説明

医薬組成物および関連する送達方法

本明細書に記載の医薬組成物は、固形形態で、治療上有効量の治療薬、および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩、ならびに例えば、ヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリルあるいはそれらの組み合わせ等の疎水性媒体の混合物を含む、懸濁液を含む。本明細書に記載の医薬組成物は、中鎖脂肪酸塩を含有し、実質的にアルコールを含まない。医薬組成物は、カプセルに封入されてもよい。そのような組成物を罹患した披験者に投与することによって、疾患を治療または予防する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2008年9月17日に出願された米国出願番号第61/097,716号、2008年12月31日に出願された米国出願番号第61/141,686号、および2009年3月18日に出願された米国出願番号第61/161,387号の優先権を主張し、それぞれ、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、送達、例えば、経口投与の向上を可能にする、医薬組成物、およびそのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
対象となる物質を、生物学的障壁を越えて効率的に輸送可能にする技術は、バイオテクノロジーおよび医薬の分野において重大な関心事である。例えば、そのような技術は、多様な異なる物質を、密着結合によって調節される生物学的障壁(すなわち、腸および呼吸上皮を含む粘膜上皮、および血液−脳壁、鼻腔膜、角膜、および他の眼膜、ならび尿生殖器膜を含む血管上皮)を越えて輸送するために使用することができる。特に、より侵襲性の高い投与手段の使用を回避し、したがって、患者の便宜およびコンプライアンスを向上させるための治療薬剤の経口送達に大きな関心がある。
【0004】
多様な薬物送達媒体、特に、リポソーム、脂肪もしくはポリマーナノ粒子、およびマイクロエマルジョンが採用されている。これらは、主にそれらが提供する保護作用によって、ある種の薬物の経口バイオアベイラビリティを向上させている。しかしながら、大部分の関連薬物については、バイオアベイラビリティは極めて低いままであり、最小限の治療目標を達成することができていない。
【0005】
したがって、様々な治療薬剤、例えば、ペプチドおよびポリペプチド、マクロ分子薬物、ならびにバイオアベイラビリティの低い小分子を含む他の治療薬剤の非侵襲的送達のために様々な生物学的障壁を標的とする効率的、特異的、非侵襲的、低リスクの手段が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、披験者におけるある種の治療薬剤の吸収が、本明細書に記載の組成物中で投与される場合、向上できることを発見した。例えば、1つもしくは複数の実施形態に従って、製剤において投与される治療薬剤は、類似経路を介して投与されるが、本明細書に記載の中鎖脂肪酸塩成分を実質的に含まないか、または本明細書に記載の中鎖脂肪酸塩成分を少量有する組成物における同一の治療薬剤と比べてバイオアベイラビリティ(BA)の向上を呈する。そのような相対BAの向上は、少なくとも約1.5−、2−、3−、5−、10−、50−または100倍であり得る。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、低いまたはゼロ経口バイオアベイラビリティおよび/または吸収によって一般的に特徴付けられる、治療薬の胃腸(GI)管の吸収を向上させる。これらの治療薬剤は、例えば、水溶液において、および当該技術分野において知られる他の経口製剤において、低いまたはゼロバイオアベイラビリティを有し得る。少なくとも1つの態様において、本明細書に記載の組成物は、GI壁/障壁の透過性を増強することによって、薬物分子に対するバイオアベイラビリティを向上させる。例えば、本明細書に記載の組成物は、主にGI上皮細胞間の密着結合の開封を介して、GI壁/障壁に浸透させることによって、吸収を促進し得るが、細胞間吸収によっても機能し得る。
【0007】
本発明者らは、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬剤および中鎖脂肪酸塩(および他の成分−以下を参照)を含む、水溶性組成物を調製することと、水溶性組成物を乾燥させて(例えば、凍結乾燥によって)、固形粉末を得ることと、凍結乾燥させた物質(固形粉末)を疎水性(油性)媒体、好ましくはヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリル(他の成分、例えば、PVPおよび界面活性剤、ならびに粘度修正剤を含む−以下を参照)に懸濁させて、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を固形形態で含有する懸濁液を生成し、それによって、中鎖脂肪酸塩を少なくとも10重量%含有すべきバルク薬剤製品を精製することと、を伴う、医薬組成物(バルク薬剤製品)を生成するためのプロセスを考案した。この固形形態は、粒子を含み得る(例えば、本質的に粒子で構成される)か、または粒子で構成される。その粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。次に、バルク薬剤製品は、pH感受性の被膜によってコーティングされるカプセルに封入されてもよく、経口送達に使用され得る。特許請求される製剤を生成するための典型的なプロセスを図1に示し、ここでインスリンは、医薬品有効成分(API)として例証され、中鎖脂肪酸塩は、オクタン酸ナトリウム(Na−C8)であり、カプリル酸ナトリウムとも呼ばれる。
【0008】
本発明は、経口投与のモデルである、腸への製品の送達、および高いバイオアベイラビリティを伴う腸から血流への送達を証明する。
【0009】
したがって、1つの態様において、本発明は、組成物を特徴とする。組成物は、治療薬剤および実質的に疎水性の媒体、好ましくは、ヒマシ油に関連付けられる中鎖脂肪酸塩を含み、治療薬剤およびその中鎖脂肪酸塩は、固形形態であり、例えば、粒子等の同一固形形態であり、水性媒体から乾燥させることによって、例えば、水性媒体を凍結乾燥させることによって得られ、中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上、好ましくは、12〜15%、例えば、約12%、約13%、約14%、または約15%、あるいは約16%、もしくは約17%で存在し、組成物は、(本明細書で記載のとおり)他の成分を含有するが、「膜流動化剤」を実質的に含まない。「膜流動化剤」は、様々な線状、分岐、芳香族、および環状中鎖アルコール、特に、ゲラニオールおよびオクタノールとして定義される。
【0010】
発明の本組成物は、乳剤ではない。本組成物のほぼすべては、油性懸濁液であり、組成物中の水の量は極めて低く、懸濁液ではない本組成物のうちのいくつかは、高い量(約78%オクタン酸)を組み込み、溶液である。
【0011】
本発明の組成物において、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、実質的に疎水性の媒体と密接している。例えば、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を含む粉末は、実質的に疎水性の媒体中で被膜、浸漬、または懸濁させる。
【0012】
この生成プロセス中に、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩、ならびに他の成分を含有する水性媒体を乾燥させて(例えば、凍結乾燥によって)、粉末(例えば、多数の粒子を含む固形形態)である親水性画分を得、当該粉末における粒子は、すべての成分を含有し、すなわち、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、ともに単一粒子内にある。この固形形態は、例えば、顆粒化した粒子または凍結乾燥した粒子である。
【0013】
一部の実施形態において、治療薬剤は、ペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、および小分子から成る群から選択される。治療薬剤は、タンパク質であり得る。例えば、治療薬剤は、インスリンであり得る。他の実施形態において、治療薬剤は、ポリヌクレオチド、例えば、DNAまたはRNA化合物である。一部の実施形態において、治療薬剤は、小分子、低溶解性薬物、または高結晶性薬物である。治療薬剤は、成長ホルモンであり得る。少なくとも1つの実施形態において、治療薬剤はテリパラチドである。一部の実施形態において、治療薬剤は、ロイプロリドまたはアレンドロネート、またはオクトレオチドであり得る。
【0014】
一部の実施形態において、組成物は、多数の中鎖脂肪酸塩およびそれらの誘導体を含む。例えば、固形粒子は、多数の中鎖脂肪酸塩およびそれらの誘導体をさらに含み得る。
【0015】
一部の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、およびテトラデカン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される。1つもしくは複数の実施形態に従って、組成物は、実質的にドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、およびテトラデカン酸ナトリウムを含まない。一部の実施形態において、中鎖脂肪酸は、オクタン酸ナトリウムであり、オクタン酸ナトリウムは、約10%、例えば、約11%〜約50重量/重量(wt/wt)%の濃度で存在する。
【0016】
一部の実施形態において、実質的に疎水性の媒体は、トリグリセリドを含む。例えば、トリグリセリドは、トリブチル酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、およびトリカプリル酸グリセリルから成る群から選択され得る。
【0017】
一部の実施形態において、実質的に疎水性の媒体は、鉱物油、ヒマシ油、オリーブ油、コーン油、ココナッツ油、ピーナッツ油、大豆油、綿実油、またはキャノーラ油、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
一部の実施形態において、水溶性組成物は、中鎖脂肪酸塩を含み、疎水性媒体は、対応する中鎖脂肪酸を含有し、一部の特定実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、オクタン酸の塩、例えば、オクタン酸ナトリウムであり、中鎖脂肪酸は、オクタン酸である。
【0019】
一部の実施形態において、水溶性組成物は、中鎖脂肪酸塩を含有し、疎水性媒体は、対応する中鎖モノグリセリドまたは対応する中鎖トリグリセリド、あるいはそれらの組み合わせを含有し、一部の特定実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、オクタン酸ナトリウムであり、モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルであり、トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである。
【0020】
一部の実施形態において、組成物は、1つもしくは複数の賦形剤をさらに含む。賦形剤は、塩、例えば、MgClであり得るか、またはアミン含有化合物、あるいはマンニトールであり得る。一部の実施形態において、賦形剤は、治療薬剤と同一の固形形態である。
【0021】
一部の実施形態において、賦形剤は安定剤である。発明者らは、ポリビニルピロリドン(PVP)、特にPVP−12は、当該技術分野において安定剤として知られているが、本発明の製剤において、それは、透過性増強剤が治療薬剤の吸収に及ぼす影響を増大させる働きをすることを予期せず発見した。
【0022】
一部の実施形態において、組成物は、1つもしくは複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、界面活性剤は、モノパルミチン酸ソルビタン(Span−40(登録商標))、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)、レシチン、およびモノオレイン酸グリセリル(GMO)から成る群から選択され得る。1つもしくは複数の実施形態において、界面活性剤は、組成物の約0.1重量%〜約6重量%を含む。
【0023】
好適な実施形態において、組成物は、経口投与形態である。例えば、組成物は、ハードまたはソフトカプセルに充填され得る。一部の実施形態において、組成物は、坐薬の形態である。1つもしくは複数の実施形態に従って、組成物は、浣腸フリートの形態であり得る。
【0024】
一部の実施形態において、治療薬剤のバイオアベイラビリティは、披験者に投与される場合、非経口(皮下または静脈内)投与に対して少なくとも1.5〜2%である。一部の実施形態において、組成物は、披験者に投与されると、生物学的障壁を越える治療薬剤の2%、3%、5%、10%、または20%、あるいは30%を超える吸収を提供する。達成された吸収のレベルは、懸念される兆候に必要な治療レベルをもたらす。
【0025】
一態様において、本発明は、披験者における疾患を治療する方法を特徴とする。当該方法は、本明細書に記載の組成物のうちのいずれか1つを披験者に投与することを含む。
【0026】
一部の実施形態において、組成物は、経口的に投与される。他の実施形態において、組成物は、直腸的、舌下的、または頬側投与によって投与される。
【0027】
一部の実施形態において、疾患は貧血症であり得る。1つもしくは複数の実施形態にしたがって、疾患は骨粗鬆症である。疾患は、女性不妊症であり得る。他の実施形態において、疾患は、成長不全または成長ホルモン欠乏症である。少なくとも1つの実施形態において、疾患はHIV関連体重減少または消耗、末端肥大症または糖尿病である。
【0028】
一部の実施形態において、治療薬剤はオクトレオチドであり、疾患は、末端肥大症、異常GI運動、胃不全麻痺、下痢、または門脈高血圧症である。
【0029】
一部の実施形態において、本方法は、懸濁液を封入してカプセルを形成することを含み得る。本方法は、カプセルをコーティングすることをさらに含み得る。
【0030】
一部の実施形態において、本方法は、カプセルを披験者に投与するための使用説明書を提供することを含み得る。使用説明書は、本明細書に記載される任意の兆候に対して、カプセルを披験者に投与することに関連し得る。一態様において、本発明は、本明細書に記載される任意の兆候に対して、カプセルを披験者に投与することに関する使用説明書を提供されたカプセルを特徴とする。
【0031】
さらに他の態様、実施形態、およびこれらの典型的な態様および実施形態の利点は、以下で詳述される。さらに、前述の情報および以下の詳細な記述はいずれも、様々な態様および実施携帯の単なる例証的実施例であり、特許請求される態様および実施形態の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、様々な態様および実施形態の説明およびさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ本明細書の一部を構成する。これらの図面は、明細書の残りと併せて、説明および特許請求される態様および実施形態の原理および作用を説明する働きをする。
【0032】
本出願全体において、米国特許を含む様々な出版物は、著者および年別に参照され、特許および出願は番号別に参照される。これらの出版物および特許ならびに特許出願の開示は、本発明が関連する最高技術をより完全に説明するために、参照することによってその全体が本出願に組み込まれる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様は、添付の図面を参照して以下に論じられる。一定の縮尺で描写されるものではない図面において、様々な図面において示される同一または略同一の構成要素は、それぞれ同様の数字で表される。明確にする目的で、すべての構成要素がすべての図面で標識され得るわけではない。図面は、例証および説明の目的で提供され、本発明の制限の定義として意図されるものではない。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】付随する実施例において参照されるように、1つもしくは複数の実施形態に従って、組成物のインスリン製剤を生成するためのプロセスを示す。
【図2】付随する実施例3〜6において参照されるデータを示す。
【図3】付随する実施例3〜6において参照されるデータを示す。
【図4】付随する実施例3〜6において参照されるデータを示す。
【図5】付随する実施例3〜6において参照されるデータを示す。
【図6】付随する実施例8において参照されるデータを示す。
【図7】付随する実施例33において参照される分子量マーカー透過性データを示す。
【図8】付随する実施例34において参照される経時透過性データを示す。
【図9】付随する実施例35において参照されるサルへのオクトレオチドの投与に関するデータを示す。
【図10】付随する実施例35において参照されるサルへのオクトレオチドの投与に関するデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書に記載される組成物を披験者に投与して、治療薬剤のバイオアベイラビリティの向上をもたらすことができる。
【0036】
医薬組成物:本明細書に記載される医薬組成物は、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を含み、実質的に疎水性の媒体と密接するか、または密接に混合する。例えば、治療薬剤および中鎖脂肪酸またはそれらの誘導体は、懸濁液を形成する実質的に疎水性の媒体によってコーティング、懸濁、噴霧、または浸漬され得る。本発明の組成物は、乳化剤ではない。これらの組成物のほぼすべては、油性懸濁液であり、これらの組成物中の水の量は極めて低く、懸濁液でない本組成物のうちのいくつかは、高い量(約78%オクタン酸)を含み、視覚分析によると溶液である。懸濁液は、固形物質を含む液体懸濁液であり得るか、または固形物質を含む半固形懸濁液(軟膏)であり得る。
【0037】
本明細書に記載の組成物の多くは、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、中鎖脂肪酸塩は、約10重量%以上の量で組成物中に存在する。この固形形態は、粒子を含み得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。その粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。一部の実施形態において、好ましくは粉砕後に、粒子の90%(v/v)は130ミクロン以下であり、粒子の50%(v/v)は45ミクロン以下である。
【0038】
カーゴ化合物は、治療薬剤(例えば、インスリン)であるか、または試験化合物(例えば、高分子量デキストラン)であり、本発明の組成物内で本明細書に記載のとおり製剤化される。
【0039】
本発明者らは、特に、ヒト使用に関して入手可能なデータ、動物安全性、および規制ガイドラインに基づいて、本発明の組成物の多くに、一般に安全であると認められる賦形剤(例えば、GRAS賦形剤)のみを含めた。本発明の一部の組成物は、他の種類の賦形剤(例えば、非GRAS)を有し得る。一部の実施形態において、本発明の組成物は、各特定賦形剤に対するそのような入手可能なデータに記載されるとおり、最大日用量内である賦形剤の量を有する。
【0040】
中鎖脂肪酸塩は、一般に、治療薬剤の透過性および/または吸収を促進または増強し得る。一部の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、中鎖脂肪酸塩の誘導体を含む。治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、固形形態であり、例えば、凍結乾燥した粒子、顆粒化した粒子、ペレット、または小球体等の固形粒子である。好適な実施形態において、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、いずれも同一固形形態であり、例えば、いずれも同一粒子内にある。他の実施形態において、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、それぞれ異なる固形形態、例えば、それぞれ個別の粒子内にあり得る。本明細書に記載される組成物は、線状、分岐、芳香族、および環状中鎖アルコール、特に、ゲラニオールおよびオクタノールとして定義される任意の「膜流動化剤」を実質的に含まない。例えば、これらの組成物は、好ましくは、膜流動化剤を含まないが、特定の実施形態は、例えば、1重量%未満、または0.5重量%未満、あるいは0.1重量%未満の膜流動化剤を含み得る。
【0041】
水が製剤の必須成分である乳化剤とは異なり、本明細書に記載される組成物は、治療薬剤を含有する粒子等の固形形態を提供し、次に、疎水性(油性)媒体と混合される。これらの組成物中の水の量は、一般に、3重量%未満、通常は約2重量%未満、または約1重量%以下である。
【0042】
本明細書に記載される組成物は、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液であり、その固形形態は、治療上有効量の治療薬剤および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含む。この固形形態は、粒子であり得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。その粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。中鎖脂肪酸塩は、一般に、本明細書に記載される組成物中に、10重量%以上の量で存在する。特定の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、組成物中に、10重量%〜50重量%、好ましくは11重量%〜18重量%、または約11重量%〜17重量%、あるいは12重量%〜16重量%、もしくは12重量%〜15重量%、または13重量%〜16重量%、あるいは13重量%〜15重量%、もしくは14重量%〜16重量%、または14重量%〜15重量%、あるいは15重量%〜16%、もしくは最も好ましくは15重量%または16重量%の量で存在し、中鎖脂肪酸は、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは8個、9個、または10個の炭素原子の鎖長を有する。
【0043】
一部の実施形態において、上述される組成物中の治療薬剤を含む固形形態は、安定剤も含む(例えば、タンパク質構造の安定剤)。タンパク質構造の安定剤は、水性または非水性条件下でタンパク質構造を安定させるか、または例えば、凍結乾燥等の乾燥プロセス、あるいは他の処理段階中の治療薬剤の凝集を低減または回避できる化合物である。構造の安定剤は、フィチン酸等の多価陰イオン分子、Ca、Zn、またはMg等の多価イオン、二糖類(例えば、トレハロース、マルトース)またはオリゴ糖あるいはデキストリンまたはデキストラン等の多糖類等の糖類、もしくはマンニトール等の糖アルコール、またはグリシン等のアミノ酸、あるいはスペルミン等の多価陰イオン分子、もしくはポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸(Tween80)またはプルロン酸等の界面活性剤であり得る。マンニトール、メチルセルロース、およびポリビニルアルコール等の非負荷ポリマーも適切な安定剤である。
【0044】
ポリビニルピロリドン(PVP)は、当該技術分野において安定剤として知られているが、発明者らは、本明細書に記載される発明の製剤において、PVP、特にPVP−12は、相乗様式で、透過性増強剤の影響を増大させる働きをし、向上した製剤の活性に起因して、PVP−12のレベルを10%まで高め、治療薬剤の血液への吸収を高めることを予期せず発見した。発明者らは、デキストランが、PVPが及ぼした作用と類似する(が低い)作用を有することを証明した。他のマトリクス形成ポリマーは、類似作用を有する。
【0045】
一部の実施形態において、例えば、治療薬剤が小分子である場合、バルク薬剤、例えば、マンニトールまたはグリシンを添加してもよい。
【0046】
本明細書に記載される組成物の特定の実施形態において、治療薬剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、グリコサミノグリカン、小分子、多糖類、または特にオクトレオチド等のポリヌクレオチド、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンアミノ酸1〜34[テリパラチドと呼ばれるPTH(1〜34)]、低分子量ヘパリン、または特にフォンダパリヌクスである。低分子量ヘパリンは、8000Da未満の平均分子量を有するヘパリン塩として定義され、すべての鎖の少なくとも60%は、8000Da未満の分子量を有する。
【0047】
本明細書に記載される組成物の特定実施形態において、脂肪酸の塩はオクタン酸ナトリウムであり、疎水性媒体はヒマシ油であり、別の特定実施形態において、組成物は、モノオレイン酸グリセリルおよびモノパルミチン酸ソルビタンまたはモノカプリル酸グリセリルおよびトリカプリル酸グリセリル、およびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンさらに含み、別の特定実施形態において、組成物は、トリブチル酸グリセリル、レシチン、イソ吉草酸エチル、および少なくとも1つの安定剤をさらに含む。特定の実施形態において、治療薬剤は、特にオクトレオチド、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、テリパラチド、インターフェロン−α(IFN−α)、低分子量ヘパリン、フォンダパリヌクス、siRNA、ソマトスタチンおよびペプチド模倣体を含むその類似体(作動体)、エクセナチド、バンコマイシン、またはゲンタマイシンである。
【0048】
治療薬剤:
本明細書に記載される医薬組成物は、多様な治療薬剤(医薬品有効成分=APIとも呼ばれる)と併用することができる。一部の実施形態において、医薬組成物は、多数の治療薬剤(エフェクタ)を含む。治療薬剤は、同一の固形形態(例えば、同一の粒子内)であり得るか、または治療薬剤は、それぞれ独立した固形形態(例えば、それぞれ異なる粒子内)であり得る。一部の実施形態において、治療薬剤は、粒子、例えば、顆粒化粒子または固形形態粒子の形態である。該粒子は、実質的に疎水性の媒体、例えば、本明細書に記載される疎水性媒体と混合されるか、または密接している。
【0049】
本明細書に記載される組成物に使用できる治療薬剤は、例えば、生物学的薬剤、治療薬剤、医薬、または撮像剤を含む診断薬剤として機能する、任意の分子または化合物を含む。これらの治療薬剤は、米国薬局方および他の知られている薬局方にリストされているものを含むが、それらに限定されない薬物および他の薬剤を含む。治療薬剤は、任意の化学修飾なしに、本発明の製剤に組み込まれる。治療薬剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、多糖類、および小分子を含む。
【0050】
「小分子」という用語は、合成的に生成され得るか、または天然資源から得られてもよく、通常、2000Da未満、または1000Da未満、あるいはさらに600Da未満、例えば、約550Da以下、または約500Da以下、あるいは約400Da以下、もしくは約400Da〜約2000Da、または約400Da〜約1700Daの分子量を有する、低分子量の有機化合物を意味すると理解される。小分子の実施例は、エルゴタミン(分子量=582Da)、フォンダパリヌクス(分子量=1727Da)、ロイプロリド(分子量=1209Da)、バンコマイシン(分子量=1449Da)、ゲンタマイシン(分子量=478Da)、およびドキソルビシン(分子量=544)である。
【0051】
「ポリヌクレオチド」という用語は、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、または特に塩基グアニジン、シトシン、チミジン、アデニン、ウラシル、またはイノシンのうちの2つ以上を含む、両種類の組み合わせを意味する。ポリヌクレオチドは、天然ヌクレオチド、化学修飾したヌクレオチド、および合成ヌクレオチド、またはそれらの化学類似体を含んでもよく、単鎖または二重鎖であり得る。当該用語は、「オリゴヌクレオチド」を含み、「核酸」を包含する。
【0052】
「低干渉RNA」(siRNA)は、その内因性または細胞性対応物の遺伝子/mRNAの発現を減少または沈静化(阻止)させる、RNA分子(リボヌクレオチド)を意味する。この用語は、「RNA干渉」(RNAi)および「二重鎖RNA」(dsRNA)を包含すると理解される。
【0053】
「ポリペプチド」は、共有結合したアミノ酸で構成される分子を意味し、この用語は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、およびペプチド模倣体を含む。ペプチド模倣体は、天然の親ペプチドの1つまたは複数の生物作用を模倣することができる、非ペプチド構造要素を含有する化合物である。酵素的に切断されるペプチド結合等の古典的なペプチド特徴の一部は、通常、ペプチド模倣体には存在しない。「アミノ酸」という用語は、20の自然発生するアミノ酸、化学修飾されたアミノ酸、または合成アミノ酸のうちのいずれか1つで構成される分子を意味する。
【0054】
「多糖類」は、共有結合した単糖類で構成される線状または分岐ポリマーを意味し、グルコースは、最も一般的な単糖であり、典型的に、多糖類には少なくとも8つ、通常はさらに多くの単糖単位が存在する。多糖類は、一般式Cx(H2O)yを有し、式中、xは通常、200〜2500の間の大きい数字である。ポリマー骨格の反復単位は、6炭素単糖類である場合が多いことを考慮して、一般式は、(C6H10O5)nと表すこともでき、式中、403000であり、すなわち、通常、一つの多糖には40〜3000の単糖単位が存在する。
【0055】
「グリコサミノグリカン」は、アミノ含有糖を含有する多糖類である。
【0056】
例示的な陰イオン治療薬剤は、様々な起源からのポリヌクレオチド、特にヒト、ウイルス、動物、真核または原核、植物、あるいは治療遺伝子送達のシステムを含む、合成起源等からのポリヌクレオチドを含む。関心のポリヌクレオチドは、多様なサイズ、例えば、単純トレースヌクレオチドから遺伝子断片まで、または全体遺伝子であり得る。ウイルス遺伝子またはプラスミドであり得る。治療薬剤として機能する例示的なポリヌクレオチドは、特定のDNAシーケンス(例えば、コーディング遺伝子)、特定のRNAシーケンス(例えば、RNAアプタマー、アンチセンスRNA、低干渉RNA(siRNA)または特異的阻害RNA(RNAi)、ポリCPG、またはポリヌクレオチドのポリI:C合成ポリマーを含む。
【0057】
代替として、治療薬剤は、例えば、酵素、ホルモン、インクレチン、プロテオグリカン、リボザイム、サイトカイン、ペプチド、アポリポタンパク質、成長因子、生物活性分子、抗原、抗体またはその抗体の断片等のタンパク質であり得る。ペプチドは、例えば、約2〜約40個のアミノ酸の小ペプチドであり得、実施例は、フィブリノゲン受容体拮抗体(約600の平均分子量を有するテトラペプチドである、RGD含有ペプチド)を含む。例示的ペプチドは、ソマトスタチンおよびその類似体、例えば、オクトレオチドおよびランレオチド(Somatuline)であり、いずれも環状オクタペプチドおよびパシレオチド(SOM−230)であり、環状ヘキサペプチドである(Weckbecker et al,2002,Endocrinology 143(10)4123−4130;Schmid,2007,Molecular and Cellular Endocrinology 286,69−74)。他の例示的ペプチドは、テトラペプチドである酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、リシンバソプレッシン(ADH)およびエクセナチドの12アミノ酸ペプチド類似体(作動体)であるテルリプレッシン、インクレチン模倣薬である39アミノ酸ペプチド、およびグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の他の類似体である(Byetta(登録商標)は、エクセナチドの商品名である(Eli Lilly and Company/Amylin Pharmaceuticals,Inc.)。他のペプチドは、ヘキサペプチドであるダラルギン、およびジペプチドであるキョトルフィンである。ペプチドは、アミノ酸が約12個以下のペプチドである、成長ホルモン放出ペプチドを含み、例えば、米国特許第4411890号(Momany)および第4839344号(Bowers et al)に開示されているペプチドを参照されたい。
【0058】
本発明の実施において使用できる他のペプチドの実施例は、Pierschbacher et alの米国特許第4589881号(30個以上のアミノ酸残基)、Bittle et alの米国特許第4544500号(20〜30個の残基)、およびDimarchi et alの欧州特許第EP0204480号(34個超の残基)に開示されているもの、およびテリパラチドである。一部の実施形態において、治療薬剤は、グリコサミノグリカン等の多糖類を含み得る。例示的なグリコサミノグリカンは、ヘパリン、ヘパリン誘導体、硫酸ヘパラン、硫酸コンドロイチン、硫酸デルマタン、およびヒアルロン酸を含む。ヘパリン誘導体の実施例には、エノキサパリン、ダルテパリン、およびチンザパリン等の低分子量ヘパリンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘパリン様作用を有する治療薬剤はフォンダパリヌクスである。
【0059】
治療薬剤の他の実施例には、インスリン等のホルモン、エリスロポエチン(EPO)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−I)、メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、テリパラチド、成長ホルモン(GH)、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、因子VIII、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ペプチドYYアミノ酸3−36(PYY(3_36))、カルシトニン、ソマトトロピン、ソマトスタチン、ソマトメジン、インターロイキン−2(IL−2)等のインターロイキン、α−1−アンチリプシン、顆粒球/単球コロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、T20、テストステロン、インターフェロンα(IFN−α)、IFN−β、およびIFN−γ等のインターフェロン、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト柔毛膜性生殖腺刺激ホルモン(hCG)、エンケファリン、ダラルギン、キョトルフィイン、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、ヒルジン、ヒルログ、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体、脳由来ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)、オキシトシン、および類似体ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
治療薬剤の他の実施例には、鎮痛剤、抗片頭痛薬、抗凝固剤、鎮吐薬、心血管薬、抗高血圧薬、および血管拡張薬、鎮静剤、麻薬拮抗薬、キレート化薬、抗利尿薬、および抗腫瘍薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
鎮痛剤には、フェンタニル、スフェタニル、ブトルファノール、ブプレノルフィン、レボルファノール、モルフィン、ヒドロモルフォン、ヒドロコデイン、オキシモルフォン、メタドン、リドカイン、ブピバカイン、ジクロフェナク、ナプロキセン、パベリン、およびそれらの類似体が挙げられる。抗片頭痛薬には、ナラトリプタン、ナプロキセン、アルモトリプタン、ブタルビタル、フロバトリプタン、スマトリプタン、リザトリプタン、アセトアミノフェン、イソメタプテン、ブトルファノール、ジクロラールフェナゾン、ジヒドロエルゴタミンおよびエルゴタミン等の麦角アルカロイド、ケトプロフェンおよびケトロラク等の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、エレトリプタン、ブトルファノール、トピラメート、ゾルミトリプタン、カフェイン、アスピリンおよびコデイン、ならびにそれらの類似体および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
抗凝固剤には、ヘパリン、ヒルジン、低分子量ヘパリンとそれらの類似体、およびフォンダパリヌクスが挙げられる。鎮吐薬には、これらに限定されないが、スコポラミン、オンダンセトロン、ドンペリドン、エトクロプラミド、およびそれらの類似体が挙げられる。心血管薬、抗高血圧薬、および血管拡張薬には、ジルチアゼム、クロニジン、ニフェジピン、ベラパミル、イソソルビド−5−一硝酸塩、有機硝酸塩、ニトログリセリン、およびそれらに類似体が挙げられるが、これらに限定されない。鎮静剤には、ベンゾジアゼイン、フェノチオジン、およびそれらの類似体が含まれるが、これらに限定されない。麻薬拮抗薬には、ナルトレキソンおよびそれらに類似体が挙げられるが、これらに限定されない。キレート化薬には、デフェロキサミンおよびそれらの類似体が挙げられるが、これらに限定されない。抗利尿薬には、デスモプレッシン、バソプレッシン、およびテルリプレッシン等のそれらの類似体(作動薬)が挙げられ(ただし、これらに限定されない)、テルリプレッシンの商品名は、グリプレッシン(登録商標)である。抗腫瘍薬には、5−フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、プロカルバジン、テモゾロミド、6−チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、ドキシルビシン、ビンカアルカロイド、エピルビシン、エトポシド、イフォスファミド、カルボプラチン、および他のプラチナベースの抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、テトラプラチン、オキサリプラチン、アロプラチン、およびトランスプラチン)、ビンブラスチン、ビノレルビン、クロラムブシル、ブスルファン、メクロレタミン、ミトマイシン、ダカルバジン、チオテパ、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、エスペラミシン A1、ダクチノマイシン、プリカマイシン、カルムスチン、ロムスチン(CCNU)、タウロムスチン、ストレプトゾシン、メルファラン、ダクチノマイシン、プロカルバジン、デキサメタゾン、プレドニゾン、2−クロロデオキシアデノシン、シタラビン、ドセタキセル、フルダラビン、ゲミシタビン、ヘルセプチン、ヒドロキシウレア、イリノテカン、メトトレキセート、リツキシン、セムスチン、トムデックスおよびポテカン、タキソールおよびタキソール様化合物、ならびにそれらの類似体および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
治療薬剤の追加実施例には、凝固因子および神経栄養因子、抗TNF抗体およびTNF受容体の断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
治療薬剤は、ビタミンB12、ビスホスホネート(例えば、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸、エチドロン酸、チルドロン酸、リセドロン酸、ゾレドロン酸、クロドロン酸ナトリウム、またはイバンドロン酸)、タキソール、カスポファンギン、またはアミノグリコシド抗生物質から成る群から選択される、医薬活性剤も含む。追加治療薬剤には、トキシン、または抗生物質等の抗病原薬(例えば、バンコマイシン)、抗ウイルス、抗真菌、または駆虫薬が挙げられる。治療薬剤は、それ自体が直接活性であり得るか、または組成物、個別の物質、または環境条件によって、in situで活性化することができる。
【0065】
一部の実施形態において、組成物は、多数の治療薬剤(配合剤)を含むことができる。例えば、組成物は、因子VIIIおよびvWF、GLP−IおよびPYY、IFN−αおよびヌクレオチド類似体(すなわち、リバビリン)、およびアレンドロン酸またはインスリンおよびGLP−1を含み得る。
【0066】
一部の実施形態において、組成物は、小分子およびペプチドまたはタンパク質を含み得る。例示的な配合は、C型肝炎の治療のためのIFN−αとヌクレオチド類似体(すなわち、リバビリン)の組み合わせ、骨疾患の治療のためのテリパラチドとアレンドロン酸の組み合わせ、ウイルス感染および付随するHIV脂肪異栄養またはAIDS消耗副作用を同時に治療するためのHIV治療(例えば、HAART)のためのGHと医薬の組み合わせ含む。2つの小分子の一方が、一般に吸収またはバイオアベイラビリティに乏しく、他方が一般に有効な吸収またはバイオアベイラビリティを有する場合であっても、2つの小分子の組み合わせ、例えば、一部の抗生物質(例えば、バンコマイシンとゲンタマイシン等のアミノグリコシドの組み合わせ)を使用することができる。糖尿病および肥満等の代謝性疾患の治療および予防のための例示的な組み合わせには、インスリンとメトフォルミン、インスリンとロシグリタゾン、GLP−I(またはエクセナチド)とメトフォルミン、およびGLP−I(またはエクセナチド)とロシグリタゾンの組み合わせも挙げられる。
【0067】
本明細書に記載のとおり製剤化されるフォンダパリヌクスによって治療され得る兆候および状態には、深部静脈血栓、股関節または膝置換、および寝たきりの患者が挙げられる。
【0068】
本明細書に記載される組成物の一部の実施形態において、組成物は、タンパク質またはペプチドと、良好な吸収またはバイオアベイラビリティを有するかまたは有しない小分子との組み合わせを含む。例えば、組成物は、一般に、吸収性またはバイオアベイラビリティに乏しいと特長付けられ得る、少なくとも1つの治療薬剤を含み得る。組成物は、胃および/または腸に吸収される、治療薬剤の投与に使用することもできるが、胃および/または腸の不快感をもたらし、したがって、忍容が困難である。そのような状況において、治療薬剤のバイオアベイラビリティが増強されるか、またはより多くの治療薬剤が直接血流に吸収される場合に、披験者は利益を享受することができ、より少量の治療薬剤が投与されると、胃および/または腸に不快感をもたらすリスクは明らかに低くなる。したがって、本発明の組成物は、2つ以上の治療薬を組成物に含むと推定される。
【0069】
一般に、組成物は、治療薬剤を約0.01重量%〜約50重量%、例えば、約0.01、0.02、0.05、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50重量%含み得る。組成物に含まれる最大量は、治療薬剤の約6重量%〜33重量%の範囲内である場合が多い。
【0070】
本明細書に記載される組成物の一部の実施形態において、治療薬剤を含む固形形態は、安定剤(例えば、タンパク質構造の安定剤)も含む。タンパク質構造の安定剤は、水性または非水性条件下でタンパク質構造を安定させるか、または例えば、凍結乾燥または他の処理段階中に、治療薬剤の凝集を低減または阻止できる化合物である。構造の安定剤は、多価陰イオン分子、例えば、フィティック酸、Ca、Zn、またはMg等の多価イオン、二糖類(例えば、トレハロース、マルトース)またはオリゴ糖あるいはデキストリンまたはデキストラン等の多糖類等の糖類、もしくはマンニトール等の糖アルコール、またはグリシン等のアミノ酸、あるいはスペルミン等の多価陽イオン分子、もしくはTween80またはSpan40等の界面活性剤、またはプルロン酸であり得る。非負荷ポリマー、例えば、メチルセルロースおよびポリビニルアルコールも適切な安定剤である。
【0071】
中鎖脂肪酸塩:
本明細書に記載される組成物は、中鎖脂肪酸の塩またはその誘導体を固形形態で含む。例えば、中鎖脂肪酸の塩は、固形粒子等の粒子の形態である。一部の実施形態において、粒子は、顆粒化粒子として特徴付けられ得る。少なくとも一部の実施形態において、固形形態は、一般に、噴霧乾燥または蒸発プロセスから生じる。好適な実施形態において、中鎖脂肪酸の塩は、治療薬剤と同様に同一の粒子内にある。例えば、治療薬剤および中鎖脂肪酸の塩は、最初に治療薬剤および中鎖脂肪酸の塩の両方を含む水溶液等の溶液を調製し、この溶液を共凍結乾燥させることによってともに調製し、治療薬剤および中鎖脂肪酸の塩(および他の成分)の両方を含む固形形態または粒子を提供することができる。上述のとおり、得られる固形粒子は、疎水性媒体と混合される。例えば、固形粒子は、疎水性媒体に懸濁または浸漬され得る。
【0072】
本明細書に記載される組成物の異なる実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、APIの粒子と同一の粒子内にあり得るか、またはAPIの粒子とは異なる粒子内にあり得る。中鎖脂肪酸が治療薬剤とは異なる粒子内にある場合、カーゴ化合物のバイオアベイラビリティは、低くなること、すなわち、中鎖脂肪酸塩およびカーゴ化合物を親水性画分中でともに溶解させた後に乾燥させると、バイオアベイラビリティが向上することがわかった。中鎖脂肪酸塩およびカーゴ化合物を親水性画分中でともに溶解させた後に乾燥させると、次に、それらは最終粉末の同一の粒子内にあると考えられる。
【0073】
中鎖脂肪酸塩は、約6〜約14個の炭素原子の炭素鎖長を有するものを含む。脂肪酸塩の実施例は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム(カプリル酸ナトリウムとも呼ばれる)、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、およびテトラデカン酸ナトリウムである。一部の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、カリウム、リチウム、アンモニウム、および他の単価陽イオンから成る群から選択される陽イオンを含有し、例えば、中鎖脂肪酸塩は、オクタン酸リチウム、またはオクタン酸カリウム、あるいはオクタン酸アルギニン、もしくは中鎖脂肪酸の他の単価塩から選択される。発明者らは、中鎖脂肪酸塩の量を増加させると、得られる製剤のバイオアベイラビリティが高まることを発見した。特に、中鎖脂肪酸塩、特にオクタン酸ナトリウムの量を10%より高く、約12%〜15%の範囲に増加させると、本明細書に記載される医薬組成物中の治療薬剤のバイオアベイラビリティが高まった。
【0074】
一般に、本明細書に記載の組成物中の中鎖脂肪酸塩の量は、バルク医薬組成物の10重量%〜最大約50重量%であり得る。例えば、中鎖脂肪酸塩は、バルク違約組成物の約10重量%〜50重量%、好ましくは約11重量%〜40重量%、最も好ましくは約11重量%〜28重量%、例えば、約12重量%〜13重量%、13重量%〜14重量%、14重量%〜15重量%、15重量%〜16重量%、16重量%〜17重量%、17重量%〜18重量%、18重量%〜19重量%、19重量%〜20重量%、20重量%〜21重量%、21重量%〜22重量%、22重量%〜23重量%、23重量%〜24重量%、24重量%〜25重量%、25重量%〜26重量%、26重量%〜27重量%、または27重量%〜28重量%の量で存在し得る。他の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、バルク違約組成物の少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約26重量%、少なくとも約27重量%、または少なくとも約28重量%の量で存在し得る。特定の実施形態において、中鎖脂肪酸塩(ナトリウム、カリウム、リチウム、またはアンモニウム塩、あるいはそれらの混合物)は、バルク医薬組成物の約12重量%〜21重量%、好ましくは11重量%〜18重量%、または約11重量%〜17重量%、あるいは12重量%〜16重量%、もしくは12重量%〜15重量%、または13重量%〜16%、あるいは13重量%〜15重量%、もしくは14重量%〜16重量%、または14重量%〜15重量%、あるいは15重量%〜16重量%、もしくは最も好ましくは15重量%または16重量%で存在する。特定の実施形態において、中鎖脂肪酸塩(約6〜約14個の炭素原子、特に8個、9個、または10個の炭素原子の炭素鎖長を有する)は、バルク医薬組成物の約12重量%〜21重量%、好ましくは11重量%〜18重量%、約11重量%〜17重量%、または12重量%〜16重量%、あるいは12重量%〜15重量%、もしくは13重量%〜16重量%、または13重量%〜15重量%、あるいは14重量%〜16重量%、もしくは14重量%〜15重量%、または15重量%〜16重量%、あるいは最も好ましくは15重量%または16重量%で存在する。特定の実施形態において、中鎖脂肪酸塩(例えば、オクタン酸の塩、スベリン酸の塩、ゲラン酸の塩)は、バルク医薬組成物の約12重量%〜21重量%、好ましくは11重量%〜18重量%、約11重量%〜17重量%、または12重量%〜16重量%、あるいは12重量%〜15重量%、もしくは13重量%〜16重量%、または13重量%〜15重量%、あるいは14重量%〜16重量%、または14重量%〜15重量%、あるいは15重量%〜16重量%、もしくは最も好ましくは15重量%または16重量%で存在する。特定の実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、固形粉末で50%〜90%、好ましくは70%〜80%の量で存在する。
【0075】
本発明の一実施形態は、本質的に疎水性媒体と固形形態の混合物で構成される懸濁液を含む組成物を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、中鎖脂肪酸塩は、ナトリウム塩ではない。この塩は、別の陽イオンの塩、例えば、リチウム、カリウム、またはアンモニウムであってもよく、アンモニウム塩が好ましい。
【0076】
マトリクス形成ポリマー:
特定の実施形態において、本発明の組成物は、疎水性媒体と固形形態の混合物を含む懸濁液を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態において、組成物は、本質的に疎水性媒体と固形形態の混合物で構成される懸濁液を含む組成物を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態において、マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である。特定の実施形態において、ポリビニルピロリドンは、組成物中に、約2重量%〜約20重量%の量、好ましくは約3重量%〜約18重量%の量、より好ましくは約5重量%〜約15重量%の量、最も好ましくは約10重量%で存在する。ある特定の実施形態において、ポリビニルピロリドンはPVP−12であり、および/または約3000の分子量を有する。他のマトリクス形成ポリマーは、本発明の組成物において類似作用を有し、そのようなマトリクス形成ポリマーは、イオン多糖類(例えば、アルギニン酸およびアルギネート)または中性多糖類(例えば、デキストランおよびHPMC)、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸誘導体、および高分子量有機アルコール(例えば、ポリビニルアルコール)を含む。
【0077】
プロテアーゼ阻害剤:
タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドの送達技術分野において、プロテアーゼ阻害剤は、通常、APIの分解を防ぐために製剤に添加しなければならないことは一般に認められている。しかしながら、本発明の製剤において、プロテアーゼ阻害剤を添加する必要はない。本発明の製剤は、活性の時間枠内で、プロテアーゼ分解に対する治療薬剤の安定性を付与すると思われ、すなわち、本発明の製剤は、一見したところ、酵素活性の環境阻害である。さらに、発明者らは、プロテアーゼ阻害剤アプロチニンを製剤に添加する実験を行ったところ、活性に対する有益な影響はなかった。プロテアーゼ阻害剤εアミノカプロン酸を製剤に添加する類似実験を行ったところ、これも活性に対する有益な影響はなかった。したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、実質的にプロテアーゼ阻害剤を含まない。
【0078】
親水性画分:
本発明の実施形態において、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を含む上記化合物を水性媒体に溶解し、次に乾燥させて粉末を生成する。この乾燥プロセスは、例えば、凍結乾燥または顆粒化によって達成され得る。得られる粉末は、「親水性画分」と呼ばれる。親水性画分において、水は、通常、6%未満の量で存在する。
【0079】
凍結乾燥は、本明細書における実施例に示されるように、および当該技術分野において知られる方法によって、例えば、Lyophilization:Introduction and Basic Principles,Thomas Jennings,published by Interpharm/CRC Press Ltd(1999、2002)において記載のとおり行われ得る。凍結乾燥物は、任意で、モルタル中で粉砕(例えば、150ミクロン以下)または研磨されてもよい。バッチ対バッチの再現性をもたらすように、工業生産中に、凍結乾燥物は、好ましくは親水性画分および疎水性媒体の混合前に粉砕する。
【0080】
顆粒化は、本明細書の実施例に示されるように、および当該技術分野において知られる方法によって、例えば、Granulation,Salman et al,eds,Elsevier(2006)およびHandbook of Pharmaceutical Granulation Technology,2ndedition,Dilip M.Parikh,ed.,(2005)に記載のとおり行われ得る。
【0081】
顆粒化プロセスにおいて、様々な結合剤、例えば、セルロース(微小結晶セルロースを含む)、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、デキストロース、スターチ、およびマンニトール、ならびに前述の2つの参照文献に記載されるような他の結合剤を使用してもよい。
【0082】
疎水性媒体:
油:上述のとおり、本明細書に記載される本明細書の組成物において、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩は、疎水性媒体と密接しているか、または混合していれる。例えば、一方または両方をコーティング、懸濁、浸漬してもよく、または他の方法で疎水性媒体と混合してもよい。適切な疎水性媒体は、例えば、脂肪族、環状、または芳香族分子を含み得る。適切な脂肪族疎水性媒体の実施例には、鉱物油、脂肪酸モノグリセリド、ジクリセリド、トリグリセリド、エーテル、エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂肪酸の実施例は、オクタン酸、デカン酸、およびドデカン酸であり、またC7およびC9脂肪酸、および二酸性酸、例えば、セバシン酸およびスベリン酸、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。トリグリセリドの実施例には、長鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、および短鎖トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油またはココナッツ油、あるいはオリーブ油であり得、短鎖トリグリセリドは、トリブチル酸グリセリルであってもよく、また中鎖トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルであり得る。モノグリセリドは、界面活性剤であると考えられ、以下に記載される。例示的なエステルには、イソ吉草酸エチルおよび酢酸ブチルを含む。適切な環状疎水性媒体の実施例は、テルペノイド、コレステロール、コレステロール誘導体(例えば、硫酸コレステロール)、および脂肪酸のコレステロールエステルが挙げられるが、これらに限定されない。芳香族疎水性媒体の非限定実施例には、安息香酸ベンジルが挙げられる。
【0083】
本明細書に記載される組成物の一部の実施形態において、疎水性媒体は、多数の疎水性分子を含むことが望ましい。本明細書に記載される組成物の一部の実施形態において、疎水性媒体は、1つもしくは複数の界面活性剤も含む(以下を参照)。
【0084】
本明細書に記載される組成物の一部の実施形態において、疎水性媒体は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、またはポリ(アクリル酸)誘導体Carbopol(登録商標)934P(C934P)等の1つもしくは複数の接着ポリマーも含む。そのような接着ポリマーは、製剤の硬化を支援し得、および/またはその粘性表面への接着を助け得る。
【0085】
表面活性剤(界面活性剤):本明細書に記載される本発明の組成物は、表面活性剤をさらに含み得る。例えば、表面活性剤は、上述されるような疎水性媒体の成分であり得、および/または表面活性剤は、例えば、治療薬剤を含む固形形態または粒子の上述されるような固形形態の成分であり得る。
【0086】
適切な表面活性剤は、イオン性および非イオン性界面活性剤を含む。イオン性界面活性剤の実施例は、レシチン(ホスファチジルコリン)、胆汁塩、および洗剤である。非イオン性界面活性剤の実施例には、モノグリセリド、クロモフォア、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Solutol HS15、またはポロキサマー、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。モノグリセリドの実施例は、モノカプリル酸グリセリル(モノオクタン酸グリセリルとも呼ばれる)、モノデカン酸グリセリル、モノラウレートグリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、およびモノオレイン酸グリセリルである。ソルビタン脂肪酸エステルの実施例には、ソルビタンモノラウレート、モノオレイン酸ソルビタン、およびモノパルミチン酸ソルビタン(Span40)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの実施例には、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。使用したモノグリセリドの市販製剤は、様々な量のジグリセリドおよびトリグリセリドも含有する。
【0087】
表面活性剤を含む本明細書に記載される組成物は、一般に、総表面活性剤の約12重量%未満を含む(例えば、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約4%未満、約2%未満、または約1%未満)。本発明の特定の実施形態において、すべての界面活性剤の合計は、約6%である。
【0088】
医薬組成物を形成する方法および生成される組成物:
本発明には、本明細書に記載される組成物を生成する方法も含まれる。したがって、本発明の一実施形態は、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬剤および中鎖脂肪酸塩(上述のとおり)を含む水溶性組成物を調製することと、水溶性組成物を乾燥させて固形粉末を得ることと、固形粉末を疎水性媒体に溶解して、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を固形形態で含有する懸濁液を生成することと、を含む、医薬組成物を生成するためのプロセスであり、医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する。
【0089】
一実施形態は、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬剤の固形粉末および中鎖脂肪酸塩を含む固形粉末を提供することと、固形粉末を疎水性媒体に懸濁させて、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を固形形態で含有する懸濁液を生成し、それによって、違約組成物を生成することと、を含む、医薬組成物を生成するためのプロセスであり、医薬組成物は、医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する。
【0090】
本明細書に記載のプロセスおよび組成物の一実施形態において、水溶性組成物は、水溶液である。特定の実施形態において、水溶性組成物の乾燥は、凍結乾燥または顆粒化によって達成される。顆粒化プロセスにおいて、乾燥する前に、結合剤を水溶性組成物に添加してもよい。特定の実施形態において、乾燥段階は、医薬組成物における含水量が、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、または約2重量%、あるいは約1重量%となるように、十分な水を除去する。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、乾燥段階は、固形粉末内の含水量が、6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または好ましくは2重量%未満となるような水の量を除去する。その含水量は通常低く、水は、凍結乾燥中に固相に吸収されてもよく、すなわち、水は、分子間結合によって維持され得る。特定の実施形態において、水溶性組成物は、さらに、例えば、メチルセルロース等の安定剤を含む。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の好適な実施形態において、疎水性媒体は、ヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリル、またはトリブチル酸グリセリル、あるいはそれらの組み合わせであり、オクタン酸をさらに含有し得、特定の実施形態において、疎水性媒体は、脂肪族、オレフィン、環状、または芳香族化合物、鉱物油、パラフィン、オクタン酸等の脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エーテルまたはエステル、あるいはそれらの組み合わせを含む。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、トリグリセリドは、長鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、好ましくは、トリカプリル酸グリセリルまたは短鎖トリグリセリド、好ましくはトリブチル酸グリセリルであり、長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油またはココナッツ油、あるいはそれらの組み合わせである。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、疎水性媒体は、ヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリル、あるいはトリブチル酸グリセリル、もしくはそれらの組み合わせまたは混合物を含み、さらにオクタン酸を含み得る。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリルまたは低分子量エステル、例えば、イソ吉草酸エチルまたは酢酸ブチルを含む。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、疎水性媒体の重量による主成分はヒマシ油であり、トリカプリル酸グリセリルをさらに含み得る。本明細書に記載されるプロセスおよび組成物の特定の実施形態において、疎水性媒体の重量による主成分はトリカプリル酸グリセリルであり、ヒマシ油をさらに含み得る。
【0091】
基本製剤は、実施形態として提供され、疎水性媒体は、本質的に、ヒマシ油、モノオレイン酸グリセリル、およびトリブチル酸グリセリルで構成され、基本製剤のさらなる実施形態において、親水性画分は、本質的に、治療薬剤、PVP−12およびオクタン酸ナトリウムで構成される。
【0092】
特定の製剤は、実施形態として提供され、疎水性媒体は、本質的に、トリカプリル酸グリセリル、ヒマシ油、モノカプリル酸グリセリル、およびTween80で構成され、親水性画分は、本質的に、治療薬剤(例えば、オクトレオチド)、PVP−12およびオクタン酸ナトリウムで構成される。別の特定製剤は、実施形態として提供され、疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリル、ヒマシ油、モノカプリル酸グリセリル、およびTween80を含み、親水性画分は、治療薬剤(例えば、オクトレオチド)、PVP−12、およびオクタン酸ナトリウムを含む。特定の実施形態において、疎水性媒体は、本質的に、トリカプリル酸グリセリルで構成され、特定の実施形態において、ヒマシ油および/またはモノカプリル酸グリセリルをさらに含む。
【0093】
特定の実施形態において、組成物は、疎水性媒体および固形形態の混合物で構成される懸濁液を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態において、疎水性媒体は、本質的に、ヒマシ油、モノオレイン酸グリセリル、およびトリブチル酸グリセリルで構成されるか、または疎水性媒体は、本質的に、トリカプリル酸グリセリルおよびモノカプリル酸グリセリルで構成されるか、または疎水性媒体は、本質的に、ヒマシ油、トリカプリル酸グリセリル、およびモノカプリル酸グリセリルで構成される。特定の実施形態において、疎水性媒体は、トリグリセリドおよびモノグリセリドを含み、ある特定の実施形態において、モノグリセリドは、トリグリセリドと同一の脂肪酸ラジカルを有する。これらの実施形態のある特定の実施形態において、トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルであり、モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルである。特定の実施形態において、水溶性組成物中の中鎖脂肪酸塩は、中鎖モノグリセリドまたは中鎖トリグリセリドと同一の脂肪酸ラジカル、またはそれらの組み合わせを有する。これらの実施形態のいずれかにおいて、中鎖脂肪酸塩は、カプリル酸ナトリウム(オクタン酸ナトリウム)であり、モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルであり、トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである。
【0094】
本明細書に記載される組成物の多くは、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液を含み、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で組成物中に存在する。この固形形態は、粒子であり得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。その粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。
【0095】
特定の実施形態において、製剤は、本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液で構成され、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、および約10〜20%、好ましくは15%中鎖脂肪酸塩、好ましくはオクタン酸ナトリウム、および約5〜10%、好ましくは10%PVP−12を含み、疎水性媒体は、全体の約20〜80%であり、疎水性媒体は、好ましくは30〜70%トリグリセリド、好ましくは、トリカプリル酸グリセリル、またはトリブチル酸グリセリル、あるいはヒマシ油またはそれらの組み合わせ、約3〜10%界面活性剤、好ましくは約6%界面活性剤、好ましくはモノカプリル酸グリセリルおよびTween80、および約1%水を含み、特定の実施形態において、治療薬剤は、33%未満、または25%未満、あるいは10%未満、もしくは1%未満、または0.1%未満の量で存在する。この固形形態は、粒子であり得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。その粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。特定の実施形態において、固形形態は、粒子であってもよく、凍結乾燥または顆粒化によって生成されてもよい。
【0096】
さらなる実施形態において、製剤は、本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液で構成され、この固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、および約10〜20%、好ましくは15%中鎖脂肪酸塩、好ましくはオクタン酸ナトリウム、および約5〜10%、好ましくは10%PVP−12を含み、疎水性媒体は、約20〜80%、好ましくは30〜70%中鎖または短鎖トリグリセリド、好ましくはトリカプリル酸グリセリルまたはトリブチル酸グリセリル、約0〜50%好ましくは0〜30%ヒマシ油、約3〜10%界面活性剤、好ましくは約6%界面活性剤、好ましくはモノカプリル酸グリセリルおよびTween80、および約1%水を含み、特定の実施形態において、治療薬剤は、33%未満、または25%未満、または10%未満、または1%未満、または0.1%未満の量で存在する。
【0097】
特定の実施形態において、製剤は、本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液で構成され、固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、および約15%オクタン酸ナトリウム、および約10%PVP−12を含み、疎水性媒体は、約41%トリカプリル酸グリセリル、約27%ヒマシ油、約4%モノカプリル酸グリセリル、約2%Tween80、約1%水および1%以下の治療薬剤を含み、治療薬剤がオクトレオチドである場合は、それは約0.058%で存在する。
【0098】
別の特定実施形態において、製剤は、本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液で構成され、この固形形態は、治療上有効量の治療薬剤、および15%オクタン酸ナトリウム、および約10%PVP−12を含み、疎水性媒体は、約68%トリカプリル酸グリセリル、約4%モノカプリル酸グリセリル、約2%Tween80、約15%オクタン酸ナトリウム、約10%PVP−12、約1%水、および1%未満の治療薬剤を含み、治療薬剤がオクトレオチドである場合は、それは約0.058%で存在する。
【0099】
一実施形態は、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む、懸濁液を含む組成物であり、この固形形態は、治療上有効量のオクトレオチドおよび中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、さらなる実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、組成物において、10重量%以上、好ましくは15重量%の量で存在し、さらなる実施形態において、固形形態は、さらにマトリクス形成ポリマーを含む。さらなる実施形態において、マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である。特定の実施形態において、マトリクス形成ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、ポリビニルピロリドンは、組成物において、約2重量%〜約20重量%、好ましくは約10重量%の量で存在する。特定の実施形態において、ポリビニルピロリドンは、PVP−12であり、および/またはポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する。特定の実施形態において、疎水性媒体は、本質的に、トリカプリル酸グリセリルで構成され、固形形態は、さらにPVP−12およびオクタン酸ナトリウムで構成される。さらに特定の実施形態において、疎水性媒体は、さらにヒマシ油またはモノカプリル酸グリセリル、あるいはそれらの組み合わせ、および界面活性剤で構成される。さらに特定の実施形態において、疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、およびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)で構成される。さらなる実施形態において、固形形態は、本質的に、オクトレオチド、PVP−12、およびオクタン酸ナトリウムで構成される。特定の実施形態において、組成物は、約41%のトリカプリル酸グリセリル、約27%ヒマシ油、約4%モノカプリル酸グリセリル、約2%Tween80、約15%オクタン酸ナトリウム、約10%PVP−12、約1%水、および約0.058%オクトレオチドを含有する。別の特定実施形態において、組成物は、約68%のトリカプリル酸グリセリル、約4%モノカプリル酸グリセリル、約2%Tween80、約15%オクタン酸ナトリウム、約10%PVP−12、約1%水、および0.058%オクトレオチドを含有する。
【0100】
上記製剤のすべてにおいて、引用したパーセンテージは、重量/重量であり、固形形態は粒子であり得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。これらの粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。
【0101】
通常の保管条件下で、本発明の製剤内の治療薬剤は、長期間にわたって安定する。製剤の化学的および物理的状態は、安定している。一旦腸に投与されると、治療薬剤は、製剤がオイルベースであるため、GI環境による損傷から保護され、したがって、個別の局部環境が腸内に形成され、治療薬剤は油滴内に含有され、これが生体内で安定性を付与する。
【0102】
特定の実施形態において、このプロセスは、本質的に、治療薬剤および中鎖脂肪酸、ならびに疎水性媒体で構成される、組成物を生成する。本発明の実施形態において、固形粉末(固形形態)は、本質的に、治療薬剤および中鎖脂肪酸塩で構成される。本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載されるプロセスによって生成される医薬組成物である。特定の医薬組成物において、治療薬剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、グリコサミノグリカン、多糖類、小分子、またはポリヌクレオチドであり、特定の実施形態において、治療薬剤は、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、テリパラチド、インターフェロン−α(IFN−α)、低分子量ヘパリン、ロイプロリド、フォンダパリヌクス、オクトレオチド、エクセナチド、テルリプレッシン、バンコマイシン、またはゲンタマイシンである。本発明の特定実施形態は、医薬組成物を含む経口投与形態を含み、特に、経口投与形態は腸溶コーティングされる。本発明のさらなる実施形態は、本発明の組成物を含有するカプセルを含み、様々な実施形態において、カプセルはハードゲルまたはソフトゲルカプセルであり、一般に、カプセルは腸溶コーティングされる。本発明の他の実施形態は、医薬組成物を含む直腸投与形態、特に坐薬または頬側投与形態を含む。使用説明書および投与形態を含むキットも想定される。
【0103】
治療薬剤または中鎖脂肪酸塩、あるいは治療薬剤と他の成分との任意の組み合わせ、例えば、タンパク質安定剤は、混合物の溶液中で調製することができ(例えば、水溶液または混合液を形成する)、併せて凍結乾燥させた後、疎水性媒体に懸濁することができる。組成物の他の成分は、任意で、凍結乾燥するか、または固形物質の再構築中に添加することもできる。
【0104】
一部の実施形態において、例えば、中鎖脂肪酸塩、安定剤、および/または表面活性剤等の1つもしくは複数の追加成分を含む混合液に治療薬剤を溶解し、溶媒を除去して、得られる固形粉末(固形形態)を提供し、それを疎水性媒体に懸濁させる。一部の実施形態において、治療薬剤および/または中鎖脂肪酸塩は、顆粒化粒子に形成されてもよく、次に、疎水性媒体と混合される(例えば、疎水性媒体に懸濁されるか、または疎水性媒体でコーティングされる)。一般に、本明細書に記載される組成物は、実質的に、「膜流動化剤」、例えば、中鎖アルコールを含まない。
【0105】
「膜流動化剤」は、4〜15個の炭素原子(例えば、5〜15個、5〜12個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個の炭素原子を含む)の炭素鎖長を有する中鎖アルコールとして定義される。例えば、膜流動化剤は、線状(例えば、飽和または不飽和)、分岐(例えば、飽和または不飽和)、環状(例えば、飽和または不飽和)、あるいは芳香族アルコールであり得る。適切な線状アルコールの実施例には、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、およびペンタデカノールが挙げられるが、これらに限定されない。分岐アルコールの実施例には、ゲラニオール、ファルネソール、ロジノール、シトロネロールが挙げられるが、これらに限定されない。環状アルコールの実施例は、メントール、テルピネオール、ミルテノール、ペリリル、およびアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。適切な芳香族アルコールの実施例には、ベンジルアルコール、4−ヒドロキシケイ皮酸、チモール、スチレングリコール、およびフェノール化合物が挙げられるが、これらに限定されない。フェノール化合物の実施例には、フェノール、m−クレゾール、およびm−クロロクレゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
必要に応じて、医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、pH緩衝剤、および他の物質、例えば、酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンも含有し得る。
【0107】
少なくとも1つの実施形態において、タンパク質等の治療薬剤を化学的に修飾して、その血液循環における半減期を増強してもよい。例えば、治療薬剤は、ペグ化等のプロセスを経てもよい。
【0108】
一部の実施形態において、医薬組成物を生成するためのプロセスは、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬剤および中鎖脂肪酸塩を含む水溶性組成物を調製することと、水溶性組成物を乾燥させて、固形粉末を得ることと、固形粉末を本質的にオクタン酸で構成される溶液に溶解し、それによって、溶液である医薬組成物を精製することと、を含む。一部の実施形態において、固形形態は、粒子であり得る(例えば、本質的に粒子で構成されるか、または粒子で構成される)。一部の実施形態において、粒子は、凍結乾燥または顆粒化によって生成され得る。本プロセスの一部の実施形態において、オクタン酸は、組成物に、約60%〜約90%のレベル、または約70〜約85%のレベル、好ましくは約78%のレベルで存在する。本プロセスの一部の実施形態において、脂肪酸塩はオクタン酸ナトリウムであり、本プロセスのさらなる実施形態において、中鎖脂肪酸塩は、組成物において、約11重量%〜約40重量%の量、または約11重量%〜約28重量%の量、または約15重量%の量で存在する。本プロセスの一部の実施形態において、組成物は、マトリクス形成ポリマーをさらに含み、本プロセスの特定実施形態において、マトリクス形成ポリマーはデキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)であり、本プロセスのさらなる実施形態において、ポリビニルピロリドンは、組成物において、約2重量%〜約20重量%の量、または約5重量%〜約15重量%の量、好ましくは約10重量%の量で存在する。本プロセスの特定の実施形態において、ポリビニルピロリドンは、PVP−12であり、および/または約3000の分子量を有する。この組成物は、上述のとおり、界面活性剤をさらに含み得る。これらのプロセスの医薬生成物は、本発明のさらなる実施形態であり、例えば、オクタン酸(約60%〜約90%のレベル、または約70〜約85%のレベル、好ましくは約78%)、脂肪酸、好ましくはオクタン酸ナトリウム(組成物において、約11重量%〜約40重量%の量、または約11重量%〜約28重量%の量、あるいは約15重量%の量で存在する)、マトリクス形成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、好ましくはPVP−12(組成物において、約2重量%〜約20重量%の量、または好ましくは約5重量%〜約15重量%の量、好ましくは約10重量%の量で存在する)、および上述したような界面活性剤を含有する組成物である。上述したような少量の他の疎水性組成物も存在し得る。
【0109】
カプセル:好適な医薬組成物は、経口投与形態または坐薬である。例示的な投与形態は、ゼラチンまたはスターチヒドロキシルプロピル−メチルセルロース(「HPMC」)カプセルのようなベジタリアンカプセルを含み、腸溶コーティングされ、バルク薬剤製品を含有する。本発明の組成物を封入するために使用され得るカプセルは、当該技術分野において知られており、例えば、Pharmaceutical Capsules edited by Podczech and Jones,Pharmaceutical Press(2004)およびHard gelatin capsules today−and tomorrow,2nd edition,Steggeman ed published by Capsugel Library(2002)において説明されている。
【0110】
追加製剤:本発明の組成物は、当該技術分野において知られる追加方法を使用して、例えば、以下の出版物において説明されるように製剤化され得る:Pharmaceutical Dosage Forms Vols1−3ed.Lieberman,Lachman and Schwartz,published by Marcel Dekker Inc,New York(1989)、Water−insoluble Drug Formulation 2nd edition,Liu,editor,published by CRC Press,Taylor and Francis Group(2008)、Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing and Delivery Systems,2nd edition by Ajay K.Banga(author)published by CRC Press,Taylor and Francis Group(2006)、Protein Formulation and Delivery,2nd edition,McNally and Hasted eds,published by Informa Healthcare USA Inc(2008)、およびAdvanced Drug Formulation to Optimize Therapeutic Outcomes,Williams et al eds,published by Informa Healthcare USA(2008)。
【0111】
本発明の組成物は、例えば、Microparticulate Oral Drug Delivery,Gerbre−Selassie ed.,published by Marcel Dekker Inc(1994)and in Dey et al,Multiparticulate Drug Delivery Systems for Controlled Release,Tropical Journal of Pharmaceutical Research,September 2008;7(3):1067−1075において説明されるような微粒子技術を使用して製剤化され得る。
【0112】
治療の方法:本明細書に記載される組成物は、変更のない生物学的活性物質(すなわち、治療薬剤)の効率的な腸内送達を呈し、したがって、多くの用途を有する。例えば、本明細書に記載される組成物は、糖尿病の治療に使用することができる。
【0113】
特に、II型糖尿病を患う披験者(患者)を治療および予防するため(糖尿病の予防)、および血糖代謝異常、前糖尿病および代謝性症候群、ならびに他の疾患をわずらう患者を治療するためのインスリンは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。代謝性症候群は、心血管疾患および糖尿病を発症するリスクを増大させる医的障害の組み合わせである。代謝症候群は、以下の異なる症状の複合である:(1)空腹時血糖(インスリン抵抗、II型糖尿病等)、(2)HDLコレステロールの低下、(3)トリグリセリドの上昇、(4)高血圧、(5)中心性肥満、および(6)炎症誘発性状態。
【0114】
本発明の一実施形態は、上記の疾患を患う披験者の治療または予防の方法であり、疾患を治療するために十分なインスリンの量は、本発明の組成物内に製剤化される低用量のインスリンである。低容量インスリンは、300単位未満または200単位未満/カプセル、例えば、40〜200単位/カプセルで提供される。
【0115】
HRS IおよびII、出血性食道静脈瘤、門脈高血圧、および他の疾患を含む、肝臓−腎臓症候群(HRS)を患う披験者(患者)を治療するためのテルリプレッシン(または他のバソプレッシン類似体)は、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。そのようなテルリプレッシン製剤は、静脈瘤出血の一次および二次予防に使用されてもよい。本発明の組成物は、疎水性媒体および固形形態の混合物を含む懸濁液を含み、固形形態は、治療上有効量のテルリプレッシン(または他のバソプレッシン類似体)および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含む。
【0116】
II型糖尿病を患う披験者における血糖コントロールを改善し、肥満等の他の疾患を治療し、体重管理に使用するためのエクセナチドは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。
【0117】
慢性C型肝炎および慢性B型肝炎を患う患者を治療するため、および癌を含む他の疾患を治療するためのインターフェロン−αは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。
【0118】
多発性硬化症を患う披験者を治療するため、および炎症性疾患を含む他の疾患を治療するためのコパキソンは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。
【0119】
一次夜尿症、中枢性尿崩症(DI)、または出血性疾患(Von Willebrand Disease and Hemopilia A)を患う披験者を治療するためのデスモポレッシンは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。当該技術分野において知られる経口デスモプレッシン製剤は、極めて低い経口バイオアベイラビリティが課題である。
【0120】
オクトレオチドは、1979年に初めて合成され、薬理学的に天然のソマトシタチンを模倣するオクタペプチドであるが、天然のホルモンよりも強力な成長ホルモンの阻害剤、グルカゴンの阻害剤、およびインスリンの阻害剤である。オクトレオチドまたはソマトスタチンの他の類似体は、末端肥大症、異常GI運動、カルシノイド症候群に関連した潮紅発作、門脈高血圧、内分泌腺腫瘍(例えば、カルシノイド、VIPoma)、胃不全麻痺、下痢、膵液漏出、または膵偽嚢胞等の疾患を患う披験者における疾患または障害の治療または予防に使用するために、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。下痢は、放射線治療から生じ得るか、または例えば、血管作用性小腸ペプチド分泌腫瘍(VIPoma)を有する披験者において起こり得る。さらに、膵臓手術を経る患者は、外因性膵臓分泌を患い、膵液漏出または膵偽嚢胞を発症しやすい場合があり、本発明のオクトレオチド生成物によって治療され得る。一部の好適な実施形態は、末端肥大症、異常GI運動、カルシノイド症候群に関連付けられる潮紅発作、門脈高血圧、内分泌腺腫瘍(例えば、カルシノイド、VIPoma)、胃不全麻痺、下痢、膵液漏出、または膵偽嚢胞等の疾患を有する披験者を治療する方法を対象とし、本発明の組成物を披験者に投与することを含み、治療薬剤は、疾患を治療するために十分な量のオクトレオチドである。本発明のオクトレオチド製剤は、門脈高血圧によってもたらされ得る、静脈瘤出血の一次および二次予防に使用されてもよく、静脈瘤は、胃または食道性であり得る。本発明のオクトレオチド製剤の他の用途は、血液量減少のショック(例えば、出血性)または血管拡張性(例えば、敗血性)起源、肝腎症候群(HRS)、心肺機能蘇生、および麻酔誘導性低血圧の治療にある。ソマトスタチンの他の類似体は、オクトレオチドが使用される方法および組成物において使用され得る。
【0121】
バンコマイシン(分子量1449Da)は、グラム陽性細菌によりもたらされる感染の予防および治療に使用される、グリコペプチド抗生物質である。バンコマイシンの本来の適応は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療である。バンコマイシンは、黄色ブドウ球菌の第一線治療になったことはなく、バンコマイシンは経静脈的に投与しなければならないことが1つの理由である。バンコマイシンは、腸内壁を通過しないため、バンコマイシンの先行製剤は、全身治療の場合、経静脈的に投与する必要がある。胃腸粘膜全体を十分に分割できない大きい親水性分子である。経口バンコマイシン治療の唯一の適応は、偽膜性腸炎の治療にあり、大腸の感染部位に到達するために、経口的に投与されなければならない。披験者の感染を治療または予防する際に使用するためのバンコマイシンは、本発明の1つもしくは複数の実施形態に従って、披験者に経口投与され得る。本発明の一部の好適な実施形態は、披験者の感染を治療または予防する方法を対象とし、本発明の組成物を披験者に投与することを含み、治療薬剤は、感染を治療または予防するために十分な量のバンコマイシンである。
【0122】
ゲンタマイシン(分子量=478)は、アミノグリコシド抗生物質であり、多くの種類の細菌感染、特にグラム陰性バクテリアによってもたらされる感染を治療するために使用される。ゲンタマイシンを選考技術の製剤において経口投与する場合、全身的に活性ではない。これは、小腸からかなりの程度で吸収されないためである。
【0123】
さらに、本発明の組成物は、アテローム硬化症、および血栓と塞栓の形成、例えば、心筋梗塞および脳血管発作に起因する疾患を治療するために使用することもできる。具体的に、ヘパリンまたは低分子量ヘパリンまたはフォンダパリヌクスを、粘膜上皮を通過して送達するために組成物を使用することができる。
【0124】
本発明の組成物は、血液学的成長因子の投与によって利益が得られる、貧血症および低酸素症等の血液学的疾患および不全状態を治療するために使用することもできる。本発明の組成物は、披験者の粘膜上皮は、十分な内性因子を欠く場合に、披験者においてビタミンB12を高バイオアベイラビリティで送達するために使用することができる。G−CSFは、様々な実施形態に従って投与することもできる。さらに、本発明の組成物を使用して、PTH、テリパラチド、またはカルシトニンの1日1回または2回以上の経腸投与によって、骨粗鬆症を治療することができる。
【0125】
特に子供の成長ホルモン欠乏症を治療するためのヒト成長ホルモン(hGH)は、1つもしくは複数の実施形態に従って投与され得る。一部の好適な実施形態において、成長ホルモンを含む本明細書に記載される組成物は、例えば、肥満、腹部肥満、高脂血症、または高コレステロール血症等の代謝疾患および脂質関連疾患を治療または予防するために披験者に投与することができる。例えば、成長ホルモンを含む本発明の組成物は、披験者に経口投与することができ、それによって肥満(例えば、腹部肥満)を治療する。一部の好適な実施形態において、HIV脂肪異栄養(AIDS消耗)を治療または予防するか、あるいはプラダーウィリ症候群、成長ホルモンの分泌不足に起因する(例えば、性腺形成不全またはターナー症候群と関連する)成長障害、慢性腎不全のある思春期前の子供の成長障害を治療するため、および顕著な成長ホルモン欠乏のある成人における置換療法として、成長ホルモンを含む本明細書に記載される組成物を披験者に投与する。成長ホルモンを含む本発明の組成物を披験者に経口投与して、創傷の治癒を促進し、重度の火傷、化膿、多発性損傷、大手術、急性膵炎、および腸瘻における異化応答を減衰することができる。GH欠乏症以外の多くの他の疾患は、成長不良であるが、成長利益(高さ利益)は、GH欠乏症が治療された場合よりも不良である場合がある。成長ホルモンを含む本発明の組成物を用いて治療され得る不足の他の原因の例は、子宮内発育遅延および重度の特発性低身長である。成長ホルモンを含む本発明の組成物の他の考えられる用途は、老人における加齢の影響を逆転または予防するため、筋肉形成のための治療、および線維筋痛症の治療を含む。
【0126】
一部の好適な実施形態は、披験者における肥満、HIV脂肪異栄養、代謝性障害、または成長不全等の疾患を処置する方法を対象とし、本発明の組成物を披験者に投与することを含み、治療薬剤(エフェクタ)は、疾患を治療するために十分な量の成長ホルモンである。
【0127】
一部の好適な実施形態は、披験者における骨疾患を治療する方法を対象とし、本発明の組成物を披験者に投与することを含み、治療薬剤は、骨疾患を治療するために十分な量のテリパラチドまたは副甲状腺ホルモンである。
【0128】
一部の好適な実施形態は、披験者における血管凝固疾患を治療または予防する方法を対象とし、発明の組成物を披験者に投与することを含み、治療薬剤は、血液凝固疾患を治療または予防するために十分な量のヘパリン、ヘパリン誘導体、またはフォンダパリヌクスである。
【0129】
本発明の実施形態において製剤化されるロイプロリド(GnRH拮抗体)は、女性不妊症(例えば、1回または2回の日用量)、前立腺癌、およびアルツハイマー病の治療のために送達され得る。
【0130】
本発明の一実施形態は、疾患または障害を患う披験者を治療する方法に関し、疾患を治療するために十分な量の本発明の組成物を披験者に投与することを含む。本発明の別の実施形態は、披験者における疾患または障害を治療する際に使用するための本発明の組成物に関する。本発明の別の実施形態は、疾患の治療のための本発明のプロセスによる医薬品の製造における治療薬剤の使用に関する。
【0131】
化合物を利用する投薬レジメンは、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別、および医学的症状を含む多様な因子、治療される疾患の重篤度、投与経路、患者の腎機能および肝機能、および用いられる特定の化合物またはその塩に従って選択される。通常の技術を有する医師または獣医は、疾患の進行を予防、疾患の進行に対抗、または疾患の進行を停止するために必要な薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。本発明の経口投与は、示される作用のために使用されると、0.001、0.0025、0.005、0.01、0.025、0.05、0.1、0.25、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、または100、200、300、400、500、600、700、800または1000mgの治療薬剤を含有するカプセルの形態で提供され得る。
【0132】
本発明の化合物は、単一日用量で投与され得るか、または総日用量を1日2回、3回、4回、5回、または6回の分割用量で投与してもよい。一部の実施形態において、組成物は、約0.01〜約5000mg/日の日用量で投与され、例えば、1日1回(例えば、朝または就寝前)、または1日2回以上(例えば、朝および就寝前)投与される。
【0133】
本発明の代表的な生成物は、腸溶コーティングされたカプセルとして経口投与されるAPIベースの製剤であり、各カプセルは、PVP−12およびオクタン酸ナトリウムと共に凍結乾燥され、トリカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、およびTween80を含有する疎水性(親油性)媒体に懸濁されるAPIを含有し、本発明の別の代表的な生成物において、ヒマシ油がさらに存在する。本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される薬理学的または治療上有効量の治療薬剤を用いて披験者を治療するために、披験者、すなわち、ヒトまたは動物に投与することができる。動物は、哺乳類、例えば、サル、ラット、ブタ、ウマ、ウシ、またはヒツジであり得る。本明細書で使用される「薬理学的または治療上有効量」は、研究者または医師が求めている組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医薬反応を引き出す、薬物または医薬品(治療薬剤)の量を意味する。
【0134】
本発明の製剤は、治療薬剤の任意の化学修飾なしに、治療薬剤を製剤に組み込むことを可能にする。さらに、上で示されるように、多くの異なる治療薬剤は、本発明の製剤内で成功裏に調製されており、ポリペプチド、ヌクレオチド、小分子、および中型タンパク質も含む。さらに、本発明の製剤は、治療薬剤の負荷の高い可撓性を可能にする。治療薬剤は、負荷容量に依存する。今日まで、負荷能力制限には到達していないが、最大1.5%wt/wt(ポリペプチド)および6%wt/wt(小分子)の負荷が達成されており、最大33%のさらに高い負荷が推定される。最後に、本発明の製剤は、例えば、タンパク質分解および酸化に起因して、カーゴ化合物がGI環境内で不活性化することから保護する。
【0135】
これらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の実施例からさらに理解されるであろう。これらの実施例は、単に例示することを意図したものであり、本明細書に記載されるシステムおよび方法の範囲を制限するものとして見なされるものではない。
【実施例】
【0136】
実施例
実施例1:製剤
A.インスリン製剤の組成物
表1Aは、1つもしくは複数の実施形態に従う組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、インスリン製剤である。インスリンはDiosynth Biotechnologyから、オクタン酸ナトリウムおよびNaOHはMerckから、MgCl、MC400、Span40、レクチンおよびヒマシ油は、Spectrumから、PVP−12はBASFから、イソ吉草酸エチルはMerck/Sigmaから、トリブチル酸グリセリルはAcros/Pentaから、およびモノオレイン酸グリセロールはAbitec Corp.から入手した。
【0137】
【表1A】

B.ロイプロリド製剤:表1Bは、1つもしくは複数の実施形態に従うAPI(原薬)の組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、ロイプロリド製剤である。
【0138】
【表1B】

C.減少量の疎水性媒体を有する製剤(50%の疎水性媒体)
表1Cは、1つもしくは複数の実施形態に従う、APIの組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、デキストランの製剤(FD4)である。FD4は、4.4kDaのMW(Sigma,FD4)を伴うFITC標識デキストランであり、これは、特に明記されない限り、実施例全体で使用されるデキストランである。この特定製剤は、GTBの代わりにココナッツ油(Sigma)を含有する。
【0139】
【表1C】

上記製剤は多様な治療薬剤に使用され、以下に記載される動物モデルにおいて、カーゴ化合物に良好なバイオアベイラビリティをもたらす。治療薬剤の正味量は、これらの製剤のどの製剤においても適切なように異なり得、製剤中に多少の変異があり得ることに留意されたい。例えば、NaOHは常に使用されるわけではなく、ココナッツ油をトリブチル酸グリセリルの代わりに使用してもよく、MgClが常に使用されるわけではなく(例えば、hGHを用いる場合は使用されない)、すべての成分は、明細書において上述のとおり置換され得る。
【0140】
実施例2:インスリン製剤生成の概略表示
図1は、1つもしくは複数の実施形態に従って、組成物を生成する方法を説明する。例えば、本方法を実施して、実施例1において上述される組成物を形成することができる。
【0141】
実施例3:オクタン酸ナトリウムおよび疎水性媒体を含有する固形粒子の組み合わせが透過活性に重要である。
【0142】
図2は、ラットに対する直腸投与後の血清インスリンに関連するデータを提示する。ラットに麻酔をかけ、328μg/ラット(9IU/ラット)のインスリン用量を含有する、100μLのバルク薬剤製剤を投与した。投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後に血液試料を採取し、ラットインスリンとヒトインスリンとの間の交差反応性を有しない免疫検定キットによって、ヒトインスリンを決定するために血清を調製した。
【0143】
データは、平均±SD、n=5として提示する。図2の左パネルは、オクタン酸ナトリウム(Na−C8)または水に懸濁させた固形親水性画分(水中の固形粒子)を伴う、ヒトインスリンの投与に関する。図2の右パネルは、完全インスリン製剤(疎水性媒体中の固形粒子)の投与に関する。以下の表2は、濃度対時間曲線から計算したAUC値の要約を提示する。
【0144】
【表2】

インスリン−SCDの直腸投与後のインスリンに対する平均暴露(AUC値によって表される)は、疎水性媒体なしに投与した後の暴露よりも約50倍高かった。オクタン酸ナトリウム単独とともに、または水中に懸濁させた親水性画分の固形粒子(実施例1に一覧表示)の一部としてインスリンを投与したラットにおいて、最小暴露が検出された。これらのデータは、固形オクタン酸ナトリウムと疎水性媒体との間の相乗効果を証明する。
【0145】
実施例4:ラットに対するインスリンのGI投与後のインスリンの腸吸収
図3は、ラットに対するインスリン溶液および製剤中のインスリンの直腸投与後の血清インスリン値および血中グルコース値に関連するデータを提示する。ラットに麻酔をかけ、328μg/ラット(9IU/ラット)のインスリン用量を含有する100μLの試験物質(製剤中のインスリンまたはPBS中のインスリン)を投与した。投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後に血液試料を採取した。グルコメータを用いてグルコース値を即時に決定し、ラットインスリンとヒトインスリンとの間の交差反応性のない免疫検定キットによって、ヒトインスリンを決定するために血清を調製した。
【0146】
グルコース値は、投与前(時間0)に測定した基本レベルからのパーセンテージとして提示される。図3のデータは、平均±SD、n=5として提示される。
【0147】
PBSに溶解したヒトインスリン(インスリン溶液)、または製剤に組み込まれたヒトインスリンの直腸投与後のインスリン(図3の左パネル)およびグルコース(図3の右パネル)のレベルを提示する。インスリンレベルは、製剤中のインスリンの直腸投与後のラット血清において急激に上昇した。最大レベルは、投与後6分以内に測定され、投与後約90分に基本レベルに到達するまで、漸減が検出された。このインスリンの急激かつ有意な上昇は、グルコースレベルの有意な減少によって達成され、投与後30分において、既に初期レベルの平均20%に到達した。対照的に、PBS中のインスリンの直腸投与は、ごくわずかなグルコース減少をもたらしたに過ぎず、PBS対照単独で処置した後に認められたものと同一である。
【0148】
実施例5:ラットに対する製剤中のインスリンの直腸投与後のインスリン吸収
図4は、インスリン溶液のSC(皮下)投与(20μg/ラット)および製剤中のインスリンの直腸投与(328μg/ラット)後の血中グルコースおよび血清インスリン濃度の変化に関連するデータを提示する。直腸投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後、SC投与から0、15、30、45、60、90分後、2、3、および4時間後に血液試料を採取した。グルコメータを用いてグルコース、および免疫検定キットによってインスリンを即時に決定した。グルコースレベルは、投与前(時間0)に測定した基本レベルからのパーセンテージとして提示される。図4のデータは、平均±SD、n=5として提示される。
【0149】
製剤中のインスリン投与後のラット結腸からのインスリン吸収のレベルを、SC投与後に吸収されるインスリンのレベルと比較した。インスリン暴露は、血清濃度対時間曲線(AUC)下の領域から計算し、活性は、以下の等式に従って、相対バイオアベイラビリティ(rBA)として計算した。
【0150】
rBA=(直腸AUC(0−∞)/SC AUC(0−∞))*(SC用量/直腸用量)
血流へのインスリン浸透は、わずかな時間中、一般に、製剤中のインスリンの直腸投与から約10分以内に発生した。血清インスリンレベルは、血中グルコースレベルの低下と平行して上昇する。
【0151】
製剤インスリンが結腸の中に提示される場合に、インスリンバイオアベイラビリティに関する情報を得るために、AUC(0−∞)を直腸およびSC投与に対して決定し、ヒトインスリンのrBA値は、変異係数(CV)=11.4%を伴って29.4±3.4%であった。
【0152】
様々なインスリン含有製剤の直腸投与を数百匹の動物に対して実行した。この検定をさらに開発し、バイオアッセイとして適格とし、プラットフォームの開発およびバッチ開放試験を、線状範囲の10〜200μg/ラット、39%の再現性および33%の中間精度で支援した。
【0153】
合計25匹のラットを使用し、5つの異なる研究において、本明細書に記載されるインスリン製剤を試験した。rBAは、28.9%のCVを伴って34.1±12.6%であった。
【0154】
実施例6:ラットに対する製剤中のインスリンの空腸内投与後のインスリン吸収
本発明の経口投与プラットフォームの吸収標的部位は、一般に小腸である。ラット腸におけるインスリン製剤の活性を試験するために、2つの主要な課題に対処した。1.ラット用の腸溶コーティングしたカプセルは入手できないため、直接空腸内投与を可能にする胃バイパスが必要である。2.インスリンは、肝臓によって広範に代謝され、ヒトにおいて、膵臓β細胞によって分泌される、内因性インスリンの50〜80%は、肝臓によって隔離されるため、全身の血液循環に検出することはできない。腸内血流は、肝臓に直接つながる門静脈に流れ込まれるため、腸経路を介して(インスリン製剤によって)投与されるインスリンは、インスリンの内因性経路を模倣する。したがって、インスリン吸収を決定するために、血液試料を門静脈(肝臓の前、門脈循環)ならびに頸静脈(肝臓後、全身循環)から採取する必要がある。
【0155】
3つの異なるカニューレを麻酔したラットに外科的に移植する、専用のラットモデルを開発した。1.空腸カニューレ−胃バイパスは、インスリン製剤の投与を可能にする。2.門静脈カニューレ−肝臓前の血液試料は、GI壁を通過して血液に入るインスリンを決定する。3.頸静脈カニューレ−インスリンの全身レベルを決定する。このモデルを使用して、製剤中のインスリンのバイオアベイラビリティ(rBA)を決定した。
【0156】
図5は、インスリン対照およびインスリン製剤をラットに空腸内投与した後の門脈循環および全身循環におけるインスリンレベルに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。ラット(8匹のラット/群)に麻酔をかけ、それらの空腸を腹部手術によって暴露した。腸ループを含有する空腸をガーゼ上に置き、水分を保持し、研究全体を通して完全に無傷に維持した。一時カニューレを空腸に挿入し、製剤化したインスリンを投与した。門静脈および頸静脈の両方から同一時点において、ラット一匹当たり約4つの時点で血液を採取した。各時点の平均±SD値を使用して、血漿濃度対時間曲線を形成した。AUCを決定し、rBAを計算した。
【0157】
門脈循環および全身循環の両方におけるインスリン値は、製剤中のインスリンの空腸内投与後に劇的に上昇した。これは、インスリン対照を投与した場合に検出された最小インスリン吸収とは反対である。吸収の時間範囲は短く、インスリンレベルは6分でピークに達した。このプロファイルは、製剤化したインスリンの直腸投与後に見られるものに類似する(上記を参照)。全身循環と比較して、門脈において高いインスリン値が検出され、それぞれ5.6%と比較して、rBAは10.1%であった。
【0158】
実施例7:様々なカーゴ化合物を含む追加製剤
表3Aは、以下の実施例に記載のとおり調製した一連のデキストラン製剤の化合物について詳述する。カプリル酸ナトリウムは、Fluka/Sigmaから、オリーブ油はFlukaから、オクタン酸はSigmaから、鉱物油はAcrosから入手した。
【0159】
【表3A】

表3Bは、以下の実施例に記載のとおり調製した、一連の酢酸テリパラチドおよびロイプロリド製剤の成分を詳述する。テリパラチドは、Novetideから入手し、ロイプロリドはBambioから入手した。
【0160】
【表3B】

表3Cは、以下の実施例で説明されるように調製したhGH製剤の成分を詳述する。hGHはPLR,Israelから入手した(GHP−24)。
【0161】
【表3C】

これらの上記製剤のすべての生成プロセスは、本質的に、図1および実施例11に記載のとおりである。
【0162】
実施例8:製剤中に組み込まれるオクタン酸ナトリウムの用量の製剤活性に及ぼす影響
カーゴ化合物としてデキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)、および異なる用量のNa−Cを含有する製剤、つまり、表3Aの製剤A(12重量%のオクタン酸ナトリウムを含有する)およびそれぞれ異なるNa−C8用量(9%、6%、および3%)を含有する類似デキストラン製剤を使用して、製剤の活性に対する製剤中のオクタン酸ナトリウム(Na−C8)量の増加の影響を試験した。
【0163】
無麻酔ラットの空腸におけるこれらの製剤の活性を試験するために、ラットモデルを確立し、雄のSprague−Dowleyラットにおいて、以下の2つの異なるカニューレを外科的に移植する。
【0164】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与に続いて投与されるデキストランの全身レベルを決定するための頸静脈カニューレ
研究前に4日間ラットを回復させ、研究の開始前18時間断食させた。
【0165】
図6は、異なる量のNa−C8または生理食塩水にNa−C8とともに溶解したFITC標識デキストラン(対照)を含有する製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおいて、FITC標識デキストラン(4.4kDa)バイオアベイラビリティを決定する、研究からのデータを提示する。
【0166】
異なる製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、投与から3、6、10、25、60、および90分後に血漿デキストラン値を測定することによって、異なるデキストラン製剤および対照のバイオアベイラビリティを評価した。製剤または生理食塩水中のデキストランの投与後の血漿デキストラン値を、静脈投与後の血漿デキストラン値と比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)を以下の等式に従って計算した。
【0167】
aBA=(空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)。データは平均±SDとして提示した(n5ラット/群)。
【0168】
結果は、製剤中に組み込まれたNa−C8の量を増加させることが、用量反応様式で、デキストランのバイオアベイラビリティを向上させ、12%(w/w)用量でほぼ30%に到達する。類似用量でNa−C8とともに投与され、生理食塩水中に懸濁されたデキストラン(すなわち、非製剤)は、はるかに低いバイオアベイラビリティ(−6%aBA)を示した。さらなる用量反応結果を実施例26に示す。
【0169】
実施例9:親水性画分/疎水性媒体の比率が製剤活性に及ぼす影響
デキストランを含有する製剤(平均MW=4.4kDa、FITC標識)をカーゴとして使用し、親水性画分と疎水性媒体との間の比率(重量/重量)を変更することの、製剤活性に及ぼす影響を試験した(表3Aの製剤AおよびB)。説明される製剤の活性を比較するために、実施例8に説明される生体内無麻酔ラットモデルを使用した。
【0170】
表4は、異なる比率の親水性画分および疎水性媒体を含む製剤の空腸内投与後のバイオアベイラビリティデータを提示する。
【0171】
【表4】

製剤AおよびBを、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収レベルを、静脈内投与後に吸収されるデキストランのレベルと比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)に従って決定した。データは、平均±SDとして提示する(n5ラット/群)。
【0172】
結果は、低重量%の治療薬剤を有するこれらの製剤中の親水性画分と疎水性媒体との間の比率を変更することが、カーゴのバイオアベイラビリティに及ぼす有意な影響はなく、これは追加製剤を考案する際に、負荷の可撓性をもたらす。
【0173】
実施例10:異なるカーゴ化合物を含有する製剤の活性
製剤プラットフォームの能力を試験するために、3つの異なる動物モデル(無麻酔ラットに対する空腸投与、麻酔ラットに対する直腸投与、および無麻酔ブタに対する空腸投与)において、3つの異なるカーゴ化合物(API)を含有する製剤の活性を試験した。表5は、上述した3つの異なる動物モデルにおいて、異なるAPIを含有する製剤のバイオアベイラビリティを試験する、代表的な実験の結果をまとめたものである。
【0174】
【表5】

A.ラットへの製剤中のロイプロリドの空腸投与後のロイプロリド吸収
表5−IIIは、実施例8に前述のとおり、無麻酔ラットへのロイプロリド溶液(75μg/Kg)のIV(静脈内)投与および製剤中のロイプロリド(450μg/Kg、製剤K、表3B)の空腸投与後の、ロイプロリド%aBAに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。
【0175】
空腸投与から3、6、10、15、25、40、60、および90分後、静脈内投与後3、10、25、40、90分後、2、3.3、および5時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてロイプロリド値を決定した。全身循環するロイプロリドレベルは、製剤中のロイプロリドの空腸投与後に劇的に上昇した。ロイプロリド血液レベルは、投与後3分でピークに達した。製剤中のロイプロリドの空腸投与後に達成される平均aBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、10.1%であった。対照実験において、PBS中のロイプロリドの空腸投与は、血流へのわずかな浸透を示した。
【0176】
表1Bに説明されるように12%オクタン酸ナトリウムを含有する類似ロイプロリド製剤を調製し、上記モデルにおいて試験したところ、以下のようなバイオアベイラビリティが示された。
【0177】
rBA(SCと比較)=21.1%±12.0(CV=57%)
B.ラットへの製剤中のテリパラチドの空腸投与後のテリパラチド吸収
表5−Iは、実施例8に前述のとおり、無麻酔ラットへのテリパラチド溶液(85μg/製剤)のSC(皮下)投与および製剤中のテリパラチド(550μg/Kg、製剤I、表3B)の空腸投与後の、血漿テリパラチド濃度−時間プロファイルに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。空腸投与から3、6、10、25、60、および90分後、SC投与から3、10、30、60、90分後、2および3時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてテリパラチドのレベルを決定した。全身循環するテリパラチドレベルは、製剤中のテリパラチドの空腸投与後に劇的に上昇した。テリパラチドレベルは、投与後3分でピークに達した。製剤中のテリパラチドの空腸投与後に達成される平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、14.0%であった。対照実験において、生理食塩水中のテリパラチドの空腸投与は、血流への浸透を示さなかった。
【0178】
C.ブタに対する製剤中のテリパラチドの空腸投与後のテリパラチド吸収
表5−IIは、無麻酔ラットへのてテリパラチド溶液(10.65μg/Kg)のSC投与および製剤中のテリパラチド(100μg/Kg、製剤I、表3B)の空腸投与後の、血漿テリパラチド濃度−時間プロファイルに関連する、代表的な研究からから得たデータを提示する。
【0179】
ブタモデルを確立し、以下の2つの異なるカニューレを、雌の家畜ブタに外科的に永久移植した。
【0180】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与に続いて投与されるカーゴの全身レベルを決定するための頸静脈カテーテル法
実験前に7日間ブタを回復させ、実験開始前に18〜20時間断食させた。
【0181】
空腸投与から0、3、6、10、15、25、40、60、90分後、および2、2.5および3時間後、SC投与から0、3、6、10、15、20、30、45、60、90分後、2、2.5、3および4時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてテリパラチドのレベルを決定した。全身循環するテリパラチドレベルは、製剤中のテリパラチドの空腸投与後に劇的に上昇した。テリパラチドレベルは、投与後10分でピークに達した。製剤中のテリパラチドの空腸投与後に達成される平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、15.0%であった。
【0182】
デキストラン(FD4、表3Aの製剤A)を使用して、類似するブタ実験を行い、デキストランの平均バイオアベイラビリティは、IVと比較して、ブタにおいて20%であったと決定された。
【0183】
D.ラットに対する製剤中のhGHの直腸投与後のhGH吸収
表5−IVは、麻酔ラットへの、hGH溶液(81μg/Kg)のSC投与および製剤中のhGH(800μg/Kg、製剤P、表3C)の直腸投与後の、血漿hGH濃度−時間プロファイルに関連する、代表的な研究からから得たデータを提示する。
【0184】
雄のSprague−Dowleyラットを、実験の開始前に18時間断食させた。ケタミン:キシラジンの溶液によって、ラットを麻酔にかけた。14Gベンフロンを使用して、製剤(100μL/ラット)を直腸的に投与した。直腸投与から3、6、10、15、40、60、および90分後、SC投与から15、30、45、60、90分後、2、3および4時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてhGH値を決定した。全身循環するhGHレベルは、製剤中のhGHの直腸投与後に劇的に上昇した。hGHレベルは、投与後15分でピークに達した。製剤中のhGHの直腸投与後に達成された平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、17.9%であった。別の実験において、hGHを空腸に投与したところ、aBAは低かった。対照実験において、PBS中のhGHの直腸投与は、血流への浸透を示さなかった。
【0185】
したがって、表5に提示される結果は、試験したすべての動物モデルにおいて試験したすべてのカーゴ化合物に対して、実質的な暴露が得られたことを証明する。
【0186】
上記結果は、本明細書に記載の製剤が、異なる動物モデルにおいて、腸上皮を通して、広範囲の異なるマクロ分子を送達できることを証明する。
【0187】
実施例11:テリパラチド製剤の詳細な生成プロセス
親水性画分の生成:200mLの水に、以下の成分:172mgのテリパラチド、200mgのMgCl、4.0gのPVP−12、17.52gのオクタン酸ナトリウム、および1gのMC−400粉末を、50mLの水に60±2℃で混合しながら添加して調製した10.0gの2%MC−400水溶液を1つずつ徐々に添加した(各成分の添加中に2〜3分混合)。5分間の混合後、透明な溶液が得られるまでビーカーを氷に移した。
【0188】
MC−400溶液を添加した後、この溶液をさらに5分間混合し、次に、約24時間凍結乾燥させた。この手順は、約22gの親水性画分を生成した。
【0189】
疎水性媒体の生成:2gのSpan40、4gのレシチン、および3.8gのGMOを、混合しながら17.3gのイソ吉草酸エチルに添加した。この溶液に、39.1gのGTBおよび72.6gのヒマシ油を添加した。この手順は、約136〜138gの疎水性媒体を生成した。
【0190】
バルク薬剤製品の生成:親水性画分および疎水性媒体の混合は、20±2℃で行った。
【0191】
15.7gの親水性画分を、混合しながら84.3gの疎水性媒体に600±50RPMで徐々に添加した。すべての親水性画分の添加後、混合速度を2〜10間、2000±200RPMに高めた後、15分間600±50RPMで4〜8サイクル混合し、2分間2000±200RPMで混合した。
【0192】
次に、真空による脱気を以下のとおり適用した。600mBarで5分、500mBarで5分、および400mBarで30〜120分。得られる懸濁液を100mLダークボトルに注ぎ、2〜8℃で保管した。これは、表3Bに記載される「I」と指定された、テリパラチド製剤である。
【0193】
本明細書に記載されるすべての他の製剤は、関連する表に示された詳細に従って、成分および量を変えることによって、この方法で生成した(例えば、実施例29を参照)。(インスリンをカーゴとして用いる)本方法の図は、図1に示される。
【0194】
実施例12:製剤中に組み込まれた油の製剤活性に及ぼす影響
製剤活性に及ぼす、(疎水性媒体中の)製剤に組み込まれた油の種類の影響を試験した。デキストランをカーゴ化合物として含有する製剤(平均MW=4.4kDa、FITC標識)および疎水性媒体中の異なる種類の油(表3Aの製剤E、F、およびG)をラットにおいて試験した。
【0195】
無麻酔ラットの空腸において、これらの製剤の活性を試験するために、ラットモデルを確立し、以下の2つの異なるカニューレをSprague−Dowleyラットに外科的に移植する。
【0196】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与後に、投与したデキストランの全身レベルを決定するための頸静脈カニューレ
研究前に4日間、ラットを回復させ、研究の開始前18時間、断食させた。
【0197】
表6は、疎水性媒体中に異なる油を含有する製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0198】
【表6】

異なる油を含有する製剤を、無麻酔ラットに直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストランレベルを測定した。製剤中のデキストラン投与後のラット空腸からのデキストラン吸収レベルを、静脈内投与後に吸収されるデキストランのレベルと比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=(空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)に従って決定した。データは、平均±SDとして提示する(n5ラット/群)。
【0199】
デキストランを、ヒマシ油またはココナッツ油を含有する製剤に組み込んだ場合、類似バイオアベイラビリティを達成した。製剤IおよびJを使用し、テリパラチドをカーゴ化合物として使用した場合、良好なバイオアベイラビリティは、ラット空腸においても得られ、これらの製剤は、ヒマシ油およびGTB、ならびにヒマシ油およびココナッツ油をそれぞれ含有する。
【0200】
結果は、異なる種類の油をそれらの疎水性媒体に含有する製剤が活性であり、製剤によって運搬されるカーゴ(デキストラン、テリパラチド)の浸透を可能にすることを示した。したがって、このデータは、すべての試験した油が、製剤によって運搬されるカーゴのバイオアベイラビリティを可能にすることを示した。ヒマシ油およびココナッツ油は、他の試験した油よりも優れ得る。
【0201】
実施例13:凍結乾燥の代わりに顆粒化を使用する製剤の調製
親水性画分の生成:プラスチックバッグに、以下の成分:1.00gのPVP−30、6.70gのオクタン酸ナトリウム、および結合剤として13.00gのラクトース一水和物を添加した。5分間混合した後、すべての粉末を乳鉢および乳棒に移した。
【0202】
デキストランFD4水溶液を以下のように調製した。0.42gデキストランを1.2gのWFIに溶解した。次に、乳鉢および乳棒において低せん断撹拌を使用しながら、デキストラン溶液のすべてを粉末に徐々に添加した。撹拌には約45分を要した。次に、混合物を凍結乾燥トレイに移し、約20時間、50℃でオーブン乾燥させた。この手順は、細顆粒である約20gの親水性画分を生成した。
【0203】
疎水性媒体の生成:2gのSpan40、4gのレシチン、および3.8gのGMOを、混合しながら17.3gのイソ吉草酸エチルに溶解した。この溶液に、39.1gのGTBおよび72.6gのヒマシ油を添加した。この手順は、約136〜138gの疎水性媒体を生成した。
【0204】
バルク薬剤製品の生成:親水性画分および疎水性媒体の混合は、20±2℃で行った。19.00g(29.58%の最終BDP)の親水性画分を、混合しながら、45.23g(70.42%の最終BDP)の疎水性媒体に600±50RPMで徐々に添加した。すべての親水性画分を添加した後、混合速度を2000±200RPMに2〜10分添加した後、15分間600±50RPMで4〜8サイクル混合し、2分間2000±200RPMで混合した。
【0205】
次に、真空による脱気を以下のとおり適用した。600mBarで5分、500mBarで5分、および400mBarで30〜120分。得られる懸濁液を100mLダークボトルに注ぎ、2〜8℃で保管した。
【0206】
ラット研究:上記懸濁液を、実施例において上述のとおり、直腸的に投与したところ、結果は以下のとおりであった:35%BA、12.9%SD。上述のとおり顆粒化によって調製した別のバッチの懸濁液を調製して、実施例において上述のとおり空腸に投与したところ、結果は以下のとおりであった:21.8%BA、4.0%SD。顆粒化を使用し、選択した治療薬剤を組み込み、オクタン酸ナトリウムの量を変えることによって、一連の製剤を類似様式で調製する。
【0207】
実施例14:カプセルの選択
個別の3種類の溶液(上記実施例に記載されるような疎水性媒体、イソ吉草酸エチル単独、および以下の界面活性剤(レシチン、Span40、およびモノオレイン酸グリセリル)のそれぞれを5%含有するイソ吉草酸エチルを使用して、インビトロ実験を行った。3種類の密閉していないカプセル、ゼラチン、スターチおよびHPMCを、それぞれこれらの溶液のそれぞれで充填した。次に、充填したカプセルを、インビトロで29日間、22±2℃、30〜50%相対湿度で維持した。ゼラチンおよびHPMCカプセルは、最善の結果をもたらした。つまり、カプセルの変形はなかった。
【0208】
同一の3つの溶液、ゼラチン、およびHPMCカプセルを使用して、類似実験を行った。これらのカプセルを溶液で充填し、密閉(接着)した後、8日間22±2℃、30〜50%相対湿度で維持した。両種類のカプセルも試験した溶液に対し安定性を示した。すなわち、カプセルの漏出および変形はなかった。
【0209】
実施例15:中鎖脂肪酸塩中の陽イオンを変えることが及ぼす影響
12%オクタン酸ナトリウム(0.722M)を、等モル濃度のオクタン酸リチウムまたはオクタン酸カリウムあるいはオクタン酸アルギニン(最後はアンモニウム塩のモデルとして)に置換することを除いて、表3Aの製剤Aに類似するデキストラン(FD4)を用いて、製剤を調製した。これらの製剤を以下の表7Aに示す。
【0210】
【表7A】

実施例8に説明されるラット空腸モデルにおいて、これらの製剤をそれぞれ試験した。その結果を入手し、バイオアベイラビリティを計算した。結果を以下の表7Bに示す。
【0211】
【表7B】

上記実験において使用した製剤Aは、実施例8において使用したものに対して異なるバッチであり、そのため製剤Aに対してここでもたらされるBA結果は、表4に引用されるものとはわずかに異なる。
【0212】
上記結果は、12%オクタン酸ナトリウムを、製剤中で等モル濃度のオクタン酸リチウムまたはオクタン酸カリウムに置換した場合、その製剤は、低レベルであるが、依然としてバイオアベイラビリティを有することを示す。オクタン酸アルギニン製剤は、12%オクタン酸ナトリウム製剤に類似する活性を有する。
【0213】
実施例16:疎水性媒体への中鎖アルコール(ゲラニオールおよびオクタノール)の添加の影響
以下の表8に示される成分を使用して、ゲラニオール(BASF)およびオクタノール(Spectrum/MP)を含有する製剤を上述のとおり調製した。ドデカン酸ナトリウムをSpectrum/Acrosから入手した。
【0214】
製剤Q−低%中鎖脂肪酸塩:デキストラン(FD4)製剤は、本質的に実施例11に記載のとおり調製し、合計2.9%中鎖脂肪酸塩(オクタン酸ナトリウム1.042%±ドデカン酸ナトリウム1.869%)を含有し、かつ疎水性媒体中にゲラニオールおよびオクタノールも含有し、すべて以下の表8に示される。
【0215】
製剤R−10%以上の中鎖脂肪酸塩:デキストラン製剤は、ゲラニオールおよびオクタノールを疎水性媒体に添加したことを除いて、本質的に製剤Aに関して記載のとおり調製し、すべて表8に示されるとおりである。
【0216】
【表8】

上述の空腸内ラットモデルにおいて、製剤Q(低%MCFA塩)を試験し、バイオアベイラビリティを計算した:aBA=4.4%、SD=3.8(n=12)。上述の空腸内ラットモデルにおいて、製剤R(10%以上のMCFA塩)を試験し、バイオアベイラビリティを計算した:aBA=22.7%、SD=1.6(n=6)。これらの式のBAは、ゲラニオールを含有しない上記実施例において記載される、類似製剤と著しく異ならない。
【0217】
実施例17:ゲンタマイシンおよびRNAの製剤
本質的に実施例11に記載されるように、表9において以下に示されるようなバルク薬剤の成分を用いて、ゲンタマイシンおよびRNAの製剤を調製した。ゲンタマイシンは、Applichemから入手し、RNAは、ポリイノシン−ポリシチジル酸ナトリウム塩(Sigma)であった。
【0218】
【表9A】

上述のラット空腸モデルにおいて、および上述のラット直腸モデルにおいて、ゲンタマイシン製剤を試験した(例えば、実施例4および5)。免疫測定(ELISA)を使用して、ゲンタマイシンを検査した。結果を以下の表9Bに示し、%BAは、静脈内投与と比較して計算する。これらの製剤はゲンタマイシンに対してバイオアベイラビリティをもたらすことを示した。
【0219】
【表9B】

同様に、上述のラット空腸モデルにおいて、および上述のラット直腸モデルにおいて、表9AのRNA製剤を試験する。RNAを検査し、この製剤はRNAに対してバイオアベイラビリティをもたらすことが予想される。
【0220】
実施例18:疎水性媒体中の界面活性剤が製剤活性に及ぼす影響
デキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)を含有する製剤をカーゴ(表3Aにおける製剤AおよびH)として使用し、疎水性媒体から界面活性剤を引き出す製剤活性に対する影響を試験した。
【0221】
表10は、疎水性媒体中に界面活性剤(例えば、Span40、レシチン、モノオレイン酸グリセリル)を含むか、または含まない製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0222】
【表10】

疎水性媒体中に界面活性剤を含むか、または含まない製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収のレベルを、静脈内投与後に吸収されたデキストランのレベルと比較した。
【0223】
空腸および静脈内投与の暴露値、AUC(0−90)を決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0−90))/(静脈内AUC(0−90))(静脈内投与/空腸投与)に従って決定した。データは、平均aBA±SDとして提示する。
【0224】
デキストランを疎水性媒体中に界面活性剤を含有しない製剤(製剤H)に組み込んだ場合、疎水性媒体中に界面活性剤を含有する製剤(製剤A)と比較して、低いバイオアベイラビリティが達成された。結果は、疎水性媒体から界面活性剤を引き出すことは、製剤活性に悪影響を及ぼすことを証明する。
【0225】
実施例19:製剤活性に対する中鎖脂肪酸を親水性画分から引き出すことの影響
デキストランを含有する製剤(平均MW=4.4 kDa、FITC標識)をカーゴとして含有する製剤を使用し、親水性画分から中鎖脂肪酸(MCFA)を引き出す製剤活性に対する影響を試験した。
【0226】
表11は、親水性画分中にオクタン酸ナトリウムを含むか、または含まない製剤(それぞれ表3Aにおける製剤AおよびD)の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0227】
【表11】

上述の製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収のレベルを、静脈内投与後に吸収されたデキストランのレベルと比較した。空腸および静脈内投与の暴露値、AUC(0−90)を決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0−90))/(静脈内AUC(0−90))*(静脈内投与/空腸投与)に従って決定した。データは、平均aBA±SDとして提示する。
【0228】
デキストランを親水性画分中に中鎖脂肪酸が不足している製剤(製剤D、%aBA=0.6±1.0)に組み込んだ場合、親水性画分中12%w/wでオクタン酸ナトリウムを含有する製剤(製剤A、%aBA=28.0±6.8)と比較して、デキストランのわずかな浸透が達成された。結果は、親水性画分中に中鎖脂肪酸を含まない製剤は、活性でないことを証明する。
【0229】
改良製剤においてオクトレオチドをカーゴとして使用し、同様の実験を行った(以下を参照)。rBAは、0.11%(CV=158%)であった。
【0230】
実施例20:製剤活性に対する製剤を簡素化することの影響
デキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)またはオクトレオチド(Novetide)をカーゴとして含有する製剤を使用して、製剤を簡素化することの製剤活性に対する影響を試験した。上記実施例に記載の基本製剤(例えば、A、I、およびPと指定した製剤)は、MgClおよびMC400を親水性画分に添加しないこと、およびSpan40、レシチン、およびイソ吉草酸エチルを疎水性媒体に添加しないことによって簡素化した。疎水性媒体に添加されるモノオレイン酸グリセリル(界面活性剤)およびトリブチル酸グリセリルの量は、付随して増加する。そのような製剤は、以下の表12Aに示される。これらの簡素化製剤は、実質的にまったく沈殿を示さないが、粒子は顕微鏡的に可視であり、すなわち、それらは安定した懸濁液である。
【0231】
【表12A】

これらの上記簡素化製剤の生成プロセスは、本質的に、図1に記載のとおりであり、基本製剤に関しては実施例11に記載のとおりである。基本オクトレオチド製剤を以下の表12Bに示す。
【0232】
【表12B】

表13は、2つの異なるデキストラン製剤(表3Aの製剤Aおよび表12Aに示される簡素化製剤)の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0233】
【表13】

上記の結果は、簡素化製剤と比べて基本製剤(製剤A)を含む製剤にデキストランを組み込んだ際に、類似するAUC値が達成されたことを示す。
【0234】
以下の表14は、2つの異なるオクトレオチド製剤(表12Bに示される基本製剤および表12Aに示される簡素化製剤)空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。基本製剤および簡素化製剤中のオクトレオチドの投与後の空腸からのオクトレオチド吸収のレベルを得た。暴露値、AUC(0〜25)を決定した。
【0235】
【表14】

表14における上記結果は、オクトレオチドを簡素化製剤に組み込んだ場合、完全製剤と比較して、AUC値がわずかに低いことを示す。
【0236】
実施例21:製剤活性に対するヒマシ油をオクタン酸に置換することの影響
デキストランを含有する製剤をカーゴとして使用し、ヒマシ油(およびトリブチル酸グリセリルとイソ吉草酸エチル)をオクタン酸(Aldritch)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。これは、C8モチーフを製剤に維持するために行った。すなわち、親水性画分中のC8塩に加えて、疎水性媒体中にC8酸を有することが有利となり得ると考えられた。
【0237】
オクタン酸/リシノール酸を含有するデキストラン製剤を形成することによって、リシノール酸(Spectrum)の影響も試験した。ヒマシ油中の主要トリグリセリド成分は、リシノール酸から形成されるため、リシノール酸を選択した。3つのデキストラン製剤は、以下の表15Aに示されるように調製した。基本デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。オクタン酸デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸に置換した。本製剤は、視覚分析によって、液体であることがわかったが、真の溶解性分析は行わなかった。高濃度(本製剤の約78%)のオクタン酸は、オクタン酸に高濃度で溶解可能なPVPおよびオクタン酸ナトリウムとともに、固形親水性画分を溶解するようである。リシノール/オクタン酸デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸およびリシノール酸の混合物に置換した。本製剤は、本発明の製剤の大部分にとって通常の懸濁液である。
【0238】
【表15A】

表15Aにおいて上述した製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表15Bに示す。
【0239】
【表15B】

上の表15Bにおいて示した結果は、デキストランの吸収が、オクタン酸を含有する製剤において、大幅に向上したことを示す(2倍以上)。加えて、グラフの形状が変化し、よりゆっくりであるが長時間の放出を示している。これは、APIが体内で長時間作用することを可能にするため、有利であり得る。リシノール/オクタン酸デキストランの結果は、オクタン酸製剤よりも低い活性を示したが、依然として、基本製剤を超えて向上した。
【0240】
オクタン酸およびリシノール酸/オクタン酸製剤は、高い活性を示したため、エクセナチドをカーゴとして使用し、類似製剤を調製した。以下の表16Aにおいて示されるように、3つのエクセナチド製剤を生成した。基本エクセナチド製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。エクセナチド/オクタン酸製剤は、本質的に、上記実施例において記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸に置換した。約78%オクタン酸を含有する本製剤は、上記の類似デキストラン製剤と同様に、視覚分析によって液体となることがわかった。リシノール/オクタン酸エクセナチド製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸およびリシノール酸の混合物に置換した。
【0241】
【表16A】

表16Aにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表16Bに示す。
【0242】
【表16B】

上の表16Bにおいて示した結果は、オクタン酸を含有するエクセナチド製剤がバイオアベイラビリティを示したことを証明するが、エクセナチドの吸収は、基本製剤と比較して減少した。グラフの形状は変化したが、上記オクタン酸デキストラン製剤の場合と同様に、よりゆっくりであるが長時間の放出を示し、この長期PKプロファイルは、有利であり得る。オクタン酸製剤の場合、長期PKプロファイルに起因して、AUC0〜180分をBA計算に使用したことに留意されたい。リシノール/オクタン酸エクセナチド製剤は、オクタン酸製剤よりもさらに低いバイオアベイラビリティを有した。
【0243】
実施例22:オクタン酸の用量反応
A.オクトレオチド製剤:オクトレオチド含有する製剤をカーゴとして使用し、オクタン酸の量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。以下の表17に示されるように、0%、5%、10%、または15%オクタン酸を使用して、4つのオクトレオチド製剤を調製した。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本オクトレオチド製剤であり、オクタン酸の量は記載のとおり変化したものであり、疎水性媒体(イソ吉草酸エチルおよびトリブチル酸グリセリル)中の他の成分の量は、付随して減少させた(これらの製剤において、親水性画分を簡素化し、MgClおよびMC400を省略した)。
【0244】
【表17】

B.エクセナチド製剤:エクセナチドをカーゴとして含有する製剤を使用して、オクタン酸の量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。以下の表18に示されるように、0%、10%、15%、20%、または35%オクタン酸を使用して、5つのエクセナチド製剤を調製した。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本エクセナチド製剤であり、オクタン酸の量は、記載のとおり異なり、疎水性媒体(イソ吉草酸エチルおよびトリブチル酸グリセリル)中の他の成分の量は、付随して減少させた。
【0245】
【表18】

表17および18において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチドまたはエクセナチド値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表19に示す。
【0246】
【表19】

上の表19において示した結果は、オクタン酸の量が15%(試験した最大量)まで増加すると、オクトレオチド製剤は、基本製剤と比較して高い活性を示すことを証明する。さらに、上の表19において示した結果は、オクタン酸の量が15%まで増加すると、エクセナチド製剤は、基本製剤と比較して高い活性を示し、より高レベルのオクタン酸において活性が減少することを証明する。
【0247】
実施例23:異なる中鎖脂肪酸塩の影響
A.セバシン酸ナトリウム(デカン二酸の二ナトリウム塩):デキストラン製剤中のオクタン酸ナトリウムをセバシン酸ナトリウム(C10二ナトリウム塩)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。セバシン酸ナトリウムは、セバシン酸(Aldrich)および水酸化ナトリウムからin situで調製した。生成された製剤は、以下の表20に記載する。本製剤は、本質的に上述のとおり調製したが、12%オクタン酸ナトリウムを、オクタン酸ナトリウムと同一モル濃度でセバシン酸ナトリウムに置換、すなわち、等モル量のセバシン酸ナトリウムを使用した(つまり、0.72M)。
【0248】
【表20】

表20において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較する。これらの結果を以下の表21に示す。
【0249】
【表21】

表21に示される結果は、セバシン酸ナトリウムを含有するデキストラン製剤が、活性を示したことを証明するが、デキストランの吸収は、等モル量のオクタン酸ナトリウムを含有する製剤と比較して減少した。
【0250】
B.スベリン酸モノナトリウムまたはスベリン酸二ナトリウム
オクトレオチド含有製剤を調製し、12%オクタン酸ナトリウムを、C8塩である、等モル量(0.72M)のスベリン酸モノナトリウムまたはスベリン酸二ナトリウムと置換した。これらのナトリウム塩は、スベリン酸(Tokyo Chemical Industry Co.)および水酸化ナトリウムからin situで調製した。
【0251】
【表22A】

表22において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定する。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較する。
【0252】
C.ゲラン酸塩
2つのオクトレオチド含有製剤は、本質的に上述のとおり調製し、12%オクタン酸ナトリウムは、18%ゲラン酸ナトリウム塩(0.95M)および14.6%(0.77M)ゲラン酸ナトリウム塩に置換し、これは3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン酸(SAFC)から入手)である。生成された製剤を以下の表22Bに記載する。
【0253】
【表22B】

表22Bにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較した。結果を以下の表22Cに示し、それらは、18%ゲラン酸ナトリウムを有する製剤は、12%オクタン酸ナトリウム製剤に類似する活性を有し、14.6%ゲラン酸ナトリウムを有する製剤は、活性が増加したことを証明する。
【0254】
【表22C】

実施例24:PVP(ポリビニルピロリドン)が製剤活性に及ぼす影響
エクセナチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、PVP−12をマンニトール(Sigma)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。当然のことながら、当該技術分野において、PVP−12は安定剤であり、製剤中でマンニトール等の別の安定剤に置換することができる。以下の表23に示される製剤を調製した。本製剤は、本質的に、上述されるとおり調製した基本エクセナチド製剤であるが、PVP−12は、マンニトールに置換する。
【0255】
【表23】

表23において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、基本製剤と比較した。これらの結果を以下の表24に示す。
【0256】
【表24】

上の表24において示した結果は、PVP−12を含まないエクセナチド製剤が、基本製剤と比較して、有意に活性が減少したという驚くべき予想外の結果を証明する。したがって、PVPがバイオアベイラビリティに及ぼす影響をさらに調査することにした。
【0257】
エクセナチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、PVPの分子量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。PVP−12、PVP−17、またはPVP−25(すべてBASFから入手)のうちのいずれかを使用して、3つのエクセナチド製剤を調製した。PVP−12、PVP−17、およびPVP−25は、すべてポリビニルピロリドンポリマーであり、平均分子量は、それぞれ約2500〜3000、10000および30000である。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本エクセナチド製剤であり、PVPは記載のとおり異なり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略した。
【0258】
【表25】

表25において上述した3つの製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表26に示す。
【0259】
【表26】

上の表26において示した結果は、PVP−12を含有するエクセナチド製剤が、PVP−17およびPVP−25を含有するエクセナチド製剤よりもはるかに高い活性を示したことを証明する。したがって、PVP−12の影響のみをさらに調査し、PVP−12を使用して、用量反応研究を行うことにした。オクトレオチドを含有する製剤をカーゴ化合物として使用し、かつ以下の表27に示されるような異なる用量のPVP−12を使用して、製剤中のPVP−12の量を増加させることの製剤の活性に及ぼす影響を試験した。試験したPVP−12用量は、2.75%(上記製剤において使用される標準用量)ならびに5.0%、7.5%、および10.0%PVP−12であり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略した。10%PVPを含有する製剤は、半固形であり、すなわち、一見したところ半固形懸濁液であった。
【0260】
【表27】

表27において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCを4つの異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表28Aに示す。
【0261】
【表28A】

上の表28Aにおいて示した結果は、製剤中のPVPの量が増加すると、オクトレオチドの吸収が劇的に増加したことを示す。10%PVP−12を含有する製剤は、オクトレオチドの吸収が2.75%PVP−12を含有する製剤よりも約1.7倍高かった。10%PVP−12を含むが、オクタン酸ナトリウムを含有しない改良オクトレオチド製剤は、実質的にまったく活性を示さなかった。rBAは、0.11%(CV=158%)n=5であった。
【0262】
中鎖脂肪酸塩は、透過性強化剤として作用し(治療薬剤の透過性および/または吸収を促進または強化することによって)、PVPは、単独で実質的に影響をまったく有しないため、透過性強化剤の影響を相乗的に増加させるように機能するように見える。実施例31も参照されたい。
【0263】
さらなる実験を行って、10%PVP−12をデキストランに置換できるか否か、および依然としてその製剤の活性を維持できるか否かを調査した。デキストランは、Flukaによって製造され、平均分子量は、約6000である。製剤は、本質的に上述のとおり調製し、PVPおよびデキストランは、記載のとおり異なり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略し、オクタン酸ナトリウムを15%まで増加させた。実施例26を参照されたい。
【0264】
【表28B】

表28Bにおいて上述した3つの製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表28Cに示す。
【0265】
【表28C】

上の表28Cにおいて示した結果は、製剤中のPVPをデキストランに置換した場合、オクトレオチドの吸収が減少したが、活性は依然として有意であったことを証明する。10%デキストランを含有する製剤は、10%PVPを含有する製剤の約75%のオクトレオチド吸収を有し、5%デキストランを含有する製剤は、10%PVPを含有する製剤の約73%のオクトレオチド吸収を有した。
【0266】
実施例25:C8、C9、およびC10中鎖脂肪酸塩、つまりオクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、およびデカン酸ナトリウムの比較研究
オクトレオチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、オクタン酸ナトリウムを他の中鎖脂肪酸ナトリウム塩と置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。3つのオクトレオチド製剤は、以下の表29に示されるとおり調製した。これらはすべて、本質的に、上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略し、中鎖脂肪酸塩は、等モル量のオクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、またはデカン酸ナトリウムである。
【0267】
【表29】

表29において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表30に示す。
【0268】
【表30】

上の表30において示した結果は、製剤中のオクタン酸ナトリウムをノナン酸ナトリウムまたはデカン酸ナトリウムに置換する場合、類似する活性があることを証明する。統計分析に基づいて、3つのすべての製剤間で活性に差異はない。
【0269】
実施例26:オクタン酸ナトリウムの用量反応
表31に示される製剤を形成することによって、12%、15%、および18%におけるオクタン酸ナトリウムの用量反応を試験した。これらはすべて、本質的に上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略し、カーゴ化合物は、オクトレオチドであった。さらに、本製剤を粘度に対して修正し、すなわち、3つの製剤すべてに対して同一または類似粘度を維持し、これは、ヒマシ油およびトリブチル酸グリセリルの量を変えることによって達成した。
【0270】
【表31】

表31において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表32に示す。
【0271】
【表32】

上の表32において示した結果は、製剤中のオクタン酸ナトリウムを12%から15%に増加させると、活性の増加が見られるが、オクタン酸ナトリウムを18%までさらに増加させても、15%において得られた活性よりも高い活性に至らない。したがって、約15%オクタン酸ナトリウムは、好適な量であると思われる。
【0272】
実施例27:製剤中の界面活性剤の親水性/親油性バランスを変えることの影響に関する調査
以下の表33は、様々なオクトレオチド製剤を説明する。第1のコラム、製剤(a)は、本質的に、上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略し、カーゴ化合物は、オクトレオチドである。界面活性剤は、Span40、レシチン、およびモノオレイン酸グリセリルであり、計算によって、HLBは約5〜6である。他の製剤において(製剤b、c、およびd)、Span40およびレシチンを置換し、Tween80の量を変え、モノオレイン酸グリセリルの量を変えることによって、示されるように(3.5、6.7、および14に)HLBを変更した。
【0273】
【表33】

表33において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表34に示した。
【0274】
【表34】

上の表34において示した結果は、(a)中の界面活性剤のHLBより、[b]中のHLBは低く、[c]中のHLBはわずかに高く、[d]中のHLBよりもはるかに高かったが、Span40およびレシチンをTween80と置換する3つの新しい製剤すべて[b、cおよびd]が、基本製剤[a]よりもはるかに良好な活性を有したことを証明する。さらに、新しい製剤のすべて[b、c、およびd]の活性は、統計的に非常に類似していた。したがって、界面活性剤のHLB単独では、活性に影響を及ぼすようには考えられないが、界面活性剤の特徴が重要な役割を果たすように思われる。特に、Span40およびレシチンをTween80と置換することは、これらのオクトレオチド製剤における活性に有利である。
【0275】
実施例28:トリカプリル酸対ヒマシ油の異なる比率を有するオクトレオチド製剤
PVP−12用量反応結果を含む上述の結果、オクタン酸ナトリウム用量反応結果および特に界面活性剤結果の蓄積に基づいて、10%PVP−12および15%オクタン酸ナトリウムを使用し、トリカプリル酸対ヒマシ油の比率を変えることによって、一連のオクトレオチド製剤を調製した。さらに、モノオレイン酸グリセリルおよびトリブチル酸グリセリルを、モノカプリル酸グリセリルおよびトリカプリル酸グリセリル(いずれもAbitecにより供給される)に置換した(使用される場合)。これは、C8モチーフを製剤内に維持することである。したがって、親水性画分は、C8酸(オクタン酸)の塩を含有し、疎水性媒体は、同一のC8酸を組み込むモノグリセリドおよびトリグリセリドを含有する。発明者らは、親水性画分および疎水性媒体の両方におけるC8化合物の使用は、バイオアベイラビリティに有利であり得ると考える。これらの製剤中でTween80およびモノカプリル酸グリセリルの量も異なった。これらの製剤は、以下の表35Aに示されるように調製した。製剤I、II、V、およびVIは、半固形(一見したところ懸濁液)であり、製剤IIIおよびIVは、通常の液体懸濁液であった。
【0276】
【表35A】

表35Aにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表35Bに示す。
【0277】
【表35B】

上の表35Bにおいて示した結果は、製剤IおよびIVが最大の活性を有することを証明する。ヒマシ油は、製剤IV中に存在しないため、これは、ヒマシ油が活性に必須でないことを証明する。高いGTC:ヒマシ油の比率、例えば、6:4が活性に有益であるように考えられる。さらに、製剤V(低活性を有する)は、製剤Iと同一のGTC:ヒマシ油比率を有するため、GMC(または他のモノグリセリド)は、追加として活性に望ましいと思われる。さらに、表36の製剤Iに類似する製剤を調製したが、オクタン酸ナトリウムは省略した。本製剤は、実質的にまったく活性を示さず、rBA=0.1%であった。
【0278】
製剤IVのバルク薬剤製品(改良型、ヒマシ油なし)を150ミクロンスクリーンで粉砕し、次に、Malvernレーザー回折技術を使用して、粒径を測定した。予備結果は、これらの粒子の90%(v/v)が130ミクロン以下であり、これらの粒子の50%(v/v)が45ミクロン以下であることを示した。
【0279】
製剤Iに類似する製剤を使用するが、増加量のオクトレオチドを変える予備実験は、すべて同様のBAをもたらし、すなわち、API負荷から独立した略線状の暴露があった。さらに高いオクトレオチド負荷−1.5%(wt/wt)−における製剤IVに類似する製剤を使用する予備実験も同様のBAをもたらした。
【0280】
オクトレオチドの代わりにFD4をカーゴとして使用し、上記製剤Iに類似する改良製剤を調製し、基本製剤と比較した。これらの製剤を以下の表36Aに記載する。
【0281】
【表36A】

表36Aにおいて上述される製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿FD4レベルを測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表36Bに示す。
【0282】
【表36B】

上の表36Bにおいて示した結果は、改良製剤が基本製剤よりもはるかに優れた活性を有することを証明する。
【0283】
実施例29:選択した(改良した)オクトレオチド製剤の詳細な生成プロセス
実施例28におけるオクトレオチド製剤(表6、第1コラム)は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。以下は、本製剤の詳細な生成プロセスである。
【0284】
親水性画分の生成:
150mLの水に、以下の成分:24.05gのオクタン酸ナトリウム、16.04gのPVP−12、および92.4gの10mg/mLオクトレオチド水溶液を徐々に添加して混合した。得られる溶液を凍結乾燥させた。
【0285】
疎水性媒体の生成:
3.25gTween80、6.47gのモノカプリル酸グリセリル、65.25gのトリカプリル酸グリセリル、および43.50gのヒマシ油を一緒に混合した。
【0286】
バルク薬剤製品の生成:
混合しながら、26.08gの親水性画分を73.92gの疎水性媒体に20±2℃で徐々に添加した。親水性画分全体を添加した後、混合速度を増加させた。次に、真空による脱気を適用し、得られる懸濁液を2〜8℃で保存した。
【0287】
大量のオクトレオチドを溶解可能にするために、以下の方法を用いた。
【0288】
1.親水性画分調合液の水の量は、最終バルク薬剤製品の計算容量と同一であった。
【0289】
2.PVP−12を上記水量の半分に溶解した。
【0290】
3.オクタン酸ナトリウムを残り半分の水に溶解した。
【0291】
4.オクトレオチドをPVP−12溶液(第2項から)に溶解した。
【0292】
5.オクタン酸ナトリウム溶液をオクトレオチドおよびPVP−12溶液に添加した。
【0293】
この段階で、いくらかの沈殿があったが、混合後に溶解した。
【0294】
実施例30:ブタにおいてカプセルを使用した実験
カプセルで投与した場合の本発明の製剤の活性を試験するために、ブタ(家畜ブタ)へのカプセル投与を可能にする動物モデルを確立した。胃をバイパスして、カプセルをブタの小腸に直接投与することを可能にするために、十分に確立されたイヌモデル(″Nipple Valve model″;Wilsson−Rahmberg&O.Jonsson,Laboratory Animals(1997),31,231−240)を商業用ブタに適合させた。
【0295】
以下の表37に示される2つのオクトレオチド製剤を調製した。オクトレオチド(x)製剤は、本質的に、親水性画分を簡素化して、MgClおよびMC400を省略した基本製剤に対して上述したように調製した。オクトレオチド(y)製剤は、本質的に、改良オクトレオチド製剤に対して上述のとおり調製した。これらの製剤は、ゼラチンカプセル(Capsugelから)に充填し、基本製剤(x)は0.42mL/カプセル、および改良製剤(y)は0.44mL/カプセルで充填したところ、いずれの種類の充填カプセルも5mgのオクトレオチド正味含有量を得た。これらのカプセルは、腸溶コーティングされておらず、すなわち、それらはコーティングされていなかった。
【0296】
【表37】

表37において上述した製剤を、上述の胃バイパスを介して、無麻酔ブタの小腸に直接投与し、投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。皮下投与後のオクトレオチドへの暴露と比較して、%BAを計算した。得られた結果を以下の表38に示す。
【0297】
【表38】

表38の上記結果は、ブタモデルにおいて、基本および改良製剤のいずれの場合も、カプセル化製剤にバイオアベイラビリティがあることを示した。改良製剤のオクトレオチドバイオアベイラビリティは、基本製剤のバイオアベイラビリティのレベルの約3倍であった。
【0298】
バイオアベイラビリティに関してここで示した結果は、オクトレオチドレベルがベースライン(0ng/mL)に戻るまでのサンプリング時間が十分でなかったため、過小評価である。これは、ラットにおいて既に測定されているものと比較して、ブタにおける暴露時間が予想外に長かったことに起因する。グラフの形状は、ラットの結果と比較して変更し、最大ピーク値に到達するまでの時間が長く、オクトレオチドが血中に存在する時間が長いことを示している。これは、オクトレオチドが体内で長く作用することを可能にするため、有利であり得る。したがって、ブタにおける実際のバイオアベイラビリティは、得られた数値よりも高いはずである。
【0299】
ラットにおける結果に基づいて、水溶液で投与したオクトレオチドのブタにおけるバイオアベイラビリティのレベルは、約0.1%であると推定される。このバイオアベイラビリティのレベルは、ブタに使用されるバイオアッセイの感度レベルよりも低い。
【0300】
実施例31:改良製剤におけるPVPの用量反応結果
実施例24におけるPVP結果に加えて、改良製剤におけるPVP−12の量を増加させることの活性に及ぼす影響を試験した。本質的に上述のとおり形成した改良製剤は、以下の表39に示されるように、オクトレオチドをカーゴ化合物として含み、かつ異なる用量のPVP−12を含有した。試験したPVP−12用量は、7.5%、10.0%、および15.0%PVP−12であった。10%および15.0%PVPを含有する製剤は、半固形であり、すなわち、それらは一見したところ半固形懸濁液であり、7.5%PVPを含有する製剤は、粘性懸濁液であった。
【0301】
【表39】

表39において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチドを測定した。暴露値、AUCを3つの製剤に対して決定した。これらの結果は、以下の表40に示す。
【0302】
【表40】

上の表40において示した結果は、製剤中のPVPが10%である場合にオクトレオチドの吸収が最大であったこと、および量を15%まで増加させると、活性が有意に減少することを証明する。これは、改良製剤中の10%PVPの選択を確認する。
【0303】
実験32:製剤に付随して投与したAPIと比較した製剤に梱包されたAPIの活性
本質的に上述のとおり、3つの異なるカーゴ化合物の3つの異なる基本製剤(デキストラン、ゲンタマイシン、およびエクセナチド)を調製した(基本製剤は、基本非簡素化親水性画分である)。これら3つの製剤のそれぞれを、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿カーゴ値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。さらに、非関連カーゴ化合物(模擬製剤)を用いて類似製剤を調製した。別に、水溶液中のデキストラン、ゲンタマイシン、またはエクセナチドに付随して、模擬製剤を投与し、暴露値、AUCを決定した。水溶液中のカーゴを投与し、その直後に空腸移植カニューレを介して(胃バイパス)模擬製剤を投与することによって、付随投与を達成した。各化合物の場合、製剤カーゴの投与後の暴露を、非製剤カーゴ(付随)の投与後の暴露と比較した。比較結果を以下の表41に示す。結果は、3つの例すべてにおいて、非製剤(付随)と比較して、カーゴを製剤化する場合、活性(バイオアベイラビリティ)が高まること、およびエクセナチドは、製剤に起因する活性の最大増加を示したことを示す。デキストランおよびゲンタマイシンは、プロテアーゼ分解に敏感でない化合物であるが、ペプチドであるエクセナチドは、腸内酵素によって分解されやすいことに留意されたい。非製剤エクセナチドと比較して、製剤エクセナチドの活性における大きな差異は、分解に対する製剤の保護効果に起因し得る。
【0304】
【表41】

実施例33:腸性透過性亢進の評価
A.サイズ制限:上述の技術および製剤は、腸の透過性を増強することを目的とし、この壁を通過するるタンパク質、ペプチド、および他の不透過性分子の特定送達を可能にする。ある程度の腸含有物の非特定透過は、この特定透過性の増強の副作用として生じ得る。異なる分子サイズマーカーを使用して、非特定様式で腸を透過する可能性のある分子のサイズを評価した。
【0305】
増加したGI透過性の分子サイズ制限を評価するために、異なる分子量の5つの異なるFITC標識デキストランを選択して、増加した腸性透過性を試験するための分子マーカーとし、5つのデキストランの平均分子量は、4.4、10、20、40、および70kDaであり、それぞれ半径14、23、33、45、および60Åに相当する。これらの異なるサイズのマーカーを、腸に移植したカニューレを通して、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、単独で試験した場合、実質的にまったく基底腸内浸透を示さなかった。次に、これらのマーカーのそれぞれを、300μLの基本製剤とともに、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、血中のデキストラン値を試験することによって、その浸透度を評価した。
【0306】
投与前に、および製剤投与から3′、6′、10′、25′、60′、90′分後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUC(0〜90)を決定し、結果を図7に示す。データは、平均±SD、n4として提示した。
【0307】
結果は、試験した最小分子マーカー(平均MW=4.4kDaのデキストラン)は、製剤に付随して投与されると、腸を透過するが、分子サイズが増大するにつれて、透過の程度は減少し、10kDaのマーカー分子の透過はより小規模であり、20kDaマーカーの透過はさらに小規模であることを示す。40kDaのマーカー分子は、最小の透過を示すが、70kDaのマーカー分子は、透過をまったく示さない(基底透過)。これらの結果は、40〜70kDaが、本発明の製剤による非特定透過性増強のカットオフサイズであることを示す。したがって、大量の製剤(300μL)をラットの空腸に投与することは、腸壁の透過性増強をもたらし、この増強透過性は、分子サイズによって制限され、40〜70kDaのカットオフサイズ、および40kDaにおける最小透過を示している。
【0308】
腸内に潜在的に存在し得る危険分子のサイズ(分子量および半径)の公開値を以下の表42に示す。
【0309】
【表42】

表42は、上で示されるように、腸内に存在する潜在的な危険分子は、試験した製剤による透過性増強のカットオフサイズを超えることを証明する。したがって、これらの結果は、試験した製剤が、腸壁を通る危険分子の透過を促進しないこと、したがって、これらの製剤は、安全であると考えられることを示唆する。本発明の他の製剤は、類似する結果をもたらす。
【0310】
B.製剤の反復投与:製剤の反復投与が腸内透過性に影響するか否かを調査するために、上記生体内モデル(空腸に2つのカニューレを移植したラット)を使用して、オクトレオチド改良製剤(ヒマシ油を伴う12%オクタン酸ナトリウム)を、14日連続してラットに投与した。投与の1、7、および14日目に、デキストラン透過性マーカー(4.4kDa MWのFITC−デキストラン、FD4)を、製剤投与から60分後に投与した。これは、腸から血液へのFD4の透過によって、腸の透過性を評価するためである。14日間の製剤の反復投与後、FD4暴露に有意差は認められなかった。これらの結果は、この期間の製剤の反復投与に続いて、腸性透過性の増加はなく、腸増強透過性は、この期間中、可逆的プロセスのままであることを示唆する。
【0311】
この製剤は腸組織に損傷をもたらさないが、腸壁を特異的に開放することによって作用し、追加の透過性増強効果を示さないことを示唆する。
【0312】
実施例34:腸性透過性亢進:経時変化および可逆性
上記実施例における研究に加えて、デキストランを透過性マーカーとして使用し、本発明の製剤により増加した腸性透過性の経時変化、および本プロセスの可逆性を定義するために、研究を設計した。
【0313】
増加した腸性透過性の時間枠を定義するために、ラットにおいて生体内モデルを発育し、1つまたは2つのカニューレをラットの空腸に移植する。FITC標識デキストラン(平均分子量4.4kDa、FD4)は、実質的にまったく基底腸内浸透がなく、腸性透過性を試験するための分子マーカーとして機能した。デキストランマーカーを、製剤に付随して(空腸移植カニューレによって)投与するか、または製剤投与から異なる時間間隔で(第2の個別の空腸移植カニューレによって)投与するように実験を設計した。血液へのFD4の透過を試験することによって、腸性透過性を評価した。デキストランマーカーに付随して基本製剤、または基本製剤に次いでデキストランマーカーを、異なる時間間隔(10、30、および60分)でラットに投与した。投与前、およびデキストラン投与から3、6、10、25、60、および90分後におけるデキストラン濃度について、血液試料を分析した。結果を8に示す。データは、平均±SD、n5として提示した。
【0314】
図8は、デキストランマーカーは、製剤とともに投与されると、最も高く透過することを証明する。製剤の投与とデキストランマーカーの投与との間の10分の間隔は、マーカー透過の量を有意に減少させ、間隔を増加させると、マーカー透過は飛躍的に激減する。
【0315】
これらの結果は、製剤によって非特定透過性はある程度強化されるが、製剤の投与後短時間に制限されることを示す。腸性透過性は、経時的に激減し、製剤投与から60分後には、さらなるマーカーの透過はない。したがって、ラットの腸への製剤投与は、極めて短期間の腸壁の透過性亢進をもたらす。本発明の他の製剤が、類似する結果をもたらした。
【0316】
実施例35:サルへのオクトレオチドの経口投与
サルへのオクトレオチド製剤の経口投与後のオクトレオチドの薬物動態を試験するために、オクトレオチドの改良ヒマシ油製剤を含有するカプセル(表35の製剤Iに類似するが、オクトレオチドの負荷が高い)を、5匹のカニクイザルに経口投与した。使用したカプセルは、6.7% Acryl−EZE(登録商標)腸溶コーティングで被覆されたサイズ1ゼラチンカプセルであり、このコーティングは、胃におけるカプセルの分解を防ぎ、投与した動物の小腸におけるカプセルの開放を可能にする。使用したオクトレオチド用量は、5mg/カプセルであった。
【0317】
カプセル投与に先立って、サルを一晩断食させた。経口投与に続いて、血液試料を9.75時間の期間をかけて採取し、血漿を処理して、LC/MS/MS方法によってオクトレオチド含有量を分析した。図9を参照されたい。改良ヒマシ油/GTCなし製剤(表35の製剤IVに類似するが、APIの負荷が高い)を用いて、類似実験を行ったところ、類似する結果が得られた。またいくつかの異なる腸溶コートを用いて類似実験を行ったところ、類似する結果が得られた。
【0318】
改良オクトレオチド製剤の投与後のオクトレオチドの薬物動態を、注射したオクトレオチドの薬物動態と比較するために、酢酸オクトレオチド溶液(0.1mg/サル)を、上記群の2匹のサルに皮下投与して、基準とした。4時間かけて血液試料を採取し、血漿用に処理して、LC/MS/MS方法によってオクトレオチド含有量を分析した。
【0319】
経口オクトレオチドおよび皮下注射オクトレオチド溶液後のオクトレオチドの薬物動態を比較した(図9および10を参照)。経口投与の結果は、数時間にわたって吸収を示した。皮下と比較してグラフの形状を変更し、血液の中へのオクトレオチドの放出がよりゆっくりしているが長くなったことを示している。これは、長時間のオクトレオチドの滞留を可能にし、活性期間を長くする可能性があるため、有利であり得る。
【0320】
酢酸オクトレオチドをヒトに注射するための認可用量は、0.1mg/患者である。サルにおける上記結果は、約10mgオクトレオチド/投与を含有する改良製剤が、ヒトにおいて治療暴露をもたらすことを示唆する。
【0321】
実施例36:安定性データ
本発明の基本および改良オクトレオチド製剤は、両方とも4℃および25℃で維持し、定期的にオクトレオチド含有量を試験した。いずれの製剤も安定であることがわかった。
【0322】
実施例37:バンコマイシン、インターフェロン−α、およびテルリプレシンを組み込む製剤
A.バンコマイシン:以下の表43は、親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、疎水性媒体の主成分としてトリカプリル酸グリセリルを含有する、バンコマイシン改良製剤を説明する。バンコマイシンは、Gold Biotechnologyから入手した。
【0323】
【表43】

予備実験において、表43において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿バンコマイシンレベルを測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定した。結果は、絶対BAが約5%である(静脈内との比較、n=6)。生理食塩水中のバンコマイシンを無麻酔ラットの空腸に投与した際、BAは検出されなかった。
【0324】
インターフェロン−α:以下の表44は、親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、疎水性媒体の主成分としてトリカプリル酸グリセリルを含有する、インターフェロン−α改良製剤を説明する。インターフェロン−αは、緩衝液で(Intas Biopharmaceuticalsから)供給され、製剤中のインターフェロン−α緩衝液の成分には、アスタリスク()を付した。
【0325】
【表44】

表44において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与する。製剤投与後に、血漿インターフェロンα値を測定する。
【0326】
C.テルリプレシン:以下の表45は、テルリプレシン基本製剤、および親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、トリカプリル酸グリセリルを疎水性媒体の主成分として含有するテルリプレシン改良製剤について説明する。テルリプレシンは、Bambioから入手した。基本製剤は、本質的に、上述のとおり調製し、改良製剤も本質的に上述のとおり調製する。
【0327】
【表45】

上の表45において説明した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与する。製剤投与後に血漿テルリプレシン値を測定する。
【0328】
実施例38:オクトレオチドによる生体内成長ホルモンの阻害
オクトレオチドの最もよく特徴付けられる影響の1つは、成長ホルモン放出の阻害である。本発明のオクトレオチド製剤が成長ホルモン阻害に及ぼす有効性を試験するために、ラットモデルを使用し、オクトレオチド製剤を(上述の)無麻酔ラットモデルの空腸に投与した後、内因性成長ホルモン(rGH)値を監視した。ラットの空調への基本オクトレオチド製剤(12%オクタン酸ナトリウムを含有)の投与は、生理食塩水対照の投与と比較して、rGH値を87.4%減少させることを示した。この結果は、本明細書に記載されるオクトレオチド製剤は、オクトレオチドをその活性形態で、腸内腔から血流の中への送達を可能にすることを証明する。
【0329】
実施例39:毒物学研究
製剤対照(賦形剤のみ、カーゴなし)の28日毒物投与研究をウィスター系ラットにおいて行った。試験群の動物に、実行可能な最大用量の製剤(100μL/動物/日)を28日連続して直腸的に連日投与した。試験群を2つの対照群:ナイーブ群(非処置)および生理食塩水投与群(n=15/群)と比較した。
【0330】
一般的な臨床観察を1日2回行い、詳細な臨床観察を毎週行った。体重および摂餌量を週1回測定した。臨床病理学および全体病理学は、最終処置の1日後に行った。直腸、大腸、肝臓、および腎臓に組織学的試験を行ったところ、毒性作用は検出されなかった。局所GIまたは全身所見、臨床所見に関連する製剤、血液学的および血液化学パラメータの変化、剖検における肉眼所見のない、および死亡のないクリーンな組織病理であった。結論として、本実験は、製剤をラットに28日連続して1日1回直腸投与する間、毒性は認められなかったことを証明した。
【0331】
したがって、少なくとも1つの実施形態に関していくつかの態様を説明したが、当業者であれば様々な変更、修正、および改良を容易に思いつくことを理解されたい。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であるものとする。
【0332】
したがって、前述の説明および図面は、単なる実施例の目的であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の適切な解釈から決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性媒体および固形形態の混合物を含む、懸濁液を含む組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量の治療薬および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、かつ前記中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
前記固形形態は、粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子は、凍結乾燥または造粒によって生成される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記固形形態は、結合剤を含む、請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物中の含水量は、約6重量%より低い、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物中の含水量は、約2重量%より低い、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記固形形態中の含水量は、約6重量%より低い、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項8】
前記固形形態中の含水量は、約2重量%より低い、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記中鎖脂肪酸塩は、約6〜約14個の炭素原子の鎖長を有する、請求項1〜8に記載の組成物。
【請求項10】
前記中鎖脂肪酸塩は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、もしくはテトラデカン酸ナトリウム、または対応するカリウムもしくはリチウムもしくはアンモニウム塩、あるいはそれらの組み合わせである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記脂肪酸塩は、オクタン酸ナトリウムである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記中鎖脂肪酸塩は、11重量%〜40重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項1〜11に記載の組成物。
【請求項13】
前記中鎖脂肪酸塩は、12重量%〜18重量%、好ましくは、15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記中鎖脂肪酸塩は、50重量%〜90重量%の量で、前記固形形態中に存在する、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
前記中鎖脂肪酸塩は、70重量%〜80重量%の量で、前記固形形態中に存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
さらにマトリクス形成ポリマーを含む、請求項1〜15に記載の組成物。
【請求項17】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリビニルピロリドンは、約2重量%〜約20重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリビニルピロリドンは、約5重量%〜約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリビニルピロリドンは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP12である、請求項17〜20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する、請求項17〜20に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、中鎖アルコールを含まない、請求項1〜22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物は、膜流動化剤を含まない、請求項1〜22に記載の組成物。
【請求項25】
前記疎水性媒体は、ヒマシ油、またはトリカプリル酸グリセリル、あるいはトリブチル酸グリセリル、もしくはそれらの組み合わせである、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項26】
さらにオクタン酸を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記疎水性媒体の重量による主成分は、ヒマシ油である、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項28】
前記疎水性媒体は、さらにトリカプリル酸グリセリルを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記疎水性媒体の重量による主成分は、トリカプリル酸グリセリルである、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項30】
前記疎水性媒体は、さらにヒマシ油を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記疎水性媒体は、脂肪族、オレフィン、環式、または芳香族の化合物を含む、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項32】
前記疎水性媒体は、脂肪族化合物である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記疎水性媒体は、鉱物油、パラフィン、オクタン酸等の脂肪酸、モノグリセリド、ジクリセリド、トリグリセリド、エーテル、またはエステル、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項34】
前記トリグリセリドは、長鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、または短鎖トリグリセリドである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記トリグリセリドは、長鎖トリグリセリドである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油、またはヤシ油、あるいはそれらの組み合わせである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記疎水性媒体中のエステルは、低分子量エステルである、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
前記低分子量エステルは、イソ吉草酸エチルまたは酢酸ブチルである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記トリグリセリドは、短鎖トリグリセリドまたは中鎖トリグリセリド、あるいはそれらの混合物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項40】
前記短鎖トリグリセリドは、トリブチル酸グリセリルであり、かつ前記中鎖トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記疎水性媒体は、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1〜40に記載の組成物。
【請求項42】
前記界面活性剤は、レシチン、または胆汁塩、あるいは洗剤である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記界面活性剤は、モノグリセリド、クレモフォール、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Solutol HS15(12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル)、またはポロキサマー、あるいはそれらの組み合わせである、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリル、モノオクタン酸グリセリル、モノデカン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、またはモノオレイン酸グリセリル、あるいはモノステアリン酸グリセリル、もしくはそれらの組み合わせである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、またはモノパルミチン酸ソルビタン、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸(Tween80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸、またはポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物は、本質的に、治療薬および中鎖脂肪酸および疎水性媒体で構成される、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項48】
前記固形粉末は、本質的に、治療薬および中鎖脂肪酸塩で構成される、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項49】
前記疎水性媒体は、基本的に、トリカプリル酸グリセリルで構成される、請求項1〜24に記載の組成物。
【請求項50】
前記疎水性媒体は、ヒマシ油および/またはモノカプリル酸グリセリルをさらに含有する、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物で構成される、懸濁液を含む組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量の治療薬および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、前記中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で、前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項52】
前記疎水性媒体は、基本的に、ヒマシ油、モノオレイン酸グリセリル、およびトリブチル酸グリセリルで構成される、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記疎水性媒体は、基本的に、トリカプリル酸グリセリルおよびモノカプリル酸グリセリルで構成される、請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
前記疎水性媒体は、基本的に、ヒマシ油、トリカプリル酸グリセリル、およびモノカプリル酸グリセリルで構成される、請求項51に記載の組成物。
【請求項55】
前記疎水性媒体は、トリグリセリドおよびモノグリセリドを含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項56】
前記モノグリセリドは、トリグリセリドと同じ脂肪酸ラジカルを有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルであり、かつ前期モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルである、請求項55に記載の組成物。
【請求項58】
前記水溶性組成物中の前記中鎖脂肪酸塩は、前記中鎖モノグリセリド、または前記中鎖トリグリセリド、あるいはそれらの組み合わせと同一の脂肪酸ラジカルを有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項59】
前記中鎖脂肪酸塩は、カプリル酸ナトリウム(オクタン酸ナトリウム)であり、前記モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルであり、前記トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
疎水性媒体および固形形態の混合物を含む、懸濁液を含む組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量の治療薬、中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、前記マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で、前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項61】
前記固形形態は、粒子を含む、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項60および61に記載の組成物。
【請求項63】
前記ポリビニルピロリドンは、約3重量%〜約20重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記ポリビニルピロリドンは、約5重量%〜約15重量%の量で、好ましくは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP−12である、請求項60〜64に記載の組成物。
【請求項66】
前記ポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する、請求項60〜64に記載の組成物。
【請求項67】
前記中鎖脂肪酸塩は、約6〜約14個の炭素原子の鎖長を有する、請求項60〜66に記載の組成物。
【請求項68】
前記中鎖脂肪酸塩は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、またはテトラデカン酸ナトリウム、あるいは対応するカリウムまたはリチウムもしくはアンモニウム塩、またはそれらの組み合わせである、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記脂肪酸は、オクタン酸ナトリウムである、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記中鎖脂肪酸塩は、11重量%〜40重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項60〜69に記載の組成物。
【請求項71】
前記中鎖脂肪酸塩は、12重量%〜18重量%、好ましくは15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記疎水性媒体は、鉱物油、パラフィン、オクタン酸等の脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エーテルまたはエステル、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項60〜71に記載の組成物。
【請求項73】
本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物で構成される、懸濁液を含む組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量の治療薬、中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、前記マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項74】
前記固形形態は、粒子を含む、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
医薬組成物を生成するためのプロセスであって、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬および中鎖脂肪酸塩を含む、水溶性組成物を調製することと、前記水溶性組成物を乾燥させて、固形形態粉末を得ることと、前記固形形態粉末を疎水性媒体に懸濁させて、前記治療薬および前記中鎖脂肪酸塩を固形形態で含有する懸濁液を生成し、それによって、前記医薬組成物を生成することを含み、前記医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する、プロセス。
【請求項76】
前記固形形態は、粒子を含む、請求項75に記載のプロセス。
【請求項77】
前記水溶性組成物は、水溶液である、請求項75および76に記載のプロセス。
【請求項78】
前記乾燥は、凍結乾燥または造粒によって達成され、任意で、乾燥する前に、結合剤体が前記水溶性組成物に添加される、請求項75〜77に記載のプロセス。
【請求項79】
前記乾燥ステップは、前記医薬組成物中の前記含水量が、約5重量%より低くなるように十分な水を除去する、請求項75〜78に記載のプロセス。
【請求項80】
前記乾燥ステップは、前記医薬組成物中の前記含水量が、約2重量%より低くなるように十分な水を除去する、請求項79に記載のプロセス。
【請求項81】
前記乾燥ステップは、前記固形粉末中の前記含水量が、約6重量%より低くなるような量の水を除去する、請求項75〜78に記載のプロセス。
【請求項82】
前記乾燥ステップは、前記固形粉末中の前記含水量が、約2重量%より低くなるような量の水を除去する、請求項81に記載のプロセス。
【請求項83】
前記中鎖脂肪酸塩は、約6〜約14個の炭素原子の鎖長を有する、請求項75〜82に記載のプロセス。
【請求項84】
前記中鎖脂肪酸塩は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、またはテトラデカン酸ナトリウム、あるいは対応するカリウムもしくはリチウムまたはアンモニウム塩、あるいはそれらの組み合わせである、請求項83に記載のプロセス。
【請求項85】
前記脂肪酸塩は、オクタン酸ナトリウムである、請求項75〜84に記載のプロセス。
【請求項86】
前記中鎖脂肪酸塩は、約11重量%〜約40重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項75〜84に記載のプロセス。
【請求項87】
前記中鎖脂肪酸塩は、約11重量%〜約28重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項86に記載のプロセス。
【請求項88】
前記中鎖脂肪酸塩は、約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項87に記載のプロセス。
【請求項89】
前記中鎖脂肪酸塩は、約50重量%〜約90重量%の量で、前記固形粉末中に存在する、請求項75〜84に記載のプロセス。
【請求項90】
前記中鎖脂肪酸塩は、約70重量%〜約80重量%の量で、前記固形粉末中に存在する、請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
前記水溶性組成物は、マトリクス形成ポリマーをさらに含む、請求項75〜90に記載のプロセス。
【請求項92】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項91に記載のプロセス。
【請求項93】
前記マトリクス形成ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、前記ポリビニルピロリドンは、約2重量%〜約20重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項92に記載のプロセス。
【請求項94】
前記ポリビニルピロリドンは、約5重量%〜約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
前記ポリビニルピロリドンは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項94に記載のプロセス。
【請求項96】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP−12である、請求項92〜95に記載のプロセス。
【請求項97】
前記ポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する、請求項92〜95に記載のプロセス。
【請求項98】
前記組成物は、実質的に中鎖アルコールを含まない、請求項75〜97に記載のプロセス。
【請求項99】
前記組成物は、実質的に膜流動化剤を実質的に含まない、請求項75〜97に記載のプロセス。
【請求項100】
前記疎水性媒体は、ヒマシ油、またはトリカプリル酸グリセリル、あるいはトリブチル酸グリセリル、もしくはそれらの組み合わせを含む、請求項75〜97に記載のプロセス。
【請求項101】
さらに、オクタン酸を含む、請求項100に記載のプロセス。
【請求項102】
前記疎水性媒体の重量による主成分は、ヒマシ油である、請求項75〜101に記載のプロセス。
【請求項103】
前記疎水性媒体は、さらにトリカプリル酸グリセリルを含む、請求項102に記載のプロセス。
【請求項104】
前記疎水性媒体の重量による主成分は、トリカプリル酸グリセリルである、請求項75〜101に記載のプロセス。
【請求項105】
前記疎水性媒体は、さらにヒマシ油を含む、請求項104に記載のプロセス。
【請求項106】
前記疎水性媒体は、脂肪族、オレフィン、環式、または芳香族化合物を含む、請求項75〜99に記載のプロセス。
【請求項107】
前記疎水性媒体は、脂肪族化合物を含む、請求項106に記載のプロセス。
【請求項108】
前記疎水性媒体は、鉱物油、パラフィン、オクタン酸等の脂肪酸、モノグリセリド、ジクリセリド、トリグリセリド、エーテルまたはエステル、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項75〜99に記載のプロセス。
【請求項109】
前記トリグリセリドは、長鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、または短鎖トリグリセリドである、請求項108に記載のプロセス。
【請求項110】
前記トリグリセリドは、長鎖トリグリセリドである、請求項109に記載のプロセス。
【請求項111】
前記長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油またはヤシ油、あるいはそれらの組み合わせである、請求項110に記載のプロセス。
【請求項112】
前記疎水性媒体中の前記エステルは、低分子量エステルである、請求項108に記載のプロセス。
【請求項113】
前記低分子量エステルは、イソ吉草酸エチルまたは酢酸ブチルである、請求項112に記載のプロセス。
【請求項114】
前記トリグリセリドは、短鎖トリグリセリド、または中鎖トリグリセリド、あるいはそれらの組み合わせである、請求項109に記載のプロセス。
【請求項115】
前記短鎖トリグリセリドは、トリブチル酸グリセリルであり、前記中鎖トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである、請求項114に記載のプロセス。
【請求項116】
前記疎水性媒体は、イオン性界面活性剤または非イオン性海面活性剤をさらに含む、請求項75〜115に記載のプロセス。
【請求項117】
前記界面活性剤は、レシチン、または胆汁塩、あるいは洗剤である、請求項116に記載のプロセス。
【請求項118】
前記界面活性剤は、モノグリセリド、クレモフォール、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Solutol HS15(12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル)、またはポロキサマー、あるいはそれらの組み合わせである、請求項116に記載のプロセス。
【請求項119】
前記モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリル、モノオクタン酸グリセリル、モノデカン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、またはモノオレイン酸グリセリル、あるいはモノステアリン酸グリセリル、もしくはそれらの組み合わせである、請求項118に記載のプロセス。
【請求項120】
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、またはモノパルミチン酸ソルビタン、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項118に記載の組成物。
【請求項121】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸(Tween80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸、またはポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項118に記載の組成物。
【請求項122】
前記固形粉末は、基本的に、治療薬および中鎖脂肪酸塩で構成される、請求項75〜99に記載のプロセス。
【請求項123】
前記疎水性媒体は、基本的に、トリカプリル酸グリセリルで構成される、請求項75〜99に記載のプロセス。
【請求項124】
前記疎水性媒体は、さらにヒマシ油および/またはモノカプリル酸グリセリルを含有する、請求項123に記載のプロセス。
【請求項125】
請求項74〜124に記載のプロセスによって生成される、医薬組成物。
【請求項126】
前記治療薬は、ポリペプチド、グリコサミノグリカン、多糖類、小分子またはポリヌクレオチドである、請求項125に記載の組成物。
【請求項127】
前記治療薬は、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、テリパラチド、インターフェロン−α、低分子量ヘパリン、ロイプロリド、フォンダパリヌクス、オクトレオチド、エキセンナチド、バンコマイシン、またはゲンタマイシンである、請求項125に記載の組成物。
【請求項128】
前記治療薬は、ポリペプチド、グリコサミノグリカン、多糖類、小分子、またはポリヌクレオチドである、請求項1〜74に記載の組成物。
【請求項129】
前記治療薬は、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、テリパラチド、インターフェロン−α、低分子量ヘパリン、ロイプロリド、フォンダパリヌクス、オクトレオチド、エキセンナチド、バンコマイシン、またはゲンタマイシンである、請求項1〜74に記載の組成物。
【請求項130】
請求項1〜74および125〜129に記載の組成物を含む、経口投与形態。
【請求項131】
さらに腸溶性コーティングされる、請求項130に記載の経口投与形態。
【請求項132】
請求項1〜73および125〜129に記載の前記組成物を含む、直腸投与形態。
【請求項133】
使用説明書および請求項130〜132に記載の投与形態を含む、キット。
【請求項134】
請求項130に記載の組成物を含有する、カプセル。
【請求項135】
前記カプセルは、ハードゲルまたはソフトゲルカプセルである、請求項134に記載のカプセル。
【請求項136】
前記カプセルは、腸溶性コーティングされる、請求項134〜135に記載のカプセル。
【請求項137】
医薬組成物を生成するためのプロセスであって、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬の固形粉末と、中鎖脂肪酸塩を含む固形粉末とを提供することと、前記固形粉末を疎水性媒体中に懸濁させて、前記治療薬および前記中鎖脂肪酸塩を固形形態で含有する、懸濁液を生成し、それによって、前記医薬組成物を生成することと、を含み、前記医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する、プロセス。
【請求項138】
前記水溶性組成物は、さらにマトリクス形成ポリマーを含む、請求項137に記載のプロセス。
【請求項139】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項138に記載のプロセス。
【請求項140】
前記マトリクス形成ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、前記ポリビニルピロリドンは、約2重量%〜約20重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項139に記載のプロセス。
【請求項141】
前記ポリビニルピロリドンは、約5重量%〜約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項140に記載のプロセス。
【請求項142】
前記ポリビニルピロリドンは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項141に記載のプロセス。
【請求項143】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP−12である、請求項139〜142に記載のプロセス。
【請求項144】
前記ポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する、請求項139〜142に記載のプロセス。
【請求項145】
請求項144に記載のプロセスによって生成される、医薬組成物。
【請求項146】
本質的に、疎水性媒体および固形形態の混合物で構成される、懸濁液を含む、組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量の治療薬および中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含み、前記中鎖脂肪酸塩は、ナトリウム塩ではない、組成物。
【請求項147】
前記中鎖脂肪酸塩は、リチウム、カリウム、またはアンモニウム塩であり、好ましくは、アンモニウム塩である、請求項95に記載の組成物。
【請求項148】
血糖代謝異常、前糖尿病、または代謝症候群を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項130〜131に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のインスリンである、方法。
【請求項149】
前記疾患を治療するために十分なインスリンの量は、低用量のインスリンである、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
肝腎症候群、出血性食道静脈瘤、または門脈圧亢進症を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜73、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のバソプレッシンまたは他のバソプレッシン類似体である、方法。
【請求項151】
II型糖尿病または肥満を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜73、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のエクセナチドである、方法。
【請求項152】
慢性C型肝炎または慢性B型肝炎、あるいは癌を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜74、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のインターフェロン−αである、方法。
【請求項153】
多発性硬化症を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜73、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量の酢酸ガラティラメルである、方法。
【請求項154】
末端肥大症、カルチノイド症候群に関連するフラッシング発作、門脈圧亢進症、肝腎症候群、下痢、膵臓漏出、または膵偽嚢胞を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜74、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のオクトレオチドまたはソマトスタチンの別の類似体である、方法。
【請求項155】
前記治療薬はオクトレオチドである、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
感染を罹患する披験者を治療する方法であって、請求項1〜74、125〜126、または145〜147に記載の組成物を前記披験者に投与することを含み、前記治療薬は、前記疾患を治療するために十分な量のバンコマイシンである、方法。
【請求項157】
医薬組成物を生成するためのプロセスであって、治療上有効量の少なくとも1つの治療薬および中鎖脂肪酸塩を含む、水溶性組成物を調製すること、前記水溶性組成物を乾燥させて固形粉末を得ることと、本質的にオクタン酸で構成される溶液に前記固形粉末を溶解させ、それによって、前記医薬組成物を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項158】
前記脂肪酸塩は、オクタン酸ナトリウムである、請求項157に記載のプロセス。
【請求項159】
前記中鎖脂肪酸塩は、約11重量%〜約40重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項157〜158に記載のプロセス。
【請求項160】
前記中鎖脂肪酸塩は、約11重量%〜約28重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項159に記載のプロセス。
【請求項161】
前記中鎖脂肪酸塩は、約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項160に記載のプロセス。
【請求項162】
前記水溶性組成物は、さらにマトリクス形成ポリマーを含む、請求項157〜161に記載のプロセス。
【請求項163】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項162に記載のプロセス。
【請求項164】
前記マトリクス形成ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、前記ポリビニルピロリドンは、約2重量%〜約20重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項163に記載のプロセス。
【請求項165】
前記ポリビニルピロリドンは、約5重量%〜約15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項164に記載のプロセス。
【請求項166】
前記ポリビニルピロリドンは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項165に記載のプロセス。
【請求項167】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP−12である、請求項163〜166に記載のプロセス。
【請求項168】
前記ポリビニルピロリドンは、約3000の分子量を有する、請求項163〜166に記載のプロセス。
【請求項169】
前記オクタン酸は、約60〜約90%のレベルで、前記組成物中に存在する、請求項163〜168に記載のプロセス。
【請求項170】
前記オクタン酸は、約70〜85%のレベルで、前記組成物中に存在する、請求項169に記載のプロセス。
【請求項171】
前記オクタン酸は、約78%のレベルで、前記組成物中に存在する、請求項170に記載のプロセス。
【請求項172】
請求項157〜171に記載のプロセスによって生成される、医薬組成物。
【請求項173】
請求項172に記載の前記組成物を含む、経口投与形態。
【請求項174】
さらに腸溶性コーティングされる、請求項173に記載の経口投与形態。
【請求項175】
本質的にオクタン酸を含む溶液に溶解される、治療薬および中鎖脂肪酸塩を含む、組成物。
【請求項176】
治療薬および中鎖脂肪酸塩を含む組成物であって、前記治療薬および中鎖脂肪酸塩は、本質的に前記中鎖脂肪酸塩と同一の脂肪酸ラジカルを有する中鎖脂肪酸を含む溶液に溶解される、組成物。
【請求項177】
疎水性媒体および固形形態の混合物を含む、懸濁液を含む組成物であって、前記固形形態は、治療上有効量のオクトレオチドおよび中鎖脂肪酸の少なくとも1つの塩を含む、組成物。
【請求項178】
前記固形形態は、好ましくは、凍結乾燥または造粒によって生成される、粒子を含む、請求項177に記載の組成物。
【請求項179】
前記中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上、好ましくは、15重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項178に記載の組成物。
【請求項180】
前記水溶性組成物は、さらにマトリクス形成ポリマーを含む、請求項175〜179に記載の組成物。
【請求項181】
前記マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項180に記載の組成物。
【請求項182】
前記マトリクス形成ポリマーは、ポリビニルピロリドンであり、前記ポリビニルピロリドンは、約2重量%〜約20重量%、好ましくは、約10重量%の量で、前記組成物中に存在する、請求項181に記載の組成物。
【請求項183】
前記ポリビニルピロリドンは、PVP−12であり、および/または約3000の分子量を有する、請求項181〜182に記載の組成物。
【請求項184】
前記疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリルを含み、前記固形形態は、さらに、PVP−12およびオクタン酸ナトリウムで構成される、請求項177〜183に記載の組成物。
【請求項185】
前記疎水性媒体は、追加として、本質的に、ヒマシ油またはモノカプリル酸グリセリル、あるいはそれらの組み合わせ、および海面活性剤で構成される、請求項184に記載の組成物。
【請求項186】
前記疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸(Tween80)で構成される、請求項185に記載の組成物。
【請求項187】
前記固形形態は、基本的に、活性オクトレオチド、PVP−12、およびオクタン酸ナトリウムで構成される、請求項186に記載の組成物。
【請求項188】
約41%のトリカプリル酸グリセリル、約27%のヒマシ油、約4%のグリセリルモノカプリル酸、約2%のTween80、約15%のオクタン酸ナトリウム、約10%のPVP−12、約1%の水、および約0.058%のオクトレオチドを含有する、請求項187に記載の組成物。
【請求項189】
約68%のトリカプリル酸グリセリル、約4%のモノカプリル酸グリセリル、約2%のTween80、約15%のオクタン酸ナトリウム、約10%のPVP−12、約1%の水、および約0.058%のオクトレオチドを含有する、請求項187に記載の組成物。
【請求項190】
末端肥大症、異常胃腸運動、カルチノイド症候群に関連するフラッシング発作、門脈圧亢進症、内分泌腫瘍、胃不全まひ、下痢、膵臓漏出、または膵偽嚢胞を罹患する披験者を治療する方法であって、前記疾患を治療するために十分な量で、請求項177〜189に記載の組成物を前記披験者に投与することを含む、方法。
【請求項191】
披験者の静脈瘤出血を防ぐ方法であって、前記出血を防ぐために十分な量で、請求項177〜189に記載の組成物を前記披験者に投与することを含む、方法。
【請求項192】
前記披験者は、門脈圧亢進症を罹患する、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
疾患または疾病を治療する際に使用するための、請求項125または145あるいは172に記載の組成物。
【請求項194】
末端肥大症、異常胃腸運動、カルチノイド症候群に関連するフラッシング発作、門脈圧亢進症、内分泌腫瘍、胃不全まひ、下痢、膵臓漏出、または膵偽嚢胞を治療する際に使用するための、請求項177〜189に記載の組成物。
【請求項195】
披験者の静脈瘤出血を予防する際に使用するための、請求項177〜189に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−502973(P2012−502973A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527428(P2011−527428)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007155
【国際公開番号】WO2010/032140
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511068658)キアズマ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】