説明

半導体ウエハ洗浄用ノズル装置

【課題】半導体ウエハのハンダ屑やフラックスに対して洗浄効果が高く,設置スペースが節約できる洗浄設備のノズル装置を提供する。
【解決手段】噴射ノズルを取付けた可動キャップがキャップ軸に固定され、ロータリージョイントを介してアームに固定された該キャップ軸は、モータから速度調整自在に回転力が伝達されるように取付けられていて、噴射ノズルと可動キャップが共に回転し半導体ウエハを噴射洗浄し、可動キャップを上へ移動させる期間にウエハを搬送できるよう噴射ノズルを具備した可動キャップが垂直移動自在の半導体ウエハ洗浄用ノズル装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平位置の半導体ウエハ表面をノズルからの洗浄液噴射で洗浄するノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の技術としては特許文献1にウエハの割れ防止に効果のある洗浄装置が開示されている。段落番号[0048]には,「洗浄液をウエハの上部から噴射できるため,図10に示すようにハンダバンプ電極周辺のフラックスの他,微少なハンダ屑を除去する」と記載されている。
【0003】
洗浄ノズルの位置は,半導体ウエハ表面の,球体のハンダバンプの真上にあり,この球体の根元にあるフラックスが除去され難い,ウエハ平面に対して直角に近い洗浄水の噴射を受けるので洗浄面積が狭くノズルを万遍無く走査させウエハ全面に洗浄液を噴射させることになり洗浄時間が掛かる。
【0004】
図3に示す従来装置の場合,洗浄のウエハコンベア14が長くなって大きい装置となってしまう欠点があった。さらに欠点として洗浄ミストが多く発生して搬入口17や搬出口18からミストが漂い出るので排気ダクト20で空気と共に排気する。このため洗浄液の損失がこの装置の稼動コストの高く掛かる要因になっていた。
【0005】
【特許文献1】「特開2003−7665号」公報、名称「半導体装置の製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体ウエハ上面のハンダ屑やフラックスに対して洗浄効果が高く,設置スペースが節約できて,稼動コストが節約できる洗浄装置のノズル装置を提供する、ウエハサイズの大型化に対処し、洗浄時間の短縮が可能になるノズル装置の改良が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
噴射ノズルを取付けた可動キャップがキャップ軸に固定され、ロータリージョイントを介してアームに回転自在に固定された該キャップ軸は、モータの回転力が伝達されるように回転駆動手段を用いて取付けられて、且つ、ロータリージョイントで導液管から回転自在に洗浄液又はリンス液が供給され、洗浄装置筐体の中でウエハ上の所定高さの位置に該可動キャップを移動させ、ウエハと回転するノズルとの相対速度で洗浄速度を高めて半導体ウエハを噴射洗浄して後、該可動キャップを垂直移動させ、この垂直移動期間にウエハを次工程へ搬送するようにした装置とした。ウエハとの相対速度を変化させ最適の速度に調整して、洗浄速度が向上する相対速度に設定した為,最短時間でサイズの大きい半導体ウエハが洗浄できるようにした半導体ウエハ洗浄用ノズル装置とした。
【0008】
キャップ軸がロータリージョイントを介して固定される前記アームは、垂直駆動用支柱に昇降機構を具備して垂直運動自在としたアームである半導体ウエハ洗浄用ノズル装置とした。
【0009】
前記アームに付設される回転駆動手段は、アームに取付けられたキャップ軸に対して、速度調整自在にモータから回転力が伝達されるように作用する回転駆動手段である半導体ウエハ洗浄用ノズル装置とした。
【0010】
噴射ノズルを設けた可動キャップがウエハに覆う様に各ステーションに設けられ、噴射ノズルの噴射方向が、ウエハ表面となす垂直角度が10乃至35度の範囲で調整ができる首振り自在または,角度を決めて固定されていてノズルの噴射角度が60乃至120度の扇型に形成されたノズルチップが可動キャップ内に固着されていて、導液管で噴射ノズルに洗浄又はリンス液が導かれる半導体ウエハ洗浄用ノズル装置とした。噴射ノズルを設けた可動キャップがウエハに覆う様に洗浄とリンスの各ステーションに設けられ、噴射ノズルの噴射方向が、ウエハ表面となす噴射方向垂直角度が10乃至35度の範囲で調整ができる首振り自在または,角度を決めて固定されていてノズルの噴射角度が60乃至120度の扇型に形成されたノズルチップが可動キャップ内に固着されて導液管で噴射ノズルに洗浄又はリンス液が導かれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば噴射ノズルとウエハとの相対速度を変化させて、洗浄速度が向上する相対速度に設定した為,従来に於ける洗浄からリンス工程までのステーションは、2乃至3個必要であったが、1乃至2個のステーションで同等の洗浄効果を得たので小型の洗浄装置となったので、省資源に寄与し設置スペースが縮減できたので工業的価値が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明による第1の実施形態における構成図である。図1は全体構成図,図2はその要部の構造図である。昇降機構23を具備した垂直駆動用支柱Aに昇降機構23を含めた水平移動用の第1アームB1,とモータで駆動され水平運動する第2アームB2とで噴射ノズル16を水平面の任意の位置に移動できるアーム構造とし、該アームに付設される回転駆動手段は、第2アームに速度調整自在のモータMと動力伝達具(図示せず)で回転自在にキャップ軸21を取付けて、これに可動キャップ22が取付けてある。可動キャップ22の内面には、噴射ノズル16を取付けた水平導液管121が固着されていてキャップ軸21の中空部が水平導液管121に開いている。キャップ軸21に回転中にも洗浄液を導く導液手段のロータリージョイントRへ導液管(図示せず)で洗浄又はリンス液が導かれる。噴射ノズル16と半導体ウエハ11との噴射方向垂直角θは10乃至35度の範囲で調整可能な取付構造である。
【0013】
図2は以上に述べた装置構造の要部の平面図であり、キャップ軸21から水平導液管121を経て噴射ノズル16に導かれた洗浄液は半導体ウエハ11の上面に噴射開き角度αで噴射する。噴射開き角度αが60乃至120度の扇型に噴出した洗浄液は半導体ウエハ11に略直線状に衝撃を与えながら箒で掃くようにして半田屑などを除去する。可動キャップ22が洗浄液の飛沫を受け止めて受け皿30の吐出口31から回収される。半導体ウエハ11の下面に開いたリンス液噴射ノズル33から必要時に噴射されるよう、液供給口34にリンス液が供給され、濯ぎ工程に入る。このときは噴射ノズル16からリンス液が噴出される。
【0014】
可動キャップ22の効果は,洗浄中に洗浄液の飛沫がミストを発生して,図3のような従来の装置であれば排気ダクト20から放出されていた洗浄液霧やリンス液霧がキャップ内に閉じ込められて洗浄液またはリンス液に接触して液に戻る効果がある。洗浄液やリンス液はフィルタで濾されて再利用され、節約の他に環境の良化にも寄与している。
【0015】
半導体ウエハを洗浄して後、該可動キャップ22を垂直移動させ、この垂直移動期間にウエハを次工程へ搬送するようにした。
【産業上の利用可能性】
【0016】
洗浄速度の向上で、洗浄からリンス工程までのステーション数を減らす事が出来たので、洗浄装置の設置スペースを縮減して設備コスト引下げ可能となり、洗浄液やリンス液霧を液に戻し、再利用され可動コストが安く、省資源にも寄与し工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による実施形態における全体構成図。
【図2】本発明による実施形態における要部の構造図。
【図3】従来の装置の洗浄模式図。
【符号の説明】
【0018】
11 半導体ウエハ
12 半導体ウエハ
13 半導体ウエハ
14 ウエハコンベア
16 噴射ノズル
17 搬入口
18 搬出口
20 排気ダクト
21 キャップ軸
22 可動キャップ
121 水平導液管
23 昇降機構
30 受け皿
31 吐出口
33 リンス液噴射ノズル
34 液供給口
A 垂直駆動用支柱
B1 第1アーム
B2 第2アーム
R ロータリージョイント
M モータ
α 噴射開き角度
θ 噴射方向垂直角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ノズルを取付けた可動キャップがキャップ軸に固定され、ロータリージョイントを介してアームに固定された該キャップ軸は、モータから回転力が伝達されるように取付けられて、且つ、ロータリージョイントで回転自在に洗浄液又はリンス液が供給され、洗浄装置筐体の中でウエハ上の所定高さの位置に該可動キャップを移動させ、半導体ウエハを噴射洗浄して後、該可動キャップを垂直移動させ、この垂直移動期間にウエハを次工程へ搬送するようにしたことを特徴とする半導体ウエハ洗浄用ノズル装置。
【請求項2】
キャップ軸がロータリージョイントを介して固定される前記アームは、垂直駆動用支柱に昇降機構を具備して垂直運動自在としたアームである請求項1記載の半導体ウエハ洗浄用ノズル装置。
【請求項3】
前記アームに付設される回転駆動手段は、アームに取付けられたキャップ軸に対して、速度調整自在にモータから回転力が伝達されるように作用する回転駆動手段である請求項1記載の半導体ウエハ洗浄用ノズル装置。
【請求項4】
噴射ノズルを設けた可動キャップがウエハに覆う様に各ステーションに設けられ、噴射ノズルの噴射方向が、ウエハ表面となす垂直角度が10乃至35度の範囲で調整ができる首振り自在または,角度を決めて固定されていてノズルの噴射角度が60乃至120度の扇型に形成されたノズルチップが可動キャップ内に固着されていて、導液管で噴射ノズルに洗浄又はリンス液が導かれる請求項1乃至3記載の半導体ウエハ洗浄用ノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−294856(P2006−294856A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113325(P2005−113325)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】