説明

医療デバイス用の偏らされる内部ボルスタ

【課題】カテーテルと、カテーテルまたはその他の医療デバイスを患者の体内に固定する内部ボルスタとを提供すること。
【解決手段】一実施形態では、カテーテルは、少なくとも1つのルーメンを形成する細長いカテーテル管と、カテーテル管の遠位端の近位に配置された内部ボルスタとを備える。内部ボルスタは、複数のヒンジ付きアームを含み、各アームが長手方向に、カテーテル管に実質的に平行に延ばされる非設置位置と、各アームが、そのヒンジを中心として折り畳まれ、カテーテル管から半径方向に延びてボルスタ構成を形成する設置位置とをとることが可能である。内部ボルスタはさらに、カテーテル管に含められて内部ボルスタに対して中央に配置された弾性部を含む。弾性部は、内部ボルスタを設置位置に押し出す力を発生させる。考えられる1つの実施形態では、カテーテルは供給管として構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2011年3月14日に出願された「Biased Internal Bolster for a Medical Device」という名称の米国特許仮出願第61/452339号の利益を主張し、この仮出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
[0002]簡単に要約すると、本発明の各実施形態は、カテーテルと、カテーテルまたはその他の医療デバイスを患者の体内に固定する内部ボルスタとを対象とする。一実施形態では、カテーテルは、患者の胃への供給導管を構築するように、患者の体内に形成された経皮ストーマ内に配置される胃切開(「供給」)管として構成される。
【0003】
[0003]一実施形態では、カテーテルは、少なくとも1つのルーメンを形成する細長いカテーテル管と、カテーテル管の遠位端の近位に配置された内部ボルスタとを備える。内部ボルスタは、複数のヒンジ付きアームを含み、各アームが長手方向に、カテーテル管に実質的に平行に延ばされる非設置位置と、各アームが、そのヒンジを中心として折り畳まれて、カテーテル管から半径方向に延びてボルスタ構成を形成する設置位置とをとることが可能である。内部ボルスタはさらに、カテーテル管に含められて内部ボルスタに対して中央に配置された弾性部を含む。弾性部は、内部ボルスタを設置位置に押し出す力を発生させる。
【0004】
[0004]本発明のこれらの実施形態およびその他の実施形態は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から完全に明らかになるか、あるいは以下に記載されるように本発明の実施形態を実施することによって認識することができる。
【0005】
[0005]添付の図面に示されている特定の実施形態を参照することによって、本発明の開示についてより詳しく説明する。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本発明の範囲を限定するものとはみなすべきではないことが理解されよう。添付の図面を使用することによって本発明の実施例についてさらに具体的にかつ詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】[0006]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図1B】[0006]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図1C】[0006]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図1D】[0006]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図2】[0007]図1A〜1Dのカテーテルと一緒に使用される栓子の側面図である。
【図3A】[0008]一実施形態による、図2の栓子を使用して図1A〜1Dのカテーテルの内部ボルスタが延ばされる様子を示す図である。
【図3B】[0008]一実施形態による、図2の栓子を使用して図1A〜1Dのカテーテルの内部ボルスタが延ばされる様子を示す図である。
【図4】[0009]ストーマ内の所定の位置に配置された図1A〜1Dのカテーテルの断面側面図である。
【図5】[0010]図5Aは、一実施形態による内部ボルスタの図である。図5Bは、一実施形態による内部ボルスタの図である。
【図6A】[0011]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図6B】[0011]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図7A】[0012]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図7B】[0012]一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図8】[0013]図8Aは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの断面図である。図8Bは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの断面図である。
【図9】[0014]一実施形態による洗浄ルーメンを含む供給カテーテルの近位部の断面図である。
【図10】[0015]図10Aは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。図10Bは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【図11】[0016]図11Aは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。図11Bは、一実施形態による内部ボルスタを含む供給カテーテルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0017]次に、各図を参照するが、図において、同じ構造は同じ参照符号を備えている。各図面が本発明の例示的な実施形態の概略表現であり、限定的なものでも一定の縮尺で描かれているわけでもないことを理解されたい。
【0008】
[0018]説明を明確にするために、「近位」が本明細書で説明するデバイスを使用する臨床医に比較的近い方向を指し、一方、語「遠位」が臨床医から比較的遠い方向を指すことを理解されたい。たとえば、患者の体内に配置される端部がデバイスの遠位端とみなされ、一方、体の外側に残っているデバイス端部がこの供給デバイスの近位端であることを理解されたい。また、特許請求の範囲を含め本明細書で使用される語「含む」および「有する」は、語「備える」と同じ意味を有するものとする。
【0009】
[0019]本発明の実施形態は概して、カテーテルまたは他の医療デバイスを患者の体内に固定する内部ボルスタに関する。たとえば、一実施形態では、カテーテルは、患者の胃への導管を構築するように、患者の体内に形成された経皮ストーマ内に配置される胃切開(「供給」)管として構成される。
【0010】
[0020]一実施形態によれば、内部ボルスタは、ボルスタが誤って患者の体内から取り出されるのを防止するために優先的に設置構成に留まるように偏らされる。内部ボルスタは、医療デバイスを患者に挿入したりあるいは患者から取り出したりするのを可能にするために、たとえば栓子を使用することによって選択的に非設置構成に変形することができる。挿入または取り出しが完了し、栓子が取り出された後、デバイスの偏らされる内部ボルスタはその設置構成に戻る。本明細書では、内部ボルスタを優先的に設置構成に維持する様々な構成が開示される。
【0011】
[0021]図1A〜1Dは、一実施形態によって構成された、全体的に10で示され本明細書では供給管として構成されたカテーテルの様々な特徴を示している。本明細書に示されているカテーテル10は、患者の胃への経皮ストーマを介して導管を構築し、経腸栄養を患者に供給する供給管の一例である。
【0012】
[0022]図示のように、カテーテル10は、カテーテルの本体として細長いカテーテル管12を含む。カテーテル管12は、栄養流体またはその他の物質が通過することができる少なくとも1つのルーメン14を形成する。患者の皮膚表面に隣接するときにカテーテル10の外部用の止め具を形成する外部ボルスタ16がカテーテル管12の近位端の近位に含まれている。スリットバルブ、三尖弁、またはその他の適切な種類の弁を含む弁組立体18を含めてもよい。弁組立体18は、カテーテル管ルーメン14の近位端にしっかりと受け入れられる首部18Aを含む。弁組立体18の頂部を取り外し可能に覆うキャップ20が含まれている。
【0013】
[0023]図1A〜1Dは、一実施形態によって構成された内部ボルスタ30に関する細部をさらに示している。内部ボルスタ30は、カテーテル10が患者に挿入された後に誤ってストーマから取り出されるのを防止するようにカテーテル管12の遠位端の近位に設けられている。図示のように、内部ボルスタ30は、複数のヒンジ付きアーム36またはヒンジ付きアーム36のアレイ34が延びる中空の本体32を含む。各アーム36は、以下に示すように、アームを所望の使用法および構成に応じて延ばすかあるいは折り畳むのを可能にするヒンジ38を含む。他の実施形態では、各アームは可撓性であるがヒンジを含まない。
【0014】
[0024]図1Cを見ると最もよく分かるように、カテーテル管12は、カテーテル管の遠位端まで延び、かつルーメン14の遠位部を形成する遠位部40をさらに含む。遠位部40は、環状の第1の切り欠き42と、第1の切り欠きの遠位に位置し第1の切り欠きから離れた環状の第2の切り欠き44とを形成する。第2の切り欠き44に隣接する、カテーテル管12の遠位端の所にリップ46が含まれている。カテーテル管12の遠位部によって、ルーメン14と連通する開口部48も形成されており、第1の切り欠き42と第2の切り欠き44との間に配置されている。
【0015】
[0025]第1および第2の切り欠き42、44は、図1Dを見ると分かるように、内部ボルスタ30がカテーテル管12と嵌め合わされたときに内部ボルスタ30の本体32の対応する部分を受け入れるようなサイズおよび空間を有する。リップ46は、切り欠き42、44と一緒に、内部ボルスタ30とカテーテル管12の係合を維持するように構成されている。図1Dを見ると分かるように、開口部48は、カテーテル10を通過した流体がカテーテル管12から出て患者の胃に入るのを可能にするようにアーム36のアレイ34内に位置している。図1Dは、本実施形態では、この図を見ると分かるように、各アーム36用のヒンジ38がアームを折り畳むのを容易にする切り欠きを含むことを示している。図1Dには、カテーテル管12の遠位端を貫通して延び、カテーテル管12が患者内に配置されるときに必要に応じてガイドワイヤがカテーテル管12を通過するのを可能にするガイドワイヤ導管50も示されている。
【0016】
[0026]図1Dを見ると分かるように、カテーテル管12の遠位部40は、引き伸ばすことができるように弾性を有する。このため、後述のように、長手方向に延ばされたときに可撓性の内部ボルスタ30を引き伸ばすことができる。遠位部40が弾性を有するため、図1Aおよび1Bを見ると分かるように、内部ボルスタをそのアーム36を折り畳んで半径方向に延ばした構成にすることによって内部ボルスタの休止状態に戻す付勢力も発生する。本実施形態では、カテーテル管全体が、シリコーンのような弾性的で変形可能な材料またはその他の適切な材料を含む。他の実施形態では、カテーテル管の遠位部のみが弾性を有する。また、ここでは遠位部がカテーテル管に一体的に形成されているが、他の実施形態では、遠位部を別個に形成し、その後カテーテル管に取り付けることができることを理解されたい。
【0017】
[0027]同様に、本実施形態では、内部ボルスタがカテーテル管とは別個に製造され、その後カテーテル管に取り付けられるが、他の実施形態では、内部ボルスタをカテーテル管と一体的に製造してもよい。したがって、これらの変形実施形態および他の変形実施形態が考えられる。本実施形態では、内部ボルスタ30はシリコーンを含む。ただし、ポリウレタンおよびその他の熱可塑性プラスチックを含む、医学的にあるいは他の点で適切なその他の材料を使用してよい。一実施形態では、内部ボルスタ30は、70ショアA硬度のシリコーンを含む。もちろん、適切な他の材料および硬度を使用してよい。
【0018】
[0028]一実施形態によるカテーテル10の内部ボルスタ30の動作を説明するうえで図2〜3Bを参照する。図3Aは、内部ボルスタ30が、その休止状態では、アレイ34のアームがそれぞれ折り畳まれ半径方向に延ばされた構成を維持するように構成されることを示している。この構成は、本明細書では設置構成とも呼ばれ、カテーテルが患者の体内に配置されたときにカテーテル10をストーマ内に固定するのに有用である。
【0019】
[0029]図3Bは、各アーム34が、カテーテル管12の長手方向長さに対して実質的に平行な構成または非設置構成に配置されるように展開するように、内部ボルスタ30が長手方向に伸長可能であることを示している。図2に示されている栓子54を弁組立体18を通してカテーテル管12のルーメン14に挿入してカテーテル管の弾性遠位部40を引き伸ばし、それによって、内部ボルスタ30を長手方向に、図3Aの折り畳み構成から図3Bに示されている構成に延ばすことができる。一実施形態では、図3Bの力矢印によって示されているように、内部ボルスタ30のアーム36を長手方向に延ばすことを、栓子54のハンドルを親指で押し、これに応じて外部ボルスタ16の下方を指で支持することなどによって手動で行うことができる。
【0020】
[0030]したがって、一実施形態では、内部ボルスタ30を(栓子54または他の適切な方法によって)図3Bの非設置構成に引き伸ばし、図4に示されているストーマ58または他の適切な身体位置のような、患者の体内に形成されたストーマにカテーテル10を挿入することができる。カテーテル10を挿入した後、栓子54をカテーテル管12から取り出すことができ、それによって、カテーテル管12の弾性的な遠位部40が内部ボルスタ30をその休止状態、すなわち、図4に示されているように、アレイ34の各アーム36が折り畳まれ半径方向に延ばされた構成に戻る状態に押し戻すことが可能になる。図4に示されているこの例では、たとえば、内部ボルスタ30は、患者の胃壁62を患者の皮膚56の下の隣接する組織60に固定するのに使用される。これによって、経腸栄養液をカテーテル管12を通過させて患者の胃に送り込むことが可能になる。上述のように、これは、カテーテルの内部ボルスタの考えられる1つの使用法に過ぎず、実際には、当業者によって理解される適切な他の医療用途および非医療用途にこのカテーテルを使用することができる。また、本明細書で説明する内部ボルスタはカテーテル以外の様々な医療デバイスに使用することができる。
【0021】
[0031]したがって、カテーテル管の遠位部40が、内部ボルスタ30をその長手方向に延ばされた構成(図3B)から折り畳まれた休止状態、すなわち、アームが半径方向に延ばされた構成(図4)に押し戻すように内部ボルスタに対して中央に配置された弾性部材として働くことが分かる。アーム36の折り畳み特性は、本明細書では、直前に説明した2つの状態間で変化する際の翼運動または関節運動とも呼ばれる。
【0022】
[0032]内部ボルスタ30の本体32の遠位部、あるいは内部ボルスタまたはカテーテル管12の適切な他の部分が、X線による撮像時に内部ボルスタが見えるようにX線不透過材料49(図3A)を含んでよいことをさらに理解されたい。一実施形態では、X線不透過材料は、X線不透過性を実現するために、たとえば金属またはタングステンまたはバリウムが充填されたプラスチックを含んでよい。
【0023】
[0033]図5Aおよび5Bは、内部ボルスタ32のアーム36が前述の実施形態で説明したアームと異なってもよいことを示している。すなわち、図5Aおよび5Bに示されているように、内部ボルスタ30は、前述の実施形態とは異なり、4つではなく3つのアーム36を含む。また、各アーム36は、図5Bを見ると最もよく分かるように、アームの長さに沿って厚さが一定でない。より一般的には、アームの数、サイズ、および形状は本明細書で明示的に図示し説明する数、サイズ、および形状と異なってもよいことを理解されたい。
【0024】
[0034]図6Aおよび6Bは、他の実施形態によるカテーテル10および内部ボルスタ130の細部を示しており、内部ボルスタ130はアーム136のアレイ134を含んでいる。図6Aおよび6Bに示されているように、各アーム136は実質的にU字形であり、U字形のアームが半径方向外側に延びて内部ボルスタの周縁を形成するように、各末端が内部ボルスタ130の本体の中央に取り付けられている。また、各アーム136は、アームの長手方向長さに沿って延びる補強リブ140を含む。各アーム136のリブ140は、アームの内面上に配置され、半径方向内側に内部ボルスタ130の中央の方へ突き出ている。ただし、リブが多数の形態のうちの1つまたは複数の形態をとってよいことを理解されたい。実際、補強リブのサイズ、形状、および数は、本明細書で図示し説明するものと異なってよい。たとえば、互いに平行な2つのリブがアームの内面に沿って並んで延びてよく、あるいはアーム外面とアーム内面の両方にリブを配置してもよい。他の実施形態では、リブは、アームの内部構造と一体化されてよく、金属、プラスチックなどのアームの材料とは異なる材料を含んでもよい。
【0025】
[0035]本実施形態では、補強リブ140は、各アーム136の剛性を高めるのを助け、したがって、内部ボルスタ130は、カテーテル10が体内のストーマまたは他の挿入位置からカテーテル10が誤って取り出されるのを防止する効果を有する。
【0026】
[0036]図7Aおよび7Bは、他の実施形態による内部ボルスタ130を示し、各アーム136の補強リブ140が、図6Aおよび6Bのリブに対して半径方向内側にかなりの距離にわたって突き出ており、したがって、各アームの剛性が高くなっている。したがって、これらの変形実施形態およびその他の変形実施形態が考えられる。
【0027】
[0037]図8Aおよび8Bは、外側管213Aと、外側管内に同軸に受け入れられルーメン214を形成する内側管213Bとの両方によって形成される細長い本体212を含む、他の実施形態によるカテーテル210の細部を示している。ルーメン214の近位端に受け入れられる弁首部218Aを含む弁組立体218と同様に、外部ボルスタ216が含まれている。外側管213Aの近位端と内側管213Bの近位端は近位連結点219Aに接合されており、一方、外側管213Aの遠位端と内側管213Bの遠位端は遠位連結点219Bに接合されている。他の実施形態では、弁組立体218を内側管213Bに挿入することを使用して内側管213Bと外側管213Aとの係合を維持することができる(たとえば、図9を参照されたい)。
【0028】
[0038]外側管213Aの遠位部は、それぞれ生体ヒンジ238または他の適切なヒンジを含むアーム236のアレイ234を含む内部ボルスタ230を形成する。アーム236は、休止時に、図8Aに示されている部分的に折り畳まれた設置構成を維持するように偏らされる。本実施形態では、この設置構成は、内部ボルスタ230を形成する外側管213Aの遠位端に弾性的な内側管213Bを取り付け、内部ボルスタ230を折り畳まれた設置構成に押し出すことによって実現される。他の実施形態と同様に、一時的にカテーテル管212に栓子を挿入することによって、デバイスの挿入/取り出しができるように内部ボルスタ230を長手方向に延ばすことができる。流体がカテーテル管ルーメン214から流出するのを可能にする1つまたは複数の開口部248が内側管213Bに形成されている。また、内部ボルスタ230の近位の、内側管213Bの一部の周りに、環状のシール220が形成されており、流体が外側管213Aと内側管213Bとの間の空間に進入するのを防止する。
【0029】
[0039]カテーテルを体から取り出すことが望ましいとき、一実施形態では、カテーテル管212を外部ボルスタの近位で切断し、それによって、内側管213Bと外側管213Aとの係合を解除する。これによって、弾性的な内側管213Bが収縮することができ、内部ボルスタ230が、長手方向に延ばされた非設置構成をとるが可能になり、内部ボルスタ230をストーマから容易に取り外すのが可能になる。
【0030】
[0040]図9は、一実施形態では、カテーテル管212に洗浄ルーメン250および洗浄弁252を含めることができる。潤滑油または適切な流体を洗浄弁252を介して洗浄ルーメン250に注入して、外側管213Aと内側管213Bとの摩擦を軽減し、外側管213Aと内側管213Bの相対的な移動を可能にすることができる。また、図9は、一実施形態では、弁組立体218をルーメン214に挿入することによって内側管213Bを外側管213Aに対して所定の位置に保持できることを示している。弁組立体218をルーメン214から取り外すと内側管が収縮し、したがって、内部ボルスタがその非設置構成まで延びるのが可能になる。これらのボルスタ構成および変形実施形態ならびにその他のボルスタ構成および変形実施形態が考えられる。
【0031】
[0041]図10Aおよび10Bは他の実施形態によるカテーテル310を示しており、カテーテル管は、内側管314を同軸にかつ滑り可能に受け入れる外側管312によって形成されている。それぞれヒンジ338を中心として曲げることができるアーム336のアレイ334を含む内部ボルスタ330も含まれている。図10Aを見ると分かるように、各アーム336の近位端が外側管312の遠位部312Bに取り付けられており、一方、各アーム336の遠位端が内側管314の遠位部314Bに取り付けられている。内部ボルスタ330は、このように構成されると、内側管314を外側管312に対して近位方向に滑らせることによって設置される。図10Bを見ると分かるように、これによって、各アーム336が、ヒンジ338を中心として折り畳まれ、半径方向外側に延びる。これに応じて、図10Aを見ると分かるように、内側管314が外側管312に対して遠位方向に滑ることによって、アーム336が長手方向に延び、カテーテル本体に対して実質的に平行な構成に近づく。このように、内部ボルスタ330を選択的に設置することができる。
【0032】
[0042]図11Aおよび11Bは、カテーテル管412と、その遠位端の所に配置された内部ボルスタ430とを含む、他の実施形態によるカテーテル410を示している。それぞれヒンジ438を中心として曲げることのできるアーム436のアレイ434が内部ボルスタ430に含まれている。各アーム436は、図11Aに示されているように、それぞれのヒンジ438の各側のアーム内面上に間隔を置いて配置された一対の磁石440を含んでよい。各アーム436の磁石440は、互いに対して傾斜しており、かつ各対の磁石が互いに引き付け合うようにそれぞれの磁極性に配向されている。
【0033】
[0043]この磁力は、図11Bを見ると分かるように内部ボルスタ430を設置位置に偏らせる力を発生させ、各アーム436の磁石440が実質的に互いに接触する。この構成では、カテーテル410が誤って患者の体から取り出されるのを防止するのを内部ボルスタ430が助けるのを可能になる。図11Aは、カテーテル410の挿入/取り出しなどのために、栓子54などの栓子またはその他の適切な構成部材を使用して、各アーム436の磁石440によって発生する磁力に対抗し、各アームを長手方向に非設置位置まで延ばすことができることを示している。ガイドワイヤ442(図11A)をカテーテル410に挿入してカテーテル410を配置するのを助けることができる。一実施形態では、カテーテル管がシリコーン、ポリウレタン、またはその他の適切な材料を含むことに留意されたい。また、一実施形態では、磁石440を薄いコーティングで覆うことができることに留意されたい。また、磁石のサイズ、数、種類、および配置は、本明細書で図示し説明したものと異なってもよい。たとえば、本明細書では、永久強磁性体が使用されているが、他の種類の磁石または磁気素子を使用してよい。
【0034】
[0044]前述のように、本明細書で図示し説明した内部ボルスタは、供給カテーテルまたは供給デバイスとの使用に限定されない。実際、患者の体内に挿入され固定されるように構成された様々な医療デバイスおよびその他のデバイスは、本明細書で説明した原理の利益を受けることができる。
【0035】
[0045]本発明の各実施形態は、本開示の趣旨から逸脱せずに他の特定の形態で具体化することができる。前述の各実施形態は、あらゆる点で、制限的なものではなく例示的なものに過ぎないとみなされる。したがって、各実施形態の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等性の意味および範囲内のすべての変更が特許請求の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0036】
10 カテーテル
12 カテーテル管
14 ルーメン
16 外部ブラスタ
18 弁組立体
30 内部ボルスタ
32 中空本体
34 アレイ
36 アーム
40 遠位部
42 第1の切り欠き
44 第2の切り欠き
46 リップ
48 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのルーメンを形成する細長いカテーテル管と、
前記カテーテル管の遠位端の近位に配置された内部ボルスタであって、複数のヒンジ付きアームを含み、前記アームは、各アームが長手方向に、前記カテーテル管に実質的に平行に延ばされる非設置位置と、各アームが、ヒンジを中心として折り畳まれて、前記カテーテル管から半径方向に延びて設置ボルスタ構成を形成する設置位置とを有する、内部ボルスタと、
前記カテーテル管に含められ、前記内部ボルスタに対して中央に配置され、前記内部ボルスタを設置位置に押し出す力を発生させる弾性部と
を備えるカテーテル。
【請求項2】
患者の体内に形成された経腸ストーマに挿入できるように構成され、前記内部ボルスタは、前記体内に配置され、前記カテーテルが誤って前記ストーマから取り出されるのを防止するように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
供給管として構成され、前記カテーテル管は、前記患者に経腸栄養を供給するためのルーメン開口部を前記内部ボルスタの近位に含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテル管の近位端の近位に外部ボルスタをさらに備える、請求項1に記載のカテーテルであって、前記カテーテル管ルーメンと連通するように配置された弁組立体をさらに含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記弁組立体は、前記カテーテル管の前記近位端に受け入れられる首部を含み、前記弁組立体に取り外し可能に取り付けられたキャップをさらに含む、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記内部ボルスタは、X線撮像技術を使用して前記内部ボルスタの視覚化を可能にするX線不透過部を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記弾性部は、前記カテーテル管に一体的に形成され、前記カテーテル管の前記遠位部を形成し、前記ルーメンが前記弾性部を貫通して延びる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテル管と前記弾性部はシリコーンから一体的に形成され、前記内部ボルスタは、前記カテーテル管および弾性部に栓子を挿入することによって前記設置構成から前記非設置構成に変更される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内部ボルスタは、4つのアームを含み、前記弾性部を中心として前記カテーテル管に取り外し可能に取り付けられる、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
各アームはその長手方向長さに沿って幅が一定でない、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記カテーテル管は、外側管内に同軸に受け入れられる内側管を含み、前記外側管が前記内部ボルスタを形成し、前記内側管が前記ルーメンおよび前記弾性部を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記内側管は、前記内側管によって形成されるカテーテル管ルーメンに挿入された弁組立体を介して前記外側管に固定される、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記内側管は、前記弁を取り外すことによって前記外側管との固定から解放される、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記内側管と前記外側管との間に形成された洗浄ルーメンをさらに備え、前記内側管と前記外側管との摩擦を軽減する液体を洗浄ルーメンに注入可能であり、前記洗浄ルーメンが、前記カテーテルに含まれる洗浄弁と流体連通する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記内側管は、前記カテーテル管の近位端の近位で前記外側管に固定され、前記内側管は、前記カテーテル管の近位部を切り離すことによって前記外側管との固定から解放される、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記内側管と前記外側管との固定を解除すると、前記内部ボルスタが前記設置構成から前記非設置構成に変化するのが可能になる、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
患者の体内の経皮ストーマに医療デバイスを固定する内部ボルスタであって、
前記医療デバイスの遠位端に配置された弾性的な複数のループ状アームを備え、それぞれのアームが、前記医療デバイスが誤って前記ストーマから取り出されるのを防止するように前記医療デバイスから半径方向外側に延び、それぞれのアームが、前記アームに沿って長手方向に延びる少なくとも1つの補強リブを含む、内部ボルスタ。
【請求項18】
前記医療デバイスはカテーテルであり、前記内部ボルスタは、前記カテーテルのカテーテル管の遠位端に配置され、前記カテーテル管が少なくとも1つのルーメンを形成する、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項19】
前記内部ボルスタの各アームは、各アームのU字形部分が前記医療デバイスから半径方向外側に延びるように前記内部ボルスタの本体に取り付けられる、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項20】
前記内部ボルスタは、4つのアームを含み、前記医療デバイスに挿入される栓子によって前記アームを弾性的に変形させて、前記ストーマに対する前記医療デバイスの挿入または取り出しを可能にすることができる、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項21】
各アームの前記補強リブは、内側に面する面上に配置されて、半径方向内側に延びる、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項22】
前記アームおよび前記補強リブはシリコーンを含む、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項23】
各アームの前記補強リブは、プラスチック材料を含み、前記アーム内に配置される、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項24】
各アームの幅は、前記アームの前記長手方向長さに沿って一定でなく、各アーム上に複数の補強リブが含まれる、請求項17に記載の内部ボルスタ。
【請求項25】
経皮ストーマを介して患者の胃に流体アクセスを可能にする供給カテーテルであって、
少なくとも1つのルーメンを形成し、外側管内に同軸に配置され、前記外側管に対して滑り可能である細長い内側管と、
複数のヒンジ付きアームを備え、各アームの近位端が、前記外側管の遠位部に取り付けられ、各アームの遠位端が、前記内側管の遠位部に取り付けられた内部ボルスタとを備え、前記内側管を前記外側管に対して近位方向に移動させると、前記内部ボルスタの前記アームが、前記カテーテルが誤って前記ストーマから取り出されるのを防止するように半径方向に延ばされた構成として折り畳まれる、供給カテーテル。
【請求項26】
前記内側管を前記外側管に対して遠位方向に移動させると、各アームが、前記折り畳まれ半径方向に延ばされた構成から平坦な非設置構成に変化して、カテーテルをストーマから取り出すのが可能になる、請求項25に記載の供給カテーテル。
【請求項27】
少なくとも1つのルーメンを形成する細長いカテーテル管と、
前記カテーテル管の遠位端の近位に配置された内部ボルスタであって、複数のヒンジ付きアームを含み、前記アームは、各アームが長手方向に、前記カテーテル管に実質的に平行に延ばされる非設置位置と、各アームが、ヒンジを中心として折り畳まれて、前記カテーテル管から半径方向に延びて設置ボルスタ構成を形成する設置位置とを有する、内部ボルスタと、
各アーム上に含められ、前記ヒンジの周りに間隔を置いた関係に配置されて、前記アームを前記設置位置に押し出す力を発生させる一対の磁気素子と
を備えるカテーテル。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−192182(P2012−192182A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−57330(P2012−57330)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】