説明

医用診断装置

【課題】緊急の場合に、重要項目の入力欄の近傍にソフトキーを配置させるように表示画面を変化させる医療診断装置を提供する。
【解決手段】予め重要度が高いとされた項目を表示するための第1の領域と、予め重要度が低いとされた項目を表示するための第2の領域と、第2の領域を挟んで第1の領域と反対側にソフトキーとが配置された第1フォーマット031と、第1の領域と、該第1の領域に隣接する位置にソフトキーが配置された第2フォーマット032と、を記憶している記憶部003と、第1フォーマット031を使用した画面の上にカーソルを重ね合わせて表示部022に表示させ、重要度が低いとされた項目の除外命令を受け、第2フォーマット032を使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて表示部022に表示させる表示制御部001とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画面においてカーソルを使用する医用診断装置に関する。特に、緊急検査時に使用される医用診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医用診断装置では、HIS(Hospital Information System)などの中央サーバから取得した検査予約リストから候補を選択し、詳細情報を入力・確認し、検査を登録するとともに、検査を実行する。
【0003】
登録する項目には重要度の高い項目と低い項目とがある。そして、検査登録画面における医師や検査技師などの操作者(以下では、単に「操作者」という。)が行う操作は、例えば次の4つのステップに分類される。1.リスト選択、2.重要な詳細情報の入力、3.重要でない詳細の入力・確認、4.登録、といったステップである。
【0004】
ここで、医用診断装置における入力画面では、リスト選択(上述の第1ステップ)用の検査項目のリストは画面の上部に幅広に配置される。そして、上述の第2ステップ〜第4ステップ用の入力欄は入力画面の残りの領域に配置される。第2ステップ、第3ステップにおいては、入力するための複数の項目が用意されている。
【0005】
第1ステップ〜第3ステップの各ステップでは、第1ステップの入力後第2ステップの領域にカーソル(矢印や十字マークなど、「マーカ」や「ポインタ」ともいう。)を移動して選択するというように、カーソルをあるステップで使用する領域から次のステップへの領域へと操作者が手動で移動させ移動先の領域を選択の後、必要な項目へ情報の入力を行う必要がある。また、第1ステップ〜第3ステップにおける操作者による情報の入力が終わると、第4ステップとして画面上に表示されたソフトキーであるスタートボタンの上へカーソルを移動させる。ここで、ソフトキーとは、表示画面上に、例えばボタン形状の枠に機能名(画像やアイコンでも可)が付されたキーであって、ソフトで特定の機能を実行するために機能が割り付けられたキーを言う。したがって、ソフトキーにカーソルを合わせてクリックをして確定することにより、その特定機能が実行される。操作者は該スタートボタンをクリックすることで、操作者は検査の登録を行なうとともに、検査開始の実行命令を対象とする医用診断装置に入力する。このときカーソルを次の位置まで都度正確に移動させることは煩雑である。そこで、従来、医用診断装置の中には使用頻度が高いボタンへ自動的にカーソルを移動する技術が提案されている。また、カーソルの初動情報を基に対応する移動先へカーソルを自動的に移動する技術(特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−275558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、X線CT装置などの医用診断装置では緊急時において第2のステップの重要な詳細情報の入力を行った後、第3のステップをスキップして第4のステップの入力が行われる。このため、操作者はカーソルを第2ステップの入力欄がある場所から、第4ステップのスタートボタンなどへとカーソルを移動させる必要がある。特に近年、医用診断装置においては多機能化の影響により扱う情報が増大したことで画面に表示する項目も増加した。そして、このように増加した項目を画面に表示するため画面の大型化がなされている。そして、第2ステップの入力欄から第4ステップにおけるスタートボタンへカーソルを移動するには、第3ステップの入力欄が配置されている領域を越えていかなければならず、カーソルの移動量が多くなってしまう。そのため、操作者によるカーソルの移動の負担が大きくなってしまう。また、前述のように、使用頻度が高いボタンへ自動的にカーソルを移動する技術があるが、移動量が多い場合に自動的にカーソルが移動してしまうと操作者がカーソルを見失い易く、カーソル移動の操作を容易にすることが困難である。さらに、特許文献1の技術では、画面に配置された各領域の配置の変更は行われない。したがって、重要でない情報を入力するための領域が画面上に表示されてしまう。この場合、特殊な設定を行なわない限り、重要な情報を入力後に、重要でない情報を入力するための領域を飛び越えてスタートボタンなどの上に直接カーソルを飛ばすことは困難である。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、緊急の場合に、重要項目の入力欄の近傍にソフトキーを配置させるように表示画面を変化させる医用診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医用診断装置は、表示手段に表示されているカーソルを移動させるための移動情報の入力、入力する項目の確定、及び特定の機能を担うソフトキーに対し確定の入力を行う入力手段と、患者の体重や身長を含む予め重要度が高いとされた前記項目を表示するための第1の領域、予め重要度が低いとされた前記項目を表示するための第2の領域、及び前記第2の領域を挟んで前記第1の領域と反対側に前記ソフトキーとが配置された第1フォーマットと、前記第1の領域及び該第1の領域に隣接する位置に前記ソフトキーが配置された第2フォーマットと、を記憶している記憶手段と、前記第1フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させているときに、前記重要度が低いとされた項目の除外命令を受けた場合、前記第2フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の医用診断装置によると、重要度が低い項目が不要な場合に重要度が高い項目の近隣にソフトキーが配置された画面を表示することができる。これにより、操作者は重要項目の入力後にソフトキーまでの長い距離のカーソル移動を行う必要がなくなる。また、操作者は容易にソフトキーを発見することができる。したがって、重要度が高い項目への情報の入力が終了した後、操作者は迅速にソフトキーの確定の入力を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る医用診断装置について説明する。図1は本発明に係る医用診断装置の機能を表すブロック図である。以下では医用診断装置の一例としてX線CT装置を例に説明する。ただし、本発明に係る医用診断装置は超音波診断装置、MRI、又はX線装置などで、入力画面上でカーソルを用いるものであればX線CT装置以外のものでもよい。
【0012】
操作者は、ユーザインタフェース002に含まれる表示部022を参照しながら、キーボード、トラックボールなどを含む入力部021を使用して表示制御部001に対して、カーソルの移動情報の入力や、入力項目の確定や、ソフトキーの機能の実行の入力などを行う。この入力部021が本発明における「入力手段」にあたる。具体的には、操作者は、トラックボールなどを回転させることで回転数や回転方向に対応する移動距離が移動情報として入力する。また、操作者は、入力欄の上にカーソルを移動させクリックすることで入力項目の確定を行う。さらに、操作者は、ソフトキーの上にカーソルを移動させクリックすることでソフトキーの担う機能の実行の確定の入力を行う。
【0013】
記憶部003は、第1フォーマット031及び第2フォーマット032を予め記憶している。この記憶部003が本発明における「記憶手段」にあたる。第1フォーマット031は図2の入力画面200に示すようなフォーマットである。図2は第1フォーマット031を使用した入力画面200の一例の図である。以下では、フォーマットとは表示部022に表示される画面の基となる座標情報などで記述されたデータを指し、入力画面とは該フォーマットを基に表示部022に実際に表示された状態のものを指す。
【0014】
第1フォーマット031に記述されている各領域を入力画面200を使用して説明する。入力画面200の上部に検査選択入力領域201が配置されている。検査選択入力領域201は、検査の種類が記入された領域である。検査の種類は患者単位で存在する。検査205は検査の一例である。そして、操作者は検査選択入力領域201を参照しどの検査を行うかを表示された検査の候補の中から選択する。また、入力画面200の下部左側に主要項目入力領域202が配置されている。主要項目入力領域202は、身長入力欄206及び体重入力欄207などの重要な項目が配置された領域である。操作者は、主要項目入力領域202を参照し重要な項目の入力を行う。この主要項目入力領域202の項目が本発明における「重要度が高いとされる項目」にあたる。また、この主要項目入力領域202が第1フォーマット031における本発明の「第1の領域」にあたる。この主要項目入力領域202の項目として他には、患者ID、患者名、性別、生年月日、撮影条件などがある。これらの項目は適切な検査を行うための重要な情報である。入力画面200の下部中央に副項目入力領域203が配置されている。副項目入力領域203は、入力が無くても検査が行える項目が配置された領域である。ここで、入力が無くても検査が行える項目とは、サイト名、技師名、現在時刻、予約IDなどの通常修正を行わない情報及び診断医師名などの仮の情報といった項目である。操作者は副項目入力領域203を参照しその項目に入力を行う。この入力が無くても検査が行える項目が本発明における「重要度が低いとされる項目」にあたる。また、この副項目入力領域203が本発明における「第2の領域」にあたる。さらに、入力画面200の下部右側にはボタン領域204が配置されている。ボタン領域204は、特定の機能を有するソフトキーを配置する領域である。このソフトキーとしては、検査登録ボタン208、スケジュール登録ボタン(不図示)などがある。
【0015】
また、第2フォーマット032は図3の入力画面300の基になるフォーマットである。ここで、図3は第1の実施形態における第2フォーマット032を使用した入力画面300の一例の図である。第2フォーマット032に記述されている各領域を図3の入力画面300を使用して説明する。入力画面300には、入力画面200と同様に、上部に検査選択入力領域301が配置されている。検査選択入力領域301は、検査の種類が記入された領域である。検査304は検査の一例である。そして、操作者は検査選択入力領域301を参照しどの検査を行うかを表示された検査の候補の中から選択する。また、入力画面300の下部左側に主要項目入力領域302が配置されている。主要項目入力領域302は、身長入力欄305及び体重入力欄306などの重要な項目が配置された領域である。操作者は、主要項目入力領域302を参照し重要な項目の入力を行う。この主要項目入力領域302が第2フォーマット032における本発明の「第1の領域」にあたる。そして、第1フォーマット031と同様に、この主要項目入力領域302に配置された項目として他に、患者ID、患者名、性別、生年月日、撮影条件などがある。これらの項目は適切な検査を行うための重要な情報である。さらに、入力画面300の下部右側にはボタン領域303が配置されている。ボタン領域303は、特定の機能を有するソフトキーを配置する領域である。このソフトキーとしては、検査登録ボタン307、スケジュール登録ボタン(不図示)などがある。そして、第2フォーマット032では第1フォーマット031と異なり、副項目入力領域は入力画面300上には配置されていない。
【0016】
ここで、記憶部003に記憶されている第1フォーマット031は図2に表わすような図形として、第2フォーマット032は図3に表わすような図形として表現されているが、実際には第1フォーマット031及び第2フォーマット032は画面上のXY座標で表されているものである。本実施形態では表示部022は、X方向(図2及び図3の横方向)に1600ピクセル、Y方向(図2及び図3の縦方向)に1200ピクセル並んでいる画面を有している。そして、表示部022上の2次元の位置を表わすのに、画面上の各点のピクセル位置を座標情報として(X,Y)で表わされる。すなわち、入力画面の第1フォーマット031や第2フォーマット032は、患者情報や検査情報などを入力する各入力欄及び、検査登録ボタン208又は検査登録ボタン307やスケジュール登録ボタンなどの特定の機能を担うソフトキーといった画面を構成する各々のソフト部品の位置が前述の座標情報として記憶部003に記憶されているものである。
【0017】
表示制御部001は、X線CT装置による検査情報を入力するための入力画面を表示部022に表示させる「入力モード」と、X線CT装置による検査が開始され入力画面により入力された情報に基づき各機能部005が有する機能の実行により生成されたX線CT画像を表示部022に表示させる「X線CT画像表示モード」という2つの表示モードを有している。さらに、「入力モード」には、通常の入力を行う場合の「通常入力モード」と緊急に検査を行う場合の「緊急入力モード」を有している。そこで、以下では「入力モード」について詳細に説明する。この表示制御部001が本発明における「表示制御手段」にあたる。以下通常入力モードの場合と緊急入力モードの場合に分けて説明する。
【0018】
(通常入力モード)
表示制御部001は、表示部022の画面上の各点の位置を2次元の座標情報として有している。表示制御部001は、電源が入れられるとまず図2に示すような第1フォーマット031を記憶部003から読み込む。そして、表示制御部001は、入力画面の第1フォーマット031を基に、患者情報や検査情報を入力するための入力画面200を表示部022に表示させる。実際には上述のように記憶部003には各ソフト部品の座標情報が記憶されており、表示制御部001はその座標情報を基に入力画面200を表示部022に表示させる。したがって、第1フォーマット031を読み込んだ表示制御部001は、各入力欄や各ソフトキーを表す領域の座標情報を取得することになる。このように、表示制御部001は、座標情報を取得することにより後述するようにカーソルの座標情報を基に該カーソルがソフトキーの上に位置するか否かを判断することが可能となる。
【0019】
操作者はトラックボールなどの入力部021を使用してカーソル209(図2参照)を入力画面200上での移動情報を表示制御部001へ入力する。表示制御部001は、カーソル209の移動情報に含まれる移動距離などを基に操作者の所望の位置へカーソル209を移動させる。さらに、いずれかの入力欄の上にカーソル209が重ね合わさっているときに、操作者は確定ボタンなどの入力部021からの確定の入力を行う。この入力欄の確定の入力を受けて、表示制御部001はその入力欄への入力を可能な状態にする。
【0020】
操作者は入力画面200上の検査選択入力領域201に表示された複数の検査の中の一つの検査である検査205を選択する。この選択を受けて、表示制御部001は、検査205に対応する主要項目入力領域202の項目を表示する。このとき、HIS(Hospital Information System:診察や検査の予約などを管理する病院情報システム)から該項目の内容となる情報を受信している場合には、表示制御部001はその情報を対応する主要項目入力領域202の項目に入力して表示させる。さらに、表示制御部001は、検査205に対応する副項目入力領域203の項目を表示する。このとき、HISから該項目の内容となる情報を受信している場合には、表示制御部001はその情報を対応する副項目入力領域203に表示する。
【0021】
検査選択後、表示制御部001により主要項目入力領域202及び副項目入力領域203の表示が行われたのち、操作者は主要項目入力領域202の身長入力欄206に被検体の身長の入力、体重入力欄207に被検体の体重の入力、その他入力すべき情報の入力を行う。次に、操作者は副項目入力領域203に入力すべき情報がある場合には情報の入力を行う。このとき入力すべき情報がない場合には、操作者は副項目入力領域203に表示されている情報を参照する。副項目入力領域203への入力終了後、操作者はトラックボールなどの入力部021を使用して入力画面200上で、ボタン領域204の検査登録ボタン208にカーソル209を合わせるよう入力する。
【0022】
表示制御部001は、カーソル209の検査登録ボタン208上への移動命令を受けて、カーソル209が検査登録ボタン208上に重ね合わさるように表示させる。ここで、表示制御部001は、上述のように記憶部003から第1フォーマット031を読み込んだときに、入力画面200の各ソフト部品の座標情報を取得している。したがって、カーソル209を表示する座標情報として検査登録ボタン208上の座標情報が入力されれば、表示制御部001はカーソル209が検査登録ボタン208に重なっていると判断できる。
【0023】
表示制御部001は、カーソル209が検査登録ボタン208上に重ね合っている状態で、操作者からの確定ボタンなどの入力部021からの確定の入力を受けると、検査登録ボタン208が担う機能の実行命令を統括制御部004へ出力する。
【0024】
以上の通常入力モードにおけるカーソル209の動きをまとめると、図4に矢印で示すようになる。ここで図4は通常入力モードにおけるカーソル209の移動を説明するための図である。すなわち、まず操作者は、カーソル209を矢印401のように検査選択入力領域201から主要項目入力領域202に移動させる。次に操作者は、カーソル209を矢印402のように主要項目入力領域202から副項目入力領域203へ移動させる。さらに、操作者は、矢印403のようにカーソル209を副項目入力領域203からボタン領域204の検査登録ボタン208上へ移動させる。または、副項目入力領域203への入力がない場合には、操作者は、矢印404のようにカーソル209を主要項目入力領域202から直接ボタン領域204の検査登録ボタン208上へ移動させる。
【0025】
(緊急入力モード)
表示制御部001は、入力画面200が表示部022に表示されている状態(図2参照)で、トラックボールなどの入力部021からカーソル209の緊急検査ボタン210上への移動命令を受けて、カーソル308を緊急検査ボタン210に重ね合わせて表示する。そして、カーソル209が緊急検査ボタン210に重なっている状態で、確定ボタンなどの入力部021から確定の入力を受けると、表示制御部001は、記憶部003から第2フォーマット032を読み出し、表示部022に図3に示すような入力画面300を表示させる。この場合、入力画面300には検査選択入力領域301、主要項目入力領域302、及びボタン領域303のみが表示され、図2で入力画面200に表示されていた副項目入力領域203は表示されない。これは、緊急の検査においては、適切な検査を行うための重要な項目の入力のみを行えばよく、重要でない項目であるサイト名、現在時刻、又は予約IDなどは参照の必要さえもないため表示しない構成となっている。この重要でない項目を除いた入力画面300を表示させるために緊急検査ボタン210にカーソルを合わせて確定を入力することが、本発明における「重要度が低いとされた項目の除外命令」にあたる。このように、表示制御部001が入力画面300を表示することで緊急入力モードに切り替わる。ここで、本実施形態では緊急検査ボタン210のようなソフトキーを緊急検査ボタンとしているが、トラックボールなどのそばに配置されたハード的なボタンを緊急検査ボタンとして備えた構成でもよい。
【0026】
操作者は入力画面200上の検査選択入力領域301から検査304を選択する。この選択を受けて、表示制御部001は、検査304に対応する主要項目入力領域302の項目を表示する。HISから該項目の情報の内容を受信している場合には、その情報を対応する主要項目入力領域302の項目に表示させる。
【0027】
検査選択後、表示制御部001により主要項目入力領域302の表示が行われた後、操作者は主要項目入力領域302の身長入力欄305に被検体の身長の入力、体重入力欄306に被検体の体重の入力、その他入力すべき情報の入力を行う。主要項目入力領域302への入力終了後、操作者はトラックボールなどの入力部021を使用して入力画面300上で、ボタン領域303の検査登録ボタン307にカーソル308を合わせるようカーソル308の移動を入力する。
【0028】
表示制御部001は、カーソル308の検査登録ボタン307上への移動命令を受けて、カーソル308が検査登録ボタン307上に重ね合わさるように表示させる。ここで、表示制御部001は、上述のように記憶部003から第2フォーマット032を読み込んだときに、入力画面300の各ソフト部品の座標情報を取得している。したがって、カーソル308を表示する座標情報として検査登録ボタン307上の座標情報が入力されれば、表示制御部001はカーソル308が検査登録ボタン307に重なっていると判断できる。
【0029】
表示制御部001は、カーソル308が検査登録ボタン307上に重ね合っている状態で、操作者からの確定ボタンなどの入力部021からの確定の入力を受けると、検査登録ボタン307が担う機能、すなわち検査登録及び検査開始の実行命令を統括制御部004へ出力する。
【0030】
このように、表示制御部001は、第1フォーマット031では検査登録ボタン208の座標情報を主要項目入力領域202から離れた場所の座標情報として認識し、第2フォーマット032では検査登録ボタン307の座標情報を主要項目入力領域302の隣接した座標情報として認識することになる。このように、第1フォーマット031の検査登録ボタン208と第2フォーマット032の検査登録ボタン307との場合で異なる座標情報を取得することにより、表示制御部001は第2フォーマット032を使用する緊急入力モードにおいて主要項目入力領域302に隣接して検査登録ボタン307が配置されていると認識することができる。
【0031】
以上の緊急入力モードにおけるカーソル308の動きをまとめると、図5に矢印で示すようになる。ここで図5は緊急入力モードにおけるカーソル308の移動を説明するための図である。すなわち、まず操作者は、カーソル308を矢印501のように検査選択入力領域301から主要項目入力領域302に移動させる。次に操作者は、矢印502のようにカーソル308を主要項目入力領域302から直接ボタン領域303の検査登録ボタン307上へ移動させる。
【0032】
このように緊急検査モードでは主要項目入力領域302と検査登録ボタン307が隣接しているため、カーソル308の移動距離が通常モードの場合と比べて短くてすむ。すなわち、通常入力モードの場合、図4に示す副項目入力領域203への入力を行わない場合には矢印404のように副項目入力領域203を横切って検査登録ボタン208までカーソル209を移動させる必要がある。これに対し、緊急入力モードの場合、図5の矢印502のように主要項目入力領域302からその隣に配置された検査登録ボタン307までカーソル308を移動させるだけでよい。その移動距離の差は矢印404と矢印502を比較した場合、5倍近くになっている。このように、通常入力モードでの入力画面200と緊急入力モードでの入力画面300とを切り替えることで、緊急入力モードにおける検査情報の入力及び登録の操作を容易にすることができる。
【0033】
統括制御部004は、各機能部005及び表示制御部001への実行命令の送受信や動作のタイミングの管理などX線CT装置全体の統括制御を行う。この統括制御部004が本発明における「統括制御手段」にあたる。
【0034】
機能部005は、X線照射部、X線検出部、X線照射部及びX線検出部を被検体の周りで回転させるガントリ、被検体を載せて体軸方向の移動を行う寝台、及び画像生成部(すべて不図示)などの複数の機能部005で構成されている。各機能部005はそれぞれが担う機能を実行しX線CT画像を生成する。
【0035】
次に、図6を参照して、第1の実施形態に係る医用診断装置における入力画面の表示の流れを説明する。図6は第1の実施形態に係る医用診断装置における入力画面の表示及び入力画面を使用した情報の入力のフローチャートの図である。
【0036】
ステップS001:表示制御部001は、記憶部003から第1フォーマット031を読み込み、入力画面200(図2参照)を表示部022に表示させる。
【0037】
ステップS002:表示制御部001は、入力部021から緊急モードへの変更の指示の入力がなされたか否かを判断する。緊急モードへの変更の指示がなされた場合は、ステップS003に進む。緊急モードへの変更の指示がない場合は、ステップS010に進む。
【0038】
ステップS003:表示制御部001は、記憶部003から第2フォーマット032を読み込み、入力画面300(図3参照)を表示部022に表示させる。
【0039】
ステップS004:操作者は、表示部022に表示された入力画面300の中の検査選択入力領域301から検査を選択する。
【0040】
ステップS005:表示制御部001は、入力部021からのカーソル308の移動情報を基に、カーソル308を主要項目入力領域302に移動させる。
【0041】
ステップS006:操作者は、主要項目入力領域302の入力欄に必要な情報の入力を行う。
【0042】
ステップS007:表示制御部001は、入力部021からのカーソル308の移動情報を基に、カーソル308をボタン領域303の検査登録ボタン307上に移動させる。
【0043】
ステップS008:操作者は、カーソル308が検査登録ボタン307に重なっている状態でクリックするなどして検査登録の確定を入力する。
【0044】
ステップS009:表示制御部001は、入力部021からの検査登録の確定の入力を受けて、統括制御部004に検査登録及び検査開始の実行命令を出力する。
【0045】
ステップS010:操作者は、表示部022に表示された入力画面200の中の検査選択入力領域201から検査を選択する。
【0046】
ステップS011:表示制御部001は、入力部021からのカーソル209の移動情報を基に、カーソル209を主要項目入力領域202に移動させる。
【0047】
ステップS012:操作者は、主要項目入力領域202の入力欄に必要な情報の入力を行う。
【0048】
ステップS013:操作者が副項目の入力が必要か否か判断する。必要な場合にはステップS014に進む。不要な場合にはステップS016に進む。
【0049】
ステップS014:表示制御部001は、入力部021からのカーソル209の移動情報を基に、カーソル209を副項目入力領域203に移動させる。
【0050】
ステップS015:操作者は、副項目入力領域203の入力欄に必要な情報の入力を行う。
【0051】
ステップS016:表示制御部001は、入力部021からのカーソル209の移動情報を基に、カーソル209をボタン領域204の検査登録ボタン208上に移動させる。
【0052】
ステップS017:操作者は、カーソル209が検査登録ボタン208に重なっている状態でクリックするなどして検査登録の確定を入力する。
【0053】
本実施形態においては、図3に示すように副項目入力領域が表示されなくなった場所でソフトキーを拡大表示することで主要項目入力領域にソフトキーを隣接させたが、この隣接方法は他の方法でも良く、たとえば小さいソフトキーのまま主要項目入力領域の近くに配置することでソフトキーを主要項目入力領域に隣接させる方法でもよい。
【0054】
また、本実施形態では、各ソフト部位の情報を有する2種類のフォーマットを用意したが、これは1つのフォーマットの中でソフトキーを表す座標情報を変更する構成でもよい。この場合にはソフトキーの座標情報の変更後のフォーマットが第2フォーマットになる。
【0055】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用診断装置においては、通常は重要度の低いとされる項目を表示する領域を含む入力画面を表示しているが、緊急時には、入力や参照を必要としない重要度の低い項目を表示する領域を入力画面から省き、重要度の高いとされる項目が表示されている領域の近隣に今朝登録ボタンなどのソフトキーを配置した入力画面が表示される。これにより、緊急時における操作者によるカーソルの不要な移動を軽減することが可能となる。したがって、本実施形態に係る医用診断装置は迅速な検査に寄与することが可能となる。
【0056】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る医用診断装置について説明する。第2の実施形態においてもその機能を表すブロック図は第1の実施形態と同様に図1で表わされる。第2の実施形態に係る医用診断装置は、第2フォーマット032を使用した入力画面から第1フォーマット031を使用した入力画面に切り替えることが可能であることが第1の実施形態と異なる。そこで、第2フォーマット032を使用した入力画面から第1フォーマット031を使用した入力画面への切り替えを主に説明する。
【0057】
記憶部003は第2フォーマット032として図7に示すような入力画面700のフォーマットを記憶している。図7は第2の実施形態における第2フォーマット032を使用した入力画面700の一例の図である。図7に示す入力画面700は、図3に示す第1の実施形態に係る入力画面300と異なり、第1フォーマット031への切替ボタン703を有している。本実施形態では第2フォーマット032の主要項目入力領域702から副項目入力領域がスライドして現れるイメージを持たせるため、主要項目入力領域702の脇に切替ボタン703を配置したが、これは他の場所でもよく、例えばボタン領域704に配置してもよい。また、記憶部003は第1フォーマット031として図2に示すような入力画面200のフォーマットを記憶している。
【0058】
まず、表示制御部001は、第1フォーマット031を記憶部003から読み出し、表示部022に入力画面200を表示させる。
【0059】
次に、表示制御部001は、緊急入力モードへの切り替えの入力を受けて、第2フォーマット032を記憶部003から読み出し、表示部022に入力画面700を表示させる。
【0060】
さらに、入力画面700を表示している状態で、操作者は入力部021を用いてカーソル707の切替ボタン703上への移動を入力する。さらに、カーソル707が切替ボタン703上に重ねあっている状態で、操作者はクリックするなどして入力部021から切り替え確定の入力を行う。
【0061】
表示制御部001は、切り替え確定の入力を受けて、記憶部003から第1フォーマット031を読み出し、表示部022に入力画面200を表示させる。
【0062】
以上で説明したように、第2の実施形態に係る医用診断装置においては、重要度の低いとされる項目を表示する領域が表示されていない状態の入力画面から、重要度の低いとされる項目を表示する領域が表示されている入力画面へ、画面の表示を切り替えることができる。これにより、重要度が低いとして表示されていない情報が必要になった場合に、該情報を参照することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る医用診断装置の機能を表すブロック図
【図2】第1フォーマットを使用した入力画面の一例の図
【図3】第1の実施形態における第2フォーマットを使用した入力画面の一例の図
【図4】通常入力モードにおけるカーソルの移動を説明するための図
【図5】緊急入力モードにおけるカーソルの移動を説明するための図
【図6】第1の実施形態に係る医用診断装置における入力画面の表示及び入力画面を使用した情報の入力のフローチャートの図
【図7】第2の実施形態における第2フォーマットを使用した入力画面の一例の図
【符号の説明】
【0064】
001 表示制御部
002 ユーザインタフェース
021 入力部
022 表示部
003 記憶部
031 第1フォーマット
032 第2フォーマット
004 統括制御部
005 機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に表示されているカーソルを移動させるための移動情報の入力、入力する項目の確定、及び特定の機能を担うソフトキーに対し確定の入力を行う入力手段と、
患者の体重や身長を含む予め重要度が高いとされた前記項目を表示するための第1の領域、予め重要度が低いとされた前記項目を表示するための第2の領域、及び前記第2の領域を挟んで前記第1の領域と反対側に前記ソフトキーとが配置された第1フォーマットと、前記第1の領域及び該第1の領域に隣接する位置に前記ソフトキーが配置された第2フォーマットと、を記憶している記憶手段と、
前記第1フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させているときに、前記重要度が低いとされた項目の除外命令を受けた場合、前記第2フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用診断装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第1フォーマット及び前記第2フォーマットとして前記ソフトキーの前記画面上の座標情報を取得し、また前記カーソルの座標情報を取得し、さらに、前記カーソルの座標情報が前記ソフトキーの座標情報に含まれるときに、前記ソフトキーの確定の入力がなされると、前記ソフトキーが担う機能の実効命令を統括制御部に出力することを特徴とする請求項1に記載の医用診断装置。
【請求項3】
前記入力手段は緊急の検査であることを入力するための緊急検査ボタンをさらに備え、
前記緊急検査ボタンが押下されることにより、前記表示制御手段に前記重要度が低いとされた項目の除外命令が入力される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医用診断装置。
【請求項4】
前記第2フォーマットは、前記第1フォーマットから前記第2領域を消去し、該第2領域が表示されていた場所に前記第1領域の隣接する位置まで前記ソフトキーを拡大したフォーマットであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医用診断装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第2フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させている場合に、前記重要度が低いとされた項目の追加表示命令を受けると、前記第1フォーマットを使用した画面の上に前記カーソルを重ね合わせて前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の医用診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−142476(P2009−142476A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323302(P2007−323302)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】