説明

医療用途又は医薬用途のための挿入ヘッド

【課題】穿刺針によって支持された可撓性のカニューレを備えた医療用途のための挿入ヘッドを提供する。
【解決手段】挿入ヘッドが作動可能状態にあるときに、穿刺針15及びカニューレ5は、挿入ヘッドの摺動可能なハウジング半体10,12の内側の保護位置に配置され且つハウジング10,12を把持し且つ当該2つのハウジング半体を相対的に摺動させることにより展開させて、穿刺針及びカニューレを患者の体内へ挿入することにより挿入ヘッドを適用する。適用完了後、穿刺針は、穿刺針が保持されている2つのハウジング半体を挿入方向と反対の方向へと体から分離させることにより、カニューレ及び当該カニューレを支持しているカニューレハウジング17bから取り外すことができ、穿刺針は、カニューレハウジングから出てきた直後にばね力によってハウジング内の保護位置へと自動的に枢動して戻され、ハウジング内に保持される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用途又は医薬用途のための挿入ヘッドに関し、生体組織好ましくは人間の皮膚上に配置することができ、組織上に配置されたとき又は適当な場合には組織上に配置された後に、組織に穿刺される挿入器具を備えている。当該挿入ヘッドは、特に、医薬を投与するための輸液セットの構成部品とすることができる。
【背景技術】
【0002】
DE 198 21 723 C1は、基部、可撓性カニューレ及び穿刺針を備えている挿入ヘッドを開示している。カニューレは、前記基部の下面から突出している。穿刺針は、カニューレが患者の組織内へ挿入される間カニューレを安定させる。この安定化のために、穿刺針はカニューレを貫通して延び、カニューレは穿刺針を緩く包囲する。穿刺による創傷に対する保護を提供するために、針ガードが基部上に解除可能に固定されている。カニューレによって包囲され且つ挿入ヘッドの下面から下方へ突出している穿刺針及び特に針ガードもまた、挿入ヘッドの体積を著しく増大させ、従って、その包装体積をも増大させる。更に、針ガードの取り外しは不便であり且つ創傷の危険性を伴う。
【0003】
ドイツ特許出願10 2004 039 408.3は、生体組織上に配置することができる下面を備えた基部と、当該基部から移動可能に取り付けられ且つ組織内に挿入することができる省スペースの挿入器具とを備えた挿入ヘッドに関する。在庫、搬送及び取り扱い中並びに組織内へ挿入するまで、挿入器具は保護位置にある。当該挿入器具は、挿入のために、当該保護位置から挿入位置へと移動させることができる。開示されている好ましい移動形式は枢軸動作である。挿入器具の動きをもたらすことができるようにするために、ユーザーのための把持部材が設けられている。当該把持部材は、挿入器具と協働して枢動させることができる。当該挿入ヘッドは、コンパクトであるのが有利であり、更に、針ガードの取り外しを必要としない。しかしながら、挿入器具を挿入位置へと動かすために、ユーザーは、片手で挿入ヘッドを把持し、もう一方の手を使用して把持部材を挿入器具に沿って枢動させなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、ドイツ特許出願第10 2004 039 408.3の挿入ヘッドと比較して、挿入器具のための一体化された保護部材を備えているが、使用がより容易で、特に片手だけを使用して動かすことができる挿入ヘッドを利用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による挿入ヘッドは、相対的に動かすことができる第一のハウジング部分と第二のハウジング部分とを備えたハウジングを備えている。当該ハウジングは、第一のハウジング部分が第一の把持部分を形成し、第二のハウジング部分が第二の把持部分を形成するようにして、把持部材として設計されるのが好ましい。
【0006】
挿入ヘッドは更に、基部と、可撓性の挿入器具とを備えており、当該挿入器具は、組織への挿入中に挿入器具が曲がるのを防止するために穿刺器具によって安定化されている。当該挿入器具は、例えば可撓性のカニューレ(柔軟なカニューレ)として設計することができ且つ例えば内部を貫通している前記穿刺器具によって組織内への挿入中において曲げに対して堅牢なカニューレ又は針によって安定させることができる。当該挿入器具は、挿入方向に長く且つ細いのが好ましい。
【0007】
挿入器具と当該挿入器具を安定させる穿刺器具とは、例えば、2つのハウジング部分のうちの一方に可動状態で取り付けられている挿入器具及び/又は穿刺器具によって、ハウジングの境界内で好ましくは結合して動くことができるように取り付けられている。これらは、挿入器具及び穿刺器具が、前記ハウジングに対して好ましくは人間の生体組織を穿刺するために設けられているそれらの自由端が、ユーザー又は環境と偶然に接触するのを防止するためにハウジング及び/又は基部の境界の内側に配置される保護位置から、前記自由端が生体組織内に導入することができるような形態でハウジング及び/又は基部の境界から突出する挿入位置まで動かすことができる。
【0008】
従って、保護位置においては、ユーザーが偶然に前記挿入器具及び穿刺器具と接触するのが困難であるか又は不可能であり、この状態では、当該挿入ヘッドの取り扱い中にユーザーに対する創傷並びに挿入器具及び穿刺器具の汚染が信頼性高く避けられる。当該保護位置においては、挿入器具と穿刺器具とは、その全長がハウジングの境界内に位置した状態に配置されるのが好ましく、これらは完全に密封され、視界から隠されることも好ましい。好ましい実施形態においては、当該挿入器具及び穿刺器具は、保護位置では、ハウジングの外面に少なくともほぼ平行に位置している。このことは、当該挿入ヘッドの高さを外面に対して直角に測定したときに平らな設計に有利である。
【0009】
挿入ヘッドが適用準備状態にある挿入位置においては、挿入器具及び穿刺器具の自由端は、ハウジングの境界その下面を越えて突出しているのが好ましい。挿入位置においては、挿入器具及び穿刺器具は、ハウジングの下面から突出しているのが好ましい。しかしながら、原理的には、組織内への挿入を可能にするために前記下面を通り過ぎて十分突出している限り、ハウジングの別の側から突出することも可能である。当該挿入器具は、下面から直接下方へ又は下面から皮下へ適用するのに適合した長さだけハウジングの下面を越えて突出するのが好ましい。皮膚内又は筋肉間組織への適用のためには、挿入器具は、それに応じてより短く又はより長くされる。挿入器具は、挿入ヘッドが適正に適用されたときに組織内へ挿入される長い部分として理解されるべきである。
【0010】
本発明による挿入ヘッドは更に、機械的結合部材を備えており、当該結合部材によって、2つのハウジング部分又は把持部材の相対的な動きが、挿入器具及び穿刺器具の動きに変換される。当該変換動作は、挿入器具及び穿刺器具が、前記2つのハウジング部分を相対的に移動させることによって、保護位置から挿入位置まで一緒に動かすことができるようにしてなされる。
【0011】
前記基部は、少なくとも挿入位置においては、生体組織上に配置することができる下面、好ましくはハウジングの下面を提供し、当該下面はまた、膏剤、接着パッド又は組織の表面に固定するための接着剤によって形成することができ、挿入位置において、前記基部がその下面が組織の上に配置された状態で組織内への穿刺及び挿入を可能にする形態で、且つ挿入位置において前記挿入器具及び穿刺器具によって貫通され得る。
【0012】
挿入ヘッドはまた、挿入位置において、穿刺器具がハウジングに結合されるかまたは結合可能であり、且つ挿入器具及び穿刺器具を組織内へ挿入した後に、ハウジングを片手で把持し且つ手動によって挿入方向と反対の方向へ動かすことによって、前記基部及び前記挿入器具から取り外すことができるように、挿入器具から解除可能である。この目的のために、例えば、穿刺器具が係止手段を有するようにさせるための手段が設けられ、当該係止手段は、保護位置から挿入位置までの動作の終了時に、すなわち、挿入位置に到達したときに、ハウジング上で関連する係止手段によって相互に係止して適用方向と反対の方向の嵌め合い係合を形成し、一方、少なくとも適用位置においては、挿入器具と穿刺器具との間の結合は、例えば、挿入器具に割り当てられているカニューレハウジングの隔壁内における穿刺針として設計されている穿刺器具の摩擦の結果として、適用方向と反対の方向に圧力嵌めによってもたらされるだけである。
【0013】
本発明による挿入ヘッドは更に、復元手段を備えており、当該復元手段によって、前記穿刺器具は、片手でハウジングを把持し且つ挿入方向と反対の方向に動かすことによって基部から及び挿入器具からの取り外しの直後に、当該穿刺器具の自由端がハウジングの境界の内側に配置される保護位置まで自動的に戻すことができ、その結果、汚染されている挿入器具にユーザーが偶然に接触する可能性が信頼性高く防止される。ここでは、挿入ヘッドが、基部及び挿入器具から解放された直後に、穿刺器具が、例えば、ばねの作用によって自動的に引き戻されるか又は枢動によって戻されることによって、恐らくはユーザーに影響を及ぼすことなく、保護位置へと強制的に移動させるように設計される場合が好ましい。別の方法として、前記保護位置へ自動的に戻る動作は、主として、ハウジングを保持している手を使用してトリガー部材を作動させることによって、言い換えると、ハウジングを当該ハウジング上に保持されている穿刺器具と共に、すなわち、他方の手を使用する必要なく、トリガー部材を作動させることによって行うことができる。ここでは、ハウジングを保持している手の自由な指を使用して押し込むことができる解除ボタンが設けられている場合、又は保護位置への自動的な戻りが、前記挿入器具及び穿刺器具の保護位置から挿入位置への動きを生じさせるために既に相対的に動かされた方向への2つのハウジング部分又は把持部品の相対的な復元動作によって起動される場合が好ましい。
【0014】
本発明によるこのような挿入ヘッドは使用が簡単で且つ安全である。
【0015】
当該挿入ヘッドは、化粧用途を含む医療用途又は医薬用途のために設けられる。少なくとも基部の下面は、組織と適合性があるように作られる。挿入ヘッドは、注入によって投与することができるインスリン、鎮痛薬又はその他の医薬を投与するための輸液セットの部品であるのが好ましい。当該挿入ヘッドは、医薬又は原理的には別の投与可能な製品の投与のために設計される代わりに、診断目的のために使用することもできる。このような用途においては、挿入器具は、例えば、体液内のグルコース濃度又は患者の健康状態にとって重要であるか又は重要であるかも知れない別の物理的パラメータ及び/又は生化学的パラメータを測定するためのセンサーを担持することができる。挿入ヘッドはまた、診断目的のための灌流システムとして形成することもできる。このような設計においては、挿入器具は、組織内へ導入され、体液の関連する成分又は幾つかの成分が補充される灌水の分析を可能にするために、体液の1以上の規定された成分を集める灌水が流される。最後に、当該挿入ヘッドは、生成物の投与及び診断のための結合された器具を形成することができる。挿入器具は、生成物特に灌水である医薬を送り出すために又は体液又は体液の1以上の規定された成分を抜き取るための挿入器具を形成することができ、すなわち、このような用途においては少なくとも1つの流通断面を形成する。挿入器具はまた、物質の供給及び抜き取りのために組み合わせて機能することもできる。挿入ヘッドが測定装置としてのみ形成されている場合には、当該挿入ヘッドは、センサー又はセンサーの一部を定位置に配置するために単に使用することもでき、すなわち、純粋に機械的な適用器具として機能することができる。測定装置としての更に別の展開においては、当該挿入ヘッドは、機械的用途のために機能するばかりでなく、センサーへの制御信号及び/又はセンサーからの測定信号を伝達するために機能することができる。最後に、組み合わせられた用途においては、挿入ヘッドは、物質の搬送のための少なくとも1つの流通断面、すなわち、流路及び少なくとも1つの信号ラインを含むこともできる。信号ラインは、センサーが制御信号の無線受信及び/又は測定信号の無線送信として設計されている場合には、省略することができる。最後に、挿入器具はまた、別個に突出している関連する穿刺器具を備えた2以上の挿入器具を備えることもできる。従って、物質を組織内へ搬送するために第一の挿入器具を使用し、組織から物質を搬送し又はセンサー若しくはセンサーの一部を単に適用するために別の挿入器具を使用することができる。各々が流通断面を有している幾つかの挿入器具においては、同じ挿入ヘッドによって種々の物質を投与することも可能である。このことは、共通の領域内に幾つかの別個の流通断面を形成している挿入器具によって行うこともできる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、2つのハウジング部分を片手の2本の指(第一の把持部品と第二の把持部品とを形成している)の間に把持することができ、挿入器具及び穿刺器具の保護位置から挿入位置への移動を生じさせるために、当該ハウジング部分のうちの一方に1本の指を押し付けた状態で前記第二のハウジング部分を前記第一のハウジング部分の方向に動かすことができる。このようにして、本発明による挿入ヘッドは、特別に適合された挿入器のような更に別の補助手段無しで、容易に且つ安全に使用することができる。
【0017】
相対的に可動の当該2つのハウジング部分のうちの第一のハウジング部分は、基部に対して動かないように結合されているのが好ましい。しかしながら、原理的には、相対的に可動なハウジング部分の両方を基部に対して可動とすることもでき、特に、基部に結合されており且つ当該基部に対して可動であるようにすることもできる。
【0018】
2つの互いに可動なハウジング部分の相対的な動きを挿入器具及び穿刺器具に伝えるために、堅牢な係合を設けること、すなわち、2つのハウジング部分のうちの一方と挿入/穿刺器具とを相互に堅牢に結合させることができる。このことは、これらの部材は本来一部品として作られることを意味している。例えば、挿入器具と穿刺器具とが基部に対して枢動可能である好ましい場合には、堅牢な結合は、穿刺器具に対して堅牢に結合されているハウジング部分もまた基部に対して枢動できる場合に容易に達成することができる。ドイツ特許出願第10 2004 039 408.3号の挿入ヘッドと比較して、本発明による挿入ヘッドは、2つの相対的に可動なハウジング部分のうちの他方がユーザーのための当接部として機能することができ、枢動動作のために適用されるべき力は、基部を介して組織によって吸収される必要がないという利点を有している。ユーザーが、当該挿入ヘッドを組織上に配置し且つ挿入器具を組織に挿入する適切な挿入器を有している場合には、この力は挿入器の内側で吸収される。
【0019】
当該挿入ヘッドの別の好ましい実施形態においては、基部は、挿入器具を保護位置から挿入位置まで動かすときに当該挿入器具と一緒に動かされるように、挿入器具に対して動かないように結合されている。このようにして、挿入器具と基部との間の結合は、容易に従って低廉に形成することができる。
【0020】
前述の実施形態に対する代替的な実施形態においては、挿入器具及び穿刺器具が保護位置に配置されている状態で、これらの自由端が基部の下面より後方へ後退せしめられるように、基部の下面は、ハウジングの外面好ましくは下面の少なくとも一部分を形成している。挿入器具及び穿刺器具は、保護位置から挿入位置へと動く際に、それらの自由端が挿入位置において基部の下面を越えて突出するように基部に対して動かすことができる。このような実施形態は、基部をハウジングの下面として設計するのを可能にし、これによって、本発明による特にコンパクトな挿入ヘッドを可能にする。ハウジングが把持部材を形成し、すなわち、2つのハウジング部分が第一の把持部材と第二の把持部材とを形成している実施形態においては、第一の把持部材は基部に対して動くことができず、第二の把持部材が第一の把持部材及び基部に対して動くことができ好ましくは移動可能又は枢動可能であって基部から下方へ突出する場合が好ましい。可動の第二の把持部材は、当該第二の把持部材の移動が挿入器具の挿入位置への移動を生じさせるように挿入器具に結合されている。把持装置に可動の把持部材を備えることによって、挿入器具の移動は、単に前記把持部材を把持し且つ作動させることによって行うことができる。把持部材そのものは、可動の第二の把持部材のための当接部を形成している。この意味で、当接部を形成している把持部材の一部が、ここでは、第一の把持部材として割り当てられている。第二の把持部材は、例えば、押しボタンとして割り当てることができる。第一の把持部材は、このような押しボタンが突出しているハウジングとすることができる。同様に好ましい実施形態においては、2つの把持部材は、互いに協働して把持装置を形成しているだけであり、例えば、これらの把持部材は全体で2つの部品からなる把持装置の半体を形成している。
【0021】
挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、挿入器具は、基部内に可動にすなわち移動可能且つ/又は枢動可能に取り付けられている。このことは、この取り付け構造が適用状態において基部と挿入器具との間の結合を同時に形成することができて付加的な結合部材を不要とすることができるという利点をもたらす。
【0022】
ここでは、基部と、摺動ガイド部材のヒンジ部材又はガイド部材とが協働してヒンジ又は直線若しくは非直線摺動ガイドを形成し、挿入器具がヒンジ部材又はガイド部材から突出している場合が好ましい。このようなヒンジ部材又はガイド部材は、例えば、同時にカニューレハウジングとして機能することができ且つ液体を挿入器具から送り出すか又は抜き取るための経路を含むことができる。
【0023】
挿入器具及び穿刺器具が保護位置にあるときに基部の下面がハウジングの外面の少なくとも一部分を形成している挿入ヘッドの実施形態においては、ハウジングが基部の頂面から上方へ延びていること、言い換えると、基部の完全に上方に配置されることが好ましい。
【0024】
本発明による挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、2つのハウジング部分すなわち第一の把持部材と第二の把持部材とは、挿入器具及び穿刺器具の保護位置から挿入位置への動きをもたらすために、相対的に移動可能特に一方の内部で摺動可能である。
【0025】
この動きをもたらすために、2つのハウジング部分又は把持部材が相対的に直線的に移動可能である場合が好ましい。
【0026】
挿入器具及び穿刺器具が保護位置にあるときに基部の下面が外側面の少なくとも一部分か又はハウジングの下面を形成している実施形態においては、2つのハウジング部分が基部の下面に対してほぼ平行に移動可能である場合が更に好ましい。これは特に直線動作をもたらすことができる。
【0027】
このような実施形態は、本発明による挿入器具を片手で操作することを更にはるかに容易にし且つ本発明による特にコンパクトな挿入ヘッドの形成を可能にする。
【0028】
本発明による挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、挿入器具は、穿刺器具と一緒に2つのハウジング部分又は把持部材を相対的に動かすことによって、保護位置から挿入位置へと枢動させることができる。枢動動作は、簡単且つ低廉な方法で行うことができ、本発明によるコンパクトな挿入ヘッドの提供を可能にし、動作の信頼性も高い。挿入器具又は穿刺器具が枢動してその自由端がハウジングの境界を越えるか又はハウジング若しくは基部の下面を越えた時点で、挿入器具の長手軸線が基部の下面との間に好ましくは50°未満の鋭角を形成する。当該角度は、外方への枢動時に長手軸線又は挿入器具がハウジングの境界又は下面又は基部の担持面に対して少なくともほぼ平行であるように、30°未満であるのが好ましい。
【0029】
挿入器具及び穿刺器具が回転軸線を中心に保護位置から挿入位置まで枢動させることができるようになされた挿入ヘッドの実施形態においては、回転軸線を中心に枢動せしめられる挿入器具の長手軸線が回転軸線と交差している場合が好ましい。挿入器具の長手軸線が回転軸線と交差せずにある距離のところで通り過ぎる場合には、当該距離は、挿入器具の長さよりも遙かに短いのが好ましい。当該距離は、意図した貫入深さのほぼ半分又は挿入器具の長さであるのが好ましい。好ましい実施形態においては、挿入器具の枢動角度は90°±10°である。しかしながら、同様に有利な構造においては、枢動角度はまた、単に、挿入器具が基部に対して枢動せしめられ且つ挿入位置においては基部の下面に対して直角ではなく、その代わりに、鋭角(少なくとも30°であるべきである)である場合よりも小さくすることができる。従って、この構造における枢動角度は、少なくとも約30°又は約30°と約90°との間の中間の値であるのが好ましい。原理的には、当該枢動角度は90°よりも大きくすることもできる。
【0030】
本発明による挿入ヘッドの好ましい実施形態においては、2つのハウジング部分又は把持部材の相対的な動きを挿入器具及び穿刺器具の動きに変換する結合部材は、歯車機構である。このような結合部材は、ハウジング部分が相対的に動くことができることは、挿入器具の動きに対応する必要はなく、その代わりに、両方の動作状態は、各々、それら自体の目的のために最適な構造とすることができる。従って、挿入器具は、特に枢動させることによって動かすことができ、ハウジング部分は、相互に平行に、好ましくは直線的にガイドされる。ハウジング部分のうちの一つが枢動可能である場合には、その枢動軸は、挿入器具の枢動軸とは違うものとすることができる。挿入器具がハウジング又は基部の境界又は下面に対して少なくとも実質的に平行な回転軸線を中心に回転可能であることが好ましいけれども(これはまた、枢動可能な挿入器具を備えた本発明による挿入ヘッドの実施形態の全てに対しても適用される)、枢動可能なハウジング部分がハウジング又は基部の境界又は下面に対して少なくとも実質的に直角に回転軸線を中心に枢動されることが可能である。しかしながら、枢動可能なハウジング部分の場合には、枢動可能なハウジングの回転軸線が枢動可能な挿入器具の回転軸線から隔置されている場合には、歯車機構もまた有利であるかも知れない。このような場合には、歯車機構によって段階的に減少せしめられるか又は好ましくは段階的に増大せしめられるハウジング部分の枢動角度を挿入器具に伝達することができる。
【0031】
歯車形態の結合部材を備えた本発明による挿入ヘッドの好ましい実施形態は、歯車と歯付きラックとを含んでいる。当該歯車と歯付きラックとは、挿入装置を動かすときに、2つのハウジング部分が相対的に動く際に互いに歯によって係合し且つ互いにかみ合っている。歯付きのラックは、前記2つのハウジング部分のうちの一方に結合されていて、前記歯車の回転軸線に対するハウジング部分の歯付きラックの長手方向の動きが、この場合には、挿入器具に結合された歯車の回転動作に変換されるようになされているのが好ましい。極めて小さい直径の歯車とそれに対応する細かい歯部又は歯の配分によって、ハウジング部分の相対的な比較的短いストロークが、歯車の一回転のかなりの部分好ましくは4分の1回転の回転動作に変換される。可動の第二の把持部材は、歯付きラックを備えた一部品として形成されるのが有利である。挿入器具が歯車に回転しないように固定された状態で結合されることも好ましい。
【0032】
本発明による挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、挿入器具及び/又は穿刺器具が、基部上又は2つのハウジング部分のうちの第一のハウジング部分上に回転軸を介して保持されている。当該回転軸に関して偏って配置されており且つ同回転軸から分離して配置されるのが好ましい摺動ブロックが設けられている。
【0033】
ガイド穴も設けられ、当該ガイド穴は、前記2つのハウジング部分の相対的な動きが前記摺動ブロックに伝えられ、前記ガイド穴によって、前記挿入器具及び前記穿刺器具の保護位置に対応する第一の位置から前記挿入器具及び穿刺器具の挿入位置に対応する第二の位置までガイドされるように、前記摺動ブロックと作動可能に係合している。この実施形態は、比較的複雑な動作パターンを可能にし、これと同時に比較的弱い力のみがハウジング部分を介してかけられなければならず、結合機構の個々の構成部品の妨害が極めて起こり難い。
【0034】
更に別の実施形態においては、ハウジングは基部に解除可能に結合されている。この結合は、2つのハウジング部分の相対的な移動中、好ましくは挿入器具の保護位置から挿入位置への移動に対応する当該2つのハウジング部分の移動中又は当該2つのハウジング部分の相対的なそれに続く移動又は連続する移動中に、自動的に解除されるのが好ましい。しかしながら、別の方法として、ハウジング又は基部に、その作動によって基部への結合が解除される別の可動の部品を設けることも原理的には考えられる。ハウジングと基部との間の結合は、純粋に摩擦結合によって形成することができるが、主として、嵌め合い又は嵌め合いと摩擦嵌合との組み合わせによってもたらされることがより好ましい。結合を形成するために、基部とハウジング好ましくはハウジング部分のうちの一つとに、各々、少なくとも1つの結合部材が設けられる。これらの結合部材は、結合が存在するときに互いに係合する。結合の解除を可能にするためには、結合部材のうちの少なくとも1つが、復元弾性力と反対方向に係合状態から移動せしめることができるのが好ましい。好ましい実施形態においては、基部に対して可動である2つのハウジング部分のうちの1つが、挿入器具を挿入位置へ動かす機能を果たすばかりでなく、このハウジング部分が、移動中に接触好ましくは摺動接触によって、結合部材のうちの1つを、弾性力と対向して係合状態から移動例えば弾性的に曲げるという事実により、結合を解除する機能をも果たす。
【0035】
ガイド穴及び基部に解除可能に結合されているハウジングを含んでいる結合部材を備えている本発明による挿入ヘッドの実施形態においては、ガイド穴の第一の部分の第一の距離に沿った2つのハウジング部分の相対的な動きが、ガイド穴によってガイドされて、挿入器具及び穿刺器具の保護位置に対応する第一の位置から、前記挿入器具及び穿刺器具の挿入位置に対応する第二の位置へと摺動ブロックを移動させるように、挿入ヘッドが設計されることも好ましい。更に、ハウジングを基部から解除するために基部をハウジングに可逆的に結合する結合部材が設けられ、2つのハウジング部分のうちの1つが、好ましくは挿入位置に配置されている挿入器具が延びる方向と直角の第二の距離に沿って基部に対して動かすことができることが好ましく、ガイド穴は、挿入器具が解除動作において引きずられないように前記第二の距離に対応する第二の部分を備えている。言い換えると、ガイド穴の適切な設計においては、例えば、患者の体内への穿刺器具及び挿入器具の挿入の後に、ハウジング又はハウジング部分のうちの一方を、体の表面に対して又は患者の体に基部を固定している膏剤の表面に対して平行に動かすことができる。このようにして、基部からのハウジングの分離及び挿入器具からの穿刺器具の分離は、挿入器具及び穿刺器具の両方の挿入位置内への移動及び基部からのハウジングの解除をももたらすために、特に2つのハウジング部分の同じ構成部品を相対的に起動させることによって有利に行うことができる。この移動及び解除が直接連続して行われることもまた可能である。ここでは、摺動ブロックはガイド穴を貫通して延び、結果として、カニューレ又は挿入器具は、既に、穿刺針又は穿刺器具と結合して枢動せしめられ、これと同時に又はその後迅速に、カニューレが針によって適用される前に基部から分離される。そして、患者の体内又は体の表面に残っている本発明による挿入ヘッドの部分(基部、カニューレ)と取り外されるべき部分(穿刺針、ハウジング)との間に容易に分離可能な結合のみが残る。
【0036】
挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、保護位置にある穿刺器具は、まだハウジングに結合されておらず、好ましくは挿入位置への移動中に自動的にハウジングに結合される。この目的のために、自由端から遠い方に向けられた挿入器具の端部には、結合部材好ましくはスナップ嵌合部材を設けることができる。当該結合部材は、挿入位置への移動の完了と同時に又はその直前に、ハウジングのかみ合い結合部材と結合係合状態となる。この結合は、原理的には純粋に摩擦結合とすることができるけれども、少なくとも1つの嵌め合い結合を含んでいるのが好ましい。穿刺器具の結合部材は、特に、かみ合い結合部材に対してスナップ嵌合結合を形成することができる。嵌め合い結合のためには、原理的には、ハウジングが挿入器具又は基部から取り外されるべき方向に対して後方から係合されることでも足りる。従って、弾性的なスナップ係合は絶対的に必須ではない。
【0037】
このように、例えば上記の実施形態においては、2つのハウジング部分のうちの1つは、保護位置から挿入位置への挿入器具の移動が完了したときに、把持部材と基部とが分離できるように結合部材を係合位置から偏倚させるために、2つのハウジング部分のうちの1つに設けられた制御斜面が、基部をハウジングに対して可逆的に結合する結合部材上の偏倚斜面に対して当接することができる程度の深さまで他方のハウジング部分内へ押し込まれることが好ましい。この実施形態は、特に既に説明したガイド穴の第二の距離に関して特に有利である。なぜならば、これは、患者の組織に重圧をかけることなく、本発明による挿入ヘッドが穿刺機能から供給機能へと変換されるのを可能にするからである。
【0038】
当該挿入ヘッドの更に別の実施形態においては、少なくとも挿入器具及び穿刺器具の自由端が保護位置において座面の中に収容される。当該座面は、基部か又はハウジングによって形成することができる。ハウジングが当該座面を形成している場合には、基部は、好ましくは解除可能なハウジングの場合にハウジングが基部に結合されているという条件で、ハウジングによって形成されている座面内に収容される部分的な座面を形成することができる。
【0039】
当該挿入ヘッドの更に別の好ましい実施形態においては、挿入器具には固定構造が設けられている。この固定構造は、挿入器具及び穿刺器具を保護位置に可逆的に保持する。例えば、2つのハウジング部分のうちの1つは係止肩部によって設計することができる。当該係止肩部は、他方のハウジング部分上の相補的な係止部材と可逆的に係合状態とすることができる。抵抗に打ち勝つと、2つのハウジング部分の相対的な移動が起こり、挿入器具(カニューレ)は、穿刺器具(穿刺針)と共に、挿入位置(適用位置)へと駆動され又は枢動させることができる。
【0040】
挿入器具は、挿入器具と共に移動せしめられるカニューレハウジングを設けられて有利にすることができる。当該カニューレハウジングは固定構造を含んでいる。当該固定構造は、2つのハウジング部分の移動方向と平行に延びている当該2つのハウジング部分のうちの1つの壁に対向して位置している。このようにして、当該壁の内側面上の係合部材が挿入器具の保護位置において固定構造と可逆的に係合することができる。これらの手段によって、保護位置において、挿入器具を穿刺器具と共に座面内に安全に保持することができ且つ当該固定構造及び係合部材によって提供される初期の抵抗に打ち勝った後に、2つのハウジング部分を相対的に移動させ、それによって、穿刺器具と組み合わせられた挿入器具の保護位置から挿入位置への移動をもたらすことができる。
【0041】
本発明による挿入ヘッドの別の好ましい実施形態は、保護位置において挿入器具及び穿刺器具を収容する2つのハウジング部分のうちの一方及び/又は他方に固定穴が設けられ、ハウジング及び穿刺器具を挿入器具及び基部から取り外した後及び保護位置への逆の移動の後に、穿刺器具を座面内で当該固定穴内に係止することができるようになされたものである。穿刺器具の先端は、保護位置又は座面内へと枢動せしめられて戻されたときに、その弾性によって、ガイド穴に沿って弾性的に変形し且つ横方向へ偏倚することができ、次いで、固定肩部の後方の固定凹部内に好ましくは不可逆的に係止することができる。この位置においては、穿刺器具は、次いで、保護位置内に安全に保持される。穿刺器具を挿入器具及び基部から取り外したときに外れない挿入ヘッドの種々の他の構成部品上に固定穴を設けることもできる。
【0042】
挿入ヘッドの更に別の実施形態においては、穿刺器具に保持部材が設けられている。当該保持部材は、穿刺器具の保護位置への自動的な逆方向の移動中に、穿刺器具と共に移動せしめられる。当該保持部材は、ハウジング内での自動的な逆方向の移動の際に、穿刺器具が再びハウジングから移動するのを阻止するために、係止部材に対して係止係合状態となる係止肩部を備えている。
【0043】
挿入ヘッドの更に別の実施形態においては、挿入ヘッドは、挿入器と称されるものによって組織上に自動的に配置されるように設計されている。この目的にために、当該挿入ヘッド好ましくはそのハウジングは保持構造を備えている。当該保持構造は、挿入器の保持装置と保持係合状態とすることができる。挿入ヘッドの2つの互いに可動のハウジング部分のうちの一方が所望されるように基部に対して動かないように結合され、当該2つのハウジング部分のうちの他方が基部に対して可動である場合には、当該動かないようにされたハウジング部分が保護構造を形成しているのが好ましい。当該保持構造は、特に、ハウジング又は前記基部に対して不動とされたハウジング部分上に一部品として形成されるのが好ましく、ハウジング又はハウジング部分に少なくとも堅固に結合されるのが好ましい。
【0044】
その他の好ましい特徴は、特許請求の範囲内の従属項及びそれらの組み合わせ内に開示されている。
【0045】
以下、図面を参考にして、本発明の例示的な実施形態を説明する。例示的な実施形態に開示されている特徴は、特許請求の範囲の特徴、主題及び上記した構造の個々によって又はこれらの技術的に可能な組み合わせによって有利に発展させることができる。
【発明の好ましい実施の形態】
【0046】
以下においては、殆どの場合に、繰り返しの説明が不要となるように、同一の又は少なくとも機能的に同一の構成要素は、概して同一の又は類似の参照符号によって示されている。個々の実施形態の構成要素は、殆どの部分に対して互換性があり、すなわち互いに組み合わせることができる。更に、本発明の更に別の特徴、目的及び利点は、以下に説明する実施形態によって明らかとなるであろう。
【0047】
図1は、本発明による挿入ヘッドの第一の好ましい実施形態の長手断面図である。当該挿入ヘッドは、プラスチックによって一部品として形成されている基部1,2を備えている。基部1,2は、その下面Uを生体組織上に配置することができる。挿入ヘッドは更に、ハウジング部分10,12によって形成されたハウジング10,12を備えている。ハウジング部分10,12は、相対的に動かすことができ且つ第一の把持部材10と第二の把持部材12とを備えた二部品からなる把持部材を形成している。第一の把持部材10は、基部1,2に対して不動であるが解除可能に結合されている。第二の把持部材12は、第一の把持部材10上に移動可能に保持されており、第一の把持部材10に対して及び基部1,2に対しても直線的に移動可能である。第二の把持部材12の移動軸線は、基部1,2の下面Uに対して平行に位置している。移動方向は、第二の把持部材12の頂面上に矢印によって示されている。
【0048】
第一の把持部材10において、挿入器具5が、基部1,2の下面Uに平行な回転軸線を中心に基部1,2に対して枢動可能なように取り付けられている。挿入器具5は細長い。図示された実施形態においては、挿入器具5は可撓性のカニューレ5として設計されている。挿入器具5は、その内部を貫通して延びている穿刺器具15を備えている。穿刺器具15は、細い針15として設計されており、穿刺器具15の曲げに対する剛性は、当該穿刺器具15を緩く包囲している挿入器具5と一緒に皮膚面を介して皮下組織内へ挿入して挿入器具5を導入できるのに十分である。好ましい実施形態においては、基部1,2の下面Uに、挿入ヘッドを組織好ましくは皮膚面に固定するための接着パッドが設けられている。
【0049】
穿刺器具15と一体の挿入器具5の枢動動作は、各場合に、2つの対向する側面に枢動ヒンジの軸幹40を形成している保護部材17aによって提供される。各軸幹40の軸線同士は一致している。第一の把持部材10は、ブシュの形態又は適当な場合には穴の開いたハト目形態の軸幹40のためのベアリングを形成している。
【0050】
穿刺器具15は保持部材17aに固定結合されており、一方、カニューレ5は、カニューレハウジング17bに固定結合されている。カニューレハウジング17bは、例えばインスリンのような液体医薬のための供給装置7を備えている。供給装置7は、挿入器具5の長手軸線に対して直角にカニューレハウジング17bから突出している。カニューレ5の長手軸線に連続して、カニューレハウジング17bは、カニューレ5から離れる方向を向いた端部に穿刺針15が貫入する隔壁58を備えている(図3参照)。このようにして、カニューレ5とカニューレハウジング17bとは、圧入によって保持部材17a及びその上の穿刺針15に結合されている。カニューレ5とカニューレハウジング17bとは、保持部材17aを回すことによって、ユニット(5,6,7,15,17b)として軸幹40の回転軸線を中心として枢動させることができる。
【0051】
同じく図面からわかるように、可動の第二の把持部材12の2つの長手側部の各々には、ガイド穴42が設けられており、当該ガイド穴42の各々には、保持部材17aの植え込み柱状の摺動ブロック44が係合している。断面図であることにより、2つのガイド穴42の一方のみが示されており、摺動ブロック44のうちの一方のみを見ることができる。なぜならば、図面においては他方は保持部材17aによって隠されているからである。
【0052】
基部1,2に対して可動の第二の把持部材12が、基部1,2に対して固定された第一の把持部材10内へと矢印(方向を示す)の方向に押し込まれると(この動作においては、第一の把持部材10が第二のガイド部材12をガイドする)、ガイド穴42が摺動ブロック44に沿って動かされ、第二の把持部材12の移動動作が軸幹40の軸線を中心とする保持部材17aの回転動作、従って、軸線を中心とする挿入器具5及び穿刺器具15並びに供給装置7の回転動作に変換される。
【0053】
挿入器具5及び穿刺器具15を、図1に示されている保護位置から図2に示されている挿入位置へと移動させる枢動動作は、圧縮ばね65のばね力と反対方向に生じる。圧縮ばね65は、保持部材17aと第二の把持部材12との間に配置され且つ枢動動作が進むにつれて次第に予負荷がかけられる。
【0054】
保護位置においては、挿入器具5及び穿刺器具15は、基部1,2の下面Uに対して約10°の角度位置にある。挿入器具5及び穿刺器具15の一部分は、保持部材17aから同じ方向に突出しており且つ結合された保護位置において第一の把持部材10及び基部1,2によって実質的に包囲されている座面領域14内に収容されている。このことにより、挿入器具5及び穿刺器具15が保護位置に配置されている状態においては、ユーザーが穿刺器具15によって創傷を受け得ないこと、逆に言うと、挿入器具5及び穿刺器具15が不注意による取り扱いによって損傷を受けるか又は汚染され得ないことが確保される。基部1,2は、挿入器具5及び穿刺器具15の通過のために狭いスリットを備えているだけであるので、座面14は、ここでは、ユーザーが挿入ヘッドの頂部から又は側方から穿刺器具15を見ることが出来ないようにするスクリーンをも形成している。基部1,2の下面に設けられるのが好ましい接着パッドにも、同様に、挿入器具5及び穿刺器具15の通過のためのスリットが設けられている。
【0055】
挿入器具5を、皮膚の下の一箇所に向けて体組織内へ又は適当な場合には皮膚内へのみ導入するために、ユーザーは、親指と人差し指との間で把持部材10,12による挿入ヘッドの保持を行う。把持部材10及び12の各々には、適切に形成された横方向の把持面11が設けられている。既に説明したように、把持部材10及び12を相互に押すことによって、ガイド穴42が保持部材17aの側壁44内で移動せしめられ、挿入器具5及び穿刺器具15が図2に示されている挿入位置へと枢動せしめられる。この位置に達すると、2つの把持部材10,12は、第二の把持部材12上に形成された係止用突起48によって相互に不可逆的に係止される。係止用突起48は、第一の把持部材上に形成された対応するアンダーカット部49内に弾性的に係合して2つの把持部材10,12が再び分離することができないようにする。これと同時に、図1に示されている状態では基部1,2に対して不動ではあるが解除可能に結合されている第一の把持部材10は、第二の把持部材12が当該第一の把持部材10内へ押し込まれることによって基部から解除される。なぜならば、第一の把持部材10に形成されている弾性の係止用突起(図示せず)が、基部1,2に形成された対応するかみ合い部材から分離されるからである。この状態においては、把持部材10,12、保持部材17a及び穿刺器具15は、穿刺器具15とカニューレハウジング17bの隔壁58との間に存在する摩擦のみによって、基部1,2、挿入器具5及びカニューレハウジング17bに結合されている。
【0056】
同様に、挿入位置に達すると、カニューレハウジング17bは、挿入位置において両方の部材1,2,17bが相互に不可逆的に固定結合できるように、係止手段(図示せず)によって基部1,2に不可逆的に係止される。このような係止手段が例えば対応するアンダーカット部内へ係止する弾性的な係止用突起の形態で形成できる方法は、当業者にとって公知であり、従ってここで詳細に説明する必要はない。
【0057】
この場合には、枢動軸からの摺動ブロック44の距離及びガイド穴42の湾曲部は、第二の把持部材12の数ミリメートル例えば4又は5ミリメートルの移動によって、挿入器具5及び穿刺器具15の保護位置から挿入位置までの約80°の枢動角度に亘る枢動動作を生じさせ、この枢動動作がなされると、挿入器具5及び穿刺器具15は、挿入位置において基部1,2の下面Uからほぼ直角に突出する。
【0058】
挿入ヘッドを組織面上に配置し且つ挿入器具5を組織内へ導入するために、ユーザーは、装置を把持部材10,12によって保持し且つ組織表面へと動かす。このようにして、穿刺器具15は組織表面好ましくは人間の皮膚を穿刺し且つ皮膚内へと貫入する。戦士器具15を緩く包囲している挿入器具5は、挿入ヘッドがその下面Uすなわち基部の下面Uが組織面上に横たわるまで穿刺器具15と一緒に貫入し、好ましくは接着剤層によって又は接着パッドによって例えば接着によって皮膚面に固定される。
【0059】
挿入ヘッドが組織上に配置された後に医薬を投与するために、把持部材10,12は保持部材17a及び穿刺器具15と共に取り外されなければならず、供給装置7は、当該供給装置7と協働する結合部材を介して医薬貯蔵器好ましくは医薬ポンプに結合されなければならない。
【0060】
これを行うためには、把持部材10,12が片手の中に把持され且つ組織内への挿入器具5の挿入の方向と反対の方向へ基部1,2から分離される。その結果、穿刺器具15が挿入器具5及びカニューレハウジング17bから引っ張られ、挿入器具5内の流通断面が開口せしめられる。隔壁58によって形成されたカニューレハウジング17b内への穿刺器具15のための挿入穴は、穿刺器具15が引き抜かれた後は隔壁58によって閉塞される。穿刺器具15が挿入器具5から引っ張り出されると、挿入器具5の流通断面は自動的に供給装置7に対して流体が流れる状態で接続される。この点に関して、挿入ヘッドは、例えばDE 198 21 723 C1及びDE 10 2004 039 408.3に記載された形態に設計することができる。
【0061】
図3は、相対的に分離された挿入ヘッドの2つのアセンブリ、すなわち、第一に、カニューレハウジング17b及び挿入器具5を備えた基部1,2と、第二に、保持部材17a及び穿刺器具15を備えた把持部材10,12を、挿入器具5の長手軸線及び穿刺器具15の長手軸線が相互に整合されている相互配置状態において示している。
【0062】
穿刺器具15が隔壁58から離れた直後に、当該穿刺器具15は、予め負荷をかけられた圧縮ばね65によって、第二の把持部材12内に取り付けられている保持部材17aと一緒に、自動的に枢動されて保護位置へと戻され(この枢動動作は図3において方向を示す矢印によって示されている)、2つの把持部材10,12によって形成されたハウジングの境界の内側に再び配置される。この状態は図4に示されている。
【0063】
図3に示されている基部2及びカニューレハウジング17bは、カニューレ5が固定されている状態で組織面上に留まり、この意味で留置部分を形成している。それと対照的に、把持部材10,12は、穿刺器具15が保護位置に配置され且つ保持部材17aによって保持されている状態で廃棄される。前記留置部分は、平らに形成され且つ皮膚の下に装着されていることがわからないようにすることが有利である。挿入器具5の可撓性は、挿入器具5が挿入された状態で如何なる不快感をも惹き起こさないが、医薬の供給を信頼性高く確保するために依然として十分に安定している。
【0064】
図5は、一方が他方の内側で摺動することができる2つのハウジング部分10,12によって形成された本発明による第二の挿入ヘッドの上方部分を、下方から斜めに見た斜視水平断面状態で示している。これは、第一の外側ハウジング部分10の上方部分である。挿入ヘッドが完全に組み立てられたときに、第二の内側ハウジング部分12(図6に斜視側面図で示されている)が、第一のハウジング部分10内へ少なくとも部分的に押し込まれる。以下に説明する相違点とは別個に、本発明による第二の挿入ヘッドは、実際には、図1乃至4に示されている挿入ヘッドと同じ構造及び同じ機能を備えている。既に説明した挿入ヘッドに対する最も重要な相違点は、当該実施形態においては、2つのハウジング部分10,12が相互に押し付けられ且つ挿入器具と穿刺器具とが一緒に保護位置から挿入位置へと枢動されるようにした後に、これらが所謂“ボールペン機構”によって相互に押し付けられた状態で一時的に連結されて挿入位置を示し、挿入器具の適用及びそれに続く穿刺器具15と共にハウジング部分10,12の挿入器具5、基部1,2及びカニューレハウジング17b(これらは適用部位に留置されたままである)からの分離の後に、2つのハウジング部分10,12は更に一緒に摺動方向へ押され、次いで解放される。その際、これらは一緒に摺動する際に次第に予張力がかけられる圧縮ばね66の力によって再び分離する方向に押され(図7〜9参照)、次いで、2つのハウジング部分10,12によって形成されるハウジングの境界の内側の保護位置へと自動的に枢動によって戻される。
【0065】
この“ボールペン機構”を達成するためには、第一のハウジング部分10がその上方の境界壁の下側にガイド溝8を備えており、第二のハウジング部分12の頂面上において弾性の撓みアーム17によって支持されているガイド筒部18が前記溝8内に係合し、2つのハウジング部分10,12が相互に押されるときに溝8内でガイドされる。図7及び8(挿入器具、穿刺器具、基部及びカニューレハウジングなしで2つのハウジング部分10,12の底面を示している)を比較することによって、最初に、挿入器具及び穿刺器具の保護位置に対応する基本的な位置(図7)において、第二に、2つのハウジング部分が相互に押し付けられて、挿入器具と穿刺器具との挿入位置にほぼ完全に対応する位置(図8)において、2つのハウジング部分10,12が圧縮ばね66の力と反対方向へ相互に押され、ガイド筒部18(その位置は、図7乃至9においては、より明確化のために、“黒丸”の形態で示されている)が、ガイド溝8の後方中空部67内へと弾性撓みアーム17のばね力と反対方向へ水平に動かされる(図8)。このようにして、挿入ヘッドが完全に組み立てられた状態で、保護位置から挿入位置へと機械的結合部材によって枢動せしめられ、挿入位置に係止され、従って、挿入ヘッドは適用準備状態となる。
【0066】
挿入器具及び穿刺器具を組織内へ差し込むことによって挿入ヘッドを適用した後、及び、穿刺器具が固定された状態の2つのハウジング部分10,12を、適用部位に留置したままの挿入ヘッドの構成部品から取り外した後に、中空部67内でのガイド筒部18の係止が、2つのハウジング部分10,12を再度相互に押すことによって解除される。なぜならば、そうすることによって、弾性の撓みアーム18のばね力が、ガイド溝8の別の部分内のガイド筒部18を、ガイド溝8の別の部分内へ動かすからである。穿刺器具が保護位置へと枢動によってて戻されると同時に圧縮ばね66の力によってハウジング部分10,12が分離するように押される結果として、前記ガイド溝8の一部分に沿ってスタート位置へと戻される(図9の矢印参照)。この状態では、汚染された穿刺器具がアクセスできないように保護されている状態となり、ハウジング10,12は、如何なる問題もなく且つ創傷の恐れもない状態で廃棄することができる。
【0067】
図10は、図1乃至9に示されているものと類似している本発明による挿入ヘッドからなる装置を示している。当該装置は、ユーザーが、挿入ヘッドを移動させる際に、指の間に挿入ヘッドを把持する必要がないように挿入ヘッドを組織上に配置するように機能する特別に適合された挿入器からなる。特に、挿入器具5及び穿刺器具15が挿入位置へ移動せしめられる際に、ユーザーは、把持部材によって挿入ヘッドを保持しない。挿入ヘッドのこの動作は、挿入器の助けを借りて行われる。従って、ユーザーは、穿刺器具15により穿刺による創傷を受けないように更に良好に保護され、挿入器具5及び穿刺器具15もまた、不注意な操作による損傷及び汚染から更に良好に保護される。なぜならば、挿入器具及び穿刺器具が挿入位置内へ枢動せしめられたときでさえ、これらとの偶発的な接触が挿入器によって防止されるからである。
【0068】
挿入器は、基部によってスリーブ部分として形成されており且つ外から見てほぼ壷形状を有している。挿入器ハウジング20は、保持器具と、挿入ヘッドのための駆動機構とを収容している。保持器具は、保持器ばね、例えば、図10に示されているスタート位置において挿入ヘッドを挿入器ハウジング20に対して保持している板ばねを含んでいる。保持器ばねは、把持部材10,12上に形成された保持構造17の後方に係合している。保持係合は、保持器ばねの復元弾性力に対向して解除することができる。
【0069】
当該駆動機構は、スラスト方向V或いはそれと反対方向に直線状に可動とするために、挿入器ハウジング20内に配置されているスラスト部材22を備えている。スラスト方向Vは、挿入器ハウジング20の長手中心軸線と一致している。駆動機構は更に、スラスト部材22に対してスラスト方向Vに作用する力発生器23を備えている。力発生器23は、2つの相対的に関節結合された分岐部24の対を備え、当該分岐部の対は、長手中心軸線に対して対称的に、すなわち、挿入器ハウジングのスラスト方向Vに押して対称的に配置されている。分岐部の対の各々は、挿入器ハウジング20に関して定位置に固定された枢動ヒンジ25内に垂下されている。分岐部の各々の対の2つの分岐部24は、自由な枢動ヒンジ26内で枢動可能に相互に結合されている。更に、位置決めされたヒンジ25から分離する方向に向けられた分岐部24は、各々の場合に、枢動ヒンジ27内のスラスト部材22に結合されている。ばね(図示せず)又は適当な場合には唯1つのばねが、分岐部のこの構造、ヒンジ及びスラスト部材に対してスラスト方向Vに張力をかける。分岐部24及びヒンジ25,26,27によって構成されている構造は、スラスト部材22をガイドし、これに加えて又はこれの代わりに、挿入ハウジング23の内側カバー面は、スラスト部材22をガイドすることができる。更に、挿入器ハウジング20に対して遮断係合状態にあり且つスラスト部材22の前進動作を阻止する遮断部材29が設けられている。遮断部材29は、挿入ハウジング20によって形成された貝殻構造との間に又は同様にスラスト方向Vに関して結合された他の構造との間に遮断係合を形成することができる。当該遮断係合は、押しボタン形状のトリガー部材28を起動させることによって解除すことができる。
【0070】
挿入器は更に、挿入器ハウジング20に対して、スラスト方向Vに或いはそれと反対の方向に動くことができるように結合されている起動部材21を備えている。起動部材21は、挿入器ハウジング20に対してブッシュを形成し、全体として、ハウジング部分20及び21の2部品からなる入れ子式の挿入器ハウジングを形成している。しかしながら、機能に違いにより、ハウジング部分21は、以下においては起動部材として示されている。起動部材21は、挿入器の下面U21を形成しており、当該下面U21によって、挿入器は、挿入ヘッドを配置させるために組織面上に配置することができ或いは配置されるのが好ましい。図10において挿入ヘッドが占めているスタート位置においては、挿入器の下面U21及び保持されている挿入ヘッドの下面Uは、各々、スラスト方向Vに向いていて、これら2つの下面に対して少なくとも実質的に直角な面を形成している。
【0071】
起動部材21は、外側スリーブ部材と内側スリーブ部材とを備えており、これらのスリーブ部材は、下面U21において相互に結合されており且つこれらの間の環状の空隙を自由な状態のままとしている。挿入器ハウジング20は、この環状空間内へと突出しており且つ起動部材21を摺動動作状態でガイドしている。
【0072】
図10に示されている状態においては、起動部材21は、挿入器ハウジング20に対して後退せしめられた状態に位置しており、挿入器は、スラスト方向で測定して最も短い長さを有している。挿入器のこの状態においては、挿入ヘッドは、嵌合せしめられ、すなわち挿入器の保持器具に対して保持係合状態となっている。挿入ヘッドを嵌合させる代わりに、挿入器はまた、支持部材上に横たわっている挿入ヘッドの外周に沿って押すこともできる。保持器具の位置及び幾何学的構造は、挿入器が押し付けられたときに保持係合状態が自動的に得られるように選択される。例えば、定位置に嵌合させることによって、挿入ヘッドの受け入れの直後に、挿入ヘッドの挿入器具5は保護位置となる。この時点では、挿入ヘッドはまだ不作動状態である。挿入器には、起動部材21が設けられており、起動部材21は、作動することによって挿入器具を挿入位置へと移動させ、このようにして挿入ヘッドを作動させる。
【0073】
この動作のためには、起動部材21及び挿入ヘッドは、協働して結合体、この例示的な実施形態においては湾曲した結合体を形成している。当該結合体の2つの部材は、起動部材21が形成しているガイド湾曲部21aと、可動の把持部材12によって形成されている係合部材12aとである。起動部材21が挿入器具5に作用している結合状態においては、可動の把持部材12は、挿入ヘッドの収容部材を形成している。起動部材21が挿入器ハウジング20に対してスラスト方向Vに移動せしめられると、ガイド湾曲部21aは、係合部材12aの外周に沿って、すなわち、係合部材12aを形成している収容部材の接触面の外周に沿って、すなわち可動の把持部材12に沿って摺動する。加圧接触及びスラスト方向Vに対して傾斜せしめられたガイド湾曲部21aの動作過程によって、把持部材12自体は他の把持部材10に向かってスラスト方向Vに対して横切る方向に動き、挿入器具5は、挿入ヘッドについて説明したように、挿入位置へと枢動する。可動の把持部材12は、当該例示的実施形態においては、その上方端部において、外側端縁によって基部2から離れる方向へ向けられた係合部材12aを形成している。ガイド湾曲部21aは、挿入器の下面U21の方へ向けられている。この傾斜は、ガイド湾曲部21aがスラスト方向Vへ下面U21から離れる方向に向けられた端部から始まって、挿入ヘッド又は挿入器具5から離れる方向へ傾斜し、作動状態又は挿入器の長手中心軸線内で枢動せしめられる。傾斜角度は一定であり、ガイド湾曲部21aは、斜面すなわち傾斜線又は傾斜面である。
【0074】
実際の操作のためには、ひとたび挿入ヘッドが定位置に嵌合されると、ユーザーは、例えば起動部材21を握ることによって片手で挿入器を起動部材上に保持し、他方の手を使って挿入器ハウジング20を保持された起動部材21に対してスラスト方向Vと反対方向へ引っ張るように促される。このことはまた、起動部材の起動として理解される。スラスト部材22及び力発生器23は、挿入器ハウジング20と一緒に起動部材21に対して移動する。スタート位置に保持されている挿入ヘッドは保持器具によって持ち去られ、すなわち、起動部材21に対してスラスト方向Vと反対方向に移動せしめられ得る。係合部材12aは、ガイド湾曲部21aに沿って摺動する。完全な加圧接触に基づく接合面により、可動の把持部材12は、スラスト方向を横切る方向に移動せしめられ、挿入器具5は、挿入位置へと枢動する。挿入ヘッドは、挿入ヘッド20及び起動部材21によってなされる相対的な偏倚動作の終了時に起動される。
【0075】
図11は、作動状態における挿入器及び挿入ヘッドからなる装置を示している。挿入器ハウジング20及び起動部材21は、相対的に伸長した状態を呈している。この伸長状態においては、挿入器ハウジング20及び起動部材21の壁は、挿入器具5及び穿刺器具15の自由端を越えた位置まで起動された挿入ヘッドを包囲し、すなわち、穿刺器具15の先端は、挿入器具の下面U21の後方の短い距離のところまで後退せしめられている。
【0076】
伸長位置においては、挿入器ハウジング20及び起動部材21は相互に遮断されている。当該遮断された状態においては、スラスト方向Vへの又はその反対方向への相対的な動きは不可能である。伸長位置に達すると、挿入器ハウジング20及び起動部材21は、自動的に相対的に遮断される。
【0077】
挿入ヘッドを位置決めするために、ユーザーは、挿入器を皮膚面上に配置する。挿入器が定位置にある状態で、ユーザーは、トリガー部材28を押す。トリガー部材28は、湾曲した結合部(例示の実施形態においては、単純な斜面の対である)を介して、遮断部材29に作用する。トリガー部材28の作用により、遮断部材29は、挿入器ハウジング20との遮断係合状態から動いて、スラスト部材22が、力発生器23の作用によってスラスト方向に動くことができるようになされている。力発生器23は、スラスト部材を突然に加速する。スラスト部材22は、ハンマーのように挿入ヘッドに作用する。スラスト部材の第一の部分においては、保持器ばねが、挿入ヘッドの保持構造17によって、保持係合状態から跳ね出す。すなわち、保持係合状態が解除される。スラスト方向Vへのスラスト部材22の加速は、スラスト部材22と挿入ヘッドとの間の純粋な加圧接触が、挿入ヘッドの下面Uが挿入器の下面U21と同じ高さになるまで安全に維持され、このようにして組織面上に配置されるようになされる。これより前に、穿刺器具15は、既に皮膚面を穿刺し、組織内に貫入し、挿入器具5を担持している。
【0078】
挿入ヘッドが皮膚面上に配置され、挿入器が取り外された後に、ユーザーは、把持部材10,12を握り、これらを基部1,2から離れるように挿入方向と反対の方向へ引っ張る。この際、穿刺器具15は挿入器具5及び基部1,2から引っ張り出され、ばねの作用を受け、次いで、適当な場合には、2つの把持部材10,12は、最初に再び相互に押され、次いで、解放された後に、把持部材10,12内の保護位置へと自動的に枢動する。
【0079】
穿刺器具15の自動化された引き抜きをも可能にする挿入器の有利な変形例においては、挿入器の保持係合が維持され、上記した例示的な実施形態とは異なり、スラスト部材22の加速によって解除されていない。このような変形例においては、保持器具は、特に、スラスト部材22に固定結合して、スラスト部材22のスラスト方向Vにおける突出動作に関与するようにすることができる。保持係合を解除するために、挿入器に抜き取り器を設けることができる。当該抜き取り器は、挿入器が組織から抜き取られた後に、挿入器ハウジング20及び起動部材21が相互に押されたときに、自動的に挿入ヘッドを保持係合状態から解放し、適切な場合には、自動的に又は付加的な操作によって、まず第一に、2つの把持部材10,12が再び相互に押されたときには、その後に解放される。別の方法として、このような抜き取り器はまた、起動部材21から完全に独立して設けられ且つ保持係合状態を解除するために別個に起動させることができる。
【0080】
図12乃至14は、本発明による挿入ヘッドからなる装置の第二の例示的な実施形態を示している。当該挿入ヘッドは、第一の例示的実施形態と同じものとすることができる。唯一の改造点は挿入器にある。第一の例示的な実施形態における挿入器の構成部品に機能上匹敵する第二の例示的な実施形態における挿入器の構成部品は、第一の例示的な実施形態において参照符号に“10”をプラスした参照符号によって各々示されている。従って、特に、挿入器ハウジング30と起動部材31とに関して、その形状、結合及び説明が強調されている。スラスト部材32、保持器具、力発生器33、排出装置38及び遮断部材39に関しても、原理的に同じことが当てはまる。以下において相違点が指摘されないか又は図面から明らかでない限り、第一の例示的な実施形態に関してなされた説明は、第二の例示的な実施形態に対しても同様に当てはまる。
【0081】
第二の例示的な実施形態の挿入器は、本質的に、結合に関して第一の例示的実施形態の挿入器とは異なっている。起動部材31は、当該起動部材31に対する挿入ハウジング30の上方向への引っ張り動作によって挿入ヘッドを起動させるために、前記結合を介して挿入ヘッドに作用する。第二の例示的な実施形態においては、挿入器自体が2つの結合部材31aと41aとによって結合部を形成しており、2つの結合部材のうちの一方は、起動部材31によって形成されており、他方は、作動部材41によって形成されている。作動部材41は、当該例示的な実施形態においては、スラスト方向Vを横切る方向すなわちスラスト方向に対して直角に挿入ハウジング30から前後に動くことができるように取り付けられている。結合部材31a,41aは同じく湾曲した結合部である。ガイド湾曲部31aは、第一の例示的な実施形態のガイド湾曲部21aに対応している。作動部材41は結合部材41aを形成している。結合部材41aは、挿入器が伸長したときに、ガイド湾曲部31aの傾斜方向により、挿入器が上方へ引っ張られたときに、挿入器の長手中心軸線に向かう方向への作動部材41の横方向の動作を生じさせる。結合部材31a,41aにおいては、挿入器ハウジング30が起動部材31に対して引っ張り上げられたときに、挿入器ハウジング30に対して行われるスラスト方向と反対方向の動作は、作動部材41の横方向の動作に変換される。作動部材41の結合部材又は係合部材41aは、それ自体がガイド湾曲部の形態に形成されているが、ここでは、係合部材として示されている。別の方法として、係合部材41aはまた、例えば、簡単なカム又はノブとして形成することもできる。同様に、係合部材41aもまたガイド湾曲部として示すことができ、別の変形例においては、結合部材31aは、突出しているカム又はノブとして形成することができる。
【0082】
挿入器が挿入ヘッドを起動させるときに介在する境界部は、この場合にも再び加圧接触として形成されており且つ作動部材41と収容部材と挿入ヘッドの可動把持部材12との間に存在している。この純粋な加圧接触(ほとんど緩いと言うことができる)は操作を簡素化する。なぜならば、作動のために特別なヒンジ結合が形成されなければならないからである。当該例示的な実施形態においては、上方への引っ張り動作によってなされる起動部材31の起動と組み合わせた挿入ヘッドの収容が必要とされるだけである。加圧接触、すなわち、作動部材41によってかけられる加圧力は、可動把持部材12に対して基部1,2に対する可動性の方向と平行に作用する。作動部材41の介在及び結合部31a,41aの挿入器への完全なずれによって、第二の実施形態においては、把持部材12には、力が当該把持部材12の移動方向を横切る方向にかからない。
【0083】
図13は、挿入ヘッドが起動せしめられた状態の装置を示している。起動部材31の起動としても理解される挿入器ハウジング30の上方への引っ張り動作の過程で、挿入器具5及び穿刺器具15は、これらの共通の長手軸線がスラスト方向Vに向くように、挿入位置へと枢動せしめられる。その結果、挿入ヘッドに対して説明した方法と同じ方法で、可動の把持部材12は、把持部材10,12と基部1,2との間の結合を解放している。しかしながら、挿入器具5と穿刺器具15との間の摩擦係合によって、第一の例示的実施形態のように、保持係合状態に配置されている把持部材10,12上に基部1,2を保持している。
【0084】
トリガー部材38を起動させることによって、遮断部材39が依然として挿入ハウジング30又は当該遮断部材に固定されている構造に結合されている遮断係合状態を解除し、力発生器33がスラスト部材32をスラスト方向Vへ加速する。この加速は、同じく、第二の例示的実施形態の駆動装置32,33がハンマー形態で作用するように突然に起こる。駆動力は2つの渦巻きばねによって発生される。当該2つの渦巻きばねのうちの一方は、いずれの場合にも分岐部の2つの対のうちの一方に作用する。位置が固定された枢動ベアリング35内に固定されている分岐部24は、歯による係合によって相互に結合されている。当該歯による係合は、前記分岐部の2つの対の同時に発生する外方への動作を確保する。
【0085】
挿入器を、挿入ヘッドの使用後に再使用の準備状態を可能とするために、作動部材41は、図13に示されている終端位置から、図12に示されている終端位置まで戻されなければならない。この復帰動作のために、作動部材31と作動部材41とは、もう一つ別の結合部31b,41bを形成しており、当該例示的な実施形態においては、結合部31b,41bは再び湾曲した結合部とされている。前記の他方の結合のためには、起動部材31はガイド湾曲部31bを形成しており、作動部材41は係合部材41bを形成している。ガイド湾曲部31bは、ガイド湾曲部31aに対して少なくともほぼ平行に延びている。ガイド湾曲部31a及び31bは、起動部材31の内側スリーブ部分上に形成されており、ガイド湾曲部31aは内側面上に形成されており、ガイド湾曲部31bは内側スリーブ部分の外側面上に形成されている。これらは、スラスト方向Vに関してほぼ同じ高さに相互に対向して位置してする。係合部材41bはまた、若干の空間を隔てて係合部材41aに対向して配置されていて、起動部材31の内側スリーブ部分が2つの係合部材41aと41bとの間に出入りすることができるようになされている。
【0086】
図14は、挿入ヘッドが定位置にある状態の第二の例示的な実施形態の装置を示している。挿入器は挿入ヘッドから取り外されている。ユーザーは、次いで、把持部材10,12を基部1,2から分離させるように引っ張り、穿刺器具は、適当な場合には、2つの把持部材10,12が相互に押され、次いで解放された後に、把持部材内の保護位置へと自動的に枢動されて戻され、ユーザーは、挿入ヘッドを注入ポンプのカテーテルに取り付ける。同じく、第一の例示的な実施形態に関して既に説明し且つ保持器具が固定位置においてスラスト部材32に結合され、従って、把持部材10,12を依然として保持することができる変形例においては、挿入器は、当該挿入器によって依然保持されている把持部材10,12と共に、基部から取り外される。次いで、保持係合は、適当な場合には、2つの把持部材10,12が、まず最初に、自動的に又は付加的な操作によって相互に押され、次いで解放された後に、好ましくは付加的な剥離器によって解放され、把持部材10,12は、穿刺器具15と一緒に廃棄される。
【0087】
別の挿入ヘッドと共に使用するために挿入器を準備するためには、挿入ヘッドが嵌合されている図12に示されているように、ユーザーは、再び、挿入器ハウジング30と起動部材31とを一緒に後退位置へと摺動させる。内方への動作中に、起動部材31の内側スリーブ部分は、作動部材41の係合部分41aと41bとの間を移動する。この内方への動作は、ガイド湾曲部31bと係合部材41bとの間に他の結合部を形成する。従って、内方への移動中に、結合部31b,41bの作動部材41は、図12に示されている端部位置へと、すなわち、長手中心軸線に関して横方向外方好ましくは径方向へ動かされる。
【0088】
ばね装置33の作用によってスラスト方向Vへ追い出されるスラスト部材32は、起動部材31の下面U31から離れる方向へ向けられた内側スリーブ部分の端面と反対側に位置している。スラスト部材32の前進動作は、この端面に当接することによって停止せしめられる。起動部材31は、入れ子30,31の伸長位置において、挿入ヘッドの下面Uがちょうど下面U31の高さに達したときにスラスト部材32を停止させ、従って、挿入器が定位置にある状態で皮膚面との厳密な接触を形成するような幾何学的寸法とされている。起動部材31に対する挿入器ハウジング30の又は挿入器ハウジング30に対する起動部材31の内方への移動中においては、当接接触は、遮断部材39が、再度例えば図13及び14に示されている遮断係合状態となるまで、スラスト部材32が力発生器33の力に対向して挿入器ハウジング30内のより深くまで起動部材31によって押されることを意味している。
【0089】
図15は、本発明による挿入ヘッドの別の実施形態を示している。当該挿入ヘッドは、第二の把持部材を備えており、当該第二の把持部材は、ばね力に対向して第一の把持部材10内へ押し込むことができ、次いで、図5乃至9による挿入ヘッドにおけるように、所謂“ボールペン機構”によって第一の把持部材上に可逆的に係止される。すなわち、2つの把持部材10,12を再度相互に押すことによって係止を解除することができ、把持部材10,12がばね力によって再び分離されて元の位置へ移動させることができる。第二の把持部材12を第一の把持部材10内へ押し込むことによって、カニューレハウジング17bはヒンジ6を中心として枢動せしめられる。カニューレハウジング17bは依然として挿入器具5及び穿刺器具15を保護位置内で担持している。第二の把持部材12の起動中に、摺動ブロック44は、ガイド穴42内でヒンジ部材6の方向へほぼ下方へ駆動され、これは、挿入器具及び穿刺針の回転又は枢動動作につながる。摺動ブロック又は柱44がガイド穴42の湾曲領域内に達するや否や、保護位置から挿入位置への枢動動作は完了する。第一の把持部材10にはまた結合器具16bが備えられており、当該結合器具は、基部1を把持部材10,12に可逆的に結合するために、基部1上に対応する部分49(図17参照)と係合状態にある。
【0090】
もちろん、摺動ブロックはまた、別の位置を有することもできる。従って、摺動ブロック44は更に下方に配置することもでき、次いで、前記部材が枢動すると、ほぼ上方へ移動する。ここでは、ガイド穴及び摺動ブロックの種々の構造が可能である。
【0091】
図16によると、第二の把持部材12は第一の把持部材10内へと押し込まれ且つ当該第一の把持部材に可逆的に停止され、第一の把持部材10内への第二の把持部材12のこの挿入動作は、座面14(図18参照)から挿入位置へ挿入器具5が穿刺器具15と一緒に枢動することにつながる。
【0092】
図17(基部1及びカニューレ5によって、適用されたカニューレハウジング17bから分離されてカニューレハウジング内に保持されている把持部材10,12及び穿刺器具15を示している)によれば、把持部材12,10からなる把持部材を基部1から係合解除することができる方法がわかるであろう。基部1は凹部49を備えており、把持部材10,12の結合器具16bが保護位置において当該凹部49と係合している(図15)。2つの把持部材10,12が相互に押されると、この係合状態が解除されて把持部材10,12を基部1から取り外すことができる。
【0093】
図18は、図17による把持部材10,12を示しているが、当該図面においては、把持部材10,12は再び摺動方向へと相対的に押し込まれ、これら2つの構成部品10,12の間の係止が解除され、これらは、内側ばねの力によって、再び元の位置へと押されて分離される。その結果、ガイド穴42内で摺動ブロック又は柱44がほぼ上方へガイドされ、その結果、針ホルダは、固定された穿刺器具15と一緒に、特に座面14内の元の保護位置内へ又は座面14の近くの係留位置へと再び枢動せしめられる。
【0094】
図19は、適用前又は在庫中の状態における本発明による挿入ヘッドの別の好ましい実施形態を示している。挿入器具5は、その中に部分的に収容されている穿刺器具15と共に座面14内の保護位置に配置されている。膏剤13の接着領域を活性状態に保つために、タブ又は膏剤13の下面Uに保護膜が適用されている。図19によると隔壁58もまた設けられている。隔壁58は、穿刺器具15の挿入及び抜き取りを許容し、その後の挿入器具5のための密封を保証することを意図されている。このことに対応して、隔壁56もまた、穿刺器具15と直角に合う部分のために設けられており、隔壁56は、供給ライン又は対流放熱器に対する堅牢な結合を可能にすることを意図している(図27参照)。
【0095】
カニューレハウジング17b上に配置されており且つ穿刺器具15を保持している針ホルダ17a上においては、基部1から離れる方向に向けられた面に固定構造46が設けられている(図19aに示されている細部によって見ることができる)。ここに示されている状態においては、係合部材48は、固定構造46と係合しており且つ第二の把持部材12の第一の把持部材10内への不注意による挿入に抵抗する抵抗力を提供する。この実施形態による本発明を使用している人は、最初に、係合部材48と固定構造46との間の係合に打ち勝つために、かなりの力をかけなければならず、このようにして、図19に示されている座面14内の保護位置から、図20内に示されている適用位置への挿入器具5及び穿刺器具15の枢動動作をもたらしている。これと同時に、枢動動作のためには、引っ張りばね(枢動動作が進むにつれて次第に予張力がかけられる)として作用する2つの予張力がかけられたゴムバンド65のばね力に打ち勝つことが更に必要である。
【0096】
部材52,54に対応する係止器具によって固定構造46を設計することも可能であり、当該係止器具は、例えば、第一及び第二の把持部材10,12上に設けることができ且つ一方の把持部材を他方の把持部材内へ押し込むことによって係止解除することができる。
【0097】
図20において穿刺器具15が患者の組織内へ差し込まれている挿入器具5が、図21に分離状態で示されている。言い換えると、穿刺器具又は穿刺針15が挿入器具5から引っ張り出されている。隔壁58は閉じられ、挿入器具5は医薬を患者の体内へ導入する用意ができている。
【0098】
穿刺器具が隔壁58から抜き取られた後に、2つの把持部材10,12上にかけられた圧縮力を減じることよって、2つのゴムバンド70の力によって穿刺器具15の保護位置への自動的な復元動作をもたらすことができる。この状態は図22に示されている。ここでは、穿刺器具15が元の保護位置を通り過ぎて当該保護位置の上方の位置すなわち以下に説明する係止肩部60の上方の位置へと移動せしめられている。拡大詳細部Cからわかるように、穿刺器具15は、針ホルダ17aの端部において係止肩部60が係合部材48と係合状態となるという事実によって、この位置に固定されている。この位置においては、汚染された穿刺器具15が再び把持部材10,12から偏倚せしめられることはできない。なぜならば、遮断作用が、係止肩部60と結合された係合部材48によって提供されるからである。穿刺器具15は、係止肩部の後方の遮断位置に保持されている。使用済みの汚染された穿刺器具15を固定肩部50aの後方の固定穴領域内へ移動する機能を果たす固定穴50を示すために、図22の断面D−Dが図22aに示されている。これと対照的に、未使用で且つ殺菌された穿刺器具は、使用前で固定肩部50aの前方の別の位置に保持することができる。
【0099】
図22aによる断面図はまた、第二の把持部材が第一の把持部材10の内部でガイドされるのを可能にするガイド62を示している。穿刺器具15が枢動されて座面14内の不動位置へと戻されると、当該穿刺器具は、固定穴50内を動いて可撓的に撓み、その後に、固定肩部50aの後方の固定穴50の上方領域内へと形状が戻り且つ図22aに示されている位置へと跳ね戻り、次いで、図示された位置に係留され且つここに封鎖される。
【0100】
図23乃至28は、上記したものと類似した機能を備えた本発明による挿入ヘッドの適用の種々の段階を示している。しかしながら、ここでは、2つの把持部材10,12は、最初に相互に押されるとき、挿入器具5及び穿刺器具15を保護位置から挿入位置へと枢動させるように機能し、当該2つの把持部材は、所謂“ボールペン機構”によって相互に係止される。この係止動作は、2つの把持部材10,12を再び相互に押すことによって解除することができるようになされている。このような“ボールペン機構”を形成することができる方法は、図5乃至9を参照して既に説明したものであり且つ当業者に良く知られており、ここでは説明する必要はない。図23によれば、第二の把持部材12が、第一の把持部材10から突出しており、挿入器具5及び穿刺器具15がそれらの保護位置にある状態で示されている。図24においては、第二の把持部材12が第一の把持部材10内へと動かされ当該第一の把持部材10上に係止されて、図25に見られるように、挿入器具及び穿刺器具が患者の体内へ差し込むことができるようになされている。
【0101】
図25は、挿入器具5と穿刺器具15とが患者の体内へ差し込まれ後に、穿刺器具15が把持部材10,12と共に、基部1及び挿入器具5から分離された状態を示している。
【0102】
図25に示された状態で、2つの把持部材10,12を再び相対的に押すことによって、2つの把持部材10,12の係止が解除され、第二の把持部材12は、内側ばねの力によって第一の把持部材10から押し戻され、穿刺器具15は、把持部材10,12によって形成された境界部の内側の保護位置へと移動せしめられる。
【0103】
図27に示されているように、供給ラインを備えたコネクタ64を、医薬例えばインスリンを供給するために基部に取り付けることができる。
【0104】
図28は、ガイド穴42が長さaの第一の部分42aを備えていることを示している。この距離aは、カニューレハウジング17b及びそれと一緒に挿入器具5及び穿刺器具15が第二の把持部材12の起動によって、この場合には右方向へ枢動し、枢動ブロック44が、ヒンジ部材6の方へと下方へ移動しており、一方、挿入器具5は、保護位置から適用位置すなわち挿入位置へと移動せしめられている。結合器具16bを係合凹部49からガイドするために、第二の距離bによって、係止解除が行われるのを可能にするクリアランスを提供するガイド穴42の第二の部分42bを利用することができる。
【0105】
摺動ブロック44が図28の図面に対してガイド穴42の他端に達している図29によると、挿入器具5及び穿刺器具15が適用位置にあるだけでなく、把持部材10,12もまた、既に基部1に対して係止解除したり或いは解除することができ、穿刺器具15は、挿入器具5から引っ張り出されている。
【0106】
図30の実施形態においては、係止解除機構も示されており、当該係止解除機構は、特に、図31に示されている断面E−Eにおいて見ることができる。この図からわかるように、第二の把持部材12は制御斜面52を備えており、当該制御斜面52は、第二の把持部材を第一の把持部材10内へ挿入した後に、偏倚斜面54上を上方へと移動し、このようにして、係合部材16を基部1の係合凹部49との係合状態から移動させる。挿入器具5及び穿刺器具15を枢動させる動作は、長さaの距離42aに対応しているけれども、制御斜面52を偏倚斜面54へとガイドする動作は、図28によるガイド穴42の部分42bに対応している。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、挿入器具及び穿刺器具が保護位置に配置されている状態の本発明による挿入ヘッドの第一の実施形態の垂直断面図である。
【図2】図2は、挿入器具及び穿刺器具が挿入位置に配置されている状態の図1の挿入ヘッドの長手断面図である。
【図3】図3は、適用後に穿刺器具の取り外し中の図1における挿入ヘッドの長手断面図である。
【図4】図4は、穿刺器具が再び保護位置に配置されている状態の図3に類似の図である。
【図5】図5は、本発明による第二の挿入ヘッドの第一のハウジング部分の上方部分を示している水平断面図である。
【図6】図6は、上方部分が図5に示されている第一のハウジング部分内に押し込む第二のハウジング部分の側面図である。
【図7】図7は、相対的に基本的な位置に配置されているときの図5及び6における2つのハウジング部分の底面図である。
【図8】図8は、一緒に押し込まれ且つ相互に係止されている状態の図5及び6における2つのハウジング部分の底面図である。
【図9】図9は、一緒に押し込まれた後に続いて解除されて再び図5における基本的な位置に相対的に配置されているときの、図5及び6における2つのハウジング部分の底面図である。
【図10】図10は、起動させる前の第一の例示的な実施形態による挿入ヘッド及び挿入器からなる装置を示している図である。
【図11】図11は、起動後の第一の例示的な実施形態による装置を示している図である。
【図12】図12は、挿入ヘッドを起動させる前の第二の例示的な実施形態による挿入ヘッド及び挿入器からなる装置を示している図である。
【図13】図13は、起動後の第二の例示的な実施形態による装置を示している図である。
【図14】図14は、挿入ヘッドが組織表面上に配置された後の第二の例示的な実施形態による装置を示している。
【図15】図15は、挿入器具が保護位置に配置された状態の挿入ヘッドの側面図である。
【図16】図16は、挿入器具が挿入位置に配置された状態の図15による挿入ヘッドを示している図である。
【図17】図17は、把持及び穿刺器具が基部及び挿入器具から分離された状態の図15及び16による挿入ヘッドを示している図である。
【図18】図18は、基部から解除された状態の第一及び第二の把持部材の側面図である。
【図19】図19は、挿入器具が保護位置に配置された状態の挿入ヘッドの断面図である。
【図20】図20は、挿入器具が挿入位置に配置された状態の図19の挿入ヘッドの断面図である。
【図21】図21は、基部及び挿入器具から分離されたときの、患者に対して配置することができる把持及び穿刺器具の断面図である。
【図22】図22は、第二の把持部材が第一の把持部材から押し出された後の第一及び第二の把持部材の断面図であり、この他に拡大細部Cを同様に断面図で示している図である。
【図23】図23は、適用前の本発明による挿入ヘッドの斜視図である。
【図24】図24は、適用後の図23の本発明による挿入ヘッドを示している。である。
【図25】図25は、第一及び第二の把持部材及び穿刺針を取り外した後の図23及び24の挿入ヘッドを示している図である。
【図26】図26は、第二の把持部材が第一の把持部材から引っ張り出された後の、第一及び第二の把持部材の斜視図である。
【図27】図27は、薬剤を送り出すためのコネクタ部材取り付けた後の図23乃至26の挿入ヘッドの基部を示している図である。
【図28】図28は、第一の把持部材が無い状態で示されている、挿入器具及び穿刺針が保護位置に配置されている状態の挿入ヘッドを示している図である。
【図29】図29は、挿入器具及び穿刺針が適用位置にある状態の図28による挿入ヘッドを示している図である。
【図30】図30は、挿入器具が保護位置に配置された状態の挿入ヘッドの側面図である。
【図31】図31は、図30の挿入ヘッドの断面E−Eを示している平面図である。
【符号の説明】
【0108】
1 基部、座面、
2 基部、平らな部分
3 凹部、
4 凹部、
5 挿入器具、可撓性のカニューレ、
6 ヒンジ部材、
6a ヒンジ部材のためのかみ合い部材、
7 供給装置、
8 ガイド溝、
9 結合部材、
10 第一の把持部材、
11 把持面、
12 第二の把持部材、収容部材、
12a ヒンジ部材、係合部材、加圧接触面、
13 タブ、膏剤、
14 座面、
15 穿刺器具、
16 結合部材、
16a ばねウェブ、
16b 結合器具、
17 弾性アーム、
17a 針ホルダ、保持部材、
17b カニューレハウジング、
18 ガイド筒部、
19 結合部材、
20 挿入器ハウジング、
21 起動部材、
21a 結合部材、ガイド湾曲部、
22 スラスト部材、
23 力発生器、
24 分岐部、
25 枢動ヒンジ、
26 枢動ヒンジ、
27 枢動ヒンジ、
28 トリガー部材、
29 遮断部材、
30 挿入器ハウジング、
31 起動部材、
31a 結合部材、ガイド湾曲部、
31b 結合部材、ガイド湾曲部、
32 スラスト部材、
33 力発生器、
34 分岐部、
35 枢動ヒンジ、
36 枢動ヒンジ、
37 枢動ヒンジ、
38 トリガー部材、
39 遮断部材、
40 軸幹、
41 作動部材、
41a ヒンジ部材、係合部材、
41b ヒンジ部材、係合部材、
42 ガイド穴、
42a 枢動ガイド部分、
42b 解除ガイド部分、
44 摺動ブロック、 突出部、
46 固定構造、
48 係合部材、
49 係合凹部、
50 固定穴、
50a 固定肩部、
52 制御斜面、
54 偏倚斜面、
56 隔壁、
58 隔壁、
60 係止肩部、
62 ガイド、
64 コネクタ、
65 テンションばね、
66 圧縮ばね、

U 下面、
V スラスト方向、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療又は医薬用途のための挿入ヘッドであり、
a)第一のハウジング部分(10)と第二のハウジング部分(12)とを備え、当該第一及び第二のハウジング部分は相対的に可動であるようにされているハウジング(10,12)と、
b)基部(1,2)と、
c)穿刺器具(15)によって安定させることができる可撓性の挿入器具(5)であり、当該挿入器具(5)と穿刺器具(15)とは、結合して動くことができるように取り付けられる前記可撓性の挿入器具(5)と、を備え、
d)前記挿入器具(5)と穿刺器具(15)とは、それらの自由端が前記ハウジング(10,12)及び/又は前記基部(1,2)の境界内に配置される保護位置から、前記自由端が生体組織内へ挿入できるように前記ハウジング(10,12)及び/又は前記基部(1,2)の境界から突出する挿入位置まで、前記ハウジング(10,12)に対して動くことができ、更に、
e)前記2つのハウジング部分(10,12)を相対的に動かすことによって前記保護位置から前記挿入位置まで動くことが出来るように、前記2つのハウジング部分(10,12)の相対的な動きを、前記挿入器具(5)と前記穿刺器具(15)との動きに変換する結合部材(17a,40,42,44)を備え、
前記基部(1,2)は、生体組織上に配置することができる下面(U)を備え、前記挿入位置においては、当該下面(U)が前記組織上に位置するように前記基部(1,2)が配置されたときに、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)が前記組織内へ挿入できるように前記下面から突出し、
前記穿刺器具(15)は、前記挿入位置において、前記組織内への前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の挿入の後に、前記ハウジング(10,12)を片手で把持し且つ意図した挿入方向と反対の方向へ手動で動かすことによって、基部(1,2)及び挿入器具(5)から取り外すことができるように、前記ハウジング(10,12)に結合されているか又は結合可能であり、
前記穿刺器具(15)を前記基部(1,2)及び前記挿入器具(5)から取り外した直後に、適切な場合にはハウジング(10,12)を保持している手を使用してトリガー部材を起動させた後に、前記穿刺器具(5)の前記自由端が前記ハウジング(10,12)の境界の内側に配置される前記保護位置へと自動的に戻すことができる復元手段(65,66)が設けられている、前記挿入ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の挿入ヘッドであり、
前記2つのハウジング部分(10,12)は、片手の2本の指の間に把持することができ、一本の指を前記ハウジング部分(10,12)のうちの一方に押し付けた状態で、前記第二のハウジング部分(12)を前記第一のハウジング部分(10)の方向に動かすことができるようになされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の挿入ヘッドであり、
前記基部(1,2)は、前記挿入器具(5)に動かないように結合され、前記挿入器具(5)を前記保護位置から前記挿入位置へ動かすと、前記ハウジング(10,12)に対して動かされるようになされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)が前記保護位置に配置されている状態で、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の自由端が前記基部(1,2)の下面(U)の後方へ後退せしめられて、前記基部(1,2)の下面(U)が前記ハウジング(10,12)の外面の少なくとも一部分を形成するようになされ、前記保護位置から前記挿入位置へと動かされたときに、前記挿入位置において、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)は、前記自由端が前記基部(1,2)の下面を超えて突出するように前記基部(1,2)に対して動かすことができるようにされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)が前記基部(1,2)内に可動状態で取り付けられていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の挿入ヘッドであり、
前記基部(1,2)とヒンジ部材(6)又は摺動ガイドのガイド部材が、協働してヒンジ又は摺動ガイドを形成しており、前記挿入器具(5)が前記ヒンジ部材(6)又はガイド部材から下方へ突出していることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項7】
請求項4乃至6のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記ハウジング(10,12)が前記基部(1,2)の頂面から上方へ延びていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記2つのハウジング部分(10,12)が、相対的に枢動可能であり又は一方の内側で他方が変位可能特に摺動可能であって、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記保護位置から前記挿入位置への動きをもたらすようになされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の挿入ヘッドであり、
前記2つのハウジング部分(10,12)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記保護位置から前記挿入位置への動きをもたらすために、直線的に相対移動できるようになされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項10】
請求項4又は9のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記ハウジング部分(10,12)が、前記基部(1,2)の下面に対して実質的に平行に移動できるようになされたことを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)が前記挿入位置へと枢動させることができるようになされたことを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記結合部材(17a,40,42,44)が、前記2つのハウジング部分(10,12)特に当該2つのハウジング部分のうちの一方を、歯による係合、好ましくは歯車と歯付きラックとによって、前記挿入器具(5)に結合させていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項13】
請求項12に記載の挿入ヘッドであり、
前記2つのハウジング部分のうちの一方(12)が、好ましくは当該ハウジング部分(12)上に形成されている歯付きラックに結合されており、前記挿入器具(5)が、前記歯付きラックに歯によって係合している歯車に結合されていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項14】
請求項11乃至13のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)が枢軸を中心に枢動可能であり且つ前記枢軸を中心に回転する歯車に回転可能な固定状態で結合されており且つ歯による結合状態とされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項15】
請求項1乃至11のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)及び/又は前記穿刺器具(15)が、前記基部(1)又は前記2つのハウジング部分のうちの一方(10)上に回転軸(6,40)によって保持されており、回転軸(6,40)に対して偏って配置されている摺動ブロック(44)が設けられており、ガイド穴(42)であって前記2つのハウジング部分(10,12)の相対的な動きが前記摺動ブロック(44)に伝わり、前記挿入器具(5)及び穿刺器具(15)の前記保護位置に対応する第一の位置から、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記挿入位置に対応する第二の位置へと当該ガイド穴(42)によってガイドされるように前記摺動ブロック(44)に作動可能に係合している前記ガイド穴(42)が設けられていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記ハウジング(10,12)が前記基部(1,2)に対して解除可能に結合されており、特に、当該結合は、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を前記保護位置から前記挿入位置まで動かすための前記2つのハウジング部分(10,12)の動きの際に又は当該2つのハウジング部分(10,12)の後続の相対的な動きの際に、解除されることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項17】
請求項16に記載の挿入ヘッドであり、
前記基部(1,2)上に第一の結合部材(49)が形成されており、前記ハウジング(10,12)上に第二の結合部材(16b)が形成されており、当該結合部材(49,16b)が相互に係合して結合部を形成しており、前記結合部材のうちの少なくとも一方(16b)が弾性力に反して前記係合状態から移動することができることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の挿入ヘッドであり、
第一の結合部材(49)と第二の結合部材(16b)とが相互に係合して結合部を形成しており、前記2つのハウジング部分の一方(12)が、移動中に、前記結合部材のうちの一方(16b)に接触し且つ弾性力に反して前記結合状態から動くようになされていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項19】
請求項18に記載の挿入ヘッドであり、
前記2つのハウジング部分のうちの一方(12)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記保護位置から前記挿入位置への移動が完了したときに、前記第一のハウジング部分(12)上の制御斜面(52)が、前記基部(1,2)を前記ハウジング(10,12)に可逆的に結合し且つ前記基部を前記係合位置から偏倚する結合部材(16)上の偏倚斜面(54)に当接して、前記ハウジング(10,12)と前記基部(1,2)とが分離できるようにするまで、前記2つのハウジング部分のうちの他方(10)内へと押し込むことができることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項20】
請求項15乃至19のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
当該挿入ヘッドが、前記ガイド穴(42)の第一の部分(42a)の第一の距離に沿った前記2つのハウジング部分(10,12)の相対的な移動によって、前記ガイド穴(42)によってガイドされる前記摺動ブロック(44)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記保護位置に対応する第一の位置から、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)の前記挿入位置に対応する第二の位置まで移動せしめられ、前記ハウジング(10,12)を基部(1,2)から解除するために、前記基部(1,2)を前記ハウジング(10,12)に可逆的に結合する結合器具(16b)が設けられており、前記2つのハウジング部分のうちの正に一方(12)が、前記基部(1,2)まで、前記挿入位置に配置されている挿入器具(5)の伸長方向に直角な第二の距離(b)に沿って前記基部(1,2)に対して動かすことができ、前記ガイド穴(42)は、前記第二の距離(b)に対応する第二の部分(42b)を備えていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項21】
請求項1乃至20のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)が前記挿入位置へ移動しつつある間、前記穿刺器具(15)は前記ハウジング(10,12)に結合されていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項22】
請求項1乃至21のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記基部(1,2)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を、それらの保護位置において収容する座面を形成していることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項23】
請求項1乃至22のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記ハウジング(10,12)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を、それらの保護位置において収容する座面(14)を形成していることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項24】
請求項1乃至23のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)が、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を前記保護位置に可逆的に固定する固定構造に割り当てられていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項25】
請求項24に記載の挿入ヘッドであり、
前記挿入器具(5)が、当該挿入器具(5)に沿って動かされるカニューレハウジング(17b)に割り当てられており、当該カニューレハウジング(17b)が、前記2つのハウジング部分(10,12)の移動方向と平行に延びている前記ハウジング部分のうちの一方(12)の壁に対向して位置している固定構造(46)を備えており、前記挿入器具(5)の前記保護位置において、この壁の内側面上の結合部材(48)が前記固定構造(46)と可逆的に係合状態となることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項26】
請求項1乃至25のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記保護位置で、前記挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を収容する前記2つのハウジング部分のうちの一方(12)及び/又は他方(10)に、当該挿入器具(5)及び前記穿刺器具(15)を保護位置に係止することができる固定穴(50)が設けられていることを特徴とする挿入ヘッド。
【請求項27】
請求項1乃至26のうちのいずれか一の項に記載の挿入ヘッドであり、
前記穿刺器具(15)が、当該穿刺器具(15)の保護位置への逆方向の自動的な動きの際に当該穿刺器具(15)に沿って動かされる保持部材(17a)に割り当てられており、当該保持部材(17a)は、前記ハウジング(10,12)内での前記逆方向の自動的な動きの際に前記穿刺器具(15)が再び前記ハウジング(10,12)から移動するのを防止するために、係合部材(48)と係止係合状態となる係止肩部(60)を備えていることを特徴とする挿入ヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2008−220963(P2008−220963A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62876(P2008−62876)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】