説明

半導体装置の製造方法

【課題】狭ピッチの半導体チップを多層配線基板に搭載し、封止した半導体装置について、ワイヤボンディング工程時のワイヤボンダ装置を容易に特定する。
【解決手段】まず、多層配線基板を用意した後、半導体チップを多層配線基板上にダイボンディングする(工程S1)。次いで、ワイヤボンダ装置によって、半導体チップ上の電極パッド(第1電極)と多層配線基板上の金属配線(第2電極)とをワイヤボンディングする(工程S4)。このワイヤボンディング工程において、ワイヤボンダ装置に備え付けられたレーザマーカ機構によって、ワイヤボンディングされた多層配線基板にワイヤボンディング情報をレーザ刻印する。次いで、半導体チップを覆うように多層配線基板上にレジンからなる封止体を形成する(工程S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、製造履歴を追跡する必要が生じる半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に不具合が生じた場合、いつ、どこで製造したものか、どのような製造装置、製造条件であったか等の製造情報を把握し、製造履歴を追跡することが、不良解析や品質保証をするために重要である。
【0003】
特開平7−161793号公報(特許文献1)には、複数台のワイヤボンダ装置に自己の識別コードを発する識別コード発生手段を設け、識別コードを制御装置に送信し、この制御装置に送信された履歴情報を基にリードフレームがどのワイヤボンダ装置を経由してきたかを、検査装置で認識する技術が記載されている。
【0004】
また、特開2003−188197号公報(特許文献2)には、半導体チップを接着固定するリードフレームなどの担体に、当該リードフレームに固定される各半導体チップの個々の半導体チップ製造工程中における管理情報およびテスト情報の個別情報を記憶させてなる半導体装置に関する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平7−161793号公報
【特許文献2】特開2003−188197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造工程におけるワイヤボンディング工程は、半導体チップの小型化、多ピン化のため、製造工程全体からみた場合、例えばダイボンディング工程などの他の工程に比べ、処理能力が劣ってしまう。この処理能力の差を縮小するための対策としては、ワイヤボンダ装置(またはワイヤボンディング装置ともいう)を複数台設置することによって、処理能力を向上させている。
【0006】
しかしながら、複数台のワイヤボンダ装置によってワイヤボンディング工程の処理能力は向上できるものの、半導体装置が市場(顧客)において、例えば、ボンディングワイヤの断線不良で不具合を起こした場合、その不良解析に迅速な対応を取ることが困難になってしまう。すなわち、複数台で並列に行われたワイヤボンディング工程を経て製造されたために、どのワイヤボンダ装置で行われたか、いつワイヤボンディングしたのか等の着工情報(以下、ワイヤボンディング情報という)を調査し、対策を取ることは、困難である。
【0007】
例えば、上記特許文献1の技術では、ワイヤボンディング工程で起きた不良を認識、解析して、ワイヤボンディング工程での不良が発生しないように対策を行うことができるが、良品として市場に流通した半導体装置においてボンディングワイヤの断線不良が発生した場合、どのワイヤボンダ装置で着工(製造)されたものかなどの解析を行うことは容易でない。
【0008】
また、例えば、上記特許文献2の技術では、ダイボンディング工程において品質保証や不良解析のための個別情報をリードフレームなどの担体に記憶できるものの、ダイボンディング工程より後の情報、特に、前述したように不良解析が困難なワイヤボンディング工程のワイヤボンディング情報を記憶しておくことができない。このため、市場でボンディングワイヤの断線不良が発生した場合に、どのワイヤボンダ装置で製造されたものかは把握することは容易でない。
【0009】
そこで、本発明者は、ワイヤボンディング情報を、リードフレーム、配線基板などの担体に記憶する技術について検討を行った。図12は、担体としてリードフレームを用いた半導体装置の要部を模式的に示す説明図である。図12中、符号51は半導体チップ、符号52はボンディングパッド、符号53はリード、符号54aは第1のワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされた第1のワイヤである。なお、図12中では、第2、第3のワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされる場合、それぞれによる第2のワイヤ54b、第3のワイヤ54cの位置関係が分かるように併せて示している。また、図12中では、半導体チップ51、ワイヤ54a(またはワイヤ54b、54c)などを覆うレジン(封止体)は省略されている。
【0010】
本発明者は、図12に示すように、例えば、第1〜第3のワイヤボンダ装置毎に、リード53のボンディング位置をずらして半導体装置を製造した。すなわち、第1〜第3のワイヤボンダ装置のいずれかによってワイヤボンディングされた半導体装置であるかを、ボンディング位置による着工情報(ワイヤボンディング情報)によって、検出(識別)しようと試みた。これにより、レジンに覆われた状態であっても、X線観察によりワイヤのボンディング位置を把握することができ、どのワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされたのか検出することができた。
【0011】
ところで、ワイヤボンディング工程において、ワイヤ54a〜54cがリード53と電気的に接続されたかの配線確認は、パソコンなどのコンピュータ上で、配線図とワイヤボンディング情報との比較により自動で行っている。このためリード53の位置が動いた場合、配線図と実際にボンディングする位置とのズレが生じてしまう。そこで、本発明者はリード53上のワイヤ54a〜54cのズレの許容範囲Aを設定して、誤検出がないようにすることを考えた。
【0012】
しかしながら、半導体チップの小型化、多ピン化のためリード幅が狭小化、リードピッチが狭ピッチ化した場合、ズレの許容範囲Aを狭くしなければならない。しかしながら、ズレの許容範囲Aを狭くした場合で、どのワイヤボンダ装置でボンディングされたかわかるようにボンディング位置をずらすと、許容範囲Aからはみ出てワイヤボンディングされるものが多くなる。この結果、配線確認をした際、誤検出として製品不良が増加してしまう。また、狭い許容範囲Aに複数のボンディング位置が収まるようにワイヤボンディング工程を行った場合、配線確認を行う際、複数のボンディング位置がほぼ同じ場所に接続されてしまうため、ワイヤを一本一本コンピュータ上で確認しなければならなくなってしまい、ワイヤボンダ装置の特定が困難である。
【0013】
また、例えば、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)などの多層配線基板(担体)に、本発明者が検討した技術を適用した場合、X線観察では、内層配線も検出してしまうため、例えば、断線が起きている箇所を特定することができず、ワイヤボンディング情報を検出することができない。すなわち、狭ピッチであっても、ワイヤをずらしてワイヤボンディングできるのであれば、市場で不良発生の際、X線観察によりワイヤのズレを検出することができるが、多層配線基板を用いた半導体装置の場合、内層配線も検出してしまうため、X線観察による不良解析ができない。
【0014】
また、前述したように、製造工程の処理能力の点から、例えばダイボンド装置1台に対しワイヤボンド装置は複数必要となるが、上記特許文献2のように、ダイボンディング工程後にレーザ刻印を行ったとしても、ボンディングワイヤの断線不良が生じた場合、不良が生じたワイヤボンダ装置を特定することは困難である。
【0015】
本発明の目的は、狭ピッチの半導体チップを多層配線基板に搭載し、封止した半導体装置について、ワイヤボンディング工程時に着工したワイヤボンダ装置を容易に特定することのできる技術を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
本発明による半導体装置の製造方法は、まず、多層配線基板を用意した後、半導体チップを多層配線基板上にダイボンディングする。次いで、ワイヤボンダ装置を用いて半導体チップ上のボンディングパッド(第1電極)と多層配線基板上のボンディングパッド(第2電極)とをワイヤボンディングする。次いで、ワイヤボンダ装置に備え付けられたレーザマーカ機構によって、前記多層配線基板にワイヤボンディング情報をレーザ刻印する。次いで、半導体チップを覆うように多層配線基板上にモールド樹脂(封止体)を形成する。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
本発明の半導体装置の製造技術によれば、狭ピッチの半導体チップを多層配線基板に搭載し、封止した半導体装置について、ワイヤボンディング工程時に着工したワイヤボンダ装置を容易に特定することができる。
【0021】
また、本発明の半導体装置の製造技術によれば、組立ロットおよびその組立ロット内のボンディング順序を追うことが可能であり、ボンディングワイヤの断線不良がいつ、どこから発生しているか特定でき、その原因も追求し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、BGA(Ball Grid Array)構造の半導体装置の製造方法に本発明を適用した場合について図1〜図9を参照して説明する。
【0024】
図1に、本実施の形態1における半導体装置の製造フローを示す。まず、前工程で形成された例えば集積回路を備えた半導体ウエハを、ダイシング装置を用いてダイシングし、半導体チップ(以下、チップという)を取り出す(工程S1)。
【0025】
次いで、多層配線基板(以下、配線基板という)を用意し、その配線基板にチップをダイボンダ装置を用いてダイボンディングする(工程S2)。例えば、担体である配線基板の主面の中央部に、接着剤としてのエポキシ樹脂系の接着ペーストをディスペンサによって滴下塗布した後、配線基板の主面の中央に、接着ペーストを利用して例えば0.25μm程度の厚さのチップを配置する。
【0026】
次いで、クリーンキュア装置を用いてダイボンディング時の接着ペーストに対してクリーンキュアすることによって接着ペーストを固体化し、配線基板とチップとを固定する(工程S3)。
【0027】
次いで、ワイヤボンダ装置を用いてチップの主面の外周側に設けられたボンディングパッド(第1電極)と、これに対応する配線基板上のボンディングパッド(第2電極)とをワイヤボンディングする(工程S4)。このワイヤボンディングした後、後述するが配線基板の裏面側にはワイヤボンディング情報がレーザによって刻印される。ここで、以下、ワイヤボンディング工程において行われたレーザ刻印を、W/Bマーカという。また、本願において、「ワイヤボンディング工程」とは後述するワイヤボンダ装置のローダからアンローダまでの処理をいい、単なる「ワイヤボンディング」とはチップ上のボンディングパッドと配線基板上のボンディングパッドとを電気的にワイヤで接続することをいう。
【0028】
次いで、モールド装置を用いてレジン(モールド樹脂)で配線基板上のチップなどを封止するトランスファモールド技術によって、配線基板の主面側にレジンからなる封止体を形成する(工程S5)。すなわち、封止体によって配線基板の主面側のチップ、ボンディングパッドおよびワイヤなどは封止される。
【0029】
次いで、マーキング装置を用いてパッケージ表面に例えば半導体装置の型式、製造年月などをマーキングする(工程S6)。なお、このマーキング工程は、前述したワイヤボンディング工程のレーザ刻印(マーキング)とは異なる。
【0030】
次いで、配線基板の裏面に複数のボール(外部接続用端子、突起電極)を例えば転写方法によって形成した後、切断装置を用いて不要な部分を除去するために、または、一連として形成されていた配線基板から複数の半導体装置を取り出すために切断する(工程S7)。なお、転写方法とは、配線基板を裏返して裏面を上面とした後、治具を利用して裏面の電極上にボールを配置してリフローする方法である。
【0031】
次いで、取り出された半導体装置は、試験装置を用いて動作テスト(機能テスト)を経て(工程S8)、その後、半導体装置の外観検査が行われて(工程S9)、市場(顧客)へ流通するようになる。
【0032】
このように、いわゆる前工程後から半導体装置が市場に流通するまでのいわゆる後工程では、ダイシング装置、ダイボンディング装置、クリーンキュア装置、ワイヤボンド装置、モールド装置、マーキング装置、切断装置および試験装置などが用いられる。前述したように製造工程の処理能力の点、すなわち処理能力が劣っている点からワイヤボンド装置は、例えばダイボンド装置などの他の装置に比べ複数必要となる。また、市場での半導体装置の不具合を解析すると断線不良が多く、そのため、ワイヤボンディング工程の履歴を調査することが特に必要となる。したがって、本発明は、市場で不具合が多い断線不良を検出できるワイヤボンディング後に、ワイヤボンディング情報をレーザ刻印するものであり、断線不良が生じた場合、不良を起こしたワイヤボンド装置の特定に有効である。また、刻印されている情報には、ワイヤボンディング情報以外に、基板ロットも含まれている。これは、半導体装置の不良は多層配線基板起因の不良も多いが、その不良はロット毎に依存して発生し易いことから、多層配線基板の不良品を回収し易くするためでもある。
【0033】
ここで、ワイヤボンディング工程について詳細に説明する。図2は、本発明に係るワイヤボンダ装置を模式的に示す説明図である。図3は、図2のワイヤボンダ装置の要部であって、ワイヤボンディング部を模式的に示す説明図である。図4は、製造工程中の半導体装置を模式的に示す平面図である。図5は、図2のワイヤボンダ装置のレーザ刻印部を模式的に示す説明図であり、レーザ刻印されている場合を示す。図6は、レーザ刻印の一例を示す説明図である。なお、本実施の形態1で示すチップ1は、小型化、狭ピッチ化されているが、図4では、図面を見易くするために、ボンディングパッド3は、狭ピッチ化されていない。
【0034】
図2に示すように、ワイヤボンダ装置11は、ローダ12、アンローダ13、ステージ17を備えたワイヤボンディング部14、搬送レール15およびレーザ刻印部16を備えている。また、図2には、ワイヤボンダ装置11で処理(搬送およびワイヤボンディング)が行われている配線基板2a、2b、2cが示されている。なお、図2では、配線基板2a〜2c上に配置されている半導体チップを図示していない。
【0035】
ローダ12はワイヤボンディングする前の配線基板2の収納庫であり、アンローダ13はワイヤボンディングした後の配線基板2の収納庫となる。すなわち、ローダ12のマガジンから送り出された配線基板2を、図示しないフレームフィーダによって順次搬送レール15に沿って、例えば配線基板2a、2b、2bに位置するように間欠的に移動させられるようになっている。また、ワイヤボンディング部14でワイヤボンディングが終了した配線基板2は、後述するレーザ刻印をした後、前記フレームフィーダによってアンローダ13に送られマガジンに収容される。
【0036】
このワイヤボンディング部14は、例えば超音波圧着方式が適用される。図3に示すように、ワイヤボンディング部14には、ベース21上に被対象物であるチップ1を搭載した配線基板2を搬送する搬送レール15が設けられている。この搬送レール15は配線基板2の両側をそれぞれ溝で案内する構造となっている。また、ワイヤボンディング部14には、搬送レール15の内方に、配線基板2を配置するヒートブロック17aが設けられている。したがって、このヒートブロック17aを過熱することによって、配線基板2も過熱される。
【0037】
また、ワイヤボンディング部14は、ベース21上に、XYテーブル22と、XYテーブル22上に設けられる本体23と、この本体23から延在するアーム24およびボンディングアーム25と、アーム24の先端に取り付けられた認識カメラ26と、ボンディングアーム25の先端に取り付けられたボンディングツール27と、コントロールユニット28を備えている。このコントロールユニット28は、入力装置、前記入力装置で入力される情報を格納するメモリ、前記メモリの情報と画像データとを比較演算して位置決めするための駆動情報を求める比較演算回路を備えている。
【0038】
図4に示すように、配線基板2に搭載されたチップ1の主面上には、外周に沿ってボンディングパッド(電極パッド)3が配置されており、また、配線基板2の主面上には、チップ1の周囲にボンディングパッド(ボンディングリード)4が配置されている。したがって、ワイヤボンディングは、ボンディングアーム25に組み込まれた振動発生機構によってワイヤ5接続時にボンディングツール27を超音波振動させて、チップ1のボンディングパッド3と配線基板2のボンディングパッド4とをワイヤ5によって電気的に接続するものである。
【0039】
レーザ刻印部16は、図5に示すように、レーザ発振器31、ビームエキスパンダ32、ガルバノミラー33およびfθレンズ34を備えている。例えば半導体レーザなどのレーザ発振器31から放出されたレーザ光はビームエキスパンダ32によって径を広げられ、ガルバノミラー33によって位置決めされた後、fθレンズ34によって集光され(レーザ光16a)、配線基板2の裏面側にレーザ刻印される。
【0040】
図6は、レーザ刻印部16によって刻印されたW/Bマーカ35の一例であって、2次元バーコードとなっている。このW/Bマーカ35には、組み立てロットのボンディング順番、ワイヤボンダ装置、着工日時などのワイヤボンディング情報が記憶されている。なお、本実施の形態では、W/Bマーカ35として2次元バーコードの場合を示したが、1次元バーコードや、英数文字などであっても良い。
【0041】
このワイヤボンディング工程を経て完成された半導体装置は、図7に示すように、配線基板2上にチップ1が搭載されており、チップ1のボンディングパッド(図示せず)と配線基板上の配線も兼ねるボンディングパッド4とはワイヤ5によって電気的に接続されている。また、これらチップ1、ボンディングパッド4およびワイヤ5を覆うようにレジン7が配線基板2上に形成されている。さらに、配線基板2の裏面側には、配線基板2中の多層配線を介してボンディングパッド4と電気的に接続された複数のボール(外部接続用端子、突起電極)8が形成されている。
【0042】
図8は、配線基板2の要部を模式的に示す断面図である。本実施の形態1における配線基板2は、4層の配線層40a、40b、40c、40dからなる多層配線基板である。この配線基板2は、コア(絶縁基材)45および配線層40a〜40dを交互に積み重ねることで形成されたプリプレグ(積層体)46と、その積層体の上下面(チップ搭載面およびボール形成面)に被着されたソルダーレジスト41とを有している。また、配線基板2には、レーザ加工によって形成されたブラインドビア42、スルーホール加工によって形成されたベリードビア43、およびスルーホール加工によるスルーホール44が形成されている。さらに、前述したように、配線基板2の表面側にはボンディングパッド4が形成されており、裏面側にはボール8が形成されている。このボール8は、図9に示すように、配線基板2の裏面の中心を除いて格子状に配列されている。
【0043】
コア45は、例えば耐熱性の高いガラス・エポキシ樹脂からなる。なお、コア45の材料は、これに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばBTレジンまたはアラミド不織布材等を用いても良く、コア45の材料としてBTレジンを選択した場合には、熱伝導性が高いので、放熱性を向上させることができる。
【0044】
配線層40a〜40dは、例えば銅(Cu)箔をエッチングすることによりパターニングされ、チップ搭載用のパターン、ボンディングワイヤが接続されるパターン、封止用の樹脂の剥離を容易にするためのパターンの他、信号配線や電源配線用の導体パターンを構成する。配線層40a、40dの一部は、ソルダーレジスト41から露出されており、その露出表面には、例えばニッケル(Ni)および金(Au)メッキ処理が施されている。また、各配線層40a〜40dはビアを通じて電気的に接続されている。
【0045】
また、ソルダーレジスト41は、外部接続用端子を形成する時に、外部接続用端子の形成不要な導体パターンに外部接続用端子が溶融して接触することを防ぎ、外部接続用端子の形成部以外の導体パターンを溶融した外部接続用端子の一部から保護する保護膜としての機能を有する。また、ソルダーレジスト41は、導体間のハンダブリッジの防止、汚染や湿気からの保護、損傷防止、耐環境性、マイグレーション防止、回路間の絶縁の維持および回路と他の部品(チップやプリント配線基板等)との短絡防止の機能等も有している。このソルダーレジスト41は、例えばポリイミド系樹脂からなり、基板母体1の主面および裏面の特定領域に形成されている。
【0046】
この配線基板2の裏面に対して、前述したようにワイヤボンディング工程においてレーザ刻印を行い、図9に示すように、W/Bマーカ35が形成される。ここで、本実施の形態1では、W/Bマーカ35を、図9(a)のように格子状に配置された複数のボール8に囲まれた領域(配線基板2の裏面の中心付近)に形成しても良く、また、図9(b)のように格子状に配置された複数のボール8の外側(配線基板2の外周)に配置しても良い。
【0047】
このように配線基板2の裏面にワイヤボンディング情報が刻印されたW/Bマーカ35を形成することによって、市場で不具合が多い断線不良を検出した場合、どのワイヤボンダ装置で形成された半導体装置であるのかなどを迅速に特定および解析することができる。
【0048】
また、配線基板2の裏面にワイヤボンディング情報が刻印されたW/Bマーカ35を形成することによって、組立ロット及びその組立ロット内のボンディング順序も追うことが可能であり、ボンディングワイヤの断線不良がいつ、どこから発生しているか特定でき、その原因も追求し易くなる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、基板母体(担体)に搭載された複数の半導体チップを一括して封止するMAP(Mold Array Package)方式の半導体装置の製造方法に本発明を適用した場合について図10〜図11を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態2における製造工程中の半導体装置の主面を模式的に示す平面図である。図11は、図10の半導体装置の裏面を模式的に示す平面図である。なお、本実施の形態2の半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1で示した製造方法とほぼ同様であるので、重複する説明は省略する。
【0050】
図10に示すように、基板母体61の部品搭載面の各単位製品領域DR1に、例えば銀入りペースト等のような接着剤を使ってチップ1を搭載する。なお、前記実施の形態1で示した半導体装置が、単位製品領域DR1に形成できるとみなすことができる。
【0051】
続いて、前記実施の形態1と同様なワイヤボンディングによって、チップ1のボンディングパッド(図示せず)と基板母体61の部品搭載面のボンディングパッド(図示せず)とを例えば金からなるワイヤ5により電気的に接続する。次いで、ワイヤボンディング後、図11に示すように、基板母体61の裏面にW/Bマーカ35をレーザ刻印する。このW/Bマーカ35には、組み立てロットのボンディング順番、ワイヤボンダ装置、着工日時などのワイヤボンディング情報が記憶されている。
【0052】
このように基板母体61の裏面にワイヤボンディング情報が刻印されたW/Bマーカ35を形成することによって、どのワイヤボンダ装置で形成された半導体装置であるのかなどを迅速に特定および解析することができる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0054】
例えば、前記実施の形態1では、多層配線基板を用いたBGAに適用した場合について説明したが、多層配線基板を用いた半導体製品(例えば、LGAなど)であれば適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法による各製造工程を示すフローチャートである。
【図2】本実施の形態1におけるワイヤボンダ装置を模式的に示す説明図である。
【図3】図2のワイヤボンダ装置のワイヤボンディング部を模式的に示す説明図である。
【図4】本実施の形態1における製造工程中の半導体装置を模式的に示す平面図である。
【図5】図2のワイヤボンダ装置のレーザ刻印部を模式的に示す説明図である。
【図6】本実施の形態1におけるレーザマーカを模式的に示す説明図である。
【図7】本実施の形態1における半導体装置を模式的に示す断面図である。
【図8】図7の半導体装置の配線基板の要部を模式的に示す断面図である。
【図9】図7の半導体装置の裏面側を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における製造工程中の半導体装置の主面を模式的に示す平面図である。
【図11】図10の半導体装置の裏面を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明者が検討した半導体装置の要部を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体チップ
2 多層配線基板(配線基板)
2a、2b、2c 配線基板
3 ボンディングパッド(第1電極)
4 ボンディングパッド(第2電極)
5 ワイヤ
7 レジン(封止体)
8 ボール
11 ワイヤボンダ装置
12 ローダ
13 アンローダ
14 ワイヤボンディング部
15 搬送レール
16 レーザ刻印部
16a レーザ光
17 ステージ
17a ヒートブロック
21 ベース
22 XYテーブル
23 本体
24 アーム
25 ボンディングアーム
26 認識カメラ
27 ボンディングツール
28 コントロールユニット
31 レーザ発振器
32 ビームエキスパンダ
33 ガルバノミラー
34 fθレンズ
35 W/Bマーカ
40a、40b、40c、40d 配線層
41 ソルダーレジスト
42 ブラインドビア
43 ベリードビア
44 スルーホール
45 コア
46 プリプレグ
51 半導体チップ
52 ボンディングパッド
53 リード
54a 第1のワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされた第1のワイヤ
54b 第2のワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされた第2のワイヤ
54c 第3のワイヤボンダ装置でワイヤボンディングされた第3のワイヤ
61 基板母体
A 許容範囲
DR1 単位製品領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)担体を用意する工程、
(b)前記担体の主面上に半導体チップをダイボンディングする工程、
(c)ワイヤボンダ装置を用いて、前記半導体チップ上の第1電極と前記担体上の第2電極とをワイヤボンディングする工程、
(d)前記半導体チップを覆うように前記担体上に封止体を形成する工程、
を含む半導体装置の製造方法であって、
(e)前記工程(c)の後、前記ワイヤボンダ装置に備え付けられたレーザマーカ機構によって、前記担体に着工情報をレーザ刻印する工程、
を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(a)多層配線基板を用意する工程、
(b)前記多層配線基板の主面上に半導体チップをダイボンディングする工程、
(c)ワイヤボンダ装置を用いて、前記半導体チップ上の第1電極と前記多層配線基板上の第2電極とをワイヤボンディングする工程、
(d)前記半導体チップを覆うように前記多層配線基板上に封止体を形成する工程、
を含む半導体装置の製造方法であって、
(e)前記工程(c)の後、前記ワイヤボンダ装置に備え付けられたレーザマーカ機構によって、前記多層配線基板に着工情報をレーザ刻印する工程、
を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(a)多層配線基板を用意する工程、
(b)前記多層配線基板の主面上に半導体チップをダイボンディングする工程、
(c)ワイヤボンダ装置を用いて、前記半導体チップ上の第1電極と前記多層配線基板上の第2電極とをワイヤボンディングする工程、
(d)前記工程(c)の後、前記半導体チップを覆うように前記多層配線基板上に封止体を形成する工程、
を含む半導体装置の製造方法であって、
(e)前記ワイヤボンダ装置に備え付けられたレーザマーカ機構によって、前記多層配線基板の裏面上に着工情報をレーザ刻印する工程、
を更に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記ワイヤボンダ装置は、ステージと、ローダおよびアンローダと、前記ローダと前記ステージとの間の第1搬送レールと、前記アンローダと前記ステージとの間の第2搬送レールとを備えており、
前記工程(c)は、
(c1)前記ローダから前記ステージへ前記第1搬送レールを介して前記多層配線基板を搬送する工程、
(c2)前記ステージ上で前記半導体チップ上の前記第1電極と前記多層配線基板上の前記第2電極とをワイヤボンディングする工程、
(c3)前記ステージから前記アンローダへ前記第2搬送レールを介して前記多層配線基板を搬送する工程、
を含み、
前記工程(c3)中に、前記工程(e)が行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記多層配線基板の前記裏面上における中心付近にレーザ刻印することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)では、前記多層配線基板の前記裏面における外周にレーザ刻印することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)の後、前記多層配線基板の前記裏面上に複数の外部接続用端子を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記工程(e)では、前記多層配線基板の前記裏面における前記複数の外部接続用端子の外側にレーザ刻印することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)は、複数の前記ワイヤボンダ装置によって並列処理されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記ワイヤボンダ装置は、前記工程(b)を行う装置および前記工程(d)を行う装置よりも台数が多いことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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