説明

医療機器制御装置

【課題】タッチパネルによる操作により医療機器を制御する医療機器制御装置において、医療機器をより安全かつ的確に操作することを可能とする医療機器制御装置を提供する。
【解決手段】スタンバイ状態においては、操作パネルにおける第1の操作用表示領域の操作作用のみを許可するとともに他の領域を無効とし、第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされた場合のみ、第2の操作用表示領域の操作作用を許可する機器操作可能状態に設定し、第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされ、かつ、第2の操作用表示領域の操作作用がなされた場合のみ医療機器を当該操作作用に応じて制御せしめる機器操作実行状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器制御装置、詳しくは、タッチパネルの操作により医療機器を制御する医療機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡を用いて手技を行う内視鏡手術システムが広く普及し、用いられる医療機器も多岐に及んでいる。
【0003】
このような内視鏡手術システムで用いられる医療機器としては、電子内視鏡システム、電気メス装置、超音波装置または気腹装置等の装置の他に手術台が含まれる。
【0004】
一方で、これら医療機器を、いわゆるタッチパネルによる操作により集中的に制御するシステムも知られている。
【0005】
ところで上述の如き手術システムで用いられる手術台は、不用意な操作等による意図しない動作を避けるためにも、その操作手段には確実な安全対策を施すことが求められ、例えば、手術台本体のリモートコントロール装置を用いて手術台の動作制御を行う際には、リモートコントロール装置に設けられた特定のボタン等を押しながら、所望の動作、例えば、上下方向への移動に対応する操作ボタンを押すことで初めて当該動作の制御が可能になる、というような安全対策が施されている。
【0006】
一方で、上述した如き手術システムにおいて、タッチパネルによる操作により手術台の動作を制御する技術も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、斯様な手術システムにおいて採用される操作用のタッチパネルは、従来、押圧により認識可能な地点は通常1地点に限られていたため、いわゆるGUI(Graphical User Interface)上のある特定のボタンを押しながら他のボタンを認識させることができない。したがって、不用意な操作による手術台の誤動作を防止するための安全対策としては、当該操作用タッチパネルの操作が一定時間がなければ無効にする等の対策が採られるのみであった。
【0008】
一方で、例えば特開平06−187097号公報、特開2008−070968号公報に示すように、近年、多地点を認識可能なタッチパネルが提案されている。
【特許文献1】特開平06−187097号公報
【特許文献2】特開2008−070968号公報 しかしながら、上述した如き多地点を認識可能なタッチパネルは、元来、医療機器の操作を考慮するものではなく、より具体的には手術台等、誤操作による誤動作を防止するための安全対策が求められる技術分野での使用については何等考慮するものではないため、「多地点の認識可能」という技術を適用するだけでは、安全で的確な操作が求められる手術システムに採用することはできなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、タッチパネルによる操作により医療機器を集中的に制御する医療機器制御装置において、医療機器をより安全かつ的確に操作することを可能とする医療機器制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療機器制御装置は、医療機器を制御する医療機器制御装置において、
少なくとも前記医療機器を制御するための操作内容を表示する操作パネルと、
前記操作パネルにおける所定表示領域の操作作用に応じて、前記医療機器の制御状態を指示する制御手段と、
を具備し、
前記操作パネルは、
所定の第1の操作用表示領域と、
前記第1の操作用表示領域とは異なる表示領域であって、少なくとも1つの操作用表示部を含む第2の操作用表示領域と、を有し、
前記制御手段は前記操作パネルを、
初期状態においては、当該操作パネルにおける前記第1の操作用表示領域の操作作用のみを許可するとともに、当該第1の操作用表示領域以外の領域の操作作用を無効とする第1の状態に設定し、
前記操作パネルが前記第1の状態に設定されている場合においては、前記第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされている場合のみ、前記第2の操作用表示領域における前記操作用表示部の操作作用を許可する第2の状態に設定し、
前記操作パネルが前記第2の状態に設定されている場合においては、前記第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされ、かつ、前記第2の操作用表示領域における前記所定の操作用表示部の操作作用がなされた際のみ、前記医療機器を当該所定の操作用表示部に対応した第3の状態に設定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチパネルによる操作により医療機器を制御する医療機器制御装置において、医療機器をより安全かつ的確に操作することを可能とする医療機器制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡手術システムの全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を示した正面図である。
【図3】第1実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【図4】第2実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を示した正面図である。
【図5】第2実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【図6】第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を状態別に示した正面図である。
【図7】第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の内視鏡手術システムの全体構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の内視鏡手術システム2は、例えば手術室に配置される医療システムであり、後述する各種医療機器等を搭載する第1カート11および第2カート12を備えると共に、医療機器の1つである患者ベッド10を備えて構成される。
【0016】
前記第1カート11には、被制御装置である医療機器として、例えば電気メス装置13、気腹装置14、内視鏡用カメラ装置15、光源装置16及びビデオテープレコーダ(VTR)17等の装置類と、二酸化炭素等を充填したガスボンベ18が搭載されている。
【0017】
前記内視鏡用カメラ装置15は、カメラケーブル31aを介して第1の内視鏡31に接続され、前記光源装置16は、ライトガイドケーブル31bを介して第1の内視鏡31に接続される。
【0018】
また、前記第1カート11には、内視鏡画像等を表示する、例えばTVモニタ等の表示装置19、および、手術中のあらゆるデータを選択的に表示させることが可能な第1の集中表示パネル20が設けられている。
【0019】
さらに、前記第1カート11には、上述した医療機器の動作を集中的に制御するための操作画面が表示される、例えば液晶ディスプレイ等の表示画面部と、当該表示画面部の所定部位の接触作用を検出する多地点接触検出手段とを組み合わせた、いわゆるタッチパネルにより構成された操作パネル21が設けられている。
【0020】
なお、前記操作パネル21は、非滅菌域における看護師等が操作する集中操作装置としての役目を果たすようになっている。
【0021】
さらに、前記第1カート11にはシステムコントローラ22が配設されている。
【0022】
このシステムコントローラ22には、上述の電気メス装置13、気腹装置14、内視鏡用カメラ装置15、光源装置16およびVTR17等の他、操作パネル21が、図示しない通信線を介して接続され、それぞれシステムコントローラ22により制御されるようになっている。
【0023】
そして、システムコントローラ22は、前記操作パネル21における所定表示領域の操作作用に応じて、前記医療機器の制御状態を指示する制御手段としての役目を果たす。
【0024】
一方、前記第2カート12には、被制御装置である内視鏡用カメラ装置23、光源装置24、画像処理装置25、表示装置26及び第2の集中表示パネル27が搭載されている。
【0025】
前記内視鏡用カメラ装置23はカメラケーブル32aを介して第2の内視鏡32に接続され、前記光源装置24はライトガイドケーブル32bを介して当該第2の内視鏡32に接続される。
【0026】
前記表示装置26は、内視鏡用カメラ装置23でとらえた内視鏡画像等を表示し、前記集中表示パネル27は、手術中のあらゆるデータを選択的に表示させることが可能になっている。これら内視鏡用カメラ装置23、光源装置24および画像処理装置25は、第2カート12に搭載された中継ユニット28に図示しない通信線を介して接続されている。
【0027】
前記中継ユニット28は、中継ケーブル29によって、上述の第1カート11に搭載されている前記システムコントローラ22に接続されている。
【0028】
すなわち前記システムコントローラ22は、これらの第2カート12に搭載されているカメラ装置23、光源装置24及び画像処理装置25と、第1カート11に搭載されている電気メス装置13、気腹装置14、カメラ装置15、光源装置16およびVTR17等の装置、および患者ベッド10等を制御するようになっている。
【0029】
このため、システムコントローラ22とこれらの装置または患者ベッド10との間で通信が行われている場合、当該システムコントローラ22は、上述の操作パネル21の液晶ディスプレイ上に、接続されている装置の設定状態または操作スイッチ等の設定画面を表示できるようになっている。
【0030】
さらに、システムコントローラ22は、操作パネル21の所望の操作スイッチが触れられて所定領域のタッチパネルが操作されることによって設定値の変更等の操作入力が行えるようになっている。
【0031】
一方、本実施形態の内視鏡手術システムはリモートコントローラ30を備え、係るリモートコントローラ30は、滅菌域にいる執刀医等が操作する第2集中操作装置であり、患者ベッド10等の各種医療機器を、システムコントローラ22を介して操作することができるようになっている。
【0032】
このシステムコントローラ22は、図示しない患者モニタシステムに接続されており、後述するように、患者モニタシステムから取得した生体情報を解析し、この解析結果を所要の表示装置に表示させることができる。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を示した正面図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネル21は、液晶ディスプレイ等による表示画面部と、当該表示画面部の所定部位の接触作用を検出する多地点接触検出手段とを組み合わせた、いわゆるタッチパネルにより構成され、上記各種医療機器の動作を集中的に制御するための操作画面が表示されるようになっている。
【0035】
すなわち、前記操作パネル21は、液晶ディスプレイ上に設けられた操作ボタン101として表示される第1の操作用表示領域と、複数の操作用表示部を含む操作ボタン群102として表示される第2の操作用表示領域と、を有し、前記システムコントローラ22の制御下に、これら第1の操作用表示領域(操作ボタン101)と、第2の操作用表示領域(操作ボタン群102)とに対する押圧操作により対応する医療機器の動作を制御することができるようになっている。
【0036】
次に、本第1実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御方法について説明する。
【0037】
図3は、第1実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【0038】
初期状態において前記システムコントローラ22は、前記操作パネル21における前記操作ボタン101(第1の操作用表示領域)の操作作用のみを許可するとともに、当該操作ボタン101の操作作用がなされない際には、他の領域の操作作用を無効とするスタンバイ状態#11に設定する。
【0039】
そしてシステムコントローラ22は、前記操作パネル21が前記スタンバイ状態に設定されている場合において、前記操作ボタン101の押圧操作作用が継続的になされている場合のみ、前記操作ボタン群102(第2の操作用表示領域)における前記複数の操作用表示部の操作作用を許可するとともに機器操作可能状態#12に設定する。
【0040】
さらにシステムコントローラ22は、前記操作パネル21が前記機器操作可能状態#12に設定されている場合において、前記操作ボタン101の押圧操作作用が継続してなされ、かつ、前記操作ボタン群102における所定の操作用表示部の押圧操作作用がなされた場合のみ、すなわち、まず操作ボタン101が、続いて操作ボタン群102が押圧操作され、これらボタン101とボタン102とが同時に押圧されている場合のみ、当該所定の操作用表示部に対応した医療機器の機器操作を実行せしめる機器操作実行状態#13に設定する。
【0041】
なお前記システムコントローラ22は、操作パネル21が前記機器操作可能状態#12にある場合において当該操作ボタン101の押圧操作が解除されると、前記スタンバイ状態#11に移行せしめる。
【0042】
また、前記システムコントローラ22は、操作パネル21が前記機器操作実行状態#13にある場合において前記操作ボタン群102の押圧操作が解除されると、前記機器操作可能状態#12に移行せしめ、一方で、前記機器操作実行状態#13にある場合において前記操作ボタン101の押圧操作が解除されるとスタンバイ状態#11に移行せしめる。
【0043】
上述したように本第1実施形態の内視鏡手術システムによると、操作パネル21により医療機器の動作、特に、患者ベッド10の動作を制御する際に、まず、スタンバイ状態#11においては所定の第1の操作用表示領域(操作ボタン101)の操作のみを許可し、そして、当該第1の操作用表示領域における操作ボタン101が継続的に押圧操作された場合は「機器操作可能状態#12」に移行し、次いで、当該操作ボタン101の継続的押圧操作と共に第2の操作用表示領域における操作ボタン群102のいずれかの操作用表示部が押圧操作された場合のみ、対応する医療機器の操作を可能とする「機器操作実行状態#13」に移行するよう制御するので、意図せず操作パネル21に触れた場合等、不用意な操作を行った場合であっても患者ベッド10等の医療機器を誤動作させることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0044】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態の内視鏡手術システムについて説明する。
【0045】
当該第2実施形態の内視鏡手術システムは、前記第1実施形態の内視鏡手術システムに対して操作パネルの構成および、当該操作パネルによる医療機器の動作制御方法を異にするものであり、その他の構成については当該第1実施形態と同様であるので、ここでは相違部分のみ説明に留め、同様な構成部分についての説明は省略する。
【0046】
図4は、本発明の第2実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を示した正面図である。
【0047】
図4に示すように、操作パネル21aは、液晶ディスプレイ上に設けられた複数の操作用表示部を含む操作ボタン群202として表示される第1の操作用表示領域と、操作ボタン201として表示される第2の操作用表示領域と、を有し、前記システムコントローラ22の制御下に、これら第1の操作用表示領域(操作ボタン群202)と、第2の操作用表示領域(操作実行ボタン201)とに対する押圧操作により対応する医療機器の動作を制御することができるようになっている。
【0048】
次に、本第2実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御方法について説明する。
【0049】
図5は、第2実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【0050】
初期状態において前記システムコントローラ22は、前記操作パネル21aにおける前記操作ボタン群202(第1の操作用表示領域)の操作作用のみを許可するとともに、当該操作ボタン群202の操作作用がなされない際には、他の領域の操作作用を無効とするスタンバイ状態#21に設定する。
【0051】
そしてシステムコントローラ22は、前記操作パネル21aが前記スタンバイ状態に設定されている場合において、前記操作ボタン群202におけるいずれかの操作用表示部の押圧操作作用が継続的になされている場合のみ、前記操作実行ボタン201(第2の操作用表示領域)の操作作用を許可するとともに、前記操作パネル21aを前記操作用表示部のいずれかが選択された状態(操作ボタン選択状態#22)に設定する。
【0052】
さらにシステムコントローラ22は、前記操作パネル21aが前記操作ボタン選択状態#22に設定されている場合において、前記操作ボタン群202のいずれかの操作用表示部の押圧操作作用が継続してなされ、かつ、前記操作実行ボタン201の押圧操作作用がなされた場合のみ、当該所定の操作用表示部に対応した医療機器の機器操作を実行せしめる機器操作実行状態#23に設定する。
【0053】
なお前記システムコントローラ22は、前記操作ボタン選択状態#22にある場合において当該操作ボタン群202の押圧操作が解除されると、操作パネル21aをスタンバイ状態#21に移行せしめる。
【0054】
また、前記システムコントローラ22は、操作パネル21aが機器操作実行状態#23にある場合において前記操作実行ボタン201の押圧操作が解除されると、前記操作ボタン選択状態#22に移行せしめ、一方で、前記機器操作実行状態#13にある場合において前記操作ボタン群202の押圧操作が解除されるとスタンバイ状態#21に移行せしめる。
【0055】
上述したように本第2実施形態の内視鏡手術システムにおいても、上記第1の実施形態の内視鏡手術システムと同様に、意図せず操作パネル21aに触れた場合等、不用意な操作を行った場合であっても患者ベッド10等の医療機器を誤動作させることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0056】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態の内視鏡手術システムについて説明する。
【0057】
当該第3実施形態の内視鏡手術システムは、前記第1−第2実施形態の内視鏡手術システムに対して操作パネルの構成および、当該操作パネルによる医療機器の動作制御方法を異にするものであり、その他の構成については当該第1−第2実施形態と同様であるので、ここでは相違部分のみ説明に留め、同様な構成部分についての説明は省略する。
【0058】
図6は、本発明の第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルの構成を状態別に示した正面図である。
【0059】
図6(a)、(b)に示すように、操作パネル21bは、液晶ディスプレイ上に設けられた複数の操作用表示部を含む表示ボタン301として表示される第1の操作用表示領域と、複数の操作用表示部を含む操作ボタン群302として表示される第2の操作用表示領域と、を有し、前記システムコントローラ22の制御下に、これら第1の操作用表示領域(表示ボタン301)または第2の操作用表示領域(操作ボタン群302)に対する押圧操作により対応する医療機器の動作を制御することができるようになっている。
【0060】
そして、第4実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネル21bは、後述するようにスタンバイ状態#41においては、表示ボタン301のみが表示されると共に、第1の操作用表示領域(表示ボタン301)以外の領域の操作作用を無効とするようになっており(図6(a)参照)、一方、当該表示ボタン301の押圧操作がなされた場合には、表示ボタン301に加えて、操作ボタン群302が表示されると共に、第2の操作用表示領域の操作作用を有効化するようになっている(図6(b)参照)。
【0061】
次に、本第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御方法について説明する。
【0062】
図7は、第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御に係る状態遷移図である。
【0063】
初期状態において前記システムコントローラ22は、前記操作パネル21bにおける前記表示ボタン301(第1の操作用表示領域)のみを表示すると共に、当該表示ボタン301の操作作用のみを許可するとともに、当該表示ボタン301の操作作用がなされない際には、他の領域の操作作用を無効とするスタンバイ状態#41に設定する。
【0064】
そしてシステムコントローラ22は、前記操作パネル21bが前記スタンバイ状態に設定されている場合において、前記表示ボタン301の押圧操作された際には、表示ボタン301に加えて操作ボタン群302を表示すると共に、前記表示ボタン301の押圧操作作用が継続的になされているという条件のもと当該操作ボタン群302(第2の操作用表示領域)における前記複数の操作用表示部の操作作用を許可(有効化)する操作ボタン群表示かつ有効化状態#42に設定する。
【0065】
さらにシステムコントローラ22は、前記操作パネル21bが前記操作ボタン群表示かつ有効化状態#42に設定されている場合において、前記表示ボタン301の押圧操作作用が継続してなされ、かつ、前記操作ボタン群302における所定の操作用表示部の押圧操作作用がなされた場合のみ、当該所定の操作用表示部に対応した医療機器の機器操作を実行せしめる機器操作実行状態#43に設定する。
【0066】
なお前記システムコントローラ22は、操作パネル21bが操作ボタン群表示かつ有効化状態#42にある場合において当該表示ボタン301の押圧操作が解除されると、医療機器をスタンバイ状態#41に移行せしめる。
【0067】
また、前記システムコントローラ22は、操作パネル21bが機器操作実行状態#43にある場合において前記表示ボタン301および/または操作ボタン群302の押圧操作が解除されると、前記スタンバイ状態#41に移行せしめる。
【0068】
上述したように本第3実施形態の内視鏡手術システムにおいても、上記第1−第2の実施形態の内視鏡手術システムと同様に、意図せず操作パネル21bに触れた場合等、不用意な操作を行った場合であっても患者ベッド10等の医療機器を誤動作させることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0069】
なお、上記第1−第3実施形態の内視鏡手術システムにおける操作パネルによる各種医療機器の動作制御方法については、各実施形態における「機器操作実行状態#13〜#43」に達した際に、さらに操作パネル上の他の地点の押圧の有無を検出し、何等他の地点の押圧が生じていない場合のみ所定の機器操作を実行し、一方、他の地点が押圧されていると検出された場合は、操作パネルに意図しない接触等が生じていると判断し、かかる不都合が解消するまで当該機器操作の実行を保留にするか、機器操作実行状態#13〜#43自体を一旦無効とするような制御を付加しても良い。
【0070】
この付加的な制御によると、より安全に医療機器の操作を行うことができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
2…内視鏡手術システム
10…患者ベッド
11…第1のカート
12…第2のカート
13…電気メス
14…気腹装置
15…内視鏡用カメラ装置
16…光源装置
17…VTR
18…ガスボンベ
21,21a,21b…操作パネル
22…システムコントローラ
30…リモートコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を制御する医療機器制御装置において、
少なくとも前記医療機器を制御するための操作内容を表示する操作パネルと、
前記操作パネルにおける所定表示領域の操作作用に応じて、前記医療機器の制御状態を指示する制御手段と、
を具備し、
前記操作パネルは、
所定の第1の操作用表示領域と、
前記第1の操作用表示領域とは異なる表示領域であって、少なくとも1つの操作用表示部を含む第2の操作用表示領域と、を有し、
前記制御手段は前記操作パネルを、
初期状態においては、当該操作パネルにおける前記第1の操作用表示領域の操作作用のみを許可するとともに、当該第1の操作用表示領域以外の領域の操作作用を無効とする第1の状態に設定し、
前記操作パネルが前記第1の状態に設定されている場合においては、前記第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされている場合のみ、前記第2の操作用表示領域における前記操作用表示部の操作作用を許可する第2の状態に設定し、
前記操作パネルが前記第2の状態に設定されている場合においては、前記第1の操作用表示領域の操作作用が継続してなされ、かつ、前記第2の操作用表示領域における前記所定の操作用表示部の操作作用がなされた際のみ、前記医療機器を当該所定の操作用表示部に対応した第3の状態に設定する
ことを特徴とする医療機器制御装置。
【請求項2】
前記操作パネルは、表示画面の所定部位の接触作用を検出する多地点接触検出手段を有し、
前記制御手段は、前記多地点接触検出手段による検出結果に基づいて、前記操作パネルにおける前記各表示領域の操作作用を認識する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器制御装置。
【請求項3】
前記操作パネルを駆動する表示駆動手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記表示駆動手段を制御して、前記操作パネルにおける前記第1の操作用表示領域には第1の操作用ボタンを表示せしめるとともに、前記第2の操作用表示領域には少なくとも1つの操作用ボタン部を表示せしめる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療機器制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−20011(P2012−20011A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161033(P2010−161033)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】