説明

医療用ガイドワイヤ、及び医療用ガイドワイヤとマイクロカテーテル、又はバルーンカテーテルとガイディングカテーテルとの組立体

【課題】 コイル体のばね定数はコイル平均径に反比例する為、先端部が小径で後端部が大径から成るコイル体は、外径差(コイル平均径差と同様)に起因して小径のコイル体のばね定数は増大し、いわゆる細くて剛性の高いコイル体となる課題がある。そして又、かかる場合において、ねじり回転操作に対して耐疲労特性を向上させる課題がある。
【解決手段】 コイル体の外径差から生ずるばね定数増大分を抑止する為、小径のコイル体の長手方向の長さを変えずに巻き数を増大し(コイルピッチを小さく)又、さらにばね指数と曲げ応力修正係数との一定の関係により、繰り返しねじり回転での耐疲労特性を向上させたコイル体を備えた医療用ガイドワイヤを提供することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、先端部にばね特性を向上させたコイルスプリング体を装着した医療用ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内へ挿入する医療用ガイドワイヤの先端部に装着したコイルスプリング体は、細線でありながら機械的強度特性を考慮して人体への安全確保を満たさなければならず、この為種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、医療用ガイドワイヤの先端部に装着したコイルスプリング体が疎巻き部分と密巻き分から成る記載がある。しかし、この技術目的は、軟質病変組織をコイル線間に受け入れて先端位置を把握する技術内容であり、コイルスプリング体本来のばね特性の向上、及び機械的特性を考慮した技術思想は記載されていない。
【0004】
特許文献2には、医療用ガイドワイヤの先端部に装着したコイルスプリング体内に樹脂を充填した記載がある。しかし、この技術目的は、剛性感の向上と押し込み性を向上させたことであり、コイルスプリング体本来のばね特性向上とねじり回転力と耐疲労特性との相関性に関する技術思想は何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3762290号公報
【特許文献2】特開平11−276596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の医療用ガイドワイヤにおいて、先端部に装着したコイルスプリング体は、疎巻き部分と密巻き部分を設けて、軟質病変組織をコイル線間に受け入れて術者の先端位置の認識、若しくは放射線透視下における術者の視認性の有無、又はコイルスプリング体内へ合成樹脂等を埋め込んで単純に剛性を向上させた技術思想のみで、医療用ガイドワイヤとしてコイルスプリング体本来のばね特性、及び機械的特性等を考慮した技術思想は存在していない。
この発明の目的は、術者が医療用ガイドワイヤの手元部を回転操作させたとき、先端部に装着した外径が異なるコイルスプリング体において、外径差から生ずる外径が小径のコイルスプリング体のばね定数増大に伴う剛性増大を、コイルスプリング体の長さを変えずにコイル線の巻き数を変更(コイルピッチを変更)することにより抑止して、かつコイルスプリング体に生ずるねじりの曲げ応力を緩和させ、繰り返し耐疲労特性を向上させたコイルスプリング体を備えた医療用ガイドワイヤに関する技術思想を開示し、術者が安全に操作できる医療用ガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、可とう性細長体から成る芯線と、前記芯線の先端部に前記芯線を貫挿したコイルスプリング体を装着し、前記芯線と前記コイルスプリング体の先端端部に先導栓を形成した医療用ガイドワイヤにおいて、前記コイルスプリング体は、線直径が同一の金属線を巻回成形して手元側から先端部へ、後端側等径大径部コイル体と、先端側等径小径部コイル体を形成して成り、前記先端側等径小径部コイル体のコイルピッチと、前記後端側等径大径部コイル体と前記先端側等径小径部コイル体のねじりコイルのばね定数比が、一定の関係式から成ることを特徴とする。
この構成により、細線を用いたコイル成形時のコイルスプリング体のばね特性を高めながらコイルスプリング体の外径差から生ずる外径が小径のコイルスプリン体のばね定数増大を抑止して、ばね定数増大に伴うコイルスプリング体の剛性増大を解消して、易屈曲性を高めて血管壁へのソフトタッチを可能とする医療用ガイドワイヤの提供ができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1と同様に可とう性細長体から成る芯線と、前記芯線の先端部に前記芯線を貫挿したコイルスプリング体を装着し、前記芯線と前記コイルスプリング体の先端端部に先導栓を形成した医療用ガイドワイヤにおいて、前記コイルスプリング体は、線直径が同一の金属線を巻回成形して手元側から先端部へ、後端側等径大径部コイル体と、先端側等径小径部コイル体を形成して成り、前記先端側等径小径部コイル体のコイルピッチと、前記後端側等径大径部コイル体と前記先端側等径小径部コイル体のねじりコイルのばね定数比が、一定の関係式から成ることを特徴とする。
この構成により、コイルスプリング体の外径差から生ずる外径が小径のコイルスプリン体のばね定数増大を抑止して、ばね定数増大に伴うコイルスプリング体の剛性増大を解消して、血管壁へのソフトタッチを可能とする医療用ガイドワイヤの提供ができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記後端側等径大径部コイル体の外径が0.4572mm(0.018インチ)以下で、かつ前記後端側等径大径部コイル体の外径をD1 (mm)とし、前記先端側等径小径部コイル体の外径をD2 (mm)とした場合に、外径比D1 /D2 が1.2から2.0であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤである。
この構成により、コイルスプリング体の外径差から生ずる外径が小径のコイルスプリング体のばね定数増大に伴う剛性増大抑止効果を、より高めた状態で治療ができる心臓血管治療用、及び下肢血管治療用に適した医療用ガイドワイヤの提供ができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記コイル体の長手方向の長さが300mm以下で、かつ前記後端側等径大径部コイル体の長手方向の等径長さL1 (mm)と、前記先端側等径小径部コイル体の長手方向の長さL2 (mm)の等径長さ比L1 /L2 が、5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤである。
この構成により、コイルスプリング体の長尺化に起因する蛇動によるばね定数の変動を防ぎ、かつコイルスプリング体の外径差から生ずる外径が小径のコイルスプリング体のばね定数増大に伴う剛性増大抑止効果を、より高めた状態で治療ができる心臓血管治療用、及び下肢血管治療用に適した医療用ガイドワイヤの提供ができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記先端側等径小径部コイル体のばね指数をC2 とし、曲げ応力修正係数をkp2 とした場合に、前記ばね指数C2 が3以上のとき、前記曲げ応力修正係数kp2 が、1.33以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤである。
この構成により、コイルスプリング体の捩り回転、特にコイル線を巻き戻す方向に捩り回転が加わった際、コイルスプリング体の内側の曲げ応力修正係数に適正な値を採ることにより、安定したばね特性を有して、繰り返し耐疲労特性に優れたコイルスプリング体から成る医療用ガイドワイヤを得ることができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記芯線と前記コイルスプリング体との間の間隙、及び前記コイルスプリング体のコイル線間の間隙に、曲げ弾性率が600kgf/cm2 から6000kgf/cm2 で、かつ引張破断伸度が200%から1000%の弾性体を充填し、かつ前記先端側等径小径部コイル体のばね指数をC2 とし、曲げ応力修正係数をkp2 とした場合に、前記ばね指数C2 が3以上のとき、前記曲げ応力修正係数kp2 が、1.33以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤである。
この構成により、特にコイルスプリング体のコイル線を巻き戻す方向に捩り回転が加わった際には、コイルスプリング体の内側の曲げ応力増大を防ぐ助長作用として働き、又コイル線を巻き込む方向に捩り回転が加わった際には、前記巻き込み捩り回転力を開放したとき、弾性体の介在により巻き込み前の状態に早く復帰させることができ、安定したばね特性を有して、繰り返し耐疲労特性に優れたコイルスプリング体から成る医療用ガイドワイヤを得ることができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤと、マイクロカテーテルと、ガイディングカテーテルとの組立体において、前記医療用ガイドワイヤの後端側等径大径部コイル体の外径が、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が前記後端側等径大径部コイル体の外径よりも小さくして成り、前記医療用ガイドワイヤを、内径が0.28mmから0.90mmで太線と細線を複数本巻回成形、又は撚合構成して外周部が太線と細線による凸凹状の可とう性中空管体から成るマイクロカテーテル内へ挿入し、かつ、内径が1.91mmから2.67mmのガイディングカテーテル内へ、前記医療用ガイドワイヤと前記マイクロカテーテルとが挿入されていることを特徴とする医療用ガイドワイヤとマイクロカテーテルとガイディングカテーテルとの組立体である。
この構成により、先端側が小径で高度のばね特性を有するコイルスプリング体を装着した医療用ガイドワイヤを得て、この医療用ガイドワイヤと、閉塞病変部の穿孔機能、及び前記医療用ガイドワイヤの前進反力を支える機能の高いマイクロカテーテルと、それぞれの前進しようとする反力を支える機能をもつガイディングカテーテルとの組立体とすることにより、閉塞病変部治療に大きく寄与することができる。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤと、バルーンカテーテルと、ガイディングカテーテルとの組立体において、前記医療用ガイドワイヤの後端側等径大径部コイル体の外径が、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が前記後端側等径大径部コイル体の外径よりも小さくして成り、前記医療用ガイドワイヤを、内径が0.28mmから0.90mmの前記バルーンカテーテル内へ挿入して一組とし、内径が1.91mmから2.67mmの前記ガイディングカテーテル内へ、前記医療用ガイドワイヤと前記バルーンカテーテルを一組とする二組を挿入してキッシング手技を容易とすることを特徴とする医療用ガイドワイヤとバルーンカテーテルとガイディングカテーテルとの組立体である。
この構成により、先端側が小径で高度のばね特性を有するコイルスプリング体を装着した医療用ガイドワイヤを得て、先端側の小径化により押し進んでいく前進力の高い医療用ガイドワイヤと、拡径機能の高いバルーンカテーテルの各二組を挿入して、それぞれ二組の前進しようとする反力を支える機能をもつガイディングカテーテルとの組立体とすることにより、特に分岐病変部における病変部治療に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】医療用ガイドワイヤと芯線先端部等の要部拡大図である。(実施例1)
【図2】医療用ガイドワイヤ先端部の狭窄病変拘束状態図である。
【図3】コイル体の屈曲状態説明図である。
【図4】コイル体の曲げ応力分布図、及びばね指数と曲げ応力修正係数との関係図である。
【図5】コイル体内に弾性体を充填した医療用ガイドワイヤの先端部要部拡大図である。(実施例2、3)
【図6】異径コイル体の接続部要部拡大図である。
【図7】下肢血管病変部治療の状態図である。
【図8】医療用ガイドワイヤとマイクロカテーテルとの組立体の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を図に示すとともに説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、実施例1の医療用ガイドワイヤ(以下ガイドワイヤ)1を示し、芯線2の先端側が先細形状の芯線先端部21には、同軸的に外嵌めされたコイルスプリング体(以下コイル体)3を装着し、コイル体3の先端側には外径が小径の先端側等径小径部コイル体32と、後端側は外径が大径の後端側等径大径部コイル体31から成っている。又、芯線先端部21の手元側は、後端側等径大径部コイル体31の手元側端部と、ろう材、又は、はんだ等の接合部材4を用いて長手方向に0.2mmから3mmで接合された後端接合部41を形成し、そして、前記芯線先端部21の先端端部は、前記先端側等径小径部コイル体32の先端端部と前記接合部材4を用いて長手方向へ0.2mmから0.8mmで接合させた先導栓5を形成している。そして又、芯線2の手元側、及びコイル体3の外周部にはフッ素樹脂、又はポリウレタン樹脂等の樹脂被膜6が形成され、その外周部の先端側には湿潤時に潤滑特性を示す親水性被膜7が被膜形成されている。
【0018】
そしてコイル体3は、手元側から先端側へ外径が大径の後端側等径大径部コイル体31と、先端側へ徐変縮径した長手方向の長さが2mmから5mmの徐変縮径部33と、外径が小径の先端側等径小径部コイル体32が、線直径が同一の金属線で巻回成形された構成となっている。又、前記金属線としては、ステンレス鋼線以外に、タングステン線、タングテン合金線、白金線、白金とニッケルとの合金線、又は金めっき線等の放射線不透過材を用いている。
そして前記先端側等径小径部コイル体32は、コイル体外径D2 が0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ、本実施例1では0.254mm)で、コイル線の線直径dは0.050mmから0.090mm(本実施例1では0.060mm)で、等径部の長さL2 は10mmから60mm(本実施例1では40mm)で、又コイルピッチP2 は、後述する一定の関係式から成っている。
そして又、前記後端側等径大径部コイル体31は、コイル体外径D1 が0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ、本実施例1では0.3556mmで0.014インチ)で、コイル線の線直径dは前記先端側等径小径部コイル体32と同一線直径とし、等径部の長さL1 は10mmから250mm(本実施例1では120mm)で、又コイルピッチP1 は、後述する一定の関係式から成っている。
【0019】
そして次に、コイル体3がねじりコイルばねとして考えられる理由について説明する。 図2は、コイル体が狭窄病変部へ穿孔した際、手元側の芯線先端部22を回転操作したとき、コイル体の回転動作を図示したものである。
図示(イ)(ロ)は、コイル体の巻回方向がS巻き(図示S文字・左ねじ方向)のとき、芯線2の芯線手元部22を左ねじ方向(図示Z文字)へ回転させると、病変壁拘束部9から手元側のコイル体は、後端接合部材41と病変壁拘束部9とで拘束を受け、回転作用が拡径作用として回転動作し、又その一方で病変壁拘束部9より先端側のコイル体は、先導栓5と病変壁拘束部9とで拘束を受けて、芯線先端部21の左ねじ方向の回転作用により先導栓5と共に回転して、回転作用が縮径作用として回転動作する。
【0020】
次に図示(ハ)(ニ)は、図示(イ)(ロ)に対して芯線2の芯線手元部22の回転方向が逆方向の左ねじ方向(図示S文字)へ回転させたときのコイル体の回転動作を示し、病変壁拘束部9から手元部のコイル体は、前記図示(イ)(ロ)とは逆に、縮径作用として回転動作し、その一方で病変壁拘束部9から先端側のコイル体は、拡径作用として回転動作する。
そしてコイル体の回転動作を、コイルばねのねじりモーメントとして考えたとき、巻回コイル線の接線方向を作用力(W)とし、コイル体の中心軸からコイル線までの距離を腕の長さ(L)と考えれば、ねじりモーメントMはW×Lとなる。
従って、コイル体3が回転動作をする場合には、「ねじりコイルばね体」として考えることができる。
【0021】
そして次に、本発明の実施例1のコイル体3は、後端側等径大径部コイル体31と先端側等径小径部コイル体32から成っている。かかる場合において、手元側の芯線手元部22を回転操作すると、回転は後端側等径大径部コイル体31へ伝わり、後端側等径大径部コイル体31が回転すると、先端側等径小径部コイル体32のねじり力(ねじりモーメント)は腕の長さ比(外径比D1 /D2 )の分増大する。
そしてコイル体のばね定数は、コイル平均径に反比例する為、コイル平均径が小さく(外径が小さく)なるほどコイル体のばね定数は増大し、曲げ剛性の高い、いわゆる硬いコイル体となる。そしてコイル体の外径が小径化するほど前記ねじりモーメントは増大し、そしてばね定数の増大に伴い、血管壁等を穿孔させる可能性が高くなる。
従って、これを防ぐ為には、ねじり力が増大した分、つまりコイル体のコイル平均径の差(コイル体外径差と同様)から生じたばね定数の増大分を少なくとも抑止する必要がある。
そしてこの為には、コイル体のばね定数は巻き数に反比例する為、巻き数を多くすることにより、ばね定数を低くすることができる。
そしてさらに、コイル体の全長を変えずに巻き数を多くする為には、コイルピッチを小さくすることにより達成できる。
つまり、本発明は、コイル体3を「ねじりコイルばね体」として考え、コイル体の外径が小径化しても外径小径化による先端側等径小径部コイル体32のばね定数増大変動分をコイル体の全長を変えずに、これを抑止して、外径が小径でありながら血管壁ソフトタッチを可能にしたことを特徴とする技術思想から成るものである。
【0022】
次に、前述のことを関係式で表す為、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 と、ばね定数比との関係式を、上限値を求める場合と、下限値を求める場合に区分して説明する。尚、後端側等径大径部コイル体31のコイル平均径をD01(mm)、コイル線直径をd(mm)、コイルピッチをP1 (mm)、長手方向の等径長さをL1 (mm)、ばね定数をk1 (kgf/mm)、巻き数をN1 とし、又先端側等径小径部コイル体32のコイル平均径をD02(mm)、コイル線直径をd(mm)、コイルピッチをP2 (mm)、長手方向の等径長さをL2 (mm)、ねじりコイルのばね定数をk2 (kgf/mm)、巻き数をN2 とする。以下、前記各記号の各単位は省略する。
【0023】
A.先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 と、ばね定数比(k2 /k1 )の上限値について、ばね定数はコイル平均径と巻き数に反比例する為、前記ばね定数比は下記関係式(1)で表すことができる。
関係式(1): k2 /k1 =D01×N1 /(D02×N2
=D01/D02×P2 /P1 ×L1 /L2
そしてコイル平均径差から生ずるばね定数増大分を抑止する為には、関係式(1)において、D01/D02×P2 /P1 の値を1以下にする必要があり、このことから先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 は下記関係式(2)となる。
関係式(2): P2 ≦D02/D01×P1
そして又、ばね定数の上限値は、前記D01/D02×P2 /P1 の値が1以下であることから前記関係式(1)は下記関係式(3)となる。
関係式(3): k2 /k1 ≦L1 /L2
【0024】
B.次に、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 とばね定数比(k2 /k1 )の下限値について図3を用いて説明する。
一般にコイルピッチの下限値は、コイル体がストレートの状態においてコイル線が密着しているとき、つまりコイル線の線直径分の長さと考えられる。
しかし、ガイドワイヤは後述するように狭窄病変部へ到達させるまでに先端部のコイル体をU字状に屈曲させた状態で血管内を推し進める場合が多い。この理由は、U字状に屈曲させた状態で挿入させれば、U字形状により血管壁への面圧を低くすることができ、その結果、血管壁損傷を防ぐことができるからである。特に、先端部が細径化されている場合等において、前述のような手技が多く用いられる傾向にある。
【0025】
図3は、コイル体3の内側内径(直径)をコイル体3の外径(D02+d)と同一として、コイル体をU字状に屈曲させたときの状態図を示し、コイル体の内側はコイル線が密着し、外側はコイル線の間に隙間が開いている。
そして例えば、コイル体がストレート状態でコイル線が密着しているとき、U字状に屈曲させたときには外側のコイル線の間には隙間が開き、その分外側のコイル線が描く曲率半径は増大変化してRとなる。(図示(ロ)(ハ))かかる場合において、ガイドワイヤに求められる特性として、この曲率半径の増大変化の無いことが求められる。この理由は、U字状に屈曲させたときに増大した曲率半径をもつガイドワイヤを病変部まで推し進めると、血管内の通過性が悪化し、かつ血管壁損傷の発生頻度が高くなり易いからである。 そしてこれを防ぎ、曲率半径の増大変化を無くす為には、U字状に屈曲させた状態のときに内側コイル線どうしが密着するように、予めストレート状態においてその分、コイルピッチを開けておくことである。(図示(ニ)(ホ))
そしてこのときのコイルピッチP2 を、先端側等径小径部コイル体32の下限値とする。
尚、図示(ハ)(ホ)において、符号Rとrは、曲率半径のそれぞれの大きさを表し、R>rの関係を示す。
そして補足すれば、U字状に屈曲させた際、コイル体の内側内径(直径)を前記コイル体32の外径(D02+d)と同一としたのは、これよりも下回ると内側コイル線どうしが噛み込み合い易くなり、安定したばね特性が得られ難くなるからである。
【0026】
そして前述の内容を関係式で表すと、外側コイル線の円形断面の中心点を結んだ円弧が描く半周分の長さをL(mm)とし、内側コイル体の円形断面の中心点を結んだ円弧が描く半周分の長さをl(mm)とすると(図3(イ))、U字状に曲げたときの内側内径(直径)を先端側等径小径部コイル体32の外径D2 (D02+d)と同一としている為、長さLとl、及び長さLとlとの差(L−l)は、それぞれ下記関係式(4)(5)(6)で表すことができる。
関係式(4): L=π/(3×D02/2+d)
関係式(5): l=π/(D02/2+d)
関係式(6): L−l=π×D02
又、密着したときの内側コイルの巻き数をNとすると、巻き数Nはl/dで表すことができ、下記関係式(7)となり、又内側コイルピッチは(L−l)/Nで表すことができ、下記関係式(8)となる。
関係式(7): N=l/d=π×(D02+2d)/(2d)
関係式(8): (L−l)/N=D02×2d/(D02+2d)
つまり、U字状の屈曲時に曲率半径が増大しない為の予めストレート状態においてコイル線間に間隙を開けておく為のコイルピッチの最小値は、前記関係式(8)の内側コイルピッチの寸法以上とすればよい。従って、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 の下限値を示す関係式は、下記関係式(9)となる。
関係式(9): D02×2d/(D02+2d)≦P2
【0027】
そして次に、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 の下限値からばね定数比の下限値を算出すると、後端側等径大径部コイル体31のばね定数k1 は下記関係式(10)で表すことができ、又前記コイルピッチP2 の下限値を用いた先端側等径小径部コイル体32のばね定数k2 は下記関係式(11)で表すことができるから、ばね定数比k2 /k1 の下限値を示す関係式は、下記関係式(12)となる。
関係式(10): k1 ∝P1 /(D01×L1
関係式(11): k2 ∝P2 /(D02×L2 )=2d/L2 ×1/(D02+2d) 関係式(12):
2 /k1 =D01×L1 ×2d/{L2 ×(D02+2d)×P1
【0028】
以上のことから、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 の上限値と下限値の関係は、前記関係式(2)と(9)により下記関係式(13)となり、又ばね定数比k2 /k1 の上限値と下限値の関係は、前記関係式(3)と(12)より下記関係式(14)となる。
関係式(13):D02×2d/(D02+2d)≦P2 ≦D02/D01×P1
関係式(14):
01×L1 ×2d/{L2 ×(D02+2d)×P1 }≦k2 /k1 ≦L1 /L2
【0029】
そしてさらに前記実施例ではU字状に屈曲させた際の理想状態においてコイル体の内側内径(直径)を前記コイル体32の外径(D02+d)と同一としたが、この外径の10%増大した内側内径がより望ましい。この理由は、U字状に屈曲変形させた際、細径線を用いたコイル体3のコイル成形時の外径が微小変動し、この微小変動から生ずる前記内側コイル線どうしの噛み込み合い易くなるのを解消して安定したばね特性を得る為であり、又巻き数を増大させることができ、これにより易屈曲性を備えた、先端部がより柔軟なコイル体を得ることができるからである。そして又、かかる下限値であれば、コイル体3内の全域にわたって後述する弾性体8を充填することができるが、かかる範囲を下回れば前記コイル体32の線間間隙から前記弾性体8を全域にわたって充填することは非常に困難となるからである。
【0030】
C.そして次にU字状に屈曲させた際、コイル体の内側内径(直径)を前記コイル体32の外径の1.1倍(10%増大)したときの、コイルピッチP2 とばね定数比(k2 /k1 )の下限値について説明する。
前記Bと同様に、図3(イ)において、コイル体の内側内径を1.1×(D02+d)とすると内側コイルピッチ(L−l)/Nは下記関係式(15)で表すことができ、又先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 の下限値を示す関係式は、下記関係式(16)で表すことができる。
関係式(15):(L−l)/N=D02×2d/(1.1D02+2.1d)
関係式(16): D02×2d/(1.1D02+2.1d)≦P2
そして次に、前記コイルピッチP2 の下限値を用いた前記先端側等径小径部コイル体32のばね定数k2 は、下記関係式(17)で表すことができるから、ばね定数比k2 /k1 の下限値を示す関係式は、下記関係式(18)となる。
関係式(17):
2 ∝P2 /(D02×L2 )=2d/{L2 ×(1.1D02+2.1d)}
関係式(18):
2 /k1 =D01×L1 ×2d/{L2 ×(1.1D02+2.1d)×P1
【0031】
以上のことから、先端側等径小径部コイル体32のコイルピッチP2 の上限値と下限値の関係は、前記関係式(2)と(16)により下記関係式(19)となり、又ばね定数比k2 /k1 の上限値と下限値の関係は、前記関係式(3)と(18)より下記関係式(20)となる。
関係式(19):D02×2d/(1.1D02+2.1d)≦P2 ≦D02/D01×P1 関係式(20):D01×L1 ×2d/{L2 ×(1.1D02+2.1d)×P1
≦k2 /k1 ≦L1 /L2
【0032】
そしてより具体的には、後端側等径大径部コイル体31のコイルピッチP1 が0.15mm(2.5×0.06mm)のとき、本発明の前記実施例の各数値を前記関係式(20)へ算入すると、ばね定数比k2 /k1 の下限値と上限値は約2.090から3.000となり、又前記同様実施例の各数値を前記関係式(19)へ算入すると、先端側等径小径部コイル体のコイルピッチP2 は、約0.069mmから約0.098mm(約1.14dから約1.64d)となり、この値のとき、コイル体3をU字状に屈曲変形させても曲率半径を増大させることなく血管内を押し進めることができ、かつ、コイル体3の先端部コイル体外径D2 を小径化させても、小径化によるばね定数増大分をコイル体の全長を変えることなく、これを抑止して、外径が小径でありながら小径化前と同様な血管壁ソフトタッチを可能とすることができる。
そして本発明により、外径差(コイル平均径差と同様)を有するコイル体3に関する新たな技術思想を備えたガイドワイヤの提供ができる。
【0033】
そして次に、コイル体3の後端側等径大径部コイル体31の外径D1 と先端側等径小径部コイル体32の外径D2 との外径比D1 /D2 は、1.2から2.0であることが望ましい。具体的には、外径比D1 /D2 が1.2のとき、先端側等径小径部コイル体32の外径D2 が0.254mm(0.010インチ)であれば、後端側等径大径部コイル体31の外径D1 が0.3048mm(0.012インチ)となり、一般に用いられている0.3556mm(0.014インチ)よりも細径化を図ることができる。特に近年、閉塞病変部治療においては、手技の成功率の高さから逆行性アプローチ手技(ガイドワイヤを血流方向から閉塞病変部へ穿孔させるのではなく、閉塞病変端が軟質状態にある血流方向とは反対側から閉塞病変部内へ穿孔させる手技)を採用する場合が多く、かかる場合、中隔において本発明の先端部を細径化したガイドワイヤを用いることにより血管内挿入進行性を向上させることができる。この理由は、逆行性アプローチ手技の場合は、中隔において発達している中隔側副血行(セプタールコラテラール)を利用する為、このセプタールコラテラールは血管内径が小さく、かつコークスクリューと呼ばれる屈曲蛇行の激しい血管であるからである。
【0034】
そして又、外径比D1 /D2 が1.2から2.0が好ましい理由は、1.2を下回れば外径比の増大分を抑止して先端部等径小径部コイル体32のばね定数低減効果は乏しくなり、又2.0を上回れば後端側等径大径部コイル体31の外径D1 が径大化して血管内挿入進行性を妨げることになるからである。
そして心臓血管治療用ガイドワイヤとしては、外径D1 が0.3556mm(0.014インチ)以下で、外径比D1 /D2 が1.2から1.56(例0.014インチ/0.009インチ)がより望ましく、又下肢血管治療用ガイドワイヤとしては、外径D1 が0.4572mm(0.018インチ)以下で、外径比D1 /D2 が1.33(例0.012インチ/0.009インチ)から2.0がより望ましい形態である。
【0035】
そして次に、コイル体3の長手方向の長さは300mm以下で、かつ後端側等径大径部コイル体31の長手方向の等径長さL1 と先端側等径小径部コイル体32の長手方向の長さL2 との等径長さ比L1 /L2 は、5以下が望ましく、より望ましくは3.3以下で、さらに望ましくは1以下である。
この理由は、等径長さ比L1 /L2 が5を超えれば後端側等径大径部コイル体31の長手方向の長さが長大化し、この長大化によりコイル体3がねじり力を受けたときには、後端側等径大径部コイル体31が、コイルの中心軸が波状、又はスパイラル状となる「蛇動」が発生し、ばね特性が著しく変動してくるからである。
そして等径長さ比が3.3以下としたのは、この範囲であれば下肢血管治療用ガイドワイヤの外径よりも細い心臓血管治療用ガイドワイヤにおいて、外径小径化による先端側等径小径部コイル体32のばね定数の増大変動の抑止効果が高く、さらに等径長さ比が1以下としたのは、この範囲であれば、ばね定数の増大変動の抑止効果が極めて顕著となるからである。尚、この等径長さL1 、及びL2 は、ばね作用として働かない接合部内、先導栓5内、及び後端接合部41内の長さは除く。
【0036】
次に、前記コイル体3を「ねじりコイルばね体」として考えたときの繰り返し耐疲労特性向上に起因するばね指数と曲げ応力との関係につて説明する。
図4(イ)は、コイル体の応力分布図を示し、図示符号aは、真直軸の場合のねじり応力分布を示し、又図示符号bは、コイル体のねじり応力分布を示す。そしてコイル体のねじり応力の最大値τは、コイル体の内側で発生し、真直軸の最大値τ0 よりも大きくなり、曲げ応力修正係数をkbとすると、コイル体のねじり応力の最大値τは、下記関係式(21)で表すことができ、又ばね指数をCとすると、曲げ応力の修正係数kbは、下記関係式(22)で表すことができる。
関係式(21):τ=kb×τ0
関係式(22):kb=(4×C2 −C−1)/{4×C×(C−1)}
【0037】
そしてガイドワイヤの芯線手元部22の回転操作により、コイル体3が回転する作用モーメントがコイル体を巻き締める方向であるときには、前記曲げ応力をあまり考慮する必要はないが、これとは反対に、前記作用モーメントがコイル体を巻き戻す方向であるときには、前記曲げ応力を考慮する必要がある。
この理由は、コイル体を巻き締める方向であるときには、コイル体の内側部が曲げの圧縮応力となり、又曲げの応力修正係数kbは1よりも小さい係数となるからである。
そしてこれとは反対に、前記作用モーメントがコイル体を巻き戻す方向であるときには、コイル体の内側部が曲げの引張応力側となり、応力分布はコイル体の内側部で真直軸を捩ったときの応力τ0 よりも大きな値τとなるからである。(図4(イ)関係式(21))
尚、前記関係式(21)(22)について、後端側等径大径部コイル体31のときのねじり応力の最大値をτ1 、真直軸の最大値をτ0 、曲げ応力修正係数をkb1 、ばね指数をC1 とし、又先端側等径小径部コイル体32のときのねじり応力の最大値をτ2 、真直軸の最大値をτ0 、曲げ応力修正係数をkb2 、ばね指数をC2 とすれば、前記関係式(21)(22)及び図4(イ)(ロ)と同内容のことが後端側等径大径部コイル体31、及び先端側等径小径部コイル体32について成立する。
【0038】
そして又、図4(ロ)は、横軸にばね指数を示し、縦軸に前記曲げ応力修正係数を示し、ばね指数Cと曲げ応力修正係数kbとの関係を示した図である。
本発明において、ばね指数Cが3以上のとき、前記曲げ応力修正係数kbが1.33以下であることが望ましい。そしてより具体的には前記実施例において、先端側等径小径部コイル体32のコイル平均径D02は0.194mmでコイル線直径dが0.06mmであることから、ばね指数C2 は3.23(0.194/0.06)となり、かかる場合の先端側等径小径部コイル体32の曲げ応力修正係数kb2 は前記関係式(22)より1.30となり、前記1.33以下とする望ましい数値となっている。
そしてばね指数Cが3以上のとき、曲げ応力修正係数kbが1.33以下とする理由は、かかる範囲であればガイドワイヤの芯線手元部22の回転操作によりコイル体3、特に先端側等径小径部コイル体32の回転する作用モーメントがコイル体3を巻き戻す方向であっても、又巻き締め方向の後に巻き戻す方向を繰り返しても、疲労することなく「ねじりコイルばね体」としての特性を長期安定して発揮させ、繰り返し使用に耐えうる、耐疲労特性に優れたガイドワイヤを提供できるからである。
【0039】
そして次に、前記曲げ応力修正係数が高い値であっても前記コイル体3が「ねじりコイルばね体」としての特性をより長期安定して発揮させ、繰り返し使用に耐えうる方法について説明する。
図5(イ)は、ガイドワイヤ1の先端部要部拡大の実施例2を示し、前記実施例1と異なる点は、芯線先端部21の芯線2と、後端側等径大径部コイル体31との間、及び先端側等径小径部コイル体32との間に、並びに前記コイル体31と32のそれぞれのコイル線間の間隙にゴムによる弾性体、又は合成樹脂による弾性体を充填して、後端側弾性体81、及び先端側弾性体82を形成したことである。
この構成により、例えばコイル体3のコイル線が巻き戻す方向に捩り回転が加わった際には、コイル体3の内側の曲げ応力増大を抑止する助長作用として働き、又その一方でコイル線を巻き込む方向に捩り回転が加わった際には、後端側弾性体81、及び先端側弾性体82は捩り回転力による圧縮力を受け、そして前記捩り回転力を開放したときには、前記各弾性体81、82の圧縮力に対する反発弾性力によりコイル体3の巻き込み前の状態にいち早く復帰させることができ、安定したばね特性を有して、繰り返し耐疲労特性を向上させることができる。
【0040】
尚、ここでいう弾性体とは、コイル体3をU字状に屈曲変形させたとき、コイルピッチP1 、P2 が屈曲変形に対応する柔らかさをもつ弾性体のことをいい、ゴムによる弾性体、並びに合成樹脂、又はエラストマー樹脂による弾性体をさす。
そしてコイル体3のコイル線の線直径が0.050mmから0.090mmの放射線不透過材から成る白金線、白金とニッケルとの合金線、又はタングステン線、並びにステンレス鋼線を用いて種々のねじりコイルばね特性試験、及び製造に関する試験の結果から、本発明に用いる具体的な前記弾性体81、82の機械的特性は、曲げ弾性率が600kgf/cm2 から6000kgf/cm2 で、かつ引張破断伸度が200%から1000%が望ましく、より望ましくは曲げ弾性率が700kgf/cm2 から5000kgf/cm2 で、かつ引張破断伸度が200%から800%が望ましく、さらに望ましくは曲げ弾性率が800kgf/cm2 から4000kgf/cm2 で、かつ引張破断伸度が200%から600%である。
【0041】
そして又、具体的な前記弾性体の材料名は、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴムによる弾性体、並びにポリウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フッ素樹脂、又はポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、フッ素系エラストマー等の合成樹脂、又はエラストマー樹脂による弾性体で、加熱架橋材料、並びに熱硬化性、又は光硬化性材料を用いる。
そして弾性体の機械的特性を前記範囲が望ましいとしたのは、前記範囲を上回ればコイル体3をU字状に屈曲変形させたとき、屈曲変形に対応してコイル線が移動しなくなって柔軟性を阻害し、かつ、ばね特性を損なうからである。
又前記範囲を下回れば、コイル体を巻き戻す方向へ捩り回転が加わった際には、コイル体3の内側の曲げ応力の増大を抑止する助長作用が乏しくなるからである。
【0042】
そして補足すれば、前記先端側弾性体82と後端側弾性体81とは、必ずしも同一の機械的特性を有する弾性体を用いる必要はなく、先端側弾性体82は後端側弾性体81よりも曲げ弾性率が低く、又は引張破断伸度の高い弾性体を用いてもよい。具体的には、先端側弾性体82は、曲げ弾性率が600kgf/cm2 から3000kgf/cm2 、又は、引張破断伸度が300%から1000%のポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴム等を用い、又後端側弾性体81は、曲げ弾性率が2000kgf/cm2 から6000kgf/cm2 、又は、引張破断伸度が200%から400%のポリウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、及び前記各エラストマー樹脂から成る弾性体、又は各ゴム材料から成る弾性体を用いてもよい。
この構成により、先端側等径小径部コイル体82は、後端側等径大径部コイル体81のコイル平均径差から生ずるばね定数増大分を、コイルピッチを変える(コイル体の長さを変えずに巻き数を増大させる)ことにより抑止することのみならず、柔軟性の高い先端側弾性体82により後端側等径大径部コイル体81よりも柔軟性を高めることができる。
そしてさらに、先端側等径小径部コイル体82と後端側等径大径部コイル体81との曲げ剛性差を、前記弾性体81、82の機械的特性を任意選択することによりこれを調整することが可能となる。
【0043】
そしてさらに補足すれば、図5(ロ)はガイドワイヤ1の先端部要部拡大の実施例3を示し、前記実施例2と異なる点は、樹脂被膜6、親水性被膜7、及び後端側弾性体81により気体が漏れることのない密閉された密閉室83を先端側等径小径部コイル体32内に形成していることである。この密閉室83内の気体は空気でもよく、又窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよく気体が外部へ漏れることのない密閉された状態とする。
この構成により、先端側等径小径部コイル体32をU字状に屈曲変形させた後にストレート状に戻したときには、密閉された密閉室83内の気体はU字状の屈曲変形により圧縮力を受け、密閉室83内の気体圧力は高まり、そしてストレート状に戻したときには、この圧縮力に対する反発力によってストレート状にいち早く復帰させることができる。
そしてこの密閉室83には、弾性体から成る後端側弾性体81が隣接している為、U字状に屈曲変形した際、気体圧力が高まった密閉室83内の圧力は隣接した前記弾性体81の方向へも、外径方向と同一圧力で加わる為、圧力方向が分散されて外径方向の径大化を低くさせる作用効果を併せもつ。そしてさらに、後述する分岐病変部への血管内挿入進行性をより向上させることができる特段の作用効果がある。
【0044】
そして補足すれば、コイル体3の後端側等径大径部コイル体31と先端側等径小径部コイル体32は、前記実施例1のように同一線直径の金属線を連続して巻回成形してコイル体3とする以外に、図6(イ)で示すように、前記コイル体31の先端部と前記コイル体32の後端部のそれぞれのコイル体31、32をろう材、又は、はんだ等の接合部材4を溶融固着させて中間接合部42を設けてもよく、又図示のようにテーパ状に研削加工してもよく、そして図示(ロ)で示すように円環状のスペーサ421を前記コイル体31の先端部と前記コイル体32後端部との間に介在させて前記接合部材4を溶融固着させて中間固定部42を設けてもよく、又図示のようにテーパ状に研削加工してもよく、そしてさらに図示(ハ)で示すように前記コイル体31の先端部の外径を小径化させて前記コイル体32の後端部とねじ込み後に前記接合部材4を溶融固着させて中間接合部42を設けてもよい。
【0045】
次に、本発明のガイドワイヤ1を用いて狭窄病変部へ到達させるまでに先端部のコイル体3をU字状に屈曲された状態で血管内を推し進めていく治療例について説明する。
図7は、下肢血管狭窄病変部治療におけるガイドワイヤ1の狭窄病変部への進行状態図を示し、例えば前脛骨動脈9Bの閉塞病変部9Cへガイドワイヤ1を素早く到達させる為には、比較的屈曲蛇行の少ない概ねストレート状の浅大腿動脈9A部分ではガイドワイヤ1の先端部はU字状に折れ曲がった状態(図示(ロ)符号U)であっても、折れ曲がった状態のまま分岐部9Dまで推し進め、その後一度手元側へ引いて先端部をストレート状(符号S1)にした後、閉塞病変部9Cへガイドワイヤ1を導いている。(符号S2)
【0046】
かかる場合において、本発明のガイドワイヤ1の先端側等径小径部コイル体32は、後端側等径大径部コイル体31とのコイル平均径差から生じるばね定数増大分を、全長を変えることなくコイルピッチを小さくして巻き数を増大することにより抑制している為、細径でありながら柔軟性を維持して血管壁を損傷させずにU字状に変形し易いと同時に、かつU字状であればストレート状と異なり、血管壁との面圧が低くなり、血管壁を損傷させずに所望の位置へ素早く導くことができ、又分岐部9Dにおいて曲がり癖をつけることなくストレート状に復元することができる。
そして又前記実施例2のコイル体3内に一定の機械的特性を有する前記弾性体81、82を充填することにより、前記曲がり癖をなくして、ストレート状に戻ろうとする復元性をより向上させ、そしてさらに前記実施例3の先端側等径小径部コイル体32内に密閉された密閉室83を設けることにより、ストレート状に戻ろうとする復元力をより一層高めることができる特段の作用効果がある。
【0047】
そして次に、本発明のガイドワイヤ1を用いた組立体について説明する。
本発明により、先端側は小径で後端側が大径のコイル体3にコイル平均径差が生じていても、コイル平均径差から生ずるばね定数変動分を抑止して先端部の柔軟性を確保しながら、かつU字状の変形からストレート状への復元特性を向上させた心臓血管治療用、及び下肢血管治療用のガイドワイヤ1を得ることができる。
例えば心臓血管治療用のガイドワイヤ1としては、芯線手元部22の外径、及び後端側等径大径部コイル体31の外径D1 が0.3048mmから0.3556mm(0.012インチから0.014インチ)で先端側等径小径部コイル体32の外径D2 は、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で先端側の細径化を図ることができる。
そしてガイドワイヤ1をマイクロカテーテル10内へ挿入し、かつ、ガイディングカテーテル11内へ前記ガイドワイワイヤ1と前記マイクロカテーテル10とを挿入する。かかる場合において、ガイディングカテーテル11は6F(内径2.3mm〜2.7mmから内径1.91mm〜2.00mm)を用いて、この中に挿入するマイクロカテーテル10は内径が0.28mmから0.90mmである。
【0048】
そして又、下肢血管治療用のガイドワイヤ1については、心臓血管径に対して概ね2倍から5倍以上と血管径が太く、かつ狭窄病変長は3倍以上と長く、この為、心臓血管治療用ガイドワイヤよりもより強く押し進んでいく前進力が要求され、コイル体3の先端側等径小径部コイル体32の外径D は、前記心臓血管治療用のガイドワイヤ1と同一外径とし、後端側等径大径部コイル体31の外径D は、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)とし剛性増大を図っている。そしてこの心臓血管治療用、及び下肢血管治療用のいずれのガイドワイヤ1に対しても強く押し進んでいく前進力を高める為には、この前進力を支える反力が必要である。
【0049】
そしてこの強い前進力を支える反力を発揮するマイクロカテーテル10としては、多層樹脂管(内層PTFE,外層ポリアミド等)構造、又前記多層樹脂管体内に金属線の編組を介在させた構造の他、特に先端部が金属、又は合成樹脂製の略円錐形状の先端チップ10Bが固着されて、複数の金属細線の丸線を多条コイル体に成形した螺旋条管体が望ましい。
そしてさらに、心臓血管治療の手技対応においては、血管径が小さく、かつ屈曲蛇行が激しく、又下肢血管治療の手技対応においては、血管径は太いが狭窄、又は完全閉塞病変長が心臓血管に比べて3倍から5倍以上と長く、この閉塞部をガイドワイヤ1とともに穿孔していく為には、ステンレス鋼線、又はタングステン線等の引張破断強度が200kgf/mm2 以上の金属線から成る外周部が丸線の凸凹状を形成する多条コイル体の前記螺旋条管体がより望ましく、さらに望ましいのは、図8に示すように、多条線のうち、例えば素線直径が0.11mmから0.18mmの太線10Cが1〜2本と、素線直径が0.06mmから0.10mmの細線10Dが2〜8本を巻回、又は撚合構成し、若しくは太線1本に対して細線を2本から4本を1組として2組以上設けて各金属線を隣接接触させて巻回、又は撚合構成して中空状で外周部が凸凹状の螺旋条管体10Aの構造である。
この理由は、血管壁と多条線の外周部の凸凹部が接触して滑り移動を防いで、推し進めようとするガイドワイヤ1の反力を支える力が高いからであり、又、病変内での穿孔能力を併せもち、かつ、太線のほうが早く血管壁と接触し、その状態で一回転させると太線の撚りピッチのみで移動し、一回転での進行距離は長くなり、その結果ガイドワイヤ1を含む組立体としての進退操作が早くなるからである。尚、外周部の先端部、又は全体に前記凸凹状を形成する構造、又は狭窄部血管内挿入時に血管壁からの圧迫・押圧作用により外周部の少なくとも一部(先端から300mm以内)に前記凸凹状を形成する構造であれば、外周部に薄膜の樹脂チューブ体10E、又内側に同様の樹脂チューブ体10Fを設けた構造であってもよい。
【0050】
そして又、血管分岐病変部の手技におけるバルーンカテーテル等との組立体において、血管分岐病変部のそれぞれの病変部の手前でバルーンカテーテルのバルーン部を拡張させて血管壁へ当接させ、前進しようとするガイドワイヤ1の反力を支えることによりガイドワイヤ1の前方への推進力を発揮させ、ガイドワイヤ1とバルーンカテーテル(図示せず)とを一組として二組前記ガイディングカテーテル11内へ挿入してキッシング手技を容易に行なうことができる。尚、ここでいうキッシング手技とは、ガイドワイヤとバルーンカテーテルとを一組として二組ガイディングカテーテル11内へ挿入して血管の分岐病変部における二本のバルーンカテーテルのバルーン部を同時拡張させ、分岐している二箇所の狭窄病変部の血管内径を同時拡張させる手技のことをいう。
かかる場合の組立体としては、ガイドワイヤ1の先端側等径小径部コイル体32の外径D2 は、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で後端側等径大径部コイル体31の外径D1 は、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)で、ガイドワイヤ1を内径が0.28mmから0.90mmのバルーンカテーテル内へ挿入して一組とし、内径が1.91mmから2.67mmのガイディングカテーテル内へ、前記ガイドワイヤと前記バルーンカテーテルとを一組とする二組を挿入してキッシング手技を容易とすることを特徴とする組立体である。
【0051】
(発明の効果)
以上説明のとおり、本発明のガイドワイヤは、先端部に装着したコイル体を「ねじりコイルばね体」と考え、等径大径部と等径小径部を有するコイル体のコイル平均径差(又は外径差)から生ずるばね定数の増大変動分を抑止して、外径が小径でありながら血管壁を穿孔することなくソフトタッチを可能とすることができ、又ばね指数と曲げ応力修正係数との相関性において、コイル体の繰り返しねじり回転での耐疲労特性を向上させることができる、新たな技術思想から成る医療用ガイドワイヤ等を提供するものである。以上の諸効果がある。
【符号の説明】
【0052】
1 医療用ガイドワイヤ(ガイドワイヤ)
2 芯線
21 芯線先端部
22 芯線手元部
3 コイルスプリング体(コイル体)
31 後端側等径大径部コイル体
32 先端側等径小径部コイル体
5 先導栓
6 樹脂被膜
7 親水性被膜
8 弾性体
81 後端側弾性体
82 先端側弾性体
9 病変壁拘束部
10 マイクロカテーテル
11 ガイディングカテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可とう性細長体から成る芯線と、前記芯線の先端部に前記芯線を貫挿したコイルスプリング体を装着し、前記芯線と前記コイルスプリング体の先端端部に先導栓を形成した医療用ガイドワイヤにおいて、
前記コイルスプリング体は、線直径が同一の金属線を巻回成形して手元側から先端部へ、後端側等径大径部コイル体と、先端側等径小径部コイル体を形成して成り、
前記後端側等径大径部コイル体のコイル平均径をD01(mm)、コイル線直径をd(mm)、コイルピッチをP1 (mm)、長手方向の等径長さをL1 (mm)、ねじりコイルのばね定数をk1 (kgf/mm)とし、
前記先端側等径小径部コイル体のコイル平均径をD02(mm)、コイル線直径をd(mm)、コイルピッチをP2 (mm)、長手方向の等径長さをL2 (mm)、ねじりコイルのばね定数をk2 (kgf/mm)とした場合に、
前記先端側等径小径部コイル体のコイルピッチP2 (mm)は、
02×2d/(1.1D02+2.1d)≦P2 ≦D02/D01×P1 の関係式から成り、かつ、
ねじりコイルのばね定数比k2 /k1 は、
01×L1 ×2d/{L2 ×(1.1D02+2.1d)×P1 }≦k2 /k1 ≦L1 /L2 の関係式から成ることを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記先端側等径小径部コイル体のコイルピッチP2 (mm)は、
02×2d/(D02+2d)≦P2 ≦D02/D01×P1 の関係式から成り、かつ
ねじりコイルのばね定数比k2 /k1 は、
01×L1 ×2d/{L2 ×(D02+2d)×P1 }≦k2 /k1 ≦L1 /L2 の関係式から成ることを特徴とする請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項3】
前記後端側等径大径部コイル体の外径が0.4572mm(0.018インチ)以下で、かつ前記後端側等径大径部コイル体の外径をD1 (mm)とし、前記先端側等径小径部コイル体の外径をD2 (mm)とした場合に、
外径比D1 /D2 が1.2から2.0であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項4】
前記コイル体の長手方向の長さが300mm以下で、かつ前記後端側等径大径部コイル体の長手方向の等径長さL1 (mm)と、前記先端側等径小径部コイル体の長手方向の長さL2 (mm)の等径長さ比L1 /L2 が、5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項5】
前記先端側等径小径部コイル体のばね指数をC2 とし、曲げ応力修正係数をkp2 とした場合に、前記ばね指数C2 が3以上のとき、前記曲げ応力修正係数kp2 が、1.33以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項6】
前記芯線と前記コイルスプリング体との間の間隙、及び前記コイルスプリング体のコイル線間の間隙に、曲げ弾性率が600kgf/cm2 から6000kgf/cm2 で、かつ引張破断伸度が200%から1000%の弾性体を充填し、かつ
前記先端側等径小径部コイル体のばね指数をC2 とし、曲げ応力修正係数をkp2 とした場合に、前記ばね指数C2 が3以上のとき、前記曲げ応力修正係数kp2 が、1.33以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤと、マイクロカテーテルと、ガイディングカテーテルとの組立体において、
前記医療用ガイドワイヤの後端側等径大径部コイル体の外径が、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が前記後端側等径大径部コイル体の外径よりも小さくして成り、
前記医療用ガイドワイヤを、内径が0.28mmから0.90mmで太線と細線を複数本巻回成形、又は撚合構成して外周部が太線と細線による凸凹状の可とう性中空管体から成るマイクロカテーテル内へ挿入し、かつ、内径が1.91mmから2.67mmのガイディングカテーテル内へ、前記医療用ガイドワイヤと前記マイクロカテーテルとが挿入されていることを特徴とする医療用ガイドワイヤとマイクロカテーテルとガイディングカテーテルとの組立体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤと、バルーンカテーテルと、ガイディングカテーテルとの組立体において、
前記医療用ガイドワイヤの後端側等径大径部コイル体の外径が、0.3048mmから0.4572mm(0.012インチから0.018インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が、0.2286mmから0.3048mm(0.009インチから0.012インチ)で、前記先端側等径小径部コイル体の外径が前記後端側等径大径部コイル体の外径よりも小さくして成り、
前記医療用ガイドワイヤを、内径が0.28mmから0.90mmの前記バルーンカテーテル内へ挿入して一組とし、内径が1.91mmから2.67mmの前記ガイディングカテーテル内へ、前記医療用ガイドワイヤと前記バルーンカテーテルを一組とする二組を挿入してキッシング手技を容易とすることを特徴とする医療用ガイドワイヤとバルーンカテーテルとガイディングカテーテルとの組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−206413(P2011−206413A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79194(P2010−79194)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(309023704)株式会社パテントストラ (16)
【Fターム(参考)】