説明

医用画像処理装置、およびその制御プログラム

【課題】画像の付帯情報に異常があった場合にも、それを検出して付帯情報を代書し、確実に画像データの登録を行うようにする。
【解決手段】画像取り込み処理部1は、X線CT装置やMRI装置などの医用画像撮影装置により、撮影され再構成された医用画像データ、医用画像保管装置で保管されている医用画像データ、および、記録メディアに記録されている医用画像データを取り込み、医用画像データベース2に出力する。医用画像データベース2は、画像取り込み処理部1から供給された画像データおよび付帯情報の登録時、付帯情報の異常の有無を確認する。医用画像データベース2は、付帯情報に異常があった場合には、異常な付帯情報を他の格納領域に退避させ、元の付帯情報の内容を代書した後、画像データおよび代書された付帯情報の登録を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置、およびその制御プログラムに関し、特に、画像の付帯情報に異常があった場合にも、それを検出して付帯情報を代書し、確実に画像データの登録を行うことができるようにした医用画像処理装置、およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、医用画像処理装置は、医用画像診断装置(モダリティ)で再構成された画像データ、他の医用画像保管装置で保管されている画像データ、または記録メディアに記録されている画像データを取得し、それらをデータベースに登録する場合、画像データを画像に関する付帯情報(例えば、撮影日時や患者情報)とともに登録する。
【0003】
また、医用画像処理装置は、データベースに登録した画像データおよび付帯情報に基づいて、データベース内の画像一覧リストを作成し、そのリストもデータベースで管理する。
【0004】
そして、医用画像処理装置は、ユーザから、リスト表示処理、画像一覧リスト上で選択された画像の表示処理、印刷処理、記録メディアへの保存処理、または通信部を介して他の装置への送信処理が指示されると、データベースから、画像一覧リスト、または、画像データおよび付帯情報を読み出し、各処理を行う。
【0005】
さらに、医用画像処理装置は、データベースに登録した画像データおよび付帯情報を用いて、画像診断レポートの作成を行う。例えば、特許文献1には、文字列に医用画像を関連付けてレポートを作成、保存する画像診断レポート作成支援システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−301453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医用画像処理装置が、各装置や記録メディアから取得した画像データおよび付帯情報をデータベースに登録する際、その付帯情報に禁止文字が使われていたり、あるいは、最大サイズを超えていたりといった異常があった場合には、画像データの登録を行うことができない課題があった。
【0008】
また、通常、医用に係る画像データの構造は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)規格に従うものとされているが、その規格に従わない画像データをデータベースに登録しようとした場合、付帯情報に異常があると判断し、やはり画像データの登録を行うことができない課題があった。
【0009】
さらに、付帯情報の異常が原因で、データベースに画像データを登録することができない場合、画像データの保存場所を決定することができず、画像データが消失してしまう恐れもあった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像の付帯情報に異常があった場合にも、それを検出して付帯情報を代書し、確実に画像データの登録を行うことができるようにした医用画像処理装置、およびその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明の特徴は、医用画像データおよび付帯情報を取り込む画像取り込み手段と、画像取り込み手段により取り込まれた付帯情報に異常がある場合、付帯情報を退避し、代書する情報入れ替え手段と、情報入れ替え手段により代書された付帯情報、および医用画像データを登録する画像登録手段とを備えることである。
【0012】
請求項6記載の発明の特徴は、医用画像データおよび付帯情報を取り込む画像取り込みステップと、画像取り込みステップの処理により取り込まれた付帯情報に異常がある場合、付帯情報を退避し、代書する情報入れ替えステップと、情報入れ替えステップの処理により代書された付帯情報、および医用画像データを登録する画像登録ステップとを医用画像処理装置が備えるコンピュータに実行させることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像の付帯情報に異常があった場合にも、それを検出して付帯情報を代書し、確実に画像データの登録を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。
【図2】医用画像データベースの機能構成例を示すブロック図である。
【図3】付帯情報の代書処理の例を説明する図である。
【図4】代書表現処理の例を説明する図である。
【図5】付帯情報の代書処理および代書表現処理の例を説明する図である。
【図6】情報のチェック処理を説明するフローチャートである。
【図7】付帯情報の退避と代書処理を説明するための図である。
【図8】リスト情報の退避と代書処理を説明するための図である。
【図9】表示制御処理を説明するフローチャートである。
【図10】代書表現を用いた画像の表示例である。
【図11】代書表現を用いた画像の他の表示例である。
【図12】代書表現を用いたデータベース内画像一覧リストの表示例である。
【図13】代書表現を用いたデータベース内画像一覧リストの他の表示例である。
【図14】出力制御処理を説明するフローチャートである。
【図15】代書されている旨が示されたポップアップウィンドウの表示例である。
【図16】代書情報を確認するためのポップアップウィンドウの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。
【0017】
医用画像処理装置は、例えば、PACS(Picture Archiving Communication System)であって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disc Drive)などを実装しており、他の装置や記録メディアから取得した医用画像データを、DICOM規格に従って管理するデータベースシステムである。
【0018】
医用画像処理装置は、画像取り込み処理部1、医用画像データベース2、画像選択処理部3、画像表示処理部4、印刷処理部5、メディアアーカイブ処理部6、画像送信処理部7、代書判断部8、情報復元部9、および出力部10から構成されている。
【0019】
画像取り込み処理部1は、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの医用画像撮影装置(いわゆる医用モダリティ)により、撮影され再構成された医用画像データ、医用画像保管装置で保管されている医用画像データ、および、記録メディアに記録されている医用画像データを取り込む。画像取り込み処理部1は、取り込んだ医用画像データ、および、医用画像に関する付帯情報を医用画像データベース2に出力する。以下、医用画像データを単に画像データと称する。
【0020】
医用画像データベース2は、画像取り込み処理部1から供給された画像データおよび付帯情報を登録する。登録時、医用画像データベース2は、付帯情報の異常の有無を確認し、異常があった場合には、異常な付帯情報の退避および代書を行った後で、画像データおよび代書された付帯情報の登録を行う。
【0021】
また医用画像データベース2は、登録された画像データおよび付帯情報に基づいて、データベース内画像一覧リストを作成し、それを管理する。
【0022】
画像選択処理部3は、ユーザによってデータベース内画像一覧リストの表示が指示された場合、医用画像データベース2で管理されているデータベース内画像一覧リストを読み出し、それを代書判断部8に出力する。
【0023】
画像表示処理部4は、ユーザによってデータベース内画像一覧リストの中から所定の画像の表示が指示された場合、医用画像データベース2で管理されている画像データおよび付帯情報の中から、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を読み出し、それらを代書判断部8に出力する。
【0024】
印刷処理部5は、ユーザによってデータベース内画像一覧リストの中から所定の画像の印刷が指示された場合、医用画像データベース2で管理されている画像データおよび付帯情報の中から、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を読み出し、それらを代書判断部8に出力する。
【0025】
メディアアーカイブ処理部6は、ユーザによってデータベース内画像一覧リストの中から所定の画像の保存が指示された場合、医用画像データベース2で管理されている画像データおよび付帯情報の中から、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を読み出し、それらを代書判断部8に出力する。
【0026】
画像送信処理部7は、ユーザによってデータベース内画像一覧リストの中から所定の画像の送信が指示された場合、医用画像データベース2で管理されている画像データおよび付帯情報の中から、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を読み出し、それらを代書判断部8に出力する。
【0027】
代書判断部8は、画像選択処理部3から出力されたデータベース内画像一覧リストに代書情報が含まれているか否かを判断し、代書情報が含まれていると判断した場合、データベース内画像一覧リストの代書表現表示を行う。
【0028】
代書判断部8は、画像表示処理部4から出力された画像データおよび付帯情報に代書情報が含まれているか否かを判断し、代書情報が含まれていると判断した場合、画像データおよび付帯情報の代書表現表示を行う。
【0029】
代書判断部8は、印刷処理部5、メディアアーカイブ処理部6、または画像送信処理部7から出力された画像データおよび付帯情報に代書情報が含まれているか否かを判断し、代書情報が含まれていると判断した場合、代書情報のまま出力するか、代書情報をオリジナル情報に戻すかのいずれかをユーザに選択させる。代書判断部8は、代書情報をオリジナル情報に戻すことが指示された場合には、情報復元部9にて、代書情報を含む付帯情報をオリジナル情報に復元させた後、出力部10に出力する。
【0030】
情報復元部9は、代書判断部8から出力された、代書情報を含む付帯情報をオリジナルの(元の)付帯情報に復元し、復元したオリジナルの付帯情報を代書判断部8に戻す。
【0031】
出力部10は、液晶ディスプレイ、プリンタ、メディアドライブ、またはモデムなどからなり、代書判断部8から出力された画像データおよび付帯情報の表示、印刷、保存、または送信を行う。
【0032】
図2は、医用画像データベース2の機能構成例を示すブロック図である。
【0033】
医用画像データベース2は、情報入れ替え処理部2a、画像登録処理部2b、画像群記憶部2c、リスト登録処理部2d、およびリスト記憶部2eの機能を少なくとも含む。
【0034】
情報入れ替え処理部2aは、画像取り込み処理部1から供給された画像データおよび付帯情報の登録時、付帯情報の異常の有無を確認し、異常があった場合には、異常な付帯情報の退避を行うとともに、異常な付帯情報の代書を行う。情報入れ替え処理部2aは、画像データおよび代書された付帯情報を画像登録処理部2bに出力する。
【0035】
情報入れ替え処理部2aは、画像取り込み処理部1から供給された画像データおよび付帯情報に基づいて、データベース内画像一覧リストを作成し、それをリスト登録処理部2dに出力する。
【0036】
また情報入れ替え処理部2aは、作成したデータベース内画像一覧リストのリスト情報に異常があると判断した場合には、異常なリスト情報の退避を行うとともに、異常なリスト情報の代書を行う。情報入れ替え処理部2aは、代書されたリスト情報を含むデータベース内画像一覧リストをリスト登録処理部2dに出力する。
【0037】
画像登録処理部2bは、情報入れ替え処理部2aから供給された画像データおよび付帯情報を、画像群記憶部2cに登録する(記憶させる)。
【0038】
リスト登録処理部2dは、情報入れ替え処理部2aから供給されたデータベース内画像一覧リストを、リスト記憶部2eに登録する(記憶させる)。
【0039】
図3は、医用画像データベース2の情報入れ替え処理部2aで行う付帯情報の代書処理の例を説明する図である。
【0040】
図3の例では、異常な情報の判断基準として、「サイズの異常」、「禁止文字」、および「システム言語との不一致」がある。そして、付帯情報の異常が認められた場合には、「最大サイズ変換」、「禁止文字を代書文字に変換」、または「英語表現に変換」の代書処理が行われる。
【0041】
例えば、最大4バイトであるべき付帯情報が、「12345678」の8バイトからなる付帯情報であった場合には、情報入れ替え処理部2aは、その付帯情報がサイズの異常であると判断することができ、最大サイズを指定サイズに変換し、「1234」の4バイトからなる付帯情報に代書する。
【0042】
また例えば、0乃至9の数字であるべき付帯情報が、数字以外の「ABCDEFGH」の文字列からなる付帯情報であった場合には、情報入れ替え処理部2aは、その付帯情報に禁止文字が使用されていると判断することができ、禁止文字を代書文字に変換し、「????????」の付帯情報に代書する。
【0043】
また例えば、英語であるべき付帯情報が、英語以外の「山田太郎」の文字列からなる付帯情報であった場合には、情報入れ替え処理部2aは、その付帯情報がシステム言語と不一致であると判断することができ、禁止言語を英語表現に変換し、「YAMADA TARO」の付帯情報に代書する。なお、禁止言語(例えば日本語)から英語への変換には、汎用の言語変換ソフトが用いられる。
【0044】
図4は、代書判断部8で行う代書表現処理の例を説明する図である。
【0045】
図4の例では、代書表現処理の例として、「色」(赤、青、黄など)、「特殊表現」(強調文字、袋文字、影文字、アンダーラインなど)、および「マーク」((代)、○、△、□など)がある。
【0046】
例えば、サイズの異常である「12345678」の文字列が付帯情報に使用され、医用画像データベース2において指定サイズである「1234」に代書処理された付帯情報を表示する場合、代書判断部8は、赤色で「1234」、強調文字で「1234」、またはマークで「(代)1234」の代書表現処理を行う。
【0047】
図5は、付帯情報の代書処理および代書表現処理の例を説明する図である。
【0048】
図5の例では、禁止文字が付帯情報に使用されていた場合の代書文字として、「?」、「(スペース)」、または「x」がある。
【0049】
例えば、0乃至9の数字であるべき付帯情報が、数字以外の「ABCDEFGH」の文字列からなる付帯情報であった場合には、医用画像データベース2の情報入れ替え処理部2aは、「????????」、「(スペース)」、または「xxxxxxxx」の付帯情報に代書する。画像登録処理部2bは、画像データおよび代書された付帯情報を画像群記憶部2cに登録する。
【0050】
代書判断部8は、画像群記憶部2cに登録されている画像データ、および代書された付帯情報を、「(代)????????」、「(代)(スペース)」、または「(代)xxxxxxxx」のマークで代書表現処理を行う。
【0051】
次に、図6のフローチャートを参照して、医用画像データベース2が実行する情報のチェック処理について説明する。
【0052】
ステップS1において、情報入れ替え処理部2aは、画像取り込み処理部1から画像データおよび付帯情報が供給されたとき、その付帯情報に異常があるか否かを判定し、付帯情報に異常があると判定した場合、ステップS2に進む。
【0053】
ステップS2において、情報入れ替え処理部2aは、異常があると判定した付帯情報を退避し、ステップS3において、元の付帯情報の内容を代書する。
【0054】
ここで、図7を参照して、ステップS2およびステップS3の処理の詳細について説明する。
【0055】
図7は、画像データの構造例を示す図である。
【0056】
図7に示す画像データは、付帯情報1乃至付帯情報Nの複数の付帯情報、およびピクセルデータ(画像生データ)で構成されている。例えば、複数の付帯情報のうちの付帯情報2が異常であると判定された場合、付帯情報Nの後(ピクセルデータの直前)に、その付帯情報2の内容を退避オリジナル情報2として退避させる。次に、元の付帯情報2の内容を代書し、付帯情報2とする。さらに、元の付帯情報2と退避オリジナル情報2をタグで関連付ける。これにより、元の付帯情報2を参照することで、そこに関連付けられたタグから退避オリジナル情報2を参照することができる。
【0057】
情報入れ替え処理部2aは、以上のようにして、異常があると判定した付帯情報を他の格納領域に退避させ、異常がある元の付帯情報の内容を代書した後、画像データおよび代書された付帯情報を画像登録処理部2bに出力する。
【0058】
図6の説明に戻る。ステップS4において、画像登録処理部2bは、情報入れ替え処理部2aから出力された、画像データおよび代書された付帯情報を画像群記憶部2cに登録する。
【0059】
ステップS5において、情報入れ替え処理部2aは、画像データおよび代書された付帯情報に基づいて、データベース内画像一覧リストを作成する。
【0060】
ステップS6において、情報入れ替え処理部2aは、異常がある付帯情報に基づいて作成したリスト情報は、同様に異常があると判断して、そのリスト情報を退避し、ステップS7において、元のリスト情報の内容を代書する。
【0061】
ここで、図8を参照して、ステップS6およびステップS7の処理の詳細について説明する。
【0062】
図8は、データベース内画像一覧リストの構造例を示す図である。
【0063】
図8に示すデータベース内画像一覧リストは、リスト情報1乃至リスト情報Nの複数のリスト情報で構成されている。例えば、複数のリスト情報のうちのリスト情報2が、異常がある付帯情報を含んでいると判断された場合、リスト情報Nの後に、そのリスト情報2の内容を退避オリジナルリスト情報2として退避させる。次に、元のリスト情報2の内容を代書し、リスト情報2とする。さらに、元のリスト情報2と退避オリジナルリスト情報2をタグで関連付ける。これにより、元のリスト情報2を参照することで、そこに関連付けられたタグから退避オリジナルリスト情報2を参照することができる。
【0064】
情報入れ替え処理部2aは、以上のようにして、異常があると判断したリスト情報を他の格納領域に退避させ、異常がある元のリスト情報の内容を代書した後、代書されたリスト情報を含むデータベース内画像一覧リストをリスト登録処理部2dに出力する。
【0065】
図6の説明に戻る。ステップS8において、リスト登録処理部2dは、情報入れ替え処理部2aから出力された、代書されたリスト情報を含むデータベース内画像一覧リストをリスト記憶部2eに登録する。
【0066】
一方、ステップS1において、情報入れ替え処理部2aは、画像取り込み処理部1から画像データおよび付帯情報が供給されたとき、その付帯情報に異常がないと判定した場合、画像データおよび付帯情報を画像登録処理部2bに出力する。次に、情報入れ替え処理部2aは、供給された画像データおよび付帯情報に基づいてデータベース内画像一覧リストを作成し、それをリスト登録処理部2dに出力した後、ステップS9に進む。
【0067】
ステップS9において、画像登録処理部2bは、情報入れ替え処理部2aから出力された画像データおよび付帯情報を、画像群記憶部2cに登録する。ステップS10において、リスト登録処理部2dは、情報入れ替え処理部2aから出力されたデータベース内画像一覧リストを、リスト記憶部2eに登録する。
【0068】
以上のように、付帯情報に異常がある場合には、その付帯情報の退避および付帯情報の代書を行うことにより、確実にデータベース内に画像データの登録を行うことができる。つまり、付帯情報の異常が原因で、データベースに画像データの登録を行うことができないといった事態を防止することができる。さらに、データベースに画像データの登録を行うことができずに画像データが消失してしまうといった最悪の事態をも防止することが可能となる。
【0069】
次に、図9のフローチャートを参照して、代書判断部8が実行する、表示制御処理について説明する。この処理は、ユーザによって、データベース内画像一覧リスト内における所定の画像の表示が指示された場合に開始される。
【0070】
ステップS11において、代書判断部8は、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を、画像群記憶部2cから読み出す。
【0071】
ステップS12において、代書判断部8は、ステップS11の処理で読み出した付帯情報が代書されているか否かを判定する。
【0072】
詳細には、例えば、図7に示したように、付帯情報1乃至付帯情報Nを1つずつ確認していくと、付帯情報2にはタグが関連付けられていることがわかる。そして、このタグによって退避オリジナル情報2を参照することができ、付帯情報2が代書されていると判断することができる。
【0073】
ステップS12において、代書判断部8は、ステップS11の処理で読み出した付帯情報が代書されていると判定した場合、ステップS13に進む。ステップS13において、代書判断部8は、読み出した画像データおよび付帯情報を出力部10に出力し、代書表現を用いて表示させる。
【0074】
ここで、図10および図11を参照して、代書表現を用いた画像の表示例について説明する。なお、代書する前のオリジナルの付帯情報の患者名は、「山田 太郎」であり、撮影日時は、「ABCD.EF.GH 11:50:31」であり、医用画像データベース2の情報入れ替え処理部2aによって、これらの付帯情報が、「YAMADA TARO」および「???????? 11:50:31」に代書され、画像群記憶部2cに登録されている。
【0075】
図10は、代書表現にマークを用いた場合の画像の表示例を示している。
【0076】
図10に示す画面Wのほぼ中央には、画像Pが表示されており、画面Wの右上には、付帯情報である「(代)YAMADA TARO」および「(代)???????? 11:50:31」が表示されている。すなわち、画像群記憶部2cから読み出された付帯情報は、「(代)」のマークを付した代書表現で表示されていることがわかる。
【0077】
図11は、代書表現に強調文字を用いた場合の画像の表示例を示している。
【0078】
図11に示す画面Wのほぼ中央には、画像Pが表示されており、画面Wの右上には、付帯情報である「YAMADA TARO」および「????.??.?? 11:50:31」が強調表示されている。すなわち、画像群記憶部2cから読み出された付帯情報は、強調文字を用いた代書表現で表示されていることがわかる。
【0079】
このように、代書表現には、マークを付したり、強調文字を用いたりすることができる。また本実施の形態では、この他にも、例えば、代書された付帯情報に色を付したり、文字加工したり、あるいは、(代)以外のマークなどを付したりするようにしてもよい。
【0080】
図9の説明に戻る。ステップS12において、代書判断部8は、ステップS11の処理で読み出した付帯情報が代書されていないと判定した場合、すなわち、付帯情報にタグが関連付けられていない場合、ステップS14に進む。
【0081】
ステップS14において、代書判断部8は、読み出した画像データおよび付帯情報を出力部10に出力し、通常表示させる。
【0082】
以上のように、付帯情報が代書されていると判断した場合には、その付帯情報を、さまざまな代書表現を用いて表示することができる。これにより、ユーザは、付帯情報が代書されているか否かを容易に把握することが可能となる。
【0083】
また以上においては、代書された付帯情報の代書表現処理の例について説明したが、代書されたリスト情報を含むデータベース内画像一覧リストの代書表現処理についても同様に行うことができる。
【0084】
ここで、図12および図13を参照して、代書表現を用いたデータベース内画像一覧リストの表示例について説明する。なお、代書する前のオリジナルの付帯情報の日付は、「ABCD.EF.GH 11:50:31」であり、患者名は、「山田 太郎」であり、医用画像データベース2の情報入れ替え処理部2aによって、これらの付帯情報が、「YAMADA TARO」および「???????? 11:50:31」に代書され、さらに代書された付帯情報を用いてデータベース内画像一覧リストが作成され、リスト記憶部2eに登録されている。
【0085】
図12は、代書表現にマークを用いた場合のデータベース内画像一覧リストの表示例を示している。
【0086】
図12に示す画面Wのほぼ中央には、データベース内画像一覧リストLが表示されており、そのリスト内において、付帯情報である「(代)???????? 11:50:31」および「(代)YAMADA TARO」が表示されている。すなわち、リスト記憶部2eから読み出されたデータベース内画像一覧リストは、「(代)」のマークを付した代書表現で表示されていることがわかる。
【0087】
図13は、代書表現に強調文字を用いた場合のデータベース内画像一覧リストLの表示例を示している。
【0088】
図13に示す画面Wのほぼ中央には、データベース内画像一覧リストLが表示されており、そのリスト内において、付帯情報である「????.??.?? 11:50:31」および「YAMADA TARO」が強調表示されている。すなわち、リスト記憶部2eから読み出されたデータベース内画像一覧リストは、強調文字を用いた代書表現で表示されていることがわかる。
【0089】
以上のように、データベース内画像一覧リストに含まれるリスト情報が代書されている場合には、そのリスト情報を、さまざまな代書表現を用いて表示することができる。これにより、ユーザは、リスト情報が代書されているか否かを容易に把握することが可能となる。
【0090】
次に、図14のフローチャートを参照して、代書判断部8が実行する、出力制御処理について説明する。この処理は、ユーザによって、データベース内画像一覧リスト内における所定の画像の印刷、記録メディアへの保存、または他の装置への送信が指示された場合に開始される。
【0091】
ステップS21において、代書判断部8は、ユーザによって指示された画像データおよび付帯情報を、画像群記憶部2cから読み出す。
【0092】
ステップS22において、代書判断部8は、ステップS21の処理で読み出した付帯情報が代書されているか否かを判定し、付帯情報が代書されていると判定した場合、ステップS23に進む。
【0093】
ステップS23において、代書判断部8は、代書されている旨を表わす情報を出力部10に出力し、メッセージとして画面表示させる。
【0094】
これにより、例えば、図15に示すように、画面W上に、ポップアップウィンドウWaが表示される。このポップアップウィンドウWaには、付帯情報が代書されている旨が示されているとともに、「代書情報で出力」のボタンB1、「オリジナル情報で出力」のボタンB2、「代書情報確認」のボタンB3、および「キャンセル」のボタン4が表示されている。
【0095】
ユーザは、ポップアップウィンドウWaの表示によって、選択した画像の付帯情報が代書されていることを知ることができ、画像の印刷、記録メディアへの保存、または他の装置への送信の指示を行う前に、代書情報のまま出力するのか、オリジナルの付帯情報で出力するのかを選択することができる。
【0096】
ステップS24において、代書判断部8は、付帯情報を代書で出力するか否か、すなわち、ユーザによって、図15に示す画面WのポップアップウィンドウWa内の「代書情報で出力」のボタンB1が選択されたか否かを判定し、付帯情報を代書情報で出力すると判定した場合、ステップS25に進む。
【0097】
なお、ユーザは、「代書情報で出力」のボタンB1を選択する前に、代書情報を確認する場合には、「代書情報確認」のボタンB3を選択することで、例えば、図16に示すような、確認用のポップアップウィンドウWbを表示させることができる。
【0098】
ステップS24において、代書判断部8は、付帯情報を代書情報で出力すると判定した場合、付帯情報を情報復元部9に出力し、ステップS25に進む。
【0099】
ステップS25において、情報復元部9は、代書判断部8から出力された付帯情報のうちのオリジナル付帯情報を削除して、代書判断部8に戻す。
【0100】
詳細には、例えば、図7に示した付帯情報において、異常と判断され退避されていた退避オリジナル情報2を削除し、元の付帯情報2に代書情報が格納された状態で、代書判断部8に戻される。そして、代書判断部8は、情報復元部9から戻された、オリジナル付帯情報が削除された(代書された)付帯情報、および画像データを出力部10に出力する。
【0101】
ステップS24において、代書判断部8は、付帯情報を代書情報で出力しない、すなわち、ユーザによって、図15に示す画面WのポップアップウィンドウWa内の「オリジナル情報で出力」のボタンB2が選択された場合、代書判断部8は、付帯情報を情報復元部9に出力し、ステップS26に進む。
【0102】
ステップS26において、情報復元部9は、代書判断部8から出力された付帯情報をオリジナル付帯情報に戻し、ステップS27において、オリジナル付帯情報を削除し、代書判断部8に戻す。
【0103】
詳細には、例えば、図7に示した付帯情報において、異常と判断され退避されていた退避オリジナル情報2を元の付帯情報2にコピーし(戻し)、退避オリジナル情報2を削除した後、代書判断部8に戻される。そして、代書判断部8は、情報復元部9から戻された、オリジナル付帯情報が復元された付帯情報、および画像データを出力部10に出力する。
【0104】
ステップS28において、出力部10は、画像データおよび付帯情報を、印刷、記録メディアへの保存、または通信部を介して他の装置へ送信する。
【0105】
以上のように、ユーザは、印刷、記録メディアへの保存、または他の装置への送信のために選択した画像が代書されていた場合、代書された付帯情報をそのまま出力するのか、または、オリジナルの付帯情報に復元して出力するのかを選択することができる。
【0106】
本実施の形態によれば、画像の付帯情報に異常があった場合にも、その付帯情報を代書してデータベースに確実に登録することができる。また、代書された付帯情報を表示する場合には、代書表現を用いて表示することができ、さらに、他の装置に出力する場合には、代書されたままの付帯情報を出力するのか、元の付帯情報に復元して出力するのかを選択することが可能となる。
【0107】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0108】
1 画像取り込み部
2 医用画像データベース
2a 情報入れ替え処理部
2b 画像登録処理部
2c 画像群記憶部
2d リスト登録処理部
2e リスト記憶部
8 代書判断部
9 情報復元部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データおよび付帯情報を取り込む画像取り込み手段と、
前記画像取り込み手段により取り込まれた前記付帯情報に異常がある場合、前記付帯情報を退避し、代書する情報入れ替え手段と、
前記情報入れ替え手段により代書された前記付帯情報、および前記医用画像データを登録する画像登録手段と
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記画像登録手段により登録された前記付帯情報が代書されているか否かを判断し、前記付帯情報が代書されていると判断した場合、前記付帯情報の表示を制御する代書判断手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記画像登録手段により登録された前記医用画像データ、および、代書されている前記付帯情報を他の装置に出力する場合、代書されている前記付帯情報を元の付帯情報に復元する情報復元手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
医用画像データおよび付帯情報を取り込む画像取り込みステップと、
前記画像取り込みステップの処理により取り込まれた前記付帯情報に異常がある場合、前記付帯情報を退避し、代書する情報入れ替えステップと、
前記情報入れ替えステップの処理により代書された前記付帯情報、および前記医用画像データを登録する画像登録ステップと
を医用画像処理装置が備えるコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−186511(P2011−186511A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47647(P2010−47647)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】