説明

半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法

【課題】本発明の実施形態は、波長変換部から蛍光体が脱離することを抑制することができる半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第2主面上に形成された第1電極部および第2電極部と、を有する発光部と、前記第1主面側に設けられた波長変換部と、前記波長変換部の周縁を囲むように設けられた反射部と、前記第1電極部に設けられた第1導電部と、前記第2電極部に設けられた第2導電部と、前記第2主面側に設けられ、前記第1導電部の端部および前記第2導電部の端部を露出させつつ前記第1導電部および前記第2導電部を封止した封止部と、を備え、前記反射部の外周面と、前記封止部の外周面と、が平面視において重なるように設けられたこと、を特徴とする半導体発光装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置に波長変換可能な蛍光体を含む波長変換部を設ける技術が知られている。例えば、青色光を発光する半導体発光装置に波長変換可能な蛍光体を含む波長変換部を設けることで白色光を出射させる技術が提案されている。
また、半導体発光装置に反射部を設けて半導体発光装置の正面側における輝度を向上させる技術が知られている。
【0003】
ここで、複数の半導体発光装置を一体的に形成した後、各半導体発光装置を個片化するようにすれば生産性を向上させることができる。しかしながら、蛍光体を含む波長変換部が設けられている場合には、各半導体発光装置を個片化する際に波長変換部から蛍光体が脱離するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−67184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、波長変換部から蛍光体が脱離することを抑制することができる半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第2主面上に形成された第1電極部および第2電極部と、を有する発光部と、前記第1主面側に設けられた波長変換部と、前記波長変換部の周縁を囲むように設けられた反射部と、前記第1電極部に設けられた第1導電部と、前記第2電極部に設けられた第2導電部と、前記第2主面側に設けられ、前記第1導電部の端部および前記第2導電部の端部を露出させつつ前記第1導電部および前記第2導電部を封止した封止部と、を備え、前記反射部の外周面と、前記封止部の外周面と、が平面視において重なるように設けられたこと、を特徴とする半導体発光装置が提供される。
【0007】
また、他の実施形態によれば、第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第2主面上に形成された第1電極部および第2電極部とを有する発光部と、前記第1主面側に設けられ、蛍光体が混合された樹脂から形成された波長変換部と、前記波長変換部の周縁を囲むように設けられた反射部と、を有する半導体発光装置の製造方法であって、前記反射部を、一体的に形成された複数の半導体発光装置を個片化する際の割断位置を跨ぐように、または、前記割断位置を挟んで設けられるように形成すること、を特徴とする半導体発光装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態に係る半導体発光装置を例示する模式断面図である。
【図2】光学特性を例示するための模式グラフ図である。
【図3】蛍光体の脱離の様子を例示するための模式図である。
【図4】発光部の発光特性を例示するための模式図である。
【図5】比較例に係る半導体発光装置を例示する模式断面図である。
【図6】色度ずれを例示するための模式グラフ図である。
【図7】本実施の形態に係る半導体発光装置の製造方法について例示をするためのフローチャートである。
【図8】(a)〜(d)は、透光部、反射部、波長変換部の形成について例示をするための模式工程断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、透光部、反射部、波長変換部の形成について例示をするための模式工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る半導体発光装置を例示する模式断面図である。
図1に示すように、半導体発光装置1には、発光部2、透光部3、波長変換部4、第1導電部6、第1接続部材7、第2導電部9、第2接続部材10、絶縁部11、封止部12、反射部13が設けられている。
【0010】
発光部2は、第1主面M1と、第1主面M1の反対面である第2主面M2と、を有する。また、第2主面M2上に形成された第1電極部5および第2電極部8を有する。
発光部2には、半導体部2a、活性部2b、半導体部2cが設けられている。
半導体部2aは、n形となるようにドープされた半導体(n形半導体)からなるものとすることができる。この場合、n形の窒化物半導体からなるものとすることができる。窒化物半導体としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)などを例示することができる。
【0011】
活性部2bは、半導体部2aと半導体部2cとの間に設けられている。
活性部2bは、正孔および電子が再結合して光を発生する井戸層と、井戸層よりも大きなバンドギャップを有する障壁層(クラッド層)と、によって構成された量子井戸構造とすることができる。
この場合、単一量子井戸(SQW;Single Quantum Well)構造としてもよいし、多重量子井戸(MQW;Multiple Quantum Well)構造としてもよい。また、単一量子井戸構造のものを複数積層するようにしてもよい。
【0012】
例えば、単一量子井戸構造のものとしては、GaN(窒化ガリウム)からなる障壁層、InGaN(窒化インジウムガリウム)からなる井戸層、GaN(窒化ガリウム)からなる障壁層がこの順で積層されたものを例示することができる。
多重量子井戸構造のものとしては、GaN(窒化ガリウム)からなる障壁層、InGaN(窒化インジウムガリウム)からなる井戸層、GaN(窒化ガリウム)からなる障壁層、InGaN(窒化インジウムガリウム)からなる井戸層、GaN(窒化ガリウム)からなる障壁層がこの順で積層されたものを例示することができる。
この場合、前述した半導体部2aを障壁層とすることもできる。
なお、活性部2bは量子井戸構造に限定されるわけではなく、発光可能な構造を適宜選択することができる。
【0013】
半導体部2cは、p形となるようにドープされた半導体(p形半導体)からなるものとすることができる。この場合、p形の窒化物半導体からなるものとすることができる。窒化物半導体としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、InGaN(窒化インジウムガリウム)などを例示することができる。
発光部2は、例えば、ピークの発光波長が380nm〜530nmの発光ダイオードとすることができる。また、例えば、発光波長の帯域が350nm〜600nmの発光ダイオードとすることもできる。
【0014】
透光部3は、発光部2の第1主面M1上に形成されている。
透光部3は、発光部2から出射した光を透過させるとともに、色度ずれを抑制する。
発光部2から出射した光を透過させやすいように透光部3の透過率は、例えば、440nm〜720nmの波長領域において90%以上となるようにすることができる。また、透光部3の屈折率は1.2以上、1.9以下となるようにすることができる。
【0015】
透光部3は、半導体発光装置1を見る方向によって色度が異なるものとなる色度ずれを抑制するために設けられている。すなわち、透光部3を設けることで、波長変換部4の内部における光路長が発光部2の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるようになっている。なお、色度ずれの抑制に関する詳細は後述する。
【0016】
透光部3を形成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂、ウレタン樹脂、SiO、TiOなどを例示することができる。
【0017】
この場合、発光部2から出射する光が、波長の短い紫外から青色の光であり輝度が高い場合には透光部3を形成する材料が劣化するおそれがある。そのため、透光部3を形成する材料としては、青色光などによる劣化が生じにくいものとすることが好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーンなどを例示することができる。
ただし、例示をしたこれらの材料に限定されるわけではなく適宜変更することができる。この場合、透光部3に設けられた凹状の面3aの開口部分の直径寸法(いわば波長変換部4の寸法)は、発光部2の寸法よりも大きくなるようにすることが好ましい。
なお、透光部3は必ずしも必要ではなく、蛍光体を含む波長変換部4のみが設けられていてもよい。
この場合、透光部3が設けられていなくとも各半導体発光装置1を個片化する際に波長変換部4から蛍光体が脱離することを抑制できることに変わりがない。
【0018】
波長変換部4は、発光部2の第1主面M1側に設けられ、後述する蛍光体を含有している。波長変換部4は、透光部3を覆うように設けられている。
波長変換部4は、波長変換可能な蛍光体が混合された樹脂から形成されるものとすることができる。
蛍光体は、例えば、粒子状とすることができ、その粒子径を10μm以下とすることができる。
波長変換部4は、440nm以上470nm以下(青色)、500nm以上555nm以下(緑色)、560nm以上580nm以下(黄色)、600nm以上670nm以下(赤色)にピークの発光波長を持つ蛍光体の少なくとも1つ以上を含むものとすることができる。 また、発光波長の帯域が380nm〜720nmの蛍光体を含むものとすることができる。
蛍光体としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素、窒化物元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素が含まれるものとすることができる。
【0019】
赤色の蛍光を発する蛍光体の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる赤色の蛍光を発する蛍光体は、これらに限定されない。
S:Eu、
S:Eu+顔料、
:Eu、
Zn(PO:Mn、
(Zn,Cd)S:Ag+In
(Y,Gd,Eu)BO
(Y,Gd,Eu)
YVO:Eu、
LaS:Eu,Sm、
LaSi:Eu2+
α−sialon:Eu2+
CaAlSiN:Eu2+
CaSiN:Eu2+
CaSiN:Ce2+
Si:Eu2+
CaAlSiN:Eu2+
(SrCa)AlSiN:EuX+
Sr(SiAl(ON):EuX+
【0020】
緑色の蛍光を発する蛍光体の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる緑色の蛍光を発する蛍光体は、これらに限定されない。
ZnS:Cu,Al、
ZnS:Cu,Al+顔料、
(Zn,Cd)S:Cu,Al、
ZnS:Cu,Au,Al,+顔料、
Al12:Tb、
(Al,Ga)12:Tb、
SiO:Tb、
ZnSiO:Mn、
(Zn,Cd)S:Cu、
ZnS:Cu、
ZnSiO:Mn、
ZnS:Cu+ZnSiO:Mn、
GdS:Tb、
(Zn,Cd)S:Ag、
ZnS:Cu,Al、
S:Tb、
ZnS:Cu,Al+In
(Zn,Cd)S:Ag+In
(Zn,Mn)SiO
BaAl1219:Mn、
(Ba,Sr,Mg)O・aAl:Mn、
LaPO:Ce,Tb、
ZnSiO:Mn、
ZnS:Cu、
3(Ba,Mg,Eu,Mn)O・8Al
La・0.2SiO・0.9P:Ce,Tb、
CeMgAl1119:Tb、
CaSc:Ce、
(BrSr)SiO:Eu、
α−sialon:Yb2+
β−sialon:Eu2+
(SrBa)YSi:Eu2+
(CaSr)Si:Eu2+
Sr(SiAl)(ON):Ce
【0021】
青色の蛍光を発する蛍光体の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる青色の蛍光を発する蛍光体は、これらに限定されない。
ZnS:Ag、
ZnS:Ag+顔料、
ZnS:Ag,Al、
ZnS:Ag,Cu,Ga,Cl、
ZnS:Ag+In
ZnS:Zn+In
(Ba,Eu)MgAl1017
(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO)6Cl:Eu、
Sr10(PO)6Cl:Eu、
(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al1017
10(Sr,Ca,Ba,Eu)・6PO・Cl
BaMgAl1625:Eu
黄色の蛍光を発する蛍光体の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる黄色の蛍光を発する蛍光体は、これらに限定されない。
Li(Eu,Sm)W
(Y,Gd),(Al,Ga)12:Ce3+
LiSrSiO:Eu2+
(Sr(Ca,Ba))SiO:Eu2+
SrSiON2.7:Eu2+
黄緑色の蛍光を発する蛍光体の材料としては、例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる黄緑色の蛍光を発する蛍光体は、これに限定されない。
SrSiON2.7:Eu2+
【0022】
蛍光体の混合比率を少なくすると色調が青色に近づき(色温度10000K付近)、蛍光体の混合比率を多くすると色調が黄色に近づく(色温度6500K〜2800K)。なお、混合する蛍光体は1種類である必要はなく、複数種類の蛍光体が混合されるようにしてもよい。例えば、赤色の蛍光を発する蛍光体と、緑色の蛍光を発する蛍光体と、青色の蛍光を発する蛍光体と、黄色の蛍光を発する蛍光体と、黄緑色の蛍光を発する蛍光体と、が混合されるようにしてもよい。また、青味がかった白色光、黄味がかった白色光などのように色味を変えるために複数種類の蛍光体の混合割合を変えるようにすることもできる。
【0023】
蛍光体が混合される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂、ウレタン樹脂などを例示することができる。
蛍光体が混合される樹脂の屈折率は蛍光体の屈折率以下とすることが好ましい。また、蛍光体が混合される樹脂の透過率は90%以上とすることが好ましい。
【0024】
この場合、発光部2から出射する光が、波長の短い紫外から青色の光であり輝度が高い場合には波長変換部4を形成する樹脂が劣化するおそれがある。そのため、波長変換部4を形成する樹脂としては、青色光などによる劣化が生じにくいものとすることが好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンとエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂などを例示することができる。
ただし、蛍光体が混合される樹脂としては、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0025】
第1電極部5は、半導体部2aに設けられ、Ni(ニッケル)/Au(金)の二重層などからなるものとすることができる。この場合、例えば、Ni(ニッケル)層の厚みを1μm程度、Au(金)層の厚みを1μm程度とすることができる。ただし、第1電極部5の材質や厚みは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。第1電極部5の形状は、例えば、円形とすることができる。ただし、第1電極部5の形状は円形に限定されるわけではなく、後述する第1接続部6aの断面形状、大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0026】
第1導電部6は、凹部12aの底面と封止部12の端面との間を貫通するようにして設けられている。第1導電部6は、例えば、円柱状を呈しCu(銅)などの金属材料からなるものとすることができる。また、第1導電部6には断面積の小さな第1接続部6aが設けられている。そして、第1接続部6aは第1電極部5に設けられ、第1電極部5を介して第1導電部6と半導体部2aとが電気的に接続されている。ただし、第1導電部6、第1接続部6aの形状、材質などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0027】
第1接続部材7は、封止部12から露出する第1導電部6の一方の端面を覆うようにして設けられている。第1接続部材7は、いわゆるはんだバンプとすることができる。第1接続部材7をはんだバンプとする場合には、第1接続部材7の形状を半球形とし、その材質を表面実装に使用されるはんだ材料とすることができる。この場合、表面実装に使用されるはんだ材料としては、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ、Sn−0.8Cuはんだ、Sn−3.5Agはんだなどとすることができる。
【0028】
ただし、第1接続部材7の形状、材質などは例示をしたものに限定されるわけではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜変更することができる。例えば、第1接続部材7の形状を薄膜状とし、Ni(ニッケル)/Au(金)の二重層などからなるものとすることができる。
また、第1接続部材7は必ずしも必要ではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜設けるようにすればよい。
【0029】
第2電極部8は、半導体部2cに設けられ、Ni(ニッケル)/Au(金)の二重層などからなるものとすることができる。この場合、例えば、Ni(ニッケル)層の厚みを1μm程度、Au(金)層の厚みを1μm程度とすることができる。ただし、第2電極部8の材質や厚みは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。第2電極部8の形状は、例えば、円形とすることができる。ただし、第2電極部8の形状は円形に限定されるわけではなく、後述する第2接続部9aの断面形状、大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0030】
第2導電部9は、凹部12aの底面と封止部12の端面との間を貫通するようにして設けられている。第2導電部9は、例えば、円柱状を呈しCu(銅)などの金属材料からなるものとすることができる。また、第2導電部9には断面積の小さな第2接続部9aが設けられている。そして、第2接続部9aは第2電極部8に設けられ、第2電極部8を介して第2導電部9と半導体部2cとが電気的に接続されている。ただし、第2導電部9、第2接続部9aの形状、材質などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0031】
第2接続部材10は、封止部12から露出する第2導電部9の一方の端面を覆うようにして設けられている。第2接続部材10は、いわゆるはんだバンプとすることができる。第2接続部材10をはんだバンプとする場合には、第2接続部材10の形状を半球形とし、その材質を表面実装に使用されるはんだ材料とすることができる。この場合、表面実装に使用されるはんだ材料としては、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ、Sn−0.8Cuはんだ、Sn−3.5Agはんだなどとすることができる。
【0032】
ただし、第2接続部材10の形状、材質などは例示をしたものに限定されるわけではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜変更することができる。例えば、第2接続部材10の形状を薄膜状とし、Ni(ニッケル)/Au(金)の二重層などからなるものとすることができる。
また、第2接続部材10は必ずしも必要ではなく、半導体発光装置1を実装する方法などに応じて適宜設けるようにすればよい。
【0033】
絶縁部11は、封止部12に設けられた凹部12aを埋め込むようにして設けられている。絶縁部11は、絶縁材料から形成されている。例えば、絶縁部11がSiOなどの無機材料や、樹脂などから形成されるものとすることができる。
この場合、発光部2から出射する光が、波長の短い紫外から青色の光であり輝度が高い場合には絶縁部11を形成する樹脂が劣化するおそれがある。そのため、絶縁部11が樹脂から形成される場合には、青色光などによる劣化が生じにくいものとすることが好ましい。青色光などによる劣化が生じにくい樹脂としては、例えば、屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーンなどを例示することができる。
【0034】
封止部12は、第2主面M2側に設けられ、第1導電部6の端部および第2導電部9の端部を露出させつつ第1導電部6および第2導電部9を封止する。
封止部12は、熱硬化性樹脂などから形成されるものとすることができる。封止部12は、発光部2、第1電極部5、第2電極部8をも封止する役割を有している。なお、封止部12と絶縁部11とが一体的に形成されているようにすることもできる。
【0035】
反射部13は、波長変換部4の周縁を囲むように設けられている。
反射部13は、発光部2から出射した光を波長変換部4の内部に拡散させるととともに半導体発光装置1の正面側に向けて光を出射させる。
発光部2から出射した光を反射させやすいように反射部13の反射率は、例えば、380nm〜720nmの波長領域において90%以上となるようにすることができる。
【0036】
反射部13を形成する材料としては、例えば、ポリフタル酸アミド樹脂(PPA)、シリコーン系樹脂などを例示することができる。また、反射部13の表面に光の反射率の高い材料からなる反射膜(例えば、金属薄膜など)を設けるようにしてもよい。
ただし、例示をしたこれらの材料に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0037】
反射部13の反射面(波長変換部4側の面)13aは、出射側先端が半導体発光装置1の中心軸から離隔する方向に傾斜している。そのため、発光部2から出射した光を波長変換部4の内部に拡散させるととともに、半導体発光装置1の正面側に向けて効率よく光を出射させることができる。
図2は、光学特性を例示するための模式グラフ図である。
なお、図中のAは反射部13が設けられていない場合、Bは反射部13が設けられている場合である。
図2に示すように、反射部13を設けるものとすれば半導体発光装置1の正面(視野角度0°)における発光強度を20%程度向上させることができる。
【0038】
また、反射部の外周面13bと、封止部12の外周面12aと、が平面視において重なるように設けられている。すなわち、反射部13の外周面13bと、封止部12の外周面12aとが略同一面内にあるようになっている。
ここで、複数の半導体発光装置1を一体的に形成した後、各半導体発光装置1を個片化するようにすれば生産性を向上させることができる。しかしながら、蛍光体を含む波長変換部4が設けられている場合には、各半導体発光装置1を個片化する際に波長変換部4から蛍光体が脱離するおそれがある。
【0039】
図3は、蛍光体の脱離の様子を例示するための模式図である。
なお、図3は、ブレードダイシング法を用いて半導体発光装置を個片化した際の割断面の様子を例示するものである。この場合、ダイシングブレードの回転数は40000rpmとした。また、図3に例示をしたものは、反射部13が設けられておらず、波長変換部を直接割断する場合である。
この様に反射部13が設けられておらず波長変換部を直接割断する場合には、図3に示すように割断面に凹部110が生じ蛍光体が脱離したことが分かる。
本実施の形態においては、反射部の外周面13bと、封止部12の外周面12aと、が平面視において重なるように設けられているので、各半導体発光装置1を個片化する際に、反射部13の外周面13bを割断面とすることができる。そのため、波長変換部4が直接割断されることがなく、波長変換部4から蛍光体が脱離することを抑制することができる。
【0040】
次に、色度ずれの抑制に関してさらに例示をする。
図4は、発光部2の発光特性を例示するための模式図である。なお、発光特性はモノトーン色の濃淡で表し、青色となる程濃く、黄色となる程淡くなるように表示した。
図4に例示をしたものの場合には、発光部2の中心部分が黄色となり、周縁になるにしたがい青色となっている。
この様に発光部2の発光特性に分布があると、半導体発光装置1を見る方向によって色度が異なるものとなる色度ずれが大きくなるおそれがある。
【0041】
本発明者らの得た知見によれば、波長変換部の内部における光路長を発光部の発光特性に応じて変化させるようにすれば色度ずれを抑制することができる。
以下においては、一例として、発光部2の発光特性が図4に例示をしたものの場合について例示をする。すなわち、発光部2の中心部分が黄色となり、周縁になるにしたがい青色となる場合について例示をする。この様な発光特性を有する発光部2としては、例えば、GaN(窒化ガリウム)などの窒化物半導体からなるものを例示することができる。
【0042】
図5は、比較例に係る半導体発光装置100を例示する模式断面図である。
図5に示すように、半導体発光装置100には、発光部2、波長変換部104、第1電極部5、第1導電部6、第1接続部材7、第2電極部8、第2導電部9、第2接続部材10、絶縁部11、封止部12が設けられている。すなわち、半導体発光装置100は透光部3、反射部13が形成されていない場合である。
【0043】
図6は、色度ずれを例示するための模式グラフ図である。
なお、図6は所定の位置から出射し波長変換部を透過した光をシミュレーション分析したものである。図6における横軸は視野角度を表しており、0°は半導体発光装置の正面側から見た場合、90°、−90°は半導体発光装置の側面側から見た場合である。図6における縦軸は色度を表しており、図中の上側になるほど黄色となり、図中の下側になるほど青色となる。また、色度ずれは、視野角度に対する色度の差で表される。そのため、例えば、0°における色度と、90°または−90°における色度との差が小さくなるほど色度ずれが小さいことになる。
図6に示すように、透光部3が形成されていない平板状の波長変換部104とすれば、色度ずれが大きくなることがわかる。
【0044】
ここで、本発明者らの得た知見によれば、波長変換部の内部における光路長が発光部の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるような形状を有した波長変換部とすれば、色度ずれを抑制することができる。すなわち、波長変換部の内部における光路長を発光部の発光特性に応じて適正化すれば色度ずれを抑制することができる。
そのため、本実施の形態においては、透光部を設けることで波長変換部が色度ずれを抑制することができる形状となるようにしている。例えば、図1に例示をしたものの場合には、凹状の面3aを有する透光部3を設けることで波長変換部4に凸状の面4aを形成させ、波長変換部4の内部における光路長を発光部2の発光特性に応じて適正化するようにしている。この場合、曲率半径Rを変化させることで色度ずれの抑制を制御することができる。
【0045】
なお、透光部を設けることで形成される波長変換部の形状は凸状の形状を有するものに限定されるわけではない。例えば、凸状の形状を有する透光部を設けることで凹状の形状を有する波長変換部を形成させたり、凸状の形状の周縁に平坦面を有する透光部を設けることで凹状の形状の周縁に平坦面を有する波長変換部を形成させたりすることもできる。また、凸状の形状、凹状の形状、平坦面を適宜組み合わせたものであってもよい。また、曲率半径を適宜変化させたものであってもよい。すなわち、波長変換部の内部における光路長が発光部2の発光特性に応じて適正化されるような波長変換部の形状が形成されればよい。
なお、曲率半径を変化させる場合には、凸状の形状の曲率半径を250nm以上とすることが好ましい。また、凹状の形状の曲率半径を200nm以上とすることが好ましい。 また、波長変換部の面内における蛍光体の種類とその割合の分布を変えるようにすれば色度ずれをさらに抑制することができる。例えば、図4に例示をしたもののように、発光部2の周縁になるにしたがい青色となるものの場合には、波長変換部の周縁になるほど黄色の蛍光を発する蛍光体の割合が多くなるようにすることで、波長変換部のほぼ全域において白色光が出射されるようにすることができる。
【0046】
次に、半導体発光装置1の作用について例示をする。
第1導電部6に電圧が印加されると、第1電極部5を介して半導体部2aに電位が与えられる。また、第2導電部9に電圧が印加されると、第2電極部8を介して半導体部2cに電位が与えられる。そして、半導体部2aと半導体部2cとに電位が与えられると、活性部2bにおいて正孔および電子が再結合して光が発生する。活性部2bから出射した光の一部は、半導体部2a、透光部3を透過して波長変換部4に入射する。波長変換部4に入射した光は蛍光体により波長が変換され波長変換部4から外部に向けて出射される。例えば、活性部2bから出射した青色光と、その光により励起された光(黄色、あるいは、赤色及び緑色)とが混合され、白色光として波長変換部4から外部に向けて出射される。 本実施の形態においては、反射部13を設けているので、発光部2から出射した光を波長変換部4の内部に拡散させるととともに半導体発光装置1の正面側に向けて効率よく光を出射させることができる。また、反射部の外周面13bと、封止部12の外周面12aと、が平面視において重なるように設けられているので、各半導体発光装置1を個片化する際に、反射部13の外周面13bを割断面とすることができる。そのため、波長変換部4が直接割断されることがなく、波長変換部4から蛍光体が脱離することを抑制することができる。
【0047】
また、波長変換部4の内部における光路長を発光部2の発光特性に応じて適正化するようにしている。すなわち、所定の形状を有する透光部3を設けることで、内部における光路長が発光部2の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるような面4aを有した波長変換部4が形成されている。そのため、色度ずれを抑制することができる。例えば、白色光を出射する半導体発光装置1を見る方向にかかわらず色度ずれを少なくすることができ、波長変換部4のほぼ全域において白色光が出射されるようにすることができる。
【0048】
次に、本実施の形態に係る半導体発光装置の製造方法について例示をする。
図7は、本実施の形態に係る半導体発光装置の製造方法について例示をするためのフローチャートである。
なお、複数の半導体発光装置を一体的に形成した後、各半導体発光装置を個片化する場合である。
【0049】
まず、サファイアなどからなる基板上に所定の形状の半導体部2a、活性部2b、半導体部2cをこの順で積層させる(ステップS1)。
この場合、既知の気相成長法などを用いてこれらの積層を行うようにすることができる。気相成長法としては、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、分子線エピタキシャル成長(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などを例示することができる。
【0050】
次に、半導体部2a上に第1電極部5を形成し、半導体部2c上に第2電極部8を形成する(ステップS2)。
この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、メッキ法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などとを組み合わせることで第1電極部5、第2電極部8を形成するようにすることができる。
【0051】
次に、この様にして基板上に積層された積層体を覆うようにして所定の形状の絶縁部11を形成する(ステップS3)。
この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などとを組み合わせることで絶縁部11を形成するようにすることができる。
【0052】
次に、絶縁部11を覆うようにして所定の形状の封止部12を形成する(ステップS4)。
この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などとを組み合わせることで封止部12を形成するようにすることができる。
【0053】
次に、第1導電部6、第2導電部9を形成する(ステップS5)。
この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、メッキ法などと、リソグラフィ技術やエッチング技術などとを組み合わせることで第1導電部6、第2導電部9を形成するようにすることができる。
【0054】
次に、第1導電部6の端面に第1接続部材7を形成し、第2導電部9の端面に第2接続部材10を形成する(ステップS6)。
この場合、真空蒸着法やスパッタリング法などの各種の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、各種の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、メッキ法などと、リソグラフィ技術などとを組み合わせることで第1接続部材7、第2接続部材10を形成するようにすることができる。
【0055】
次に、この様にして形成された積層体を基板から剥離させる(ステップS7)。
この場合、レーザリフトオフ法などを用いて積層体を基板から剥離させるようにすることができる。
【0056】
次に、剥離させた積層体を反転させ、半導体部2a上に所定の形状の透光部3、反射部13を形成する(ステップS8)。
反射部13は、一体的に形成された複数の半導体発光装置1を個片化する際の割断位置を跨ぐように、または、割断位置を挟んで設けるようにすることができる。
この場合、樹脂などを塗布し、これを成形することで透光部3、反射部13を形成するようにすることができる。
例えば、ナノインプリント法やモールド法を用いて透光部3、反射部13を形成するようにすることができる(図8、図9を参照)。
【0057】
ここで、UVナノインプリント法を用いる場合には、成形型を樹脂に押し付けた状態で紫外線が照射され、成形された樹脂を硬化させることで透光部3、反射部13が形成される。なお、UVナノインプリント法を用いる場合には、成形型は紫外線が透過可能な材料から形成され、樹脂は紫外線硬化性樹脂とされる。
また、モールド法を用いる場合には、成形型を樹脂に押し付けた状態で加熱が行われ、成形された樹脂を硬化させることで透光部3、反射部13が形成される。なお、モールド法を用いる場合には、成形型などには加熱ヒータなどが設けられ、樹脂は熱硬化性樹脂とされる。
【0058】
なお、成形型の成形面の形状を変えることで種々の形状を有する透光部、反射部を形成することができる。
また、透光部、反射部の形成はナノインプリント法やモールド法に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、インクジェット法やディスペンス法などの微少液滴塗布方法などを用いて樹脂などを所定の形状に積層させることで透光部、反射部を形成するようにしてもよい。
また、透光部、反射部を同時に形成するようにしてもよいし、透光部、反射部を別々に形成するようにしてもよい。
【0059】
次に、透光部3を覆うようにして波長変換部4を形成する(ステップS9)。
例えば、透光部3、反射部13を覆うようにして所定の蛍光体が混合された樹脂を塗布し、塗布された樹脂の表面を反射部13の端部が埋没する程度に平坦化し、これを硬化させることで波長変換部4を形成するようにすることができる。なお、樹脂の硬化は紫外線を照射したり加熱したりすることにより行うようにすることができる。
【0060】
蛍光体が混合された樹脂の塗布と成形には、例えば、スキージ法、スクリーン法やスピン法などの印刷および塗布方法などを用いることができる。
この場合、所定の形状の透光部を設けるようにしているので、波長変換部の内部における光路長を発光部の発光特性に応じて適正化することができる。
すなわち、波長変換部が形成される工程において、内部における光路長が発光部の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるような形状が波長変換部に形成される。
そのため、色度ずれを抑制することができる。
【0061】
ここで、透光部3、反射部13、波長変換部4の形成についてさらに例示をする。
図8は、透光部3、反射部13、波長変換部4の形成について例示をするための模式工程断面図である。
まず、図8(a)に示すように、積層体127の半導体部2a側の主面に樹脂などを塗布し、成形型126を塗布された樹脂に押し付けることで成形型126の成形面の形状を樹脂に転写させる。そして、前述したように紫外線を照射したり加熱したりすることで樹脂を硬化させ、透光部3、反射部13を形成する。
この際、反射部13は、割断位置を跨ぐような位置に設けられる。
なお、図8に例示をするものは、透光部3、反射部13が同時に形成される場合である。
【0062】
次に、図8(b)に示すように、成形型126を離隔させる。
【0063】
次に、図8(c)に示すように、所定の蛍光体が混合された樹脂125を透光部3を覆うようにして塗布する。
次に、図8(d)に示すように、塗布された樹脂の表面を反射部13の端部が埋没する程度に平坦化し、これを硬化させることで波長変換部4を形成する。
【0064】
図9も透光部3、反射部13、波長変換部4の形成について例示をするための模式工程断面図である。
まず、図9(a)に示すように、積層体127の半導体部2a側の主面に樹脂などを塗布し、成形型226を塗布された樹脂に押し付けることで成形型226の成形面の形状を樹脂に転写させる。そして、前述したように紫外線を照射したり加熱したりすることで樹脂を硬化させ、反射部13を形成する。
この際、反射部13は、割断位置を挟んで設けられる。すなわち、隣り合う反射部13同士の間が割断位置となる。
なお、図9に例示をするものは、透光部3、反射部13が別々に形成される場合であり、反射部13の形成手順と同様にして透光部3が所定の位置に形成されている。
【0065】
次に、図9(b)に示すように、成形型226を離隔させる。
【0066】
次に、図9(c)に示すように、所定の蛍光体が混合された樹脂125を透光部3を覆うようにして塗布する。なお、隣り合う反射部13同士の間に樹脂125が入り込むのを抑制するためにマスク128を設けるようにすることができる。
次に、図9(d)に示すように、塗布された樹脂の表面を反射部13の端部が埋没する程度に平坦化し、これを硬化させることで波長変換部4を形成する。
【0067】
そして、一体的に形成された複数の半導体発光装置を個片化する(ステップS10)。 この場合、ブレードダイシング法などを用いて半導体発光装置を個片化するようにすることができる。
例えば、図8に例示をしたような場合には、反射部13が割断位置を跨ぐようにして設けられているので、反射部13が分割されるとともに半導体発光装置が個片化される。
また、図9に例示をしたような場合には、反射部13が割断位置を挟んで設けられているので、隣り合う反射部13同士の間で割断されることにより半導体発光装置が個片化される。
そのため、波長変換部4が直接割断されることがなく、波長変換部4から蛍光体が脱離することを抑制することができる。
【0068】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、半導体発光装置1が備える各要素の形状、寸法、材料、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0069】
1 半導体発光装置、2 発光部、2a 半導体部、2b 活性部、2c 半導体部、3 透光部、3a 面、4 波長変換部、4a 面、5 第1電極部、6 第1導電部、7 第1接続部材、8 第2電極部、9 第2導電部、10 第2接続部材、11 絶縁部、12 封止部、13 反射部、M1 第1主面、M2 第2主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第2主面上に形成された第1電極部および第2電極部と、を有する発光部と、
前記第1主面側に設けられた波長変換部と、
前記波長変換部の周縁を囲むように設けられた反射部と、
前記第1電極部に設けられた第1導電部と、
前記第2電極部に設けられた第2導電部と、
前記第2主面側に設けられ、前記第1導電部の端部および前記第2導電部の端部を露出させつつ前記第1導電部および前記第2導電部を封止した封止部と、
を備え、
前記反射部の外周面と、前記封止部の外周面と、が平面視において重なるように設けられたこと、を特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記波長変換部は、内部における光路長が前記発光部の発光特性に応じて色度ずれが抑制される長さとなるような形状を有したこと、を特徴とする請求項1記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記第1主面側に設けられた透光部をさらに備え、
前記波長変換部は、前記透光部を覆うように設けられたこと、を特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記透光部は、屈折率が1.2以上、1.9以下、透過率が90%以上とされたことを特徴とする請求項3記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記透光部は、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂とエポキシ樹脂とのハイブリット樹脂、ウレタン樹脂、SiO、TiOからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて形成されたことを特徴とする請求項3または4に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記波長変換部は、380nm以上、720nm以下の発光波長を持つ蛍光体を含み、
前記蛍光体は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素、窒化物元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第2主面上に形成された第1電極部および第2電極部とを有する発光部と、前記第1主面側に設けられ、蛍光体が混合された樹脂から形成された波長変換部と、前記波長変換部の周縁を囲むように設けられた反射部と、を有する半導体発光装置の製造方法であって、
前記反射部を、一体的に形成された複数の半導体発光装置を個片化する際の割断位置を跨ぐように、または、前記割断位置を挟んで設けられるように形成すること、を特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体発光装置の個片化を、ブレードダイシング法を用いて行うこと、を特徴とする請求項7記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記反射部を、ナノインプリント法、モールド法、微少液滴塗布方法からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いて形成すること、を特徴とする請求項7または8に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記蛍光体は、380nm以上、720nm以下の発光波長を有し、
ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素、窒化物元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図4】
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