説明

医療技術用フレキシブルポリマーチューブおよびその製造方法

【課題】改善された医療技術用チューブおよび/または改善された医療技術用チューブの製造方法ならびに医療技術用チューブを備えた改善された内視鏡を提供すること。
【解決手段】熱可塑性プラスチック製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ、熱可塑性プラスチック製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブの製造方法ならびに熱可塑性プラスチック製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブを備えた内視鏡が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術用フレキシブルポリマーチューブ、医療技術用フレキシブルポリマーチューブの製造方法および医療技術用フレキシブルポリマーチューブが使用される内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
医療内視鏡を体管に導入するための装置は、たとえば特許文献1に記載されている。ここに記載されている装置は、内視鏡が検査される体内に押し込まれるのではなく、内視鏡自体の体内での進行を可能にする。この目的のため、内視鏡は容易で迅速な挿入を可能にする固有の駆動部を備える。
【0003】
またこのような固有の駆動部としては、たとえば、いわゆる外転管の使用も可能であり、この内部へ内視鏡軸が導入される。内視鏡の推進時には異なる相対運動が生じる。一方では、相対運動が互いにすべり接触する内視鏡軸と外転管とのあいだに生じる。また他方では、相対運動は巻き戻る外転管の内部と外部とのあいだに生じる。
【0004】
このような装置の現在の開発においては、たとえば、挿入された外転管と内視鏡軸とのあいだ、外転管と内視鏡軸のカバーとのあいだ、ならびに外転管のそれぞれの部分のあいだにおいて摩擦の低減を達成するように適合されたチューブの製造を図っている。
【0005】
しかしながら、現在使用されている外転管装置において、管の特定の長さからは摩擦により生じた抵抗がきわめて高くなるため、外転管を患者内部にさらに導入することができないという問題が生じている。さらに、外転管は力の伝達によって外転管上にしわを形成し、このためにさらなる推進ができないという問題を生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3925484号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改善された医療技術用チューブ(以下、「チューブ」とも称す)および/または改善された医療技術用チューブの製造方法ならびに医療技術用チューブを備えた改善された内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項に規定された特徴の組み合わせにより達成される。さらなる有利な発展形は従属請求項から推定可能である。
【0009】
本発明によって、患者への導入中に改善された機械的動作を示す医療技術フレキシブルポリマーチューブおよびその製造方法を提供することが特に意図されている。とりわけ、本発明によって、以前と比較してより長い距離を患者に挿入するように適合された医療技術ポリマーチューブならびにその製造方法を提供することが意図されている。
【0010】
第1の特徴によると、本発明は熱可塑性プラスチック材料製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブに関し、該ポリマーチューブは、異なるショア硬度を有する少なくとも2つの層を含む。
【0011】
別の特徴によると、前述の目的を達成するために、本発明は、熱可塑性プラスチック材料製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブを提供し、該ポリマーチューブは、1つまたは複数の層と、および機能化されたポリマーチューブの少なくとも1つの表面とを含む。
【0012】
本発明の別の特徴によると、熱可塑性プラスチック材料製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブが提供され、これは、異なるショア硬度を有する少なくとも2つの層と機能化されたポリマーチューブの少なくとも1つの表面とを含む。
【0013】
これとは別に、本発明は、このような医療技術用フレキシブルポリマーチューブの製造方法ならびに医療技術用フレキシブルポリマーチューブを備えた内視鏡を提供する。
【0014】
本発明によるチューブは、好ましくは、一種類の熱可塑性プラスチックまたは複数種類の熱可塑性プラスチックのいずれかの少なくとも2つの層からなる。チューブは、好ましくは、少なくとも2つの層のプラスチック材料の押し出しまたは共押し出しによって得られる。プラスチック材料は、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン(PUR)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)および/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である熱可塑性プラスチックから好ましくは選択される。潤滑剤または減摩剤がプラスチック材料に組み入れ可能である。
【0015】
PVC材料は、(熱および低温に対する)耐温度性のために、本技術分野において一般的なすべての滅菌方法(蒸気滅菌、エチレンオキシド滅菌、放射線滅菌、低温プラズマ(ステラド−プラズマ)滅菌)によって滅菌可能であり、容易に保管可能であるという利点を示す。さらに、PVCは、高い座屈安定性と高い機械的負荷量を有し、磨損性はほとんどない。最後に、PVCは医療分野において優れた寛容を示すため、アレルギーの人にも推奨される。ポリマー中のC−Cl結合の双極子モーメントにより、PVCは、高周波技術によって、これ自体または他の材料に安全に結合可能である。
【0016】
PUR材料はさまざまな物理化学的利点を示し、PURはすでに医療領域において幅広く使用および承認されている材料である。
【0017】
PTFEおよびFEP材料は、有利な固有のすべり特性を有し、環境的影響に対して強い抵抗性があるという利点を示す。
【0018】
さらなる発展形によると、チューブの少なくとも1つの表面は、負電荷基、正電荷基、極性基または非極性基により機能化され、表面が親水性であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の1つの実施の形態において、チューブの少なくとも1つの外側面または表面は、該表面が所望のやり方で機能化されるように処理される。特に機能化は、表面の親水性、親油性および/または表面張力が調節されるように実施可能である。親和性および/または親油性を調節することにより、適当な相互作用によって親水性または親油性潤滑剤を表面により強固に結合し、よってさらに摩擦を低減することが可能になる。特に好ましい実施の形態において、親水性を増加させるよう調節(「親水化(hydrophiling)」)した後に、水またはたとえば生理食塩水などの水溶液、あるいはポリエチレングリコール(PEG)、セルロースまたは藻類ベースの潤滑剤などの潤滑剤の水溶液または水性分散液を潤滑剤として使用可能である。
【0020】
好ましくは、機能化は、国際公開第00/26180号パンフレット、同第2006/075183号パンフレットおよび同第2008/023170号パンフレットに記載されている方法によって実施され、基板表面がカルベン前駆体と接触させられて該カルベン前駆体から反応性カルベン中間体が生成され、これが表面を機能化するために基板と反応するため、活性基板は所望の物理的特性または化学的特性を有する化学基を導入することにより機能化される。好ましくは、反応性カルベン中間体は、基板(すなわちチューブ表面)と不可逆結合となる条件下においてカルベン前駆体から生成される。この「キュアリング(curing)」は、たとえば加熱、光放射および/または超音波によってもたらされる。
【0021】
好ましくは、表面の修飾による水媒体を使用しての表面の親水性の増加および/またはそのより良好なぬれ性は、荷電基(たとえば酸性基)の導入または極性基(たとえばアルコール、アミン)の導入によって成し遂げることが可能である。この方法において、表面のすべり特性をさらに改善することができる。同様に、すなわち適当な親油基を導入することにより、親油性および親油性潤滑剤の結合を増加させることができる。
【0022】
好ましい実施の形態において、本発明によるチューブは、外転管または内視鏡軸または内視鏡軸カバーである。
【0023】
本発明によるチューブは単一層のチューブでもよく、これは前述のショア硬度の調節、前述の少なくとも1つの表面の適当な機能化、および/または前述の少なくとも1つの表面の被覆により改善された特性を示す。前述の熱可塑性プラスチック材料のいずれかにより作製された単一層のチューブの場合において、ショア硬度は好ましくは50〜65の範囲内であり、チューブの壁厚は好ましくは1.6mm未満である。
【0024】
別の発展形によると、ポリマーチューブの層は異なる厚さを有する。別の発展形によると、少なくとも1つの層のショア硬度は、これより厚い層のショア硬度よりも高い。好ましくは、少なくとも1つの層のショア硬度は50〜65の範囲内であり、好ましくは55〜60の範囲内であり、少なくとも1つの層のショア硬度は70〜96の範囲内である。
【0025】
別の発展形によると、外転後、外転管のより薄いおよび/またはより硬質の層はチューブの内側表面を形成し、より厚いおよび/またはより軟質の層はチューブの外側表面を形成し、後者の層は患者と直接的に接触する。
【0026】
このチューブの構造により、チューブの所望の機械的強度を得ることができる。
【0027】
特に、前述の順序による厚く軟質の層との組み合わせによる薄く硬質な層の使用は、硬質の薄層がチューブの推進を支援する一方で腸壁を被覆する軟層が小さな曲げ半径に寄与し、よって患者の内部、たとえば腸壁において機械的刺激が回避または減少されるため、外転管での使用において特に好ましい。
【0028】
別のさらなる発展形において、チューブの少なくとも1つの表面に被覆が適用され、これは、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)またはペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)から選択される。この/これらの被覆のより良い付着のために、必要に応じて表面と被覆とのあいだに接着層を設け得る。
【0029】
PA、PEおよび/またはFEPなどの優れたすべり特性を有する物質の被覆の適用により、不要な摩擦をさらに低減する。
【0030】
別の発展形によると潤滑剤がチューブ材料に混合され、該潤滑剤は、好ましくは、グリセロール、シリコーンおよび/またはパラフィン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)および潤滑特性を有する他の生体適合性物質から選択される。好ましくは、製造中に、潤滑剤はチューブ材料に混合され、すなわち押し出し前に溶融高分子塊に混合される(「混合(compounding)」と称されるとおり)。このように潤滑剤を導入することによって、特に有利な潤滑効果、すなわち摩擦の低減がもたらされるが、この材料への導入は潤滑剤を適用する追加的工程の重複となる。
【0031】
別の発展形によると、チューブは、好ましくは10.4〜12mmの内径および0.5〜1.6mmの壁厚を有する。
【0032】
別の発展形によると、好ましくは、少なくとも1つの層は0.5〜1.3mmの厚さを有しおよび/または層は0.02〜0.3mmの厚さを有する。
【0033】
別の発展形によると、ポリマーチューブは外転管である。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態によると、医療技術用フレキシブルポリマーチューブは、少なくとも2つの層を備える。
【0035】
以下、「内層」という用語は、周囲に対して接触しないチューブの層を意味し、すなわち内層のそれぞれの側にて少なくとも1つの層がさらに設けられる。「外層」という用語は、周囲に対して直接接触する層であり、チューブの外側表面には「外側の外層」が設けられ、チューブの内側表面には「内側の外層」が設けられ、管壁によって包囲される。
【0036】
複数層の医療技術ポリマーチューブの層は、好ましくは異なる厚さを有し、チューブのより薄い層のショア硬度がより厚い層のショア硬度よりも高いことが特に好ましい。
【0037】
層の順序および数は、各々の場合の使用目的に応じて選択される。
【0038】
外転管の場合、チューブの外転前には、より薄い層、またはより高い硬度を有する層がチューブの外側の外層を形成し得る。このことは2層構造の場合において、製造直後には、薄く、またはより硬質の層がチューブの外層(チューブの外側表面)を形成し、チューブの外転後、薄く硬質の層は内側に設けられ、より厚く軟質の層が患者の腸面に接触する。しかしながら、逆構造も可能である。
【0039】
2層以上を有するチューブの場合、チューブの2つの外層は、チューブの他層と比較してより薄い層、またはチューブの他層と比較してより高い硬度を有する層により形成可能である。チューブの他層と比較してより厚い層、またはより低い硬度の層は、チューブの外層または内層を形成し得る。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態において、種々の層のショア硬度は、いわゆる軟化剤を添加することによって調節可能である。しかしながら、また、熱可塑性プラスチックまたはプラスチック材料の製造条件の適当な選択により使用される熱可塑性材料に応じて、軟化剤を使用せずにチューブの層のショア硬度を調節することも可能である。
【0041】
好ましくは、使用される軟化剤は毒性的に無害であり、チューブ材料からの溶出がきわめて少ない程度であって、チューブ材料からの移動あるいはチューブの異なる層間での移動が事実上ないため、チューブはかなりの長期間(>1年)保管することができ、患者内に入る軟化剤の量は極めて少量のみである。患者内部において内視鏡チューブの滞留時間は短いため、患者への軟化剤の移動は事実上生じない。
【0042】
異なるチューブ層での異なる濃度の軟化剤は、適当な異なる軟化剤を使用することにより補償可能であり、分散による大幅な補償は生じない。異なるショア硬度を有する壁層における軟化剤濃度の補償を回避するために、必要であればチューブの異なる層間に分離層を設けることができる。
【0043】
特に好ましいのが、フタル酸ジオクチル(DOP)などのすでに一般的である軟化剤の代替物を含むフタル酸を含有しない軟化剤である。このような軟化剤を含む材料は、「非DOP」材料とも称される。この種の軟化剤は、たとえばテレフタル酸ジエチルヘキシル(DEHTP)、スルホン酸アルキルエステル(ASE)、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、ジ−(2−エチルヘキシル)アジピン酸塩(DEHA;同義語:DOA)および酢酸ヒマシ油誘導体のみならず、独国特許第DE−T−60023 531号明細書、独国特許出願公開第101 41 250号明細書、独国特許出願公開第10 2004 029 135号明細書、独国特許出願公開第10 2004 036 202号明細書および独国特許出願公開第102 48 878号明細書に記載のものがある。特に好ましい軟化剤は、ジ−(イソノニル)−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TEHTM)またはトリ−2−エチルヘキシルトリメリト酸エステル(TOTM)である。しかしながら、これらの軟化剤の1つ以上の組み合わせも使用可能である。
【0044】
使用される軟化剤の量は所望のショア硬度により決定され、軟化剤の割合が高くなると材料のショア硬度が低下する。特に好ましくは、軟化剤は、使用される熱可塑性プラスチック材料の全重量の50重量%の濃度まで含有し得る。
【0045】
使用される柔軟剤およびその濃度についてのさらなる詳細、プラスチック材料のショア硬度の調節方法ならびに適当な添加剤は、たとえば、“Taschenbuch der Kunststoff Additive(プラスチック添加剤の文庫版)”;R. GaechterおよびH. Mueller(発行者)第3版;Munich,Vienna,Hanser,1989年および“Kunststoff Taschenbuch(プラスチック文庫版)”、第16版、Carl Hanser Verlag Munichから得られる。
【0046】
さらに、酸化防止剤、充填剤、紫外線吸着剤、安定剤、キレート剤および顔料から選択される添加剤を必要に応じて熱可塑性プラスチック材料に添加できる。
【0047】
別の発展形によると、チューブの少なくとも1つの面に潤滑剤が供される。好ましくは、潤滑剤は、水または水性潤滑剤、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロースまたは藻類ベースの潤滑剤、グリセロール、パラフィン油、長鎖脂肪アルコール、金属石鹸、脂肪酸グリセロールエステル、ポリエチレン、合成ワックス、寒天、植物油、脂肪ワックス混合物、(e)PTFEスライドラッカー、(e)PTFE粉体、黒鉛、滑石粉、種々のシリコーン被覆、シリコーン油、潤滑油中に分散された黒鉛および/またはテフロン(登録商標)粉体ならびに潤滑油中に分散された(e)PTFEおよび/またはガラス小球および潤滑特性を有する他の生体適合性物質、またはこれらの複数の組み合わせから選択される。親水性または親水化表面の場合、水および水性潤滑剤が使用可能である。PVC、グリセロールまたはパラフィン油の非機能化表面の場合およびPURの非機能化表面の場合、シリコーン油が使用可能である。
【0048】
本発明のさらにとりわけ好ましい実施の形態は、少なくとも2層を有する熱可塑性材料製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブを提供し、前述の記載のとおり層は少なくともそのショア硬度において異なり、また前述のとおりチューブの少なくとも1つの外側面または表面が機能化される。
【0049】
前述の記載の特徴、さらなる発展形および実施の形態は自由に組み合わせ可能であり、各々の手段はそれ自体改善であるが、組み合わせにより相乗効果が生じる。
【0050】
本発明の別の発展形によると、熱可塑性材料の医療技術用フレキシブルポリマーチューブの製造方法が提供され、ポリマーチューブは異なるショア硬度を有する熱可塑性プラスチックの複数層により製造され、および/またはポリマーチューブの少なくとも1つの表面は摩擦を低減する処理が施される。
【0051】
医療技術ポリマーチューブの製造方法は、このようなポリマーチューブは使い捨ての可能性があり、よってその製造は安価にすべきであるため、できる限り簡素化すべきである。さらに、該方法は、異なるチューブ材料に対しても簡単に適合されるべきである。
【0052】
さらに、該方法は、補助潤滑剤などのさらなる材料を容易に付着または提供可能であるチューブを提供することが望ましい。本発明の別の目的は、前述のとおりに改善されたすべり特性を有し、安価で、さらに種々の潤滑剤と優れて組み合わせ可能な対応するポリマーチューブを提供することである。
【0053】
別の発展形によると、本発明による方法において、1つ以上の熱可塑性材料が複数の層内に共押し出しされる。
【0054】
別の発展形によると、本発明の方法において、ポリマーチューブの少なくとも1つの層が、PVC、PUR、FEP、PA、PEまたはPTFEから作製される。
【0055】
別の発展形によると、本発明による方法において、チューブの少なくとも1つの表面が機能化され、負電荷基、正電荷基、極性基または非極性基を導入および/または適用することによりチューブの少なくとも1つの表面が機能化され、チューブの少なくとも1つの表面が親水性であることが好ましい。
【0056】
別の発展形によると、本発明による方法において、チューブの少なくとも1つの表面が、好ましくは次の工程により機能化される。
【0057】
a)チューブ表面にカルベン前駆体を接触させる工程、
b)カルベン前駆体から反応性カルベン中間体を生じさせることにより、表面を機能化するための表面材料と反応させる工程、および
c)さらに所望の物理的および/または化学的特性を有する化学基を導入することにより得た活性表面を機能化する工程。
【0058】
カルベン前駆体は、好ましくは浸漬および/またはスプレー被覆により適用される。
【0059】
別の発展形によると、ポリマーチューブの層のショア硬度および/または層の厚さは、本発明の方法において異なる調節をされ、少なくとも1つの層のショア硬度はこれと比較してより厚い少なくとも1つの層のショア硬度よりも高くなるように調節される。好ましくは、少なくとも1つの軟層のショア硬度は、50〜65の範囲内、好ましくは55〜60の範囲内に調節され、少なくとも1つの硬層のショア硬度は70〜96の範囲内に調節される。
【0060】
別の発展形によると、本発明による方法において、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)から選択される被覆が、チューブの少なくとも1つの表面に適用され、必要に応じて接着層が表面と被覆とのあいだに設けられる。被覆は、押し出し、結合、浸漬および/またはスプレー被覆により適用可能である。
【0061】
別の発展形によると、チューブの内径が、好ましくは10.4〜12mmに調節される。
【0062】
別の発展形によると、チューブの壁厚が0.5〜1.6mmに調節される。
【0063】
別の発展形によると、少なくとも1つの層の厚さが0.5〜1.3mmに調節される。
【0064】
別の発展形によると、少なくとも1つの層の厚さが0.02〜0.3mmに調節される。
【0065】
別の発展形によると、潤滑剤が少なくとも1つの熱可塑性プラスチック材料に混合される。
【0066】
別の発展形によると、混合のための潤滑剤は、グリセロール、シリコーンおよび/またはパラフィン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)および潤滑特性を有する他の生体適合性物質から選択される。
【0067】
別の発展形によると、さらに潤滑剤は、チューブの少なくとも1つの表面に供される。
【0068】
本発明の方法によるチューブの製造時にプラスチック材料をチューブ状に成形することは、既知のプラスチック加工技術により実施可能である。本発明によると、押し出し加工が好ましく、これはこの方法によると所望の特有の断面形状および/またはプロファイルをチューブに付与することができるためである。このような押し出し加工のあいだに、少なくとも1つのチューブ表面にたとえば毛状突起を有する特徴(profiled)表面が形成可能である。これに関して、「チューブ表面」とは、チューブの外側表面および内側(カバー)表面の両方である。本発明による医療技術ポリマーチューブを製造するために、好ましくは、押し出し方法が採用され、複数層のチューブの少なくとも2つの層が共に押し出しされる、すなわち共押し出しされる場合に特に好ましい。
【0069】
好ましくは、共押し出しによってチューブの個々の層間に接着が供される。しかしながら、これは接着促進剤またはそれぞれのプラスチックに適した表面処理によっても同じように実施され得る。PVCの場合には層の安全な接続が可能であり、これは、高周波技術によるPVCポリマー中のC−Cl結合の双極子モーメントのためである。
【0070】
潤滑剤の製造中、好ましくは、グリセロール、シリコーンおよび/またはパラフィン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)または他の生体適合性潤滑剤がチューブ材料に混合可能であり、すなわち押し出し前に溶融高分子塊に混合される(「混合」と称されるとおり)。このように潤滑剤を導入することによって、特に有利な潤滑効果、すなわち摩擦の低減がもたらされるが、この材料への導入は潤滑剤を適用する追加的工程の重複となる。
【0071】
本発明のプラスチックチューブの本発明による製造方法において、押し出し加工中または押し出し加工後に、別工程にてたとえば毛状の形状を少なくとも1つのチューブ表面に形成し得る。押し出し工程中に形成された毛状の特徴表面は、好ましくは、たとえば連続的ならせん状の環状突起である。
【0072】
本発明の好ましい実施の形態において、外転管の少なくとも1つの表面に、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン(PE)の被覆が供される。このことは、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレンの表面は、さらなる潤滑剤の添加なしに優れたすべり特性を有するためである。
【0073】
本発明の別の好ましい実施の形態において、フッ素エラストマーの被覆がチューブの少なくとも1つの表面に適用され、ペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
【0074】
本発明のさらに好ましい実施の形態において、ポリアミド(PA)の被覆がチューブの少なくとも1つの表面に適用される。
【0075】
ポリオレフィン、フッ素エラストマーまたはポリアミドは、他の熱可塑性プラスチック材料に対して低い固有的接着のみを有し得るため、ポリオレフィンおよびフッ素エラストマーまたはポリアミドの使用の場合には、たとえば一端に酸性基を有する低分子ポリオレフィンなどの接着促進剤または接着剤の使用によって接着性を促進または増加する必要があり得る。
【0076】
また本発明の方法に関連して、前述の記載の特徴、発展形および実施の形態は自由に組み合わせ可能であり、各々の手段はそれ自体改善であるが、組み合わせにより相乗効果が生じる。
【0077】
さらに、本発明によると、本発明の方法によって得られた医療技術ポリマーチューブが提供される。
【0078】
さらに、本発明は、外転管駆動部を備えた内視鏡または膣鏡を提供するものであり、内視鏡(および内視鏡軸またはその上に搭載される内視鏡軸カバー)および/または外転管は、好ましくは、前述のプラスチック材料からなる。
【0079】
外転管は、内視鏡軸カバー上にて巻き戻る。さらに好ましくは、潤滑剤が毛状突起のあいだおよび/または毛状突起内に供される。これに関連して、好ましくは、毛状突起は穿孔潤滑剤貯蔵部である。好ましい実施の形態において、毛状突起は、(e)PTFEまたはガラス小球により形成される。好ましい小球の径は0.2mmまでの範囲内である。このような小球の使用により摩擦をさらに低減することができ、これによりチューブ間の摩擦およびチューブと軸とのあいだの摩擦に明確に改善されたすべり特性をもたらす。この改善の理由の一つは、明確に減少した軸受表面、すなわち小球の接線領域のみによることである。さらに、小球はスペーサとして機能し、そのあいだにさらに潤滑剤を充填することができる。この点について、この効果に関しては、小球は前述の毛体に相当するものである。
【0080】
特に、本発明の医療技術ポリマーチューブが外転管として使用される際は、前述の熱可塑性プラスチック材料がこのようなチューブの基本物質として特に適しており、これは熱可塑性プラスチック材料が比較的安価で所望の改善が達成できるよう容易に処理可能なためである。
【0081】
本発明の医療技術ポリマーチューブが内視鏡軸カバーとして使用される場合、前述の熱可塑性プラスチック材料が優れて適している。この結果、実際の軸への充分な接続が得られる一方で、外転管の外側に対する摩擦が低減される。
【0082】
好ましい実施の形態において、使用される材料の早期の老化を回避するために、外転管および/または膣鏡は不透明な包装で提供される。
【0083】
チューブ表面に適用される追加の潤滑剤としては、前述の潤滑剤ならびに特に非水和または部分的から完全に水和された、菜種油またはヒマワリ油などの植物油が考慮される。また、たとえば油または油性混合物で、好ましくは植物油とワックスとの混合物であるワックス含有脂肪または脂肪混合物が特に適している。
【0084】
好ましくは25〜50℃、より好ましくは30〜40℃、特に好ましくは35〜39℃の範囲内の凝固点、および好ましくは50〜60℃でより好ましくは54〜56℃の明確な融点を有する、完全に水和された菜種油と高級オレイン酸含有ヒマワリ油(HOヒマワリ油と称される)との50:50混合物の使用がきわめて優れたすべり特性を呈し、優れた寛容で内視鏡での使用に適合されることが見出された。このような混合物のポリマーチューブ(ポリマーチューブ自体または毛状突起を有するポリマーチューブ)への接着をさらに改善するために、好ましくは特定量のワックスが、たとえば非不凍油(非分留油)などの混合物に添加されるか、すでに含まれている。
【0085】
前述の脂肪としては、脂性混合物、油または油性混合物が、プラスチック材料自体、好ましくは熱可塑性プラスチックのプラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックポリウレタンのプラスチック材料に導入可能である。
【0086】
本発明によるチューブを形成するための材料を押し出しする際に、特にチューブ表面に連続的にらせん状の環状毛体(突起)を形成できる。
【0087】
さらに、たとえば、切断、穿孔、スタンピング、レーザ彫刻などにより、押し出し後に別工程で毛体を形成することが可能である。これらの作業において、毛体管に残存する材料は通常研磨される。しかしながら、毛体は、たとえば局所的や点状の特定の表面領域を発泡させ、(たとえばレーザで)表面を加熱することによって別工程で滑面から形成することもできる。
【0088】
表面上にあるたとえばらせん状の毛体などのこのような毛状突起(または毛体)は、チューブ表面にてスペーサとして機能し、スペーサのあいだには潤滑剤が充填されるように適合される。
【0089】
潤滑剤は毛体に代替的または追加的に供され、毛体は潤滑剤貯蔵部として機能することも可能である。潤滑剤は、たとえば圧力が印加されると潤滑剤貯蔵部から脱出可能となる。
【0090】
前述の方法によって製造されたチューブは、すでに医療技術的適用、特に内視鏡での適用においてきわめて適したものである。すべり特性のさらなる改善を達成するために、摩擦に対して露出しているチューブ表面にさらに潤滑剤を適用することがしばしば有利である。
【0091】
本発明において説明された内視鏡は外転管駆動部を含み、内視鏡(すなわち、内視鏡軸またはその上に搭載される内視鏡軸カバー)および/または外転管は、前述のものから好ましくは選択されたプラスチック材料からなる。
【0092】
前述のとおり、本発明の方法は、特に、内視鏡のための軸カバーまたは内視鏡のための外転管を形成するポリマーチューブの製造に向けられたものである。したがって、本発明は、本発明の方法によって得られた医療技術ポリマーチューブをも含む。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0093】
以下に、本発明を実施例により説明するが、これらの実施例は説明を目的とするものであって、限定的に解釈されるべきものではない。
【0094】
実施例1
以下の、内視鏡のための単一層または複数層の外転管の変形例は、PVCにより押し出しで製造される。
【0095】
a)壁厚が0.9mmで内径が10.5mmのPVC製単一層チューブ(ショア硬度55)は押出機により押し出される。押し出し直後に形成された内側の外層または内表面(すなわち、外転後の外側表面)には、一端に酸性基を有する低分子ポリオレフィンの接着層が設けられ、0.05mmの厚さを有するPE層が適用される。本実施例の別の変形例では、チューブの両方の外層がPEで被覆される。
【0096】
b)外層(ショア硬度90;厚さ0.1mm)、内層(ショア硬度55;厚さ0.8mm)を有し、壁厚が0.9mmで内径が10.5mmのPVC製の2層チューブが押出機により押し出しされる。押し出し直後に形成される内表面(すなわち、外転後の外側表面)には、一端に酸性基を有する低分子ポリオレフィンの接着層が設けられ、0.05mmの厚さのPE層が適用される。本実施例の別の変形例において、チューブの両方の外層がPEで被覆される。
【0097】
実施例2
実施例1の条件にしたがってPVC製のチューブが製造されるが、PE被覆の代わりに、0.1mmの厚さのFEP被覆が外転管の外層(表面)の一方または両方に適用される。
【0098】
実施例3
実施例1の条件にしたがって2つの変形例のPVC製のチューブが製造され、PE被覆の代わりに、カルベン前駆体を使用して親水基により表面が機能化される。
【0099】
実施例4
PVC製の層(ショア硬度60)およびPUR製の層(ショア硬度70)を有する2層の共押し出しされたチューブが、実施例1〜3の条件および変形例にしたがって押し出され、押し出し直後にPVC層がチューブの外層を形成する。押し出しされた2層チューブの2つの外層は、実施例1〜3にしたがって被覆または機能化される。
【0100】
実施例5
壁厚が0.8mmで内径が10.5mmのPTFE製単一層チューブ(ショア硬度65)が押出機により押し出しされる。
【0101】
実施例6
以下の変形例による内視鏡のための単一層または複数層の外転管がPURから押し出しにより製造される。
【0102】
a)壁厚が0.7mmで内径が11.1mmのPUR製単一層チューブ(ショア硬度65)が押出機により押し出しされる。潤滑剤(たとえば、グリセロール、パラフィン油、シリコーン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG))がPURに混合され、被覆が不要で潤滑剤の添加も不要であり得る、滑らかな油性潤滑表面が形成される。
【0103】
b)外層(ショア硬度90;厚さ0.12mm)と内層(ショア硬度50;厚さ0.8mm)とを有し、壁厚が0.92mmで内径が11.1mmのPUR製2層チューブが押出機により押し出しされる。押し出し直後に形成された内側表面(すなわち、外転後患者に接触する外側表面)は、前述の実施例のようにPEまたはFEPで被覆されるか、またはカルベン前駆体を使用して親水基により表面が機能化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プラスチック製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブであって、
a)該ポリマーチューブが異なるショア硬度を有する少なくとも2つの層を含み、および/または
b)該ポリマーチューブが1つまたは複数の層を含み、かつ該ポリマーチューブの少なくとも1つの表面が機能化されている
医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項2】
前記ポリマーチューブが、外転管または内視鏡軸カバーである請求項1記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項3】
前記ポリマーチューブの少なくとも1つの層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製である請求項1または2記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項4】
前記チューブの少なくとも1つの表面が、負電荷基、正電荷基、極性基または非極性基により機能化されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項5】
前記チューブの少なくとも1つの面が親水性である請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項6】
前記層が異なる厚さを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項7】
少なくとも1つの層のショア硬度が、これより厚い層のショア硬度よりも高い請求項6記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項8】
少なくとも1つの層のショア硬度が、50〜65の範囲内にある請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項9】
少なくとも1つの層のショア硬度が、55〜60の範囲内にある請求項8記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項10】
少なくとも1つの層のショア硬度が、70〜96の範囲内にある請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項11】
a)2層を含むチューブにおいて、チューブのより薄いおよび/またはより硬質の層がチューブの内側外層を形成し、かつチューブのより厚いおよび/またはより軟質の層がチューブの外側外層を形成する、または
b)3層を含むチューブにおいて、チューブのそれぞれのより薄いおよび/またはより硬質の層が、チューブの各々の内側および外側の外層を形成し、かつ少なくとも1つのより厚いおよび/またはより軟質の層がチューブの内層を形成する
請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項12】
ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)またはペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)から選択される被覆が、チューブの少なくとも1つの表面に適用される請求項1〜11のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項13】
接着層が表面と被覆とのあいだに設けられる請求項12記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項14】
潤滑剤が、少なくとも1つの熱可塑性プラスチック材料に混合される請求項1〜13のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項15】
前記潤滑剤が、グリセロール、シリコーンおよび/またはパラフィン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)および潤滑およびすべり特性を有する他の生体適合性物質またはそれらの複数の組み合わせから選択される請求項14記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項16】
前記チューブの少なくとも1つの表面に潤滑剤が供される請求項1〜15のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項17】
前記潤滑剤が、水または水性潤滑剤、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロースまたは藻類ベースの潤滑剤、グリセロール、パラフィン油、高級脂肪アルコール、金属石鹸、脂肪酸グリセロールエステル、ポリエチレン、合成ワックス、寒天、植物油、脂肪ワックス混合物、(e)PTFEスライドラッカー、(e)PTFE粉体、黒鉛、滑石粉、種々のシリコーン被覆、シリコーン油、潤滑油中に分散された黒鉛および/またはテフロン(登録商標)粉体ならびに潤滑油中に分散された(e)PTFEおよび/またはガラス小球、および潤滑および/またはすべり特性を有する他の生体適合性物質、またはそれらの複数の組み合わせから選択される請求項16記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項18】
前記チューブが10.4〜12mmの内径を有する請求項1〜17のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項19】
前記チューブが0.5〜1.6mmの壁厚を有する請求項1〜18のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項20】
少なくとも1つの層が0.5〜1.3mmの厚さを有する請求項1〜19のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項21】
少なくとも1つの層が0.02〜0.3mmの厚さを有する請求項1〜20のいずれか1項に記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項22】
熱可塑性プラスチック材料製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブであって、
a)前記ポリマーチューブが50〜65のショア硬度を有する層からなり、および/または
b)前記ポリマーチューブの少なくとも1つの表面が機能化される医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項23】
壁厚が1.6mmより小さい請求項22記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項24】
前記チューブがさらに請求項2〜5および12〜19の特徴を示す請求項22または23記載の医療技術用フレキシブルポリマーチューブ。
【請求項25】
熱可塑性プラスチック製の医療技術用フレキシブルポリマーチューブの製造方法であって、
a)該ポリマーチューブが、異なるショア硬度を有する熱可塑性プラスチック材料の複数層から製造され、および/または
b)該ポリマーチューブの少なくとも1つの表面が、熱可塑性プラスチック材料の1つまたは複数の層により機能化される
方法。
【請求項26】
1つまたは複数の熱可塑性プラスチック材料が複数層に共押し出しされる請求項25記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)および/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製である請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
前記チューブの少なくとも1つの表面が、負電荷基、正電荷基、極性基または非極性基を導入および/または適用することによって機能化される請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記チューブの少なくとも1つの表面が親水化される請求項25〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
機能化が次の工程、
a)前記チューブ表面をカルベン前駆体に接触させる工程、
b)該カルベン前駆体の反応性カルベン中間体を生成し、該表面を機能化するために表面材料と反応させる工程、および
c)所望の物理的および/または化学的特性を有する化学基を導入することによって、工程b)において得られた活性表面をさらに機能化する工程
により実施される請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記カルベン前駆体が、浸漬またはスプレー被覆により適用される請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記層のショア硬度が異なる調節をされる請求項25〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記層の厚さが異なる調節をされる請求項25〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの層のショア硬度が、これより厚い少なくとも1つの層のショア硬度よりも高くなるように調節される請求項25〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの軟層のショア硬度が、50〜65の範囲内にあるように調節される請求項25〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの軟層のショア硬度が、55〜60の範囲内にあるように調節される請求項35記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの硬層のショア硬度が、70〜96の範囲内にあるように調節される請求項25〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)またはペルフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)から選択される被覆が、チューブの少なくとも1つの層に適用される請求項25〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記被覆が、押し出し、結合、浸漬および/またはスプレー被覆により適用される請求項38記載の方法。
【請求項40】
接着層が表面と被覆とのあいだに設けられる請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記チューブの内径が10.4〜12mmに調節される請求項25〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記チューブの壁厚が0.5〜1.6mmに調節される請求項25〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つの層の厚さが0.5〜1.3mmに調節される請求項25〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つの層の厚さが0.02〜0.3mmに調節される請求項25〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
潤滑剤が少なくとも1つの熱可塑性プラスチック材料に混合される請求項25〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記潤滑剤が、グリセロール、シリコーンおよび/またはパラフィン油、合成ワックス、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)および潤滑および/またはすべり特性を有する他の生体適合性物質またはそれらの複数の組み合わせから選択される請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記チューブの少なくとも1つの表面に潤滑剤が供される請求項25〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記潤滑剤が、水または水性潤滑剤、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロースまたは藻類ベースの潤滑剤、グリセロール、パラフィン油、高級脂肪アルコール、金属石鹸、脂肪酸グリセロールエステル、ポリエチレン、合成ワックス、寒天、植物油、脂肪ワックス混合物、(e)PTFEスライドラッカー、(e)PTFE粉体、黒鉛、滑石粉、種々のシリコーン被覆、シリコーン油、潤滑油中に分散された黒鉛および/またはテフロン(登録商標)粉体ならびに潤滑油中に分散された(e)PTFEおよび/またはガラス小球および潤滑および/またはすべり特性を有する他の生体適合性物質、またはそれらの複数の組み合わせから選択される請求項47記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜24のいずれか1項に記載のポリマーチューブ、または請求項25〜48のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリマーチューブを備えた内視鏡。

【公開番号】特開2010−88894(P2010−88894A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234585(P2009−234585)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(598053695)インベンド メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク (13)
【Fターム(参考)】