説明

医用画像管理装置及びプログラム

【課題】患者情報が不整合である医用画像データに対しても、患者情報を修正せずに読影作業を行えるようにする。
【解決手段】PACSは、モダリティからDICOM画像データを取得する。PACSは、このDICOM画像に含まれる付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されているDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定する。判定の結果が「整合性有り」の場合、PACSは、患者情報マスタテーブルT1等を更新する。判定の結果が「整合性無し」の場合、PACSは、患者情報不整合テーブルT2等を更新する。そして、PACSは、取得したDICOM画像データを予め管理されているDICOM画像データと共に管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所等の医療施設では、X線撮影装置等の医用画像撮影装置(モダリティ)を用いて患者の撮影が行われ、医用画像(医用画像データ)が生成される。そして、この医用画像に患者情報や検査情報等を含む付帯情報が付帯され、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したDICOM画像データが生成される。DICOMとは、医用画像の通信及び保存フォーマットに関する標準規格であり、この規格に準拠することで、異なる医療機器間での相互通信性が確保される。
【0003】
生成されたDICOM画像データは、PACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれる医用画像管理システム(医用画像管理装置)に送信され、このPACSにて記憶され管理される(PACSに登録される)。
【0004】
ところで、誤った患者情報でDICOM画像データが生成され、このDICOM画像データがPACSに登録された場合、様々な弊害が発生し、PACSにおいて正常な管理ができなくなる。
【0005】
具体的には、モダリティのオペレータ(撮影技師)の入力ミス等により、誤った患者氏名や重複した患者IDでDICOM画像データが生成され、このDICOM画像データがPACSに登録された場合、既にPACSに登録されているDIOCM画像データの患者情報との整合性の不一致が生じる。そのため、登録されたDICOM画像データを特定することができなくなったり、登録されたDICOM画像データと既に登録されている異なる患者のDICOM画像データとが重複されて管理される等の弊害が発生する。
【0006】
このような問題を解決するために、PACSに登録する際に、DICOM画像データの付帯情報の整合性を判定し、整合が取れているDICOM画像データのみをPACSに登録する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、PACSに登録する際に、DICOM画像データの付帯情報の整合性を判定し、整合が取れているDICOM画像データのみをPACSに登録し、整合が取れていないDICOM画像データの付帯情報を修正することができる技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−149180号公報
【特許文献2】特開2005−149111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1、特許文献2の技術では、患者情報等の付帯情報を修正しなければ、PACSからDICOM画像データを読み出すこと、又は、PACSにDICOM画像を登録することができなかった。そのため、読影医は、患者情報等の付帯情報を修正しなければ、DICOM画像データに対する読影作業を行うことができなかった。
【0010】
また、読影医は、患者情報等を修正する際、撮影技師に正しい患者情報(患者IDや患者氏名)を問い合わせる必要があり、不便であった。
【0011】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、患者情報が不整合である医用画像データに対しても、患者情報を修正せずに読影作業を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
医用画像データを管理する医用画像管理装置であって、
付帯情報が付帯された医用画像データを取得する取得手段と、
前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定し、不整合の場合、前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報を不整合患者情報として、前記取得された医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理する制御手段と、
を備える。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御手段は、前記管理されている医用画像データに対する読影レポート情報を管理し、前記管理されている医用画像データのうち前記不整合患者情報を含む付帯情報が付帯された医用画像データに対する読影レポート情報を更新可能とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御手段は、管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる検査情報のリストを画面に表示させ、当該リストのレコードが不整合患者情報に関するレコードである場合、その旨を前記画面に表示させる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記不整合患者情報の内容を変更する旨の操作信号を受け付ける入力手段を更に備え、
前記操作信号に基づいて、前記管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる不整合患者情報の内容を変更して、前記不整合患者情報から患者情報へと修正する。
【0016】
請求項5に記載のプログラムは、
医用画像データを管理するコンピュータを、
付帯情報が付帯された医用画像データを取得する取得手段、
前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定し、不整合の場合、前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報を不整合患者情報として、前記取得された医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理する制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、5に記載の発明によれば、医用画像データを取得し、この医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定し、不整合の場合、前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報を不整合患者情報として、前記取得された医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理する。
【0018】
そのため、不整合の患者情報を修正しなくても、この患者情報を含む医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理することができる。よって、患者情報が不整合である医用画像データに対しても、読影医等のユーザは、患者情報を修正せずに読影作業を行うことができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、管理されている医用画像データのうち前記不整合患者情報を含む付帯情報が付帯された医用画像データに対する読影レポート情報を更新可能とする。
【0020】
そのため、ユーザは、既に管理(登録)されている、患者情報が未確定(不整合)である患者に関する読影レポート情報を修正することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる検査情報のリストを画面に表示させ、当該リストのレコードが不整合患者情報に関するレコードである場合、その旨を前記画面に表示させる。
【0022】
そのため、ユーザは、患者情報が未確定(不整合)である患者に関する検査を容易に知ることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、入力手段からの操作信号に基づいて、管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる不整合患者情報の内容を変更して、前記不整合患者情報から患者情報へと修正する。
【0024】
そのため、ユーザは、医用画像データを管理(登録)させた後に、未確定(不整合)の患者情報を正しい患者情報に修正することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】放射線科システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】DICOM画像データのデータ構成図である。
【図3】PACSのブロック図である。
【図4】DICOM画像データ管理DBにおける管理テーブルの関連図である。
【図5】DICOM画像データ登録処理のフローチャートである。
【図6】患者情報修正処理のフローチャートである。
【図7】患者情報修正処理における管理テーブルの関連変更のイメージ図である。
【図8】患者情報修正処理における管理テーブルの関連変更のイメージ図である。
【図9】読影レポート登録更新処理のフローチャートである。
【図10】検査リストの画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の医用画像管理装置を図1のPACS30に適用した場合の実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
【0027】
[放射線科システムのシステム構成]
先ず、PACS30を有する放射線科システム100の概要について図1を用いて説明する。
【0028】
図1は、放射線科システム100のシステム構成の一例を示すブロック図である。図1によれば、放射線科システム100は、RIS10と、モダリティ20と、PACS30と、クライアント端末40と、から構成されている。上記の各装置はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0029】
RIS10は、放射線科部門(放射線科システム100)内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、図示しない電子カルテシステム等において生成された撮影オーダ情報をモダリティ20に送信する。
【0030】
モダリティ20は、RIS10から受信した撮影オーダ情報に従って、患者を撮影し、医用画像の画像データ(医用画像データ)を生成する撮影装置である。また、モダリティ20は、前記撮影オーダ情報に基づいて、前記画像データに関する付帯情報を生成する。そして、モダリティ20は、前記画像データ(以下、実画像データと称す。)に当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOM画像データを生成し、PACS30に送信する。モダリティ20としては、CR装置、CT装置、MRI装置等、様々な種類の医用画像を撮影する撮影装置(医用画像撮影装置)が適用可能である。
【0031】
図2に、モダリティ20が生成するDICOM画像データのデータ構成図を示す。前述したように、DICOM画像データは、付帯情報と実画像データとから構成される。また、付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像識別情報を含む。
【0032】
患者情報は、患者ID、患者氏名、性別、生年月日、住所、職業等の患者に関する情報である。検査情報は、検査を識別する検査ID、検査名、検査日時、受付番号、検査目的、検査内容等の検査に関する情報である。シリーズ情報は、シリーズ番号、モダリティ名、手技、撮影部位、撮影方向、撮影技師名等の、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)に関する情報である。画像識別情報は、画像を識別するSOPインスタンスUID、画像番号、画像サイズ等の医用画像に関する情報である。
【0033】
図1に戻り、PACS30は、モダリティ20において生成されたDICOM画像データを保存管理し、検索やデータ解析を行うデータベースシステムである。PACS30は、モダリティ20から受信したDICOM画像データに含まれる付帯情報に基づいて当該DICOM画像データを、例えば、リレーショナルデータベースに蓄積記憶していく。そして、PACS30は、読影医等の操作指示に応じて指定された患者IDや検査ID等を検索キーとしてDICOM画像データを検索し、画像ビューワやイメージャに出力する。PACS30は、患者IDや検査ID等の検索キーを含むDICOM画像データ取得要求を外部機器から受信すると、この取得要求に応じたDICOM画像データを検索して外部機器に提供(送信)する。
【0034】
また、PACS30は、医用画像の読影レポートの情報(読影レポート情報)を管理するレポート管理機能を有する。PACS30は、クライアント端末40から読影レポート情報を受信すると、この読影レポート情報を保存して管理する。
【0035】
クライアント端末40は、医用画像を表示するビューワ機能を有しており、読影医等の読影に供する端末である。クライアント端末40は、DICOM画像データ取得要求をPACS30に送信し、PACS30から取得要求に応じたDICOM画像データを取得する。そして、クライアント端末40は、取得したDICOM画像データを表示する。
【0036】
また、クライアント端末40は、読影レポート情報を生成するレポート生成機能を有する。クライアント端末40は、読影医等によるユーザ操作に基づいて、読影レポート情報を生成する。クライアント端末40は、生成した読影レポート情報をPACS30に送信する。
【0037】
[PACSの機能的構成]
図3に、PACS30の機能的構成を示す。
【0038】
図3に示すように、PACS30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0039】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、PACS30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、記憶部35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0040】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0041】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0042】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたモダリティ20、クライアント端末40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0043】
記憶部35は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部35は、モダリティ20により生成されたDICOM画像データを記憶する。また、記憶部35は、クライアント端末40により生成された読影レポート情報を記憶する。
【0044】
また、記憶部35は、DICOM画像データを管理するためのデータベースプログラムであるDICOM画像データ管理DB351を記憶する。DICOM画像データ管理データDB351と制御部31との協働により、記憶部35に記憶されているDICOM画像データや読影レポート情報を管理する。
【0045】
図4に、DICOM画像データ管理DB351における管理テーブルの関連図を示す。
【0046】
図4に示すように、DICOM画像データ管理DB351は、患者情報マスタテーブルT1、患者情報不整合テーブルT2、検査情報テーブルT3、シリーズ情報テーブルT4、画像識別情報テーブルT5等の管理テーブルから構成される。
【0047】
患者情報マスタテーブルT1及び患者情報不整合テーブルT2は、管理対象となるDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報を管理する管理テーブルである。患者情報マスタテーブルT1及び患者情報不整合テーブルT2は、「患者ID」「患者氏名」「性別」「生年月日」「住所」「職業」等の項目から成る1又は複数のレコードから構成される。
【0048】
検査情報テーブルT3は、管理対象となるDICOM画像データの付帯情報に含まれる検査情報を管理する管理テーブルである。検査情報テーブルT3は、「検査ID」「検査名」「検査日時」「受付番号」「検査目的」「検査内容」等の項目から成る1又は複数のレコードから構成される。
【0049】
シリーズ情報テーブルT4は、管理対象となるDICOM画像データの付帯情報に含まれるシリーズ情報を管理する管理テーブルである。シリーズ情報テーブルT4は、「シリーズ番号」「モダリティ名」「手技」「撮影部位」「撮影方向」「撮影技師名」等の項目から成る1又は複数のレコードから構成される。
【0050】
画像識別情報テーブルT5は、管理対象となるDICOM画像データの付帯情報に含まれる画像識別情報を管理する管理テーブルである。画像識別情報テーブルT5は、「SOPインスタンスUID」「画像番号」「画像サイズ」等の項目から成る1又は複数のレコードから構成される。
【0051】
これらの管理テーブルは、DICOM画像データ管理DB351内で管理されるローカルID(LID)により関連付けられる。具体的に、患者情報マスタテーブルT1の1レコードに対して、検査情報テーブルT3の1又は複数のレコードが関連付けられる。患者情報不整合テーブルT2の1レコードに対して、検査情報テーブルT3の1又は複数のレコードが関連付けられる。検査情報テーブルT3の1レコードに対して、シリーズ情報テーブルT4の1又は複数のレコードが関連付けられる。シリーズ情報テーブルT4の1レコードに対して、画像識別情報テーブルT5の1又は複数のレコードが関連付けられる。
【0052】
また、検査情報テーブルT3の1レコードに対して、1検査分の読影レポート情報が関連付けられる。画像識別情報テーブルT5の1レコードに対して、1画像分のDICOM画像データが関連付けられる(図示せず)。
【0053】
図3に戻り、通信部34がモダリティ20からDICOM画像データを受信すると、制御部31は、DICOM画像データ登録処理を行い、DICOM画像データ管理DB351内の管理テーブルを更新する。また、制御部31は、このDICOM画像データを記憶部35に記憶させる。DICOM画像データ登録処理についての詳細は後述する。
【0054】
操作部32がユーザによる患者情報を修正する旨のキー操作を受け付けると、又は、通信部34が患者情報を修正する旨の指示信号を受信すると、制御部31は、患者情報修正処理を行い、DICOM画像データ管理DB351内の患者情報マスタテーブルT1や患者情報不整合テーブルT2等を更新する。患者情報修正処理についての詳細は後述する。
【0055】
操作部32がユーザによる読影レポートを作成する旨のキー操作を受け付けると、又は、通信部34が読影レポートを作成する旨の指示信号を受信すると、制御部31は、読影レポート登録更新処理を行い、検査リスト331の表示や、DICOM画像データ管理DB351への読影レポート情報の登録や更新を行う。読影レポート登録更新処理についての詳細は後述する。
【0056】
[DICOM画像データ登録処理]
次に、PACS30の制御部31が行うDICOM画像データ登録処理について、図5を用いて説明する。
【0057】
制御部31は、通信部34を介してモダリティ20からDICOM画像データを取得する(ステップS1)。
【0058】
制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報と、予めDICOM画像データ管理DB351において管理されているDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定する(ステップS2)。判定の結果が「整合性有り」の場合(ステップS3;YES)、制御部31は、患者情報マスタテーブルT1を更新する。又は、制御部31は、患者情報マスタテーブルT1と患者情報不整合テーブルT2を共に更新しない(ステップS4)。判定の結果が「整合性無し」の場合(ステップS3;NO)、制御部31は、患者情報不整合テーブルT2を更新する(ステップS5)。
【0059】
具体的に、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報の項目「患者ID」を読み出す。そして、制御部31は、この「患者ID」と同じ値の「患者ID」を持つレコードを患者情報マスタテーブルT1から検索する。
【0060】
検索の結果、該当するレコードが無い場合、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報を「整合性有り」と判定する(ステップS3;YES)。そして、制御部31は、この患者情報のレコードを患者情報マスタテーブルT1に加える。即ち、制御部31は、患者情報マスタテーブルT1を更新する(ステップS4)。
【0061】
検索の結果、該当するレコードが有る場合、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報の「患者ID」以外の項目(「患者氏名」「性別」「生年月日」「住所」「職業」)と、該当するレコードの「患者ID」以外の項目(「患者氏名」「性別」「生年月日」「住所」「職業」)と、をそれぞれ比較する。これらの項目が全て一致した場合、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報を「整合性有り」と判定する(ステップS3;YES)。このとき、制御部31は、両テーブル(患者情報マスタテーブルT1と患者情報不整合テーブルT2)を共に更新しない(ステップS4)。
【0062】
一方、比較の結果、これらの項目の何れかが一致しない場合、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報を「整合性無し」と判定する(ステップS3;NO)。そして、制御部31は、この患者情報のレコードを患者情報不整合テーブルT2に加える。即ち、制御部31は、患者情報不整合テーブルT2を更新する(ステップS5)。
【0063】
ステップS4又はステップS5の処理を行った後、制御部31は、検査情報テーブルT3を更新する(ステップS6)。具体的に、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる検査情報を、検査情報テーブルT3のレコードとして加える。
【0064】
次に、ステップS2における患者情報の整合性の判定結果が「整合性有り」の場合(ステップS7;YES)、制御部31は、検査情報テーブルT3に加えたレコードを、患者情報マスタテーブルT1の該当するレコードに関連付ける(ステップS8)。ここで、該当するレコードとは、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報の「患者ID」と同じ値の「患者ID」を持つレコードである。
【0065】
一方、ステップS2における患者情報の整合性の判定結果が「整合性無し」の場合(ステップS7;NO)、制御部31は、検査情報テーブルT3に加えたレコードを、患者情報不整合テーブルT2に加えたレコードに関連付ける(ステップS9)。
【0066】
ステップS8又はステップS9の処理を行った後、制御部31は、シリーズ情報テーブルT4を更新する(ステップS10)。具体的に、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれるシリーズ情報を、シリーズ情報テーブルT4のレコードとして加える。そして、制御部31は、シリーズ情報テーブルT4に加えたレコードを、検査情報テーブルT3に加えたレコードに関連付ける。
【0067】
次に、制御部31は、画像識別情報テーブルT5を更新する(ステップS11)。具体的に、制御部31は、ステップS1において取得したDICOM画像データの付帯情報に含まれる画像識別情報を、画像識別情報テーブルT5のレコードとして加える。そして、制御部31は、画像識別情報テーブルT5に加えたレコードを、シリーズ情報テーブルT4に加えたレコードに関連付ける。以上で、DICOM画像データ登録処理が終了する。
【0068】
[患者情報修正処理]
次に、PACS30の制御部31が行う患者情報修正処理について、図6を用いて説明する。
【0069】
まず、読影医等のユーザは、クライアント端末40において、PACS30で管理されている患者情報を修正する旨のキー操作を行う。クライアント端末40は、キー操作に基づいて、患者情報を修正する旨の指示信号を生成し、PACS30に送信する。制御部31は、通信部34を介して、患者情報を修正する旨の指示信号(患者情報修正入力)を取得する(受け付ける)(ステップS101)。
【0070】
もしくは、読影医等のユーザは、PACS30の操作部32に対して、患者情報を修正する旨のキー操作を行う。操作部32は、このキー操作を受け付けると、制御部31に患者情報を修正する旨の操作信号を出力する。制御部31は、操作部32からの患者情報を修正する旨の操作信号(患者情報修正入力)を取得する(受け付ける)(ステップS101)。
【0071】
患者情報修正入力には、2つの種類がある。1つ目の患者情報修正入力は、患者情報不整合テーブルT2に登録されているレコードを指定し、この指定したレコードにおける患者情報を修正する旨の入力である。2つ目の患者情報修正入力は、患者情報不整合テーブルT2に登録されているレコードと、患者情報マスタテーブルT1に登録されているレコードを指定し、この指定した患者情報不整合テーブルT2のレコードを、指定した患者情報マスタテーブルT1のレコードの情報に上書きする旨の入力である。
【0072】
1つ目の患者情報修正入力を制御部31が受け付けた場合、次のような処理になる。即ち、制御部31は、患者情報修正入力を受け付けると、この患者情報修正入力に基づいて、患者情報不整合テーブルT2の指定されたレコードの各項目の値を変更(修正)する。そして、制御部31は、指定されたレコードを、患者情報不整合テーブルT2から削除し、患者情報マスタテーブルT1に追加する(ステップS102)。
【0073】
そして、制御部31は、患者情報不整合テーブルT2から削除されたレコードと関連付けられていた検査情報テーブルT3の1又は複数のレコードを、患者情報マスタテーブルT1に追加されたレコードに関連付ける(図7、図8参照)(ステップS103)。
【0074】
2つ目の患者情報修正入力を制御部31が受け付けた場合、次のような処理になる。即ち、制御部31は、患者情報修正入力を受け付けると、この患者情報修正入力に基づいて、患者情報不整合テーブルT2の指定されたレコードを、患者情報不整合テーブルT2から削除する(ステップS102)。
【0075】
そして、制御部31は、患者情報不整合テーブルT2から削除されたレコードと関連付けられていた検査情報テーブルT3の1又は複数のレコードを、患者情報マスタテーブルT1の指定されたレコードに関連付ける(図7、図8参照)(ステップS103)。以上で、患者情報修正処理が終了する。
【0076】
この処理により、ユーザは、医用画像データを管理(登録)させた後に、未確定(不整合)の患者情報を正しい患者情報に修正することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0077】
[読影レポート登録更新処理]
次に、PACS30の制御部31が行う読影レポート登録更新処理について、図9を用いて説明する。
【0078】
読影医等のユーザは、クライアント端末40において、読影レポートを作成する旨のキー操作を行う。クライアント端末40は、このキー操作に基づいて、検査リスト取得要求をPACS30に送信する。
【0079】
制御部31は、通信部34を介して検査リスト取得要求を取得(受信)すると、DICOM画像データ管理DB351の管理テーブルに基づいて、検査リスト331を生成する。そして、制御部31は、通信部34を介して検査リスト331をクライアント端末40の画面に表示させる(ステップS201)。
【0080】
もしくは、読影医等のユーザは、PACS30の操作部32に対して、読影レポートを作成する旨のキー操作を行う。操作部32は、このキー操作を受け付けると、制御部31に検査情報のリストを表示する旨の操作信号を出力する。
【0081】
制御部31は、操作部32から検査情報のリストを表示する旨の操作信号を受け付けると、DICOM画像データ管理DB351の管理テーブルに基づいて、検査リスト331を生成する。そして、制御部31は、表示部33に検査リスト331を表示させる(ステップS201)。
【0082】
図10に、検査リスト331の画面例を示す。検査リスト331は、「患者ID」「患者氏名」「性別」「検査日」「部位」「モダリティ」「レポート」等の項目と未確定フラグ表示欄C1とから成る1又は複数のレコードから構成される。
【0083】
検査リスト331の1レコードは、検査情報テーブルT3の1レコードに関する情報である。項目「検査日」は、検査情報テーブルT3のレコードの「検査日時」に対応する項目である。項目「部位」「モダリティ」は、検査情報テーブルT3のレコードに関連付けられているシリーズ情報テーブルT4のレコードの項目「撮影部位」「モダリティ名」に対応する項目である。
【0084】
未確定フラグ表示欄C1は、検査情報テーブルT3のレコードが患者情報マスタテーブルT1のレコードに関連付けられているか、患者情報不整合テーブルT2のレコードに関連付けられているかを示す欄である。具体的に、検査情報テーブルT3のレコードが患者情報マスタテーブルT1のレコードに関連付けられている場合、未確定フラグ表示欄C1は空欄になる。一方、検査情報テーブルT3のレコードが患者情報不整合テーブルT2のレコードに関連付けられている場合、未確定フラグ表示欄C1には「!」が表示される。
【0085】
項目「患者ID」「患者氏名」「性別」は、検査情報テーブルT3のレコードに関連付けられている患者情報マスタテーブルT1又は患者情報不整合テーブルT2の「患者ID」「患者氏名」「性別」に対応する項目である。
【0086】
項目「レポート」は、検査情報テーブルT3のレコードに関連付けられている読影レポート情報が有るか否かを示す項目である。具体的に、検査情報テーブルT3のレコードに関連付けられている読影レポート情報が有る場合、項目「レポート」の値は、「済み」となる。一方、検査情報テーブルT3のレコードに関連付けられている読影レポート情報が無い場合、項目「レポート」の値は、「未作成」となる。
【0087】
図9に戻り、読影医等のユーザは、検査リスト331のレコードの中から読影レポートを作成する検査(読影レポート作成対象の検査)を選択する操作を行う。制御部31は、操作部32からの操作信号又は通信部34からの指示信号に基づいて、読影レポート作成対象の検査を選択する(ステップS202)。即ち、制御部31は、検査情報テーブルT3のレコードの中からの読影レポート作成対象となるレコードを選択する。この選択されたレコードを選択検査レコードと称す。
【0088】
制御部31は、DICOM画像データ管理DB351に問い合わせて、選択検査レコードに関連付けられている読影レポート情報が有るか否かを検索する(ステップS203)。
【0089】
ステップS203における検索の結果、読影レポート情報が無い場合(ステップS203;NO)、制御部31は、通信部34を介してクライアント端末40において生成された読影レポート情報を取得する(ステップS208)。もしくは、制御部31は、操作部32からの操作信号に基づいて、読影レポート情報を生成する(ステップS208)。
【0090】
制御部31は、DICOM画像データ管理DB351に取得又は生成した読影レポート情報を登録し(ステップS209)、記憶部35に記憶させる。具体的に、制御部31は、検査情報テーブルT3の選択検査レコードに取得又は生成した読影レポート情報を関連付ける。
【0091】
一方、ステップS203における検索の結果、読影レポートの情報が有る場合(ステップS203;YES)、制御部31は、検査情報テーブルT3の選択検査レコードが、患者情報マスタテーブルT1のレコード又は患者情報不整合テーブルT2のレコードの何れの管理テーブルのレコードに関連付けられているかを、DICOM画像データ管理DB351に問い合わせる(ステップS204)。
【0092】
ステップS204における問い合わせの結果、選択検査レコードが患者情報マスタテーブルT1のレコードに関連付けられている場合(ステップS204;NO)、制御部31は、クライアント端末40の画面又は表示部33に「選択した検査の読影レポートが既に登録されており、更新することができない」旨のエラー表示を表示させる(ステップS207)。
【0093】
一方、ステップS204における問い合わせの結果、選択検査レコードが患者情報不整合テーブルT2のレコードに関連付けられている場合(ステップS204;YES)、制御部31は、通信部34を介してクライアント端末40において修正された(生成された)読影レポート情報を取得する(ステップS205)。もしくは、制御部31は、操作部32からの操作信号に基づいて、読影レポート情報を修正(生成)する(ステップS205)。
【0094】
制御部31は、検査情報テーブルT3の選択検査レコードに関連付けられた読影レポート情報を修正された読影レポート情報に上書き(更新)する(ステップS206)。以上で、読影レポート登録更新処理が終了する。
【0095】
尚、不整合の患者情報を修正した後に、登録された読影レポート情報を更新することを可能とするために、以下のような構成としてもよい。
【0096】
即ち、読影レポート情報は、確定状態情報を含む。確定状態情報とは、読影レポート情報が確定しているか否かを示す情報である。確定状態情報が「確定」の場合、制御部31は、読影レポート情報を更新することができない。一方、確定状態情報が「未確定」の場合、制御部31は、読影レポート情報を更新することができる。
【0097】
読影レポート情報に関連付いている検査情報テーブルT3のレコードが、患者情報マスタテーブルT1のレコードに関連付いている場合、制御部31は、この読影レポート情報の確定状態情報を「確定」とする。
【0098】
一方、読影レポート情報に関連付いている検査情報テーブルT3のレコードが、患者情報不整合テーブルT2のレコードに関連付いている場合、制御部31は、この読影レポート情報の確定状態情報を「未確定」とする。
【0099】
制御部31は、操作部32からの操作信号に基づいて、読影レポート情報の確定状態情報を「未確定」から「確定」に変更することができる。尚、一度、確定状態情報が「確定」となったら、「未確定」に変更することはできない。
【0100】
以上、本実施形態によれば、PACS30の制御部31は、通信部34を介して、モダリティ20からDICOM画像データを取得する。制御部31は、このDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報と、予めDICOM画像データ管理DB351において管理されているDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定する。判定の結果が「整合性有り」の場合、制御部31は、患者情報マスタテーブルT1等を更新し、取得したDICOM画像データを予め管理されている医用画像データと共に記憶部35に記憶させ管理する。一方、判定の結果が「整合性無し」の場合、制御部31は、患者情報不整合テーブルT2等を更新し、取得したDICOM画像データを予め管理されている医用画像データと共に記憶部35に記憶させ管理する。
【0101】
そのため、不整合の患者情報を修正しなくても、この患者情報を含むDICOM画像データを予め管理されているDICOM画像データと共に管理することができる。よって、患者情報が不整合であるDICOM画像データに対しても、読影医等のユーザは、患者情報を修正せずに読影作業を行うことができる。
【0102】
また、読影レポート情報に関連付いている検査情報テーブルT3のレコードが、患者情報不整合テーブルT2のレコードに関連付いている場合、制御部31は、この読影レポート情報を更新可能とする。
【0103】
そのため、読影医等のユーザは、既に管理(登録)されている、患者情報が未確定(不整合)である患者に関する読影レポート情報を修正することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0104】
また、制御部31は、表示部33に検査リスト331を表示させる。この検査リスト331には、未確定フラグ表示欄C1の項目が含まれる。
【0105】
そのため、ユーザは、患者情報が未確定(不整合)である患者に関する検査を容易に知ることができる。
【0106】
尚、本実施形態における記述は、本発明に係る医用画像管理装置の一例であり、これに限定されるものではない。システム及び各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0107】
また、本実施形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 RIS
20 モダリティ
30 PACS
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
40 クライアント端末
100 放射線科システム
331 検査リスト
351 DICOM画像データ管理DB
C1 未確定フラグ表示欄
N 通信ネットワーク
T1 患者情報マスタテーブル
T2 患者情報不整合テーブル
T3 検査情報テーブル
T4 シリーズ情報テーブル
T5 画像識別情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データを管理する医用画像管理装置であって、
付帯情報が付帯された医用画像データを取得する取得手段と、
前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定し、不整合の場合、前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報を不整合患者情報として、前記取得された医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理する制御手段と、
を備える医用画像管理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記管理されている医用画像データに対する読影レポート情報を管理し、前記管理されている医用画像データのうち前記不整合患者情報を含む付帯情報が付帯された医用画像データに対する読影レポート情報を更新可能とする、
請求項1に記載の医用画像管理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる検査情報のリストを画面に表示させ、当該リストのレコードが不整合患者情報に関するレコードである場合、その旨を前記画面に表示させる、
請求項1又は2に記載の医用画像管理装置。
【請求項4】
前記不整合患者情報の内容を変更する旨の操作信号を受け付ける入力手段を更に備え、
前記操作信号に基づいて、前記管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる不整合患者情報の内容を変更して、前記不整合患者情報から患者情報へと修正する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像管理装置。
【請求項5】
医用画像データを管理するコンピュータを、
付帯情報が付帯された医用画像データを取得する取得手段、
前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報と、予め管理されている医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報との整合性を判定し、不整合の場合、前記取得された医用画像データに付帯する付帯情報に含まれる患者情報を不整合患者情報として、前記取得された医用画像データを予め管理されている医用画像データと共に管理する制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−246628(P2010−246628A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96746(P2009−96746)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】