説明

医療用接着剤組成物

組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約99.9重量%の1つ又は2つ以上のα−シアノアクリレートモノマーと、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む、医療用接着剤組成物。好適なNSAIDとしては、イブプロフェン及びアセトアミノフェンが挙げられる。その結果得られる組成物は、NSAIDを含有しない組成物と比べ、線維芽細胞増殖を増加し、細胞毒性を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で参照される全ての特許文献は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、α−シアノアクリレートモノマーと非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とを含む医療用接着剤及び封止剤組成物、並びにそれらの医療用途に関する。
【背景技術】
【0003】
α−シアノアクリレートのモノマー形態は極めて反応性が高いことで知られており、ごくわずかな量の反応開始剤(空気中又は動物の組織のような湿った表面に存在する水分を含む)の存在下でさえ急速に重合する。α−シアノアクリレートのモノマーは、アニオン重合可能若しくは遊離基重合可能である、又は、ポリマーを形成する双性イオン若しくはイオンの対によって重合可能である。いったん重合が開始したら、硬化速度は非常に急速であり得る。
【0004】
α−シアノアクリレートのモノマー及びポリマーの接着剤特性が発見されて以来、それらは、それらの硬化速度、形成する結合の強さ、及び比較的使用が容易であることから、様々な用途で使用されてきた。これらの特徴から、多くの用途、例えばプラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材、及び最近では、生体組織の接着において、α−シアノアクリレート接着剤は第一の選択肢となっている。
【0005】
シアノアクリレート接着剤組成物の医療用途としては、創傷の閉鎖のための外科縫合及びステープルの代用として又はそれらに追加しての使用、並びに裂傷、擦り傷、火傷、口内炎、出来物(sore)、及びその他の外傷のような外傷を覆って保護するための使用が含まれる。接着剤を適用するときは、通常、そのモノマー形態において適用し、その結果得られる重合によって、所望の接着結合をもたらす。
【0006】
例えば、そのようなモノマーを含む重合可能なシアノアクリレート及び医療用接着剤組成物は、US−A−5,328,687号に開示されている。
【0007】
周知のように、シアノアクリレート接着剤は、創傷部位に生物活性剤を送達する。例えば、US−A−5,582,834号、US−A−5,575,997号、及びUS−A−5,624,669号は、そのような技術を開示している。そのような生物活性剤の例としては、創傷に放出される抗菌剤が挙げられる。例えば、EP−A−1508601号は、好適にはトリクロサンである1つ又は2つ以上のフェノール抗菌剤を含有するシアノアクリレート医療用接着剤組成物について記述している。US−B−7238828号は、生物活性剤となり得る広範な薬剤を選択的に含有するシアノアクリレート医療用接着剤について記述している。
【0008】
しかし、α−シアノアクリレートのモノマー及びポリマーを生体内で生物医学的に使用することの欠点は、それらが有害な組織反応を引き起こし得ることである。例えば、メチルα−シアノアクリレートは、適用部位に組織の炎症を引き起こすことが報告されている。更に、使用中のα−シアノアクリレートの細胞毒性、特に、それらが哺乳類の線維芽細胞の有意な細胞死を引き起こすことが見出された。この細胞毒性は、正常な創傷治癒を妨害する可能性がある。
【0009】
α−シアノアクリレートに対する有害な組織反応は、重合されたα−シアノアクリレートが生体内で生分解される間に放出される生成物によって引き起こされている可能性があると、これまで提唱されてきた。ホルムアルデヒド、特に、急速なポリマーの生分解の間に生成されるホルムアルデヒドの高濃度が、その有害な組織反応の主原因となる生分解生成物であることが提唱されてきた。
【0010】
α−シアノアクリレートの組織適合性を増す努力として、アルキルエステル基の修飾が行われてきた。例えば、高級のシアノアクリレートアナログ(例えば、ブチル−2−シアノアクリレート及びオクチル−2−シアノアクリレート)を形成するためにアルキルエステル鎖の長さを増すことは生体適合性を改善するが、低級のアルキルシアノアクリレートに比べ、高級のアナログの生分解速度は遅いことが見出されている。
【0011】
α−シアノアクリレートの組織適合性を増すために行われた他の努力としては、ホルムアルデヒドスカベンジャー化合物の添加が挙げられる。US−A−5328687号及びUS−A−5624669号は、医療用接着剤組成物に使用するのに適した様々なホルムアルデヒドスカベンジャー化合物を提示しており、これらには、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩と亜硫酸水素塩との混合物、亜硫酸アンモニウム塩、アミン、アミド、イミド、ニトリル、カルバミン酸塩、アルコール、メルカプタン、タンパク質、アミンとアミドとタンパク質との混合物、環状ケトンのような活性メチレン化合物、β−ジカルボニル基を有する化合物、及びカルボニル基がなくNH基を含有する特定の複素環化合物が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、接着剤組成物の性能を妥協することなく、使用中の細胞毒性を低減する、改善されたα−シアノアクリレートモノマーの医療用接着剤組成物の必要は、なおある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、本発明は、組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約99.9重量%の1つ又は2つ以上のα−シアノアクリレートモノマーと、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とを含む、医療用接着剤組成物を提供する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による無菌の医療用接着剤組成物を容器内に密封して含有する第1の容器と、重合開始剤又は促進剤を含有する第2の容器とを備えるキットを提供する。
【0015】
更なる態様では、本発明は、本発明の第1の態様による医療用接着剤組成物の重合によって得ることが可能な医療用接着剤ポリマーを提供する。
【0016】
本発明の発明者らは、NSAIDを含有する接着剤組成物の細胞毒性、特に線維芽細胞に対する細胞毒性が、NSAIDを有さない類似の組成物に比べて有意に少ないことを見出した。NSAIDのこの細胞保護効果は、予期していなかったものであり、かつ予測し得ないものであった。いかなる理論にも束縛されることは望まないが、NSAIDは、シアノアクリレート接着剤の特定の分解生成物と反応し得るか、さもなければ前記分解生成物の細胞毒性効果を阻害し得ると考えられる。
【0017】
したがって、本発明の更なる態様は、哺乳類組織に適用されるα−シアノアクリレート接着剤組成物の重合によって形成されるα−シアノアクリレート接着剤と接触する前記組織における線維芽細胞の生存能力を強化する方法を提供し、前記方法は、前記組成物の重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記組成物を適用する前に、前記組成物に分散することを含む。
【0018】
本発明の更なる態様は、α−シアノアクリレート接着剤組成物の重合によって形成されるα−シアノアクリレート接着剤の細胞毒性を低減する方法を提供し、前記方法は、前記組成物の重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記組成物を適用する前に、前記α−組成物に分散することを含む。
【0019】
本発明の更なる態様は、医療用接着剤と接触している哺乳類組織における線維芽細胞の生存能力を強化するために、α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途を提供することである。
【0020】
本発明の更なる態様は、医療用接着剤組成物の細胞毒性を低減するために、α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途を提供することである。
【0021】
任意の既知のNSAIDが、本発明による組成物のNSAID成分としての使用に適している。NSAIDに共通する機能的特徴は、それらが概してシクロオキシゲナーゼ酵素(Cox−1及び/又はCox−2)の阻害剤であることである。可能なNSAIDとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
(a)アスピリンのようなサリチル酸塩、
(b)プロピオン酸、又は、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン,ナプロキセン、プラノプロフェン、及びスプロフェンのようなプロフェン、
(c)ジクロフェナク、エトドラク、イブフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン及びゾメピラクのような酢酸誘導体、
(d)ジフルニサル及びフルフェニサルのようなビフェニルイルカルボン酸、
(e)アセトアミノフェンのようなp−アミドフェノール化合物。
【0022】
本発明の実践に適したNSAIDとしては、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ケトプロフェン、トピラメート、クルクミン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の実践に特に適したNSAIDとしては、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
モノマー組成物に添加するNSAIDの量は、使用する特定のNSAID、組成物に使用するのに適したNSAIDの量、及びそのNSAIDが米国FDA(食品医薬品局)(あるいは、米国又は外国の、他の適切な規制機関又は団体)によって規制されているかどうか、またどの程度規制されているか、といったいくつかの因子(ただしこれらに限定せず)に依存する。既に述べたように、本発明による組成物は、1つ又は2つ以上のNSAIDを、組成物の総重量に基づき約0.1重量%〜約5重量%含む。好適には、それらの組成物は、1つ又は2つ以上のNSAIDを約0.2重量%〜約4重量%、例えば約0.5重量%〜約2重量%含む。
【0024】
実施形態において、NSAIDは、室温で接着剤組成物に可溶性であり、その結果得られる組成物は、少なくとも所与の時間にかけて安定である。しかし、いくつかの特定の実施形態では、完全な溶解性は必要ない場合がある。この組成物の生成は、重合性モノマーとNSAIDとを容器内で混合する工程を含み、一実施形態では、混合物が均質であることが視認されるまで混合する工程を含む。
【0025】
好適には、NSAIDはモノマー組成物中で安定であり(すなわち、早すぎる重合を起こさず)、重合の開始又は阻害によって組成物の重合速度に影響を及ぼすことがない。ある程度の変化が重合速度に生じてもよいが、好適には、NSAIDはモノマーの重合速度に実質的に影響しない。例えば、NSAIDを有するモノマー組成物の重合速度と、NSAIDを有さないモノマー組成物の重合速度との差は、約50%以下、好適には約20%以下でなくてはならない。
【0026】
重合モノマー及び全体としての組成物は、好適には周囲温度(20〜25℃)で液体又はゲル形態である。
【0027】
接着剤組成物は、シアノアクリレートを無菌化するための任意の既知の方法によって無菌化することができる。無菌組成物の生成は、重合性モノマーとNSAIDとを容器に配置する工程と、容器を封着する工程と、容器及び混合物を無菌にする工程とを含む。モノマー組成物と組み合わせられたNSAIDは、1つ又は2つ以上の無菌化手順との適合性を有さなくてはならない。好適には、NSAIDは前記組成物の無菌化処理と適合性がある。
【0028】
本発明の実施形態では、NSAIDは、この薬剤を重合性モノマー化合物に混合又は溶解した後、及び/又は得られた組み合わせを無菌化した後、少なくとも5分間はモノマー組成物中で安定性を呈する。一実施形態では、NSAIDは室温で前記モノマーに可溶であり、実質的に前記モノマーの全ては、組成物の形成後少なくとも5分間は安定性を維持する。
【0029】
より好適には、接着剤組成物の安定性は、NSAIDが重合性モノマー化合物と混合されてから、及び/又は得られた組み合わせが無菌化されてから、少なくとも1時間、好適には10時間、より好適には24時間、維持される。好適には、接着剤組成物は、組成物の形成後少なくとも1時間、より好適には少なくとも24時間、安定性を維持する。更により好適には、接着剤組成物の安定性は、接着剤組成物に商用として有意な貯蔵寿命を提供するために、又は、NSAIDを含んでいない類似の組成物を上回るほどの貯蔵寿命を提供するために、十分な期間にかけて維持される。好適には、組成物は、組成物の形成後少なくとも18ヶ月間、安定性を維持する。本明細書で用いられるとき、「安定(性)」とは、得られる組成物が、定められた期間にかけて商用として許容可能な形態を維持することを指す。すなわち、組成物は、早すぎる重合をせず、言い換えれば、組成物がその意図された目的のために有用でなくなるほどに形態を変えること又は劣化することがない。したがって、組成物のある程度の重合、又は組成物の粘度の変化として測定され得るような増粘が生じる場合があるとしても、そのような変化は、組成物の有用性を破壊する又は有意に損なわせるほどの程度ではない。
【0030】
実施形態において、接着剤組成物は、約0.001Pa.s(1センチポアズ)〜約5Pa.s(5000センチポアズ)、例えば約0.003Pa.s(3センチポアズ)〜約0.6Pa.s(600センチポアズ)、又は約0.005Pa.s(5センチポアズ)〜約0.04Pa.s(40センチポアズ)の粘度を有する。粘度は、提案されている用途に従って選択することができ、特定の用途では例えば0.004〜0.05Pa.s(4〜50センチポアズ)であり、他の用途では約0.1Pa.s(100センチポアズ)〜約0.25Pa.s(250センチポアズ)である。加えて、組成物は、例えば約50Pa.s(50,000センチポアズ)〜約500Pa.s(500,000センチポアズ)のゲルでもよい。ゲルは、半固体材料を生成する連続相と分散相との組み合わせである。接着剤組成物の粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃にて測定することができる。加えて、無菌化処理が適用される実施形態では、組成物の粘度は、好適には、無菌化の後、維持されるか又は制御された許容可能な範囲で増加しなくてはならない。
【0031】
典型的には、医療目的の場合、接着剤は少なくとも1年の貯蔵寿命を有さなくてはならないが、これを越える、更に長い貯蔵寿命は、製造業者及び消費者の両方に、更なる経済的利益をもたらす。本明細書で用いられるとき、貯蔵寿命とは、容器及びその内部の組成物が、周囲条件(ほぼ室温)以下で、それらの組成物及び/又は容器がそれらに意図された方法で及びそれらに意図された目的のために使用できなくなるほどの劣化を伴わずに、保持され得る期間を指す。したがって、組成物及び容器のいずれか又は両方にある程度の劣化が生じることがあるとしても、その劣化は、組成物及び/又は容器が使用不可能になるほどであってはならない。本明細書で用いられるとき、「長期貯蔵寿命」とは、少なくとも12ヶ月、好適には少なくとも18ヶ月、より好適には少なくとも24ヶ月、更により好適には少なくとも30ヶ月の貯蔵寿命を指す。
【0032】
実施形態において、接着剤組成物及び/又はその包装物を無菌化することができる。好ましい実施形態では、組成物は無菌である。更に、組成物及び容器が無菌化されるかどうかに関わらず、組成物は、以下に記述するような1つ又は2つ以上の好適な保存料を更に含むことができる。
【0033】
接着剤組成物及び/又はその包装物の無菌化は、当業者に既知の手法によって達成され得、化学的、物理的、及び/又は照射による方法によって好適に達成されるが、これらに限定されない。化学的な方法の例としては、酸化エチレン又は過酸化水素蒸気への曝露が挙げられるが、これらに限定されない。物理的な方法の例としては、熱(乾式又は湿式)又はレトルト缶詰による無菌化が挙げられるが、これらに限定されない。照射による方法の例としては、ガンマ線照射、電子ビーム照射、及びマイクロ波照射が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、無菌化は、乾式加熱、湿式加熱、ガンマ線照射、電子ビーム照射(例えば、US−A−6,143,805号に記述されている)、マイクロ波照射、又はレトルト缶詰によって行われる。組成物はまた、その有効寿命にかけて、生存組織への低レベルの毒性を示さなくてはならない。本発明の一実施形態では、組成物は無菌化されて、少なくとも約10−3の無菌保障レベル(SAL)を提供する。実施形態において、無菌保障レベルは少なくとも約10−4、又は少なくとも約10−5、又は少なくとも約10−6である場合がある。
【0034】
接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合性α−シアノアクリレートモノマーの主要分画を含む。本発明で用いることができる好適なモノマーは、容易に重合可能であり、例えばアニオン重合可能若しくは遊離基重合可能、又は双性イオン若しくはイオン対により重合可能であり、ポリマーを形成する。そのようなモノマーは、好適には、生体内で生分解可能なポリマーを形成するモノマーを含む。そのようなモノマーは、例えば、US−A−5,328,687号、US−A−5,928,611号、US−B−6,183,593号、US−B−6,183,593号、及びUS−B−7238828号に開示されている。
【0035】
一実施形態では、モノマーは、約1〜約20個の炭素原子から成る、又はより好適には約3〜約8個の炭素原子から成る、アルキル鎖の長さを有するアルキルα−シアノアクリレートを含む。
【0036】
本発明の組成物において有用なα−シアノアクリレートは、当該技術分野で既知のいくつかの方法によって調製可能である。US−A−2,721,858号、US−A−3,254,111号、US−A−3,995,641号、及びUS−A−4,364,876号は、α−シアノアクリレートを調製するための方法を開示している。
【0037】
本発明で使用される好適なα−シアノアクリレートモノマーとしては、メチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリレート、2−オクチルシアノアクリレート、メトキシエチルシアノアクリレート、エトキシエチルシアノアクリレート、ドデシルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、3−メトキシブチルシアノアクリレート、2−ブトキシエチルシアノアクリレート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリレート、1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリレート、ヘキシルシアノアクリレート、又はドデシルシアノアクリレートが挙げられる。
【0038】
本発明に使用するために好適な他のシアノアクリレートとしてはまた、EP−A−1317294号に詳述されているようなアルキルエステルシアノアクリレートモノマーも含まれるが、これに限定されない。好適なアルキルエステルシアノアクリレートの例としては、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、及びエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
特定の実施形態では、本発明の第1の態様による医療用接着剤組成物は、抗菌剤を更に含む。好適な抗菌剤は、EP−A−1508601号に記述されている。それらは、多様なフェノール活性化合物、及びハロゲン化フェノール化合物のようなフェノール誘導体(塩化フェノール化合物又は臭化フェノール化合物を含む)を含む。好適な具体的な例としては、トリブロモフェノール、トリクロロフェノール、テトラクロロフェノール、ニトロフェノール、3−メチル−4−クロロ−フェノール、3,5−ジメチル−4−クロロフェノール、フェノキシエタノール、ジクロロフェン、o−フェニル−フェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェノール、4−クロロチモール、クロルフェン、トリクロサン、フェンチクロール、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、4−エチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−n−プロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−n−アミルフェノール、4−tert−アミルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、並びにモノ−及びポリ−アルキル及び芳香族ハロフェノール及びそれらのアンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
実施形態において、抗菌剤は、塩化フェノール又は臭化フェノールのようなハロゲン化フェノールである。本発明に従って使用され得る塩化フェノール化合物としては、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2ヒドロキシジ−フェニルエーテル)、p−クロロフェノール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、4−クロロレゾルシノール、4,6−ジクロロレゾルシノール、2,4,6−トリクロロレゾルシノール、アルキルクロロフェノール(p−アルキル−o−クロロフェノール、o−アルキル−p−クロロフェノール、ジアルキル−4−クロロフェノール、及びトリ−アルキル−4−クロロフェノールを含む)、シクロヘキシルp−クロロフェノール、o−ベンジルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m−メチルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m,m−ジメチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチル−m−メチルp−クロロフェノール、ジクロロ−m−キシレノール、クロロクレゾール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、3,4,6−トリクロロフェノール、4−クロロ−2−フェニルフェノール、6−クロロ−2−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジエチルフェノール、これらの混合物、及び同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗菌剤は、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、p−クロロフェノール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、4−クロロレゾルシノール、4,6−ジクロロレゾルシノール、2,4,6−トリクロロレゾルシノール、アルキルクロロフェノール、シクロヘキシルp−クロロフェノール、o−ベンジルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m−メチルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m,m−ジメチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチル−m−メチルp−クロロフェノール、ジクロロ−m−キシレノール、クロロクレゾール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、3,4,6−トリクロロフェノール、4−クロロ−2−フェニルフェノール、6−クロロ−2−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジエチルフェノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩化フェノール化合物である。
【0041】
好適なアルキルクロロフェノールの具体的な例としては、メチルp−クロロフェノール、エチルp−クロロフェノール、n−プロピルp−クロロフェノール、n−ブチルp−クロロフェノール、n−アミルp−クロロフェノール、sec−アミルp−クロロフェノール、n−ヘキシルp−クロロフェノール、n−ヘプチルp−クロロフェノール、n−オクチルp−クロロフェノール、o−クロロフェノール、メチルo−クロロフェノール、エチルo−クロロフェノール、n−プロピルo−クロロフェノール、n−ブチルo−クロロフェノール、n−アミルo−クロロフェノール、tert−アミルo−クロロフェノール、n−ヘキシルo−クロロフェノール、n−ヘプチルo−クロロフェノール、3−メチルp−クロロフェノール、3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−n−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、2−エチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−ブチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−イソ−プロピル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−ジエチルメチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−2−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−sec−アミル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、2−ジエチルメチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−オクチル−3−メチルp−クロロフェノール、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)、これらの混合物、及びこれらと同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従って使用され得る臭化フェノール化合物としては、p−ブロモフェノール、メチルp−ブロモフェノール、エチルp−ブロモフェノール、n−プロピルp−ブロモフェノール、n−ブチルp−ブロモフェノール、n−アミルp−ブロモフェノール、sec−アミルp−ブロモフェノール、n−ヘキシルp−ブロモフェノール、シクロヘキシルp−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、tert−アミルo−ブロモフェノール、n−ヘキシルo−ブロモフェノール、n−プロピル−m,m−ジメチルo−ブロモフェノール、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、これらの混合物、及びこれらと同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。好適には、抗菌剤は、p−ブロモフェノール、メチルp−ブロモフェノール、エチルp−ブロモフェノール、n−プロピルp−ブロモフェノール、n−ブチルp−ブロモフェノール、n−アミルp−ブロモフェノール、sec−アミルp−ブロモフェノール、n−ヘキシルp−ブロモフェノール、シクロヘキシルp−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、tert−アミルo−ブロモフェノール、n−ヘキシルo−ブロモフェノール、n−プロピル−m,m−ジメチルo−ブロモフェノール、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、及びこれらの混合物からなる群から選択される臭化フェノール化合物である。
【0042】
好適には、前記抗菌剤は、トリクロサンを含む又は本質的にトリクロサンのみからなる。
【0043】
好適には、抗菌剤は、抗菌剤が適用部位にて所望の抗菌効果を提供できるような量でモノマー組成物中に存在する。理論に拘束されず、一実施形態では、モノマー組成物が重合された後、抗菌剤はポリマー生成物から時間経過とともにゆっくりと溶出すると考えられる。抗菌剤のこのゆっくりとした溶出は、ポリマー生成物からの抗菌剤の安定した放出を可能にし、抗菌効果を提供する。好適には、抗菌剤は、組成物の総重量の約0.001%〜約10%の量、より好適には約0.02%〜約2%の量、例えば約0.1%〜約1%の量で存在する。
【0044】
組成物はまた、所望により、モノマーから形成されるポリマーに可撓性を付与することを助ける少なくとも1つの可塑剤も含むことができる。可塑化剤は、好適には、水分をほとんど含まないか又は全く含まず、モノマーの安定性又は重合に大きく影響を与えてはならない。好適な可塑剤の例としては、トリブチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート(ATBC)、ポリメチルメタクリレート、シリコーンオイル、シロキサン、及び他の、US−A−6,183,593号に記載されているような可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンオイル及びシロキサンの具体的な例としては、例えばポリジメチルシロキサン及びヘキサジメチルシラザンが挙げられるが、これらに限定されない。好適には、前記可塑剤は、全組成に基づき約5重量%〜約30重量%の量、より好適には約10重量%〜約25重量%の量、例えば約10重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0045】
組成物はまた、所望により少なくとも1つの揺変剤を含むことができる。好適な揺変剤は、当業者には既知であり、シリルイソシアネート処理及び所望により二酸化チタンで表面処理されたシリカゲルのようなシリカゲルを含むが、これに限定されない。多価ヒドロキシ化合物−芳香族アルデヒド凝縮物、芳香族ヒドロキシ化合物−ホウ酸半極性凝縮物、アルミニウム脂肪酸塩、硬化ヒマシ油化合物、及び脂肪酸ポリアミド化合物のような有機揺変剤を、例えば、シアノアクリレートモノマー100部につき約0.1重量部〜約30重量部の量で使用することができる。好適な揺変剤及び増粘剤の例は、例えばUS−A−4,720,513号及びUS−B−6,310,166号に開示されている。
【0046】
組成物はまた、所望により増粘剤も含むことができる。好適な増粘剤としては、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、及びUS−B−6,183,593号に記載されているようなその他の増粘剤が挙げられる。モノマー組成物に添加される増粘剤の量は、例えば、増粘剤の分子量及び組成物の望まれる特性に依存する。一実施形態では、増粘剤は、接着剤組成物の重量に基づいて約0.5重量%〜約25重量%、例えば接着剤組成物の約1重量%〜約10重量%、典型的には約1重量%〜約5重量%であってよい。いくつかの実施形態では、増粘剤は、少なくとも約100,000、又は少なくとも約500,000、又は少なくとも約1,000,000の分子量を有することができる。
【0047】
組成物はまた、衝撃抵抗を付与するために、少なくとも1つの天然ゴム又は合成ゴムを所望により含むことができる。好適なゴムは、当業者に既知である。かかるゴムとしては、ジエン、スチレン、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なゴムの例は、例えばUS−A−4,313,865号及びUS−A−4,560,723号に開示されている。好適には、組成物は、約15重量%〜約25重量%のゴムを含有する。
【0048】
組成物はまた、所望により1つ又は2つ以上の安定化剤を含むことができ、好適には、少なくとも1つのアニオン蒸気相の安定化剤と少なくとも1つのアニオン液相の安定化剤との両方を含むことができる。好適には、200百万分の1(ppm)未満の濃度となるように、それぞれのアニオン蒸気相の安定化剤を添加する。特定の実施形態では、それぞれのアニオン蒸気相の安定化剤は、約1〜200ppm、好適には約10〜75ppm、例えば約10〜50ppmで存在する。これらの安定化剤は、早すぎる重合を阻止することができる。好適な安定化剤としては、US−B−6,183,593号に記載されているものが挙げられる。
【0049】
いくつかのモノマー接着剤組成物の安定性、したがってその貯蔵寿命は、その包装を慎重に調製することによって更に増長し得る。US−A−2003039781号に開示されているような処理された(例えば、フッ化ポリマー)包装は、組成物に組み合わせられる安定化剤の量を低減することができる。
【0050】
組成物はまた、US−B−6,143,352号に開示されているように、得られるポリマーの劣化速度を制御するために有効な量のpH調整剤も含むことができる。
【0051】
本発明の組成物はまた、ポリマーの生体内生分解中に生成される活性ホルムアルデヒド濃度を減少するのに有効な、少なくとも1つの生体適合性剤(本明細書において「ホルムアルデヒド濃度低減剤」とも言う)を含んでもよい。好適には、この成分は、ホルムアルデヒドスカベンジャー化合物であり得る。本発明において有用なホルムアルデヒドスカベンジャー化合物の例としては、US−A−5328687号又はUS−A−5624669号に記載されているように、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩と亜硫酸水素塩との混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。ホルムアルデヒドスカベンジャー化合物は、接着剤によって生体内に放出されるホルムアルデヒドの量を低減するために有効な量で添加することができる。
【0052】
本発明の組成物から形成される接着剤の貼着力を向上するため、二官能性モノマー架橋剤を本発明のモノマー組成物に添加してよい。かかる架橋剤は、既知である。US−A−3,940,362号は、代表的な架橋剤を開示している。好適には、組成物の約5重量%〜約95重量%、例えば、組成物の約20重量%〜約80重量%は、二官能性モノマー架橋剤から成る。
【0053】
本発明の組成物は、繊維補強剤及び着色剤(染料、顔料、及び顔料色素など)の有効量を更に含むことができる。US−B−6,183,593号に記載されているように、好適な繊維補強剤の例としては、PGAマイクロフィブリル、コラーゲンマイクロフィブリル、及びその他が挙げられる。
【0054】
本発明の実施形態では、組成物及び/又はそのアプリケータは、重合の開始及び/又は重合可能なモノマー材料の架橋のために、重合開始剤、促進剤、速度調整剤、及び/又は架橋剤のような材料を含有することができる。好適な材料及びアプリケータ及び包装システムは、US−A−5,928,611号、US−A−6,352,704号、US−A−6,455,064号、WO−A−0132795号、WO−A−0038777号、WO−A−0132519号、US−A−2003039781号、及びUS−A−2003080151号に開示されている。
【0055】
本明細書では、全ての重量百分率は、α−シアノアクリレート接着剤組成物の総重量に基づく。
【0056】
本発明による接着剤組成物の特定の実施形態について、例として付属の図を参照して、更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】NSAIDを含有しない基準接着剤での一次血清抽出物の濃度と、測定された線維芽細胞増殖のグラフを示す。
【図2】1重量%のイブプロフェンを含有する本発明による接着剤組成物での一次血清抽出物の濃度と、測定された線維芽細胞増殖のグラフを示す。
【図3】0%(対照)、0.5重量%、1重量%、及び2重量%のイブプロフェンを含有する、一連の再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)組成物からの一次血清抽出物の濃度と、測定された線維芽細胞増殖のグラフを示す。
【図4】0%のNSAID(対照)、2重量%のイブプロフェン、1重量%のイブプロフェン+1重量%のトリクロサン、及び1重量%のアセトアミノフェン+1重量%のトリクロサンを含有する、一連の再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)組成物からの一次血清抽出物の濃度と、測定された線維芽細胞増殖のグラフを示す。
【図5】0%のNSAID(対照)、0.5重量%、1.0重量%、2重量%のイブプロフェン、1重量%のアセトアミノフェン、1.0重量%のイブプロフェン+1重量%のトリクロサン、及び1重量%のアセトアミノフェン+1重量%のトリクロサンを含有する、一連の再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)組成物からの一次抽出物に関する、10mg/mLの濃度での、測定された炎症性細胞生存能力のグラフを示す。
【図6】0%(対照)、0.5重量%、及び1.0重量%のイブプロフェンを含有する、一連の再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)組成物からの一次血清抽出物(10mg/mL)の0.5及び1.0mg/mLの濃度での、THP−1炎症性細胞による、測定されたTNF−α生成のグラフを示す。
【図7】0%(対照)、0.5重量%、及び1.0重量%のイブプロフェン、並びに1.0重量%のアセトアミノフェンを含有する、一連の再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)組成物からの一次血清抽出物(10mg/mL)に関して測定されたTHP−1炎症性細胞生存能力のグラフを示す。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
ガラスバイアルにて、12.5mgのイブプロフェンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−β−CPL−CA)モノマー中0.5%のイブプロフェン溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0059】
(実施例2)
ガラスバイアルにて、25.0mgのイブプロフェンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、Et−β−CPL−CAモノマー中1.0%のイブプロフェン溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0060】
(実施例3)
ガラスバイアルにて、50.0mgのイブプロフェンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、Et−β−CPL−CAモノマー中2.0%のイブプロフェン溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0061】
(実施例4)
ガラスバイアルにて、25.0mgのアセトアミノフェンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、Et−β−CPL−CAモノマー中1.0%のアセトアミノフェン溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0062】
(実施例5)
ガラスバイアルにて、50.0mgのアセトアミノフェンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、Et−β−CPL−CAモノマー中2.0%のアセトアミノフェン溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0063】
(実施例6)
ガラスバイアルにて、25.0mgのイブプロフェン及び25.0mgのトリクロサンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、1.0%のイブプロフェン及び1.0%のトリクロサンを含有するEt−β−CPL−CAモノマー溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0064】
(実施例7)
ガラスバイアルにて、25.0mgのアセトアミノフェン及び25.0mgのトリクロサンを2.5mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、1.0%のアセトアミノフェン及び1.0%のトリクロサンを含有するEt−β−CPL−CAモノマー溶液を調製した。この溶液を5つの1mLのガラスアンプル(酸処理して乾燥した)に、アンプル当たり0.5mLずつ分配した。各アンプルの頭上空間をN中SO 500ppmのガス混合気で充填し、火炎封着した。160℃で30分間、乾式加熱によって試料を無菌化した。無菌化の後、どの試料にも、視認される粘度及び外観の変化はなかった。
【0065】
(実施例8)
2mLのガラスアンプルにて、10mgのイブプロフェンを1mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、2−オクチルシアノアクリレート(2−OCA)モノマー中1%のイブプロフェン溶液を調製した。アンプルの頭上空間をNで充填し、火炎封着した。室温で24時間保管した後、粘度及び外観に変化はなかった。
【0066】
(実施例9)
2mLのガラスアンプルにて、10mgのイブプロフェンを1mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、2−OCAモノマー中1.0%のケトプロフェン溶液を調製した。アンプルの頭上空間をNで充填し、火炎封着した。室温で24時間保管した後、粘度及び外観に変化はなかった。
【0067】
(実施例10)
2mLのガラスアンプルにて、10mgのクルクミンを1mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、2−OCAモノマー中1%のクルクミン溶液を調製した。アンプルの頭上空間をNで充填し、火炎封着した。室温で24時間保管した後、粘度及び外観に変化はなかった。
【0068】
(実施例11)
2mLのガラスアンプルにて、10mgのトピラメートを1mLのシアノアクリレートモノマーに溶解して、2−OCAモノマー中1%のトピラメート溶液を調製した。アンプルの頭上空間をNで充填し、火炎封着した。室温で24時間保管した後、粘度及び外観に変化はなかった。
【0069】
上記の実施例は、例示のみを目的として記述されている。付属の請求項の範囲に含まれる他の多くの実施形態は、当業者である読者には明白であろう。
【0070】
手順1−抽出物の調製
被検体である測定した重量のシーラントを組織培養試験管に分配した。これらの抽出物の調製に使用されたRCAベースの組成物は、純度99%の3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−b−CPL−CA)モノマーである。この再吸収性シアノアクリレートは、活性剤の使用を必要としない。被検体であるシーラントは、NSAID(対照)が添加されていないか、又は下記のような、0.5重量%〜2重量%の分散されたNSAID(本発明による実施例)のいずれかを含有するものであった。次いで、シーラントを約5分間重合させ、その後、無血清の細胞培地を添加した(試験管当たり8mL)。線維芽細胞検定では、培地としてダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)を使った。炎症性細胞検定では、培地としてRPMI培地を使った。
【0071】
一次抽出物は、重合された材料を培地で24時間、37℃で培養して調製した。材料の長期的効果を調べる場合は、材料を更に37℃で24時間、新鮮な培地で培養して、二次抽出を行った。次いで、抽出物を含有する培地を、シーラントから分離して試験した。
【0072】
上記手順で被検体であるシーラントの量を変えることによって、異なる濃度の抽出物を調製した。したがって、80mgのシーラントを上記のように試験管に分配した後、重合し、8mLの血清での抽出を行い、名目濃度10mg/mLの抽出物を調製した。
【0073】
手順2−線維芽細胞の成長/生存能力の検定
材料及び溶液
・Boehringer Mannheimから入手したXTT、細胞増殖キットII、Cat番号1465015。
・American Type Culture Collectionから供給されたヒト成人皮膚線維芽細胞、Cat番号CRL−2465。
・Life Technologiesから入手したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Cat番号14190−094。
・Life Technologiesから入手したダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)、Cat番号31885−023。
・Life Technologiesからのウシ胎児血清(FBS)、Cat番号10084−077。
・Becton Dickinsonからの96ウェルマイクロタイタープレート、Cat番号3072。
オプションとして−基準PDGF−BB−ヒト組み換え血小板由来の成長因子PDGF−BB(R&D Systemsから入手した)。
【0074】
実験手順
ヒト成人皮膚線維芽細胞は、95%密集度で収穫し、96ウェルマイクロタイタープレート(100μL/ウェル)にて、2.5×10細胞/mLの細胞密度で10% FBSとともにDMEMに再播種した。37℃、5% COの加湿されたインキュベータ内で24時間細胞を接着させ、ウェル表面に拡散させた。次いで、吸引により培地を取り除き、細胞単層を無血清DMEMで洗浄した。
【0075】
無血清DMEM(100μL/ウェル)にて細胞単層に試験試料又は基準を付加した。それぞれの試験試料/基準の少なくとも4つの複製を試験した。この実験に使用した基準は、10% FBS/DMEMであり、無血清DMEMは、飢餓培地に対して栄養価的に均衡の取れた培地にて維持したときの皮膚線維芽細胞の正常な成長パターンを代表するものであった。全ての試料は、37℃で72時間、5% COで細胞とともに培養した。
【0076】
この培養時間の後、条件付けされた培地を取り除き、100μLの無血清DMEMと交換し、次いで、XTT細胞増殖キットからのラベリング溶液50μLを各ウェルに添加した。この添加の後、初期吸光度測定値を450nmで得、その後、マイクロタイタープレートを37℃で5% COにて培養し、吸光度を3時間以上監視した。
【0077】
それぞれの試験試料の効果を、基準と、測定された吸光度との差の比較によって、評価した。
【0078】
この手順の結果を図1〜4に示す。図1を参照すると、NSAIDが添加されていない対照試料のデータを示す図において、正対照の10% FBS/DMEMがほぼ200%の線維芽細胞増殖をもたらしており、無血清DMEMの負対照試料では100%の増殖であることががわかる。再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)からの抽出物を含有する、NSAID無添加の試料では、約5mg/mLを超す抽出物濃度では、細胞増殖に急な減少が見られる。これは、線維芽細胞に対する接着剤の細胞毒性を反映している。
【0079】
図2〜4を参照すると、これらの図は、1重量%のイブプロフェンを含有する同じRCAの試料(図2)、0重量%(対照)、0.5重量%、1重量%、及び2重量%のイブプロフェンを含有する試料(図3)、並びに0重量%(対照)、2重量%のイブプロフェン、1重量%のイブプロフェン+1重量%のトリクロサン、及び1重量%のアセトアミノフェン+1重量%のトリクロサンを含有する試料(図4)のデータを示している。RCAにおけるNSAIDの存在は、最高約30mg/mLまでの抽出物濃度で、線維芽細胞増殖を高レベルで維持する結果をもたらすことがわかる。このことは、特にトリクロサンと組み合わされたときのNSAIDの細胞保護効果を示している。
【0080】
手順3−炎症性細胞の生存能力及びサイトカイン放出検定
材料及び溶液
・RPMI 1640培地+2mMグルタミン−GIBCO BRLより入手、500mL、Cat番号31095−029、+4℃で保管。
・抗生物質/抗真菌液(100x)−GIBCO BRLより入手、Cat番号15240−062。10,000U/mLのペニシリン、10,000mg/mLのストレプトマイシン及び20mg/mLのアンホテリシンB(0.85%生理食塩水中)。典型的には、100mL瓶を室温で解凍し(数時間かかる)、無菌条件下で無菌遠心管にアリコート(5mL)し、必要になるまで−20℃で冷凍保存する。
・GIBCO BRLから入手した子ウシ胎児血清(FCS)又はウシ胎児血清(FBS)500mL、Cat番号10106−169、−20℃で保存。典型的には、FCS/FBS(500mL)は室温で一晩解凍する。次いで、アリコート(50mL)を無菌条件下で無菌フラスコに移し入れ、必要になるまで−20℃で保存する。
・基準成長培地−RPMIに10%のFBS(500mLの培地に50mls)、2mM グルタミン+抗生物質/抗真菌液(500mLの培地に5mls)。
・PMA溶液(ホルボール12−ミリステート13−アセテート)−SIGMAにより供給されたもの、Cat番号P8139、量は1mg。10mMの原液をDMSOにて調製し、冷凍した(162ulsのDMSOに1mgのPMA)。SF−RPMI培地(20mlsの培地に10ul)にて原液を希釈して、5×10−6MのPMA作用液を調製した。この作用液を再びアリコートして、必要になるまで冷凍することができる(2.5mLアリコート)。
・PMA接着培地−90mlsのRPMI培地、5mlsのFBS、5mlsのPMA作用液。
・LPS溶液(大腸菌からのリポ多糖体)−SIGMAにより供給されたもの、Cat番号L6529、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)にて1mg/mLで再構成したものをアリコートして冷凍した(20μLのアリコート)。作用液(1μg/mL)は、20μLのアリコートを20mlsのSF−RPMI培地にて希釈して調製した。
【0081】
実験手順
炎症性細胞(THP−1細胞)は、遠心分離(1000rpmで10分間)し、1×10細胞/mLの細胞密度のPMA接着培地での再懸濁によって収穫した。この培地は、細胞へのストレスを制限するために使用前に調製した。細胞は、24ウェルプレートのPMA接着培地に、1mL/ウェル(1×10細胞/mL)の細胞密度で載せた。次いで、プレートを5% COにて48時間、37℃で培養した。この培養期間の後、培地、細胞の接着力を顕微鏡検査し、培地を吸引し、1mLの試験試料(抽出物)/負対照SF−RPMI培地/正対照LPS(1μg/mL)と交換した。次いで、プレートを更に5%COにて24時間、37℃で培養した。手順3によるそれぞれの実験での抽出物の濃度は、10mg/mLであった。
【0082】
次いで、条件付けされた培地を取り除き、冷凍保存してサイトカイン分析した。典型的には、TNF−α ELISA(R&D Systemsより入手)又はマイクロアレイ分析を使用して、24時間以内に細胞が分泌した炎症性サイトカインのレベルを評価した。加えて、トリパンブルー排除検定か、又はMTT検定(キットとして供給されたもの。製造業者の指示に従がった)によって予測される残りの細胞の代謝活性測定のいずれかを用いて、残りの細胞の単層上で細胞の生存能力を評価した。
【0083】
上記手順1で説明したように、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−b−CPL−CA)モノマーから調製された抽出物についての結果を図5〜7に示す。図5〜7を参照すると、NSAIDを含有しない再吸収性シアノアクリレート接着剤(RCA)からの対照抽出物が、炎症性細胞の生存能力の大きな減少を呈したことがわかり、このことは、THP−1炎症性細胞に対するRCAの毒性を反映している。対照的に、図5〜7に特定した量のNSAIDを含有する(及び任意によりトリクロサンも含有する)RCA試料からの抽出物は、細胞の生存能力の大きな改善を呈し、したがって、NSAIDがこれらの組成物において細胞保護効果を有することを実証した。この細胞保護効果は、組成物における追加的なトリクロサン抗菌剤の存在によって維持され、かつ強化され得る。
【0084】
図6を参照すると、データは、THP−1細胞からのTNF−αの生成が、イブプロフェンのない抽出物の存在下より、イブプロフェンを含有するRCAの抽出物の存在下で、より好適に維持されることを示している。このことは、炎症性細胞の活性が、RCA組成物におけるNSAIDの存在によって保護されることを更に裏付けている。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) 医療用接着剤組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約99.9重量%の1つ又は2つ以上のα−シアノアクリレートモノマーと、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む、医療用接着剤組成物。
(2) 前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約2重量%の前記1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む、実施態様1に記載の医療用接着剤組成物。
(3) 前記組成物が生体内で生分解性である、実施態様1又は2に記載の医療用接着剤組成物。
(4) 前記NSAIDが、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1〜3のいずれかに記載の医療用接着剤組成物。
(5) 前記組成物が抗菌剤を更に含む、実施態様1〜4のいずれかに記載の医療用接着剤組成物。
(6) 前記抗菌剤が、トリクロサンを含む又は本質的にトリクロサンのみからなる、実施態様5に記載の医療用接着剤組成物。
(7) 前記組成物が無菌であり、酸素不透過性容器内に密封される、実施態様1〜6のいずれかに記載の医療用接着剤組成物。
(8) 実施態様7に記載の医療用接着剤組成物を含有する第1の容器と、重合開始剤又は促進剤を含有する第2の容器と、を備える、キット。
(9) 実施態様1〜6のいずれかに記載の医療用接着剤組成物を重合することによって得られる医療用接着剤ポリマー。
(10) 哺乳類組織に適用されるα−シアノアクリレート接着剤組成物の重合によって形成されるα−シアノアクリレート接着剤と接触する前記組織における線維芽細胞の生存能力を強化する方法であって、前記組織に適用される前記組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記接着剤を適用する前に、前記α−シアノアクリレート接着剤に分散することを含む、方法。
【0086】
(11) α−シアノアクリレート接着剤組成物の細胞毒性を低減する方法であって、前記組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記接着剤を適用する前に、前記α−シアノアクリレート接着剤に分散することを含む、方法。
(12) α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途であって、前記医療用接着剤と接触している哺乳類組織における線維芽細胞の生存能力を強化するための、用途。
(13) α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途であって、前記医療用接着剤組成物の細胞毒性を低減するための、用途。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用接着剤組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約99.9重量%の1つ又は2つ以上のα−シアノアクリレートモノマーと、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む、医療用接着剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約2重量%の前記1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む、請求項1に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が生体内で生分解性である、請求項1又は2に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項4】
前記NSAIDが、イブプロフェン、アセトアミノフェン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が抗菌剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項6】
前記抗菌剤が、トリクロサンを含む又は本質的にトリクロサンのみからなる、請求項5に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項7】
前記組成物が無菌であり、酸素不透過性容器内に密封される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医療用接着剤組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の医療用接着剤組成物を含有する第1の容器と、重合開始剤又は促進剤を含有する第2の容器と、を備える、キット。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の医療用接着剤組成物を重合することによって得られる医療用接着剤ポリマー。
【請求項10】
哺乳類組織に適用されるα−シアノアクリレート接着剤組成物の重合によって形成されるα−シアノアクリレート接着剤と接触する前記組織における線維芽細胞の生存能力を強化する方法であって、前記組織に適用される前記組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記接着剤を適用する前に、前記α−シアノアクリレート接着剤に分散することを含む、方法。
【請求項11】
α−シアノアクリレート接着剤組成物の細胞毒性を低減する方法であって、前記組成物の総重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%の1つ又は2つ以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を、前記組織に前記接着剤を適用する前に、前記α−シアノアクリレート接着剤に分散することを含む、方法。
【請求項12】
α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途であって、前記医療用接着剤と接触している哺乳類組織における線維芽細胞の生存能力を強化するための、用途。
【請求項13】
α−シアノアクリレートモノマー又はポリマーと、医療用接着剤組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、を含む前記組成物の調製のための前記NSAIDの用途であって、前記医療用接着剤組成物の細胞毒性を低減するための、用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509880(P2012−509880A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537553(P2011−537553)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064796
【国際公開番号】WO2010/065289
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】