半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体
【課題】バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1の上に形成された層間絶縁膜2,3と、層間絶縁膜2,3の上に形成された電極パッド4と、層間絶縁膜2,3の上に電極パッド4の周縁部を覆うように形成され、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部5を有する保護膜6と、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上に形成され、第1の開口部5を複数の第2の開口部5dに分割する分割体7と、保護膜6の上に第2の開口部5d内を埋め込むように形成されたバリアメタル8と、バリアメタル8の上に形成されたバンプ電極とを有している。分割体は、電極パッドとバリアメタルとの間に介在している。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1の上に形成された層間絶縁膜2,3と、層間絶縁膜2,3の上に形成された電極パッド4と、層間絶縁膜2,3の上に電極パッド4の周縁部を覆うように形成され、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部5を有する保護膜6と、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上に形成され、第1の開口部5を複数の第2の開口部5dに分割する分割体7と、保護膜6の上に第2の開口部5d内を埋め込むように形成されたバリアメタル8と、バリアメタル8の上に形成されたバンプ電極とを有している。分割体は、電極パッドとバリアメタルとの間に介在している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に、各種電子機器の実装基板に実装される従来の半導体装置の構成について、説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体装置は、層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜を有する半導体チップと、半導体チップに設けられた第1の電極パッドと、第1の電極パッド上にバリアメタルを介して形成されたバンプ電極とを有する。バリアメタルの厚さは、0.1μm〜3μmである。
【0004】
従来の半導体装置では、バリアメタルの厚さを、0.1μm〜3μmにする。これにより、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、半導体チップと実装基板との熱膨張係数の差異に基づく応力が、低誘電率絶縁膜に集中することを抑制する。これにより、低誘電率絶縁膜中のクラックの発生の抑制を試みると共に、低誘電率絶縁膜の界面での剥離の発生の抑制を試みる。
【特許文献1】特開2005−235905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本件発明者らが、鋭意検討を重ねたところ、以下に示すことを見出した。
【0006】
例えば、電解めっき等によるバリアメタルの形成時に、バリアメタルが収縮するように形成されるため、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生する。そのため、層間絶縁膜にクラックが発生する、及び/又は層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生するという問題がある。
【0007】
前記に鑑み、本発明の目的は、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜の上に形成された電極パッドと、層間絶縁膜の上に電極パッドの周縁部を覆うように形成され、電極パッドの中央部を露出する第1の開口部を有する保護膜と、電極パッドにおける第1の開口部から露出する部分の上に形成され、第1の開口部を複数の第2の開口部に分割する分割体と、保護膜の上に第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタルと、バリアメタルの上に形成されたバンプ電極とを備え、分割体は、電極パッドとバリアメタルとの間に介在していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る半導体装置によると、電極パッドとバリアメタルとの間に、第1の開口部を、複数の第2の開口部に分割する分割体が介在し、バリアメタルにおける第2の開口部内に埋め込まれた部分が、電極パッドと接触する。そのため、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0010】
さらに、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される圧縮応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜には、複数の配線が形成されていることが好ましい。
【0012】
このようにすると、既述の通り、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができるため、層間絶縁膜に形成された配線と、配線の上方に形成された電極パッドとの電気的接続が切断されて、断線が発生することを防止することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることが好ましい。
【0014】
このようにすると、層間絶縁膜が低誘電率絶縁膜である場合、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、層間絶縁膜にクラックが発生する可能性が比較的高い。そのため、層間絶縁膜が低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0015】
加えて、層間絶縁膜に形成された配線間における浮遊容量を小さくすることができる。
【0016】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、多孔質の低誘電率絶縁膜であることが好ましい。
【0017】
このようにすると、層間絶縁膜が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、既述の通り、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、層間絶縁膜にクラックが発生する可能性が比較的高い。それと共に、多孔質膜は、その上に接して形成された膜との密着性が低いため、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生する可能性が比較的高い。そのため、層間絶縁膜が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0018】
加えて、層間絶縁膜に形成された配線間における浮遊容量を小さくすることができる。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、分割体は、保護膜と一体に形成されていることが好ましく、例えば、分割体は、直線状に延びる複数の線状部を有し、線状部の一端及び他端の各々は、保護膜における第1の開口部から露出する内側面と接続されていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタルによる引っ張り応力によって、分割体が電極パッドから引き剥がされることを防止し、分割体により、電極パッドを押さえることができる。
【0021】
本発明に係る半導体装置において、第1の開口部の開口形状は、多角形状であり、線状部は、多角形状を構成する辺に直交するように配置されていることが好ましい。
【0022】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部の一端及び他端の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、複数の線状部の各々は、互いに交差するように配置され、複数の線状部の各々が互いに交差する角度は、90°であることが好ましい。
【0024】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、複数の線状部における交差領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、分割体は、環状部をさらに有し、線状部は、環状部に囲まれた領域を分割するように配置されていることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、環状部の平面形状は、多角形状であり、線状部は、環状部に直交していることが好ましい。
【0027】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部、及び環状部における直交領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、分割体の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面であることが好ましい。
【0029】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタルによる引っ張り応力を、分割体の側面によって分散させることができるため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、分割体の熱膨張係数は、バリアメタルの熱膨張係数よりも小さいことが好ましく、分割体の熱膨張係数は、電極パッドの熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。
【0031】
このようにすると、熱膨張係数の比較的大きい電極パッドと、熱膨張係数の比較的大きいバリアメタルとの間に、熱膨張係数の比較的小さい分割体が介在するため、例えば、半導体装置内の温度が上昇し、バリアメタルによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、熱膨張係数の比較的小さい分割体により、電極パッドにバリアメタルによる応力が印加されることを抑制することができる。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルは、電解めっきにより形成され、バリアメタルは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜が順次積層されてなることが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルは、無電解めっきにより形成され、バリアメタルは、第1の膜からなることが好ましい。
【0034】
このようにすると、無電解めっきによるバリアメタルの形成後にバリアメタルによって発生する引っ張り応力は、電解めっきによるバリアメタルの形成後にバリアメタルによって発生する引っ張り応力に比べて大きいため、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0035】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルには、分割体の上面を露出する分割溝が形成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、分割溝により、バリアメタルを、複数のバリアメタル部に分割することができる。そのため、バリアメタルによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、バリアメタルによる応力を小さくすることができる。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、電極パッドには、分割溝が形成され、分割溝は、分割体の下に配置されていることが好ましい。
【0038】
このようにすると、分割溝により、電極パッドを、複数の電極パッド部に分割することができる。そのため、電極パッドによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、電極パッドによる応力を小さくすることができる。
【0039】
前記の目的を達成するために、本発明に係る実装体は、本発明に係る半導体装置と、本発明に係る半導体装置が実装される実装基板とを備え、実装基板は、本発明に係る半導体装置のバンプ電極に接続される電極を有していることを特徴とする。
【0040】
本発明に係る実装体によると、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0041】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体によると、電極パッドとバリアメタルとの間に、第1の開口部を、複数の第2の開口部に分割する分割体が介在し、バリアメタルにおける第2の開口部内に埋め込まれた部分が、電極パッドと接触する。そのため、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0043】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される圧縮応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図1、図2、図3、図4、図5(a) 〜(b) 、及び図6を参照しながら説明する。
【0046】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面構成について、図1、及び図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、具体的には、図2に示すI-I線における断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す拡大断面図であり、具体的には、図1に示す分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である
本実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、半導体基板1と、半導体基板1の上に形成された第1の層間絶縁膜2と、第1の層間絶縁膜2の上に形成された第2の層間絶縁膜3と、第2の層間絶縁膜3の上に形成された電極パッド4と、第2の層間絶縁膜3の上に電極パッド4の周縁部を覆うように形成され、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部5を有する保護膜6と、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上に、保護膜6と一体に形成され、第1の開口部5を、複数の第2の開口部(図4:5d参照)に分割する分割体7と、保護膜6の上に第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタル8と、バリアメタル8の上に形成されたバンプ電極9とを備えている。
【0047】
バリアメタル8は、第2の開口部5d内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。分割体7は、電極パッド4とバリアメタル8との間に介在している。
【0048】
半導体基板1の上部には、複数の拡散層10が、互いに離間して形成されている。半導体基板1の上部における互いに隣り合う拡散層10同士の間には、LOCOS層11が形成されている。LOCOS層11により、互いに隣り合う拡散層10同士の間が絶縁されている。
【0049】
第1の層間絶縁膜2は、例えば、多孔質の低誘電率絶縁膜であり、具体的には例えば、フッ素がドープされた酸化ケイ素膜(SiOF膜)、又は炭素がドープされた酸化ケイ素膜(SiOC膜)等からなる。
【0050】
第1の層間絶縁膜3の下部には、複数の貫通電極12が形成されている。第1の層間絶縁膜3の上部には、複数の配線13が形成されている。配線13は、貫通電極12を介して、拡散層10と電気的に接続している。
【0051】
第2の層間絶縁膜3は、例えば、低誘電率絶縁膜であり、具体的には例えば、SiOF膜、又はSiOC膜等からなる。
【0052】
第2の層間絶縁膜3には、複数の貫通電極14が形成され、電極パッド4は、貫通電極14を介して、配線13と電気的に接続している。
【0053】
このように、配線間における浮遊容量、及び貫通電極間における浮遊容量を小さくする為に、配線12、及び貫通電極13が形成された第1の層間絶縁膜2として、多孔質の低誘電率絶縁膜を用い、貫通電極14が形成された第2の層間絶縁膜3として、低誘電率絶縁膜を用いる。
【0054】
電極パッド4は、例えば、アルミニウムからなる。
【0055】
保護膜6は、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)からなる。
【0056】
バリアメタル8は、電解めっきにより形成され、図4に示すように、例えば、チタン膜(Ti膜)8xと、銅膜(Cu膜)8yと、ニッケル膜(Ni膜)8zとが順次積層されてなる。
【0057】
バンプ電極9は、例えば、はんだからなる。
【0058】
電極パッド4とバリアメタル8との間に介在する分割体7は、熱膨張係数が、電極パッド4の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。また、分割体7は、熱膨張係数が、バリアメタル8の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。分割体7の材料としては、例えば、SiN膜等が挙げられる。
【0059】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の斜視構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す一部切欠斜視図である。
【0060】
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、既述の通り、半導体基板1と、第1の層間絶縁膜2と、第2の層間絶縁膜3と、電極パッド4と、保護膜6と、平面形状が八角形状のバリアメタル8と、バンプ電極9とを備えている。さらに、本実施形態に係る半導体装置は、図2中には図示されないが、保護膜6に形成された第1の開口部(図1:5参照)を、複数の第2の開口部(図4:5d参照)に分割する分割体(図1:7参照)を備えている。
【0061】
第1の層間絶縁膜2の上部には、既述の通り、複数の配線13が形成されている。
【0062】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の平面構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【0063】
図3に示すように、保護膜6の上に、第2の開口部(図4:5d参照)内を埋め込むように、平面形状が八角形状のバリアメタル8が形成されている。バリアメタル8の上には、平面形状が円形状のバンプ電極9が形成されている。
【0064】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る実装体について、説明する。
【0065】
本実施形態に係る実装体は、半導体装置(図1〜図3参照)と、半導体装置が実装される実装基板とを備えている。実装基板は、半導体装置のバンプ電極9に接続される電極を有している。半導体装置のバンプ電極9と、実装基板の電極とが接続されて、半導体装置が、実装基板に実装される。
【0066】
−分割体−
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成について、図5(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図5(a) 〜(b) は、分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図5(a) は、図5(b) に示すVa-Va線における断面図であり、図5(b) は、平面図である。図5(b) に示す平面図は、図5(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図5(a) に示す断面図は、図4に示す断面図と同様の断面図である。また、図5(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッドの下に形成された第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。
【0067】
図5(b) に示すように、保護膜6が、電極パッド4の周縁部を覆うように、第2の層間絶縁膜(図示せず,図5(a):3参照)の上に形成されている。保護膜6には、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部(図5(a):5参照)が形成されている。電極パッド4における第1の開口部から露出する部分の上には、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割する分割体7が形成されている。保護膜6の上には、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル8が形成されている。
【0068】
電極パッド4は、平面形状が八角形状である。
【0069】
第1の開口部は、図5(b) から判るように、下面の開口形状が八角形状であり、上面の開口形状が八角形状である。第1の開口部の側面は、下面の開口面積が上面の開口面積よりも小さくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0070】
バリアメタル8は、平面形状が八角形状である。
【0071】
分割体7は、図5(b) に示すように、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2を有する。
【0072】
線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々は、図5(b) に示すように、保護膜6における第1の開口部から露出する内側面と接続されている。このように、分割体7は、保護膜6と一体に形成されている。
【0073】
第1の開口部における下面の開口形状及び上面の開口形状は、図5(b) から判るように、八角形状であり、線状部7a1,7a2は、八角形状を構成する辺に直交するように配置されている。詳細には、下面の開口形状が八角形状を有する第1の開口部において、八角形状を構成する各辺を、第1の辺V1〜第8の辺V8とした場合、線状部7a1は、第1,第5の辺V1,V5に直交するように配置されている。線状部7a2は、第3,第7の辺V3,V7に直交するように配置されている。
【0074】
線状部7a1と線状部7a2とは、図5(b) に示すように、互いに交差するように配置されている。線状部7a1と線状部7a2とが交差する角度は、90°である。
【0075】
以下に、分割体7の形成方法について、図5(b) を参照しながら説明する。
【0076】
まず、通常の半導体装置の製造方法と同様な方法により、電極パッドが形成された第2の層間絶縁膜の上に、電極パッドを覆うように、保護膜を形成する。
【0077】
次に、4コの第2の開口部(図5(b):5d参照)の各々と対応する開口部を有するマスクを用いて、エッチングにより、保護膜におけるマスクの開口部から露出する部分を除去する。これにより、図5(b) に示すように、保護膜6に、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部を形成する。それと共に、電極パッド4における第1の開口部から露出する部分の上に、保護膜6と一体に形成され、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割する分割体7を残存させる。
【0078】
このようにして分割体7を形成することにより、分割体7の側面を、図6に示すように、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にすることができる。また、第1の開口部の側面を、図5(a) に示すように、下面の開口面積が上面の開口面積よりも小さくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にすることができる。
【0079】
以下に、本実施形態の効果について有効に説明する為に、比較例に係る半導体装置と、本実施形態に係る半導体装置とを比較する。
【0080】
比較例に係る半導体装置の構成について、図7(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図7(a) 〜(b) は、比較例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。なお、図7(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4に示す符号と同一の符号を付す。
【0081】
比較例では、図7(a) に示すように、保護膜6の上には、第1の開口部5内を埋め込むように、バリアメタル88が形成されている。バリアメタル88は、第1の開口部5内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。なお、バリアメタル88は、例えば、Ti膜88xと、Cu膜88yと、Ni膜88zとが順次積層されてなる。
【0082】
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上には、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が形成されている。保護膜6の上には、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル8が形成されている。バリアメタル8は、第2の開口部5d内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。
【0083】
比較例では、バリアメタル88における第1の開口部5内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、バリアメタル88によって応力が発生した場合、電極パッド4におけるバリアメタル88による応力が直接印加される部分は、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分である。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される応力は、比較的大きい。ここで、「応力」とは、引っ張り応力、及び圧縮応力等を含む。
【0084】
そのため、例えば、図7(b) に示すように、バリアメタル88の形成後に、バリアメタル88によって引っ張り応力が発生した場合、例えば、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生する。
【0085】
これに対し、本実施形態では、電極パッド4とバリアメタル8との間に、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が介在し、バリアメタル8における第2の開口部5d内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、バリアメタル8によって応力が発生した場合、電極パッド4におけるバリアメタル8による応力が直接印加される部分は、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分である。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される応力は、比較的小さい。
【0086】
そのため、例えば、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生した場合、第1の層間絶縁膜2にクラックが発生することを防止することができる。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生することを防止し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生することを防止することができる。
【0087】
なお、比較例に係る半導体装置において、バリアメタル88によって引っ張り応力が発生した場合、図7(b) に示すように、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生すると共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生する場合を具体例に挙げて説明したが、上記の場合に限定されるものではなく、例えば、第2の層間絶縁膜に発生したクラックが、第1の層間絶縁膜に到達し、第1の層間絶縁膜にクラックが発生する場合がある。
【0088】
本実施形態によると、電極パッド4とバリアメタル8との間に、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が介在し、バリアメタル8における第2の開口部5d内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、例えば、バリアメタル8の形成後に、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッド4におけるバリアメタル8による引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分とし、分散させることができる。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。そのため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する(又は第2,第1の層間絶縁膜3,2にクラックが発生する)ことを防止することができる。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生することを防止し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生することを防止することができる。ここで、「バリアメタルによる引っ張り応力」とは、バリアメタルによって、バリアメタル下の電極パッドを上方に引っ張る応力をいう。
【0089】
特に、第2の層間絶縁膜3が低誘電率絶縁膜である場合、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する可能性が比較的高い。そのため、第2の層間絶縁膜3が低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0090】
また特に、第1の層間絶縁膜2が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、既述の通り、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、第1の層間絶縁膜2にクラックが発生する可能性が比較的高い。それと共に、多孔質膜は、その上に形成された膜との密着性が低いため、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生する可能性が比較的高い。そのため、第1の層間絶縁膜2が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0091】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタル8によって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッド4におけるバリアメタル8による圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分とし、分散させることができる。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される圧縮応力を小さくすることができる。そのため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する(又は第2,第1の層間絶縁膜3,2にクラックが発生する)ことを防止することができる。ここで、「バリアメタルによる圧縮応力」とは、バリアメタルによって、バリアメタル下の電極パッドを下方に圧縮する応力をいう。
【0092】
加えて、本実施形態によると、線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々を、保護膜6における第1の開口部5から露出する内側面と接続し、分割体7を、保護膜6と一体に形成する。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタル8による引っ張り応力によって、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることを防止し、分割体7により、電極パッド4を押さえることができる。
【0093】
さらに、第1の開口部5における下面の開口形状及び上面の開口形状が、八角形状であり、線状部7a1,7a2を、八角形状を構成する辺に直交させるように配置する。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0094】
さらに、線状部7a1と線状部7a2とが互いに交差する交差角度を、90°にする。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2における交差領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0095】
さらに、本実施形態によると、分割体7の側面を、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にする。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタル8による引っ張り応力を、分割体7の側面によって分散させることができるため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。
【0096】
さらに、本実施形態によると、電極パッド4とバリアメタル8との間に介在する分割体7の熱膨張係数を、電極パッド4の熱膨張係数、及びバリアメタル8の熱膨張係数よりも小さくする。これにより、熱膨張係数の比較的大きい電極パッド4と、熱膨張係数の比較的大きいバリアメタル8との間に、熱膨張係数の比較的小さい分割体7が介在するため、例えば、半導体装置内の温度が上昇し、バリアメタル8によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、熱膨張係数の比較的小さい分割体7により、電極パッド4にバリアメタル8による応力が印加されることを抑制することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、図4に示すように、バリアメタル8を、電解めっきにより形成する場合、即ち、バリアメタル8が、Ti膜8x、Cu膜8y、及びNi膜8zが順次積層されてなる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
例えば、図8に示すように、バリアメタル28を、無電解めっきにより形成し、バリアメタル28が、Ni膜からなる場合でもよい。この場合、無電解めっきによるバリアメタル28の形成後にバリアメタル28によって発生する引っ張り応力は、電解めっきによるバリアメタル8の形成後にバリアメタル8によって発生する引っ張り応力に比べて大きいため、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0099】
また、本実施形態では、第1の層間絶縁膜2が、多孔質の低誘電率絶縁膜であり、第2の層間絶縁膜3が、低誘電率絶縁膜である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
また、本実施形態では、分割体7を、保護膜6と一体に形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
また、本実施形態では、分割体7によって、第1の開口部5を、4コの第2の開口部5dに分割する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、分割体によって、第1の開口部を、2コ以上の第2の開口部に分割すればよい。
【0102】
また、本実施形態では、図5(b) に示すように、電極パッド4の平面形状が八角形状であり、バリアメタル8の平面形状が八角形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
第1に例えば、電極パッドの平面形状が四角形状であり、バリアメタルの平面形状が四角形状でもよい。第2に例えば、電極パッドの平面形状が六角形状であり、バリアメタルの平面形状が六角形状でもよい。即ち、電極パッドの平面形状、及びバリアメタルの平面形状は、多角形状であればよい。ここで、本明細書中に登場する「多角形状」とは、四角形状、六角形状、及び八角形状等を含む。
【0104】
第3に例えば、電極パッドの平面形状が略円形状であり、バリアメタルの平面形状が略円形状でもよい。
【0105】
また、本実施形態では、図5(b) から判るように、第1の開口部の開口形状が、八角形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
第1に例えば、第1の開口部の開口形状が、四角形状、又は六角形状でもよい(即ち、第1の開口部の開口形状は、多角形状であればよい)。第2に例えば、第1の開口部の開口形状が、略円形状でもよい。
【0107】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する応力として、引っ張り応力、及び圧縮応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する引っ張り応力として、例えば、バリアメタル8の形成後に、バリアメタル8によって発生する引っ張り応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バリアメタルの形成時に、バリアメタルによって、引っ張り応力が発生する場合がある。
【0109】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する圧縮応力として、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時(即ち、バンプ電極9の加熱・溶融により、半導体装置のバンプ電極9と、実装基板の電極とを接続する接続時)に、バリアメタル8によって発生する圧縮応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、バリアメタルに対し熱が供給され、バリアメタルが加熱された時に、熱膨張したバリアメタルによって、圧縮応力が発生する場合がある。
【0110】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大平面図である。図9において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0111】
第1の実施形態と本実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0112】
第1の実施形態では、図5(b) に示すように、分割体7により、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割している。分割体7は、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2を有する。
【0113】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、分割体37により、第1の開口部を、8コの第2の開口部35dに分割している。分割体37は、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2と、平面形状が八角形状の環状部37bとを有する。
【0114】
線状部7a1,7a2は、環状部37bに囲まれた領域を分割するように配置されている。
【0115】
環状部37bの平面形状は、八角形状であり、線状部7a1,7a2は、環状部37bに直交している。詳細には、平面形状が八角形状の環状部37bを、第1の部分P1〜第8の部分P8に区分した場合、線状部7a1は、第1,第5の部分P1,P5に直交している。線状部7a2は、第3,第7の部分P3,P7に直交している。
【0116】
分割体37の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0117】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
加えて、分割体37により、第1の開口部5を、4コではなく、8コの第2の開口部35dに分割する。そのため、電極パッド4におけるバリアメタル8による応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が直接印加される部分を、4コの部分ではなく、8コの部分(即ち、電極パッド4における第2の開口部35dから露出する部分)とし、第1の実施形態に比べて、より分散させることができる。
【0119】
さらに、線状部7a1,7a2を、環状部37bに直交させる。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2、及び環状部37bにおける直交領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体37が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0120】
なお、本実施形態では、環状部37bの平面形状が、八角形状の場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、環状部の平面形状は、四角形状でもよい。
【0121】
<第1の実施形態の変形例1>
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置について、図10(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図10(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図10(a) は、図10(b) に示すXa-Xa線における断面図であり、図10(b) は、平面図である。図10(b) に示す平面図は、図10(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図10(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図10(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0122】
図10(a) に示すように、バリアメタル48には、分割体7の上面を露出する分割溝15が形成されている。バリアメタル48は、図10(b) に示すように、分割溝15により、4コのバリアメタル部48dに分割されている。
【0123】
図10(b) に示すように、分割溝15は、直線状に延びる2コの線状溝部15a1,15a2を有する。線状溝部15a1と線状溝部15a2とは、互いに交差するように配置されている。
【0124】
以下に、バリアメタル48に分割溝15を形成する方法について説明する。
【0125】
まず、保護膜6、及び分割体7の上に、4コの第2の開口部5dの各々と対応する開口部を有するレジストを形成する。次に、電解めっきにより、レジストに形成された4コの開口部の各々に、バリアメタル部48dを形成し、4コのバリアメタル部48dからなるバリアメタル48を形成する。その後、レジストを除去し、バリアメタル48に、分割体7の上面を露出する分割溝15を形成する。
【0126】
このように、バリアメタル48の形成方法として、電解めっきを採用した場合、レジストに形成される開口部の開口形状を調整することにより、所望の溝形状を有する分割溝15を形成することができる。
【0127】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
加えて、分割溝15により、バリアメタル48を、4コのバリアメタル部48dに分割することができる。そのため、バリアメタル48によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、第1の実施形態に比べて、バリアメタル48による応力を小さくすることができる。
【0129】
さらに、分割溝15を、電極パッド4の上ではなく、分割体7の上に設けることにより、第1の実施形態に比べて、電極パッド4とバリアメタル48とが接続する接続面積を減少させることなく、バリアメタル48を、4コのバリアメタル部48dに分割することができる。
【0130】
なお、本変形例では、バリアメタル48の形成方法として、電解めっきを採用し、この場合における分割溝15の形成方法について説明した。しかしながら、既述の通り、バリアメタルの形成方法として、無電解めっきを採用してもよい。この場合における分割溝の形成方法について、図11を参照しながら説明する。図11は、分割溝の形成方法を示す拡大断面図である。
【0131】
図11に示すように、無電解めっきにより、保護膜の上に、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル28Xを形成する。このとき、図11に示すように、バリアメタル28Xの膜厚を膜厚Tとすると、分割体7の上面における一方の端部及び他方の端部の各々から、膜厚Tに相当する距離D(D=T)だけ離れた領域まで、バリアメタル28Xが形成される。そのため、分割体7の上面の幅Wが、バリアメタル28Xの膜厚Tの2倍に相当する幅よりも大きい(W>T×2)場合、バリアメタル28Xに、分割体7の上面における両端部以外の部分を露出する分割溝15が自然に形成される。
【0132】
このように、バリアメタル28Xの形成方法として、無電解めっきを採用した場合、分割体7の上面の幅W、及びバリアメタル28Xの膜厚Tを調整することにより、バリアメタル28Xに、分割溝15を自然に形成することができる。
【0133】
<第1の実施形態の変形例2>
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置について、図12(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図12(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図12(a) は、図12(b) に示すXIIa-XIIa線における断面図であり、図12(b) は、平面図である。図12(b) に示す平面図は、図12(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図12(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図12(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0134】
図12(a) に示すように、電極パッド54には、分割溝16が形成されている。分割溝16は、分割体7の下に配置されている。分割溝16内には、保護膜6が埋め込まれている。電極パッド54は、図12(b) に示すように、分割溝16により、4コの電極パッド部54dに分割されている。
【0135】
図12(b) に示すように、分割溝16は、直線状に延びる2コの線状溝部16a1,16a2を有する。線状溝部16a1と線状溝部16a2とは、互いに交差するように配置されている。
【0136】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
加えて、分割溝16により、電極パッド54を、4コの電極パッド部54dに分割することができる。そのため、電極パッド54によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、第1の実施形態に比べて、電極パッド54による応力を小さくすることができる。
【0138】
さらに、分割溝16を、バリアメタル8の下ではなく、分割体7の下に設けることにより、第1の実施形態に比べて、電極パッド54とバリアメタル8とが接続する接続面積を減少させることなく、電極パッド54を、4コの電極パッド部54dに分割することができる。
【0139】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図13(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図13(a) 〜(b) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図13(a) は、図13(b) に示すXIIIa-XIIIa線における断面図であり、図13(b) は、平面図である。図13(b) に示す平面図は、図13(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図13(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図13(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0140】
図13(a) に示すように、分割体67が、電極パッド64における第1の開口部5から露出する部分の上に形成されている。第1の開口部5は、図13(b) に示すように、分割体67により、16コの第2の開口部65dに分割されている。
【0141】
図13(a) に示すように、バリアメタル68には、分割体67の上面を露出する分割溝75が形成されている。バリアメタル68は、図13(b) に示すように、分割溝75により、16コのバリアメタル部68dに分割されている。
【0142】
図13(a) に示すように、電極パッド64には、分割溝76が形成されている。分割溝76は、分割体67の下に配置されている。分割溝76内には、保護膜6が埋め込まれている。電極パッド64は、図13(b) から判るように、分割溝76により、16コの電極パッド部64dに分割されている。
【0143】
以下に、分割体67の構成について、図13(a) 〜(b) を参照しながら説明する。
【0144】
分割体67は、図13(b) に示すように、直線状に延びる6コの線状部67a1〜67a6を有する。
【0145】
線状部67a1〜67a6の一端及び他端の各々は、図13(b) に示すように、保護膜6における第1の開口部5から露出する内側面と接続されている。このように、分割体67は、保護膜6と一体に形成されている。
【0146】
第1の開口部5における下面の開口形状及び上面の開口形状は、図13(b) から判るように、八角形状であり、線状部67a2、及び線状部67a5の各々は、八角形状を構成する辺に直交するように配置されている。
【0147】
線状部67a1,67a2,67a3と、線状部67a4,67a5,67a6とは、図13(b) に示すように、互いに交差するように配置されている。線状部67a1,67a2,67a3と、線状部67a4,67a5,67a6とが交差する角度は、90°である。
【0148】
分割体67の側面は、図13(a) に示すように、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0149】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0150】
加えて、分割体67により、第1の開口部5を、4コではなく、16コの第2の開口部65dに分割する。そのため、電極パッド64におけるバリアメタル68による応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が直接印加される部分を、4コの部分ではなく、16コの部分(即ち、電極パッド64における第2の開口部65dから露出する部分)とし、第1の実施形態に比べて、より分散させることができる。
【0151】
さらに、分割溝75により、バリアメタル68を、16コのバリアメタル部68dに分割することができる。そのため、バリアメタル68によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、バリアメタル68による応力を小さくすることができる。
【0152】
さらに、分割溝76により、電極パッド64を、16コの電極パッド部64dに分割することができる。そのため、電極パッド64によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、電極パッド64による応力を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができるため、半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す一部切欠斜示図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図5】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体の構成を示す拡大断面図である。
【図7】(a) 〜(b) は、比較例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のその他の例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大平面図である。
【図10】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図11】分割溝の形成方法を示す拡大断面図である。
【図12】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図13】(a) 〜(b) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0155】
1 半導体基板
2 第1の層間絶縁膜
3 第2の層間絶縁膜
4,54,64 電極パッド
54d,64d 電極パッド部
5 第1の開口部
5d,35d,65d 第2の開口部
6 保護膜
7,37,67 分割体
7a1〜7a2,67a1〜67a6 線状部
37b 環状部
8,28,28X,48,68 バリアメタル
48d,68d バリアメタル部
8x Ti膜
8y Cu膜
8z Ni膜
9 バンプ電極
10 拡散層
11 LOCOS層
12 貫通電極
13 配線
14 貫通電極
15,65 分割溝
15a1,15a2 線状溝部
16,66 分割溝
16a1,16a2 線状溝部
V1〜V8 第1〜第8の辺
P1〜P8 第1〜第8の部分
T 膜厚
D 距離
W 幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に、各種電子機器の実装基板に実装される従来の半導体装置の構成について、説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体装置は、層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜を有する半導体チップと、半導体チップに設けられた第1の電極パッドと、第1の電極パッド上にバリアメタルを介して形成されたバンプ電極とを有する。バリアメタルの厚さは、0.1μm〜3μmである。
【0004】
従来の半導体装置では、バリアメタルの厚さを、0.1μm〜3μmにする。これにより、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、半導体チップと実装基板との熱膨張係数の差異に基づく応力が、低誘電率絶縁膜に集中することを抑制する。これにより、低誘電率絶縁膜中のクラックの発生の抑制を試みると共に、低誘電率絶縁膜の界面での剥離の発生の抑制を試みる。
【特許文献1】特開2005−235905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本件発明者らが、鋭意検討を重ねたところ、以下に示すことを見出した。
【0006】
例えば、電解めっき等によるバリアメタルの形成時に、バリアメタルが収縮するように形成されるため、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生する。そのため、層間絶縁膜にクラックが発生する、及び/又は層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生するという問題がある。
【0007】
前記に鑑み、本発明の目的は、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜の上に形成された電極パッドと、層間絶縁膜の上に電極パッドの周縁部を覆うように形成され、電極パッドの中央部を露出する第1の開口部を有する保護膜と、電極パッドにおける第1の開口部から露出する部分の上に形成され、第1の開口部を複数の第2の開口部に分割する分割体と、保護膜の上に第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタルと、バリアメタルの上に形成されたバンプ電極とを備え、分割体は、電極パッドとバリアメタルとの間に介在していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る半導体装置によると、電極パッドとバリアメタルとの間に、第1の開口部を、複数の第2の開口部に分割する分割体が介在し、バリアメタルにおける第2の開口部内に埋め込まれた部分が、電極パッドと接触する。そのため、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0010】
さらに、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される圧縮応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜には、複数の配線が形成されていることが好ましい。
【0012】
このようにすると、既述の通り、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができるため、層間絶縁膜に形成された配線と、配線の上方に形成された電極パッドとの電気的接続が切断されて、断線が発生することを防止することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることが好ましい。
【0014】
このようにすると、層間絶縁膜が低誘電率絶縁膜である場合、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、層間絶縁膜にクラックが発生する可能性が比較的高い。そのため、層間絶縁膜が低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0015】
加えて、層間絶縁膜に形成された配線間における浮遊容量を小さくすることができる。
【0016】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、多孔質の低誘電率絶縁膜であることが好ましい。
【0017】
このようにすると、層間絶縁膜が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、既述の通り、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、層間絶縁膜にクラックが発生する可能性が比較的高い。それと共に、多孔質膜は、その上に接して形成された膜との密着性が低いため、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生する可能性が比較的高い。そのため、層間絶縁膜が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0018】
加えて、層間絶縁膜に形成された配線間における浮遊容量を小さくすることができる。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、分割体は、保護膜と一体に形成されていることが好ましく、例えば、分割体は、直線状に延びる複数の線状部を有し、線状部の一端及び他端の各々は、保護膜における第1の開口部から露出する内側面と接続されていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタルによる引っ張り応力によって、分割体が電極パッドから引き剥がされることを防止し、分割体により、電極パッドを押さえることができる。
【0021】
本発明に係る半導体装置において、第1の開口部の開口形状は、多角形状であり、線状部は、多角形状を構成する辺に直交するように配置されていることが好ましい。
【0022】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部の一端及び他端の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、複数の線状部の各々は、互いに交差するように配置され、複数の線状部の各々が互いに交差する角度は、90°であることが好ましい。
【0024】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、複数の線状部における交差領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、分割体は、環状部をさらに有し、線状部は、環状部に囲まれた領域を分割するように配置されていることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、環状部の平面形状は、多角形状であり、線状部は、環状部に直交していることが好ましい。
【0027】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部、及び環状部における直交領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体が電極パッドから引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、分割体の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面であることが好ましい。
【0029】
このようにすると、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタルによる引っ張り応力を、分割体の側面によって分散させることができるため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、分割体の熱膨張係数は、バリアメタルの熱膨張係数よりも小さいことが好ましく、分割体の熱膨張係数は、電極パッドの熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。
【0031】
このようにすると、熱膨張係数の比較的大きい電極パッドと、熱膨張係数の比較的大きいバリアメタルとの間に、熱膨張係数の比較的小さい分割体が介在するため、例えば、半導体装置内の温度が上昇し、バリアメタルによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、熱膨張係数の比較的小さい分割体により、電極パッドにバリアメタルによる応力が印加されることを抑制することができる。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルは、電解めっきにより形成され、バリアメタルは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜が順次積層されてなることが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルは、無電解めっきにより形成され、バリアメタルは、第1の膜からなることが好ましい。
【0034】
このようにすると、無電解めっきによるバリアメタルの形成後にバリアメタルによって発生する引っ張り応力は、電解めっきによるバリアメタルの形成後にバリアメタルによって発生する引っ張り応力に比べて大きいため、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0035】
本発明に係る半導体装置において、バリアメタルには、分割体の上面を露出する分割溝が形成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、分割溝により、バリアメタルを、複数のバリアメタル部に分割することができる。そのため、バリアメタルによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、バリアメタルによる応力を小さくすることができる。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、電極パッドには、分割溝が形成され、分割溝は、分割体の下に配置されていることが好ましい。
【0038】
このようにすると、分割溝により、電極パッドを、複数の電極パッド部に分割することができる。そのため、電極パッドによって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、電極パッドによる応力を小さくすることができる。
【0039】
前記の目的を達成するために、本発明に係る実装体は、本発明に係る半導体装置と、本発明に係る半導体装置が実装される実装基板とを備え、実装基板は、本発明に係る半導体装置のバンプ電極に接続される電極を有していることを特徴とする。
【0040】
本発明に係る実装体によると、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0041】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体によると、電極パッドとバリアメタルとの間に、第1の開口部を、複数の第2の開口部に分割する分割体が介在し、バリアメタルにおける第2の開口部内に埋め込まれた部分が、電極パッドと接触する。そのため、例えば、バリアメタルの形成後に、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される引っ張り応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0043】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタルによって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッドにおけるバリアメタルによる圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッドにおける第2の開口部から露出する部分とし、分散させることができる。そのため、層間絶縁膜に印加される圧縮応力を小さくすることができるため、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図1、図2、図3、図4、図5(a) 〜(b) 、及び図6を参照しながら説明する。
【0046】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面構成について、図1、及び図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、具体的には、図2に示すI-I線における断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す拡大断面図であり、具体的には、図1に示す分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である
本実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、半導体基板1と、半導体基板1の上に形成された第1の層間絶縁膜2と、第1の層間絶縁膜2の上に形成された第2の層間絶縁膜3と、第2の層間絶縁膜3の上に形成された電極パッド4と、第2の層間絶縁膜3の上に電極パッド4の周縁部を覆うように形成され、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部5を有する保護膜6と、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上に、保護膜6と一体に形成され、第1の開口部5を、複数の第2の開口部(図4:5d参照)に分割する分割体7と、保護膜6の上に第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタル8と、バリアメタル8の上に形成されたバンプ電極9とを備えている。
【0047】
バリアメタル8は、第2の開口部5d内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。分割体7は、電極パッド4とバリアメタル8との間に介在している。
【0048】
半導体基板1の上部には、複数の拡散層10が、互いに離間して形成されている。半導体基板1の上部における互いに隣り合う拡散層10同士の間には、LOCOS層11が形成されている。LOCOS層11により、互いに隣り合う拡散層10同士の間が絶縁されている。
【0049】
第1の層間絶縁膜2は、例えば、多孔質の低誘電率絶縁膜であり、具体的には例えば、フッ素がドープされた酸化ケイ素膜(SiOF膜)、又は炭素がドープされた酸化ケイ素膜(SiOC膜)等からなる。
【0050】
第1の層間絶縁膜3の下部には、複数の貫通電極12が形成されている。第1の層間絶縁膜3の上部には、複数の配線13が形成されている。配線13は、貫通電極12を介して、拡散層10と電気的に接続している。
【0051】
第2の層間絶縁膜3は、例えば、低誘電率絶縁膜であり、具体的には例えば、SiOF膜、又はSiOC膜等からなる。
【0052】
第2の層間絶縁膜3には、複数の貫通電極14が形成され、電極パッド4は、貫通電極14を介して、配線13と電気的に接続している。
【0053】
このように、配線間における浮遊容量、及び貫通電極間における浮遊容量を小さくする為に、配線12、及び貫通電極13が形成された第1の層間絶縁膜2として、多孔質の低誘電率絶縁膜を用い、貫通電極14が形成された第2の層間絶縁膜3として、低誘電率絶縁膜を用いる。
【0054】
電極パッド4は、例えば、アルミニウムからなる。
【0055】
保護膜6は、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)からなる。
【0056】
バリアメタル8は、電解めっきにより形成され、図4に示すように、例えば、チタン膜(Ti膜)8xと、銅膜(Cu膜)8yと、ニッケル膜(Ni膜)8zとが順次積層されてなる。
【0057】
バンプ電極9は、例えば、はんだからなる。
【0058】
電極パッド4とバリアメタル8との間に介在する分割体7は、熱膨張係数が、電極パッド4の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。また、分割体7は、熱膨張係数が、バリアメタル8の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。分割体7の材料としては、例えば、SiN膜等が挙げられる。
【0059】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の斜視構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す一部切欠斜視図である。
【0060】
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、既述の通り、半導体基板1と、第1の層間絶縁膜2と、第2の層間絶縁膜3と、電極パッド4と、保護膜6と、平面形状が八角形状のバリアメタル8と、バンプ電極9とを備えている。さらに、本実施形態に係る半導体装置は、図2中には図示されないが、保護膜6に形成された第1の開口部(図1:5参照)を、複数の第2の開口部(図4:5d参照)に分割する分割体(図1:7参照)を備えている。
【0061】
第1の層間絶縁膜2の上部には、既述の通り、複数の配線13が形成されている。
【0062】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の平面構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【0063】
図3に示すように、保護膜6の上に、第2の開口部(図4:5d参照)内を埋め込むように、平面形状が八角形状のバリアメタル8が形成されている。バリアメタル8の上には、平面形状が円形状のバンプ電極9が形成されている。
【0064】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る実装体について、説明する。
【0065】
本実施形態に係る実装体は、半導体装置(図1〜図3参照)と、半導体装置が実装される実装基板とを備えている。実装基板は、半導体装置のバンプ電極9に接続される電極を有している。半導体装置のバンプ電極9と、実装基板の電極とが接続されて、半導体装置が、実装基板に実装される。
【0066】
−分割体−
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成について、図5(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図5(a) 〜(b) は、分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図5(a) は、図5(b) に示すVa-Va線における断面図であり、図5(b) は、平面図である。図5(b) に示す平面図は、図5(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図5(a) に示す断面図は、図4に示す断面図と同様の断面図である。また、図5(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッドの下に形成された第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。
【0067】
図5(b) に示すように、保護膜6が、電極パッド4の周縁部を覆うように、第2の層間絶縁膜(図示せず,図5(a):3参照)の上に形成されている。保護膜6には、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部(図5(a):5参照)が形成されている。電極パッド4における第1の開口部から露出する部分の上には、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割する分割体7が形成されている。保護膜6の上には、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル8が形成されている。
【0068】
電極パッド4は、平面形状が八角形状である。
【0069】
第1の開口部は、図5(b) から判るように、下面の開口形状が八角形状であり、上面の開口形状が八角形状である。第1の開口部の側面は、下面の開口面積が上面の開口面積よりも小さくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0070】
バリアメタル8は、平面形状が八角形状である。
【0071】
分割体7は、図5(b) に示すように、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2を有する。
【0072】
線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々は、図5(b) に示すように、保護膜6における第1の開口部から露出する内側面と接続されている。このように、分割体7は、保護膜6と一体に形成されている。
【0073】
第1の開口部における下面の開口形状及び上面の開口形状は、図5(b) から判るように、八角形状であり、線状部7a1,7a2は、八角形状を構成する辺に直交するように配置されている。詳細には、下面の開口形状が八角形状を有する第1の開口部において、八角形状を構成する各辺を、第1の辺V1〜第8の辺V8とした場合、線状部7a1は、第1,第5の辺V1,V5に直交するように配置されている。線状部7a2は、第3,第7の辺V3,V7に直交するように配置されている。
【0074】
線状部7a1と線状部7a2とは、図5(b) に示すように、互いに交差するように配置されている。線状部7a1と線状部7a2とが交差する角度は、90°である。
【0075】
以下に、分割体7の形成方法について、図5(b) を参照しながら説明する。
【0076】
まず、通常の半導体装置の製造方法と同様な方法により、電極パッドが形成された第2の層間絶縁膜の上に、電極パッドを覆うように、保護膜を形成する。
【0077】
次に、4コの第2の開口部(図5(b):5d参照)の各々と対応する開口部を有するマスクを用いて、エッチングにより、保護膜におけるマスクの開口部から露出する部分を除去する。これにより、図5(b) に示すように、保護膜6に、電極パッド4の中央部を露出する第1の開口部を形成する。それと共に、電極パッド4における第1の開口部から露出する部分の上に、保護膜6と一体に形成され、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割する分割体7を残存させる。
【0078】
このようにして分割体7を形成することにより、分割体7の側面を、図6に示すように、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にすることができる。また、第1の開口部の側面を、図5(a) に示すように、下面の開口面積が上面の開口面積よりも小さくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にすることができる。
【0079】
以下に、本実施形態の効果について有効に説明する為に、比較例に係る半導体装置と、本実施形態に係る半導体装置とを比較する。
【0080】
比較例に係る半導体装置の構成について、図7(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図7(a) 〜(b) は、比較例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。なお、図7(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4に示す符号と同一の符号を付す。
【0081】
比較例では、図7(a) に示すように、保護膜6の上には、第1の開口部5内を埋め込むように、バリアメタル88が形成されている。バリアメタル88は、第1の開口部5内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。なお、バリアメタル88は、例えば、Ti膜88xと、Cu膜88yと、Ni膜88zとが順次積層されてなる。
【0082】
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分の上には、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が形成されている。保護膜6の上には、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル8が形成されている。バリアメタル8は、第2の開口部5d内に埋め込まれた部分を介して、電極パッド4と接続している。
【0083】
比較例では、バリアメタル88における第1の開口部5内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、バリアメタル88によって応力が発生した場合、電極パッド4におけるバリアメタル88による応力が直接印加される部分は、電極パッド4における第1の開口部5から露出する部分である。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される応力は、比較的大きい。ここで、「応力」とは、引っ張り応力、及び圧縮応力等を含む。
【0084】
そのため、例えば、図7(b) に示すように、バリアメタル88の形成後に、バリアメタル88によって引っ張り応力が発生した場合、例えば、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生する。
【0085】
これに対し、本実施形態では、電極パッド4とバリアメタル8との間に、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が介在し、バリアメタル8における第2の開口部5d内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、バリアメタル8によって応力が発生した場合、電極パッド4におけるバリアメタル8による応力が直接印加される部分は、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分である。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される応力は、比較的小さい。
【0086】
そのため、例えば、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生した場合、第1の層間絶縁膜2にクラックが発生することを防止することができる。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生することを防止し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生することを防止することができる。
【0087】
なお、比較例に係る半導体装置において、バリアメタル88によって引っ張り応力が発生した場合、図7(b) に示すように、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生すると共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生する場合を具体例に挙げて説明したが、上記の場合に限定されるものではなく、例えば、第2の層間絶縁膜に発生したクラックが、第1の層間絶縁膜に到達し、第1の層間絶縁膜にクラックが発生する場合がある。
【0088】
本実施形態によると、電極パッド4とバリアメタル8との間に、第1の開口部5を、複数の第2の開口部5dに分割する分割体7が介在し、バリアメタル8における第2の開口部5d内に埋め込まれた部分が、電極パッド4と接触する。そのため、例えば、バリアメタル8の形成後に、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、電極パッド4におけるバリアメタル8による引っ張り応力が直接印加される部分を、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分とし、分散させることができる。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。そのため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する(又は第2,第1の層間絶縁膜3,2にクラックが発生する)ことを防止することができる。それと共に、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生することを防止し、配線13と貫通電極14との電気的接続が切断されて断線が発生することを防止することができる。ここで、「バリアメタルによる引っ張り応力」とは、バリアメタルによって、バリアメタル下の電極パッドを上方に引っ張る応力をいう。
【0089】
特に、第2の層間絶縁膜3が低誘電率絶縁膜である場合、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する可能性が比較的高い。そのため、第2の層間絶縁膜3が低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0090】
また特に、第1の層間絶縁膜2が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、既述の通り、低誘電率絶縁膜は、機械的強度が弱いため、第1の層間絶縁膜2にクラックが発生する可能性が比較的高い。それと共に、多孔質膜は、その上に形成された膜との密着性が低いため、第1の層間絶縁膜2と第2の層間絶縁膜3との界面に剥離が発生する可能性が比較的高い。そのため、第1の層間絶縁膜2が多孔質の低誘電率絶縁膜である場合、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0091】
さらに、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時に、バリアメタル8によって圧縮応力が発生することがあっても、電極パッド4におけるバリアメタル8による圧縮応力が直接印加される部分を、電極パッド4における第2の開口部5dから露出する部分とし、分散させることができる。そのため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される圧縮応力を小さくすることができる。そのため、第2の層間絶縁膜3にクラックが発生する(又は第2,第1の層間絶縁膜3,2にクラックが発生する)ことを防止することができる。ここで、「バリアメタルによる圧縮応力」とは、バリアメタルによって、バリアメタル下の電極パッドを下方に圧縮する応力をいう。
【0092】
加えて、本実施形態によると、線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々を、保護膜6における第1の開口部5から露出する内側面と接続し、分割体7を、保護膜6と一体に形成する。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタル8による引っ張り応力によって、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることを防止し、分割体7により、電極パッド4を押さえることができる。
【0093】
さらに、第1の開口部5における下面の開口形状及び上面の開口形状が、八角形状であり、線状部7a1,7a2を、八角形状を構成する辺に直交させるように配置する。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2の一端及び他端の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0094】
さらに、線状部7a1と線状部7a2とが互いに交差する交差角度を、90°にする。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2における交差領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体7が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0095】
さらに、本実施形態によると、分割体7の側面を、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面にする。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、バリアメタル8による引っ張り応力を、分割体7の側面によって分散させることができるため、第2,第1の層間絶縁膜3,2に印加される引っ張り応力を小さくすることができる。
【0096】
さらに、本実施形態によると、電極パッド4とバリアメタル8との間に介在する分割体7の熱膨張係数を、電極パッド4の熱膨張係数、及びバリアメタル8の熱膨張係数よりも小さくする。これにより、熱膨張係数の比較的大きい電極パッド4と、熱膨張係数の比較的大きいバリアメタル8との間に、熱膨張係数の比較的小さい分割体7が介在するため、例えば、半導体装置内の温度が上昇し、バリアメタル8によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、熱膨張係数の比較的小さい分割体7により、電極パッド4にバリアメタル8による応力が印加されることを抑制することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、図4に示すように、バリアメタル8を、電解めっきにより形成する場合、即ち、バリアメタル8が、Ti膜8x、Cu膜8y、及びNi膜8zが順次積層されてなる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
例えば、図8に示すように、バリアメタル28を、無電解めっきにより形成し、バリアメタル28が、Ni膜からなる場合でもよい。この場合、無電解めっきによるバリアメタル28の形成後にバリアメタル28によって発生する引っ張り応力は、電解めっきによるバリアメタル8の形成後にバリアメタル8によって発生する引っ張り応力に比べて大きいため、本発明の効果を有効に発揮することができる。
【0099】
また、本実施形態では、第1の層間絶縁膜2が、多孔質の低誘電率絶縁膜であり、第2の層間絶縁膜3が、低誘電率絶縁膜である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
また、本実施形態では、分割体7を、保護膜6と一体に形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
また、本実施形態では、分割体7によって、第1の開口部5を、4コの第2の開口部5dに分割する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、分割体によって、第1の開口部を、2コ以上の第2の開口部に分割すればよい。
【0102】
また、本実施形態では、図5(b) に示すように、電極パッド4の平面形状が八角形状であり、バリアメタル8の平面形状が八角形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
第1に例えば、電極パッドの平面形状が四角形状であり、バリアメタルの平面形状が四角形状でもよい。第2に例えば、電極パッドの平面形状が六角形状であり、バリアメタルの平面形状が六角形状でもよい。即ち、電極パッドの平面形状、及びバリアメタルの平面形状は、多角形状であればよい。ここで、本明細書中に登場する「多角形状」とは、四角形状、六角形状、及び八角形状等を含む。
【0104】
第3に例えば、電極パッドの平面形状が略円形状であり、バリアメタルの平面形状が略円形状でもよい。
【0105】
また、本実施形態では、図5(b) から判るように、第1の開口部の開口形状が、八角形状である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
第1に例えば、第1の開口部の開口形状が、四角形状、又は六角形状でもよい(即ち、第1の開口部の開口形状は、多角形状であればよい)。第2に例えば、第1の開口部の開口形状が、略円形状でもよい。
【0107】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する応力として、引っ張り応力、及び圧縮応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する引っ張り応力として、例えば、バリアメタル8の形成後に、バリアメタル8によって発生する引っ張り応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バリアメタルの形成時に、バリアメタルによって、引っ張り応力が発生する場合がある。
【0109】
また、本実施形態では、バリアメタル8によって発生する圧縮応力として、例えば、半導体装置を実装基板に実装する実装時(即ち、バンプ電極9の加熱・溶融により、半導体装置のバンプ電極9と、実装基板の電極とを接続する接続時)に、バリアメタル8によって発生する圧縮応力を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、バリアメタルに対し熱が供給され、バリアメタルが加熱された時に、熱膨張したバリアメタルによって、圧縮応力が発生する場合がある。
【0110】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大平面図である。図9において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0111】
第1の実施形態と本実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0112】
第1の実施形態では、図5(b) に示すように、分割体7により、第1の開口部を、4コの第2の開口部5dに分割している。分割体7は、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2を有する。
【0113】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、分割体37により、第1の開口部を、8コの第2の開口部35dに分割している。分割体37は、直線状に延びる2コの線状部7a1,7a2と、平面形状が八角形状の環状部37bとを有する。
【0114】
線状部7a1,7a2は、環状部37bに囲まれた領域を分割するように配置されている。
【0115】
環状部37bの平面形状は、八角形状であり、線状部7a1,7a2は、環状部37bに直交している。詳細には、平面形状が八角形状の環状部37bを、第1の部分P1〜第8の部分P8に区分した場合、線状部7a1は、第1,第5の部分P1,P5に直交している。線状部7a2は、第3,第7の部分P3,P7に直交している。
【0116】
分割体37の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0117】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
加えて、分割体37により、第1の開口部5を、4コではなく、8コの第2の開口部35dに分割する。そのため、電極パッド4におけるバリアメタル8による応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が直接印加される部分を、4コの部分ではなく、8コの部分(即ち、電極パッド4における第2の開口部35dから露出する部分)とし、第1の実施形態に比べて、より分散させることができる。
【0119】
さらに、線状部7a1,7a2を、環状部37bに直交させる。これにより、バリアメタル8によって引っ張り応力が発生することがあっても、線状部7a1,7a2、及び環状部37bにおける直交領域に存在する部分の各々に、均等に引っ張り応力を印加することができるため、分割体37が電極パッド4から引き剥がされることをさらに防止することができる。
【0120】
なお、本実施形態では、環状部37bの平面形状が、八角形状の場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、環状部の平面形状は、四角形状でもよい。
【0121】
<第1の実施形態の変形例1>
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置について、図10(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図10(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図10(a) は、図10(b) に示すXa-Xa線における断面図であり、図10(b) は、平面図である。図10(b) に示す平面図は、図10(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図10(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図10(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0122】
図10(a) に示すように、バリアメタル48には、分割体7の上面を露出する分割溝15が形成されている。バリアメタル48は、図10(b) に示すように、分割溝15により、4コのバリアメタル部48dに分割されている。
【0123】
図10(b) に示すように、分割溝15は、直線状に延びる2コの線状溝部15a1,15a2を有する。線状溝部15a1と線状溝部15a2とは、互いに交差するように配置されている。
【0124】
以下に、バリアメタル48に分割溝15を形成する方法について説明する。
【0125】
まず、保護膜6、及び分割体7の上に、4コの第2の開口部5dの各々と対応する開口部を有するレジストを形成する。次に、電解めっきにより、レジストに形成された4コの開口部の各々に、バリアメタル部48dを形成し、4コのバリアメタル部48dからなるバリアメタル48を形成する。その後、レジストを除去し、バリアメタル48に、分割体7の上面を露出する分割溝15を形成する。
【0126】
このように、バリアメタル48の形成方法として、電解めっきを採用した場合、レジストに形成される開口部の開口形状を調整することにより、所望の溝形状を有する分割溝15を形成することができる。
【0127】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
加えて、分割溝15により、バリアメタル48を、4コのバリアメタル部48dに分割することができる。そのため、バリアメタル48によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、第1の実施形態に比べて、バリアメタル48による応力を小さくすることができる。
【0129】
さらに、分割溝15を、電極パッド4の上ではなく、分割体7の上に設けることにより、第1の実施形態に比べて、電極パッド4とバリアメタル48とが接続する接続面積を減少させることなく、バリアメタル48を、4コのバリアメタル部48dに分割することができる。
【0130】
なお、本変形例では、バリアメタル48の形成方法として、電解めっきを採用し、この場合における分割溝15の形成方法について説明した。しかしながら、既述の通り、バリアメタルの形成方法として、無電解めっきを採用してもよい。この場合における分割溝の形成方法について、図11を参照しながら説明する。図11は、分割溝の形成方法を示す拡大断面図である。
【0131】
図11に示すように、無電解めっきにより、保護膜の上に、第2の開口部5d内を埋め込むように、バリアメタル28Xを形成する。このとき、図11に示すように、バリアメタル28Xの膜厚を膜厚Tとすると、分割体7の上面における一方の端部及び他方の端部の各々から、膜厚Tに相当する距離D(D=T)だけ離れた領域まで、バリアメタル28Xが形成される。そのため、分割体7の上面の幅Wが、バリアメタル28Xの膜厚Tの2倍に相当する幅よりも大きい(W>T×2)場合、バリアメタル28Xに、分割体7の上面における両端部以外の部分を露出する分割溝15が自然に形成される。
【0132】
このように、バリアメタル28Xの形成方法として、無電解めっきを採用した場合、分割体7の上面の幅W、及びバリアメタル28Xの膜厚Tを調整することにより、バリアメタル28Xに、分割溝15を自然に形成することができる。
【0133】
<第1の実施形態の変形例2>
以下に、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置について、図12(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図12(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図12(a) は、図12(b) に示すXIIa-XIIa線における断面図であり、図12(b) は、平面図である。図12(b) に示す平面図は、図12(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図12(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図12(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0134】
図12(a) に示すように、電極パッド54には、分割溝16が形成されている。分割溝16は、分割体7の下に配置されている。分割溝16内には、保護膜6が埋め込まれている。電極パッド54は、図12(b) に示すように、分割溝16により、4コの電極パッド部54dに分割されている。
【0135】
図12(b) に示すように、分割溝16は、直線状に延びる2コの線状溝部16a1,16a2を有する。線状溝部16a1と線状溝部16a2とは、互いに交差するように配置されている。
【0136】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
加えて、分割溝16により、電極パッド54を、4コの電極パッド部54dに分割することができる。そのため、電極パッド54によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、第1の実施形態に比べて、電極パッド54による応力を小さくすることができる。
【0138】
さらに、分割溝16を、バリアメタル8の下ではなく、分割体7の下に設けることにより、第1の実施形態に比べて、電極パッド54とバリアメタル8とが接続する接続面積を減少させることなく、電極パッド54を、4コの電極パッド部54dに分割することができる。
【0139】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図13(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図13(a) 〜(b) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。図13(a) は、図13(b) に示すXIIIa-XIIIa線における断面図であり、図13(b) は、平面図である。図13(b) に示す平面図は、図13(a) に示す断面図と対応する平面図である。なお、図13(b) において、簡略的に図示する為に、電極パッド下の第2の層間絶縁膜、第1の層間絶縁膜、及び半導体基板の図示を省略する。また、図13(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図4〜図5(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0140】
図13(a) に示すように、分割体67が、電極パッド64における第1の開口部5から露出する部分の上に形成されている。第1の開口部5は、図13(b) に示すように、分割体67により、16コの第2の開口部65dに分割されている。
【0141】
図13(a) に示すように、バリアメタル68には、分割体67の上面を露出する分割溝75が形成されている。バリアメタル68は、図13(b) に示すように、分割溝75により、16コのバリアメタル部68dに分割されている。
【0142】
図13(a) に示すように、電極パッド64には、分割溝76が形成されている。分割溝76は、分割体67の下に配置されている。分割溝76内には、保護膜6が埋め込まれている。電極パッド64は、図13(b) から判るように、分割溝76により、16コの電極パッド部64dに分割されている。
【0143】
以下に、分割体67の構成について、図13(a) 〜(b) を参照しながら説明する。
【0144】
分割体67は、図13(b) に示すように、直線状に延びる6コの線状部67a1〜67a6を有する。
【0145】
線状部67a1〜67a6の一端及び他端の各々は、図13(b) に示すように、保護膜6における第1の開口部5から露出する内側面と接続されている。このように、分割体67は、保護膜6と一体に形成されている。
【0146】
第1の開口部5における下面の開口形状及び上面の開口形状は、図13(b) から判るように、八角形状であり、線状部67a2、及び線状部67a5の各々は、八角形状を構成する辺に直交するように配置されている。
【0147】
線状部67a1,67a2,67a3と、線状部67a4,67a5,67a6とは、図13(b) に示すように、互いに交差するように配置されている。線状部67a1,67a2,67a3と、線状部67a4,67a5,67a6とが交差する角度は、90°である。
【0148】
分割体67の側面は、図13(a) に示すように、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面である。
【0149】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0150】
加えて、分割体67により、第1の開口部5を、4コではなく、16コの第2の開口部65dに分割する。そのため、電極パッド64におけるバリアメタル68による応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が直接印加される部分を、4コの部分ではなく、16コの部分(即ち、電極パッド64における第2の開口部65dから露出する部分)とし、第1の実施形態に比べて、より分散させることができる。
【0151】
さらに、分割溝75により、バリアメタル68を、16コのバリアメタル部68dに分割することができる。そのため、バリアメタル68によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、バリアメタル68による応力を小さくすることができる。
【0152】
さらに、分割溝76により、電極パッド64を、16コの電極パッド部64dに分割することができる。そのため、電極パッド64によって応力(例えば、引っ張り応力、又は圧縮応力)が発生することがあっても、電極パッド64による応力を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、バリアメタルによって引っ張り応力が発生することがあっても、層間絶縁膜にクラックが発生することを防止すると共に、層間絶縁膜と該層間絶縁膜の上に接して形成された膜との界面に剥離が発生することを防止することができるため、半導体装置、及び該半導体装置を備えた実装体に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す一部切欠斜示図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図5】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置における分割体の構成を示す拡大断面図である。
【図7】(a) 〜(b) は、比較例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のその他の例に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大平面図である。
【図10】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図11】分割溝の形成方法を示す拡大断面図である。
【図12】(a) 〜(b) は、本発明の第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【図13】(a) 〜(b) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置における分割体を含む部分の構成を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0155】
1 半導体基板
2 第1の層間絶縁膜
3 第2の層間絶縁膜
4,54,64 電極パッド
54d,64d 電極パッド部
5 第1の開口部
5d,35d,65d 第2の開口部
6 保護膜
7,37,67 分割体
7a1〜7a2,67a1〜67a6 線状部
37b 環状部
8,28,28X,48,68 バリアメタル
48d,68d バリアメタル部
8x Ti膜
8y Cu膜
8z Ni膜
9 バンプ電極
10 拡散層
11 LOCOS層
12 貫通電極
13 配線
14 貫通電極
15,65 分割溝
15a1,15a2 線状溝部
16,66 分割溝
16a1,16a2 線状溝部
V1〜V8 第1〜第8の辺
P1〜P8 第1〜第8の部分
T 膜厚
D 距離
W 幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された電極パッドと、
前記層間絶縁膜の上に前記電極パッドの周縁部を覆うように形成され、前記電極パッドの中央部を露出する第1の開口部を有する保護膜と、
前記電極パッドにおける前記第1の開口部から露出する部分の上に形成され、前記第1の開口部を複数の第2の開口部に分割する分割体と、
前記保護膜の上に前記第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタルと、
前記バリアメタルの上に形成されたバンプ電極とを備え、
前記分割体は、前記電極パッドと前記バリアメタルとの間に介在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜には、複数の配線が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜は、多孔質の低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体は、前記保護膜と一体に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記分割体は、直線状に延びる複数の線状部を有し、
前記線状部の一端及び他端の各々は、前記保護膜における前記第1の開口部から露出する内側面と接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1の開口部の開口形状は、多角形状であり、
前記線状部は、前記多角形状を構成する辺に直交するように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記複数の線状部の各々は、互いに交差するように配置され、
前記複数の線状部の各々が互いに交差する角度は、90°であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記分割体は、環状部をさらに有し、
前記線状部は、前記環状部に囲まれた領域を分割するように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記環状部の平面形状は、多角形状であり、
前記線状部は、前記環状部に直交していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の熱膨張係数は、前記バリアメタルの熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の熱膨張係数は、前記電極パッドの熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルは、電解めっきにより形成され、
前記バリアメタルは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜が順次積層されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルは、無電解めっきにより形成され、
前記バリアメタルは、第1の膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルには、前記分割体の上面を露出する分割溝が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記電極パッドには、分割溝が形成され、
前記分割溝は、前記分割体の下に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項1に記載の半導体装置と、
前記半導体装置が実装される実装基板とを備え、
前記実装基板は、前記半導体装置の前記バンプ電極に接続される電極を有していることを特徴とする実装体。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された電極パッドと、
前記層間絶縁膜の上に前記電極パッドの周縁部を覆うように形成され、前記電極パッドの中央部を露出する第1の開口部を有する保護膜と、
前記電極パッドにおける前記第1の開口部から露出する部分の上に形成され、前記第1の開口部を複数の第2の開口部に分割する分割体と、
前記保護膜の上に前記第2の開口部内を埋め込むように形成されたバリアメタルと、
前記バリアメタルの上に形成されたバンプ電極とを備え、
前記分割体は、前記電極パッドと前記バリアメタルとの間に介在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜には、複数の配線が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜は、低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜は、多孔質の低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体は、前記保護膜と一体に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記分割体は、直線状に延びる複数の線状部を有し、
前記線状部の一端及び他端の各々は、前記保護膜における前記第1の開口部から露出する内側面と接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1の開口部の開口形状は、多角形状であり、
前記線状部は、前記多角形状を構成する辺に直交するように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記複数の線状部の各々は、互いに交差するように配置され、
前記複数の線状部の各々が互いに交差する角度は、90°であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記分割体は、環状部をさらに有し、
前記線状部は、前記環状部に囲まれた領域を分割するように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記環状部の平面形状は、多角形状であり、
前記線状部は、前記環状部に直交していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の側面は、下面の面積が上面の面積よりも大きくなるように、下面から上面に向かって傾斜する傾斜面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の熱膨張係数は、前記バリアメタルの熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記分割体の熱膨張係数は、前記電極パッドの熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルは、電解めっきにより形成され、
前記バリアメタルは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜が順次積層されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルは、無電解めっきにより形成され、
前記バリアメタルは、第1の膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記バリアメタルには、前記分割体の上面を露出する分割溝が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記電極パッドには、分割溝が形成され、
前記分割溝は、前記分割体の下に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項1に記載の半導体装置と、
前記半導体装置が実装される実装基板とを備え、
前記実装基板は、前記半導体装置の前記バンプ電極に接続される電極を有していることを特徴とする実装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−205978(P2010−205978A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50573(P2009−50573)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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