説明

半導体ウェハ

【課題】半導体ウェハに、細長い同一形状の半導体チップを配置したときの、半導体ウェハの周縁部の未使用部分を減らす。
【解決手段】細長い同一形状の半導体チップ3a、4aを、半導体ウェハ10aに配置する。半導体ウェハ10aの中央部に、同じ向きに揃えた半導体チップ3aの列を配列する。これが第1グループとなる。第1グループの上下の周縁部に、半導体チップ4aを、半導体チップ3aの向きとは90度異なる向きに配置する。半導体チップ4aは、その長辺が半導体チップ3aの短辺に隣接するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハに関し、特に、短辺と長辺を有する複数の半導体チップが規則的に配置された半導体ウェハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の中には、スキャナや複写機等に用いられる固体撮像装置等のように、半導体チップの長辺方向のサイズと短辺方向のサイズの比(アスペクト比)が50以上あるような非常に細長いものがある。このような半導体装置を半導体ウェハ上に形成するとき、1枚の半導体ウェハから取れる半導体チップ数ができるだけ多くなるように効率良く配置する手法が望まれている。
【0003】
図1は、特許文献1の図2に示されたチップ配置である。また、他の例として、図2および図3のようなチップ配置とすることもある。ここでは、直径200mmのシリコンウェハを用いた場合を例として説明する。
【0004】
図1〜図3に示すように、半導体ウェハ1a〜1c上に、半導体チップ2a〜2cがそれぞれ複数個形成されている。この時、個々の半導体チップがそのアスペクト比(半導体チップの長辺サイズを短辺サイズで割った比率)に応じて、1列あるいは複数列が格子状に配置されている。例えば、図1に示す半導体チップ2aは、アスペクト比が100程度(長辺サイズが80mm程度)であり、半導体ウェハ1a上に1列に配置されている。また、図2に示す半導体チップ2bは、アスペクト比が70程度(長辺サイズが50mm程度)であり、半導体ウェハ1b上に2列に配置されている。同様に、図3に示す半導体チップ2cは、アスペクト比が50程度(長辺サイズが35mm程度)であり、半導体ウェハ1c上に3列に配置されている。
【0005】
半導体ウェハ上に形成された半導体チップは、チップ毎に分離する必要がある。半導体ウェハを半導体チップに分離する手法としては、一般的にはダイシングが用いられる。ダイシングは高速回転するブレードを半導体チップが切り出される線に沿って動かし半導体ウェハを切断する方法である。
【0006】
従来のダイシングによってチップ分離を行う場合、その切断ラインが半導体ウェハ上で直線的でなければならないため、図1〜図3に示すように、半導体ウェハ上に個々の半導体チップを格子状に配置しなければならない。半導体チップのサイズや形状によっては、半導体チップの配置レイアウトは制約され、ウェハ周縁部においては、完全な半導体チップを形成することができない未使用部分(図1〜図3のハッチング部分)が多くなる。その結果、1枚の半導体ウェハから得られるチップ数が少なくなり、生産効率が悪い。
【0007】
この問題を解決する手法が、特許文献2に記載されている。図4に、当該文献の半導体チップ21のシリコンウェハ20での配置図を示す。半導体チップ21間の横方向の分離線は、異方性エッチングによるエッチング分離線22であり、破線で示す縦方向の分離線はダイシングによるダイシングライン23である。特許文献2によれば、各半導体チップ21は、1方向をダイシングで分離し、他方向をエッチングで分離するので、シリコンウェハ20内におけるチップ配列の自由度が増している。つまり、エッチング分離線22を半導体チップ21の長辺方向にずらして形成し、シリコンウェハ20の未使用部分が少なくなるように半導体チップ21を配置することで、1枚のシリコンウェハ20から得られるチップ数を増やしている。
【0008】
また、特許文献3には、サイズの異なる複数種類のICチップ12〜14を同一の半導体ウェハ11に配置したチップ配置が示されている。図5に、そのチップ配置を示す。同じサイズのICチップ同士を横一列に配置し、その列の上段または下段に、別のサイズのICチップ同士を横一列に配置するようにして、1枚の半導体ウェハに各種サイズのICチップを効率よく作製し、多品種少量生産によって生産効率を上げている。
【特許文献1】特開2003−324060(図2)
【特許文献2】特開2003−72090(図6)
【特許文献3】特開平10−256479(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アスペクト比が100程度(長辺サイズが80mm程度)あるような細長い半導体チップを半導体ウェハ上に配置する場合は、ブレードを用いたダイシングにてチップ分離する場合は、半導体チップを長辺方向にずらして配置することができず、半導体ウェハ上の未使用部分を減らすことができない。
【0010】
特許文献2(図4)では、半導体チップを長辺方向にずらして配置しているが、依然として多くの未使用部分が存在する。特許文献3(図5)においても、同じサイズの半導体チップを横一列に並べる工夫をしているが、特許文献2と同様、一方向にずらして配置しているにすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、細長い同一形状の半導体チップを、ウェハ周縁部では方向を90度回転させて配置した。すなわち、本発明の半導体ウェハは、同じ向きに揃えられた複数の半導体チップを含む第1グループと、当該第1グループに含まれる半導体チップの向きとは90度異なる向きに配置された半導体チップを含む第2グループとを有し、第1グループと第2グループとが隣接するように配置されている。
【発明の効果】
【0012】
半導体ウェハの周縁部において、半導体チップの配置方向を、中央部における半導体チップの配置方向に対して90度回転させることにより、ウェハ周縁部の未使用部分を従来よりも減らすことができ、1枚の半導体ウェハから得られるチップ数を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
【0014】
図6に、本発明の第1の実施の形態にかかる半導体ウェハ上でのチップ配置を示す。ここでは、直径200mmのシリコンウェハを用いた場合を例として説明する。
【0015】
図6に示すように、半導体ウェハ10a上に半導体チップ3a、4aがそれぞれ複数個形成されている。半導体チップ3a、4aは、同一形状である。この時、半導体ウェハ10a上に形成する半導体チップ3a、4aの配置レイアウトは、チップサイズやアスペクト比によって異なる。例えば、図6に示す半導体チップ3a、4aは、アスペクト比が100程度(長辺サイズが80mm程度)である。まず、従来例と同様に、半導体ウェハ10aの中央部に、複数の半導体チップ3aを左右(X方向)に並べて1列に配置する。半導体チップ3a同士は、同じ向きに揃えられ、長辺同士が隣接し、短辺同士がX方向に揃うように配置される。これらの半導体チップ3aのグループが第1グループとなる。
【0016】
周縁部には、半導体チップ3aと同じ向きでは半導体チップを配置できない。したがって、周縁部では、半導体チップ3aの向きに対して90度回転させた向きに半導体チップ4aを少なくとも1つ配置する。半導体チップ4aは、その長辺が半導体チップ3aの短辺に隣接するように配置される。半導体チップ4aは、可能な限り半導体ウェハ10aの未使用部分が少なくなるように、複数配置しても良い。この例では、第1グループの上側と下側に、半導体チップ4aを2個ずつ並べて配置している。この半導体チップ4aのグループが第2グループとなる。なお、ハッチング部分は、最終的に残った未使用部分である。
【0017】
半導体チップのアスペクト比が70程度(長辺サイズが50mm程度)となった場合は、図7に示すように配置すればよい。図7において、半導体チップ3b、3b、4bおよび4bは、全て同一形状である。まず、半導体ウェハ10bの中央部に、同じ向きに揃えられた複数の半導体チップ3bの列を2列上下に配置する。この半導体チップ3bの2列全体が第1グループとなる。次に、2列配置はできない左右(X方向)の周縁部に、半導体チップ3bと同じ向きに揃えられた半導体チップ3bを、Y方向にずらして1列配置する。この半導体チップ3bのグループが第3グループとなる。次に、半導体チップ3bと同じ向きでは半導体チップを配置できない上下(Y方向)の周縁部に、半導体チップ3bの向きに対して90度回転させた向きに半導体チップ4bを配置する。この長辺サイズでは、2つの半導体チップ4bを短辺同士が隣接するように左右に並べて配置できる。この半導体チップ4bのグループが第2グループとなる。次に、残りの上下(Y方向)の周縁部に、半導体チップ4bと同じ向きに揃えられた半導体チップ4bを、半導体チップ4bに対してX方向にずらして配置する。この例では、半導体チップ4bを2個ずつ並べられている。この半導体チップ4bのグループが第4グループとなる。
【0018】
また、図8に示す半導体チップ3c、3c、3c、4cおよび4cは、全て同一形状であり、アスペクト比が50程度(長辺サイズが35mm程度)である。この場合も同様に、半導体ウェハ10cの中央部に、同じ向きに揃えられた複数の半導体チップ3cの列を3列配置する。これが第1グループとなる。その左右(X方向)の周縁部に、半導体チップ3cと同じ向きに揃えられた半導体チップ3cの列を2列配置する。これが第3グループとなる。さらにその左右(X方向)の周縁部に、半導体チップ3cと同じ向きに揃えられた半導体チップ3cの列を1列配置する。これが第5グループとなる。第5グループは、第3グループに対して短辺の位置が上下(Y方向)にずれるように配置されているが、第1グループに対しては短辺の位置が上下(Y方向)にずれていてもいなくてもどちらでもよい。第1グループの上下(Y方向)の周縁部に、半導体チップ3cの向きに対して90度回転させた向きに配置した半導体チップ4cの列を2列配置する。これが第2グループとなる。さらにその上下(Y方向)の周縁部に、半導体チップ4cと同じ向きに揃えられた半導体チップ4cの列を1列配置する。これが第4グループとなる。
【0019】
上述ように半導体ウェハ上に配置された半導体チップをチップ毎に分離する場合は、切断ラインが交差しているため、レーザダイシングやエッチングなどのように、選択的に切断ラインを形成することができる手法を用いることが好ましい。切断ラインが交差していない直線部分については、ブレードを用いたダイシングを用いることができるため、組み合わせてダイシングしても良い。
【0020】
上述の実施形態によれば、中央部に配置した半導体チップと同じ方向に揃えることができない周縁部において、中央部の半導体チップの向きに対して90度回転させた向きに半導体チップを配置している。半導体チップのグループの数や配列の個数や列数は、半導体ウェハの未使用部分が少なくなるように、適宜決めればよい。半導体チップをチップ毎に分離するには、レーザダイシングやエッチング等の選択的に切断ラインを形成することができる手法を用いれば良い。したがって、半導体ウェハ上の未使用部分を減らすことができ、従来よりも多くの半導体チップを1枚の半導体ウェハから作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】特許文献1に開示された半導体ウェハのチップ配置である。
【図2】図1の変形例である。
【図3】図1の他の変形例である。
【図4】特許文献2に開示された半導体ウェハのチップ配置である。
【図5】特許文献3に開示された半導体ウェハのチップ配置である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体ウェハのチップ配置である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体ウェハのチップ配置の変形例である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体ウェハのチップ配置の他の変形例である。
【符号の説明】
【0022】
3a、3b、3b、3c、3c、3c 半導体チップ
4a、4b、4b、4c、4c 半導体チップ
10a、10b、10c 半導体ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺と長辺を有する複数の半導体チップが規則的に配置された半導体ウェハであって、
同じ向きに揃えられた複数の前記半導体チップを含む第1グループと、
前記第1グループに含まれる前記半導体チップの向きとは90度回転させた向きに配置された前記半導体チップを含む第2グループとを有し、
前記第1グループと前記第2グループとが隣接するように配置された半導体ウェハ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ウェハであって、
前記第1グループは、前記半導体ウェハの中央部に配置され、
前記第2グループは、前記第1グループよりも外側の周縁部に配置された半導体ウェハ。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体ウェハであって、
前記第1グループに含まれる前記半導体チップと同じ向きに揃えられた、少なくとも1つの半導体チップを含む第3グループをさらに有し、
前記第3グループは、前記第1グループに隣接するように前記周縁部に配置されており、
前記第3グループに含まれる前記半導体チップの前記短辺の位置と、前記第1グループに含まれる前記半導体装置の前記短辺の位置がずれるように配置された半導体ウェハ。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体ウェハであって、
前記第2グループに含まれる前記半導体チップと同じ向きに揃えられた、少なくとも1つの半導体チップを含む第4グループをさらに有し、
前記第4グループは、前記第2グループに隣接するように前記周縁部に配置されており、
前記第4グループに含まれる前記半導体チップの前記短辺の位置と、前記第2グループに含まれる前記半導体装置の前記短辺の位置がずれるように配置された半導体ウェハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−283524(P2009−283524A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131611(P2008−131611)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】