説明

医療テーブルとオペレータコントロール装置との間における双方向でのIRデータの伝送のための方法および装置

【課題】医療テーブル特に手術台とオペレータコントロール装置との間にて双方向でIRデータを伝送するための方法および装置を提供する。
【解決手段】医療テーブルおよびオペレータコントロール装置は、IRデータの伝送におけるサブスクライバであり、IRトランスミッタとIRレシーバとを各々備える。サブスクライバ(10a−10d、12a−12d)により伝送されるデータは、次々と送信されるデータブロックに、各データブロックの送信間に各ブレークが認められるように分割され、そのブレーク中に他のサブスクライバがデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療テーブル特に手術台と、オペレータコントロール装置との間における双方向(二方向、bidirectional)のIR(赤外線)データの伝送方法に関し、IRトランスミッタおよびIRレシーバを各々備えた手術台およびオペレータコントロール装置に関する。手術台とオペレータコントロール装置とは、IRデータの伝送において、以後、略してサブスクライバとも呼ばれる。本願の文脈内では、医療テーブルは、患者を診察(検査、examination)または治療するために支持することができる任意の種類の患者支持面を意味すると理解され、すなわち、例えば、カウチ(寝椅子、couch)、またはベッド搬送装置を含む。
【背景技術】
【0002】
手術台のためのIRデータ伝送の典型的なケースは、一方的に、すなわちオペレータコントロール装置から手術台に向かい、行われるというものである。このケースでは、手術台を調節あるいは移動させるための調節コマンドが、手術台に、IR信号として無線で伝送される。
【0003】
手術台と「壁の制御盤(mural tableau)」との間で、IR信号によりデータを伝送することは、また、周知慣用である。「壁の制御盤」は、オペレータコントロール装置の特別な例である。壁の制御盤は、調節コマンドを入力するためのキーを有し、その調節コマンドは、IR信号として手術台に伝送される。手術台は、そのパーツ(部分)について、IRトランスミッタを用いて、ステータス情報をIR信号として壁の制御盤に送信することができる。壁の制御盤は、その後、LCディスプレイに情報を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、この既知の方法の例では、データが、IR信号として、手術台とオペレータコントロール装置との間で二方向に伝送される。しかしながら、信号は、交互の方向に、連続してのみ伝送され得る。例えば、手術台を特定の位置(姿勢、position)に移動させるために、壁の制御盤上のキーが押された場合、キーがリリースされるまで、手術台からの応答を送信することができない。これは、壁の制御盤が操作されている間は、手術台から応答を返すことができないことを意味する。応答は、例えば、特定の所望の姿勢に既に達したか否かについての応答である。そのため、手術台の現在の状態がオペレータコントロール装置に表示されるという連続的なユーザガイダンスは、不可能となる。
【0005】
本発明は、最初に述べたタイプの方法および装置で、連続的なユーザガイダンスを可能なものを明示するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、最初に述べたタイプの方法について、サブスクライバにより伝送されるデータが、次々と(順次、in succession)送信されるデータブロックに、かつ個々のデータブロックの伝送の間に各ブレーク(小休止、中断、break)が認められる(見られる、観察される、observed)ように分割され、そのブレーク中に、もう一方のサブスクライバからのデータが送信されることで達成される。この目的は、また、請求項15記載の装置により達成される。有利な発展形態が従属項に明示される。本発明の方法によると、サブスクライバは、他のサブスクライバからの2つのデータブロック間の各ブレーク中に、データブロックを伝送可能なので、2つのサブスクライバが略同時に送信することができる、或いは、複数の装置(器具)をデータがコリジョンするリスクなしに同時に操作することができる。したがって、オペレータコントロール装置のユーザが、例えば、手術台のセクション(部分)を調節するためにキーを押し続けたとき、このコマンドが、間に各ブレークがあるデータブロックの形で、伝送される。その後、これらのブレーク中に、手術台は、そのパーツについて、ステータス情報を返すことができる。ステータス情報は、例えば調整されるセクションが現在位置する姿勢である。その後、このステータス情報は、ユーザが特定の姿勢を見つけることを助ける。特定の姿勢は、例えば支持面セグメントのために45°の姿勢である。したがって、この手術台とオペレータコントロール装置間の略同時の通信は、連続的なユーザガイダンスを可能にする。さらに、サブスクライバ間のデータ伝送についての干渉耐性が増加する。
【0007】
好ましくは、データブロックの送信の前に、IR信号が現在存在するか否かを決定(判断)するチェックが行われ、IR信号が存在するときは、そのIR信号が消失した後、所定の待ち時間が経過するまで、データブロックの伝送が差し控えられる(待機される、held)。このように、IRデータ伝送における2つのサブスクライバは、それらが各々の他方のサブスクライバからのデータブロック間の各ブレーク中に送信を行うように、それら自身を同期させる。しかしながら、この発展形態は、また、送信されるデータと、IR信号を同様に発している外来のトランスミッタからの干渉信号との間のコリジョンを回避するという、さらなる有利な点を有する。これは、この発展形態が、干渉信号が実際に消失したときにのみに伝送を行うことに関することによる。手術室で発生する可能性がある干渉信号の考えうる源の例としては、蛍光灯または例えば外科のナビゲーションシステムのような他の医療機器のための電子安定器がある。
【0008】
好ましくは、オペレータコントロール装置のための所定の待ち時間は、手術台のための所定の待ち時間と異なり、特により短い。これにより達成される効果は、IR信号の消失に続いて、両方のサブスクライバが同時に送信を試みることがなく、互いに干渉(混信、interfere)しないようになる。この場合、より短い所定の待ち時間は、オペレータコントロール装置が優先されることを意味する。これは、操作が、手術台のステータスの応答よりも高いプライオリティを有することによる。
【0009】
一つの有利な発展形態では、複数の手術台および関連するオペレータコントロール装置が設けられ、それら手術台およびオペレータコントロール装置は、少なくとも部分的にオーバーラップするIR信号の受信範囲を有し、各サブスクライバに異なる待ち時間が割り当てられる。手術室に複数の手術台がある場合、もしくは隣接する手術室が窓により接続される場合、IR信号の受信範囲がオーバラップする可能性がある。それは、例えば、手術台が、他の手術台または他の手術台のためのオペレータコントロール装置からの信号を受信する可能性があることを意味する。手術台は、信号がそれに向けられたものか否かを識別するために、識別コード(以下に詳細に述べる)を用いるが、他の手術台、またはそれのオペレータコントロール装置からの信号が、自身の操作ユニットからの信号の同時の受信を妨害する可能性がある。これらの問題を回避するために、各サブスクライバに、異なる待ち時間が割り当てられる。これは、IR信号の受信範囲がオーバラップするかもしれない全てのサブスクライバが、互いに干渉できないように、互いに同期されることを意味する。例示的な実施形態に関連して以下により詳細に説明する。
【0010】
その代わりに、異なる待ち時間を設けそれら設けられた待ち時間から適切な待ち時間を任意に選択することができる。待ち時間を任意に選択する場合、異なる2つの手術台のための送信が同時に行われることはない。したがって、待ち時間を任意に選択することは、様々な手術台の待ち時間を特に互いに調整することなく信号のコリジョンを回避するための非常に単純な代替案を供する。
【0011】
一つの特に有利な発展形態では、サブスクライバの少なくとも一つが、それの送信されたIR信号を自身で受信して、それをチェックし、信号が妨害されているときに、関連するデータを再送信する。これにより、他のIR信号とのコリジョンを、データを失うことなく、過去に遡って訂正(修復、repaired)することが可能になる。
【0012】
好ましくは、IR信号のための搬送周波数(キャリア周波数)は、120kHz以上、より好ましくは350から550kHzである。これは、上記搬送周波数が、従来使用されている40kHz以下の搬送周波数を、はるかに超えることを意味する。この高められた搬送周波数は、2つの大きな有利な点を有する。第一に、より高い搬送周波数では、同じ格納データ量について、データブロックをより短くすることができる。これにより、データブロックの伝送期間中に外部干渉が発生する確率が低減する。さらに、比較的多数のサブスクライバからのデータを、個々のサブスクライバのためのデータ伝送を過度に遅延させることなく、互いに交互に配置する(挟み込む、interleaved)ことができる。
【0013】
もう一つの有利な点は、IR干渉フィールド(干渉場)の源が同様に40kHz以下の範囲であるより低い搬送周波数を有する、ということである。IR干渉フィールドの源は、手術室にとって典型的なものであり、特に、蛍光灯またはナビゲーションシステムの赤外線カメラの電子安定器である。これよりも高い搬送周波数を選択することで、干渉フィールドとの相互の影響が減少する。これは、干渉の影響を著しく低減させ得ることを意味する。
【0014】
好ましくは、各データブロックは、サブスクライバに関する識別コードを含む(格納する)。これは、各サブスクライバが、識別コードから、データブロックがそれに(自身に)向けられたものか否かを識別できることを意味する。
【0015】
好ましくは、データブロックの信号の長さは、1msから50ms、より好ましくは、2msから10msの間である。この信号の長さは、十分なデータ量を送信するのに十分に長い。同時に、干渉の確率を抑え、実際の目的のために「同時」伝送と呼べるほど細かくデータの伝送を諸処に(前後に)組み合わせるのに、十分に短い。その「同時」転送は、上述した連続的なユーザガイダンスを初めて可能にする。
【0016】
好ましくは、サブスクライバによる2つのデータブロックの送信の間のブレークは、データブロックの信号長さに対して、5から50倍、より好ましくは、10から25倍である。この比によると、異なるサブスクライバに異なる待ち時間を割り当てる上述した方法において、比較的多数のサブスクライバによる信号の伝送が同期させることは、単純である。これは例示的な実施形態を参照して以下に詳細に説明される。
【0017】
オペレータコントロール装置から手術台に伝送されるデータは、手術台の支持面を調節するための調節コマンドに関連するものでもよい。
【0018】
手術台からオペレータコントロール装置に伝送されるデータは、ステータスインジケータ(status indicators)に関連するものでもよく、ステータスインジケータは、次のような手術台の状態の一つ以上のためのものである:支持面の現在の姿勢および位置、支持面の記憶された姿勢および位置の到達、エラーメッセージ、可能でない機能についての情報、電源への接続、蓄電池の充電状態、および手術台とさらなる付属品との間の衝突についての警告。
【0019】
本発明のより明確な理解のために、図面に図示され、かつ明確な用語により記載された好適な例示的な実施形態が以下に述べられる。しかしながら、本発明の保護の範囲は、それによりに制限されるべきものではないことが指摘されよう。図示された装置の変形例とさらなる改良例、およびそれに表された本発明のさらなる適用例は、本発明の当業者の現在および将来の専門知識として考慮されるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の例示的な実施形態が図に示される。
【0021】
図1は、4つの手術台10a−10dを、それらに関連するオペレータコントロール装置12a−12dと共に概略的に示すものである。各手術台10a−10dは、概略的に示されたIRデータ伝送ユニット14を備え、そのIRデータ伝送ユニット14は、IRトランスミッタ16とIRレシーバ18とを備える。
【0022】
各オペレータコントロール装置12a−12dは、概略的に示されたIRデータ伝送ユニット20を備え、そのIRデータ伝送ユニット20は、トランスミッタ22とレシーバ24とを有する。オペレータコントロール装置12a−12dは、また、LCディスプレイ26と制御面28とを有し、その制御面28上に、調節コマンドを入力するためのボタンまたはキーが配置される。
【0023】
手術台のデータ伝送ユニット14と、オペレータコントロール装置のデータ伝送ユニット20とは、IR信号の形式でデータを互いにやり取りする。したがって、それら2つを、以後、一般化された形式のIRデータの伝送では、「サブスクライバ(購読者、加入者、subscribers)」とも呼ぶ。手術台10aと、関連するオペレータコントロール装置12aとは、それらの一方が他方に送信するデータブロックを知らせるために用いられる共有IRコードを有する。このIRコードを用いることで、サブスクライバは、それに向けられたデータを識別する。手術台とオペレータコントロール装置とを備える他のペア10b/12b、10c/12c、10d/12dは、また、一意的なIRコードを各々有する。
【0024】
手術台10a−10dが、共有された手術室内、または窓により接続された個別の手術室内に置かれるため、手術台またはオペレータコントロール(装置)からの信号は、一つ以上の他の手術台および/またはそれらのオペレータコントロール装置により受信され得る。言い換えれば、手術台10a−10dがIR信号を受信する範囲は、少なくとも一部分において互いにオーバーラップする。
【0025】
以下の本文では、手術台10aと関連するオペレータコントロール装置12aとに基づいて、2つのサブスクライバ間での双方向IRデータ伝送についての基本的な特徴を説明する。オペレータコントロール装置12aに、コントロールパネル28を用いて、調節コマンドを入力することができる。それら調節コマンドは、トランスミッタ22によりディジタルIR信号として手術台10aに送信され、その手術台のレシーバ18により受信される。手術台10aのコントロールユニット(図示せず)は、調節コマンドに基づき手術台10aを調節すべく適切なアクチュエータ(図示せず)を作動させる。
【0026】
一例として、ユーザは、手術台10aの高さを調節するためのキーを、その手術台が所望の高さとなるまで押し続ける。しかしながら、高さを調節するためのデータは、手術台10aに連続的に伝送されず、むしろ、次々と送信されるデータブロックの形をとり、各データブロックの送信の間に見られるブレーク(小休止、break)を伴う。
【0027】
調節時に、手術台10aのコントローラ(図示せず)は、手術台10aの現在の状態またはステータス(状態)に関する情報を生成する。この情報は、オペレータコントロール装置12aが手術台10aに送信したデータブロック間のブレークの中に、ディジタルIR信号として、ディジタルなステータスインジケータ(状態表示器)としてのオペレータコントロール装置12aに送信され、その内容がLCディスプレイ26に表示される。したがって、例えば、上述した手術台の高さ調節時に、ユーザは、現在達した高さを、LCディスプレイ26から読むことができ、表示された値に従い、高さ調整をストップまたは継続することができる。このほぼ同時で交互に配置された(挟み込まれた、interleaved)、手術台10aおよびオペレータコントロール装置12a間のIR信号の伝送により、オペレータコントロール装置12aの操作時にユーザに現在のステータスインジケータが供され、それにユーザは正しく判断することができる、つまり、操作中にガイドされることを意味する。
【0028】
手術台10aでの手術時に、ディスプレイ26には、手術台10aに関する多数のステータスが表示される。それらは、手術台10aの支持面の現在の姿勢および位置と、記憶された姿勢もしくは位置に支持面が(既に)達したか否かについての情報と、支持面と台(手術台)のコラムとの間のロック部(固定部)がロック(固定)されていない等のエラーメッセージと、可能でない機能についての情報と、電源(電力供給)に関する情報あるいは可動式の手術台(モバイル手術台)では蓄電池の充電状態と、手術台が付属品に衝突する虞(リスク)がある場合の警告信号とを含む。
【0029】
図示された例示的な実施形態では、IR信号の搬送周波数は455kHzである。この場合、ビットは50μsの長さを有する。図2は、使用されるデータフォーマット中のバイトの構造を概略的に示す。図2に示すように、バイトは、スタートビットを備え、そのスタートビットの後に8つのデータビットが続く。それらの後に、パリティビットとストップビットとが続く。これによりトータルでのバイトの長さは550μsになる。
【0030】
図3は、データブロックの構造を概略的に示す。各データブロックは、2つのビット、すなわち、50μsの「0」および50μsの「1」を備えたスタートコンディション(条件、condition)で始まる。これは、データブロックのスタートを知らせる。次の2バイトは、データのトランスミッタを識別するために用いられる。とりわけ、それらの識別データは、上述のIRコードを含む。3番目のバイトはチェックサムを含み、4番目から10番目のバイトは、実用データ(useful data)を含む。データブロック中の個々のバイトは、連続的に送信される。これにより、スタートコンディションを含めて、1データブロックにつき5.6msの時間がかかる。
【0031】
他のトランスミッタがメッセージを現在送信している、あるいは外の(外来の)装置が干渉する信号を送信しているかもしれないので、サブスクライバはデータブロックを送信する前に、まず他のIR信号が現在存在するか否かをチェックする。このIR信号が消えたときに、追加の待ち時間後に、サブスクライバはデータブロックの送信を許可される。
【0032】
図示された例示的な実施形態では、待ち時間は、8つのサブスクライバ10a−10d、12a−12dごとに、各々異なる。この理由は、そうでなければ、現在送信されているメッセージが終了するのを偶然に同時に待つ2つ以上のサブスクライバが、同時に送信して、それらの信号が互いに干渉してしまうであろうことによる。表示された例示的な実施形態では、この問題は、オペレータコントロール装置12aの待ち時間が1msであり、オペレータコントロール装置12bの待ち時間が2msであり、オペレータコントロール装置12cの待ち時間が3msであり、オペレータコントロール装置12dの待ち時間が4msであることにより、解決される。手術台10aの待ち時間は5msであり、手術台10bの待ち時間は6msであり、手術台10cの待ち時間は7msであり、手術台10dの待ち時間は8msである。したがって、全てのオペレータコントロール装置12a−12dは、より短い待ち時間を有し、手術台10a−10dよりも優先される。これの背景にある考えは、作動コマンドを出力するオペレータコントロール装置は、本質的にステータス情報を返す手術台よりも高いプライオリティを有する、ということである。
【0033】
図4で示されたタイミングダイヤグラム(タイミングチャート)において、時間t=0は、以前に送信されたIR信号が終了した時点(瞬間)を表す。1msの待ち時間の後に、オペレータコントロール装置12aはデータブロックをトランジット(移送)し、それは少なくとも5.6ms続く(図4において、データブロックの長さは一定の比率で表示されていない)。2ms後、すなわち、オペレータコントロール装置12aが、すでに、データブロックを送信している間に、オペレータコントロール装置12bの待ち時間である2msが経過する。オペレータコントロール装置12bは、もちろん、そうであり、オペレータコントロール装置12aがデータブロックを現在伝送しているので、IR信号が存在するかをチェックする。したがって、オペレータコントロール装置12bは、オペレータコントロール装置12aからのデータブロックの伝送が終了するまで待ち、さらに、データブロックの伝送を開始するまでに2ms待つ。オペレータコントロール装置12bがデータブロックの送信を終了してから3ms後に、オペレータコントロール装置12cがデータブロックの伝送を開始する。異なる待ち時間の結果として、8つのサブスクライバ10a−10d、12a−12dが互いに同期するので、それらが全て次々とデータブロックを伝送することができる。
【0034】
5.6msの長さの8つのデータブロックに待ち時間の合計を加えて得られた80.8ms後、最後のサブスクライバ(手術台10d)は、また、データブロックを送信する。表示された例示的な実施形態では、各サブスクライバは、100msごとに周期的にデータブロックを送信する。したがって、手術台10dがデータブロックを送信してから20.2ms後、もしくは図1におけるt=0の時点から101ms後に、オペレータコントロール装置12aは、同様に、さらなるデータブロックを送信し、そのシーケンス(順序、sequence)が繰り返される。
【0035】
このように、8つのサブスクライバが、データを、ほぼ同時に(すなわち、互いに交互に配置して)伝送することができる。
【0036】
または、サブスクライバ10a−10d、12a−12dがそれらの待ち時間を任意の原則に基づいて選択することも可能である。例えば、オペレータコントロール装置12a−12dが、1、2、3または4msの待ち時間を任意に選択し、手術台10a−10dが5、6、7または8msの待ち時間を任意に選択する。すべてサブスクライバ10a−10d、12a−12dが、伝送することを同時に望むわけではないので、コリジョンは、ごく稀にしか生じないことになり、以下のより詳細な説明により訂正されるであろう。待ち時間の任意の割付けは、異なる手術台10a−10dとそれらの関連するオペレータコントロール装置12a−12dとが、互いに調整された待ち時間を有する必要がないことを意味する。
【0037】
各サブスクライバ10a−10d、12a−12dは、レシーバ16または24を使用して自身の信号を受信し、この信号をチェックする。
【0038】
例えば、その信号が他の信号とのコリジョンにより妨げられたことが見つけられた場合、次回、関連したデータブロックが再送信される。これにより、時々の干渉にもかかわらず、データが失われないことが保証される。
【0039】
好適な例示的な実施形態が詳細に、図面および上記説明において記載されているが、純粋に例示的なものであり、本発明を限定するものではないことを考慮されたい。好適な例示的な実施形態のみが示され、記載され、本発明の保護の範囲内にある現在及び将来に生じる変形形態および改良形態の全てが、保護されるべきであることを指摘する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、4つの手術台と関連するオペレータコントロール装置とを示す。
【図2】図2は、IRデータフォーマット中のバイトの構造の概略的な図を示す。
【図3】図3は、IRデータフォーマット中のデータブロックの構造の概略的な図を示す。
【図4】図4は、図1に示された手術台とオペレータコントロール装置とによる送信のタイミングを概略的に図示するタイミングダイヤグラムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IRデータ伝送におけるサブスクライバであり、IRトランスミッタ(16、22)およびIRレシーバ(18、24)を各々備えた、医療テーブル特に手術台(10a−10d)とオペレータコントロール装置(12a−12d)との間で双方向でIRデータを伝送するための方法において、サブスクライバ(10a−10d、12a−12d)により送信されるデータを、次々と送信されるデータブロックに、かつ個々のデータブロックの送信の間に各ブレークが認められるように分割し、そのブレーク中に、他のサブスクライバ(10a−10d、12a−12d)からのデータを送信することを特徴とする方法。
【請求項2】
データブロックの送信前に、IR信号が現在存在するか否かを決定するチェックを行い、IR信号が存在するときは、そのIR信号が消失した後、所定の待ち時間が経過するまで、データブロックの送信を差し控える請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記オペレータコントロール装置(12a−12d)の上記所定の待ち時間が、上記手術台(10a−10d)の上記所定の待ち時間と異なる、特により短い請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも部分的にオーバラップするIR信号の受信範囲を有する複数の手術台(10a−10d)および関連するオペレータコントロール装置(12a−12d)が設けられ、各サブスクライバに異なる待ち時間が割り当てられる請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
異なる待ち時間が設けられると共に、適切な待ち時間が任意に選択される請求項2または3記載の方法。
【請求項6】
上記サブスクライバ(10a−10d、12a−12d)は、送信したIR信号を自身で受信して、それをチェックし、その信号が妨害されているときに、関連するデータを再送信する上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
上記IR信号の搬送周波数が、120kHz以上、好ましくは、350kHzから550kHzである上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
各データブロックは、サブスクライバ(10a−10d、12a−12d)に関する識別コードを含み、その識別コードから各サブスクライバ(10a−10d、12a−12d)は、上記データブロックがそれに向けられたものである否かを認識する上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
データブロックの信号長さが、1msから50ms、好ましくは2msから10msである上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
同じサブスクライバ(10a−10d、12a−12d)による2つのデータブロックの送信間の上記ブレークが、データブロックの信号長さの5から50倍、好ましくは10から25倍である上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
上記オペレータコントロール装置(12a−12d)から上記手術台(10a−10d)に伝送される上記データが、上記手術台の支持面を調節するための調節コマンドに関連する上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
上記手術台(10a−10d)から上記オペレータコントロール装置(12a−12d)に伝送される上記データが、
上記手術台の状態であって、上記支持面の現在の姿勢および位置、上記支持面の記憶された姿勢および位置の到達、エラーメッセージ、可能でない機能についての情報、電源への接続、蓄電池の充電状態、および上記手術台(10a−10d)と付属品との間の衝突についての警告、
の一つ以上に関連する上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
上記オペレータコントロール装置は、ポータブルなハンドヘルドリモートコントローラ、フットスイッチ、もしくは壁に設けられたリモートコントローラにより形成された上記請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
上記オペレータコントロール装置(12a−12d)は、ディスプレイ(26)を有する請求項13記載の方法。
【請求項15】
医療テーブル特に手術台(10a−10d)とオペレータコントロール装置(12a−12d)との間で双方向でIRデータを伝送するための装置において、
上記医療テーブル(10a−10d)に配置されIRトランスミッタ(16)とIRレシーバ(18)とを備えた第1のIRデータ伝送ユニット(14)を有し、上記オペレータコントロール装置(12a−12d)に配置されIRトランスミッタ(22)とIRレシーバ(24)とを備えた第2のIRデータ伝送ユニット(20)を有し、
上記第1および/または第2のIRデータ伝送ユニットは、伝送されるデータをデータブロックに分割し、それらを、上記第2または第1のデータ伝送ユニット(20、14)に次々と送信するようにプログラムされ、上記各データブロックの上記送信間に各ブレークが認められると共に、上記第2または第1のデータ伝送ユニット(20、14)が、上記第1または第2のデータ伝送ユニット(14、20)へのデータを、上記ブレーク中に、送信するようプログラムされたことを特徴とする装置。
【請求項16】
上記データ伝送ユニット(14、20)は、IR信号が現在存在するか否かをチェックし、IR信号が存在するときは、そのIR信号が消失した後、所定の待ち時間が経過するまで、上記データブロックの送信を差し控えるようにプログラムされた請求項15記載の装置。
【請求項17】
上記オペレータコントロール装置(12a−12d)の上記所定の待ち時間が、上記手術台(10a−10d)の上記所定の待ち時間と異なる、特により短い請求項16記載の装置。
【請求項18】
上記医療テーブル(10a−10d)の上記IRデータ伝送ユニット(14)および/または上記オペレータコントロール装置(12a−12d)のデータ伝送ユニット(20)は、送信したIR信号を自身で受信して、それをチェックし、その信号が妨害されているときに、関連するデータを再送信するようにプログラムされた請求項15から17のいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
請求項1から14のいずれか一つに記載の方法を実行するのに適した請求項15から18のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−208959(P2007−208959A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−306560(P2006−306560)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(502163557)マケット・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (27)
【Fターム(参考)】