説明

半導体装置の製造方法、半導体装置及び半導体装置の製造用治具

【課題】長尺接続子により直線上に配列された複数の半導体チップを半田付けにより共通接続する場合において、長尺接続子の撓みを防止して当該長尺接続子と各半導体チップとの間隔を適正な間隔に保持する。
【解決手段】長尺接続子110の接続板部113を当該長尺接続子110の先端部の側に位置する半導体チップ133よりもさらに先方にまで延長することによって形成された延長部150の下面側に突起部114を有する長尺接続子110と、リードフレーム120を載置するリードフレーム載置面200aに長尺接続子110の突起部114を当接させるための突起当接部210を有する台座200とを用いて、長尺接続子110の突起部114を台座200の突起当接部210に当接させるようにリードフレーム120を台座200に載置した状態で半導体チップ131〜133の各上面と長尺接続子110の接続板部113の下面とを半田付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体チップを1つの長尺接続子によって接続している内部接続構造を有する半導体装置の製造方法、当該半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置及び前記半導体装置の製造方法に用いるための半導体装置の製造用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを1つの接続子によって接続することは従来から行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図9は、特許文献1に開示されている半導体装置の内部接続構造の一例を説明するために示す図である。特許文献1に開示されている半導体装置の内部接続構造は、図9に示すように、ダイパッド811、812,813に搭載されている半導体チップ821,822,823を、1つの接続子830によって共通接続するような内部接続構造となっており、このような内部接続構造において、半導体チップ821,822,823の配列方向と、接続子830の延出方向とが交差するような内部接続構造となっている。この場合、半導体チップ821,822,823の配列方向はx軸に沿った方向であり、接続子830の延出方向はy軸に沿った方向であるため、両者は直交関係にある。
【0004】
複数の半導体チップを1つの接続子で接続する場合、図9に示すような内部接続構造とすることにより、複数の半導体チップを安定した状態で接続することができる。なお、図9においては、接続子830は、リードフレームのコネクタ部840に接続子830の基端部850のみが支持された状態となっている。このように、リードフレームのコネクタ部に基端部のみが支持された状態で当該リードフレームに取り付けられている接続子を、「片側支持の接続子」と呼ぶことにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−198929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている半導体装置の内部接続構造においては、複数の半導体チップ821,822,823の配列方向と接続子830の延出方向とが交差するように接続子830を配置して、当該接続子830によって複数の半導体チップ821,822,823を共通接続しているが、半導体装置の種類によっては、片側支持の接続子を複数の半導体の配列方向に沿うように配置して、当該接続子によって複数の半導体チップを共通接続するような内部接続構造を採用するものもある。この場合の接続子は、複数の半導体の配列方向に沿うように配置されるため、長尺の接続子(長尺接続子という。)が用いられる。
【0007】
図10は、長尺接続子によって複数の半導体チップを共通接続するような半導体装置900の内部接続構造について説明するために示す図である。なお、図10は半導体装置900の内部接続構造を側断面図として示している。なお、半導体装置900において用いられている長尺接続子910は、全体的には、細長い薄板状をなしており、図10に示すように、基端部911と、立ち上がり部912と、接続板部913とを有している。また、当該長尺接続子910は、基端部911がリードフレーム920のコネクタ部925に固定されている「片側支持の長尺接続子」である。
【0008】
半導体装置900の内部接続構造は、このような長尺接続子910によって、リードフレーム920のダイパッド921、922,923にx軸に沿って配列された複数(3個とする。)の半導体チップ931,932,933を共通接続している。
また、長尺接続子910の接続板部913と各半導体チップ931,932,933とは半田付けによって接続され、長尺接続子810の接続板部913の下面と各半導体チップ931,932,933の上面との間には半田層950が形成されている。なお、以下では、「長尺接続子910の接続板部913と各半導体チップ931,932,933とを半田付する」というような表記を行う場合、「接続板部」を省略して、「長尺接続子と各半導体チップとを半田付けする」というように表記する場合もある。
【0009】
なお、基端部911を延長した基端部延長線(図10における破線で示す。)と接続板部913とは平行となっている。また、長尺接続子910の接続板部913の長さL0は、図10に示すように、3個の半導体チップ931,932,933を共通接続したときに、長尺接続子910の先端部910aが、当該長尺接続子910の先端部910a側に位置する半導体チップ933を覆うことができる程度の長さとしている。
【0010】
このような片側支持の長尺接続子910を用いて、図10に示すように、3個の半導体チップ931,932,933を共通接続する場合、長尺接続子910の先端部910a側に位置する半導体チップほど、長尺接続子910の接続板部913の撓みによる当該接続板部913の重みが半導体チップに加わる。特に、長尺接続子910の最も先端側に位置する半導体チップ933においては、接続板部913の撓みがより大きくなり、当該接続板部913の重みが半導体チップ933に加わる。
【0011】
このため、半導体チップ933と長尺接続子910の接続板部913との間隔t2は、適正間隔(半導体チップ931と長尺接続子910の接続板部913との間隔t1とする。)に比べて小さくなり、半導体チップ933に形成される半田層950が押し潰されて、半田が半導体チップ933の外周に回り込むことがある。その結果、図示しない他の部品や配線との絶縁距離が不足して短絡などが生じるおそれがある。また、半田層950の厚みが薄くなると、温度サイクルなどによる耐候性が劣化するといった課題が生じる。
【0012】
本発明は、片側支持の長尺接続子を用いて直線上に配列された複数の半導体チップを半田付けにより共通接続する場合において、長尺接続子の接続板部の撓みを防止して当該長尺接続子の接続板部と各半導体チップとの間隔を適正間隔に保持することにより、長尺接続子と各半導体チップとの間の半田付けの状態を適切な状態とすることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、このような半導体装置の製造方法によって半導体装置を製造することにより、長尺接続子と各半導体チップとの間の半田付けの状態が適切な状態に保持されている半導体装置を提供することを目的とする。また、このような半導体装置の製造方法に用いるための半導体装置の製造用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1]本発明の半導体装置の製造方法は、複数の半導体チップが直線上に沿った配列となるように前記複数の半導体チップを個々の半導体チップごとに搭載する複数のダイパッドを有するとともに、前記ダイパッドとは離隔した位置でかつ前記複数の半導体チップの配列方向に沿った位置に設けられるコネクタ部を有するリードフレームと、前記コネクタ部に基端部が固定され、前記基端部とは反対側の先端部と前記基端部との間の接続板部で前記複数の半導体素子を共通接続する長尺接続子とを備え、前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが半田付けによって接続されている内部接続構造を有する半導体装置の製造方法であって、前記長尺接続子として、前記接続板部を前記複数の半導体チップのうち当該長尺接続子の先端部の側に位置する半導体チップよりもさらに先方にまで延長することによって形成された延長部を有するとともに、前記延長部の下面に下方向に突出する突起部を有する長尺接続子を準備する工程と、前記リードフレームを当該リードフレームの下面側から支持するようにして載置するリードフレーム載置面を有するとともに、当該リードフレーム載置面に、前記長尺接続子の突起部を当接させるための突起当接部を有する台座を準備する工程と、前記長尺接続子の突起部を前記台座の突起当接部に当接させるように前記リードフレームを前記台座に載置した状態で前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とを半田付けする工程とを有し、前記長尺接続子の突起部の高さ及び前記台座の突起当接部は、前記長尺接続子の突起部を前記台座の突起当接部に当接させるように前記リードフレームを前記台座に載置した状態としたときに、前記各半導体チップの各上面を結ぶ平面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが平行となるように前記長尺接続子の突起部の突出長さ及び前記台座の突起当接部の高さが設定されていることを特徴とする。
【0014】
[2]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記長尺接続子の突起部は、当該長尺接続子を下面側から見たときの形状が前記接続板部の幅方向に大きく、前記接続板部の長手方向に小さい細長形状をなしていることが好ましい。
【0015】
[3]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記突起部における前記接続板部の幅方向の寸法は、前記接続板部の幅方向と同等又は当該接続板部の幅方向よりもわずかに短い長さとすることが好ましい。
【0016】
[4]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記台座の前記突起当接部は、上方向に突出する凸部であることが好ましい。
【0017】
[5]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記凸部の高さは、前記リードフレームの板厚以下とすることが好ましい。
【0018】
[6]本発明の半導体装置は、複数の半導体チップが直線上に沿った配列となるように前記複数の半導体チップを個々の半導体チップごとに搭載する複数のダイパッドを有するとともに、前記ダイパッドとは離隔した位置でかつ前記複数の半導体チップの配列方向に沿った位置に設けられるコネクタ部を有するリードフレームと、前記コネクタ部に基端部が固定され、前記基端部とは反対側の先端部と前記基端部との間の接続板部で前記複数の半導体素子を共通接続する長尺接続子とを備え、前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが半田付けによって接続されている内部接続構造を有する半導体装置であって、当該半導体装置は、[1]〜[5]のいずれかの半導体装置の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする。
【0019】
[7]本発明の半導体装置の製造用治具は、[1]〜[5]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法によって半導体装置を製造する際に用いるための半導体装置の製造用治具であって、前記リードフレームを当該リードフレームの下面側から支持するようにして載置するリードフレーム載置面を有するとともに、当該リードフレーム載置面に、前記長尺接続子の突起部を当接させるための突起当接部を有する台座を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法は、接続板部を延長することによって形成された延長部の下面側に下方向に突出する突起部を有する長尺接続子と、当該突起部を当接させるための突起当接部を有する台座とを用い、長尺接続子の突起部を台座の突起当接部に当接させるようにリードフレームを台座に載置した状態で、複数の半導体チップの各上面と長尺接続子の接続板部の下面と半田付けするようにしている。なお、長尺接続子の突起部の突出長さ及び台座の突起当接部の高さは、長尺接続子の突起部を台座の突起当接部に当接させるようにリードフレームを台座に載置した状態としたときに、各半導体チップの各上面を結ぶ平面と接続板部の下面とが平行となるように設定されている。
【0021】
このため、本発明の半導体装置の製造方法によれば、片側支持の長尺接続子を用いて直線上に配列された複数の半導体チップを半田付けにより共通接続するような場合において、接続板部の撓みを防止して当該接続板部と各半導体チップとの間隔を適正間隔に保持することにより、長尺接続子と各半導体チップとの間の半田付けの状態を適切な状態とすることができる。
【0022】
また、本発明の半導体装置は、前記半導体装置の製造方法によって製造されたものであるため、本発明の半導体装置によれば、前記本発明の半導体装置の製造方法によって得られる効果と同様の効果が得られる。また、本発明の半導体装置は、長尺接続子に突起部が存在しているため、半田付け工程の後に行われる樹脂封止工程によって樹脂封止された場合に、モールドロックの効果が得られ、耐久性に優れた半導体装置とすることができる。また、本発明の半導体装置は、長尺接続子に突起部が存在していることにより、長尺接続子の表面積が大きくなるため、放熱性向上の効果も得られる。
【0023】
また、本発明の半導体装置の製造用治具を上記半導体装置の製造方法において用いることにより、半導体装置を製造する際の製造工程を容易かつ適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係る半導体装置10の内部接続構造を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る半導体装置10において用いる長尺接続子110を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る半導体装置10を製造する際に用いる台座200を説明するために示す図である。
【図4】長尺接続子110と、半導体チップ131,132,133をダイパッド121,122,123に搭載したリードフレーム120と、台座200との配置について説明するために示す図である。
【図5】半田付け工程により長尺接続子110と半導体チップ131,132,133とを半田付けした状態を示す図である。
【図6】実施形態1に係る半導体装置10を製造するための製造工程の説明するフローチャートである。
【図7】図6に示す半導体装置の製造工程を適用可能な半導体装置の一例を示す図である。
【図8】実施形態2に係る半導体装置20を製造する際の半田付け工程により長尺接続子110の接続板部113と半導体チップ131,132,133とを半田付けした状態を示す図である。
【図9】特許文献1に開示されている半導体装置の内部接続構造の一例を説明するために示す図である。
【図10】長尺接続子によって複数の半導体チップを共通接続するような半導体装置900の内部接続構造について説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る半導体装置10の内部接続構造を説明するために示す図である。なお、図1は半導体装置10の側断面図であり、樹脂封止工程を行う前の状態を示している。半導体装置10の内部接続構造は、基本的には、図10に示した半導体装置900と同様の内部接続構造となっているが、長尺接続子110の構成が図10に示した半導体装置900において用いられている長尺接続子910と少し異なっている。
【0027】
実施形態1に係る半導体装置10において用いられる長尺接続子110の全体的な外観形状は、図10に示した長尺接続子810と同様に、細長い薄板状をなし、基端部111と、立ち上がり部112と、接続板部113とを有しており、基端部111がリードフレーム120のコネクタ部125に固定されている片側支持の長尺接続子である。なお、長尺接続子110においても、基端部111を延長した基端部延長線(図1における破線で示す。)と接続板部113とは平行となっている。
【0028】
このような長尺接続子110が図10に示した長尺接続子910と異なるのは、接続板部113を長尺接続子110の先端部110aの側に位置する半導体チップ133よりもさらに先方にまで延長することによって形成された延長部115を有することと、当該延長部115の下面に下方向に突出する突起部114を有することである。なお、延長部115のx軸方向長さL1(図1参照。)は、例えば、1つの半導体チップのx軸に沿った寸法と同程度でよい。また、突起部114の突出長さh1(突起部114の高さh1ともいう。)については後述する。
【0029】
実施形態1に係る半導体装置10の内部接続構造は、このような長尺接続子110を用いて、リードフレーム120のダイパッド121、122,123に直線上に配列(x軸上に沿うように配列)された複数(3個とする。)の半導体チップ131,132,133を共通接続するような内部接続構造となっている。なお、半導体チップ131,132,133のそれぞれの厚みはそれぞれ同じ厚み(t4とする。)であるとする。
【0030】
また、長尺接続子110の接続板部113と各半導体チップ131,132,133とは半田付けによって接続され、長尺接続子110の接続板部113の下面と各半導体チップ131,132,133の上面との間には半田層150が形成されている
【0031】
図2は、実施形態1に係る半導体装置10において用いる長尺接続子110を説明するために示す図である。図2(a)は長尺接続子110の側面図であり、図2(b)は長尺接続子110を下方向(裏面)から見た平面図である。長尺接続子110は、上記したように、接続板部113を延長することにより形成された延長部115を有するとともに、当該延長部115の下面に下方向に突出する突起部114を有する。
【0032】
突起部114を下面側から見たときの平面形状は、図2(b)に示すように、長尺接続子110の接続板部113の幅方向(y軸に沿った方向)に長く、当該長尺接続子110の接続板部113の長手方向(x軸に沿った方向)に短い細長形状(例えば細長い長円形)としている。なお、突起部114のy軸方向の寸法L2は、長尺接続子110の接続板部113の幅方向の寸法L3に可能な限り近い寸法が好ましい。なお、このような突起部114はプレス加工によって形成することができる。
【0033】
図3は、実施形態1に係る半導体装置10を製造する際に用いる台座200を説明するために示す図である。図3(a)は台座200の側断面図を示す図であり、図3(b)は台座200の一部を示す平面図であり、図3(c)は半導体チップ131,132,133がダイパッド121,122,123に搭載されているリードフレーム120を台座200に載置した状態を示す図である。なお、台座200は例えばカーボン製でなる。
【0034】
台座200は、上面がリードフレーム載置面200aとなっており、当該リードフレーム載置面200aの所定位置(長尺接続子110の突起部114に対向する位置)に、長尺接続子110の突起部114を当接させるための突起当接部210を有している。この突起当接部210は、実施形態1においては、上方に突出した台状の凸部としている。このため、実施形態1においては、突起当接部210を凸部210ともいう。
【0035】
なお、凸部210の台座200のリードフレーム載置面200aからの高さh2は、リードフレーム120の板厚t3以下とすることが好ましい。これは、台座200がカーボン製でなる場合、カーボンが脆い素材であるために、凸部210を必要以上に高くすると、凸部210が破損しやすくなるためである。このような凸部210は台座200を切削加工することによって形成することができる実施形態1においては、凸部210の高さh2は、リードフレーム120の板厚t3としている。
【0036】
このように構成された台座200は、半導体装置10を製造する際の半導体装置の製造用治具の1つとして用いられる。なお、半導体装置の製造用治具全体の図示及び説明は省略する。そして、このような台座200は半導体製造工程のうち、長尺接続子110と半導体チップ131,132,133とを半田付けする半田付け工程において用いられるものであり、当該半田付け工程の終了後おいては取り外される。
【0037】
図4は、長尺接続子110と、半導体チップ131,132,133がダイパッド121,122,123に搭載されているリードフレーム120と、台座200との配置について説明するために示す図である。なお、図4は半田付け工程を行う前の状態を示しているが、長尺接続子110の基端部111はリードフレーム120のコネクタ部125に固定されている状態が示されている。
【0038】
図4に示すような状態で、長尺接続子110の突起部114を台座200の凸部210に当接させるようにリードフレーム120を台座200に載置すると、長尺接続子110の接続板部113は撓むことがないため、長尺接続子110の接続板部113の下面と台座200のリードフレーム載置面200aとは平行となる。すなわち、半導体チップ131,132,133の各上面を結ぶ平面と長尺接続子110の接続板部113の下面とが平行となる。これにより、ダイパッド121,122,123に搭載されている各半導体チップ131,132,133の上面と長尺接続子110の接続板部113の下面との間隔は、どの半導体チップにおいても同じ間隔(この場合、適正間隔t1)となる。
【0039】
このようにするには、長尺接続子110に設けられている突起部114の高さh1と台座200の凸部210の高さh2とを足した合計の高さ(h1+h2)が、h1+h2=t1+t3+t4となるように設定すればよい。すなわち、長尺接続子110に設けられている突起部114の高さh1と台座200の凸部210の高さh2とを足した合計の高さ(h1+h2)が、適正間隔t1とリードフレーム120の板厚t3と半導体チップ131,132,133のそれぞれの厚みt4とを足した値(t1+t3+t4)となるように設定すればよい。なお、実施形態1においては、台座200の凸部210の高さh2をリードフレーム120の板厚t3としているため、長尺接続子110の突出長さh1は、適正間隔t1に半導体チップの厚みt4を足した値(t1+t4)に設定すればよい。
【0040】
長尺接続子110の突起部114の高さh1と台座200の凸部210の高さh2をこのように設定することにより、長尺接続子110の接続板部113が下方向に撓むことがなくなり、半導体チップ131,132,133の上面と長尺接続子110の接続板部113の下面との間隔をどの半導体チップおいても適正間隔t1とすることができる。
【0041】
図5は、半田付け工程により長尺接続子110と半導体チップ131,132,133とを半田付けした状態を示す図である。図5に示すように、半導体チップ131,132,133がダイパッド121,122,123に搭載されたリードフレーム120を台座200に載置した状態とし、かつ、長尺接続子110の突起部114を台座200の凸部210に当接させた状態(図4参照。)で、長尺接続子110の接続板部113と半導体チップ131,132,133とを半田付けすると、長尺接続子110の接続板部113と半導体チップ131,132,133との間に形成される半田層150の厚みは、どの半導体チップにおいても適正な厚み(適正間隔t1に対応する厚み)とすることができる。
【0042】
これは、図4において説明したように、長尺接続子110の突起部114と台座200の凸部210とが当接した状態となっていることにより、長尺接続子110の接続板部113が下方向に撓むことがなくなり、半導体チップ131,132,133の上面と長尺接続子110の接続板部113の下面との間隔をどの半導体チップおいても適正間隔t1とすることができるからである。これにより、半田層150の潰れを確実に防止することができ、それによって、半田層150の厚みを適正な厚みとすることができる。
【0043】
ところで、前述したように、長尺接続子110の突起部114の平面形状は、長尺接続子110の接続板部113の幅方向(y軸に沿った方向)に長く、当該長尺接続子110の接続板部113の長手方向(x軸に沿った方向)に短い細長形状としている。長尺接続子110の突起部114の平面形状をこのような形状としたのは、突起部114に近接する部品(例えば、半導体チップ133及びダイパッド123)との最短距離d1(図5参照。)を可能な限り大きくとることができるようにするとともに、当該突起部114を台座200の凸部210に当接させた状態としたときに、長尺接続子110の幅方向の安定感を持たせることができるようにするためである。
【0044】
すなわち、長尺接続子110の突起部114の平面形状がx軸に沿った方向において短い細長形状であることにより、近接する部品と間の最短距離d1をより大きく確保することができる。仮に、長尺接続子110の突起部114の平面形状がx軸に沿った方向においても長い形状であると、突起部114と近接する部品との距離が近くなり過ぎる場合もあり、絶縁性などに課題が生じるおそれもある。これに対処するために、実施形態1においては、長尺接続子110の突起部114の平面形状がx軸に沿った方向に短い細長形状としている。
【0045】
また、長尺接続子110の突起部114の平面形状がy軸に沿った方向において長い細長形状であることにより、当該突起部114を台座200の凸部210に当接させた状態としたときに、長尺接続子110のx軸に沿った中心軸m(図2(b)参照。)を中心とした回転力が当該長尺接続子110に働きにくくなり、それによって長尺接続子110の幅方向の水平度を保持しやすくなる。
【0046】
なお、図5に示すような半田付け工程がなされたあとは、台座200は取り外す。一方、長尺接続子110の突起部114は、図5に示すような半田付け工程がなされたあとにおいても切除する必要は特にない。むしろ、突起部114が存在していることにより、後に行われる樹脂樹脂封止工程によって樹脂封止された場合に、モールドロックの効果が得られる。また、突起部114が存在していることにより、長尺接続子110の表面積が大きくなるため、放熱性向上の効果も得られる。
【0047】
図6は、実施形態1に係る半導体装置10を製造するための製造工程の説明するフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは実施形態1に係る半導体装置10を製造する工程のうち、長尺接続子110と半導体チップ131,132,133とを半田付けする半田付け工程までを示すものある。
【0048】
実施形態1に係る半導体装置10を製造する際の製造工程は、図6に示すように、長尺接続子として図2に示したような長尺接続子110を準備する工程(ステップS1)と、図3に示したような台座200を準備する工程(ステップS2)と、長尺接続子110の突起部114を台座200の突起当接部(凸部)210に当接させるようにリードフレーム120を台座200に載置した状態で半導体チップ131,132,133の各上面と長尺接続子110の接続板部113の下面とを図5に示すように半田付けする工程(ステップS3)とを有する。
【0049】
このような工程を実施することにより、長尺接続子110の接続板部113が下方向に撓むことがなくなり、半導体チップ131,132,133の上面と長尺接続子110の接続板部113の下面との間隔をどの半導体チップおいても適正間隔t1とすることができる。これにより、半田層150の潰れを確実に防止することができ、それによって、半田層150の厚みを適正な厚みとすることができる。
【0050】
図7は、図6に示す半導体装置の製造工程を適用可能な半導体装置の一例を示す図である。図7(a)は半導体装置としての3相ブリッジダイオードの構成を模式的に示す図であり、図7(b)は図7(a)に示す3相ブリッジダイオードに対応する回路構成を示す図である。
【0051】
3相ブリッジダイオードは、図7に示すように、リードフレーム120のダイパッド121,122,123に搭載された3個のダイオードD1,D2,D3と、リードフレーム120のダイパッド124,125,126に搭載された3個のダイオードD4,D5,D6とを有している。
【0052】
なお、ダイオードD1,D2,D3は、それぞれのカソード側がそれぞれ対応するダイパッド121,122,123に接続されており、ダイオードD4,D5,D6は、それぞれのアノード側がそれぞれ対応するダイパッド124,125,126に接続されている。そして、ダイオードD1を搭載しているダイパッド121とダイオードD4を搭載しているダイパッド124は一体となっており、交流端子Rとしてのリードが延出している。また、ダイオードD2を搭載しているダイパッド122とダイオードD5を搭載しているダイパッド125も一体となっており、交流端子Sとしてのリードが延出している。また、ダイオードD3を搭載しているダイパッド123とダイオードD6を搭載しているダイパッド126も一体となっており、交流端子Tとしてのリードが延出している。
【0053】
一方、ダイオードD1,D2,D3のアノード側は長尺接続子(長尺接続子110Aとする。)の接続板部113Aによって共通接続され、当該長尺接続子110Aの基端部111Aは、リードフレーム120のコネクタ部(コネクタ部125Aとする。)に接続されている。また、ダイオードD4,D5,D6のカソード側は長尺接続子(長尺接続子110Bとする。)の接続板部113Bによって共通接続され、当該長尺接続子110Bの基端部111Bは、リードフレーム120のコネクタ部(コネクタ部125Bとする。)に接続されている。これらコネクタ部125A,125Bには直流端子としてのリードがそれぞれ延出している。
【0054】
このように構成された3相ブリッジダイオードは、図6において説明したと同様の工程を行うことによって半田付け工程までを実施することができる。すなわち、長尺接続子110A,110Bとしては、図2と同様の長尺接続子110を用いる。そして、リードフレーム120を図3に示すような台座200に載置した状態で、長尺接続子110Aの突起部(突起部114Aとする。)を台座200の凸部(210Aとする。)に当接させ、また、長尺接続子110Bの突起部(突起部114Bとする。)を台座200の凸部(210Bとする。)に当接させた状態として、図5に示すように半田付けを行う。
【0055】
これにより、長尺接続子110A,110Bの接続板部113A,113Bが下方向に撓むことがなくなり、ダイオードD1,D2,D3の上面と長尺接続子110Aの接続板部113Aの下面との間隔をどのダイオードにおいても適正間隔t1とすることができる。また、ダイオードD4,D5,D6の上面と長尺接続子110Bの接続板部113Bの下面との間隔をどのダイオードにおいても適正間隔t1とすることができる。これにより、どのダイオードにおいても半田層の潰れを確実に防止することができ、それぞれの半田層の厚みを適正な厚みとすることができる。
【0056】
ところで、図7に示す3相ブリッジダイオードにおいては、長尺接続子110Bは、基端部111Bが図示の右端側に存在し、接続板部113Bが図示の左方向に伸びているような配置となるため、長尺接続子110Bの突起部114B及び台座200の凸部210Bの位置は、長尺接続子110A及び台座200の凸部210Aとは左右方向においてそれぞれが逆の位置となる。
【0057】
なお、図7においては、台座200は、1個の3相ブリッジダイオードに対応した台座とした場合が示されているが、実際には、複数の3相ブリッジダイオードの各3相ブリッジダイオードに対応する複数のリードフレームが繋がった状態となっているため、台座200も複数の3相ブリッジダイオードに対応した大きさとすることが可能である。また、台座200は、各長尺接続子110A.110Bにそれぞれ対応するように個別に設けるようにしてもよい。
【0058】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係る半導体装置20を製造する際の半田付け工程を説明するために示す図である。なお、図8は実施形態1の説明で用いた図5に対応する図であり、長尺接続子110の接続板部113と半導体チップ131,132,133とを半田付けした状態を示す図である。図8が図5と異なるのは、長尺接続子110の突起部114及び台座200の突起当接部210のみであり、その他の構成は図5と同じであるので同一構成要素には同一符号が付されている。
【0059】
前述の実施形態1においては、台座200は突起当接部210としての凸部(凸部210)を有し、長尺接続子110の突起部114を台座200の凸部210に当接させるようにしたが、実施形態2においては、台座200には突起当接部210としての凸部(凸部210)は存在せずに、長尺接続子110の突起部114の高さを台座200の凸部210の高さh2の分だけ高くしている。すなわち、実施形態2においては、台座200のリードフレーム載置面200aを突起当接部210とし、長尺接続子110の突起部114の高さをt1+t3+t4としている。なお、台座200のリードフレーム載置面200aを突起当接部210とするということは、台座200における突起当接部210の高さをゼロとするということである。
【0060】
長尺接続子110及び台座200をこのような構成とすることによっても、実施形態1と同様、長尺接続子110の突起部114が台座200の突起当接部210(台座200のリードフレーム載置面200a)に当接することにより、長尺接続子110の接続板部113と台座200のリードフレーム載置面200aとが平行となる。すなわち、半導体チップ131,132,133の各上面を結ぶ平面と長尺接続子110の接続板部113の下面とが平行となる。このため、長尺接続子110の接続板部113が下方向に撓むことがなくなり、半導体チップ131,132,133の上面と長尺接続子110の接続板部113の下面との間隔をどの半導体チップおいても適正間隔t1とすることができる。
【0061】
また、実施形態2において示すような長尺接続子110と台座200とを用いることによっても図7において説明した3相ブリッジダイオードの製造が可能であることは勿論である。
【0062】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0063】
(1)上記各実施形態においては、長尺接続子110の突起部114の平面形状を図2に示すような細長形状とした場合を例示したが、近接する半導体チップなどとの距離を適切に確保することができ、かつ、長尺接続子110の幅方向の傾きの安定性などが確保できれば、長尺接続子110の突起部114の平面形状は特に限定されるものではない。
【0064】
(2)上記各実施形態においては、本発明の半導体装置の製造方法を3相ブリッジダイオードに適用した場合を例示したが、本発明は3相ブリッジダイオードに限らず、片側支持の長尺接続子によって直線上に配列された複数の半導体チップを共通接続するような内部接続構造を有する半導体装置には広く適用可能である。
【0065】
(3)上記各実施形態においては、長尺接続子110によって共通接続する半導体チップの数を3個とした場合を例示したが、3個に限られるものではなく、片側支持の長尺接続子が撓む可能性があれば、2個の半導体チップを共通接続する場合にも適用することができ、また、4個以上の半導体チップを共通接続する場合においても適用可能である。
【0066】
(4)上記各実施形態においては、台座はカーボン製としたが、これに限られるものではなく、他の素材を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
10,20・・・半導体装置、110,110A,110B・・・長尺接続子、111,111A,111B・・・基端部、112・・・立ち上がり部、113,113A,113B・・・接続板部、114,114A,114B・・・突起部、115・・・延長部、120・・・リードフレーム、121,122,123,124,125,126・・・ダイパッド、125,125A,125B・・・コネクタ部、131,132,133・・・半導体チップ、150・・・半田層、200・・・台座、200a・・・リードフレーム載置面、210,210A,210B・・・突起当接部(凸部)、D1,D2,D3,D4,D5,D6・・・ダイオード、h1・・・突起部114の突出長さ(高さ)、h2・・・凸部210の高さ、L1・・・延長部115のx軸方向長さL1、L2・・・突起部114のy軸方向の寸法、L3・・・接続板部113の幅方向の寸法、t1・・・適正間隔、t3・・・リードフレーム120の板厚、t4・・・半導体チップの厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが直線上に沿った配列となるように前記複数の半導体チップを個々の半導体チップごとに搭載する複数のダイパッドを有するとともに、前記ダイパッドとは離隔した位置でかつ前記複数の半導体チップの配列方向に沿った位置に設けられるコネクタ部を有するリードフレームと、
前記コネクタ部に基端部が固定され、前記基端部とは反対側の先端部と前記基端部との間の接続板部で前記複数の半導体素子を共通接続する長尺接続子と、
を備え、前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが半田付けによって接続されている内部接続構造を有する半導体装置の製造方法であって、
前記長尺接続子として、前記接続板部を前記複数の半導体チップのうち当該長尺接続子の先端部の側に位置する半導体チップよりもさらに先方にまで延長することによって形成された延長部を有するとともに、前記延長部の下面に下方向に突出する突起部を有する長尺接続子を準備する工程と、
前記リードフレームを当該リードフレームの下面側から支持するようにして載置するリードフレーム載置面を有するとともに、当該リードフレーム載置面に、前記長尺接続子の突起部を当接させるための突起当接部を有する台座を準備する工程と、
前記長尺接続子の突起部を前記台座の突起当接部に当接させるように前記リードフレームを前記台座に載置した状態で前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とを半田付けする工程と、
を有し、
前記長尺接続子の突起部及び前記台座の突起当接部は、前記長尺接続子の突起部を前記台座の突起当接部に当接させるように前記リードフレームを前記台座に載置した状態としたときに、前記各半導体チップの各上面を結ぶ平面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが平行となるように前記長尺接続子の突起部の突出長さ及び前記台座の突起当接部の高さが設定されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記長尺接続子の突起部は、当該長尺接続子を下面側から見たときの形状が前記接続板部の幅方向に長く、前記接続板部の長手方向に短い細長形状をなしていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記突起部における前記接続板部の幅方向の寸法は、前記接続板部の幅方向と同等又は当該接続板部の幅方向よりもわずかに短い長さとすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記台座の前記突起当接部は、上方向に突出する凸部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記凸部の高さは、前記リードフレームの板厚以下とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
複数の半導体チップが直線上に沿った配列となるように前記複数の半導体チップを個々の半導体チップごとに搭載する複数のダイパッドを有するとともに、前記ダイパッドとは離隔した位置でかつ前記複数の半導体チップの配列方向に沿った位置に設けられるコネクタ部を有するリードフレームと、
前記コネクタ部に基端部が固定され、前記基端部とは反対側の先端部と前記基端部との間の接続板部で前記複数の半導体素子を共通接続する長尺接続子と、
を備え、前記複数の半導体チップの各上面と前記長尺接続子の前記接続板部の下面とが半田付けによって接続されている内部接続構造を有する半導体装置であって、
当該半導体装置は、請求項1〜5のいずれかの半導体装置の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法によって半導体装置を製造する際に用いるための半導体装置の製造用治具であって、
前記リードフレームを当該リードフレームの下面側から支持するようにして載置するリードフレーム載置面を有するとともに、当該リードフレーム載置面に、前記長尺接続子の突起部を当接させるための突起当接部を有する台座を備えていることを特徴とする半導体装置の製造用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−102005(P2013−102005A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243981(P2011−243981)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)