説明

半導体パッケージ及び電子回路盤

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体パッケージび電子回路盤に関し、特に半導体チップの発生熱を効果的に放熱することが可能な、半導体パッケージ及び電子回路盤に関する。
【0002】
【従来の技術】熱放出を容易にする、従来の半導体パワーデバイスのパッケージにおいては、パッケージングを完了した段階で、放熱板または放熱用ピンを有する板を重ねて半導体パッケージを覆って熱交換部位を設けるか、あるいは、リードフレームのパドル下面に放熱ピンを有する放熱板を取り付ける。
【0003】図7は、上記後者の場合の従来の半導体パッケージの1部を示す断面図である。図示のように、従来の半導体パッケージにおいては、半導体チップ10の下面に放熱板11を取付け、放熱板11の上の半導体チップ10をモールディングコンパウンド12でモールドする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の半導体パッケージにおいては、半導体チップ10の上部で発生した熱は、半導体チップ10の底面を通って放熱板11へ容易には伝達されないので、効果的な放熱が行われ難いという問題がある。
【0005】また、放熱板または放熱ピンを有する板を重ねてパッケージを覆って熱交換部位を設ける方法においても、放熱板を熱抵抗が大きいモールディングコンパウンド12に取り付けるので、効果的な放熱が行われ難いという問題がある。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術における問題点を解決して、半導体チップから発生する熱を効果的に放熱することが可能な、半導体パッケージ及び電子回路盤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願発明の半導体パッケージは、上面に複数のボンディングパッドが設けられた半導体チップと、上記半導体チップの上記上面に下面が取り付けられた複数のリードと、上記リードに形成され、上記リードよりも厚さが薄いボンディングチップと、上記ボンディングチップと上記ボンディングパッドとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤと、上記半導体チップと上記ボンディングワイヤと上記リードとを、少なくとも上記リードの上面の全てを露出させて包むモールディングコンパウンドと、を含んでなることを特徴とする。
【0008】この場合、上記リードは、上記モールディングコンパウンドから上記半導体チップの上側方向へ突出した部分を有することを特徴とする
【0009】またこの場合、上記リードに放熱ピンを取り付けたことを特徴とする。
【0010】た上記目的を達成するために、本願発明の半導体パッケージは、半導体チップ上面の発生熱を、熱伝導度がすぐれた金属を介して放熱する半導体パッケージであって、ボンディングパッドが上面の中央部分に形成された半導体チップと、上記ボンディングパッドが形成された部位を除いた上記半導体チップの上記上面に取付けられた両面接着用絶縁テープと、上記両面接着用絶縁テープに下面が取付けられ、それぞれボンディングチップを有し、上記ボンディングチップよりも厚く形成された複数のリードと、上記半導体チップと上記両面接着用絶縁テープとを完全に取り囲み、少なくとも上記リードの上面の全てを上記半導体チップの上側方向へ露出させて包むモールディングコンパウンドと、を含んでなることを特徴とする。
【0011】また上記目的を達成するために、本願発明の電子回路盤は、絶縁体からなる基板と、上記基板上に形成された回路配線と、上記回路配線と電気的に接続され、所定の厚さを有し、半導体パッケージのリードの配列に対応して配置され、電気的接続と放熱との機能を果たす複数の放熱ピンとを含んでなることを特徴とする回路基板と、ボンディングパッドが中央部分に形成された半導体チップと、上記ボンディングパッドが形成された部位を除いた上記半導体チップに取付けられた両面接着用絶縁テープと、上記両面接着用絶縁テープに内側の面取付けられ、上記半導体チップのボンディングパッドとボンディングワイヤで接続されたボンディングチップを有し、上記ボンディングチップよりも厚く形成され、半導体パッケージの表面から外側部分が露出している複数のリードと、上記半導体チップと上記両面接着用絶縁テープとを完全に取り囲み、上記リードの外側部分のみが露出するように密閉するモールディングコンパウンドとを含んでなることを特徴とする半導体パッケージとからなり、上記回路基板の上記放熱ピンと上記半導体パッケージの上記リードの外側部分とをはんだで接着し、上記回路基板と上記半導体パッケージとの間に冷却流体が流通するようにしたことを特徴とする。
【0012】この場合、上記放熱ピンの高さは、上記基板の表面から2〜3mmであることを特徴とする
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明に係るリードフレームの1部を示す平面図である。
【0015】本発明に係るリードフレームは、例えば厚さ約350μmの銅合金の帯板状態の金属板を、ボンディングチップ21となるように設計した部位をポンチングして図1に示すように約50〜100μmの厚さにする。同時に、または別途に、図1に示すU字型溝形状をなし強度的に弱くした切断部23をポンチングにより板厚を薄くして形成する。
【0016】次いで、上記工程を経た金属板をエッチングまたはスタンピングして、リードフレームを形成する。このようなエッチングやスタンピングには、リードフレームを形成する従来技術を用いる。
【0017】上記リードフレームには、サイドレール20と、サイドレール20に接続されたリード連結バー24と、リード連結バー24に薄い切断部23を介して接続された複数のリード22と、リード22の1側面にそれぞれ形成された複数のボンディングチップ21とが設けられ、該ボンディングチップ21はリード22よりも薄くなっている。
【0018】図2は、本発明の半導体パッケージの1部を示す断面図である。本発明の半導体パッケージにおいては、上記リードフレームを半導体チップ30と結合し、モールディングコンパウンド33でモールドする。
【0019】上記本発明の半導体パッケージは、両面接着用絶縁テープ(例えば、ポリイミドテープ)34等の接着手段を用いてリードフレームを半導体チップ30に取付け、接着手段を加熱して熱接着した後、半導体チップ30に形成された各ボンディングパッド31とリード22に形成された各ボンディングチップ21とをボンディングワイヤ32を用いてそれぞれ接続する。ここに用いる半導体チップ30は、ボンディングパッド31が半導体チップ30の中央部に形成されているものである。
【0020】このようにした後、リード22の外側部分のみが露出するように設計されたモールディング用金型(図3参照)に入れて半導体パッケージをモールドする。
【0021】図3は、上記本発明に係る半導体パッケージのモールディング用金型の1部を示す斜視図である。図に示す部分は、モールディング用金型の下部金型40である。下部金型40には、半導体チップ30のサイズに適合するように設計されたモールドキャビティ44が形成され、リード22の外側部分を位置する複数のリードホール45が形成されている。また、モールドキャビティ44には、モールディング用金型の上部金型を組み合わせた後にモールディングコンパウンド33を注入するモールドキャビティゲート43が形成されている。リードホール45は、陰刻放電加工方法を用いて形成する。
【0022】モールド工程は以下のように実施する。ワイヤボンディングを終えた半導体チップ30とリードフレームとの結合体を、リード22の外側部分がリードホール45に挿入されるように位置させた後、上部金型を組み付けて覆い、モールドキャビティゲート43からモールディングコンパウンド33を注入してモールドする。モールド工程を進行した後、U字型溝形状に形成されている切断部23を切断して半導体パッケージの製作を完了する。
【0023】このように製作された本発明の半導体パッケージにおいては、図2に示すように、リード22の外側部分のみがモールディングコンパウンド33の外部に露出し、残りの部分はすべてモールディングコンパウンド33内に包装されている。
【0024】図4〜図6は、半導体パッケージを回路基板に実装して用いる状態を説明するためのものである。このうち、図4は本発明に係る回路基板の1部を示す斜視図であり、図5は本発明の半導体パッケージを回路基板に実装した状態の1部を示す断面図であり、図6は本発明の半導体パッケージを回路基板に表面実装した電子回路盤の1部を示す斜視図である。
【0025】本発明に係る回路基板には、図4に示すように、絶縁体からなる基板50と、基板50の上または内部に形成された回路配線53と、基板50上に配置された複数の放熱ピン51とが形成されている。放熱ピン51は、半導体パッケージのリード22の外側部分と接続され、導線としての機能と放熱板としての機能とを併せて果たす。
【0026】放熱ピン51は以下のようにして製作する。例えば、ニッケル鉛(Ni−Pb)層等からなる導電層を、スパッタリングまたは化学気相蒸着(CVD)またはメッキ等によって基板50の上に形成し、ホトエッチングを施して導電層を部分的に除去して基板50の表面からの高さが約2〜3mmとなるように放熱ピン51を形成する。
【0027】放熱ピン51は、以下のような工程を含む方法で製作することも可能である。すなわち、基板50の上に、半導体パッケージのリード22と接続する部分を開口するホトレジストマスクパターンを形成する。次いで、所定の厚さの金属層を、スパッタリングまたはメッキで形成する。ホトレジストを除去したあとには放熱ピン51が形成されている。
【0028】上記回路基板に、本発明の半導体パッケージを表面実装する方法は、以下のとおりである。まず、半導体パッケージを実装する回路基板上の放熱ピン51のリード22との接合部と、半導体パッケージのリード22の外側部分との、1方または双方に、はんだペーストを塗付する。次いで、半導体パッケージを回路基板上の所定の位置に置き、はんだペーストを加熱して溶かしてリード22の外側部分と放熱ピン51とをはんだ52で接合する。
【0029】このようにして構成された、回路基板と半導体パッケージとからなる電子回路盤にあっては、回路基板と半導体パッケージとの間に、図6に示すように、冷却流体100が流通するようにすることも可能であり、より効果的な放熱が可能である。
【0030】
【発明の効果】上記構成の本願発明の回路基板と半導体パッケージとからなる電子回路盤においては、半導体パッケージ内の半導体チップから発生される熱は、冷却流体との熱交換面積が広く、かつ熱伝導度に優れた放熱ピンの金属を通じて外部の雰囲気へ放熱されるので、効果的な放熱が可能となるという効果がある。
【0031】すなわち、熱伝達は、熱源である半導体チップ上面から放熱ピンへ直接行われるので、熱伝達が効果的に実行され、過熱による作動不良を防止することが可能となるという効果がある。
【0032】また、半導体チップの設計において、ボンディングパッドを中央に形成することができ、リードフレームと半導体チップとの厚さとほぼ同様の薄形の半導体パッケージとすることができるので、半導体チップ下面への熱放出も良好に行われて、効果的な放熱が可能となるという効果がある。
【0033】更に、リードの外側部分のトリミングやフォーミング工程を要しないので、半導体パッケージの製造工程が簡単となるという効果があり、また、リードの外側部分をインナーリードのように形成するので、リードフレームの材料の節約が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリードフレームの1部を示す平面図である。
【図2】本発明の半導体パッケージの1部を示す断面図である。
【図3】本発明に係る半導体パッケージのモールディング用金型の1部を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る回路基板の1部を示す斜視図である。
【図5】本発明の半導体パッケージを回路基板に実装した状態の1部を示す断面図である。
【図6】本発明の半導体パッケージを回路基板に表面実装した電子回路盤の1部を示す斜視図である。
【図7】従来の半導体パッケージの1部を示す断面図である。
【符号の説明】
20…サイドレール、21…ボンディングチップ、22…リード、23…切断部、24…リード連結バー、30…半導体チップ、31…ボンディングパッド、32…ボンディングワイヤ、33…モールディングコンパウンド、34…両面接着用絶縁テープ、40…下部金型、43…モールドキャビティゲート、44…モールドキャビティ、45…リードホール、50…基板、51…放熱ピン、52…はんだ、53…回路配線、100…冷却流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】上面に複数のボンディングパッドが設けられた半導体チップと、上記半導体チップの上記上面に下面が取り付けられた複数のリードと、上記リードに形成され、上記リードよりも厚さが薄いボンディングチップと、上記ボンディングチップと上記ボンディングパッドとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤと、上記半導体チップと上記ボンディングワイヤと上記リードとを、少なくとも上記リードの上面の全てを露出させて包むモールディングコンパウンドと、を含んでなることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】請求項1に記載の半導体パッケージにおいて、上記リードは、上記モールディングコンパウンドから上記半導体チップの上側方向へ突出した部分を有することを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】請求項1に記載の半導体パッケージにおいて、上記リードに放熱ピンを取り付けたことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項4】半導体チップ上面の発生熱を、熱伝導度がすぐれた金属を介して放熱する半導体パッケージであって、ボンディングパッドが上面の中央部分に形成された半導体チップと、上記ボンディングパッドが形成された部位を除いた上記半導体チップの上記上面に取付けられた両面接着用絶縁テープと、上記両面接着用絶縁テープに下面が取付けられ、それぞれボンディングチップを有し、上記ボンディングチップよりも厚く形成された複数のリードと、上記半導体チップと上記両面接着用絶縁テープとを完全に取り囲み、少なくとも上記リードの上面の全てを上記半導体チップの上側方向へ露出させて包むモールディングコンパウンドと、を含んでなることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項5】絶縁体からなる基板と、上記基板上に形成された回路配線と、上記回路配線と電気的に接続され、所定の厚さを有し、半導体パッケージのリードの配列に対応して配置され、電気的接続と放熱との機能を果たす複数の放熱ピンとを含んでなることを特徴とする回路基板と、ボンディングパッドが中央部分に形成された半導体チップと、上記ボンディングパッドが形成された部位を除いた上記半導体チップに取付けられた両面接着用絶縁テープと、上記両面接着用絶縁テープに内側の面が取付けられ、上記半導体チップのボンディングパッドとボンディングワイヤで接続されたボンディングチップを有し、記ボンディングチップよりも厚く形成され、半導体パッケージの表面から外側部分が露出している複数のリードと、上記半導体チップと上記両面接着用絶縁テープとを完全に取り囲み、上記リードの外側部分のみが露出するように密閉するモールディングコンパウンドとを含んでなることを特徴とする半導体パッケージとからなり、上記回路基板の上記放熱ピンと上記半導体パッケージの上記リードの外側部分とをはんだで接着し、上記回路基板と上記半導体パッケージとの間に冷却流体が流通するようにしたことを特徴とする電子回路盤。
【請求項6】請求項に記載の電子回路盤において、上記放熱ピンの高さは、上記基板の表面から2〜3mmであることを特徴とする電子回路盤

【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】第2829925号
【登録日】平成10年(1998)9月25日
【発行日】平成10年(1998)12月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−2082
【出願日】平成8年(1996)1月10日
【公開番号】特開平8−306855
【公開日】平成8年(1996)11月22日
【審査請求日】平成8年(1996)1月10日
【出願人】(595084025)エルジイ・セミコン・カンパニイ・リミテッド (4)
【参考文献】
【文献】特開 平6−132453(JP,A)
【文献】特開 平5−291476(JP,A)
【文献】特開 昭64−39052(JP,A)
【文献】特開 平4−303950(JP,A)
【文献】特開 平7−22474(JP,A)
【文献】実開 平6−29147(JP,U)
【文献】実開 平3−63943(JP,U)
【文献】実開 昭55−175249(JP,U)