ドキュメント・ファイルに記録される。
【0041】
コンピュータ可読媒体上に具現化される、医用画像中の注目対象を測定するためのコンピュータ・プログラム製品であって、このコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータによって実行されると、医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定することと、注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定することと、少なくとも1つの属性の測定値を表示または記録することとを含む方法を実施する。
【0042】
本発明に関係するさらなる実施形態が、以下の説明において部分的に述べられ、この説明から一部は明らかになるか、または、本発明の実施により理解され得る。本発明の実施形態は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲において具体的に示される、要素、及び種々の要素と態様の組み合わせによって、実現し、達成することができる。
【0043】
先述のおよび以下の説明は共に、例示および説明のためのものに過ぎず、いかなる形においても特許請求される本発明またはその用途を限定することを意図されないことを理解されたい。
【0044】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の種々の実施形態を例示し、詳細な説明と共に本発明の技術の原理を説明し図示する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】当技術において周知の、頭尾方向(CC)図における区域とともに乳房領域の標準区域を示す、乳房区域分類方式の図である。
【図2】当技術において周知の、内外側方向(ML)および内外斜位方向(MLO)図における乳房領域の区域を示す、乳房区域分類方式の図である。
【図3】当技術において周知の、マンモグラフィ画像中の乳房領域に関する四分円位置およびクロック位置分類方式の図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、病変と、皮膚ライン、乳頭、及び胸壁のような複数の解剖学的特徴部との間の測定距離を表示するマンモグラフィ画像の図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る、病変の長半径および短半径の測定値を表示するマンモグラフィ画像の図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る、病変クラスタ中の病変の個数の計算値、ならびに病変クラスタの幅および高さの測定値を表示するマンモグラフィ画像の図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、乳房領域の頭尾方向図において病変の位置測定値を表示するマンモグラフィ画像の図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る、乳房領域の内外側方向図において病変の位置測定値を表示するマンモグラフィ画像の図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る、マンモグラフィ画像中での病変の位置がマッピングされた、マンモグラフィ画像中の乳房領域についての四分円位置およびクロック位置分類方式の図である。
【図10】左乳房および右乳房のマンモグラフィ画像の取得のためにX線源および画像プレートが配置される角度を示す、マンモグラフィ画像デバイスの図である。
【図11A】本発明の一実施形態に係る、医用画像中の注目対象の属性を測定し表示する方法を示す図である。
【図11B】本発明の一実施形態に係る、医用画像中の注目対象の属性を測定し表示する方法を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る、医用画像中の注目対象の属性を測定し表示または記録するシステムを示す図である。
【図13】本発明のシステムを実装し得るコンピュータ・プラットフォームの例示する一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中では同一の機能要素には同じ符号を付けている。添付の図面では、例示として、本発明の原理に合った特定の実施形態および実装形態を示すが、実施形態はこれに限定されない。これらの実装形態は、当業者にとって本発明の実施が可能となるように十分に詳しく説明されるが、当然ながら、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の実装形態で実現することも可能であり、種々の要素の構造的変更および/または置き換えが可能である。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。さらに、説明される本発明の種々の実施形態は、汎用コンピュータ上において実行されるソフトウェアの形態、専用ハードウェアの形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの組合せの形態で実現することもできる。「少なくとも1つの」などの表現が列挙される要素に前置きされる場合には、これは、列挙される要素全体を修飾するものであり、列挙される各要素を修飾するものではない。
【0047】
本発明の種々の実施形態は、医用画像中の注目対象の属性を測定および表示するためのシステムおよび方法に関する。マンモグラフィ画像上の乳房領域中の病変などの注目対象が、特定される。次いで、病変の面積、病変クラスタの幅および高さ、クラスタ中の病変の個数、または、1つまたは複数の病変と、乳頭、皮膚ライン、もしくは胸壁などの解剖学的特徴部との距離などのような病変の属性の少なくとも1つが、自動的に測定される。次いで、これらの測定値が、例えばマンモグラフィ画像上へのマッピングによって、ユーザに表示される。さらに、乳房領域の標準区域、四分円区域、およびクロック区域などの解剖学的区域が決定され、マンモグラフィ画像上にマッピングされて、これらの区域に対応するように病変の位置を表示することもできる。
【0048】
病変の属性の測定値を自動的に計算することにより、手作業による測定または手作業による報告書の作成を要することなく、それらの測定値を伴う報告書をユーザに対して表示することが可能になる。さらに、これらの計算値は、マンモグラフィ画像自体の上にマッピングすることが可能であり、それにより、ユーザは、乳房領域の病変および他の解剖学的特徴部に対応させて、これらの計算値をより効果的に見ることが可能となる。
【0049】
したがって、医用画像を見るユーザ(例えば放射線科医)は、潜在的な生理学的異常、ならびにそれらの異常のサイズおよび乳房領域中における相対的位置などの異常の属性を、よりはっきりと視認し、より正確に特定することが可能となる。これらの属性の計算は、その後のその計算値の表示と同様に自動的に遂行されるので、放射線科医は大幅な時間を節減することが出来る。
【0050】
本発明のシステムおよび方法は、磁気共鳴画像法(MRI)、放射線撮像法(X線)、コンピュータ断層撮影法(CT)、および超音波(US)などを含む(しかしそれらに限定されない)、多くのタイプの医用撮像に対して適用可能である。
【0051】
以下の例示的な実施形態はマンモグラフィ画像に関するが、本明細書において説明される方法およびシステムは、ユーザに関連する医用画像との比較を求められることのある、身体のいかなる部位のいかなる医用画像に対しても適用可能であることが、当業者には理解されよう。いかなるセットの医用画像についても、本発明のシステムおよび方法により、任意の注目対象についての属性の測定、およびユーザに対するそれらの測定値の表示が可能となる。
【0052】
図4は、皮膚ライン104、乳頭106、および胸壁108などの解剖学的特徴部を含む乳房領域102に関するマンモグラフィ画像100を示す。病変110が乳房領域102中に示される。本発明の一実施形態においては、病変110が注目対象として特定され、その後、病変の属性が測定される。この実施形態においては、これらの属性には、病変110と皮膚ライン104との距離112、病変110と乳頭106との距離116、および病変110と胸壁108との距離120の測定が含まれる。これらの距離を計算するために、初めに、病変110の座標が規定される。コンピュータ入力デバイスを介してユーザにより病変の座標を与えてもよい。例えば、ユーザは、マウスを使用して、画像表示上の病変の上でクリックすることが可能である。または、病変の座標は、参照により全体としてその内容が組み込まれる「Single and multiscale detection of masses in digital mammograms」(te Brake GM,Karssemeijer N.IEEE Trans Med Imaging.1999 July;18(7):628〜639)に記載される方法などのようなコンピュータ支援検出(CAD)方法を利用して見出すことも可能である。皮膚ライン104(乳房境界)および乳頭106などの解剖学的特徴部の位置を決定するために、乳房境界および乳頭検出アルゴリズムを使用してもよい。乳房境界および乳頭位置検出アルゴリズムの1つの例は、参照により全体として本明細書に組み込まれる「Automatic detection of the breast border and nipple position on digital mammograms using genetic algorithm for asymmetry approach to detection of microcalcifications」(Computer Methods and Programs in Biomedicine、Volume 87、Issue 1(July 2007)、Pages 12〜20)に開示されている。一実施形態においては、病変が一貫しない形状(inconsistent shape)を有する場合があるため、病変の幾何学的中心が病変から他の解剖学的特徴部までの距離を計算するために使用される。別の実施形態においては、塊の中心を測定点として使用することも可能であり、または、ユーザがコンピュータ入力デバイスを介して測定点を与えることも可能である。距離112(26ミリメートル)、距離116(48ミリメートル)、および距離120(50ミリメートル)が算出されると、これらの距離はマンモグラフィ画像上に表示され、距離線で示される。測定を行うために用いられる皮膚ラインまたは胸壁上の点は、病変上の測定点に対して最短距離となる点である。乳頭検出アルゴリズムにより、乳頭の位置を示唆するための座標が与えられる。この座標は、測定点として使用される。
【0053】
胸筋ラインまたは乳房端部点などの他の解剖学的標識点までの距離を測定することも可能である。他の実施形態においては、ユーザが任意の関心点を規定することができ、病変からこの任意の関心点までの距離を自動的に計算することができる。
【0054】
図5は、病変110のサイズを測定することが可能な本発明の別の実施形態を示す。初めに、病変110の境界130が、例えば、参照によりその全体として本明細書に内容が組み込まれる「A new 2D segmentation method based on dynamic programming applied to computer aided detection in mammography」(Med Phys、2004 May;31(5):958〜971)において開示されているような病変区分アルゴリズムなどによって、決定される。境界130が決定されると、病変の少なくとも1つの半径が、計算され、表示される。この半径は、病変の幾何学的中心を通る病変110の内側の任意の線分でよい。図5に図示される実施形態においては、小半径132および大半径134が測定され、これにより、ユーザは病変110のサイズに関する情報を得る。次いで、小半径132(13.6ミリメートル)および大半径134(25.8ミリメートル)が、対応する距離線と共に、マンモグラフィ画像100上に表示される。大半径および小半径は、あらゆる半径を計算し、最大および最小を見出すことによって、決定することができる。
【0055】
別の実施形態(図示せず)においては、半径の測定値が決定されると、当技術分野で周知の、本明細書では詳細には説明されない円の面積を計算する等式を用いて、境界130の内側の病変110の面積を大まかに測定することが可能である。さらに、マンモグラフィ解析において医学的に重要な測定値となることもあるので、病変を内部に収めることができる最小の円の半径または面積を決定することも可能である。測定可能な他の測定値には、境界から病変の中心までの最長距離または最短距離が含まれる。
【0056】
図6は本発明の別の実施形態を示し、この実施形態では病変クラスタ140のサイズおよびクラスタ140中の病変の個数を測定することが可能である。クラスタ140の高さ142(6.9ミリメートル)および幅144(11.0ミリメートル)が測定され、マンモグラフィ画像100上に表示される。別の実施形態においては、クラスタ内の病変110を個別に特定し、計数することが可能であり、病変の総数146が、高さおよび幅の測定値と共に表示される。他の実施形態においては、塊もしくは石灰化クラスタの個数、または総異常症候の数を計算することも可能であり、異常症候の数およびタイプの結果を表示して異常症候の数およびタイプに関する統計値を明確に示すことが可能である。石灰化は、参考文献「Automatic detection of calcification in mammogram」(Hojjatoleslami,S.A.Kittler,J.Image Processing and its Applications、1995、Fifth International Conference on、4〜6 July 1995、P 139〜143)、および「Automatic computer detection of clustered calcifications in digital mammograms」(D H Daviesら、1990 Phys.Med、Biol、35 1111〜1118)(両参考文献の内容は参照により全体として組み込まれる)中のアルゴリズムを使用して、自動的に検出することが可能である。
【0057】
本発明の別の実施形態においては、図7のマンモグラフィ画像の頭尾方向(CC)図に示すように、乳房領域の解剖学的区域を単位として(解剖学的区域によって)病変の位置を決定することが可能である。マンモグラフィ画像100は、リング148によって特定され印付けされた病変110を含む。乳房領域の標準区域は、図1で先に示したように、乳輪下12、前方14、中間16、および後方18であり、マンモグラフィ画像100の右側に図150中で再現される。乳房領域102は、標準区域12、14、16、および18に分割され、その後、病変を印すリング148が、適切な区域内に含まれるように分類される。図7の実施形態においては、リング148は中間区域16内に含まれる。乳房領域102のCC図においては、病変は、外側区域20、中央区域22、または内側区域24内にあると決定することができる。図7の実施形態においては、病変を特定するリング148は、外側区域20内に含まれるものとして分類される。図7の実施形態においては、病変が属する区域をより明確に示すために、リング148により示される病変110の位置を乳房図150上にマッピングしている。しかし、別の実施形態においては、乳房図150をマンモグラフィ画像100の上にマッピングしてユーザに対して表示して、マンモグラフィ画像100中でこれらの区域が特定の乳房領域102にどのように当てはまるかを示すようにすることが可能である。病変110が2つの区域の間に含まれる場合には、システムは、病変が例えば中間区域と後方区域との間の境界上に位置することを示す。
【0058】
本発明の他の実施形態においては、図8のML図により示すように、マンモグラフィ画像の内外側方向(ML)図または内外斜位方向(MLO)図中の乳房領域の解剖学的区域に関して病変の位置を決定することが可能である。マンモグラフィ画像100は、リング148によって特定され印付けされた病変110を含む。乳房領域102のML図またはMLO図においては、病変は、乳房図152において示すように、上位区域28または下位区域30内に含まれるものとしてさらに規定され得る。図8の実施形態においては、病変を特定するリング148は、上位区域28内に含まれるものとして分類される。図8の実施形態においては、リング148により示される病変110の位置は、病変が属する区域をより明確に示すために、乳房図152上にマッピングされる。しかし、別の実施形態においては、乳房図152を、マンモグラフィ画像100の上にマッピングし、これらの区域がマンモグラフィ画像100中の具体的な乳房領域102に対してどのように当てはまるかを示すようにユーザに対して表示することが可能である。
【0059】
さらに、位置測定は、上述の標準区域内における位置の決定に限定されないことに留意されたい。測定は、胸筋、または胸筋に隣接し乳がんの成長の危険性の高い部位である「ミルキー・ウェイ(milky way)」部位などの、別の解剖学的領域内に病変が含まれるか否かを決定するためにも行うことができる。
【0060】
乳頭106を通る乳房領域の軸に相当する乳房領域の中心線154を決定することにより、これらの区域を各乳房領域102に合わせてカスタマイズすることもできる。中心線は、上述の乳房境界および乳頭位置アルゴリズムにより検出される乳房境界および乳頭位置を用いて決定することができる。中心線を決定する1つの方法は、以下の通りである。すなわち、境界に沿って乳頭のそれぞれ異なる側に位置し、乳頭から少なくとも2cmの所に位置する、乳房境界上の2つの点を見出し、次いで、先述のステップにおいて見出された乳房境界上の2つの点を繋ぐ線分の中間点を見出し、最後に、乳頭および中間点を通る線を中心線として決定する。中心線線分は、乳房領域内に位置する中心線上の線分である。
【0061】
次いで、中心線154を使用して、ML/MLO図における上位区域28および下位区域30、ならびにCC図における中央区域22、外側区域20、および内側区域24を画定する。例えば、CC図画像において、中央区域22を、中心線から1cm以内の領域として規定することが可能である。次いで、中央区域の上方の領域が外側区域となり、中央区域の下方の領域が内側区域となる。ML/MLO図画像においては、中心線の上方の領域が上位区域として規定され、中心線の下方の領域が下位区域として規定される。両方の図において、中心線線分は、4つの線分に分割することが可能であり、乳頭の直下の線分は、中心線線分の全長の1/7の長さを有し、他の3つの線分はそれぞれ、中心線線分の全長の2/7の長さを有する。次いで、乳輪下区域、前方区域、中間区域、および後方区域が、中心線線分を上述の4つの線分に区分する垂線によって画定できる。しかし、他の方法を乳房のこれらの区域を画定するために用いてもよく、本明細書において説明される実施形態の範囲を逸脱しない。
【0062】
図9は本発明の他の実施形態を示し、この実施形態では、CC図およびML/MLO図の両方が利用可能な場合に、病変の四分円位置測定値およびクロック位置測定値を決定することが可能である。四分円位置およびクロック位置を決定する方法の1つでは、それぞれDccおよびDmlで示す、CC図画像における病変の中心線線分までの距離(Dcc)と、ML図画像における病変の中心線線分までの距離(Dml)とを計算する。図9に図示される乳房図において、病変と乳頭(すなわち時計面の中心)とを繋ぐ線分と水平線との間の角度をAとして表すと、A=ArcTan(Dml/Dcc)という関係が成り立つ。クロック位置は、Aの値にしたがって容易に決定することが可能となる。
【0063】
MLO図画像の場合において同様の導出を行うことが可能であるが、この場合、図10の撮像デバイス164の図に図示すように、撮像デバイス上の画像プレートの角度を考慮に入れる必要がある。画像プレート168の角度166は、X線源172と垂線174との間の角度であるポジショナ主要角度170に等しく、一例としては、このポジショナ主要角度170は45度である。以下の計算については、Bは、ポジショナ主要角度170を表すものとする。左乳房178については、A=ArcTan(Dmlo/Dcc)であり、ここで、Dcc>Dml/Cos(B)である場合には、Dmlo=(Dml/Cos(B)−Dcc)/Tan(B)が導出することが出来、他の場合には、Dmlo=Dml・Sin(B)−(Dcc−Dml・Cos(B))/Tan(B)が導出することができる。ここで、Dmlは、MLO図画像における病変の中心線線分までの距離を表す。同様の導出は、右乳房176にも適用される。
【0064】
図9に図示される実施形態においては、図7および図8における病変110の位置を用いて、乳房図32中における病変110の四分円位置およびクロック位置を決定する。CC図およびML/MLO図画像における病変の位置に基づいて、インジケータ・リング148により、上外方四分円34に対して時計の9時の位置42に病変110を正確にマッピングすることが可能である。インジケータ・リング148により示される病変110を、図9に図示される乳房図上にマッピングすることが可能であり、次いで、この図をユーザに対して表示させることが可能である。
【0065】
身体の他の解剖学的特徴部または部位に対応する関連医用画像を比較するために、医用画像中の注目対象の属性を測定して表示する上記システムおよび方法を、マンモグラフィ画像以外の医用画像に対しても適用することが可能であることが、当業者に理解されよう。例えば、マンモグラフィ解析におけるのと同様に、異常によりもたらされる重篤度および危険性を決定するために、脳、腹、腕、もしくは脚を含むヒトまたは動物の医用画像中の病変または異常の位置を特定し、測定する必要がある場合がある。
【0066】
図11Aは、本発明の一実施形態に係る、医用画像中の注目対象を測定する方法を示す。最初のステップS101においては、医用画像中の少なくとも1つの注目対象が特定される。2番目のステップS103においては、注目対象の少なくとも1つの属性が自動的に測定される。最後に、ステップS105において、少なくとも1つの属性の測定値が表示される。測定値はマンモグラフィ画像自体の上に表示されてもよい。または、別の実施形態においては、測定値は、測定値をまとめた別個の報告用ドキュメント中に表示されてもよい。報告用ドキュメントは、画像を表示させる必要性を伴わずにユーザに対して測定結果を明確に示すために使用される、スプレッドシート、ワード・プロセッシング・ドキュメント、または報告用テンプレートであってもよい。
【0067】
図11Bは、注目対象の少なくとも1つの属性を測定する方法、具体的にはマンモグラフィ画像の乳房領域中の病変の位置を測定する方法のより詳細なステップの一実施形態を示す。最初のステップS107において、少なくとも1つの解剖学的特徴部から病変まで距離が測定される。2番目のステップS109において、乳房領域の標準区域が乳房領域の中心軸に基づいて決定される。次のステップS111においては、病変の位置が乳房図上にマッピングされて、乳房領域の標準区域内における病変の位置が示される。さらなるステップS113においては、病変の位置を四分円およびクロック位置図に対してマッピングすることができ、それにより、乳房領域中における病変の位置がより正確に図示される。
【0068】
本発明のシステムは上述のステップにしたがって医用画像を受け付け、それを処理するコンピュータ上に実装することができる。本発明のシステムは、コンピュータ・プログラム製品として具現化することができ、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組合せによって実現してもよい。図12に図示するようにして、マンモグラフィ画像100をコンピュータ156に入力することができ、このコンピュータ156において、特定ユニット158が、乳房領域中において少なくとも1つの注目対象を特定する。次いで、測定ユニット160が、注目対象の少なくとも1つの属性を測定する。最後に、表示ユニット162が、属性の測定値を表示する。1つの非限定的な実施形態においては、システムは、測定値をオプションとしてユーザに提示し、それにより、ユーザは、ディスプレイ上のマッピングされた測定値を、元の未変更のマンモグラフィ画像と比較することが可能となる。
【0069】
図13は、本発明の方法の一実施形態を実行可能なコンピュータ/サーバ・システム800の一実施形態を示すブロック図である。システム800は、コンピュータ/サーバ・プラットフォーム801、周辺デバイス802、およびネットワーク・リソース803を含む。
【0070】
コンピュータ・プラットフォーム801は、データ・バス804、またはコンピュータ・プラットフォーム801の種々のパーツ間において情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理し他の計算タスクおよび制御タスクを実施するための、バス801に接続されたプロセッサ805とを備えてもよい。さらに、コンピュータ・プラットフォーム801は、様々な情報およびプロセッサ805により実行されるべき命令を記憶するための、バス804に接続された、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどの揮発性記憶装置806を含む。揮発性記憶装置806は、プロセッサ805による命令の実行の際に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用することができる。コンピュータ・プラットフォーム801は、基本入出力システム(BIOS)などのプロセッサ805のための静的情報および命令、ならびに様々なシステム設定パラメータを記憶するため、バス804に接続された、リード・オンリー・メモリ(ROMもしくはEPROM)807または他の静的記憶デバイスをさらに含んでよい。情報および命令を記憶するために、磁気ディスク、光ディスク、またはソリッドステート・フラッシュ・メモリ・デバイスなどの永続記憶デバイス808が用意され、バス801に接続される。
【0071】
コンピュータ・プラットフォーム801は、システム管理者またはコンピュータ・プラットフォーム801のユーザに対して情報を表示するために、ブラウン管(CRT)、プラズマ・ディスプレイ、または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ809にバス804を介して接続されてもよい。プロセッサ805に情報およびコマンド選択肢を通信するために、英数字キーまたは他のキーを備える入力デバイス820がバス801に接続される。他のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択肢をプロセッサ804に通信し、ディスプレイ809上のカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御デバイス811である。この入力デバイスは、一般的には、第1の軸(例えばx)および第2の軸(例えばy)である2つの軸方向における2自由度を有し、それにより、デバイスは、平面中において位置を指定することが可能となる。
【0072】
コンピュータ・プラットフォーム801に追加のまたはリムーバブルな記憶容量を与えるために、バス804を介して外部記憶デバイス812がコンピュータ・プラットフォーム801に接続されてもよい。コンピュータ・システム800の一実施形態においては、外部リムーバブル記憶デバイス812は、他のコンピュータ・システムとのデータの交換を容易にするために使用することができる。
【0073】
本明細書において説明される技術を実現するために、コンピュータ・システム800を使用することが可能である。一実施形態によれば、本発明のシステムは、コンピュータ・プラットフォーム801などのマシン上に存在し得る。本発明の一実施形態によれば、揮発性メモリ806中に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ805に応じて、コンピュータ・システム800によって本明細書において説明される技術を実行できる。かかる命令は、永続記憶デバイス808などの別のコンピュータ可読媒体から揮発性メモリ806に読み込むことができる。揮発性メモリ806中に含まれる命令のシーケンスの実行することにより、本明細書において説明される方法ステップをプロセッサ805に行わせる。他の実施形態として、本発明を実現するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、配線回路を使用することができる。したがって、本発明の実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアのいかなる特定の組合せにも限定されない。
【0074】
本明細書において使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行用プロセッサ805に命令を送るために使用される任意の媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、本明細書において説明される方法および/または技術のいずれかを実現するための命令を保持することのできる機械可読媒体の一例に過ぎない。かかる媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体のような(しかしそれらに限定されない)、多数の形態をとることができる。不揮発性媒体として、例えば、記憶デバイス808などの、光ディスクまたは磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体には、揮発性記憶装置806などの動的メモリが含まれる。伝送媒体には、データ・バス804を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。
【0075】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー・ディスク、フレキシブル・ディスク、ハード・ディスク、磁気テープ、もしくは任意の他の磁気媒体、CD−ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、フラッシュ・ドライブ、メモリ・カード、任意の他のメモリ・チップもしくはメモリ・カートリッジ、以降に説明されるような搬送波、またはコンピュータによる読出しが可能な任意の他の媒体が含まれる。
【0076】
実行のための1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ805へ搬送する際に、様々な形態のコンピュータ可読媒体を使用することができる。例えば、命令は、初めに、リモート・コンピュータから磁気ディスク上で運ばれてもよい。他に、リモート・コンピュータが、その動的メモリ中に命令をロードし、モデムを使用して電話回線を経由して命令を送信することも可能である。コンピュータ・システム800にローカル接続されたモデムが、電話回線上でこのデータを受信し、赤外線送信機を使用して、このデータを赤外線信号に変換することも可能である。赤外線検出器が、赤外線信号において搬送されたデータを受信することが可能であり、適切な回路が、このデータをデータ・バス804上に出力することが可能である。バス804は、揮発性記憶装置806にこのデータを搬送し、そこからプロセッサ805が、命令を取得して、実行する。オプションで、揮発性メモリ806で受けた命令を、プロセッサ805によって実行される前または後に、永続記憶デバイス808上に記憶してもよい。また、当技術分野においてよく知られている様々なネットワーク・データ通信プロトコルを使用して、インターネットを介してコンピュータ・プラットフォーム801中にこれらの命令をダウンロードすることもできる。
【0077】
コンピュータ・プラットフォーム801は、データ・バス804に接続されたネットワーク・インターフェース・カード813などの通信インターフェースをさらに含む。通信インターフェース813により、ローカル・ネットワーク815に接続されたネットワーク・リンク814に接続する2方向データ通信が可能となる。例えば、通信インターフェース813は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を実現するための、総合デジタル通信網(ISDN)カードまたはモデムであってよい。別の例としては、通信インターフェース813は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を実現するための、ローカル・エリア・ネットワーク・インターフェース・カード(LAN NIC)であってよい。ネットワーク実現のために、公知の802.11a、802.11b、802.11g、およびブルートゥースなどの無線リンクを使用することも可能である。これらのいずれの実施形態においても、通信インターフェース813は、様々なタイプの情報を表すデジタル・データ・ストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0078】
典型的には、ネットワーク・リンク813は、1つまたは複数のネットワークを介して他のネットワーク・リソースへのデータ通信を実現する。例えば、ネットワーク・リンク814で、ローカル・ネットワーク815を介してホスト・コンピュータ816またはネットワーク・ストレージ/サーバ817への接続を実現してもよい。加えて、または代替として、ネットワーク・リンク813は、ゲートウェイ/ファイアウォール817を介してインターネットなどの広域またはグローバル・ネットワーク818に接続してもよい。したがって、コンピュータ・プラットフォーム801は、リモート・ネットワーク・ストレージ/サーバ819などの、インターネット818上の任意の場所にあるネットワーク・リソースにアクセスすることが可能となる。一方、さらに、コンピュータ・プラットフォーム801には、ローカル・エリア・ネットワーク815および/またはインターネット818上の任意の場所にあるクライアントからアクセスすることもできる。ネットワーク・クライアント820および821は、プラットフォーム801と同様のコンピュータ・プラットフォームに基づいて、それら自体において実装され得る。
【0079】
ローカル・ネットワーク815およびインターネット818は共に、デジタル・データ・ストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータ・プラットフォーム801へ、またはコンピュータ・プラットフォーム801からデジタル・データを搬送する、種々のネットワークを経由する信号、およびネットワーク・リンク814上にあり通信インターフェース813を経由する信号は、情報を運ぶ搬送波の例示的な形態である。
【0080】
コンピュータ・プラットフォーム801は、インターネット818およびLAN815を含む様々なネットワーク(または複数のネットワーク)、ネットワーク・リンク814、および通信インターフェース813を介して、メッセージを送信し、プログラム・コードを含むデータを受信することが可能である。インターネットの例においては、システム801が、ネットワーク・サーバとしての役割を果たす場合には、システム801は、インターネット818、ゲートウェイ/ファイアウォール817、ローカル・エリア・ネットワーク815、および通信インターフェース813を介して、クライアント(または複数のクライアント)820および/または821上で実行されるアプリケーション・プログラムのための要求されたコードまたはデータを伝送し得る。同様に、システム801は、他のネットワーク・リソースからコードを受信し得る。
【0081】
受信されたコードは、受信された際にプロセッサ805により実行され、および/または、永続性もしくは揮発性記憶デバイス808および806のそれぞれに、または後の実行のために他の不揮発性記憶装置に記憶され得る。このようにすることで、コンピュータ・システム801は、搬送波の形態でアプリケーション・コードを取得することができる。
【0082】
最後に、本明細書において説明されたプロセスおよび技術は、いずれかの特定の装置に本質的に関係付けられるものではなく、構成要素の任意の適切な組合せにより実現され得ることを理解されたい。さらに、様々なタイプの汎用デバイスを、本明細書において説明される教示にしたがって使用することができる。また、本明細書において説明される方法ステップを実施するために専用装置を構築することが有利であることが理解されよう。本発明は、あらゆる点において限定的なものではなく例示的なものとして意図される特定の例に関連して説明されている。ハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアの多数の様々な組合せが本発明の実施に適することとなることが、当業者には理解されよう。例えば、説明されたソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、パール、シェル、PHP、Java、等々の多様なプログラミング言語またはスクリプト言語において実現され得る。
【0083】
本発明の種々の代表的な実施形態が、ある程度詳細に上述されたが、当業者は、本明細書および特許請求の範囲において述べられる本発明の主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に対して多数の変更をなすことが可能である。本明細書において直接的にまたは間接的に述べられた方法においては、種々のステップおよび作業が、1つの可能な作業順序において説明されるが、これらのステップおよび作業は、本発明の趣旨および範囲から必ずしも逸脱することなく、再構成、置換、または省略され得ることが、当業者には理解されよう。また、説明される実施形態の種々の態様および/または構成要素を、コンピュータ・ストレージ・システムにおいて、単独でまたは任意の組合せで使用することができる。上述の説明中に含まれる、または添付の図面中に示されるすべての事項は、単なる例示としておよび非限定的なものとして解釈することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像中の注目対象を測定するための方法であって、
医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定することと、
前記注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定することと、
前記少なくとも1つの属性の測定値を表示することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記測定値は報告書上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定値は前記医用画像上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定値は解剖図上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記注目対象はマンモグラフィ画像中の乳房領域中の病変である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの属性は、前記病変から少なくとも1つの解剖学的特徴部までの距離を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記乳房領域の標準区域を決定することと、標準区域図上に前記病変の位置を表示することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記乳房領域の四分円区域およびクロック区域を決定することと、四分円区域およびクロック区域図上に前記病変の位置を表示することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記乳房領域の標準区域を決定することと、前記マンモグラフィ画像上に前記乳房領域の前記標準区域を表示して、前記マンモグラフィ画像上の前記標準区域に対する前記病変の前記位置を表示することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
医用画像中の注目対象を測定するためのシステムであって、
医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定する特定ユニットと、
前記注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定する測定ユニットと
を備える、システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの属性の測定値を表示する表示ユニットをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記測定値は前記医用画像上に表示される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記注目対象はマンモグラフィ画像中の乳房領域中の病変である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの属性は少なくとも1つの病変の面積を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの属性は病変クラスタの幅および高さを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの属性は病変クラスタ中の病変の個数を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの属性は前記病変領域から少なくとも1つの解剖学的特徴部までの距離を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記測定ユニットは、さらに、前記乳房領域の標準区域を決定し、前記マッピング・ユニットは、前記マンモグラフィ画像上に前記乳房領域の前記標準区域をマッピングして、前記標準区域に対する前記マンモグラフィ画像上の前記病変の前記位置を表示する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記測定ユニットは、さらに、前記乳房領域の四分円区域およびクロック区域を決定し、前記マッピング・ユニットは、前記マンモグラフィ画像上に前記乳房領域の前記四分円区域および前記クロック区域をマッピングして、前記四分円区域および前記クロック区域に対する前記マンモグラフィ画像上の前記病変の前記位置を表示する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータ可読媒体上に具現化される、医用画像中の注目対象を測定するためのコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータによって実行されると、
医用画像中において少なくとも1つの注目対象を特定することと、
前記注目対象の少なくとも1つの属性を自動的に測定することと、
前記少なくとも1つの属性の測定値を表示することと
を含む方法を実施する、コンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図11A】
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【図11B】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−110429(P2011−110429A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−261410(P2010−261410)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.フロッピー
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】