説明

医薬剤形用の安定な保護コーティング

i)成分Aとして、a)N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、及びb)α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1〜C18アルカノールとのエステルから選択される、少なくとも一種のラジカル重合性化合物からラジカル重合によって得られるポリマー、ii)成分Bとして一種又は複数の抗酸化剤、iii)成分Cとして一種又は複数の可塑剤、並びにiv)成分Dとして他の添加剤、の混合物を含有し、成分A〜Dの混合物の総量が100重量%であるコーティング材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味をマスクする目的又は湿気からの保護のための、医薬剤形用の安定な保護コーティングのためのコーティング材料に関し、該医薬剤形はカチオン性ポリマーをベースとするフィルムコーティングを備えており、該カチオン性ポリマーはN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートを含有するモノマー混合物のラジカルエマルジョン重合により得られるものである。
【背景技術】
【0002】
DE-AS 1090381は、胃の中で溶解するコーティング材料を用いて剤形をコーティングする方法について記載している。この材料は、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸アミノエステル20〜80%と、ホモポリマーとしては水不溶性ポリマー体を形成するモノマー80〜20%とのコポリマーを含有する。アクリル酸及び(メタ)アクリル酸とN,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジエチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノプロパノール、及びN-(ヒドロキシエチル)モルホリンとのエステルが、好適な重合性アミノエステルの具体例として述べられている。アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、ブチル、及びヘキシルなどの、アクリル酸、好ましくは(メタ)アクリル酸の低級エステルが、好適なコモノマーとして述べられている。これらのエステルは有機溶媒中で溶液重合により生成される。実施例は示されていない。
【0003】
DE-AS 1219175は、反芻動物の第一胃内液の作用から保護される、獣医学で使用される活性化合物の調製物を製造する方法について記載している。この目的のために、これらの調製物は、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドと、重合により組込まれる、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、及びビニル芳香族化合物から選択されるコモノマーとを含有するコポリマーによりコーティングされている。この文献の教示に従えば、エステル基はアミド基と比較して、塩基性環境中で早期に鹸化されるので、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートをベースとするコポリマーは不利と考えられる。
【0004】
DE-OS 2135073は、水性ポリマーディスパージョンを含有する剤形のためのコーティング材料について記載しており、ここで、このポリマーは、カルボキシル基及び/又はモノアルキル-又はジアルキルアミノアルキルエステル基を有する10〜55重量%のモノマーからなる。ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)は、多くの他のモノマーに加えて好適なモノマーとして述べられている。(メタ)アクリル酸、好ましくはメチルメタクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ビニル芳香族化合物、塩化ビニル、及び酢酸ビニルの低級エステルが、好適なコモノマーとして述べられている。生成は、水性エマルジョン重合、好ましくはフェドバッチエマルジョン法によって行われる。DEAEMAをベースとする実際のエマルジョンポリマー体は開示されていない。
【0005】
DE-AS 2512238は、残留モノマー含有量が低い医薬コーティング用結合剤の調製に関して、これらの剤形のためのコーティング溶液生成用のポリマーディスパージョンをスプレー乾燥することにより得られる粉末の使用について教示している。スプレー乾燥に使用されたディスパージョンに関しては、DE 1090381、DE 1219175、及びDE 2135073を参照する。
【0006】
DE-OS 2838278は、a)pHが5.5超である第一胃水性媒体中で24時間以内に溶解する、少なくとも一つの塩基性アミノ基を有し、窒素含有量が3〜14%である少なくとも一つのフィルム形成性ポリマーと、b)C12〜C32脂肪酸、これらの脂肪酸のアルミニウム塩、及び/又はポリカルボン酸から選択され、ポリマーの中に分散する少なくとも一つの疎水性物質とからなる、反芻動物のための経口剤形用コーティングについて記載している。
【0007】
このコーティングの生成のために有機溶媒中の溶液が使用される。多くの窒素含有ホモ-及びコポリマーが好適なポリマーとしてリストされているが、それらの生成に適した方法は詳細には述べられていない。40%N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーが実施例29として提示されているが、その生成方法は述べられていない。
【0008】
GB 1324087は、a)少なくとも一種のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートと、b)ビニル芳香族化合物及びその誘導体、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸及びアクリロニトリルのエステルから選択され、重合により組込まれる少なくとも一種のエチレン性不飽和化合物とを含有する、反芻動物のための経口剤形用コーティングポリマーについて記載している。N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及びtert-ブチルアミノエチルメタクリレート(TBAEMA)が好適なモノマーa)として開示されている。特に、メチルメタクリレートは、脆いコーティングを形成する傾向があるため、コモノマーb)としては適していないと見なされている。バルク重合、懸濁重合、溶液重合、及びエマルジョン重合は好適な重合方法として述べられている。実施例におけるコポリマーは溶液重合により生成されたものである。
【0009】
DE 3426587A1は、三級アンモニウム塩の側基を有する溶解したポリマー体を含有するフィルム形成性液体コーティング材料のフィルムを塗布することにより、剤形をコーティングする方法について記載している。これらのポリマー溶液を生成させるために、他の手段の中でも、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートをベースとしたコポリマーは、水性無機又は有機酸を用いてアンモニウム塩の水溶液に変換することができる。
【0010】
DE 3049179A1は、DE 2512238の追加出願であり、可塑剤をさらに含有する水性懸濁液の形態において、後者の文献の教示に従ってスプレー乾燥させることによって得られる、熱ゲル化によってコーティングを生成させるための粉末の使用に関するものである。
【0011】
EP 0058765A2は、胃液の中で溶解又は膨潤し得る剤形用コーティング材料について記載している。この材料は、アミノ基と(メタ)アクリレート基との間に位置する少なくとも三個の炭素原子が直鎖内に配置されている分枝アルキレン又はアラルキレン(aralkylene)基を有するN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートをベースとしたエマルジョンポリマー体を結合剤として含有している。
【0012】
WO 2005/055986及びWO 2005/056619は、pH依存的に膨潤/溶解する特性を有するポリマー及び剤形におけるその使用について記載している。
【0013】
WO 00/05307は、剤形用のコーティング材料及び結合剤の調製に関するものであり、これらのコーティング材料及び結合剤は、三級アミノ基を有するモノマー残基を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含有しており、簡単な乾式又は水式のさらなる加工が可能であると言われている。この目的のために、この文献は、(a)三級アンモニウム基を有する(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートモノマーのC1〜C4エステルのコポリマー、(b)可塑剤、及び(c)HLB値が少なくとも14の乳化剤を一緒に混合し、そこから、溶融、鋳込、延展、又はスプレーすることによりコーティング材料又は結合剤を生成し、コポリマー(a)を平均粒子サイズが1〜40μmの粉末形態として塗布する方法について教示している。得られた加工性は、極めて小さい粒径の粉末形態でコポリマー(a)を提供できたことによるものである。
【0014】
WO 02/067906は、WO 00/05307に記載されたものに比較して改善された水蒸気透過性を有するコーティング及び結合剤に関するものである。このコーティング及び結合剤は、(a)平均粒子サイズが1〜40μmの粉末形態にある、三級アンモニウム官能基を有する、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートモノマーのC1〜C4エステルのコポリマーと、(b)HLB値が少なくとも14の乳化剤と、(c)C12〜C18モノカルボン酸又はC12〜C18ヒドロキシル化合物とを含有する混合物を用いて生成される。
【0015】
WO 2004/019918は、WO 00/05307及びWO 02/067906に記載されたものに、その組成に関して一致するコーティング及び結合剤について記載している。
【0016】
US 6,696,085B2によれば、タイプCのメタクリル酸コポリマーは崩壊剤として使用される。タイプCのメタクリル酸コポリマーは、腸溶性ポリマーであり、酸性pHでは不溶性であるが、口腔の中のように、約7のpHでは水溶性である。破壊強度が低いことに加えて(<20N)、この錠剤は、高い摩損度(>7%)を有し、且つ15重量%の範囲の高比率で粗粒子状崩壊剤を含んでいる。その結果、高比率の粗粒子状崩壊剤により、この錠剤は、機械強度が低く、また口の中で不快で砂のような感覚を生じさせる。
【0017】
糖アルコール、崩壊剤、及び不溶性ポリマーをベースとするマトリックス成分は、WO 2007/071581により医薬用途用として一般に知られている。
【0018】
本発明に従って使用されるN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートをベースとするカチオン性ポリマーの水性ポリマーディスパージョンの生成及び医薬品のコーティングのためのその使用が、WO 2009/016258により知られている。しかしながら、この文献に記載されているコーティング材料には、ストレス保存において放出安定性及び耐変色性に関し所望されることがまだ残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】DE-AS 1090381
【特許文献2】DE-AS 1219175
【特許文献3】DE-OS 2135073
【特許文献4】DE-AS 2512238
【特許文献5】DE 1090381
【特許文献6】DE 1219175
【特許文献7】DE 2135073
【特許文献8】DE-OS 2838278
【特許文献9】GB 1324087
【特許文献10】DE 3426587A1
【特許文献11】DE 3049179A1
【特許文献12】DE 2512238
【特許文献13】EP 0058765A2
【特許文献14】WO 2005/055986
【特許文献15】WO 2005/056619
【特許文献16】WO 00/05307
【特許文献17】WO 02/067906
【特許文献18】WO 2004/019918
【特許文献19】WO 00/05307
【特許文献20】US 6,696,085B2
【特許文献21】WO 2007/071581
【特許文献22】WO 2009/016258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明により解決すべき問題は、長期保存又は温度ストレス保存においても放出特性にいかなる変化も示さない、医薬剤形用の改善されたフィルムコーティング材料を提供することである。解決すべき別の問題は望ましくない変色性を防止することであった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、コーティング材料は、
i) 成分Aとして、
a) N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び
b) α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選択される、少なくとも一種のラジカル重合性化合物
からラジカル重合により得られるポリマー、
ii) 成分Bとして一種又は複数の抗酸化剤、並びに
iii) 成分Cとして一種又は複数の可塑剤、
iv) 成分Dとして他の添加剤
を含有する水性ポリマーディスパージョンの形態で見出された。
【0022】
コーティング材料は、ディスパージョンの総重量に対して、
i) 1〜45重量%の成分A、
ii) 0.01〜15重量%の成分B、
iii) 0.1〜15重量%の成分C、
iv) 0〜35重量%の成分D
を含有することができる。
【0023】
好ましいコーティング材料は、
i) 1.5〜42.5重量%の成分A、
ii) 0.02〜10重量%の成分B、
iii) 0.15〜12.5重量%の成分C、
iv) 0〜30重量%の成分D
を含有する。
【0024】
特に好ましいコーティング材料は、ディスパージョンの総重量に対して、
i) 4〜40重量%の成分A、
ii) 0.05〜6重量%の成分B、
iii) 0.4〜8重量%の成分C、
iv) 0.1〜20重量%の成分D
を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
使用するコーティング材料は、水性ポリマーディスパージョンをベースとしており、
a) N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び
b) α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選択される、少なくとも一種のラジカル重合性化合物
を含有するモノマー混合物M)のラジカルエマルジョン重合により、pHが少なくとも8の水性媒体中で得られる。
【0026】
水性ポリマーディスパージョン形態でのコーティング材料は、さらなる有機溶媒を全く含まないことが好ましい。
【0027】
本発明によれば、コーティング材料は、胃の酸性環境中で即座に放出されることになる医薬剤形の製造のために使用される。すなわち、本発明によるコーティングは胃液中で可溶である。「即座に放出される」とは、本明細書の文脈では、活性化合物の少なくとも80%が、60分後には放出されていることを意味する。本発明により得られるコーティングは、唾液の中性又はほとんど中性の環境下にある、口腔及び咽喉の中で溶解されるべきではない。
【0028】
本発明によるコーティング材料は、風味をマスクするため又は湿気から保護するために使用することができる。本コーティングは、水蒸気透過性が極めて低いため、湿気の影響を受けやすい活性化合物を保護する。
【0029】
成分A
モノマーa)
本発明によれば、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートをモノマーa)として使用する。
【0030】
本発明による水性ポリマーディスパージョンPd)の生成のために、成分a)を、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%、具体的には38〜48重量%、及び特には43〜47重量%の量で使用することが好ましい。
【0031】
モノマーb)
成分b)は、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1-C8アルカノールとのエステルから選択される。
【0032】
好適な化合物b)は、メチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルエタクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート及びエチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0033】
メチルメタクリレート又はメチルメタクリレートを含有するモノマー混合物を成分b)として使用することが特に好ましい。
【0034】
本発明による水性ポリマーディスパージョンの生成のために、成分b)を、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、35〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%、具体的には52〜62重量%、及び特には53〜57重量%の量で使用することが好ましい。
【0035】
ポリマーディスパージョンの生成のために使用するモノマー混合物M)は、少なくとも一種の他のモノマーc)をさらに含有してもよい。このさらなるモノマーc)は、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC9〜C30アルカノール及びC2〜C30アルカンジオールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸と一級又は二級アミノ基を有するC2〜C30アミノアルコールとのアミド、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド並びにそのN-アルキル及びN,N-ジアルキル誘導体、N-ビニルラクタム、開鎖N-ビニルアミド化合物、ビニルアルコール及びアリルアルコールとC1〜C30モノカルボン酸とのエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族化合物、ビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物、C2〜C8モノオレフィン、不飽和ニトリル、少なくとも二つの共役二重結合を有する非芳香族炭化水素並びにそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0036】
好適なさらなるモノマーc)は、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びそれらの混合物などの、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC9〜C30アルカノールとのエステルである。
【0037】
さらに、好適なさらなるモノマーc)は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレートなどの、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC2〜C30アルカンジオールとのエステルである。
【0038】
さらに、好適なさらなるモノマーc)は、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(tert-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセリル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、モルホリニル(メタ)アクリルアミドなどの、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド並びにそのN-アルキル及びN,N-ジアルキル誘導体である。
【0039】
他の好適なさらなるモノマーc)は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの一個又は複数のC1〜C6アルキル置換基を有していてもよいN-ビニルラクタム及びその誘導体である。これらには、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム等が挙げられる。N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムを使用することが好ましい。
【0040】
モノマーc)として好適な開鎖N-ビニルアミド化合物は、例えば、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、及びN-ビニルブチルアミドである。
【0041】
さらに、好適なさらなるモノマーc)は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、及びそれらの混合物である。
【0042】
さらに、好適なさらなるモノマーc)は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、及びそれらの混合物である。
【0043】
上述のさらなるモノマーc)は、個々に又は任意の混合物の形態で使用することができる。
【0044】
本発明による水性ポリマーディスパージョンの生成のために、成分c)を、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、0〜80重量%の量で使用することが好ましい。特定の実施形態は、重合によって組み込まれるさらなるモノマーc)を全く含有しないポリマーディスパージョンPd)に関するものである。存在する場合は、成分c)を、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、好ましくは0.1〜70重量%、特に好ましくは1〜60重量%、具体的には5〜50重量%の量で使用する。
【0045】
モノマーc)を使用しないことが好ましい。
【0046】
モノマーd)
ポリマーディスパージョンの生成のために使用するモノマー混合物M)は、化合物a)に加えて、重合により組み込まれる、一分子当たり一個のラジカル重合性α,β-エチレン性不飽和二重結合及び少なくとも一個のカチオン生成性基及び/又はカチオン性基を有し、後者とは異なる少なくとも一種の他の化合物d)を含有してもよい。
【0047】
成分d)のカチオン生成性基又はカチオン性基は、一級、二級、及び三級アミノ基並びに四級アンモニウム基などの窒素含有基であることが好ましい。窒素含有基は三級アミノ基又は四級アンモニウム基であることが好ましい。荷電したカチオン性基は、例えば乳酸若しくは酒石酸などの一価若しくは多価カルボン酸又はリン酸、硫酸、若しくは塩酸などの鉱酸によるプロトン化、あるいは例えばC1〜C4アルキルハロゲン化物又は硫酸化物などのアルキル化剤による四級化のいずれかによりアミノ窒素から生成することができる。前記アルキル化剤の例としては、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、硫酸ジメチル、及び硫酸ジエチルがある。
【0048】
好適な化合物d)は、例えば、DEAEMAとは異なる、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とアミノアルコールとのエステルである。好ましいアミノアルコールは、アミン窒素がC1〜C8-モノ-又はジアルキル化されているC2-C12アミノアルコールである。これらのエステルの酸成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチル、及びそれらの混合物が適している。アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物をこれらのエステルの酸成分として使用することが好ましい。
【0049】
好適なさらなる化合物d)は、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0050】
さらに、好適なモノマーd)は、上述のα,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸と、少なくとも一個の一級又は二級アミノ基を有するジアミンとのアミドである。三級アミノ基及び一級又は二級アミノ基を有するジアミンが好ましい。
【0051】
これらには、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)-ブチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メタクリルアミドなどが含まれる。
【0052】
さらに、好適なモノマーd)は、N,N-ジアリルアミン及びN,N-ジアリル-N-アルキルアミン並びにそれらの酸付加塩及び四級化生成物である。次に、アルキルは、C1〜C24アルキルであることが好ましい。N,N-ジアリル-N-メチルアミン及びN,N-ジアリル-N,N-ジメチルアンモニウムの化合物、例えばその塩化物及び臭化物が好ましい。
【0053】
さらに、好適なモノマーd)は、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾールなどのビニル-及びアリル-置換窒素ヘテロ環、2-及び4-ビニルピリジン、2-及び4-アリルピリジンなどのビニル及びアリル置換ヘテロ芳香族化合物、並びにそれらの塩である。
【0054】
本発明による水性ポリマーディスパージョンPd)の生成のために、モノマーd)は、存在する場合、モノマーa)及びモノマーd)の合計量が、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%であるような量で使用する。
【0055】
本発明による水性ポリマーディスパージョンPd)の生成のために、成分d)は、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、0〜50重量%の量で使用することが好ましい。
【0056】
すでに述べたように、驚くべきことに、本発明による、また本発明に従って使用する、DEAEMA(成分a)をベースとするポリマーディスパージョンPd)が、特に優れた特性プロファイルを有することが見出された。この特性プロファイルは、通常、カチオン生成性基/カチオン性基を有するさらなるモノマーを使用せずとも達成することができる。したがって、特定の実施形態は、重合によって組み込まれるさらなるモノマーd)を全く含有しないポリマーディスパージョンPd)に関するものである。
【0057】
成分d)は、存在する場合、重合のために使用するモノマーの総重量に対して、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%、具体的には2〜25重量%の量で使用する。
【0058】
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)、具体的にはメチルメタクリレート
からなるモノマー混合物M)を使用する。
【0059】
ラジカルエマルジョン重合によるポリマー体の生成のために、該生成及び好ましい実施形態が詳細に記載されているWO 2009/016258の開示は本明細書によって明示的に参照される。
【0060】
本発明によるディスパージョンに含有されるポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される平均分子量Mwが好ましくは30000〜500000、特に好ましくは60000〜140000、具体的には80000〜120000g/molである。
【0061】
本発明によるディスパージョンPd)に含有されるポリマーは、K値(N-メチルピロリドン(NMP)の1%溶液に関し、Fikentscherに従って決定される)が40〜60の範囲にあることが好ましい。
【0062】
ガラス転移温度Tg(DSCにより測定される)は、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは52〜62℃の範囲である。
【0063】
本発明によるディスパージョンに含有されるポリマーは基本的にはランダムコポリマーである。
【0064】
ポリマーディスパージョンに含有されるポリマー粒子の平均粒径(分析用超遠心機によって測定される)は、好ましくは70〜200nm、特に好ましくは80〜150nm、具体的には90〜120nmの範囲である。粒子サイズ分布は実質的に単峰性であることが好ましい。
【0065】
水中0.01%ディスパージョン(2.5cmキュベット、白色光)で測定される、本発明によるディスパージョンのLT値は、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%である。光透過率の測定は、例えばDieter Distler、Aqueous Polymer Dispersions、Wiley-VCH (1999)、40頁に記載されている。
【0066】
本発明によるディスパージョンの固形分は、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。限外濾過によるディスパージョンの精製の場合には、本発明によるディスパージョンの固形分が限外濾過の前後にこの範囲内にあることが好ましい。希釈ポリマーディスパージョンを限外濾過による濃縮に付すことも当然可能である。
【0067】
風味をマスクするために本発明に従って使用するディスパージョンは、例えば30重量%の固形分でも、好ましくは50mPas未満、特に好ましくは25mPas未満、具体的には10mPas未満(20℃及び100 s-1にてBrookfield粘度計を用いて測定される値)の極めて低い粘度を示す。このような低粘度は、多くの用途にとってとりわけ重要である。
【0068】
本発明によるディスパージョンに含有されるポリマーの電荷は、ディスパージョンのpHに依存する。等電点は約7.5〜8.5のpH範囲にあることが好ましい。調製されたディスパージョンのpHは、好ましくは8〜10、特に好ましくは8.5〜9.5の範囲にある(固形分が30重量%の場合)。調製されたディスパージョンのpHは、ディスパージョンに含有されるポリマー粒子の溶解又は膨潤が所望されていないかぎり、その等電点より高く(よりアルカリ性)なるように選択するのが有利である。したがって、本発明によるディスパージョンは塩基性のディスパージョンであることが好ましい。
【0069】
本発明によるポリマーディスパージョンはそのpH依存的溶解性を特徴としている。ディスパージョンが酸性化で溶解するpH範囲は、例えば、重合により組み込まれるN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート(モノマーa)の量及び場合によってはカチオン生成性基/カチオン性基(モノマーd)を有するさらなるモノマーの使用により調整することができる。本発明によるポリマーディスパージョンPd)に含有されるポリマーは、好ましくは最大6.8のpH、特に好ましくは最大6.0のpHで溶解する。
【0070】
好ましい実施形態によれば、
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)
を重合により組み込まれるすべてのモノマーとして含有するポリマーを含有するポリマーディスパージョンを使用する。
【0071】
成分B
本発明によるコーティング材料は、本ポリマーに加えて、一種若しくは複数の抗酸化剤又は抗酸化剤の組合せを含有する。
【0072】
基本的には、主として以下の試剤、リストされた組合せ、又は他の組合せが放出安定性を改善するための抗酸化剤として適している。
【0073】
N-アセチルシステイン、アラントイン、アルギニン、アルギニン+ブチルヒドロキシトルエン、アルギニン+N-アセチルシステイン、アスコルビン酸パルミテート、アスパラギン酸、ビオチン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン+炭酸カルシウム、ブチルヒドロキシトルエン+Na-EDTA、ブチルヒドロキシトルエン+N-アセチルシステイン、カルシウム-ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル)ホスホネート]、カテコール、クエン酸、システアミン、エチルヘキシルチオグリコレート、没食子酸、次亜リン酸、コーヒー酸、ヨウ化カリウム、クレアチン、クレアチニン、塩化銅(I)、塩化銅(II)、リジン、MEHQ、メチオニン、Na-EDTA、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ノルジヒドログアヤレト酸、オロト酸、ペニシラミン、リン酸、没食子酸プロピル、リスベラトロール、リボフラビン、スペルミジン、チオグリコール酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トロメタモール、チロシン、酒石酸。
【0074】
基本的には、主として以下の試剤、リストされた組合せ、又は他の組合せが黄変抵抗性の改善に適している。オレイン酸、シメチコン、ブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、クエン酸二水素ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アルギニン、ブチルヒドロキシトルエン+Na-EDTA、アセチルシステイン(N-アセチルシステイン)、ブチルヒドロキシトルエン、アラントイン、ブチルヒドロキシアニソール、炭酸ナトリウム、システアミン、N-アセチルシステイン。
【0075】
好ましい抗酸化剤はフェノールタイプの化合物である。好ましいフェノール化合物は、溶解の遅延及び黄変の両方を完全に防止するので、例えばブチルヒドロキシトルエン又はブチルヒドロキシアニソールである。他の好適な製品は、カテコール、没食子酸又はそのエステル、トコフェロール、コーヒー酸、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ノルジヒドログアヤレト酸、リスベラトロールである。
【0076】
他の好ましい抗酸化剤は、N-アセチルシステイン、システアミン、チオグリコール酸などのチオール化合物である。
【0077】
アルギニン及びリジンなどの塩基性アミノ酸もまた好ましい。
【0078】
さらに、好ましい抗酸化剤は、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩、具体的にはナトリウム塩、好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0079】
さらに、EDTA、具体的にはNa-EDTAとの組合せ、又はクエン酸との組合せが好ましい。
【0080】
N-アセチルシステイン、アルギニン、リジン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン+Na EDTA、及び炭酸ナトリウム、又はそれらの組合せが、特に好ましい。
【0081】
述べられた化合物又は化合物クラスはすべて、組み合わせて使用することもできる。
【0082】
これらの抗酸化剤は、コーティング材料中の固形物の総量に対して、0.1〜30、好ましく0.3〜20、特に好ましくは0.5〜12重量%の量で使用される。
【0083】
成分C
さらに、本発明によるコーティング材料は、成分Cとして、可塑剤、好ましくは脂溶性可塑剤を含有する。特に好適な可塑剤は、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジエチル、及びセバシン酸ジブチルである。
【0084】
成分D
医薬剤形のために本発明に従って使用されるコーティング材料は、成分Dとして、医薬として許容される、少なくとも一種の他の添加剤をさらに含有することができる。薬学分野、食品工学分野、及びその関連分野で使用できることが知られている添加剤、具体的には関連薬局方(例えば、Ph. Eur、USP、JP)に掲載されている添加剤、並びにその特性が生理学的使用に反していない他の添加剤が医薬として許容される。
【0085】
好適な添加剤は、調味料、風味改善剤、甘味料(糖、糖アルコール、甘味料(例えばアスパルテーム、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム))、流動促進剤、湿潤剤、分離剤、抗粘着剤、安定剤、気孔生成剤、中和剤、光沢剤、染料、色素、殺菌剤又は防腐剤、粘稠化剤等である。このような物質は、例えば、Fiedler, H.P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete (Lexicon of excipients for pharmacy, cosmetics and related areas)、第4版、Aulendorf: ECV-Editio-Cantor-Verlag、1996に記載されている。
【0086】
添加剤の通常量は、各ケースにおいて、コーティング材料中の固形物の総重量に対して、0〜70重量%、好ましくは0〜60重量%、具体的には1〜50重量%の範囲にある。
【0087】
コーティング材料は、例えば、本発明によるポリマーディスパージョン又はそこから乾燥工程により得られるポリマーと、少なくとも一種の添加剤とを均質混合することにより生成させることができる。
【0088】
本発明によるコーティング材料は、例えば、顆粒化、鋳込、延展することによって、又はスプレー塗布することによって、粉末形態で、溶融物として、若しくは水性エマルジョンで、使用することができる。ポリマーディスパージョンとしての利用、特に一次ディスパージョンとしての利用が好ましい。本発明によるコーティング材料は、少なくとも一種の他のポリマー成分をさらに含有することができる。その上、少なくとも二種のディスパージョンの混合物、少なくとも一種のディスパージョンと少なくとも一種の溶液との混合物、少なくとも一種のディスパージョンと少なくとも一種の粉末との混合物、少なくとも二種の粉末の混合物等も使用可能である。
【0089】
本発明によるコーティング材料は、基本的には、抗うつ薬、ベータブロッカー、抗糖尿病薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、抗低血圧薬、高血圧治療薬、精神活性薬、精神安定剤、制吐剤、筋弛緩薬、グルココルチコイド、潰瘍性大腸炎又はクローン病の治療薬、抗アレルギー薬、抗生物質、抗てんかん薬、抗凝固剤、抗真菌薬、鎮咳薬、動脈硬化治療薬、利尿剤、酵素、酵素阻害剤、痛風治療薬、ホルモン剤及びホルモン阻害剤、強心配糖体、免疫治療薬及びサイトカイン、下剤、高脂血症治療薬、胃腸治療薬、片頭痛治療薬、ミネラル調製物、耳鼻治療薬、パーキンソン治療薬、甲状腺治療薬、鎮痙剤、抗血小板剤、ビタミン、細胞増殖抑止剤及び転移抑制剤、植物性製剤、化学療法剤、機能性食品、ビタミン、カロテノイド、及びアミノ酸などの、好ましくは単離形態又は保護形態で投与することができるいかなる医薬活性成分の剤形にも適している。
【0090】
好適な活性化合物の例は、アカルボース、非ステロイド性抗リウマチ薬、強心性配糖体、アセチルサリチル酸、静ウイルス薬、アクラルビシン、アシクロビル、シスプラチン、アクチノマイシン、α-及びβ-交感神経様作用薬、アロプリノール、アロセトロン、アルプロスタジル、プロスタグランジン、アマンタジン、アンブロキソール、アムロジピン、メトトレキセート、5-アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アナストロゾール、アテノロール、アトルバスタチン、アザチオプリン、バルサラジド、ベクロメタゾン、ベタヒスチン、ベザフィブラート、ビカルタミド、ジアゼパム及びジアゼパム誘導体、ブデソニド、ブフェキサマク、ブプレノルフィン、メタドン、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カンデサルタン、カルバマゼピン、カプトプリル、セファロスポリン、セレトキシブ、セチリジン、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、テオフィリン及びテオフィリン誘導体、トリプシン、シメチジン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、コトリモキサゾール、コデイン、カフェイン、ビタミンD及びビタミンD誘導体、コレスチラミン、クロモグリク酸、クマリン及びクマリン誘導体、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シプロテロン、シタラビン、ダピプラゾール、デソゲストレル、デソニド、ジヒドララジン、ジルチアゼム、バッカクアルカロイド、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピリダモール、ドンペリドン及びドンペリドン誘導体、ドネプジル、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビシン、ドキシルアミン、ダピプラゾール、ベンゾジアゼピン、ジクロフェナク、配糖体抗生物質、デシプラミン、エコナゾール、ACE阻害薬、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エポエチン及びエポエチン誘導体、モルフィナン、カルシウム拮抗薬、イリノテカン、モダフィニル、オルリスタット、ペプチド系抗生物質、フェニトイン、リルゾール、リセドロネート、シルデナフィル、トピラメート、マクロライド系抗生物質、エソメプラゾール、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、ゲスターゲン及びゲスターゲン誘導体、テストステロン及びテストステロン誘導体、アンドロゲン及びアンドロゲン誘導体、エテンザミド、エトフェナメート、エトフィブラート、フェノフィブラート、エトフィリン、エトポシド、ファムシクロビル、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェンタニール、フェンチコナゾール、ジャイレース阻害薬、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、ホルモテロール、ホスホマイシン、フロセミド、フシジン酸、ガランタミン、ガラパミル、ガンシクロビル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、グリベンクラミド、経口抗糖尿病薬としての尿素誘導体、グルカゴン、グルコサミン及びグルコサミン誘導体、グルタチオン、グリセリン及びグリセリン誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グアネチジン、ハロファントリン、ハロペリドール、ヘパリン及びヘパリン誘導体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド及びヒドロクロロチアジド誘導体、サリチレート、ヒドロキシジン、イダルビシン、イホスファミド、イミプラミン、インドメタシン、インドラミン、インスリン、インターフェロン、ヨウ素及びヨウ素誘導体、イソコナゾール、イソプレナリン、グルシトール及びグルシトール誘導体、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、レボドパ、レボメタドン、甲状腺ホルモン、リポ酸及びリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロムスチン、ロペラミド、ロラタジン、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロキン、メロキシカム、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスクシミド、メタミゾール、メトホルミン、メトトレキセート、メチルフェニデート、メチルプレドニソロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モエキシプリル、モルヒネ及びモルヒネ誘導体;オオマツヨイグサ、ナルブフィン、ナロキソン、チリジン、ナプロキセン、ナルコチン、ナタマイシン、ネオスチグミン、ニセルゴリン、ニセトアミド、ニフェジピン、ニフルム酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ニソルジピン、アドレナリン及びアドレナリン誘導体、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オルサラジン、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パントプラゾール、パルアセタモール、パロキセチン、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペルフェナジン、ペチジン、植物エキス、フェナゾン、フェニラミン、バルビツル酸誘導体、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピモジド、ピンドロール、ピペラジン、ピルアセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピロキシカム、プラミペキソール、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオンアミド、プロキシフィリン、クェチアピン、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラニチジン、レプロテロール、レセルピン、リバビリン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシトロマイシン、ルスコゲニン、ルトシド及びルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サルメテロール、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、シリケート、シムバスタチン、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルフェート、スフェントアニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タリオロール、タモキシフェン、タウロリジン、タザロテン、テガセロド、テマゼパム、テニポシド、テノキシカム、テルアゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テルリプレッシン、テルタトロール、テトラサイクリン、テトリゾリン、テオブロミン、テオフィリン、ブチジン、チアマゾール、フェノチアジン、チオテパ、チアガビン、チアプリド、プロピオン酸誘導体、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオキソロン、チロプルアミド、チザニジン、トラゾリン、トルブトアミド、トルカポン、トルナフタート、トルペリソン、トポテカン、トラセミド、抗エストロゲン、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラゾドン、トリアムシノロン及びトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレンアミン、トリプロリジン、トリホスフアミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロキセルチン、ツロブテロール、チラミン、チロトリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルプロ酸、バンコマイシン、塩化ベクロニウム、ベンラファキシン、ベラパミル、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル、ワルファリン、キサンチノールニコチナート、キシプアミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ゾテピン等である。
【0091】
活性化合物は、所望により、その医薬として許容される塩又は誘導体の形態でも使用することができ、キラルな活性化合物の場合には、光学活性異性体及びラセミ体のいずれでも又はジアステレオ異性体の混合物でも使用することができる。所望により、本発明による組成物は二種以上の医薬活性化合物を含有することもできる。
【0092】
本発明によれば、本コーティング材料は、押出物、ミニタブレット、カプセル、軟カプセル、果粒、ペレット、マイクロペレット、マイクロカプセル、ナノカプセル、又は結晶をコーティングするために使用することができる。
【0093】
剤形の製造のために、コーティングされた果粒、ペレット、マイクロペレット、マイクロカプセル、結晶を、好適な添加剤と混合し圧縮して、口腔の水性環境中で崩壊し、コーティングされた微細形成品を放出する錠剤を形成させることができる。特に重要なのは、いわゆるオーラルディスパーシブル(oral dispersibles)、すなわち、短時間内に口内で崩壊して、風味をマスクする微細形成品を放出する錠剤である。
【0094】
さらに、本コーティング材料は、コーティング錠のために有利に使用することもできる。
【0095】
不快な苦味をしばしば生み出す可能性があり、本発明に従って有利に製剤化することができる、活性な化合物及び物質のクラスは、例えば、
パラセタモール、ジクロフェナク、アセクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、アセチルサリチル酸、レバセチルメタドール、及びオキシコドンなどの鎮痛薬及び抗リウマチ薬;
プロメタジン、ドネペジル、モダフィニル、ネファゾドン、レボキセチン、セルチンドール、及びセルトラリンなどの向精神薬;
エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、グレパフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、及びネビラピンなどの抗生物質;
プロプラノロール、メトプロロール、ビソプロロール、及びネビボロールなどのベータブロッカー;
メトホルミン、ミグリトール、及びレパグリニドなどの抗糖尿病薬;
ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン、及びミゾラスチンなどのH1抗ヒスタミン薬;
シメチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ニザチジン、チクロピジン、セチリジン、及びラニチジンなどのH2抗ヒスタミン薬;
硝酸チアミンなどのビタミン、並びに硫酸キニジン、アミロプリロースHCl、プソイドエフェドリンHCl、シルデナフィル、トピラメート、グラニセトロン、レバミピド、キニーネHCl等である。また、これら活性化合物の様々な塩も同様に製剤化することができる。
【0096】
優れた風味マスキングは、本発明によるポリマーがpH6超では溶解しないこと及びpH6未満では迅速に溶解することにより生ずるものである。すなわち、これに対応して、唾液中(pH7.2)ではコーティングされた剤形は極めて長い時間安定であり、苦味のある医薬品と口腔粘膜との接触は起こらないが、pHが1〜5の胃の中では、活性化合物は極めて迅速に放出される。そこでは、溶解は極めて迅速であるので、コーティングされていない剤形と比較しても作用開始に差はない。通常、本発明によるポリマーのフィルムコーティングは、胃液中で5分以内に溶解するが、リン酸緩衝液pH7.2では、2時間を超えても安定である。驚くべきことに、本フィルムコーティングは、pH値が4.5の媒体中でも比較的迅速に溶解するため、本フィルムコーティングから製造される剤形は、無酸症患者又は制酸薬で治療されている患者でも迅速に作用する。
【0097】
本発明によるコーティング材料は、温度ストレス下で放出が変動することを十分抑制する。多くの場合、顕著な黄変抵抗性もある。さらに、水蒸気透過性に対しても有利な効果がある。
【実施例】
【0098】
使用する略語:
BHT:ブチルヒドロキシベンゼン
BHA:ブチルヒドロキシアニソール
NAC:N-アセチルシステイン
ATBC:クエン酸アセチルトリブチル
TEC:クエン酸トリエチル
MEHQ:ヒドロキノンモノメチルエーテル
d:日
Ludipress(登録商標):ラクトース(90%)、ポビドン(3.5%)、及びクロスポビドン(3.5%)から製剤化された製品
Avicel(登録商標) PH 102:微結晶性セルロース
Kollidon(登録商標) VA 64:ビニルピロリドン-酢酸ビニル(6:4)コポリマー(コポビドン(copovidone))
Kollidon(登録商標) CL:架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(crospovidone))
すべてのパーセンテージは重量%に関するものである。
【0099】
カチオン性ポリマー:
ポリマーの生成は、WO 2009/016258の実施例1のように実施する。
【0100】
ポリマーA:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比60:40
ポリマーB:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比55:45
ポリマーC:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比53:47
NMP中0.1重量で測定したK値は50+/-0.5であった。ポリマーは、pHが9+/-0.3の30重量%水性ディスパージョンとして使用した。一次ディスパージョンの平均粒子サイズは110nmであった。
【0101】
ポリマーフィルムの生成
脂溶性抗酸化剤を、各ケースで記載の量で可塑剤成分の中に入れ撹拌し、完全に溶解させた。この混合物を水中で乳化し、約5%のエマルジョンを生成させる。このエマルジョンを、撹拌しながら、水性ポリマーディスパージョンに加え、場合によっては、20%の固形分濃度に水で調節し、さらに2時間撹拌した。水溶性抗酸化剤の場合には、これらの水溶性抗酸化剤を水相に溶解した後、可塑剤を乳化により組み込んだ。フィルムスプレー器(タイプFSG1、Heller製作)によって、層の厚さが200μmの分離フィルムにスプレー懸濁液を加工した。加工温度は、スプレー中にフィルムの温度が33℃の範囲にあるように選択し、最終的な乾燥は50℃で実行した。標準フィルム(カチオン性ポリマー+ポリマーを基準にして15重量%のクエン酸トリブチル)
水蒸気透過の測定 - 一般的方法
選択したフィルムに対する水蒸気透過はDIN EN ISO 7783-2に従って測定した。測定は、23℃の50/93%の相対湿度の湿度勾配で実行した。
【0102】
黄変に対するフィルム試験 - 一般的方法
Suntest機器(Suntest COS plus型、Atlas社製)の中で光度765W/m2を用いて16時間フィルムを照射した。次いで、黄変の尺度であるいわゆる「b値」を得るために、比色定量機器(Datacolor 400型、Datacolor社製)を用いて、フィルムを調べた。
【0103】
以下において、デルタbは、初期値に対するb値の変化に相当する。
【0104】
剤形からの放出の測定は、米国薬局方(USP 32)の溶出試験法に記載される、パドル式撹拌機を備えた装置を用いて行った。
【0105】
フィルムの溶解時間も、米国薬局方(USP 32)の溶出試験法に記載される、パドル式撹拌機を備えた装置を用いて測定した。層の厚さが平均200μmのフィルムをスライドフレーム(35×23mm)の中にクランプした後、放出機器の専用デバイスを用いて浸漬した。スライドフレームの方向は放射状とし、液体の表面からの距離は3cmとした。パドル式撹拌機を50rpmで回転し、媒体0.08N-HClの容量を900mlとし、媒体温度を37℃とした。溶解時間はフィルムが完全に溶解する時間とする。
【0106】
実施例1
【表1】

【表2】

【表3】

【0107】
実施例2
コーティングされたカフェイン錠剤50mg
【表4】

【表5】

【表6】

【0108】
結果:
【表7】

【表8】

【表9】

【0109】
実施例3
コーティングされた硫酸キニーネ錠剤100mg
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【0110】
実施例3
コーティングされたプソイドエフェドリンHCl錠剤50mg
【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【0111】
実施例4
コーティングされた塩酸ロペラミド錠剤2mg
【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【0112】
実施例5
コーティングされたパラセタモール錠剤500mg
【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【0113】
実施例6
コーティングされたカフェインペレット
【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【0114】
実施例7
コーティングされたプロプラノロールペレット
【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【0115】
実施例8
コーティングされたパラセタモール結晶0.2〜0.5mm
【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【0116】
実施例9〜22
以下に記載のフィルムコーティングを、実施例2の錠剤コア上にそこに記載の方法により施した。
【表44】

【0117】
処方9〜22はすべて、実施例2のように保存後の放出において明確な安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 成分Aとして、
a) N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び
b) α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選択される、少なくとも一種のラジカル重合性化合物
からラジカル重合により得られるポリマー、
ii) 成分Bとして一種又は複数の抗酸化剤、
iii) 成分Cとして一種又は複数の可塑剤、並びに
iv) 成分Dとして他の添加剤
の混合物を含有し、成分A〜Dの混合物の総量が100重量%であるコーティング材料。
【請求項2】
i) 20〜90重量%の成分A、
ii) 0.1〜30重量%の成分B、
iii) 2〜30重量%の成分C、
iv) 0〜70重量%の成分D
の混合物を含有する、請求項1に記載のコーティング材料。
【請求項3】
i) 30〜85重量%の成分A、
ii) 0.3〜20重量%の成分B、
iii) 3〜25重量%の成分C、
iv) 0〜60重量%の成分D
の混合物を含有する、請求項1又は2に記載のコーティング材料。
【請求項4】
i) 40〜80重量%の成分A、
ii) 0.5〜12重量%の成分B、
iii) 4〜20重量%の成分C、
iv) 1〜50重量%の成分D
の混合物を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング材料。
【請求項5】
成分Aとして、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートのポリマーを含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング材料。
【請求項6】
成分Aとして、
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
- 重合のために使用するモノマーの総重量に対して53〜57重量%のメチルメタクリレート
のポリマーを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング材料。
【請求項7】
水性ポリマーディスパージョンの形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング材料。
【請求項8】
5〜50重量%の成分A〜Dの混合物を含有する、請求項7に記載の水性形態のコーティング材料。
【請求項9】
酸性環境中で迅速に崩壊する、医薬剤形用のフィルムコーティングを生成するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング材料の使用。
【請求項10】
i) 成分Aとして、
a) N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び
c) α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選択される、少なくとも一種のラジカル重合性化合物
からラジカル重合により得られるポリマー、
ii) 成分Bとして一種又は複数の抗酸化剤、
iii) 成分Cとして一種又は複数の可塑剤、並びに
iv) 成分Dとして他の添加剤
の混合物を含有し、成分A〜Dの混合物の総量が100重量%である、医薬剤形用のフィルムコーティング。

【公表番号】特表2013−509368(P2013−509368A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535749(P2012−535749)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065848
【国際公開番号】WO2011/051155
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】