説明

医療用デバイスのための識別情報認識システム

医療用送達システム(10)は、患者に医薬(17)または流体(17)を送達するために提供される。このシステムは、使い捨て要素(例えば、流体(17)を含む容器(16)と結合したラインセット(14))、このラインセット(14)と結合しており、それに付随する識別情報を有する識別器(18)、およびこのラインセット(14)を係合するように構成され、そして上記流体(17)を患者に送達する送達デバイス(12)を備える。この送達デバイス(12)は、上記識別器(18)に関する識別情報を得ることができる認識システム(20)を備える。識別情報は、流体(17)、ラインセット(14)の型、またはこのラインセット(14)に関する投与の型に関する情報を備え得る。デバイス(12)は、この識別情報に基づいて構成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(説明)
(技術分野)
本発明は、一般的には、医療用送達システムに関し、そしてより詳細には、医療用送達デバイスとともに使用するための投与ラインセットおよびこのラインセットに関する情報を識別するためのシステムに関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、以下の米国特許および米国特許出願を明確に参考として援用し、かつ本出願の一部をする:米国特許第5,782,805号;同第5,842,841号;代理人整理番号EIS−6089(1417G P 933)として識別される米国特許出願;代理人整理番号EIS−6091(1417G P 935)として識別される米国特許出願;および代理人整理番号EIS−6092(1417G P 936)として識別される米国特許出願。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
治療用流体の患者への投与は、当該分野において周知である。多くの型の医療用送達デバイスが、患者に種々の治療用流体(例えば、非経口流体、薬物もしくは他の医薬、電解質、血液および血液製剤など)を送達するために存在する。一特定の型の医療用送達デバイスは、注入ポンプであり、これは、これらの治療用流体の1種以上を、種々の投与型(例えば、静脈内(IV)適用、動脈内(IA)適用、皮下適用、硬膜外適用、流体空間の洗浄用途など)を介して患者に送達し得る。これらの投与型のもとで作動する多くの医療用送達デバイスは、代表的に、投与ラインセット、および付随する、一種以上の治療用流体を含む容器を利用する。注入ポンプの場合、このラインセットは、代表的に、ポンプの送達機構内にロードされ、患者への流体の送達を促進する。
【0004】
各投与型および各治療用流体の型は、代表的に、多くの作動パラメータ、変数、制約、および他の関連する情報(例えば、医学関連および薬学関連情報)に関与し、これらの作動パラメータ、変数、制約、および他の関連する情報は、治療用流体の患者への適切で有効かつ安全な送達、および患者の有効な処置を確実にするために、モニタリングされ、かつ追跡されなければならない。この情報の性質および量は、医療用デバイスへのその入力を、人為的エラーを生じさせ易くし得る困難な課題としている。最も知られた送達デバイスは、マイクロプロセッサ制御された、ソフトウェアで作動する、付随するメモリを有するユニットであり、したがってユーザによって(代表的に別の供給源からの特定のデータもしくはソフトウェアのダウンロードを介して)カスタマイズおよび制御され得るが、適切な治療、薬物、または流体に対して、特に、ロジスティックな観点において、データおよびソフトウェアが適切に適合しない危険が残る。さらに、現在公知の送達デバイス(例えば、注入ポンプ)は、治療、薬物もしくは流体、または投与設定に関わらず、一定の機能設定を有する一定の作動構成の範囲内で作動する。これは、エラーの別の源であり得る。患者への流体の送達におけるエラーの可能性は大きく、そしてこのような可能性を最低限にすることは、重要な目標である。
【0005】
本発明は、これらの問題および他の問題に対処し、一般的に、投与ラインセットに関する、および新規かつ改善されたシステム、デバイスおよび方法、ならびに関連する、患者への流体の送達のための医療用送達デバイスとともに使用するための治療用流体を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、患者に医薬および流体を送達するための医薬送達システムを提供する。本発明の特定の局面によれば、識別器を有する使い捨て要素が提供される。このシステムに関連する医療用デバイスは、この識別器を認識し得る。特定の実施形態において、このシステムは、上記流体を含む容器に結合したラインセット、このラインセットに結合し、それに付随する識別情報を有する識別器、およびこのラインセット係合するように構成されており、そして患者に上記流体を送達する送達デバイスを備える。この送達デバイスは、識別器に付随する識別情報を得ることができる認識システムを備える。
【0007】
別の局面において、上記識別情報は、上記デバイスと上記ラインセットとの係合により、このデバイスによって得られる。この識別情報は、このラインセットに関連する、上記流体、ラインセットの型、または投与の型の識別に関する情報を含み得る。
【0008】
別の局面によると、上記識別器は、バーコード、受動RFデバイス、磁気デバイス、不揮発性記録デバイスなどであり得る。
【0009】
別の局面によると、上記識別器は、上記ラインセットと結合したスライドクランプと一体化され得る。
【0010】
別の局面によると、上記送達デバイスは、上記ラインセットと結合したスライドクランプに受容されるように構成されたスライドクランプレセプタクルを備え得る。
【0011】
別の局面によると、上記認識システムは、上記スライドクランプレセプタクルと一体化され得る。
【0012】
別の局面によると、上記デバイスは、上記識別情報に基づいた構成であり得る。
【0013】
なお別の局面によると、上記デバイスは、上記識別器から上記識別情報が得られる場合に自動的に構成される。
【0014】
なお別の局面によると、上記デバイスは、構成により、上記識別情報に特異的に関連する機能性を有し得る。
【0015】
別の局面によると、使い捨て要素(例えば、MEMSポンプ)は、本発明のシステムにおいて利用され得る。
【0016】
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書において示される図面および記載された明細書(特許請求の範囲を含む)から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態での実施形態を許容するが、本発明の好ましい実施形態は、図面において示され、そして本明細書において詳細に記載される。本発明の好ましい実施形態は、本発明の原理の例示としてみなされるべきであり、そして本発明の広範な局面を、この例示される実施形態に限定するようには意図されないことが、理解される。
【0018】
図1を参照すると、医薬送達システムまたは医療用流体送達システム10が、概略的に示されている。このシステム10は、医療用送達デバイス12を備え、この医療用送達デバイス12は、付随するメモリ(M)と、プロセッサ(P)と入力デバイス(I)とを有するコントローラ(C)を備える。コントローラ(C)は、好ましくは、デバイス12と一体化されているが、コントローラ(C)がまた、デバイス12と分離され得るか、および/または別個であり得ることに注意すべきである。例えば、コントローラ(C)は、携帯情報端末(personal digital assistant(PDA))と結合され得るか、またはデバイス12と別個の他の外部計算機と結合され得る。
【0019】
再び図1を参照すると、システム10は、少なくとも1つの投与ラインセット14をさらに備える。この投与ラインセット14は、使い捨て部材または使い捨て要素が考えられ得る。ラインセット14は、患者に送達されるべき医薬17もしくは流体17を含む容器16と連絡し得る。ラインセット14と流体17を含む容器16との組み合わせは、ときに、投与キットと称される。容器16は、種々の異なる形態を取ることができ、そして好ましい実施形態において、この容器は、可撓性のバッグである。ラインセット14は、一般的に、容器16と接続されているかさもなければ容器16と連絡している末端と、患者と連絡するためのカテーテルまたは他のデバイスを有する別の末端とを有する、チューブを備える。デバイス12は、ラインセット14の一部分において作用し、流体17を患者に送達する。デバイス12は、種々の流体(例えば、非経口流体、薬物または他の医薬、電解質、血液および血液製剤など)を患者に送達し得る任意の型であり得る。流体17は、患者に送達され得る任意の流動可能な物質を備え得る。デバイス12は、種々の投与型(例えば、静脈内(IV)適用、動脈内(IA)適用、皮下適用、硬膜外適用、流体空間の洗浄用途など)を介して、一種以上の型の流体を患者に送達し得る。デバイス12の1つ好ましい形態は、例えば、米国特許第5,782,805号および同第5,842,841号(これらは、本明細書によって参考として援用され、そして本明細書の一部をなす)に開示されるような注入ポンプである。
【0020】
図1に示されるように、識別器18は、投与ラインセット14と結合され得る。識別器18はさらに、標識18と称され得る。識別器18は、ラインセット14に物理的に取り付けられ得るか、緩く結合され得るか、または近接し得る。識別器18はまた、ラインセット14と一体化され得るか、または別に取り付けられ得る。識別器18は、それに付随する識別情報を有する。識別情報は、識別コード、または複数のデータ構成要素から作られるデータセット、または単一の構成要素のデータを備えることができ、デバイス12が動作および患者の処置の実行において利用し得る任意の型の情報であり得る。好ましい実施形態において、識別情報は、患者、医薬もしくは流体17、ラインセット14の型、ラインセット14に関する投与の型、ラインセット14を形成する物質(例えば、PVC、非PVC)、および/または他の動作パラメータの識別に関する情報を含む。識別情報はまた、ラインセットのデュロメーター、ラインセットの寸法(例えば、外径データおよび内径データ)、微細な穴の情報、ならびに/またはラインセットを介して医薬を正確に送達するために必要な他のパラメータに関する情報を含み得る。医薬に関して、識別器18は、当該分野で公知であるような薬物識別番号のような識別情報を含み得る。識別器18はまた、以下に関する情報を含み得る:患者(例えば、患者の名前、年齢、性別、体重、アレルギー、疾患、状態など);ラインセット14の一部として(すなわち、容器16中に)接続された医薬(例えば、薬物/非薬物の型、名称、濃度など);およびラインセット14によって実行されるべき投薬治療(例えば、この投薬治療に必要なプロセスパラメータのいずれかまたは全てを含む)。このようなプロセスパラメータは、少なくとも以下:投薬の型、投薬の濃度、投薬の量、個々のボーラス体積、全体のボーラス体積、ボーラス速度、用量、ボーラス送達間のタイミング、ボーラスの最大数、単位時間当たりのボーラスの最大数、負荷用量体積、負荷用量速度、負荷用量時間、維持速度、維持体積、維持時間、維持用量、希釈液体積、および患者の体重、を含み得る。最後に、識別器18は、プロフィールデータに関する情報を含み得る。プロフィールデータとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:患者のプロフィールデータ(例えば、患者疼痛の状態、暦年齢、年齢群および在胎齢)、ならびに状態プロフィールデータ(例えば、医学的状態または医学的疾患状態(腎疾患、先天性心疾患、および肝不全が挙げられるがこれらに限定されない))。特定の投薬治療情報を含むことに加えて、識別器18はまた、一般的な投薬治療を含み得る。例えば、識別器18は、種々の投薬、投薬の分類、または患者の分類、および/または状態プロフィールに対して適用可能なプロセスパラメータおよびデータを含み得る。
【0021】
識別器18についての情報またはコードは、プログラミングデバイスによって提供されて、この識別器18にインストールされ得る。以下で非常に詳細に説明されるように、識別器18は、医療用デバイスに結合され得、この医療用デバイスは、識別器18の認識によって成立する。識別器18はまた、識別情報またはデータコードが後のシステムにおいてプログラミングデバイスによって再使用されることを可能にする、さらなる構成要素または識別ビットによってプログラムされ得る。このことはまた、以下の他の実施形態に関連して記載される。
【0022】
識別器18は、ラインセット14の製造によって、病院の薬局によって、またはいくつかの他の実体によって、ラインセット14に取り付けられ得る。識別器18が、製造元によってラインセット14に取り付けられる場合、このラインセットは、代表的に、まだ容器16を備えない。したがって、識別器18を有するラインセット14は、投薬の分類または群に対して適用可能な情報を有するものとして、予め作られて提供され得る。次いで、このラインセット14は、識別器18とともに、この分類内の医薬を有する容器16に取り付けられ得る。あるいは、ラインセット14は、高度にカスタマイズされて、上記で特定された多くの患者特異的プロセスパラメータおよび/または治療特異的プロセスパラメータを含み得る。このようなカスタマイズは、代表的に薬局によって行われる。薬局においては、特定の処方箋および治療の指示書が識別用識別器18に加えられる。
【0023】
識別器18は、任意の形態(例えば、バーコードもしくは他のIR技術、RFIDタグのようなRFID、問い合わせ(interrogate)され得る任意の他の受動RFデバイス、磁気保存デバイス、不揮発性メモリ、または他のデバイスもしくはシステムに情報を表し得、そしてそれらによって検索(retrieve)可能であり得る、任意の他のデバイスもしくは技術)であり得る。デバイス12は、識別器18を認識し得、そして/またはデバイス12によって使用するための識別情報を獲得もしくは検索し得る、認識システム20を備える。好ましい実施形態において、認識システム20は、コントローラ(C)の一部である。認識システム20の形態は、識別器18の特定の形態および関連する技術に依存する。例えば、識別器18がバーコードである場合、この認識システムは、IRであるか、またはバーコードを読み取りできる他の発光デバイスである。認識システム20の適切な形態は、識別器18の形態が決定される場合当業者に明らかであり、そして特定の形態の識別器18からの識別情報を獲得もしくは検索し得るあらゆる公知のデバイスおよび技術を包含する。識別器18および認識システム20は、一旦この識別器18が物理的接続または直面する関連なしに所定の認識システム20の近位にくれば、認識システム20がこの識別器18に付随する情報を認識および識別し得るように、使用され得ることが理解される。
【0024】
図2は、医療用送達システム30の形態の好ましい実施形態を示す。システム30は、注入ポンプ32、および患者に送達されるべき流体36を含む容器35に結合された、少なくとも1つの投与ラインセット34を備える。注入ポンプ32は任意の型の注入ポンプであり得ることに注意すべきである。(例えば、体積測定式注入ポンプ、蠕動式ポンプ、カセット式ポンプ、シリンジ式ポンプ、またはMEMS(微量電気機械式システム)ポンプが挙げられる)。注入ポンプ32は、好ましくは、プログラムされて、ソフトウェアを利用して、および/またはファームウェアを利用して、ポンプ32の動作および機能を促進させ得る、マイクロプロセッサベースのポンプである。ソフトウェアは、好ましくは、ポンプ32のコントローラ(C)中に常駐するコンピュータで読み取り可能な保存媒体(例えば、メモリ(M)など)に保存される。ラインセット34は、ポンプ32によって係合されてポンプ32への流体36の流れを促進する、流体チューブ38を備える。このシステム30は、図2において、3つの投与ラインセット34を有するものとして示されているが、単一のラインセットおよび単一のチャネルポンプが使用され得る。ポンプ32は、種々の投与型(例えば、静脈内(IV)適用、動脈内(IA)適用、皮下適用、硬膜外適用、流体空間の洗浄用途など)を介して、1種以上の型の流体を患者に送達し得る。流体の型としては、例えば、非経口流体、薬物もしくは他の医薬、電解質、血液および血液製剤などが挙げられ得る。この特定の実施形態において、ポンプ32は、3つのチャネル40を備え、各々は、ラインセット34のうちの1つのチューブ38を受容するように構成されている。当業者に周知であるように、ポンプのチャネル40は、容器35から、ラインセット34のチューブ38を介して、患者へと流体36を送達するように動作する。投与ラインセット34の各々は、図3でより詳細に示されるようなスライドクランプ42を備える。スライドクランプ42は、ラインセットのチューブ38を係合して、チューブ38がポンプチャネル40と結合したチューブレセプタクル43にロードされるまで、チューブを通る所望しない流れを防ぐように構成されている。このポンプは、チャネル40の各々に対してスライドクランプレセプタクル44を備える。
【0025】
1つの好ましい実施形態において、スライドクランプ42は、上記のように、識別器18を備える。スライドクランプ42と識別器18とはまた、使い捨てであることが考えられ得る。スライドクランプ42の識別器18は、任意の形態(例えば、例えば、バーコード(一次元もしくは二次元バーコードが挙げられるが、これらに限定されない)もしくは他のIR技術、RFIDタグのようなRFID、問い合わせされ得る任意の他の受動RFデバイスもしくはトランスポンダー、磁気保存デバイス、不揮発性メモリ、またはポンプ32に対して識別情報を表し得、そしてポンプ32によって検索可能であり得る、任意の他のデバイスもしくは技術)であり得る。ポンプ32は、識別器18を認識し得、そして/またはポンプ32により使用するための識別情報を獲得もしくは検索し得る、上記のような認識システム20を備える。好ましい実施形態において、識別器18は、図3に示されるような、スライドクランプ42上のバーコード50であり、そして認識システム20は、バーコード50に問い合わせでき、そしてポンプ32により使用するための識別情報を得ることができる、バーコードリーダーである(好ましい実施形態においては、クランプレセプタクル44に組み込まれている)。好ましい実施形態において、この識別情報は、医薬36もしくは流体36、ラインセット34の型、ラインセット34に関する投与の型、および/または他の所望される情報(例えば、患者の年齢もしくは他の患者データ、治療の型、疾患の型、および患者の状態の型など)の識別に関する情報を含む。識別器18がスライドクランプ42の多くの異なる位置に配置され得ることが、さらに理解される。したがって、認識システム20は、識別器18またはスライドクランプ42の位置に基づいて配置される。
【0026】
ポンプ32が識別器18からの識別情報を得る場合、ポンプ32は、多くの方法(ポンプの操作を変更するためを含む)で、この情報を利用し得る。例えば、一旦ポンプ32が識別情報を得た場合、ポンプ32は、この識別情報に従って構成され得る。好ましい実施形態において、ポンプ32は、識別器18から識別情報が得られる場合に自動的に構成されるか、またはこの情報の獲得に応じて構成される。構成は、ポンプ32の任意の数の動作パラメータおよび/またはユーザインターフェースの、設定および/または実行を含み得る。例えば、構成において、ポンプ動作システムは、例えば、識別情報に特別に関連する特定の機能を追加または使用可能にすることによって、特定の機能の有効性を変更され得る。例えば、構成は、特定の型の投与、流体もしくはラインセットについて利用可能であるのみであるべき機能を使用可能にすることを含み得る。逆に、ポンプ動作システムは、特定の型の投与、流体もしくはラインセットについての機能を使用不可能にすることによって、特定の機能の有効性を変更し得る。例えば、識別器18は、使用されるべきラインセット34の型(例えば、硬膜外)を識別する情報を含み得る。ラインセット34が硬膜外ラインセットであるという識別に基づいて、ポンプ32のその後の動作および患者の処置は、この初期の識別によって規定され得る。ポンプ32はまた、ラインセット34を形成する物質の型の認識に基づいて動作するように構成され得る。
【0027】
本発明の構成の局面は、医療用送達システムの状況の範囲内で、多くの適用を有し得る。特定の構成のいくつかの例が本明細書において記載されているが、本発明の基本原理に基づいて、単独もしくは組合せで達成可能な多くの他の潜在的な構成が存在すること、そして具体的に記載されていないが、それにもかかわらず、それらの潜在的な構成のこれらの原理の適用に照らして、それらの潜在的な構成が本発明の範囲内であることが意図されることを、理解すべきである。
【0028】
本発明の原理によると、ポンプ32のコントローラ(C)は、所定の識別情報に付随する構成情報のセット(メモリ(M)に予めロードされている)に基づいてポンプの構成を促進するように構成され得る。このような場合、認識システムは、投与ラインセットに結合した識別器から識別情報を受け、そしてプロセッサは、所定の識別情報と受容した識別情報との比較に基づいて、受容した識別情報に付随する構成情報のセットを検索する。受容した識別情報と所定の識別情報との間の適合により、プロセッサは、構成情報のセットに基づいてコントローラを構成する。適合基準は、多くの方法で規定され得る(例えば、ラインセットの型、またはラインセットに関する投与の型の間の適合)。適合基準はまた、識別情報に付随する特定のパラメータまたは値の識別(例えば、所定の範囲に収まるパラメータまたは値の識別)によって規定され得る。保健医療施設が、所定の識別情報、適合基準、および/または予めロードされる構成情報またはプロフィールのセットを規定することによって、ポンプのコントローラをカスタマイズし得ることが企図される。
【0029】
特定の例において、識別情報に基づいてポンプ32の特徴および機能の有効性を変更すること(例えば、特定の識別情報もしくは他の基準に関して、ポンプ32に対して機能を追加すること、またはポンプ32における機能を使用可能にすること)が所望され得る。例えば、追加された機能は、識別情報に特別に関連するメッセージを出すこと(例えば、特定の型の流体または投与ラインセットの独自の特徴に関して、ユーザにメッセージを出すこと)を含み得る。追加された機能はまた、特定の流体の投与のための指針(例えば、特定の薬物の推奨される投与についての指針)のセットに、ユーザによってアクセス可能であることを含み得る。追加された機能はまた、所定の規定に関する指針のセット(例えば、病院による、ラインセットの変更に関する規定のセット)に、ユーザによってアクセス可能であることを含み得る。機能は、通知を(例えば、特定の流体に関する投与の型のユーザへの通知)含み得る。特定の例において、ユーザを特定の情報の型(例えば、識別情報によって識別される薬物に関する薬物プロトコール、)にむすびつけることを含む機能を提供することを所望され得る。この例では、プロトコールは、薬物に特異的な投薬および投与に関する情報を含み得る。他の例では、警告(warning)システムを含む機能を追加することを所望され得る。この機能は、特定の薬物の識別に基づく薬物不適合性についての警報を含み得る。いくつかの例において、警報増大機能を含む機能を追加することが、また所望され得る。この機能は、介護者によって警報が対処されない場合、処置に関する特定の事象に関する警報の増大を提供する。また特定の例において、識別情報に基づいて、ポンプ32から機能を除去すること、またはポンプ32において機能を使用不可能にすることが所望され得る。例えば、識別情報に基づいて、特定の機能が使用不可能にされ得る(例えば、投与の型の識別に基づいて機能を使用不可能にすること)。より特定の例として、自動ピギーバッグ機能は、硬膜外投与型の識別に基づいて、ポンプ32において使用不可能にされ得る。
【0030】
構成は、システムの調節または変更を含み得る。例えば、識別情報に基づいて、ポンプ32の感知システムに対する調節が所望され得る。
【0031】
構成が、処置システムの識別(例えば、容器、流体、ラインセットおよび/または投与型の特定の組み合わせ(例えば、投与ラインセットのキット)の識別)に基づいて機能を備え得ることが、また企図される。このような例においては、処置システム特異的な機能が追加され得る(例えば、特定の組み合わせに関する通知または指針の追加)。例えば、特定の流体容器とラインセットとの組み合わせ(例えば、特定のラインセットキットを含む組み合わせ)は、その特定の組み合せのみに適用可能な特定の指針を有し得る。
【0032】
構成はまた、この構成に基づくポンプ32のユーザインターフェース46(図2に示される)に対する変更を含み得る。例えば、図4に示されるように、追加された機能は、ポンプ32のディスプレイ48上に1つ以上のソフトキー60の追加を必要とし得る。追加された機能に基づいて、特定の標示、メッセージまたは他の情報がまた、ディスプレイ48上において、ディスプレイ48の表示領域62内に提供され得る。逆に、特定の機能が使用不可能にされた場合、特定のソフトキー60は、「灰色にされて消され」得るかまたは除去され得、そして特定の標示または情報は、表示領域62内から除去され得る。表示領域62は、より小さい部分領域にさらに分割され得、この部分領域はさらにカスタマイズされ得る。あるいは、ソフトキー60は、ポンプ32のユーザインターフェース46上でハードキー(示さず)についての標示として働き得ることに注意すべきである。識別情報に基づいてポンプ32のユーザインターフェースがカスタマイズされる場合、多数の潜在的エラーの源が除外され得ることは、明らかであるはずである。
【0033】
識別器18についての識別情報はまた、診断用途において使用され得る。例えば、情報は、ポンプ32に対して、特定の試験または診断ルーチンが行われるべきであることを示し得る。識別器18が診断ラインセットに結合され得ることが、また企図される。この場合、診断ラインセットがポンプ32にロードされ、そしてポンプ32が、診断ラインセットがロードされたことを示すものとして識別情報を認識する場合、ポンプ32における特定の動作パラメータ、機構および警報が、適切な動作に関して評価され得る。例えば、診断ラインセットに結合された識別器18が、点検を行うようにポンプ32を指示し、そして関連する警報が適切に作動する状態であることを確認し得る。診断投与キットは、試験に使用されるべき特定の流体を含む容器を含み得る。このような場合、一旦ポンプ32が診断キットに付随する識別器18を認識した場合、ポンプ32は一連の点検を実行し得、特定の流体に基づいたポンプ32の予測される動作パラメータが、診断基準として使用され得る。
【0034】
図5は、本発明のシステムの別の実施形態(概括的に、参照数字100として示される)を示す。上記実施形態と同様に、システム100は、使い捨て可能な要素および識別器を利用する。1つの好ましい実施形態において、使い捨て要素(例えば、使い捨てポンプ)が利用される。使い捨てポンプは、微量ポンプもしくはMEMS(微量電気機械式システム)ポンプ、または他の型の使い捨てポンプであり得る。図5に示されるように、システム100は、一般的に、医療用デバイス112、好ましくはMEMSポンプ、投与ラインセット114および容器116を備える。システム100はまた、任意のシステムの任意の形態を取り得る(例えば、同一出願人の米国特許出願第10/040,887号(発明の名称「Infusion システム」)(上記出願は、本明細書において明確に参考として援用される)に開示されるような形態)。
【0035】
容器116は、上記の容器16と類似する容器である。1つの好ましい実施形態において、容器116は、薬物(medication)または医薬(例えば、医療用流体)を含有するように適合されている可撓性のバッグである。投与ラインセット114は、上記ラインセット14に類似する。ラインセット114は、一端が容器116と接続されているか、さもなければそれに連絡されており、そして別の端が患者に連絡するためのカテーテルもしくは他のデバイスを有するチューブを備える。
【0036】
図5にさらに示されるように、MEMSポンプ112は、ラインセット114と作動可能に結合されている。MEMSポンプ112は、種々の構成でラインセット114に接続され得る。例えば、MEMSポンプ112は、入口ポート120および出口ポート122を有し得、MEMSポンプ112は、ラインセット114の中間部分で接続されている。したがって、ラインセット114の一部分は、入口ポート120に接続されており、そしてラインセット114の一部分は、出口ポート122に接続されており、MEMSポンプ112は、ラインセット114に作動可能に接続されている。一旦適切に接続されると、MEMSポンプ112は、容器116からの流体を、ラインセット114を介して、患者までポンプで送り得る。使い捨てポンプ112は、ラインセット114の下部にさらに組み込まれ得るか、さもなければラインセット114との一体型形態を取り得る。
【0037】
考察されるように、ポンプ112は、MEMSポンプ112であり得る。MEMSデバイスは、代表的に、シリコーンでエッチングされている。MEMSがまた他の型の微量電気機械式システムデバイス(例えば、プラスチックで微小成形されたデバイス)を説明してもよいことが、さらに理解される。したがって、MEMSデバイスは、シリコーンでエッチングされたデバイス、プラスチックで成形されたデバイス、または別の方法で小規模に加工されたデバイスを含み得る。
【0038】
システム100はまた、識別器118を使用し得る。1つの好ましい実施形態において、識別器118は、MEMSポンプ112と結合されるか、さもなければ接続される。しかし、識別器118がまた他の要素とも結合し得、そして他の配置でも接続され得ることが、理解される(例えば、図5に示されるような使い捨てラインセット114)。識別器118は、上記に類似し、そして上記のように、任意の情報もしくは識別標識もしくはデータを含み得る。
【0039】
システム100はさらに、コントローラ130を使用し得る。コントローラ130は、MEMSポンプ112と作動可能に結合される。コントローラ130は、ワイヤレス接続を介してMEMSポンプ112と連絡し得る。あるいは、ハード接続が利用され得、MEMSポンプ112は、コントローラ130にプラグで接続され得る。コントローラ130が、MEMSポンプ112の一部として一体型であり得ることが、さらに理解される。コントローラ130が、ネットワーク通信リンクを介してポンプ112を制御し得る、別個の携帯型(hand−held)コンピュータまたは別個のネットワークコントローラであり得ることが、さらに理解される。上記と同様に、コントローラ130は、認識システム132を有する。認識システム132は、識別器118に含まれるデータを認識し得る。
【0040】
認識システム132は、識別器118と協働してシステム100を動作させ得る。例えば、識別器118は、MEMSポンプ112と接続されたラインセット114の型を識別する情報を含み得る。識別器118は、上記のように、他の型の情報をさらに含み得る。識別器118に含まれる情報はまた、MEMSポンプ112の動作の制御において、コントローラ130を指示する機能に関するデータを含み得る。別個の患者ケアシステムによって使い捨て要素(MEMSポンプ112)が作動させられ得ることが、さらに理解される。
【0041】
使い捨て要素が種々の異なる形態を取り得ることが理解される。使い捨て要素は、MEMSポンプ112もしくはラインセット114、または両要素の組み合わせとみなされ得る。さらに、他の型のMEMS構成要素もまた、システム100において使用され得る。
【0042】
図6は、本発明のシステムの別の実施形態(概括的に参照数字200として示される)を開示する。上記の実施形態と同様に、システム200は、使い捨て要素および識別器を利用する。図5のシステム100と同様に、MEMS構成要素(例えば、MEMSポンプ)が利用される。図6に示されるように、このシステム200は、一般的に、医療用デバイス 212、好ましくはMEMSポンプ212、投与ラインセット214、および容器216を備える。このシステムは、プログラミングデバイス220およびコントローラ230をさらに備える。
【0043】
上記のシステムと同様に、識別器218は、使い捨て要素と結合される。図6の好ましい実施形態において、識別器218は、MEMSポンプ212と結合されており、そして上記のようなデータを含み得る。図6にさらに示されるように、プログラミングデバイス220は、所望されるデータ、識別コードもしくは他の識別用情報で識別器218をプログラムするために利用される。プログラミング機能の一部として、プログラミングデバイス220は、システム200の別個の段階で使用されるべきさらなる識別構成要素で、識別器218をプログラムし得る。識別器218が、公知であるようなメモリを有するデバイスであり、そして再構成可能であり得るか、再設定可能であり得るか、もしくは変更可能であり得ることが理解される。一旦プログラミングデバイス220によってプログラムされた場合、MEMSポンプ212は、コントローラ230によって作動させられ得る。コントローラ230は、例えば、病院の設定で動かされる患者ケアシステム全体の一部であり得る。一実施形態において、コントローラ230は、携帯型コンピュータ(例えば、携帯情報端末)の形態であり得る。コントローラ230は、識別器218を認識して、ポンプ212を作動させる。一旦作動させられると、コントローラ230は、MEMSポンプ212を制御し、ポンプ212は、患者に薬物(medication)を送達するように動作する。ポンプ212は、所定の事象を認識する(例えば、流体がほぼ実質的に容器216からポンプ送りされる場合、ほぼ空の容器を規定する)能力を有する。例えば、MEMSポンプ212によって感知される所定の圧力に一旦達した場合、MEMSポンプ212がシャットダウンされ得る。一旦MEMSポンプ212がシャットダウンすると、この状態は、識別器218によってメモリに保存されているか、または別個のメモリデバイス中の別の位置に保存されている、さらなる識別構成要素を誘起し、MEMSポンプ212がシャットダウンしたことを示すように、このさらなる識別構成要素の状態を変更する。したがって、ポンプ212が容器216が空であることを認識する場合、このさらなる識別構成要素は、メモリにおける状態を変化し、そして作動されているとみなされ得る。作動によって、このさらなる識別構成要素が認識され得る。この認識は、種々の形態を取り得る。例えば、一実施形態において、シグナルは、コントローラ230および/またはプログラミングデバイス220に連絡されて戻り、プログラミングデバイス220に対して、元の識別データがシステム200のその後の動作において再使用され得ることを示す。あるいは、コントローラ230および/またはプログラミングデバイス220は、(例えば、ポンプ212における識別器218における)その位置からさらなる情報構成要素を引き出し得るか、または読み取り得る。したがって、このさらなる識別構成要素は、識別器218に、再使用可能な識別構成要素を含むことを許容する。さらに、識別器218は、設定可能、そして再設定可能であり得るか、または構成可能、そして再構成可能(例えば、変更可能)であり得る。一実施形態において、識別器218は、RFID識別器である。構成要素はまた、任意の形態の電気的に変更可能な不揮発性のメモリを含み得る。連絡が、プログラミングデバイス220に対して直接的であり得るか、またはコントローラ230を介して連絡され得ることが理解される。上記さらなる識別構成要素、またはさらなる情報ビットを用いることによって、識別コードは、システムの全体的な動作を増強するために再使用され得る。また、上記の所定の事象はまた、コントローラが注入療法の終わりを示す場合(容器に残った医薬の量とは独立)のような事象であり得ることが理解される。
【0044】
上記さらなる識別構成要素は、新たなシステム構成要素のセットを用いた新たな注入療法のために再使用され得るが、このシステムが、このさらなる識別構成要素が、元の治療での構成要素と同じ構成要素とともに使用されることを許容しないように構成され得ることが、さらに理解される。したがって、このさらなる識別構成要素と、例えば、最初の注入療法において使用された使い捨てMEMSポンプとは、第二の注入療法においては一緒に再使用され得ない。これが達成されたならば、システムは、第二の注入療法のためには動作しない。このさらなる識別構成要素は、新たな治療のための新たな構成要素とともにのみ使用され得る。
【0045】
さらなる特徴が、上記の任意の実施形態によって利用され得る。考察されるように、容器16、ラインセット14、およびを識別器18備え得るキットが形成され得る。識別器18は、容器16およびラインセット14のいずれかと結合され得るか、または接続され得る。いくつかの実施形態において、容器16は、予め取り付けられた薬物容器(例えば、バイアル)を有する、予め取り付けられた再構成デバイスを備え得る。この再構成デバイスは、容器16中の流体17によって薬物を再構成するために作動され得る。識別器18がまた、再構成デバイスに予め取り付けられたバイアルに関する情報を含み得ることが理解される。別の実施形態において、使い捨てポンプ(例えば、微量ポンプもしくはMEMSポンプ)はまた、ラインセット14に接続されて、キットの一部とみなされ得る。このようなキットに付随する識別器18は、システムの全体的な適切な動作のために、上記の情報のいずれかを有し得る。なお別の実施形態において、容器16またはキットに付随する容器16は、予め混合された医薬17を備え得る。予め混合された医薬17に関連する識別器18は、それに関する有効期限を有し得る。このようなキットとともに使用される送達デバイスまたはポンプは、識別器18およびポンプの動作の日付を認識する認識システムを有する。ポンプは、この認識システムが、動作日が認識された有効期限後の日付であることを決定する場合は、ポンプが動作しないように構成される。したがって、ポンプの認識システムが有効期限を読み取る場合、ポンプは、動作せず、有効期限切れ医薬の標示を示す。好ましい実施形態において、システムはまた、このシステムに動作可能に結合された、有効期限切れ医薬を検出する場合に警報を発する警報システムを備える。この警報は、任意の異なる形態を取り得、可聴式構成要素、可視的構成要素、または両方の組み合わせを有し得る。
【0046】
本発明において利用されるポンプが、安全ソフトウェアを組み込むことがさらに理解される。この安全ソフトウェアは、基本的不具合の警報を発し得、ここでポンプは、ポンプを通る医薬の自由な流れのないフェイルセーフ状態をとる。種々のソフトウェア/ポンプ構成が利用され得る。例えば、あらゆるソフトウェアが、ポンプヘッド上に配置され得るか、またはあらゆるソフトウェアが、ポンプヘッド上から外れて配置され得るか、またはポンプヘッドから遠く離れて配置され得る。さらに、あらゆるソフトウェアが、ポンプヘッド上に配置される特定の安全ソフトウェアを除いて、ポンプヘッド上から外れて配置され得る。
【0047】
(具体例)
本発明の原理の適用の2つの具体例がここに記載される。
【0048】
第一の例において、識別器を有する投与ラインセットがポンプ中にロードされる。ポンプ上のスライドクランプレセプタクル中へのスライドクランプの挿入により、ポンプの認識システムは、識別器からの識別情報を得る。この例において、識別情報は、ポンプに対して、ポンプ中にロードされたラインセットに関する投与の型が腸内型であることを示す。腸内投与型の識別に基づいて、ポンプソフトウェアは、腸内投与に関する投与ラインセットプロフィールのセットのうちの1つに基づいて、腸内投与のためのポンプの構成を実施する。この特定の例において、体積履歴の記録は、ポンプによって可能となる。
【0049】
第二の例においては、識別器を有する投与ラインセットがポンプにロードされる。ポンプ上のスライドクランプレセプタクル中へのスライドクランプの挿入により、ポンプの認識システムは、識別器からの識別情報を得る。この例において、識別情報は、ポンプに対して、ポンプ中にロードされたラインセットに関する投与の型が硬膜外型であることを示す。硬膜外投与型の識別に基づいて、ポンプソフトウェアは、硬膜外投与のためのポンプの構成を実施する。この場合では、ポンプは、流体の連続的滴下、ポンプのピギーバッグ特性を使用不可能にすること、ポンプのエアラインセンサを使用不可能にすること、およびポンプの閉塞検出特性を使用不可能にすることを含む機能を、使用可能にする。
【0050】
本発明が、本発明の精神または中心的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施され得ることを理解すべきである。したがって、本実施形態は、あらゆる観点において、例示であって限定ではないとみなされるべきであり、本明細書において示される詳細に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の原理に従う医療用送達システムの概略的模式図である。
【図2】図2は、図1に概略的、模式的に示される医療用送達システム特定の実施形態の模式図である。このシステムは、医療用注入ポンプを備える。
【図3】図3は、本発明の原理に従う投与ラインセットとともに使用するためのスライドクランプの斜視図である。
【図4】図4は、図2に示される医療用ポンプのディスプレイの概略的スクリーンショットである。このディスプレイは、上記ポンプによって得られる識別情報に従って構成され得る、種々の分野の表示を示す。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従う医療用送達システムの模式図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従う医療用送達システムの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て部材であって、要素、および該要素と結合し、そして該要素を識別する識別器を備え、該要素は、医療用デバイスに作動可能に結合されるように適合されており、該識別器は、該デバイスによって認識されるように適合されている、使い捨て部材。
【請求項2】
請求項1に記載の部材であって、前記識別器が前記要素と別個に接続されている、部材。
【請求項3】
請求項1に記載の部材であって、前記識別器が前記要素と一体化されている、部材。
【請求項4】
請求項1に記載の部材であって、前記識別器が機械で読み取り可能な標識を有する、部材。
【請求項5】
請求項1に記載の部材であって、前記識別器がバーコードである、部材。
【請求項6】
前記要素がラインセットである、請求項1に記載の部材。
【請求項7】
前記識別器が、ラインセットの型を識別する、請求項6に記載の部材。
【請求項8】
前記ラインセットが、静脈内ラインセット、動脈内ラインセット、皮下ラインセット、硬膜外ラインセット、および流体空間洗浄ラインセットのうちの少なくとも1つを備える、請求項7に記載の部材。
【請求項9】
前記要素が、前記デバイスに直接的に接続されるように適合されている、請求項1に記載の部材。
【請求項10】
前記識別器が、前記要素を形成する物質を識別する、請求項1に記載の部材。
【請求項11】
前記要素が、スライドクランプである、請求項1に記載の部材。
【請求項12】
請求項1に記載の部材。
前記スライドクランプが、ラインセットに接続されており、該スライドクランプとラインセットとが、前記医療用デバイスによって係合されるように適合されている、請求項11に記載の部材。
【請求項13】
前記医療用デバイスが、医薬送達デバイスである、請求項1に記載の部材。
【請求項14】
前記医薬送達デバイスが、注入ポンプである、請求項13に記載の部材。
【請求項15】
前記要素がラインセットであり、前記識別器が、該ラインセットを形成する物質を識別し、該識別器が、前記デバイスに対して、該識別器を認識する該デバイスに基づいた所定の様式で作動することを指示するように適合されている、請求項1に記載の部材。
【請求項16】
患者に医薬を送達するための医療用送達デバイスとともに使用するための、投与ラインセットであって、該ラインセットは、以下:
該医薬を含む容器と接続可能であるように構成されている、少なくとも1つのチューブ;および
該チューブと結合した識別器であって、該識別器は、それに付随する識別情報を有し、該識別器は、該送達デバイスと結合した認識システムによって認識されるように構成されており、該認識システムは、該識別器に付随する識別情報を得ることができる、識別器、
を備える、ラインセット。
【請求項17】
前記識別情報が、前記チューブに関する情報を含む、請求項16に記載のラインセット。
【請求項18】
前記識別器が、チューブの型を識別する、請求項16に記載のラインセット。
【請求項19】
前記識別情報が、投与の型に関する情報を含む、請求項16に記載のラインセット。
【請求項20】
前記投与の型が、静脈内(IV)投与、動脈内(IA)投与、皮下投与、硬膜外投与、および流体空間洗浄投与のうちの1つである、請求項19に記載のラインセット。
【請求項21】
前記識別器が、バーコード、受動RFデバイス、磁気デバイス、および不揮発性メモリデバイスのうちの1つである、請求項16に記載のラインセット。
【請求項22】
前記識別器が、前記チューブに結合したスライドクランプと一体化している、請求項16に記載のラインセット。
【請求項23】
患者に医薬を送達するための医療用送達デバイスとともに使用するための、使い捨て部材であって、該部材は、医薬を含む容器と接続可能であるように構成されたラインセット、および該ラインセットと結合したスライドクランプを備え、該スライドクランプは、その上に識別器を備え、該識別器は、それに付随する識別情報を有し、該部材は、該送達デバイスに結合した認識システムによって認識可能であるように構成されており、該認識システムは、該識別器に付随した該識別情報を得ることができる、使い捨て部材。
【請求項24】
前記識別器が、前記スライドクランプに取り付けられたバーコードである、請求項23に記載の部材。
【請求項25】
使い捨て要素と協働するように適合されている、医療用デバイスであって、該要素は、それに結合した識別器を有し、該デバイスは、それに結合した認識システムを有し、該システムは、該識別器を認識するように構成されている、デバイス。
【請求項26】
前記デバイスが、医薬送達デバイスを含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記医薬送達デバイスが、注入ポンプである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記認識システムが、前記デバイスに直接的に結合されている、請求項25に記載のデバイス。
【請求項29】
前記認識システムが、機械で読み取り可能な標識を読み取ることができる、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記認識システムが、バーコードリーダーを含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項31】
患者に医薬を送達するための装置であって、該デバイスは、使い捨て可能な要素と協働するように適合されており、該要素は、それに結合した識別器を有し、該装置は、医薬送達デバイスを備え、該医薬送達デバイスは、該デバイスに結合し、かつ該識別器を認識するように適合された認識システムを有する、装置。
【請求項32】
患者に医薬を送達するための医薬送達システムであって、該システムは、以下:
該医薬を含む容器に接続されるように適合されている、ラインセット;
該ラインセットに結合された識別器であって、それに付随する識別情報を有する、識別器;および
該ラインセットに係合されるように構成されており、そして該患者に該医薬を送達する、送達デバイスであって、該送達デバイスは、該識別器に関する識別情報を得ることができる認識システムを備える、送達デバイス
を備える、システム。
【請求項33】
前記識別情報が、前記デバイスと前記ラインセットとの間の係合により、該デバイスによって獲得される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記送達デバイスが、注入ポンプを備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記識別情報が、前記医薬に関する情報を含むように適合されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記ラインセットが、前記医薬につながるように適合されており、該医薬が、非経口用流体、薬物、電解質、血液、および血液製剤のうちの1つである、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
前記識別情報が、投与の型に関する情報を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項38】
前記識別情報が、前記ラインセットについての情報を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記識別器が、バーコード、受動RFデバイス、磁気デバイス、および不揮発性メモリデバイスのうちの1つである、請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
前記ラインセットが、スライドクランプを有し、前記識別器が、該スライドクランプと一体化されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項41】
前記識別器が、前記スライドクランプ上に配置されたバーコードである、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記送達デバイスが、前記スライドクランプに受容されるように構成されたスライドクランプレセプタクルを備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記認識システムが、前記スライドクランプレセプタクルと一体化されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
患者に医薬を送達するための医薬送達システムであって、該システムは、以下:
該流体を含む容器に接続されるように適合されている、ラインセット;
該ラインセットに結合された識別器であって、それに付随する識別情報を有する、識別器;および
該ラインセットを係合するように構成されており、そして該患者に該医薬を送達する送達デバイスであって、該送達デバイスは、該送達デバイスが該ラインセットに係合される場合に該識別器に関する識別情報を得ることができる認識システムを備える、送達デバイス
を備える、システム。
【請求項45】
前記識別器が、前記ラインセット上に配置されたスライドクランプである、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記送達デバイスが、スライドクランプレセプタクルを有し、該送達デバイスは、前記スライドクランプが該レセプタクルに挿入される場合に、前記ラインセットを係合する、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記認識システムが、前記スライドクランプレセプタクルと結合し、そして該認識システムは、前記スライドクランプの該レセプタクルへの挿入に応じて前記識別情報を得る、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
患者に流体を送達するための医療用流体送達システムであって、該システムは、以下:
該流体を含む容器に接続されるように適合されている、ラインセット;
該ラインセットに結合され、かつ識別情報を含む識別器を有する、スライドクランプ;および
該スライドクランプおよび結合したラインセットを係合して、該患者への該流体の送達を促進するように構成されている、送達デバイスであって、該送達デバイスは、該送達デバイスが該スライドクランプを係合する場合に、該識別器からの該識別情報を獲得し得る認識システムを備える、送達デバイス
を備える、システム。
【請求項49】
識別情報を認識するための方法であって、以下の工程:
使い捨て要素と結合するように構成された識別器を提供する工程であって、該識別器は、識別情報を有する、工程;
医療用デバイスを提供する工程であって、該デバイスは、該識別器からの識別情報を獲得し得るシステムを有する、工程;
該医療用デバイスの近位に該識別器を配置する工程;および
該配置する工程に応じて、該識別情報を得る工程
を包含する、方法。
【請求項50】
投与ラインセットに関連する識別情報を認識するための方法であって、該方法は、以下の工程:
該ラインセットと結合し、かつ識別情報を有する識別器を提供する工程;
送達デバイスを提供する工程であって、該デバイスは、該識別器からの識別情報を獲得し得るシステムを有する、工程;
該ラインセットと該送達デバイスとを係合する工程;および
係合によって、該識別情報を得る工程
を包含する、方法。
【請求項51】
患者に医薬を送達するための医療用送達デバイスとともに使用するための投与キットであって、該キットは、以下:
該医薬を含む容器;
該容器に接続されたラインセット;および
該ラインセットおよび該容器のうちの1つに結合された識別器であって、それに付随する識別情報を有し、該識別器は、該送達デバイスの認識システムによって認識可能であるように構成されており、該認識システムは、該識別器に付随する識別情報を得ることができる、識別器
を備える、キット。
【請求項52】
前記識別情報が、投与の型に関する情報を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記投与の型が、静脈内(IV)、動脈内(IA)、皮下、硬膜外、および流体空間洗浄からなる群より選択される、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記識別情報が、前記ラインセットに関する情報を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項55】
前記識別器が、バーコード、受動RFデバイス、磁気デバイス、および不揮発性メモリデバイスのうちの1つである、請求項51に記載のキット。
【請求項56】
前記識別器が、前記ラインセットに結合したスライドクランプと一体化されている、請求項51に記載のキット。
【請求項57】
前記識別器が、前記スライドクランプに接続されたバーコードである、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
患者に医薬を送達するためのシステムであって、該システムは、識別器を認識し得るシステムを有する送達デバイスを有し、該デバイスは、該デバイスに関する操作日をさらに有し、該システムは、以下:
該送達デバイスと作動可能に結合されるように適合されている、医薬の容器、
を備え、該容器は、それに結合する識別器を有し、該識別器は、医薬に関する有効期限を有し、該識別器は、該デバイスによって認識されるように適合されており、そして該デバイスは、該デバイスの該操作日が該有効期限後の日付である場合には動作しない、
システム。
【請求項59】
前記デバイスの前記操作日が前記有効期限後の日付である場合に、警報が発せられる、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
患者に医薬を送達するためのシステムであって、前記医薬は、容器に含まれており、該容器は、それに結合する識別器を有し、該識別器は、該医薬に関する有効期限を有し、該システムは、以下:
該識別器を認識し得るシステムを有する送達デバイス
を備え、該システムは、該識別器を認識するように適合されており、そして該デバイスは、該デバイスの該操作日が該有効期限後の日付である場合には動作しない、
システム。
【請求項61】
請求項60に記載のシステムであって、該送達デバイスと作動可能に結合された警報システムをさらに備え、該警報システムは、前記デバイスの前記操作日が前記有効期限後の日付である場合に、警報を発し得る、システム。
【請求項62】
MEMSポンプであって、該ポンプに結合し、かつ該ポンプを識別する識別器を有し、該ポンプは、別のデバイスと作動可能に結合するように適合されており、前記識別器は、該他のデバイスによって認識されるように適合されている、ポンプ。
【請求項63】
患者に医薬を送達するためのMEMSポンプであって、該ポンプは、ラインセットと協働するように適合されており、該ラインセットは、それに結合する識別器を有し、該ポンプは、該ポンプに結合され、かつ該識別器を認識するように適合されている認識システムを有する、ポンプ。
【請求項64】
前記認識システムが、該ポンプに物理的に接続されている、請求項63に記載のポンプ。
【請求項65】
前記認識システムが、該ポンプと一体化されている、請求項63に記載のポンプ。
【請求項66】
前記認識システムが、ワイヤレス接続を介して該ポンプにつながる、請求項63に記載のポンプ。
【請求項67】
患者に医薬を送達するための医薬送達システムであって、該システムは、以下:
該医薬を含む容器に接続されるように適合されている、ラインセット;
該ラインセットと結合した識別器であって、それに付随する識別情報を有する、識別器;および
該ラインセットに接続されたMEMSポンプであって、該ポンプは、該識別器に関連する識別情報を獲得し得る認識システムを備える、ポンプ
を備える、システム。
【請求項68】
使い捨て要素であって、プログラミングデバイスおよびコントローラと連絡するように適合されており、該使い捨て要素は、該要素と結合され、かつ識別情報を有する識別器を有し、該要素は、該プログラミングデバイスによって該識別器にプログラムされる、さらなる情報構成要素をさらに有し、該要素は、該コントローラと作動可能に結合するように適合されており、ここで、所定の事象において、該さらなる情報構成要素は、変更状態を仮定し、そして該さらなる情報構成要素は、該識別情報が再使用され得ることを示すように認識され得る、要素。
【請求項69】
前記さらなる情報構成要素が、前記識別器に配置されている、請求項68に記載の要素。
【請求項70】
前記さらなる情報構成要素が、前記プログラミングデバイスによって認識されるように適合されている、請求項68に記載の要素。
【請求項71】
前記さらなる情報構成要素が、前記コントローラによって認識されるように適合されている、請求項68に記載の要素。
【請求項72】
MEMSポンプであって、プログラミングデバイスおよびコントローラと連絡するように適合されており、該MEMSポンプは、該ポンプに結合され、かつ識別情報を有する識別器を有し、該識別器は、該プログラミングデバイスによって該識別器にプログラムされる、さらなる情報構成要素を含み、該ポンプは、該コントローラと作動可能に結合するように適合されており、ここで、所定の事象において、該さらなる情報構成要素は、アクティブにされ、そしてシグナルは、該プログラミングデバイスが該識別情報を再使用し得ることを示すように提供される、ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−500099(P2008−500099A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515087(P2007−515087)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013315
【国際公開番号】WO2005/118027
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】