説明

半導体発光装置

【課題】簡単な構成を有し、紫外光が発光されている状態であるか否かの確認を容易にかつ確実に行うことができる半導体発光装置を提供する。
【解決手段】紫外又は深紫外領域の紫外光を発光する半導体発光素子1と、上部に紫外光が通過する貫通孔63を有し、半導体発光素子1を囲むキャップ部6と、貫通孔63を気密に塞ぐように配置され、紫外光が透過する透光性カバー7と、キャップ部6の内部に配置され、紫外光によって励起され可視光を発光する紫外光励起蛍光体8とを備えた半導体発光装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射する半導体発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaN、AlN、InNおよびそれらの混晶に代表される窒化物半導体は、直接遷移型の半導体材料であり、AlGaInAs系半導体やAlGaInP系半導体に比べてバンドギャップエネルギーが大きいという特徴を有している。このため、これらの窒化物半導体は、紫領域で発光する半導体レーザ素子や、紫外領域あるいは深紫外領域(約320nmから約200nmの波長域)で発光するLED素子等の半導体発光素子を構成する材料として注目されている。
【0003】
波長が260nm〜280nmの紫外領域あるいは深紫外領域の光(以下、紫外光と呼ぶ場合がある)が水の殺菌に効率が良いことは周知であり、紫外光はこれ以外にも、浄水、殺菌、公害物質の高速分解処理あるいは医療分野等に有効であることが知られている。上述したような紫外領域から深紫外領域で発光する半導体発光素子を利用した半導体発光装置を採用することで、紫外光を利用する装置を小型化、低消費電力化することが可能である。
【0004】
可視光領域の光を出射する半導体発光装置は、安価で、光の放射特性の制御が容易な樹脂によるモールドにより、パッケージされる。しかし、紫外光は、樹脂モールドに用いられる樹脂に、吸収されてしまい効率よく光を取り出せない。また、紫外光の強いエネルギーにより樹脂が劣化し、光吸収が強くなるといった問題を引き起こす。このため、紫外領域で発光する半導体発光装置では、樹脂モールドによるパッケージは難しい。
【0005】
このため、紫外領域で発光する半導体発光装置では、CANと呼ばれるパッケージが利用されている。図11は従来の半導体発光装置のパッケージを示す図である。図11に示すように、半導体発光装置Dは、LED素子91と、LED素子91に電力を供給するワイヤ95と、LED素子91から出射される光を上方に導く反射板の役割を果たす反射カップ93と、電力を供給する外部ピン94と、CANと呼ばれるキャップ部96とを備えている。さらにキャップ部96には、光を取り出すための透光性カバー97が接着されている(特開2007−311707号公報、特開2008−258617号公報等参照)。
【0006】
また、紫外領域から深紫外領域の光は、エネルギーも大きく、目や皮膚等、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、半導体発光装置より紫外光が出射されていることを認識する必要がある。また、紫外がどの範囲を照射しているのかを判断できないと、実際にデバイスを使用する際にも、安全上の問題がおこる。使用者が発光しているのか、発光していないのか、さらに発光強度がどの程度か、また、光が放射されている範囲をすぐに判断できる必要がある。
【0007】
紫外領域から深紫外領域(約320nmから約200nm)の光は人間の目では感知することができず、紫外領域で発光する半導体発光装置において、発光しているか否かの確認は視認で行うことができない。そのため、紫外領域から深紫外領域で発光する半導体発光装置の発光状態は、紫外光を検出することができる検出器を利用して確認可能であるが、確認のために検出器を用いるのは煩わしい。また、一般の衛生器具や医療器具に利用されると、一般の使用者が検出器を所持していることが少なく紫外光の出射の確認が容易ではない。
【0008】
そこで、特開2009−177098号公報の紫外光発光装置では、紫外光を出射される紫外光LEDチップと、紫外光を検出する受光素子を備えている。そして、点灯モニタ用の可視光LEDチップを設け、前記受光素子の出力に基づいて点灯、消灯させることで、紫外光LEDチップが点灯しているか否かモニタリングすることが可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−311707号公報
【特許文献2】特開2008−258617号公報
【特許文献3】特開2009−177098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特開2009−177098号公報に記載の紫外光発光装置では、機器を用いずに紫外光の検出が可能であるが、パッケージに取り付ける受光素子やモニタ用の可視光LEDチップが必要である。このことから、特開2009−177098号公報に記載の紫外光発光装置は構成部材が多く、小型化、低コスト化が困難である。
【0011】
また、前記紫外光発光装置が別の装置の内部に配置される場合もあり、その場合、モニタ用の開始光LEDチップを視認するのが困難であったり、不可能であったりする場合があり、前記紫外光発光装置では、点灯しているか否かの確認を正確に行うことが困難な場合がある。
【0012】
そこで本発明は、簡単な構成を有し、紫外光が発光されている状態であるか否かの確認を容易にかつ確実に行うことができる半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明は、紫外又は深紫外領域の紫外光を発光する半導体発光素子と、上部に紫外光が通過する貫通孔を有し、前記半導体発光素子を囲むキャップ部と、前記貫通孔を気密に塞ぐように配置され、前記紫外光の一部又は全部が透過する透光性カバーと、前記キャップ部の内部に配置され、前記紫外光によって励起され可視光を発光する紫外光励起蛍光体とを備えている半導体発光装置を提供する。
【0014】
この構成によると、前記半導体発光素子から出射された紫外光の一部が前記紫外光励起蛍光体に照射される。これにより、前記半導体発光素子から前記紫外光が発光されたとき、前記紫外光と同時に前記紫外光励起蛍光体より可視光も外部に出射される。
【0015】
これにより、可視光を視認することで使用者あるいは近隣にいる人間が、半導体発光装置から紫外光が出射されている状態か否かを容易に認識することが可能である。すなわち、簡単な構成で紫外光が発光されているか否かを容易に確認することが可能である。
【0016】
上記構成において、前記紫外光励起蛍光体は、前記透光性カバーの少なくとも一部に配置されていてもよい。
【0017】
上記構成において、前記半導体発光素子より出射される紫外光を反射するための反射カップをさらに備え、前記紫外光励起蛍光体は、前記反射カップの少なくとも一部に配置されていてもよい。
【0018】
上記構成において、前記反射カップに配置された前記半導体励起蛍光体が、紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料と接していてもよい。
【0019】
上記構成において、前記反射カップが、紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料で構成されていてもよい。
【0020】
上記構成において、前記紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料として、アルミニウムを挙げることができる。
【0021】
上記構成において、前記キャップ部と前記透光性カバーとで囲まれた空間は気密になるように構成されており、該空間内部を乾燥させたガスにより封止していてもよい。
【0022】
上記構成において、内部に封止された乾燥させたガスは、露点が−10℃以下とすることを挙げることができる。
【0023】
上記構成において、前記乾燥させたガスは、乾燥空気であってもよく窒素であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、紫外光により励起され可視光を出射する紫外光励起蛍光体を備えることで、半導体発光素子から出射された紫外光の一部が前記紫外光励起蛍光体に照射される構造となっているので、前記半導体発光素子から前記紫外光が発光されたとき、前記紫外光と同時に前記紫外光励起蛍光体より可視光も外部に出射される。この可視光を視認することで使用者あるいは近隣にいる人間が、半導体発光装置から紫外光が出射されている状態か否かを容易に認識することが可能である。また、紫外光の一部が透光性カバーで吸収される場合、その吸収される紫外光を可視光として透光性カバーの外部に透過させることが可能であるので、前記半導体発光素子から出射される光を有効に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる半導体発光装置の一例を示す図である。
【図2】本発明にかかる半導体発光装置に用いられる半導体発光素子の一例を示す図である。
【図3】図2に示す半導体発光素子の活性層を示す概略図である。
【図4】厚さ1mmのホウケイ酸ガラスの光透過率の波長依存性を示す図である。
【図5】本発明にかかる透光性カバー及び紫外光励起蛍光体の製造に用いる坩堝を示す図である。
【図6A】本発明にかかる透光性カバー及び紫外光励起蛍光体を示す図である。
【図6B】本発明にかかる透光性カバー及び紫外光励起蛍光体を示す図である。
【図7】厚さ1mmのサファイアガラスの光透過率の波長依存性を示す図である。
【図8】本発明にかかる半導体発光装置の他の例を示す図である。
【図9】本発明にかかる半導体発光装置のさらに他の例を示す図である。
【図10】本発明にかかる半導体発光装置のさらに他の例を示す図である。
【図11】従来の半導体発光装置のパッケージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる半導体発光装置の一例を示す図である。
【0027】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明にかかる半導体発光装置Aはパッケージされている。本発明にかかる半導体発光装置Aは、紫外光を出射する窒化物半導体発光素子1(以下、単にLED素子1と称する場合もある)が、CANパッケージと称する金属製のパッケージ内に配置された構成を有している。
【0028】
半導体発光装置Aは、LED素子1と、LED素子1を保持する円板状の保持基体(ステム)2と、保持基体2に取り付けられ、LED素子1より出射された光を反射し、上方に導く反射カップ3と、保持基体2より突出し、半導体発光装置Aに電力を供給する外部ピン4と、外部ピン4を介して供給された電力をLED素子1に供給するためのワイヤ5と、LED素子1を囲みCANと呼ばれる金属製のキャップ部6とを備えている。さらに、キャップ部6に取り付けられ、LED素子1より出射された紫外光を取り出すための透光性カバー7と、透光性カバー7の一部に接触配置され、紫外光によって励起される紫外光励起蛍光体8とを備えている。
【0029】
窒化物半導体発光素子1について図面を参照して詳しく説明する。図2は本発明にかかる半導体発光装置に用いられる窒化物半導体発光素子の一例を示す図であり、図3は図2に示す窒化物半導体発光素子の活性層を示す概略図である。
【0030】
図2に示すように窒化物半導体発光素子1は、異種基板100と、窒化物半導体バッファ層101と、n型AlInGaN層110と、活性層120と、キャリアブロック層130と、p型AlInGaN層140と、p型コンタクト層150とを備えている。なお、以下の説明において、窒化物半導体バッファ層101、n型AlInGaN層110、活性層120、キャリアブロック層130、p型AlInGaN層140、p型コンタクト層150を合わせて窒化物半導体層102と称する場合もある。
【0031】
半導体発光素子1は、例えば、サファイア基板、SiC基板、Si基板、グラファイト基板、スピネル基板などの異種基板100の上に窒化物半導体層102が形成されている。なお、異種基板100は、窒化物半導体からなる基板からなる構成でも良い。
【0032】
図2に示すように、異種基板100の上面に、AlNからなる窒化物半導体バッファ層101が形成されている。窒化物半導体バッファ層101の上面に、約1.8μm〜約3.5μmの厚みを有するn型AlInGaN層110が形成されている。n型AlInGaN層110の上面に、活性層120が形成されている。活性層120の上面には、たとえば、約15nmの厚みを有するp型AlInGaNからなるキャリアブロック層130が形成されている。キャリアブロック層130の上面には、約10nmの厚みを有するp型AlInGaN層140が形成されている。p型AlInGaN層140の上面には、約50nmの厚みを有するp型コンタクト層150が形成されている。なお、p型コンタクト層150は、AlGaN、GaNまたは、AlInGaNなどから構成されていてもよい。
【0033】
次に、活性層について詳しく説明する。図3に示すように、活性層120は、障壁層120bと量子井戸層120aとが交互に積層された量子井戸構造を有している。活性層120を構成する量子井戸層120aは、Alx1Iny1Ga1−x1−y1N(0<x1≦1、0≦y1≦1)の組成式で表される半導体層から構成されている。また、障壁層120bは、Alx2Iny2Ga1−x2−y2N(0<x2≦1、0≦y2≦1)の組成式で表される半導体層から構成されている。
【0034】
量子井戸層120aは、Inを含むAlInGaNから構成されていてもよいし、Inを含まないAlGaNから構成されていてもよい。同様に、障壁層120bも、Inを含むAlInGaNから構成されていてもよいし、Inを含まないAlGaNから構成されていてもよい。
【0035】
量子井戸層120aのAl組成比x1は、0.15≦x1≦1.00の範囲にあるのが好ましく、0.30≦x1≦1.00の範囲にあればより好ましい。0.45≦x1≦1.00の範囲にあればさらに好ましい。また、量子井戸層はInを含有しても良く、In組成比y1は、0.00≦y1≦0.12の範囲にあるのが好ましい。In組成比が12%以下の範囲にすることで、In組成が高いことに起因する、結晶品質の劣化を抑制できる。
【0036】
なお、Al組成比が30%以上、更に、45%以上と高くすることで、窒化物半導体発光素子1から出射される光の波長が短くなる。なお、後述するが、透光性カバー7の光吸収スペクトルは波長250nm付近で急激に上昇している(後述の図4において、光透過率が急激に下がっている)。このことから、LED素子1から出射される紫外光の波長が短いほど、紫外光励起蛍光体8で光吸収の影響を受けない可視光に変換する効果が大きくなるので、より好ましい。
【0037】
一方、障壁層120bのAl組成比x2は、0.20≦x2≦1.00の範囲にあるのが好ましい。また、障壁層120bのAl組成比x2は、0.35≦x2≦1.00の範囲にあればより好ましい。0.50≦x2≦1.00の範囲にあればさらに好ましい。
【0038】
障壁層120bの組成が上記範囲に設定されることで、量子井戸層120aのバンドギャップよりも高いバンドギャップを形成することができ、キャリアの閉じ込めが効果的に行われる。In組成比y2は、0.00≦y2≦0.08の範囲にあるのが好ましい。In組成比が8%以下の範囲にすることで、高いIn組成に起因する、結晶品質の劣化を抑制できる。
【0039】
また、障壁層120bがInを含む場合、そのIn組成比y2は、量子井戸層120aのIn組成比y1より小さくなるように構成されているのが好ましい。障壁層120bのIn組成比y2を量子井戸層120aのIn組成比y1よりも低くすることで、量子井戸層120aのバンドギャップよりも高いバンドギャップを形成することができる。
【0040】
なお、n型AlInGaN層110のAl組成比およびIn組成比は、障壁層120bと同じに設定されていてもよい。n型AlInGaN層110と障壁層120bとの組成比は異なっていてもよいが、上記のように同じに設定されていると、界面での格子不整合差がなくなるため好ましい。また、組成が異なる場合は、n型AlInGaN層110のバンドギャップが障壁層120bのバンドギャップよりも大きくなるように構成されているとよい。このように構成されていると、キャリアを活性層120に効果的に閉じ込めることが可能となる。また、p型AlInGaN層140のAl組成比およびIn組成比は、n型AlInGaN層110と同様、障壁層120bと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0041】
また、図2に示すように、窒化物半導体発光素子1は、いわゆる横型構造の発光ダイオード素子であり、異種基板100の上面に形成された窒化物半導体層102の一部が、ドライエッチング等によって、p型コンタクト層150側からn型AlInGaN層110の途中に至る深さまで掘り込まれている。そして、掘り込まれた部分の底面(n型AlInGaN層110)に、n側電極170が形成されている。このn側電極170は、Al電極、又は、基板側からAg層、Cu層が順次積層された多層構造のAg/Cu電極を利用することができる。一方、p型コンタクト層150上には、p側電極160が形成されている。このp側電極160は、p型コンタクト層150側からNi層(図示せず)およびAu層(図示せず)が順に積層された多層構造のNi/Au電極を用いることができる。なお、n側電極170及びp側電極160の電極材料は一例であり、これに限定されない。また、図1に示すように、n側電極170とp側電極160にはワイヤ2が接続されている。
【0042】
窒化物半導体発光素子1は、異種基板100のウエハの上面に上述の窒化物半導体層102を形成する。窒化物半導体層102の各半導体層は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などのエピタキシャル成長法などの成膜方法で成膜される。そして、ドライエッチング等の方法で、p型コンタクト層150側からn型AlInGaN層110の途中に至る深さまで掘り込む。p型コンタクト層150の上面にp側電極160及びn型AlInGaN層110の上面にn側電極170を形成する。p側電極160、n側電極170も電子ビーム法や抵抗加熱法、スパッタ法などの成膜方法で形成される。このとき、ウエハの上面には、複数個の窒化物半導体発光素子1が並んで形成されている。
【0043】
そして、ウエハにレーザスクライブ装置で、窒化物半導体発光素子1の境界部分に分割溝を形成し、ブレーク装置で分割(割断)し、チップ形状に形成する。以上のように構成した窒化物半導体発光素子1の発光波長は、約280nmの光を発光する。そして、図1に示すように、チップ形状に形成された窒化物半導体発光素子1をCANパッケージに搭載することで、半導体発光装置Aが形成される。
【0044】
また、保持基体2は、金属製の円板状の部材であり、保持基体2の一方の面に反射カップ3が取り付けられており、反対側の面より外部ピン4が突出している。保持基体2がある程度の体積及び表面積を持つように形成されていることで、LED素子1の駆動により発生する熱を外部に放出する放熱板として作用する。
【0045】
反射カップ3はすり鉢形状の有底箱型形状を有しており、円形状の底部31と、底部31の辺縁部より拡がる側壁部32とを備えている。円形状の底部31の中央に、LED素子1が固定されている。反射カップ3の側壁部32の内面はLED素子1より出射された紫外光を効率よく反射できる鏡面に形成されている。反射カップ3の形状は、すり鉢形状の有底箱型形状に限定されるものではなく、光を上方に導く構成であれば良い。
【0046】
外部ピン4は、半導体発光装置Aの外部に配置された電源より、LED素子1を駆動するための電力を供給するための電極である。なお、図1に示す半導体発光装置Aでは、外部ピン4が3本であるものを例に説明しているが、これに限定されるものではなく、安定して電力を供給することができる構成を広く採用することが可能である。外部ピン4は、ワイヤ5と電気的に接続されている。
【0047】
図1に示すように、ワイヤ5はLED素子1に対して2本備えられており、一本はp側電極160に、もう一本はn側電極170にそれぞれ接続されている。そして、ワイヤ5を介して外部ピン4に供給された電力がLED素子1に供給する。
【0048】
キャップ部6は、金属製の円筒状の部材であり、保持基体2にLED素子1を覆うように配置される。キャップ部6は曲面部61と、曲面部61の保持基体2に固定されているのと反対側の端部を覆う平板部62と、平板部62の中央に形成された円形の貫通孔63とを備えている。なお、キャップ部6の保持基体2への固定は、例えば、溶接等の従来よく知られた方法で行われる。
【0049】
キャップ部6は金属製であるので、LED素子1より出射された光は遮断される。そのため、LED素子1より出射された光は、貫通孔63からのみ外部に出射される。なお、反射カップ3はLED素子1より出射された光が、効率よく貫通孔63に向くように、側壁部32の形状が決定されている。
【0050】
図1に示すように、半導体発光装置Aは、キャップ部6の平板部62の内側に貫通孔63を覆うように取り付けられ、少なくとも、所定の波長域の光が一定以上の透過率で透過する円板状の透光性カバー7を備えている。半導体発光装置Aでは、透光性カバー7を取り付けたキャップ部6でLED素子1を覆うことで、LED素子1を封止することが可能となっている。
【0051】
透光性カバー7についてさらに詳しく説明する。通常、LED素子1を備えた発光装置の透光性カバーの材料として、よく用いられる一般的なガラスは、紫外線を吸収する特性を有している。LED素子1は紫外線を出射する素子であるので、一般的なガラスで透光性カバー7を形成すると、半導体発光装置Aの発光効率が悪くなる場合がある。そこで、半導体発光装置Aでは、透光性カバー7は、ホウケイ酸ガラスで形成されている。なお、ホウケイ酸ガラスは、半導体レーザ素子のCANパッケージの透光性カバーとしても広く用いられている物質である。
【0052】
ホウケイ酸ガラスは図4に示すような特性を有している。図4は厚さ1mmのホウケイ酸ガラスの光透過率の波長依存性を示す図である。図4に示すようにホウケイ酸ガラスは、およそ250nm〜300nmあたりで光透過率が低下している。つまり、ホウケイ酸ガラスの透光性カバー7は、およそ250nm〜300nmの波長の紫外光もしくは深紫外光の吸収率が高く、紫外光よりも波長の長い可視光では透過率が高くなっている。すなわち、このホウケイ酸ガラスで形成された透光性カバー7を用いることで、波長約300nm以上の紫外光又は深紫外光の吸収が抑えられ、半導体発光装置Aの発光効率を上げることが可能である。
【0053】
透光性カバー7の平板部62と接触する面と反対側の面には、紫外光励起蛍光体8が備えられている。紫外光励起蛍光体8は、紫外、もしくは深紫外領域の光により励起され、可視光領域の光を発光する蛍光体である。
【0054】
半導体発光装置Aにおいて、透光性カバー7の中央部分は、LED素子1から出射される、紫外もしくは深紫外光の強度が強い領域である。そのため、中央部分に紫外光励起蛍光体8を形成すると、紫外もしくは深紫外光の吸収量が多くなり、光出力の大きなロスになる。そのため、紫外光励起蛍光体8は、透光性カバー7の中央部分を除き、周辺部分に配置される円環状の部材としている。紫外光もしくは深紫外光により励起される紫外光励起蛍光体8は、透光性カバー7の内側(キャップ部6の内側)に形成されている。
【0055】
半導体発光装置Aでは、LED素子1より発光され貫通孔63から外部に出射される光は、透光性カバー7を通過する。透光性カバー7の周辺部分には、紫外光励起蛍光体8が形成されているので、透光性カバー7の中央部分は紫外光もしくは深紫外光がそのまま(一部吸収されて)透過する。また、透光性カバー7の周辺部分には紫外光励起蛍光体8が形成されているので、透光性カバー7の周辺部分では紫外光励起蛍光体8が紫外光により励起された可視光が透過する。このことから、キャップ部6の貫通孔63より出射される光は、中央部分が紫外光(深紫外光も含む)であり、周辺部分では大部分が可視光である。透光性カバー7で吸収される波長域の紫外光が紫外光励起蛍光体8で可視光に変換され、透光性カバー7を透過するので、LED素子1より出射される光を有効に利用することができる。
【0056】
紫外光励起蛍光体8を構成する材料として、例えば、次のような材料を挙げることができる。
Ca3(PO42Ca(F,Cl)2Sb3+、Mn2+
BaMgAl10O17:Eu2+
Zn2SiO4:Mn2+
LaPo4:Tb3+
YBO3:Eu3+
Y2O3:Eu3+
また,窒化物・酸窒化物ホスト結晶にEu2+イオンを付活した、Ca-αサイアロン黄色蛍光体、CaAlSiN3(CASN)赤色蛍光体、βサイアロン緑色蛍光体、などを用いても良い。
【0057】
また、上述の材料以外にも、紫外、もしくは深紫外領域の励起光により励起され、可視光を発光する材料を広く採用することができる。なお、紫外光励起蛍光体8は、その材料によって出射される可視光の波長が変化する。紫外光励起蛍光体8の材料は、紫外光を効率よく可視光に変換できる材料で、可視化された光の波長が、人間の目の視感度が高い緑色に近い波長となるものが好ましい。半導体発光装置Aのように、紫外光励起蛍光体8がLED素子1からはなれた透光性カバー7の内側に形成することで、LED素子1からの発熱の影響を受けにくいというメリットもある。
【0058】
以下に、透光性カバー7と紫外光励起蛍光体8の製造方法について説明する。図5は本発明にかかる透光性カバー及び紫外光励起蛍光体の製造に用いる坩堝を示す図である。透光性カバー7及び紫外光励起蛍光体8は、焼結により一体的に形成する。図5に示すように、透光性カバー7は底部を有する円筒形状のガラス焼結用の坩堝700でホウケイ酸を焼結することで形成される。坩堝700は、底部の辺縁部に円環状の溝701が形成されている。円環状の溝701に上述の紫外光励起蛍光体8の材料を入れ、さらに上部にホウケイ酸を入れたのち、焼結することで、透光性カバー7と紫外光励起蛍光体8とが一体化されて形成される(特開2008−19109号公報等参照)。
【0059】
図6A、図6Bは透光性カバーと紫外光励起蛍光体の他の例を示す図である。また、図6Aに示すように、紫外光励起蛍光体8の材料をホウケイ酸に混ぜてリング状に焼結させた紫外光励起蛍光体8を、透光性カバー7に接着させて製造してもよい。この場合、可視光領域で透過性が高い接着剤で接着されることが好ましい。上記焼結方法を用いると、接着剤の吸収や接着剤の紫外光による劣化等などを考慮しなくてもよいのでより、好ましい。但し、製法は、本手法に限定されるものではない。
【0060】
また、坩堝700の溝701を途中で分断された不連続な円環状とすることで、図6Bに示すような不連続なものを形成することができる。また、溝701を坩堝700の底部の辺縁部の一か所に形成することで、紫外光励起蛍光体8を透光性カバー7の一か所に形成することも可能である。周辺部に配置可能な構成を広く採用することができる。
【0061】
この構成によると、LED素子1から出射された紫外光(深紫外領域の波長の光も含む)が紫外光励起蛍光体8に照射されることで、可視光が出射される。可視光が出射されることから、使用者が検出器等を用いなくても半導体発光装置Aが点灯しているか否かを確認することができ、誤って、目や皮膚に紫外光を照射してしまう事故を抑制することができる。
【0062】
次に、半導体発光装置Aの具体的な例について説明する。半導体発光装置A、紫外光励起蛍光体8の材料としてBaMgAl10O17:Eu2+を用いた。上述したように、LED素子1から約280nmの波長の光が素子から出射され、出射された光は、紫外光励起蛍光体8に吸収され紫外光励起蛍光体8を励起し、紫外光励起蛍光体8から、約450nmの可視光が発光される。
【0063】
本発明の発明者は、実験を繰り返すことで、保持基体2、キャップ部6及び透光性カバー7で囲まれた空間を、乾燥させた空気(ドライエアー)もしくは、窒素(N2)を封入し、さらに気密に封止することで、内部に配置された紫外光励起蛍光体8の経時劣化を大幅に抑制できる知見を得た。
【0064】
また、これらのガスで封止する際、内部露点の制御が、窒化物半導体発光素子(LED素子)1の特性安定化のために重要であることもわかった。露点が高いと、封止した内部の残留水分が多いと予想され、水の構成元素である水素によって、窒化物半導体発光素子1が劣化した(電圧上昇)ものと考えられる。具体的には、p型ドーパントであるMgと水素が反応し、電圧が上昇したものと考えられる。このような現象は、Alの組成比が高いp型のAlGaNを有し、紫外発光する窒化物半導体素子で顕著に現れると考えられる。
【0065】
そこで、初期特性と、室温・CW駆動、20mAにて500時間駆動させた後の電圧上昇を比較した。窒化物半導体発光素子1は図2に示す構造であり、コンタクト層150をp型ドープしたGaNとし、そのコンタクト層と接する層140をp型ドープしたAl0.30Ga0.70Nとしたサンプルで比較を行った。その結果、露点5℃では、0.31Vの電圧上昇が観測されたが、露点0℃では、0.25V、露点−10℃では、0.10Vの電圧上昇であった。以上のことより、露点温度を下げるにつれて、素子劣化の影響が少なくなることが分かった。中でも、−10℃以下でその影響が大幅に減少した。
【0066】
また、層140をp型ドープしたAl0.10Ga0.90Nとしたサンプルで同様の比較を行ったところ、露点が変化しても電圧の変化が0.06V程度であり、あまり変化がなかった。Al組成が0%のGaNでも、同様の比較を行ったが、電圧変化は殆ど観察されなかった。このことから、Al組成比が高いAlInGaNから構成される窒化物半導体発光素子1に特有の現象であると考えられる。
【0067】
そこで、Al組成比が高い場合の例として、層140をp型ドープしたAl0.50Ga0.50Nとしたサンプルで同様の比較を行った。その結果、露点5℃では、0.53Vの電圧上昇が観測されたが、露点0℃では、0.42V、露点−10℃では、0.23Vであった。また、さらに露点を−20℃にしたところ、0.14Vの電圧上昇が観測された。Al組成比が50%以上の層を有する窒化物半導体発光素子では、内部に封入するガスの露点温度が−10℃を更に−20℃にすることで、素子劣化の抑制が確認された。Al組成が高いほど、露点が低い方が良いと考えられる。
【0068】
以上のことから、Al組成比が高い領域、たとえば、Al組成比が50%以上の領域では、Al組成比が低いもの(例えば、Al組成10%程度のもの)に比べ、内部に封入するガスの露点を下げることによる効果が顕著に見られた。なお、内部に封入するガスの露点は、−10℃以下が好ましく、更に好ましくは、−20℃以下が好ましい。
【0069】
また、深紫外領域の光は、水による吸収が多くなり、半導体発光装置Aの特性に悪影響を与える。内部に封止するガスの露点を低くすることで、残留水分を減少させることができ、水による深紫外領域の光の吸収を抑制し、半導体発光装置Aの発光効率の低下を抑制することができる。
【0070】
さらに、波長約240nmより短い波長の光は、酸素により吸収される。これは酸素原子が光を吸収してオゾンと活性酸素に分解されるためである。発生した活性酸素は、強い酸化力を有しており、パッケージ内部に存在するものを酸化してしまうため、素子劣化の原因なる場合もある。一方、窒素は、約200nmより長い波長の光では、ほぼ分解されないため、約240nm以下の酸素による吸収が大きくなる波長より短い波長で発光する窒化物半導体発光素子1を利用する場合、封入されるガスとして、酸素が含まれる乾燥空気よりも窒素ガスが好ましい。また、以上の説明では、封止するガスとして、乾燥空気と窒素を挙げているがこれに限定されるものではなく、紫外光の吸収率が低く、窒化物半導体発光素子の各層と化学的に反応しない(しにくい)ガスを用いることも可能である。
【0071】
また、透光性カバー7の材料として、ホウケイ酸を利用しているが、サファイアを材料としてもよい。図7は厚さ1mmのサファイアガラスの光透過率の波長依存性を示す図である。図7に示すようにサファイアガラスは、およそ200nmあたりで光透過率が低下している。つまり、透光性カバー7をサファイアガラスで作製することで、LED素子1が発する光のうち200nmのよりも長い波長の紫外光もしくは深紫外光の吸収を抑えることができ、半導体発光装置Aの発光効率を上げることが可能である。また、ホウケイ酸、サファイア以外にも詳細は省略するが紫外光の吸収が低い石英ガラスを利用することも可能である。
【0072】
(第2実施形態)
本発明にかかる半導体発光装置の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる半導体発光装置の他の例を示す図である。図8に示すように、半導体発光装置Bはキャップ部6の内部配置された、反射カップ3の側壁部32に、紫外光励起蛍光体81を配置しており、それ以外は、半導体発光装置Aと同じ構成を有している。実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。なお、窒化物半導体素子1も半導体発光装置Aと同じ構成のものを用いている。
【0073】
反射カップ3の側壁部32の一部に紫外光励起蛍光体81を備えた構成であっても、紫外光励起蛍光体8より可視光が出射され、視認による半導体発光装置Bの発光状態の確認が可能である。
【0074】
半導体発呼装置Aに比べ、窒化物半導体発光素子1と紫外光励起蛍光体81の距離が近い。波長が短い光ほど、空気中などを伝播する際の光の損失が大きくなる。ことから、半導体発呼装置Aに比べ、窒化物半導体発光素子1と紫外光励起蛍光体81の距離が近い半導体発光装置Bでは、窒化物半導体発光素子1から放射された紫外光を効率よく可視光に変換することができる。
【0075】
紫外光励起蛍光体81の作成方法は、例えば、Alを用いた電気泳動法が考えられる。半導体発光装置Bでは、支持基板にAlを用いている。Alは、短波長でも高い反射率を有するからである。高い反射率を有することで、蛍光体を透過した光の吸収による発熱を抑制することができるため、蛍光体の特性劣化を抑制することができる。また、高い反射率を有する支持基板を用いることで、より効果的に光の変換が可能となるためである。さらにAlは放熱性が高いため、好ましい。故に、Al以外の金属材料を選択する場合は、反射率の高い金属を用いると良い。また、放熱性の高い材料を選択すると良い。
【0076】
また、カップ部3自体をAlで形成し、その側壁部32に電気泳動法を用いて、紫外光励起蛍光体8を形成してもよい。また、カップ部3が異なる材料で形成された場合(例えば導電性がないものなどの場合、電気泳動法での作成ができない場合がある)は、Al支持基板上に紫外光励起蛍光体81を形成したものを側壁部32に貼り付けても良い。接着剤で貼り付けを行った場合は、接着剤の劣化が危惧されるが、反射率の高い金属(たとえばAl)を用いることで、光の吸収を減らし、金属の発熱を抑制して、蛍光体の劣化や接着剤の劣化を抑制することができる。もちろん、接着剤の材質も、紫外光に耐性のある材料を選択するとより好ましい。
【0077】
上述したように、カップ部3に直接紫外光励起蛍光体81を形成する場合や支持基板に紫外光励起蛍光体81を形成しカップ部3に貼り付ける場合、紫外光励起蛍光体81が形成される材料として、紫外光に対し反射率が高く、放熱性が良好な材料が用いられることが好ましい。このような、条件を満たし、入手が容易であることからも材料としてAlを用いることが好ましい。また、Al以外の金属材料として、短波長領域で比較的反射率の高いNi、Pdなどを挙げることができる。
【0078】
(第3実施形態)
本発明にかかる半導体発光装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる半導体発光装置のさらに他の例を示す図である。図9に示す半導体発光装置Cは、透光性カバー7がキャップ部6の外部に配置されている以外は、図1に示す半導体発光装置Aと同じ構成を有しており、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。なお、窒化物半導体素子1も半導体発光装置Aと同じ構成のものを用いている。
【0079】
透光性カバー7がキャップ部6の外部に配置されていることで、キャップ部6によるLED素子1からの光の遮蔽により、透光性カバー7とキャップ部6との接続部への紫外光の照射を抑制できる。透光性カバー7とキャップ部6との接続には接着剤が用いられている場合が多く、その場合、接着剤に紫外光が照射されて劣化するのを抑制することができる。接着剤を用いない接合方法を用いた場合も、接合場所への紫外光の照射を抑制できるため、紫外光の照射による劣化を抑制できる。なお、この構成の半導体発光装置Cでは、紫外光励起蛍光体82は、透光性カバー7をキャップ部6に取り付けたとき、貫通孔63の外周部に近接するように形成される。これにより、貫通孔63の外周部を通過する光を可視化することができる。
【0080】
図10は本発明にかかる半導体発光装置のさらに他の例を示す図である。図10に示すように、半導体発光装置C2では、透光性カバー7をキャップ部6の外部に配置する構成であるので、透光性カバー7の一方の面を、例えば、透過する光を集光するための凸レンズ形状にすることができる。
【0081】
以上示した、各実施形態において、窒化物半導体発光素子が横型構造のものを例に説明したが、縦型構造のものや、フリップチップ構造などを用いることも可能である。また、窒化物半導体発光素子構造は、発光ダイオードに限定されず、半導体レーザなど、広く、紫外又は深紫外領域の紫外光を発光する半導体発光素子構造を意味する。素子構造や電極材料なども一例であり、これに限定されるものではない。また、紫外光励起蛍光体8(81、82)を透光性カバー7に形成する場合や、カップ部3に形成したものを示しているが、両方に形成する構成であってもよい。また、紫外光励起蛍光体8を不連続に形成する構成(図5参照)の場合、紫外光励起蛍光体8で可視化された光(可視光)は同一の波長の光でなくてもよく、場所により、異なる波長の光が出射されるようにしてもよい。
【0082】
また、紫外光励起蛍光体8で可視化された光が、キャップ部6の貫通孔63を通過したのち、広く拡散するように配置してもよい。このように可視光が拡散するように照射されることで、半導体発光装置から出射される光のエネルギーの高い光軸付近の光を観察しなくても、半導体発光装置が点灯しているか否か確認でき、目や皮膚にダメージを受ける危険性を減らすことができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明にかかる、半導体発光装置は、水や空気の殺菌、消毒を行う清浄装置や、紫外線を照射することで治療を行う医療機器等に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 窒化物半導体発光素子(LED素子)
2 保持基体
3 反射カップ
4 外部ピン
5 ワイヤ
6 キャップ
61 曲面部
62 平板部
63 貫通孔
7 透光性カバー
8、81、82 紫外光励起蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外又は深紫外領域の波長を有する紫外光を発光する半導体発光素子と、
上部に紫外光が通過する貫通孔を有し、前記半導体発光素子を囲むキャップ部と、
前記貫通孔を気密に塞ぐように配置され、前記紫外光の一部又は全部が透過する透光性カバーと、
前記キャップ部の内部に配置され、前記紫外光によって励起され可視光を発光する紫外光励起蛍光体とを備えていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記紫外光励起蛍光体は、前記透光性カバーの少なくとも一部に配置される請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記半導体発光素子より出射される紫外光を反射するための反射カップをさらに備え、
前記紫外光励起蛍光体は、前記反射カップの少なくとも一部に配置されている請求項1又は請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記反射カップに配置された前記半導体励起蛍光体が、紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料と接している請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記反射カップが、紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料で構成されている請求項3又は請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記紫外又は深紫外領域の紫外光を反射する材料は、アルミニウムである請求項4又は請求項5に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記キャップ部と前記透光性カバーとで囲まれた空間は気密になるように構成されており、該空間内部を乾燥させたガスにより封止している請求項1から6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
内部に封止された乾燥させたガスは、露点が−10℃以下である請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記乾燥させたガスは、乾燥空気である請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記乾燥させたガスは、窒素である請求項7に記載の半導体発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−42079(P2013−42079A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179583(P2011−179583)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】