説明

医療廃棄物処理装置の処理物排出機構

【課題】医療機関から発生する医療廃棄物を、加熱・圧縮手段により滅菌・減容化しようとすると、圧力によって加熱手段である発熱体に該廃棄物が付着してしまい、排出困難となることしばしばなので解決手段を講じなければならない。
【解決手段】処理シリンダー(4)と、前記処理シリンダー(4)内部を上下動する手段を備えた電熱ヒーター(14)付ピストン(13)と、前記処理シリンダー(4)下端開口部を開閉する手段を備えた電熱ヒーター(17)付ゲート(16)で構成する医療廃棄物処理装置において、医療廃棄物を加熱・圧縮により滅菌・減容化した後、前記ゲート(16)を全開して前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面まで下降させて前記ゲート(16)を全閉し、前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)に付着している処理物を機械的に掻き落とすことによって解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関で発生する医療廃棄物を院内完全処理するための医療廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許公開2005−046879号公報
【特許文献2】特許公開2004−065838号公報
【特許文献3】特許公開2004−298585号公報
【特許文献4】特許公開2004−181022号公報
【特許文献5】特許公開2004−016552号公報
【特許文献6】特許公開2003−310743号公報
【特許文献7】特許公開2003−250865号公報
【特許文献8】特許公開2003−093909号公報
【特許文献9】特許公開2003−073498号公報
【特許文献10】特許公開2002−291813号公報
【特許文献11】特許公開2002−102833号公報
【特許文献12】特許公開2002−102819号公報
【特許文献13】特許公開2002−059144号公報
【特許文献14】特許公開2001−314847号公報
【特許文献15】特許公開2001−252345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医療機関から発生する医療廃棄物を、加熱・圧縮手段により滅菌・減容化しようとすると、圧力によって加熱手段である発熱体に該廃棄物が付着してしまい、排出困難となることしばしばなので解決手段を講じなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するため請求項1の発明においては、処理シリンダー(4)と、前記処理シリンダー(4)内部を上下動する手段を備えた電熱ヒーター(14)付ピストン(13)と、前記処理シリンダー(4)下端開口部を開閉する手段を備えた電熱ヒーター(17)付ゲート(16)で構成する医療廃棄物処理装置において、医療廃棄物を加熱・圧縮により滅菌・減容化した後、前記ゲート(16)を全開して前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面まで下降させて前記ゲート(16)を全閉し、前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)に付着している処理物を機械的に掻き落とす医療廃棄物処理装置の処理物排出機構であることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明においては、医療廃棄物を加熱・圧縮により滅菌・減容化した後、ゲート(16)を全開してピストン(13)の電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の電熱ヒーター(17)上端面まで下降させて前記ゲート(16)を若干閉じてから全開し、前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面が前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面よりも下方に下降させ、次いで前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面まで上昇させ、さらに前記ゲート(16)を全閉し前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)に付着している処理物を機械的に掻き落とす請求項1記載の医療廃棄物処理装置の処理物排出機構であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上述の発明により、医療廃棄物を、加熱・圧縮手段により滅菌・減容化しても、圧力によって加熱手段である発熱体に該廃棄物が付着することはなく、従って医療廃棄物処理装置の完全自動運転が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明を実施するための最良の形態について説明する。
[図1]に、本発明を適用した医療廃棄物処理装置・処理物排出機構の立面図を、
[図2]に、本発明を適用した医療廃棄物処理装置・処理物排出機構の側面図をそれぞれ示す。
【実施例】
【0008】
医療廃棄物処理装置の基本的動作について説明する。
医療廃棄物は、処理シリンダー(4)のハッチ(5)を開けて投入し前記ハッチ(5)を閉じてからピストン加圧機構(2)の油圧シリンダー(7)のシリンダーロッド(11)に取付金具(12)を介して緊結してある電熱ヒーター(14)付きピストン(13)が前記油圧シリンダー(7)の推力で下降し、前記処理シリンダー(4)下端開口部に設けてある電熱ヒーター(17)付きゲート(16)で該医療廃棄物を挟み込み、加熱・圧縮して滅菌・減容化する。
【0009】
この医療廃棄物を加熱・圧縮する工程では、ピストン(13)下部に緊結した電熱ヒーター(14)とゲート(16)上部に緊結した電熱ヒーター(17)が医療廃棄物の大半を占める医療用プラスチックスの融点付近まで加熱するので、該医療廃棄物の一部が溶融し上下の前記電熱ヒーター(14)(17)に溶融物が付着してしまう。
【0010】
先ず、請求項1の発明の実施例について説明する。
加熱・圧縮工程が終了すると処理物の排出工程に移るが、排出工程ではゲート(16)が全開しピストン(13)に緊結した電熱ヒーター(14)下端面が前記ゲート(16)に緊結した電熱ヒーター(17)上端面まで下降し一旦停止し、前記ゲート(16)が全閉するようになっている。このようにゲート(16)を全開する動作で前記ゲート(16)に緊結してある前記電熱ヒーター(17)上端面に付着している医療廃棄物の溶融物は引き剥がされる。
【0011】
ついで前記ピストン(13)に緊結してある前記電熱ヒーター(14)が前記ゲート(16)に緊結してある前記電熱ヒーター(17)上端面まで下降したところで、前記ゲート(16)が全閉するので前記ピストン(13)に緊結してある前記電熱ヒーター(14)の下端面に付着している溶融物も否応なく引き剥がされてしまうので、処理物をスムーズに排出することができる。
【0012】
次に、請求項2の発明の実施例について説明する。
請求項2の処理物の排出工程では、加熱・圧縮工程が終了すると請求項1の発明の実施例と同様に処理物の排出工程に移るが、排出工程ではゲート(16)が全開しピストン(13)に緊結した電熱ヒーター(14)下端面が前記ゲート(16)に緊結した電熱ヒーター(17)上端面まで下降し一旦停止し、前記ゲート(16)が若干だけ閉じた後、前記ゲート(16)は直ちに全開する。
【0013】
さらにピストン(13)に緊結してある電熱ヒーター(14)下端面が、ゲート(16)に緊結してある電熱ヒーター(17)上端面よりも下方に下降した後、前記電熱ヒーター(14)下端面が前記ゲート(16)に緊結してある電熱ヒーター(17)上端面まで上昇して停止し前記ゲート(16)が全閉する。
【0014】
このようにすると処理シリンダー(4)とピストン(13)及び電熱ヒーター(14)との間隙に付着していた処理物が、処理シリンダー(4)下端面で引き剥がされる格好になるため、執拗に付着している溶融物をいとも簡単に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明により、医療廃棄物処理装置の基本技術が完成したので、医療機関においては院内完全滅菌処理の道が開かれた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は、本発明を適用した医療廃棄物処理装置・処理物排出機構の立面図である。
【図2】は、本発明を適用した医療廃棄物処理装置・処理物排出機構の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 処理機構
2 ピストン加圧機構
3 ゲート開閉機構
4 処理シリンダー
5 ハッチ
6 蝶番
7 油圧シリンダー
8 ボルト
9 シリンダー取付金具
10 ボルト
11 シリンダーロッド
12 取付金具
13 ピストン
14 電熱ヒーター
15 架台
16 ゲート
17 電熱ヒーター
18 摺動材
19 摺動材ブラケット
20 軸受け
21 シャフト
22 ラック
23 歯車
24 ガイドローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理シリンダー(4)と、前記処理シリンダー(4)内部を上下動する手段を備えた電熱ヒーター(14)付ピストン(13)と、前記処理シリンダー(4)下端開口部を開閉する手段を備えた電熱ヒーター(17)付ゲート(16)で構成する医療廃棄物処理装置において、医療廃棄物を加熱・圧縮により滅菌・減容化した後、前記ゲート(16)を全開して前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面を、前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面まで下降させて前記ゲート(16)を全閉し、前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)に付着している処理物を機械的に掻き落とすことを特徴とする医療廃棄物処理装置の処理物排出機構。
【請求項2】
医療廃棄物を加熱・圧縮により滅菌・減容化した後、ゲート(16)を全開してピストン(13)の電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の電熱ヒーター(17)上端面まで下降させて前記ゲート(16)を若干閉じてから全開し、前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面が前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面よりも下方に下降させ、次いで前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)下端面を前記ゲート(16)の前記電熱ヒーター(17)上端面まで上昇させ、さらに前記ゲート(16)を全閉して前記ピストン(13)の前記電熱ヒーター(14)に付着している処理物を機械的に掻き落とすことを特徴とする請求項1記載の医療廃棄物処理装置の処理物排出機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−734(P2008−734A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196156(P2006−196156)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(599123083)有限会社山貴 (5)
【出願人】(592173308)株式会社アイバック (4)
【Fターム(参考)】