半導体発光装置およびその製造方法
【課題】 ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態を防止可能な半導体発光装置を提供する。
【解決手段】 ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口9が設けられており、ハウジング部5の外部にまで突出したリードフレームの部分1a、2aは、これを折り曲げるときに、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う。
【解決手段】 ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口9が設けられており、ハウジング部5の外部にまで突出したリードフレームの部分1a、2aは、これを折り曲げるときに、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リード電極の挿入されたパッケージの凹部内に発光素子が実装され、パッケージの凹部内には蛍光体を含有したシリコーン樹脂が充填されている半導体発光装置が示されている。
【0003】
図1、図2は従来の半導体発光装置を示す図である。なお、図1は斜視図、図2は平面図である。また、図2では、図示の便宜上、一対のリードフレーム51、52が実線で示され、ハウジング部55、半導体発光素子54、ワイヤ53は破線で示されている。また、図2において、ハウジング部55の凹部内に充填される透光性樹脂57は、図示が省略されている。
【0004】
図1、図2を参照すると、従来の半導体発光装置は、一対のリードフレーム51、52と、該一対のリードフレーム51、52の一方のリードフレーム52上に実装され、前記一対のリードフレーム51、52とワイヤ53により電気的に接続された半導体発光素子54と、前記一対のリードフレーム51、52が保持され、前記半導体発光素子54が収容される凹部56が形成されているハウジング部55と、前記ハウジング部55の前記凹部56内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)57とを備えている。
【0005】
なお、ハウジング部55は、所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成されている。また、一対のリードフレーム51、52は、リード電極としての機能を有し、外部との電気的接続を行うため、前記ハウジング部55の外部にまで突出している。図1、図2において、符号51a、52aは、一対のリードフレーム51、52の外部に突出している部分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−222382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の半導体発光装置では、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)がバラツクことにより、光学特性が安定せず、特に透光性樹脂57に蛍光体含有樹脂を分散した場合に、色度歩留まりが悪くなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)を、ハウジング部55の凹部56から溢れ出る程度に多目にすると、透光性樹脂57は常にハウジング部55の凹部56の上面まで充填され、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)のバラツキを抑えることができる。しかし、この場合、ハウジング部55の凹部56からの余剰分の透光性樹脂の流出箇所は不特定であり、ハウジング部55の凹部56から透光性樹脂57が四方八方に溢れ出て、ハウジング部の外側面上の不特定の領域において余剰分の透光性樹脂が付着してしまい、透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)の持つタック性により、異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することの可能な半導体発光装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うので、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0014】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されているので、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域をより確実に覆うことができる。
【0015】
また、請求項3記載の発明によれば、一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げるので、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止可能な半導体発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の半導体発光装置を示す図である。
【図2】従来の半導体発光装置を示す図である。
【図3】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図4】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図5】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図7】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図8】本発明の半導体発光装置の製造方法を説明するための図である。
【図9】本発明の半導体発光装置の製造方法を説明するための図である。
【図10】本発明の半導体発光装置の他の構成例を説明するための図である。
【図11】本発明の半導体発光装置の他の構成例を説明するための図である。
【図12】本発明の半導体発光装置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図3、図4、図5、図6は、本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。なお、図3、図4、図5、図6は、後述のようにリードフレームを折り曲げる前の状態を示すものであり、図3は斜視図、図4は平面図、図5は図3の矢印Aの方向から見た側面図、図6は図3のB−B線における断面図である。また、図4では、図示の便宜上、一対のリードフレーム1、2が実線で示され、ハウジング部5、半導体発光素子4、ワイヤ3は破線で示されている。また、図4において、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7は、図示が省略されている。
【0019】
図3、図4、図5、図6を参照すると、本発明の半導体発光装置は、一対のリードフレーム1、2と、該一対のリードフレーム1、2の一方のリードフレーム2上に実装され、一対のリードフレーム1、2とワイヤ3により電気的に接続された半導体発光素子4と、一対のリードフレーム1、2が保持され、半導体発光素子4が収容される凹部6が形成されているハウジング部5と、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7とを備えている。
【0020】
なお、ハウジング部5は、所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成されている。また、一対のリードフレーム1、2は、リード電極としての機能を有し、外部との電気的接続を行うため、前記ハウジング部5の外部にまで突出している。図3、図4、図5において、符号1a、2aは、一対のリードフレーム1、2の外部に突出している部分である。また、半導体発光素子4には、発光ダイオード(LED)素子あるいは半導体レーザー素子などが用いられる。
【0021】
ところで、本発明では、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7の量(注入量)のバラツキを抑えるために、ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口が設けられている。図3、図4、図5、図6の例では、この排出口は、ハウジング部5の両端側壁の上部に溝形状の排出口9として形成されている。
【0022】
また、本発明では、一対のリードフレーム1、2の少なくとも一方のリードフレーム(図3、図4、図5、図6の例では、両方のリードフレーム1、2)のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aは、後述のようにこれを折り曲げるときに、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う寸法、大きさ、形状のものとなっている。
【0023】
上記のように、ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口が設けられていることにより(図3、図4、図5、図6の例では、ハウジング部5の両端側壁の上部に溝形状の排出口9が設けられていることにより)、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)を、溝形状の排出口9から溢れ出る程度に多目にすると、透光性樹脂7は常にハウジング部5の凹部6において、溝形状の排出口9の底面まで充填され、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑えることができる(すなわち、透光性樹脂7の量を一対のリードフレーム1、2から溝形状の排出口9の底面までの高さHに応じたものに常にすることができ、容易に凹部6内の透光性樹脂7の量の制御が可能となる)。
【0024】
また、本発明では、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)を、溝形状の排出口9から溢れ出る程度に多目にするとき、透光性樹脂7の余剰分は、図6に示すように、ハウジング部5の凹部6において溝形状の排出口9からハウジング部5の外側面上の溝形状の排出口9周辺、溝形状の排出口9下部の領域にのみ流出し、この特定の領域のみに付着する(なお、図3、図4、図5には図示を省略しているが、図6において、符号7aが余剰分の透光性樹脂である)。すなわち、本発明では、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を特定することができる。これにより、本発明では、一対のリードフレーム1、2の少なくとも一方のリードフレーム(図3、図4、図5、図6の例では、両方のリードフレーム1、2)のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aを折り曲げて(具体的には、図4のE、Fのところで順次に折り曲げて)、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことが可能となる。図7には、リードフレーム1、2のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aを折り曲げて、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆った状態が示されている。ここで、樹脂量管理の可能な範囲を考慮すれば、余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域としては、ハウジング部5の外側面における排出口から下方(半導体発光素子の実装面方向)の部分領域を覆えばよく、必ずしも排出口より下方の全領域を覆う必要はない。また、排出口についても、溝形状の排出口9の全領域を覆う必要はなく、実質的に余剰分の透光性樹脂の排出経路となる領域、例えば排出口9の下部領域を部分的に覆うものでもよい。このように、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域をリードフレーム1、2で覆うことにより、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0025】
次に、上述した半導体発光装置の製造方法について説明する。
【0026】
先ず、図8に示すように、一対のリードフレーム1、2に、半導体発光素子4が収容される凹部6を有するハウジング部5を所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成し(ハウジング部5に一対のリードフレーム1、2をインサート成形し)、この際、一対のリードフレーム1、2をハウジング部5の外部にまで突出させる。また、ハウジング部5を形成する際、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)をハウジング部5に部分的に形成する。そして、図8には図示しないが、図4、図6で説明したように、一対のリードフレーム1、2の一方のリードフレーム2上に半導体発光素子4を配置し、一対のリードフレーム1、2と半導体発光素子4とをワイヤ3により電気的に接続する。
【0027】
次いで、ハウジング部5の凹部6内に透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7を充填する。この際、図9に示すように、透光性樹脂7を、ハウジング部5の排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)からハウジング部5の外側面上まで流出する程度に充填する。なお、図9において、符号7aがハウジング部5の外側面上まで流出した余剰分の透光性樹脂である。
【0028】
次いで、充填された透光性樹脂7を硬化する。
【0029】
しかる後、ハウジング部5の外部にまで突出したリードフレーム1、2の部分1a、2aを折り曲げて(具体的には、図4のE、Fのところで順次に折り曲げて)、ハウジング部5の排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うようにする。これにより、図7に示したような半導体発光装置を作製することができる。
【0030】
このように作製された半導体発光装置は、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0031】
なお、上述の例では、リードフレーム1、2の部分1a、2aを図3、図4に示すようにハウジング部5の外部にまで突出させているが、リードフレーム1、2の部分1a、2aを例えば図10(折り曲げ前の平面図)に示すようにハウジング部5の外部にまで突出させ、図10のGのところで折り曲げて、最終的に図11に示すような半導体発光装置とすることもできる。この場合も、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0032】
また、上述の各例では、排出口9は、ハウジング部5の両端側壁の上部にそれぞれ形成されているが、ハウジング部5の一方の側壁の上部に1つだけ形成されるものであっても良く、少なくとも1箇所に形成されていれば良い。
【0033】
また、排出口9は、上述の各例では、ハウジング部5の短手の側壁の上部全体に溝形状として形成されているが、ハウジング部5の側壁の上部であれば任意の場所に(例えば、より細い溝として、あるいは、長手の側壁の上部に形成された溝として)形成することができる。ただし、この場合、ハウジング部5の外部にまで突出しているリードフレームの部分が、ハウジング部5の排出口、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う必要がある。
【0034】
また、上述の各例では、排出口は、ハウジング部5の上部に溝として形成されているが、溝のかわりに、例えば貫通孔などにより形成することもできる。
【0035】
また、上述の各例において、図12に示すように、ハウジング部5の外側面に、ハウジング部5の排出口(図12の例では、溝形状の排出口9)から流出した余剰分の透光性樹脂7aを案内し受け入れるための溝11を形成することもできる。このように、ハウジング部5の外側面に、余剰分の透光性樹脂7aを案内し受け入れるための溝11を形成することにより、ハウジング部5の排出口(図12の例では、溝形状の排出口9)、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂7aが付着する恐れのある領域をより確実に覆うことができる。
【0036】
また、上述の各例では、ハウジング部5は略直方体形状のものとして形成されているが、略直方体形状のかわりに、任意の形状のものとすることもできる。
【0037】
また、上述の各例において、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7には、蛍光体を含有させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、発光ダイオードや半導体レーザーなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、2 リードフレーム
3 ワイヤ
4 半導体発光素子
5 ハウジング部
6 凹部
7 透光性樹脂
9 排出口
11 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リード電極の挿入されたパッケージの凹部内に発光素子が実装され、パッケージの凹部内には蛍光体を含有したシリコーン樹脂が充填されている半導体発光装置が示されている。
【0003】
図1、図2は従来の半導体発光装置を示す図である。なお、図1は斜視図、図2は平面図である。また、図2では、図示の便宜上、一対のリードフレーム51、52が実線で示され、ハウジング部55、半導体発光素子54、ワイヤ53は破線で示されている。また、図2において、ハウジング部55の凹部内に充填される透光性樹脂57は、図示が省略されている。
【0004】
図1、図2を参照すると、従来の半導体発光装置は、一対のリードフレーム51、52と、該一対のリードフレーム51、52の一方のリードフレーム52上に実装され、前記一対のリードフレーム51、52とワイヤ53により電気的に接続された半導体発光素子54と、前記一対のリードフレーム51、52が保持され、前記半導体発光素子54が収容される凹部56が形成されているハウジング部55と、前記ハウジング部55の前記凹部56内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)57とを備えている。
【0005】
なお、ハウジング部55は、所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成されている。また、一対のリードフレーム51、52は、リード電極としての機能を有し、外部との電気的接続を行うため、前記ハウジング部55の外部にまで突出している。図1、図2において、符号51a、52aは、一対のリードフレーム51、52の外部に突出している部分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−222382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の半導体発光装置では、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)がバラツクことにより、光学特性が安定せず、特に透光性樹脂57に蛍光体含有樹脂を分散した場合に、色度歩留まりが悪くなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)を、ハウジング部55の凹部56から溢れ出る程度に多目にすると、透光性樹脂57は常にハウジング部55の凹部56の上面まで充填され、ハウジング部55の凹部56内に充填される透光性樹脂57の量(注入量)のバラツキを抑えることができる。しかし、この場合、ハウジング部55の凹部56からの余剰分の透光性樹脂の流出箇所は不特定であり、ハウジング部55の凹部56から透光性樹脂57が四方八方に溢れ出て、ハウジング部の外側面上の不特定の領域において余剰分の透光性樹脂が付着してしまい、透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)の持つタック性により、異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することの可能な半導体発光装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うので、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0014】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されているので、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域をより確実に覆うことができる。
【0015】
また、請求項3記載の発明によれば、一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げるので、ハウジング部の凹部内に充填される透光性樹脂の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止可能な半導体発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の半導体発光装置を示す図である。
【図2】従来の半導体発光装置を示す図である。
【図3】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図4】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図5】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図7】本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。
【図8】本発明の半導体発光装置の製造方法を説明するための図である。
【図9】本発明の半導体発光装置の製造方法を説明するための図である。
【図10】本発明の半導体発光装置の他の構成例を説明するための図である。
【図11】本発明の半導体発光装置の他の構成例を説明するための図である。
【図12】本発明の半導体発光装置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図3、図4、図5、図6は、本発明の半導体発光装置の一構成例を説明するための図である。なお、図3、図4、図5、図6は、後述のようにリードフレームを折り曲げる前の状態を示すものであり、図3は斜視図、図4は平面図、図5は図3の矢印Aの方向から見た側面図、図6は図3のB−B線における断面図である。また、図4では、図示の便宜上、一対のリードフレーム1、2が実線で示され、ハウジング部5、半導体発光素子4、ワイヤ3は破線で示されている。また、図4において、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7は、図示が省略されている。
【0019】
図3、図4、図5、図6を参照すると、本発明の半導体発光装置は、一対のリードフレーム1、2と、該一対のリードフレーム1、2の一方のリードフレーム2上に実装され、一対のリードフレーム1、2とワイヤ3により電気的に接続された半導体発光素子4と、一対のリードフレーム1、2が保持され、半導体発光素子4が収容される凹部6が形成されているハウジング部5と、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7とを備えている。
【0020】
なお、ハウジング部5は、所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成されている。また、一対のリードフレーム1、2は、リード電極としての機能を有し、外部との電気的接続を行うため、前記ハウジング部5の外部にまで突出している。図3、図4、図5において、符号1a、2aは、一対のリードフレーム1、2の外部に突出している部分である。また、半導体発光素子4には、発光ダイオード(LED)素子あるいは半導体レーザー素子などが用いられる。
【0021】
ところで、本発明では、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7の量(注入量)のバラツキを抑えるために、ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口が設けられている。図3、図4、図5、図6の例では、この排出口は、ハウジング部5の両端側壁の上部に溝形状の排出口9として形成されている。
【0022】
また、本発明では、一対のリードフレーム1、2の少なくとも一方のリードフレーム(図3、図4、図5、図6の例では、両方のリードフレーム1、2)のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aは、後述のようにこれを折り曲げるときに、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う寸法、大きさ、形状のものとなっている。
【0023】
上記のように、ハウジング部5には、凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口が設けられていることにより(図3、図4、図5、図6の例では、ハウジング部5の両端側壁の上部に溝形状の排出口9が設けられていることにより)、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)を、溝形状の排出口9から溢れ出る程度に多目にすると、透光性樹脂7は常にハウジング部5の凹部6において、溝形状の排出口9の底面まで充填され、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑えることができる(すなわち、透光性樹脂7の量を一対のリードフレーム1、2から溝形状の排出口9の底面までの高さHに応じたものに常にすることができ、容易に凹部6内の透光性樹脂7の量の制御が可能となる)。
【0024】
また、本発明では、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)を、溝形状の排出口9から溢れ出る程度に多目にするとき、透光性樹脂7の余剰分は、図6に示すように、ハウジング部5の凹部6において溝形状の排出口9からハウジング部5の外側面上の溝形状の排出口9周辺、溝形状の排出口9下部の領域にのみ流出し、この特定の領域のみに付着する(なお、図3、図4、図5には図示を省略しているが、図6において、符号7aが余剰分の透光性樹脂である)。すなわち、本発明では、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を特定することができる。これにより、本発明では、一対のリードフレーム1、2の少なくとも一方のリードフレーム(図3、図4、図5、図6の例では、両方のリードフレーム1、2)のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aを折り曲げて(具体的には、図4のE、Fのところで順次に折り曲げて)、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことが可能となる。図7には、リードフレーム1、2のハウジング部5の外部にまで突出した部分1a、2aを折り曲げて、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆った状態が示されている。ここで、樹脂量管理の可能な範囲を考慮すれば、余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域としては、ハウジング部5の外側面における排出口から下方(半導体発光素子の実装面方向)の部分領域を覆えばよく、必ずしも排出口より下方の全領域を覆う必要はない。また、排出口についても、溝形状の排出口9の全領域を覆う必要はなく、実質的に余剰分の透光性樹脂の排出経路となる領域、例えば排出口9の下部領域を部分的に覆うものでもよい。このように、ハウジング部5の溝形状の排出口9、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域をリードフレーム1、2で覆うことにより、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0025】
次に、上述した半導体発光装置の製造方法について説明する。
【0026】
先ず、図8に示すように、一対のリードフレーム1、2に、半導体発光素子4が収容される凹部6を有するハウジング部5を所定の樹脂(例えばポリフタルアミド樹脂)で形成し(ハウジング部5に一対のリードフレーム1、2をインサート成形し)、この際、一対のリードフレーム1、2をハウジング部5の外部にまで突出させる。また、ハウジング部5を形成する際、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)をハウジング部5に部分的に形成する。そして、図8には図示しないが、図4、図6で説明したように、一対のリードフレーム1、2の一方のリードフレーム2上に半導体発光素子4を配置し、一対のリードフレーム1、2と半導体発光素子4とをワイヤ3により電気的に接続する。
【0027】
次いで、ハウジング部5の凹部6内に透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7を充填する。この際、図9に示すように、透光性樹脂7を、ハウジング部5の排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)からハウジング部5の外側面上まで流出する程度に充填する。なお、図9において、符号7aがハウジング部5の外側面上まで流出した余剰分の透光性樹脂である。
【0028】
次いで、充填された透光性樹脂7を硬化する。
【0029】
しかる後、ハウジング部5の外部にまで突出したリードフレーム1、2の部分1a、2aを折り曲げて(具体的には、図4のE、Fのところで順次に折り曲げて)、ハウジング部5の排出口(図8の例では、溝形状の排出口9)、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うようにする。これにより、図7に示したような半導体発光装置を作製することができる。
【0030】
このように作製された半導体発光装置は、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0031】
なお、上述の例では、リードフレーム1、2の部分1a、2aを図3、図4に示すようにハウジング部5の外部にまで突出させているが、リードフレーム1、2の部分1a、2aを例えば図10(折り曲げ前の平面図)に示すようにハウジング部5の外部にまで突出させ、図10のGのところで折り曲げて、最終的に図11に示すような半導体発光装置とすることもできる。この場合も、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂7の量(注入量)のバラツキを抑え、かつ、ハウジング部5の外側面上に余剰分の透光性樹脂が付着するときにも、これに異物が付着したり、多くの製品(半導体発光装置)を収集するときなどに、製品(半導体発光装置)同士が貼り付いてしまうという事態が生ずるのを防止することができる。
【0032】
また、上述の各例では、排出口9は、ハウジング部5の両端側壁の上部にそれぞれ形成されているが、ハウジング部5の一方の側壁の上部に1つだけ形成されるものであっても良く、少なくとも1箇所に形成されていれば良い。
【0033】
また、排出口9は、上述の各例では、ハウジング部5の短手の側壁の上部全体に溝形状として形成されているが、ハウジング部5の側壁の上部であれば任意の場所に(例えば、より細い溝として、あるいは、長手の側壁の上部に形成された溝として)形成することができる。ただし、この場合、ハウジング部5の外部にまで突出しているリードフレームの部分が、ハウジング部5の排出口、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆う必要がある。
【0034】
また、上述の各例では、排出口は、ハウジング部5の上部に溝として形成されているが、溝のかわりに、例えば貫通孔などにより形成することもできる。
【0035】
また、上述の各例において、図12に示すように、ハウジング部5の外側面に、ハウジング部5の排出口(図12の例では、溝形状の排出口9)から流出した余剰分の透光性樹脂7aを案内し受け入れるための溝11を形成することもできる。このように、ハウジング部5の外側面に、余剰分の透光性樹脂7aを案内し受け入れるための溝11を形成することにより、ハウジング部5の排出口(図12の例では、溝形状の排出口9)、および、ハウジング部5の外側面上において余剰分の透光性樹脂7aが付着する恐れのある領域をより確実に覆うことができる。
【0036】
また、上述の各例では、ハウジング部5は略直方体形状のものとして形成されているが、略直方体形状のかわりに、任意の形状のものとすることもできる。
【0037】
また、上述の各例において、ハウジング部5の凹部6内に充填される透光性樹脂(例えばシリコーン樹脂)7には、蛍光体を含有させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、発光ダイオードや半導体レーザーなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、2 リードフレーム
3 ワイヤ
4 半導体発光素子
5 ハウジング部
6 凹部
7 透光性樹脂
9 排出口
11 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】
一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項1】
一対のリードフレームと、該一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に実装され、前記一対のリードフレームと電気的に接続された半導体発光素子と、前記一対のリードフレームが保持され、前記半導体発光素子が収容される凹部が形成されているハウジング部と、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂とを備え、
前記ハウジング部は、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を有し、
前記一対のリードフレームは、前記ハウジング部の外部にまで突出し、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分は、前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体発光装置において、前記ハウジング部の外側面上には、前記ハウジング部の前記排出口から流出した余剰分の透光性樹脂を案内し受け入れるための溝が形成されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】
一対のリードフレームに、半導体発光素子が収容される凹部を有するハウジング部を形成し、この際、前記一対のリードフレームを前記ハウジング部の外部にまで突出させるハウジング部形成工程と、
前記一対のリードフレームの一方のリードフレーム上に半導体発光素子を配置し、前記一対のリードフレームと前記半導体発光素子とを電気的に接続する半導体発光素子実装工程と、
前記ハウジング部の前記凹部内に透光性樹脂を充填する透光性樹脂充填工程と、
前記透光性樹脂を硬化する透光性樹脂硬化工程と、
前記ハウジング部の外部にまで突出したリードフレームの部分を折り曲げるリードフレーム折り曲げ工程とを有し、
前記ハウジング部形成工程においては、前記ハウジング部の前記凹部内に充填される透光性樹脂の余剰分を排出するための排出口を前記ハウジング部に部分的に形成し、
前記透光性樹脂充填工程においては、前記透光性樹脂を、前記ハウジング部の前記排出口から前記ハウジング部の外側面上まで流出する程度に充填し、
前記リードフレーム折り曲げ工程においては、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分が前記ハウジング部の前記排出口、および、前記ハウジング部の外側面上において余剰分の透光性樹脂が付着する恐れのある領域を覆うように、前記一対のリードフレームの少なくとも一方のリードフレームの前記ハウジング部の外部にまで突出した部分を折り曲げることを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−80777(P2013−80777A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219198(P2011−219198)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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