医療用X線撮影装置及びこれに用いるX線検出器
【課題】電気的撮像手段の特性を十分に活かしながらコストアップにならないようなパノラマ撮影及びCT撮影兼用の医療用X線撮影装置及びこれに用いるX線検出器を提供する。
【解決手段】旋回部材の支持体3bと、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材6と、該旋回部材6の一部位に設けられるX線発生器9と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部10とを備えた医療用X線撮影装置である。少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段14a、14bが形設された1枚の基板14を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用される。
【解決手段】旋回部材の支持体3bと、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材6と、該旋回部材6の一部位に設けられるX線発生器9と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部10とを備えた医療用X線撮影装置である。少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段14a、14bが形設された1枚の基板14を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用X線撮影装置に関し、更に詳しくは、パノラマ撮影及びCT撮影が可能な歯科用、耳鼻科用その他の医療用として用いられるX線撮影装置及びこれに用いるX線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記医療用X線撮影装置の一例として、旋回アームの一端にX線発生器を、他端にX線検出部を備え、該旋回アームをX線ビームが歯列弓の形状に沿った軌跡(包絡線)を描くようにして旋回させながら断層撮影するパノラマ撮影機能と、注目歯牙を中心に旋回アームを回転させながら該注目歯牙の断層撮影をするCT撮影機能(コンピュータ断層撮影法)とを併せ持つ歯科用X線撮影装置が実用化されている。そして、X線検出部としては、従来のX線フィルムによるアナログ撮像手段に加え、CCD等の電気的撮像手段も用いられるようになった。後者の電気的撮像手段の場合、リニヤ走査が可能であるから、パノラマ撮影の場合でもX線検出部が縦長で面積が小さなものでよく、また得られる画像はディジタル画像であるから、その画像処理が任意にでき、撮像画像をリアルタイムでモニターテレビに写すことが可能である等、多面的な応用が可能であり、近時急速に普及するようになった。
【0003】
特許文献1には、X線検出部にアナログのフィルムカセットと、CCD若しくはMOSからなるディジタルセンサカセットとを装着可能とし、これらを選択切換えすることによって、アナログ或いはディジタルの断層撮影画像を選択取得するようにした医療用X線断層撮影装置が開示されている。また、特許文献2には、パノラマ撮影及びCT撮影を可能とし、且つX線検出部としてMOS等の2次元ディジタルセンサを用いることを特徴とするX線撮影装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−135829号公報
【特許文献2】特開平10−225455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、特許文献1の医療用X線断層撮影装置は、X線検出部が、アナログのフィルムカセットとディジタルセンサカセットとを併用するものであって、電気的撮像手段、即ち、CCDやMOS等の2次元ディジタルセンサのみを用い、これらの形状の異なる2種のディジタルセンサの使い分けによって、パノラマ撮影及びCT撮影に対応し得るような構成にはなっておらず、電気的撮像手段の特性を十分に活かせるものとは言い難かった。また、特許文献2に開示されたX線撮影装置は、1個のMOS等の2次元ディジタルセンサを以って、パノラマ撮影及びCT撮影に対応し得るものであるが、1個でパノラマ撮影及びCT撮影、更にはセファロ撮影にも対応し得るようにするには大きなものを必要とし、現状MOSは極めて高価であり、経済性の点で問題がある為、まだ実用化には至っていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、電気的撮像手段の特性を十分に活かしながらコストアップにならないようなパノラマ撮影及びCT撮影兼用の医療用X線撮影装置及びこれに用いるX線検出器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明(第1発明)に係る医療用X線撮影装置は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0007】
そして、請求項2の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段が、前記基板の片面に形設され、該基板を前記X線検出部に対し変位可能とすることによって、上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにすること、或いは、請求項3の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段の夫々が、前記基板の両面に形設され、該基板を反転させることによって上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにすることができる。また、請求項4の発明のように、前記X線撮影モードとして、更にセファロ撮影モードを含み、前記基板が前記X線検出部に着脱自在とされ、且つ該基板がセファロ撮影モード用のX線検出部にも着脱可能とされると共に、少なくとも前記一方の電気的撮像手段の形状がセファロ撮影モードにも兼用し得るよう形成されているものとすることが可能である。
【0008】
請求項5の発明(第2発明)に係る医療用X線撮影装置は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線発生器の上記X線検出部に対するX線ビームの指向方向を可変とすることにより選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0009】
請求項6の(第3発明)に係る医療用X線撮影装置は、回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、軸回転可能に取付けられる柱状基体を備え、該柱状基体の周面に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設され、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記柱状基体を軸周りに回転させることによって選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0010】
前記いずれかの発明において、請求項7の発明のように、前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなるものとすること、或いは、請求項8の発明のように前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとすることができる。
【0011】
更に、前記いずれかの発明においては、請求項9の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段の選択情報に基づき、X線撮影モードの選択設定を行う制御手段を備えることが望ましい。そして、この制御手段は、請求項10の発明のように、選択設定されたX線撮影モードに応じた旋回パターンに基づく旋回部材の旋回制御、X線発生器におけるX線の発生制御、前記選択された電気的撮像手段の駆動制御をも行うこと、更には、請求項11の発明のように、選択設定されたX線撮影モードに応じ、X線発生器側の1次スリット及び/若しくはX線検出部側の2次スリットを夫々に適したものに切替えるよう制御するものであることが望ましい。
【0012】
請求項12の発明(第4発明)に係るX線検出器は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置の該X線検出部に装着されるX線検出器であって、1枚の基板と、該基板の板面に形設された2種類の電気的撮像手段とよりなり、該2種類の電気的撮像手段の一方は細長形状とされ、他方は2次元方向に広がりのある平面形状とされていることを特徴とする。そして、本発明のX線検出器においても、請求項13の発明のように、前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなるものとすること、或いは、請求項14の発明のように、前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとすることができる。
【0013】
尚、上記発明におけるMOSは、CMOSも含まれる概念である。また、電気的撮像手段としては、CCD或いはMOS以外に、薄膜トランジスタ(TFT)やX線固体素子も採用可能である。
【発明の効果】
【0014】
第1乃至第3の発明によれば、X線検出部に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が装着可能とされ、且つ一方が細長形状とされ、他方が2次元方向に広がりのある平面形状とされているから、該一方をパノラマ撮影モードに対応させ、他方をCT撮影モードに対応させるようにしているから、パノラマ撮影がリニヤ走査で実施することができ、画像の再構成等が可能であるなど、極めて有用な撮影画像を得ることができる。また、CT撮影用には左程大きなものを必要としないから、請求項7の発明(請求項13の発明)のように、一方の電気的撮像手段がCCDからなるものとし、他方の電気的撮像手段をMOSからなるものとし、或いは請求項8の発明(請求項14の発明)のように、前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとしても、全体としての電気的撮像手段が大きくならず、コストアップになることもない。しかも、CCDの採用によってリアルタイムで画像処理ができるので、画像処理が効率的で良好なリニヤ走査画像が得られる。また、動画の撮像できるMOSを採用することによって、重ね合わせ部をずらす等して撮影対象を任意に狙うこと、例えば、歯列弓に含まれる任意の箇所の断層画像、パノラマ画像の形成ができる。これらにより、ディジタル画像の形成媒体としての電気的撮像手段の特性が十二分に発揮され、撮影画像の多面的な応用が可能となる。
【0015】
また、2種類の電気的撮像手段或いはX線検出器を、第1乃至第3発明或いは第4発明のように構成すれば、電気的撮像手段の選択使用が簡易になされる。また、夫々を明示する識別手段を付与しておけば、いずれを選択設定したかの情報と上記パノラマ撮影やCT撮影のようなX線撮影モードとの関連付けがなされ、従って、請求項9の発明のような制御手段を設けるようにすれば、この選択情報に基づく上記X線撮影モードの選択設定が簡易になされる。そして、この制御手段が、請求項10の発明や、請求項11の発明のような制御をも行うものとすれば、2種類の電気的撮像手段の選択情報をキーとして、パノラマ撮影やCT撮影を行う上で必要な各機構部等の動作制御が、予め設定されたシーケンスに基づき自動的になし得るようにすることができる。
【0016】
更に、第1発明において、請求項4の発明のように、X線撮影モードがセファロ撮影モードも含むものとし、電気的撮像手段の一方をパノラマ撮影モードとセファロ撮影モードに兼用し得るようにすれば、1台の装置でパノラマ撮影モード、CT撮影モード及びセファロ撮影モードでのX線撮影が可能となり、コストアップすることなく省スペース的で多面的な医療用X線撮影装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明の医療用X線撮影装置の一例としての歯科用X線撮影装置の正面図、図2は同左側面図、図3は同装置の全体構成図、図4は同制御ブロック図、図5はMOSによるX線検知センサの駆動回路図、図6は同X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図、図7はX発生器の詳細を説明する図であり、(a)は縦断面図、(b)は要部の斜視図である。図8はX線検出部の一例を示す縦断面図、図9は同X線検出部の要部の分解斜視図、図10はX線検出部の別例を示す縦断面図、図11(a)(b)はX線検出器を固定した場合のX線発生器とX線検出部との位置関係の態様を示す説明図である。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図3に示す歯科用X線撮影装置Aは、パノラマ撮影、CT撮影及びセファロ撮影が可能とされるものであり、床面に設置される基台1上に支柱2が立設され、該支柱2に対して昇降機構3a(図3参照)を介して本体3が上下昇降可能に支持されている。該本体3のC字型(側面視して)本体フレーム(支持体)3bには水平方向のセファロ用アーム4が固設され、その先端にはセファロ撮影用ユニット5が装備されている。該セファロ撮影用ユニット5は、垂直軸周りに回動自在なベース板5aの下面に、患者頭部保持部(耳抑え等を含む)5bと、該患者頭部保持部5bを挟むようにセファロ用1次スリット5c及びセファロ用X線検出部5dを配してなる。
【0019】
上記本体フレーム3bの上辺部には、逆凹型の旋回アーム(旋回部材)6が吊持され、該旋回アーム6は本体フレーム3bに内蔵された回転テーブル7及びX−Yテーブル8(図3参照)によって水平旋回或いは水平面域での2次元移動が可能とされている。該旋回部材6は、図例のような形状の旋回アーム6に限らず、リング状であってもよく、また、上記のような水平移動に限らず上下傾動する機能をも備えるものでも良い。該旋回アーム6の一端には、X線発生器9が、他端には該X線発生器9に対向するようX線検出部10が配設されている。このX線発生器9及びX線検出部10の間には、患者Pの頭部を保持する頭部保持部11が形成され、チンレスト11a等の患者位置付け部材が設けられている。該チンレスト11aは、上下昇降或いは傾動可能とされ患者の体形に合わせてその位置付けがなされる。上下チンレスト11aをこのように可動に構成することで、例えば撮影部位ごとに照射線の水平面に対する傾きを調節することや、上方に位置する顎関節と、下方に位置する下顎先端とのように、上下に離れた部位をうまく照射野の中心に位置するように調節することもできる。11bは基台1a上に立つ患者が把持するハンドルであり、11cはミラーである。
【0020】
ここで、頭部保持部11の構成を詳述しておく。頭部保持部11は、図1の例では、患者の体格に合わせて支柱2に対して昇降変位する。この頭部保持部11において、チンレスト11aなどで患者を保持する部分と、上述の支柱2に対して昇降変位する部分は一体的に形成されている。従って、X線発生器9とX線検出部10は頭部保持部11と共に昇降することになる。しかし、上述の、患者を保持する部分と、X線発生器9とX線検出部10の昇降を伴う、支柱2に対して昇降変位する部分とを別体に構成して、それぞれが支柱2に対して独立に変位するようにしても構わない。また、患者を保持する部分に対し、X線発生器9が変位するように構成しても構わない。本出願人の出願に係る特開平7−275240は、そのように上述の支柱2に対して昇降変位する部分と患者を保持する部分とを別体に構成した例や、患者を保持する部分に対し、X線発生器9が昇降変位するように構成した例を開示している。
【0021】
特開平7−275240においては、上述の患者を保持する部分に相当する部分を「患者フレーム」、支柱2に対して昇降変位する部分に相当する部分を「昇降本体」と称しており、その目的は、撮影可能な領域を広げることであると共に、例えば撮影部位ごとに照射線の水平面に対する傾きを調節することであり、上方に位置する顎関節と、下方に位置する下顎先端とのように、上下に離れた部位をうまく照射野の中心に位置するように調節することである。チンレスト11aを上下昇降或いは傾動可能とする構成と、上述の患者を保持する部分と、支柱2に対して昇降変位する部分とを別体にした構成や患者を保持する部分に対し、X線発生器9が昇降変位するようにした構成とを組み合わせて、より微妙な調節ができるようにしても構わない。
【0022】
X線発生器9は、図7に示すように、X線管9aと、該X線管9aを内蔵する内ケース9bと、外ケース9cからなり、垂直支軸9dを介し旋回アーム6の一端に支持されている。該垂直支軸9dは、モータ9e及びギア9fによって軸回転可能とされ、これによって、X線発生器9は該垂直支軸9dの軸心周りに回動(首振り)可能とされる。X線管9aのX線放射口には1次スリット板12の支持ブロック13が固設され、該支持ブロック13には1次スリット板12が横移動可能に取付けられている。
【0023】
即ち、支持ブロック13の一側部にはスリット駆動用モータ13aが固設され、該モータ13aの出力軸に連設されたねじ軸13bにはスリット支持竿13cの基部が螺装されている。また、該スリット支持竿13cには、支持ブロック13にねじ軸13bと同方向に摺動可能に支持されたガイド棒13dの先端部が固着されている。従って、モータ13aの駆動に伴うねじ軸13bの軸回転により、スリット支持竿13cが左右に螺進・螺退する。スリット支持竿13cの先端には、スリット板12が固着され、該スリット板12の上下辺は、支持ブロック13に取付けられた複数のコロ13eによって挟装され、これにより、上記スリット支持竿13cの左右の螺進・螺退に伴うスリット板12の横移動が円滑になされる。
【0024】
上記スリット板12には、略矩形(120×120mm程度)のCT撮影用スリット12a、縦長(150×6mm程度)のパノラマ撮影用スリット12b及び更に縦長(225×6mm程度)のセファロ撮影用スリット12cが平行に形成されている。従って、X線撮影モードに応じて、上記モータ13aを駆動させることによって、これらスリット12a、12b、12cがX線の放射口に位置設定される。尚、セファロ撮影モードに設定する場合は、セファロ撮影用スリット12cを位置設定すると共に、X線発生器9を、上記モータ9eの駆動をして首振りさせ、セファロ撮影用ユニット5のセファロ用X線検出部5dにX線ビームが指向されるよう位置付けられる。
【0025】
図3に示すX線検出部10においては、後記する2種類のX線検知センサ(電気的撮像手段)14a、14bを形設したX線検知センサ基板14を保持する為のセンサホルダー15が旋回アーム6の他端に横移動可能に取付けられており、該センサホルダー15はモータ15aによってその横移動が可能とされている。X線検知センサ基板14には、X線検知センサ14a、14bに対応する出力コネクター(不図示)が形成されており、センサホルダー15を介したX線検出部10での装着状態では、該X線検出部10に形成された入力部(不図示)に接続されるようになされている。
【0026】
また、X線検知センサ基板14の前面側には、後記するように2種類のスリット16a、16bが形成された2次スリット板16が配設され、該2次スリット板16は、モータ16cによって横移動可能とされている。従って、モータ15aの駆動により、上記X線検知センサ14a、14bのいずれかが選択設定され、また、モータ16cの駆動により、該センサ14a、14bの種類に応じ、即ち、X線撮影モードに応じ、スリット16a、16bのいずれかが選択設定される。このようなX線検知センサ基板14及び2次スリット板16は、図1に示すようにカセットユニット100として、X線検出部10に着脱自在に装着させることが可能であり、また、これを前記セファロ撮影用ユニット5のセファロ用X線検出部5dに着脱可能に装着して兼用し得るようになすことも可能である。
【0027】
次に、上記歯科用X線撮影装置Aの動作制御について、図3及び図4をも参照して説明する。尚、図3及び図4はパノラマ撮影及びCT撮影について説明するものであり、セファロ撮影については省略されている。パノラマ撮影モードでの撮影を実施する場合、操作パネル(入力手段)17上でパノラマ撮影モードを選択すると、後記するようにX線検知センサ基板14上のCCDからなる縦長のX線検知センサ14bが、前記モータ15aの駆動をして、X線ビームの照射野に位置するよう位置付けられる。また、後記するように2次スリット板16に形成された縦長のスリット16bが、モータ16cの駆動をして、このX線検知センサ14bの前面側に位置付けられる。前記モータ15aの駆動制御はX線検知センサ切替制御回路15bによってなされ、また、モータ16cの駆動制御は、2次スリット制御回路16dによってなされる。X線検知センサ基板14には、2種のX線検知センサ14a、14bを識別するICチップ(不図示)が付されており、その検出情報がX線検知センサの種類判定回路18からCPU19に入力され、いずれのX線検知センサ14a、14bが位置設定されたかが判定されるようになされている。
【0028】
X線発生器9では、1次スリット制御回路12dによって前記モータ13aが駆動制御され、パノラマ撮影用スリット12bがX線の放射口に位置設定される。そして、操作パネル17の操作により、前記昇降機構3aの本体昇降制御モータ3a0を駆動させ、患者Pの体形に合わせて本体3を適宜位置に設定すると共にチンレスト11aの高さ或いは傾斜度合いの調整が、チンレスト位置制御回路11bによってなされる。斯くして、操作パネル17上で撮影スイッチ(不図示)をオンすると、回転テーブル7のアーム回転制御モータ7a、X−Yテーブル8のX軸制御モータ8a及びY軸制御モータ8bが、モータ駆動制御回路20によって制御され、旋回アーム6が患者Pの歯列弓の周りに、X線ビームが所定の包絡線軌跡を描くよう水平旋回及び水平移動がなされる。この旋回アーム6の作動の間、X線制御回路(ユニット)90によって、X線発生器9のX線管9aの制御がなされ、X線ビームが放射されて1次スリット12bを透過し、患者Pに照射され、2次スリット16bを経たX線がX線検知センサ14bによって検知され、歯列弓の全顎断層撮影が実施される。旋回アーム6の旋回角度は、角度センサ21によって検出される。
【0029】
X線検知センサ14bから出力される画像信号は、ビデオメモリ24へ出力され、信号処理手段22によってディジタル信号に変換された後、画像再構成手段23によって任意の断層面に沿った断層画像に演算処理され、陰極線管(略称「CRT」)などの画像表示部26によって表示され、各種の診断に用いられる。画像再構成手段23は具体的には画像再構成プログラムからなるので、中央演算処理装置(CPU)19を用いて処理してもよいし、別体のコンピュータを用いてもよい。
【0030】
CPU19には、信号処理に必要なワークメモリ27が接続され、さらに撮影モードを選択するパネルスイッチ、およびX線照射をオン/オフ制御するためのX線照射スイッチなどを備える入力手段である操作パネル17が接続される。CPU19にはまた、前記モータ駆動回路20、1次スリット制御回路12d、2次スリット制御回路16d、X線発生器9を制御するX線制御回路90、及び各制御回路20、12d、16d、90による制御動作を同期させるためのクロック信号を出力するクロック回路28がそれぞれ接続される。前記X線制御回路90は、CCDからなるX線検知センサ14bで撮像された信号に基づいて、被写体(患者P)へのX線照射量を帰還制御することが可能である。これらのCPU19、フレームメモリ31、ワークメモリ27、操作パネル17、モータ駆動回路20、1次スリット制御回路12d、2次スリット制御回路16d、X線制御回路90およびクロック回路28を含んで制御手段29が構成される。
【0031】
CT撮影モードでの撮影を実施する場合、操作パネル(入力手段)17上でCT撮影モードを選択すると、後記するようにX線検知センサ基板14上のMOSからなる矩形のX線検知センサ14aが、前記モータ15aの駆動により、X線ビームの照射野に位置するよう位置付けられる。また、後記するように2次スリット板16に形成された矩形のスリット16aが、モータ16cの駆動により、このX線検知センサ14aの前面側に位置付けられる。そして、上記同様X線検知センサの種類判定回路18による出力情報に基づき、CPU19によっていずれのX線検知センサ14a、14bが位置設定されたかが判定される。
【0032】
X線発生器9では、1次スリット制御回路12dによって前記モータ13aが駆動制御され、CT撮影用スリット12aがX線の放射口に位置設定される。そして、操作パネル17の操作により、上記同様患者Pの位置付けがなされると共に、注目部位、ここでは注目歯牙を操作パネル17のディスプレイ(不図示)上で指示し、モータ駆動制御回路20の制御をして、X−Yテーブル8のX軸制御モータ8a及びY軸制御モータ8bを駆動し、旋回アーム6の旋回中心が上記注目歯牙の中心に合致するよう設定する。このような位置設定は、旋回アーム6の水平移動に限らず、前記基台1上に2次元の水平移動が可能な椅子を設置し、この椅子に患者を着座させた上で、椅子を水平移動させることによって行うようにすることも可能である。
【0033】
斯くして、操作パネル17上で撮影スイッチ(不図示)をオンすると、回転テーブル7のアーム回転制御モータ7aがモータ駆動制御回路20によって制御され、旋回アーム6が上記のように注目歯牙の中心に合致する旋回中心の周りに旋回する。この旋回アーム6の旋回作動の間、X線制御回路90によって、X線発生器9のX線管9aの出力制御がなされ、X線ビームが放射されて1次スリット12aを透過し、患者Pの注目歯牙に照射され、2次スリット16aを経たX線がX線検知センサ14aによって検知され撮影される。この撮影は、注目歯牙の周囲360°に亘ってなされ、そのCT画像が逐次ビデオメモリ24に取り込まれる。なお、上述において、撮影は周囲360゜に亘ってなされているが、CT画像の構成に必要な180°に亘って行えば足りるので、180°以上に亘って行いさえすればよい。
【0034】
MOSからなるX線検知センサ14aは、図5の駆動回路図に示されるように、受光画素となる複数のフォトダイオードPDがm行×n列のマトリクス状に配列されており、各フォトダイオードPDに接合容量C1が並列に接続され、読出用スイッチSWが直列に接続される。スイッチSWのゲートは、アドレス選択回路SLに接続され、前記CPU19からの信号に基づいて読出すべきフォトダイオードPDが選択される。上記の構成において、MOSからなるX線検知センサ14aによりあえてパノラマ撮影も可能に構成することもできる。この場合は、図7で示すパノラマ撮影用スリット12bを用いて、X線ビームを細隙ビームにして撮影する。この構成によれば、MOSからなるX線検知センサ14aでも、CCDからなる縦長のX線検知センサ14bでもパノラマが撮影可能であり、任意に選択できる。
【0035】
スイッチSWの出力側は列単位で共通に接続され、電流電圧変換回路を構成する演算増幅器Q1に入力される。演算増幅器Q1の出力は、サンプルホールド回路S/Hによってサンプリングされる。各サンプルホールド回路はm段のシフトレジスタSRによって開閉するスイッチSWbに接続される。各開閉スイッチSWbが順次開閉動作することによって、サンプリングされた信号は時系列信号としてビデオライン上に転送され、ガイドバッファBFに出力される。このようなMOSを用いれば、動画が得られるので、重ね合わせ部分をずらすことによって、目的箇所を任意に狙うことができ、CT撮影の高精度化を図ることができる。尚、X線検知センサ14bもMOSで構成してパノラマ撮影を行うこともでき、MOS特有の上記特性がパノラマ撮影においても発揮されることになる。
【0036】
図6は、上記歯科用X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図であり、ステップS1で、X線検知センサの種類判定回路18によってX線検知センサ14a、14bの選択判定がなされ、ステップS2で、MOSセンサ、即ち、X線検知センサ14aか否かが判定され、NOであれば、ステップS3で、装置がCCDセンサモード、即ち、パノラマ撮影モードに設定される。ステップS4で準備が完了すれば、パノラマ撮影が実行される。また、ステップS2で、MOSセンサであると判定されれば、ステップS6で、装置がMOSセンサモード、即ち、CT撮影モードに設定される。ステップS7で準備が完了すれば、CT撮影が実行される。
【実施例2】
【0037】
図8及び図9は、X線検出部10に装着される電気的撮像手段、即ち、X線検知器の別実施形態を示すものであり、X線検出部10には、2次スリット板16を一体としたセンサホルダー15に、上記同様の2種のX線検知センサ14a、14bが形設されたX線検知センサ基板14、即ち、X線検知器140が着脱自在に装着される例を示している。X線検知センサ14a、14bは、前者が矩形(120×120mm程度)のMOSからなり、後者が縦長(150×6mm程度)のCCDからなるが、両者共MOSで構成することも可能である。センサホルダー15は、ガイド体とスライド部材からなるスライド機構15bを介して旋回アーム6の端部に左右にスライド可能に支持され、モータ15aによってその横移動が可能とされている。2次スリット板16には、上記と同様に2種の2次スリット16a、16bが形成され、夫々がX線検知センサ14a、14bに対応する。
【0038】
X線検知センサ基板14には、X線検知センサ14a、14bに対応する出力コネクター(不図示)が形成されており、センサホルダー15を介したX線検出部10での装着状態では、該X線検出部10に形成された入力部(不図示)に接続されるようになされている点は上記と同様である。図9の上側に示すX線検知器140は、X線検知センサ基板14の片面に上記2種のX線検知センサ14a、14bが形設されてなり、また、同下側に示すX線検知器140は、X線検知センサ基板14の両面に上記2種のX線検知センサ14a、14bが夫々形成されてなる。後者の例では、所望のX線撮影モードに応じて、表裏反転させて装着される。従って、この表裏の区別をする為に、X線検知センサ基板14の板面にはICチップ等からなる識別子14cが付されており、センサホルダー15に装着された時には、該センサホルダー15内に設けられた検出手段(不図示)によって、その識別がなされるようになされている。
【0039】
このようなX線検出器140は、センサホルダー15に対して着脱自在であるから、修理交換等のメンテナンスに便利である。また、X線検知センサ14bを225×6mm程度の縦長のものにしておけば、セファロ撮影ユニット5のセファロ用X線検出部5dに装着することによって、セファロ撮影にも兼用することができる。本X線検出器140を用いた上記パノラマ撮影及びCT撮影の各X線撮影モードの実行態様は上記と同様であるので、ここではその説明を割愛する。
【実施例3】
【0040】
図10のX線検出器140は、旋回アーム6の端部に垂直軸線周りに回動可能に支持された柱状基体30の周面に、上記と同様の2種のX線検知センサ14a、14bが形設された例を示している。30aは、柱状基体30を図の矢示のように垂直軸線周りに回動可能に支持する為の支軸である。また、これらX線検知センサ14a、14bの前面側には、夫々に対応する2次スリット16a、16bが形成された2次スリット板16、16が柱状基体30に固設されている。柱状基体30の回動は、別途モータを設けてモータ駆動により行うようにすること、或いは操作者の手動操作により行うようになすことも可能である。この回動操作により、いずれかのX線検知センサ14a、14b及び2次スリット16a、16bが、X線発生器9側に向くよう位置設定され、上記同様のX線撮影モードの実行がなされる。
【0041】
尚、柱状基体30に適宜識別子(不図示)が付され、その設定状態の判別がなし得るようにすることが望ましいことは言うまでもない。また、各X線検知センサ14a、14bの検出出力信号(撮像データ)の出力は、柱状基体30から旋回アーム6内を介した電気的結線(不図示)によってなされることも言うまでもない。ここでも各X線撮影モードの実行態様は上記と同様であるので、その説明を割愛する。
【実施例4】
【0042】
図11は、上記と同様の2種のX線検知センサ14a、14bを備えたX線検出器140を固定し、X線発生器9側の調整によって、2種のX線検知センサ14a、14bの使い分け、即ち、パノラマ撮影モード及びCT撮影モードの選択的実行を可能とするものである。図11(a)の例では、実線位置がパノラマ撮影モードの実行位置であり、1点鎖線位置がCT撮影モードの実行位置である。パノラマ撮影モードの実行位置では、X線ビームXBがX線検知センサ14bに指向されており、この状態から1次スリット板12を少許ずらすことによって、1点鎖線に示すようにX線ビームXBをX線検知センサ14aに指向させることができる。注目歯牙tの中心位置に旋回アーム6の旋回中心が来るよう前記X−Yテーブル8で調整した後、旋回アーム6を旋回させることによって、CT撮影モードの実行がなされる。この場合、例えば図7に示すモータ9eを駆動させることによって、X線発生器9を首振りさせ、同様にX線ビームXBの指向方向を変更することができる。
【0043】
図11(b)の例では、X線発生器9を旋回アーム6に対してスライド移動可能とし、X線発生器9を図の実線位置から1点鎖線位置に1次スリット板2と共に変位させ、X線ビームXBの指向方向をX線検知センサ14bからX線検知センサ14aに変更することによって、パノラマ撮影モードからCT撮影モードへの切替を可能とするものである。これら両例において、CT撮影モードからパノラマ撮影モードへの切替も可能であることは言うまでもない。また、図では省略したが、X線検知センサ14a、14bの前面側には、夫々に対応する2次スリットが配設されるべきことも言うまでもない。このようなX線検出器140を固定した状態での各X線撮影モードの切替設定も、上記と同様に採用されるものであり、これらは設計的事項として任意に選択採用される。
【0044】
尚、上記各実施例では歯科用のX線撮影装置を例に採って説明したが、これに限らず耳鼻科用、外科・内科用、その他の医療用としての応用も可能である。また、旋回アーム6は、水平旋回するものとしたが、水平軸周りに垂直旋回するようにして、患者の胴部の断層撮影に用いることも可能である。更に、X線検知センサ14aの形状を略正方形の矩形としたが、2次元方向に広がりのある平面形状であれば、その他の方形或いは円形も採用可能である。特に、MOSは高価であるから、ウエハーからの切出し時の無駄をできるだけ少なくするような形状とすることも、経済性の点で望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の医療用X線撮影装置の一例としての歯科用X線撮影装置の正面図である。
【図2】同左側面図である。
【図3】同装置の全体構成図である。
【図4】同制御ブロック図である。
【図5】MOSによるX線検知センサの駆動回路図である。
【図6】同X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図である。
【図7】X発生器の詳細を説明する図であり、(a)は縦断面図、(b)は要部の斜視図である。
【図8】X線検出部の一例を示す縦断面図である。
【図9】同X線検出部の要部の分解斜視図である。
【図10】X線検出部の別例を示す縦断面図である。
【図11】(a)(b)はX線検出器を固定した場合のX線発生器とX検知部との位置関係の態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
3b 本体フレーム(支持体)
5d セファロ用X線検出部
9 X線発生器
10 X線検出部
12a 1次スリット
12b 1次スリット
14 X線検知センサ基板(基板)
14a X線検知センサ(他方の電気的撮像手段)
14b X線検知センサ(一方の電気的撮像手段)
16a 2次スリット
16b 2次スリット
29 制御手段
30 柱状基体
30a 支軸
140 X線検出器
A 歯科用X線撮影装置(医療用X線撮影装置)
XB X線ビーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用X線撮影装置に関し、更に詳しくは、パノラマ撮影及びCT撮影が可能な歯科用、耳鼻科用その他の医療用として用いられるX線撮影装置及びこれに用いるX線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記医療用X線撮影装置の一例として、旋回アームの一端にX線発生器を、他端にX線検出部を備え、該旋回アームをX線ビームが歯列弓の形状に沿った軌跡(包絡線)を描くようにして旋回させながら断層撮影するパノラマ撮影機能と、注目歯牙を中心に旋回アームを回転させながら該注目歯牙の断層撮影をするCT撮影機能(コンピュータ断層撮影法)とを併せ持つ歯科用X線撮影装置が実用化されている。そして、X線検出部としては、従来のX線フィルムによるアナログ撮像手段に加え、CCD等の電気的撮像手段も用いられるようになった。後者の電気的撮像手段の場合、リニヤ走査が可能であるから、パノラマ撮影の場合でもX線検出部が縦長で面積が小さなものでよく、また得られる画像はディジタル画像であるから、その画像処理が任意にでき、撮像画像をリアルタイムでモニターテレビに写すことが可能である等、多面的な応用が可能であり、近時急速に普及するようになった。
【0003】
特許文献1には、X線検出部にアナログのフィルムカセットと、CCD若しくはMOSからなるディジタルセンサカセットとを装着可能とし、これらを選択切換えすることによって、アナログ或いはディジタルの断層撮影画像を選択取得するようにした医療用X線断層撮影装置が開示されている。また、特許文献2には、パノラマ撮影及びCT撮影を可能とし、且つX線検出部としてMOS等の2次元ディジタルセンサを用いることを特徴とするX線撮影装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−135829号公報
【特許文献2】特開平10−225455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、特許文献1の医療用X線断層撮影装置は、X線検出部が、アナログのフィルムカセットとディジタルセンサカセットとを併用するものであって、電気的撮像手段、即ち、CCDやMOS等の2次元ディジタルセンサのみを用い、これらの形状の異なる2種のディジタルセンサの使い分けによって、パノラマ撮影及びCT撮影に対応し得るような構成にはなっておらず、電気的撮像手段の特性を十分に活かせるものとは言い難かった。また、特許文献2に開示されたX線撮影装置は、1個のMOS等の2次元ディジタルセンサを以って、パノラマ撮影及びCT撮影に対応し得るものであるが、1個でパノラマ撮影及びCT撮影、更にはセファロ撮影にも対応し得るようにするには大きなものを必要とし、現状MOSは極めて高価であり、経済性の点で問題がある為、まだ実用化には至っていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、電気的撮像手段の特性を十分に活かしながらコストアップにならないようなパノラマ撮影及びCT撮影兼用の医療用X線撮影装置及びこれに用いるX線検出器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明(第1発明)に係る医療用X線撮影装置は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0007】
そして、請求項2の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段が、前記基板の片面に形設され、該基板を前記X線検出部に対し変位可能とすることによって、上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにすること、或いは、請求項3の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段の夫々が、前記基板の両面に形設され、該基板を反転させることによって上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにすることができる。また、請求項4の発明のように、前記X線撮影モードとして、更にセファロ撮影モードを含み、前記基板が前記X線検出部に着脱自在とされ、且つ該基板がセファロ撮影モード用のX線検出部にも着脱可能とされると共に、少なくとも前記一方の電気的撮像手段の形状がセファロ撮影モードにも兼用し得るよう形成されているものとすることが可能である。
【0008】
請求項5の発明(第2発明)に係る医療用X線撮影装置は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記X線発生器の上記X線検出部に対するX線ビームの指向方向を可変とすることにより選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0009】
請求項6の(第3発明)に係る医療用X線撮影装置は、回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、上記X線検出部は、軸回転可能に取付けられる柱状基体を備え、該柱状基体の周面に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設され、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、該2種類の電気的撮像手段は、上記柱状基体を軸周りに回転させることによって選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする。
【0010】
前記いずれかの発明において、請求項7の発明のように、前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなるものとすること、或いは、請求項8の発明のように前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとすることができる。
【0011】
更に、前記いずれかの発明においては、請求項9の発明のように、前記2種類の電気的撮像手段の選択情報に基づき、X線撮影モードの選択設定を行う制御手段を備えることが望ましい。そして、この制御手段は、請求項10の発明のように、選択設定されたX線撮影モードに応じた旋回パターンに基づく旋回部材の旋回制御、X線発生器におけるX線の発生制御、前記選択された電気的撮像手段の駆動制御をも行うこと、更には、請求項11の発明のように、選択設定されたX線撮影モードに応じ、X線発生器側の1次スリット及び/若しくはX線検出部側の2次スリットを夫々に適したものに切替えるよう制御するものであることが望ましい。
【0012】
請求項12の発明(第4発明)に係るX線検出器は、旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置の該X線検出部に装着されるX線検出器であって、1枚の基板と、該基板の板面に形設された2種類の電気的撮像手段とよりなり、該2種類の電気的撮像手段の一方は細長形状とされ、他方は2次元方向に広がりのある平面形状とされていることを特徴とする。そして、本発明のX線検出器においても、請求項13の発明のように、前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなるものとすること、或いは、請求項14の発明のように、前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとすることができる。
【0013】
尚、上記発明におけるMOSは、CMOSも含まれる概念である。また、電気的撮像手段としては、CCD或いはMOS以外に、薄膜トランジスタ(TFT)やX線固体素子も採用可能である。
【発明の効果】
【0014】
第1乃至第3の発明によれば、X線検出部に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が装着可能とされ、且つ一方が細長形状とされ、他方が2次元方向に広がりのある平面形状とされているから、該一方をパノラマ撮影モードに対応させ、他方をCT撮影モードに対応させるようにしているから、パノラマ撮影がリニヤ走査で実施することができ、画像の再構成等が可能であるなど、極めて有用な撮影画像を得ることができる。また、CT撮影用には左程大きなものを必要としないから、請求項7の発明(請求項13の発明)のように、一方の電気的撮像手段がCCDからなるものとし、他方の電気的撮像手段をMOSからなるものとし、或いは請求項8の発明(請求項14の発明)のように、前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなるものとしても、全体としての電気的撮像手段が大きくならず、コストアップになることもない。しかも、CCDの採用によってリアルタイムで画像処理ができるので、画像処理が効率的で良好なリニヤ走査画像が得られる。また、動画の撮像できるMOSを採用することによって、重ね合わせ部をずらす等して撮影対象を任意に狙うこと、例えば、歯列弓に含まれる任意の箇所の断層画像、パノラマ画像の形成ができる。これらにより、ディジタル画像の形成媒体としての電気的撮像手段の特性が十二分に発揮され、撮影画像の多面的な応用が可能となる。
【0015】
また、2種類の電気的撮像手段或いはX線検出器を、第1乃至第3発明或いは第4発明のように構成すれば、電気的撮像手段の選択使用が簡易になされる。また、夫々を明示する識別手段を付与しておけば、いずれを選択設定したかの情報と上記パノラマ撮影やCT撮影のようなX線撮影モードとの関連付けがなされ、従って、請求項9の発明のような制御手段を設けるようにすれば、この選択情報に基づく上記X線撮影モードの選択設定が簡易になされる。そして、この制御手段が、請求項10の発明や、請求項11の発明のような制御をも行うものとすれば、2種類の電気的撮像手段の選択情報をキーとして、パノラマ撮影やCT撮影を行う上で必要な各機構部等の動作制御が、予め設定されたシーケンスに基づき自動的になし得るようにすることができる。
【0016】
更に、第1発明において、請求項4の発明のように、X線撮影モードがセファロ撮影モードも含むものとし、電気的撮像手段の一方をパノラマ撮影モードとセファロ撮影モードに兼用し得るようにすれば、1台の装置でパノラマ撮影モード、CT撮影モード及びセファロ撮影モードでのX線撮影が可能となり、コストアップすることなく省スペース的で多面的な医療用X線撮影装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明の医療用X線撮影装置の一例としての歯科用X線撮影装置の正面図、図2は同左側面図、図3は同装置の全体構成図、図4は同制御ブロック図、図5はMOSによるX線検知センサの駆動回路図、図6は同X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図、図7はX発生器の詳細を説明する図であり、(a)は縦断面図、(b)は要部の斜視図である。図8はX線検出部の一例を示す縦断面図、図9は同X線検出部の要部の分解斜視図、図10はX線検出部の別例を示す縦断面図、図11(a)(b)はX線検出器を固定した場合のX線発生器とX線検出部との位置関係の態様を示す説明図である。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図3に示す歯科用X線撮影装置Aは、パノラマ撮影、CT撮影及びセファロ撮影が可能とされるものであり、床面に設置される基台1上に支柱2が立設され、該支柱2に対して昇降機構3a(図3参照)を介して本体3が上下昇降可能に支持されている。該本体3のC字型(側面視して)本体フレーム(支持体)3bには水平方向のセファロ用アーム4が固設され、その先端にはセファロ撮影用ユニット5が装備されている。該セファロ撮影用ユニット5は、垂直軸周りに回動自在なベース板5aの下面に、患者頭部保持部(耳抑え等を含む)5bと、該患者頭部保持部5bを挟むようにセファロ用1次スリット5c及びセファロ用X線検出部5dを配してなる。
【0019】
上記本体フレーム3bの上辺部には、逆凹型の旋回アーム(旋回部材)6が吊持され、該旋回アーム6は本体フレーム3bに内蔵された回転テーブル7及びX−Yテーブル8(図3参照)によって水平旋回或いは水平面域での2次元移動が可能とされている。該旋回部材6は、図例のような形状の旋回アーム6に限らず、リング状であってもよく、また、上記のような水平移動に限らず上下傾動する機能をも備えるものでも良い。該旋回アーム6の一端には、X線発生器9が、他端には該X線発生器9に対向するようX線検出部10が配設されている。このX線発生器9及びX線検出部10の間には、患者Pの頭部を保持する頭部保持部11が形成され、チンレスト11a等の患者位置付け部材が設けられている。該チンレスト11aは、上下昇降或いは傾動可能とされ患者の体形に合わせてその位置付けがなされる。上下チンレスト11aをこのように可動に構成することで、例えば撮影部位ごとに照射線の水平面に対する傾きを調節することや、上方に位置する顎関節と、下方に位置する下顎先端とのように、上下に離れた部位をうまく照射野の中心に位置するように調節することもできる。11bは基台1a上に立つ患者が把持するハンドルであり、11cはミラーである。
【0020】
ここで、頭部保持部11の構成を詳述しておく。頭部保持部11は、図1の例では、患者の体格に合わせて支柱2に対して昇降変位する。この頭部保持部11において、チンレスト11aなどで患者を保持する部分と、上述の支柱2に対して昇降変位する部分は一体的に形成されている。従って、X線発生器9とX線検出部10は頭部保持部11と共に昇降することになる。しかし、上述の、患者を保持する部分と、X線発生器9とX線検出部10の昇降を伴う、支柱2に対して昇降変位する部分とを別体に構成して、それぞれが支柱2に対して独立に変位するようにしても構わない。また、患者を保持する部分に対し、X線発生器9が変位するように構成しても構わない。本出願人の出願に係る特開平7−275240は、そのように上述の支柱2に対して昇降変位する部分と患者を保持する部分とを別体に構成した例や、患者を保持する部分に対し、X線発生器9が昇降変位するように構成した例を開示している。
【0021】
特開平7−275240においては、上述の患者を保持する部分に相当する部分を「患者フレーム」、支柱2に対して昇降変位する部分に相当する部分を「昇降本体」と称しており、その目的は、撮影可能な領域を広げることであると共に、例えば撮影部位ごとに照射線の水平面に対する傾きを調節することであり、上方に位置する顎関節と、下方に位置する下顎先端とのように、上下に離れた部位をうまく照射野の中心に位置するように調節することである。チンレスト11aを上下昇降或いは傾動可能とする構成と、上述の患者を保持する部分と、支柱2に対して昇降変位する部分とを別体にした構成や患者を保持する部分に対し、X線発生器9が昇降変位するようにした構成とを組み合わせて、より微妙な調節ができるようにしても構わない。
【0022】
X線発生器9は、図7に示すように、X線管9aと、該X線管9aを内蔵する内ケース9bと、外ケース9cからなり、垂直支軸9dを介し旋回アーム6の一端に支持されている。該垂直支軸9dは、モータ9e及びギア9fによって軸回転可能とされ、これによって、X線発生器9は該垂直支軸9dの軸心周りに回動(首振り)可能とされる。X線管9aのX線放射口には1次スリット板12の支持ブロック13が固設され、該支持ブロック13には1次スリット板12が横移動可能に取付けられている。
【0023】
即ち、支持ブロック13の一側部にはスリット駆動用モータ13aが固設され、該モータ13aの出力軸に連設されたねじ軸13bにはスリット支持竿13cの基部が螺装されている。また、該スリット支持竿13cには、支持ブロック13にねじ軸13bと同方向に摺動可能に支持されたガイド棒13dの先端部が固着されている。従って、モータ13aの駆動に伴うねじ軸13bの軸回転により、スリット支持竿13cが左右に螺進・螺退する。スリット支持竿13cの先端には、スリット板12が固着され、該スリット板12の上下辺は、支持ブロック13に取付けられた複数のコロ13eによって挟装され、これにより、上記スリット支持竿13cの左右の螺進・螺退に伴うスリット板12の横移動が円滑になされる。
【0024】
上記スリット板12には、略矩形(120×120mm程度)のCT撮影用スリット12a、縦長(150×6mm程度)のパノラマ撮影用スリット12b及び更に縦長(225×6mm程度)のセファロ撮影用スリット12cが平行に形成されている。従って、X線撮影モードに応じて、上記モータ13aを駆動させることによって、これらスリット12a、12b、12cがX線の放射口に位置設定される。尚、セファロ撮影モードに設定する場合は、セファロ撮影用スリット12cを位置設定すると共に、X線発生器9を、上記モータ9eの駆動をして首振りさせ、セファロ撮影用ユニット5のセファロ用X線検出部5dにX線ビームが指向されるよう位置付けられる。
【0025】
図3に示すX線検出部10においては、後記する2種類のX線検知センサ(電気的撮像手段)14a、14bを形設したX線検知センサ基板14を保持する為のセンサホルダー15が旋回アーム6の他端に横移動可能に取付けられており、該センサホルダー15はモータ15aによってその横移動が可能とされている。X線検知センサ基板14には、X線検知センサ14a、14bに対応する出力コネクター(不図示)が形成されており、センサホルダー15を介したX線検出部10での装着状態では、該X線検出部10に形成された入力部(不図示)に接続されるようになされている。
【0026】
また、X線検知センサ基板14の前面側には、後記するように2種類のスリット16a、16bが形成された2次スリット板16が配設され、該2次スリット板16は、モータ16cによって横移動可能とされている。従って、モータ15aの駆動により、上記X線検知センサ14a、14bのいずれかが選択設定され、また、モータ16cの駆動により、該センサ14a、14bの種類に応じ、即ち、X線撮影モードに応じ、スリット16a、16bのいずれかが選択設定される。このようなX線検知センサ基板14及び2次スリット板16は、図1に示すようにカセットユニット100として、X線検出部10に着脱自在に装着させることが可能であり、また、これを前記セファロ撮影用ユニット5のセファロ用X線検出部5dに着脱可能に装着して兼用し得るようになすことも可能である。
【0027】
次に、上記歯科用X線撮影装置Aの動作制御について、図3及び図4をも参照して説明する。尚、図3及び図4はパノラマ撮影及びCT撮影について説明するものであり、セファロ撮影については省略されている。パノラマ撮影モードでの撮影を実施する場合、操作パネル(入力手段)17上でパノラマ撮影モードを選択すると、後記するようにX線検知センサ基板14上のCCDからなる縦長のX線検知センサ14bが、前記モータ15aの駆動をして、X線ビームの照射野に位置するよう位置付けられる。また、後記するように2次スリット板16に形成された縦長のスリット16bが、モータ16cの駆動をして、このX線検知センサ14bの前面側に位置付けられる。前記モータ15aの駆動制御はX線検知センサ切替制御回路15bによってなされ、また、モータ16cの駆動制御は、2次スリット制御回路16dによってなされる。X線検知センサ基板14には、2種のX線検知センサ14a、14bを識別するICチップ(不図示)が付されており、その検出情報がX線検知センサの種類判定回路18からCPU19に入力され、いずれのX線検知センサ14a、14bが位置設定されたかが判定されるようになされている。
【0028】
X線発生器9では、1次スリット制御回路12dによって前記モータ13aが駆動制御され、パノラマ撮影用スリット12bがX線の放射口に位置設定される。そして、操作パネル17の操作により、前記昇降機構3aの本体昇降制御モータ3a0を駆動させ、患者Pの体形に合わせて本体3を適宜位置に設定すると共にチンレスト11aの高さ或いは傾斜度合いの調整が、チンレスト位置制御回路11bによってなされる。斯くして、操作パネル17上で撮影スイッチ(不図示)をオンすると、回転テーブル7のアーム回転制御モータ7a、X−Yテーブル8のX軸制御モータ8a及びY軸制御モータ8bが、モータ駆動制御回路20によって制御され、旋回アーム6が患者Pの歯列弓の周りに、X線ビームが所定の包絡線軌跡を描くよう水平旋回及び水平移動がなされる。この旋回アーム6の作動の間、X線制御回路(ユニット)90によって、X線発生器9のX線管9aの制御がなされ、X線ビームが放射されて1次スリット12bを透過し、患者Pに照射され、2次スリット16bを経たX線がX線検知センサ14bによって検知され、歯列弓の全顎断層撮影が実施される。旋回アーム6の旋回角度は、角度センサ21によって検出される。
【0029】
X線検知センサ14bから出力される画像信号は、ビデオメモリ24へ出力され、信号処理手段22によってディジタル信号に変換された後、画像再構成手段23によって任意の断層面に沿った断層画像に演算処理され、陰極線管(略称「CRT」)などの画像表示部26によって表示され、各種の診断に用いられる。画像再構成手段23は具体的には画像再構成プログラムからなるので、中央演算処理装置(CPU)19を用いて処理してもよいし、別体のコンピュータを用いてもよい。
【0030】
CPU19には、信号処理に必要なワークメモリ27が接続され、さらに撮影モードを選択するパネルスイッチ、およびX線照射をオン/オフ制御するためのX線照射スイッチなどを備える入力手段である操作パネル17が接続される。CPU19にはまた、前記モータ駆動回路20、1次スリット制御回路12d、2次スリット制御回路16d、X線発生器9を制御するX線制御回路90、及び各制御回路20、12d、16d、90による制御動作を同期させるためのクロック信号を出力するクロック回路28がそれぞれ接続される。前記X線制御回路90は、CCDからなるX線検知センサ14bで撮像された信号に基づいて、被写体(患者P)へのX線照射量を帰還制御することが可能である。これらのCPU19、フレームメモリ31、ワークメモリ27、操作パネル17、モータ駆動回路20、1次スリット制御回路12d、2次スリット制御回路16d、X線制御回路90およびクロック回路28を含んで制御手段29が構成される。
【0031】
CT撮影モードでの撮影を実施する場合、操作パネル(入力手段)17上でCT撮影モードを選択すると、後記するようにX線検知センサ基板14上のMOSからなる矩形のX線検知センサ14aが、前記モータ15aの駆動により、X線ビームの照射野に位置するよう位置付けられる。また、後記するように2次スリット板16に形成された矩形のスリット16aが、モータ16cの駆動により、このX線検知センサ14aの前面側に位置付けられる。そして、上記同様X線検知センサの種類判定回路18による出力情報に基づき、CPU19によっていずれのX線検知センサ14a、14bが位置設定されたかが判定される。
【0032】
X線発生器9では、1次スリット制御回路12dによって前記モータ13aが駆動制御され、CT撮影用スリット12aがX線の放射口に位置設定される。そして、操作パネル17の操作により、上記同様患者Pの位置付けがなされると共に、注目部位、ここでは注目歯牙を操作パネル17のディスプレイ(不図示)上で指示し、モータ駆動制御回路20の制御をして、X−Yテーブル8のX軸制御モータ8a及びY軸制御モータ8bを駆動し、旋回アーム6の旋回中心が上記注目歯牙の中心に合致するよう設定する。このような位置設定は、旋回アーム6の水平移動に限らず、前記基台1上に2次元の水平移動が可能な椅子を設置し、この椅子に患者を着座させた上で、椅子を水平移動させることによって行うようにすることも可能である。
【0033】
斯くして、操作パネル17上で撮影スイッチ(不図示)をオンすると、回転テーブル7のアーム回転制御モータ7aがモータ駆動制御回路20によって制御され、旋回アーム6が上記のように注目歯牙の中心に合致する旋回中心の周りに旋回する。この旋回アーム6の旋回作動の間、X線制御回路90によって、X線発生器9のX線管9aの出力制御がなされ、X線ビームが放射されて1次スリット12aを透過し、患者Pの注目歯牙に照射され、2次スリット16aを経たX線がX線検知センサ14aによって検知され撮影される。この撮影は、注目歯牙の周囲360°に亘ってなされ、そのCT画像が逐次ビデオメモリ24に取り込まれる。なお、上述において、撮影は周囲360゜に亘ってなされているが、CT画像の構成に必要な180°に亘って行えば足りるので、180°以上に亘って行いさえすればよい。
【0034】
MOSからなるX線検知センサ14aは、図5の駆動回路図に示されるように、受光画素となる複数のフォトダイオードPDがm行×n列のマトリクス状に配列されており、各フォトダイオードPDに接合容量C1が並列に接続され、読出用スイッチSWが直列に接続される。スイッチSWのゲートは、アドレス選択回路SLに接続され、前記CPU19からの信号に基づいて読出すべきフォトダイオードPDが選択される。上記の構成において、MOSからなるX線検知センサ14aによりあえてパノラマ撮影も可能に構成することもできる。この場合は、図7で示すパノラマ撮影用スリット12bを用いて、X線ビームを細隙ビームにして撮影する。この構成によれば、MOSからなるX線検知センサ14aでも、CCDからなる縦長のX線検知センサ14bでもパノラマが撮影可能であり、任意に選択できる。
【0035】
スイッチSWの出力側は列単位で共通に接続され、電流電圧変換回路を構成する演算増幅器Q1に入力される。演算増幅器Q1の出力は、サンプルホールド回路S/Hによってサンプリングされる。各サンプルホールド回路はm段のシフトレジスタSRによって開閉するスイッチSWbに接続される。各開閉スイッチSWbが順次開閉動作することによって、サンプリングされた信号は時系列信号としてビデオライン上に転送され、ガイドバッファBFに出力される。このようなMOSを用いれば、動画が得られるので、重ね合わせ部分をずらすことによって、目的箇所を任意に狙うことができ、CT撮影の高精度化を図ることができる。尚、X線検知センサ14bもMOSで構成してパノラマ撮影を行うこともでき、MOS特有の上記特性がパノラマ撮影においても発揮されることになる。
【0036】
図6は、上記歯科用X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図であり、ステップS1で、X線検知センサの種類判定回路18によってX線検知センサ14a、14bの選択判定がなされ、ステップS2で、MOSセンサ、即ち、X線検知センサ14aか否かが判定され、NOであれば、ステップS3で、装置がCCDセンサモード、即ち、パノラマ撮影モードに設定される。ステップS4で準備が完了すれば、パノラマ撮影が実行される。また、ステップS2で、MOSセンサであると判定されれば、ステップS6で、装置がMOSセンサモード、即ち、CT撮影モードに設定される。ステップS7で準備が完了すれば、CT撮影が実行される。
【実施例2】
【0037】
図8及び図9は、X線検出部10に装着される電気的撮像手段、即ち、X線検知器の別実施形態を示すものであり、X線検出部10には、2次スリット板16を一体としたセンサホルダー15に、上記同様の2種のX線検知センサ14a、14bが形設されたX線検知センサ基板14、即ち、X線検知器140が着脱自在に装着される例を示している。X線検知センサ14a、14bは、前者が矩形(120×120mm程度)のMOSからなり、後者が縦長(150×6mm程度)のCCDからなるが、両者共MOSで構成することも可能である。センサホルダー15は、ガイド体とスライド部材からなるスライド機構15bを介して旋回アーム6の端部に左右にスライド可能に支持され、モータ15aによってその横移動が可能とされている。2次スリット板16には、上記と同様に2種の2次スリット16a、16bが形成され、夫々がX線検知センサ14a、14bに対応する。
【0038】
X線検知センサ基板14には、X線検知センサ14a、14bに対応する出力コネクター(不図示)が形成されており、センサホルダー15を介したX線検出部10での装着状態では、該X線検出部10に形成された入力部(不図示)に接続されるようになされている点は上記と同様である。図9の上側に示すX線検知器140は、X線検知センサ基板14の片面に上記2種のX線検知センサ14a、14bが形設されてなり、また、同下側に示すX線検知器140は、X線検知センサ基板14の両面に上記2種のX線検知センサ14a、14bが夫々形成されてなる。後者の例では、所望のX線撮影モードに応じて、表裏反転させて装着される。従って、この表裏の区別をする為に、X線検知センサ基板14の板面にはICチップ等からなる識別子14cが付されており、センサホルダー15に装着された時には、該センサホルダー15内に設けられた検出手段(不図示)によって、その識別がなされるようになされている。
【0039】
このようなX線検出器140は、センサホルダー15に対して着脱自在であるから、修理交換等のメンテナンスに便利である。また、X線検知センサ14bを225×6mm程度の縦長のものにしておけば、セファロ撮影ユニット5のセファロ用X線検出部5dに装着することによって、セファロ撮影にも兼用することができる。本X線検出器140を用いた上記パノラマ撮影及びCT撮影の各X線撮影モードの実行態様は上記と同様であるので、ここではその説明を割愛する。
【実施例3】
【0040】
図10のX線検出器140は、旋回アーム6の端部に垂直軸線周りに回動可能に支持された柱状基体30の周面に、上記と同様の2種のX線検知センサ14a、14bが形設された例を示している。30aは、柱状基体30を図の矢示のように垂直軸線周りに回動可能に支持する為の支軸である。また、これらX線検知センサ14a、14bの前面側には、夫々に対応する2次スリット16a、16bが形成された2次スリット板16、16が柱状基体30に固設されている。柱状基体30の回動は、別途モータを設けてモータ駆動により行うようにすること、或いは操作者の手動操作により行うようになすことも可能である。この回動操作により、いずれかのX線検知センサ14a、14b及び2次スリット16a、16bが、X線発生器9側に向くよう位置設定され、上記同様のX線撮影モードの実行がなされる。
【0041】
尚、柱状基体30に適宜識別子(不図示)が付され、その設定状態の判別がなし得るようにすることが望ましいことは言うまでもない。また、各X線検知センサ14a、14bの検出出力信号(撮像データ)の出力は、柱状基体30から旋回アーム6内を介した電気的結線(不図示)によってなされることも言うまでもない。ここでも各X線撮影モードの実行態様は上記と同様であるので、その説明を割愛する。
【実施例4】
【0042】
図11は、上記と同様の2種のX線検知センサ14a、14bを備えたX線検出器140を固定し、X線発生器9側の調整によって、2種のX線検知センサ14a、14bの使い分け、即ち、パノラマ撮影モード及びCT撮影モードの選択的実行を可能とするものである。図11(a)の例では、実線位置がパノラマ撮影モードの実行位置であり、1点鎖線位置がCT撮影モードの実行位置である。パノラマ撮影モードの実行位置では、X線ビームXBがX線検知センサ14bに指向されており、この状態から1次スリット板12を少許ずらすことによって、1点鎖線に示すようにX線ビームXBをX線検知センサ14aに指向させることができる。注目歯牙tの中心位置に旋回アーム6の旋回中心が来るよう前記X−Yテーブル8で調整した後、旋回アーム6を旋回させることによって、CT撮影モードの実行がなされる。この場合、例えば図7に示すモータ9eを駆動させることによって、X線発生器9を首振りさせ、同様にX線ビームXBの指向方向を変更することができる。
【0043】
図11(b)の例では、X線発生器9を旋回アーム6に対してスライド移動可能とし、X線発生器9を図の実線位置から1点鎖線位置に1次スリット板2と共に変位させ、X線ビームXBの指向方向をX線検知センサ14bからX線検知センサ14aに変更することによって、パノラマ撮影モードからCT撮影モードへの切替を可能とするものである。これら両例において、CT撮影モードからパノラマ撮影モードへの切替も可能であることは言うまでもない。また、図では省略したが、X線検知センサ14a、14bの前面側には、夫々に対応する2次スリットが配設されるべきことも言うまでもない。このようなX線検出器140を固定した状態での各X線撮影モードの切替設定も、上記と同様に採用されるものであり、これらは設計的事項として任意に選択採用される。
【0044】
尚、上記各実施例では歯科用のX線撮影装置を例に採って説明したが、これに限らず耳鼻科用、外科・内科用、その他の医療用としての応用も可能である。また、旋回アーム6は、水平旋回するものとしたが、水平軸周りに垂直旋回するようにして、患者の胴部の断層撮影に用いることも可能である。更に、X線検知センサ14aの形状を略正方形の矩形としたが、2次元方向に広がりのある平面形状であれば、その他の方形或いは円形も採用可能である。特に、MOSは高価であるから、ウエハーからの切出し時の無駄をできるだけ少なくするような形状とすることも、経済性の点で望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の医療用X線撮影装置の一例としての歯科用X線撮影装置の正面図である。
【図2】同左側面図である。
【図3】同装置の全体構成図である。
【図4】同制御ブロック図である。
【図5】MOSによるX線検知センサの駆動回路図である。
【図6】同X線撮影装置を用いた撮影モードのフロー図である。
【図7】X発生器の詳細を説明する図であり、(a)は縦断面図、(b)は要部の斜視図である。
【図8】X線検出部の一例を示す縦断面図である。
【図9】同X線検出部の要部の分解斜視図である。
【図10】X線検出部の別例を示す縦断面図である。
【図11】(a)(b)はX線検出器を固定した場合のX線発生器とX検知部との位置関係の態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
3b 本体フレーム(支持体)
5d セファロ用X線検出部
9 X線発生器
10 X線検出部
12a 1次スリット
12b 1次スリット
14 X線検知センサ基板(基板)
14a X線検知センサ(他方の電気的撮像手段)
14b X線検知センサ(一方の電気的撮像手段)
16a 2次スリット
16b 2次スリット
29 制御手段
30 柱状基体
30a 支軸
140 X線検出器
A 歯科用X線撮影装置(医療用X線撮影装置)
XB X線ビーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段が、前記基板の片面に形設され、該基板を前記X線検出部に対し変位可能とすることによって、上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにしたことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段の夫々が、前記基板の両面に形設され、該基板を反転させることによって上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにしたことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記X線撮影モードとして、更にセファロ撮影モードを含み、前記基板が前記X線検出部に着脱自在とされ、且つ該基板がセファロ撮影モード用のX線検出部にも着脱可能とされると共に、少なくとも前記一方の電気的撮像手段の形状がセファロ撮影モードにも兼用し得るよう形成されていることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項5】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記X線発生器の上記X線検出部に対するX線ビームの指向方向を可変とすることにより選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項6】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、軸回転可能に取付けられる柱状基体を備え、該柱状基体の周面に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設され、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記柱状基体を軸周りに回転させることによって選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段の選択情報に基づき、X線撮影モードの選択設定を行う制御手段を備えることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項10】
請求項9に記載の医療用X線撮影装置において、
前記制御手段は、選択設定されたX線撮影モードに応じた旋回パターンに基づく旋回部材の旋回制御、X線発生器におけるX線の発生制御、前記選択された電気的撮像手段の駆動制御を行うことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の医療用X線撮影装置において、
前記制御手段は、選択設定されたX線撮影モードに応じ、X線発生器側の1次スリット及び/若しくはX線検出部側の2次スリットを夫々に適したものに切替えるよう制御することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項12】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置の該X線検出部に装着されるX線検出器であって、
1枚の基板と、該基板の板面に形設された2種類の電気的撮像手段とよりなり、該2種類の電気的撮像手段の一方は細長形状とされ、他方は2次元方向に広がりのある平面形状とされていることを特徴とするX線検出器。
【請求項13】
請求項12に記載のX線検出器において、
前記2種類の電気的撮像手段の一方がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなることを特徴とするX線検出器。
【請求項14】
請求項12に記載のX線検出器において、
前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなることを特徴とするX線検出器。
【請求項1】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記X線検出部に対する変位により選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段が、前記基板の片面に形設され、該基板を前記X線検出部に対し変位可能とすることによって、上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにしたことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段の夫々が、前記基板の両面に形設され、該基板を反転させることによって上記2種類の電気的撮像手段の選択使用がなし得るようにしたことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記X線撮影モードとして、更にセファロ撮影モードを含み、前記基板が前記X線検出部に着脱自在とされ、且つ該基板がセファロ撮影モード用のX線検出部にも着脱可能とされると共に、少なくとも前記一方の電気的撮像手段の形状がセファロ撮影モードにも兼用し得るよう形成されていることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項5】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設された1枚の基板を備え、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記X線発生器の上記X線検出部に対するX線ビームの指向方向を可変とすることにより選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項6】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、上記旋回部材の他部位に上記X線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置であって、
少なくともパノラマ撮影モード及びCT撮影モードを含むX線撮影モードでのX線撮影の実行が可能とされ、
上記X線検出部は、軸回転可能に取付けられる柱状基体を備え、該柱状基体の周面に2種類の形状の異なる電気的撮像手段が形設され、該2種類の電気的撮像手段の一方はパノラマ撮影用の細長形状とされ、他方はCT撮影用の2次元方向に広がりのある平面形状とされ、
該2種類の電気的撮像手段は、上記柱状基体を軸周りに回転させることによって選択使用され、上記パノラマ撮影用の電気的撮像手段を上記パノラマ撮影モードで使用し、上記CT撮影用の電気的撮像手段を上記CT撮影モードで使用することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記一方の電気的撮像手段がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の医療用X線撮影装置において、
前記2種類の電気的撮像手段の選択情報に基づき、X線撮影モードの選択設定を行う制御手段を備えることを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項10】
請求項9に記載の医療用X線撮影装置において、
前記制御手段は、選択設定されたX線撮影モードに応じた旋回パターンに基づく旋回部材の旋回制御、X線発生器におけるX線の発生制御、前記選択された電気的撮像手段の駆動制御を行うことを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の医療用X線撮影装置において、
前記制御手段は、選択設定されたX線撮影モードに応じ、X線発生器側の1次スリット及び/若しくはX線検出部側の2次スリットを夫々に適したものに切替えるよう制御することを特徴とする医療用X線撮影装置。
【請求項12】
旋回部材の支持体と、該支持体に旋回可能に支持される旋回部材と、該旋回部材の一部位に設けられるX線発生器と、旋回部材の他部位にX線発生器に対向するよう設けられるX線検出部とを備えた医療用X線撮影装置の該X線検出部に装着されるX線検出器であって、
1枚の基板と、該基板の板面に形設された2種類の電気的撮像手段とよりなり、該2種類の電気的撮像手段の一方は細長形状とされ、他方は2次元方向に広がりのある平面形状とされていることを特徴とするX線検出器。
【請求項13】
請求項12に記載のX線検出器において、
前記2種類の電気的撮像手段の一方がCCDからなり、他方の電気的撮像手段がMOSからなることを特徴とするX線検出器。
【請求項14】
請求項12に記載のX線検出器において、
前記一方の電気的撮像手段及び他方の電気的撮像手段のいずれもがMOSからなることを特徴とするX線検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−284395(P2008−284395A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223372(P2008−223372)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【分割の表示】特願2005−113587(P2005−113587)の分割
【原出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【分割の表示】特願2005−113587(P2005−113587)の分割
【原出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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