説明

医用画像管理システム

【課題】複数の画像格納装置を備えた医用画像管理システムにおいて、効率的に医用画像の格納先を決定するとともに、診断時に同一患者の過去検査を含めた医用画像に効率的にアクセスできるようにする。
【解決手段】本発明に係る医用画像管理装置3によれば、制御部31は、通信部36によりHIS/RIS1からの検査オーダ情報を受信した際に、記憶部33の画像格納状況DB331に基づいて当該受信された検査オーダ情報の検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が複数のNAS4の何れかに格納されているか否かを判断し、格納されていると判断した場合に、当該受信された検査オーダ情報に基づいてモダリティ2で生成される医用画像の格納先を検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されているNAS4に予め決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、CR(Computed Radiography)、FPD(Flat Panel Detector)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の各種モダリティにより撮影され、デジタル化された医用画像を画像格納装置に格納して管理する医用画像管理システムが利用されている。近年、医用画像の大容量化に伴い、複数の画像格納装置を備える医用画像管理システムが増えてきている。
【0003】
複数の画像格納装置を備える場合、通常では、1つの画像格納装置に格納していき、その画像格納装置に空き容量がなくなった時点で次の画像格納装置に格納していくことが多い。しかし、医師は画像診断の際、1枚の医用画像のみから診断を行うのではなく、関連する医用画像を参照して総合的に診断を行う。そのため、相互に関連する医用画像が異なる画像格納装置に格納されてしまうと、ユーザ(医師)は複数の画像格納装置にアクセスして診断に必要な医用画像を収集しなければならず、効率よく診断を行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、モダリティから受信した医用画像に付帯する付帯情報に基づき医用画像をグループ化し、複数の記憶手段の空き領域の割合に相当する分配比率に従って、医用画像をグループ単位で分配して記憶手段に書込む技術が記載されている。
【特許文献1】特開2006−263065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、モダリティから受信した医用画像を一時保管し、グループ化及び分配を行うので、医用画像が格納されるまでに時間がかかり、撮影から診断までを効率的に行うことができない。また、同一患者の同一検査を単位としてグループ化するので、患者の過去検査を参照して比較読影を行いたい場合等には、複数の画像格納装置にアクセスしなければならず、効率的な画像診断を行うことができない。
【0006】
本発明の課題は、複数の画像格納装置を備えた医用画像管理システムにおいて、効率的に医用画像の格納先を決定するとともに、診断時に同一患者の過去検査を含めた医用画像に効率的にアクセスできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
検査オーダ情報を生成するオーダ生成装置と、前記オーダ生成装置において生成された検査オーダ情報に基づいて医用画像を生成するモダリティと、前記モダリティにおいて生成された医用画像を格納する複数の画像格納装置と、前記モダリティにおいて生成された医用画像を前記画像格納装置の何れかに格納する制御を行う医用画像管理装置と、が通信ネットワークを介して接続された医用画像管理システムであって、
前記オーダ生成装置は、生成した検査オーダ情報を前記モダリティ及び前記医用画像管理装置に送信し、
前記医用画像管理装置は、
前記モダリティで過去に生成され前記複数の画像格納装置に格納されている医用画像に関する情報、前記複数の画像格納装置のそれぞれの画像格納状況及び格納予約状況を含む情報を記憶する記憶部と、
前記オーダ生成装置から検査オーダ情報を受信した際に、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて当該受信された検査オーダ情報の検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が前記複数の画像格納装置の何れかに格納されているか否かを判断し、格納されていると判断した場合に、当該受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に予め決定する制御部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、前記受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の情報量を推定し、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に前記推定した情報量の医用画像を格納可能であるか否かを判断し、格納可能であると判断した場合に、前記受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に決定する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御部は、前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に前記推定した情報量の医用画像を格納できないと判断した場合には、当該受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を当該医用画像及び前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像の双方を格納可能な画像格納装置に決定し、前記検査対象に係る患者の過去検査の医用画像を前記決定された画像格納装置に移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の画像格納装置を備えた医用画像管理システムにおいて、効率的に医用画像の格納先を決定することが可能となるとともに、診断時に同一患者の過去検査を含めた医用画像に効率的にアクセスすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0012】
図1に、第1の実施の形態における医用画像管理システム100の全体構成例を示す。
図1に示すように、医用画像管理システム100は、オーダ生成装置としてのHIS/RIS1、モダリティ2、医用画像管理装置3、画像格納装置としての複数のNAS(Network Attached Storage)4、読影端末5がLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能に接続されて構成されている。なお、NAS4には、個々の装置を識別するための装置NO.が付与されている。モダリティ2、NAS4、読影端末5の台数は、特に限定されない。
【0013】
以下、医用画像管理システム100を構成する各装置について説明する。
HIS/RIS1は、病院内又は放射線科内の情報を管理するシステムである。HIS/RIS1は、オペレータによる登録操作に応じて検査オーダ情報を生成する。検査オーダ情報は、オーダID(個々の検査オーダ情報に付与されたID)、検査日、検査対象の患者の患者情報、検査内容に関する検査情報等から構成されている。患者情報には、例えば患者の氏名、患者ID(個々の患者に付与されたID)、性別等の情報が含まれる。検査情報には、例えば検査ID(検査を個々に識別するために付与されるID)、撮影に用いるモダリティの種類(CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置等)、撮影に用いるモダリティ2の個別名称(ステーション名という)、撮影方法(単純撮影、拡大撮影等)、検査部位(胸部、腹部等)等の情報が含まれる。
【0014】
検査オーダ情報は検査単位で生成され、管理される。そのため、同一検査内に複数の撮影が含まれる場合(例えば、同一患者の胸部をCR装置とCT装置で撮影する場合等)は、1つの検査オーダ情報に複数の撮影のオーダが含まれることとなる。
HIS/RIS1は、生成された検査オーダ情報を撮影に用いるモダリティ2及び医用画像管理装置3に送信する。
【0015】
モダリティ2は、HIS/RIS1で生成された検査オーダ情報に従って、患者を撮影しその医用画像の画像データを生成する。モダリティ2としては、CR装置、CT装置、FPD(Flat Panel Detector)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等が適用可能である。そして、モダリティ2は、生成した医用画像の画像データに、HIS/RIS1から受信された当該医用画像に対応する検査オーダ情報に含まれる検査ID、患者情報、検査情報や、シリーズ情報(シリーズID、モダリティ種、ステーション名等)等を付帯情報として付帯させて医用画像管理装置3に送信する。シリーズとは、同一検査内において1つの撮影単位で生成される1又は複数の医用画像のまとまりを指す。例えば、CT装置において腹部のある範囲の複数枚の断層画像を撮影したときの一連の医用画像は1シリーズとして扱われる。CR装置において1枚の医用画像のみが撮影された場合は、1枚の医用画像が1シリーズとして扱われる。
【0016】
医用画像管理装置3は、モダリティ2から送信された医用画像の格納先となるNAS4を決定し、決定したNAS4に医用画像を格納させる。また、医用画像管理装置3は、NAS4における医用画像の格納状況を管理し、読影端末5からの画像取得要求に応じて医用画像の格納先のNAS4を読影端末5に通知する。
【0017】
図2に、医用画像管理装置3の機能構成例を示す。
医用画像管理装置3は、図2に示すように、制御部31、RAM32、記憶部33、操作部34、表示部35、通信部36、計時部37等を備えて構成されており、各部はバス38により接続されている。
【0018】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部33に
記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)32に展開し、展開されたプログラムに従って、図6に示す医用画像管理装置3の処理をはじめとする各種処理を実行する。
【0019】
RAM32は、制御部31により実行制御される各種処理において、記憶部33から読み出された制御部31で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0020】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリ等により構成さ
れる。記憶部33には、前述のように各種プログラムが記憶されている。
また、記憶部33は、モダリティ2において生成され、NAS4に格納されている医用画像を管理するための各種情報テーブルを含む画像格納状況DB(Data Base)331を記憶している。
【0021】
図3(a)〜図4(b)に、画像格納状況DB331に含まれる情報テーブルの例を示す。図3(a)〜図4(b)に示すように、画像格納状況DB331には、患者情報テーブル331a、検査テーブル331b、シリーズテーブル331c、格納状況テーブル331d、画像サイズ算出テーブル331e等が含まれる。
【0022】
患者情報テーブル331aは、モダリティ2から送信された医用画像の患者情報が格納されるテーブルである。具体的には、図3(a)に示すように、「患者ID」、「患者氏名」、「性別」、「生年月日」等の患者情報が格納される。
検査テーブル331bは、モダリティ2から送信された医用画像の検査に関する情報が格納されるテーブルである。具体的には、図3(b)に示すように、「検査ID」、「患者ID」、「検査日」、「検査部位」等の検査情報が格納される。
シリーズテーブル331cは、モダリティ2から送信された医用画像のシリーズに関する情報が格納されるテーブルである。具体的には、図3(c)に示すように、「シリーズID」、「検査ID」、「モダリティ種」、「ステーション名」、「格納先装置NO.」、「画像情報量(バイト数)」等のシリーズ情報が格納される。
【0023】
格納状況テーブル331dは、各装置(ここではNAS4)の画像格納状況情報が格納されるテーブルである。具体的には、図4(a)に示すように、各NAS4の「装置NO.」、「IPアドレス」、「総容量」、「使用容量」、「最終格納時刻」等が格納される。
【0024】
画像サイズ算出テーブル331eは、モダリティ2と検査部位の組み合わせ毎の、医用画像の情報量(1撮影(即ち、1シリーズ)あたりの画像情報量)が格納されるテーブルである。具体的に、画像サイズ算出テーブル331eには、図4(b)に示すように、「モダリティ種」、「ステーション名」、「検査部位」、「画像情報量」等が格納される。
ここで、医用画像1枚あたりの情報量は、その医用画像を生成したモダリティ2の個々の装置のスペック等によって決定される。また、1シリーズあたりの画像枚数は、モダリティ2の種類及び検査部位によって大よそ決定される。例えば、CR装置で胸部を撮影した場合、1シリーズの画像枚数は1枚であるが、CT装置で胸部を撮影した場合、画像枚数は複数枚となる。そこで、モダリティ2と検査部位の組み合わせ毎に、1シリーズあたりの医用画像の情報量が予め算出され、「画像情報量」に格納されている。
【0025】
また、記憶部33は、HIS/RIS1から送信された検査オーダ情報によるNAS4の格納予約状況を管理するための各種情報テーブルを含む格納予約状況DB332を記憶している。ここで、格納予約とは、格納先として決定のみが行われ、未だ医用画像が格納されてない状態をさす。
【0026】
図5(a)、図5(b)に、格納予約状況DB332に含まれる情報テーブルの例を示す。図5(a)、図5(b)に示すように、格納予約状況DB332には、検査オーダ情報テーブル332a、最終格納予約時刻テーブル332bが含まれる。
【0027】
検査オーダ情報テーブル332aは、図5(a)に示すように、HIS/RIS1から送信された検査オーダ毎に、「検査オーダ情報」、「推定情報量」、「予約格納先装置NO.」、「格納済みフラグ」が格納されるテーブルである。ここで、「推定情報量」とは、当該検査オーダ情報から推定された医用画像の情報量(バイト数)である。「予約格納先装置NO.」は、当該検査オーダ情報に従って撮影された医用画像の格納先として決定されたNAS4の装置NO.である。「格納済みフラグ」は、当該検査オーダ情報に従って撮影された医用画像がNAS4に格納済みであるか否かを示すフラグである。格納済みフラグ「1」は、当該検査オーダ情報に従って撮影された医用画像がNAS4に格納済みであることを示す。格納済みフラグ「0」は、当該検査オーダ情報に従って撮影された医用画像がNAS4に未だ格納されていない(格納予約状態である)ことを示す。
【0028】
最終格納予約時刻テーブル332bは、図5(b)に示すように、各NAS4の「装置NO.」と、そのNAS4が医用画像の格納先として決定された(予約された)最終の時刻である「最終格納予約時刻」とが対応付けて格納されるテーブルである。
【0029】
図2に戻り、操作部34は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部31に出力する。
【0030】
表示部35は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。例えば、表示部35は、制御部31からの指示に従って、医用画像を表示する。
【0031】
通信部36は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNに接続されたモダリティ2やNAS4との間でデータの送受信を行う。
【0032】
計時部37は、RTC(Real Time Clock)等により構成され、現在時刻及び現在日付を計時して制御部31に出力する。
【0033】
図1に戻り、NAS4は、医用画像を格納する画像格納装置である。NAS4は、CPU等により構成される制御部、RAM、記憶部、HDD、通信部等(図示せず)を備えて構成されている。NAS4は、医用画像管理装置3から医用画像が送信され格納が指示されると、制御部と記憶部に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、送信された医用画像をHDDに書込み、保存する。また、読影端末5からの医用画像へのアクセス要求に応じて医用画像を読み出して読影端末5に送信する。
【0034】
読影端末5は、NAS4から医用画像を取得し、取得した医用画像を表示して医師が読影診断するための端末である。
【0035】
次に、動作について説明する。
図6に、医用画像管理システム100を構成する各装置間における処理の流れを示す。
【0036】
図6に示すように、HIS/RIS1において検査オーダ情報が生成されると(ステップS1)、生成された検査オーダ情報が、当該検査オーダ情報において撮影に用いるモダリティとして指定されているモダリティ2及び医用画像管理装置3に送信される(ステップS2、ステップS3)。
【0037】
医用画像管理装置3においては、通信部36により検査オーダ情報が受信されると、ステップS4〜ステップS6の処理が実行され、受信された検査オーダ情報に従ってモダリティ2で生成される医用画像の格納先が予め決定される。
まず、受信された検査オーダ情報が記憶部33の検査オーダ情報テーブル332aに登録される(ステップS4)。
【0038】
次いで、受信された検査オーダ情報から、当該検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の情報量が推定され(推定された情報量をAとする)、検査オーダ情報テーブル332aの「推定情報量」に格納される(ステップS5)。具体的には、画像サイズ算出テーブル331eが参照され、受信された検査オーダ情報に含まれるモダリティ種、ステーション名、及び検査部位と「モダリティ種」、「ステーション名」、及び「検査部位」が一致するレコードの「画像情報量」が取得され、この取得された「画像情報量」が受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の情報量として推定される。
また、同一患者の同一検査部位の過去検査の医用画像の画像情報量から、受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の情報量を推定するようにしてもよい。例えば、受信された検査オーダ情報と「患者ID」及び「検査部位」が一致するレコードを検査テーブル331bにおいて検索し、検索されたレコードの「検査ID」と検査IDが一致しかつ検査オーダ情報と「モダリティ種」及び「ステーション名」が一致するレコードをシリーズテーブル331cにおいて検索し、検索されたレコードの「画像情報量」を受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の情報量として推定するようにしてもよい。
なお、受信された1つの検査オーダ情報に複数のモダリティでの撮影のオーダが含まれている場合、モダリティと検査部位の組み合わせ毎に推定された情報量が合算される。例えば、検査オーダ情報にCR装置とCT装置での胸部の撮影のオーダが含まれているような場合には、CR装置と胸部の組み合わせから推定された情報量と、CT装置と胸部の組み合わせから推定された情報量とが合算される。
【0039】
次いで、上記の推定された情報量Aと、各NAS4の画像格納状況及び格納予約状況とに基づいて、受信された検査オーダ情報に従って撮影された医用画像の格納先のNAS4が決定される(ステップS6)。
【0040】
図7に、ステップS6において医用画像管理装置3の制御部31により実行される格納先決定処理を示すフローチャートを示す。
【0041】
まず、検査テーブル331bにおいて、受信された検査オーダ情報で検査対象となっている患者の過去検査の医用画像の検索が行われる(ステップS101)。具体的には、受信された検査オーダ情報と「患者ID」が一致するレコードが検査テーブル331bにおいて検索される。
【0042】
診断対象患者の過去検査の医用画像が検索された、即ち、NAS4の何れかに診断対象患者の過去検査の医用画像が格納されていると判断された場合(ステップS102;YES)、過去検査の医用画像の格納先が取得される(ステップS103)。具体的には、シリーズテーブル331cにおいてステップS101で検索されたレコードと「検査ID」が一致するレコードの検索が行われ、検索されたレコードの「格納先装置NO.」が取得される。なお、この格納先決定処理から明らかなように、本実施の形態においては、同一患者の過去検査の医用画像は全て同一のNAS4に格納されている。
【0043】
次いで、過去検査の医用画像の格納先であるNAS4の実質的な空き容量(Bとする)が算出される(ステップS104)。
実質的な空き容量とは、格納予約されている推定情報量を考慮した空き容量であり、現在のそのNAS4の空き容量から格納予約されている推定情報量を差し引いた容量である。
まず、格納状況テーブル331dが参照され、ステップS103で取得された格納先の「総容量」と「使用容量」が取得され、「総容量」から「使用容量」が減算される(B1とする)。
次いで、検査オーダ情報テーブル332aにおいて「予約格納先装置NO.」がステップS103で取得された格納先の装置NO.と一致するレコードが検索され、検索されたレコードのうち「格納済みフラグ」が「0」となっているものの「推定情報量」の合計が算出される(B2とする)。
次いで、B1−B2が算出される。この算出結果がBとなる。
【0044】
次いで、過去検査の医用画像の格納先であるNAS4の実質的な空き容量Bと上述の推定画像量Aとが比較され、B>Aであるか否かが判断される(ステップS105)。B>Aであると判断されると(ステップS105;YES)、過去検査の医用画像が格納されているNAS4が、受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の格納先として決定され(ステップS106)、格納先決定処理は終了する。
【0045】
B>Aではないと判断されると(ステップS105;NO)、診断対象患者の過去検査の医用画像の総情報量(Cとする)が取得される(ステップS107)。具体的には、シリーズテーブル331cにおいてステップS101で検索されたレコードと「検査ID」が一致するレコードの検索が行われ、検索された全てのレコードの「画像情報量」が合算される。
【0046】
診断対象患者の過去検査の医用画像の総情報量Cが算出されると、過去検査の医用画像が格納されているNAS4以外のNAS4の実質的な空き容量(総容量から使用容量及び格納予約されている医用画像の推定情報量を差し引いた容量)が算出され(ステップS108)、実質的な空き容量がA+Cより大きいNAS4が、受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の格納先として決定され、その装置NO.が検査オーダ情報テーブル332aの当該検査オーダ情報に対応する「予約格納先装置NO.」に格納される(ステップS109)。そして、格納先として決定されたNAS4に、過去検査の医用画像が移動される(ステップS110)。
【0047】
ステップS110においては、例えば、ステップS103で取得された過去検査の医用画像の格納先であるNAS4に、受信された検査オーダ情報の患者IDが通知されるとともに、この患者IDをもつ医用画像をステップS109において格納先として決定されたNAS4に移動する指示が通信部36により通知される。NAS4においては、通知された患者IDをもつ医用画像が読み出されて指示されたNAS4に送信される。送信が完了すると、NAS4において、送信完了通知が医用画像管理装置3に送信される。例えば、送信先(移動先)のNAS4の装置NO.、送信した医用画像のシリーズID、現在の使用容量等が通知される。送信先(移動先)のNAS4では、医用画像の受信が完了すると、受信完了通知が医用画像管理装置3に送信される。例えば、受信した医用画像のシリーズID、使用容量、最終格納時刻等が通知される。
【0048】
過去検査の医用画像の移動が完了すると、画像格納状況DB331が更新され(ステップS111)、格納先決定処理は終了する。具体的には、通信部36により受信された送信完了通知及び受信完了通知に基づいて画像格納状況DB331のシリーズテーブル331cの格納先装置NO.や格納状況テーブル331dの使用容量、最終格納時刻等が更新される。
【0049】
一方、ステップS102において、診断対象患者の過去検査の医用画像が検索されなかったと判断された場合(ステップS102;NO)、各NAS4の実質的な空き容量(総容量から使用容量及び格納予約されている医用画像の推定情報量を差し引いた容量)が算出され(ステップS112)、実質的な空き容量が推定された情報量Aより大きいNAS4が、受信された検査オーダ情報に従って撮影される医用画像の格納先として決定され、その装置NO.が検査オーダ情報テーブル332aの当該検査オーダ情報に対応する「予約格納先装置NO.」に格納され(ステップS113)、格納先決定処理は終了する。
【0050】
図6に戻り、モダリティ2において検査オーダ情報に従って撮影が行われ、医用画像が生成されると(ステップS7)、生成された医用画像が医用画像管理装置3に送信される(ステップS8)。
【0051】
医用画像管理装置3においては、通信部36によりモダリティ2から医用画像が受信されると、通信部36により、受信された医用画像及び当該医用画像の格納指示が上記格納先として決定されたNAS4に送信される(ステップS9)。具体的には、受信された医用画像の付帯情報に基づいて、この受信された医用画像の検査オーダ情報が特定され、その検査オーダ情報に対応する予約格納先の装置NO.が検査オーダ情報テーブル332aから取得される。そして、予約格納先の装置NO.のNAS4のIPアドレスが格納状況テーブル331dから取得され、取得されたIPアドレス宛に医用画像及び格納指示が送信される。
【0052】
NAS4においては、医用画像管理装置3から医用画像及び格納指示が受信されると、受信された医用画像がHDDに格納される(ステップS10)。そして、格納完了通知が医用画像管理装置3に送信される(ステップS11)。格納完了通知には、例えば、NAS4において格納が完了した時刻、使用容量、格納した各医用画像の付帯情報及び画像情報量等が含まれる。
【0053】
医用画像管理装置3においては、通信部36によりNAS4から格納完了通知が受信されると、受信された格納完了通知に基づいて画像格納状況DB331及び格納予約状況DB332が更新される(ステップS12)。具体的には、NAS4に格納された各医用画像の付帯情報及び画像情報量に基づいて、格納された医用画像についての各種情報が患者情報テーブル331a、検査テーブル331b、シリーズテーブル331cに登録される。また、格納完了時刻、使用容量に基づいて格納状況テーブル331dの該当する装置NO.の「使用容量」「最終格納時刻」が更新される。また、NAS4に格納された医用画像について、格納予約状況DB332の検査オーダ情報テーブル332aの「格納済みフラグ」が「1」に設定される。
以上の流れにより、検査オーダ情報の発行から医用画像の格納までの処理が行われる。
【0054】
医用画像管理装置3においては、読影端末5から医用画像の取得要求が受信されると、要求された医用画像の格納先が画像格納状況DB331の各テーブルを参照することにより特定される。そして、特定された格納先が読影端末5に通知される。読影端末5においては、通知された格納先のNAS4にアクセスが行われ医用画像が取得される。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態における医用画像管理装置3によれば、制御部31は、通信部36によりHIS/RIS1からの検査オーダ情報を受信した際に、記憶部33の画像格納状況DB331に基づいて当該受信された検査オーダ情報の検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が複数のNAS4の何れかに格納されているか否かを判断し、格納されていると判断した場合に、当該受信された検査オーダ情報に基づいてモダリティ2で生成される医用画像の格納先を検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されているNAS4に予め決定する。
【0056】
従って、モダリティ2での撮影と並行して格納先を決定するので、従来のように医用画像の受信後に医用画像の付帯情報に基づいて格納先を決定する場合に比べ、医用画像の格納先の決定を効率的に行うことが可能となる。その結果、撮影から画像格納までにかかる時間を短縮することが可能となる。また、画像の格納先は、検査対象の患者に係る過去画像の医用画像が格納されているNAS4に決定されるので、同一患者の過去検査の画像を参照して比較読影を行うような場合においても読影端末5から1つのNAS4にアクセスするだけですみ、医師等のユーザは、診断に必要な医用画像に効率的にアクセスして画像診断を行うことが可能となる。
【0057】
また、制御部31は、受信された検査オーダ情報に基づいてモダリティ2で生成される医用画像の情報量を推定し、記憶部33に記憶されている情報に基づいて検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されているNAS4に推定した情報量の医用画像を格納可能であるか否かを判断し、格納可能であると判断した場合に、受信された検査オーダ情報に基づいてモダリティ2で生成される医用画像の格納先を検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されているNAS4に決定する。従って、検査オーダ情報に基づいて、モダリティ2で生成される医用画像が過去検査の医用画像の格納されているNAS4に格納可能であるかを確認した上で、医用画像の格納先を決定することが可能となる。
【0058】
また、制御部31は、検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されているNAS4に受信された撮影オーダ情報から推定した情報量の医用画像を格納できないと判断した場合には、当該受信された検査オーダ情報に基づいてモダリティ2で生成される医用画像の格納先を当該医用画像及び検査対象の患者に係る過去検査の医用画像の双方を格納可能な画像格納装置に決定し、検査対象に係る患者の過去検査の医用画像を決定されたNAS4に移動させる。従って、検査対象患者の過去検査の医用画像の格納されているNAS4の容量が少なく、モダリティ2で生成される医用画像が格納できない場合であっても、診断時のアクセスの効率性を確保することが可能となる。
【0059】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態においては、予めモダリティ2と検査部位の組み合わせ毎に画像情報量を算出して画像サイズ算出テーブル331eに格納しておき、画像情報量を推定する際には、このテーブルを参照することとして説明したが、この画像サイズ算出テーブル331eの内容は、モダリティ2から受信した医用画像の実際の画像情報量に基づいて更新していくようにしてもよい。このようにすれば、例えば、同一モダリティで同一部位を撮影する際の1シリーズあたりの撮影枚数が変更された際等にも次回からは精度良く画像情報量を推定することが可能となる。
【0060】
また、上記実施の形態においては、移動対象とする過去検査の医用画像を同一患者の医用画像としたが、同一患者の1年以内に撮影された医用画像等の制限を設けることとしてもよい。
【0061】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0062】
その他、医用画像管理システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における医用画像管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1の医用画像管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、図2の画像格納状況DBにおける患者情報テーブルのデータ格納例を示す図であり、(b)は、図2の画像格納状況DBにおける検査テーブルのデータ格納例を示す図であり、(c)は、図2の画像格納状況DBにおけるシリーズテーブルのデータ格納例を示す図である。
【図4】(a)は、図2の画像格納状況DBにおける格納状況テーブルのデータ格納例を示す図であり、(b)は、図2の画像格納状況DBにおける画像サイズ算出テーブルのデータ格納例を示す図である。
【図5】(a)は、図2の格納予約状況DBにおける検査オーダ情報テーブルのデータ格納例を示す図であり、(b)は、図2の格納予約状況DBにおける最終格納予約時刻テーブルのデータ格納例を示す図である。
【図6】図1の医用画像管理システムを構成する各装置間における処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】図6のステップS6において医用画像管理装置の制御部により実行される格納先決定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
100 医用画像管理システム
1 HIS/RIS
2 モダリティ
3 医用画像管理装置
31 制御部
32 RAM
33 記憶部
331 画像格納状況DB
331a 患者情報テーブル
331b 検査テーブル
331c シリーズテーブル
331d 格納状況テーブル
331e 画像サイズ算出テーブル
332 格納予約状況DB
332a 検査オーダ情報テーブル
332b 最終格納予約時刻テーブル
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 計時部
38 バス
4 NAS
5 読影端末
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査オーダ情報を生成するオーダ生成装置と、前記オーダ生成装置において生成された検査オーダ情報に基づいて医用画像を生成するモダリティと、前記モダリティにおいて生成された医用画像を格納する複数の画像格納装置と、前記モダリティにおいて生成された医用画像を前記画像格納装置の何れかに格納する制御を行う医用画像管理装置と、が通信ネットワークを介して接続された医用画像管理システムであって、
前記オーダ生成装置は、生成した検査オーダ情報を前記モダリティ及び前記医用画像管理装置に送信し、
前記医用画像管理装置は、
前記モダリティで過去に生成され前記複数の画像格納装置に格納されている医用画像に関する情報、前記複数の画像格納装置のそれぞれの画像格納状況及び格納予約状況を含む情報を記憶する記憶部と、
前記オーダ生成装置から検査オーダ情報を受信した際に、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて当該受信された検査オーダ情報の検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が前記複数の画像格納装置の何れかに格納されているか否かを判断し、格納されていると判断した場合に、当該受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に予め決定する制御部と、
を備える医用画像管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の情報量を推定し、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に前記推定した情報量の医用画像を格納可能であるか否かを判断し、格納可能であると判断した場合に、前記受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に決定する請求項1に記載の医用画像管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像が格納されている画像格納装置に前記推定した情報量の医用画像を格納できないと判断した場合には、当該受信された検査オーダ情報に基づいて前記モダリティで生成される医用画像の格納先を当該医用画像及び前記検査対象の患者に係る過去検査の医用画像の双方を格納可能な画像格納装置に決定し、前記検査対象に係る患者の過去検査の医用画像を前記決定された画像格納装置に移動させる請求項2に記載の医用画像管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−152624(P2010−152624A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329747(P2008−329747)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】