説明

医用画像表示装置

【課題】 画像データの選択に要する時間と手間を低減することができる医用画像表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 画像データの選択に要する時間と手間を低減することができる医用画像表示装置を提供することを目的とし、スカウト画像とシリーズ画像に含まれる複数の画像データの位置を当該スカウト画像上で示すスライスラインとを含む読影範囲設定画面を表示する設定画面表示手段と、前記読影範囲設定画面上で読影範囲の始点と終点とを設定するための設定手段と、前記始点と終点で示された読影範囲の画像データに関するサムネイル画像を表示するサムネイル画像表示手段とを備えることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像データから構成された画像集合の管理及び処理を行なう医用画像
表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断技術は、1970年代のコンピュータ技術の発展に伴って実用化されたM
RI装置やX線CT装置などによって急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠
なものとなっている。そして、これらの装置によって生成される各々の画像データは、ネ
ットワークを介して接続された医用画像管理通信システム(PACS)において集中管理
され、医師らは、HISやRISの画像データサーバにおいて保存されている画像データ
の中から所望の画像データを読み出すことによって、例えば、同一の患者に対し異なる画
像診断装置あるいは撮影条件によって得られた画像データの比較や同一画像診断装置によ
って得られた過去及び最新の画像データの比較などを行ない診断精度の向上を図っている

【0003】
又、最近では、上記画像データサーバにおいて集中管理される画像データには、従来の
2次元画像データのみならず、例えば、X線CT装置、MRI装置、X線診断装置、超音
波診断装置などによって得られる3次元的な画像データや時系列的な2次元画像データ、
更には時系列的な3次元画像データ(所謂、4次元画像データ)が含まれるようになって
きており、上記の画像比較の対象となる画像データ数は急速に増大している。
【0004】
上述のような画像データの比較において、空間的あるいは時間的に連続して収集された
当該被検体の複数枚の画像データ群はシリーズとして取り扱われ、シリーズ間の比較によ
って異なる撮影条件で得られた画像データの比較観察が行なわれる。
【0005】
ところで、3つ以上のシリーズからなる画像データ群の中から2つのシリーズを選択し
て例えば表示部のモニタ上に表示する場合、シリーズの選択や更新を効率よく行なうため
に、従来より、サムネイル画像を用いた方法が用いられている。
【0006】
この方法における表示部の表示画面には、図12に示すように基準シリーズの画像デー
タとこの画像データと比較読影される比較対象シリーズの画像データが表示される画像デ
ータ表示領域51と、これらの画像データが属するシリーズのサムネイル画像データが表
示されるサムネイル画像データ表示領域52が設けられている。そして、画像データ表示
領域51には、例えば基準シリーズであるシリーズAの画像データA5と比較対象シリー
ズであるシリーズBの画像データB1が並列表示されている。
【0007】
この画像データ表示領域51に表示された画像データB1をシリーズCの画像データC
1に入れ替える場合、操作者は、サムネイル画像データ表示領域52に表示されているサ
ムネイル画像データAt、Bt及びCtの中からシリーズCのサムネイル画像データCt
を選択する。次いで、このサムネイル画像データCtを画像データ表示領域51の画像デ
ータB1にドラッグ&ドロップすることにより、画像データB1は画像データC1に更新
される。即ち、表示中のシリーズBの画像データB1にシリーズCのサムネイル画像デー
タCtをドラッグ&ドロップするだけの簡単な操作で表示部に表示される画像データをシ
リーズBからシリーズCに更新することが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
尚、前記サムネイル画像データ表示領域52には、各シリーズにおける代表画像データ
のサムネイル画像データAt,Bt,Ctが表示される。又、画像データ表示領域51に
表示される画像データA5,B1,C1は、シリーズAの5枚目の画像データ、シリーズ
Bの1枚目の画像データ、シリーズCの1枚目の画像データを夫々示しており、サムネイ
ル画像データCtがドラッグ&ドロップされた画像データ表示領域51には、例えばシリ
ーズCにおける先頭番地の画像データC1が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−73680号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
異なるシリーズにおける画像データを比較表示する場合、撮影位置あるいは撮影時相が
一致した各シリーズの画像データの比較を行なう必要があるが、上述の方法によってシリ
ーズ間の画像比較を行なった場合、画像データ表示領域に表示される2つの画像データの
撮影位置あるいは撮影時相は必ずしも一致しているとは限らない。又、1つのシリーズが
大量の画像データによって構成されているCT画像データ等に対し、撮影位置を一致させ
るための画像データ検索を操作者自身が頁めくりによって行なった場合、検索に多大の時
間を要し診断効率が大幅に低下する。
【0011】
本発明の目的は、画像データの選択に要する時間と手間を低減することができる医用画
像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の医用画像表示装置は、スカウト画
像とシリーズ画像に含まれる複数の画像データの位置を当該スカウト画像上で示すスライ
スラインとを含む読影範囲設定画面を表示する設定画面表示手段と、前記読影範囲設定画
面上で読影範囲の始点と終点とを設定するための設定手段と、前記始点と終点で示された
読影範囲の画像データに関するサムネイル画像を表示するサムネイル画像表示手段と、を
備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像データの選択に要する時間と手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例における医用画像表示装置の機能ブロック図。
【図2】同実施例の画像データ記憶部に保存されている画像データを模式的に示す図。
【図3】同実施例における画像データの撮影位置を示す図。
【図4】同実施例における読影シリーズ設定部の機能ブロック図。
【図5】同実施例におけるスカウト画像データを用いた読影シリーズ設定方法を示す図。
【図6】本実施例における基準画像データとそのサムネイル画像データの表示方法を示す図。
【図7】本実施例におけるサムネイル画像データを用いた比較対象画像データの表示方法を示す図。
【図8】本実施例における基準画像データ及び比較対象画像データの表示手順を示すフローチャート。
【図9】本実施例の変形例における基準画像データ及び比較対象画像データの表示手順を示すフローチャート。
【図10】本実施例の変形例におけるサムネイル画像データを用いた比較対象画像データの表示方法を示す図。
【図11】本実施例におけるサムネイル画像データを用いた比較対象画像データの他の表示方法を示す図。
【図12】従来のシリーズ間画像データの比較表示方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0016】
以下に述べる本発明の実施例では、読影範囲が設定された読影シリーズの基準画像デー
タ群及び比較対象画像データ群の各々に対して基準サムネイル画像データ及び比較対象サ
ムネイル画像データを生成する。そして、基準画像データ表示領域、比較対象画像データ
表示領域及びサムネイル画像データ表示領域を備えた表示部において、基準画像データ表
示領域に表示される所望撮影位置の基準画像データに対応した基準サムネイル画像データ
と同一の撮影位置情報を有する比較対象サムネイル画像データを前記サムネイル画像デー
タ表示領域に表示し、次いで、この比較対象サムネイル画像データを比較対象画像データ
表示領域にドラッグ&ドロップすることによって前記基準画像データと略同一の撮影位置
における比較対象画像データを検索する。
【0017】
尚、以下では異なる撮影条件のもとで得られたシリーズA乃至シリーズCのCT画像デ
ータ群に対して行なわれる比較読影について述べる。そして、例えば、造影剤注入前の画
像データ群をシリーズA、造影剤注入後の画像データ群をシリーズB,更に、造影剤注入
前の画像データと注入後の画像データのサブトラクションによって得られるDSA画像デ
ータ群をシリーズCとし、シリーズAを基準画像データ群、シリーズB及びシリーズCを
比較対象画像データ群とする。
【0018】
(医用画像表示装置の構成)
本発明の実施例における医用画像表示装置の構成につき図1乃至図7を用いて説明する
。尚、図1は、医用画像表示装置の機能を示す機能ブロック図である。
【0019】
図1の医用画像表示装置100は、別途設けられた医用画像診断装置からネットワーク
あるいは記憶媒体を介して供給された上述のシリーズA乃至シリーズCの画像データ群の
保管や、これらの画像データ群を構成する個々の画像データのサムネイル画像データの保
存を行なう画像データ記憶部11と、この画像データ記憶部11に保管された各シリーズ
の画像データ群に対して比較読影を行なう際の読影範囲(以下では、読影シリーズと呼ぶ
。)を設定する読影シリーズ設定部12と、読影シリーズ設定部12において新たに設定
された読影シリーズAx乃至Cxの画像データ群の各々に対してサムネイル画像データを
生成するサムネイル画像データ生成部13を備えている。
【0020】
又、医用画像表示装置100は、画像データ記憶部11に保存されている画像データや
サムネイル画像データの中から、操作部17にて指定された画像データやサムネイル画像
データを検索する画像データ検索部14と、検索された画像データやサムネイル画像デー
タ等を合成して表示用データを生成する表示データ生成部15と、生成された表示用デー
タを表示する表示部16を備え、更に、画像データ群に対する読影範囲(読影シリーズ)
の設定やサムネイル画像データの比較対象画像データ表示領域へのドラッグ&ドロップ、
更には各種コマンドの入力等を行なう操作部17と、上述の各ユニットを統括して制御す
るシステム制御部18を備えている。
【0021】
そして、画像データ記憶部11に保管されている各シリーズの画像データ群及びこの画
像データ群に基づいてサムネイル画像生成部13が生成したサムネイル画像データの各々
には、これらの画像データが撮影された撮影位置情報が付帯情報として付加されている。
【0022】
図2は、画像データ記憶部11に保存されている複数の画像データ群とこれらの画像デ
ータ群のサムネイル画像データを模式的に示したものであり、画像データ記憶部11の画
像データ記憶領域61には、シリーズA乃至シリーズCにおける基準画像データ群A1乃
至Am、比較対象画像データ群B1乃至Bm,比較対象画像データ群C1乃至Cmとその
撮影位置情報PA1乃至PAm、PB1乃至PBm、PC1乃至PCmが保存されている

【0023】
尚、本実施例では、既に述べたようにX線CT装置によって得られたシリーズA乃至シ
リーズCの各画像データ群が画像データ記憶部11の画像データ記憶領域61に予め保管
されており、シリーズA乃至シリーズCの各々は、撮影位置の異なる複数枚の造影剤注入
前画像データ、注入後画像データ及びDSA画像データによって構成されている。
【0024】
又、シリーズAの基準画像データ群A1乃至Amは、図3に示すように被検体Pの体軸
方向における撮影位置PA1乃至PAmにて撮影された前記体軸方向に略垂直な断面の画
像データで構成されている。又、シリーズBの比較対象画像データ群B1乃至Bmは図示
しない撮影位置PB1乃至PBmにて、更に、シリーズCの比較対象画像データ群C1乃
至Cmは図示しない撮影位置PC1乃至PCmにて同様の方法によって撮影された画像デ
ータで構成されている。
【0025】
次に、図4は、読影シリーズ設定部12の機能ブロック図であり、この読影シリーズ設
定部12は、画像データ記憶部11に保管されている画像データ群を用いて後述するスカ
ウト画像データを生成するスカウト画像データ生成部121と、スカウト画像データを用
いて読影における画像データ群の範囲(シリーズ範囲)を設定する読影シリーズ範囲設定
部122と、設定した読影範囲に関する情報を記憶する読影シリーズ範囲記憶部123を
備えている。
【0026】
そして、読影シリーズ設定部12のスカウト画像データ生成部121は、例えば、図2
に示した体軸方向に連続したシリーズAの基準画像データ群A1乃至Amを用い、これら
の画像断面に垂直な断面のMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データ等のスカ
ウト画像データASを再構成する。尚、X線CT装置によって得られたボリュームデータ
やMPR画像データが画像データ記憶部11に予め保管されている場合には、これらのデ
ータに基づいてスカウト画像データが生成される。
【0027】
次いで、読影シリーズ範囲設定122は、操作部17より供給される読影シリーズ範囲
指示信号に基づきスカウト画像データに対して読影シリーズの始点及び終点の位置を設定
し、これらの位置情報を読影シリーズ範囲記憶部123に保存する。尚、上述の読影シリ
ーズの設定は、通常、シリーズAの基準画像データ群A1乃至Amに基づいて行なわれる
が、シリーズBあるいはシリーズCの画像データ群を用いて行なってもよい。
【0028】
図1に戻って、医用画像表示装置100のサムネイル画像データ生成部13は、画像デ
ータ記憶部11に保管されているシリーズA乃至Cの基準画像データ群A1乃至Am、比
較対象画像データ群B1乃至Bm、比較対象画像データ群C1乃至Cmの中から読影シリ
ーズ設定部12によって設定された読影シリーズAx乃至Cxにおける基準画像データ群
Ax1乃至Axn、比較対象画像データ群Bx1乃至Bxn及び比較対象画像データ群C
x1乃至Cxnを読み出す。次いで、これらの画像データの各々に対して基準サムネイル
画像データAx1t乃至Axnt、比較対象サムネイルデータBx1t乃至Bxnt、比
較対象サムネイルデータCx1t乃至Cxntを生成し、得られたこれらのサムネイル画
像データを画像データ記憶部11のサムネイル画像データ記憶領域62に保存する。
【0029】
次いで、画像データ検索部14は、画像データ記憶部11の画像データ記憶領域61に
保管されている読影シリーズAxの基準画像データ群Ax1乃至Axnの中から、操作者
が選択した所望撮影位置の基準画像データAx0を検索し、この基準画像データAx0の
基準サムネイル画像データAx0tと同一の撮像位置情報を有する比較対象サムネイル画
像データ(例えばBx0t)を前記画像データ記憶部11のサムネイル画像データ記憶領
域62にて検索する。
【0030】
更に、画像データ検索部14は、表示部16の比較対象画像データ表示領域に対する前
記比較対象サムネイル画像データBx0tのドラッグ&ドロップに基づいて、比較対象サ
ムネイル画像データBx0tに対応した比較対象画像データBx0を画像データ記憶領域
61における比較対象画像データ群Bx1乃至Bxnの中から検索する。
【0031】
一方、表示データ生成部15は、読影シリーズの設定においては、上述のスカウト画像
データや指定された読影シリーズの始点(Top)及び終点(Bottom)における画
像データ、更には、読影シリーズ範囲に関する情報を合成して表示用データを生成する。
又、基準画像データAx0と比較対象画像データ(例えばBx0)の比較表示においては
、基準画像データAx0及び比較対象画像データBx0とこれらの画像データに対応した
サムネイル画像データAx0t及びBx0t等を合成して表示用データを生成する。そし
て、生成した上述の表示用データを表示部16の図示しないモニタに表示する。
【0032】
一方、操作部17は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス等の入力デ
バイス、選択ボタン、表示パネル等を備えたインタラクティブなインターフェースである
。そして、上記入力デバイスと表示部16を用いることにより読影シリーズAx乃至Cx
の設定、読影シリーズAxにおける所望撮影位置の基準画像データAx0の選択、前記基
準画像データAx0の撮影位置と同じ撮影位置における比較対象画像データ(例えばBx
0)の検索と表示を目的とした比較対象サムネイル画像データBx0tの比較対象画像デ
ータ表示領域へのドラッグ&ドロップ、更には、種々のコマンド信号の入力等を行なう。
【0033】
(読影シリーズの設定方法)
次に、スカウト画像データを用いた読影シリーズの設定方法につき図5を用いて説明す
る。この図5は、表示部16の図示しないモニタに表示される読影シリーズ設定画面の具
体例であり、読影シリーズ設定画面70は、例えば、スカウト画像データ表示領域71、
シリーズ範囲設定用スライドバー72、読影シリーズ画像データ表示領域73、読影シリ
ーズ範囲表示領域74、読影シリーズ設定ボタン75及び読影シリーズ設定終了ボタン7
6を備えている。
【0034】
そして、操作者は、操作部17に設けられた読影シリーズ作成開始ボタンを操作するこ
とによって読影シリーズの設定が開始される。このとき、表示部16のモニタに表示され
た読影シリーズ設定画面70のスカウト画像データ表示領域71に、読影シリーズ設定部
12のスカウト画像データ生成部121において生成されたスカウト画像データAS(図
3参照)と、このスカウト画像データの生成に用いた基準画像データ群A1乃至Amの撮
影位置PA1乃至PAmを示すスライスラインが表示される。
【0035】
次いで、操作者は、このスカウト画像データ表示領域71に表示されたスカウト画像デ
ータASとシリーズ範囲設定用スライドバー72のスライド部721を用いて読影シリー
ズAxの範囲設定を行なう。
【0036】
このとき、スライド部721の上端及び下端に対応したカーソル722及び723がス
カウト画像データASに重畳表示されており、操作者は、操作部17に設けられた入力デ
バイスを用いてスライド部721の上端部及び下端部をドラッグしてカーソル722及び
723を所望の位置に移動し、読影シリーズAxの画像データ群Ax1乃至Axn(n<
m)を設定する。
【0037】
尚、前記スライド部721によって設定された読影シリーズAxの最初の画像データA
x1と最後の画像データAxnが読影シリーズ画像データ表示領域73の「Top」及び
「Bottom」に夫々表示されるため、操作者は、これらの画像データを観察すること
によって上述の読影シリーズAxの設定の是非を判定することができる。そして、この設
定が不適当な場合には、シリーズ範囲設定用スライドバー72を用いて再設定を行なう。
【0038】
そして、読影シリーズAxの設定が適当であることが確認できたならば、操作者は、読
影シリーズ設定ボタン75をクリックすることによって、読影シリーズAxを確定する。
このとき、読影シリーズ設定画面70の読影シリーズ範囲表示領域74には、設定された
読影シリーズAxのシリーズ番号やこの読影シリーズAxにおける最初の画像データAx
1及び最後の画像データAxnの番号等が表示される。
【0039】
シリーズBの比較対象画像データ群B1乃至Bm及びシリーズCの比較対象画像データ
群C1乃至Cmに基づく読影シリーズBx及びCxについても上述と同様な方法によって
設定してもよいが、本実施例のように読影シリーズAxの画像データ群Ax1乃至Axn
が基準画像データの場合には、上述の読影シリーズAxにおける設定範囲をそのままシリ
ーズBあるいはシリーズCに適用して読影シリーズBx及び読影シリーズCxを設定して
もよく、これらの設定方法は操作者によって選択される。
【0040】
(基準画像データ及び比較対象画像データの表示方法)
次に、本実施例における基準画像データ及び比較対象画像データの表示方法につき図6
乃至図7を用いて説明する。
【0041】
図6は、表示部16のモニタに表示される基準画像データ及び比較対象画像データの表
示画面(以下、基準/比較対象画像データ表示画面と呼ぶ。)80に表示される基準画像
データあるいは比較対象画像データとこれらの画像データのサムネイル画像データの関係
を示したものである。
【0042】
この基準/比較対象画像データ表示画面80は、読影シリーズAxの基準画像データが
表示される基準画像データ表示領域81と、読影シリーズBxあるいはCxの比較対象画
像データが表示される比較対象画像データ表示領域82と、読影シリーズAx乃至Cxの
サムネイル画像データの中から選択されたサムネイル画像データが表示されるサムネイル
画像データ表示領域83を備えている。
【0043】
図6(a)は、読影シリーズAxにおける基準画像データAx1乃至Axnの中の最初
の基準画像データAx1が基準画像データ表示領域81に表示され、この基準画像データ
Ax1の基準サムネイル画像データAx1tがサムネイル画像データがサムネイル画像デ
ータ表示領域83に表示されている場合を示している。
【0044】
そして、操作部17の入力デバイスを用い、上述の基準/比較対象画像データ表示画面
80における基準画像データ表示領域81をクリックすることによって、基準画像データ
Ax1は、同じ読影シリーズAxの基準画像データAx2に更新され、更に、サムネイル
画像データ表示領域83に表示されている基準サムネイル画像データAx1tは、図6(
b)に示すように、基準画像データAx2と同じ撮影位置情報を有する基準サムネイル画
像データAx2tに更新される。
【0045】
同様な動作を繰り返すことによって、基準画像データ表示領域81には所望撮影位置に
おける基準画像データAx0が表示され、この基準画像データAx0に対する基準サムネ
イル画像データAx0tがサムネイル画像データ表示領域83に表示される。
【0046】
図7(a)は、基準画像データAx0の基準サムネイル画像データAx0tと同一撮影
位置における読影シリーズBx及びCxの比較対象サムネイル画像データBx0t及びC
x0tが画像データ検索部14によって検索された場合の基準/比較対象画像データ表示
画面80を示したものであり、サムネイル画像データ表示領域83には基準画像データA
x0の基準サムネイル画像データの他に、前記画像データ検索部14によって検索された
比較対象サムネイル画像データBx0t及びCx0tが表示される。
【0047】
次いで、サムネイル画像データ表示領域83に表示されたこれらのサムネイル画像デー
タBx0t及びCx0tを観察し、例えば、読影シリーズBxを比較対象画像データとし
て選択する場合には、操作者は、操作部17の入力デバイスを用いて比較対象サムネイル
画像データBx0tを比較対象画像データ表示領域82にドラッグ&ドロップする。
【0048】
一方、画像データ検索部14は、比較対象画像データ表示領域82にドラッグ&ドロッ
プされた比較対象サムネイル画像データBx0tの撮影位置情報を読み取り、次いで、こ
の撮影位置情報と同一の撮影位置情報を有する比較対象画像データBx0を画像データ記
憶部11の画像データ記憶領域61から読み出す。そして、表示データ生成部15は、こ
の比較対象画像データBx0と基準画像データAx0を合成して表示部16のモニタに表
示する。
【0049】
即ち、図7(b)に示すように、表示部16のモニタに表示される基準/比較対象画像
データ表示画面80の基準画像データ表示領域81には基準画像データAx0が表示され
、比較対象画像データ表示領域82には、前記画像データAx0と同一撮影位置における
比較対象画像データBx0が表示される。
【0050】
尚、この場合、基準画像データの表示フォーマットと比較対象画像データの表示フォー
マットが異なる場合には、比較対象画像データを基準画像データの表示フォーマットに基
づいて編集し基準画像データとの比較表示を行なう。例えば、基準画像データの画像倍率
と比較対象画像データの画像倍率が異なる場合、画像データ検索部14によって検索され
た比較対象画像データは、既に基準画像データ表示領域81において表示されている基準
画像データの倍率と一致するように拡大/縮小されて比較対象画像データ表示領域82に
表示される。
【0051】
(基準画像データ及び比較対象画像データの表示手順)
次に本実施例における基準画像データ及び比較対象画像データの表示手順につき図8の
フローチャートに沿って説明する。
【0052】
医用画像表示装置100の操作者は、操作部17の表示パネルあるいは表示部16のモ
ニタにて当該被検体に関する画像データ群(シリーズ)一覧を表示する。次いで、これら
の画像データ群の中から基準画像データ群と、この基準画像データ群との比較読影が可能
な比較対象画像データ群を選定する。
【0053】
この場合、前記比較対象画像データ群は、これらのシリーズが有する画像データ数や撮
影方向等の情報に基づいて自動的に選択される。
【0054】
ここでは既に述べたように、X線CT装置によって得られた造影剤注入前の画像データ
群をシリーズA、造影剤注入後の画像データ群をシリーズB、DSA画像データ群をシリ
ーズCとし、シリーズAの画像データ群を基準画像データ群、シリーズB及びシリーズC
の画像データ群を比較対象画像データ群として選定する(図8のステップS1)。
【0055】
次いで、操作者は、操作部17に設けられた選択ボタンによって、図5に示した読影シ
リーズ設定画面70を表示部16のモニタに表示する。そして、この選択ボタンから出力
される読影シリーズの設定開始コマンド信号がシステム制御部18を介して読影シリーズ
設定部12に供給される。
【0056】
このコマンド信号を受信した読影シリーズ設定部12は、画像データ記憶部11に保管
されているシリーズAの基準画像データ群A1乃至Amを読み出してスカウト画像データ
を生成し、読影シリーズ設定画面70のスカウト画像データ表示領域71に表示する。又
、画像データ記憶部11において、シリーズAに関連したスカウト画像データが既に保管
されている場合には、このスカウト画像をそのままスカウト画像データ表示領域71に表
示する(図8のステップS2)。
【0057】
操作者は、読影シリーズ設定画面70の読影シリーズ画像データ表示領域73に表示さ
れる画像データを観察しながらスカウト画像データ表示領域71に設けられたシリーズ範
囲設定用スライドバー72を移動させて読影シリーズAxの範囲を設定する。
【0058】
次いで、操作者は、読影シリーズ設定終了ボタン76を選択(クリック)することによ
ってシリーズAの基準画像データ群A1乃至Amに対する読影シリーズAxの設定を終了
する。次いで、シリーズB及びシリーズCに対しても同様の手順によって読影シリーズB
x及び読影シリーズCxの設定を行なうか、あるいは既に設定された読影シリーズAxの
設定範囲をそのまま適用して読影シリーズBx及び読影シリーズCxの範囲を設定する(
図8のステップS3)。
【0059】
上述の読影シリーズの設定が終了したならば、設定終了信号を、システム制御部18を
介して受信したサムネイル画像データ生成部13は、読影シリーズ設定部12によって設
定された読影シリーズAx乃至Cxの基準画像データ群Ax1乃至Axn,比較対象画像
データ群Bx1乃至Bxn及び比較対象画像データ群Cx1乃至Cxnを読み出して基準
サムネイル画像データAx1t乃至Axnt,比較対象サムネイル画像データBx1t乃
至Bxnt及び比較対象サムネイル画像データCx1t乃至Cxntを生成する。そして
、これらのサムネイル画像データを画像データ記憶部11のサムネイル画像データ記憶領
域62に保存する(図8のステップS4)。
【0060】
次に、操作者は、操作部17の選択ボタンを用いて表示部16のモニタに基準/比較対
象画像データ表示画面80を表示し(図6参照)、次いで、基準画像データ表示領域81
に表示される読影シリーズAxの基準画像データを、操作部17の入力デバイスを用いて
更新して所望撮影位置の基準画像データAx0を選択する(図8のステップS5)。この
とき、画像データ検索部14は、選択された基準画像データAx0の基準サムネイル画像
データAx0tと、この基準サムネイル画像データAx0tと略同一の撮影位置情報を有
する比較対象サムネイル画像データBx0t及びCx0tを画像データ記憶部11のサム
ネイル画像データ記憶領域62にて検索し、存在した場合には基準/比較対象画像データ
表示画面80のサムネイル画像データ表示領域83に表示する(図7(a)参照)(図8
のステップS6)。
【0061】
次に、操作者は、サムネイル画像データ表示領域83に表示されている前記比較対象サ
ムネイル画像データBx0t及びCx0tの中から所望の比較対象サムネイル画像データ
(例えば比較対象サムネイル画像データBx0t)を選択し、この比較対象サムネイル画
像データBx0tを比較対象画像データ表示領域82にドラッグ&ドロップする(図8の
ステップS7)。
【0062】
そして、上述の比較対象サムネイル画像データBx0tの移動情報を受信した画像デー
タ検索部14は、前記比較対象サムネイル画像データBx0tに対応する比較対象画像デ
ータBx0を画像データ記憶部11の画像データ記憶領域61にて検索し(図8のステッ
プS8)、前記基準/比較対象画像データ表示画面80の比較対象画像データ表示領域8
2に表示することによって基準画像データAx0と比較対象画像データBx0の並列表示
を行なう(図8のステップS9)。
【0063】
(変形例)
次に、本実施例の変形例につき、図9及び図10を用いて説明する。
【0064】
この変形例では、読影範囲が設定された読影シリーズの基準画像データ群及び比較対象
画像データ群の各々に対して基準サムネイル画像データ及び比較対象サムネイル画像デー
タを生成する。そして、基準画像データ表示領域、比較対象画像データ表示領域及びサム
ネイル画像データ表示領域を備えた表示部において、基準画像データ表示領域に表示され
る所望の基準画像データに対応した基準サムネイル画像データを前記サムネイル画像デー
タ表示領域に表示し、次いで、この基準サムネイル画像データを比較対象画像データ表示
領域にドラッグ&ドロップすることによって前記基準画像データと略同一の撮影位置にお
ける比較対象画像データを検索する。
【0065】
尚、本変形例における医用画像表示装置の構成は上述の実施例と同様であるため説明を
省略する。又、図9に示した本変形例における基準画像データ及び比較対象画像データの
表示手順を示すフローチャートにおいて、図8に示した上述の実施例の各ステップと同一
のステップは同一符合で示し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
医用画像表示装置100の操作者は、当該被検体の画像データ群の中から基準画像デー
タ群と比較対象画像データ群を選定する(図9のステップS1)。次いで、読影シリーズ
設定部12は、画像データ記憶部11に保管されている基準画像データ群A1乃至Amを
読み出してスカウト画像データを生成し(図9のステップS2)、このスカウト画像デー
タを用いて読影シリーズAx、Bx、Cxの範囲設定を行なう(図9のステップS3)。
【0067】
一方、サムネイル画像データ生成部13は、読影シリーズ設定部12によって設定され
た読影シリーズAx乃至Cxの基準画像データ群Ax1乃至Axn,比較対象画像データ
群Bx1乃至Bxn及び比較対象画像データ群Cx1乃至Cxnを読み出して基準サムネ
イル画像データAx1t乃至Axnt,比較対象サムネイル画像データBx1t乃至Bx
nt及び比較対象サムネイル画像データCx1t乃至Cxntを生成する(図9のステッ
プS4)。
【0068】
次に、操作者は、基準画像データ表示領域81に表示される読影シリーズAxの基準画
像データ群Ax1乃至Axnの中から所望の基準画像データAx0を選択する(図9のス
テップS5)。一方、画像データ検索部14は、選択された基準画像データAx0の基準
サムネイル画像データAx0tを画像データ記憶部11のサムネイル画像データ記憶領域
62にて検索し、基準/比較対象画像データ表示画面80のサムネイル画像データ表示領
域83に表示する(図10(a)参照)(図9のステップS16)。
【0069】
次に、操作者は、サムネイル画像データ表示領域83に表示されている前記基準サムネ
イル画像データAx0tを比較対象画像データ表示領域82にドラッグ&ドロップする(
図9のステップS17)。
【0070】
そして、基準サムネイル画像データAx0tの移動情報を受信した画像データ検索部1
4は、前記基準サムネイル画像データAx0tと略同一の撮影位置情報を有する比較対象
画像データBx0を画像データ記憶部11の画像データ記憶領域61にて検索し(図8の
ステップS8)、前記基準/比較対象画像データ表示画面80の比較対象画像データ表示
領域82に表示することによって基準画像データAx0と比較対象画像データBx0の並
列表示を行なう(図10(b)参照)(図8のステップS9)。
【0071】
但し、比較対象画像データ表示領域82にドラッグ&ドロップされた基準サムネイル画
像データAx0tと略同一の撮影位置情報を有する画像データが複数(例えば、比較対象
画像データBx0及びCx0)存在する場合には、前記比較対象画像データ表示領域82
には複数の比較対象画像データが表示され、操作者は、必要に応じてこれらの比較対象画
像データの中から所望の比較対象画像データを選択して基準画像データとの比較表示を行
なう。
【0072】
以上述べた本発明の実施例によれば、複数のシリーズに属する画像データを比較読影す
る際、サムネイル画像データを使用した簡単な操作によって、基準画像データと同一撮影
位置における比較対象画像データの検索と表示を自動的に行なうことが可能となる。この
ため、基準画像データと同一の撮影位置の比較対象画像データを探す際に、従来行なわれ
てきた操作者自身による頁めくりの作業が不要となる。
【0073】
又、本実施例によれば、予め保管された画像データに対して診断目的に応じた読影シリ
ーズが新たに設定されるため、基準画像データの選択範囲が狭くなり、選択に要する時間
と手間が低減する。更に、基準画像データに対して比較読影が可能な他シリーズのサムネ
イル画像データが一覧表示されるため、所望の比較対象画像データを簡単に選択すること
ができる。
【0074】
従って、同一撮影位置におけるシリーズ間画像データの比較読影が容易となり、診断効
率が飛躍的に向上する。
【0075】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、同一の撮
影位置における基準画像データと比較対象画像データの比較表示について述べたが、同一
の画像データ生成位置、あるいはスライス断面位置などであってもよい。又、呼吸性ある
いは拍動性等の動きのある被検体に対しては、同一時相における基準画像データと比較対
象画像データの比較表示であってもよい。
【0076】
一方、上述の実施例におけるサムネイル画像データの生成は、新たに設定された読影シ
リーズにおける基準画像データ群及び比較対象画像データ群に対して行なったが、予め保
管された各シリーズの画像データ群に対して生成されてもよい。
【0077】
又、この実施例では、X線CT装置によって得られた3つのシリーズの画像データに対
して述べたが、これに限定されるものではなく、MRI装置やX線診断装置など他の画像
診断装置によって収集された撮影条件の異なる複数シリーズの画像データであってもよい

【0078】
更に、上述の実施例におけるシリーズは、造影剤注入前及び注入後の画像データ群とD
SA画像データ群について述べたがこれらに限定されない。
【0079】
又、上述の実施例の表示部16に表示される基準/比較対象画像データ表示画面80に
おいて、基準画像データと比較対象画像データを各々1枚ずつ比較表示する場合について
述べたが、例えば、図11に示すように複数枚の画像データを比較表示してもよい。この
場合、基準画像データ表示領域81に表示されている複数枚の基準画像データと同数の比
較対象画像データが比較対象画像データ表示領域82に表示される。
【符号の説明】
【0080】
11…画像データ記憶部
12…読影シリーズ設定部
13…サムネイル画像データ生成部
14…画像データ検索部
15…表示データ生成部
16…表示部
17…操作部
18…システム制御部
61…画像データ記憶領域
62…サムネイル画像データ記憶領域
70…読影シリーズ設定画面
71…スカウト画像データ表示領域
72…シリーズ範囲設定用スライドバー
73…読影シリーズ画像データ表示領域
74…読影シリーズ範囲表示領域
75…読影シリーズ設定ボタン
76…読影シリーズ設定終了ボタン
80…基準/比較対象画像データ表示画面
81…基準画像データ表示領域
82…比較対象画像データ表示領域
83…サムネイル画像データ表示領域
121…スカウト画像データ生成部
122…読影シリーズ範囲設定部
123…読影シリーズ範囲記憶部
100…医用画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカウト画像とシリーズ画像に含まれる複数の画像データの位置を当該スカウト画像上
で示すスライスラインとを含む読影範囲設定画面を表示する設定画面表示手段と、
前記読影範囲設定画面上で読影範囲の始点と終点とを設定するための設定手段と、
前記始点と終点で示された読影範囲の画像データに関するサムネイル画像を表示するサ
ムネイル画像表示手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記設定画面表示手段は、前記設定手段で設定された読影範囲の始点の位置に対応する
画像データ及び終点に対応する画像データを表示することを特徴とする請求項1に記載の
医用画像表示装置。
【請求項3】
前記スカウト画像は、前記シリーズ画像に含まれる複数の画像データから生成されたも
のであることを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
画像データを表示するための画像データ表示画面を表示させる画像データ表示手段を更
に備え、前記サムネイル画像が前記画像データ表示画面にドラッグ&ドロップされた場合
に、前記サムネイル画像に対応する画像データを前記画像データ表示画面に表示すること
を特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−234068(P2010−234068A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136083(P2010−136083)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【分割の表示】特願2004−189040(P2004−189040)の分割
【原出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】