医療デバイス用の好ましいミクロ構造を有する抗菌コーティング
抗菌コーティングを有する医療デバイス。本デバイスは、デバイスの外側表面の少なくとも一部上に抗菌剤を有する、第1のコーティング層を有する。第1のコーティングは、外側表面を有する。抗菌剤を含有する第2の不連続ポリマーコーティングが存在し、これは第1のコーティングの外側表面の上にあり、その一部を被覆する。第2の不連続コーティングは、ミクロ構造を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌コーティングを有する医療デバイスに関し、より具体的には、外科用インプラントとして有用な抗菌コーティングを有する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
非吸収性の生体適合性ポリマーは、様々な病気を有する患者の外科処置及び医療ケアにおいて非常に重要な役割を果たす。最も一般には、非吸収性の生体適合性ポリマーは、縫合、並びにヘルニア及び骨盤底修復用人工メッシュなどの、様々な医療デバイスにおいて使用され、これらのデバイスの少なくとも一部は、体内に残存して、必要とされる組織の永久補強を提供する。外科用メッシュは、実際に、ヘルニア修復及び骨盤底修復手技におけるケアの標準となっており、必要な強度及び構造を提供して、障害が起きた組織を補強し、解剖学的欠陥の永久的な無張力修復をもたらす。外科創傷の閉合について、ある単繊維及び編組縫合は、非吸収性の生体適合性ポリマーで構成され、一般に、血管吻合、心臓弁修復、並びに他の従来の用途及び使用の中でも腱修復及び深部組織閉合を含む整形外科的使用のための永久固定を提供するように使用される。
【0003】
すべての外科的手技と同様、縫合又はメッシュ等の非吸収性ポリマー補強を組み込む外科創傷は、感染する傾向にあり得る。更に、滅菌状態で使用するために提供される場合であっても、非吸収性埋め込み型材料が、バクテリア付着、コロニー化、及びバイオフィルム形成の基材を提供することによって、感染の病巣として機能し得ることが長く知られている。そのようなバイオフィルムは、一旦確立されると、従来の使用可能な抗生物質による治療に対して極めて耐性であり得、また致命的であり得、そうでなければ、感染した患者に持続的な長期罹患をもたらし得る。抗生物質からの治療に耐性を示す感染した外科創傷は、一般に、再手術されて、非吸収性の埋め込み材料にアクセスしてそれを除去し、新しい人工装具が埋め込まれる前に感染を取り除いて、治癒プロセスを再度開始することを可能にする。そのような手技は、多くの場合、長期入院を必要とし、患者に多額の費用と相当の苦痛、並びにあらゆる外科的手技に伴うリスクをもたらす。
【0004】
生体吸収性ポリマーに現在使用されている抗菌剤は、非吸収性ポリマーインプラントには不十分である場合がある。生体吸収性ポリマー上のバイオフィルム形成は低い程度でも発生し得ると考えられているが、バクテリア付着を支持する吸収性ポリマー基材の一過性の性質に起因して、これらの感染は治療が容易であり、生体吸収性ポリマーインプラントは自然に代謝し、経時的に体内から出るため、の最終的な除去はほとんど必要がない。そのようにして、数時間から数日に渡る期間の間、活性を維持する短期抗菌剤は、吸収性インプラントの予防的な解決策として、より許容され得る。
【0005】
それに比べて、非吸収性インプラントでは、バクテリア感染が初期の短期作用抗菌剤から生き延びた場合、非吸収性インプラントの表面を付着基材として使用して進行及び増殖が妨げられない傾向がある。そのような場合、手術から数週間〜数ヶ月後に医師が診察すると、患者は感染の兆候を有することが認められる。更には、そのような感染の初期源が、これらの場合、外科的手技の間に遭遇するのではなく、後次事象の間に循環系を通して全身的に取り込まれた可能性が高いということが提議されている。これらのシナリオでは、手術中に取り込まれたバクテリアの増殖を阻害するように設計された短期抗菌剤は、無効であり得る。
【0006】
したがって、生体吸収性ポリマーインプラントに使用され得る、強力であるが短期作用の効果に加えて、非吸収性インプラントは、それらの表面上のバクテリアのコロニー化及びバイオフィルム形成に対して、長期の作用有効性を必要とし得る。
【0007】
生体吸収性及び非吸収性ポリマーコンポーネントの両方から構成される複合医療デバイスの使用は、医療技術分野において増加している。特に、少なくとも片側に生体吸収性フィルム又は織物を組み込むヘルニアメッシュを使用して、内臓と埋め込まれたメッシュの表面との間の結合組織の癒着を阻害することができる。結合組織の癒着は、長期疼痛、患者の移動度の減少、並びに将来手術が必要とされる場合の執刀医にとっての困難を含む複数の複雑な事態をもたらすことが知られているため、これらの複合生成物は、重要なニーズに対応する。しかしながら、手術部位の感染を考慮すると、生体吸収性コンポーネントに最適であり得る抗菌剤が、非吸収性コンポーネントに最適ではない可能性がある。非吸収性コンポーネントについて、上述の理由のすべてから、持続性又は更には永久的な抗菌表面が望ましい。しかしながら、生体吸収性コンポーネントの場合、抗菌剤も生体吸収性であり、好ましくは生体吸収性ポリマーの吸収速度又は分解速度に等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収されることが重要であり得る。ヘルニアメッシュデバイスの場合、メッシュの組織分離生体吸収性層は、比較的急速に吸収し得る。例えば、酸素再生セルロース等の組織分離材料は、2週間以内に吸収及び/又は分解し得る。これらの複合生成物について、下層の非吸収性メッシュの表面保護のための持続性抗菌剤と併せて、即効性、即時吸収性抗菌剤が必要とされる。
【0008】
これまで、外科的手技の間に創傷に取り込まれるバクテリアに対する初期攻撃を提供することができる、即時拡散抗菌剤、及びインプラント表面におけるバクテリアコロニー化に対して持続的な阻害を提供する抗菌剤の両方の組み合わせは、開示されていない。埋め込み時から効率的かつ同時に作用する抗菌剤を提供する一方で、少なくとも1つの長期抗菌剤を、医療デバイスの表面に付着したままにして長期間バクテリア付着を防ぐようにすることができる、そのような複合コーティングの固有のミクロ構造も開示されていない。更に、インプラントの非吸収性コンポーネントの表面コロニー化に対して長期保護を提供する持続性抗菌剤と共に、複合インプラントの生体吸収性コンポーネントにおける即効性、長範囲の抗菌剤(広い「阻害領域」を生成する)の使用も、説明又は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本技術分野では、埋め込み型医療デバイスの新規抗菌コーティングが継続的に必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、新規の抗菌性コーティングを有する新規の医療デバイスが開示される。医療デバイスは、表面を有する非吸収性構造を有する。第1の抗菌コーティングは、非吸収性構造の表面の少なくとも一部上に含有され、第1の抗菌コーティングは、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含有し、第2の抗菌剤から構成されるか又はそれを含有する第2の不連続ポリマーコーティングが存在する。第2のコーティングは、第1の抗菌コーティングの表面の少なくとも一部上に塗布される。第2の不連続コーティングは、ミクロ構造を有する。
【0011】
本発明の更に別の態様は、上述の本発明のコーティングされた医療デバイスを使用して、患者を治療する方法である。
【0012】
本発明のなおも更に別の態様は、抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法である。
【0013】
本発明のこれらの並びに他の態様及び利点は、以下の説明文及び添付図面からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1b】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1c】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1d】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図2】付着したバクテリア(CFU)カウント対銀コーティングの厚さのグラフ。
【図3】図1cに概略的に示される複合抗菌コーティング(トリクロサン+銀)の走査電子顕微鏡写真。
【図4】様々なミクロ構造を有する、トリクロサン+銀抗菌複合コーティングされた埋め込み型メッシュ試料について、付着したバクテリア(CFU)カウントの比較を示すグラフ。
【図5a】異なるミクロ構造を有する抗菌表面に付着したバクテリアの概略図。
【図5b】異なるミクロ構造を有する抗菌表面に付着したバクテリアの概略図。
【図6】類似のミクロ構造を有するトリクロサン単独でコーティングされたメッシュと比較した、トリクロサン−銀複合コーティングされたメッシュによる付着のlog減少の長期有効性を示すグラフ。
【図7】組織分離メッシュの概略図。非吸収性部分は、長期抗菌剤及び即効性抗菌剤を有するコーティング層でコーティングされ、生体吸収性部分は、即効性抗菌剤を有するコーティング層でコーティングされるか、そうでなければ即効性抗菌剤を含有する。
【図8】ミクロ構造を有する、銀コーティングされたメッシュ及び銀+トリクロサン複合メッシュによる、黄色ブドウ球菌に対する阻害領域を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の抗菌コーティングのミクロ構造は、少なくとも1つの抗菌剤を有するインプラントの非吸収性部分又は構造の表面におけるバクテリア付着に対して長期阻害を提供する一方で、インプラントの非吸収性部分の表面から離れた距離でバクテリアを殺傷するように、拡散性長範囲の抗菌剤放出を提供する。このように、バクテリア増強に対する攻撃的及び守備的アプローチの双方は、第2の抗菌剤放出によって提供されるデバイス表面から離れた距離で、第1の抗菌性長範囲の攻撃によって提供される、デバイス表面のバクテリア付着に対する保護によって達成され得る。
【0016】
特に、抗菌剤を有する生体吸収性ポリマーコーティングと抗菌性金属との併用が説明される。抗菌性金属は、インプラントの非吸収性部分又は構造の表面の少なくとも一部上で、第1のコーティング又はベースコーティングとして使用される。第2の抗菌剤を有する生体吸収性の第2のコーティングは、第1の抗菌金属コーティングの表面の少なくとも一部分に塗布される。第2の長範囲抗菌剤は、追加の吸収性ポリマーと組み合わせて、処理、インプラントへの付着、及びインプラントからの放出速度の制御を促進し得る。代替実施形態においては、デバイスが、吸収性及び非吸収性のコンポーネント又は構造の両方から構成される場合、第2の長範囲抗菌剤は、マトリックス全体に又は埋め込み型デバイスの吸収性コンポーネントの表面上に組み込まれてもよい。
【0017】
本明細書で使用される用語「ミクロ構造」は、その従来の意味、例えば、相境界、配向、寸法スケール、及び表面形態学などの、材料のミクロ構造を有するように定義される。
【0018】
用語「即効性」及び「長範囲」の抗菌剤は、急速に拡散し、約数時間から数日間、バクテリア増殖に対する阻害を提供して、バクテリア増殖が妨げられる広い阻害領域を呈する抗菌剤を意味するように定義される。
【0019】
用語「持続性」及び「短範囲」の抗菌剤は、ゆっくり拡散し、約数日から数週間、バクテリア増殖に対する阻害を提供して、阻害領域を呈さなくても表面へのバクテリア付着に対する大きな長期のlog減少を呈する抗菌剤を意味するように定義される。
【0020】
本明細書で定義される用語「生体吸収性ポリマー」は、組織及び/又は体液と接触すると、分解又は吸収する生分解性又は生体吸収性ポリマーを意味するように定義される。例えば、加水分解反応により生分解するポリマーである。
【0021】
本発明の新規の二層コーティングでコーティングされ得る医療デバイスは、あらゆる従来の医療デバイス及びその同等物を含む。そのようなデバイスは、通常、ある構造を有する。例示的デバイスには、体内若しくは体組織内に埋め込まれるか又は残存するデバイス、例えば、外科用メッシュ、外科用縫合、整形外科インプラント、骨アンカー、ピン、又はネジ、人工血管、心臓弁、ペースメーカー等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特に好ましい一実施形態は、例えば、ヘルニア修復手技を含む、種々の外科的手技において使用される埋め込み型外科用メッシュ上に、本発明の二層コーティングを提供することである。ヘルニア修復デバイスは、好ましくは、非吸収性コンポーネント及び吸収性コンポーネントの両方から構成される。
【0022】
第1のコーティング層は、好ましくは、非吸収性コンポーネントの外側表面のほぼ全体に塗布される。必要に応じて、第1のコーティング層は、非吸収性コンポーネントの外側表面の部分の一部のみに塗布されてもよい。非吸収性コンポーネントは、通常、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン等の生体適合性ポリマーを含む、従来の生体適合性材料から作製される。必要に応じて、非吸収性コンポーネントは、合金、セラミックス、複合材料などを含む、他の従来の生体適合性材料から作製されてもよい。
【0023】
第1のコーティング層は、金属又は合金から構成されるか、又はそれらを含有する。本発明の実践に使用することができる金属及び合金の例には、これらに限定されないが、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金、亜鉛、亜鉛合金、セレン等が挙げられる。必要に応じて、第1のコーティング層は、そのような金属合金を含有する生体適合性ポリマーコーティングであることが可能である。好適なポリマーコーティングは、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、PVP、ポリエチレングリコール等、並びにそれらの組み合わせを含む。特に好ましい実施形態において、金属は、物理蒸着、化学蒸着、電気めっき等を含む、既知のプロセスによって、非吸収性コンポーネントの表面の少なくとも一部に塗布される。存在する金属の量は、連続するフィルムを生成するインプラントの均一でない表面を効果的にコーティングし、上記のように「持続性」かつ「短範囲の」抗菌作用を提供するのに十分となる。第1のコーティングの厚さは、インプラントの下層の繊維及び表面を、効果的かつ均一に被覆するのに十分となる。コーティングの厚さは、通常、約20nm〜約1000nm、より典型的には約20nm〜約500nm、及び好ましくは約50nm〜約400nmの範囲である。ポリマーコーティングが第1のコートに使用される場合、噴霧、浸漬、ブラッシング等を含む従来のコーティングプロセスを同様に使用することができる。ポリマーコーティングの厚さは、所望の抗菌作用を提供し、かつ表面の効果的な被覆を提供するのに十分となる。
【0024】
前述のとおり、及びそれに加えて、本発明の医療デバイスに第1の金属コーティングを塗布するのに使用することができる方法には、物理蒸着、化学蒸着、イオン注入、電気めっき、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明の医療デバイスに塗布される第2のコーティングは、好ましくは、1つ又は複数の抗菌剤を含有するポリマーコーティングである。ポリマーコーティングは、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、PVP、又はポリエチレングリコール等の従来の生分解性ポリマーを含む、従来の生体適合性、生分解性、又は生体吸収性ポリマーから構成される。生分解性又は生体吸収性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラトン、ポリジオキサノン、並びにそれらのコポリマー及び組み合わせ、加えて同等物が挙げられる。第2のコーティングに組み込まれ得る抗菌剤には、LAE、クロロヘキシジン、オクテンチジン、トリクロサン、及びポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)等を含む、従来の抗菌剤が挙げられる。十分な量の選択抗菌剤が、第2のコーティングに組み込まれて、インプラントの周辺から少なくとも1mm延在する阻害領域を効果的に生成し、バクテリア増強作用に対する阻害が、少なくとも1日の期間の間確立される。量は、抗菌剤の化学式及び特徴に応じて変動するが、通常、量は、約100〜約10,000PPM、より典型的には約500〜約5000PPM、及び好ましくは約1000〜約3000PPMの範囲内である。
【0026】
第1のコーティングの外側表面上に塗布される時、第2のコーティングは、それが不連続ミクロ構造を有するような方法で塗布される。そのような不連続ミクロ構造は、第1のコーティングの表面積の一定割合が露出されるように、十分な開口を提供する。露出される第1のコーティングの面積は、デバイスの表面のバクテリア付着及びコロニー化を効果的に阻害するのに十分となる。通常、露出される面積は、第1のコーティングの面積の約10%〜約90%であり、より典型的には、約25%〜約90%、及びより典型的には、約50〜約90%である。
【0027】
本発明の第2のコートに使用することができる不連続ミクロ構造は、直径約0.1〜20μmのコーティングアイランド又は部分又は面積を形成する、分離性液滴を含む。特に好ましいミクロ構造は、分離性液滴として塗布される第2のコーティングを有して、直径約0.1〜20μmのほぼ半球様形状を形成する。液滴又はアイランドは、好ましくは、塗布時に円形、半球形、又はディスク形状を有するが、それらは、実質的に細長い楕円、球、棒、角錐、ディスク、円柱、及び繊維、並びに他の三次元幾何学形状等、又は不規則な三次元形状を含む他の形状を有してもよい。塗布時の液滴は、直径約0.1〜約20μmの寸法を有する。隣接するコーティング液滴又はアイランドが、不連続な第2の層の形成を可能にし、下層コーティングの表面の十分な露出を可能にして、体液と接触した時に、第1の層から生成される抗菌剤の有効量を提供するのに十分に有効な距離だけ分離していることが好ましい。通常、この距離は、約1マイクロメートル〜約20マイクロメートルであり、より典型的には、約1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、及び好ましくは約1マイクロメートル〜約2マイクロメートルである。好ましくはない(そして図示されていない)が、トップコーティング又は第2のコーティングは、下層の第1のコート又はベースコートを露出する開口孔を有する、連続コーティングの形態であるミクロ構造を有してもよい。孔は、第2のコーティング層の不連続ミクロ構造の形成を可能にし、下層の第1のコートの面積の有効量を露出させるのに十分有効な面積を有して、体液と接触した時に、第1の層から有効量の抗菌剤を使用可能にする。
【0028】
通常、各孔の面積は、約1マイクロメートル2〜約4マイクロメートル2、より典型的には、約1マイクロメートル2〜約100マイクロメートル2、及び好ましくは約1マイクロメートル2〜約400マイクロメートル2である。孔の総面積は、下層の第1のコーティングの約1%〜約90%であり、より典型的には、約10%〜約50%であり、好ましくは約15%〜約30%である。
【0029】
第2のコーティングの厚さは、効能がある投与量の第2の抗菌剤を効果的に含有し、使用可能にするのに十分であるが、人工装具の取扱適性を阻害しない。通常、コーティングの厚さは、約20μm以下であるが、基材材料の性質及び種類、デバイスの構成、使用される第1のコーティングの種類等の特徴に応じて、より厚いコーティングが使用されてもよい。
【0030】
第2のコーティングを様々な従来の方法で塗布して、所望のミクロ構造及び厚さを有する不連続コーティングを得てもよい。そのような方法には、以下の精密スプレーコーティング(従来使用可能なスプレーコーティングユニットを用いて達成され得る)、インクジェットスプレーコーティング、印刷処理、静電スプレーコーティング等が挙げられる。
【0031】
ここで図1A〜Dを参照して、メッシュデバイスの繊維10を説明する。図1Aに見られるように、繊維10は、外側表面11を有することがわかる。繊維10は、外側表面11上に抗菌性の第1の又はベースコーティング層20を有することがわかる。抗菌性の第1のコーティング層20は、外側表面21を有することがわかる。図1Bの繊維10は、第2のコーティングが、別個の不連続ミクロ構造31のミクロ構造を有するように、繊維10の表面11に直接塗布される第2のコーティング層30を有することがわかる(すなわち、第1のコーティング20は存在しない)。ここで図1cを参照すると、繊維10は、表面11に塗布される第1のコーティング20、及び別個の不連続液滴又は構造31のミクロ構造を有する表面21に塗布される第2の不連続コーティング30を有することがわかる。図1dは、表面11上に塗布された第1のコーティング20、及び表面21上に塗布された第2のコーティング40を有する繊維10を示し、この第2のコーティング40は、表面21が露出されないように不連続ではない。図5a及び5bは、付着したバクテリアを有する、コーティングされた繊維表面の図である。これらの図面は、以下で更に説明される。
【0032】
本発明のコーティングされた医療デバイスは、様々な従来の外科的手技及びそれらの同等物において使用され得る。手技には、限定されないが、ヘルニア修復、関節置換、結紮、顔の形成、豊胸等が挙げられる。
【0033】
以下の実施例は、本発明の主旨及び実践の説明である。
【0034】
抗菌有効性評価の説明
1.バクテリア付着減少アッセイ
バクテリア付着は、バイオフィルム形成、したがって感染の第1の工程である。バクテリア付着について、プロトタイプメッシュをインビトロで評価することは、メッシュのバイオフィルム耐容特性の比較的直接的な指示を提供する。インビトロ付着アッセイは、20%新生胎仔血清(熱不活性化、滅菌濾過されたFCS、ロット# 057K8416)、10% TSB(トリプシン大豆培養液)、及び70%生理食塩水を含有する媒質SST中で行った。媒質は、黄色ブドウ球菌ATCC 6538を用いて約1×10e6CFU/mlで接種し、インキュベーター振とう器(12400、New Brunswick、NJ USA)内で、60rpmの回転で24時間37℃でインキュベートした。インキュベーション後、メッシュ試料を洗浄して、付着していない細胞を除去した。コロニー化したバクテリアを除去し、音波処理によって均質化し、寒天注入プレート方法によって、TSA寒天含有Tween 80(2.5mL/L)及びレシチン(0.35g/L)を使用して数えた。希釈液及び中和剤を含有するめっき媒質を使用して、コーティング中の抗菌剤から持ち越されるあらゆる作用を排除した。平板を37℃で24時間インキュベートした。付着した生菌の数は、プレートカウントによって測定し、CFU/メッシュとして報告した。バクテリア付着のlog減少は、対照メッシュからのlog CFU−処理されたメッシュからのlog CFUとして定義された。長期有効性については、メッシュ試料を37℃の滅菌生理食塩水に指定時間だけ浸漬した後、付着アッセイに供した。
【0035】
2.阻害領域アッセイ
阻害領域アッセイは、高速かつ効き目のある有効性をもたらす抗菌剤成分の長期有効性を測定する。このアッセイにおいて、摂取バクテリア(challenge bacteria)を約5logCFU/プレートで、TSAプレート(トリプシン大豆寒天)の表面上にスプレー接種した。滅菌ツールを使用して、接種したプレートの表面に試験物品を設置した。プレートを37℃で24〜48時間インキュベートした。試験物品周囲の透明な、増殖のない領域を阻害領域として同定し、試験物品の縁部から阻害領域の縁部までの平均距離mmとして定義した。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
抗菌コーティングが、複数のポリプロピレン織繊維から構成されるヘルニア修復メッシュに塗布され、Prolene Soft Mesh(商標)(PSM)という名称で、Ethicon Inc.(Somerville,NJ,USA)により市販された。PSMを含むポリプロピレン繊維の表面はまず、スパッタコーティングと呼ばれる物理蒸着プロセスを介して、金属形態の銀でコーティングした。蒸着プロセスの期間を変えて、メッシュ繊維上に約6nm〜約60nmの様々な厚さを有する金属銀コーティングを生成した。ポリプロピレン繊維10上の銀コーティング20の断面概略図を図1aに示す。コーティングの厚さを測定するために、取り外し可能なテープで一部が被覆されたガラススライドを、メッシュ試料の側面に沿ってスパッタコーティングした。スパッタリングプロセスの完了時に、テープをガラススライドから除去し、表面計を使用してスライド上の銀のステップ厚を測定した。このアプローチは、約60nm以上の銀フィルム厚を推定するために特に有効であった。次に、これらの試行からフィルム厚とスパッタコーティング期間とを相互に関連付けて、60nm未満のフィルム厚を推定した。銀コーティングを他の抗菌剤と混合する前の、それら単独での有効性を理解するために、上記の手順に従って、バクテリア付着のlog減少及び阻害領域についてメッシュを試験した。黄色ブドウ球菌に曝露されたメッシュ試料について、推定フィルム厚に応じて、結果を図2に示す。約6nmにすぎない銀フィルム厚において、約3logのバクテリア付着の減少が達成された一方、約60nmのフィルム厚では、4logのバクテリア付着の減少が達成された。
【0037】
(実施例2)
実施例1に記載されるように生成した銀コーティングされたProlene Soft Mesh試料に第2の抗菌剤を塗布した。トリクロサンを、65%ラクチド及び35%グリコリド、PLA/PGA 65/35から構成されるポリラクチド−グリコリドコポリマーと結合させた。処理及びミクロ構造制御を容易にするために、約2.0重量%のトリクロサンを、酢酸エチル溶媒中で約4.5重量%のPLA/PGAコポリマーと結合させた。次に、この溶液を、Asymtek(A Nordson Company,Amhesrt,Ohio,USA)によって製造された自動精密スプレー装置を使用して、メッシュ上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングの塗布前後に、メッシュ試料を測量して、フィルム中のトリクロサン濃度を決定した。本研究において生成された試料のトリクロサン濃度は、約700〜約900ppmに維持した。精密スプレー塗布機の処理パラメーター及びトリクロサン−コポリマー溶液の配合比を変えることによって、トリクロサン−コポリマーコーティングのミクロ構造を調整した。生成されたミクロ構造は、1)図1bに概略的に表され、スプレープロセスにおいて生成された液滴30を含有する不連続トリクロサンがポリプロピレン繊維基材上で固化した「不連続トリクロサン」、2)図1cに概略的に表され、スプレープロセスにおいて生成された液滴30を含有する不連続トリクロサンが金属銀の第1のコート20上で固化した「銀+不連続トリクロサン」、及び3)コーティング40を含有する連続トリクロサンが金属銀アンダーコートに塗布された「銀+連続トリクロサン」を特徴とした。「銀コーティングされた不連続トリクロサン」試料の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。トリクロサンコポリマー混合物は、銀コーティングされたポリプロピレン繊維の表面上で固化した液滴として明らかである。
【0038】
前述の方法に従って、バクテリア付着のlog減少及び阻害領域について、上記のメッシュ試料を試験した。この試料セットにおいて、銀フィルム厚は、厚さ約6nmとして推定された。この研究の結果を図4に示す。コポリマーを単独で含有する不連続ミクロ構造トリクロサンでコーティングされた試料は、1.1logのバクテリア付着の減少を示した。予想外にも、金属銀の第1のコート及び連続トリクロサン含有ポリマーの第2のコートを有する試料は、2つの抗菌剤を有するにもかかわらず、同様に1のバクテリア付着のlog減少を果たした。しかしながら、バクテリア付着における相当な減少が、「銀+不連続トリクロサン」試料の2.3のバクテリア付着のlog減少で示された。
【0039】
バクテリア50が付着したコーティングされた繊維表面11の概略図を図5a及びbに示す。図5aにおいて、バクテリア50は、連続トリクロサン含有コポリマーコーティング層40に直接付着しようとする。この例において、第1の銀アンダーコート又はベースコート20の表面21は、連続抗菌剤(例えば、トリクロサン)含有トップコート40によってマスクされるため、銀(又はコーティング20中の他の抗菌剤)は、コポリマートップコート40が分解及び吸収し始めるまで、バクテリア付着を阻害することができない。図5bにおいて、トリクロサン含有コポリマーコーティング30は、個々のバクテリア50の寸法と同等のスケールで不連続である(すなわち、不連続ミクロ構造を有する)。そのようなものとして、バクテリア50は、ベースコート並びに抗菌剤(例えば、銀)及びトリクロサン含有コポリマーの双方に同時に曝露され得る。これは、幾つかの理由で重要である。第1に、この例において、銀又は第1の抗菌剤は、潜在的に短範囲であるが、トリクロサン活性物質(すなわち、トップ不連続コート内の抗菌剤)よりも、バクテリア付着の減少において効果的であり得る。実際に、図4に提示されるバクテリア付着アッセイにおいて、「銀+不連続トリクロサン」試料が、「銀+連続トリクロサン」試料よりも良好に機能したという事実は、この前提を支持する。第2に、トリクロサン相は一時的であり、コポリマーコーティング自体が吸収する前に、コポリマーコーティングの外に迅速に拡散し得る。この例において、銀は、抗菌剤を欠いているコポリマーによってマスクされ得、バクテリア増殖が発生し得る。最後に、2つの異なる抗菌剤の組み合わせにより実現され得る相乗効果は、このミクロ構造が銀及びトリクロサンの両方を同時放出できるため、トップ抗菌コーティングが不連続である後者の場合に発生する可能性が高い。
【0040】
インプラント表面のバクテリア付着の減少は重要であり、確かに本発明の一目的であるが、インプラントの表面から離れて攻撃的な即効性かつ長範囲抗菌作用も同様に、感染を防ぐために重要であることも提案されることに留意することが重要である。黄色ブドウ球菌に対する付着のlog減少アッセイによる阻害アッセイの領域及び長期有効性を使用して、トリクロサンコーティング、銀コーティング、及び「銀+トリクロサン」コーティングされたメッシュ試料の持続性かつ長範囲有効性を比較した。図8は、短範囲の銀コーティングされたメッシュとの比較における、銀+不連続トリクロサンによる長範囲の有効性を示す。図6は、トリクロサン単独でコーティングされたメッシュとの比較における、銀+不連続トリクロサンの長期有効性を示す。トリクロサン−コポリマー不連続コーティングは、図8に示されるように、銀単独でコーティングされた試料全体で、実質的に改善された阻害領域を提供する。更に、図6に示されるように、トリクロサン単独でコーティングされた、類似する不連続ミクロ構造を有するメッシュ全体で、長期有効性を呈した。
【0041】
攻撃的な即効性かつ長範囲抗菌作用を提供する目的を達成するために、デバイス表面のバクテリア付着に対する長期阻害と合せて、不連続形態の金属銀及びトリクロサンが必須であった。実際に、これは、図4及び6にそれぞれ示されるように、バクテリア付着の実質的な減少を効果的な阻害領域と共に提供した唯一の試料の組み合わせであった。しかしながら、非吸収性インプラントの第1の原体抗菌コーティングとしての銀の代わりに、これらに限定されないが金属金及び銅を含む他の長期抗菌剤が使用されてもよい。同様に、トリクロサンの代わりに、阻害領域を生成する他の不連続の即効性長範囲の抗菌剤が使用されてもよく、それにはクロロヘキサジエン、酢酸ラウリル、オクチネジン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に、デバイス表面のバクテリア付着に対する阻害と併せて、即効性、長範囲の抗菌作用を達成するという概念は、吸収の遅い又は更には非吸収性ポリマーと混合される単一の抗菌剤を用いて得られ、ベースフィルムとしてインプラントに塗布されてもよいことに留意されたい。高速吸収ポリマーと混合される抗菌剤、又は追加のポリマーなしに単独で抗菌剤を含有する後続のトップフィルムが、ベースコート全体に塗布されてもよい。好ましくは、これらのコーティングは、図1c及び1dの概略図に従って塗布され得るが、最も好ましくは、上記と同一の理由から図1cに従って塗布され得る。
【0042】
非吸収性及び吸収性コンポーネントから構成されるインプラント、特に例えば、非吸収性コンポーネントの少なくとも片側に結合された生体吸収性フィルム又は織物を有する組織分離ヘルニアメッシュの場合、非吸収性コンポーネントの表面におけるバクテリア付着に対する持続性阻害と合せた、攻撃的な即効性かつ長範囲の抗菌作用が、即効性の吸収性抗菌を吸収性フィルム自体に組み込むことによって達成され得る。この作成物は、ヘルニア修復手技で使用される組織分離メッシュ生成物の場合と同様に、吸収性フィルムが非吸収性コンポーネントの少なくとも一部を包囲するか、又は包含するインプラントに特に重要であり得る。
【0043】
(実施例3)
患者は、従来の方法で開腹切除外科的手技に対して準備される。本発明の二層抗菌コーティングでコーティングされた外科用メッシュを、切開ヘルニア修復のインプラントとして利用する。外科的手技は、以下のように行う。患者は、開腹手術により除去されなければならない大腸の欠陥を示す。準備後、腹腔を通る切開により前方から大腸にアクセスし、そこで大腸の一片が切除され、大腸吻合が行われる。切開ヘルニアの閉合は、筋膜、表皮下、及び皮膚閉合の一般技法と同様、腹腔内に配置され、切開による欠損の無張力修復を形成するための固定縫合糸(stay suture)で固定された、癒着低減ヘルニアメッシュを使用することによって行われる。
【0044】
修復手技が良好に完了した後、以下の間隔及び以下の方法で、患者を感染について監視する。腸切除の固有の性質に起因して、手術が行われた領域は、腸排出物で汚染されている可能性があった。更に、あらゆる手技において、汚染の可能性が存在することが知られている。患者は、予防的抗生物質を全身投与された後、4日間、回復室に移される。患者のバイタルサインを連続的に監視し、修復部位は、発赤、炎症、及び他の感染の兆候について定期的に監視する。患者は、術後4日で感染の兆候を示さないことが認められる。
【0045】
新規の抗菌コーティングを有する本発明の医療デバイスは、多くの利点を有する。利点は、インプラントのバクテリアコロニー形成を阻害するデバイス能力が挙げられる。短期間の間殺菌性である領域をインプラントの周囲に形成するデバイス能力。数時間又は数日よりも長い期間の間、バクテリアコロニー形成を阻害する、インプラントの能力。インプラントのコロニー化を阻害すると同時に、ある程度の期間殺菌性である領域をインプラントの周囲に形成する、インプラントの能力。これらの利点はすべて、デバイスの意図される用途、又はその特異的若しくは固有の機能を低下させることなく達成される。
【0046】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点は理解されるであろう。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、医療デバイス。
(2) 前記第2のコーティングの前記ミクロ構造が、バクテリアのミクロ構造に実質的に相当する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(3) 前記第2のポリマー不連続コーティングが、バクテリア又は他の微生物が前記バクテリア又は微生物の長さの少なくとも一部に渡って前記第1の抗菌コーティングと直接接触することを妨げない、ミクロ構造を含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
(4) 前記第2の不連続ポリマーコーティングの平均表面積が、約400μm^2未満である、実施態様3に記載の医療デバイス。
(5) 前記第1の抗菌コーティング層が、埋め込み後約14日を超える持続時間の間に、バクテリア付着に対して長期阻害を提供する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(6) 前記第2の不連続ポリマーコーティング層における前記抗菌剤が、そのポリマーコーティングからインビボで速やかに放出されて、バクテリアに対する即効性かつ長範囲の抗菌効果又は阻害領域を提供する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(7) 前記第2の不連続コーティングが、生体吸収性ポリマーを含む、実施態様1に記載のデバイス。
(8) 前記デバイスが、フィラメント及び繊維を有するメッシュを含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
(9) 前記第1の抗菌コーティング層が、前記フィラメント及び繊維の実質的に連続する被覆を提供する、実施態様8に記載の医療デバイス。
(10) 前記第2の不連続抗菌コーティングが、分離した液滴を含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
【0048】
(11) 前記第1のコーティング層の前記表面上の前記固化液滴の表面被覆率が、約1%〜70%の範囲である、実施態様10に記載の医療デバイス。
(12) 前記第1の抗菌コーティング層が、抗菌金属を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(13) 前記抗菌金属が、銀又は銀合金を含む、実施態様12に記載のデバイス。
(14) 前記第1及び第2の抗菌剤の両方が同一であり、前記第2の不連続層からの前記抗菌剤の放出速度が、前記第1の抗菌コーティング層からの前記抗菌剤の放出よりも速い、実施態様1に記載のデバイス。
(15) 生体吸収性及び非吸収性コンポーネントから構成される複合埋め込み型デバイスであって、第1の即効性高速吸収抗菌剤が、前記吸収性及び非吸収性コンポーネントの前記表面内又は前記表面上に組み込まれ、第2の持続性抗菌剤が、前記複合医療デバイスの前記非吸収性コンポーネントの前記表面上に存在する、デバイス。
(16) 前記複合埋め込み型デバイスが、ヘルニア修復手技において、外科的癒着を阻害するように設計された組織分離メッシュである、実施態様15に記載のデバイス。
(17) 前記高速吸収抗菌剤が、それが内部又は上に組み込まれる前記生体吸収性ポリマーに等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収する、実施態様15に記載のデバイス。
(18) 前記不連続ポリマーコーティングが、PLA/PGA及びPCL/PGAコポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーを含む、実施態様7に記載のデバイス。
(19) 前記第2の抗菌剤が、トリクロサン、クロロヘキサジン(chlorohexadine)、LAE、AgI、及びオクテニジンからなる群から選択される、実施態様1に記載のデバイス。
(20) 前記不連続コーティングが、複数の孔を有するコーティングを含み、その結果、そのような孔が下層の第1のコーティングの領域を露出する、実施態様1に記載のデバイス。
【0049】
(21) 前記不連続な第2の層が、実質的に幾何学的な形状を有する別個の部分を有するミクロ構造を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(22) 前記実質的な部分が、半球、ディスク、立方体、円柱、繊維、角錐、不規則な三次元形状等、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される実質的に幾何学的な形状を有する、実施態様1に記載のデバイス。
(23) 前記第2の不連続コーティングが、噴霧、印刷、及び浸漬からなる群から選択されるコーティングプロセスによって塗布される、実施態様1に記載のコーティング。
(24) 前記第1のコーティングが、第1の厚さを有し、前記第2のコーティングが、第2の厚さを有する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(25) 外科的修復手技を行う方法であって、
A.医療デバイスを提供することであって、前記医療デバイスが、
表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、ことと、
B.体腔内の組織欠陥に前記医療デバイスを固定して、前記組織欠陥を効果的に修復することと、
を含む、方法。
(26) 抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法であって、
表面を有する非吸収性構造を含む、医療デバイスを提供することと、
前記表面の少なくとも一部上に第1の抗菌コーティングを塗布することであって、前記第1の抗菌コーティングが、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、ことと、
第2の抗菌剤を含む第2のポリマーコーティングを塗布することであって、前記第2のコーティングが不連続ミクロ構造を有するように、前記第2のコーティング層が前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布される、ことと、
を含む、方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌コーティングを有する医療デバイスに関し、より具体的には、外科用インプラントとして有用な抗菌コーティングを有する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
非吸収性の生体適合性ポリマーは、様々な病気を有する患者の外科処置及び医療ケアにおいて非常に重要な役割を果たす。最も一般には、非吸収性の生体適合性ポリマーは、縫合、並びにヘルニア及び骨盤底修復用人工メッシュなどの、様々な医療デバイスにおいて使用され、これらのデバイスの少なくとも一部は、体内に残存して、必要とされる組織の永久補強を提供する。外科用メッシュは、実際に、ヘルニア修復及び骨盤底修復手技におけるケアの標準となっており、必要な強度及び構造を提供して、障害が起きた組織を補強し、解剖学的欠陥の永久的な無張力修復をもたらす。外科創傷の閉合について、ある単繊維及び編組縫合は、非吸収性の生体適合性ポリマーで構成され、一般に、血管吻合、心臓弁修復、並びに他の従来の用途及び使用の中でも腱修復及び深部組織閉合を含む整形外科的使用のための永久固定を提供するように使用される。
【0003】
すべての外科的手技と同様、縫合又はメッシュ等の非吸収性ポリマー補強を組み込む外科創傷は、感染する傾向にあり得る。更に、滅菌状態で使用するために提供される場合であっても、非吸収性埋め込み型材料が、バクテリア付着、コロニー化、及びバイオフィルム形成の基材を提供することによって、感染の病巣として機能し得ることが長く知られている。そのようなバイオフィルムは、一旦確立されると、従来の使用可能な抗生物質による治療に対して極めて耐性であり得、また致命的であり得、そうでなければ、感染した患者に持続的な長期罹患をもたらし得る。抗生物質からの治療に耐性を示す感染した外科創傷は、一般に、再手術されて、非吸収性の埋め込み材料にアクセスしてそれを除去し、新しい人工装具が埋め込まれる前に感染を取り除いて、治癒プロセスを再度開始することを可能にする。そのような手技は、多くの場合、長期入院を必要とし、患者に多額の費用と相当の苦痛、並びにあらゆる外科的手技に伴うリスクをもたらす。
【0004】
生体吸収性ポリマーに現在使用されている抗菌剤は、非吸収性ポリマーインプラントには不十分である場合がある。生体吸収性ポリマー上のバイオフィルム形成は低い程度でも発生し得ると考えられているが、バクテリア付着を支持する吸収性ポリマー基材の一過性の性質に起因して、これらの感染は治療が容易であり、生体吸収性ポリマーインプラントは自然に代謝し、経時的に体内から出るため、の最終的な除去はほとんど必要がない。そのようにして、数時間から数日に渡る期間の間、活性を維持する短期抗菌剤は、吸収性インプラントの予防的な解決策として、より許容され得る。
【0005】
それに比べて、非吸収性インプラントでは、バクテリア感染が初期の短期作用抗菌剤から生き延びた場合、非吸収性インプラントの表面を付着基材として使用して進行及び増殖が妨げられない傾向がある。そのような場合、手術から数週間〜数ヶ月後に医師が診察すると、患者は感染の兆候を有することが認められる。更には、そのような感染の初期源が、これらの場合、外科的手技の間に遭遇するのではなく、後次事象の間に循環系を通して全身的に取り込まれた可能性が高いということが提議されている。これらのシナリオでは、手術中に取り込まれたバクテリアの増殖を阻害するように設計された短期抗菌剤は、無効であり得る。
【0006】
したがって、生体吸収性ポリマーインプラントに使用され得る、強力であるが短期作用の効果に加えて、非吸収性インプラントは、それらの表面上のバクテリアのコロニー化及びバイオフィルム形成に対して、長期の作用有効性を必要とし得る。
【0007】
生体吸収性及び非吸収性ポリマーコンポーネントの両方から構成される複合医療デバイスの使用は、医療技術分野において増加している。特に、少なくとも片側に生体吸収性フィルム又は織物を組み込むヘルニアメッシュを使用して、内臓と埋め込まれたメッシュの表面との間の結合組織の癒着を阻害することができる。結合組織の癒着は、長期疼痛、患者の移動度の減少、並びに将来手術が必要とされる場合の執刀医にとっての困難を含む複数の複雑な事態をもたらすことが知られているため、これらの複合生成物は、重要なニーズに対応する。しかしながら、手術部位の感染を考慮すると、生体吸収性コンポーネントに最適であり得る抗菌剤が、非吸収性コンポーネントに最適ではない可能性がある。非吸収性コンポーネントについて、上述の理由のすべてから、持続性又は更には永久的な抗菌表面が望ましい。しかしながら、生体吸収性コンポーネントの場合、抗菌剤も生体吸収性であり、好ましくは生体吸収性ポリマーの吸収速度又は分解速度に等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収されることが重要であり得る。ヘルニアメッシュデバイスの場合、メッシュの組織分離生体吸収性層は、比較的急速に吸収し得る。例えば、酸素再生セルロース等の組織分離材料は、2週間以内に吸収及び/又は分解し得る。これらの複合生成物について、下層の非吸収性メッシュの表面保護のための持続性抗菌剤と併せて、即効性、即時吸収性抗菌剤が必要とされる。
【0008】
これまで、外科的手技の間に創傷に取り込まれるバクテリアに対する初期攻撃を提供することができる、即時拡散抗菌剤、及びインプラント表面におけるバクテリアコロニー化に対して持続的な阻害を提供する抗菌剤の両方の組み合わせは、開示されていない。埋め込み時から効率的かつ同時に作用する抗菌剤を提供する一方で、少なくとも1つの長期抗菌剤を、医療デバイスの表面に付着したままにして長期間バクテリア付着を防ぐようにすることができる、そのような複合コーティングの固有のミクロ構造も開示されていない。更に、インプラントの非吸収性コンポーネントの表面コロニー化に対して長期保護を提供する持続性抗菌剤と共に、複合インプラントの生体吸収性コンポーネントにおける即効性、長範囲の抗菌剤(広い「阻害領域」を生成する)の使用も、説明又は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本技術分野では、埋め込み型医療デバイスの新規抗菌コーティングが継続的に必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、新規の抗菌性コーティングを有する新規の医療デバイスが開示される。医療デバイスは、表面を有する非吸収性構造を有する。第1の抗菌コーティングは、非吸収性構造の表面の少なくとも一部上に含有され、第1の抗菌コーティングは、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含有し、第2の抗菌剤から構成されるか又はそれを含有する第2の不連続ポリマーコーティングが存在する。第2のコーティングは、第1の抗菌コーティングの表面の少なくとも一部上に塗布される。第2の不連続コーティングは、ミクロ構造を有する。
【0011】
本発明の更に別の態様は、上述の本発明のコーティングされた医療デバイスを使用して、患者を治療する方法である。
【0012】
本発明のなおも更に別の態様は、抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法である。
【0013】
本発明のこれらの並びに他の態様及び利点は、以下の説明文及び添付図面からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1b】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1c】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図1d】様々な抗菌コーティングのミクロ構造の概略図。
【図2】付着したバクテリア(CFU)カウント対銀コーティングの厚さのグラフ。
【図3】図1cに概略的に示される複合抗菌コーティング(トリクロサン+銀)の走査電子顕微鏡写真。
【図4】様々なミクロ構造を有する、トリクロサン+銀抗菌複合コーティングされた埋め込み型メッシュ試料について、付着したバクテリア(CFU)カウントの比較を示すグラフ。
【図5a】異なるミクロ構造を有する抗菌表面に付着したバクテリアの概略図。
【図5b】異なるミクロ構造を有する抗菌表面に付着したバクテリアの概略図。
【図6】類似のミクロ構造を有するトリクロサン単独でコーティングされたメッシュと比較した、トリクロサン−銀複合コーティングされたメッシュによる付着のlog減少の長期有効性を示すグラフ。
【図7】組織分離メッシュの概略図。非吸収性部分は、長期抗菌剤及び即効性抗菌剤を有するコーティング層でコーティングされ、生体吸収性部分は、即効性抗菌剤を有するコーティング層でコーティングされるか、そうでなければ即効性抗菌剤を含有する。
【図8】ミクロ構造を有する、銀コーティングされたメッシュ及び銀+トリクロサン複合メッシュによる、黄色ブドウ球菌に対する阻害領域を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の抗菌コーティングのミクロ構造は、少なくとも1つの抗菌剤を有するインプラントの非吸収性部分又は構造の表面におけるバクテリア付着に対して長期阻害を提供する一方で、インプラントの非吸収性部分の表面から離れた距離でバクテリアを殺傷するように、拡散性長範囲の抗菌剤放出を提供する。このように、バクテリア増強に対する攻撃的及び守備的アプローチの双方は、第2の抗菌剤放出によって提供されるデバイス表面から離れた距離で、第1の抗菌性長範囲の攻撃によって提供される、デバイス表面のバクテリア付着に対する保護によって達成され得る。
【0016】
特に、抗菌剤を有する生体吸収性ポリマーコーティングと抗菌性金属との併用が説明される。抗菌性金属は、インプラントの非吸収性部分又は構造の表面の少なくとも一部上で、第1のコーティング又はベースコーティングとして使用される。第2の抗菌剤を有する生体吸収性の第2のコーティングは、第1の抗菌金属コーティングの表面の少なくとも一部分に塗布される。第2の長範囲抗菌剤は、追加の吸収性ポリマーと組み合わせて、処理、インプラントへの付着、及びインプラントからの放出速度の制御を促進し得る。代替実施形態においては、デバイスが、吸収性及び非吸収性のコンポーネント又は構造の両方から構成される場合、第2の長範囲抗菌剤は、マトリックス全体に又は埋め込み型デバイスの吸収性コンポーネントの表面上に組み込まれてもよい。
【0017】
本明細書で使用される用語「ミクロ構造」は、その従来の意味、例えば、相境界、配向、寸法スケール、及び表面形態学などの、材料のミクロ構造を有するように定義される。
【0018】
用語「即効性」及び「長範囲」の抗菌剤は、急速に拡散し、約数時間から数日間、バクテリア増殖に対する阻害を提供して、バクテリア増殖が妨げられる広い阻害領域を呈する抗菌剤を意味するように定義される。
【0019】
用語「持続性」及び「短範囲」の抗菌剤は、ゆっくり拡散し、約数日から数週間、バクテリア増殖に対する阻害を提供して、阻害領域を呈さなくても表面へのバクテリア付着に対する大きな長期のlog減少を呈する抗菌剤を意味するように定義される。
【0020】
本明細書で定義される用語「生体吸収性ポリマー」は、組織及び/又は体液と接触すると、分解又は吸収する生分解性又は生体吸収性ポリマーを意味するように定義される。例えば、加水分解反応により生分解するポリマーである。
【0021】
本発明の新規の二層コーティングでコーティングされ得る医療デバイスは、あらゆる従来の医療デバイス及びその同等物を含む。そのようなデバイスは、通常、ある構造を有する。例示的デバイスには、体内若しくは体組織内に埋め込まれるか又は残存するデバイス、例えば、外科用メッシュ、外科用縫合、整形外科インプラント、骨アンカー、ピン、又はネジ、人工血管、心臓弁、ペースメーカー等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特に好ましい一実施形態は、例えば、ヘルニア修復手技を含む、種々の外科的手技において使用される埋め込み型外科用メッシュ上に、本発明の二層コーティングを提供することである。ヘルニア修復デバイスは、好ましくは、非吸収性コンポーネント及び吸収性コンポーネントの両方から構成される。
【0022】
第1のコーティング層は、好ましくは、非吸収性コンポーネントの外側表面のほぼ全体に塗布される。必要に応じて、第1のコーティング層は、非吸収性コンポーネントの外側表面の部分の一部のみに塗布されてもよい。非吸収性コンポーネントは、通常、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン等の生体適合性ポリマーを含む、従来の生体適合性材料から作製される。必要に応じて、非吸収性コンポーネントは、合金、セラミックス、複合材料などを含む、他の従来の生体適合性材料から作製されてもよい。
【0023】
第1のコーティング層は、金属又は合金から構成されるか、又はそれらを含有する。本発明の実践に使用することができる金属及び合金の例には、これらに限定されないが、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金、亜鉛、亜鉛合金、セレン等が挙げられる。必要に応じて、第1のコーティング層は、そのような金属合金を含有する生体適合性ポリマーコーティングであることが可能である。好適なポリマーコーティングは、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、PVP、ポリエチレングリコール等、並びにそれらの組み合わせを含む。特に好ましい実施形態において、金属は、物理蒸着、化学蒸着、電気めっき等を含む、既知のプロセスによって、非吸収性コンポーネントの表面の少なくとも一部に塗布される。存在する金属の量は、連続するフィルムを生成するインプラントの均一でない表面を効果的にコーティングし、上記のように「持続性」かつ「短範囲の」抗菌作用を提供するのに十分となる。第1のコーティングの厚さは、インプラントの下層の繊維及び表面を、効果的かつ均一に被覆するのに十分となる。コーティングの厚さは、通常、約20nm〜約1000nm、より典型的には約20nm〜約500nm、及び好ましくは約50nm〜約400nmの範囲である。ポリマーコーティングが第1のコートに使用される場合、噴霧、浸漬、ブラッシング等を含む従来のコーティングプロセスを同様に使用することができる。ポリマーコーティングの厚さは、所望の抗菌作用を提供し、かつ表面の効果的な被覆を提供するのに十分となる。
【0024】
前述のとおり、及びそれに加えて、本発明の医療デバイスに第1の金属コーティングを塗布するのに使用することができる方法には、物理蒸着、化学蒸着、イオン注入、電気めっき、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明の医療デバイスに塗布される第2のコーティングは、好ましくは、1つ又は複数の抗菌剤を含有するポリマーコーティングである。ポリマーコーティングは、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、PVP、又はポリエチレングリコール等の従来の生分解性ポリマーを含む、従来の生体適合性、生分解性、又は生体吸収性ポリマーから構成される。生分解性又は生体吸収性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラトン、ポリジオキサノン、並びにそれらのコポリマー及び組み合わせ、加えて同等物が挙げられる。第2のコーティングに組み込まれ得る抗菌剤には、LAE、クロロヘキシジン、オクテンチジン、トリクロサン、及びポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)等を含む、従来の抗菌剤が挙げられる。十分な量の選択抗菌剤が、第2のコーティングに組み込まれて、インプラントの周辺から少なくとも1mm延在する阻害領域を効果的に生成し、バクテリア増強作用に対する阻害が、少なくとも1日の期間の間確立される。量は、抗菌剤の化学式及び特徴に応じて変動するが、通常、量は、約100〜約10,000PPM、より典型的には約500〜約5000PPM、及び好ましくは約1000〜約3000PPMの範囲内である。
【0026】
第1のコーティングの外側表面上に塗布される時、第2のコーティングは、それが不連続ミクロ構造を有するような方法で塗布される。そのような不連続ミクロ構造は、第1のコーティングの表面積の一定割合が露出されるように、十分な開口を提供する。露出される第1のコーティングの面積は、デバイスの表面のバクテリア付着及びコロニー化を効果的に阻害するのに十分となる。通常、露出される面積は、第1のコーティングの面積の約10%〜約90%であり、より典型的には、約25%〜約90%、及びより典型的には、約50〜約90%である。
【0027】
本発明の第2のコートに使用することができる不連続ミクロ構造は、直径約0.1〜20μmのコーティングアイランド又は部分又は面積を形成する、分離性液滴を含む。特に好ましいミクロ構造は、分離性液滴として塗布される第2のコーティングを有して、直径約0.1〜20μmのほぼ半球様形状を形成する。液滴又はアイランドは、好ましくは、塗布時に円形、半球形、又はディスク形状を有するが、それらは、実質的に細長い楕円、球、棒、角錐、ディスク、円柱、及び繊維、並びに他の三次元幾何学形状等、又は不規則な三次元形状を含む他の形状を有してもよい。塗布時の液滴は、直径約0.1〜約20μmの寸法を有する。隣接するコーティング液滴又はアイランドが、不連続な第2の層の形成を可能にし、下層コーティングの表面の十分な露出を可能にして、体液と接触した時に、第1の層から生成される抗菌剤の有効量を提供するのに十分に有効な距離だけ分離していることが好ましい。通常、この距離は、約1マイクロメートル〜約20マイクロメートルであり、より典型的には、約1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、及び好ましくは約1マイクロメートル〜約2マイクロメートルである。好ましくはない(そして図示されていない)が、トップコーティング又は第2のコーティングは、下層の第1のコート又はベースコートを露出する開口孔を有する、連続コーティングの形態であるミクロ構造を有してもよい。孔は、第2のコーティング層の不連続ミクロ構造の形成を可能にし、下層の第1のコートの面積の有効量を露出させるのに十分有効な面積を有して、体液と接触した時に、第1の層から有効量の抗菌剤を使用可能にする。
【0028】
通常、各孔の面積は、約1マイクロメートル2〜約4マイクロメートル2、より典型的には、約1マイクロメートル2〜約100マイクロメートル2、及び好ましくは約1マイクロメートル2〜約400マイクロメートル2である。孔の総面積は、下層の第1のコーティングの約1%〜約90%であり、より典型的には、約10%〜約50%であり、好ましくは約15%〜約30%である。
【0029】
第2のコーティングの厚さは、効能がある投与量の第2の抗菌剤を効果的に含有し、使用可能にするのに十分であるが、人工装具の取扱適性を阻害しない。通常、コーティングの厚さは、約20μm以下であるが、基材材料の性質及び種類、デバイスの構成、使用される第1のコーティングの種類等の特徴に応じて、より厚いコーティングが使用されてもよい。
【0030】
第2のコーティングを様々な従来の方法で塗布して、所望のミクロ構造及び厚さを有する不連続コーティングを得てもよい。そのような方法には、以下の精密スプレーコーティング(従来使用可能なスプレーコーティングユニットを用いて達成され得る)、インクジェットスプレーコーティング、印刷処理、静電スプレーコーティング等が挙げられる。
【0031】
ここで図1A〜Dを参照して、メッシュデバイスの繊維10を説明する。図1Aに見られるように、繊維10は、外側表面11を有することがわかる。繊維10は、外側表面11上に抗菌性の第1の又はベースコーティング層20を有することがわかる。抗菌性の第1のコーティング層20は、外側表面21を有することがわかる。図1Bの繊維10は、第2のコーティングが、別個の不連続ミクロ構造31のミクロ構造を有するように、繊維10の表面11に直接塗布される第2のコーティング層30を有することがわかる(すなわち、第1のコーティング20は存在しない)。ここで図1cを参照すると、繊維10は、表面11に塗布される第1のコーティング20、及び別個の不連続液滴又は構造31のミクロ構造を有する表面21に塗布される第2の不連続コーティング30を有することがわかる。図1dは、表面11上に塗布された第1のコーティング20、及び表面21上に塗布された第2のコーティング40を有する繊維10を示し、この第2のコーティング40は、表面21が露出されないように不連続ではない。図5a及び5bは、付着したバクテリアを有する、コーティングされた繊維表面の図である。これらの図面は、以下で更に説明される。
【0032】
本発明のコーティングされた医療デバイスは、様々な従来の外科的手技及びそれらの同等物において使用され得る。手技には、限定されないが、ヘルニア修復、関節置換、結紮、顔の形成、豊胸等が挙げられる。
【0033】
以下の実施例は、本発明の主旨及び実践の説明である。
【0034】
抗菌有効性評価の説明
1.バクテリア付着減少アッセイ
バクテリア付着は、バイオフィルム形成、したがって感染の第1の工程である。バクテリア付着について、プロトタイプメッシュをインビトロで評価することは、メッシュのバイオフィルム耐容特性の比較的直接的な指示を提供する。インビトロ付着アッセイは、20%新生胎仔血清(熱不活性化、滅菌濾過されたFCS、ロット# 057K8416)、10% TSB(トリプシン大豆培養液)、及び70%生理食塩水を含有する媒質SST中で行った。媒質は、黄色ブドウ球菌ATCC 6538を用いて約1×10e6CFU/mlで接種し、インキュベーター振とう器(12400、New Brunswick、NJ USA)内で、60rpmの回転で24時間37℃でインキュベートした。インキュベーション後、メッシュ試料を洗浄して、付着していない細胞を除去した。コロニー化したバクテリアを除去し、音波処理によって均質化し、寒天注入プレート方法によって、TSA寒天含有Tween 80(2.5mL/L)及びレシチン(0.35g/L)を使用して数えた。希釈液及び中和剤を含有するめっき媒質を使用して、コーティング中の抗菌剤から持ち越されるあらゆる作用を排除した。平板を37℃で24時間インキュベートした。付着した生菌の数は、プレートカウントによって測定し、CFU/メッシュとして報告した。バクテリア付着のlog減少は、対照メッシュからのlog CFU−処理されたメッシュからのlog CFUとして定義された。長期有効性については、メッシュ試料を37℃の滅菌生理食塩水に指定時間だけ浸漬した後、付着アッセイに供した。
【0035】
2.阻害領域アッセイ
阻害領域アッセイは、高速かつ効き目のある有効性をもたらす抗菌剤成分の長期有効性を測定する。このアッセイにおいて、摂取バクテリア(challenge bacteria)を約5logCFU/プレートで、TSAプレート(トリプシン大豆寒天)の表面上にスプレー接種した。滅菌ツールを使用して、接種したプレートの表面に試験物品を設置した。プレートを37℃で24〜48時間インキュベートした。試験物品周囲の透明な、増殖のない領域を阻害領域として同定し、試験物品の縁部から阻害領域の縁部までの平均距離mmとして定義した。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
抗菌コーティングが、複数のポリプロピレン織繊維から構成されるヘルニア修復メッシュに塗布され、Prolene Soft Mesh(商標)(PSM)という名称で、Ethicon Inc.(Somerville,NJ,USA)により市販された。PSMを含むポリプロピレン繊維の表面はまず、スパッタコーティングと呼ばれる物理蒸着プロセスを介して、金属形態の銀でコーティングした。蒸着プロセスの期間を変えて、メッシュ繊維上に約6nm〜約60nmの様々な厚さを有する金属銀コーティングを生成した。ポリプロピレン繊維10上の銀コーティング20の断面概略図を図1aに示す。コーティングの厚さを測定するために、取り外し可能なテープで一部が被覆されたガラススライドを、メッシュ試料の側面に沿ってスパッタコーティングした。スパッタリングプロセスの完了時に、テープをガラススライドから除去し、表面計を使用してスライド上の銀のステップ厚を測定した。このアプローチは、約60nm以上の銀フィルム厚を推定するために特に有効であった。次に、これらの試行からフィルム厚とスパッタコーティング期間とを相互に関連付けて、60nm未満のフィルム厚を推定した。銀コーティングを他の抗菌剤と混合する前の、それら単独での有効性を理解するために、上記の手順に従って、バクテリア付着のlog減少及び阻害領域についてメッシュを試験した。黄色ブドウ球菌に曝露されたメッシュ試料について、推定フィルム厚に応じて、結果を図2に示す。約6nmにすぎない銀フィルム厚において、約3logのバクテリア付着の減少が達成された一方、約60nmのフィルム厚では、4logのバクテリア付着の減少が達成された。
【0037】
(実施例2)
実施例1に記載されるように生成した銀コーティングされたProlene Soft Mesh試料に第2の抗菌剤を塗布した。トリクロサンを、65%ラクチド及び35%グリコリド、PLA/PGA 65/35から構成されるポリラクチド−グリコリドコポリマーと結合させた。処理及びミクロ構造制御を容易にするために、約2.0重量%のトリクロサンを、酢酸エチル溶媒中で約4.5重量%のPLA/PGAコポリマーと結合させた。次に、この溶液を、Asymtek(A Nordson Company,Amhesrt,Ohio,USA)によって製造された自動精密スプレー装置を使用して、メッシュ上にスプレーコーティングした。スプレーコーティングの塗布前後に、メッシュ試料を測量して、フィルム中のトリクロサン濃度を決定した。本研究において生成された試料のトリクロサン濃度は、約700〜約900ppmに維持した。精密スプレー塗布機の処理パラメーター及びトリクロサン−コポリマー溶液の配合比を変えることによって、トリクロサン−コポリマーコーティングのミクロ構造を調整した。生成されたミクロ構造は、1)図1bに概略的に表され、スプレープロセスにおいて生成された液滴30を含有する不連続トリクロサンがポリプロピレン繊維基材上で固化した「不連続トリクロサン」、2)図1cに概略的に表され、スプレープロセスにおいて生成された液滴30を含有する不連続トリクロサンが金属銀の第1のコート20上で固化した「銀+不連続トリクロサン」、及び3)コーティング40を含有する連続トリクロサンが金属銀アンダーコートに塗布された「銀+連続トリクロサン」を特徴とした。「銀コーティングされた不連続トリクロサン」試料の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。トリクロサンコポリマー混合物は、銀コーティングされたポリプロピレン繊維の表面上で固化した液滴として明らかである。
【0038】
前述の方法に従って、バクテリア付着のlog減少及び阻害領域について、上記のメッシュ試料を試験した。この試料セットにおいて、銀フィルム厚は、厚さ約6nmとして推定された。この研究の結果を図4に示す。コポリマーを単独で含有する不連続ミクロ構造トリクロサンでコーティングされた試料は、1.1logのバクテリア付着の減少を示した。予想外にも、金属銀の第1のコート及び連続トリクロサン含有ポリマーの第2のコートを有する試料は、2つの抗菌剤を有するにもかかわらず、同様に1のバクテリア付着のlog減少を果たした。しかしながら、バクテリア付着における相当な減少が、「銀+不連続トリクロサン」試料の2.3のバクテリア付着のlog減少で示された。
【0039】
バクテリア50が付着したコーティングされた繊維表面11の概略図を図5a及びbに示す。図5aにおいて、バクテリア50は、連続トリクロサン含有コポリマーコーティング層40に直接付着しようとする。この例において、第1の銀アンダーコート又はベースコート20の表面21は、連続抗菌剤(例えば、トリクロサン)含有トップコート40によってマスクされるため、銀(又はコーティング20中の他の抗菌剤)は、コポリマートップコート40が分解及び吸収し始めるまで、バクテリア付着を阻害することができない。図5bにおいて、トリクロサン含有コポリマーコーティング30は、個々のバクテリア50の寸法と同等のスケールで不連続である(すなわち、不連続ミクロ構造を有する)。そのようなものとして、バクテリア50は、ベースコート並びに抗菌剤(例えば、銀)及びトリクロサン含有コポリマーの双方に同時に曝露され得る。これは、幾つかの理由で重要である。第1に、この例において、銀又は第1の抗菌剤は、潜在的に短範囲であるが、トリクロサン活性物質(すなわち、トップ不連続コート内の抗菌剤)よりも、バクテリア付着の減少において効果的であり得る。実際に、図4に提示されるバクテリア付着アッセイにおいて、「銀+不連続トリクロサン」試料が、「銀+連続トリクロサン」試料よりも良好に機能したという事実は、この前提を支持する。第2に、トリクロサン相は一時的であり、コポリマーコーティング自体が吸収する前に、コポリマーコーティングの外に迅速に拡散し得る。この例において、銀は、抗菌剤を欠いているコポリマーによってマスクされ得、バクテリア増殖が発生し得る。最後に、2つの異なる抗菌剤の組み合わせにより実現され得る相乗効果は、このミクロ構造が銀及びトリクロサンの両方を同時放出できるため、トップ抗菌コーティングが不連続である後者の場合に発生する可能性が高い。
【0040】
インプラント表面のバクテリア付着の減少は重要であり、確かに本発明の一目的であるが、インプラントの表面から離れて攻撃的な即効性かつ長範囲抗菌作用も同様に、感染を防ぐために重要であることも提案されることに留意することが重要である。黄色ブドウ球菌に対する付着のlog減少アッセイによる阻害アッセイの領域及び長期有効性を使用して、トリクロサンコーティング、銀コーティング、及び「銀+トリクロサン」コーティングされたメッシュ試料の持続性かつ長範囲有効性を比較した。図8は、短範囲の銀コーティングされたメッシュとの比較における、銀+不連続トリクロサンによる長範囲の有効性を示す。図6は、トリクロサン単独でコーティングされたメッシュとの比較における、銀+不連続トリクロサンの長期有効性を示す。トリクロサン−コポリマー不連続コーティングは、図8に示されるように、銀単独でコーティングされた試料全体で、実質的に改善された阻害領域を提供する。更に、図6に示されるように、トリクロサン単独でコーティングされた、類似する不連続ミクロ構造を有するメッシュ全体で、長期有効性を呈した。
【0041】
攻撃的な即効性かつ長範囲抗菌作用を提供する目的を達成するために、デバイス表面のバクテリア付着に対する長期阻害と合せて、不連続形態の金属銀及びトリクロサンが必須であった。実際に、これは、図4及び6にそれぞれ示されるように、バクテリア付着の実質的な減少を効果的な阻害領域と共に提供した唯一の試料の組み合わせであった。しかしながら、非吸収性インプラントの第1の原体抗菌コーティングとしての銀の代わりに、これらに限定されないが金属金及び銅を含む他の長期抗菌剤が使用されてもよい。同様に、トリクロサンの代わりに、阻害領域を生成する他の不連続の即効性長範囲の抗菌剤が使用されてもよく、それにはクロロヘキサジエン、酢酸ラウリル、オクチネジン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に、デバイス表面のバクテリア付着に対する阻害と併せて、即効性、長範囲の抗菌作用を達成するという概念は、吸収の遅い又は更には非吸収性ポリマーと混合される単一の抗菌剤を用いて得られ、ベースフィルムとしてインプラントに塗布されてもよいことに留意されたい。高速吸収ポリマーと混合される抗菌剤、又は追加のポリマーなしに単独で抗菌剤を含有する後続のトップフィルムが、ベースコート全体に塗布されてもよい。好ましくは、これらのコーティングは、図1c及び1dの概略図に従って塗布され得るが、最も好ましくは、上記と同一の理由から図1cに従って塗布され得る。
【0042】
非吸収性及び吸収性コンポーネントから構成されるインプラント、特に例えば、非吸収性コンポーネントの少なくとも片側に結合された生体吸収性フィルム又は織物を有する組織分離ヘルニアメッシュの場合、非吸収性コンポーネントの表面におけるバクテリア付着に対する持続性阻害と合せた、攻撃的な即効性かつ長範囲の抗菌作用が、即効性の吸収性抗菌を吸収性フィルム自体に組み込むことによって達成され得る。この作成物は、ヘルニア修復手技で使用される組織分離メッシュ生成物の場合と同様に、吸収性フィルムが非吸収性コンポーネントの少なくとも一部を包囲するか、又は包含するインプラントに特に重要であり得る。
【0043】
(実施例3)
患者は、従来の方法で開腹切除外科的手技に対して準備される。本発明の二層抗菌コーティングでコーティングされた外科用メッシュを、切開ヘルニア修復のインプラントとして利用する。外科的手技は、以下のように行う。患者は、開腹手術により除去されなければならない大腸の欠陥を示す。準備後、腹腔を通る切開により前方から大腸にアクセスし、そこで大腸の一片が切除され、大腸吻合が行われる。切開ヘルニアの閉合は、筋膜、表皮下、及び皮膚閉合の一般技法と同様、腹腔内に配置され、切開による欠損の無張力修復を形成するための固定縫合糸(stay suture)で固定された、癒着低減ヘルニアメッシュを使用することによって行われる。
【0044】
修復手技が良好に完了した後、以下の間隔及び以下の方法で、患者を感染について監視する。腸切除の固有の性質に起因して、手術が行われた領域は、腸排出物で汚染されている可能性があった。更に、あらゆる手技において、汚染の可能性が存在することが知られている。患者は、予防的抗生物質を全身投与された後、4日間、回復室に移される。患者のバイタルサインを連続的に監視し、修復部位は、発赤、炎症、及び他の感染の兆候について定期的に監視する。患者は、術後4日で感染の兆候を示さないことが認められる。
【0045】
新規の抗菌コーティングを有する本発明の医療デバイスは、多くの利点を有する。利点は、インプラントのバクテリアコロニー形成を阻害するデバイス能力が挙げられる。短期間の間殺菌性である領域をインプラントの周囲に形成するデバイス能力。数時間又は数日よりも長い期間の間、バクテリアコロニー形成を阻害する、インプラントの能力。インプラントのコロニー化を阻害すると同時に、ある程度の期間殺菌性である領域をインプラントの周囲に形成する、インプラントの能力。これらの利点はすべて、デバイスの意図される用途、又はその特異的若しくは固有の機能を低下させることなく達成される。
【0046】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点は理解されるであろう。
【0047】
〔実施の態様〕
(1) 表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、医療デバイス。
(2) 前記第2のコーティングの前記ミクロ構造が、バクテリアのミクロ構造に実質的に相当する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(3) 前記第2のポリマー不連続コーティングが、バクテリア又は他の微生物が前記バクテリア又は微生物の長さの少なくとも一部に渡って前記第1の抗菌コーティングと直接接触することを妨げない、ミクロ構造を含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
(4) 前記第2の不連続ポリマーコーティングの平均表面積が、約400μm^2未満である、実施態様3に記載の医療デバイス。
(5) 前記第1の抗菌コーティング層が、埋め込み後約14日を超える持続時間の間に、バクテリア付着に対して長期阻害を提供する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(6) 前記第2の不連続ポリマーコーティング層における前記抗菌剤が、そのポリマーコーティングからインビボで速やかに放出されて、バクテリアに対する即効性かつ長範囲の抗菌効果又は阻害領域を提供する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(7) 前記第2の不連続コーティングが、生体吸収性ポリマーを含む、実施態様1に記載のデバイス。
(8) 前記デバイスが、フィラメント及び繊維を有するメッシュを含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
(9) 前記第1の抗菌コーティング層が、前記フィラメント及び繊維の実質的に連続する被覆を提供する、実施態様8に記載の医療デバイス。
(10) 前記第2の不連続抗菌コーティングが、分離した液滴を含む、実施態様1に記載の医療デバイス。
【0048】
(11) 前記第1のコーティング層の前記表面上の前記固化液滴の表面被覆率が、約1%〜70%の範囲である、実施態様10に記載の医療デバイス。
(12) 前記第1の抗菌コーティング層が、抗菌金属を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(13) 前記抗菌金属が、銀又は銀合金を含む、実施態様12に記載のデバイス。
(14) 前記第1及び第2の抗菌剤の両方が同一であり、前記第2の不連続層からの前記抗菌剤の放出速度が、前記第1の抗菌コーティング層からの前記抗菌剤の放出よりも速い、実施態様1に記載のデバイス。
(15) 生体吸収性及び非吸収性コンポーネントから構成される複合埋め込み型デバイスであって、第1の即効性高速吸収抗菌剤が、前記吸収性及び非吸収性コンポーネントの前記表面内又は前記表面上に組み込まれ、第2の持続性抗菌剤が、前記複合医療デバイスの前記非吸収性コンポーネントの前記表面上に存在する、デバイス。
(16) 前記複合埋め込み型デバイスが、ヘルニア修復手技において、外科的癒着を阻害するように設計された組織分離メッシュである、実施態様15に記載のデバイス。
(17) 前記高速吸収抗菌剤が、それが内部又は上に組み込まれる前記生体吸収性ポリマーに等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収する、実施態様15に記載のデバイス。
(18) 前記不連続ポリマーコーティングが、PLA/PGA及びPCL/PGAコポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーを含む、実施態様7に記載のデバイス。
(19) 前記第2の抗菌剤が、トリクロサン、クロロヘキサジン(chlorohexadine)、LAE、AgI、及びオクテニジンからなる群から選択される、実施態様1に記載のデバイス。
(20) 前記不連続コーティングが、複数の孔を有するコーティングを含み、その結果、そのような孔が下層の第1のコーティングの領域を露出する、実施態様1に記載のデバイス。
【0049】
(21) 前記不連続な第2の層が、実質的に幾何学的な形状を有する別個の部分を有するミクロ構造を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(22) 前記実質的な部分が、半球、ディスク、立方体、円柱、繊維、角錐、不規則な三次元形状等、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される実質的に幾何学的な形状を有する、実施態様1に記載のデバイス。
(23) 前記第2の不連続コーティングが、噴霧、印刷、及び浸漬からなる群から選択されるコーティングプロセスによって塗布される、実施態様1に記載のコーティング。
(24) 前記第1のコーティングが、第1の厚さを有し、前記第2のコーティングが、第2の厚さを有する、実施態様1に記載の医療デバイス。
(25) 外科的修復手技を行う方法であって、
A.医療デバイスを提供することであって、前記医療デバイスが、
表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、ことと、
B.体腔内の組織欠陥に前記医療デバイスを固定して、前記組織欠陥を効果的に修復することと、
を含む、方法。
(26) 抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法であって、
表面を有する非吸収性構造を含む、医療デバイスを提供することと、
前記表面の少なくとも一部上に第1の抗菌コーティングを塗布することであって、前記第1の抗菌コーティングが、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、ことと、
第2の抗菌剤を含む第2のポリマーコーティングを塗布することであって、前記第2のコーティングが不連続ミクロ構造を有するように、前記第2のコーティング層が前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布される、ことと、
を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、医療デバイス。
【請求項2】
前記第2のコーティングの前記ミクロ構造が、バクテリアのミクロ構造に実質的に相当する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2のポリマー不連続コーティングが、バクテリア又は他の微生物が前記バクテリア又は微生物の長さの少なくとも一部に渡って前記第1の抗菌コーティングと直接接触することを妨げない、ミクロ構造を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第2の不連続ポリマーコーティングの平均表面積が、約400μm^2未満である、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1の抗菌コーティング層が、埋め込み後約14日を超える持続時間の間に、バクテリア付着に対して長期阻害を提供する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第2の不連続ポリマーコーティング層における前記抗菌剤が、そのポリマーコーティングからインビボで速やかに放出されて、バクテリアに対する即効性かつ長範囲の抗菌効果又は阻害領域を提供する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第2の不連続コーティングが、生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、フィラメント及び繊維を有するメッシュを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記第1の抗菌コーティング層が、前記フィラメント及び繊維の実質的に連続する被覆を提供する、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第2の不連続抗菌コーティングが、分離した液滴を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記第1のコーティング層の前記表面上の前記固化液滴の表面被覆率が、約1%〜70%の範囲である、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1の抗菌コーティング層が、抗菌金属を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記抗菌金属が、銀又は銀合金を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1及び第2の抗菌剤の両方が同一であり、前記第2の不連続層からの前記抗菌剤の放出速度が、前記第1の抗菌コーティング層からの前記抗菌剤の放出よりも速い、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
生体吸収性及び非吸収性コンポーネントから構成される複合埋め込み型デバイスであって、第1の即効性高速吸収抗菌剤が、前記吸収性及び非吸収性コンポーネントの前記表面内又は前記表面上に組み込まれ、第2の持続性抗菌剤が、前記複合医療デバイスの前記非吸収性コンポーネントの前記表面上に存在する、デバイス。
【請求項16】
前記複合埋め込み型デバイスが、ヘルニア修復手技において、外科的癒着を阻害するように設計された組織分離メッシュである、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記高速吸収抗菌剤が、それが内部又は上に組み込まれる前記生体吸収性ポリマーに等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記不連続ポリマーコーティングが、PLA/PGA及びPCL/PGAコポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第2の抗菌剤が、トリクロサン、クロロヘキサジン、LAE、AgI、及びオクテニジンからなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記不連続コーティングが、複数の孔を有するコーティングを含み、その結果、そのような孔が下層の第1のコーティングの領域を露出する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記不連続な第2の層が、実質的に幾何学的な形状を有する別個の部分を有するミクロ構造を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記実質的な部分が、半球、ディスク、立方体、円柱、繊維、角錐、不規則な三次元形状等、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される実質的に幾何学的な形状を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第2の不連続コーティングが、噴霧、印刷、及び浸漬からなる群から選択されるコーティングプロセスによって塗布される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項24】
前記第1のコーティングが、第1の厚さを有し、前記第2のコーティングが、第2の厚さを有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項25】
抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法であって、
表面を有する非吸収性構造を含む、医療デバイスを提供することと、
前記表面の少なくとも一部上に第1の抗菌コーティングを塗布することであって、前記第1の抗菌コーティングが、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、ことと、
第2の抗菌剤を含む第2のポリマーコーティングを塗布することであって、前記第2のコーティングが不連続ミクロ構造を有するように、前記第2のコーティング層が前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布される、ことと、
を含む、方法。
【請求項1】
表面を有する非吸収性構造と、
前記表面の少なくとも一部上の第1の抗菌コーティングであって、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、第1の抗菌コーティングと、
第2の抗菌剤を含む第2の不連続ポリマーコーティングであって、前記第2のコーティング層が、前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布され、前記第2の不連続コーティングが、ミクロ構造を有する、第2の不連続ポリマーコーティングと、
を含む、医療デバイス。
【請求項2】
前記第2のコーティングの前記ミクロ構造が、バクテリアのミクロ構造に実質的に相当する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2のポリマー不連続コーティングが、バクテリア又は他の微生物が前記バクテリア又は微生物の長さの少なくとも一部に渡って前記第1の抗菌コーティングと直接接触することを妨げない、ミクロ構造を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第2の不連続ポリマーコーティングの平均表面積が、約400μm^2未満である、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1の抗菌コーティング層が、埋め込み後約14日を超える持続時間の間に、バクテリア付着に対して長期阻害を提供する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第2の不連続ポリマーコーティング層における前記抗菌剤が、そのポリマーコーティングからインビボで速やかに放出されて、バクテリアに対する即効性かつ長範囲の抗菌効果又は阻害領域を提供する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第2の不連続コーティングが、生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、フィラメント及び繊維を有するメッシュを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記第1の抗菌コーティング層が、前記フィラメント及び繊維の実質的に連続する被覆を提供する、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第2の不連続抗菌コーティングが、分離した液滴を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記第1のコーティング層の前記表面上の前記固化液滴の表面被覆率が、約1%〜70%の範囲である、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1の抗菌コーティング層が、抗菌金属を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記抗菌金属が、銀又は銀合金を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1及び第2の抗菌剤の両方が同一であり、前記第2の不連続層からの前記抗菌剤の放出速度が、前記第1の抗菌コーティング層からの前記抗菌剤の放出よりも速い、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
生体吸収性及び非吸収性コンポーネントから構成される複合埋め込み型デバイスであって、第1の即効性高速吸収抗菌剤が、前記吸収性及び非吸収性コンポーネントの前記表面内又は前記表面上に組み込まれ、第2の持続性抗菌剤が、前記複合医療デバイスの前記非吸収性コンポーネントの前記表面上に存在する、デバイス。
【請求項16】
前記複合埋め込み型デバイスが、ヘルニア修復手技において、外科的癒着を阻害するように設計された組織分離メッシュである、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記高速吸収抗菌剤が、それが内部又は上に組み込まれる前記生体吸収性ポリマーに等しいか、又はそれよりも速い速度で吸収する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記不連続ポリマーコーティングが、PLA/PGA及びPCL/PGAコポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第2の抗菌剤が、トリクロサン、クロロヘキサジン、LAE、AgI、及びオクテニジンからなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記不連続コーティングが、複数の孔を有するコーティングを含み、その結果、そのような孔が下層の第1のコーティングの領域を露出する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記不連続な第2の層が、実質的に幾何学的な形状を有する別個の部分を有するミクロ構造を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記実質的な部分が、半球、ディスク、立方体、円柱、繊維、角錐、不規則な三次元形状等、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される実質的に幾何学的な形状を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第2の不連続コーティングが、噴霧、印刷、及び浸漬からなる群から選択されるコーティングプロセスによって塗布される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項24】
前記第1のコーティングが、第1の厚さを有し、前記第2のコーティングが、第2の厚さを有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項25】
抗菌コーティングを有する医療デバイスを製造する方法であって、
表面を有する非吸収性構造を含む、医療デバイスを提供することと、
前記表面の少なくとも一部上に第1の抗菌コーティングを塗布することであって、前記第1の抗菌コーティングが、コーティング表面を有し、第1の抗菌剤を含む、ことと、
第2の抗菌剤を含む第2のポリマーコーティングを塗布することであって、前記第2のコーティングが不連続ミクロ構造を有するように、前記第2のコーティング層が前記第1の抗菌コーティングの前記コーティング表面の少なくとも一部上に塗布される、ことと、
を含む、方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−509249(P2013−509249A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536935(P2012−536935)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054018
【国際公開番号】WO2011/056530
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054018
【国際公開番号】WO2011/056530
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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