説明

半導体光変換構成体

半導体光変換構成体が開示される。半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部分を、より長い第2の波長の光に変換する半導体ポテンシャル井戸と、半導体ポテンシャル井戸の上に配置され、かつ第1の屈折率を有する外層と、外層の上に配置され、かつ第1の屈折率より小さい第2の屈折率を有する構造化層と、を含む。構造化層は、外層の上に直接配置される複数の構造体、及び外層を露出する複数の開口部を含む。半導体光変換構成体は、構造化層の少なくとも一部分、及び複数の開口部内の該層の一部分の上に直接配置される構造化オーバーコートを更に含む。オーバーコートは、第2の屈折率より大きい第3の屈折率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体発光デバイスに関する。本発明は、特に、輝度が改善された半導体発光デバイスに適用される。
【背景技術】
【0002】
発光デバイスは、投射型ディスプレイシステム、液晶ディスプレイ用のバックライトなどを含む、多種多様な用途で使用される。投射システムは、通常、高圧水銀ランプなど、1つ、又は2つ以上の白色光源を使用する。白色光線は、普通、3原色、即ち、赤色、緑色、及び青色に分かれ、それぞれの画像形成空間光変調器へと導かれて、原色ごとに画像を生成する。得られる原色画像ビームは、組み合わされ、見るために投射スクリーン上に投射される。
【0003】
ごく最近では、発光ダイオード(LED)が白色光源の代替として考えられている。LEDは、従来の光源に匹敵する輝度及び動作寿命を提供する可能性を有する。しかしながら、現在のLEDは、例えば、屈折率の高い領域に光を取り込むので、比較的効率が悪い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は半導体発光デバイスに関する。一実施形態において、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部分を、より長い第2の波長の光に変換する半導体ポテンシャル井戸と;半導体ポテンシャル井戸の上に配置され、かつ第1の屈折率を有する外層と;外層の上に配置され、かつ第1の屈折率より小さい第2の屈折率を有する構造化層と;を含む。構造化層は、外層の上に直接配置される複数の構造体と、外層を露出する複数の開口部とを含む。半導体光変換構成体は、構造化層の少なくとも一部分、及び複数の開口部内の外層の一部分の上に直接配置される構造化オーバーコートを更に含む。オーバーコートは、第2の屈折率より大きい第3の屈折率を有する。一部の例では、構造化オーバーコートの平均厚さは、約1000nm未満、又は約700nm未満である。一部の例では、オーバーコートの外表面は構造化層の外表面と適合する。
【0005】
別の実施形態において、光放出システムは、LEDと、LEDによって放出される光をダウンコンバートし、かつ構造化された最外表面を有する光変換構成体とを含む。構造化された表面は、光変換構成体の内層を露出する複数の開口部を有する。光放出システムは、構造化された最外表面、及び内層の露出領域の上に形成される構造化オーバーコートを更に含む。構造化オーバーコートは、光変換構成体からの光抽出を高める。オーバーコートの外表面は、構造化された最外表面と適合する。一部の例では、オーバーコートの屈折率は、約1.8〜約2.7の範囲内である。
【0006】
別の実施形態において、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部分を吸収する第1の半導体層と;第1の波長で吸収された光の少なくとも一部分を、より長い第2の波長の光に変換する半導体ポテンシャル井戸と;第1の波長の光の少なくとも一部分を吸収可能な第2の半導体層と;を含む。第1の半導体層は、第2の波長で最大の第1の屈折率を有する。第2の半導体層は、最大の第1の屈折率より大きい第2の波長で第2の屈折率を有する。一部の例では、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長の光子のエネルギーより大きい。一部の例では、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長の光子のエネルギーより大きい。一部の例では、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第1の半導体層の最小バンドギャップエネルギーより小さい。一部の例では、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーより大きい。一部の例では、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーより大きい。一部の例では、第1の波長に中心があり、かつ第1の波長より長い波長λを含むスペクトルを有する入射光で照射されると、第1の半導体層は第1の波長の光を吸収するが、λの光は吸収せず、第2の半導体層はλの光を吸収する。
【0007】
別の実施形態において、半導体光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部分を吸収する第1の半導体層と;第1の波長で吸収された光の少なくとも一部分を、より長い第2の波長の光に変換する半導体ポテンシャル井戸と;第1の波長の光の少なくとも一部分を吸収可能な第2の半導体層と;を含む。第2の半導体層は、第1の半導体層の最小バンドギャップエネルギー未満のバンドギャップエネルギーを有する。一部の例では、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長の光子のエネルギーより大きい。一部の例では、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、第2の波長の光子のエネルギーより大きい。一部の例では、第2の波長での第2の半導体層の屈折率は、第2の波長での第1の半導体層の屈折率より大きい。一部の例では、第1の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーより大きい。一部の例では、第2の半導体層のバンドギャップエネルギーは、半導体ポテンシャル井戸の遷移エネルギーより大きい。一部の例では、半導体光変換構成体は、同じ遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。一部の例では、半導体光変換構成体は、異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0008】
別の実施形態において、光学構造物は、可視領域内の第1の波長の屈折率nを有する第1の半導体層と;第1の半導体層の上に配置され、かつ第1の波長の屈折率nを有し、屈折率nはnより小さい、第2の半導体層と;第2の半導体層の上に配置され、かつ第1の波長の屈折率nを有し、nはnより大きい、第3の半導体層と;第3の半導体層の上に直接配置される構造化層と;構造化層の少なくとも一部分の上に直接配置されるオーバーコートと;を含む。光学構造物は、第1の波長で実質的に透過性である。一部の例では、オーバーコートはフォトニック結晶を含む。一部の例では、第1の半導体層はポテンシャル井戸である。一部の例では、第2の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長で実質的に光吸収性でない。一部の例では、第3の半導体層は、第1の波長で実質的に光吸収性であるが、第2の波長で実質的に光吸収性でない。
【0009】
別の実施形態において、光放出システムは、第1の波長、及びより長い第2の波長で光を放出する光源と;第1の波長の光を吸収可能であるが、第2の波長の光を吸収可能でない1つ、又は2つ以上の第1の半導体光吸収層と;を含む。1つ、又は2つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源によって放出された光の少なくとも80%を吸収する。光放出システムは、1つ、又は2つ以上の第1の半導体光吸収層によって吸収された光の少なくとも一部分を、より長い波長の出力光に変換する半導体ポテンシャル井戸と;第2の波長の光を吸収可能な1つ、又は2つ以上の第2の半導体光吸収層と;を更に含む。1つ、又は2つ以上の第2の半導体光吸収層は、光源によって放出された残りの光を吸収する。一部の例では、1つ、又は2つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源によって放出された光の少なくとも90%を吸収する。一部の例では、1つ、又は2つ以上の第1の半導体光吸収層は、光源によって放出された光の少なくとも95%を吸収する。一部の例では、光放出システムは、同じ又は異なる遷移エネルギーを有する複数の半導体ポテンシャル井戸を含む。
【0010】
別の実施形態において、半導体光変換構成体は、入射光の一部分を吸収するが全てを吸収しないバンドギャップエネルギーEabsを有する第1の半導体層と;吸収された入射光の少なくとも一部分をダウンコンバートするための、Eabs未満の遷移エネルギーEtrを有する半導体ポテンシャル井戸と;残りの入射光を吸収するための、Eabs未満でEtrより大きいバンドギャップエネルギーElbを有する第2の半導体層と、を含む。一部の例では、第1の半導体層によって吸収された入射光の一部分、及び第2の半導体層によって吸収された残りの入射光は、スペクトルの異なる波長領域を含む。一部の例では、半導体光変換構成体は、Eabsより大きいバンドギャップエネルギーEを有する半導体ウィンドウを更に含む。一部の例では、Eは、入射光の光子エネルギーより大きい。一部の例では、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸と密接に隣接している。一部の例では、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸と直接隣接している。一部の例では、第1の半導体層は、半導体ポテンシャル井戸と第2の半導体層との間に配置される。一部の例では、第1及び第2の半導体層のそれぞれは、半導体ポテンシャル井戸に直接隣接している。
【0011】
別の実施形態において、基板から光を抽出するための光学構造物の作製方法は、(a)表面を有する基板を提供する工程と、(b)基板の表面上に複数の構造体を配置する工程と、ここで、この複数の構造体は、基板の表面を露出する開領域を形成する、(c)構造体の少なくともいくつかを縮小する工程と、(d)縮小した構造体、及び開領域内の基板の表面を覆うために、オーバーコートを塗布する工程と、を含む。一部の例では、工程(c)は、エッチング液を複数の構造体に塗布することによって行われる。一部の例では、複数の構造体による基板表面の被覆率は、エッチング液を塗布した後に減少する。一部の例では、複数の構造体はポリスチレンを含む。一部の例では、複数の構造体は複数の粒子を含む。一部の例では、複数の粒子は、エッチング液を塗布する前は実質的に球状であり、エッチング液を塗布した後は実質的に錐体状である。一部の例では、工程(a)〜(d)は逐次的に実施される。一部の例では、当該方法は、構造体の少なくともいくつかをリフローする工程を更に含み、ここで、一部の例では、構造体の少なくともいくつかをリフローする工程は、複数の構造体に熱を適用することによって行われる。一部の例では、粒子の少なくともいくつかを縮小及びリフローする工程は、同時に行われる。一部の例では、工程(c)において、構造体は、少なくとも20%、又は少なくとも40%縮小される。一部の例では、工程(d)におけるオーバーコートは構造化オーバーコートを含む。一部の例では、工程(d)におけるオーバーコートは、複数の構造体の外表面と適合する構造化外表面を有する。
【0012】
別の実施形態において、基板から光を抽出するために基板の表面上に複数の構造体を作製する方法は、(a)表面を有する基板を提供する工程と、(b)基板の表面の所望の第1の被覆面積率を確認する工程と、(c)基板の表面上に、所望の第1の被覆面積率より大きい第2の被覆面積率をもたらす複数の構造体を配置する工程と、(d)被覆面積率を所望の第1の被覆面積率に低減するために、構造体の少なくともいくつかを縮小する工程と、を含む。一部の例では、当該方法は、縮小した構造体、及び被覆されていない領域内の基板の表面を覆うために、構造化オーバーコートを塗布する工程を更に含む。一部の例では、当該方法は、複数の構造体の少なくともいくつかをリフローする工程を更に含む。
【0013】
別の実施形態において、光変換構成体は、第1の波長の光の少なくとも一部分をより長い第2の波長の光に変換するための第1の屈折率を有する蛍光体スラブと;蛍光体スラブの上に配置され、かつ第1の屈折率より小さい第2の屈折率を有する構造化層と、を含む。構造化層は、蛍光体スラブの上に直接配置される複数の構造体と、蛍光体スラブを露出する複数の開口部とを含む。光変換構成体は、構造化層の少なくとも一部分、及び複数の開口部内の蛍光体スラブの一部分、の上に直接配置される構造化オーバーコートを更に含む。構造化オーバーコートは、第2の屈折率より大きい第3の屈折率を有する。一部の例では、構造化オーバーコートは、蛍光体スラブからの第2の波長の光の抽出を高める。一部の例では、構造化オーバーコートは、Si、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO、ZrO、Ta、HfO、及びケイ酸塩のうちの少なくとも1つを含む。一部の例では、第1の屈折率と第2の屈折率との間の差異は、少なくとも0.3、少なくとも0.5、少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。一部の例では、第3の屈折率と第2の屈折率との間の差異は、少なくとも0.3、少なくとも0.5、少なくとも0.7、又は少なくとも0.9である。一部の例では、構造化オーバーコートの構造化外表面は、構造化層の外表面と適合する。一部の例では、光変換構成体は、光変換構成体を封入する封止体を更に含む。一部の例では、第2の波長における構造化オーバーコートの屈折率は、約1.35〜約2.2の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付の図面に関連して以下の本発明の種々の実施形態の詳細な説明を考慮して、より完全に理解し正しく認識することができる。
【図1】光放出システムの概略側面図。
【図2】構造化層及びオーバーコートの概略側面図。
【図3】別の構造化層及び別のオーバーコートの概略側面図。
【図4】別の構造化層及び別のオーバーコートの概略側面図。
【図5A】それぞれ、ナノ粒子の単一層及びナノ粒子の多層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【図5B】それぞれ、ナノ粒子の単一層及びナノ粒子の多層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【図6A】それぞれ、ナノ粒子のオーバーコートされた単一層及びナノ粒子のオーバーコートされた多層のSEM画像。
【図6B】それぞれ、ナノ粒子のオーバーコートされた単一層及びナノ粒子のオーバーコートされた多層のSEM画像。
【図7】ナノ粒子の別のオーバーコートされた単一層のSEM画像。
【図8】光放出システムの概略側面図。
【図9】放射光の概略の強度スペクトル。
【図10】光変換器の概略のバンド図。
【図11】別の光変換器の概略のバンド図。
【図12】別の光変換器の概略のバンド図。
【図13】別の光変換器の概略のバンド図。
【図14】別の光変換器の概略のバンド図。
【図15】別の光変換器の概略のバンド図。
【図16】別の光変換器の概略のバンド図。
【図17】別の光変換器の概略のバンド図。
【図18】光学構造物の概略側面図。
【図19】光放出システムの概略側面図。
【図20】オーバーコートの屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【図21A】光学構造物を作製するプロセスの中間段階又は工程でのデバイスの略図。
【図21B】光学構造物を作製するプロセスの中間段階又は工程でのデバイスの略図。
【図21C】光学構造物を作製するプロセスの中間段階又は工程でのデバイスの略図。
【図22A】ポリスチレン粒子の単一層のSEM画像。
【図22B】エッチングされかつリフローされた図22Aの粒子のSEM画像。
【図22C】ZnSでオーバーコートされた図22Bの粒子のSEM画像。
【図23】光源の概略側面図。
【図24】オーバーコートの屈折率の関数として計算されたパーセント抽出効率のプロット。
【0015】
多数の図で使用される同一の参照番号は、同一又は類似の特性及び機能を有する同一又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願は、半導体光源と1つ、又は2つ以上の波長変換器とを含む半導体発光デバイスを開示し、この変換器は、半導体波長変換器であることができる。本出願は、光抽出を高めるための構造体を更に開示する。
【0017】
開示されるデバイスのいくつかは、光源と、III〜V族等の同じ半導体族による光変換層とを有する。このような場合では、例えば、III〜V族波長変換器をIII〜V族LEDなどのIII〜V族光源の上に直接モノリシックに成長させ、作製することは実行可能であることもある。しかしながら、一部の例では、望ましい出力波長、高い変換効率、又はその他の望ましい特性を有する波長変換器は、このLEDが属するのとは異なる半導体族によるものであってもよい。そのような場合には、一方のコンポーネントを他方の上に高品質に成長させることは不可能であるか、又は実現不可能な場合がある。例えば、高効率波長変換器はII〜VI族からのものであることがあり、LEDなどの光源は、III〜V族からのものであることがある。そのような場合には、光変換器を光源に取り付けるために様々な方法を採用することができる。いくつかのかかる方法は、2007年10月10日出願の米国特許出願第61/012608号に記載されている。
【0018】
本出願に開示される波長変換器は、光源が放出したダウンコンバートする。本明細書で使用するとき、ダウンコンバートは、変換された光の波長が、変換されていない光又は入射光の波長よりも大きいことを意味する。
【0019】
図19は、光源1910と、光変換層1920と、光抽出層1930とを含む光放出システム1900の概略側面図である。光源1910は、典型的には紫外線又はスペクトルの青色領域の第1の波長λの光1915を放出する。光変換層1920は、光1915の少なくとも一部分を、典型的にはスペクトルの緑色又は赤色領域のより長い第2の波長λの光1925に変換する。光抽出層1930は、光変換層1920からの光1925の抽出を強化することによって、光放出システムの出力光の輝度又は強度を向上させる。例えば、光抽出層1930は、普通なら光変換層1920にトラップされる、ないしは別の方法で透過されないはずの光を抽出する。
【0020】
広くは、光変換層1920は、第1の波長の光の少なくとも一部分を第2の波長の光に変換することが可能な任意の要素又は材料を含むことができる。例えば、層1920は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料、光輝性半導体層、半導体ポテンシャル井戸、又は半導体量子ドットのアセンブリ若しくは複数の半導体量子ドットを含むことができる。光変換層1920として使用できる代表的な蛍光体としては、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛、及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。その他の有用な蛍光体としては、ドープYAG、ケイ酸塩、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、及びアルミン酸塩系蛍光体が挙げられる。かかる蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0021】
一部の例では、光変換層1920は、Ce:YAGスラブなどのスラブ蛍光体(slab phosphor)を含むことができる。Ce:YAGスラブは、例えば、Ce:YAG蛍光体粒子を高温及び高圧で焼結し、例えば、米国特許第7,361,938号に記載のような実質的に光学的に透明かつ非散乱性のスラブを形成することによって作製され得る。
【0022】
光抽出層1930は、光変換層1920の上に直接配置される構造化層1940と、この構造化層の上に配置される構造化オーバーコート1950などのオーバーコート1950とを含む。構造化層1940は、光変換層1920に直接配置された複数の構造体を含む。一部の例では、オーバーコートの外表面は構造化層の外表面と適合する。
【0023】
一部の例では、λにおける構造体の屈折率は、同じ波長における光変換層1920の最外層の屈折率よりも小さい。屈折率の低い構造化層1940は、例えば、光パターニング等のパターニング、出射面上のフォトレジストによって、あるいはナノ粒子等の粒子の部分単層若しくは完全単層、又は粒子の多層を出射面上に蒸着することによって、光変換層の出射面1921上に形成され得る。一部の例では、構造化層は、例えば、λにおける構造化層の屈折率を低下させるために、空気を含むことができる。例えば、一部の例では、構造化層は、出射面1921上に中空構造体又は粒子を含むことができる。空気又は空気ポケットを有する構造化層1940は、例えば、出射面上に有機材料などの材料をパターニングし、パターニングされた材料をオーバーコートでオーバーコートし、かつ、例えば、オーバーコートされたパターニングされた材料の一部分を高温で変質させることによってこの部分を除去してエア領域を形成することによって、出射面上に形成され得る。一部の例では、構造化層1940の構造体の屈折率は、この構造化層に直接隣接している光変換層1920の最外層の屈折率よりも小さい。
【0024】
オーバーコート1950は、光変換層1920からの光の抽出を強化する。一部の例では、オーバーコートは、ガラス状物質又は金属酸化物、例えば、Al、TiO、ZrO、La、Ta、HfO、ケイ酸塩、窒化ケイ素、酸化窒化珪素、又は酸化インジウムスズ、を含むことができる。一部の例では、オーバーコートは、ZnS、ZnSe、ZnOを含有するオーバーコート、又はZnSSe1−x等の半導体合金、などの半導体オーバーコートであることができる。一部の例では、オーバーコートは、硬化ゾル−ゲルなどのゾル−ゲルであることができる。一部の例では、オーバーコートの屈折率は、構造化層に直接隣接した光変換層1920の最外層の屈折率より大きい。
【0025】
図1は、光子エネルギーEを有する第1の波長λの光を放出するエレクトロルミネセントデバイス110と、第1の波長の光の少なくとも一部分を、光子エネルギーEを有するより長い第2の波長λの光に変換する半導体光変換構成体115と、を含む半導体発光素子105の概略側面図である。
【0026】
半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネセントデバイス110に対向する第1のウィンドウ120と、第1のウィンドウの上に配置される第1の吸収層130と、第1の吸収層の上に配置されるポテンシャル井戸140と、ポテンシャル井戸の上に配置される第2の吸収層131と、第2の吸収層の上に配置される第2のウィンドウ121と、第2のウィンドウの上に直接配置される構造化層150と、構造化層の上に配置されるオーバーコート160と、オーバーコートの上に配置されて半導体エレクトロルミネセント素子105を封入する封止体と、を含む。
【0027】
広くは、光変換器118は、第1の波長λの光の少なくとも一部分を、第2の波長λの光に変換することが可能なあらゆる素子を含むことができる。例えば、光変換器118は、蛍光体、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料を含むことができる。光変換器118として使用できる代表的な蛍光体としては、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛、及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。
【0028】
一部の例では、層140は、(1つの)ポテンシャル井戸、(1つの)量子井戸、又はそれぞれを多数又は複数含むことができる。無機半導体ポテンシャル及び量子井戸などの無機ポテンシャル及び量子井戸は、通常、例えば、有機材料と比べて高い光変換効率を有しており、水分などの環境要素の影響を受けにくいことにより、より信頼性が高い。更に、無機ポテンシャル及び量子井戸は、より狭い出力スペクトルを有する傾向にあり、例えば、改善された色域をもたらす。
【0029】
本明細書で使用するとき、ポテンシャル井戸は、キャリアを1つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造内の半導体層(1つ又は複数)を意味しており、その際、半導体層(1つ又は複数)は、周囲の層よりも低い伝導帯エネルギー、及び/又は周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほど十分に薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm未満又は約10nm未満の厚さを有する。量子ドットは、典型的には、約100mm以下、又は約10mm以下の最大寸法を有する。
【0030】
一部の例では、ポテンシャル又は量子井戸140は、エレクトロルミネセントデバイス110によって放出される光子のエネルギーEよりも小さい遷移エネルギーEpwを有するII〜VI族半導体ポテンシャル又は量子井戸を含む。広くは、ポテンシャル又は量子井戸140のポテンシャル井戸の遷移エネルギーは、ポテンシャル又は量子井戸によって再放出される光子のエネルギーEに実質的に等しい。
【0031】
一部の例では、ポテンシャル井戸140は、合金の3つの構成要素として化合物ZnSe、CdSe、及びMgSeを有する、CdMgZnSe合金を含むことができる。一部の例では、Cd、Mg、及びZnのうちの1つ、又は2つ以上、特にMgは、合金に存在しなくてもよい。例えば、ポテンシャル井戸140は、赤色で再放出することができるCd0.70Zn0.30Se量子井戸、又は緑色で再放出することができるCd0.33Zn0.67Se量子井戸を含むことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Zn、Se、及び所望によりMgの合金を含むことができ、その場合、合金系は、Cd(Mg)ZnSeによって表すことができる。別の例として、ポテンシャル井戸140は、Cd、Mg、Se、及び所望選択のZnの合金を含むことができる。一部の例では、ポテンシャル井戸はZnSeTeを含むことができる。一部の例では、量子井戸140は、約1nm〜約100nm、又は約2nm〜約35nmの範囲の厚さを有する。
【0032】
一般に、ポテンシャル井戸140は、任意の伝導及び/又は価電子帯プロファイルを有することができる。代表的なプロファイルは、例えば、米国特許出願第60/893804号に記載されている。
【0033】
一部の例では、ポテンシャル井戸140は、nドープ又はpドープされていてよく、その際、ドーピングは、任意の好適な方法によって、及び任意の好適なドーパントを含めることによって、達成することができる。一部の例では、エレクトロルミネセントデバイス110及びポテンシャル井戸140は、2つの異なる半導体族からのものであることができる。例えば、このような場合、エレクトロルミネセントデバイス110はIII〜V族半導体デバイスであることができ、ポテンシャル井戸140はII〜VI族ポテンシャル井戸であることができる。一部の例では、エレクトロルミネセントデバイス110はAlGaInN半導体合金を含むことができ、ポテンシャル井戸140はCd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができ、ここで、括弧で囲まれる材料は任意の材料である。
【0034】
広くは、半導体光変換構成体115は1つ、又は2つ以上のポテンシャル井戸を有することができる。一部の例では、構成体115は複数のポテンシャル井戸を有することができる。例えば、このような場合、構成体115は、少なくとも2つのポテンシャル井戸、もしくは少なくとも5つのポテンシャル井戸、又は少なくとも10のポテンシャル井戸を有することができる。一部の例では、構成体115は、遷移エネルギーが異なる少なくとも2つのポテンシャル井戸、もしくは少なくとも3つのポテンシャル井戸、又は少なくとも4つのポテンシャル井戸を有することができる。
【0035】
一部の例では、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λの光を実質的に吸収する。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λの光の少なくとも30%、若しくは少なくとも40%、又は少なくとも50%を吸収する。一部の例では、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λにおいて実質的に光透過性である。例えば、このような場合、ポテンシャル井戸140は、第1の波長λの光の少なくとも60%、若しくは少なくとも70%、又は少なくとも80%、あるいは少なくとも90%を透過する。
【0036】
光吸収層130及び131は、半導体光変換構成体115において、光180の吸収及びキャリアの生成を助ける。一部の例では、光吸収層130及び131は光180の少なくとも一部分を吸収し、その結果、電子−正孔キャリアなどの光生成キャリア対を形成する。キャリアは、光吸収層からポテンシャル井戸140へと拡散又は移動し、そこで再結合して第2の波長λの光を放出する。
【0037】
光吸収層130及び131は、キャリアの再結合及び第2の波長λの光の放出のために光生成キャリアがポテンシャル井戸へと効率良く拡散できるように、ポテンシャル井戸に隣接して設置される。
【0038】
一部の例では、半導体光変換構成体115の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に直接隣接してもよく、即ち、いずれの介在層も吸収層とポテンシャル井戸との間に配置されない。例えば、図1において、第1の光吸収層130及び第2の光吸収層131のそれぞれは、直接隣接したポテンシャル井戸140である。一部の例では、半導体光変換構成体115の光吸収層は、ポテンシャル井戸140に密接に隣接することができ、即ち、1つ又は数個の介在層が吸収層とポテンシャル井戸との間に配置されてもよい。例えば、一部の例では、図1に示されていない1つ、又は2つ以上の介在層を、第1の光吸収層130とポテンシャル井戸140との間に配置することができる。
【0039】
一部の例では、光吸収層は、II〜VI族半導体など、無機半導体などの半導体を含んでもよい。例えば、吸収層130及び131の1つ、又は2つ以上は、Cd(Mg)ZnSe半導体合金を含むことができる。
【0040】
一部の例では、光吸収層は、エレクトロルミネセントデバイス110によって放出される光子のエネルギーEよりも小さいバンドギャップエネルギーEabsを有する。このような場合、光吸収層は、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を吸収、例えば強く吸収、することができる。一部の例では、光吸収層は、ポテンシャル井戸140の遷移エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、ポテンシャル井戸によって第2の波長λで再放出される光181に対して実質的に光学的に透明である。
【0041】
一部の例では、第2の光吸収層131などの光吸収層は、第2の波長λで放出される光181の光子エネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する。このような場合、光吸収層は、光181の少なくとも一部分を吸収することができる。このような場合、吸収された光の少なくとも一部分は、第3の長波長λの光にダウンコンバートされ得る。
【0042】
一部の例では、半導体光変換構成体115の少なくとも1つの光吸収層は、ドーパントでドープされる。一部の例では、光吸収層がCd(Mg)ZnSe合金を含むような場合、ドーパントはVII族のn型ドーパントであり得る。一部の例では、ドーパントは塩素又はヨウ素を含むことができる。一部の例では、ドーパントの数密度は、約1017cm−3〜約1018cm−3の範囲内である。その他の代表的なドーパントには、Al、Ga、In、F、Br、I,及びNが挙げられる。
【0043】
代表的な半導体光変換構成体115は、2つの光吸収層130及び131を含む。広くは、半導体光変換構成体は、吸収層を有さない、又は1つ、2つ、若しくは3つ以上の吸収層を有することができる。一部の例では、半導体光変換構成体115は、異なるバンドギャップエネルギーを有する少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの光吸収層を有することができる。
【0044】
広くは、光吸収層は、対応するポテンシャル井戸に十分密接しており、よって光吸収層内の光生成キャリアは、ポテンシャル井戸に拡散する適切な機会を有する。半導体多層積層物が光吸収層を有さない場合、ポテンシャル井戸は第1の波長λにおいて実質的に光吸収性であり得る。
【0045】
第1のウィンドウ120及び第2のウィンドウ121は、主としてバリアを提供するように設計され、よって吸収層及び/又はポテンシャル井戸で光生成される電子−正孔キャリア対などのキャリアは、構成体115の自由又は外部面に移動しないか、又は移動する可能性が少ない。例えば、第1のウィンドウ120は主として、第1の吸収層130で生成されるキャリアが、それらが非放射的に再結合することができる面123に移動することを阻止するように設計される。一部の例では、ウィンドウ120及び121は、エレクトロルミネセントデバイス110によって放出される光子のエネルギーEよりも大きいバンドギャップエネルギーEを有する。そのような場合、ウィンドウ120及び121は、エレクトロルミネセントデバイス110によって放出される光、及びポテンシャル井戸140によって再放出される光に対して、実質的に光学的に透明である。
【0046】
代表的な半導体光変換構成体115は2つのウィンドウを有する。広くは、光変換構成体は、ウィンドウを有さない、又はウィンドウを1つ若しくは2つ有することができる。例えば、一部の例では、半導体光変換構成体115は、エレクトロルミネセントデバイス110とポテンシャル井戸140との間、又はエレクトロルミネセントデバイス110と吸収層130との間に配置される単一ウィンドウを有することができる。
【0047】
一部の例では、半導体光変換構成体115内2つの隣接する層間の境界面の位置は、明確な(well-defined)又ははっきりとした(sharp)境界面であってもよい。一部の例では、層内の材料組成物が、厚さ方向に沿った距離に応じて変化する場合、2つの隣接する層間の境界面は、明確でなくてもよく、例えば段階的な領域を画定する段階的な境界面であってもよい。例えば一部の例では、第1の吸収層130及び第1のウィンドウ120は、同じ材料構成成分を有するが、異なる材料濃度であり得る。このような場合、吸収層の材料組成物は、ウィンドウ層の材料組成物に徐々に変化し2層間の段階的な境界面又は領域が得られる。例えば、両方の層がMgを含む場合では、Mgの濃度は吸収層からウィンドウへ段階的に移るときに増加していてもよい。
【0048】
第2のウィンドウ121は、波長λを含む関心波長領域において屈折率を有する。一部の例では、λは紫外線又は青色波長であり、λは約420nm〜約650nmの範囲内の可視波長である。このような場合、nは、スペクトルの可視領域内のインデックスであり得る。一部の例では、nは波長λの又はその近傍のインデックスである。
【0049】
代表的な半導体光変換構成体115では、第2のウィンドウ121はポテンシャル井戸140の上に配置されて、半導体光変換構成体の外層121及び光変換器118の最外層を形成する。構造化層150は、例えば、λにおいて屈折率nを有し、第2のウィンドウ121の外層上に直接配置される。インデックスnは、第2のウィンドウ121のインデックスnよりも小さい。一部の例では、nとnとの間の差異は、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0050】
構造化層150は、構造体151〜154などの複数の構造体を含む。複数の構造体のうちいくつかの構造体は、構造体151及び152のように別個であり得る。いくつかの構造体は、構造体153と154とがベース155を介して互いに結合しているように、ベースを介して結合され得る。構造化層150は、第2のウィンドウ121を露出する開口部101及び102などの複数の開口部を含む。
【0051】
一部の例では、構造化層150は、第2の波長λで実質的に光学的に透明である。例えば、このような場合、波長λでの構造化層の全光透過率は、少なくとも50%、若しくは少なくとも60%、又は少なくとも70%、あるいは少なくとも80%である。
【0052】
一部の例では、構造化層150の中の複数の構造体は、構造体の規則的なアレイを形成する。一部の例では、構造体は、第2のウィンドウ121の上面125全域にランダムに設置される。一部の例では、構造化層150は、例えば、格子縞と同様に、構造体の少なくともいくつかの間に開口部を備える複数の結合構造体、又は結合構造体のアレイを含む連続層である。
【0053】
一部の例では、構造化層150の複数の構造体は、複数の離散構造体を形成する。例えば、一部の例では、構造化層は複数の粒子を含むことができる。例えば、図3の構造化層350は、粒子351及び352などの複数の粒子を有する。一部の例では、粒子は実質的に微小粒子又はナノ粒子である。例えば、このような場合、粒子の平均サイズは、2000nm未満、1500nm未満、1000nm未満、又は750nm未満である。構造化層350の中の粒子は、任意の規則的な又は不規則な形状などの任意の形状を有することができる。
【0054】
一部の例では、図1の構造化層150は複数の粒子を含み、粒子の相当な割合は実質的に球状である。例えば、このような場合、粒子の最大寸法と最小寸法の比は、1.3未満、1.25未満、1.2未満、1.15未満、又は1.1未満である。
【0055】
一部の例では、構造化層150は、フォトレジスト等の、パターン可能な又は光パターン可能な有機材料又はポリマーなどの有機材料を含むことができる。一部の例では、構造化層150は、ポリスチレン微小球などのポリスチレンを含むことができる。一部の例では、構造化層150は、金属酸化物又はガラスなどの無機材料を含むことができる。無機材料の例には、SiO、GeO、Al、MgF及びケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0056】
一部の例では、構造化層150は、上面125全域に密接に充填された単一構造体又は構造体の単層を含むことができる。一部の例では、構造化層150は構造体のサブ単層を含むことができ、即ち、構造体は密接に充填されておらず、及び/又は構造体がないか、あっても少数の構造体を含む、構造体の標準サイズ又は平均サイズよりも実質的に大きな領域が存在する。このような場合、サブ単層構造化層150の開領域は、単一粒子などの単一構造体の平均サイズよりも実質的に大きくあり得る。
【0057】
一部の例では、構造化層150は、構造体の多層を含むことができる。例えば、図4は、粒子451の多層を含む第2のウィンドウ121上に直接配置される構造化層450の概略側面図である。構造化層は、連続オーバーコート460でコーティングされ、封止体470はオーバーコートを覆っている。
【0058】
構造化オーバーコート160は、構造化層150の少なくとも一部分、及び構造化層150開口部を介してウィンドウが露出する領域内の第2のウィンドウ121の一部分の上に直接配置される。オーバーコート160は、第2の屈折率nより大きい、例えば、波長λで第3の屈折率nを有する。一部の例では、nはnより小さい。一部の例では、nはnより大きい。一部の例では、nとnとの差異は、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、又は少なくとも0.9である。
【0059】
一部の例では、オーバーコート160は、普通であれば第2のウィンドウの面125で完全に内部反射するはずの光181を抽出することができる。このような場合、オーバーコートは、半導体光変換構成体115からの第2の波長λの光181の抽出を強化する。
【0060】
一部の例では、構造化オーバーコート160の外表面162は、構造化層150の外表面161と実質的に適合する。例えば、一部の例では、オーバーコート160は、真空蒸着技術を用いて構造化層150の上に配置され得る。このような場合、外表面162は外表面161と適合し得る。一部の例では、構造化オーバーコートの平均厚さは、構造化層150の中の構造体の平均サイズより大きくない。一部の例では、オーバーコート160の平均厚さは、1000nm未満、800nm未満、700nm未満、600nm未満、500nm未満、又は400nm未満である。
【0061】
一部の例では、オーバーコート160は第2の波長λで実質的に光学的に透明である。例えば、このような場合、波長λにおけるオーバーコートの全光透過率は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。
【0062】
一部の例では、オーバーコート160は、例えば、1つ、又は2つ以上のアイランドを含むことによって不連続層であることができる。例えば、図2では、構造化層250は第2のウィンドウ121の上に直接配置され、構造体251と252との間に開口部255を画定する。オーバーコート260は、構造化層250の上、及び、開領域においては、開口及び露出領域255の中にアイランド261を形成する第2のウィンドウ121の上に直接配置される。一部の例では、オーバーコート160は連続層であることができる。例えば、図3では、構造化層350の上に直接配置されるオーバーコート360は連続層を形成している。
【0063】
一部の例では、オーバーコート160は、半導体、金属酸化物、又はセラミックスを含むことができる。一部の例では、オーバーコートは、Si、酸化窒化珪素、ケイ酸塩、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdS、CdSe、CdSSe、ITO、TiO、ZrO、Ta、及びHfOのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
封止体170はオーバーコート160の上に配置され、かつ半導体発光素子105を封入し、素子を、例えば、周囲の水分から保護する。一部の例では、封止体は、例えば、光181が半導体発光素子を出射するときにこれをコリメートするために、屈折力等の光学機能を有することができる。
【0065】
エレクトロルミネセントデバイス110は、電気信号に応答して光を放出可能な任意のデバイスとすることができる。例えば、エレクトロルミネセントデバイスは、電流に応答して光子を放出可能な発光ダイオード(LED)又は半導体レーザとすることができる。LEDエレクトロルミネセントデバイス110は、用途において望ましい可能性のあるいかなる波長でも光を放出することができる。例えば、LEDは、UV波長、可視波長、又はIR波長で光を放出することができる。場合によっては、LEDは、UV光子を放出可能な短波長LEDとすることができる。広くは、LEDは、Si若しくはGeなどのIV族元素;InAs、AlAs、GaAs、InP、AlP、GaP、InS(登録商標)b、AlSb、GaSb、GaN、AlN、InNなどのIII〜V化合物、並びにAlGaInP及びAlGaInNなどのIII〜V化合物の合金;ZnSe、CdSe、BeSe、MgSe、ZnTe、CdTe、BeTe、MgTe、ZnS、CdS、BeS、MgSなどのII〜VI化合物、及びII〜VI化合物の合金、又は、以上に列挙した化合物のいずれかの合金を含めた、有機半導体又は無機半導体などのいずれかの適切な材料から構成することができる。
【0066】
一部の例では、エレクトロルミネセントデバイス110は、1つ、又は2つ以上のp型及び/又はn型半導体層、1つ、又は2つ以上のポテンシャル及び/又は量子井戸を含み得る1つ、又は2つ以上の活性層、バッファー層、基板層、並びにスーパーストレート(superstrate)層を含むことができる。一部の例では、エレクトロルミネセントデバイス110は、III〜V族LEDなどのIII〜V族半導体光源であることができ、AlGaInN半導体合金を含んでもよい。例えば、エレクトロルミネセントデバイス110は、GaNベースのLEDであることができる。別の例としては、エレクトロルミネセントデバイス110は、ZnOベースのLEDなどのII〜VI族LEDであることができる。
【0067】
開示される構成体の利点の一部が、以下の実施例によって更に説明される。この実施例で列挙される特定の材料、量及び寸法、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0068】
(実施例1):
図1の光変換器118と同様の半導体光変換構成体を作製した。材料組成物の相対的な層順序及び推定値、並びに異なる層の厚さを表Iに要約する。
【0069】
【表1】

【0070】
II〜VI族成長用の表面を調製するために、分子線エピタキシー(MBE)によってまずGaInAsバッファー層をInP基板上に成長させた。続いて、光変換のためのII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ構成体を移動させた。変換器118は4つのCdZnSe量子井戸140を含んでいた。量子井戸140のそれぞれを、GaInNベースの半導体によって放出された440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層130と131との間に挟んだ。
【0071】
次に、構成体がガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けられた後、InP基板を3HCl:1HO溶液で除去した。エッチング液はGaInAsバッファー層(層番号2)で止まった。バッファー層は、次に、顕微鏡スライドに取り付けられたII〜VI族光変換器118のみを残して、30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水を撹拌した液で除去された。
【0072】
(実施例2):
λin=440nmの青色光を放出する半導体レーザで、構成体が構成体のウィンドウ側から照射された場合の、実施例1で作製された構成体の外部量子効率(EQE)を計算した。測定された再放出波長は、λout=539nmであった。式(Pout/Pin)×(λin/λout)(式中、Pinは放射電力、及びPoutは構成体から射出する変換された光の出力パワーである)からEQEを計算した。計算されたEQEは23%であった。
【0073】
(実施例3):
実施例1で作製した構成体の吸収体側をSiOナノ粒子でコーティングし、構造化層150と同様の構造化層を得た。粒子は約440nmの平均直径を有し、Nissan Chemical America Corporation(Houston,Texas)から入手した。粒子を1−メトキシ−2−プロパノール中に分散し、5重量%固形分とした。ディップコーティング法を約65mm/分の速度で用いて、溶液を構成体の上にコーティングした。かかる試料の1つ(試料A)は1回ディップコーティングされた。第2のかかる試料(試料B)は数回ディップコーティングされた。図5A及び図5Bは、それぞれ、試料A及びBの側面から見た走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。実施例2に概説されたプロセスを用いて、試料A及びBのEQEは、それぞれ30.7%及び38.2%と計算された。
【0074】
(実施例4):
実施例3で得た試料A及びBを、プラズマ化学気相成長(PECVD)プロセスを用いて、Siオーバーコートでコーティングして、オーバーコートされたA及びBをそれぞれ得た。オーバーコートの厚さは約300nm、Siの屈折率は約1.8であった。8.図6A及び図6Bは、それぞれ、オーバーコートされた試料A及びBの側面から見たSEM画像である。実施例2に概説されたプロセスを用いて、試料A及びBのEQEを計算し、それぞれ41.2%及び41.5%であった。粒子で1回ディップコーティングされた試料の場合、Siのオーバーコートを加えることにより、EQEが30.7%から41.2%へと増加し、これは約34%の増加率であった。粒子で数回ディップコーティングされた試料の場合、Siのオーバーコートを加えることにより、EQEが38.2%から41.5%へと増加し、これは約8.6%の増加率であった。
【0075】
(実施例5):
実施例3に概説されたプロセスを繰り返し、新しい試料C(1回ディップ)を作製した。実施例2に概説されたプロセスを用いて、試料Cの計算されたEQEは33.45%であった。
【0076】
次に、真空昇華プロセスを用いて試料CをZnSでオーバーコートし、オーバーコートされた試料Cを得た。オーバーコートの厚さは約400nm、及びZnSオーバーコートの屈折率は2.4であると推定された。図7は、試料Cを側面から見たSEM画像である。実施例2に概説されたプロセスを用いて、試料Cの計算されたEQEは45.13%であった。このように、ZnSオーバーコートを加えることによってEQEが33.45%から45.13%へと増加し、これは約34.9%の増加率であった。
【0077】
(実施例6):
実施例1に概説されたプロセスを繰り返して、新しい試料D〜Dを作製した。実施例2に概説されたプロセスを用いて、試料D〜Dの計算されたEQEは、それぞれ、22.1%、19.93%、21.25%及び25.7%であった。次に、実施例3に概説されたプロセスを用いて、試料を、SiO粒子の単層で、異なるディップ速度でコーティングした。試料D〜Dの得られる推定被覆面積率は、それぞれ、30%、40%、50%及び70%であった。得られた試料の計算されたEQEは、それぞれ、29.47%、33.45%、31.76%及び41.5%であった。このように、SiO粒子を加えることによって試料D〜DのEQEが、それぞれ33%、68%、49%及び61%増加した。
【0078】
図8は、光子エネルギーEを有する第1の波長λで光850を放出する、LEDなどの光源810と、第1の波長の光の少なくとも一部分を、光子エネルギーEを有するλの光に変換する半導体光変換構成体815と、を含む光放出システム800の概略側面図である。
【0079】
半導体光変換構成体815は、光変換器818と、構成体818の上に直接配置される構造化層150と、構造化層の上に配置される、構造化オーバーコート160などのオーバーコート160と、を含む。
【0080】
光変換器818は、光源810に対向する第1のウィンドウ120と;対応する第1、第2、第3、及び第4のポテンシャル井戸840、841、842及び843と:4つのポテンシャル井戸を取り囲む対応する第1、第2、第3、第4、及び第5の光吸収層830、831、832、833及び834と;補助光吸収層870と、を含む。
【0081】
光吸収層830〜834は光吸収層130及び131と同様であり、光850の少なくとも一部分を吸収し、その結果、光吸収層からポテンシャル井戸840〜843へと拡散又は移動し、そこで再結合して第2の波長λの光を放出する、光生成される電子−正孔キャリアなどの光生成キャリアを生成する。光吸収層830〜834は、キャリアの再結合及び第2の波長λの光852の放出のために光生成キャリアがポテンシャル井戸へと効率良く拡散できるように、ポテンシャル井戸に隣接して設置される。一部の例では、光吸収層830〜834は、例えば、第2の波長で、ポテンシャル井戸840〜843よりも低い屈折率を有する。
【0082】
一部の例では、光850の一部分は、吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843で吸収されず、吸収層及びポテンシャル井戸によって光851として透過される。例えば、一部の例では、放射光850は、図9に概略的に示される強度スペクトル910を有し、図中、横軸は波長であり、縦軸は任意単位の強度である。このような場合、波長λはピーク強度Iを有するピーク放射波長であり得、光吸収層830〜834のバンドギャップ波長は、光850のかなりの部分が吸収層によって吸収されるように、例えば、λより十分に大きいλabsであり得る。一部の例では、λabsは、高温においてもポテンシャル井戸に拡散する光生成キャリア対の十分な閉じ込めを提供するために、十分に小さい。このような場合、一般に図9のλabsの右に位置するスペクトル910の最後尾に対応する光850の一部分は、光吸収層830〜834及び/又はポテンシャル井戸840〜843によって吸収されず、この光吸収層及びこのポテンシャル井戸によって第1の波長の光851として透過される。このような場合、補助光吸収層870は、他の層で吸収されない余剰又は残りの光851を吸収することができる。一部の例では、補助光吸収層870のバンドギャップ波長λlbはλabsより十分に大きく、その結果、本質的に光851の全ては補助光吸収層によって吸収される。このような場合、光放出システム800の出力光860は本質的にλであり、λの光の含有量は全くないか又は非常に少ない。このような場合、補助光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層830〜834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい。例えば、図10は、図8の光変換器818の概略のバンド図であり、小さなElb及び大きなEabsを示している。図10では、E及びEは、それぞれ、伝導帯及び価電子帯を示す。出力光860の光の強度を最適化するのが望ましい場合のような一部の例では、図10に示されるように、補助光吸収層のバンドギャップエネルギーElbは、ポテンシャル井戸840〜843のEpwよりも大きい。このような場合、Elbは、λの光子のエネルギーEより大きい。
【0083】
補助光吸収層870のバンドギャップエネルギーが第5の吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsよりも小さい場合のような一部の例では、波長λの補助光吸収層870の屈折率は、光吸収層834の屈折率より大きい。このような場合、光変換器818を導波している又は光変換器818にトラップされたλの光モードの電界は、構造化層150に向かって移動する。これにより、この光モードのエバネセントテールは構造化層150及び/又はオーバーコート160の中に更に延び、その結果、構造化層及びオーバーコートによる光852の抽出が強化される。
【0084】
一部の例では、ポンプ光源810(図8及び図9)は、第1の波長λ及びより長い第2の波長λの光を放出する。一部の例では、第1の波長はポンプ光源のピーク放射波長λであり得る。光吸収層830〜834は、波長λの光を吸収することが可能である。しかし、λは、光吸収層のバンドギャップ波長λabsよりも長いので、光吸収層は波長λの光を吸収することができない。一部の例では、光吸収層は、光850のかなりの部分を吸収することができる。例えば、このような場合、光吸収層は、光850の少なくとも80%、若しくは少なくとも85%、又は少なくとも90%、あるいは少なくとも95%を吸収することが可能である。ポテンシャル井戸840〜843は、光吸収層によって吸収された光の少なくとも一部分をより長い波長の出力光860に変換する。補助光吸収層870は、第1の波長λ及び第2の波長λの光を吸収することが可能であり、かつ、光源810によって放出された残りの光を吸収する。
【0085】
一部の例では、半導体光変換構成体815は、補助光吸収層870からの光を抽出するために、構造化層150及びオーバーコート160以外の、又はこれらに加えた、手段を含むことができる。例えば、補助光吸収層の上面をパターニングする又はテクスチャリングする、例えば、粗面化することによって、光を抽出することができる。別の例としては、補助光吸収層の外面にフォトニック結晶を形成することによって、光を抽出することができる。代表的なフォトニック結晶は、例えば、米国特許第6,987,288号及び同第7,161,188号に記載されている。一部の例では、補助光吸収層の出射面に光学素子を形成するとによって、光を抽出することができ、その場合光学素子は任意の素子であることができ、かつ、普通であれば例えば、全内部反射が原因で補助光吸収層を出射しないはずの光の少なくとも一部分を抽出可能な任意の形状を有することができる。代表的な光抽出器は、例えば、同一出願人による米国特許仮出願第2007/0284565号;2006年11月17日出願の同一出願人による米国特許仮出願第60/866,265号;及び2006年6月12日出願の同一出願人による米国特許仮出願第60/804,544号に記載されている。
【0086】
一部の例では、光吸収層834及び補助光吸収層870の少なくとも一方は、傾斜材料である。このような場合、少なくとも吸収層の厚さ方向に沿ったある場所の、補助光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834の最小バンドギャップエネルギーより小さい。例えば、図11は、一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1120と、直線傾斜補助光吸収層1130とを有する光変換器1100の概略のバンド図である。場所「X」における補助光吸収層870のバンドギャップエネルギーElbは、光吸収層834のバンドギャップエネルギーEabsより小さい。一部の例では、少なくとも層の厚さ方向に沿ったある場所の、λにおける補助光吸収層870の屈折率は、λにおける光吸収層834の最大屈折率より大きい。
【0087】
広くは、光変換器818内の補助光吸収層870及び光吸収層830〜34などの光吸収層は、用途において実行可能な及び/又は望ましくあり得る任意の形状のバンド図を有することができる。例えば、図12は、ポテンシャル井戸1210と、一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1220と、直線傾斜バンドギャップを有する補助光吸収層1230と、を含む、光変換器818と同様な光変換器1218の概略のバンド図である。場所「X」における補助光吸収層1230のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1210の遷移エネルギーEtrより大きい。
【0088】
別の例として、図13は、ポテンシャル井戸1310と、一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1320と、組み込まれたポテンシャル又は量子井戸1360を含む、一定バンドギャップエネルギーがElbである補助光吸収層1330と、を含む光変換器1318の概略のバンド図である。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1310の遷移エネルギーEtrより大きい。更に別の例として、図14は、ポテンシャル井戸1410と、一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1420と、ポテンシャル又は量子井戸1460を含む湾曲したバンド図を有する補助光吸収層1430と、を含む光変換器1418の概略のバンド図である。補助光吸収層の場所「X」におけるバンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1410の遷移エネルギーEtrより大きい。
【0089】
一部の例では、図8の光変換層818は、光生成キャリアが、例えば、光変換器の外表面又は内部領域へと移動する又は拡散するのを防ぐための、ウィンドウ120等の、又はウィンドウ120に加えて、1つ、又は2つ以上のキャリア遮断層を含むことができる。例えば、図15は、ポテンシャル井戸1510と、一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1520と、一定バンドギャップエネルギーElbを有する補助光吸収層1530と、光吸収層1520中のキャリアが補助光吸収層1530へと移動する、例えば拡散するのを遮断するための、層1520と1530との間に配置され、かつ一定バンドギャップエネルギーEcbを有するキャリア遮断層1540と、を含む光変換器1518の概略のバンド図である。バンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1510の遷移エネルギーEtrより大きい。別の例として、図16は、ポテンシャル井戸1610と;一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1620と;補助光吸収層1630と、例えば、ポテンシャル井戸1610及び光吸収層1620の中のキャリアが補助光吸収層1630へと移動するのを遮断するためのキャリア遮断層1640とを含む直線傾斜領域1670と;を含む光変換器1618の概略のバンド図である。場所「X」における補助光吸収体のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1610の遷移エネルギーEtrより大きい。更に別の例として、図17は、ポテンシャル井戸1710と;一定バンドギャップエネルギーEabsを有する光吸収層1720と;補助光吸収層1730と、例えば、光吸収層1720及び/又は補助光吸収層1730の中のキャリアが、例えば、光変換器1718の出射面(図には明確に示されず)へと移送するのを遮断するためのキャリア遮断層又はウィンドウ1740と;を含む光変換器1718の概略のバンド図である。場所「X」における補助光吸収体のバンドギャップエネルギーElbは、Eabsより小さく、ポテンシャル井戸1710の遷移エネルギーEtrより大きい。
【0090】
(実施例7):
図1の光変換器118と同様の半導体光変換構成体を製作した。材料組成物の相対的な層順序及び推定値、異なる層の厚さ、バルクバンドギャップエネルギー、及び屈折率を表IIに要約する。
【0091】
【表2】

【0092】
II〜VI族成長用の表面を調製するために、MBEによってまずGaInAsバッファー層をInP基板上に成長させた。続いて、光変換用のII〜V族エピタキシャル層を成長させるために、超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへ構成体を移動させた。変換器118は4つのCdZnSe量子井戸140を含んだ。量子井戸140のそれぞれを、GaInNベースの半導体レーザによって放出された440nmの青色光を吸収することができるCdMgZnSe吸収層の間に挟んだ。
【0093】
構成体がガラス顕微鏡スライドに接着剤で取り付けられた後、InP基板を3HCl:1HO溶液で除去した。エッチング液はGaInAsバッファー層(層番号2)で止まった。バッファー層は、次に、顕微鏡スライドに取り付けられたII〜VI族光変換器118のみを残して、30mLの水酸化アンモニウム(30重量%)、5mLの過酸化水素(30重量%)、40gのアジピン酸、及び200mLの水を撹拌した液で除去された。
【0094】
得られた構成体は、ピーク放出453nm及び図9のスペクトル910と同様のスペクトルのGaInN青色ポンプLEDを用いてウィンドウ側から照射されることができる。構成体の再放出された出力光は、量子井戸の遷移エネルギー2.305eVに対応する538nmでピーク放射を有することができる。表IIに示されるように、光吸収層は、スペクトル910の波長λabs481nmに対応するバンドギャップエネルギー2.578eVを有した。λabsの左側のスペクトル910の下の領域に対応する入射光の約96%は、吸収層によって吸収されることができ、λabsの右側の領域に対応する残りの4%は、補助光吸収よって吸収されることができる。
【0095】
構成体のキャリア閉じ込めエネルギー(ポテンシャル井戸の全深さ)は0.273eV(2.578〜2.305)であった。この構成体と同様であるが補助光吸収層と同じ材料を有する光吸収層を備える構成体は、本質的にポンプ光の全てを吸収するが、閉じ込めエネルギーは0.185eV(2.490〜2.305)と減少する。その結果、光吸収層と補助光吸収層とを組み合わせて使用することで、閉じ込めエネルギーを0.185eVから0.273eVへとほぼ48%増加させたが、補助光吸収層は入射ポンプ光の約4%しか吸収しなかった。
【0096】
図1に戻って参照すると、異なるシステムパラメータの関数としての構造化層150及びオーバーコート160の抽出効率を、図18にその側面図が概略的に示されている光学構造物1800に関して数値的に分析した。この光学構造物は、基板1810と、基板1810の上面1812上に直接配列された球状粒子1855の正方形のアレイを含む構造化層1850と、構造化層及び基板の露出領域上に直接配置されるオーバーコート1820と、を含んだ。基板の屈折率nは2.646であった。粒子1855の直径Dは200nm、粒子の屈折率nは、例えば、SiO粒子に対応する1.45であった。隣接する粒子の間の間隔Pは500nmであった。粒子は、基板1810の上面1812の50%を覆った。オーバーコートに関し、ランド厚さtは100nm、寸法t及びtはそれぞれ100nm、及びtは300nmであった。数値シミュレーションの間、オーバーコートのインデックスnは変化された。
【0097】
光源1805は、基板の底表面1814に設置されて、540nmの均一な光1807を放出した。光学構造物1800の抽出効率をモデル化し、有効二次元有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain:FDTD)手法を用いて数値的に計算された。抽出効率は、出力光1840のパワーと放出された入射光1807のパワーとの比として定義された。構造化層及びオーバーコートがない場合の抽出効率は16.4%であった。
【0098】
図20は、構造化層及び構造化オーバーコートが存在する場合のnの関数としての、光学構造物1800の抽出効率を示す。空気のオーバーコート(図20の点Pに対応するn=1)の抽出効率は19.2%であった。このように、オーバーコートがない、又は空気のオーバーコートでは、粒子は、抽出効率を16.4%から19.2%へと増加させ、これは約17.1%の増加率であった。SiOオーバーコートに対応する点P(n=1.45)の抽出効率は19.8%であり、オーバーコートがない場合から約20.7%の増加率であった。図20の点P〜Pは、それぞれ、Si、ZnS、及びZnSeオーバーコートに対応した。抽出効率は、領域Qにおいては線L、領域Qにおいては線L、及び領域Qにおいては線Lに概ね追従する。領域Qにおける線Lは、約2.0〜約2.7の範囲内であるオーバーコートのインデックスnに対応し、線L及びLよりも傾斜が大きい。領域Q2は、抽出効率が構造化オーバーコートの屈折率に大きく依存することを示している。
【0099】
一部の例では、オーバーコート170を塗布する前に、構造化層150に変更を加えることができる。例えば、一部の例では、構造化層がオーバーコート170でコーティングされる前に、構造化層150の中の構造体の少なくともいくつかの形状及び/又はサイズに変更を加えることができる。図21A〜図21Cを参照して、このような代表的なプロセスの1つを説明する。図21Aは、半導体基板2110と、半導体基板上に直接配置される構造化層2120とを含む光学構造物2100の概略側面図である。基板は、例えば、図1の第2のウィンドウ121又は図8の補助吸収層870と同様であり得る。一部の例では、基板2120は多層であることができ、その1つの層は、例えば、補助吸収層870と同様であり得る。
【0100】
構造化層2120は、例えば、図1の構造化層150と同様であり得る。構造化層2120は、基板2110の上に直接配置される複数の離散粒子を含む。一部の例では、粒子2122はポリマーなどの有機であり得る。代表的なポリマーには、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(PP))、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート又は(PET))、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、及びエポキシ等が挙げられる。
【0101】
粒子2122は、基板2110の上面2126上に単層を形成する。単層は、基板の上面に露出している、開領域2124等の開領域を含む。一部の例では、粒子をエッチング液に暴露することによって、粒子の寸法を縮小する又は小さくすることができる。例えば、エッチング液は各粒子の部分をエッチング除去することができ、より小さな又は縮小した粒子がもたらされる。代表的なエッチング法には、湿式又は乾式化学エッチング、及び反応性イオンエッチングが挙げられる。一部の例では、粒子はポリスチレンであり、エッチング法は、酸素プラズマ又は反応性イオンエッチングである。
【0102】
一部の例では、粒子を十分な熱に暴露することによって、粒子2122をリフローさせる。例えば、ポリマー粒子2122は、粒子の融点温度又は融点に近い温度でリフローすることができる。一部の例では、エッチング液及び熱を同時に粒子に適用して、粒子の少なくともいくつかを縮小及びリフローさせることができる。一部の例では、エッチングプロセスは、いくらかの追加の熱と共に又は追加の熱を加えずに粒子をリフローすることができる熱を生成することができる。
【0103】
一部の例では、構造体2122の平均寸法は、構造体の表面密度を実質的に決定することができ、エッチング時間等のエッチングの量は、エッチング工程後の構造体(構造体2132)による被覆面積率を決定することができる。一部の例では、必要な構造体の初期平均サイズ及びエッチングの量は、所望の表面構造体密度及び表面被覆率に基づいて計算、ないしは別の方法で決定され得る。例えば、所与の望ましい粒子密度に対して、平均粒径Rを決定することができ、所与の望ましい被覆面積率に対して、及び例えば、実験データに基づいて、例えばエッチング時間等のエッチングパラメータを決定することができる。次に、例えば、密集した平均直径Rを有する粒子の単層を表面に適用して、所望の表面粒子密度を得る。次に、決定したエッチングパラメータに従って粒子をエッチングして、エッチングされた粒子による所望の表面被覆率を得ることができる。一部の例では、粒子はオーバーコートされることができる。
【0104】
一部の例では、所望の最終表面被覆率を達成するために、所望の最終表面被覆率よりも大きな初期表面被覆率をもたらす第1の複数の構造体が、上面2126の上に配置される。次に、構造体の少なくとも一部が十分に縮小されて、初期表面被覆率を所望の最終表面被覆率へと低減する。一部の例では、構造体の少なくとも一部はリフローされ得る。一部の例では、構造体は、次に、縮小した構造体及び被覆されていないエリア内の上面を被覆するために、オーバーコートでコーティングされる。
【0105】
十分な熱及び1つ、又は2つ以上のエッチング液に供された後、光学構造物2100は、図21Bに概略的に示される光学構造物2150に変更される。具体的には、層2120の粒子2122が部分的にエッチングされかつリフローされた後、構造化層2120は構造化層2130に変化される又は変更される。構造化層2130は、対応する粒子2122より小さく、熱への暴露に起因してリフローした粒子2132を含む。リフローの後、粒子2132は平底2134を有する。一部の例では、粒子2132は円蓋状又は錐体状である。一部の例では、粒子をリフローしかつ縮小する工程は、一緒に又は同時に行われることができる。一部の例では、この2つの工程は逐次的に行われることができる。例えば、エッチング液と、その後に続くエッチングされた粒子をリフローする加熱工程によって、粒子のサイズを小さくすることができる。
【0106】
一部の例では、複数の粒子による基板2110の上面2126の被覆率は、粒子にエッチング液及び熱を適用した後、減少する。例えば、このような場合、図2Aにおいて粒子2122は上面2126の第1の割合を覆い、図21Bにおいて粒子2132は上面2126の第2の割合を覆い、第2の割合は第1の割合未満である。
【0107】
一部の例では、縮小工程は、粒子の平均横方向サイズ等の平均寸法を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%低減することができる。一部の例では、複数の構造体による基板の上面の被覆面積率は、縮小工程の後減少する。例えば、このような場合、被覆面積率は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%減少し得る。
【0108】
一部の例では、光学構造物2150はオーバーコート2160でコーティングされて、図21Cに概略的に示される光学構造物2180がもたらされる。オーバーコート2160は複数の粒子2132、及び開領域の基板2110の上面、例えば開領域2124を覆う。
【0109】
基板2110は、例えば、スペクトルの可視領域にいて屈折率nを有し、構造化層2130の粒子2132は屈折率nを有し、オーバーコート2160は屈折率nを有する。一部の例では、nはn未満である。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.7、又は約2〜約2.5の範囲内の屈折率を有する半導体材料を含み、粒子2132は、約1.5〜約1.8の範囲内の屈折率を有するポリマーを含む。一部の例では、nはnより大きい。例えば、このような場合、基板2110は、約2〜約2.3の範囲内の屈折率を有する半導体材料を含み、オーバーコート2160は約2.3〜約2.7の範囲内の屈折率を有する異なる半導体を含む。
【0110】
(実施例8):
実施例1に概説されたプロセスを用いて、半導体光変換構成体を作製した。この構成体の計算されたEQEは15.29%であった。構成体の吸収体側はポリスチレン(PS)微小球でコーティングされ、図21Aの構造化層2120と同様の構造化層を得た。微小球の平均直径は約1000nmであり、VWR Scientific Products(South Plainfield,New Jersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体の吸収体の屈折率は約2.6であった。微小球をHO中に分散し、10重量%固形分とした。この溶液を、速度約200rpmで約20秒間と、その後に続く速度約5000rpmで約5秒間のスピンオンコーティング法を用いて、吸収体の上面(図2Aの上面2126)に塗布した。図22Aは、光変換構成体の上面上で密集した微小球体PS粒子を示している、得られたサンプルのSEM画像である。微小球による上面の被覆面積は約90%であり、得られたサンプルの計算されたEQEは22.9%であった。このように、PS粒子はEQEを15.29%から22.9%へと増加させ、これは約49.8の増加率であった。次に、サンプルは酸素プラズマの中でエッチングされ(6mT、無線周波電力80W、及び誘導カップリングプラズマ電力1200W)、粒子をリフローしかつサイズを低減した。得られた粒子による表面被覆率は約64%であった。このように、エッチング工程は被覆面積率を約90%から約64%へ低減した。図22Bは、得られたサンプルのSEM画像である。粒子は、平底を有する錐体状又は円蓋状であった。得られたサンプルの計算されたEQEは27.8%であった。次に、真空蒸発法を用いてサンプルをZnSでオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nm、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。図22Cは、得られたサンプルのSEM画像である。得られたサンプルの計算されたEQEは37.8%であった。このように、ZnSオーバーコートを加えることによって、EQEが27.8%から37.8%へと増加し、これは約36%の増加率であった。
【0111】
(実施例9):
実施例1に概説されたプロセスを用いて半導体光変換構成を作製した。構成体の計算されたEQEは17.65%であった。構成体の吸収体側はポリスチレン(PS)微小球でコーティングされ、図21Aの構造化層2120と同様の構造化層を得た。微小球の平均直径は約500nmであり、VWR Scientific Products(South Plainfield,New Jersey)から入手した。微小球の屈折率は約1.59であり、構成体の吸収体の屈折率は約2.6であった。微小球をHO中に分散し、1.5重量%固形分とした。この溶液を、ディップコーティング法を約65mm/分で用いて、吸収体の上面(図21Aの上面2126)に塗布した。サンプルは、単回ディップコーティングされた。得られたサンプルの計算されたEQEは26.40%であった。このように、PS粒子はEQEを17.65%から26.40%へと増加させ、約49.6%の増加率であった。次に、サンプルは酸素プラズマの中でエッチングされ(200mT、200mW、及び直径20.3cm(8インチ)の圧盤)、粒子をわずかに縮小しかつリフローした。得られた粒子は、平底を有する錐体状又は円蓋状であった。次に、真空蒸発法を用いてサンプルをZnSでオーバーコートした。オーバーコートの厚さは約400nm、ZnSオーバーコートの屈折率は約2.4であった。得られたサンプルの計算されたEQEは35.5%であった。このように、ZnSのオーバーコートを加えることによってEQEが26.4%から35.5%へと増加し、これは約34.5%の増加率であった。
【0112】
図23は、第1の波長λで光850を放出するLED光源と、光850の少なくとも一部分をより長い第2の波長λの光852に変換する光変換層2315とを含む、光源2300の概略側面図である。光変換構成体2315は、基板2320の上に配置された、第1の屈折率nを有する蛍光体スラブ2330を含む。蛍光体スラブ2330は、光850の少なくとも一部分を吸収し、吸収された光の少なくとも一部分を、波長λの光852として再放出する。蛍光体スラブ2330として使用できる代表的な蛍光体としては、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛、及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。その他の有用な蛍光体には、ドープYAG、ケイ酸塩、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、及びアルミン酸塩系蛍光体が挙げられる。かかる蛍光体の例には、Ce:YAG、SrSiON:Eu、SrBaSiO:Eu、SrSiN:Eu、及びBaSrSiN:Euが挙げられる。
【0113】
基板2320は、用途に適している可能性のある任意の材料を包含することができる。代表的な材料には、ガラス、ポリマー、アルミナなどのセラミックス、サファイア、及び、光を透過させるための1つ、又は2つ以上の透明開口部又は開口を有する金属などの金属が挙げられる。一部の例では、基板2320は、第1の波長において実質的に光透過性である。基板は、λにおいて不透明であってもよい。このような場合、基板は、光850が基板を通過するための、1つ、又は2つ以上の光学的な、ないしは別の方法の開口部を有することができる。一部の例では、基板2320は、λの反射体又は放熱板等の、図23に明確に示されていないその他の機能層を含むことができる。
【0114】
光変換構成体2315は、蛍光体スラブ2330の上に配置される構造化層150を更に含む。構造化層150は、蛍光体スラブの第1の屈折率nより小さい第2の屈折率nを有する。構造化層は、蛍光体スラブの上に直接配置される複数の構造体151と、蛍光体スラブを露出する複数の開口部2305とを含む。光変換構成体2315は、構造化層150の少なくとも一部分、及び開口部2305などの複数の開口部内の蛍光体スラブの一部分の上に直接配置される、オーバーコート160と同様の構造化オーバーコート2360を更に含む。構造化オーバーコート2360は、第2の屈折率nより大きい第3の屈折率nを有する。
【0115】
一部の例では、構造化オーバーコート2360は、トラップされた光のエバネセントテールを更に構造化オーバーコートの中に拡張することによって、蛍光体スラブ内にトラップされた第2の波長λの光の抽出を強化することができる。テールの拡張は、構造体151にトラップされた光の散乱を増加させることができ、その結果、蛍光体スラブからのトラップされた光の抽出が増加する。
【0116】
一部の例では、構造化層150は、第2の波長で実質的に光学的に透明である。一部の例では、構造化オーバーコート2360は、第2の波長で実質的に光学的に透明である。一部の例では、構造化層150の中の複数の構造体は、離散粒子などの複数の離散構造体を含み、一部の例では、複数の離散粒子の相当な割合は実質的に球状である。一部の例では、構造化層150の中の複数の構造体は、複数の相互結合した構造体を含む。
【0117】
一部の例では、構造化オーバーコート2360は、Si、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO、ZrO、Ta、HfO、及びケイ酸塩ガラスなどのケイ酸塩のうちの少なくとも1つを含む。一部の例では、構造化オーバーコート2360は半導体を含む。一部の例では、構造化オーバーコート2360の構造化外表面2361は、構造化層150の構造化外表面2362と適合する。
【0118】
異なるシステムパラメータの関数としての光変換構成体2315の抽出効率を、図18に示される光学構造物1800を用いて数値的に分析した。基板の屈折率nは、1.84であり、蛍光体スラブ2330などの蛍光体スラブの標準値であった。粒子1855の直径Dは200nm、及び粒子の屈折率nは、例えば、SiO粒子に対応する1.45であった。隣接する粒子間の間隔はP 500nmであった。粒子は、基板1810の面1812の50%を覆った。オーバーコートについては、ランド厚さtは100nm、寸法t及びtはそれぞれ100nm、及びtは300nmであった。数値シミュレーションの間、オーバーコートのインデックスnは変化された。
【0119】
光源1805は、基板の底表面1814に設置されて、540nmの均一な光1807を放出した。光学構造物1800の抽出効率をモデル化し、有効二次元有限差分時間領域法(Finite Difference Time Domain:FDTD)手法を用いて数値的に計算された。
【0120】
図24は、構造化層及びオーバーコートが存在する場合のnの関数としての、光学構造物1800の抽出効率を示す。SiOオーバーコートに対応する点Q(n=1.45)の抽出効率は40.5%であった。図24の点Q及びQは、Si、及びTiOオーバーコートにそれぞれ対応する。約1.35〜約2.2、又は約1.45〜約2.2の範囲内のnでは、抽出効率は少なくとも約40%である。一部の例では、オーバーコートは、屈折率が約1.38〜約1.39の範囲内のMgFを含むことができる。一部の例では、オーバーコートは多孔質コーティングを含むことができる。例えば、オーバーコートは、屈折率が約1.45未満、例えば屈折率約1.4、約1.35、約1.30、又は約1.29である、多孔質SiOコーティングを含むことができる。
【0121】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「最上」及び「最下」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を意味することを意図している。例えば、図1における構成が、図における向きと比較して反転された場合にも、第1の吸収層130は、依然として、ポテンシャル井戸140の「下」にあると見なされる。
【0122】
本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変形例、実施形態及び代替例をすべて網羅しようとするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長の光の少なくとも一部分を、より長い第2の波長の光に変換する半導体ポテンシャル井戸と、
前記半導体ポテンシャル井戸の上に配置され、かつ第1の屈折率を有する外層と、
前記外層の上に配置され、かつ前記第1の屈折率より小さい第2の屈折率を有し、前記外層の上に直接配置される複数の構造体と、前記外層を露出する複数の開口部とを含む、構造化層と、
前記構造化層の少なくとも一部分、及び前記複数の開口部内の前記外層の一部分の上に直接配置され、前記第2の屈折率より大きい第3の屈折率を有する、構造化オーバーコートと、
を含む半導体光変換構成体。
【請求項2】
前記構造化オーバーコートが、前記半導体光変換構成体からの前記第2の波長の光の抽出を強化する、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項3】
前記構造化層が、前記第2の波長で実質的に光学的に透明である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項4】
前記構造化オーバーコートが、前記第2の波長で実質的に光学的に透明である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項5】
前記構造化層の中の前記複数の構造体が複数の離散構造体を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項6】
前記構造化層の中の前記複数の構造体が、複数の相互結合した構造体を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項7】
前記構造化層の中の前記複数の構造体が複数の粒子を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項8】
前記複数の粒子の相当な割合が実質的に球状である、請求項7に記載の半導体光変換構成体。
【請求項9】
前記構造化層が有機材料を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項10】
前記構造化層がフォトレジストを含む、請求項9に記載の半導体光変換構成体。
【請求項11】
前記構造化層が無機材料を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項12】
前記構造化層がSiOを含む、請求項11に記載の半導体光変換構成体。
【請求項13】
前記構造化オーバーコートが1つ、又は2つ以上のアイランドを含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項14】
前記構造化オーバーコートが、Si、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ITO、TiO、ZrO、Ta、HfO、及びケイ酸塩のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項15】
前記構造化オーバーコートが半導体を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項16】
前記構造化オーバーコートの平均厚さが約1000nm未満である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項17】
前記構造化オーバーコートの平均厚さが約700nm未満である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項18】
前記第1の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.3である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項19】
前記第1の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.5である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項20】
前記第1の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.7である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項21】
前記第1の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.9である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項22】
前記第3の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.3である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項23】
前記第3の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.5である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項24】
前記第3の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.7である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項25】
前記第3の屈折率と第2の屈折率との間の差異が少なくとも0.9である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項26】
前記ポテンシャル井戸及び前記外層の少なくとも一方がII−VI化合物を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項27】
前記ポテンシャル井戸及び前記外層の少なくとも一方が、Cd(Mg)ZnSe又はZnSeTeを含む、請求項26に記載の半導体光変換構成体。
【請求項28】
前記外層が前記第1の波長で実質的に吸収性である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項29】
前記外層が前記第2の波長で実質的に透過性である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項30】
前記オーバーコートの外表面が、前記構造化層の外表面と適合する、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項31】
前記半導体光変換構成体を封入する封止体を更に含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項32】
前記第2の波長での前記オーバーコートの屈折率が、約1.8〜約2.7の範囲内である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項33】
前記第2の波長での前記オーバーコートの屈折率が、約2.0〜約2.7の範囲内である、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項34】
請求項1の半導体光変換構成体と、少なくとも一部分が、前記半導体光変換構成体によって前記第2の波長の光に変換される、前記第1の波長の光を放出するLEDとを含む半導体エレクトロルミネセントデバイスと、
前記半導体エレクトロルミネセントデバイスを封入する封止体と、
を含む光放出システム。
【請求項35】
異なる遷移エネルギーを有する少なくとも2つの半導体ポテンシャル井戸を含む、請求項1に記載の半導体光変換構成体。
【請求項36】
LEDと、
前記LEDによって放出される光をダウンコンバートし、かつ構造化された最外表面を有する光変換構成体であって、該構造化された表面が該光変換構成体の内層を露出する複数の開口部を有する、光変換構成体と、
前記構造化された最外表面、及び前記光変換構成体からの光抽出を強化する前記内層の前記露出領域の上に形成される構造化オーバーコートであって、該オーバーコートの外表面は前記構造化された最外表面と適合する、構造化オーバーコートと、
を含む光放出システム。
【請求項37】
前記オーバーコートの屈折率が約1.8〜約2.7の範囲内である、請求項36に記載の光放出システム。
【請求項38】
前記オーバーコートの屈折率が約2.0〜約2.7の範囲内である、請求項36に記載の光放出システム。
【請求項39】
前記オーバーコートが半導体を含む、請求項36に記載の光放出システム。
【請求項40】
前記光放出システムを封入する封止体を更に含む、請求項36に記載の光放出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2011−526079(P2011−526079A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516415(P2011−516415)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/046835
【国際公開番号】WO2009/158191
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】