説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化する。
【解決手段】n型のシリコン基板1に形成されたMISトランジスタQ1を有する半導体装置であって、主面s1に形成されたn型ドリフト領域n1と、主面s1からn型ドリフト領域n1の途中にまで深さ方向に向かって形成され、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とを有する複数のトレンチ2と、ゲートトレンチtr1の内部にゲート絶縁膜IGを介して形成されたゲート電極EGと、ダミートレンチtr2の底部周辺のn型ドリフト領域n1に形成されたp型柱状領域pcとを有する。ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とは互いに同程度の深さであり、互いに並んで配置され、p型柱状領域pcは、n型ドリフト領域n1内において深さ方向に向かって延在するようにして形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、トレンチゲート型の電界効果トランジスタを備える半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動作電圧が高く、大電流を扱うことができる電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、所謂パワートランジスタに代表されるパワーデバイスは、情報機器、家電、車載機器等の電源や、モータドライブ装置などに幅広く用いられている。このような用途のパワートランジスタには、オン抵抗の低減が求められている。
【0003】
パワートランジスタとして、半導体基板に形成した溝(トレンチ)にMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造を形成し、厚さ方向に電流を制御するトレンチゲート型(縦型とも言う)のMIS型電界効果トランジスタ(以下、単にMISトランジスタ)が知られている。トレンチゲート型のMISトランジスタにおいて、スーパージャンクション構造(SJ構造とも言う)を適用することで、オン抵抗を低減する技術がある。スーパージャンクション構造とは、MISトランジスタのドリフト領域中にドリフト領域とは逆の極性を持つ柱状の半導体領域(柱状領域またはコラム領域とも言う)を形成した構造である。この柱状領域の適用によりドレイン−ソース間耐圧が向上し、オン抵抗低減とドレイン−ソース間耐圧向上とのトレードオフを改善し得る。
【0004】
例えば、特開2006−196518号公報(特許文献1)には、トレンチゲート型MISトランジスタの製造工程において、柱状領域を多段のイオン注入(イオン打ち込みとも言う)で形成する技術が開示されている。
【0005】
また、例えば、特開2007−12977号公報(特許文献2)には、SJ構造を有する半導体装置において、p型ボディ層へのコンタクトをコンタクトトレンチの形成により実現することで、ゲート電極の間隔を狭くし、微細化を可能にする技術が開示されている。ここでは、ゲート電極間のp型コラム層の上部に、ゲート電極のトレンチとは異なるコンタクトトレンチを有したSJMOS(Metal Oxide Semiconductor)FETの構造が開示されている。
【0006】
また、例えば、特開2006−310621号公報(特許文献3)には、トレンチゲートの下部と、トレンチゲート間のベース領域の下部とにコラム領域を設けることで、縦型パワーMOSFETを高耐圧化する技術が開示されている。ここでは、セルサイズが大きく、トレンチゲート間の距離が長い縦型パワーMOSFETの高耐圧化に適した技術である旨記載されている。
【0007】
また、例えば、特開2007−27193号公報(特許文献4)には、ボディコンタクトをとるためのシリコンエッチ用のホト工程を兼用してイオン注入を施すことで、チャネル領域の下にP型領域を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−196518号公報
【特許文献2】特開2007−12977号公報
【特許文献3】特開2006−310621号公報
【特許文献4】特開2007−27193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなスーパージャンクション構造を有するMISトランジスタの高性能化のために、本発明者が更なる低オン抵抗化技術を検討したところ、以下で説明するような課題が見出された。
【0009】
スーパージャンクション構造のMISトランジスタを低オン抵抗化するには、柱状領域のピッチ間隔を狭くする必要がある。一般的に、キャリアのドリフト領域が狭いほど、当該ドリフト領域は空乏化され易く、電界緩和され易い。電界が緩和されやすければ、ドリフト領域の不純物濃度をより高くしても耐圧を維持できる。これにより、オン抵抗の低減とドレイン−ソース間耐圧の向上との間のトレードオフが改善される。ここで、キャリアのドリフト領域を狭くするためには、当該ドリフト領域に配置した逆導電型の柱状領域のピッチ間隔を狭めることが有効である。
【0010】
しかしながら、本発明者が検討した上述の方法では、柱状領域を形成する多段のイオン注入に使用するマスクとトレンチゲートの形成に使用するマスクとの合わせ余裕(マージンとも言う)を考慮する必要があり、柱状領域のピッチ間隔を狭めていくことには限界がある。また、この方法ではイオン注入の注入エネルギーが高く、他の構成に影響を及ぼすことなく、深い領域に柱状領域を形成するのが困難である。従って、この影響を懸念してイオン注入マスクを厚くする必要がある。イオン注入マスクが厚くなるほど、パターニングの微細化は困難となり、この原因からも、柱状領域のピッチ間隔を狭めることが困難になる。
【0011】
特に、ドレイン−ソース間耐圧が100V以下の、所謂低耐圧パワーMISトランジスタでは、柱状領域のピッチを十分に狭くしないとスーパージャンクション効果を得られずに、低オン抵抗化が実現できないことが、本発明者の検討により明らかになった。このような原因から、電界効果トランジスタを有する半導体装置の更なる高性能化が困難であることが分かった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化する技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願においては複数の発明が開示されるが、そのうちの一実施例の概要を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0015】
第1導電型の半導体基板に形成された半導体装置であって、半導体基板の主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、主面から第1半導体領域の途中まで、深さ方向に向かって形成された複数の溝部と、複数の溝部のうちの第1溝部の内部にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、複数の溝部のうちの第2溝部の底部周辺の第1半導体領域に形成された第2導電型の柱状半導体領域とを有し、第1溝部と第2溝部とは互いに同程度の深さであり、互いに並んで配置され、柱状半導体領域は、第1半導体領域内において半導体基板の深さ方向に向かって延在するようにして形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される複数の発明のうち、上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
即ち、電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態1の半導体装置が有する電界効果トランジスタの構成を、図1を用いて説明する。図1には、本実施の形態1のスーパージャンクション構造を有する縦型(トレンチゲート型)MISトランジスタQ1の断面図を示している。
【0020】
本実施の形態1の縦型MISトランジスタQ1は、n型(第1導電型)のシリコン基板(半導体基板)1に形成されている。n型とは、単結晶シリコンのようなIV族半導体においてアクセプタとなる不純物よりもドナーとなる不純物を多く含み、多数キャリアが電子であるような半導体(基板または領域)の導電型を表す。これに対し、p型(第2導電型)とは、単結晶シリコンのようなIV族半導体においてドナーとなる不純物よりもアクセプタとなる不純物を多く含み、多数キャリアが正孔(ホールとも言う)であるような半導体(基板または領域)の導電型を表す。即ち、p型はn型に対して逆導電型である。
【0021】
シリコン基板1の主面s1側には、主面s1側から見て深い方から順に、n型ドリフト領域(第1半導体領域)n1、p型チャネル領域(第2半導体領域)p1、および、n型ソース領域(第3半導体領域)n2が形成されている。特に、p型チャネル領域p1はn型ドリフト領域n1と接合するようにして形成され、n型ソース領域n2はp型チャネル領域p1と接合するようにして形成されている。それぞれが配置する深さの位置関係は上述の通りであるから、p型チャネル領域p1から見れば、下面でn型ドリフト領域n1と接合し、上面でn型ソース領域n2と接合していることになる。
【0022】
n型ドリフト領域n1はn型の半導体領域であり、同じn型のシリコン基板1よりも低いn型不純物濃度を有する。n型ドリフト領域n1は、本実施の形態1のMISトランジスタにおいてドレイン領域として機能する。p型チャネル領域p1はp型の半導体領域である。p型チャネル領域は、本実施の形態1のMISトランジスタにおいてチャネル領域として機能する。n型ソース領域n2はn型の半導体領域であり、同じn型のn型ドリフト領域n1よりも高いn型不純物濃度を有する。n型ソース領域n2は、本実施の形態1のMISトランジスタにおいてソース領域として機能する。
【0023】
シリコン基板1の主面s1から深さ方向(縦方向)に向かって複数のトレンチ(複数の溝部)2が形成されている。複数のトレンチ2は、シリコン基板1の主面s1に沿って間隔を隔てて並んで配置されている。また、複数のトレンチ2、シリコン基板1の主面s1からn型ドリフト領域n1の途中まで達するように形成されている。従って、複数のトレンチ2は、n型ドリフト領域n1よりも浅い領域に配置されたp型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2を、深さ方向に貫通するようにして形成されている。言い換えれば、p型チャネル領域p1は、n型ソース領域n2よりも深く、かつ、複数のトレンチ2の底の部分よりも浅い領域に形成されていることになる。
【0024】
複数のトレンチ2は、ゲートトレンチ(第1溝部)tr1およびダミートレンチ(第2溝部)tr2によって構成されている。以下では、ゲートおよびダミートレンチtr1,tr2それぞれに関係する構成を詳しく説明する。
【0025】
ゲートトレンチtr1の内部には、ゲート絶縁膜IGを介してゲート電極EGが形成されている。より詳しくは、ゲートトレンチtr1の内壁を覆うようにして、40nm〜120nm程度の酸化シリコンを主体とする絶縁膜からなるゲート絶縁膜IGが形成されている。ここでは、ゲート−ソース間耐圧を確保するために、上記のような膜厚のゲート絶縁膜IGを適用している。そして、ゲートトレンチtr1を埋め込むようにして、ゲート絶縁膜IGを介して、多結晶シリコン(ポリシリコンとも言う)を主体とする導体膜からなるゲート電極EGが形成されている。
【0026】
ダミートレンチtr2の底部周辺のn型ドリフト領域n1には、p型の半導体領域であるp型柱状領域(柱状半導体領域)pc2が形成されている。より詳しくは、p型柱状領域は、n型ドリフト領域n1内において、ダミートレンチtr2の底部からシリコン基板1の深さ方向に向かって柱状に延在するようにして形成されている。また、本実施の形態1のMISトランジスタQ1のp型柱状領域pcは、ダミートレンチtr2底部周辺において、n型ドリフト領域n1の上部に形成されたp型チャネル領域p1と接触している。このような構造としたことによる効果は、後に詳しく説明する。
【0027】
ダミートレンチtr2内の一部を埋め込むようにして、埋め込み膜b1が形成されている。埋め込み膜b1が形成されているダミートレンチtr2内の一部とは、深さ方向に見て、ダミートレンチtr2の底部から、p型チャネル領域p1の途中の位置までの部分である。埋め込み膜b1の材料としては、例えば、多結晶シリコン、金属または金属化合物を主体とする導体膜であっても良いし、酸化シリコンまたは窒化シリコンを主体とする絶縁膜であっても良い。本実施の形態1のMISトランジスタQ1では、埋め込み膜b1として、p型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を適用する。更に、ダミートレンチtr2と埋め込み膜b1との間には、保護絶縁膜IPが配置されている。即ち、埋め込み膜b1は、ダミートレンチtr2の内壁には接触しておらず、その外側のp型チャネル領域p1およびp型柱状領域pcにも接触していない。
【0028】
更に、ダミートレンチtr2内の他の一部を埋め込むようにして、ソース電極(第1電極)ESが形成されている。ソース電極ESが形成されているダミートレンチtr2内の一部とは、上記の埋め込み膜b1が形成されていない部分である。即ち、ソース電極ESは、ダミートレンチtr2内のうち、深さ方向に見て、p型チャネル領域p1の途中の領域から上方(浅い方)を埋め込むようにして形成されている。ここで、ダミートレンチtr2の深さ方向に見てp型チャネル領域p1よりも浅い方には、p型チャネル領域p1の一部と、n型ソース領域n2とが配置されている。従って、その部分のダミートレンチtr2を埋め込むソース電極ESは、p型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2と接触し、互いに電気的に接続される。このようにして、p型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2には、ソース電極ESによって給電できる。
【0029】
また、上述のように、p型チャネル領域p1は同じp型のp型柱状領域pcとも接続している。従って、p型柱状領域pcは、p型チャネル領域p1を介してソース電極ESと電気的に接続している。
【0030】
ソース電極ESは、シリコン基板1上の複数のp型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2に共通して給電できるように、シリコン基板1の主面s1を覆うようにして形成されている。ここで、同じシリコン基板1の主面s1には、上記で説明したゲート電極EGも形成されている。ゲート電極EGとソース電極ESとは同電位として用いない場合もあるので、これらは絶縁されるべきである。この理由から、ゲート電極EGは層間絶縁膜ILによって覆われており、同じシリコン基板1の主面s1上に形成されるソース電極ESとは絶縁されている。層間絶縁膜ILは、例えば、SOG(Spin on Glass)膜やPSG(Phospho-Silicate Glass)膜などからなる絶縁膜を適用する。
【0031】
ソース電極ESはアルミニウムを主体とする導体膜である。また、このアルミニウムと各構成との密着性、特に、ダミートレンチtr2内壁であるp型チャネル領域p1やn型ソース領域n2との密着性を向上させるために、ソース電極ESの下地膜としてバリア金属EBを有していても良い。より詳しくは、ソース電極ESと、シリコン基板1の露出面や層間絶縁膜ILおよび埋め込み膜b1などとの間に、バリア金属EBを有していても良い。バリア金属EBは、アルミニウムとの密着性が高く、抵抗値の低い材料が望ましい。例えば、チタン(Ti)/窒化チタン(TiN)積層膜、または、チタンタングステン(TiW)合金膜などが適している。
【0032】
また、p型チャネル領域p1内において、ソース電極ESとp型チャネル領域p1との境界部の一部に、p型ボディコンタクト領域(第4半導体領域)p2が形成されている。p型ボディコンタクト領域p2は、p型の半導体領域であり、同じp型のp型チャネル領域p1よりも高い不純物濃度を有する。言い換えると、p型ボディコンタクト領域p2は、同じp型のp型チャネル領域p1内のうち、特に、ソース電極ESと接触する位置に形成されている。従ってソース電極ESは、p型ボディコンタクト領域p2を介してp型チャネル領域p1と電気的に接続されていることになる。このような構造としたことによる効果は、後に詳しく説明する。
【0033】
また、n型のシリコン基板1の裏面s2には、ドレイン電極(第2電極)EDが形成されている。ドレイン電極EDによって、シリコン基板1を介してn型ドリフト領域n1に通電することができる。
【0034】
本実施の形態1のMISトランジスタQ1において、複数のトレンチ2を構成するゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とは、互いに同程度の深さである。これは、後に詳しく説明するように、両者を同一の工程によって形成しているためである。本明細書中でゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とが同程度の深さであると記述した場合、深さの相違が±10%の範囲内であることを表す。これは、ゲートトレンチtr1およびダミートレンチtr2を複数のトレンチ2として同一の工程で形成する際に生じ得る深さの相違(ばらつき)である。複数のトレンチ2の形成工程に関しては、後に詳しく説明する。その深さは、例えば、シリコン基板1の主面s1から測って0.4μm〜1.2μmである。
【0035】
また、本実施の形態1のMISトランジスタQ1において、複数のトレンチ2を構成するゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とは、シリコン基板1の主面s1に沿って交互に並んで配置されている。従って、ゲートトレンチtr1に属するゲート電極EGと、ダミートレンチtr2に属するp型柱状領域pcとは、同様に交互に並んで配置されていることになる。
【0036】
本実施の形態1のMISトランジスタQ1では、シリコン基板1の主面s1に沿った方向に見たp型柱状領域pcのピッチ間隔Lcは1μm〜4μmである。本発明者が事前に検討した技術では、p型柱状領域pcをこのようなピッチ間隔Lcで配置することは困難である。言い換えれば、上記で説明したような構成の本実施の形態1のMISトランジスタQ1とすることで、1μm〜4μmのピッチ間隔Lcのp型柱状領域pcを有するスーパージャンクション構造を実現できる。この効果は、製造工程上の特徴によるものであり、後に詳しく説明する。
【0037】
以上のように、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcの狭いスーパージャンクション構造を有する縦型MISトランジスタQ1とすることで、n型ドリフト領域n1を狭めることができる。これにより、当該n型ドリフト領域n1は空乏化されやすくなる。従って、耐圧を維持しつつ、n型ドリフト領域n1の不純物濃度を上げることができ、オン抵抗を低減できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【0038】
図2および図3には、本実施の形態1のMISトランジスタQ1を平面的にみた要部平面図を示す。本図では、シリコン基板1、ゲート電極EGおよび埋め込み膜b1の構成を示している。また、便宜上、各ゲート電極EG、または、各埋め込み膜b1にそれぞれ同じハッチングを付して示している。本実施の形態1のMISトランジスタQ1において、ゲートトレンチtr1に関わるゲート電極EG、および、ダミートレンチtr2に関わる埋め込み膜b1のレイアウトは、図2のようなストライプ形状でも良いし、図3のようなメッシュ形状でも良い。
【0039】
以下では、本実施の形態1の半導体装置が有するMISトランジスタQ1の製造方法について、詳しく説明する。以下で説明するMISトランジスタQ1の各構成要素の仕様は、特筆しない限り、上記図1〜図3を用いて説明した仕様と同様である。
【0040】
図4に示すように、シリコン基板1の主面s1に、エピタキシャル成長法によってn型ドリフト領域n1を形成する。以下では、エピタキシャル成長法によって形成したn型ドリフト領域の表面を、シリコン基板1の主面s1として説明する。続いて、シリコン基板1の主面s1上に表面酸化膜3を形成する。表面酸化膜3は酸化シリコン膜であり、熱酸化法や化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法のいずれかまたは両方によって、0.4μm〜3μm程度の厚さとなるように形成する。
【0041】
次に、図5に示すように、シリコン基板1の主面s1上に形成した表面酸化膜3のうち、後に複数のトレンチ2を形成する箇所が開口するように、表面酸化膜3をパターニングする。表面酸化膜3は、フォトリソグラフィ法やエッチング法などによって、上記のようにパターニングする。続いて、表面酸化膜3をエッチングマスクとして、シリコン基板1の主面s1に異方性エッチングを施すことで、複数のトレンチ2を形成する。ここでは、n型ドリフト領域n1の途中までに達する深さとなるように異方性エッチングを調整して、複数のトレンチ2を形成する。例えば、シリコン基板1の主面s1から測った深さが、0.4μm〜1.2μmとなるように、複数のトレンチ2を形成する。以上の工程のようにして、シリコン基板1の主面s1に沿った方向に、同程度の間隔を隔てて並んで配置するように、複数のトレンチ2を形成する。
【0042】
ここで、複数のトレンチ2とは、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とによって構成される(これらは後の工程を施すことで区別され、本工程の段階では同様の仕様となっている)。言い換えれば、本工程では、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2を形成したことになる。このように、本実施の形態1の製造方法では、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とを同一の工程によって形成する。その効果については、後に詳しく説明する。
【0043】
次に、図6に示すように、複数のトレンチ2の内壁を覆うようにして、酸化シリコンを主体とする絶縁膜からなるゲート絶縁膜IGを形成する。ゲート絶縁膜IGは、熱酸化法やCVD法のいずれかまたは両方によって形成する。ここでは、ゲート−ソース間耐圧を確保するように、40nm〜120nm程度の厚さのゲート絶縁膜IGを形成する。本工程では、全ての複数のトレンチ2の内壁にゲート絶縁膜IGを形成している。
【0044】
続いて、複数のトレンチ2を含むシリコン基板1の主面s1上に、CVD法によって、多結晶シリコン膜4を形成する。その後、多結晶シリコン膜4を全面的にエッチバックして、内壁をゲート絶縁膜IGで覆った複数のトレンチ2の内部を多結晶シリコン膜4で埋め込む。このようにして、多結晶シリコン膜4からなるゲート電極EGを形成する。本工程では、全ての複数のトレンチ2の内部に埋め込むようにしてゲート電極EGを形成している。
【0045】
次に、図7に示すように、上記の構成を含むシリコン基板1の主面s1上にフォトレジスト膜5を堆積し、フォトリソグラフィ法によってパターニングする。ここでは、フォトレジスト膜5のうち、後にゲートトレンチtr1とする部分の複数のトレンチ2の上部を覆い、後にダミートレンチtr2とする部分の複数のトレンチ2の上部を開口するようにパターニングする。その後、フォトレジスト膜5をエッチングマスクとして、ゲート電極EGにエッチングを施す。このようにして、複数のトレンチ2のうち、ゲートトレンチtr1の内部にはゲート電極EGを残し、ダミートレンチtr2の内部のゲート電極EGを選択的に除去する。以上の工程のようにして、複数のトレンチ2のうちのゲートトレンチtr1の内部に、ゲート絶縁膜IGを介してゲート電極EGを形成する。
【0046】
本工程では、シリコン基板1の主面s1に沿って間隔を隔てて並ぶようにして形成した複数のトレンチ2に対して、ゲート電極EGを残すゲートトレンチtr1と、ゲート電極EGを除去するダミートレンチtr2とが交互に並んで配置するように、上記の工程を施す。言い換えれば、任意のトレンチにおいてゲート電極EGを残してゲートトレンチtr1とした場合、その両隣のトレンチにおいてはゲート電極EGを除去してダミートレンチtr2とする。そして、ダミートレンチtr2としたトレンチの両隣のトレンチは、ゲート電極EGを残してゲートトレンチtr1とする。
【0047】
次に、図8に示すように、前工程で用いたフォトレジスト膜5をイオン注入マスクとして用い、シリコン基板1に対して、例えばホウ素(B)イオンのイオン注入dp1を施す。このとき、前工程までで、フォトレジスト膜5はダミートレンチtr2の上部が開口され、かつ、ダミートレンチtr2内のゲート電極EGは除去されている。従って、イオン注入dp1は、ダミートレンチtr2の底部周辺のn型ドリフト領域n1に施されることになる。このイオン注入dp1によって、p型柱状領域pcを形成する。
【0048】
より具体的には、本工程においてp型柱状領域pcを形成するために、異なる注入エネルギーで5回程度、イオン注入dp1を施す。このようにして、深さの異なる領域にイオン注入dp1を施すことができ、シリコン基板1の深さ方向に延在するようなp型柱状領域pcを形成することができる。例えば、主面s1からの深さが0.8μmのダミートレンチtr2の下部に対して、注入エネルギー1.5MeVでイオン注入dp1を施すと、主面s1からの深さが3.2μmの領域まで不純物を注入できる。
【0049】
以上のように、本実施の形態1の製造方法では、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とを、上記図5の工程の複数のトレンチ2として同一の工程で形成する。従って、マスクずれが起こらず、より微細な加工が可能になる。そして、本実施の形態1の製造方法によれば、上記図8で説明した工程のように、p型柱状領域pcの位置はダミートレンチtr2によって規定される。即ち、p型柱状領域pcの形成位置は、微細に加工し得るダミートレンチtr2の形成位置によって規定されることになる。これにより、本実施の形態1の製造方法によれば、p型柱状領域pcのピッチ間隔をより狭くすることができる。これにより、縦型MISトランジスタの低オン抵抗化を実現できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【0050】
より定量的には、本実施の形態1の製造方法によれば、上記図5の工程では、複数のトレンチ2を全て同一の工程で形成するので、そのシリコン基板1の主面s1に沿った方向に見たピッチ間隔Ltが2μm以下となるように形成できる。そして、上記図8の工程では、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcが4μm以下となるように形成できる。このようなピッチ間隔Lcでp型柱状領域pcを配置できるのは、上述のように、ダミートレンチtr2をゲートトレンチtr1と同一の工程で形成する本実施の形態1の製造方法によるからである。本発明者の検証によれば、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcを4μm以下で配置することで、縦型MISトランジスタのオン抵抗をより低減し得ることが分かっている。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【0051】
本実施の形態1の製造方法によれば、上記のようにダミートレンチtr2を形成してから、イオン注入dp1を施すことで、そのダミートレンチdp1の深さ分だけ、より深く不純物を導入することができる。言い換えれば、ダミートレンチtr2が形成されていることで、これを形成しない場合と比較して、所望の深さの領域に不純物を導入するための注入エネルギーを低くすることができる。これにより、p型柱状領域pc以外をイオン注入dp1から保護するためのイオン注入マスクとして用いたフォトレジスト膜5を省略することができる。その工程および効果について以下で詳しく説明する。
【0052】
図9には、上記図8を用いて説明したイオン注入dp1を、イオン注入マスクを用いずに施す工程を示している。イオン注入マスクを施さなくても、上記図5の工程でパターニングした表面酸化膜3、および、上記図7の工程でゲートトレンチtr1に埋め込んだゲート電極EGがイオン注入マスクとなり、ダミートレンチtr2の底部周辺のn型ドリフト領域n1にp型柱状領域pcを形成できる。その際、仮に、ダミートレンチtr2が形成されていない場合、上記と同程度の深さの領域にp型柱状領域pcを形成するためにはより高いエネルギーでイオン注入を施さなくてはならない。これにより、表面酸化膜3を透過してシリコン基板1に不純物が導入され得る。これに対し、本実施の形態1の製造方法では、ゲートトレンチtr1と同程度に深いダミートレンチtr2を形成し、その底部にイオン注入dp1を施しているから、イオン注入マスクを適用しなくても、所望の深さの領域にp型柱状領域pcを形成できる。その効果については後に詳しく説明する。
【0053】
また、例えば、上記図7の工程において、ダミートレンチtr2内のゲート電極EGを選択的に除去する際にも、フォトレジスト膜5をエッチングマスクとして適用しない方法もある。図10に示すのは、図6で説明した工程に続く工程である。ここでは、パターニングされた表面酸化膜3およびゲート電極EGを含むシリコン基板1を覆うように、CVD法によって、酸化シリコン膜からなる保護酸化膜6を形成する。
【0054】
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィ法およびエッチング法によって保護酸化膜6をパターニングする。ここでは、保護酸化膜6のうち、後にゲートトレンチtr1とする部分の複数のトレンチ2の上部を覆い、後にダミートレンチtr2とする部分の複数のトレンチ2の上部を開口するようにパターニングする。その後、保護酸化膜6をエッチングマスクとしてゲート電極EGにエッチングを施すことで、ゲートトレンチtr1内にゲート電極EGを残し、ダミートレンチtr2内のゲート電極EGを選択的に除去する。続いて、同じ保護酸化膜6をイオン注入マスクとして、上記図8の工程と同様のイオン注入dp1を施すことで、ダミートレンチtr2の底部周辺のn型ドリフト領域n1にp型柱状領域pcを形成する。
【0055】
以上のように、上記図7、図8を用いて説明した工程でエッチングマスクおよびイオン注入マスクとして用いたフォトレジスト膜5を、本工程では、酸化シリコン膜である保護酸化膜6に置き換えて、同様の工程を施している。このように、酸化シリコン膜をイオン注入マスクとすることで、フォトレジスト膜をイオン注入マスクとするよりも、より薄いイオン注入マスクとすることができる。イオン注入マスクが薄いほど、より微細なパターンに加工することができる。即ち、本実施の形態1の製造方法のように、ゲートトレンチtr1と同一の工程で形成したダミートレンチtr2を適用することで、スーパージャンクション構造を有する縦型MISトランジスタをより微細化できる。言い換えれば、本実施の形態1の製造方法によれば、p型柱状領域pcのピッチ間隔をより狭くすることができる。これにより、縦型MISトランジスタの低オン抵抗化を実現できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0056】
本発明者は、上記の効果を定量的に検証している。例えば、上記図11の工程では、p型柱状領域pcをピッチ間隔Lcが1μmとなるように形成する場合を考える。このとき、p型柱状領域pc自体の幅はその半分程度の約0.5μmとする。そして、p型柱状領域pcを幅0.5μmとなるように形成するには、注入した不純物の横方向の拡散も考慮して0.2μm程度のマスク開口が必要になる。ここで、ダミートレンチtr2を用いない製造方法では、このような微細な開口が困難である。なぜなら、所定の深さにp型柱状領域pcを形成するためのイオン注入dp1のエネルギーが高いため、厚いイオン注入マスクを要するからである。
【0057】
これに対して、本実施の形態1の製造方法のようにダミートレンチtr2を適用してp型柱状領域pcを形成することで、イオン注入マスク(例えば、上記図11の保護絶縁膜6)を薄くできるので、上記のような0.2μm程度のマスク開口が可能になる。これにより、ピッチ間隔Lcが1μmとなるように、p型柱状領域pcを配置できる。なお、p型柱状領域pcをピッチ間隔Lcが1μmとなるように配置するには、上記図5の工程では、ピッチ間隔Ltが0.5μmとなるように複数のトレンチ2を形成する。このように、本実施の形態1の製造方法によれば、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcを1μmまで狭めることができ、縦型MISトランジスタのオン抵抗をより低減できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0058】
以上をまとめると、本実施の形態1の製造方法は、p型柱状領域pcの形成位置を規定するダミートレンチtr2をゲートトレンチtr1と同一の工程で形成することで、マスクの合わせずれを起こさずに、より微細な加工が可能となる効果を有する。更に、本実施の形態1の製造方法は、ダミートレンチtr2の底部にイオン注入dp1を施すことで、所望の深さのp型柱状領域pcをより低エネルギーのイオン注入dp1によって形成し得る効果を有する。これらの効果によって、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcを狭めることができ、結果的に縦型MISトランジスタのオン抵抗を低減できる。より定量的には、p型柱状領域pcのピッチ間隔Lcが1μm〜4μmとなるように配置できる。
【0059】
以下では、上記図8、図9または図11に続く工程を説明する。図12に示すように、シリコン基板1を主面s1側から覆うようにして埋め込み膜b1を形成し、これをエッチバックする。埋め込み膜b1としては、p型の多結晶シリコンを主体とする導体膜をCVD法などによって形成する。ここで、前工程までに、ゲートトレンチtr1をゲート電極EGで埋め込み、ダミートレンチtr2の内部を空洞にしていた。従って、本工程では、ダミートレンチtr2を埋め込むようにして、埋め込み膜b1を形成したことになる。
【0060】
また、前工程までに、ダミートレンチtr2の内壁を覆うように、ゲート絶縁膜IGを形成していた。以下では、ゲートトレンチtr1の内壁を覆うゲート絶縁膜IGと区別するために、ダミートレンチtr2を覆う部分は保護絶縁膜IPと記述する。即ち、別の言い方をすれば、上記図6の工程では、後にゲートトレンチtr1(例えば上記図7参照)となる複数のトレンチ2の内壁にゲート絶縁膜IGを形成する工程と同一の工程によって、後にダミートレンチtr2(例えば上記図7参照)となる複数のトレンチ2の内壁にも保護絶縁膜IPを形成する。そして、本図12の工程では、保護絶縁膜IPを介して、ダミートレンチtr2を埋め込むようにして埋め込み膜b1を形成することになる。
【0061】
次に、図13に示すように、シリコン基板1の主面s1上の表面酸化膜3をエッチング法などにより除去する。その後、イオン注入dp2を施すことにより、順に、p型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2を形成する。ここでは、各領域の不純物濃度の関係が上記図1を用いて説明した仕様となるようにイオン注入dp2を施す。
【0062】
また、各領域の深さの設定においても、上記図1を用いて説明した仕様となるようにイオン注入dp2を施す。即ち、シリコン基板1の主面s1側において、複数のトレンチ2よりも浅い領域にp型チャネル領域p1を形成し、p型チャネル領域p1よりも浅い領域にn型ソース領域n2を形成する。これにより、p型チャネル領域p1はn型ドリフト領域n1と接合するようにして形成し、n型ソース領域n2はpチャネル領域p1と接合するようにして形成したことになる。言い換えれば、p型チャネル領域p1において、その下面でn型ドリフト領域n1と接合し、その上面でn型ソース領域n2と接合するように、各領域を形成したことになる。
【0063】
次に、図14に示すように、シリコン基板1上において、ゲートトレンチtr1を埋め込むゲート電極EGを覆うように、SOG膜やPSG膜などからなる層間絶縁膜ILを形成する。ここでは、シリコン基板1を主面s1側から覆うようにSOG膜またはPSG膜を形成し、フォトリソグラフィ法やエッチング法などによりパターニングすることで層間絶縁膜ILを形成する。特に、ゲートトレンチtr1を埋め込むゲート電極EGを覆い、かつ、ダミートレンチtr2の上部が開口するように、層間絶縁膜ILをパターニングする。
【0064】
その後、層間絶縁膜ILをエッチングマスクとして、異方性エッチングを施す。即ち、ダミートレンチtr2を埋め込んでいる埋め込み膜b1および保護絶縁膜IPを除去する。ここでは、シリコン基板1の深さ方向に見て、シリコン基板1の主面s1からp型チャネル領域p1の途中の深さまでの部分の埋め込み膜b1を除去する。言い換えれば、本工程により、ダミートレンチtr2内において、その底部からp型チャネル領域p1の途中の位置までに残し、他を除去するように埋め込み膜b1を加工する。
【0065】
次に、図15に示すように、層間絶縁膜ILをイオン注入マスクとしてイオン注入dp3を施すことで、p型チャネル領域p1内にp型ボディコンタクト領域p2を形成する。ここで、層間絶縁膜ILから露出しているダミートレンチtr2内においては、上述のように、その底部からp型チャネル領域p1の途中までの深さには埋め込み膜b1が形成されている。従って、イオン注入dp3に曝される半導体領域は、ダミートレンチtr2の内壁として露出している部分の、p型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2なる。本工程では、特に、p型チャネル領域p1内におけるダミートレンチtr2との境界部の一部にp型ボディコンタクト領域p2を形成する。ここでは、その不純物濃度が上記図1を用いて説明した仕様となるように、イオン注入dp3を施す。
【0066】
その後、より深い領域にp型不純物を注入するように注入エネルギーを変更して、同様のイオン注入dp3を施す。より詳しくは、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとの間のn型ドリフト領域n1をp型化するように、イオン注入dp3を施す。これにより、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとを電気的に接続する。このような構造とすることの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0067】
次に、図16に示すように、シリコン基板1を主面s1側から覆うように、アルミニウムを主体とする導体膜であるソース電極ESを形成する。続いて、シリコン基板1の裏面s2にドレイン電極EDを形成する。
【0068】
ソース電極ESは、n型ソース領域n2とp型チャネル領域p1とに対して電気的に接続することを目的として形成する。従って、ソース電極ESは、各領域n2,p2が露出しているダミートレンチtr2のうち、上記図14の工程で埋め込み膜b1を除去した部分に形成する。これにより、ソース電極ESを、p型チャネル領域p1およびn型ソース領域n2と接触するように形成し、両者が互いに電気的に接続するように形成したことになる。
【0069】
なお、本実施の形態1の製造方法では、上記図15の工程でp型ボディコンタクト領域p2を形成しているから、p型チャネル領域p1は、p型ボディコンタクト領域p2を介して、ソース電極ESと電気的に接続していることになる。このような構造とすることの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0070】
また、ソース電極ESは複数のダミートレンチtr2間で共有して形成するため、シリコン基板1の主面s1全面に渡って、上記の部分のダミートレンチtr2を埋め込むようにして、ソース電極ESを形成する。
【0071】
また、ソース電極ESの下部にバリア導体膜EBを形成しても良い。その理由は、上記図1で説明した通りである。その場合には、ソース電極ESを形成する前に、シリコン基板1上に、例えば、チタン/窒化チタン積層膜、または、チタンタングステン合金膜などを形成する。その後、ソース電極ESを形成する。
【0072】
また、上記図15の工程では、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとを電気的に接続するように、イオン注入dp3を施した。従って、本図16の工程では、ソース電極ESを、p型チャネル領域p1を介してp型柱状領域pcと電気的に接続するように形成したことになる。言い換えれば、p型柱状領域pcとソース電極ESとは、p型チャネル領域p1を介して電気的に接続されている。このような構造とすることの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0073】
以上の工程によって、上記図1を用いて説明した構造を有する本実施の形態1のMISトランジスタQ1を形成することができる。
【0074】
上記図1や図15を用いた説明では、p型チャネル領域p1内にp型ボディコンタクト領域p2を形成する工程およびその構造を説明した。ソース電極ESとp型チャネル領域p1とが電気的に接続されるように両者が接触していれば良く、この観点からは、本実施の形態1のMISトランジスタQ1にとってp型ボディコンタクト領域p2は必須の構成ではない。ただし、本実施の形態1のMISトランジスタQ1においては、p型ボディコンタクト領域p2を有している方が、より好ましい。なぜなら、p型チャネル領域p1よりもp型不純物濃度が高く抵抗値が低いp型ボディコンタクト領域p2を形成することで、p型チャネル領域p1に対するソース電極ESの接触抵抗を低減できるからである。これにより、MISトランジスタQ1の電流駆動力と破壊耐性(アバランシェ耐性)はより向上する。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0075】
また、上記図1や図15を用いた説明では、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとの間のn型ドリフト領域n1をp型化して、両者を電気的に接続する工程およびその構造を説明した。スーパージャンクション構造においては、n型ドリフト領域n1の中に逆導電型のp型柱状領域pcを備えていることが効果的な構造であって、この観点からは、pチャネル領域p1とp型柱状領域pcとを接続することは必須の構成ではない。ただし、本実施の形態1のMISトランジスタQ1においては、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとは電気的に接続している方が、より好ましい。その理由を以下で説明する。
【0076】
本実施の形態1のMISトランジスタQ1において、p型柱状領域pcをp型チャネル領域p1と接続させない場合、p型柱状領域pcは、その周りをn型ドリフト領域n1で囲まれることになる。ダミートレンチtr2との接触部分にも保護絶縁膜IPが形成されている。即ち、p型柱状領域pcは、n型ドリフト領域n1内でフローティング状態となる。例えば、MISトランジスタQ1を高周波用途で用いた場合、フローティング状態のp型柱状領域pcが存在すると応答速度(スイッチング速度)が遅くなる。これに対し、p型柱状領域pcをp型チャネル領域p1と同電位に接続した本実施の形態1の構造であれば、高周波用途であっても上記のような応答速度の低下は起こり難い。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0077】
また、上記図1や図12を用いた説明では、ダミートレンチtr2内において、p型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を埋め込み膜b1として形成する工程およびその構造を説明した。本実施の形態1の製造方法では、p型柱状領域pcを形成するためのイオン注入dp1において、その形成領域を規定するため、または、より深い領域に形成するためにダミートレンチtr2を用いている。この観点からは、イオン注入dp1を施し、p型柱状領域pcを形成した後にダミートレンチtr2を埋め込む埋め込み膜b1の材料は導体膜に限定されない。例えば、酸化シリコンを主体とする絶縁膜であっても良い。ただし、本実施の形態1のMISトランジスタQ1においては、ダミートレンチtr2を埋め込むための埋め込み膜b1は、p型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を用いる方が、より好ましい。その理由を以下で説明する。
【0078】
本実施の形態1のMISトランジスタQ1では、ゲートトレンチtr1とダミートレンチtr2とは、複数のトレンチ2として同一の工程で形成する。従って、それらの深さは同程度である。言い換えれば、内部に埋め込み膜b1を備えたダミートレンチtr2は、内部にゲート電極EGを備えたゲートトレンチtr1と同程度の深さまで形成されている。この点を考慮すると、ダミートレンチtr2内の埋め込み膜b1をp型の多結晶シリコンのような導体膜とすることで、ゲート電極EGを備えるゲートトレンチtr1の底部に集中する電界を緩和して、ドレイン−ソース間耐圧を向上させることができる。これにより、n型ドリフト領域n1の不純物濃度を更に高くすることができ、オン抵抗を低減できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0079】
ここで、埋め込み膜b1として適用するのは導体膜が好ましく、その一例としてp型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を示した。そのほかにも、金属を主体とする導体膜、または、金属化合物を主体とする導体膜を適用しても、同様の効果が得られる。
【0080】
また、製法上の観点からも、埋め込み膜b1として酸化シリコンを主体とする絶縁膜をダミートレンチtr2に埋め込むよりも、多結晶シリコンを主体とする導体膜を埋め込んだ方が、埋め込み易い。より詳しくは、酸化シリコン膜を狭い溝状の孔に埋め込む際にはボイド等の空孔が生じ易い。このような空孔は、電気特性の劣化を生じる原因となる。この観点から、多結晶シリコン膜は狭い溝状の孔に埋め込んでもボイド等の空孔が生じ難く、安定した埋め込み膜b1を形成できる。これにより、特性劣化が生じ難いMISトランジスタQ1を形成できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。このような理由からも、本実施の形態1のMISトランジスタQ1の埋め込み膜b1としては、酸化シリコン膜のような絶縁膜よりも、多結晶シリコン膜のような導体膜を適用した方が、より好ましい。
【0081】
ここで、上記のような製法上の観点からは、上述した導体膜(多結晶シリコン膜、金属膜、金属化合物膜)の中でも、p型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を適用する方が、より好ましい。上述の導体膜の中では、多結晶シリコン膜が最も埋め込み性が高く、ダミートレンチtr2内に、より空孔を生じ難いからである。即ち、ダミートレンチtr2を埋め込むための埋め込み膜b1としては、製法上の観点からは、上記図12の工程のように、p型の多結晶シリコン膜を適用するのが好ましい。これにより、特性劣化がより生じ難いMISトランジスタQ1を形成できる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0082】
以上のように、本実施の形態1の製造方法によって形成した縦型MISトランジスタQ1においては、p型柱状領域pcのピッチ間隔を狭めることができる。これは、電界緩和の効果を維持しつつ、n型ドリフト領域n1の不純物濃度を向上し易い構造である。結果として、オン抵抗の低減とドレイン−ソース間耐圧の向上との間のトレードオフを改善できる。本発明者は、この効果を実際に検証している。これについて、以下で説明する。
【0083】
図17に、スーパージャンクション構造を適用しない縦型MISトランジスタと、本実施の形態1の縦型MISトランジスタQ1とにおける、チップのオン抵抗とドレイン−ソース間耐圧との関係のシミュレーション結果を示す。図中では、前者を特性r01で表し、後者を特性02で表す。この結果から、ドレインソース間耐圧が76.9V〜97.4Vの範囲において、36%〜48%程度、オン抵抗が低減していることが分かった。このように、本実施の形態1のMISトランジスタQ1によれば、ドレイン−ソース間耐圧が100V以下の低耐圧パワーMISトランジスタであっても、十分なスーパージャンクション効果が得られ、オン抵抗を低減できる。
【0084】
(実施の形態2)
本実施の形態2の半導体装置が有する電界効果トランジスタの構成を、図18を用いて説明する。図18には、本実施の形態2のスーパージャンクション構造を有する縦型MISトランジスタQ2の断面図を示している。本実施の形態2のMISトランジスタQ2は、以下で説明する構成を除いて、上記実施の形態1のMISトランジスタQ1と同様の構成を有している。当該同様の構成に関しては、同様の効果を有しているとし、ここでの重複した説明は省略する。
【0085】
図18に示すように、本実施の形態2のMISトランジスタQ2において、ダミートレンチtr2内の保護絶縁膜IPはダミートレンチtr2の底部(図中の要部100)には形成されていない。そして、この部分で、埋め込み膜b1とp型柱状領域pcとが接触している。即ち、本実施の形態2のMISトランジスタQ2では、埋め込み膜b1とp型柱状領域pcとが電気的に接続している。ここで、埋め込み膜b1としてp型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を適用すれば、p型柱状領域pcは、埋め込み膜b1を介してソース電極ESと電気的に接続した構造となる。
【0086】
このような構造とすることで、破壊耐性を向上させることができる。より詳しくは、p型柱状領域pcが導体膜である埋め込み膜b1と接続していることにより、アバランシェ降伏時のソース電極ESからp型柱状領域pcに至る経路の抵抗が小さくなる。従って、破壊耐性(アバランシェ耐性)を向上できる。なお、上記実施の形態1のMISトランジスタQ1においては、p型柱状領域pcはp型チャネル領域p1を介してソース電極ESと接続しており、この点でも同様の効果を有し得る。ただし、本実施の形態2のMISトランジスタQ2のように、更に、埋め込み膜b1を介してもソース電極ESと接続させることは、破壊耐性の向上にとってより効果的である。
【0087】
以上のように、本実施の形態2の縦型MISトランジスタQ2のように、ダミートレンチtr2の底部に保護酸化膜IPを形成せず、埋め込み膜b1を介してp型柱状領域pcとソース電極ESとを接続させることで、破壊耐性を向上させることができる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0088】
なお、本実施の形態2のMISトランジスタQ2では、埋め込み膜b1は、p型柱状領域pcとソース電極ESとを電気的に接続する役割を担うため、導体膜であることが必須の構成となる。
【0089】
以下では、本実施の形態2のMISトランジスタQ2の製造方法を説明する。以下で説明する工程を除いては、上記実施の形態1の製造方法と同様である。まず、上記図4〜図6を用いて説明した工程と同様の工程を施す。
【0090】
続く工程を、図19を用いて説明する。本工程では、ダミートレンチtr2の内部のゲート電極EGをエッチングにより除去する。この点は、上記図7で説明した工程と同様である。更に本実施の形態2の製造方法では、そのエッチングの際に、ダミートレンチtr2の底部の保護絶縁膜IPも除去する。
【0091】
これには、例えば、ゲート電極EGを除去し得るエッチング条件に加え、保護絶縁膜IPをも除去し得るエッチング条件とすることで、本工程によって保護絶縁膜IPを除去できる。このとき、シリコン基板1の深さ方向に対してのエッチングレートが高いような異方性を持つエッチング条件とすることで、ダミートレンチtr2の底部の保護絶縁膜IPを選択的に除去できる。
【0092】
また、例えば、上記図7の工程と同様にしてゲート電極EGを除去した後に、保護絶縁膜IPを除去するための異方性エッチングを追加しても良い。この場合でも、新たなエッチングマスクの形成工程等を追加する必要は無い。
【0093】
続く工程では、上記実施の形態1の製造方法において、上記図8〜図16を用いて説明した工程と同様の工程を施す。以上のようにして、上記図18を用いて説明した本実施の形態2のMISトランジスタQ2を形成できる。
【0094】
また、上記図18では、p型柱状領域pcとp型チャネル領域p1とが直接接続した構造を説明した。ここでは、破壊耐性の向上という効果に関しては、p型柱状領域は、p型チャネル領域p1および埋め込み膜b1の両方を介してソース電極ESに接続している方が好ましいことも述べた。
【0095】
一方、本実施の形態2のMISトランジスタQ2においては、p型柱状領域pcとp型チャネル領域p1とが接続しない構造を適用することも、他の効果を有する。図20に、このようなMISトランジスタQ3の構造を示す。MISトランジスタQ3においては、p型柱状領域pcとp型チャネル領域p1とが直接接触しておらず、間にn型ドリフト領域n1が存在することを除いては、上記図18を用いて説明したMISトランジスタQ2の構成と同様である。
【0096】
このような構造のMISトランジスタQ3の破壊耐性は、上記図18のMISトランジスタQ2と比較すれば低いものの、p型柱状領域pcは埋め込み膜b1を介してソース電極ESと接続しているので、耐性は十分に高い。更に、本構造を形成する工程においては、上記図15を用いて説明した工程のような、p型柱状領域pcとp型チャネル領域p1とを接続するためのイオン注入dp3を省略できる。従って、製法上、その製造工程を削減できるという効果を有する。
【0097】
また、上記実施の形態1では、p型柱状領域pcをp型チャネル領域p1に接続しないと、p型柱状領域pcがフローティング状態となることに起因する課題が生じることを説明した。これに対し、本実施の形態2のMISトランジスタQ3では、p型柱状領域pcは、ダミートレンチtr2内の埋め込み膜b1を介してソース電極ESと電気的に接続されているので、フローティング状態とはならない。これにより、本実施の形態2のMISトランジスタQ3を、例えば高周波用途として適用した場合であっても、応答速度の低下は起こり難い。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0098】
(実施の形態3)
本実施の形態3の半導体装置が有する電界効果トランジスタの構成を、図21を用いて説明する。図21には、本実施の形態3のスーパージャンクション構造を有する縦型MISトランジスタQ4の断面図を示している。本実施の形態3のMISトランジスタQ4は、以下で説明する構成を除いて、上記実施の形態1のMISトランジスタQ1と同様の構成を有している。当該同様の構成に関しては、同様の効果を有しているとし、ここでの重複した説明は省略する。
【0099】
図21に示すように、本実施の形態3のMISトランジスタQ4において、ダミートレンチtr2内には、ダミートレンチtr2を埋め込むようにして、ソース電極ESが形成されている。このソース電極ESは、上記実施の形態1および2で説明したソース電極ESと同様であり、バリア金属EBを有していても良い。即ち、上記実施の形態1および2のMISトランジスタQ1,Q2,Q3と異なり、本実施の形態3のMISトランジスタQ4は、ダミートレンチtr2内に保護絶縁膜IPや埋め込み膜b1が形成されておらず、直接、ソース電極ESが形成されている。従って、ソース電極ESは、ダミートレンチtr2の内壁において、n型ドリフト領域n1、p型チャネル領域p1、p型ボディコンタクト領域p2、n型ソース領域n2、および、p型柱状領域pcと接触することで互いに電気的に接続している。
【0100】
更に、本実施の形態3のMISトランジスタQ4は、図中の要部200に示すように、p型チャネル領域p1とp型柱状領域pcとは直接接触せず、間にn型ドリフト領域n1が配置された構造となっている。この要部200では、n型ドリフト領域n1とソース電極ESとが接触し、所謂ショットキー接合を形成している。このように、ダミートレンチtr2内にショットキー接合を有することで、本実施の形態3の縦型MISトランジスタQ4の内蔵ダイオードが動作したときのリカバリ電流を低減することができる。結果として、電界効果トランジスタを有する半導体装置をより高性能化することができる。
【0101】
なお、本実施の形態3のMISトランジスタQ3では、ダミートレンチtr2内のソース電極ESとn型ドリフト領域n1との接合によりショットキー接合を構成させる必要がある。従って、本実施の形態3のMISトランジスタQ3では、p型柱状領域pcとp型チャネル領域p1とは直接接続せず、間にn型ドリフト領域n1が配置した構造であることが必須の構成である。
【0102】
以下では、本実施の形態3のMISトランジスタQ4の製造方法を説明する。以下で説明する工程を除いては、上記実施の形態1の製造方法と同様である。まず、上記図4〜図15を用いて説明した工程と同様の工程を施す。
【0103】
続く工程を、図22を用いて説明する。本工程では、前工程で形成した層間絶縁膜ILをエッチングマスクとして、埋め込み膜b1(上記図15参照)および保護絶縁膜IP(上記図15参照)に対してエッチングを施す。このようにして、ダミートレンチtr2内の埋め込み膜b1および保護絶縁膜IPを除去する。
【0104】
その後、上記図16を用いて説明した工程と同様にして、ソース電極ESを形成することで、ダミートレンチtr2の内部をソース電極ESで埋め込んだ構造を形成することができる。続く工程でも、上記図16を用いて説明した工程と同様の工程を施す。以上のようにして、上記図21を用いて説明した本実施の形態3のMISトランジスタQ4を形成できる。
【0105】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0106】
例えば、上記実施の形態1〜3では、nチャネル型のMISトランジスタQ1〜Q4について説明したが、構成要素の導電型を入れ替えて、pチャネル型のMISトランジスタとしても、適用して同様の効果が得られる。
【0107】
また、例えば、上記実施の形態1〜3では、縦型のパワーMISトランジスタQ1〜Q4について説明したが、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)のほか、他の半導体装置にも適用して同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、種々の産業機器から電化製品において、例えば、電力制御や電源制御を行うために必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置の要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1である半導体装置の要部平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1である他の半導体装置の要部平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図9】図7に続く半導体装置の他の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図6に続く半導体装置の他の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図12】図8、図9または図11に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図17】本発明の実施の形態1である半導体装置の電気特性を説明するためのグラフ図である。
【図18】本発明の実施の形態2である半導体装置の要部断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程中であり、図6に続く製造工程中における要部断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2である他の半導体装置の要部断面図である。
【図21】本発明の実施の形態3である半導体装置の要部断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造工程中であり、図15に続く製造工程中における要部断面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 複数のトレンチ(複数の溝部)
3 表面酸化膜
4 多結晶シリコン膜
5 フォトレジスト膜
6 保護酸化膜
100,200 要部
b1 埋め込み膜
dp1〜dp3 イオン注入
ED ドレイン電極(第2電極)
EG ゲート電極
ES ソース電極(第1電極)
IG ゲート絶縁膜
IL 層間絶縁膜
IP 保護絶縁膜
Lc,Lt ピッチ間隔
n1 n型ドリフト領域(第1半導体領域)
n2 n型ソース領域(第3半導体領域)
p1 p型チャネル領域(第2半導体領域)
p2 p型ボディコンタクト領域(第4半導体領域)
pc p型柱状領域(柱状半導体領域)
Q1〜Q4 MISトランジスタ
r01,r02 特性
s1 主面
s2 裏面
tr1 ゲートトレンチ(第1溝部)
tr2 ダミートレンチ(第2溝部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1導電型の半導体基板の主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
(b)前記半導体基板の主面から深さ方向に向かって、前記第1半導体領域の途中まで達するように、かつ、前記半導体基板の主面に沿って間隔を隔てて並んで配置するように形成された複数の溝部と、
(c)前記複数の溝部を構成する第1溝部の内部において、ゲート絶縁膜を介して埋め込むようにして形成されたゲート電極と、
(d)前記第1半導体領域内において、前記複数の溝部を構成する第2溝部の底部に接触するように形成された、前記第1導電型とは逆導電型である第2導電型の柱状半導体領域とを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部とは、互いに同程度の深さであり、前記半導体基板の主面に沿って所定の間隔を隔てて、交互に並んで配置されるようにして前記複数の溝部を構成し、
前記柱状半導体領域は、前記第1半導体領域内において、前記第2溝部の底部から前記半導体基板の深さ方向に向かって柱状に延在するようにして形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板の主面に沿った方向に見た前記柱状半導体領域のピッチ間隔は、1μm〜4μmであることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、更に、
(e)前記半導体基板の主面側に形成された、第2導電型の第2半導体領域および第1導電型の第3半導体領域と、
(f)前記第2溝部内の一部を埋め込むようにして形成された埋め込み膜と、
(g)前記第2溝部内の他の一部を埋め込むようにして形成された第1電極とを有し、
前記第2半導体領域は、前記第3半導体領域よりも深く、かつ、前記複数の溝部よりも浅い領域に形成され、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域と接合するようにして形成され、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と接合するようにして形成され、
前記埋め込み膜は、前記第2溝部の底部から前記第2半導体領域の途中の深さまでを埋め込むようにして形成され、
前記第1電極は、前記第2溝部内のうち、前記埋め込み膜が形成されていない部分である前記第2半導体領域の途中の深さから上方を埋め込むようにして形成され、
前記第1電極と、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域とは、互いに接触することで電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、更に、
(h)前記第2半導体領域内に形成された第2導電型の第4半導体領域を有し、
前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域内における前記第1電極と前記第2半導体領域との境界部の一部において、前記第1電極と接触するようにして形成され、
前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域よりも高い第2導電型不純物濃度を有し、
前記第1電極は、前記第4半導体領域を介して前記第2半導体領域と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第2溝部内の前記埋め込み膜は、第2導電型の多結晶シリコンを主体とする導体膜、金属を主体とする導体膜、または、金属化合物を主体とする導体膜であり、
前記第2溝部の内壁と前記埋め込み膜との間には保護絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記第2半導体領域と前記柱状半導体領域とは接触しており、
前記柱状半導体領域は、前記第2半導体領域を介して前記第1電極と電気的に接続していること特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置において、
前記第2溝部内の前記保護絶縁膜は前記第2溝部の底部には形成されておらず、この部分で前記埋め込み膜と前記柱状半導体領域とは接触しており、
前記柱状半導体領域は、前記埋め込み膜を介して前記第1電極と電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記第2半導体領域と前記柱状半導体領域とは接触しており、
前記柱状半導体領域は、前記第2半導体領域を介しても前記第1電極と電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2記載の半導体装置において、更に、
(e)前記半導体基板の主面側に形成された、第2導電型の第2半導体領域および第1導電型の第3半導体領域と、
(f)前記第2溝部内を埋め込むようにして形成された第1電極とを有し、
前記第2半導体領域は、前記第3半導体領域よりも深く、かつ、前記複数の溝部よりも浅い領域に形成され、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域と接合するようにして形成され、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と接合するようにして形成され、
前記第1電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域および前記柱状半導体領域とは、互いに接触することで電気的に接続され、
前記第1電極と前記第1半導体領域とはショットキー接合を形成していることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
(g)前記第2半導体領域内に形成された第2導電型の第4半導体領域を有し、
前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域内における前記第1電極と前記第2半導体領域との境界部の一部において、前記第1電極と接触するようにして形成され、
前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域よりも高い第2導電型不純物濃度を有し、
前記第1電極は、前記第4半導体領域を介して前記第2半導体領域と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
(a)第1導電型の半導体基板の主面に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程と、
(b)前記半導体基板の主面から深さ方向に向かって、前記第1半導体領域の途中まで達するように、かつ、前記半導体基板の主面に沿った方向に間隔を隔てて並んで配置するように、複数の溝部を形成する工程と、
(c)前記複数の溝部のうちの第1溝部の内部に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
(d)前記第1半導体領域内において、イオン注入を施すことで、前記複数の溝部のうちの第2溝部の底部に接触するように第2導電型の柱状半導体領域を形成する工程とを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部とは、前記(b)工程において前記複数の溝部として同一の工程によって同程度の深さとなるように、かつ、所定の間隔を隔てて並んで配置するように形成し、
前記(d)工程では、前記柱状半導体領域を、前記第1半導体領域内において、前記第第2溝部の底部から前記半導体基板の深さ方向に向かって柱状に延在するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記複数の溝部を、前記半導体基板の主面に沿った方向に見たピッチ間隔が0.5μm〜2μmとなるように形成することで、前記柱状半導体領域のピッチ間隔が1μm〜4μmとなるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(e)前記(d)工程後、前記第2溝部を埋め込むようにして埋め込み膜を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の主面側において、前記複数の溝部よりも浅い領域に第2導電型の第2半導体領域を形成し、前記第2半導体領域よりも浅い領域に第1導電型の第3半導体領域を形成する工程と、
(g)前記第2溝部内の前記埋め込み膜のうち、前記半導体基板の深さ方向に見て、前記半導体基板の主面から前記第2半導体領域の途中の深さまでの部分を除去する工程と、
(h)前記第2溝部内において、前記(g)工程で前記埋め込み膜を除去した部分に、第1電極を形成する工程とを有し、
前記(f)工程では、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域と接合するようにして形成し、前記第3半導体領域は前記第2半導体領域と接合するようにして形成し、
前記(h)工程では、前記第1電極を、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域と接触するようにして形成することで、両者が互いに電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(i)前記(g)工程後、前記(h)工程前に、前記第2半導体領域内における前記第2溝部との境界部の一部に、第2導電型の第4半導体領域を形成する工程を有し、
前記(i)工程では、前記第4半導体領域を、前記第2半導体領域よりも高い第2導電型不純物濃度を有するように形成し、
前記(h)工程では、前記第4半導体領域と接触するようにして前記第1電極を形成することで、前記第1電極を、前記第4半導体領域を介して前記第2半導体領域と電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記ゲート絶縁膜を形成する工程と同一の工程により、前記第2溝部の内壁に保護絶縁膜を形成し、
前記(e)工程では、
前記保護絶縁膜を介して、前記第2溝部を埋め込むようにして前記埋め込み膜を形成し、
前記埋め込み膜として、第2導電型の多結晶シリコンを主体とする導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(j)前記(i)工程後、前記(h)工程前に、前記第2半導体領域と前記柱状半導体領域との間を第2導電型化するようにイオン注入を施す工程を有し、
前記(j)工程によって、前記柱状半導体領域と前記第2半導体領域とを電気的に接続し、
前記(h)工程では、前記第1電極を、前記第2半導体領域を介して前記柱状領域と電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(j)前記(e)工程前に、前記第2溝部の内壁を覆う前記保護絶縁膜のうち、前記第2溝部の底部に形成された前記保護絶縁膜を除去する工程を有し、
前記(e)工程では、前記(j)工程で前記保護絶縁膜を除去した部分において、前記柱状半導体領域と接触するようにして前記埋め込み膜を形成し、
前記(h)工程では、前記第1電極を、前記埋め込み膜を介して前記柱状半導体領域と電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(k)前記(i)工程後、前記(h)工程前に、前記第2半導体領域と前記柱状半導体領域との間を第2導電型化するようにイオン注入を施す工程を有し、
前記(k)工程によって、前記柱状半導体領域と前記第2半導体領域とを電気的に接続し、
前記(h)工程では、前記第1電極を、前記第2半導体領域を介して前記柱状領域と電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、更に、
(e)前記(d)工程後、前記第2溝部を埋め込むようにして埋め込み膜を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の主面側において、前記複数の溝部よりも浅い領域に第2導電型の第2半導体領域を形成し、前記第2半導体領域よりも浅い領域に第1導電型の第3半導体領域を形成する工程と、
(g)前記第2溝部内の前記埋め込み膜を除去する工程と、
(h)前記第2溝部内を埋め込むようにして第1電極を形成する工程とを有し、
前記(f)工程では、前記第2半導体領域は前記第1半導体領域と接合するようにして形成し、前記第3半導体領域は前記第2半導体領域と接合するようにして形成し、
前記(h)工程では、
前記第1電極を、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域および柱状半導体領域と接触するようにして形成することで、両者が互いに電気的に接続するように形成し、
前記第1電極と前記第1半導体領域とがショットキー接合を形成するように、前記第1電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程は、
(g1)前記第2溝部内の前記埋め込み膜のうち、前記半導体基板の深さ方向に見て、前記半導体基板の主面から前記第2半導体領域の途中の深さまでの部分を除去する工程と、
(g2)前記第2半導体領域内における前記第2溝部との境界部の一部に、第2導電型の第4半導体領域を形成する工程と、
(g3)前記(g1)工程で前記第2溝部内に残した前記埋め込み膜を除去する工程とを有し、
前記(g2)工程では、前記第4半導体領域を、前記第2半導体領域よりも高い第2導電型不純物濃度を有するように形成し、
前記(h)工程では、前記第4半導体領域と接触するようにして前記第1電極を形成することで、前記第1電極を、前記第4半導体領域を介して前記第2半導体領域と電気的に接続するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−109033(P2010−109033A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277859(P2008−277859)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)