説明

医療装置を浄化する方法

【課題】医療装置を噴霧によって浄化する方法を提供すること。
【解決手段】医療装置を浄化する方法は、封入具内に医療装置を密封するステップであって、封入具は、噴霧透過性層と、噴霧透過性層に結合された外部ポート部材と、を含む、ステップと、封入具の外部ポートを浄化室内の化学薬品分散インターフェイス部に結合するステップと、第1排気ステップとして、浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、室温の浄化流体を噴霧として浄化室に導入するステップと、噴霧を浄化室内において浄化時間にわたって保持するステップと、第2排気ステップとして、浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、浄化室を大気圧に換気するステップと、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置の浄化に関する。更に詳しくは、本発明は、医療装置を噴霧によって浄化する容器及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
耐久性を有する医療装置は、しばしば、高温で殺菌される。一般に、当該装置は、高温と高圧の組合せにより、スチームオートクレーブ内において殺菌される。このような殺菌法は、相対的に丈夫な医療器具の場合には、非常に有効であるが、接着剤を用いてゴム及びプラスチック部品から形成された高度な医療器具の場合には、繊細であり、従来のスチームオートクレーブに伴う高温及び高圧には、まったく適していない。殺菌が実施されている医療装置内への又は医療装置の関連する包装体内への蒸気の浸透速度を増大させるために、低圧サイクリングプログラムに従って動作するようにスチームオートクレーブを変更することも行われてきた。重力、高圧、又は前真空(pre−vacuum)を使用した蒸気殺菌は、急激な温度変化が発生しうる環境を生成する。具体的には、内視鏡などの、非常に正確な寸法、厳格な組立公差、及び繊細な光学部品によって多くの場合に形成され且つ組み立てられる非常に複雑な器具は、高温と高圧又は低圧を利用した過酷な殺菌法によれば、破壊されるか、或いは、その耐用寿命が大幅に短縮されることになろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
更には、特に、内視鏡は、細菌が生息可能な多数の外部の隙間と内部の管腔が通常存在するという問題を有する。内視鏡などの繊細な器具の再生には、迅速に機能するがそれでいて比較的穏やかな殺菌法の利用が望ましい。管腔、隙間、及びこれらに類似したものを有するその他の医療用又は歯科治療用の器具も、繊細な部品及び材料に対する不都合を最小限にする効果的な再生システムを利用した洗浄及び浄化法を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、医療装置を浄化する方法であって、封入具内に医療装置を密封するステップであって、封入具は、噴霧透過性層と、噴霧透過性層に結合された外部ポート部材と、を含む、ステップと、封入具の外部ポートを浄化室内の化学薬品分散インターフェイス部に結合するステップと、第1排気ステップとして、浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、室温の浄化物質を噴霧として浄化室に導入するステップと、噴霧を浄化室内において浄化時間にわたって保持するステップと、第2排気ステップとして、浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、浄化室を大気圧に換気するステップと、を含む、方法、を提供する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、導入するステップは、浄化物質を霧化ノズルに強制的に通して浄化物質を噴霧に変換するステップを含む、ことをその要旨とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、導入するステップは、噴霧を化学薬品室内に分散させるステップと、浄化室と化学薬品室との間に圧力差を生成するステップと、浄化室と化学薬品室との間の圧力制御弁を開くステップと、を含む、ことをその要旨とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、密封するステップは、第1袋体側面と、医療装置を保持するように構成された袋体を形成するために第1袋体側面に装着された第2袋体側面と、第2袋体側面に結合されたポート部材と、を含む袋体内に医療装置を配置するステップを含み、第2袋体側面は、袋体内に医療装置を密封するために第1袋体側面に対して更に固定可能であり、第2袋体側面は、内部表面と、外部表面と、を有し、且つ、第2袋体側面は、噴霧透過性を有し、ポート部材は、化学薬品分散インターフェイス部に接続されるように構成された外部インターフェイス部を含む、ことをその要旨とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の方法において、ポート部材は、医療装置に接続されるように構成された内部インターフェイス部を更に含み、且つ、導入ステップは、噴霧を外部ポート部材、第2袋体側面、内部ポート部材、及び少なくとも医療装置の一部分を通じて強制的に送り込むステップを含む、ことをその要旨とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、第2排気ステップの後に所定期間にわたって低減された圧力において浄化室を保持するステップを更に含む、ことをその要旨とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、換気するステップの後に、第3排気ステップとして、浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、浄化室を大気圧に換気するステップと、を更に含む、ことをその要旨とする。
【0011】
本発明は、浄化プロセスの最中に、又はその後に内視鏡を保持する封入具に関する。いくつかの実施形態においては、封入具は袋体であり、この袋体は、第1袋体側面と、内視鏡を保持するように構成された袋体を形成するために第1袋体側面に装着された第2袋体側面と、第2袋体側面に結合されたポート部材と、を含む。第2袋体側面は、袋体内に内視鏡を密封するために第1袋体側面に固定可能である。第2袋体側面は、浄化物質の通過を許容するように構成されている。ポート部材は、第2袋体側面に結合されており、且つ、袋体の内部にポート部材を通じて通過するように浄化物質を供給する装置に対して接続されるように構成された外部インターフェイス部を含む。その他の実施形態においては、封入具は包装体であり、この包装体は、内視鏡を保持する容器と、浄化プロセスの最中に、及びその後に容器内に医療装置を密封するカバー層と、を含む。
【0012】
別の態様においては、本発明は、化学薬品室と、浄化室と、圧力制御組立体と、を含む医療装置を浄化するシステムに関する。化学薬品室は、化学薬品貯蔵器から室温の浄化流体を受け取り、且つ、浄化物質を噴霧として化学薬品室内に分散させるように構成されている。浄化室は、医療装置を保持するように、且つ、化学薬品室から噴霧を受け取って医療装置を噴霧によって取り囲むように構成されている。圧力制御組立体は、浄化室に接続されており、且つ、浄化室内の圧力を制御して化学薬品室と浄化室との間の流体の流れを管理するように構成されている。
【0013】
更なる態様においては、本発明は、医療装置を浄化する方法に関する。医療装置は、浄化室内に配置され、且つ、室温の浄化流体が浄化室内に噴霧として導入される。所定期間の後に、圧力を亜大気圧(sub−atmospheric pressure)に低減して噴霧を浄化室から排気する。その後に、浄化室は、大気圧に戻される。
【0014】
複数の実施形態を開示しているが、当業者には、本発明の例示用の実施形態について図示及び記述する以下の詳細な説明及びこれらの様々な実施形態の態様のその他の組合せ又は並べ替えから、本発明の更にその他の実施形態について明らかとなろう。従って、図面及び詳細な説明は、その特性が、例示を目的としており、限定を意図したものではないと見なされたい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管腔、隙間等を有する医療用又は歯科治療用の器具において、繊細な部品及び材料に対する不都合を最小限にする噴霧による効果的な浄化方法が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による医療装置を浄化するシステムの概略図である。
【図2】本発明の別の実施形態による袋体又はその他の封入具に収容された医療装置を浄化するシステムの概略図である。
【図3A】図2のシステムにおける浄化の最中に、及びその後に医療装置を保持する袋体の正面図である。
【図3B】図2のシステムにおける浄化の最中に、及びその後に医療装置を保持する袋体の背面図である。
【図4】図2のシステムと接続するのに好適な図3A及び図3Bの袋体のコネクタの断面図である。
【図5A】図2のシステムにおける浄化の最中に、及びその後に医療装置を保持する包装体の斜視図である。
【図5B】カバーが取り外された状態における図5Aの包装体の斜視図であって、医療装置に結合するコネクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、図面には一例として特定の実施形態が示されており、且つ、これらについて、以下、詳細に説明することとする。但し、これは、説明対象である特定の実施形態に本発明を限定することを意図したものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項によって規定される本発明の範囲に含まれるすべての変更、均等物、及び代替肢を含むものと解釈されたい。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による医療装置、歯科治療装置、又はその他の装置を浄化するシステム10の概略図である。このシステムは、貯蔵器12と、化学薬品室又は噴霧室14と、浄化室16と、圧力制御組立体18と、システムコントローラ20と、を含む。貯蔵器12は、ノズル22を介して化学薬品室14との流体連通状態にある。化学薬品室14は、流体制御弁24を介して浄化室16との流体連通状態にある。システムコントローラ20は、貯蔵器12、化学薬品室14、浄化室16、圧力制御組立体18、及び流体制御弁24との間において制御信号を供給する及び/又は受承する。いくつかの実施形態においては、システム10は、卓上に又はカウンタ上に載置されるように、十分に小さな装置として組み立てられる。例えば、浄化室16は、約10立方フィート未満の内部容積を有してもよい。浄化対象となる医療装置は、ドアDを開けて医療装置を浄化室16内部のラック又はその他の支持組立体上に配置することにより、浄化室16内に配置される。
【0019】
化学薬品貯蔵器12は、浄化物質26を保持するように構成された保持タンク又はその他の組立体であってよい。いくつかの実施形態においては、浄化物質26は、ISO(International Organization for Standardization)の「Sterilization of Healthcare Products」という名称のISO/TC198規格及び/又はAAMI(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)の「Sterilization of Healthcare Products − Chemical Indicators − Part I:General Requirements(Arlington,VA:AAMI 2005)」という名称のANSI/AAMI/ISO 1 1140−1:2005規格に準拠した殺菌プロセスに使用するのに好適な化学薬品又はその他の物質である。いくつかの実施形態においては、浄化物質26は、浄化プロセス時に噴霧として分散させることができる室温(例えば、20℃〜25℃)の物質である。例えば、浄化物質26は、過酸化水素(H)及び/又は過酢酸(PAA)を含んでもよい。
【0020】
システムコントローラ20は、貯蔵器12からノズル22への浄化物質26の供給を制御する。浄化物質26は、貯蔵器12をノズル22に接続するチューブ28を通じて押し込み又は引き出しされてもよい。いくつかの実施形態においては、ノズル22は、ノズル22の入口における浄化物質26をノズル22の出口における噴霧Fに変換するように構成された霧化ノズルである。噴霧Fを生成するために、霧化ノズルは、例えば、約10μm未満を平均とする浄化物質26の微細な液滴を生成してもよい。このサイズの液滴は、固体表面において跳ね返る傾向を有し、これにより、化学薬品室14内における過剰な凝縮、腐食、及び表面湿潤の問題を回避しつつ、均等な分散を実現する。更には、これらの小さな液滴は、気化し、且つ、その蒸気が、通常はアクセス不能な領域に浸透し、これにより、更に効果的なプロセスが結果的に得られる。システム10において使用するのに好適なノズル22の一例は、ペンシルベニア州Skippackに所在するMar Cor Purification社から販売されているMinncare Dry Fog(登録商標)又はMini Dry Fog systemに使用されているものなどのノズルである。システム10において使用するのに好適な別のノズル22の例は、イリノイ州Wheatonに所在するSpraying Systems Co.社から販売されているSpraying Systems Co.社製品番号1/4J−316SS、SU1A−316SS、及び46138−16−316SSを含む噴射ノズル組立体である。
【0021】
噴霧Fは、化学薬品室14の内部に分散される。化学薬品室14内において生成される噴霧Fの量は、ノズル22を通じて強制的に送り込まれる浄化物質26の速度及び量を制御することにより、システムコントローラ20によって制御される。ノズル22を通じて強制的に送り込まれる浄化物質26の速度及び量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよく、或いは、システム10のユーザーが手作業でシステムコントローラ20に入力してもよい。更には、システムコントローラ20は、異なる速度及び量の浄化物質26をノズル22に供給する複数のプログラムを含んでもよい。
【0022】
望ましい又はプログラムされた量の噴霧Fが化学薬品室14内に分散された際に、噴霧Fは、浄化室16内に移送される。いくつかの実施形態においては、システムコントローラ20は、化学薬品室14と浄化室16との間に圧力差を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令する。例えば、圧力コントローラ18は、浄化室16内に負圧又は部分的な負圧を生成するように、浄化室16を排気してもよい。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の圧力は、10トール(1333.2Pa)未満に低減される。システムコントローラ20は、化学薬品室14内における噴霧Fの生成の前に、その最中に、又はその後に圧力差を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令してもよい。いくつかの実施形態においては、ユーザーが浄化室16内の圧力を監視できるように、圧力計30が浄化室16に設けられている。或いは、システムコントローラ20は、例えば、システムコントローラ20内に保存されているプログラムに基づいて、浄化室16の内部圧力を自動的に監視してもよい。
【0023】
浄化室16内の圧力が望ましい又は予めプログラムされたレベルに到達した際に、システムコントローラ20は、流体制御弁24を開く。或いは、この代わりに、流体制御弁24は、手動で開放状態に切り替えられてもよい。この結果、化学薬品室と浄化室との間の圧力差に起因して、化学薬品室14内の噴霧Fが浄化室16内に移送される。流体制御弁24は、噴霧Fの一部又はすべてが浄化室16に移送される時点まで、浄化室16内において噴霧Fの既定の密度に到達する時点まで、及び/又は、化学薬品室14と浄化室16の圧力が等しくなる時点まで、開放状態に維持してもよい。流体制御弁24が開放状態に維持される時間量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよい。噴霧Fが浄化室16内に移送されるのに伴って、浄化室内の圧力は上昇する。いくつかの実施形態においては、この圧力は、噴霧Fが浄化室16内に移送された際に、亜大気圧に上昇する。次いで、流体制御弁24は、化学薬品室14と浄化室16との間の流体の流れを防止するために閉じられる。尚、化学薬品室14から浄化室16への噴霧Fの移送は、浄化室16の内部における負圧の生成との関係において説明したが、その他の技法を使用してもよいことに留意されたい。例えば、噴霧Fは、送風組立体を化学薬品室14内において利用して噴霧Fを浄化室16に吹き込むことにより、浄化室16内に移送してもよい。
【0024】
代替実施形態においては、ノズル22によって生成された噴霧Fが直接的に浄化室16内に分散されるように、ノズル22を浄化室16に結合している。この実施形態においては、システム10は、化学薬品室14を含まなくてもよい。
【0025】
噴霧Fは、浄化室の内部に配設された医療装置を浄化するのに十分な時間量にわたって浄化室16内に保持される。この時間量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよく、且つ、浄化の対象である医療装置のサイズ及びタイプに基づいたものであってよい。望ましい又はプログラムされた時間量にわたって噴霧Fが浄化室16内に保持された際に、システムコントローラ20は、浄化室16を再度排気して浄化室16内の圧力を低減すると共に浄化室16から噴霧Fを除去するように、圧力コントローラ18に対して命令する。この結果、噴霧Fは、浄化室16内において、その気相に遷移することにもなる。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の圧力は、10トール(1333.2Pa)未満に低減される。いくつかの実施形態においては、浄化室16は、この低減された圧力で、プログラムされた期間にわたって維持される。
【0026】
噴霧Fの生成、噴霧Fの浄化室16内への移送、及び浄化室16の排気というステップは、複数回にわたって実行してもよい。例えば、前述のように噴霧Fが第1サイクルにおいて浄化室16から排気された後に、第2サイクルの噴霧Fを浄化室16に導入してもよい。例示用の一方式においては、第2サイクルの噴霧Fは、第1サイクルの最中に(例えば、浄化室16を排気して噴霧Fを除去している最中に)、或いは、第1サイクルの後に、生成される。次いで、前述のように、浄化室16内の圧力及び流体制御弁24の状態を制御して浄化室16内に噴霧Fを導入してもよい。次いで、前述のように、この第2サイクルの噴霧Fを浄化室16内に保持し、且つ、浄化室16を排気して噴霧Fを除去する。尚、第1及び第2サイクルとの関連において本システムを説明したが、システムコントローラ20は、浄化サイクルを任意の回数にわたって反復するようにプログラムしてもよい。
【0027】
次いで、システムコントローラ20は、排出口32を開いて浄化室16を大気圧に換気するように、浄化室16に対して命令してもよい。浄化室16は、排出口32を通じて噴霧Fを強制的に排出して浄化室16の内部から噴霧Fを除去するための組立体を含んでもよい。例えば、圧力コントローラ18は、排出口32を通じて噴霧Fを引き出すか又は排出口32を通じて噴霧Fを押し込むように構成してもよい。排出口は、噴霧Fが排出口32を通過するのに伴って噴霧Fの蒸気を中和すると共に/又はこれを捕獲するフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態においては、このフィルタは、炭素に基づいたフィルタである。
【0028】
次いで、浄化室16からの浄化物質26の完全な除去を保証するために、システムコントローラ20は、浄化室16を再度排気して浄化室16内の圧力を低減するように、圧力コントローラ18に対して命令してもよい。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の圧力は、10トール(1333.2Pa)未満に低減される。システムコントローラ20は、排出口32を開いて浄化室16を大気圧に換気するように、浄化室16に対して命令してもよい。
【0029】
図2は、本発明の別の実施形態による医療装置を浄化するシステム40の概略図である。図1のシステム10と同様に、システム40は、貯蔵器12と、化学薬品室又は噴霧室14と、浄化室16と、圧力コントローラ18と、システムコントローラ20と、ノズル22と、を含む。システム40のこれらのコンポーネントは、システム10との関連において前述したものと実質的に同一の特性、構成、及び構造を有してもよい。いくつかの実施形態においては、システム40は、システム10と同様に、卓上に又はカウンタ上に載置されるように、十分に小さな装置として組み立てられる。その他の実施形態においては、システム40の構成部品は、別個であってよく、且つ、任意の形状又はサイズを有してもよい。
【0030】
いくつかの医療装置は、浄化プロセスにおいて浄化物質が到達しにくいチャネルを有するチューブ及びその他の構成部品を含む。例えば、結腸鏡、胃鏡、気管支鏡、十二指腸鏡、腸鏡、及びこれらに類似したものなどの内視鏡は、医療器具又はマニピュレータの進入を許容する1つ又は複数のチャネルを含む可撓性の又は剛性のチューブを含むこともあるであろう。システム40は、浄化プロセスにおいて噴霧Fを医療装置のチャネルの内部に供給するように構成されている。具体的には、システム40は、制御可能な流体接続を化学薬品室14と医療装置のチャネルの内部との間に提供する第2流体制御弁42を含む。
【0031】
前述のシステム10と同様に、システムコントローラ20は、望ましい又はプログラムされた量の噴霧Fが化学薬品室14内において生成された後に、化学薬品室14と浄化室16との間に圧力差を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令する。例えば、圧力コントローラ18は、浄化室16内に負圧又は部分的な負圧を生成してもよい。次いで、システムコントローラ20は、流体制御弁42を開いてもよく、或いは、この代わりに、流体制御弁42は、手動で開放状態に切り替えられる。この結果、化学薬品室と浄化室との間の圧力差に起因して、化学薬品室14内の噴霧Fが内視鏡のチャネルに強制的に送り込まれる。流体制御弁42は、噴霧Fの一部又はすべてが内視鏡のチャネル内に移送される時点まで、内視鏡のチャネル内において噴霧Fの既定の密度に到達する時点まで、及び/又は、化学薬品室14と浄化室16の圧力が等しくなる時点まで、開放状態に維持してもよい。流体制御弁42を開放状態に維持する時間量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよい。次いで、内視鏡のチャネルと化学薬品室14との間の流体の流れを防止するために、流体制御弁42が閉じられる。尚、化学薬品室14から内視鏡のチャネルへの噴霧Fの移送について浄化室16内における負圧の生成との関連において説明したが、その他の技法を使用してもよいことに留意されたい。例えば、化学薬品室14内において送風組立体を利用して噴霧Fを内視鏡のチャネルに吹き込むことにより、噴霧Fを内視鏡のチャネルに強制的に送り込んでもよい。
【0032】
次いで、システムコントローラ20は、更なる噴霧Fを化学薬品室14内において生成するように、貯蔵器12に対して命令する。望ましい又はプログラムされた量の噴霧Fが化学薬品室14内に分散された際に、噴霧Fは、浄化室16に移送される。いくつかの実施形態においては、システムコントローラ20は、浄化室16を排気して化学薬品室14と浄化室16との間に圧力差を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令する。システムコントローラ20は、化学薬品室14内における噴霧Fの生成の前に、その最中に、又はその後に、圧力差を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令してもよい。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の周辺条件をシステムコントローラ20によって制御することもできる。例えば、噴霧Fの効果に影響を及ぼす場合がある温度及び/又は湿度をシステムコントローラ20によって制御し、浄化室16を望ましい状態にしてもよい。
【0033】
浄化室16内の圧力及びその他の状態が望ましい又はプログラムされたレベルに到達した際に、システムコントローラ20が流体制御弁24を開くか、或いは、流体制御弁24は、手動で開放状態に切り替えられる。この結果、化学薬品室14内の噴霧Fが浄化室16内に移送され、これにより、内視鏡の外部が噴霧Fによって取り囲まれる。噴霧Fの一部又はすべてが浄化室16に移送される時点まで、浄化室16内において噴霧Fの既定の濃度に到達する時点まで、及び/又は、化学薬品室14と浄化室16の圧力が等しくなる時点まで、流体制御弁24を開放状態に維持してもよい。いくつかの実施形態においては、浄化室16は、浄化室16内の噴霧Fの濃度を計測するために、システムコントローラ20との通信状態にある化学薬品センサを含む。流体制御弁24を開放状態に維持する時間量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよい。次いで、化学薬品室14と浄化室16との間の流体の流れを防止するために、流体制御弁24が閉じられる。
【0034】
噴霧Fは、内視鏡を浄化するのに十分な時間量にわたって内視鏡の内部及び浄化室16に保持される。この時間量は、システムコントローラ20にプログラムしておいてもよく、且つ、浄化の対象である医療装置のサイズ及びタイプに基づいたものであってよい。
【0035】
望ましい又はプログラムされた時間量にわたって噴霧Fが浄化室16内に保持された際に、システムコントローラ20は、浄化室16を再度排気して浄化室16内の圧力を低減すると共に浄化室16から噴霧Fを除去するように、圧力コントローラ18に対して命令する。この結果、噴霧Fが、浄化室16内において、その気相に遷移することにもなる。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の圧力は、10トール(1333.2Pa)未満に低減される。いくつかの実施形態においては、浄化室16は、この低減された圧力で、プログラムされた期間にわたって維持される。
【0036】
前述の実施形態と同様に、噴霧Fの生成、噴霧Fの浄化室16内及び/又は医療装置の管腔内への移送、及び浄化室16内における圧力の低減というステップは、複数回にわたって実行してもよい。例えば、前述のように噴霧Fが第1サイクルにおいて浄化室16から排気された後に、前述のプロセスに類似したプロセスにおいて、第2サイクルの噴霧Fを浄化室16内及び/又は医療装置の管腔内に導入し、保持し、そして、その後に、排気してもよい。
【0037】
次いで、システムコントローラ20は、排出口32を開いて浄化室16を大気圧に換気するように、浄化室16に対して命令してもよい。浄化室16は、排出口32を通じて噴霧Fを強制的に排出して噴霧Fを内視鏡の内部及び浄化室16から除去するための組立体を含んでもよい。例えば、圧力コントローラ18は、排出口32を通じて噴霧Fを引き出すか又は排出口32を通じて噴霧Fを押し込むように構成されてもよい。排出口は、噴霧が排出口32を通過するのに伴って噴霧Fの蒸気を中和すると共に/又はこれを捕獲するフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態においては、このフィルタは、炭素に基づいたフィルタである。
【0038】
浄化室16及び内視鏡からの浄化物質26の完全な除去を保証するために、システムコントローラ20は、浄化室16内の圧力を再度低減して浄化室16内に負圧又は部分的な負圧を生成するように、圧力コントローラ18に対して命令してもよい。いくつかの実施形態においては、浄化室16内の圧力は、10トール(1333.2Pa)未満に低減される。次いで、システムコントローラ20は、排出口32を開いて浄化室16を大気圧に換気するように、浄化室16に対して命令してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態においては、システム40による浄化の対象である内視鏡又はその他の医療装置は、浄化プロセスの前に、その最中に、及びその後に、袋体又はその他の封入具に収容される。この袋体は、袋体外部の流体制御弁42と袋体内部の内視鏡のチャネルの一端の間の接続を円滑に実行するように、構成されている。浄化プロセスが完了した後に、内視鏡又はその他の装置は、袋体内に保持され、且つ、その装置を医療手技のために使用することができるように、保管の最中に、及び、好ましくは、袋体が開かれた後にも、浄化された状態に留まる。
【0040】
図3Aは、システム40による医療装置の浄化の前に、その最中に、及びその後に医療装置を保持するのに適した袋体50の一実施形態の正面図であり、及び、図3Bは、背面図である。袋体50は、様々な方法によって構築することが可能であり、これには、2つの別個の構成要素が含まれ、このそれぞれは、そのいずれもが熱封止材、接着剤、又はその他のタイプの封止材によって接合することができる両側面を提供するように折り畳まれる1つの側面又は1つの構成要素を形成する。袋体50は、平らであってもよく、まちを有してもよく、或いは、その他の方法で構築されてもよい。例えば、図示の実施形態においては、袋体50は、前面袋体層52と、後面袋体層54と、を含む。いくつかの実施形態においては、前面袋体層52は、スパンボンドポリエチレン(例えば、デラウエア州Wilmingtonに所在するE.I.du Pont de Nemours and Company社から販売されているTyvek(登録商標))などのポリマー不織シートを有する。その他の実施形態においては、前面袋体層52は、ポリエステル又はポリプロピレンなどのポリマー材料を有する。これらの実施形態においては、ポリマー材料は、不織ポリマー材料の窓又は部位を含んでもよい。後面袋体層54は、ポリマー材料の透明なシートを有してもよく、或いは、材料の不透明な又は半透明な層を有してもよい。例えば、後面袋体層54は、ポリマー不織シートを有してもよく、或いは、不織ポリマー材料の窓又は部位を有するポリマー材料を有してもよい。
【0041】
これらの袋体層52及び54を袋体層52及び54の4つの辺のうち3つに沿って周囲封止材56によって(例えば、熱封止によって)1つに接合することにより、後面袋体層54に接合されていない前面袋体層52の開放縁部60によって形成された、当初は開放している端部58を有する袋体50を形成してもよい。前面袋体層52は、折り目62に沿って穿孔してもよく、及び、開放縁部60に沿って接触接着剤の帯64を含んでもよい。穿孔は、封止領域の外部に位置しており、従って、袋体50の浄化障壁を破壊しない。接触接着剤は、当初、接触接着剤の帯64をカバーする剥離層を含んでもよい。内視鏡又はその他の医療装置の流体制御弁42への接続を円滑に実行するために、袋体50は、一体化された接続ポート70を含む。図示の実施形態においては、接続ポート70は、前面袋体側面52に結合されている。接続ポート70は、例えば、接続部分70を前面袋体側面に接合することにより、前面袋体側面52に固定されてもよい。尚、単一の接続ポート70が図示されているが、医療装置の複数の内部インターフェイス部を袋体50に接続できるように、複数の接続ポート70を袋体50に固定してもよい。
【0042】
図4は、前面袋体層52に結合された接続ポート70の一実施形態の断面図である(縮尺は正確ではない)。接続ポート70は、内部インターフェイス部72と、外部インターフェイス部74と、を含む。内部インターフェイス部72は、内視鏡の対をなすインターフェイス部と結合するように構成されており、及び、外部インターフェイス部74は、流体制御弁42の対をなすインターフェイス部と結合するように構成されている。いくつかの実施形態においては、内部インターフェイス部72及び/又は外部インターフェイス部74は、それぞれ、ルア結合具(Luer lock fitting)又はその他の好適なコネクタを含む。いくつかの実施形態においては、内部インターフェイス部72及び/又は外部インターフェイス部74は、前面袋体層52に対して接着剤によって装着されたポリマー材料から構成されている。その他の実施形態においては、内部インターフェイス部72及び/又は外部インターフェイス部74は、ポリエチレンから構成されており、且つ、前面袋体層52に対して熱によって付着される。
【0043】
図示の実施形態においては、内部インターフェイス部72及び外部インターフェイス部74は、前面袋体層52を挟んで互いにアライメントされている。外部インターフェイス部74は、外部インターフェイス部が流体制御弁42から接続解除された際に密閉される一方弁であってもよい。その他の実施形態においては、内部インターフェイス部72及び外部インターフェイス部74は、前面袋体層52の孔を通じて互いに結合され、且つ、インターフェイス部72、74の周りにおいて前面袋体層52に封止されている。一代替実施形態においては、接続ポート70は、内側袋体層に当接すると共に内視鏡と結合するように構成された内部インターフェイス部72のみを含む。別の代替実施形態においては、接続ポート70は、システム40と結合する外部インターフェイス部74のみを含む。
【0044】
使用の際には、内視鏡が袋体50内に配置され、且つ、内視鏡のチャネルの開口部が内部インターフェイス部72に機械的に結合される。この機械的な結合は、さもなければ袋体50とインターフェイス部72を分離することになる力が印加される可能性がある浄化プロセスにおいて袋体50とインターフェイス部72を1つに保持するのに十分なものである。いくつかの実施形態においては、複数の流路を含むマニホルドを内部インターフェイス部72に接続して内視鏡内の複数のチャネルへのシステムの接続を実現している。代替実施形態においては、袋体50は、内視鏡ポートにそれぞれ接続することができる複数の接続ポート70を含む。内部チャネルを含まない内視鏡の場合には、内視鏡は、内部インターフェイス部72への接続を伴うことなしに、袋体50内に配置される。その他の代替実施形態においては、内部インターフェイス部72を伴うことなしに外部インターフェイス部74を含むように、袋体50の接続ポート70を構成してもよい。
【0045】
次いで、前面袋体層52を折り目62に沿って折り畳み、且つ、接触接着剤64によって前面袋体層52を後面袋体層54に封止することにより、袋体50を封止する。次いで、外部インターフェイス部74を流体制御弁42に結合する。例えば、浄化室16の内部は、外部インターフェイス部74と流体制御弁42との間の流体結合を円滑に実行する一体化された組立体を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、それぞれ内部に内視鏡又はその他の医療装置を有する複数の袋体50が、浄化室16内に配置され、且つ、流体制御弁に結合される。浄化室16のドアDが閉じられた後に、浄化プロセスを開始することができる。
【0046】
望ましい又はプログラムされた量の噴霧Fが化学薬品室14内において生成され、且つ、圧力コントローラ18が化学薬品室14と浄化室16との間に圧力差を生成した後に、流体制御弁42が自動的に又は手動で開かれる。この結果、噴霧Fが内視鏡のチャネルの内部に強制的に送り込まれる。前述のように、この代わりに、噴霧Fが浄化室16の内部及び/又は内視鏡チャネルの内部に直接的に供給されるように、噴霧Fを浄化室16内に直接的に導入してもよい。
【0047】
前述のように、前面袋体層52は、噴霧Fの小さな蒸気粒子の通過を許容するように、十分に大きな、材料の繊維間の開放空間又は気孔を含む材料の不織シートから構成してもよい。従って、図4に示されている接続ポート70の実施形態においては、噴霧Fは、内視鏡のチャネルに進入する前に、外部インターフェイス部74、前面袋体層52、内部インターフェイス部72を通過する。内部インターフェイス部72が前面袋体層52の孔を介して外部インターフェイス部74に結合される実施形態においては、噴霧Fは、内視鏡チャネルに進入する前に、外部インターフェイス部74及び内部インターフェイス部72を通過する。内部インターフェイス部72のみを含む実施形態においては、噴霧Fは、前面袋体層52を通じて、且つ、内部インターフェイス部72を介して、内視鏡チャネル内に強制的に送り込んでもよい。外部インターフェイス部74のみを含む実施形態においては、噴霧Fは、前面袋体層52を通じて、袋体50の内部に強制的に送り込んでもよい。それぞれの実施形態において、噴霧Fは、既定の時間にわたって、袋体50の内部に、及び、特定のケースにおいては、内視鏡のチャネル内に、保持してもよい。
【0048】
流体制御弁42が閉じられた後に、噴霧Fが化学薬品室14内に生成され、且つ、圧力コントローラ18が化学薬品室14と浄化室16との間に圧力差を生成する。いくつかの実施形態においては、次いで、任意選択により、流体制御弁24を開放し、浄化室の内部に、及び、袋体50の外部の周囲に、噴霧Fを強制的に送り込む。次いで、流体制御弁24が閉じられる。
【0049】
噴霧Fが望ましい又はプログラムされた時間量にわたって浄化室16内に保持された際に、前述のように、浄化室16内の圧力が低減される。噴霧Fは、複数回にわたって、袋体50及び浄化室16に導入し、保持してもよく、及び、その後に、圧力を低減してもよい。次いで、システムコントローラ20は、排出口32を開放し、開いた排出口32を通じて噴霧Fを強制的に排出し、且つ、実質的にすべての噴霧Fを浄化室16の内部から除去するように、浄化室16に対して命令する。前述のように、圧力コントローラ18は、排出口32を通じて噴霧Fを引き出すか又は排出口32を通じて噴霧Fを押し込むように構成してもよい。このプロセスにおいて、内視鏡のチャネル内の及び袋体50の内部の噴霧Fは、前面袋体層52を通じて、浄化室16の内部に、そして、排出口32を通じて外部に、引き出される。袋体50、内視鏡のチャネル、及び浄化室16からの噴霧Fの完全な除去を保証するために、更に1回又は複数回にわたって、圧力を低減し、且つ、その後に、大気圧に換気してもよい。
【0050】
噴霧Fが浄化室16、内視鏡のチャネル、及び袋体50の内部から除去された後に、望ましい又はプログラムされた回数のサイクルにわたって、浄化プロセスを反復してもよい。すべてのサイクルが完了した際に、密封された内視鏡をその内部に収容する袋体50を浄化室16から取り出してもよい。いくつかの実施形態においては、袋体50は、袋体50がシステム40内において1回又は複数回の浄化サイクルを経たことを示すマーカー又はインジケータを含む。いくつかの実施形態においては、インジケータは、生物学的インジケータ又は化学的インジケータである。例えば、袋体50は、浄化物質に露出した際に色を変化させる材料を含んでもよい。噴霧Fのための経路を提供するために袋体層52又は54を貫通する孔を含む袋体50の実施形態においては、袋体50を浄化室16から取り出す前に又は取り出した後に、孔を熱によって封止してもよい。
【0051】
このプロセスが完了すると、内視鏡は、袋体50が手技のために開かれる時点まで、浄化された状態に留まる。即ち、袋体50が接続解除されると共に浄化システムから取り出された後に、内視鏡は、最後まで浄化された状態に留まる。例えば、前面袋体側面52がポリマー不織シートから構成されている実施形態においては、前面袋体側面52の構造が袋体50の内部への汚染物質の進入を防止する。
【0052】
図5Aは、システム40による医療装置の浄化の前に、その最中に、及びその後に医療装置81を保持するのにも適した包装体80の一実施形態の斜視図である。包装体80は、前面カバー層82と、容器84と、コネクタ支持部86と、を含む。いくつかの実施形態においては、前面カバー層82は、スパンボンドポリエチレンに基づいた不織材料(例えば、デラウエア州Wilmingtonに所在するE.I.du Pont de Nemours and Company社によって販売されているTyvek(登録商標))などのポリマー不織シートを有する。その他の実施形態においては、前面カバー層82は、ポリエステル又はポリプロピレンなどのポリマー材料を有する。容器84は、透明な、半透明な、又は不透明な弾性ポリマー材料から構成してもよい。
【0053】
前面カバー層82及び容器84を周囲封止材88によって(例えば、熱封止によって)1つに接合することにより、包装体80内に医療装置81を保持してもよい。前面カバー層82は、殺菌された医療装置81に到達するために容器84から前面カバー層82を円滑に取り外すためのタブ90を製造するために、少なくとも1つのコーナーにおいて包装体80の周囲を超えて延在してもよい。
【0054】
流体制御弁42に内視鏡又はその他の医療装置を円滑に接続するために、コネクタ支持部86は、コネクタ92を保持するように構成されており、コネクタ92は、医療装置81のチャネル又はポートに結合してもよい1つ又は複数の接続インターフェイス部94を含む。図5Bは、医療装置に対する接続インターフェイス部94の結合状態を示すために前面カバー層82が取り外された状態の包装体80の斜視図である。導管96が、一端においては、コネクタ92の接続インターフェイス部94のそれぞれに、及び、他端においては、医療装置81に、接続されている。例えば、医療装置81は、内視鏡であってよく、及び、導管96は、コネクタ92とチャネルとの間の流路を提供するために内視鏡内のチャネルに結合してもよい。コネクタ92は、接続インターフェイス部94をコネクタ92の最上部に接続する開口部98を含む。医療装置81が内部チャンネルを含んでいない場合には、コネクタ92に対する結合を伴うことなしに、医療装置81を容器84内に配置してもよい。
【0055】
医療装置81が所望するようにコネクタ92に結合された際に、図5Aに示されているように、前面カバー層82を容器84に固定することにより、包装体80を封止してもよい。浄化室16内に包装体80を配置する前に、前面カバー層82を容器84に封止してもよい。或いは、この代わりに、浄化プロセスの前に、その最中に、又はその後に、前面カバー層82を容器84に取り付けるように、浄化室16を構成してもよい。浄化室16は、前面カバー層82を通じてコネクタ92と結合してコネクタ92を流体制御弁42に接続するためのインターフェイス部を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、その内部に内視鏡又はその他の医療装置をそれぞれ有する複数の包装体80が、浄化室16内に配置され、且つ、流体制御弁に結合される。浄化室16のドアDが閉じられた後に、浄化プロセスを開始することができる。
【0056】
包装体80内における医療装置81用の浄化プロセスは、袋体50との関連において前述した浄化プロセスに実質的に類似したものであってよい。すべての浄化サイクルが完了した際に、密封された内視鏡をその内部に収容する包装体80を浄化室16から取り出してもよい。いくつかの実施形態においては、包装体80は、包装体80がシステム40内における1回又は複数回の浄化サイクルを経たことを示すマーカー又はインジケータを含む。例えば、包装体80は、浄化物質に晒された際に色を変化させる材料を含んでもよい。このプロセスが完了した際に、内視鏡は、包装体80が手技のために開かれる時点まで、浄化された状態に留まる。いくつかの実施形態においては、包装体80が開かれ、そして、内視鏡又はその他の医療装置が包装体80から取り出された後に、別の包装体80において後から使用するために、コネクタ92をコネクタ支持部86から取り外してもよい。
【実施例】
【0057】
内視鏡A、内視鏡B、及び内視鏡Cという3つの内視鏡をシステム40内において試験した。内視鏡Aは、直径が2mmで長さが610mmの生検チャネルを有する単一チャネル/単一接続の内視鏡であった。内視鏡Bは、直径が1mmで長さが4,013mmの空気チャネルと、直径が2mmで長さが4,013mmの給水チャネルと、直径が4mmで長さが4,013mmの吸引/生検チャネルと、を有する多チャネル/多接続の内視鏡であった。内視鏡Cは、直径が2.2mmで長さが550mmの単一チャネル/2接続の内視鏡であった。
【0058】
3つの内視鏡を約10コロニー形成単位(CFU)の合計接種濃度に接種した。内視鏡Aにおいて使用した供試生物は、バチルス・サブティリス(bacillus subtilis)であり、及び、内視鏡B及びCにおいて使用された供試生物は、バチルス・アトロフェウス(bacillus atrophaeus)であった。次いで、3つの内視鏡をそれぞれ袋体50内に配置し、且つ、ポート70の内部インターフェイス部72に接続した。次いで、それぞれの内視鏡ごとに、袋体50を浄化室16内において封止及び配置し、且つ、第2流体制御弁42をポート70の外部インターフェイス部74に接続した。
【0059】
次いで、浄化サイクルを3つの内視鏡に対して適用した。具体的には、浄化室16内の圧力を約400トール(53329Pa)に低減することにより、噴霧Fを内視鏡の1つ又は複数のチャネルに導入し、且つ、圧力を所定期間にわたって約400トール(53329Pa)に保持した。次いで、浄化室16内の圧力を約700トール(93326Pa)に増大させ、噴霧Fを、前面袋体層52を通じて、且つ、浄化室16内に、引き出した。次いで、浄化室16内の圧力を再度約400トール(53329Pa)に低減し、約700トール(93326Pa)に増大させ、再度約400トール(53329Pa)に低減し、且つ、その後に、大気圧に換気して、残りの噴霧Fを袋体50及び浄化室16から外部に引き出した。
【0060】
次いで、生存生物回復法(surviving organism recovery method)によって内視鏡を分析した。4回の試験において、内視鏡Aは、約6.26〜約7.24のバチルス・サブティリス(bacillus subtilis)の対数減少を経験した。5回の試験において、内視鏡Bは、約4.66〜約6.9のバチルス・アトロフェウス(bacillus atrophaeus)の対数減少を経験した。1回の試験において、内視鏡Cは、6.83を上回るバチルス・アトロフェウス(bacillus atrophaeus)の対数減少を経験した。
【0061】
要すれば、本発明は、内視鏡又はその他の装置を浄化プロセスの最中に、及びその後に保持する封入具に関する。いくつかの実施形態において、封入具は、袋体であり、この袋体は、第1袋体側面と、内視鏡を保持するように構成された袋体を形成するために第1袋体側面に装着された第2袋体側面と、第2袋体側面に結合されたポート部材と、を含む。第2袋体側面は、袋体内に内視鏡を密封するために第1袋体側面に対して固定可能である。第2袋体側面は、浄化物質の通過を許容するように構成されている。ポート部材は、第2袋体側面に結合され、且つ、袋体の内部にポート部材を通じて通過するように浄化物質を供給する装置に結合されるように構成された外部インターフェイス部を含む。その他の実施形態において、封入具は、包装体であり、この包装体は、内視鏡を保持する容器と、浄化プロセスの最中に、及びその後に容器内に医療装置を密封するカバー層と、を含む。内視鏡は、浄化の後に包装体内に留まることが意図されており、そして、包装体が開かれた後に、浄化された状態に留まる。いくつかの実施形態において、浄化物質は、略室温であり、且つ、噴霧として袋体に供給される。その他の態様においては、本発明は、略室温の噴霧によって医療装置を浄化するシステムに関する。
【0062】
上述の例示用の実施形態に対しては、様々な変更及び追加を実施することが可能であり、且つ、本発明の範囲を逸脱することなしに、それらの実施形態の態様又は特徴の様々なその他の組合せを実施することができる。例えば、上述の実施形態は、特定の特徴を参照しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組合せを有する実施形態及び記述されている特徴のすべてを含まない実施形態も含まれる。従って、本発明の範囲は、請求項の範囲に含まれるそれらの代替、変更、及び変形のすべてと、その他の袋体及び弁構成などのそのすべての均等物と、を含むものと解釈されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を浄化する方法であって、前記方法は、
封入具内に前記医療装置を密封するステップであって、前記封入具は、噴霧透過性層と、前記噴霧透過性層に結合された外部ポート部材と、を含む、ステップと、
前記封入具の前記外部ポートを浄化室内の化学薬品分散インターフェイス部に結合するステップと、
第1排気ステップとして、前記浄化室内の圧力を亜大気圧に低減するステップと、
室温の浄化物質を噴霧として前記浄化室に導入するステップと、
前記噴霧を前記浄化室内において浄化時間にわたって保持するステップと、
第2排気ステップとして、前記浄化室内の前記圧力を亜大気圧に低減するステップと、
前記浄化室を大気圧に換気するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記導入するステップは、前記浄化物質を霧化ノズルに強制的に通して前記浄化物質を噴霧に変換するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導入するステップは、
前記噴霧を化学薬品室内に分散させるステップと、
前記浄化室と化学薬品室との間に圧力差を生成するステップと、
前記浄化室と前記化学薬品室との間の圧力制御弁を開くステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記密封するステップは、第1袋体側面と、前記医療装置を保持するように構成された前記袋体を形成するために前記第1袋体側面に装着された第2袋体側面と、前記第2袋体側面に結合されたポート部材と、を含む袋体内に前記医療装置を配置するステップを含み、前記第2袋体側面は、前記袋体内に前記医療装置を密封するために前記第1袋体側面に対して更に固定可能であり、前記第2袋体側面は、内部表面と、外部表面と、を有し、且つ、前記第2袋体側面は、噴霧透過性を有し、前記ポート部材は、前記化学薬品分散インターフェイス部に接続されるように構成された外部インターフェイス部を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポート部材は、前記医療装置に接続されるように構成された内部インターフェイス部を更に含み、且つ、前記導入ステップは、前記噴霧を前記外部ポート部材、第2袋体側面、内部ポート部材、及び少なくとも前記医療装置の一部分を通じて強制的に送り込むステップを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2排気ステップの後に所定期間にわたって前記低減された圧力において前記浄化室を保持するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記換気するステップの後に、
第3排気ステップとして、前記浄化室内の前記圧力を亜大気圧に低減するステップと、
前記浄化室を大気圧に換気するステップと、
を更に含む請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2012−245357(P2012−245357A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135754(P2012−135754)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2012−542220(P2012−542220)の分割
【原出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(596140092)ミンテック コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】