説明

医療デバイスを用いて抗炎症剤とともにラパマイシン類似体を投与する方法

医薬として許容可能な担体又は賦形剤を含むか、又は支持することのできる支持構造を備える医療デバイスであり、担体又は賦形剤は、1種又は複数種の治療剤又は治療物質を含むことができ、この担体は、その表面に被膜を含んでおり、この被膜は、例えば薬物などの治療物質を含んでいる。この発明において、使用に適した医療デバイスの支持構造として、それだけに限らないが、冠血管ステント、末梢ステント、カテーテル、動静脈移植片、バイパス移植片及び脈管構造において用いられる薬物送達バルーンが挙げられる。本発明で使用するのに適した薬物として、それだけに限らないが。この薬物は、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗血栓剤、細胞毒性薬、サイトカイン又はケモカイン結合を阻害する薬剤、細胞脱分化阻害剤、抗リパエデミック剤、基質メタロプロテイナーゼ阻害剤、細胞増殖抑制薬、又はこれらの薬物の組合せから選択されるものを含めた、別の薬物と組み合わせて用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[01][技術分野]
[02]本発明は、免疫調節活性及び/又は抗再狭窄活性を有する新規な化学化合物、並びにこの新規な化合物の調製に有用な合成中間体に関し、特にマクロライド系免疫調節薬に関する。より詳細には、本発明は、ラパマイシンの半合成類似体、それらの調製手段、そのような化合物を含有する医薬組成物、及びこの医薬組成物を用いる治療方法に関する。
【0002】
[03][発明の背景]
[04]化合物シクロスポリン(シクロスポリンA)は、臓器移植及び免疫調節の分野でのその導入以来、広く用いられ、移植処置に対する成功率の著しい増加をもたらしてきた。最近、強力な免疫調節活性を有するいくつかの種類の大環状化合物が発見されてきた。Okuharaらは、1986年6月11日に公表された、欧州特許出願第184162号明細書において、免疫抑制剤FK−506、すなわちS.ツクバエンシス(tsukubaensis)の系統から単離された、23員環大環状ラクトンを含めた、ストレプトマイセス属から単離された多数の大環状化合物を開示している。
【0003】
[05]C−21でのそれらのアルキル置換基において、FK−506と異なるFR−900520及びFR−900523などの他の関連した天然産物は、S.ハイグロスコピカスヤクシムナエンシス(hygroscopicus yakushimnaensis)から単離されてきた。S.ツクバエンシスから産生される、別の類似体、FR−900525は、ピペコリン酸部分のプロリン基への置換において、FK−506と異なる。腎毒性などの、シクロスポリン及びFK−506に関係する不満足な副作用は、局所的に有効であるが、全身的には無効である免疫抑制剤を含めた、改善された効力及び安全性を有する免疫抑制化合物の探索の継続をまねいている(米国特許第5457111号明細書)。
【0004】
[06]ラパマイシンは、ストレプトマイセスハイグロスコピカスによって産生される、大環状トリエン抗生物質であり、これは、in vitro及びin vivoの両方において、特にカンジダアルビカンスに対して抗真菌活性を有することが判明した(C.Vezinaら、J.Antibiot.1975、28、721;S.N.Sehgalら、J.Antibiot.1975、28、727;H.A.Bakerら、J.Antibiot.1978、31、539;米国特許第3929992号明細書;及び米国特許第3993749号明細書)。
【0005】
【化1】

【0006】
[07]単独の(米国特許第4885171号明細書)又はピシバニールと組み合わせた(米国特許第4401653号明細書)ラパマイシンは、抗腫瘍活性を有することが示されてきた。1977年に、ラパマイシンはまた、多発性硬化症のモデルである実験的なアレルギー性脳脊髄炎モデル、関節リウマチのモデルであるアジュバント関節炎モデルにおいて、免疫抑制剤として有効であることが示され、IgE様抗体の形成を有効に阻害することが示された(R.Martelら、Can.J.Physiol.Pharmacol.、1977、55、48)。
【0007】
[08]ラパマイシンの免疫抑制作用はまた、組織不適合性のげっ歯類において、臓器移植片の生残時間を延長する能力を有するとして、FASEB、1989、3、3411に開示された(R.Morris、Med.Sci、Res.、1989、17、609)。ラパマイシンの、T細胞活性化を阻害する能力は、M.Strauchによって開示された(FASEB、1989、3、3411)。ラパマイシンのこれらの及び他の生物学的作用は、Transplantation Reviews、1992、6、39〜87において、以前に概説された。
【0008】
[09]ラパマイシンは、動物モデルにおける新生内膜増殖を低減し、ヒトにおける再狭窄の割合を低減することが示されてきた。ラパマイシンが、関節リウマチの治療用薬剤としてのその選択を支持した特性である、抗炎症作用も示すということを示す証拠が公表されてきた。細胞増殖及び炎症はともに、バルーン血管形成及びステント配置後の再狭窄病変の形成における原因因子であると考えられるので、ラパマイシン及びその類似体が、再狭窄の予防のために提案されてきた。
【0009】
[010]ラパマイシンのモノエステル誘導体及びジエステル誘導体(位置31及び42でのエステル化)は、抗真菌剤として(米国特許第4316885号明細書)、及びラパマイシンの水溶性プロドラッグとして(米国特許第4650803号明細書)有用であることが示されてきた。
【0010】
[011]ラパマイシン及び30−デメトキシラパマイシンの発酵及び精製は、文献に記載されてきた(C.Vezinaら、J.Antibiot.(Tokyo)、1975、28(10)、721;S.N.Sehgalら、J.Antibiot.(Tokyo)、1975、28(10)、727;1983、36(4)、351;N.L.Paivaら、J.Natural Products、1991、54(1)、167〜177)。
【0011】
[012]多数のラパマイシンの化学修飾が試みられてきた。これらには、ラパマイシンのモノ−及びジエステル誘導体(国際公開特許第92/05179号パンフレット)、ラパマイシンの27−オキシム(EP0467606);ラパマイシンの42−オキソ類似体(米国特許第5023262号明細書);二環式ラパマイシン(米国特許第5120725号明細書);ラパマイシン二量体(米国特許第5120727号明細書);ラパマイシンのシリルエーテル(米国特許第5120842号明細書);並びにアリールスルホネート及びスルファメート(米国特許第5177203号明細書)の調製が含まれる。ラパマイシンは、その自然発生的鏡像異性形態として最近合成された(K.C.Nicolaouら、J.Am.Chem.Soc.、1993、115、4419〜4420;D.Romoら、J.Am.Chem.Soc.、1993、115、7906〜7907;C.Hayward、J.Am.Chem.Soc.、1993、115、9345〜9346。
【0012】
[013]FK−506のように、ラパマイシンは、FKBP−12に結合することが知られていた(Siekierka,J.J.;Hung,S.H.Y.;Poe,M.;Lin,C.S.;Sigal,N.H.Nature、1989、341、755〜757;Harding,M.W.;Galat,A.;Uehling,D.E.;Schreiber,S.L.Nature 1989、341、758〜760;Dumont,F.J.;Melino,M.R.;Staruch,M.J.;Koprak,S.L.;Fischer,P.A.;Sigal,N.H.J.Immunol.1990、144、1418〜1424;Bierer,B.E.;Schreiber,S.L.;Burakoff,S.J.Eur.J.Immunol.1991、21、439〜445;Fretz,H.;Albers,M.W.;Galat,A.;Standaert,R.F.;Lane,W.S.;Burakoff,S.J.;Bierer,B.E.;Schreiber,S,L.J.Am.Chem.Soc.1991、113、1409〜1411)。ラパマイシン/FKBP−12複合体は、FK−506/FKBP−12複合体が阻害するタンパク質である、カルシニューリンと異なる、さらに別のタンパク質のm−TORに結合することも示されてきた(Brown,E.J.;Albers,M.W.;Shin,T.B.;Ichikawa,K.;Keith,C.T.;Lane,W.S.;Schreiber,S.L.Nature 1994、369、756〜758;Sabatini,D.M.;Erdjument−Bromage,H.;Lui,M.;Tempest,P.;Snyder,S.H.Cell、1994、78、35〜43)。
【0013】
[014]他の薬物が、望まれない細胞増殖に対抗するために用いられてきた。これらの例は、パクリタキセルである。タイヘイヨウイチイ(Pacific Yew)、セイヨウイチイ(Taxus brevifolia)から抽出された複合アルカロイドであるパクリタキセルは、細胞分裂に決定的である細胞骨格の成分(チューブリン、微小管の構成要素)を安定化し、したがって細胞増殖を防止している。
【0014】
[015]経皮的経管冠動脈形成術(PTCA)が、1970年代にAndreas Gruntzigによって開発された。1975年9月24日に、最初のイヌの冠血管拡張が行われ、翌年、PTCAの使用を示す研究が、米国心臓協会の年次総会で発表された。その後間もなく、最初のヒト患者が、スイスのチューリッヒで研究され、その後にサンフランシスコ及びニューヨークにおいて最初のアメリカのヒト患者が続いた。この処置は、閉塞性冠動脈疾患を有する患者の治療に関して、介入心臓病学(interventional cardiology)の慣習を変えたが、この処置により、長期的な解決策は提供されなかった。患者は、血管閉塞に関係する胸痛の一時的な寛解しか受けず、反復処置が多くの場合必要であった。再狭窄病変の存在は、新処置の有用性を著しく制限することが確認された。1980年代後半に、血管形成術後の血管開通性を維持するために、ステントが導入された。ステント術は、現在行われる血管形成術の90%に関与している。ステントの導入前は、再狭窄の割合は、バルーン血管形成術で治療された患者の30〜50%の範囲であった。ステント術の導入は、1530%の再狭窄の割合を伴って、転帰のさらなる改善をもたらした。ステント術の後、再狭窄病変は、主に新生内膜過形成によって引き起こされ、これは、時間経過及び病理組織学的外観の両方において動脈硬化性疾患と明確に異なる。再狭窄は、損傷した冠動脈壁の治癒プロセスであり、新生内膜組織が、血管腔に大きく作用している。血管近接照射療法は、ステント内再狭窄病変に対して効果的であると思われる。しかし、放射線照射は、実用性及び費用の制限、並びに安全性及び耐久性について長引いている問題を有する。
【0015】
[016]薬物溶出ステントを作製し、評価するために介入デバイス(interventional device)コミュニティーによって取り組まれた大きな努力は、少なくとも50%再狭窄を低減することによって本来の目的を満たした。しかし、改善された局所薬物送達デバイス、例えば、再狭窄を予防し、治療するための、安全で効果的な手段を提供する、薬物含浸ポリマー被覆ステントの必要性が依然として残っている。例えば、2つの市販の単一薬物溶出ステントは、再狭窄を低減し、患者の転帰を改善するが、再狭窄を解消しないか、又は有害な安全性の問題がない。患者、及び特に糖尿病を含めたリスクのある患者、小血管を有する患者及び急性冠症候群を有する患者は、改善された性能を有するステントを含めた局所薬物送達デバイスから恩恵を得ることができるだろう。
【0016】
[017]薬物の組合せを含む薬物送達デバイスは、知られている。しかし、当技術分野が、局所的に投与される、例えばステントから溶出される、特に有効な薬物の組合せを教示しているように思われない。例えば、以下にさらに考察されるように、Faloticoは、ラパマイシン/デキサメタゾンの組合せを含むEVA−PBMAポリマー被覆ステントは、ラパマイシン単独、又はデキサメタゾン単独を送達するステントよりも、新生内膜面積、面積狭窄率、及び炎症スコアを低減することにおいて「極めて効果が弱かった」ことを教示している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】サルに投薬されたテトラゾール含有ラパマイシン類似体の血中濃度±標準誤差(n=3)を示す。
【図2】本発明での使用に適したステントを示す、立面側面図(side view in elevation)である。
【図3A】ポリマーのみで被覆されたステントが配置された血管セグメントの断面図である。
【図3B】ポリマーと薬物で被覆されたステントが配置された血管セグメントの断面図である。
【図4】ヒトにおけるゾタロリムスの単回段階的増加静脈内投与に対する、線形目盛での平均血中濃度−時間のプロットを示す。
【図5】ヒトにおけるゾタロリムスの単回段階的増加静脈内投与後の、対数−線形目盛での平均血中濃度−時間のプロットを示す。
【図6】ヒトにおける単回段階的増加静脈内投与後の、ゾタロリムスのCmax及びAUCパラメータの用量比例関係を示す。
【図7】ヒトにおける複数回静脈内投与後の、ゾタロリムスの平均血中濃度−時間のプロットを示す。
【図8】第1日(図8a)、第14日(図8b)、及び第1〜14日(図8c)の、200、400及び800μgQD(毎日)投与群についての、平均ゾタロリムス血中濃度−時間特性を示す。
【図9】800μgQD投与群についての、第1日から第14日にわたる、観察されたゾタロリムス濃度−時間のデータを示す。
【図10A】in vitroでのヒトの単球による、LPSに誘導されるMCP−1、IL−6及びTNF−α産生に対するゾタロリムス、デキサメタゾン及びパクリタキセルの効果を示すグラフである。
【図10B】in vitroでのヒトの単球による、LPSに誘導されるMCP−1、IL−6及びTNF−α産生に対するゾタロリムス、デキサメタゾン及びパクリタキセルの効果を示すグラフである。
【図11】in vitroでのヒトの単球による、LPSに誘導されるMCP−1、IL−6及びTNF−α産生に対するゾタロリムス、デキサメタゾン及びパクリタキセルの効果を示すグラフである。
【図12】タクロリムスの存在下でのゾタロリムスの抗増殖活性の減弱を示すグラフであり、in vitroで平滑筋細胞において、タクロリムスが、ゾタロリムスの抗増殖活性を遮断することを示す。
【図13A】ヒト冠動脈平滑筋細胞及び内皮細胞における、ゾタロリムス単独、デキサメタゾン単独、及びゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せの抗増殖活性のグラフである。
【図13B】ヒト冠動脈平滑筋細胞及び内皮細胞における、ゾタロリムス単独、デキサメタゾン単独、及びゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せの抗増殖活性のグラフである。
【図14】ヒト冠動脈平滑筋細胞における、ゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せの抗増殖活性のアイソボログラムを示す。
【図15】ヒト冠動脈平滑筋細胞における、いくつかのゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せの抗増殖活性の併用指数活性のグラフである。
【図16】ゾタロリムス又はデキサメタゾンを添加したステントからの加速された溶出速度のグラフである。
【図17】ゾタロリムス又はデキサメタゾンを添加したステントからの加速された溶出速度のグラフである。
【図18】単独及びデキサメタゾンの存在下でのゾタロリムスの溶出速度を示すグラフである。
【図19】単一薬物溶出ステント及び対照ステントに対する、ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後28日の、ブタにおける新生内膜面積を示す棒グラフである。
【図20】単一薬物溶出ステント及び対照ステントに対する、ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後28日の、ブタにおける新生内膜厚を示す棒グラフである。
【図21】単一薬物溶出ステント及び対照ステントに対する、ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後28日の、ブタにおける面積狭窄率を示す棒グラフである。
【図22】単一薬物溶出ステント及び対照ステントに対する、ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後の、2頭のブタの研究からの新生内膜面積測定値(30%過剰拡張)を比較している棒グラフである。
【図23】単一薬物溶出ステント及び対照ステントに対する、ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後の、2頭のブタの研究からの面積狭窄率(30%過剰拡張)を比較している棒グラフである。
【図24】ゾタロリムス/デキサメタゾン溶出ステントの植込み後の、2頭のブタの研究における、平均応答を示す顕微鏡写真である。図24a〜eは、ブタの研究からの代表的な血管の断面の顕微鏡写真を示し、各群についての平均新生内膜面積を表している。図24a、TriMaxx(商標)、ステント;24b、ZoMaxx(商標)、ステント;24c、Cypher(登録商標)ステント;24d、Taxus(登録商標)ステント;24e、ゾタロリムス:パクリタキセル、10μg/mm:1μg/mmステント。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[042][発明の概要]
[043]本発明の実施形態の一態様では、構造式:
【0019】
【化2】

【0020】
[044]によって表される化合物、又は医薬として許容可能なその塩又はプロドラッグが開示される。
【0021】
[045]本発明の別の態様では、本発明は、治療量の第1の薬物及び治療量の第2の薬物を有する組成物を含む、血管腔における新生内膜過形成の治療又は阻害用の薬物の制御放出送達を提供するためのシステムに関し、第1の薬物は、少なくとも1種のオリムス(olimus)薬物並びにそれらのその塩、エステル、プロドラッグ及びそれらの誘導体を含み、この第1の薬物は、治療上有効であり、治療量の第2の薬物の存在下で、第2の薬物の活性を補完し、この第2の薬物は、治療上有効であり、治療量の第1の薬物の存在下で、第1の薬物の活性を補完する。
【0022】
[046]さらに別の態様では、本発明は、少なくとも1種のオリムス薬物及び少なくとも1種のグルココルチコステリオド(glucocorticosteriod)を含む、局所的に投与される、新生内膜過形成を低減するための医薬組成物に関し、オリムス薬物(複数も)とグルココルチコステリオド(複数も)は、約10:1から約1:10の間の比である。
【0023】
[047]一態様では、本発明の実施形態は、少なくとも1種の医薬として許容可能な担体又は賦形剤、並びにゾタロリムス及びデキサメタゾン又はそれらの誘導体、プロドラッグ、若しくは塩を有する治療組成物を含む支持構造を有する薬物送達システムに関し、対照システムと比較したとき、このシステムが対象の血管の管腔中に植え込まれる場合、新生内膜過形成の形成が低減される。この薬物送達システムは、ステントを含むことができ、第3の若しくはより多くの薬物、又は生物製剤を含めた他の治療物質を含むことができる。他の治療物質として、それだけに限らないが、抗増殖剤、抗血小板剤、ステロイド系及び非ステロイド系抗炎症剤、抗血栓剤、及び血栓溶解剤が挙げられる。対象は、それだけに限らないが、ヒト及びブタを含めた哺乳動物とすることができる。
【0024】
[048]本発明の実施形態の別の目的は、発酵によって得られる出発材料からそのような化合物を調製するための合成プロセス、並びにそのような合成プロセスに有用な化学中間体を提供することである。
【0025】
[049]本発明の実施形態のさらなる目的は、活性成分として、上記化合物の少なくとも1種を含有する医薬組成物を提供することである。
【0026】
[050]本発明の実施形態のさらに別の目的は、再狭窄、移植後の組織拒絶反応、免疫機能不全及び自己免疫機能不全、真菌増殖、及び癌を含めた様々な疾患状態を治療する方法を提供することである。
【0027】
[051]本発明の実施形態の別の態様では、その表面の少なくとも一部に被膜を有する支持構造を備える医療デバイスが提供され、この被膜は、例えば薬物などの治療物質を含んでいる。本発明で用いるのに適した医療デバイス用の支持構造として、それだけに限らないが、冠血管ステント、末梢ステント、カテーテル、動静脈移植片、バイパス移植片、及び血管形成バルーンを含めた、脈管構造に用いられる薬物送達バルーンが挙げられる。本発明で用いるのに適した薬物として、それだけに限らないが、
【0028】
【化3】

【0029】
[052]又は医薬として許容可能なその塩若しくはプロドラッグが挙げられ、これは、
【0030】
【化4】

【0031】
[053]又は医薬として許容可能なその塩若しくはプロドラッグ(以下、代わりにゾタロリムス並びにA−179578と称される)、及び
【0032】
【化5】

【0033】
[054]又は医薬として許容可能なその塩若しくはプロドラッグ;
【0034】
【化6】

【0035】
[055]又は医薬として許容可能なその塩若しくはプロドラッグ(以下、代わりにA−94507と称される)を含む。
【0036】
[056]さらに別の態様では、本発明の実施形態は、ゾタロリムス及びデキサメタゾンを含む薬物組合せの安全で有効な局所送達に関する。この薬物組合せは、現在の臨床実践で見出されるもの(Taxus(登録商標)及びCypher(登録商標))を含めた、単一薬物溶出ステントに対して、安全性及び効力における改善を提供する。
【0037】
[057]別の態様では、本発明の実施形態は、薬物組合せを送達する局所送達デバイスに関係する、新生内膜面積、新生内膜厚及び面積狭窄率を安全に、及び有効にさらに低減するための方法及びデバイスを提供する。特に、ゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せは、いずれの薬物の活性にも悪影響を及ぼすとは観察されていない。逆に、この組合せは、Taxus(登録商標)やCypher(登録商標)などの、単一薬物溶出ステントに対して、安全性及び効力における改善を示してきた。
【0038】
[058]本発明の実施形態に用いるのに適した被覆剤として、それだけに限らないが、治療剤が有効に分散され得る、任意のポリマー材料を含むポリマー被覆剤が挙げられる。被覆剤は、親水性、疎水性、生分解性、又は非生分解性とすることができる。この医療デバイスは、脈管構造における再狭窄を有効に低減する、適切な速度で薬物を放出する。ゾタロリムスを含む薬物の、直接の冠血管送達は、約15%未満のレベルまで再狭窄の割合を低減することが予期されている。
【0039】
[059][発明の実施形態の詳細な説明]
[060]用語の定義
[061]用語「付随する」は、本明細書で用いられる場合、それだけに限らないが、混合された、混合されていない、微粒子、被覆剤と混合された、支持構造物と混合された形態を含めた、多くの形態であり得る化合物を指す。当業者は、薬物、被膜/薬物、及び薬物/被膜/支持構造物の間の相互作用の変化を理解するだろう。
【0040】
[062]用語「補完的な」は、本明細書で用いられる場合、組合せ物における少なくとも2種の薬物によって示される挙動であって、それらのそれぞれの医薬活性が、ある場合には相加的な活性を有することによって、ある場合には別々であるが、哺乳動物において、全体的な所望の薬理学的効果を助長する有利な活性を有することによって、組合せ物から恩恵を得る場合、及び組合せ薬物が、互いの生物活性を積極的に低減しない場合の挙動を指す。
【0041】
[063]用語「プロドラッグ」は、本明細書で用いられる場合、in vivoで、例えば、血中での加水分解によって、上記式の親化合物に速やかに変換される化合物を指す。詳細な考察が、T.Higuchi及びV.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery systems」、A.C.S.Symposium Seriesの14巻によって、及びEdward B.Roche、編集、「Bioreversible Carriers in Drug Design」、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年に提供されており、両方とも参照により、本明細書に組み込まれている。
【0042】
[064]用語「医薬として許容可能なプロドラッグ」は、本明細書で用いられる場合、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、及びアレルギー応答を伴うことなく、ヒト及び下等哺乳動物の組織に接触させて用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比と見合っており、それらの使用目的に有効である、本発明の実施形態における化合物のプロドラッグを指す。他の実施形態は、C−31ヒドロキシル基で誘導体化される、医薬として許容可能なプロドラッグを含む。
【0043】
【化7】


R=RC(O)R;RC(S)R
ここで、R=O、S
=なし、0、N、S、様々なアルキル、アルケニル、アルキニル、複素環、アリール
=なし、様々なアルキル、アルケニル、アルキニル、複素環、アリール
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0044】
[065]用語「プロドラッグエステル」は、本明細書で用いられる場合、生理的条件下で加水分解される、任意のいくつかのエステル形成基を指す。プロドラッグエステル基の例として、アセチル、プロピオニル(propionyl)、ピバロイル、ピバロイルオキシメチル、アセトキシメチル、フタリジル、メトキシメチル、インダニルなど、並びに自然発生又は非自然発生アミノ酸の、本発明の実施形態の化合物のC−31ヒドロキシル基へのカップリングから誘導されるエステル基が挙げられる。
【0045】
[066]用語「支持構造」は、医薬として許容可能な担体又は賦形剤を含むか、又は支持することのできる骨組みを意味し、この担体又は賦形剤は、1種又は複数種の治療剤又は治療物質、例えば、1種又は複数種の薬物及び/又は他の化合物を含むことができる。支持構造は、典型的には、金属又はポリマー材料で形成される。治療剤又は治療物質を含むことのできる、生分解性ポリマーを含めたポリマー材料で形成される適当な支持構造として、制限なく、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6413272号明細書及び第5527337号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0046】
[067]「対象」は、それだけに限らないが、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、雌ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラット、マウス、モルモット、及びヒトを含めた哺乳動物を含む脊椎動物を意味する。
【0047】
[068]「治療物質」は、適切な用量で適切に対象に投与される場合、その対象に有益な効果を有する任意の物質を意味する。
【0048】
[069]実施形態
[070]本発明の一実施形態では、式
【0049】
【化8】


の化合物である。
【0050】
[071]本発明の別の実施形態では、式
【0051】
【化9】


の化合物である。
【0052】
[072]治療方法
[073]それだけに限らないが、実施例で特定されるものを含めて、本発明の化合物は、哺乳動物(ヒトを含めて)において免疫調節活性を有する。免疫抑制剤として、本発明の実施形態の化合物は、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸(intestinum tenue)、肢、筋肉、神経、十二指腸、小腸(small−bowel)、膵島細胞などを含めた臓器又は組織の移植による抵抗性を含めた免疫介在性疾患;骨髄移植によってもたらされる移植片対宿主疾患;関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎などを含めた自己免疫疾患の治療及び予防に有用である。さらなる使用には、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎及びさらに、湿疹性皮膚炎、セボロエイス(seborrhoeis)皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、じん麻疹、血管性浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症(cutaneous eosinophilia)、紅斑性狼瘡、アクネ及び円形脱毛症を含めた炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患及び免疫学的介在性疾病の皮膚発現;角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病に関係するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、及び眼天疱瘡を含めた様々な眼疾患(自己免疫性又は別の)の治療及び予防が含まれる。さらに、喘息(例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息及び塵埃喘息)、特に慢性又は難治性喘息(例えば、遅発型喘息及び気道応答性亢進)、気管支炎、アレルギー性鼻炎などを含めた可逆性閉鎖性気道疾患は、本発明の化合物によって標的にされている。胃潰瘍を含めた粘膜及び血管の炎症、虚血性疾患及び血栓症によって起こる血管損傷。さらに、特に生物又は機械介在性血管傷害後の、内膜平滑筋細胞過形成、再狭窄及び血管閉塞を含めた過剰増殖性血管疾患は、本発明の化合物によって治療又は予防することができるだろう。
【0053】
[074]本明細書に記載される化合物又は薬物は、ポリマー化合物で被覆されたステントに施すことができる。ステントのポリマー被膜中への化合物又は薬物の組込みは、ポリマー被覆ステントを、化合物又は薬物を含む溶液中に十分な時間(例えば、5分など)浸漬し、次いで例えば、十分な時間(例えば、30分など)の空気乾燥などによって被覆されたステントを乾燥させることによって行うことができる。噴霧を含めた、治療物質を施す他の方法も用いることができる。次いで、化合物又は薬物を含むポリマー被覆ステントは、バルーンカテーテルからの配置によって、又は自己展開ステントによって冠血管に送達することができる。ステントに加えて、本発明の薬物を脈管構造に導入するために用いることのできる他のデバイスとして、それだけに限らないが、移植片、カテーテル、及びバルーンが挙げられる。さらに、本発明の薬物の代わりに用いることのできる他の化合物又は薬物には、それだけに限らないが、A−94507及びSDZ RAD(別名エベロリムス)が含まれる。
【0054】
[075]ポリマー被覆ステントに用いるための、本明細書に記載された化合物は、他の薬剤と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物を組み合わせて、再狭窄を予防するのに最も有効であると思われる薬剤は、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗血栓剤、及び血栓溶解剤の部類に分類することができる。これらの分類は、さらに細分することができる。例えば、抗増殖剤は、抗有糸分裂性とすることができる。抗有糸分裂剤は、細胞分裂を阻害するか、又は細胞分裂に影響を及ぼし、それによって細胞分裂に通常関与するプロセスが起こらない。抗有糸分裂剤の一サブクラスには、ビンカアルカロイドが含まれる。ビンカアルカロイドの代表的な例として、それだけに限らないが、ビンクリスチン、パクリタキセル、エトポシド、ノコダゾール、インジルビン、並びに例えばダウノルビシン、ダウノマイシン、及びプリカマイシンなどのアントラサイクリン誘導体が挙げられる。抗有糸分裂剤の他のサブクラスとして、例えば、タウロムスチン、ボフムスチン、及びホテムスチンなどの抗有糸分裂性アルキル化剤、並びに例えば、メトトレキセート、フルオロウラシル、5−ブロモデオキシウリジン、6−アザシチジン、及びシタラビンなどの抗有糸分裂性代謝産物が挙げられる。抗有糸分裂性アルキル化剤は、共有結合的にDNA、RNA、又はタンパク質を修飾することによって細胞分裂に影響を及ぼし、それによってDNA複製、RNA転写、RNA翻訳、タンパク質合成、又は前述の組合せを阻害する。
【0055】
[076]抗有糸分裂剤の例には、それだけに限らないが、パクリタキセルが含まれる。本明細書で用いられる場合、パクリタキセルは、アルカロイド自体、その自然発生形態及び誘導体、並びにその合成及び半合成形態を含む。
【0056】
[077]抗血小板剤は、(1)表面、典型的には血栓形成表面への血小板の接着を阻害する、(2)血小板の凝集を阻害する、(3)血小板の活性化を阻害する、又は(4)前述の組合せによって作用する、治療構成要素である。血小板の活性化は、それによって血小板が、静止性の休止状態から、血小板が血栓形成表面に接触することによって誘発される多数の形態変化を起こす状態に変換されるプロセスである。これらの変化には、偽足の形成、膜受容体への結合、並びに例えば、ADPや血小板因子4などの小分子及びタンパク質の分泌を伴う、血小板の形状の変化が含まれる。血小板の接着の阻害剤として作用する抗血小板剤として、それだけに限らないが、エプチフィバチド、チロフィバン、gpIIbIIIa又はαvβ3への結合を阻害するRGD(Arg−Gly−Asp)ベースのペプチド、gpIIaIIIb又はαvβ3への結合を遮断する抗体、抗P−セレクチン抗体、抗E−セレクチン抗体、P−セレクチン又はE−セレクチンの、それらのそれぞれのリガンドへの結合を遮断する化合物、サラチン(saratin)、及び抗フォンウィルブランド因子抗体が挙げられる。ADP介在性血小板凝集を阻害する薬剤として、それだけに限らないが、ジサグレジン(disagregin)及びシロスタゾールが挙げられる。
【0057】
[078]抗炎症剤も用いることができる。これらの例として、それだけに限らないが、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、エストラジオール、トリアムシノロン、モメタゾン、フルチカゾン、クロベタゾール、並びに例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、アダリムマブ及びスリンダクなどの非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。アラキドン酸代謝産物プロスタサイクリン又はプロスタサイクリン類似体は、血管作動性抗増殖剤の例である。これらの薬剤の他の例には、サイトカイン活性を遮断するか、又はサイトカイン若しくはケモカインの同族受容体への結合を阻害することによって、サイトカイン若しくはケモカインによって伝達される炎症促進性シグナルを阻害するものが含まれる。これらの薬剤の代表的な例として、それだけに限らないが、抗IL1、抗1L2、抗IL3、抗IL4、抗IL8、抗IL15、抗IL18、抗MCP1、抗CCR2、抗GM−CSF、及び抗TNF抗体が挙げられる。他の実施形態は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、モメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、ベデソニド(bedesonide)、トリアムシノロン、クロベタゾール、フルニソリド、ロテプレドノール、ブデソニド、フルチカゾンを含めたグルココルチコステリオド、並びにそれらのその塩、エステル、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せである、第2の薬物を含んでいる。他の実施形態では、第2の薬物は、エストラジオールを含めたステロイドホルモン、並びにそれらの塩、エステル、プロドラッグ、及び誘導体又は任意の組合せである。
【0058】
[079]本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる他の薬剤には、例えば、フェノフィブラート、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンなどの抗リパエデミック(anti−lipaedemic)剤が含まれる。さらなる薬剤として、例えば、バチミスタット(batimistat)などの基質メタロプロテイナーゼ阻害剤、並びに例えば、ダルセンタンなどのエンドセリン−A受容体のアンタゴニスト、及びαvβ3インテグリン受容体のアンタゴニストが挙げられる。
【0059】
[080]抗血栓剤には、凝固経路の任意の段階で介在することのできる、化学及び生物構成要素が含まれる。具体的な構成要素の例には、それだけに限らないが、因子Xaの活性を阻害する小分子が含まれる。さらに、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、例えば、商標Clivarin(登録商標)を有する化合物などの低分子量ヘパリン、例えば商標Arixtra(登録商標)を有する化合物などの合成オリゴ糖などの、FXa及びトロンビンの両方を、直接的に又は間接的に阻害することのできるヘパリノイド型薬剤(heparinoid−type agent)。例えば、メラガトラン、キシメラガトラン、アルガトロバン、イノガトラン及びトロンビンに対するPhe−Pro−Argフィブリノーゲン基質の結合部位のペプチド模倣剤などの直接トロンビン阻害剤も含まれる。送達されることのできる抗血栓剤の別の分類は、例えば、抗因子VII/VIIa抗体、rNAPc2、及び組織因子経路阻害剤(TFPI)などの因子VII/VIIa阻害剤である。
【0060】
[081]血栓(血餅)を分解するのを助長する薬剤として定義することのできる血栓溶解剤も、補助剤として用いることができるが、これは血餅を溶解する作用が、血栓のフィブリン基質内に捕捉された血小板を分散させるのを助長するためである。血栓溶解剤の代表的な例として、それだけに限らないが、ウロキナーゼ又は組換えウロキナーゼ、プロウロキナーゼ又は組換えプロウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター又はその組換え型、及びストレプトキナーゼが挙げられる。
【0061】
[082]本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる他の薬物は、例えば、TGFなどのアポトーシス誘発剤、及び10−ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカン、及びドキソルビシンを含めたトポイソメラーゼ阻害剤などの細胞毒性薬である。本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる他の分類の薬物は、細胞脱分化を阻害する薬物及び細胞増殖抑制薬である。
【0062】
[083]本発明の化合物と組み合わせて用いることのできる他の薬剤として、例えば、フェノフィブラートなどの抗リパエデミック剤、例えば、バチミスタットなどの基質メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、ダルセンタンなどのエンドセリン−A受容体のアンタゴニスト、及びαvβ3インテグリン受容体のアンタゴニストが挙げられる。
【0063】
[084]本発明の実施形態は、第3の薬物又は物質をさらに含む。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が利用される場合、それには、それだけに限らないが、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗高脂血症剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、グルココルチコステリオドである場合、それには、それだけに限らないが、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、モメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、ベデソニド、トリアムシノロン、クロベタゾール、フルニソリド、ロテプレドノール、ブデソニド、フルチカゾン、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、ステロイドホルモンである場合、それには、それだけに限らないが、エストラジオール並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。実施形態では、第2の薬物及び/又は第3の治療薬の場合、それは、炎症性サイトカイン活性を低減する小分子及び生物製剤とすることができる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗TNFα療法を利用する場合、それには、それだけに限らないが、アダリムマブ、抗MCP−1療法、CCR2受容体アンタゴニスト、抗IL−18療法、抗IL−1療法、並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せが含まれる。前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗増殖剤を利用する場合、それには、それだけに限らないが、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン及びロムスチンを含めた、アルキル化剤、メトトレキセート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン及びペントスタチンを含めた抗代謝剤、ビンブラスチン及びビンクリスチンを含めたビンカアルカロイド、ドキソルビシン、ブレオマイシン及びマイトマイシンを含めた抗生物質、シスプラチン、プロカルバジン、エトポシド及びテニポシドを含めた抗増殖剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗血小板剤を利用する場合、それには、それだけに限らないが、アブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバンを含めた糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤、ジピリダモールを含めたアデノシン再取り込み阻害剤、クロピドグレル及びチクロピジンを含めたADP阻害剤、アセチルサリチル酸を含めたシクロオキシゲナーゼ阻害剤、並びにシロスタゾールを含めた、ホスホジエステラーゼ阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗炎症剤を利用する場合、それには、それだけに限らないが、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルチカゾン、クロベタゾール、モメタゾン及びエストラジオールを含めたステロイド、並びにアセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ピロキシカム、メファナム酸(mefanamic acid)を含めた非ステロイド系抗炎症剤、IL−1、IL−2、IL−8、IL−15、IL−18及びTNFに対する抗体を含めた、サイトカイン又はケモカインの受容体への結合を阻害することによって、炎症促進性シグナルを阻害するもの、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗血栓剤を利用する場合、それには、それだけに限らないが、未分画ヘパリン並びにクリバリン(clivarin)、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン及びチンザパリンを含めた低分子量ヘパリンを含めたヘパリン、アルガトロバン、ヒルジン、ヒルログ、ヒルゲン(hirugen)を含めた直接トロンビン阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗高脂血症剤を利用する場合、それには、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンを含めたHMG CoA還元酵素阻害剤、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジルを含めたフィブリン酸誘導体、ニコチン酸、プロブコールを含めた脂質低下剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、血栓溶解剤を利用する場合、それには、それだけに限らないが、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼや、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクタプラーゼ(tenectaplase)を含めた組織プラスミノーゲンアクチベーター、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せが含まれる。
【0064】
[085]ポリマー
[086]本発明に用いられる場合、被覆材は、そのポリマー材料中で治療剤、すなわち薬物が、実質的に溶解性であるか、有効に分散される、任意のポリマー材料を含むことができる。被膜の目的は、病変部位で送達されるための、治療剤用の制御放出ビヒクルとして、又は治療剤用のリザーバーとして機能を果すことである。被覆材はポリマーとすることができ、さらに親水性、疎水性、生分解性、又は非生分解性とすることができる。ポリマー被膜用の材料は、ポリカルボン酸、セルロースポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、多糖類、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートバレレート、ポリアクリルアミド、ポリエーテル、並びに前述の混合物及びコポリマーからなる群から選択することができる。ポリウレタン分散系(BAYHYDROLなど)及びアクリル酸ラテックス分散系を含めたポリマー分散系から調製される被覆材も、本発明の治療剤とともに用いることができる。
【0065】
[087]本発明に用いることのできる生分解性ポリマーとして、ポリ(L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリグリコリド(polyglycolide)、ポリ(ジアキサノン)(poly(diaxanone))、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリオルトエステルを含めたポリマー;ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリヒドロキシ(ブチレート−co−バレレート)、ポリグリコリド−co−トリメチレンカーボネートを含めたコポリマー;ポリアンヒドリド;ポリリン酸エステル;ポリリン酸エステル−ウレタン;ポリアミノ酸;ポリシアノアクリレート;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸を含めた生体分子;並びに前述の混合物が挙げられる。本発明に用いるのに適した生体安定性(biostable)材料として、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカプロラクタム、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリアクリロニトリル、ビニルモノマーのオレフィンとのポリスチレンコポリマー(スチレンアクリロニトリルコポリマー、エチレンメチルメタクリレートコポリマー、エチレン酢酸ビニルを含めて)、ポリエーテル、レーヨン、セルロース化合物(酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロースなどを含めて)、パリレン及びその誘導体を含めたポリマー;並びに前述の混合物及びコポリマーが挙げられる。
【0066】
[088]いくつかの実施形態では、ポリマーとして、それだけに限らないが、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(sec−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(n−ヘキシルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(n−ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソボルニルメタクリレート)、及びポリ(トリメチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−プロピルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(sec−ブチルアクリレート)、ポリ(ペンチルアクリレート)、ポリ(n−ヘキシルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)などのポリ(アクリレート)並びに任意のそれらの誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0067】
[089]いくつかの実施形態では、ポリマーとして、それだけに限らないが、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(ウレアウレタン)、ポリ(ウレタン);シリコーン;フルオロシリコーン、ポリ(エステル);ポリ(エチレン);ポリ(プロピレン);ポリ(オレフィン);ポリ(イソブチレン)のコポリマー;スチレンとイソブチレンのトリブロックコポリマー;スチレンとエチレン/ブチレンのトリブロックコポリマー;スチレンとブタジエンのトリブロックコポリマー;エチレン−アルファオレフィンのコポリマー;(ポリ塩化ビニル)やポリ(フッ化ビニル)などのハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー;例えば、ポリ(塩化ビニリデン)及びポリ(フッ化ビニリデン)などのポリ(ハロゲン化ビニリデン);ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン);ポリ(テトラフルオロエチレン−co−クロロトリフルオロエチレン);例えば、ポリ(ビニルメチルエーテル)などのポリ(ビニルエーテル);ポリ(アクリロニトリル);ポリ(ビニルケトン);ポリ(スチレン)などのポリ(ビニル芳香族化合物);ポリ(酢酸ビニル)などのポリ(ビニルエステル);メタクリル酸のコポリマーなどのビニルモノマーとオレフィンのコポリマー;アクリル酸のコポリマー;N−ビニルピロリドンのコポリマー;ポリ(ビニルアルコール);ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)、ポリ(シアノアクリレート);ポリ(無水マレイン酸)及び無水マレイン酸のコポリマー;アクリロニトリル−スチレンのコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン酢酸ビニルのコポリマー;並びにそれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0068】
[090]いくつかの実施形態では、ポリマーとして、それだけに限らないが、ナイロン66及びポリ(カプロラクタム)などのポリ(アミド);アルキド樹脂;ポリ(カーボネート);ポリ(スルホン);ポリ(オキシメチレン);ポリ(イミド);ポリ(エステルアミド);例えば、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール)を含めたポリ(エーテル);エポキシ樹脂;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、デンプン、ポリ(アミノ酸);ペプチド、タンパク質、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸(D−グルクロン酸又はL−イズロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンのコポリマー)、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びグリコサミノグリカンなどの生体分子;例えば、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、キチン、キトサン、セルロース、酢酸セルロース、セルロースブチレート、酢酸セルロースブチレート、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロースなどの他の多糖類;並びにそれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同属種、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0069】
[091]本発明に用いることのできる別のポリマーは、ポリ(MPC:LAM:HPMA:TSMA)であり、w、x、y、及びzは、ポリマーを調製するための供給原料に用いられるモノマーのモル比を表し、MPCは、単位2−メタクリオイルオキシエチルホスホリルコリン(methacryoyloxyethylphosphorylcholine)を表し、LMAは、単位ラウリルメタクリレートを表し、HPMAは、単位2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを表し、TSMAは、単位3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを表す。薬物含浸ステントは、血栓及び/又は動脈硬化性プラークによって以前に閉塞された冠動脈の開存性を維持するために用いることができる。抗増殖剤の送達により、ステント内再狭窄の割合が低減される。本発明に用いることのできるポリマーには、ホスホリルコリン単位を含む双性イオンポリマーが含まれる。
【0070】
[092]他の治療可能な状態として、それだけに限らないが、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎や、小児脂肪便症、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含めた腸炎症/腸アレルギー;多発性筋炎、ギランバレー症候群、メニエール病、多発性神経炎(polyneuritis)、多発性神経炎(multiple neuritis)、単発神経炎及び神経根症を含めた神経疾患;甲状腺機能亢進症及びバセドー病を含めた内分泌疾患;赤芽球癆、再生不良性貧血(aplastic anemia)、再生不良性貧血(hypoplastic anemia)、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血及び赤血球形成不全を含めた血液疾患;骨粗鬆症を含めた骨疾患;サルコイドーシス、肺線維症及び特発性間質性肺炎を含めた呼吸器疾患;皮膚筋炎、尋常性白斑(leukoderma vulgaris)、尋常性魚鱗癬、光アレルギー性過敏症及び皮膚T細胞リンパ腫を含めた皮膚疾患;動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎及び心筋症を含めた循環疾患;強皮症、ヴェグナー肉芽腫及びシェーグレン症候群を含めたコラーゲン疾患;脂肪過多;好酸球性筋膜炎;歯肉、歯周組織、歯槽骨及び歯のセメント質の病変を含めた歯周疾患;糸球体腎炎を含めたネフローゼ症候群;脱毛の予防又は毛の発芽の提供及び/又は毛の生成の促進及び発毛による男性型脱毛症又は老人性脱毛症;筋ジストロフィー;膿皮症及びセザリー症候群;アジソン病;例えば、保存、移植又は虚血性疾患(例えば、血栓症及び心筋梗塞)で起こる、臓器(心臓、肝臓、腎臓及び消化管を含めて)の虚血再灌流傷害を含めた臓器傷害のような活性酸素介在疾患;内毒素ショック、偽膜性大腸炎及び薬物又は放射線照射によって生じる大腸炎を含めた腸疾患;虚血性急性腎不全及び慢性腎不全を含めた腎疾患;肺酸素又は薬物(例えば、パラコルト(paracort)及びブレオマイシン)によって生じる中毒症、肺癌及び肺気腫を含めた肺疾患;白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症(pigmentosa)、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕(vitreal scarring)及び角膜のアルカリによるやけどを含めた眼疾患;多形性紅斑;線状IgAバロウス(ballous)皮膚炎及びセメント皮膚炎を含めた皮膚炎;並びに歯肉炎、歯周病、敗血症、膵炎、環境汚染(例えば、大気汚染)によって生じる疾患、加齢、発癌、癌の転移及び高山病を含めた他のもの;ヒスタミン又はロイコトリエン−C4の放出によって生じる疾患;腸−、血管−又は神経−ベーチェット病を含むベーチェット病、及びまた、口腔、皮膚、眼、外陰部、関節、精巣上体、肺、腎臓などに影響を及ぼすベーチェット病が挙げられる。さらに、本発明の化合物は、免疫原性疾患(例えば、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変及び硬化性胆管炎を含めた慢性自己免疫性肝臓疾患)、肝臓部分切除、急性肝壊死(例えば、毒素、ウイルス性肝炎、ショック又は無酸素症によって生じる壊死)、B型ウイルス肝炎、非A型/非B型肝炎、肝硬変(アルコール性肝硬変を含めて)、並びに劇症肝炎、遅発性肝不全及び「慢性状態の急性(acute−on−chronic)」肝不全(慢性肝臓疾患での急性肝不全)を含めた肝不全を含む肝臓疾患の治療及び予防に有用であり、さらに、患者が既に服用している場合のある薬物の主な化学療法効果、抗ウイルス作用、抗炎症作用、及び強心作用の増大における、これらの化合物の潜在的に有用な活性のために、様々な疾患に対して有用である。
【0071】
[093]本発明の化合物の、増殖性疾患を治療する能力は、Bunchman ET及びCA Brookshire、Transplantation Proceed.23 967〜968(1991);Yamagishiら、Biochem.Biophys.Res.Comm.191 840〜846(1993);並びにShichiriら、J.Clin.Invest.87 1867〜1871(1991)において以前に説明されている方法によって実証されることができる。増殖性疾患として、平滑筋増殖、全身性硬化症、肝臓の硬変、成人呼吸窮迫症候群、特発性心筋症、紅斑性狼瘡、糖尿病性網膜症又は他の網膜症、乾癬、強皮症、前立腺肥大症、心臓肥大(cardiac hyperplasia)、動脈傷害後の再狭窄又は血管の他の病的狭窄が挙げられる。さらに、これらの化合物は、いくつかの増殖因子に対する細胞応答をアンタゴナイズし、したがって抗血管新生特性を有し、これらの化合物を特定の腫瘍の増殖、並びに肺、肝臓、及び腎臓の線維性疾患を制御するか又は回復させるのに有用な薬剤にしている。
【0072】
[094]本発明の実施形態の水性液体組成物は、自己免疫疾患(例えば、円錐角膜、角膜炎、ジソフィアエピテリアリスコルネア(dysophia epithelialis corneae)、白斑、モーレン潰瘍、スクレビチス(sclevitis)及びグレーブス眼症を含めて)及び角膜移植の拒絶反応を含めた眼の様々な疾患の治療及び予防に特に有用である。
【0073】
[095]上記又は他の治療に用いられる場合、治療有効量の本発明の実施形態の化合物の1つは、純粋な形態又は、医薬として許容可能な塩、エステル又はプロドラッグの形態が存在する場合、そのような形態として用いることができる。或いは、化合物は、1種又は複数種の医薬として許容可能な賦形剤と組み合わせた、対象の化合物を含む医薬組成物として投与することができる。「治療有効量」の本発明の化合物という語句は、任意の医療処置に適用できる妥当な利益/リスク比で、障害を治療するのに十分な量の化合物を意味する。しかし、本発明の実施形態の化合物及び組成物の全日使用量は、適切な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者に対する、具体的な治療有効用量レベルは、治療中の障害及び障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別及び食餌;用いられる具体的な化合物の投与時間、投与経路、及び排出速度;治療の継続期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせて、又は同時に用いられる薬物;並びに医学分野で周知の同様な要因を含めた様々な要因に依存することになる。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルでの化合物の用量から開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分当分野の技術の範囲内である。
【0074】
[096]ヒト又は下等動物に投与される、本発明の実施形態における化合物の全日用量は、約0.01から約10mg/kg/日の範囲とすることができる。経口投与の目的に対しては、用量は、約0.001から約3mg/kg/日の範囲内とすることができる。ステントからの局所送達の目的に対しては、患者が受けることとなる日用量は、ステントの長さに依存する。例えば、15mmの冠血管ステントは、約1から約600マイクログラムの範囲の量で薬物を含むことができ、数時間から数週間の範囲の期間にわたってその薬物を送達することができる。必要に応じて、有効日用量は、投与の目的のために複数の用量に分割することができ、したがって、1回の用量の組成物は、そのような量又はその約数を含むことによって日用量を構成することができる。当業者は、局所投与のために本発明を用いることができ、用量は、適用部位に依存するだろう。
【0075】
[097]本発明の範囲内で、適当な薬物添加ポリマー層を提供することにおいて、多くの柔軟性が存在する。例えば、対象の薬物に関係する治療ウインドウパラメータ内で(一般に治療有効レベルと毒性レベルの間のレベル)、組合せ物において用いられる薬物の比は、互いに相関して変更することができる。例えば、一実施形態は、90:10の全薬物:ポリマー比を有し、ここで組合せにおける薬物の比は、1:1とすることができる。したがって、本発明によるゾタロリムス/デキサメタゾン組合せ物を送達するステントは、5mcg/mmのPCの上塗り層を有するPCポリマー層中に、10mcg/mmのゾタロリムス及び10mcg/mmのデキサメタゾンを含むことができる。しかし、全薬物:ポリマー比は、より低くすることができ、例えば、40:60以下である。薬物の全量に対する上限は、選択されたポリマー中での選択された薬物の混和性、薬物/ポリマー混合物の安定性、例えば、滅菌との適合性、及び混合物の物理的特性、例えば、流動性/処理性、弾性、脆性、粘性(ステントストラット同士の間でクモの巣状になったり、架橋したりしない)、実質的にステントの輪郭に加わるか、又は層間剥離若しくは亀裂の原因となるか、又は圧着することが困難な、被膜の厚さを含めたいくつかの要因に依存することになる。本発明の実施形態は、約60〜80ミクロン離れて配置されたステントストラットを含み、薬物/ポリマー/ポリマー上塗り層の厚さの上限が約30ミクロンであることを示しているが、それらの実施形態に説明されるように、任意のステントサイズ、ストラットサイズ及び空間間隔、及び/又はステント構造を、薬物送達のために用いることができる。実施形態では、治療量のオリムス薬物は、ゾタロリムス又はエベロリムスを含み、ステント1mm当たり少なくとも1μgである。別の実施形態では、第2の薬物は、グルココルチコステリオドである。第2の薬物が、実施形態で用いられる場合、この第2の薬物はデキサメタゾンであり、治療量は、ステント1mm当たり少なくとも0.5μgである。
【0076】
[098]上塗り層の厚さ(上塗り層が用いられる場合)は、望ましくは、薬物の放出動態を過度に妨害すべきではない。上塗り層はまた、下にある薬物添加ポリマー層中の薬物と同じであるか、又は異なっていることのできる、1種又は複数種の薬物を添加されることができる。
【0077】
[099]一般的にいえば、本発明の組合せ物に有用な薬物は、組合せ物中の他の薬物の所望の活性に悪く影響することにはならない。組合せ物に用いるために提案される薬物は、おそらく補完的な活性又は作用機序を有する。したがって、提案された組合せ物中の一薬物は、他の薬物の所望の活性、例えば抗増殖活性を阻害すべきではない。また、いずれの薬物も、他の薬物の分解を生じさせたり、増強したりすべきではない。しかし、例えば、滅菌の間に分解するために、他の点では不適当であると思われる場合のある薬物は、実際には、別の薬物による相互作用のために有用となり得る。したがって、単独ではEtO滅菌の間に分解することが観察されたデキサメタゾンは、ゾタロリムスの疎水性のために、ゾタロリムスと組み合わせて首尾よく用いることができる。さらに、出願者の同時係属中の米国特許出願第10/796423号明細書に記載されているように、ゾタロリムスは、デキサメタゾンの溶出速度を低減させることが観察された。
【0078】
[0100]本発明の実施形態の医薬組成物は、化合物及び医薬として許容可能な担体又は賦形剤を含み、これは、経口的、経直腸的、非経口的、大槽内、膣内、腹腔内、局所的(topically)(粉末、軟膏、滴剤又は経皮パッチによるような)、経口又は鼻内噴霧のような口腔内、或いはバルーンカテーテル内のような脈管構造内に配置されたステント内、又は心膜空間若しくは心筋内若しくは心筋上への送達のように局所的(locally)に投与することができる。語句「医薬として許容可能な担体」は、無毒性の固体、半固体、液体増量剤、希釈剤、封入材料又は任意の種類の製剤助剤を意味する。本明細書で用いられる場合、用語「非経口的」は、経口以外のすべての様式の投与を指し、これには、それだけに限らないが、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内(intrasternal)、皮下及び関節内注射、注入、経皮、及び例えば、脈管構造内などの配置が挙げられる。
【0079】
[0101]非経口注射用の本発明の医薬組成物は、医薬として許容可能な滅菌水性又は非水性の溶液、分散系、懸濁液、ナノ粒子懸濁液、又はエマルジョン、並びに使用直前に滅菌注射用溶液若しくは分散系に再構成するための滅菌粉末を含む。適当な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを含めて)、カルボキシメチルセルロース及びそれらの適当な混合物、植物油(オリーブ油を含めて)、及びオレイン酸エチルを含めた注射用有機エステルが挙げられる。レシチンを含めた被覆材料の使用によって、分散系の場合における所定の粒径の維持によって、及び界面活性物質の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
【0080】
[0102]これらの組成物は、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などの補助剤も含むことができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。糖、塩化ナトリウムなどを含めた等張剤を含めることも望ましい場合がある。注射用医薬形態の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めた、吸収を遅延させる剤を含めることによってもたらすことができる。
【0081】
[0103]場合によっては、薬物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶性又は非結晶性物質の液体懸濁剤を用いることによって達成することができる。その場合、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これはさらには、結晶サイズ及び結晶形態に依存する場合がある。或いは、非経口的に投与される薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油ビヒクル中に溶解又は懸濁させることによって達成される。
【0082】
[0104]注射用デポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリドを含めた生分解性ポリマー中に、薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。薬物とポリマーの比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(アンヒドリド)が含まれる。デポー注射用製剤は、薬物を、体組織と適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に封入することによっても調製される。
【0083】
[0105]注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、又は使用直前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒体に溶解又は分散させることのできる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を混入することによって滅菌することができる。
【0084】
[0106]経口投与用の固体剤形として、カプセル、錠剤、ピル、粉末、及び顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムを含めた、少なくとも1種の不活性な、医薬として許容可能な賦形剤又は担体及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸を含めた増量剤(filler)又は増量剤(extender)、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールを含めた湿潤剤(humectant)、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムを含めた崩壊剤、e)パラフィンを含めた溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物を含めた吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤(wetting agent)、h)カオリン及びベントナイト粘土を含めた吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムを含めた潤滑剤、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、及びピルの場合、剤形は緩衝剤も含むことができる。
【0085】
[0107]類似の種類の固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟、半固体及び硬充填ゼラチンカプセル又は液体充填カプセル中の増量剤として用いることもできる。
【0086】
[0108]錠剤、糖衣丸、カプセル、ピル、及び顆粒に限らず、経口投与用の固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬製剤分野で周知の他の被覆剤を含めた被覆剤及びシェルとともに調製することができる。それらは、場合によって乳白剤を含有することができ、それらが活性成分(複数も)を、腸管の特定の部分のみに又はその部分に優先的に、場合によって遅延された様式で放出する組成物となることもできる。用いることのできる包埋組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。薬物を含むこれらの包埋組成物は、ステント、移植片、カテーテル及びバルーンを含めた医療デバイス上に配置することができる。
【0087】
[0109]活性化合物は、適切な場合、1種又は複数種の上述の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態とすることもできる。
【0088】
[0110]経口投与用の液体剤形として、医薬として許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水又は他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物を含めた可溶化剤及び乳化剤などの当技術分野で一般に用いられる不活性な希釈剤を含むことができる。
【0089】
[0111]不活性な希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤を含めた補助剤も含むことができる。
【0090】
[0112]懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステルなどの懸濁剤、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、及びそれらの混合物を含むことができる。
【0091】
[0113]局所投与には、眼の表面を含めた皮膚への投与が含まれる。皮膚上の局所使用のための組成物には、軟膏、クリーム、ローション、及びゲルも含まれる。局所投与の別の形態は、自己免疫疾患、アレルギー性又は炎症性状態、及び角膜移植を含めた眼の免疫介在状態の治療用のような、眼に対してである。本発明の化合物は、医薬として許容可能な眼のビヒクルで送達され、その結果この化合物が、眼の表面に十分な時間接触して維持されることによって、化合物が眼の角膜領域及び内部領域、例として前房、後房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、虹彩/シラリ(cilary)、水晶体、脈絡膜/網膜及び強膜に浸透することを可能にする。医薬として許容可能な眼のビヒクルは、例えば、軟膏、植物油又は封入材料とすることができる。
【0092】
[0114]粘膜投与用の組成物、特に吸入用の組成物は、乾燥粉末として調製することができ、これは加圧されていても加圧されていなくてもよい。加圧されていない粉末組成物において、微細に分割された形態での活性成分は、例えば、直径最大100マイクロメートルのサイズを有する粒子を含む、より大きなサイズの医薬として許容可能な、不活性な担体との混合物として用いることができる。適当な不活性な担体には、ラクトースを含めた糖が含まれる。望ましくは、活性成分の粒子の少なくとも95重量%が、0.01から10マイクロメートルの範囲の有効粒径を有する。直腸又は膣の経粘膜投与において、製剤は、座剤又は停留浣腸を含み、これらは、本発明の化合物を、カカオ脂、ポリエチレングリコール、又は座剤ワックスを含めた、適当な非刺激性の賦形剤又は担体と混合することによって調製することができ、これらは、室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって直腸又は膣腔内で融解し、活性化合物を放出する。
【0093】
[0115]或いは、組成物は、加圧され、窒素を含めた圧縮ガス又は液化ガス噴射剤を含むことができる。液化噴射剤媒体及び実際には全組成物は、活性成分が任意の実質的限度までその中に溶解しないようになっている。加圧された組成物は、界面活性剤も含むことができる。界面活性剤は、液体又は固体の非イオン性界面活性剤とすることができるか、又は固体の陰イオン性界面活性剤とすることができる。他の実施形態では、個体の陰イオン性界面活性剤の使用は、ナトリウム塩の形態としてである。
【0094】
[0116]本発明の実施形態の化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。当技術分野で知られているように、リポソームは、リン脂質又は他の脂質物質から一般に得られる。リポソームは、水性媒体中に分散されている、単層又は多層の水和液晶によって形成される。リポソームを形成することのできる、任意の無毒の生理的に許容可能で代謝可能な脂質を用いることができる。リポソーム形態での組成物の実施形態は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含むことができる。実施形態での脂質は、リン脂質及びホスファチジルコリン(レシチン)であり、両方とも天然及び合成である。リポソームを形成する方法は、当技術分野で知られている。例えば、Prescott、編集、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York、N.Y.(1976)、p.33以下参照を参照されたい。
【0095】
[0117]本発明の実施形態の化合物は、1種又は複数種の全身免疫抑制剤とともに同時投与することもできる。本発明の範囲内の免疫抑制剤として、それだけに限らないが、IMURAN(登録商標)アザチオプリンナトリウム、ブレキナルナトリウム、SPANIDIN(登録商標)グスペリムス三塩酸塩(デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin)としても知られる)、ミゾリビン(ブレジニン(bredinin)としても知られる)、CELLCEPT(登録商標)ミコフェノール酸モフェチル、NEORAL(登録商標)シルオスポリン(Cylosporin)A(商標SANDIMMUNE(登録商標)の下で、シクロスポリンAの異なる製剤としても販売されている)、PROGRAF(登録商標)タクロリムス(FK−506としても知られる)、シロリムス及びRAPAMUNE(登録商標)、エベロリムス、レフルノミド(HWA−486としても知られる)、プレドニゾロン及びその誘導体を含めた糖質コルチコイド、オルソクローン(OKT3)及びZenapax(登録商標)を含めた抗体療法、白血病療法、及びチモグロブリンを含めたアンチチミオサイト(antithymyocyte)グロブリンが挙げられる。
【0096】
[0118]本発明の化合物の調製
[0119]本発明の実施形態の化合物及びプロセスは、本発明の化合物を調製することのできる方法を図示している以下の合成スキームに関連して、より良好に理解されよう。
【0097】
[0120]本発明の化合物は、様々な合成経路によって調製することができる。代表的な手順は、スキーム1に示されている。
[0121]
【0098】
【化10】

【0099】
[0122]スキーム1に示すように、ラパマイシンのC−42ヒドロキシルの、トリフルオロメタンスルホネート又はフルオロスルホネート脱離基への変換により、Aが得られた。2,6−ルチジン、ジイソプロピルエチルアミンを含む、ヒンダード非求核塩基(hindered,non−nucleophilic base)の存在下での、この脱離基のテトラゾールとの置換により、異性体B及びCが得られ、これらはフラッシュカラムクロマトグラフィーによって分離精製された。
【0100】
[0123]合成方法
[0124]前述のことは、以下の実施例を参照してより良好に理解することができ、これらは本発明の化合物を調製することができる方法を例示し、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0101】
[0125]実施例1 42−(2−テトラゾリル)−ラパマイシン(極性の低い異性体)
[0126]実施例1A
[0127]窒素雰囲気下、−78℃の、ラパマイシン(100mg、0.11mmol)のジクロロメタン(0.6mL)溶液を、2,6−ルチジン(53μL、0.46mmol、4.3当量)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(37μL、0.22mmol)で順次処理し、その後15分間攪拌し、室温まで加温し、ジエチルエーテルを用いてシリカゲル(6mL)のパッドを通して溶出した。トリフレートを含む画分をプールし、濃縮することによって、指定した化合物を琥珀色の発泡体として得た。
【0102】
[0128]実施例1B 42−(2−テトラゾリル)−ラパマイシン(極性の低い異性体)
[0129]実施例1Aの酢酸イソプロピル(0.3mL)溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(87mL、0.5mmol)及び1H−テトラゾール(35mg、0.5mmol)で順次処理し、その後18時間攪拌した。この混合物を、水(10mL)とエーテル(10mL)の間で分配した。有機物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。この有機物を濃縮することより、粘着性の黄色固体を得、これをヘキサン(10mL)、ヘキサン:エーテル(4:1(10mL)、3:1(10mL)、2:1(10mL)、1:1(10mL))、エーテル(30mL)、ヘキサン:アセトン(1:1(30mL))で溶出するシリカゲル(3.5g、70〜230メッシュ)でのクロマトグラフィーによって精製した。異性体のうちの1つをエーテル画分として採取した。
[0130]MS(ESI)m/e966(M)
【0103】
[0131]実施例2 42−(1−テトラゾリル)−ラパマイシン(極性の高い異性体)
[0132]実施例1Bにおいて、ヘキサン:アセトン(1:1)移動相を用いるクロマトグラフィーカラムから、より遅く移動するバンドを採取することにより、指定した化合物を得た。
[0133]MS(ESI)m/e966(M)
【0104】
[0134]ラパマイシン類似体のファーマコート動態(pharmacoat kinetics)
[0135]本発明の実施形態の化合物の免疫抑制活性を、ラパマイシン並びに2種のラパマイシン類似体:両方とも米国特許第5527907号明細書に開示されている、40−エピ−N−[2’−ピリドン]−ラパマイシン及び40−エピ−N−[4’−ピリドン]−ラパマイシンと比較した。活性は、Kino,T.らによって、Transplantation Proceedings、XIX(5):36〜39、Suppl.6(1987)に記載されている、ヒト混合リンパ球反応(MLR)アッセイを用いて判定した。このアッセイの結果は、本発明の化合物が、表1に示すように、ナノモル濃度で有効な免疫調節薬であることを実証する。
【0105】
【表1】

【0106】
[0136]実施例1及び実施例2の薬物動態学的挙動を、カニクイザル(1群当たりn=3)における、単回の2.5mg/kg静脈内用量の後に特徴づけた。各化合物は、エタノール20%:プロピレングリコール30%:クレモホル(cremophor)EL2%:水ビヒクル中5%のデキストロース48%の2.5mg/mL溶液として調製した。1mL/kgの静脈内用量を、サルの伏在静脈中に緩徐な大量瞬時投与(約1〜2分)として投与した。血液試料は、投薬前及び投薬後0.1(静脈内のみ)、0.25、0.5、1、1.5、2、4、6、9、12、24、及び30時間に、各動物の大腿動脈又は静脈から得た。EDTA含有試料(EDTA preserved sample)を完全に混合し、引き続く分析のために抽出した。
【0107】
[0137]血液のアリコート(1.0mL)を、内部標準物質を含む、水中20%のメタノール(0.5ml)で溶血させた。溶血させた試料を、酢酸エチルとヘキサン(1:1(v/v)、6.0mL)の混合物で抽出した。有機層を、室温で窒素流を用いて乾燥するまで蒸発させた。試料を、メタノール:水(1:1、150μL)で再構成した。表題の化合物(50μL注射剤)を、UV検出を用いる逆相HPLCを用いて混在物から分離した。試料は、実施中冷却を保った(4.0℃)。各研究からのすべての試料を、HPLCで単一バッチとして分析した。
【0108】
[0138]実施例1、実施例2及び内部標準物質の曲線下面積(AUC)測定値は、Sciex MacQuan(商標)ソフトウェアを用いて求めた。検量線は、スパイク血液(spiked blood)標準物質のピーク面積比(親薬物/内部標準物質)から、理論濃度に対する比の最小二乗線形回帰を用いて得た。この方法は、0.1ng/mLの推定定量限界を伴った標準曲線の範囲にわたって、両方の化合物について線形であった(相関>0.99)。最高血中濃度(CMAX)及び最高血中濃度に到達するまでの時間(TMAX)は、観察された血中濃度−時間データから直接読み取った。血中濃度データをCSTRIPを用いる多次指数関数的曲線フィッティングにかけることによって、薬物動態学的パラメータの推定値を得た。推定したパラメータは、NONLIN84を用いてさらに特徴づけた。投薬後0からt時間(最終の測定可能な血中濃度時点)の血中濃度−時間曲線下面積(AUC0〜t)を、血液−時間特性に対して線形台形則を用いて計算した。無限大まで外挿した残余面積を、終末消失速度定数(β)で除した最終測定血中濃度(C)として求め、AUC0〜tに加えることによって全曲線下面積(AUC0〜t)を作出した。
【0109】
[0139]図1及び表2に示すように、実施例1及び実施例2の両方は、ラパマイシンと比較した場合、驚くほど相当に短い終末消失半減期(t1/2)を有していた。したがって、本発明の化合物のみが、十分な効力(表1)及びより短い終末半減期(表2)の両方を提供する。
【0110】
【表2】

【0111】
[0140]実施例3
[0141]本実施例の目的は、ステントを含んでいるブタの冠動脈における新生内膜形成に対するラパマイシン類似体の効果を判定することであった。本実施例は、ラパマイシン類似体ゾタロリムスは、合成され、BiocompatiblesのBiodiviYsio PC Coronaryステントから送達される場合、ブタ冠動脈における新生内膜過形成及び管腔サイズに有利に影響を及ぼすことを例示する。この知見は、医療デバイスからのゾタロリムスの送達が、新生内膜過形成を制限することによってヒトにおいて適切に適用される場合、相当な臨床上の利点となり得ることを示す。
【0112】
[0142]薬剤ゾタロリムスは、米国特許第6015815号明細書に記載され、特許請求されているラパマイシン類似体である。本実施例で説明する研究は、ブタの冠血管ステントモデルにおいて、ラパマイシン類似体ゾタロリムスの、新生内膜過形成を低減する能力を評価するために構築した。このモデルにおけるゾタロリムスの効力は、経皮的血管再生後のステントにおける冠血管再狭窄及び血管再狭窄の制限及び治療に対する、その臨床的可能性を示すだろう。家畜のブタを用いたが、これは、このモデルが、ヒト被験者において新生内膜過形成を制限することを探求する他の研究と比較可能な結果をもたらすように思われるためである。
【0113】
[0143]実施例では、未成熟の飼育場のブタ中に配置した冠血管ステントから溶出するゾタロリムスを試験し、これらの結果を対照ステントと比較した。対照ステントは、薬物なしでポリマー被覆されている。ポリマー自体は、重大な程度に新生内膜過形成を刺激してはならないので、これは重要である。溶出した薬物が消失すると、ポリマーに対する炎症応答は、再狭窄プロセスは停止されないが、代わりに遅らされる、遅発型の「追い上げ現象」をおそらくもたらし得るだろう。この現象は、ヒト被験者において、後日再狭窄をもたらすだろう。
【0114】
[0144]ステントは、各ブタの2本の血管に植え込んだ。このモデルで用いたブタは、一般に2〜4カ月の年齢で、30〜40kgの体重であった。こうして2つの冠血管ステントを、1.1〜1.2の通常のステント:動脈比を視覚的に評価することによって、各ブタに植え込んだ。
【0115】
[0145]この処置の日の最初に、経口アスピリン(1日325mg)をブタに投与し、残りの過程を継続した。全身麻酔は、筋肉内注射によって達成し、その後静脈内ケタミン(30mg/kg)及びキシラジン(3mg/kg)が続いた。誘導時の追加の薬物投与は、筋肉内に投与されるアトロピン(1mg)及びフロシリン(flocillin)(1g)を含んでいた。ステント術処置の間、10000ユニットのヘパリンを動脈内に大量瞬時投与した。
【0116】
[0146]動脈アクセスは、右外側頸動脈の切開及び8Fシースの配置によって得た。処置後、動物を、コレステロール又は他の特別な補充のない通常の食餌で維持した。
【0117】
[0147]BiodivYsioステントは、3.0mmの通常の血管標的サイズで用いた。図2を参照されたい。ブタ1頭当たり2本の冠動脈を、ステントの配置に無作為に割り当てた。ステントは、薬物溶出ステント(ポリマーと薬物のステント)又はポリマーのみで被覆されたステント(ポリマーのみのステント)のいずれかであった。ステントは、標準的なガイドカテーテル及びワイヤーによって送達した。ステントバルーンを30秒未満で適切なサイズに膨張させた。
【0118】
[0148]各ブタは、各ブタが1つの薬物用ステント及び1つの対照用ステントを有するように、別々の冠動脈内に配置された、1つのポリマーのみのステント及び1つのポリマーと薬物のステントを有した。
【0119】
[0149]合計20頭のブタの試料サイズは、指数0.95及びベータ0.05で、0.15mmの標準偏差を有する0.12mmの新生内膜厚の予測される差異を検出するために選択した。
【0120】
[0150]動物は、病理組織学的検査及び定量化のために28日目に安楽死させた。灌流ポンプ系から心臓を取り出した後、近位の冠動脈にアクセスするために左心耳を除去した。傷害を有する冠動脈セグメントを、心外膜を取り除いて解剖した。病変部を含むセグメントを単離し、それによって十分な組織が、いずれの端にも未関与の血管を含むようにさせた。それぞれ長さおよそ2.5cmの前述のセグメントを、標準的なプラスチック包埋技法によって包埋し、処理した。この組織を、ヘマトキシリン−エオシン及びエラスチック−ワンギーソン(elastic−van Gieson)技法で引き続いて処理し染色した。
【0121】
[0151]低強度光及び高強度光の顕微鏡観察法を用いることによって、較正されたレチクル、及び較正された分析ソフトウェアを使用するコンピュータに接続されたデジタル顕微鏡観察装置により、顕微鏡視野の平面内で長さの測定を行った。
【0122】
[0152]血管傷害の重症度及び新生内膜応答を、較正されたデジタル顕微鏡観察法によって測定した。内弾性板の完全性の重要性は、当業者に周知である。ステント血管における病理組織学的傷害スコアは、新生内膜厚に密接に関連すると認証されてきた。このスコアは、傷害深度に関連し、以下のようなものである。
【0123】
【表3】

【0124】
[0153]傷害のこの定量的測定を、各ステントセクションのすべてのステントストラットについて評価した。較正されたデジタル画像も、各ステントストラット部位で新生内膜厚を測定するために用いた。管腔面積、内弾性板に含まれる面積、及び外弾性板内の面積も測定した。
【0125】
[0154]中位のステントセグメントを、測定、分析及び比較のために用いた。近位及び遠位のセグメントについてのデータも記録した(本報告のデータの節に含めた)。
【0126】
[0155]対応のあるt−検定を行うことによって、ポリマーのみのステント(対照群)及びポリマーと薬物のステント(治療群)にわたって変数を比較した。この研究において、予定した時点の前に死んだ動物はいなかった。
【0127】
[0156]表3は、用いたブタ及び動脈を示す。表3において、LCXは、左冠動脈の回旋枝を意味し、LADは、左冠動脈前下行枝を意味し、RCAは、右冠動脈を意味する。
【0128】
【表4】

【0129】
[0157]表4は、近位、中位、及び遠位セグメントを含めた、各ステントの平均傷害及び新生内膜厚に関するすべてのデータについての概要結果を示す。表4は、内弾性板(IEL)及び外弾性板(EEL)によって測定した場合の、管腔サイズ、狭窄率、及び動脈サイズも示す。
【0130】
[0158]試験群(ポリマーと薬物のステント)又は対照群(ポリマーのみのステント)内で、近位、中位、又は遠位セグメントにわたって、新生内膜面積又は厚さについての統計学的に有意な差異はなかった。この観察結果は、前の研究とまったく一致しており、したがって試験デバイス(ポリマーと薬物のステント)対対照デバイス(ポリマーのみのステント)の統計的比較に対して、中位セグメントのみを用いることを可能にする。
【0131】
[0159]表5は、試験群及び対照群にわたる統計学的t−検定の比較を示す。新生内膜厚、新生内膜面積、管腔サイズ、及び管腔狭窄率において統計学的に有意な差異があり、薬物溶出ステントが明らかに好都合であった。逆に、平均傷害スコア、外弾性板面積、又は内弾性板面積については、試験群(ポリマーと薬物のステント)及び対照群(ポリマーのみのステント)の間で統計学的に有意な差異はなかった。
【0132】
[0160]ステントセグメントに対して近位及び遠位の参照動脈を観察し、定量化した。これらの血管は、すべての場合において正常であり、対照群(ポリマーのみのステント)及び試験群(ポリマーと薬物のステント)の両方において未損傷であると思われた。図3A及び3Bを参照されたい。以下のデータは、対照群のステントと試験群のステントの間でサイズに統計学的に有意な差異がないことを示す。
【0133】
【表5】

【0134】
【表6】

【0135】
【表7】

【0136】
[0161]データは、効力のモルホロメトリックな(morphorometric)測定値に対して、統計学的に有意な差異が存在し、ゾタロリムスを溶出するステントが好都合であることを実証する。本発明のステントは、より小さい新生内膜面積、より小さい新生内膜厚、及びより大きな管腔面積をもたらす。炎症又は傷害パラメータに関して、試験群(ポリマーと薬物のステント)及び対照群(ポリマーのみのステント)内に有意な差異はなかった。試験群と比較した対照群について、動脈サイズ(ステントを含む)に有意な差異はなかった。これらの後者の知見は、薬物を含むポリマー被膜の動脈リモデリング特性に有意な差異のないことを示す。
【0137】
[0162]最大限でも、ポリマーと薬物のステント及びポリマーのみのステントの両方で、軽度の炎症しか見つからなかった。この知見は、ポリマーが、薬物を添加していなくても、満足な生体適合性を示すことを示す。他の研究は、薬物がポリマーから完全になくなった場合、ポリマー自体が新生内膜を生じるのに十分な炎症を引き起こすことを示す。この観察結果は、臨床上遅発性再狭窄の遅発型追い上げ現象の原因となる場合がある。本実施例のポリマーは、冠動脈において炎症を引き起こさなかったので、薬物がなくなった後のポリマーに関連する遅発問題は起こりそうにない。
【0138】
[0163]結論として、ポリマーから化合物ゾタロリムスを溶出するステントは、冠動脈に配置した場合、ブタモデルにおいて新生内膜過形成の低減を示した。
【0139】
[0164]実施例4
[0165]本実施例の目的は、ホスホリルコリン側基を含む生体適合性ポリマーで被覆された316L電解研磨ステンレス鋼クーポン(Electropolished Stainless Steal Coupon)からのゾタロリムス薬の放出速度を求めることである。
【0140】
[0166]HPLCバイアルの蓋のゴムセプタムをバイアルから取り出し、「テフロン」側が上になるようにガラスバイアル中に置いた。これらのセプタムは、試験試料の支持体として機能した。試験試料は、ホスホリルコリン側基を含む生体適合性ポリマー(PCポリマー)で予め被覆された316Lステンレス鋼クーポンであった。冠血管ステントは、316Lステンレス鋼で一般に作製されており、PCポリマーで被覆することによって、薬物を添加するためのデポー部位を提供することができる。ステントをシミュレートするために機能する、被覆されたクーポンは、セプタムの上に置いた。ガラスのハミルトンシリンジを用いることによって、ゾタロリムスとエタノールの溶液(10μl)を各クーポンの表面に適用した。この溶液は、100%エタノール(3.0ml)中に溶解させたゾタロリムス(30.6mg)を含んでいた。シリンジは、各適用の間にエタノールで洗浄した。ガラスバイアルのキャップは、バイアルの上にゆるく置き、それによって適当な通気を保証した。このクーポンを最低1.5時間乾燥させた。12個のクーポンをこのようにして装備し、6個をデバイスに添加された薬物の平均量を求めるために用い、6個をデバイスから薬物を放出するのに必要な時間を測定するために用いた。
【0141】
[0167]クーポンに添加されたゾタロリムスの全量を求めるために、クーポンをバイアルから取り出し、50/50のアセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝液(pH6.0、5.0ml)中に入れた。このクーポンを、5210 Branson超音波処理器上に1時間置いた。次いでこのクーポンを溶液から取り出し、この溶液をHPLCでアッセイした。
【0142】
[0168]時間放出研究は、以下の時間間隔、5、15、30及び60分のそれぞれにおいて、個々のクーポンをpH6.0の0.01Mリン酸緩衝液の新鮮なアリコート(10.0ml)に浸漬し、次いで取り出すことによって行った。120、180、240、300、360分の残りの時点については、5.0mlの容量の緩衝液を用いた。薬物放出段階の間の混合を促進するため、試料を、低速に設定したEberbach振盪機上に置いた。最後の試料の試験が完了した後、すべての溶液アリコートをHPLCによってアッセイした。
【0143】
[0169]HPLC分析は、以下の設定を有するHewlett Packardシリーズ1100測定器で行った。
注入容量 = 100μl
収集時間 = 40分
流速 = 1.0ml/分
カラム = 40℃
波長 = 278nm
移動相 = 65%アセトニトリル/35%H
カラム = YMC ODS−A S5μm、4.6×250mm パート番号A12052546WT
[0170]上記実験からの結果は、以下の放出データ、表6を示した。
【0144】
【表8】

【0145】
[0171]実施例5
[0172]本実施例の目的は、15mm BiodivYsio薬物送達ステントからのゾタロリムスの添加及び放出を求めることであった。
【0146】
[0173]ステントに薬物を添加するために、50mg/mlの濃度でゾタロリムスのエタノール溶液を調製し、12個のバイアル中に分注した。12個の個々のポリマー被覆ステントを、ステントを垂直位置に保持するために構築された固定具上に配置し、これらのステントを、薬物溶液中に垂直に5分間浸漬した。ステント及び固定具をバイアルから取り出し、過剰の薬物溶液は、ステントを吸収材に接触させることによって吸い取った。次いでこれらのステントを、反転した垂直位置で、空気中で30分間乾燥させた。
【0147】
[0174]ステントを固定具から取り外し、各ステントを、50/50のアセトニトリル/リン酸緩衝液(pH5.1、2.0ml)中に入れ、1時間超音波処理した。ステントを溶液から取り出し、薬物濃度について溶液をアッセイし、これはステントに最初にあった薬物の量の計算を可能にした。この方法は、ステント被膜から少なくとも95%の薬物を取り出すことを独立に示した。平均して、ステントは、120±9マイクログラムの薬物を含んでいた。
【0148】
[0175]薬物添加ステントを、固定具に配置し、個々のバイアルの0.01Mリン酸緩衝液(pH=6.0、1.9ml)中に入れた。これらの試料を、低速に設定したEberbach振盪機上に置くことにより、往復攪拌を提供した。緩衝液中で薬物が飽和状態に接近するのを回避するため、ステントを、以下の時点で、新鮮な緩衝液のバイアルに定期的に移した;15、30、45、60、120、135、150、165、180、240、390分。研究した薬物放出期間の最後の薬物濃度について、溶解緩衝液のバイアルをHPLCによってアッセイした。時間の関数としての薬物の累積放出(%)として表したデータを、表形式で以下の表7に示す。
【0149】
【表9】

【0150】
[0176]実施例6
[0177]ラパマイシンのテトラゾール類似体である、ゾタロリムスは、ブタの冠血管ステント誘導性傷害(Touchard AG、Burke SE、Toner JL、Cromack K及びSchwartz RS.Zotarolimus−eluting stents reduce experimental coronary artery neointimal hyperplasia after 4 weeks.Eur Heart J.27:988〜993、2006).Delivered from the Biocompatibles BiodivYsio PC Coronary Stents in Porcine Coronary Arteries、Technical Report、Mayo Clinic and Foundation、Rochester、MN)及びラットのバルーン血管形成術(Gregory,C.Summary of Study Evaluating Effects of zotarolimus in a Rat Model of Vascular Injury)のモデルにおいて、抗再狭窄活性を有することが示された。本実施例の目的は、健康な男性における、ゾタロリムスの段階的増加単回静脈内(IV)用量の安全性及び薬物動態(PK)を評価することであった。
【0151】
[0178]この、ヒトにおける最初の(first−time−in−man)研究において、ゾタロリムスの安全性及び薬物動態を、100から900μgの用量範囲にわたる、ゾタロリムスの静脈内大量瞬時投与後に調査した。静脈内大量瞬時投与用量の投与は、in vivoで、薬物被覆ステントからのゾタロリムスの最も急速で予期されない放出を模倣するだろう。
【0152】
[0179]これは、フェーズ1、単回段階的増加用量、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、単一施設研究であった。60人の健康な成人男性を、100、300、500、700、及び900μgの、5つのIV用量群に分割した。被験者についての個体群統計情報を表8に要約する。
【0153】
【表10】

【0154】
[0180]被験者を、表9に示す投薬スキームに示すように、空腹条件下で、ゾタロリムスの単回静脈内用量又は適合する静脈内プラセボ(matching intravenous placebo)を受けるように無作為に割り当てた。
【0155】
【表11】

【0156】
[0181]先行する低用量群からの安全性データを評価した後、高用量を投与した。処置群は、少なくとも7日隔てた。安全性の理由のため、各処置群を、6被験者の2つのコホートに分け、1つの群の2つのコホートの投薬を、少なくとも1日隔てた。
【0157】
[0182]用量は、8被験者に、3分にわたってIV大量瞬時投与として投与した。各用量群において、4被験者がゾタロリムスを受け、4被験者がプラセボを受けた。血液を168時間試料採取し、ゾタロリムスの濃度を、0.20ng/mLのLOQを有するLC−MS/MSを用いて測定した。
【0158】
[0183]研究第1日の投薬前(0時間)及び投薬後0.083(5分)、0.25、0.5、1、2、4、8、12、16、24、36、48、72、96、120、144、及び168時間に、7mLの血液試料を、静脈穿刺によってエデト酸(EDTA)を含んだ真空採取管中に採取した。
【0159】
[0184]ゾタロリムスの血中濃度は、有効な液/液抽出HPLCタンデム質量分析法(LC−MS/MS)を用いて求めた。(Ji,QC,Reimer MT,El−Shourbagy,TA.:A 96−well liquid−liquid extraction HPLC−MS/MS method for the quantitative determination of ABT−578 in human blood samples、J.of Chromatogr.B 805、67〜75(2004))。ゾタロリムスの定量化の下限値は、0.3mLの血液試料を用いて0.20ng/mLであった。すべての検量線は、0.9923以上の決定係数(r)値を有していた。
【0160】
[0185]安全性は、有害事象、理学的検査、バイタルサイン、ECG、注射部位及び検査室検査の評価に基づいて評価した。
【0161】
[0186]ゾタロリムスの薬物動態学的パラメータの値は、非コンパートメント法を用いて推定した。これらのパラメータは、ゾタロリムス投与後5分での濃度(C)、用量規格化C、消失速度定数(β)、半減期(t1/2)、時間0から最終測定可能濃度の時間までの血中濃度対時間曲線下面積(AUC0〜last)、用量規格化AUC0〜last、無限時間まで外挿した、血中濃度対時間曲線下面積(AUC0〜inf)、用量規格化AUC0〜inf、総クリアランス(CL)、及び分布容積(Vdβ)を含んでいた。
【0162】
[0187]ゾタロリムスの静脈内投与後の平均血中濃度−時間のプロットを、図4及び5にそれぞれ線形目盛及び対数−線形目盛で示す。
【0163】
[0188]2つの投与計画のそれぞれの、投与後のゾタロリムスの薬物動態学的パラメータの平均±標準偏差を表10に示す。
【0164】
【表12】

【0165】
[0189]用量比例関係及び線形薬物動態の疑問を調査するために、共分散分析(ANCOVA)を行った。被験者を用量レベルによって分類し、体重が共変量であった。分析した変数は、β、Vdβ、用量規格化C、並びに用量規格化AUC0−lastの対数及び用量規格化AUC0−infの対数を含んでいた。用量との不変性についての仮説の初期試験は、用量の単調関数に対して良好な指数を伴う用量レベル効果に対する試験であった。さらに、最高及び最低用量レベルを、ANCOVAの枠組みの中で比較した。
【0166】
[0190]図6は、ゾタロリムスのCmax、AUC0−last及びAUC0−infの用量比例関係を示す。この図からわかるように、用量規格化Cmax及びAUC0−lastに、統計学的に有意な単調傾向は観察されず、これらのパラメータの用量比例増加を示した。ゾタロリムスの用量規格化AUC0−infについて、用量との統計学的に有意な単調傾向が観察された(p=0.0152)。しかし、全群にわたる用量規格化AUC0−infの対比較では、100μgの用量規格化AUC0−infのみが、900μg及び300μgの用量規格化AUC0−inf(それぞれ、p=0.0032及びp=0.0316)と統計学的に有意に異なることを示した。統計学的に有意な単調傾向は、βにも観察された。この逸脱は、100μg用量群でのβのわずかな過剰評価が原因であり得るだろう。表11に示すように、平均ゾタロリムスC(5分での濃度)及びAUC0−infは、用量に比例して増加した。
【0167】
【表13】

【0168】
[0191]平均半減期は、研究した用量にわたって26.0〜40.2hであり、300〜900μgの用量範囲にわたって大きく異なっていなかった。ゾタロリムスは、すべての用量で良好な耐容性を示し、臨床上重要な理学的検査結果、バイタルサイン又は検査室測定値は観察されなかった。
【0169】
[0192]安全性
[0193]ゾタロリムスに関係した最も一般的な、治療により発現した有害事象(任意の一治療群における2人以上の被験者によって報告された)は、注射部位の反応及び疼痛であった。
【0170】
[0194]大部分の有害事象は、重傷度において軽度であり、自然に回復した。
【0171】
[0195]本研究において、重大な有害事象は報告されなかった。
【0172】
[0196]研究の間、理学的検査の知見、バイタルサイン、臨床検査室又はECGパラメータに、臨床上重要な変化はなかった。
【0173】
[0197]結論
[0198]IVゾタロリムスの薬物動態は、C及びAUC0−infに関して、100〜900μgの用量範囲にわたって用量に比例する。全体的に、ゾタロリムスの薬物動態は、C、AUC0−last及びAUC0−infの用量比例増加によって示されたように、100μgから900μgの用量範囲にわたって基本的に線形であった。最大900μgの単回IV大量瞬時投与用量が、安全性の問題なく投与された。
[0199]ゾタロリムスの平均消失半減期は、研究した用量範囲にわたって、26.0から40.2時間の範囲であった。平均クリアランス及び分布容積は、それぞれ2.90から3.55L/h及び113から202Lの範囲であった。βに関して、及びかなりの程度で、Vdβに関して観察された線形動態からの逸脱は、100μg用量群に対するβの過剰評価によるものであった。
【0174】
[0200]100から900μgの単回用量でのゾタロリムスは、被験者によって一般に良好な耐容性が示された。
【0175】
[0201]実施例7
【0176】
[0202]本研究は、複数回投薬後のゾタロリムスの薬物動態を評価するため、及び健康な被験者の全身暴露を最大にする間のその安全性を評価するために計画した。主要目的は、被覆ステントから溶出される薬物の予測されたレベルを大きく超える、ゾタロリムスの全暴露を達成することであった。この研究により、健康な対象において、連続14日間毎日の、200、400及び800μg用量の複数回静脈内注入後の、フェーズ1、複数回用量段階的増加研究における、ゾタロリムスの薬物動態及び安全性を調査した。
【0177】
[0203]方法
[0204]フェーズ1、複数回段階的増加、二重盲検、プラセボ対照、無作為化研究。3つの1日1回(QD)投与計画(1投与計画当たり16活性及び8プラセボでの200、400又は800μgQD)に等しく分割された72被験者に、連続14日間、ゾタロリムスの60分QD IV注入を投与した。血液試料は、最初の投与後24時間、第10、11、12、13日の投薬前、及び第14日の投与後168時間にわたって採取した。尿試料は、第1、14、16、18及び20日に24時間にわたって採取した。血液及び尿のゾタロリムス濃度は、有効なLC/MS/MS法を用いて求めた。薬物動態学的パラメータは、コンパートメント解析によって求めた。全日−AUC0〜∞(全14用量を含めた、時間0から無限大までの血中濃度−時間曲線下面積)を計算した。用量及び時間線形性並びに定常状態の達成を評価した。尿中に排出された薬物の割合を求めた。
[0205]全般に良好な健康状態にある72人の男性及び女性の被験者をこの研究に登録した。個体群統計情報を表12に要約する。
【0178】
【表14】

【0179】
[0206]表13に示すように、被験者を、3つの群(群I、II及びIII)に対して、2つの異なるサイトで無作為化した。各群内で、被験者を2つの研究サイトで均等に分割し、各サイトは12被験者(ゾタロリムス、8被験者;プラセボ、4被験者)を登録した。各用量群内の投薬スキームを以下に示す。
【0180】
【表15】

【0181】
[0207]対象は、空腹条件下で、それぞれ群I、II及びIIIについて、研究第1日から14日に、200、400、又は800μgのゾタロリムスの単回60分毎日(QD)の静脈内注入又はプラセボの適合した静脈内注入を受けた。薬物は、yサイトデバイスに接続されたシリンジポンプによって投与し、このシリンジポンプは、125〜150mLの5%デキストロース水溶液(D5W)も60分にわたって注入した。これらの群に、先の群の最後の用量と次の群の最初の用量を少なくとも7日隔てて順次投薬し、その時間に先の群からの安全性のデータを分析した。用量の段階的増加は、低用量群の安全性の分析に依存した。
【0182】
[0208]5mLの血液試料を、カリウムEDTA含有管に採取することによって、投薬前(0時間)、及び研究第1及び14日の注入開始後0.25、0.5、1.0時間、1時間5分、1.25、1.5、2、3、4、8、12、18及び24時間にゾタロリムス濃度を評価した。研究第14日の注入開始後36、48、72、96、120、144及び168時間並びに第10、11、12及び13日の投薬前に、追加の試料を採取した。尿は、保存剤なしの容器中に以下の間隔にわたって採取した:研究第1、14、16、18及び20日の注入開始後0から6、6から12、12から18及び18から24時間。
【0183】
[0209]血液及び尿のゾタロリムス濃度は、有効な液/液抽出HPLCタンデム質量分析法(LC−MS/MS)を用いて求めた。ゾタロリムスの定量化の下限値は、0.3mLの血液試料で0.20ng/mL及び0.3mLの尿試料で0.50ng/mLであった。
【0184】
[0210]安全性は、有害事象、理学的検査、バイタルサイン、ECG、注射部位及び検査室検査の評価に基づいて評価した。
【0185】
[0211]結果
[0212]すべての被験者についてのゾタロリムス血中濃度−時間データは、1次消去(first order elimination)を伴う3コンパートメント開放モデルによって説明した。研究した投与計画にわたって、平均コンパートメント薬物動態学的パラメータは、CL 4.0〜4.6L/h;V 11.3〜13.1L;Vss 92.5〜118.0L、及び終末消失t1/2 24.7〜31.0hであった。ゾタロリムスの薬物動態は、第1及び14日で、研究した投与計画にわたって用量線形性と一致した。薬物動態学的モデルは、第1及び14日のデータに同時に適合し、時間線形性の薬物動態を示した。研究した投与計画に対する全日−AUC0〜∞は、677〜2395ng・hr/mLの範囲であった。平均して、0.1%のゾタロリムス用量を、投与後24時間以内に尿中で回収した。
【0186】
[0213]薬物動態学的及び統計学的分析
[0214]ゾタロリムスの薬物動態学的パラメータ値を、コンパートメント解析を用いて、個々の被験者について推定した。研究第1日の最初の用量、研究第14日の最後の用量及び研究第10、11、12及び13日のトラフ濃度からのデータを、各個々の被験者について同時にシミュレートした。求めたパラメータは、中央コンパートメントの容積(V)、終末消失速度定数(ガンマ)、クリアランス(CL)、定常状態の分布容積(Vss)、半減期(t1/2)、最高濃度(Cmax)、最高濃度の時間(Tmax)、第14日についての血中濃度対時間曲線下面積(AUCτ)並びに対応する用量規格化Cmax及び用量規格化AUCτであった。各個人に対して最適なモデルを用いることによって、14日間にわたる個々の濃度−時間特性を予測して、研究期間にわたる慢性暴露量、すなわちCmax及び全日−AUC0〜∞(研究中のすべての14用量を考慮に入れた、時間0から無限大までの予測された血中濃度−時間特性下面積)を推定した。
【0187】
[0215]研究第14日の用量について、用量比例関係を評価するために、用量規格化Cmaxの対数、用量規格化AUC、及び終末消失速度定数に対して共分散分析(ANCOVA)を行った。センター(center)及び用量が因子であり、体重が共変量であった。定常状態に到達したかどうかの疑問に対処するため、研究第10〜14日の用量規格化投与前濃度に対して、センター及び用量レベルを因子として反復測定分析を行った。
【0188】
[0216]薬物動態
[0217]すべての被験者についてのゾタロリムス血中濃度−時間データは、1次消去を伴う3コンパートメント開放モデルによって説明した。第1日、第14日及び第1から14日についてのゾタロリムスの平均血中濃度を図7に示す。ゾタロリムスの薬物動態学的パラメータの平均±標準偏差を表14に示す。
【0189】
【表16】

【0190】
[0218]研究した投与計画にわたって観察対予測診断プロットにおいて偏りは観察されなかったので、研究した用量投与計画にわたるコンパートメント薬物動態学的パラメータの範囲は非常に狭く、2次パラメータにおいて、研究した投与計画にわたって有意な傾向は観察されず、研究した投与計画にわたって、ゾタロリムスについて用量線形性が推測された。
【0191】
[0219]以下の図は、ゾタロリムスの第14日のCmax及びAUC0〜24hにおける用量比例関係を示す。図8a、8b及び8cは、それぞれ第1日、第14日、及び第1〜14日の、200、400及び800μgQD用量群についての、平均ゾタロリムス血中濃度−時間特性を示す。各用量群について、図9(800μgQD用量群のデータをフィッティングしたときの、時間に対する平均観察血中濃度及び予測血中濃度のプロットの例)に例示したように、モデルは、第1日並びに第14日及びその間のデータを十分に説明した。線形動態を仮定する3コンパートメントモデルによる、第1日から第14日にわたる、観察されたゾタロリムス濃度−時間のデータの良好な適合は、ゾタロリムスが、時間に不変なクリアランスを示すことを示す。
【0192】
[0220]図9に示すように、研究第10〜14日の用量規格化投与前濃度において、統計学的差異は観察されなかった。
【0193】
[0221]200、400及び800μgQD用量群についてのCmaxの中央値は、それぞれ11.4、22.1及び38.9ng/mLであった。対応する全日−AUC0〜∞の中央値は、それぞれ677、1438、及び2395ng・h/mLであった。
【0194】
[0222]尿中に排出されたゾタロリムス用量の割合を、800μgQD用量群について計算した。平均して、第1日及び第14日の24時間以内で、約0.1%のゾタロリムスが尿中に回収された。
【0195】
[0223]安全性
[0224]ゾタロリムスに関係した最も一般的な、治療により発現した有害事象は、疼痛、頭痛、注射部位の反応、乾燥皮膚、腹痛、下痢及び発疹であった。大部分の有害事象は、重傷度において軽度であり、自然に回復した。本研究において、重大な有害事象は報告されなかった。具体的には、免疫抑制、QTc延長又は臨床上重大な有害事象の任意の臨床的又は生化学的証拠を示した被験者はいなかった。
【0196】
[0225]結論
[0226]ゾタロリムスの薬物動態は、研究した用量投与計画にわたって、連続14日間静脈内に投与された場合、用量比例的であり、時間に不変であった。
【0197】
[0227]ゾタロリムスのQD投薬に対する定常状態は、第10日までに到達し、この日に最初のトラフ試料を測定した。
【0198】
[0228]1日当たり、用量の約0.1%が尿中に変化していない薬物として排泄されたので、腎排泄は、ゾタロリムスにとって排出の主要経路ではない。
【0199】
[0229]ゾタロリムスは、連続14日間に、200、400、及び800μgの複数回用量として投与される場合、一般に良好な耐容性を示す。
【0200】
[0230]実施例8 ゾタロリムス及びデキサメタゾンそれぞれの抗炎症作用
[0231]経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)及びステント術後の炎症応答は、再狭窄に関係する血管リモデリングに役割を果すことが示されてきた{R.G.Macdonald、R.S.Panush及びC.J.Pepine、Rationale for use of glucocorticoids in modification of restenosis after percutaneous transluminal coronary angioplasty,Am J Cardiol、60、3、1987、56B〜60B;J.S.Forrester、M.Fishbein、R.Helfant及びJ.Fagin、A paradigm for restenosis based on cell biology:clues for the development of new preventive therapies、J Am Coll Cardiol、17、3、1991、758〜69;S.P.Karas、E.C.Santoian及びM.B.Gravanis、Restenosis following coronary angioplasty、Clin Cardiol、14、10、1991、791〜801;P.Libby及びS.K.Clinton、Cytokines as mediators of vascular pathology、Nouv Rev Fr Hematol、34 Suppl、1992、S47〜53}。循環単球、マクロファージ、好中球、好酸球、血小板、血管平滑筋及び内皮細胞を含めた、多数の細胞型がこの応答に寄与する{R.G.Macdonald、R.S.Panush及びC.J.Pepine、Rationale for use of glucocorticoids in modification of restenosis after percutaneous transluminal coronary angioplasty、Am J Cardiol、60、3、1987、56B〜60B}。PTCA後の免疫細胞の活性化は、サイトカイン/ケモカインの産生及び循環単球の血管壁への動員をもたらす。単球によって産生される、3種の重要なサイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNFα)、単球走化性タンパク質1(MCP−1)、及びインターロイキン6(IL−6)である。それらは、PTCA後に増加することが示されてきており、MCP−1及びIL−6のレベルの増加は、再狭窄の発症率の増加に関係する{Y.Hojo、U.Ikeda、T.Katsuki、O.Mizuno、H.Fukazawa、H.Fujikawa及びK.Shimada、Chemokine expression in coronary circulation after coronary angioplasty as a prognostic factor for restenosis、Atherosclerosis、156、1、2001、165〜70;F.Cipollone、M.Marini、M.Fazia、B.Pini、A.Iezzi、M.Reale、L.Paloscia、G.Materazzo、E.D’Annunzio、P.Conti、F.Chiarelli、F.Cuccurullo及びA.Mezzetti、Elevated circulating levels of monocyte chemoattractant protein−1 in patients with restenosis after coronary angioplasty、Arterioscler Thromb Vasc Biol、21、3、2001、327〜34}。腫瘍壊死因子α(TNFα)は、再狭窄の病態生理において関係づけられてきた細胞型である、単球及び組織マクロファージによって産生される、炎症促進性サイトカインである(Moreno PR、Bernardi VH、Lopez−Cuellar J、Newell JB、McMellon C、Gold HK、Palacios IF、Fuster V、Fallon JT.Macrophage infiltration predicts restenosis after coronary intervention in patients with unstable angina.Circ、94(12)、1996:3098〜102)。TNFαレベルは、ステント内再狭窄を有するヒトにおいて増加することが示されており、このサイトカインのレベルは、血管形成術後に増加する(Kozinski M、Krzewina−Kowalslka A、Kubica J、Zbikowska−Gotz M、Dymek G、Piasecki R、Sukiennik A、Grzesk G、Bogdan M、Chojnicki M、Dziedziczko A、Sypniewska G.Percutaneous coronary intervention triggers a systemic inflammatory response in patients treated for in−stent restenosis −− comparison with stable and unstable angina:Inflammation Research:54:2005:187〜93)。ステントに添加された抗TNFα抗体は、ヒト伏在静脈培養における細胞増殖のマーカーであるPCNAを低減することが示されており、TNFαの作用を遮断することは、新生内膜過形成の低減をもたらし得ることを示している(Javed Q、Swanson N、Vohra H、Thurston H、Gershlick AH.;Tumor necrosis factor−alpha antibody eluting stents reduce vascular smooth muscle cell proliferation in saphenous vein organ culture.Exp Mol Path、73(2):2002:104〜11)。さらに、TNFαレベルを増加させることにより、血管平滑筋及び内皮細胞によるサイトカイン産生を活性化することができ、これは、血管壁における炎症応答の持続を導き得る。
【0201】
[0232]グルココルチコステリオドのデキサメタゾンは、いくつかの細胞型に対して強力な抗炎症作用を有する。デキサメタゾンは、抗再狭窄剤として提案されてきており、Dexamet薬物溶出ステント(Abbott Vascular Inc.からヨーロッパで市販されている(確認されたい)で現在用いられている{D.W.Muller、G.Golomb、D.Gordon及びR.J.Levy、Site−specific dexamethasone delivery for the prevention of neointimal thickening after vascular stent implantation、Coron Artery Dis、5、5、1994、435〜42}。しかし、ヒト単球によるこれらの重要なサイトカインの産生に対する、免疫抑制剤ゾタロリムス及びシロリムスの作用は、以前には知られていなかった。
【0202】
[0233]さらに他の実施形態では、第2の薬物は、炎症性サイトカイン活性を低減する小分子及び生物製剤からなる群のメンバーである。なおさらに他の実施形態では、第2の薬物は、アダリムマブ、抗MCP−1療法及びCCR2受容体アンタゴニスト、抗IL−18療法、抗IL−1療法、並びにそれらの塩、エステル、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せの群からなる抗TNFα療法を含む。
【0203】
[0234]活性化されたヒト単球によるTNFα、IL−6及びMCP−1の産生に対する、ゾタロリムス、シロリムス及びデキサメタゾンの作用を判定するために実験を行った。単球及びマクロファージに加えて、2つの他の重要な細胞型である、動脈平滑筋細胞及び内皮細胞が、再狭窄の病因に関与する。これらの細胞は、TNFαに応答して活性化され、サイトカインを産生する。デキサメタゾン、ゾタロリムス及びシロリムスの抗炎症作用を判定するため、ヒト冠動脈内皮細胞及びヒト冠動脈平滑筋細胞(それぞれhCaEC&hCaSMC)で実験を行った。TNFα処置後のヒト冠動脈平滑筋細胞及びヒト冠動脈内皮細胞によるサイトカイン産生の活性化を、インターロイキン−8(IL−8)、MCP−1及びIL−6の産生を測定することによって判定した。以下に説明する実験結果によって示すように、これらのサイトカインは、再狭窄の発症に役割を果すので、これらの化合物のサイトカイン産生を阻害する能力は、抗再狭窄剤と組み合わせたそれらの使用を支持する。
【0204】
[0235]方法
[0236]ヒト単球(Cambrex、East Rutherford NJ)を、96ウェルマイクロプレート中に蒔き(60,000細胞/ウェル)、37℃で48時間培養し、次いで培地中の試験化合物の存在下及び非存在下で、細菌リポ多糖(LPS、25又は100ng/ml)で24時間刺激した。24時間後、上澄みを慎重に採取し、TNFα、IL−6及びMCP−1のレベルをELISAによって求めた。ヒト冠動脈内皮細胞及びヒト冠動脈平滑筋細胞の初代培養物は、Cambrexから得、この供給業者によって説明されているように維持した。細胞を、5000細胞/ウェル(hCaSMC)及び7500細胞/ウェル(hCaEC)の濃度で、96ウェルマイクロプレート中に蒔き、付着させた。24時間後、上澄みを取り出し、様々な濃度のゾタロリムス、デキサメタゾン又はシロリムスの存在下及び非存在下で、TNFα(5ng/ml)を含有する培地と置換した。細胞を24時間インキュベートし、上澄みを慎重に取り出し、測定まで凍結させた。サイトカインレベルを上澄み中でサンドイッチELISAによって測定した。
【0205】
[0237]結果及び結論
[0238]図10は、デキサメタゾン、ゾタロリムス及びラパマイシンがすべて、in vitroでヒト単球によるMCP−1産生を用量依存的に阻害することを示す。しかし、ゾタロリムス及びラパマイシンは、デキサメタゾンよりこの作用においてずっと強力で効果的である。逆に、デキサメタゾンは、TNFα及びIL−6の産生を強力に遮断し、これらの作用は、ゾタロリムス又はラパマイシンにいずれによっても示されていない(図10及び11)。hCaSMCにおいて、活性を示す唯一の薬剤はデキサメタゾンであった。これは、サイトカイン産生を用量依存的に阻害する。デキサメタゾンは、hCaSMCのMCP−1産生を57.2%、IL−6を65.7%、及びIL−8を68.4%遮断する。全3種の細胞型についてのデータを表15に要約する。試験した薬剤のうちで、hCaECによるサイトカイン産生を、対照と比較して50%阻害したものはなかった。全3種のサイトカイン(TNFα、MCP−1及びIL−6)の産生の遮断は、再狭窄の予防において有益な抗炎症作用であるので、これらのデータは、ゾタロリムス及びデキサメタゾンの併用を支持する。
【0206】
【表17】

【0207】
[0239]実施例9.ゾタロリムス及びデキサメタゾンの抗増殖活性
[0240]デキサメタゾンは、抗再狭窄剤として提案されてきており、Dexamet薬物溶出ステント(Abbott Vascular Devicesからヨーロッパで市販されている)で現在用いられている。デキサメタゾンは、強力なhCaSMCの抗増殖剤であるが、hCaECの抗増殖剤ではないことが、これまで示されてきた(Li L、Burke,SE、Chen,Y−CJ.Comparison of drugs in inhibiting human smooth muscle and endothelial cell proliferation.:Abbott Laboratories Corporate Technology Exchange Poster Presentations;2003年10月27日:R.Voisard、U.Seitzer、R.Baur、P.C.Dartsch、H.Osterhues、M.Hoher及びV.Hombach、Corticosteroid agents inhibit proliferation of smooth muscle cells from human atherosclerotic arteries in vitro、Int J Cardiol、43、3、1994、257〜67)。その抗増殖活性に加えて、デキサメタゾンは、強力な抗炎症活性も有する。ステント植込み後の炎症は、再狭窄を促進すると提唱されており、血管炎症応答を妨げる薬剤は、再狭窄を減弱することができる(P.Libby及びS.K.Clinton、Cytokines as mediators of vascular pathology、Nouv Rev Fr Hematol、34 Suppl、1992、S47〜53)。
【0208】
[0241]ゾタロリムスとコルチコステロイドのデキサメタゾンとの相互作用を調査するために、実験を行った。ヒト冠動脈平滑筋細胞(hCaSMC)及びヒト冠動脈内皮細胞(hCaEC)におけるゾタロリムスの抗増殖活性に対するデキサメタゾンの作用を、in vitro増殖アッセイを用いて判定した。血管平滑筋細胞の血管新生内膜への増殖及び遊走は、再狭窄病変に見られる特徴的な病理的応答である(A.Lafont及びP.Libby、The smooth muscle cell:sinner or saint in restenosis and the acute coronary syndromes? J Am Coll Cardiol、32、1、1998、283〜5)。結果として、ヒト冠動脈平滑筋細胞及びヒト冠動脈内皮細胞に対する候補の抗再狭窄化合物の抗増殖活性を特異的に測定するin vitroアッセイにより、in vivoでの潜在的な抗再狭窄活性が予測されるはずである。トリチウム取込みアッセイ(tritium incorporation assay)は、細胞数及び増殖を測定するために当技術分野で用いられる正確で感受性の高い方法である。in vitroでトリチウム取込みアッセイによって測定される場合、増殖因子介在ヒト冠動脈平滑筋細胞(hCaSMC)増殖を減弱させる化合物又は化合物の組合せは、候補の抗再狭窄剤である。このアッセイは、単独で抗増殖活性を示す薬剤が、組合せ物においても同様の活性を示すかどうかを判定するために用いた。
【0209】
[0242]さらに、低い効力の抗増殖活性を示す薬剤は、組合せ物として投与される場合、より強力な抗増殖剤の活性を遮断する場合がある。ゾタロリムスの抗増殖活性のタクロリムスによる減弱は、この作用の明瞭な例である(図12)。図でわかるように、タクロリムス(「T」)は、hCaSMCにおいて、ゾタロリムスの抗増殖活性を遮断した。タクロリムス(100nM)は、ゾタロリムスのIC50を増大させ、タクロリムス(250nM以上)の存在は、ゾタロリムス(4nM)の活性を完全に遮断した。ゾタロリムス及びタクロリムスの両方は、共通の受容体FKBP−12に結合するが、それぞれの結合は、異なるシグナル経路に影響を及ぼす。
【0210】
[0243]ゾタロリムスとデキサメタゾンの組合せの潜在的な抗再狭窄活性を判定するため、hCaSMC及びhCaECの増殖を、各単一化合物及び組合せ物の存在下において測定した。
【0211】
[0244]デキサメタゾンは、いくつかの細胞型における細胞分裂に必要な重要なタンパク質の合成を抑制し、強力な抗炎症剤である(Voisard R、Seitzer U、Baur Rら、Corticosteroid agents inhibit proliferation of smooth mascle cells from human atherosclerotic arteries in vitro.Int J Cardiol.1994年3月1日;43(3):257〜267;N.Baghdassarian、A.Peiretti、E.Devaux、P.A.Bryon及びM.French、Involvement of p27Kip1 in the G1− and S/G2−phase lengthening mediated by glucocorticoids in normal human lymphocytes、Cell Growth Differ、10、6、1999、405〜12)。ラパマイシンのように、ゾタロリムスは、mTOR阻害によってサイクリン依存性キナーゼを遮断し、G1−S期で細胞周期進行を阻害する(S.O.Marx、T.Jayaraman、L.O.Go及びA.R.Marks、Rapamycin−FKBP inhibits cell cycle regulators of proliferation in vascular smooth muscle cells、Circ Res、76、3、1995、412〜7;Sehgal S.N.、Rapamune(RAPA、rapamycin、sirolimus):mechanism of action immunosuppressive effect results from blockade of signal transduction and inhibition of cell cycle progression.Clin Biochem.1998年7月;31(5):335〜340;S.N.Sehgal、Sirolimus:its discovery,biological properties,and mechanism of action、Transplant Proc、35、3 Suppl、2003、7S〜14S)。デキサメタゾンが、hCaSMCでのゾタロリムスの抗増殖活性を減弱したか又は増強したかを判断するために、増殖因子誘導増殖に対する、単独及び組合せでのこれらの薬剤の作用を判定した。血管病変部の再内皮化は、有益であると考えられるので、hCaECでの両薬剤の抗増殖作用を、単独及び組合せにおいて評価した。以下に説明する、アイソボログラム手法及び併用指数(combination index)分析を用いて、データを相互作用(相加性)について分析した。
【0212】
[0245]増殖アッセイ法
[0246]Hチミジン取込み研究
[0247]細胞増殖を、血清及び増殖因子によって刺激された細胞の、新規に合成されたDNAへのH−チミジンの取込みを追跡することによってモニターした。指数関数的に増殖しているhCaSMCを、96ウェル平底組織培養プレート中に、5000細胞/ウェル(hCaECについては10000細胞/ウェル)で蒔いた。これらの細胞を一晩付着させた。翌日に増殖培地を取り出し、細胞を無補足(基本)培地で2回洗浄することによって、微量の血清及び増殖因子を除去した。基本培地(200μl)を各ウェルに加え、細胞を、増殖因子及び血清のない培地中でインキュベートすることによって飢餓させ、それらをG状態に同調させた。血清及び増殖因子のない培地中での飢餓後(hCaSMCについて48時間及びhCaECについて39時間)、細胞を、所望の濃度の薬物の非存在下又は存在下で、200μlの補足培地を補充した。すべてのウェルにおいて、DMSOを0.1%の最終濃度で維持した。72時間のインキュベーション期間後、25μl(1μCi/ウェル)のH−チミジン(Amersham Biosciences)を、各ウェルに加えた。細胞を37℃で16〜18時間インキュベートすることによって、新規に合成されたDNA中にH−チミジンを取り込ませ、細胞ハーベスター(Harvester 9600、TOMTEC)を用いて、結合したガラス繊維フィルターを含む96ウェルプレート上に細胞を収集した。フィルタープレートを一晩空気乾燥させ、MicroScint−20(25μl)を各フィルターウェルに加え、これらのプレートを、TopCountマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いてカウントした。対照は、培地のみ、飢餓細胞、及び完全培地中の細胞を含んでいた。薬物活性は、完全培地中で増殖した細胞と比べた、新規に合成されたDNAへのH−チミジンの取込みの阻害を測定することによって確証した。
【0213】
[0248]データは、ビヒクル処置対照と比べたH−チミジンの取込みの阻害率として示し、3〜4実験の平均±標準誤差として提供する。各実験からの阻害の平均値対薬物濃度の片対数プロットを作成し、各実験に対するIC50を、薬物の非存在下の完全培地中でインキュベートした細胞と比べた、50%阻害レベルの外挿によって求めた。最終的なIC50は、3〜4実験の平均である。
【0214】
[0249]これらの実験において、x軸は、変更される薬物の濃度を表す。これらの曲線のほとんどについては、それは単独及び固定濃度のデキサメタゾンとの組合せのゾタロリムスである。各グラフは、デキサメタゾン単独の曲線及びゾタロリムス単独の曲線を含む。各グラフの一連の曲線は、固定濃度(1、5、10又は25nM)のデキサメタゾンを、様々な濃度のゾタロリムス(0、0.04、0.08、0.8、4、8、40nM)に加えることによって作成する。各曲線は、固定濃度のデキサメタゾン(凡例に与えられている)の存在下でのゾタロリムス(その濃度は、x軸に与えられている)の用量応答を表す。hCaECにおいて、より高い固定濃度のデキサメタゾンを用いた(1、10、100、1000nM)ことに注意されたい。
【0215】
[0250]2つの方法を用いることによって、hCaSMC増殖に対するゾタロリムスとデキサメタゾンの併用効果を分析した。Tallaridaの方法(R.J.Tallarida,Drug synergism:its detection and applications、J Pharmacol Exp Ther、298、3、2001、865〜72)を用いて、いくつかの効果レベルでアイソボログラムを作成した。濃度応答曲線を、非線形回帰(Prism、GraphPad)によって合わせることによって、EC50及びヒル勾配の値を得た。特定の抗増殖作用を誘発する濃度は、4パラメータ方程式(式1)を用いて求めた。
【0216】
[0251]Y=最下値+(最上値−最下値)/(1+10^((LogEC50−X)*ヒル勾配))
Xは、濃度の対数である。Yは、応答である。
或いは:
【0217】
【数1】

【0218】
[0252]式中、X=Y応答を生じる、薬物の対数濃度であり、最上値及び最下値は、それぞれ100及び0に限定される。アイソボログラムに加えて、以下の例外とともにChou及びTalalayの方法(T.C.Chou及びP.Talalay、Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors、Adv Enzyme Regul、22、1984、27〜55)を用いて、データを相乗作用について分析した。非線形4パラメータ方程式は、濃度−応答曲線をより正確にシミュレートするので、各曲線に対して作成した回帰モデルを、中央値−効果(median−effect)データの代わりに用いた(対数−ロジットプロット)。中央値−効果プロットは、0.2未満及び0.8超の部分占有率の値によって大いに影響を受ける。25%、50%、60%及び75%を生じる、いくつかの薬物の組合せに対する併用指数(CI)を、式2によって計算した(Chou TC、Talalay P.Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors.Adv Enzyme Regul.1984;22:27〜55)。
【0219】
[0253](D)/(D+(D)/(D+((D)(D))/(D(D=CI(式2)
【0220】
[0254]式中、特定の効果レベルにおいて、(D)及び(D)は、組合せ中の薬物1及び薬物2の濃度であり、(D及び(Dは、薬物1単独及び薬物2単独の濃度である。
【0221】
[0255]CI値は、各薬物がその独自の効力によって作用していたと仮定して、組合せの効果の加重を反映する。式2は、2つの相互に非排他的な化合物の組合せに対して予測される効果を記述する。各薬物が、その独自の用量依存的部分占有率に応じて併用効果に寄与する場合、CIは1に等しい。CIは、観察される効果のレベルに依存するので、CIを、複数の薬物組合せを用いていくつかの効果レベルにおいて求めた。CI値を、それらが計算された効果レベル(又はfa)の関数としてプロットした。CI値は、アイソボログラム分析と同様に、効果レベル依存性であり、効果のレベルが変化すると変動し、したがって、CI値を比較する際には効果レベルを考慮することが重要である。CI値の精度は、その結果としてそれらの計算に用いる濃度値の精度に依存する。本研究では、正確な方法(GraphPadのソフトウェアによる反復曲線フィッティング)を用いることによって、いくつかの効果レベルでの各累積用量−応答曲線から薬物濃度を計算した。用量−応答曲線は、データに合わせることができ、これにより、わずかな用量依存活性も示すことができる。これは、高濃度の、試験薬剤のうちの1つの存在下で作成された用量−応答曲線を分析する場合、特に明白である。これらの条件下での用量−応答曲線からの薬物濃度の決定における誤差は、低効果レベル(f)で高CI値をもたらす場合がある。したがって、最大半量の効果付近又は最大半量の効果の上(すなわち、f〜0.5)での明瞭な用量−応答曲線から生じるCI値は、薬物組合せ物の活性の最も正確な予測判断材料である。これらの条件下で、1未満のCI値は、超相加的であるとみなされ、1を大きく超える値は、亜相加的であるとみなされる。1付近の値は、相加的であるとみなされる。
【0222】
[0256]結果及び結論
[0257]図13は、デキサメタゾンは、hCaECの増殖に影響を及ぼさないが、9.3nMのIC50(表16)を伴って、hCaSMCの増殖を用量依存的に遮断することを示す。さらに、データは、デキサメタゾンの存在は、ゾタロリムスの抗増殖活性を減弱させない、すなわち、組合せ中のこれらの薬物は、補完的であることを示す。データ(図13)はまた、デキサメタゾン及びゾタロリムスの両方の濃度を増加させることは、hCaSMC細胞増殖の著しい阻害をもたらすことを示す。この組合せは、in vitroでこの活性を示すので、これらのデータにより、ゾタロリムスとデキサメタゾンの組合せは、再狭窄を予防することにおいて有益となることが予測される。
【0223】
【表18】

【0224】
[0258]より高いデキサメタゾンの用量は、より高いレベルの増殖阻害を達成した。hCaSMCについてのアイソボログラム分析を、図14に提供し、併用指数(CI)分析を図15に提供する。図14において、特定のレベルの活性を生じさせる濃度は、データ平均値の非線形曲線フィッティングによって作成した用量−応答曲線から求めた。図15において、CIレベルは、上記に参照したChou及びTalalayの方法を用いて、平均データから求めた。パラメータfは、分数の(fractional)阻害率を表す。
【0225】
[0259]様々な効果レベルでアイソボログラム分析を行うことによって、ゾタロリムス及びデキサメタゾンの組合せが、細胞増殖を阻害することにおいて相加的な活性を有するかどうかを判定した。併用指数分析は同様の結果を示すが、すべての効果レベルを、1つの図で示すことができる。アイソボログラム分析及び併用指数分析の両方は、ゾタロリムスとデキサメタゾンの組合せは、増殖を遮断し、この効果は、CI値が最大半量の効果レベルで1付近なので、それぞれの単一の薬剤の効果を合計することによって予測される効果と同様であることを示す。hCaECからのデータに対して併用分析を行わなかったが、これは、デキサメタゾンが、この細胞型において活性を示さないためである。
【0226】
[0260]デキサメタゾンは、hCaSMCの増殖を遮断するが、hCaECの増殖には影響を及ぼさない。さらに、損傷した血管壁の再内皮化は、再狭窄の予防において有益であると考えられるので、これらのデータは、デキサメタゾンの抗再狭窄剤としての使用を支持する。
【0227】
[0261]実施例10.溶出実験
[0262]I.PC−1036でのステントの被覆(PC−2126を加えるべきかについてJohnは考えている)
【0228】
[0263]あらゆる実験の前に、被覆したステントを作製した。これらは、3.0mm×15mmの316L電解研磨ステンレス鋼のステントであった。それぞれの清潔なステントを、濾過した20mg/mLの、ホスホリルコリンポリマーPC−1036(Biocompatibles Ltd.、Farnham、Surrey、UKの製品)のエタノール溶液を用いて、スプレー被覆した。これらのステントを最初に空気乾燥させ、次いで70℃で16時間硬化させた。次いでそれらを<25KGyのγ線照射に出した。
【0229】
[0264]II.ステントへの対象の薬物の添加
[0265]これらの実験において、薬剤をステント上に添加し、溶出特性を調査した。一般に、手順は以下のようであった。複数のPC被覆ステントに、薬物又は薬物組合せ物の溶液を添加した。薬物(複数も)の溶液は、通常100%のエタノール中に、2〜20mg/mLのゾタロリムス(zotarolimus(zotarolimus))及び10.0mg/mLのデキサメタゾンの範囲であり、この溶液に〜10%のPC−1036を加えることによって、被膜形成を増強した。薬物組合せ物及び個々の薬物のステントへの添加は、アイソレーターユニット(isolator unit)内の単一パス(single pass)スプレー装置での、所望の薬物(複数も)のステントへのスプレー添加によって達成した。すべての薬物溶出ステントは、Abbott専売のTriMaxxの構築物である15mm×3.0mmのステントから作製し、すべてのカテーテルは、Medtronic(Minneapolis、MN)のOTW、15mm×3.0mmであった。各組合せのために作製した数は、溶出の加速、薬物添加含有量、不純物特性、及び動物有効性試験のために十分な数を提供した。
【0230】
[0266]ステントは、薬物溶液を添加する前に計量した。エタノール中に適切な薬物(複数も)とPC1036を91:9の比で含有する溶液から、すべてのステントに、それらの目標とする薬物含有量までスプレー添加した。デキサメタゾン:ゾタロリムスの組合せについては、各薬物10μg/mmでステントを作製した。10μg/mmのゾタロリムス単独を、単一薬物ステント上に添加した。添加したら、すべてのステントを、40℃に設定した乾燥器において、開放したバイアル中で30分間乾燥させ、計量して薬物の添加量を求めた。次いで薬物添加ステントを、10mg/mlのポリマーのエタノール溶液を用いてスプレーすることによって、5μg/mmのPC1036で上塗りした。
【0231】
[0267]上塗り後、ステントを、乾燥器中で70℃で2時間硬化させた後、計量して上塗り層の重量を求めた。薬物を添加した後、ステントを、カテーテル上に取り付け、バルーン上に圧着した。次いでこのステントを、被膜及び物理的欠陥について視覚的に検査した。それぞれのステント/カテーテルを、パッケージングフープ(packaging hoop)中に挿入し、次いでTyvekのポーチ中に挿入した。このポーチを、Vertrod Impulse Heatシーラーで密封した。ステント識別ラベルを、製品を含む密封領域の外側の、ポーチ正面の下隅に配置した。次いで製品を、製品詳細を張った白色の箱に入れ、EtO滅菌のために発送した。滅菌から戻されると、製品は、酸素捕捉剤及び乾燥剤の小袋を含むホイルポーチ中に梱包されていた。これらのポーチには、ステント識別番号及び製品詳細が張られていた。これらのポーチは、窒素を流しながら密封された。
【0232】
[0268]III.ステントからの薬物の抽出
[0269]試験したそれぞれの薬物又は薬物組合せ物に対して、3つのステントを用いることによって、上記手順によって添加された薬物の全量を評価した。ステントを、6mLの50%アセトニトリル、50%緩衝液の溶液に浸漬し、20分間超音波処理した。抽出溶液中の各薬物の濃度を、HPLCによって分析した。
【0233】
[0270]以下に考察する溶出実験の最後に、ステントを溶出媒体から取り出し、6mLの50%アセトニトリル、50%緩衝液の溶液に浸漬し、20分間超音波処理した。これらのバイアル中の各薬物の濃度は、溶出実験の最後にステント上に残っている薬物の量を示した。
【0234】
[0271]IV.溶出プロセス
[0272]in vitroでの薬物溶出の評価のために、ステント(各群についてn=3)を拡張し、次いでUSP Type II溶解装置中の、37℃に加熱した、1%Solutol HS 15を含む10mMの酢酸緩衝液(pH=4.0)の溶液中に入れた。薬物は非常に低い水溶性しか有さないので、可溶化剤が必要であった。溶解媒体を緩衝することによって、6を超えるpHで生じる、「−オリムス」薬物の分解を最小限にした。pH4での緩衝作用は、この問題を解決する。これらの薬物は、こうしたpH範囲で最小限の解離を有するので、pHは、溶出速度にほとんど影響がない。
【0235】
[0273]試料を、テフロン、ステンレス鋼、又はガラス表面のみを備えたシリンジサンプラーを用いて、選択した時間間隔に溶解槽から吸い上げた。15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、18時間及び24時間後にアリコートを採取した。試料を、HPLCによってゾタロリムス及びデキサメタゾンの濃度についてアッセイする。データを、マイクログラムでの溶出した薬物及び溶出した平均百分率として表す。
【0236】
[0274]HPLC法において、カラム交換を用いることによって、分析カラムのSolutol汚染を最小限にし、ガードカラムのすすぎを可能にすることが必要であり、さもなければシステムはSolutolで被覆され、クロマトグラフィーの保持が劇的に変化する。試料は、ガードカラム上に最初に注入した。分析物のピークがガードカラムから溶出し、分析カラムに移ると、ガードカラムを分析経路からはずした。次いでガードカラムを洗浄することによって、次の注入の前にSolutolを除去した。
【0237】
[0275]V.溶出結果
[0276]図15、16及び17は、上記に詳述したように、ポリマーPC−1036の5μg/mmの上塗り層を有するステント上に、それぞれ10μg/mmのゾタロリムス及びデキサメタゾンを添加したステントの加速された溶出速度を示す。
【0238】
[0277]図15(マイクログラムでの溶出した薬物)において、示された24時間溶出特性は、抗炎症剤デキサメタゾンの組合せについてであり、抗増殖剤はゾタロリムスである。溶出は、上述したように行った。デキサメタゾンは、最初は、ゾタロリムスよりもわずかに大きなバースト放出であったが、次いで、2種の薬物放出は、およそ同じ速度になった。
【0239】
[0278]図16(溶出した薬物(%))は、最終のステント抽出後、ステントに対して測定された全薬物によって規格化した図15のデータを表す。図に示すように、100%の両薬物が、ステントの被膜から回収されている。回収された全薬物は、薬物添加プロセスの間のステントの重量取込みによって予測された薬物添加量と良好に一致している。このデータは、同じバッチからのステントでの薬物効力及び関連物質試験とともに、薬物は、上記に概説したように作製される場合、ポリマー被膜中で安定であることを示す。小さなエラーバー(標準偏差を表している)は、2種薬物溶出ステントは、再現性のある溶出動態を伴って作製することができることを示す。
【0240】
[0279]図17において、2つの曲線は、同じ条件下での、それぞれ単独及びデキサメタゾンの存在下でのゾタロリムスについての溶出特性(マイクログラムでの放出対時間)である。図に示すように、2つの曲線は非常に類似しており、デキサメタゾンは、ゾタロリムスの溶出特性にほとんど影響がないことを示している。
【0241】
[0280]実施例11.ステント植込み後の新生内膜過形成及び内皮化についての試験
[0281]この試験は、新生内膜過形成及び内皮化に対する、2種の薬物の効果を判定するために用いた。この試験は、技術で認められた、ブタ冠血管過剰拡張(overstretch)モデルを利用し(Schwartz,R.S.、Restenosis and the proportional neointimal response to coronary artery injury:results in a porcine model.J Am Coll Cardiol.1992年2月;19(2);267〜274)、通常約2〜8週間行われる。典型的には、実験構成体は、少なくとも、治療物質又はポリマーを含めた1つの変数の変化を除いた、すべての点において実験ステントと類似しているステントの対照を含む。
【0242】
[0282]一例では、各ブタにおいて、2つの主要冠動脈に、それぞれ1つの試験ステント(Cypher(登録商標)及びTaxus(登録商標))を植え込むことができ、第3の主要冠動脈には、対照のZoMaxx(商標)を植え込む。追加の例は、各主要冠動脈に1つの、3つのTriMaxx(登録商標)対照ステントの植込みを含む。これらの対照ステントに対する応答は、別々の動物に植え込まれたZoMaxx(商標)、Cypher(登録商標)及びTaxus(登録商標)ステントから得られる応答と比較することができる。
【0243】
[0283]ステントは、標準的な技法を用いて植え込む。研究の終りに、動物を安楽死させ、心臓を取り出し、洗浄し、標準的な組織学的保存技法(ホルマリン、ホルムアルデヒドなどを含めて)を用いて固定する。ステント血管を切り取り、次いで切出しのために、メタクリル酸メチル(MMA)、パラフィン、又は凍結媒体(cryomedia)を含めた適当な媒体中に浸潤させ、包埋する。ステント血管を含むすべてのブロックは、例えば、3つのステント内切片及び2つの対照切片といった、情報価値のある切片が得られるように切断する。連続した薄い切片(約5μm)を、各レベルで通常採取し、染色することによって細胞及び組織を視覚化する(例えば、ヘマトキシリンとエオシン(HE)及びMassonのVerhoeff Elastin(MVE))。画像解析システム又は他の技術で認められた形態学的データ収集及び定量化の方法を用いて、切片を評価し、記録する。新生内膜面積、新生内膜厚、及び面積狭窄率についてのデータを記録する。
【0244】
[0284]ブタ冠血管過剰拡張モデル研究(Schwartz,R.S.、Restenosis and the proportional neointimal response to coronary artery injury:results in a porcine model.J Am Coll Cardiol.1992年2月;19(2);267〜274)を行うことによって、ステント植込み後の新生内膜形成を28日間調査した。研究により、対照のZoMaxx(商標)薬物含有ポリマー被覆ステントに対するいくつかの無作為化された薬物溶出ステントを評価した。各ブタにおいて、2つの主要冠動脈に、それぞれ1つの試験ステントを植え込み、第3の主要冠動脈に、1つのZoMaxx(商標)ステントを植え込んだ。ZoMaxx(商標)ステントは、10μg/mmのゾタロリムスを活性医薬剤として含んでいる。さらに、比較のために、3頭のブタに、それぞれ3つの地金のTriMaxx(登録商標)ステント(全部で9ステント)を植え込んだ。本開示の目的のために、5種類のステントを比較した:1)10mcg/mmのゾタロリムスを含有するZoMaxx(商標)ステント(3.0×15mm);2)8.5mcg/mmのシロリムスを含む(Cordis FDA発表で定義されているように)、市販のシロリムス−ポリマー被覆Cypher(登録商標)(3.0×13mm)ステント;3)6.8mcg/mmのパクリタキセルを含む(計算された)、市販のパクリタキセル−ポリマー被覆Taxus(登録商標)(3.0×16mm)ステント;4)ゾタロリムスとデキサメタゾンの組合せで被覆されたステント(10mcg/mmのそれぞれの薬物で被覆された、3.0×15mm);5)非薬物含有TriMaxx(登録商標)ステント(3.0×15mm)。
【0245】
[0285]ステントは、定量的冠血管造影によって慣例的に求められた、1.30のバルーン/動脈比で植え込んだ。
【0246】
[0286]この研究において、心臓又はステント関連の死亡はなかった。28日後、動物を安楽死させ、心臓を取り出し、血液が除去されるまで乳酸加リンガー溶液で、続いて10%中性緩衝化ホルマリンで、〜100mmHgで灌流固定した。次いでステント血管を切り取り、メタクリル酸メチル(MMA)中に浸潤させ、包埋した。ステント血管を含むすべてのブロックを、3つのステント内切片と2つの対照切片が採取されるように切断した。2つの連続した薄い切片(約5ミクロン)を各レベルで採取し、ヘマトキシリンとエオシン(HE)及びMassonのVerhoeff Elastin(MVE)で染色した。BIOQUANT(商標)TCW98画像解析システムを用いて、切片を評価し、記録した。新生内膜面積、新生内膜厚、及び%面積狭窄についての、5群内のすべてのステントに対する平均値を図18〜20に示す。
【0247】
[0287]ZoMaxx(商標)、Cypher(登録商標)、及びTaxus(登録商標)ステントは、TriMaxx(登録商標)ステントと比較して、従来の形態計測測定で判定した場合、新生内膜形成の等価な低減を有した。ゾタロリムス/デキサメタゾンの組合せを含むステントも、TriMaxx(登録商標)ステントに対して、新生内膜過形成の著しい低減を示した。さらに、これらのゾタロリムス/デキサメタゾン組合せステント(「Zot/Dex 10/10」)は、ZoMaxx(商標)ゾタロリムス−ポリマー被覆ステント、Cypher(登録商標)シロリムス−ポリマー被覆ステント、及びTaxus(登録商標)パクリタキセル−ポリマー被覆ステントに対して、新生内膜の低減のさらなる改善も示した。
【0248】
[0288]表17は、対照としてのTriMaxx(登録商標)ステントに対して、ZoMaxx(商標)ポリマー被覆ステント及びゾタロリムス/デキサメタゾン組合せ薬物ステントで得られた改善を要約する。
【0249】
【表19】

【0250】
[0289]それぞれの最新式の単一薬物ステント、ZoMaxx(商標)、Cypher(登録商標)、及びTaxus(登録商標)は、TriMaxx(登録商標)対照ステントに対して、新生内膜形成の劇的な低減を示した。例えば、ZoMaxx(商標)ステントについての新生内膜の平均の低減は、対照に対して34.5%であった。10mcg/mmゾタロリムス/10mcg/mmデキサメタゾンの組合せ(「Zot/Dex 10/10」)を含むステントは、商業的に及び臨床試験で入手できる最良の単一薬物ステントで見られた既に印象的な結果に対して、新生内膜形成のいっそうさらなる低減を生じた。ゾタロリムス/デキサメタゾン組合せ薬物溶出ステントは、TriMaxx(登録商標)非薬物溶出ステントと比較した場合、49.3%の新生内膜形成の平均の低減を示した。ZoMaxx(商標)、Cypher(登録商標)、及びTaxus(登録商標)薬物溶出ステントと比較して、新生内膜過形成の追加の劇的な低減は、それぞれ22.6、25.4、及び25.2%であった(表18)。
【0251】
【表20】

【0252】
[0290]文献からの以前に公表されたデータ(Suziki,Tら、Stent−based delivery of sirolimus reduces neointimal formation in a porcine coronary model.Circulation.2001;104:1188〜1193)及び特許出願(Falotico R.、米国特許出願公開第2003/0216699号明細書;表6.0)に基づくと、当業者は、’ロリムス(’rolimus)薬物とデキサメタゾンの組合せは、いずれの単独の薬物に対しても、任意の抗増殖性の利点を欠いていると結論づけるだろう。実際に、表6.0には、この作用が明確に記載されていた。対照的に、本発明者らは、本発明者らの組合せ、ゾタロリムス/デキサメタゾンのステントが、非常に効果的であり、広く利用されているブタ冠血管過剰拡張モデルにおいて、新生内膜過形成の低減の改善を提供することを、予想外に実証した。一実施形態では、治療量の’ロリムス薬物は、ゾタロリムス又はエベロリムスを含み、ステント1mm当たり少なくとも1μgである。別の実施形態では、第2の薬物は、デキサメタゾンであり、その治療量は、ステント1mm当たり少なくとも0.5μgである。
【0253】
[0291]図21から24は、ゾタロリムス及びデキサメタゾンでの本発明者らの結果と、シロリムス及びデキサメタゾンでの以前に公表された結果(Suziki,Tら、Stent−based delivery of sirolimus reduces neointimal formation in a porcine coronary model.Circulation.2001;104:1188〜1193、Falotico R.、米国特許出願公開第2003/0216699号明細書;表6.0)との間の顕著な差異を示す。以前の研究では、組合せステントと単一薬物溶出ステントの間で利点は示されなかった。同じ過剰拡張比でのブタモデルにおける、BX Velocity(登録商標)ステントの以前に公表されたデータと比較して、対照のTriMaxx(登録商標)ステントにおいて劇的な改善を伴っていても、本発明者らのゾタロリムス/デキサメタゾン組合せ製品は、対照より相当に良好でもあり、単一薬物溶出ステント、ZoMaxx(商標)より相当に、統計的に有意に良好でもあった。
【0254】
[0292]実施例12.臨床例
[0293]1つの抗増殖剤を送達するステントの導入及び引き続く普及した使用により、一般の臨床集団において、再狭窄率が10%未満に低減された。しかし、再狭窄率及び有害臨床事象をさらにいっそう低減するために、一般の臨床集団における、及び様々な心血管疾患サブセットからの両方の患者を治療するための、ステントからの適切な薬物組合せ物の送達に対する、明白な理論的根拠が存在する。例えば、ステント術を受けた糖尿病患者において、その疾患のない患者と比較した場合、再狭窄の割合が著しく増加し、ステント術に対する炎症応答が、糖尿病患者及び非糖尿病患者の両方において存在することが、十分に認められている(Aggarwalら、Am.J.Cardiol.92:924〜929、2003)。さらに、炎症は、不安定狭心症、非STセグメント上昇心筋梗塞、並びに持続性STセグメント上昇に関係する梗塞を含めた、急性心筋虚血状態の範囲を定義する用語である、急性冠症候群(ACS)を有する患者における特徴である。これらの患者は、多くの場合、ステント配備の最も重要な候補であり、経皮的介入(PCI)を受けている一般の患者集団と比べて、著しく高い割合の再発性虚血、再梗塞、及び引き続く反復PCI処置の必要性を有する。最後に、肥満症は、多くの場合、炎症促進状態及び内皮障害と関係がある。両状態は、冠血管ステント配置後の早期再狭窄の独立した予測判断材料であることが知られている。実際に、肥満症、脂肪細胞によるインターロイキン−6(IL−6)産生、及び冠動脈疾患との間の関連について、症例が作成されてきており、この炎症性サイトカインの上昇とこのサブセットの患者におけるCADの発症との間の関連を示している(Yudkinら、Atherosclerosis 148:209〜214、2000)。
【0255】
[0294]糖尿病患者は、非糖尿病患者より高いレベルの炎症性マーカー、c反応性タンパク質(CRP)を示すことが知られている(Aggarwalら、Dandona及びAljada、Am.J.Cardiol.90(suppl):27G〜33G、2002)。このタンパク質は、冠動脈疾患を有する患者における、重要な炎症メディエーターとして明白に同定されてきており、重症の不安定狭心症を有する患者における有害事象の予測判断材料である(Biondi−Zoccaiら、J.Am.Coll.Cardiol.41:1071〜1077、2003)。CRPは、ヒト内皮細胞による単球走化性タンパク質(MCP−1)の産生を刺激することが知られている。このメディエーターの放出は、単球の流入を伴い、これらの細胞は活性化され、内皮下の空間に移動し、そこでそれらが酸化低密度リポタンパク質(LDL)を含有する泡沫細胞を形成するので、顕著な炎症状態をもたらす。血漿IL−6及び腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、肥満患者において、及び2型糖尿病においても上昇させられる炎症性サイトカインである。実際、高感度CRP、IL−6又は血清血管細胞接着分子−1(VCAM−1)の上昇は、冠動脈疾患を有する患者における死亡率の増加と関係づけられた(Roffi及びTopol、Eur.Heart J.25:190〜198、2004)。再狭窄プロセスの特徴である新生内膜形成は、炎症によって強調されることが示されてきたので、抗炎症剤を局所血管環境に送達するステントの使用は、糖尿病患者において明白な有用性を有することが期待されるだろう。
【0256】
[0295]アテローム性プラークの破壊は、急性冠症候群の開始に対して重要である(Grech及びRamsdale、Br.Med.J.、326:1259〜1260、2003)。プラーク破壊は、泡沫細胞によって分泌される基質メタロプロテイナーゼの濃度の増加によって誘発される場合があり、プラークの不安定性及び発症中の病変部の上に覆い被さる、薄い繊維性キャップの決定的な破壊に導く。さらに、泡沫細胞の表面に発現される組織因子は、凝固因子VIIを活性化し、これは、トロンビンの形成を導く。このタンパク質の産生は、血小板活性化及び凝集、並びにフィブリノーゲンのフィブリンへの変換、及び血栓の明らかな形成をまねく。この設定におけるステントの配置に関する最初の懸念は、根拠のないように思われるが、これは、ステント配置及び技術の改善により、ステント術を受けた患者は、再発性虚血、再梗塞、及び反復血管形成術の必要性がより少ないことが示されたためである(Grech及びRamsdale、2003)。炎症と冠動脈病変の発症との間の密接な関係は、抗炎症剤及び抗増殖剤の送達を、そのような患者を治療するための魅力的な手法にする。
【0257】
[0296]冠血管疾患を有する患者における抗炎症薬物の有用性を、明瞭に説明するデータが公表されている。IMPRESS研究において、抗炎症薬プレドニゾンでの長期経口療法を受けた患者において、イベントフリー生存率が著しく高められた(Versaciら、J.Am.Coll.Cardiol.40:1935〜1942、2002)。さらに、抗炎症剤デキサメタゾンを溶出するステントを植え込まれた患者(Pattiら、Am.J.Cardiol.95:502〜505、2005)は、植込み後48時間以内にCRPレベルの著しい低減を示した。この効果は、CRP値≧3mg/dlを有する患者において特に顕著であり、長期間持続した。
【0258】
[0297]デキサメタゾン溶出ステントは、STRIDE試験において報告されたように(Liuら、4:265、2002)、安定狭心症に対して不安定狭心症を有する患者においても明白な利点を示した。デキサメタゾンの周知の抗炎症作用に加えて、血管平滑筋細胞に対するこの薬物の抗増殖作用を示す、本発明者らの知見は、強力な抗増殖性のゾタロリムス、及びデキサメタゾンの両方を含有するステントは、本明細書で報告したブタの研究の結果によって示したように、再狭窄率をさらに低減することにおいて有用性を有することになることを示す。
【0259】
[0298]本明細書で説明したステントは、冠動脈中の狭窄病変による虚血性心疾患と診断される患者において、及び再発性冠血管疾患及び他の有害臨床事象に対して高いリスクのある臨床集団のサブセットにおいて採用される。介入についての他の標的には、表層大腿動脈、腎動脈、腸骨、及び膝より下の血管における狭窄を含めた末梢血管疾患が含まれる。介入処置のための標的血管は、大腿動脈又は橈骨動脈のいずれかを経由した経皮血管アクセスを用いて到達され、ガイドカテーテルが血管中に挿入される。次いで標的病変部は、ガイドワイヤーで横断され、バルーンカテーテルが、ワイヤーによって、又は迅速交換システムを用いて挿入される。医師は、オンラインの定量的冠血管造影(QCA)によって、又は視覚的な推定によって、植え込まれるステントの適切なサイズを決定する。ステントは、そのステントのコンプライアンスによって示される、適切な圧力を用いて配置され、次いで処置後の血管造影図を得ることができる。処置が完了すると、患者は、狭心症状態について、及び任意の有害事象の存在について定期的にモニターされる。反復処置の必要性も評価される。
【0260】
[0299]実施形態では、30%過剰拡張でのブタ冠血管傷害モデルにおいて、第1の薬物の抗増殖活性は、新生内膜形成を、非薬物溶出ステントに対して少なくとも25%低減する。他の実施形態では、30%過剰拡張でのブタ傷害モデルにおいて、第1の薬物の抗増殖作用は、第2の薬物の抗増殖作用を補完し、新生内膜形成を、非薬物溶出ステントに対して少なくとも30%低減する。
【0261】
[0300]このシステムの実施形態では、薬物は、10以下の併用指数を有する。他の実施形態では、システムは、1:10から10:1の比の、治療量の第1の薬物と治療量の第2の薬物の比をさらに含む。なおさらに他の実施形態では、新生内膜過形成を低減するための医薬組成物は、局所的に投与され、ゾタロリムス又はエベロリムス及びデキサメタゾンを含み、ゾタロリムス又はエベロリムスとデキサメタゾンは、約10:1から約1:10の間の比である。なおさらに他の実施形態では、新生内膜過形成を低減するための医薬組成物は、局所的に投与され、少なくとも1種のオリムス薬物及び少なくとも1種のグルココルチコステリオドを含み、オリムス薬物(複数も)とグルココルチコステリオド(複数も)は、約10:1から約1:10の間の比である。さらに、単一薬物溶出ステントに比べて、内皮化が加速される。
【0262】
[0301]前述の詳述した説明及び付随する実施例は、単に例示的であり、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって専ら定義される、本発明の範囲に対する限定として受け取られないことが理解される。開示した実施形態に対する様々な変更及び改変は、当業者にとって明らかとなろう。制限なく、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤及び/又は本発明の使用方法に関連するものを含めた、そのような変更及び改変は、それらの精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0263】
[0302]参考文献
Aggarwal, A., D.J. Schneider, B.E. Sobel, and H.L. Dauerman. 2003. Comparison of inflammatory markers in patients with diabetes mellitus versus those without before and after coronary arterial stenting. Am J Cardiol. 92:924−9.
Baker, H., A. Sidorowicz, S.N. Sehgal, and C. Vezina. 1978. Rapamycin (AY−22,989), a new antifungal antibiotic. III. In vitro and in vivo evaluation. J Antibiot (Tokyo). 31:539−45.
Bierer, B.E., S.L. Schreiber, and S.J. Burakoff. 1991. The effect of the immunosuppressant FK−506 on alternate pathways of T cell activation. Eur J Immunol. 21:439−45.
Biondi−Zoccai, G.G., A. Abbate, G. Liuzzo, and L.M. Biasucci. 2003. Atherothrombosis, inflammation, and diabetes. J Am Coll Cardiol. 41:1071−7.
Brown, E.J., M.W. Albers, T.B. Shin, K. Ichikawa, C.T. Keith, W.S. Lane, and S.L. Schreiber. 1994. A mammalian protein targeted by G1−arresting rapamycin−receptor complex. Nature. 369:756−8.
Bunchman, T.E., and C.A. Brookshire. 1991. Smooth muscle cell proliferation by conditioned media from cyclosporine−treated endothelial cells: a role of endothelin. Transplant Proc. 23:967−8.
Caufield. US Patent No. 5,023,262. 1991. Hydrogenated Rapamycin Derivatives.
Caufield. WO 92/05179. 1992. Carboxylic Acid Esters of Rapamycin.
Chou, T.C., and P. Talalay. 1984. Quantitative analysis of dose−effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors. Adv Enzyme Regul. 22:27−55.
Dandona, P., and A. Aljada. 2002. A rational approach to pathogenesis and treatment of type 2 diabetes mellitus, insulin resistance, inflammation, and atherosclerosis. Am J Cardiol. 90:27G−33G.
Dumont, F.J., M.R. Melino, M.J. Staruch, S.L. Koprak, P.A. Fischer, and N.H. Sigal. 1990. The immunosuppressive macrolides FK−506 and rapamycin act as reciprocal antagonists in murine T cells. J Immunol. 144:1418−24.
Eng. US Patent No. 4,401,653. 1983. Combination of Rapamycin and Picibanil for the Treatment of Tumors.
Failli. EPO 467606. 1992a. Rapamycin Derivatives.
Failli. US Patent No. 5,120,842. 1992b. Silyl Ethers of Rapamycin.
Failli. US Patent No. 5,177,203. 1993. Rapamycin 42−Sulfonates and 42−(N−Carboalkoxy)Sulfamates Useful as Imunosuppressie Agents.
Falotico, R. Publication No. US 2003/0216699. 2003. Coated medical devices for the prevention and treatment of vascular disease.
Fretz, H., M. Albers, A. Gala, R. Standaert, W. Lane, S. Burakoff, B. Bierer, and S. Schreiber. 1991. Rapamycin and FK506 binding proteins (immunophilins). J. Am. Chem. Soc. 113:1409−1411.
Grech, E.D., and D.R. Ramsdale. 2003. Acute coronary syndrome: unstable angina and non−ST segment elevation myocardial infarction. Bmj. 326:1259−61.
Harding, M.W., A. Galat, D.E. Uehling, and S.L. Schreiber. 1989. A receptor for the immunosuppressant FK506 is a cis−trans peptidyl−prolyl isomerase. Nature. 341:758−60.
Hayward, C., D. Yohannes, and S. Danishefsky. 1993. Total synthesis of rapamycin via a novel titanium−mediated aldol macrocyclization reaction. J. Am. Chem. Soc. 115:9345−9346.
Higuchi, T., and V. Stella. 1987. Pro−drugs as Novel Delivery systems.
Igaki, K. US Patent No. 6,413,272. 2002. Stent for vessel.
Ji, Q., M. Reimer, and T. El−Shourbagy. 2004. 96−Well liquid−liquid extraction liquid chromatography−tandem mass spectrometry method for the quantitative determination of ABT−578 in human blood samples. Journal of Chromatography B. 805:67−75.
Kao. US Patent No. 5,120,725. 1992a. Bicyclic Rapamycins.
Kao. US Patent No. 5,120,727. 1992b. Rapamycin Dimers.
Kino, T., N. Inamura, F. Sakai, K. Nakahara, T. Goto, M. Okuhara, M. Kohsaka, H. Aoki, and T. Ochiai. 1987. Effect of FK−506 on human mixed lymphocyte reaction in vitro. Transplant Proc. 19:36−9.
Lafont, A., and P. Libby. 1998. The smooth muscle cell: sinner or saint in restenosis and the acute coronary syndromes? J Am Coll Cardiol. 32:283−5.
Luly. 1995. Macrocyclic Immunomodulators.
Martel, R.R., J. Klicius, and S. Galet. 1977. Inhibition of the immune response by rapamycin, a new antifungal antibiotic. Can J Physiol Pharmacol. 55:48−51.
Marx, S.O., T. Jayaraman, L.O. Go, and A.R. Marks. 1995. Rapamycin−FKBP inhibits cell cycle regulators of proliferation in vascular smooth muscle cells. Circ Res. 76:412−7.
Miller, M.L., and I. Ojima. 2001. Chemistry and chemical biology of taxane anticancer agents. Chem Rec. 1:195−211.
Morris, R. 1992. Rapamycins: antifungal, antitumor, antiproliferative, and immunosuppressive macrolides. Transplant. Rev. 6:39−87.
Morris, R., and B. Meiser. 1989. Identification of a new pharmacologic action for an old compound. Med. Sci. Res. 17:609.
Nicolaou, K., T. Chakraborty, A. Piscopio, N. Minowa, and P. Bertinato. 1993. Total synthesis of rapamycin. J. Am. Chem. Soc. 115:4419−4420.
Okuhara, M., T. Hirokazu, G. Toshio, K. Tohru, and H. Hiroshi. EP Patent No. 0184162. 1986. Tricyclo compounds, a process for their production and a pharmaceutical composition containing the same.
Or, Y., J. Luly, and R. Wagner. US Patent No. 5,527,907. 1996. Macrolide immunomodulators.
Paiva, N.L., A.L. Demain, and M.F Roberts. 1991. Incorporation of acetate, propionate, and methionine into rapamycin by Streptomyces hygroscopicus. J Nat Prod. 54:167−77.
Prescott, D.M.e. 1976 In Methods in cell biology. Vol. XIV. Academic Press., San Diego [etc.]. 33 et seq.
Rakhit. US Patent No. 4,316,885. 1982. Acyl Derivatives of Rapamycin.
Roche, E. 1987. Bioreversible Carriers in Drug Design. American Pharmaceutical Association and Pergamon Press.
Roffi, M., and E.J. Topol. 2004. Percutaneous coronary intervention in diabetic patients with non−ST−segment elevation acute coronary syndromes. Eur Heart J. 25:190−8.
Romo, D., S. Meyer, D. Johsnon, and S. Schrieber. 1993. Total synthesis of (−)−rapamycin using an Evans−Tishchenko fragment coupling. J. Am. Chem. Soc. 115:7906−7907.
Sabatini, D.M., H. Erdjument−Bromage, M. Lui, P. Tempst, and S.H. Snyder. 1994. RAFT1: a mammalian protein that binds to FKBP12 in a rapamycin−dependent fashion and is homologous to yeast TORs. Cell. 78:35−43.
Schiff, P.B., and S.B. Horwitz. 1980. Taxol stabilizes microtubules in mouse fibroblast cells. Proc Natl Acad Sci USA. 77:1561−5.
Schwartz, R. 1992. Restenosis and the proportional neointimal response to coronary artery injury: results in a porcine model. J Am Coll Cardiol. 19:267−274.
Sehgal, S.N. US Patent No. 3,929,992. 1975. Rapamycin and Process of Preparation.
Sehgal, S.N. US Patent No. 3,993,749. 1976. Rapamycin and Process of Preparation.
Sehgal, S.N. 1998. Rapamune (RAPA, rapamycin, sirolimus): mechanism of action immunosuppressive effect results from blockade of signal transduction and inhibition of cell cycle progression. Clin Biochem. 31:335−40.
Sehgal, S.N. 2003. Sirolimus: its discovery, biological properties, and mechanism of action. Transplant Proc. 35:7S−14S.
Sehgal, S.N., H. Baker, C.P. Eng, K. Singh, and C. Vezina. 1983. Demethoxyrapamycin (AY−24,668), a new antifungal antibiotic. J Antibiot (Tokyo). 36:351−4.
Sehgal, S.N., H. Baker, and C. Vezina. 1975. Rapamycin (AY−22,989), a new antifungal antibiotic. II. Fermentation, isolation and characterization. J Antibiot (Tokyo). 28:727−32.
Shichiri, M., Y. Hirata, T. Nakajima, K. Ando, T. Imai, M. Yanagisawa, T. Masaki, and F. Marumo. 1991. Endothelin−1 is an autocrine/paracrine growth factor for human cancer cell lines. J Clin Invest. 87:1867−71.
Siekierka, J.J., S.H. Hung, M. Poe, C.S. Lin, and N.H. Sigal. 1989. A cytosolic binding protein for the immunosuppressant FK506 has peptidyl−prolyl isomerase activity but is distinct from cyclophilin. Nature, 341:755−7.
Stack, R., H. Clark, W. Wlaker, and J. McElhaney. US Patent No. 5,527,337. 1996. Bioabsorbable stent and method of making the same.
Stella. US Patent No. 4,650,803. 1987. Prodrugs of Rapamycin.
Surendra. US Patent No. 4,885,171. 1989. Use of Rapamycin in Treatment of Certain Tumors.
Suzuki, T., G. Kopia, S. Hayashi, L.R. Bailey, G. Llanos, R. Wilensky, B.D. Klugherz, G. Papandreou, P. Narayan, M.B. Leon, A.C. Yeung, F. Tio, P.S. Tsao, R. Falotico, and A.J. Carter. 2001. Stent−based delivery of sirolimus reduces neointimal formation in a porcine coronary model. Circulation. 104:1188−93.
Tallarida, R.J., F. Porreca, and A. Cowan. 1989. Statistical analysis of drug−drug and site−site interactions with isobolograms. Life Sci. 45:947−61.
Vezina, C., A. Kudelski, and S.N. Sehgal. 1975. Rapamycin (AY−22,989), a new antifungal antibiotic. I. Taxonomy of the producing streptomycete and isolation of the active principle. J Antibiot (Tokyo). 28:721−6.
Yamagishi, S., C.C. Hsu, K. Kobayashi, and H. Yamamoto. 1993. Endothelin 1 mediates endothelial cell−dependent proliferation of vascular pericytes. Biochem Biophys Res Commun. 191:840−6.
Yudkin, J.S., M. Kumari, S.E. Humphries, and V. Mohamed−Ali. 2000. Inflammation, obesity, stress and coronary heart disease: is interleukin−6 the link? Atherosclerosis. 148:209−14.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管腔中の新生内膜過形成の治療又は阻害用の薬物の制御放出送達を提供するためのシステムであって、
治療量の第1の薬物及び治療量の第2の薬物を含む組成物を備え、前記第1の薬物は、少なくとも1種のオリムス薬物及びそれらの塩、それらのプロドラッグ及び誘導体を含み、
前記第1の薬物は、治療上有効であり、前記治療量の前記第2の薬物の存在下で、前記第2の薬物の活性を補完し、前記第2の薬物は、治療上有効であり、前記治療量の前記第1の薬物の存在下で、前記第1の薬物の活性を補完する、
システム。
【請求項2】
前記第2の薬物の前記活性が抗炎症性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の薬物の前記活性が抗増殖性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記組成物が医療デバイスに付随する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記医療デバイスがステントを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記医療デバイスが血管形成バルーンを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記ステントが、前記ステントの少なくとも一部の表面上に被膜をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記組成物が前記被膜に付随する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記被膜がポリマーを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ポリマーがホスホリルコリンポリマーを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポリマーが、フルオロポリマー、ポリ(アクリレート、シリコーン、樹脂、ナイロン、及びポリ(アミド)からなる群から選択される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記治療量の前記’ロリムス薬物がゾタロリムス又はエベロリムスを含み、ステント1mm当たり少なくとも1μgである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の薬物がグルココルチコステリオドである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の薬物がデキサメタゾンであり、前記治療量が、ステント1mm当たり少なくとも0.5μgである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
第3の治療薬又は治療物質をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗高脂血症剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、モメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、ベデソニド、トリアムシノロン、クロベタゾール、フルニソリド、ロテプレドノール、ブデソニド、フルチカゾンからなる群を含むグルココルチコステリオド、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、エストラジオールを含めたステロイドホルモン並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せである、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、炎症性サイトカイン活性を低減する小分子及び生物製剤からなる群のメンバーである、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、アダリムマブ、抗MCP−1療法、CCR2受容体アンタゴニスト、抗IL−18療法、抗IL−1療法並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せの群からなる抗TNFα療法を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン及びロムスチンを含めたアルキル化剤、メトトレキセート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン及びペントスタチンを含めた抗代謝産物、ビンブラスチン及びビンクリスチンを含めたビンカアルカロイド、ドキソルビシン、ブレオマイシン及びマイトマイシンを含めた抗生物質、シスプラチン、プロカルバジン、エトポシド及びテニポシドを含めた抗増殖剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗増殖剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、アブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバンを含めた糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤、ジピリダモールを含めたアデノシン再取り込み阻害剤、クロピドグレル及びチクロピジンを含めたADP阻害剤、アセチルサリチル酸を含めたシクロオキシゲナーゼ阻害剤、並びにシロスタゾールを含めたホスホジエステラーゼ阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗血小板剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルチカゾン、クロベタゾール、モメタゾン及びエストラジオールを含めたステロイド、並びにアセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ピロキシカム、メファナム酸を含めた非ステロイド系抗炎症剤、IL−1、IL−2、IL−8、IL−15、IL−18及びTNFに対する抗体を含めた、サイトカイン又はケモカインの受容体への結合を阻害することによって、炎症促進性シグナルを阻害するもの、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗炎症剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、未分画ヘパリン並びにクリバリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン及びチンザパリンを含めた低分子量ヘパリンを含めたヘパリン、アルガトロバン、ヒルジン、ヒルログ、ヒルゲンを含めた直接トロンビン阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗血栓剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンを含めたHMG CoA還元酵素阻害剤、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジルを含めたフィブリン酸誘導体、ニコチン酸、プロブコールを含めた脂質低下剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗高脂血症剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼや、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクタプラーゼを含めた組織プラスミノーゲンアクチベーター、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される血栓溶解剤を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2の薬物がデキサメタゾンであり、前記治療量が、ステント1mm当たり少なくとも1μgである、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
30%過剰拡張でのブタ冠血管傷害モデルにおいて、前記第1の薬物の前記抗増殖活性が、新生内膜形成を、非薬物溶出ステントに対して少なくとも25%低減する、請求項3に記載のシステム。
【請求項29】
前記薬物が10以下の併用指数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
1:10から10:1の前記治療量の前記第1の薬物と前記治療量の前記第2の薬物の比をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
30%過剰拡張でのブタ傷害モデルにおいて、前記第1の薬物の抗増殖作用が、前記第2の薬物の抗増殖作用を補完し、新生内膜形成を、非薬物溶出ステントに対して少なくとも30%低減する、請求項3に記載のシステム。
【請求項32】
局所的に投与される、新生内膜過形成を低減するための医薬組成物であって、ゾタロリムス若しくはエベロリムス及びデキサメタゾンを含み、前記ゾタロリムス若しくはエベロリムスと前記デキサメタゾンが、約10:1から約1:10の比である医薬組成物。
【請求項33】
局所的に投与される、新生内膜過形成を低減するための医薬組成物であって、少なくとも1種のロリムス薬物及び少なくとも1種のグルココルチコステリオドを含み、前記ロリムス薬物(複数も)と前記グルココルチコステリオド(複数も)が、約10:1から約1:10の間の比である医薬組成物。
【請求項34】
単一薬物溶出ステントに比べて内皮化が加速される、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
第3の治療薬又は治療物質をさらに備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗高脂血症剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、モメタゾン、ベクロメタゾン、シクレソニド、ベデソニド、トリアムシノロン、クロベタゾール、フルニソリド、ロテプレドノール、ブデソニド、フルチカゾンからなる群を含むグルココルチコステリオド、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せである、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、エストラジオールを含めたステロイドホルモン並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せである、請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、炎症性サイトカイン活性を低減する小分子及び生物製剤からなる群のメンバーである、請求項35に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、アダリムマブ、抗MCP−I療法、CCR2受容体アンタゴニスト、抗IL−18療法、抗IL−1療法、並びにそれらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せの群からなる抗TNFα療法を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項41】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン及びロムスチンを含めたアルキル化剤、メトトレキセート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン及びペントスタチンを含めた抗代謝産物、ビンブラスチン及びビンクリスチンを含めたビンカアルカロイド、ドキソルビシン、ブレオマイシン及びマイトマイシンを含めた抗生物質、シスプラチン、プロカルバジン、エトポシド及びテニポシドを含めた抗増殖剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗増殖剤を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項42】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、アブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバンを含めた糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤、ジピリダモールを含めたアデノシン再取り込み阻害剤、クロピドグレル及びチクロピジンを含めたADP阻害剤、アセチルサリチル酸を含めたシクロオキシゲナーゼ阻害剤、シロスタゾールを含めたホスホジエステラーゼ阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗血小板剤を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項43】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルチカゾン、クロベタゾール、モメタゾン及びエストラジオールを含めたステロイド、並びにアセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ピロキシカム、メファナム酸を含めた非ステロイド系抗炎症剤、IL−1、IL−2、IL−8、IL−15、IL−18及びTNFに対する抗体を含めた、サイトカイン又はケモカインの受容体への結合を阻害することによって、炎症促進性シグナルを阻害するもの、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗炎症剤を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項44】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、未分画ヘパリン並びにクリバリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン及びチンザパリンを含めた低分子量ヘパリンを含めたヘパリン、アルガトロバン、ヒルジン、ヒルログ、ヒルゲンを含めた直接トロンビン阻害剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗血栓剤を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項45】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンを含めたHMG CoA還元酵素阻害剤、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジルを含めたフィブリン酸誘導体、ニコチン酸、プロブコールを含めた脂質低下剤、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗高脂血症剤を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項46】
前記第2の薬物及び/又は第3の治療薬が、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼや、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクタプラーゼを含めた組織プラスミノーゲンアクチベーター、それらの塩、プロドラッグ、及び誘導体、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される血栓溶解剤を含む、請求項32に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公表番号】特表2010−506837(P2010−506837A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532436(P2009−532436)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/021846
【国際公開番号】WO2008/063319
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507316642)アボット ラボラトリーズ (18)
【Fターム(参考)】