説明

半導体チップ及び半導体チップの検査方法

【目的】高周波数信号を扱う通信回路が構築されている半導体チップを高精度に且つ安価な検査装置で検査することが可能な半導体チップ及び半導体チップの検査方法を提供することを目的とする。
【構成】通信回路を担う複数の機能ブロックが構築されている半導体チップ内に、検査対象とする1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、上記機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ、特に通信回路が構築されている半導体チップ及び半導体チップの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置における高周波数信号のレベルは過小であると十分な伝送距離が確保できず、一方、過大であると他の通信に妨害を与えて電波法規違反となる虞が生じる。よって、このような無線通信装置用の高周波回路が構築されている半導体チップに対しては、その製品出荷時において高周波信号レベルが規定範囲内に収まっているか否かの検査が為される。このような検査を行う検査装置(例えば、特許文献1の図16参照)においては、テスト装置200及び300が夫々検査対象となる通信用半導体集積回路100に接続されている。先ず、テスト装置300が、テスト用高周波信号を通信用半導体集積回路100に供給する。そして、このテスト用高周波信号に応じて通信用半導体集積回路100から送出された高周波の送信信号をテスト装置200で取り込み、そのレベルが規定範囲内にあるか否かを判定することにより、半導体チップの良否を判断するのである。
【0003】
しかしながら、通信用半導体集積回路100と、テスト装置200及び300各々との間で、無線帯域の如き高周波数の信号を伝送させると、通信用半導体集積回路100及びテスト装置200(300)同士を接続する接続点に生じる容量又は接触抵抗の影響を受け易くなり、伝送信号レベルに損失が発生する。よって、正確な信号レベルの測定が困難になり、検査結果の信頼性が低下するという問題が生じた。
【0004】
また、通信用半導体集積回路100に外部接続されたテスト装置200によってこの通信用半導体集積回路100から出力された高周波数の送信信号のレベルを正確に検出する為には、高価なアナライザを搭載する必要があり、コスト高を招くという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−228038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記の如き問題を解決すべく為されたものであり、通信回路が構築されている半導体チップを高精度に且つ安価な検査装置で検査することが可能な半導体チップ、及びその検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体チップは、通信回路を担う複数の機能ブロックを含む半導体チップであって、検査指令に応じて前記複数の機能ブロックの内の1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、前記1の機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、を有する。
【0008】
また、本発明に係る半導体チップの検査方法は、通信回路を担う複数の機能ブロックと、前記複数の機能ブロックの内の1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、前記1の機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、が構築されている半導体チップを検査装置によって検査する半導体チップの検査方法であって、半導体チップに前記テスト用周波数信号を供給する第1ステップと、前記半導体チップから出力された前記強度信号に基づいて前記1の機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定する第2ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、半導体チップに構築されている通信回路を担う複数の機能ブロックの内の1の機能ブロックを検査するにあたり、本来入力されるべき信号に代えて外部入力されたテスト用周波数信号を上記1の機能ブロックに供給し、この機能ブロックが生成した信号の信号強度を示す直流レベルの強度信号を半導体チップから外部出力させる。検査装置置は、上記半導体チップにテスト用周波数信号を供給しつつこのテスト用周波数信号の供給に応じて半導体チップから出力された上記強度信号に基づいて、機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定する。よって、半導体チップ及び検査装置間の伝送路、特に接続点上でレベル損失を生じ易い高周波数の信号が半導体チップ側から外部出力されることは無いので、高精度な検査が為される。また、高価なアナライザが不要となるので、コスト低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る半導体チップ1に検査装置2を接続してこの半導体チップ1に構築されている通信回路の検査及び調整を行う際のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】信号強度検出回路15、403の内部構成の一例を示す回路図である。
【図3】制御部22によって実施される検査制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す構成の変形例を示すブロック図である。
【図5】複数の半導体チップ1が形成されている半導体ウェハ3に対して直接、検査装置2によって各半導体チップ1の検査及び調整を行う際のシステム構成を示す図である。
【図6】本発明に係る半導体チップ1に検査装置2を接続してこの半導体チップ1に構築されている低雑音増幅回路301及びミキサ302の検査及び調整を行う際のシステム構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す構成において、制御部42にて実施される検査制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る半導体チップ1に検査装置2を接続してこの半導体チップ1に構築されている中間周波フィルタ304の検査及び調整を行う際のシステム構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示す構成において、制御部42にて実施される検査制御フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、通信回路を担う複数の機能ブロックが構築されている半導体チップ内に、検査対象とする1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、上記機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、を設ける。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係る半導体チップ1に検査装置2を接続してこの半導体チップ1に構築されている無線通信回路の検査及び調整を行う際のシステム構成を示すブロック図である。
【0013】
半導体チップ1には、無線通信回路の他に、この無線通信回路を検査及び調整する際に用いる検査支援回路(テスト信号供給回路と外部出力回路とを含む)が構築されている。尚、図1においては、無線通信回路中において送信動作を担う送信部100と共に、この送信部100を検査及び調整する際に用いる検査支援回路200を抜粋して示している。
【0014】
送信部100は、局部発振回路9、変調回路10及び高周波増幅回路14を含み、検査支援回路200は、入力切換スイッチ11、信号強度検出回路15及び利得調整値記憶回路18を含む。
【0015】
送信部100の局部発振回路9は、高周波数の局部発振信号fQを生成しこれを変調回路10に供給する。変調回路10は、送信すべき情報信号によって局部発振信号fQを変調して得られた変調信号MSを、検査支援回路200の入力切換スイッチ11に供給する。入力切換スイッチ11は、半導体チップ1の外部端子である端子110を介して外部入力された検査指令信号TESが論理レベル1である場合には、端子101を介して外部入力されたテスト用高周波信号TSを高周波増幅回路14に供給する。一方、検査指令信号TESが論理レベル0である場合には、入力切換スイッチ11は、変調回路10から供給された変調信号MSを高周波増幅回路14に供給する。つまり、半導体チップ1の検査を行う場合には、論理レベル1の検査指令信号TESを端子110に固定供給する一方、半導体チップ1の通常使用時には論理レベル0の検査指令信号TESを端子110に固定供給するのである。
【0016】
高周波増幅回路14は、入力切換スイッチ11から供給された変調信号MS又はテスト用高周波信号TSを、所定の初期利得に利得調整信号GSに応じた調整を施した利得で増幅したものを送信信号TRSとして生成する。高周波増幅回路14は、かかる送信信号TRSをラインLを介して検査支援回路200の信号強度検出回路15に供給すると共に、これを端子102を介して外部に出力する。尚、半導体チップ1の非検査時、つまり通常使用時には、この端子102には、無線送受信用のアンテナ(図示せぬ)が接続される。すなわち、この際、高周波増幅回路14によって生成された送信信号TRSが端子102に接続されたアンテナを介して無線送信されるのである。
【0017】
信号強度検出回路15は、高周波増幅回路14から供給された送信信号TRS、又は端子102を介して外部入力されたテスト用高周波信号TSの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子103を介して外部に出力する。
【0018】
図2(a)又は図2(b)は、信号強度検出回路15の一例を示す回路図である。
【0019】
図2(a)に示す回路では、上記したテスト用高周波信号TS又は送信信号TRSは、コンデンサC1を介してMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のFET(Field-Effect Transistor)であるトランジスタQ1のゲート端子に供給される。トランジスタQ1のゲート端子には、その一端が接地されている抵抗R1の他端が接続されている。トランジスタQ1のドレイン端子には電源電圧VDDが印加されており、そのソース端子には電流源VIが接続されている。更に、トランジスタQ1のソース端子には、その一端が接地されているコンデンC2の他端が接続されており、かかるトランジスタQ1のソース端子から強度信号SSが出力される。すなわち、図2(a)に示す回路構成では、FETを用いたソースフォロア回路によって、テスト用高周波信号TS又は送信信号TRSを半波整流することにより、送信信号TRS又はテスト用高周波信号TSのピークレベルに対応した直流電圧を生成する。そして、かかる直流電圧を、送信信号TRS又はテスト用高周波信号TSの信号強度を表す強度信号SSとして出力する。
【0020】
図2(b)に示す回路では、上記したテスト用高周波信号TS又は送信信号TRSは、ダイオードD1のアノード端子に供給される。ダイオードD1のカソード端子には、その一端が共に接地されている抵抗R2及びコンデンサC3各々の他端が接続されている。ダイオードD1のカソード端子から強度信号SSが出力される。すなわち、図2(b)に示す回路構成では、ダイオードによる半波整流回路によってテスト用高周波信号TS又は送信信号TRSを半波整流することにより、送信信号TRS又はテスト用高周波信号TSのピークレベルに対応した直流電圧を生成する。そして、かかる直流電圧を、送信信号TRS又はテスト用高周波信号TSの信号強度を表す強度信号SSとして出力する。
【0021】
検査支援回路200の利得調整値記憶回路18は、端子104を介して外部入力された書込利得調整値データGDWを記憶し、その書込利得調整値データGDWによって示される利得調整値に対応したレベルを有する利得調整信号GSを高周波増幅回路14に供給する。
【0022】
尚、半導体チップ1の通常使用時には、上記端子101、103及び104の各々は外部接続の為されない空き端子状態となる。
【0023】
検査装置2の高周波信号源20は、上記した局部発振信号fQにおける規格上の周波数を有するテスト用高周波信号TSを生成し、これを入力切換スイッチ21に供給する。入力切換スイッチ21は、制御部22から論理レベル0の検査モード信号MODが供給された場合には、上記したテスト用高周波信号TSを端子23を介して出力する一方、論理レベル1の検査モード信号MODが供給された場合には、かかるテスト用高周波信号TSを端子24を介して出力する。尚、上記端子23は、半導体チップ1の端子101に接続されている。また、上記端子24は、半導体チップ1の端子102に接続されている。直流電圧測定器25は、端子26を介して強度信号SSが外部入力された場合には、この強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TGとして制御部22に供給する。尚、上記端子26は、半導体チップ1の端子103に接続されている。利得調整値書込部27は、制御部22から供給された利得調整値データGDにて表される利得調整値を利得調整値記憶回路18に書き込ませるべきレベルに変換したものを書込利得調整値データGDWとして生成し、これを端子28を介して出力する。尚、端子28は、半導体チップ1の端子104に接続されている。
【0024】
以下に、図1に示される検査装置2による半導体チップ1の検査及び調整動作について説明する。
【0025】
半導体チップ1の検査及び調整を行うにあたり、先ず、論理レベル1の検査指令信号TESを半導体チップ1の端子110に固定供給する。これにより、送信部100の変調回路10から送出された変調信号MSに代えて、端子101を介して外部入力された信号が高周波増幅回路14に供給されるようになる。
【0026】
かかる状態において、検査装置2の制御部22は、図3に示す検査制御フローに従って半導体チップ1に構築されている送信部100の送信出力の検査及び調整制御を行う。
【0027】
図3において、先ず、制御部22は、論理レベル1の検査モード信号MODを入力切換スイッチ21に供給する(ステップS1)。ステップS1の実行により、入力切換スイッチ21は、高周波信号源20で生成されたテスト用高周波信号TSを端子24を介して、半導体チップ1の端子102に供給する。これにより、半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路15は、端子102を介して外部入力されたテスト用高周波信号TSの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子103を介して検査装置2の端子26に供給する。この際、検査装置2の直流電圧測定器25は、端子26に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TGとして制御部22に供給する。尚、半導体チップ1の端子102は、上述した如く、本来、高周波増幅回路14と送信アンテナ(図示せぬ)とを接続する為のアンテナ端子である。つまり、半導体チップ1の検査時には、このアンテナ端子である端子102をテスト用高周波信号TSを入力する為の端子として用いることにより、半導体チップ1に設けるべき外部端子の数の削減を図るのである。
【0028】
次に、制御部22は、直流電圧測定器25から供給された信号強度値TGを取り込み、これを測定値Aとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS2)。
【0029】
上記ステップS1及びS2の実行により、検査装置2から半導体チップ1に送信されたテスト用高周波信号TSの信号強度が、この半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路15によって検出される。そして、その検出結果が検査装置2側に供給され、測定値Aとして内蔵レジスタに記憶される。
【0030】
次に、制御部22は、論理レベル0の検査モード信号MODを入力切換スイッチ21に供給する(ステップS3)。ステップS3の実行により、入力切換スイッチ21は、高周波信号源20で生成されたテスト用高周波信号TSを端子23を介して、半導体チップ1の端子101に供給する。これにより、半導体チップ1の入力切換スイッチ11は、端子101を介して外部入力されたテスト用高周波信号TSを高周波増幅回路14に供給する。高周波増幅回路14は、かかるテスト用高周波信号TSを増幅して得られた送信信号TRSを信号強度検出回路15に供給する。信号強度検出回路15は、この送信信号TRSの信号強度を検出し、信号強度を表す強度信号SSを端子103を介して検査装置2の端子26に供給する。この際、検査装置2の直流電圧測定器25は、端子26に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TGとして制御部22に供給する。
【0031】
次に、制御部22は、直流電圧測定器25から供給された信号強度値TGを取り込み、これを測定値Bとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS4)。
【0032】
上記ステップS3及びS4の実行により、検査装置2側から端子101を介して半導体チップ1に供給されたテスト用高周波信号TSに応じて高周波増幅回路14が送信信号TRSを出力する。そして、かかる送信信号TRSの信号強度がこの半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路15によって検出され、その検出結果が測定値Bとして検査装置2の制御部22に内蔵されているレジスタに記憶されるのである。
【0033】
次に、制御部22は、内蔵レジスタに記憶されている測定値Bから測定値Aを減算した値、つまり半導体チップ1に供給されたテスト用高周波信号TSの信号強度と、このテスト用高周波信号TSに応じて高周波増幅回路14が送出した送信信号TRSの信号強度との差を算出し、これを高周波増幅回路14の実利得値APとして内蔵レジスタに記憶する(ステップS5)。
【0034】
次に、制御部22は、実利得値APが規定範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS6)。かかるステップS6において、実利得値APが規定範囲内に収まってないと判定された場合、制御部22は、実利得値APが調整可能な範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS7)。ステップS7において実利得値APが調整可能な範囲内に収まっていないと判定された場合、制御部22は、この半導体チップ1が不良品であることを表す検査結果を表示器29に表示させる(ステップS8)。一方、ステップS7において実利得値APが調整可能な範囲内に収まっていると判定された場合、制御部22は、例えば各利得値毎にその利得値に対応した利得調整値が予め対応づけして記憶されているメモリ(図示せぬ)から、上記した実利得値APに対応した利得調整値を読み出し、この利得調整値を示す利得調整値データGDを利得調整値書込部27に供給する(ステップS9)。例えば、かかるメモリには、上記した規定範囲内の上限値よりも大なる利得値の各々には、その利得値が大なるほど利得を大幅に低下させるべき負極性の値を有する利得調整値が対応づけして記憶されている。また、上記した規定範囲内の下限値よりも小なる利得値の各々には、その利得値が小なるほど利得を大幅に増加させるべき正極性の値を有する利得調整値が対応づけして記憶されている。ステップS9の実行により、利得調整値書込部27は、利得調整値データGDにて表される利得調整値を利得調整値記憶回路18に書き込ませるべきレベルに変換した書込利得調整値データGDWを、端子28を介して半導体チップ1の端子104に供給する。利得調整記憶回路18は、端子104を介して入力された書込利得調整値データGDWを記憶し、この書込利得調整値データGDWによって表される利得調整値に対応したレベルを有する利得調整信号GSを高周波増幅回路14に供給する。かかる利得調整信号GSに応じて高周波増幅回路14の増幅利得が調整される。例えば、利得調整信号GSによって表される利得調整レベルが正極性のレベルである場合、高周波増幅回路14の利得は、上記した初期利得にこの利得調整レベルを加算した利得に調整される。また、利得調整信号GSによって表される利得調整レベルが負極性のレベルである場合、高周波増幅回路14の利得は、上記初期利得からこの利得調整レベルを減算した利得に調整される。
【0035】
上記ステップS8又はS9の実行後、又は上記ステップS6において実利得値APが規定範囲内に収まっていると判定された場合、制御部22は、図3に示す検査及び調整制御を終了する。
【0036】
以上の如き動作により、高周波増幅回路14の実利得値が規定範囲内に収まっていない場合には、この高周波増幅回路14に対して、その利得を規定の範囲内に収めるべき利得調整が施される。すなわち、高周波増幅回路14の特性を規定範囲内に収めるべき調整が為されるのである。この際、調整不可能なほど実利得値が規定範囲から外れている場合には、この半導体チップ1が不良品である旨の表示が為される。
【0037】
このように、図1に示す半導体チップ1は、検査指令に応じて、先ず、半導体チップ1に構築されている各機能ブロック(9、10、14)の内で検査対象となる高周波増幅回路14に入力されるべき信号を、外部供給されたテスト用高周波数信号に切り替える。そして、かかるテスト用高周波数信号に応じて高周波増幅回路14が生成した送信信号TRSの信号強度を半導体チップ1内に構築されている信号強度検出回路15で検出し、その信号強度を表す直流レベルの強度信号SSを外部出力する。この際、検査装置2は、半導体チップ1から外部出力された強度信号SSに基づき、高周波増幅回路14の実利得値(AP)が規定範囲内に収まっているか否かの判定(S6)、つまり高周波増幅回路14の特性が規定範囲内にあるか否かを判定する。
【0038】
よって、高周波増幅回路14において生成された高周波数の送信信号TRS自体が検査装置2側に送信されることはないので、このような高周波数信号が半導体チップ1及び検査装置2同士を接続する接続点を含む伝送路上に流れる際に起こるレベル損失が生じない。
【0039】
従って、図1に示す構成によれば、高周波数の送信信号を検査装置側に送信し、この検査装置に搭載されているアナライザで送信信号を解析して高周波増幅回路14の特性の良否を判定する場合に比して、上記した如き伝送路上でのレベル損失が無い分だけ高精度な検査が為される。また、高価なアナライザが不要となるので、コスト低減を図ることが可能となる。
【0040】
更に、図1に示す構成では、送信信号TRSを生成させるべく高周波増幅回路14に供給するテスト用高周波信号TSの信号強度(測定値A)と、送信信号TRSの信号強度(測定値B)との差分(AP)に基づき、高周波増幅回路14の特性が規定範囲内にあるか否かを判定するようにしている。この際、検査装置2は、送信信号TRSの信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路15にて検出させるべく、端子23及び端子101を含む第1伝送路を介して、テスト用高周波信号TSを高周波増幅回路14に供給する。また、検査装置2は、テスト用高周波信号TSの信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路15によって検出させるべく、端子24及び端子102を含む第2伝送路を介して、このテスト用高周波信号TSを信号強度検出回路15に供給する。よって、上述したように、テスト用高周波信号TSの信号強度と送信信号TRSの信号強度との差分(AP)を求めると、第1伝送路(端子24及び端子102を含む)で生じるテスト用高周波信号TSの損失分と、第2伝送路(端子23及び端子101を含む)で生じるテスト用高周波信号TSの損失分と、が相殺されることになる。
【0041】
これにより、半導体チップ1及び検査装置2同士を接続する接続点である外部端子を介して高周波数信号としてのテスト用高周波信号TSを伝送させた際に生じるレベル損失が排除されるので、高精度な検査及び調整が為されるようになる。
【0042】
尚、図1に示す実施例では、テスト用高周波信号TSの供給先(信号強度検出回路15又は高周波増幅回路14)を切り替える為の入力切換スイッチ21を、検査装置2に設けるようにしているが、これを図4に示すように半導体チップ1の検査支援回路200内に設けるようにしても良い。
【0043】
尚、図4に示す構成では、制御部22から送出された検査モード信号MODを端子30を介して半導体チップ1の端子105に供給し、この端子105を介して供給された検査モード信号MODに応じて、半導体チップ1内に構築されている入力切換スイッチ21の切換制御が為される。又、図4に示す構成では、検査装置2の高周波信号源20で生成されたテスト用高周波信号TSを直に端子23を介して半導体チップ1の端子101に供給する。これにより、テスト用高周波信号TSは、入力切換スイッチ11を介して高周波増幅回路14及び入力切換スイッチ21の各々に供給される。入力切換スイッチ21は、論理レベル1の検査モード信号MODが供給された場合には入力切換スイッチ11を介して供給されたテスト用高周波信号TSを信号強度検出回路15に供給する一方、論理レベル0の検査モード信号MODが供給された場合には高周波増幅回路14が送出した送信信号TRSを信号強度検出回路15に供給する。ところで、上記した図4に示す如き構成に比して、図1に示す構成では、半導体チップ1内に入力切換スイッチ21が設けられていないので、テスト用高周波信号TSが信号強度検出回路15に供給されるまでの伝送路の短縮、並びに、この入力切換スイッチ21を経由することによる伝送遅延及び損失が低減される。
【0044】
また、本発明によれば、半導体ウェハの段階で各半導体チップに対して精度良く検査及び調整を行うことも可能である。
【0045】
図5は、夫々が図1に示す如き構成を有する複数の半導体チップ1が形成されている半導体ウェハ3の段階で、各半導体チップ1の検査及び調整を行う際のシステム構成を示す図である。
【0046】
図5において、プローブカード4は、検査装置2に搭載されている電源回路GGが生成した電源電圧を供給する為の電源ライン及び接地ラインに夫々接続されている接触針5及び5と、検査装置2の端子23、24、26及び28に夫々接続されている接触針5〜5とを備える。接触針5及び5の各々は半導体チップ1の電源パッド及び接地パッド(図示せぬ)の表面に接触している。これにより、検査装置2に搭載されている電源回路GGにより、半導体チップ1への電源供給が為される。また、接触針5〜5は、夫々半導体チップ1のパッドである端子101〜104各々の表面に接触している。
【0047】
ここで、図5に示すように、接触針5〜5を直接、半導体ウェハ3に形成されている半導体チップ1の端子に接触させる場合、その接触抵抗によるインピーダンス、或いは接触針が比較的長いことに起因するインダクタンス成分に伴う高周波信号への影響、つまり損失が大となる。
【0048】
しかしながら、本発明においては、半導体チップ1内で生成された高周波信号(TRS)の信号強度がこの半導体チップ1内に設けられた信号強度検出回路15で検出され、その信号強度を示す直流の信号が接触針5を介して検査装置2側に供給されるようになっている。よって、接触針5を介して高周波信号の伝送が為されないので正確な測定が可能となる。
【0049】
更に、高周波信号(TRS)の信号強度が規定範囲内に収まっているか否かの判定及び高周波増幅回路14の利得調整を、テスト用高周波信号TSの信号強度と、このテスト用高周波信号TSに応じて生成された高周波信号(TRS)の信号強度との差分(AP)に基づいて行うようにしている。これにより、テスト用高周波信号TSの信号強度を検出すべく接触針5を介して伝送されるテスト用高周波信号TSの損失分と、高周波信号(TRS)を生成させるべく接触針5を介して伝送されるテスト用高周波信号TSの損失分とが相殺されることになる。よって、半導体チップ1及び検査装置2間を接続する接触針5を介して高周波信号を伝送させた際に生じる信号レベルの損失分が排除されるので、高精度な検査及び調整が為される。
【0050】
尚、上記実施例においては、半導体チップ1に構築されている無線通信回路の送信部100に対して検査及び調整を行う場合の動作について説明したが、受信部に対しても同様に適用可能である。
【0051】
図6は、半導体チップ1に構築されている無線通信回路内の受信部に対して検査及び調整を行う場合の検査装置2の構成と、半導体チップ1の内部構成とを示すブロック図である。尚、図6においては、無線通信回路内で受信送信動作を担う受信部300と共に、この受信部300を検査及び調整する際に用いる検査支援回路400を抜粋して示している。
【0052】
受信部300は、低雑音増幅回路301、ミキサ302、局部発振回路303、中間周波フィルタ304、中間周波増幅器305及び復調回路306を有する。また、検査支援回路400は、利得調整値記憶回路401、入力切換スイッチ402、及び信号強度検出回路403を有する。
【0053】
低雑音増幅回路301は、端子106を介して入力されたテスト用高周波信号TS1を、所定の初期利得に利得調整信号GC1に応じた調整を施した利得で増幅したものを増幅高周波信号Rとしてミキサ302及び入力切換スイッチ402に供給する。 尚、半導体チップ1の通常使用時には、この端子106には、無線送受信用のアンテナ(図示せぬ)が接続される。すなわち、この際、低雑音増幅回路301は、端子106に接続されているアンテナから供給された高周波数の受信信号を増幅するものとなる。ミキサ302は、上記増幅高周波信号Rに、局部発振回路303から供給された局部発振信号fQを混合することにより中間周波数帯の信号を生成しこれを、所定の初期利得に利得調整信号GC2に応じた調整を施した利得で増幅したものを中間周波数信号IFとして中間周波フィルタ304及び入力切換スイッチ402に供給する。中間周波フィルタ304は、中間周波数信号IFに対して、所定の中心周波数を中心とした所定周波数帯域の成分のみを通過させる周波数選択処理を施すことにより、不要な帯域成分を除去した中間周波数信号IFXを抽出し、これを中間周波増幅器305に供給する。中間周波増幅器305は、中間周波数信号IFXを増幅した増幅中間周波数信号を復調回路306に供給する。復調回路306は、上記増幅中間周波数信号に対して復調処理を施すことにより、無線送信された情報データを復元する。つまり、半導体チップ1の通常使用時には、無線送受信用のアンテナによって受信された受信信号が端子106を介して受信部300に供給され、情報データが得られるのである。
【0054】
検査支援回路400の利得調整値記憶回路401は、端子107を介して外部入力された書込利得調整値データGDWを記憶し、その書込利得調整値データGDWによって示される利得調整値に対応したレベルを有する利得調整信号GC1及びGC2を夫々生成する。利得調整値記憶回路401は、かかる利得調整信号GC1を低雑音増幅回路301、利得調整信号GC2をミキサ302に夫々供給する。
【0055】
入力切換スイッチ402は、端子108を介して外部入力された検査モード信号MD1に基づき、端子106を介して外部入力されたテスト用高周波信号TS1、上記した増幅高周波信号R、及び中間周波数信号IFの内から1つを選択し、これを信号強度検出回路403に供給する。例えば、入力切換スイッチ402は、検査モード信号MD1が[00]を表す場合には上記テスト用高周波信号TS1を信号強度検出回路403に供給し、検査モード信号MD1が[01]を表す場合には上記した増幅高周波信号Rを信号強度検出回路403に供給する。また、検査モード信号MD1が[10]を表す場合には、入力切換スイッチ402は、上記した中間周波数信号IFを信号強度検出回路403に供給する。
【0056】
信号強度検出回路403は、入力切換スイッチ402から供給されたテスト用高周波信号TS1、増幅高周波信号R又は中間周波数信号IFの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して外部に出力する。
【0057】
検査装置2の高周波信号源40は、規格上の無線送信周波数を有するテスト用高周波信号TS1を生成し、これを端子43を介して出力する。尚、端子43は、半導体チップ1の端子106に接続されている。直流電圧測定器45は、半導体チップ1の端子109から送出された強度信号SSが、端子46を介して外部入力された場合には、この強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG1として制御部42に供給する。利得調整値書込部47は、制御部42から供給された利得調整値データGTにて表される利得調整値を利得調整値記憶回路401に書き込ませるべきレベルに変換したものを書込利得調整値データGDW1として生成し、これを端子48を介して出力する。尚、端子48は、半導体チップ1の端子107に接続されている。制御部42は、上記した検査モード信号MD1を生成し、これを端子50を介して出力する。尚、端子50は、半導体チップ1の端子108に接続されている。
【0058】
以下に、図6に示される検査装置2による半導体チップ1の検査及び調整動作について説明する。
【0059】
検査装置2の制御部42は、図7に示す検査制御フローに従って半導体チップ1に構築されている受信部300の増幅部(301、302)の検査及び調整制御を行う。
【0060】
図7において、先ず、制御部42は、[00]を表す検査モード信号MD1を入力切換スイッチ402に供給する(ステップS11)。ステップS11の実行により、入力切換スイッチ402は、検査装置2の高周波信号源40から供給されたテスト用高周波信号TS1を信号強度検出回路403に供給する。信号強度検出回路403は、かかるテスト用高周波信号TS1の信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して検査装置2の端子46に供給する。これにより、検査装置2の直流電圧測定器45は、端子46に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG1として制御部42に供給する。
【0061】
次に、制御部42は、直流電圧測定器45から供給された信号強度値TG1を取り込み、これを測定値Aとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS12)。
【0062】
上記ステップS11及びS12の実行により、検査装置2から半導体チップ1に送信されたテスト用高周波信号TS1の信号強度が、この半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403によって検出される。そして、その検出結果が検査装置2側に供給され、測定値Aとして内蔵レジスタに記憶される。
【0063】
次に、制御部42は、[01]を表す検査モード信号MD1を入力切換スイッチ402に供給する(ステップS13)。ステップS13の実行により、入力切換スイッチ402は、低雑音増幅回路301から供給された増幅高周波信号Rを信号強度検出回路403に供給する。信号強度検出回路403は、かかる増幅高周波信号Rの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して検査装置2の端子46に供給する。これにより、検査装置2の直流電圧測定器45は、端子46に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG1として制御部42に供給する。
【0064】
次に、制御部42は、直流電圧測定器45から供給された信号強度値TG1を取り込み、これを測定値Bとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS14)。
【0065】
上記ステップS13及びS14の実行により、テスト用高周波信号TS1に応じて低雑音増幅回路301から送出された増幅高周波信号Rの信号強度が信号強度検出回路403によって検出され、その検出結果が測定値Bとして検査装置2の内蔵レジスタに記憶される。
【0066】
次に、制御部42は、[10]を表す検査モード信号MD1を入力切換スイッチ402に供給する(ステップS15)。ステップS15の実行により、入力切換スイッチ402は、ミキサ302から供給された中間周波数信号IFを信号強度検出回路403に供給する。信号強度検出回路403は、かかる中間周波数信号IFの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して検査装置2の端子46に供給する。これにより、検査装置2の直流電圧測定器45は、端子46に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG1として制御部42に供給する。
【0067】
次に、制御部42は、直流電圧測定器45から供給された信号強度値TG1を取り込み、これを測定値Cとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS16)。
【0068】
上記ステップS15及びS16の実行により、テスト用高周波信号TS1に応じて、低雑音増幅回路301を経てミキサ302から送出された中間周波数信号IFの信号強度が信号強度検出回路403によって検出され、その検出結果が測定値Cとして検査装置2の内蔵レジスタに記憶される。
【0069】
次に、制御部42は、内蔵レジスタに記憶されている測定値Bから測定値Aを減算した値、つまりテスト用高周波信号TS1の信号強度と、このテスト用高周波信号TS1に応じて低雑音増幅回路301が送出した増幅高周波信号Rの信号強度との差を算出し、これを低雑音増幅回路301の実利得値AP1として内蔵レジスタに記憶する(ステップS17)。
【0070】
次に、制御部42は、実利得値AP1が規定範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS18)。かかるステップS18において、実利得値AP1が規定範囲内に収まってないと判定された場合、制御部42は、実利得値AP1が規定範囲内に収まってないと判定された場合、制御部42は、実利得値AP1が調整可能な範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS19)。ステップS19において実利得値AP1が調整可能な範囲内に収まっていないと判定された場合、制御部42は、この半導体チップ1が不良品であることを表す検査結果を表示器49に表示させる(ステップS20)。一方、ステップS19において実利得値AP1が調整可能な範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、各利得値毎にその利得値に対応した利得調整値が予め対応づけして記憶されているメモリ(図示せぬ)から、上記した実利得値AP1に対応した利得調整値を読み出し、この利得調整値を示す利得調整値データGTを利得調整値書込部47に供給する(ステップS21)。ステップS21の実行により、利得調整値書込部47は、利得調整値データGTにて表される利得調整値を利得調整値記憶回路18に書き込ませるべきレベルに変換した書込利得調整値データGDW1を、端子48を介して半導体チップ1の端子107に供給する。この際、半導体チップ1の利得調整記憶回路401は、端子107を介して入力された書込利得調整値データGDW1を記憶し、この書込利得調整値データGDW1によって表される利得調整値に対応したレベルを有する利得調整信号GC1を低雑音増幅回路301に供給する。かかる利得調整信号GC1に応じて低雑音増幅回路301の増幅利得が調整される。
【0071】
ステップS20又はS21の実行後、又は上記ステップS18において実利得値AP1が規定範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、内蔵レジスタに記憶されている測定値Cから測定値Bを減算した値、つまりミキサ302から送出された中間周波数信号IFの信号強度と、このミキサ302に入力された増幅高周波信号Rの信号強度との差を算出し、これを実利得値AP2として内蔵レジスタに記憶する(ステップS22)。
【0072】
次に、制御部42は、実利得値AP2が規定範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS23)。かかるステップS23において、実利得値AP2が規定範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、実利得値AP2が調整可能な範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS24)。ステップS24において実利得値AP2が調整可能な範囲内に収まっていないと判定された場合、制御部42は、この半導体チップ1が不良品であることを表す検査結果を表示器49に表示させる(ステップS25)。一方、ステップS24において実利得値AP2が調整可能な範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、各利得値毎にその利得値に対応した利得調整値が予め対応づけして記憶されているメモリ(図示せぬ)から、上記した実利得値AP2に対応した利得調整値を読み出し、この利得調整値を示す利得調整値データGTを利得調整値書込部47に供給する(ステップS26)。ステップS26の実行により、利得調整値書込部47は、利得調整値データGTにて表される利得調整値を利得調整値記憶回路18に書き込ませるべきレベルに変換した書込利得調整値データGDW2を、端子48を介して半導体チップ1の端子107に供給する。この際、半導体チップ1の利得調整記憶回路401は、端子107を介して入力された書込利得調整値データGDW2を記憶し、この書込利得調整値データGDW2によって表される利得調整値に対応したレベルを有する利得調整信号GC2をミキサ302に供給する。かかる利得調整信号GC2に応じてミキサ302の増幅利得が調整される。
【0073】
ステップS25又はS26の実行後、又は上記ステップS23において実利得値AP2が規定範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、図7に示す検査及び調整制御を終了する。
【0074】
上記した検査及び調整により、低雑音増幅回路301及びミキサ302の実利得値が規定範囲内に収まっていない場合には、低雑音増幅回路301及びミキサ302に対して、その利得を規定の範囲内に収めるべき利得調整が施される。この際、調整不可能なほど実利得値が規定範囲から外れている場合には、この半導体チップ1が不良品である旨の表示が為される。
【0075】
以上の如く、図6に示す構成では、半導体チップ1に構築されている受信部を担う各機能ブロック(301、302、304〜306)の内で、低雑音増幅回路301及びミキサ302を検査対象としている。ここで、低雑音増幅回路301及びミキサ302各々の実利得値を取得すべく、先ず、この半導体チップ1内に構築されている信号強度検出回路403で夫々の入力及び出力信号の信号強度を検出し、その信号強度を示す直流レベルの強度信号SSを検査装置2に送信する。そして、検査装置2において、かかる強度信号SSに基づき、低雑音増幅回路301及びミキサ302各々の実利得値を求め、この実利得値が規定範囲内に収まっているか否かの判定、つまり低雑音増幅回路301及びミキサ302各々の特性が規定範囲内にあるか否かを判定するのである。よって、低雑音増幅回路301及びミキサ302各々が生成した高周波数信号自体が検査装置2側に送信されることはないので、このような高周波数信号が半導体チップ1及び検査装置2同士を接続する接続点を含む伝送路上に流れる際に起こるレベル損失が生じない。
【0076】
従って、図6に示す構成によれば、高周波数信号を検査装置側に送信し、この検査装置に搭載されているアナライザで送信信号を解析して低雑音増幅回路301及びミキサ302各々の特性が規定範囲内にあるか否かを判定するような構成に比して、上記した如き伝送路上でのレベル損失が無い分だけ高精度な検査が為される。また、高価なアナライザが不要となるので、コスト低減を図ることが可能となる。
【0077】
更に、図6に示す構成では、増幅部(301、302)を動作させるべく半導体チップ1に供給するテスト用高周波信号TS1の信号強度(測定値A)と、このテスト用高周波信号TS1に応じて増幅部(301、302)から出力された信号(R、IF)の信号強度(測定値B、C)との差分を実利得値(AP1、AP2)として求めている。そして、この実利得値(AP1、AP2)に基づき、増幅部(301、302)の特性が規定範囲内にあるか否かを判定するようにしている。この際、検査装置2は、テスト用高周波信号TS1の信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403で検出させるべく、端子43及び端子106を含む伝送路を介してこのテスト用高周波信号TS1を信号強度検出回路403に供給する。また、検査装置2は、増幅部(301、302)から出力された信号(R、IF)の信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403で検出させるべく、端子43及び端子106を含む伝送路を介して、このテスト用高周波信号TS1を信号強度検出回路403に供給するようにしている。
【0078】
よって、テスト用高周波信号TS1の信号強度と、増幅部(301、302)から出力された信号(R、IF)の信号強度との差分を求めると、端子43及び端子106を含む伝送路で生じるテスト用高周波信号TS1の損失分が相殺されることになる。
【0079】
これにより、半導体チップ1及び検査装置2間を接続する伝送路、特に接続点としての端子を介して高周波信号を伝送させた際に生じる信号レベルの損失分が排除されるので、高精度な検査及び調整が為されるようになる。
【0080】
尚、図6に示す構成では、半導体チップ1に構築されている低雑音増幅回路301及びミキサ302各々の増幅利得を検査しているが、中間周波フィルタ304の周波数特性を検査するようにしても良い。
【0081】
図8は、受信部300の中間周波フィルタに対して検査及び調整を行う場合の検査装置2の構成と、半導体チップ1の内部構成とを示すブロック図である。
【0082】
尚、図8において、半導体チップ1に構築されている受信部300は、図6に示す構成と同様に、低雑音増幅回路301、ミキサ302、局部発振回路303、中間周波増幅器305及び復調回路306を有する。ただし、図8に示す構成では、中間周波フィルタとして、周波数特性可変の中間周波フィルタ304aを採用している。検査支援回路400は、信号強度検出回路403、入力切換スイッチ404及び405、周波数特性調整値記憶回路406を有する。
【0083】
入力切換スイッチ404は、半導体チップ1の端子110を介して外部入力された検査指令信号TESが論理レベル1である場合には、端子111を介して外部入力されたテスト用高周波信号TS2を中間周波フィルタ304a及び入力切換スイッチ405に供給する。一方、かかる検査指令信号TESが論理レベル0である場合には、入力切換スイッチ404は、ミキサ302から供給された中間周波数信号IFを中間周波フィルタ304a及び入力切換スイッチ405に供給する。
【0084】
中間周波フィルタ304aは、入力切換スイッチ404から供給された中間周波数信号IF又はテスト用高周波信号TS2に対して、所定の中心周波数を中心とした所定周波数帯域の成分のみを通過させる周波数選択処理を施すことにより、不要な帯域成分を除去した中間周波数信号IFXを抽出し、これを中間周波増幅器305及び入力切換スイッチ405に供給する。尚、中間周波フィルタ304aは、周波数特性調整信号GFに応じて周波数特性、例えば中心周波数又は減衰特性等が調整される。周波数特性調整値記憶回路406は、端子112を介して外部入力された書込周波数特性調整値データFDWを記憶し、その書込周波数特性調整値データFDWによって示される周波数特性調整値に対応したレベルを有する周波数特性調整信号GFを中間周波フィルタ304aに供給する。
【0085】
入力切換スイッチ405は、端子113を介して論理レベル1の検査モード信号MD2が供給された場合には入力切換スイッチ404を介して供給されたテスト用高周波信号TS2を信号強度検出回路403に供給する一方、論理レベル0の検査モード信号MD2が供給された場合には中間周波フィルタ304aが送出した中間周波数信号IFXを信号強度検出回路403に供給する。
【0086】
信号強度検出回路403は、入力切換スイッチ405から供給されたテスト用高周波信号TS2、又は中間周波数信号IFXの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して外部に出力する。
【0087】
検査装置2の高周波信号源40aは、例えば、1.0MHz、1.1MHz、1.2MHz、・・・、2MHzの如く段階的に遷移するテスト用高周波信号TS2を生成し、これを端子51を介して出力する。端子51は、半導体チップ1の端子111に接続されている。直流電圧測定器45aは、半導体チップ1の端子109から送出された強度信号SSが端子52を介して外部入力された場合には、この強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG2として制御部42に供給する。
【0088】
周波数特性調整値書込部47aは、制御部42から供給された周波数特性調整値データFTにて表される周波数特性調整値を周波数特性調整値記憶回路406に書き込ませるべきレベルに変換したものを書込周波数特性調整値データFDWとして生成し、これを端子53を介して出力する。尚、端子53は、半導体チップ1の端子112に接続されている。制御部42は、上記した検査モード信号MD2を生成し、これを端子54を介して出力する。尚、端子54は、半導体チップ1の端子113に接続されている。
【0089】
以下に、図8に示される検査装置2による半導体チップ1の検査及び調整動作について説明する。
【0090】
検査装置2の制御部42は、図9に示す検査制御フローに従って半導体チップ1に構築されている中間周波フィルタ304aの周波数特性の検査及び調整を行う。尚、かかる検査及び調整を行うにあたり、論理レベル1の検査指令信号TESを半導体チップ1の端子110に固定供給する。これにより、ミキサ302から送出された中間周波数信号IFに代えて、端子111を介して外部入力されたテスト用高周波信号TS2が中間周波フィルタ304aに供給されるようになる。
【0091】
図9において、先ず、制御部42は、論理レベル1を表す検査モード信号MD2を端子54及び半導体チップ1の端子113を介して半導体チップ1に構築されている入力切換スイッチ405に供給する(ステップS31)。ステップS31の実行により、入力切換スイッチ405は、入力切換スイッチ404を介して供給されたテスト用高周波信号TS2を信号強度検出回路403に供給する。信号強度検出回路403は、かかるテスト用高周波信号TS2の信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して検査装置2の端子52に供給する。これにより、検査装置2の直流電圧測定器45aは、端子52に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG2として制御部42に供給する。
【0092】
次に、制御部42は、直流電圧測定器45から供給された信号強度値TG2を取り込み、これを測定値Aとして内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する(ステップS32)。
【0093】
上記ステップS31及びS32の実行により、検査装置2から半導体チップ1に送信されたテスト用高周波信号TS2の信号強度が、この半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403によって検出される。そして、その検出結果が検査装置2側に供給され、測定値Aとして内蔵レジスタに記憶される。
【0094】
次に、制御部42は、論理レベル0を表す検査モード信号MD2を入力切換スイッチ405に供給する(ステップS33)。ステップS33の実行により、入力切換スイッチ405は、中間周波フィルタ304aから送出された中間周波数信号IFXを信号強度検出回路403に供給する。信号強度検出回路403は、かかる中間周波数信号IFXの信号強度を検出し、その信号強度を表す強度信号SSを端子109を介して検査装置2の端子52に供給する。これにより、検査装置2の直流電圧測定器45aは、端子52に入力された強度信号SSにおける直流電圧を測定しその電圧値を信号強度値TG2として制御部42に供給する。
【0095】
次に、制御部42は、直流電圧測定器45aから供給された信号強度値TG2を取り込み、これを測定値Bとして内蔵レジスタに記憶する(ステップS34)。
【0096】
上記ステップS33及びS34の実行により、テスト用高周波信号TS2の供給に応じて中間周波フィルタ304aが送出した中間周波数信号IFXの信号強度が信号強度検出回路403によって検出され、その検出結果が測定値Bとして検査装置2の内蔵レジスタに記憶される。
【0097】
次に、制御部42は、上記した測定値Bから測定値Aを減算した値、つまり半導体チップ1に供給されたテスト用高周波信号TS2の信号強度と、このテスト用高周波信号TS2に応じて中間周波フィルタ304aから送出された中間周波数信号IFXの信号強度との差を算出し、これを中間周波フィルタ304aにおけるレベル減衰値FPとして内蔵メモリ(図示せぬ)に記憶する(ステップS35)。この際、検査装置2の高周波信号源40aによって生成されたテスト用高周波信号TS2の周波数は、例えば、1.0MHz、1.1MHz、1.2MHz、・・・、2MHzの如く段階的に遷移する。よって、上記ステップS35において、制御部42は、テスト用高周波信号TS2の各周波数毎に上記したレベル減衰値FPを求め、各周波数に対応付けして内蔵メモリに記憶する。
【0098】
次に、制御部42は、内蔵メモリに記憶されている各周波数毎のレベル減衰値FPからなるレベル減衰系列から、現段階での中間周波フィルタ304aの実周波数特性QFを測定する(ステップS36)。次に、制御部42は、この実周波数特性QFが規定の周波数特性範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS37)。かかるステップS37において、実周波数特性QFが規定の周波数特性範囲内に収まってないと判定された場合、制御部42は、実周波数特性QFが調整可能な範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS38)。ステップS38において実周波数特性QFが調整可能な範囲内に収まっていないと判定された場合、制御部42は、この半導体チップ1が不良品であることを表す検査結果を表示器49に表示させる(ステップS39)。
【0099】
一方、ステップS38において実周波数特性QFが調整可能な範囲内に収まっていると判定された場合、制御部22は、実周波数特性QFにおいて規定周波数特性範囲内に収まっていない周波数を検出し、その周波数でのレベルを規定の周波数特性範囲内に収めるべき調整値を示す周波数特性調整値データFTを周波数特性調整値書込部47aに供給する(ステップS40)。ステップS40の実行により、周波数特性調整値書込部47aは、周波数特性調整値データFTにて表される調整値を示す書込周波数特性調整値データFDWを端子53を介して半導体チップ1に構築されている周波数特性調整値記憶回路406に供給する。よって、周波数特性調整値記憶回路406は、書込周波数特性調整値データFDWによって表される調整値に対応したレベルを有する周波数特性調整信号GFを中間周波フィルタ304aに供給する。これにより、中間周波フィルタ304aでは、周波数特性調整信号GFに従った周波数特性の調整が為される。
【0100】
上記ステップS39又はS40の実行後、又は上記ステップS37において実周波数特性QFが規定の周波数特性範囲内に収まっていると判定された場合、制御部42は、図9に示す検査及び調整制御を終了する。
【0101】
以上の如き動作により、中間周波フィルタ304aの実周波数特性が規定範囲内に収まっていない場合には、中間周波フィルタ304aに対して、その実周波数特性を規定の範囲内に収めるべき調整が施される。この際、調整不可能なほど実周波数特性が規定範囲から外れている場合には、この半導体チップ1が不良品である旨の表示が為される。
【0102】
このように、図8に示す構成では、半導体チップ1に構築されている通信回路の受信部を担う各機能ブロック(301、302、304a、305、306)の内で、中間周波フィルタ304aを検査対象としている。ここで、中間周波フィルタ304aから送出された中間周波数信号IFXの信号強度を、この半導体チップ1内に構築されている信号強度検出回路403で検出し、その信号強度を示す直流レベルの強度信号SSを検査装置2に送信する。そして、検査装置2において、かかる強度信号SSに基づく各周波数毎のレベル減衰値(FP)の系列から現段階での中間周波フィルタ304aの実周波数特性(QF)を測定し、かかる実周波数特性(QF)が規定範囲内に収まっているか否かの判定を行っている。
【0103】
よって、中間周波フィルタ304aから送出された高周波数の中間周波数信号IFX自体が検査装置2側に送信されることはないので、このような高周波数信号が半導体チップ1及び検査装置2同士を接続する接続点を含む伝送路上に流れる際に起こるレベル損失が生じない。
【0104】
従って、図8に示す構成によれば、高周波数信号を検査装置側に送信し、この検査装置に搭載されているアナライザでかかる高周波数信号を解析して中間周波フィルタ304の特性が規定範囲内にあるか否かを判定するような構成に比して、上記した如き伝送路上でのレベル損失が無い分だけ高精度な検査が為される。また、高価なアナライザが不要となるので、コスト低減を図ることが可能となる。
【0105】
更に、図8に示す構成では、中間周波数信号IFXを生成させるべく中間周波フィルタ304aに供給するテスト用高周波信号TS2の信号強度(測定値A)と、中間周波数信号IFXの信号強度(測定値B)との差分(FP)に基づいて、中間周波フィルタ304aの周波数特性が規定範囲内に収まっているか否かの判定、及び中間周波フィルタ304aの周波数特性の調整を行うようにしている。
【0106】
この際、検査装置2は、テスト用高周波信号TS2の信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403において検出させるべく、端子51及び端子111を含む伝送路を介して、このテスト用高周波信号TS2を信号強度検出回路403に供給する。また、検査装置2は、中間周波数信号IFXの信号強度を半導体チップ1に構築されている信号強度検出回路403にて検出させるべく、端子51及び端子111を含む伝送路を介して、テスト用高周波信号TS2を中間周波フィルタ304aに供給する。
【0107】
よって、テスト用高周波信号TS2の信号強度と中間周波数信号IFXの信号強度との差分を求めると、上記した伝送路(端子51及び端子111を含む)で生じるテスト用高周波信号TS2の損失分が相殺されることになる。
【0108】
これにより、半導体チップ1及び検査装置2間を接続する伝送路、特に接続点としての端子を介して中間周波数信号を伝送させた際に生じる信号レベルの損失分が排除されるので、高精度な検査及び調整が為されるようになる。
【0109】
尚、上記実施例においては、信号強度検出回路(15、403)として、図2(a)に示す如きソースフォロア回路、及び図2(b)に示す如きダイオードによる半波清流回路を示したが、両波整流回路や多位相を用いる整流回路など他のものでも良い。
【0110】
また、上記実施例では、検査及び調整対象となる機能ブロック(14、301、302、304a)に供給されるテスト用高周波信号(TS、TS1、TS2)、及びその出力信号(TRS、R、IF、IFX)を切り替えて単一の信号強度検出回路に供給するようにしている。しかしながら、検査及び調整対象となる機能ブロックに供給するテスト用高周波信号及び出力信号の夫々に対して信号強度検出回路を個別に設け、各信号強度検出回路の出力を入力切換スイッチによって択一的に切り替えて出力するようにしても良い。
【0111】
また、信号検出回路の出力にADコンバータを設け、ディジタル値からなる強度信号SSを検査装置2に送信するようにしても良い。この際、検査装置2側には直流電圧測定器45は不要となり、デジタル信号の取り込み及び演算処理が行えればよい。
【0112】
また、信号強度検出回路の検出範囲を調整するための手段を設けるようにしても良い。つまり、信号強度検出回路のバイアス調整(例えばソースフォロア回路のバイアス電流調整)、或いは可変減衰器を入力に挿入することによって入力レベル調整を行うのである。尚、減衰器として抵抗比で減衰比を設定する場合には直流測定により減衰比の検査を行うことも可能である。
【0113】
また、調整値記憶回路(18、401、406)としては、静電気による不揮発メモリ、或いは、電流による溶断又は抵抗値変化を利用した電気ヒューズを用いるようにしても良い。このほか、レーザー光線に応じてデータ記憶を行うことが可能なメモリを用いても良い。この際、検査装置2の端子(28、48、53)及び半導体チップ1の端子(104、107、112)間の接続ラインが不要となり、このような接続ライン及び接触針を介すことなく、レーザ光線による書き込み(焼きこみ)が半導体チップ1に施される。
【0114】
また、高周波増幅回路14の信号強度を検出するにあたり、終端抵抗の接続が必要となる場合があるが、この際、検査装置2側に入力切換スイッチを更に設けて、終端抵抗を必要時にのみ接続するようにしても良い。尚、半導体チップ1内にこの入力切換スイッチを設けて終端抵抗を適宜接続するようにしても良い。
【0115】
また、図3、図7、図9に示す検査制御フローでは、前述した如き測定値Bから測定値A又は測定値Cから測定値Bを減算した値(AP、AP1、AP2、FP)に基づいて機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定するようにしているが、機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定する方法は、上記の如き方法に限定されない。例えば、測定値A及びB(B及びC)の比を求め、この「比」に基づいて機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定するようにしても良い。かかる「比」については、例えば測定値A及びB同士の除算演算、或いは測定値A及びB各々を対数表現で表した値同士の差分によって求めることができる。
【0116】
また、テスト用高周波信号(TS、TS1、TS2)の強度としては1系統に限定されるものではなく、2系統以上の複数であっても良い。この際、例えば、テスト用高周波信号として2系統の強度を有するものを高周波信号源(20、40、40a)で順次生成させ、第1の強度を有するテスト用高周波信号に応じて得られた測定値Aと、第2の強度を有するテスト用高周波信号に応じて得られた測定値Aとに基づいて、機能ブロックの出力特性が規定範囲内にあるか否かを判定するようにしても良い。
【0117】
また、上記実施例においてテスト信号供給回路を担う入力切換スイッチ11は、検査時には変調信号MSに代えてテスト用周波数信号TSを高周波増幅回路14に供給するセレクタであるが、テスト信号供給回路としては、検査時にのみオン状態となってテスト用周波数信号TSを強制的に高周波増幅回路14に供給するオンオフスイッチであっても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 半導体チップ
2 検査装置
11、21、402、404、405 入力切換スイッチ
15、403 信号強度検出回路
18、401 利得調整値記憶回路
20、40、40a 高周波信号源
22、42 制御部
200、400 検査支援回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回路を担う複数の機能ブロックを含む半導体チップであって、
検査指令に応じて前記複数の機能ブロックの内の1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、前記1の機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、を有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記外部出力回路は、前記1の機能ブロックが生成した信号の信号強度を示す第1の強度信号を外部出力する第1処理部と、前記テスト用周波数信号の信号強度を検出し当該信号強度を示す第2の強度信号を外部出力する第2処理部と、を有することを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記外部出力回路は、前記強度信号を外部出力する第1の外部端子と、前記テスト用周波数信号が外部入力される第2の外部端子と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記1の機能ブロックが生成した信号を外部出力する又は前記テスト用周波数信号が外部入力される第3の外部端子を更に有し、
前記第1処理部には前記第2の外部端子を介して外部入力された前記テスト用周波数信号が供給され、
前記第2処理部には前記第3の外部端子を介して外部入力された前記テスト用周波数信号が供給されることを特徴とする請求項3記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記第2処理部には前記第2の外部端子を介して外部入力された前記テスト用周波数信号が供給されることを特徴とする請求項2記載の半導体チップ。
【請求項6】
外部端子を介して供給された調整信号を記憶し当該調整信号に応じて前記第1の機能ブロックの特性を調整する調整部を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記第1の機能ブロックは送信用の高周波増幅回路であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の半導体チップ。
【請求項8】
前記テスト信号供給回路は非検査時には、前記テスト用周波数信号に代えて変調回路から供給された変調信号を前記高周波増幅回路に供給することを特徴とする請求項17のいずれか1に記載の半導体チップ。
【請求項9】
前記第1の機能ブロックは受信用の低雑音増幅回路、ミキサ又は中間周波フィルタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の半導体チップ。
【請求項10】
通信回路を担う複数の機能ブロックと、前記複数の機能ブロックの内の1の機能ブロックにテスト用周波数信号を供給するテスト信号供給回路と、前記1の機能ブロックが生成した信号の信号強度を検出して当該信号強度を示す強度信号を外部出力する外部出力回路と、が構築されている半導体チップを検査装置によって検査する半導体チップの検査方法であって、
前記半導体チップに前記テスト用周波数信号を供給する第1ステップと、
前記半導体チップから出力された前記強度信号に基づいて前記1の機能ブロックの特性が規定範囲内にあるか否かを判定する第2ステップと、を有することを特徴とする半導体チップの検査方法。
【請求項11】
前記外部出力回路は、前記テスト用周波数信号に応じて前記1の機能ブロックが出力した信号の信号強度を示す第1の強度信号を外部端子を介して出力する第1処理部と、前記テスト用周波数信号の信号強度を検出し当該信号強度を示す第2の強度信号を外部端子を介して出力する第2処理部とを有し、
前記第2ステップでは、前記半導体チップから出力された前記第1の強度信号と前記第2の強度信号との差分に基づいて前記1の機能ブロックの特性が前記規定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項10記載の半導体チップの検査方法。
【請求項12】
外部端子を介して供給された調整信号に応じて前記1の機能ブロックの特性を調整する特性調整部を更に備え、
前記第2ステップにおいて前記1の機能ブロックの特性が規定範囲内にないと判定された場合には、前記差分に基づいて前記調整信号を生成しこれを前記半導体チップに供給する第3ステップを更に実行することを特徴とする請求項10又は11記載の半導体チップの検査方法。
【請求項13】
前記検査装置は、複数の前記半導体チップが半導体ウェハに形成されている状態で各半導体チップ毎に前記1の機能ブロックの検査を行うことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1に記載の半導体チップの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244335(P2012−244335A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111329(P2011−111329)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】