医療用接続保護具
【課題】本発明では、オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を覆った状態をより確実に維持可能とする医療用接続保護具を提供する。
【解決手段】オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、上蓋2と、上蓋に結合された下蓋3と、上蓋に設けられた第1係合部9と、下蓋に設けられた第2係合部7とを含み、内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、第1係合部と第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、係合構造は、下蓋または上蓋に設けられた係合補助部をさらに含む。
【解決手段】オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、上蓋2と、上蓋に結合された下蓋3と、上蓋に設けられた第1係合部9と、下蓋に設けられた第2係合部7とを含み、内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、第1係合部と第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、係合構造は、下蓋または上蓋に設けられた係合補助部をさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具の接続部位を保護する医療用接続保護具に関し、特には、腹膜透析用の透析液の交換に際してトランスファーチューブ(エキステンションチューブとも言う。)と透析液セットとを接続するためのコネクタの接続部位を覆う医療用接続保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析は、あらかじめ患者の腹腔に外科的に埋植した腹膜カテーテルを介して、透析液を腹腔内に貯留し、腹膜の毛細血管を利用して体内に溜まった不純物をろ過する療法である。患者は、カテーテルの先に半年間連続使用するトランスファーチューブを接続した状態で日常の生活を送る。そして、患者自身が透析液の入ったバッグや送液回路等からなる透析液セットをトランスファーチューブ先端に接続し、腹腔内の透析液を交換する。この操作は、1日4回、毎日半永久的に継続しなければならない。
【0003】
また、トランスファーチューブと透析液セットとの接続部位は、無菌接続が求められる部分でもある。1日4回も行う透析液の交換時に、誤って空気中の細菌や皮膚に付着した細菌が透析液と共に腹腔内に入ってしまうと、腹膜が炎症を起こし腹膜炎を発症する。その結果、腹膜炎治療の為にひどいときにはカテーテルを抜去せざるを得ず、透析が継続できなくなる場合もある。更に、長期にわたり繰り返し腹膜炎を発症することによって、腹膜機能が低下し、十分な透析効率が得られなくなったり、難治性で非常に予後の悪い被のう性腹膜硬化症(EPS)の発症により命をおとす可能性もある。
【0004】
ゆえに、トランスファーチューブと透析液セットとの接続部位を細菌汚染から保護すると共に、それらの接続状態を維持することが重要である。
【0005】
現在一般的に使用されている接続用のコネクタは、オス型コネクタとメス型コネクタとを螺合させるタイプのものが多い。一般的に、螺合によってコネクタ同士を接続させる場合、右手に持つコネクタに時計回り方向の回転を与えることでネジが締まり、反時計回り方向の回転を与えることでネジを緩めることができる。コネクタ同士の螺合が緩んだり、最悪の場合、コネクタ同士が外れることを防ぐための保護具が、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−13454
【特許文献2】特開平5−192413
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載された保護具は、図18に示されているように、いずれも、上蓋50、下蓋51、これらを連結するヒンジ部52、下蓋51に形成された鍔部53、当該鍔部53を挿入可能とするスリット孔を有し上蓋に形成された係合部54とを含む。これらの保護具は、上記スリット孔内に鍔部53を挿入して係合部54と鍔部53とを係合させることにより、保護具をコネクタ同士の接続部位に装着した状態を保持できる。
【0008】
しかし、図19(A)に示されるように、上蓋50が外方に変形し、および/または、図19(B)に示されるように、下蓋51が内方に変形するように、外力が保護具に作用した場合、係合部54と鍔部53の係合が解除され、接続部位から保護具が取り外されてはいけないような状況でも保護具がコネクタ同士の接続部位から外れてしまう恐れがある。
【0009】
本発明では、オス型コネクタとオス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を覆った状態を、より確実に維持可能とする医療用接続保護具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療用接続保護具は、
オス型コネクタと前記オス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、
上蓋と、
前記上蓋に結合された下蓋と、
前記上蓋に設けられた第1係合部と、前記下蓋に設けられた第2係合部とを含み、前記内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、
前記係合構造は、前記下蓋または前記上蓋に設けられた係合補助部をさらに含み、
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第1係合部の前記第2係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第1係合部よりも上方に配置され、
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第2係合部の前記第1係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第2係合部よりも下方に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医療用接続保護具は、第1係合部と第2係合部との係合の解除を妨げるように機能する係合補助部を含むので、第1係合部と第2係合部との係合を解除させるような外力が、接続部位から医療用接続保護具が取り外されてはいけない状況で作用しても、上記係合状態は容易に解除されず、オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を覆った状態をより確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の医療用接続保護具の一例の斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1に示した医療用接続保護具の正面図である。
【図2B】図2Bは、図1に示した医療用接続保護具のI−I'断面図である。
【図3】図3は、図1に示した医療用接続保護具の内部構造を示した斜視図である。
【図4】図4は、図1に示した医療用接続保護具の左側面図である。
【図5】図5は、図1に示した医療用接続保護具の右側面図である。
【図6】図6は、本発明の医療用接続保護具の一例により保護される、接続部位の一例を示した正面図である。
【図7】図7は、図6に示された接続部位を構成するメス型コネクタの正面図である。
【図8】図8は、図6に示された接続部位を構成するオス型コネクタの断面図である。
【図9】図9は、図1に示した医療用接続保護具の使用上状態を説明する正面図である。
【図10】図10は、図1に示した医療用接続保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【図11】図11は、本発明の医療用接続保護具の他の一例の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示した医療用接続保護具の正面図である。
【図13】図13は、図11に示した医療用接続保護具の内部構造を示した斜視図である。
【図14】図14は、図11に示した医療用接続保護具の左側面図である。
【図15】図15は、図11に示した医療用接続保護具の右側面図である。
【図16】図16は、図11に示した医療用接続保護具の使用上状態を説明する正面図である。
【図17】図17は、図11に示した医療用接続保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【図18】図18は、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図である。
【図19】Aは、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図、Bは、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の医療用接続保護具(以下、「保護具」と略する場合もある。)の一例は、その内部空間の形状が、その右半分と左半分とで非対称であり、例えば、右半分は、上下方向の幅が左半分のそれよりも小さい領域を含んでおり、例えば、内部空間は、接続部位の外形に対応した形状をしている。この場合、左右の位置関係については、保護具は、接続部位に対して常に同じ左右の位置関係で装着されることとなる。故に、第1係合部と第2係合部との係合が係合毎に、および、当該係合の解除が係合の解除の毎に、同一の手技で行え、好ましい。また、保護具の内分空間の形状が、接続部位の外形に対応していると、接続部位が保護具の内部空間内で回転することが抑制され、好ましい。さらに、保護具の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続が不完全である場合、接続部位に保護具を装着できない。よって、接続が不完全な状態の接続部位に保護具が装着されることが防止される。
【0014】
本発明の保護具の一例では、係合補助部が下蓋に設けられており、第1係合部の左右方向の両端部のうちの第2係合部側の端部において、第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっている。第2係合部の左右方向の両先端のうちの第1係合部側の先端が、第1係合部の上記先端を乗り越えて、第2係合部の上記先端が第1係合部の上記先端よりも上に配置されることにより、第1係合部と第2係合部とが相互に係合される。このような係合構造の場合、上蓋と下蓋の開閉操作が行い易い。
【0015】
また、係合補助部が下蓋に設けられた上記本発明の保護具の一例では、第1係合部の左右方向の両端部は、各々、第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含んでいてもよい。この場合、第1係合部の前記第2係合部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、第1係合部の第2係合部側の端部における上側傾斜面とのなす角度θ2よりも、第1係合部の係合補助部側の先端を通り第1係合部の左右方向と平行な軸線と、第1係合部の係合補助部側の端部における上側傾斜面とのなす角度θ1の方が、小さいと好ましい。この場合、係合補助部の左右方向の長さが短くても、第1係合部の係合補助部との接触面積を確保しやすい。故に、θ1<θ2であると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0016】
本発明の保護具の一例では、係合補助部が前記上蓋に設けられており、第2係合部の左右方向の両端部のうちの第1係合部側の端部において、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっている。第2係合部の上記先端が、第1係合部の左右方向の両先端のうちの第2係合部側の先端を乗り越えて、第2係合部の先端が第1係合部の先端よりも上に配置されることにより、第1係合部と第2係合部とが相互に係合される。このような係合構造の場合、上蓋と下蓋の開閉操作が行い易い。
【0017】
また、係合補助部が上蓋に設けられた上記本発明の保護具の一例では、第2係合部の左右方向の両端部は、各々、第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含んでいてもよい。この場合、第2係合部の第1係合部側の先端を通り第2係合部の左右方向と平行な軸線と、第2係合部の第1係合部側の端部における下側傾斜面とのなす角度θ4よりも、第2係合部の係合補助部側の先端を通り第2係合部の左右方向と平行な軸線と、第2係合部の係合補助部側の端部における下側傾斜面とのなす角度θ3の方が小さいと好ましい。この場合、係合補助部の左右方向の長さが短くても、第2係合部の係合補助部との接触面積を確保しやすい。故に、θ3<θ4であると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0018】
本発明の保護具の一例では、係合補助部の左右方向の長さは、第1係合部および第2係合部のそれらよりも短い。係合補助部の左右方向の長さが長すぎると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作が行いにくくなるので、上記長さは、第1係合部および第2係合部のそれらよりも短いと好ましい。
【0019】
次に、図面を用いて本発明の保護具の一例について、より具体的に説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の保護具の一例について、図1〜図10を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の保護具の一例の斜視図であり、図2Aは、図1に示した保護具の正面図であり、図2Bは、図2Aに示した保護具のI−I'断面図であり、図3は、図1に示した保護具の内部を説明する斜視図であり、図4は、図1に示した保護具の左側面図、図5は、図1に示した保護具の右側面図、図6は、本発明の保護具の一例により保護される接続部位の一例を示した正面図、図7は、図6に示された接続部位を構成するメス型コネクタの正面図、図8は、図6に示された接続部位を構成するオス型コネクタの断面図、図9は、図1に示した保護具の使用状態を説明する正面図であり、図10は、図1に示した保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【0022】
図6〜図8に示されるように、本発明の保護具の一例により保護される接続部位は、例えば、患者の腹腔に埋植された腹膜カテーテルに繋がるエキステンションチューブ7の先端部を構成するメス型コネクタ5と、透析液セット、または、自動腹膜透析装置(APD)等の腹膜透析装置等の回路の先端部を構成するオス型コネクタ6との接続部位である。
【0023】
図7に示されるように、メス型コネクタ5は、本体部15と、本体部15の中央部に装着されたOリング16と、例えばゴム等からなり厚み方向に貫通するスリットを有する弁(図示せず)とを含む。本体部15の後端には、エキステンションチューブ(図示せず)が接続されるチューブ接続部17が形成されている。本体部15の内部には、その先端からチューブ接続部17に貫通する流路が形成されている。メス型コネクタ5を回転させる際には、本体部15を構成するつまみ18を把持して行われる。
【0024】
本体部15のうち、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させた際にオス型コネクタ6内に挿入される部分を、上記流路の長手方向に直交する方向に切断した場合に見える切断面の外形は略円径であるが、つまみ18を上記流路に直交する方向に切断した切断面の外形は、例えば、扁平な形状である。すなわち、つまみ18は、本体部15のうちのオス型コネクタ6内に挿入される部分の外周面よりも曲率が小さい面および/または平面を有している。そのため、指でつまみ18を把持してオス型コネクタ6を回転させる操作が行い易い。
【0025】
図8に示されるように、オス型コネクタ6は、二重筒構造をしており、外筒20の一端部に内筒21が固定されている。外筒20の他端は開口している。内筒21は、外筒20の外側に露出した外端部21aと、外筒20の内部に位置する内端部21bとを有する。外端部21aは、透析液セットを構成するチューブと接続される。内端部21bは、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とが螺合により接続される際に、メス型コネクタ5を構成する弁のスリットを押し広げながら弁を貫通して、内筒21の内腔とメス型コネクタ5の内腔とを連通させ、流路を開通させる。
【0026】
メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させるために、オス型コネクタ6を回転させる際には、外端部21aの両側に配置され外筒20と一体的に成形されたつまみ23を把持して行われる。メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させた際に、外筒20のうちのメス型コネクタ5を覆う部分を上記流路に直交する方向に切断した切断面の外形は略円径であるが、つまみ23は、外筒20のうちのメス型コネクタ5を覆う部分の外周面よりも曲率が小さい面および/または平面を有している。そのため、指でつまみ23を把持してオス型コネクタ6を回転させる操作が行い易い。
【0027】
図7に示されるように、メス型コネクタ5の本体部15の外表面には、ガイド溝14が形成されている。このガイド溝14と、オス型コネクタ6の外筒20の内面に形成されたガイド突起22(図8参照)とを位置合せし、メス型コネクタ5を右回り(時計回り)に回転させる。それに伴い、ガイド突起22がガイド溝14の傾斜部に沿って摺動し、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5とが螺合し、オス型コネクタ6の開口端面45と、メス型コネクタ5の径大部19とが当接する(図6参照)。
【0028】
図9に示されるように、本発明の保護具1の一例は、図6に示された、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6との接続部位を収納可能とする。
【0029】
図1〜図5に示されるように、保護具1は、上蓋2と下蓋3とを有し、上蓋2と下蓋3は、ヒンジ部4(図3〜5参照)を介して連結されている。図2Bに示されるように、保護具1の内部空間の形状は、その右半分1aと左半分1bとが非対称であり、右半分1aは、上下方向Zの幅が左半分1bのそれよりも小さい領域Cを含む。ここで、矢印Vが指す方向を左右方向とし、矢印Zが指す方向を上下方向とする。上蓋2側を上、下蓋側を下とする。
【0030】
上蓋2の自由端部2a(図3参照)における外周面には、第1係合部9が設けられている。第1係合部9は上蓋2の自由端部により支持されており、その一部は、上蓋2の自由端部における外周面上にあるが、残余の部分は、上蓋2の自由端から張り出している。第1係合部9の左右方向両端部では、各先端9a,9bに向かって、各々、第1係合部9の上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。そのため、第1係合部9は、その左右方向両端部において、先端9a,9bに向かって収束する上側傾斜面91,92と下側傾斜面93,94とを含む(図10参照)。
【0031】
上側傾斜面91(第1係合面)は、第1係合部9の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部と、後述する第2係合部7とが係合した状態のときに、第2係合部7の傾斜面71(第2係合面)と接する(図10参照)。一方、上側傾斜面92は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、後述する係合補助部10の傾斜面101と接する。
【0032】
一方、下蓋3の自由端部3a(図3参照)における外周面には、第2係合部7と、係合補助部10が設けられている。第2係合部7および係合補助部10は、各々、上蓋3の自由端部3aにより支持されており、各々その一部は、下蓋3の自由端部に3aおける外周面上にあるが、残余の部分は、下蓋3の自由端から張り出している。
【0033】
図10に示されるように、第2係合部7の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部も、その先端7aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。第2係合部7の上記端部は、第1係合部9と係合した状態のときに第1係合部9の上側傾斜面91(第1係合面)と接する傾斜面71(第2係合面)を有している。
【0034】
係合補助部10の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部も、その先端10aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。係合補助部10の上記端部は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、第1係合部9の左右方向両端部のうちの他方(左側)の端部が有する上側傾斜面92と接する傾斜面101を有している。
【0035】
上蓋2と下蓋3とを重ね合わせて、内部空間を形成する操作により、第2係合部7の先端7aが、第1係合部9の先端9aを乗り越え、先端7aが先端9aよりも上に配置される。すると傾斜面71は、上側傾斜面91に押し付けられ、印鑑ケースやがま口状財布等の開閉操作部のように、第2係合部7と第1係合部9とが係合して、保護具1内に内部空間が形成された状態が保持される。第2係合部7と第1係合部9とが係合することにより、上蓋2の自由端から張り出した第1係合部9の一部は、下蓋3の外周面の一部を覆い、下蓋3の自由端から張り出した第2係合部7の一部は、上蓋2の外周面の一部を覆う。そして、係合構造100(図10参照)の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向の所定の直線S上において係合補助部10が第1係合部9よりも上方に配置され、例えば、係合補助部10の傾斜面101は第1係合部9の上側傾斜面92に接する。
【0036】
なお、係合補助部10の傾斜面101は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、第1係合部9の上側傾斜面92に接していなくてもよい。係合補助部10が第1係合部9と第2係合部7との係合の解除を妨げるように機能するかぎり、係合補助部10の傾斜面101は第1係合部9の傾斜面92に接することなく隣接配置されていてもよい。
【0037】
図2Bに示されるように、保護具1はその内部空間が、上下方向Zの幅が相対的に大きい幅大領域Aと、上下方向Zの幅が相対的に小さい幅小領域Cと、幅大領域Aと幅小領域Cとの間に位置して上下方向Zの径が幅大領域Aから幅小領域C側に向かって漸次小さくなっている変幅領域Bとを含んでいる。このように、保護具1の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、左右の位置関係については、保護具1は接続部位に対して常に同じ左右の位置関係で装着されることとなる。ゆえに、第1係合部9と第2係合部7との係合が係合毎に、および、当該係合の解除が係合の解除の毎に、同一の手技で行え、好ましい。また、保護具1の内部空間の形状が、接続部位の外形に対応していると、接続部位が保護具1の内部空間内で回転することが抑制され、好ましい。さらに、保護具1の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6との接続が不完全である場合、接続部位に保護具1を装着できない。よって、接続が不完全な状態の接続部位に保護具1が装着されることが防止される。
【0038】
保護具1の内面には、接続部位と保護具との位置合わせを容易化する観点から、メス型コネクタ5の径大部19のつまみ18側の端面19a(図6参照)と接する当接壁13(図3参照)が立設されていると好ましい。
【0039】
次に、係合構造の一例について説明する。図10は、保護具1を構成する係合構造を示した概念説明図である。係合構造100は、上蓋に設けられた第1係合部9と、下蓋に設けられた第2係合部7と係合補助部10とを含む。
【0040】
例えば、図9に示されるように、メス型コネクタ5に反時計回り方向Xの回転が与え、および/または、オス型コネクタ6に反時計回り方向Yの回転が与えると、図10に示されるように、係合構造100には、第1係合部9と第2係合部7との係合が解除されるような力W1および力W2が付与される。第2係合部7に力W2が付与されるため、同時に係合補助部10に力W3が付与される。
【0041】
しかし、図10に示されるように、係合構造100の軸方向、即ち、左右方向Vと、直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部10が第1係合部9よりも上方に配置されており、係合補助部10の第1係合部9に面する傾斜面101が、第1係合部9の係合補助部10に面する上側傾斜面92よりも上に配置されている。そのため、第1係合部9に力W1が付与されると、第1係合部9を介して係合補助部10にも力W1が付与されるが、係合補助部10により第1係合部9に対して力W3が付与され、結果として、第1係合部9と第2係合部7との係合の解除が抑制されることとなる。故に、保護具1では、第1係合部9と第2係合部7との係合状態は容易に解除されない。よって、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5との接続部位を保護具1によって覆った状態をより確実に維持できる。
【0042】
なお、図10では、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態で、係合補助部10の傾斜面101が第1係合部9の上側傾斜面92に接しているが、保護具1では、これに限定されない。係合補助部10が、第1係合部9と第2係合部7との係合の解除を妨げるように機能するかぎり、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態の時に、係合補助部10の傾斜面101と第1係合部9の上側傾斜面92との間に、若干の隙間があってもよい。
【0043】
係合補助部10の左右方向Vの長さについて特に制限はないが、長すぎると、第1係合部9と第2係合部7との係合を解除するための操作が行いにくくなるので、第1係合部9および第2係合部7の左右方向Vの長さよりも短いと好ましい。
【0044】
また、図10に示されるように、第1係合部9の上側傾斜面92の傾斜角度θ1は、上側傾斜面91の傾斜角度θ2よりも小さいと好ましい。図10において、一転鎖線901は、第1係合部9の係合補助部10側の先端9bを通り第1係合部9の左右方向Vと平行な軸線であり、一転鎖線902は、第1係合部9の第2係合部7側の先端9aを通り第1係合部9の左右方向Vと平行な軸線である。この場合、係合補助部10の左右方向Vの長さが短くても、第1係合部9の係合補助部10の傾斜面101との接触面積を確保しやすい。故に、θ2>θ1であると、第1係合部9と第2係合部7との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部10による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0045】
(実施形態2)
本発明の保護具の他の一例について、図11〜図17を参照しながら説明する。図11は、本発明の保護具の他の一例の斜視図であり、図12は、図11に示した保護具の正面図であり、図13は、図11に示した保護具の内部を説明する斜視図であり、図14は、図11に示した保護具の左側面図、図15は、図11に示した保護具の右側面図、図16は、図1に示した保護具の使用状態を説明する正面図であり、図17は、図11に示した保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【0046】
本実施形態の保護具60は、係合構造が異なること以外は実施形態1の保護具1と同じである。よって、図11〜図16において、保護具60の係合構造以外の部材については、(実施形態1)において説明した保護具1のそれらと同じ部材番号を付し、その説明を省略する。
【0047】
保護具60の下蓋3の自由端部3a(図13参照)における外周面には、第2係合部67が設けられている。第2係合部67は下蓋3の自由端部により支持されており、その一部は、下蓋3の自由端部3aにおける外周面上にあるが、残余の部分は、下蓋3の自由端から張り出している。第2係合部67の左右方向両端部は、各先端67a,67bに向けて、各々、第2係合部67の上下方向Z(図12参照)の幅が漸次狭くなっている。そのため、第2係合部67は、その左右方向両端部において、先端67a,67bに向かって収束する上側傾斜面674,673と下側傾斜面672,671とを含む(図17参照)。
【0048】
図17に示されるように、下側傾斜面671(第2係合面)は、第2係合部67の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部と、後述する第1係合部69とが係合した状態のときに、第1係合部69の傾斜面691(第1係合面)と接する(図10参照)。一方、下側傾斜面672は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、後述する係合補助部610の傾斜面611と接する。
【0049】
一方、上蓋2の自由端部2a(図13参照)における外周面には、第1係合部69と、係合補助部610が設けられている。第1係合部69および係合補助部610は、各々、上蓋2の自由端部により支持されており、各々その一部は、上蓋2の自由端部2aにおける外周面上にあるが、残余の部分は、上蓋2の自由端から張り出している。
【0050】
第1係合部69の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部も、その先端69aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっており、第1係合部69の上記端部は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、第2係合部67の下側傾斜面671(第2係合面)と接する傾斜面691(第1係合面)を有している。
【0051】
係合補助部610の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部も、その先端610aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。係合補助部610の上記端部は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、第2係合部67の下側傾斜面672に接する傾斜面611を有している。
【0052】
上蓋2と下蓋3とを重ね合わせて内部空間を形成する操作により、第2係合部67の先端67bが、第1係合部69の先端69aを乗り越え、先端67aが先端69aよりも上に配置される。すると、下側傾斜面671は、傾斜面691に押し付けられ、印鑑ケースやがま口状財布等の開閉操作部のように、第2係合部67と第1係合部69とが係合して、保護具60内に、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続部位を収納可能とする内部空間が形成された状態が保持される。第2係合部67と第1係合部69とが係合することにより、上蓋2の自由端から張り出した第1係合部69の一部は、下蓋3の外周面の一部を覆い、下蓋3の自由端から張り出した第2係合部67の一部は、上下蓋2の外周面の一部を覆う。そして、係合構造106の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部610が第2係合部67よりも下方に配置され、係合補助部610の傾斜面611は第2係合部67の下側傾斜面672に接する。
【0053】
次に、本実施形態の保護具における係合構造の一例について説明する。図17は、保護具60を構成する係合構造を示した概念説明図である。係合構造106は、下蓋3に設けられた第2係合部67と、上蓋2に設けられた第1係合部69と係合補助部610とを含む。
【0054】
例えば、図16に示されるように、メス型コネクタ5に反時計回り方向Xの回転が与え、および/または、オス型コネクタ6に反時計回り方向Yの回転が与えると、保護具60には、図17に示されるように、係合構造106には、第1係合部69と第2係合部67との係合が解除されるような力W1およびW2が付与される。第1係合部69に力W1が付与されるため、同時に係合補助部610に力W3が付与される。
【0055】
しかし、図17に示されるように、係合構造106の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部610が第2係合部67よりも下方に配置されており、係合補助部610の第2係合部67に面する傾斜面611が、第2係合部67の係合補助部610に面する下側傾斜面672よりも下に配置されている。そのため、第2係合部67に力W2が付与されると、第2係合部67を介して係合補助部610に力W2が付与されるが、係合補助部610により第2係合部67に対して力W3が付与され、結果として、第1係合部69と第2係合部67との係合の解除が抑制されることとなる。故に、保護具60では、第1係合部69と第2係合部67との係合状態は容易に解除されない。よって、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5との接続部位を保護具60によって覆った状態をより確実に維持できる。
【0056】
係合補助部610の左右方向Vの長さについて特に制限はないが、長すぎると、第1係合部69と第2係合部67との係合状態を解除するための操作が行いにくくなるので、第1係合部69および第2係合部67の左右方向の長さよりも短いと好ましい。
【0057】
また、図17に示されるように、第2係合部67の下側傾斜面672の傾斜角度θ3は、第2係合部67の下側傾斜面671の傾斜角度θ4よりも小さいと好ましい。図17において、一転鎖線601は、第2係合部67の係合補助部610側の先端67aを通り第2係合部67の左右方向Vと平行な軸線であり、一転鎖線602は、第2係合部67の第1係合部69側の先端67bを通り第2係合部67の左右方向Vと平行な軸線である。この場合、係合補助部610の左右方向Vの長さが短くても、第2係合部67の係合補助部610の傾斜面611との接触面積を確保しやすい。故に、θ3<θ4であると、第1係合部69と第2係合部67との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部610による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の保護具は、オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を覆った状態をより確実に維持可能であるので、腹膜透析回路を構成する接続部を保護する保護具として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,60 医療用接続保護具
2 上蓋
3 下蓋
4 ヒンジ部
5 メス型コネクタ
6 オス型コネクタ
7,67 第2係合部
9,69 第1係合部
71,671 第2係合面
91、691 第1係合面
10,610 係合補助部
100,106 係合構造
901,902,601,602 軸線
91,92 上側傾斜面
671,672 下側傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具の接続部位を保護する医療用接続保護具に関し、特には、腹膜透析用の透析液の交換に際してトランスファーチューブ(エキステンションチューブとも言う。)と透析液セットとを接続するためのコネクタの接続部位を覆う医療用接続保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析は、あらかじめ患者の腹腔に外科的に埋植した腹膜カテーテルを介して、透析液を腹腔内に貯留し、腹膜の毛細血管を利用して体内に溜まった不純物をろ過する療法である。患者は、カテーテルの先に半年間連続使用するトランスファーチューブを接続した状態で日常の生活を送る。そして、患者自身が透析液の入ったバッグや送液回路等からなる透析液セットをトランスファーチューブ先端に接続し、腹腔内の透析液を交換する。この操作は、1日4回、毎日半永久的に継続しなければならない。
【0003】
また、トランスファーチューブと透析液セットとの接続部位は、無菌接続が求められる部分でもある。1日4回も行う透析液の交換時に、誤って空気中の細菌や皮膚に付着した細菌が透析液と共に腹腔内に入ってしまうと、腹膜が炎症を起こし腹膜炎を発症する。その結果、腹膜炎治療の為にひどいときにはカテーテルを抜去せざるを得ず、透析が継続できなくなる場合もある。更に、長期にわたり繰り返し腹膜炎を発症することによって、腹膜機能が低下し、十分な透析効率が得られなくなったり、難治性で非常に予後の悪い被のう性腹膜硬化症(EPS)の発症により命をおとす可能性もある。
【0004】
ゆえに、トランスファーチューブと透析液セットとの接続部位を細菌汚染から保護すると共に、それらの接続状態を維持することが重要である。
【0005】
現在一般的に使用されている接続用のコネクタは、オス型コネクタとメス型コネクタとを螺合させるタイプのものが多い。一般的に、螺合によってコネクタ同士を接続させる場合、右手に持つコネクタに時計回り方向の回転を与えることでネジが締まり、反時計回り方向の回転を与えることでネジを緩めることができる。コネクタ同士の螺合が緩んだり、最悪の場合、コネクタ同士が外れることを防ぐための保護具が、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−13454
【特許文献2】特開平5−192413
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載された保護具は、図18に示されているように、いずれも、上蓋50、下蓋51、これらを連結するヒンジ部52、下蓋51に形成された鍔部53、当該鍔部53を挿入可能とするスリット孔を有し上蓋に形成された係合部54とを含む。これらの保護具は、上記スリット孔内に鍔部53を挿入して係合部54と鍔部53とを係合させることにより、保護具をコネクタ同士の接続部位に装着した状態を保持できる。
【0008】
しかし、図19(A)に示されるように、上蓋50が外方に変形し、および/または、図19(B)に示されるように、下蓋51が内方に変形するように、外力が保護具に作用した場合、係合部54と鍔部53の係合が解除され、接続部位から保護具が取り外されてはいけないような状況でも保護具がコネクタ同士の接続部位から外れてしまう恐れがある。
【0009】
本発明では、オス型コネクタとオス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を覆った状態を、より確実に維持可能とする医療用接続保護具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療用接続保護具は、
オス型コネクタと前記オス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、
上蓋と、
前記上蓋に結合された下蓋と、
前記上蓋に設けられた第1係合部と、前記下蓋に設けられた第2係合部とを含み、前記内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、
前記係合構造は、前記下蓋または前記上蓋に設けられた係合補助部をさらに含み、
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第1係合部の前記第2係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第1係合部よりも上方に配置され、
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第2係合部の前記第1係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第2係合部よりも下方に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医療用接続保護具は、第1係合部と第2係合部との係合の解除を妨げるように機能する係合補助部を含むので、第1係合部と第2係合部との係合を解除させるような外力が、接続部位から医療用接続保護具が取り外されてはいけない状況で作用しても、上記係合状態は容易に解除されず、オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を覆った状態をより確実に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の医療用接続保護具の一例の斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1に示した医療用接続保護具の正面図である。
【図2B】図2Bは、図1に示した医療用接続保護具のI−I'断面図である。
【図3】図3は、図1に示した医療用接続保護具の内部構造を示した斜視図である。
【図4】図4は、図1に示した医療用接続保護具の左側面図である。
【図5】図5は、図1に示した医療用接続保護具の右側面図である。
【図6】図6は、本発明の医療用接続保護具の一例により保護される、接続部位の一例を示した正面図である。
【図7】図7は、図6に示された接続部位を構成するメス型コネクタの正面図である。
【図8】図8は、図6に示された接続部位を構成するオス型コネクタの断面図である。
【図9】図9は、図1に示した医療用接続保護具の使用上状態を説明する正面図である。
【図10】図10は、図1に示した医療用接続保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【図11】図11は、本発明の医療用接続保護具の他の一例の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示した医療用接続保護具の正面図である。
【図13】図13は、図11に示した医療用接続保護具の内部構造を示した斜視図である。
【図14】図14は、図11に示した医療用接続保護具の左側面図である。
【図15】図15は、図11に示した医療用接続保護具の右側面図である。
【図16】図16は、図11に示した医療用接続保護具の使用上状態を説明する正面図である。
【図17】図17は、図11に示した医療用接続保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【図18】図18は、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図である。
【図19】Aは、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図、Bは、従来の医療用接続保護具の一例の概念断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の医療用接続保護具(以下、「保護具」と略する場合もある。)の一例は、その内部空間の形状が、その右半分と左半分とで非対称であり、例えば、右半分は、上下方向の幅が左半分のそれよりも小さい領域を含んでおり、例えば、内部空間は、接続部位の外形に対応した形状をしている。この場合、左右の位置関係については、保護具は、接続部位に対して常に同じ左右の位置関係で装着されることとなる。故に、第1係合部と第2係合部との係合が係合毎に、および、当該係合の解除が係合の解除の毎に、同一の手技で行え、好ましい。また、保護具の内分空間の形状が、接続部位の外形に対応していると、接続部位が保護具の内部空間内で回転することが抑制され、好ましい。さらに、保護具の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続が不完全である場合、接続部位に保護具を装着できない。よって、接続が不完全な状態の接続部位に保護具が装着されることが防止される。
【0014】
本発明の保護具の一例では、係合補助部が下蓋に設けられており、第1係合部の左右方向の両端部のうちの第2係合部側の端部において、第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっている。第2係合部の左右方向の両先端のうちの第1係合部側の先端が、第1係合部の上記先端を乗り越えて、第2係合部の上記先端が第1係合部の上記先端よりも上に配置されることにより、第1係合部と第2係合部とが相互に係合される。このような係合構造の場合、上蓋と下蓋の開閉操作が行い易い。
【0015】
また、係合補助部が下蓋に設けられた上記本発明の保護具の一例では、第1係合部の左右方向の両端部は、各々、第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含んでいてもよい。この場合、第1係合部の前記第2係合部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、第1係合部の第2係合部側の端部における上側傾斜面とのなす角度θ2よりも、第1係合部の係合補助部側の先端を通り第1係合部の左右方向と平行な軸線と、第1係合部の係合補助部側の端部における上側傾斜面とのなす角度θ1の方が、小さいと好ましい。この場合、係合補助部の左右方向の長さが短くても、第1係合部の係合補助部との接触面積を確保しやすい。故に、θ1<θ2であると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0016】
本発明の保護具の一例では、係合補助部が前記上蓋に設けられており、第2係合部の左右方向の両端部のうちの第1係合部側の端部において、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっている。第2係合部の上記先端が、第1係合部の左右方向の両先端のうちの第2係合部側の先端を乗り越えて、第2係合部の先端が第1係合部の先端よりも上に配置されることにより、第1係合部と第2係合部とが相互に係合される。このような係合構造の場合、上蓋と下蓋の開閉操作が行い易い。
【0017】
また、係合補助部が上蓋に設けられた上記本発明の保護具の一例では、第2係合部の左右方向の両端部は、各々、第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含んでいてもよい。この場合、第2係合部の第1係合部側の先端を通り第2係合部の左右方向と平行な軸線と、第2係合部の第1係合部側の端部における下側傾斜面とのなす角度θ4よりも、第2係合部の係合補助部側の先端を通り第2係合部の左右方向と平行な軸線と、第2係合部の係合補助部側の端部における下側傾斜面とのなす角度θ3の方が小さいと好ましい。この場合、係合補助部の左右方向の長さが短くても、第2係合部の係合補助部との接触面積を確保しやすい。故に、θ3<θ4であると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0018】
本発明の保護具の一例では、係合補助部の左右方向の長さは、第1係合部および第2係合部のそれらよりも短い。係合補助部の左右方向の長さが長すぎると、第1係合部と第2係合部との係合を解除するための操作が行いにくくなるので、上記長さは、第1係合部および第2係合部のそれらよりも短いと好ましい。
【0019】
次に、図面を用いて本発明の保護具の一例について、より具体的に説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の保護具の一例について、図1〜図10を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の保護具の一例の斜視図であり、図2Aは、図1に示した保護具の正面図であり、図2Bは、図2Aに示した保護具のI−I'断面図であり、図3は、図1に示した保護具の内部を説明する斜視図であり、図4は、図1に示した保護具の左側面図、図5は、図1に示した保護具の右側面図、図6は、本発明の保護具の一例により保護される接続部位の一例を示した正面図、図7は、図6に示された接続部位を構成するメス型コネクタの正面図、図8は、図6に示された接続部位を構成するオス型コネクタの断面図、図9は、図1に示した保護具の使用状態を説明する正面図であり、図10は、図1に示した保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【0022】
図6〜図8に示されるように、本発明の保護具の一例により保護される接続部位は、例えば、患者の腹腔に埋植された腹膜カテーテルに繋がるエキステンションチューブ7の先端部を構成するメス型コネクタ5と、透析液セット、または、自動腹膜透析装置(APD)等の腹膜透析装置等の回路の先端部を構成するオス型コネクタ6との接続部位である。
【0023】
図7に示されるように、メス型コネクタ5は、本体部15と、本体部15の中央部に装着されたOリング16と、例えばゴム等からなり厚み方向に貫通するスリットを有する弁(図示せず)とを含む。本体部15の後端には、エキステンションチューブ(図示せず)が接続されるチューブ接続部17が形成されている。本体部15の内部には、その先端からチューブ接続部17に貫通する流路が形成されている。メス型コネクタ5を回転させる際には、本体部15を構成するつまみ18を把持して行われる。
【0024】
本体部15のうち、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させた際にオス型コネクタ6内に挿入される部分を、上記流路の長手方向に直交する方向に切断した場合に見える切断面の外形は略円径であるが、つまみ18を上記流路に直交する方向に切断した切断面の外形は、例えば、扁平な形状である。すなわち、つまみ18は、本体部15のうちのオス型コネクタ6内に挿入される部分の外周面よりも曲率が小さい面および/または平面を有している。そのため、指でつまみ18を把持してオス型コネクタ6を回転させる操作が行い易い。
【0025】
図8に示されるように、オス型コネクタ6は、二重筒構造をしており、外筒20の一端部に内筒21が固定されている。外筒20の他端は開口している。内筒21は、外筒20の外側に露出した外端部21aと、外筒20の内部に位置する内端部21bとを有する。外端部21aは、透析液セットを構成するチューブと接続される。内端部21bは、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とが螺合により接続される際に、メス型コネクタ5を構成する弁のスリットを押し広げながら弁を貫通して、内筒21の内腔とメス型コネクタ5の内腔とを連通させ、流路を開通させる。
【0026】
メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させるために、オス型コネクタ6を回転させる際には、外端部21aの両側に配置され外筒20と一体的に成形されたつまみ23を把持して行われる。メス型コネクタ5とオス型コネクタ6とを螺合させた際に、外筒20のうちのメス型コネクタ5を覆う部分を上記流路に直交する方向に切断した切断面の外形は略円径であるが、つまみ23は、外筒20のうちのメス型コネクタ5を覆う部分の外周面よりも曲率が小さい面および/または平面を有している。そのため、指でつまみ23を把持してオス型コネクタ6を回転させる操作が行い易い。
【0027】
図7に示されるように、メス型コネクタ5の本体部15の外表面には、ガイド溝14が形成されている。このガイド溝14と、オス型コネクタ6の外筒20の内面に形成されたガイド突起22(図8参照)とを位置合せし、メス型コネクタ5を右回り(時計回り)に回転させる。それに伴い、ガイド突起22がガイド溝14の傾斜部に沿って摺動し、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5とが螺合し、オス型コネクタ6の開口端面45と、メス型コネクタ5の径大部19とが当接する(図6参照)。
【0028】
図9に示されるように、本発明の保護具1の一例は、図6に示された、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6との接続部位を収納可能とする。
【0029】
図1〜図5に示されるように、保護具1は、上蓋2と下蓋3とを有し、上蓋2と下蓋3は、ヒンジ部4(図3〜5参照)を介して連結されている。図2Bに示されるように、保護具1の内部空間の形状は、その右半分1aと左半分1bとが非対称であり、右半分1aは、上下方向Zの幅が左半分1bのそれよりも小さい領域Cを含む。ここで、矢印Vが指す方向を左右方向とし、矢印Zが指す方向を上下方向とする。上蓋2側を上、下蓋側を下とする。
【0030】
上蓋2の自由端部2a(図3参照)における外周面には、第1係合部9が設けられている。第1係合部9は上蓋2の自由端部により支持されており、その一部は、上蓋2の自由端部における外周面上にあるが、残余の部分は、上蓋2の自由端から張り出している。第1係合部9の左右方向両端部では、各先端9a,9bに向かって、各々、第1係合部9の上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。そのため、第1係合部9は、その左右方向両端部において、先端9a,9bに向かって収束する上側傾斜面91,92と下側傾斜面93,94とを含む(図10参照)。
【0031】
上側傾斜面91(第1係合面)は、第1係合部9の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部と、後述する第2係合部7とが係合した状態のときに、第2係合部7の傾斜面71(第2係合面)と接する(図10参照)。一方、上側傾斜面92は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、後述する係合補助部10の傾斜面101と接する。
【0032】
一方、下蓋3の自由端部3a(図3参照)における外周面には、第2係合部7と、係合補助部10が設けられている。第2係合部7および係合補助部10は、各々、上蓋3の自由端部3aにより支持されており、各々その一部は、下蓋3の自由端部に3aおける外周面上にあるが、残余の部分は、下蓋3の自由端から張り出している。
【0033】
図10に示されるように、第2係合部7の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部も、その先端7aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。第2係合部7の上記端部は、第1係合部9と係合した状態のときに第1係合部9の上側傾斜面91(第1係合面)と接する傾斜面71(第2係合面)を有している。
【0034】
係合補助部10の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部も、その先端10aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。係合補助部10の上記端部は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、第1係合部9の左右方向両端部のうちの他方(左側)の端部が有する上側傾斜面92と接する傾斜面101を有している。
【0035】
上蓋2と下蓋3とを重ね合わせて、内部空間を形成する操作により、第2係合部7の先端7aが、第1係合部9の先端9aを乗り越え、先端7aが先端9aよりも上に配置される。すると傾斜面71は、上側傾斜面91に押し付けられ、印鑑ケースやがま口状財布等の開閉操作部のように、第2係合部7と第1係合部9とが係合して、保護具1内に内部空間が形成された状態が保持される。第2係合部7と第1係合部9とが係合することにより、上蓋2の自由端から張り出した第1係合部9の一部は、下蓋3の外周面の一部を覆い、下蓋3の自由端から張り出した第2係合部7の一部は、上蓋2の外周面の一部を覆う。そして、係合構造100(図10参照)の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向の所定の直線S上において係合補助部10が第1係合部9よりも上方に配置され、例えば、係合補助部10の傾斜面101は第1係合部9の上側傾斜面92に接する。
【0036】
なお、係合補助部10の傾斜面101は、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態のときに、第1係合部9の上側傾斜面92に接していなくてもよい。係合補助部10が第1係合部9と第2係合部7との係合の解除を妨げるように機能するかぎり、係合補助部10の傾斜面101は第1係合部9の傾斜面92に接することなく隣接配置されていてもよい。
【0037】
図2Bに示されるように、保護具1はその内部空間が、上下方向Zの幅が相対的に大きい幅大領域Aと、上下方向Zの幅が相対的に小さい幅小領域Cと、幅大領域Aと幅小領域Cとの間に位置して上下方向Zの径が幅大領域Aから幅小領域C側に向かって漸次小さくなっている変幅領域Bとを含んでいる。このように、保護具1の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、左右の位置関係については、保護具1は接続部位に対して常に同じ左右の位置関係で装着されることとなる。ゆえに、第1係合部9と第2係合部7との係合が係合毎に、および、当該係合の解除が係合の解除の毎に、同一の手技で行え、好ましい。また、保護具1の内部空間の形状が、接続部位の外形に対応していると、接続部位が保護具1の内部空間内で回転することが抑制され、好ましい。さらに、保護具1の内部空間が、接続部位の外形に対応した形状をしていると、メス型コネクタ5とオス型コネクタ6との接続が不完全である場合、接続部位に保護具1を装着できない。よって、接続が不完全な状態の接続部位に保護具1が装着されることが防止される。
【0038】
保護具1の内面には、接続部位と保護具との位置合わせを容易化する観点から、メス型コネクタ5の径大部19のつまみ18側の端面19a(図6参照)と接する当接壁13(図3参照)が立設されていると好ましい。
【0039】
次に、係合構造の一例について説明する。図10は、保護具1を構成する係合構造を示した概念説明図である。係合構造100は、上蓋に設けられた第1係合部9と、下蓋に設けられた第2係合部7と係合補助部10とを含む。
【0040】
例えば、図9に示されるように、メス型コネクタ5に反時計回り方向Xの回転が与え、および/または、オス型コネクタ6に反時計回り方向Yの回転が与えると、図10に示されるように、係合構造100には、第1係合部9と第2係合部7との係合が解除されるような力W1および力W2が付与される。第2係合部7に力W2が付与されるため、同時に係合補助部10に力W3が付与される。
【0041】
しかし、図10に示されるように、係合構造100の軸方向、即ち、左右方向Vと、直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部10が第1係合部9よりも上方に配置されており、係合補助部10の第1係合部9に面する傾斜面101が、第1係合部9の係合補助部10に面する上側傾斜面92よりも上に配置されている。そのため、第1係合部9に力W1が付与されると、第1係合部9を介して係合補助部10にも力W1が付与されるが、係合補助部10により第1係合部9に対して力W3が付与され、結果として、第1係合部9と第2係合部7との係合の解除が抑制されることとなる。故に、保護具1では、第1係合部9と第2係合部7との係合状態は容易に解除されない。よって、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5との接続部位を保護具1によって覆った状態をより確実に維持できる。
【0042】
なお、図10では、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態で、係合補助部10の傾斜面101が第1係合部9の上側傾斜面92に接しているが、保護具1では、これに限定されない。係合補助部10が、第1係合部9と第2係合部7との係合の解除を妨げるように機能するかぎり、第1係合部9と第2係合部7とが係合した状態の時に、係合補助部10の傾斜面101と第1係合部9の上側傾斜面92との間に、若干の隙間があってもよい。
【0043】
係合補助部10の左右方向Vの長さについて特に制限はないが、長すぎると、第1係合部9と第2係合部7との係合を解除するための操作が行いにくくなるので、第1係合部9および第2係合部7の左右方向Vの長さよりも短いと好ましい。
【0044】
また、図10に示されるように、第1係合部9の上側傾斜面92の傾斜角度θ1は、上側傾斜面91の傾斜角度θ2よりも小さいと好ましい。図10において、一転鎖線901は、第1係合部9の係合補助部10側の先端9bを通り第1係合部9の左右方向Vと平行な軸線であり、一転鎖線902は、第1係合部9の第2係合部7側の先端9aを通り第1係合部9の左右方向Vと平行な軸線である。この場合、係合補助部10の左右方向Vの長さが短くても、第1係合部9の係合補助部10の傾斜面101との接触面積を確保しやすい。故に、θ2>θ1であると、第1係合部9と第2係合部7との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部10による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【0045】
(実施形態2)
本発明の保護具の他の一例について、図11〜図17を参照しながら説明する。図11は、本発明の保護具の他の一例の斜視図であり、図12は、図11に示した保護具の正面図であり、図13は、図11に示した保護具の内部を説明する斜視図であり、図14は、図11に示した保護具の左側面図、図15は、図11に示した保護具の右側面図、図16は、図1に示した保護具の使用状態を説明する正面図であり、図17は、図11に示した保護具を構成する係合構造を示した概念説明図である。
【0046】
本実施形態の保護具60は、係合構造が異なること以外は実施形態1の保護具1と同じである。よって、図11〜図16において、保護具60の係合構造以外の部材については、(実施形態1)において説明した保護具1のそれらと同じ部材番号を付し、その説明を省略する。
【0047】
保護具60の下蓋3の自由端部3a(図13参照)における外周面には、第2係合部67が設けられている。第2係合部67は下蓋3の自由端部により支持されており、その一部は、下蓋3の自由端部3aにおける外周面上にあるが、残余の部分は、下蓋3の自由端から張り出している。第2係合部67の左右方向両端部は、各先端67a,67bに向けて、各々、第2係合部67の上下方向Z(図12参照)の幅が漸次狭くなっている。そのため、第2係合部67は、その左右方向両端部において、先端67a,67bに向かって収束する上側傾斜面674,673と下側傾斜面672,671とを含む(図17参照)。
【0048】
図17に示されるように、下側傾斜面671(第2係合面)は、第2係合部67の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部と、後述する第1係合部69とが係合した状態のときに、第1係合部69の傾斜面691(第1係合面)と接する(図10参照)。一方、下側傾斜面672は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、後述する係合補助部610の傾斜面611と接する。
【0049】
一方、上蓋2の自由端部2a(図13参照)における外周面には、第1係合部69と、係合補助部610が設けられている。第1係合部69および係合補助部610は、各々、上蓋2の自由端部により支持されており、各々その一部は、上蓋2の自由端部2aにおける外周面上にあるが、残余の部分は、上蓋2の自由端から張り出している。
【0050】
第1係合部69の左右方向両端部のうちの一方(右側)の端部も、その先端69aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっており、第1係合部69の上記端部は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、第2係合部67の下側傾斜面671(第2係合面)と接する傾斜面691(第1係合面)を有している。
【0051】
係合補助部610の左右方向両端部のうちの一方(左側)の端部も、その先端610aに向かって、上下方向Zの幅が漸次狭くなっている。係合補助部610の上記端部は、第1係合部69と第2係合部67とが係合した状態のときに、第2係合部67の下側傾斜面672に接する傾斜面611を有している。
【0052】
上蓋2と下蓋3とを重ね合わせて内部空間を形成する操作により、第2係合部67の先端67bが、第1係合部69の先端69aを乗り越え、先端67aが先端69aよりも上に配置される。すると、下側傾斜面671は、傾斜面691に押し付けられ、印鑑ケースやがま口状財布等の開閉操作部のように、第2係合部67と第1係合部69とが係合して、保護具60内に、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続部位を収納可能とする内部空間が形成された状態が保持される。第2係合部67と第1係合部69とが係合することにより、上蓋2の自由端から張り出した第1係合部69の一部は、下蓋3の外周面の一部を覆い、下蓋3の自由端から張り出した第2係合部67の一部は、上下蓋2の外周面の一部を覆う。そして、係合構造106の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部610が第2係合部67よりも下方に配置され、係合補助部610の傾斜面611は第2係合部67の下側傾斜面672に接する。
【0053】
次に、本実施形態の保護具における係合構造の一例について説明する。図17は、保護具60を構成する係合構造を示した概念説明図である。係合構造106は、下蓋3に設けられた第2係合部67と、上蓋2に設けられた第1係合部69と係合補助部610とを含む。
【0054】
例えば、図16に示されるように、メス型コネクタ5に反時計回り方向Xの回転が与え、および/または、オス型コネクタ6に反時計回り方向Yの回転が与えると、保護具60には、図17に示されるように、係合構造106には、第1係合部69と第2係合部67との係合が解除されるような力W1およびW2が付与される。第1係合部69に力W1が付与されるため、同時に係合補助部610に力W3が付与される。
【0055】
しかし、図17に示されるように、係合構造106の軸方向、即ち、左右方向Vと直交する上下方向Zの所定の直線S上において、係合補助部610が第2係合部67よりも下方に配置されており、係合補助部610の第2係合部67に面する傾斜面611が、第2係合部67の係合補助部610に面する下側傾斜面672よりも下に配置されている。そのため、第2係合部67に力W2が付与されると、第2係合部67を介して係合補助部610に力W2が付与されるが、係合補助部610により第2係合部67に対して力W3が付与され、結果として、第1係合部69と第2係合部67との係合の解除が抑制されることとなる。故に、保護具60では、第1係合部69と第2係合部67との係合状態は容易に解除されない。よって、オス型コネクタ6とメス型コネクタ5との接続部位を保護具60によって覆った状態をより確実に維持できる。
【0056】
係合補助部610の左右方向Vの長さについて特に制限はないが、長すぎると、第1係合部69と第2係合部67との係合状態を解除するための操作が行いにくくなるので、第1係合部69および第2係合部67の左右方向の長さよりも短いと好ましい。
【0057】
また、図17に示されるように、第2係合部67の下側傾斜面672の傾斜角度θ3は、第2係合部67の下側傾斜面671の傾斜角度θ4よりも小さいと好ましい。図17において、一転鎖線601は、第2係合部67の係合補助部610側の先端67aを通り第2係合部67の左右方向Vと平行な軸線であり、一転鎖線602は、第2係合部67の第1係合部69側の先端67bを通り第2係合部67の左右方向Vと平行な軸線である。この場合、係合補助部610の左右方向Vの長さが短くても、第2係合部67の係合補助部610の傾斜面611との接触面積を確保しやすい。故に、θ3<θ4であると、第1係合部69と第2係合部67との係合を解除するための操作の操作性と、係合補助部610による係合の解除抑制効果との両立が行い易い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の保護具は、オス型コネクタとメス型コネクタとの接続部位を覆った状態をより確実に維持可能であるので、腹膜透析回路を構成する接続部を保護する保護具として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,60 医療用接続保護具
2 上蓋
3 下蓋
4 ヒンジ部
5 メス型コネクタ
6 オス型コネクタ
7,67 第2係合部
9,69 第1係合部
71,671 第2係合面
91、691 第1係合面
10,610 係合補助部
100,106 係合構造
901,902,601,602 軸線
91,92 上側傾斜面
671,672 下側傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス型コネクタと前記オス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、
上蓋と、
前記上蓋に結合された下蓋と、
前記上蓋に設けられた第1係合部と、前記下蓋に設けられた第2係合部とを含み、前記内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、
前記係合構造は、前記下蓋または前記上蓋に設けられた係合補助部をさらに含み、
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第1係合部の前記第2係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第1係合部よりも上方に配置され、
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第2係合部の前記第1係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第2係合部よりも下方に配置されている、医療用接続部位保護具。
【請求項2】
前記内部空間の形状は、その右半分と左半分とが非対称であり、前記右半分は、上下方向の幅が前記左半分のそれよりも小さい領域を含む請求項1に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項3】
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、
前記第1係合部の左右方向の両端部のうちの前記第2係合部側の端部において、前記第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっており、
前記第2係合部の左右方向の両先端のうちの前記第1係合部側の先端が前記第1係合部の前記先端を乗り越えて、前記第2係合部の前記先端が前記第1係合部の前記先端よりも上に配置されることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合される、請求項2に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項4】
前記第1係合部の左右方向の両端部は、各々、前記第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含み、
前記第1係合部の前記第2係合部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第1係合部の前記第2係合部側の端部における上記上側傾斜面とのなす角度θ2よりも、
前記第1係合部の前記係合補助部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第1係合部の前記係合補助部側の端部における上記上側傾斜面とのなす角度θ1の方が、小さい、請求項3に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項5】
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、
前記第2係合部の左右方向の両端部のうちの前記第1係合部側の端部において、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっており、
前記第2係合部の前記先端が、前記第1係合部の左右方向の両先端のうちの前記第2係合部側の先端を乗り越えて、前記第2係合部の前記先端が前記第1係合部の前記先端よりも上に配置されることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合される、請求項2に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項6】
前記第2係合部の左右方向の両端部は、各々、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含み、
前記第2係合部の前記第1係合部側の先端を通り前記第2係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第2係合部の前記第1係合部側の端部における前記下側傾斜面とのなす角度θ4よりも、
前記第2係合部の前記係合補助部側の先端を通り前記第2係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第2係合部の前記係合補助部側の端部における前記下側傾斜面とのなす角度θ3の方が、小さい、請求項3に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項7】
前記係合補助部の左右方向の長さは、前記第1係合部および前記第2係合部のそれらよりも短い請求項1〜6の何れかの項に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項1】
オス型コネクタと前記オス型コネクタに螺合により接続されたメス型コネクタとの接続部位を収納可能な内部空間を形成し得る医療用接続部位保護具であって、
上蓋と、
前記上蓋に結合された下蓋と、
前記上蓋に設けられた第1係合部と、前記下蓋に設けられた第2係合部とを含み、前記内部空間が形成されるように前記上蓋と前記下蓋とが配置された状態を、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合することにより保持可能とする係合構造を含み、
前記係合構造は、前記下蓋または前記上蓋に設けられた係合補助部をさらに含み、
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第1係合部の前記第2係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第1係合部よりも上方に配置され、
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態のときに、前記係合補助部は前記第2係合部の前記第1係合部側の反対側に配置され且つ前記係合構造の軸方向と直交する上下方向の所定の直線上において前記係合補助部が前記第2係合部よりも下方に配置されている、医療用接続部位保護具。
【請求項2】
前記内部空間の形状は、その右半分と左半分とが非対称であり、前記右半分は、上下方向の幅が前記左半分のそれよりも小さい領域を含む請求項1に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項3】
前記係合補助部が前記下蓋に設けられている場合、
前記第1係合部の左右方向の両端部のうちの前記第2係合部側の端部において、前記第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっており、
前記第2係合部の左右方向の両先端のうちの前記第1係合部側の先端が前記第1係合部の前記先端を乗り越えて、前記第2係合部の前記先端が前記第1係合部の前記先端よりも上に配置されることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合される、請求項2に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項4】
前記第1係合部の左右方向の両端部は、各々、前記第1係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含み、
前記第1係合部の前記第2係合部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第1係合部の前記第2係合部側の端部における上記上側傾斜面とのなす角度θ2よりも、
前記第1係合部の前記係合補助部側の先端を通り前記第1係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第1係合部の前記係合補助部側の端部における上記上側傾斜面とのなす角度θ1の方が、小さい、請求項3に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項5】
前記係合補助部が前記上蓋に設けられている場合、
前記第2係合部の左右方向の両端部のうちの前記第1係合部側の端部において、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなっており、
前記第2係合部の前記先端が、前記第1係合部の左右方向の両先端のうちの前記第2係合部側の先端を乗り越えて、前記第2係合部の前記先端が前記第1係合部の前記先端よりも上に配置されることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とが相互に係合される、請求項2に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項6】
前記第2係合部の左右方向の両端部は、各々、前記第2係合部の上下方向の幅が先端に向かって漸次狭くなることにより、先端に向かって収束する上側傾斜面と下側傾斜面とを含み、
前記第2係合部の前記第1係合部側の先端を通り前記第2係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第2係合部の前記第1係合部側の端部における前記下側傾斜面とのなす角度θ4よりも、
前記第2係合部の前記係合補助部側の先端を通り前記第2係合部の左右方向と平行な軸線と、前記第2係合部の前記係合補助部側の端部における前記下側傾斜面とのなす角度θ3の方が、小さい、請求項3に記載の医療用接続部位保護具。
【請求項7】
前記係合補助部の左右方向の長さは、前記第1係合部および前記第2係合部のそれらよりも短い請求項1〜6の何れかの項に記載の医療用接続部位保護具。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−50686(P2011−50686A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204797(P2009−204797)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
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